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特開2024-172401紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法
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  • 特開-紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172401
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090100
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 晶子
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 周平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 公人
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
(72)【発明者】
【氏名】伊東 慧
(72)【発明者】
【氏名】安齋 愛子
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA21
4C058BB06
4C058CC04
4C058KK12
(57)【要約】
【課題】コンベヤベルトを用いた搬送部において、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルトを適切に除菌可能にする紫外光照射装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、紫外光照射装置は、紫外光源を備え、紫外光源は、搬送面及び搬送面とは反対側の背面を通ってコンベヤベルトが回転移動することにより、搬送面において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する搬送部に対して、紫外光を照射する。紫外光源は、コンベヤベルトの背面に位置する部分に向かって、紫外光を照射する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面及び前記搬送面とは反対側の背面を通ってコンベヤベルトが回転移動することにより、前記搬送面において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する搬送部に対して、前記コンベヤベルトの前記背面に位置する部分に向かって紫外光を照射する紫外光源を具備する、紫外光照射装置。
【請求項2】
前記紫外光源は、前記コンベヤベルトの前記背面に位置する前記部分での照射量が25mJ/cm以上かつ50mJ/cm以下となる状態で、前記紫外光を照射する、請求項1の紫外光照射装置。
【請求項3】
請求項1又は2の紫外光照射装置と;
前記搬送面及び前記背面を有するとともに、前記搬送面及び前記背面を通って回転移動することにより、前記搬送面において前記上流側から前記下流側へ前記搬送対象を搬送する前記コンベヤベルトを備え、前記コンベヤベルトの前記背面に位置する前記部分に向かって前記紫外光源からの前記紫外光が照射される前記搬送部と;
前記紫外光源の動作状態、及び、前記搬送部での前記コンベヤベルトの状態に基づいて、前記紫外光源から前記コンベヤベルトへの前記紫外光の照射に関連する処理を行う処理部と;
を具備する、紫外光照射システム。
【請求項4】
前記処理部は、前記紫外光源の正味の点灯時間に基づいて、前記コンベヤベルトの交換時期についての判定を行い、前記交換時期についての判定結果を通知させる、請求項3の紫外光照射システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記搬送部での前記コンベヤベルトの色についての検知結果に基づいて、前記コンベヤベルトの交換時期についての判定を行い、前記交換時期についての判定結果を通知させる、請求項3の紫外光照射システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記搬送面を通過した前記搬送対象の数が規定数以上になったこと、及び、前記コンベヤベルトの回転移動における周回数が規定回数以上になったことのいずれかに対応させて、前記コンベヤベルトの前記背面に位置する前記部分へ前記紫外光源から前記紫外光を照射させる、請求項3の紫外光照射システム。
【請求項7】
前記処理部は、前記コンベヤベルトに付着している肉片量又は油分量についての検知結果に基づいて、前記検知結果における前記肉片量又は前記油分量が規定量以上であることに対応させて、前記コンベヤベルトの前記背面に位置する前記部分へ前記紫外光源から前記紫外光を照射させる、請求項3の紫外光照射システム。
【請求項8】
搬送部において搬送面及び前記搬送面とは反対側の背面を通してコンベヤベルトを回転移動させることにより、前記搬送面において上流側から下流側へ搬送対象を搬送することと;
前記搬送面において前記搬送対象が搬送されている状態で、前記コンベヤベルトの前記背面に位置する部分に向かって、紫外光源から紫外光を照射することと;
を具備する、紫外光照射方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食用肉及び食用魚等の加工工場では、食用肉等の加工において、ベルトコンベヤが、食用肉等を搬送する搬送部として用いられている。この際、コンベヤベルトに食用肉又は食用魚等が配置された状態で、コンベヤベルトを回転移動させることにより、搬送部の搬送面において上流側から下流側へ、食用肉等が搬送対象として搬送される。搬送対象である食用肉等がコンベヤベルトに接触する状態で搬送対象が搬送される構成では、コンベヤベルトに雑菌等が付着するため、コンベヤベルトの除菌を行う必要がある。
【0003】
コンベヤベルトによって食用肉等を前述のようにして搬送する搬送部では、可動率を増加させる観点から、コンベヤベルトの回転移動を停止することなく、すなわち、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルトの除菌が行われることが、求められている。また、コンベヤベルトに付着した雑菌等が除菌処理によって適切に除菌されることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-47361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コンベヤベルトを用いた搬送部において、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルトを適切に除菌可能にする紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、紫外光照射装置は、紫外光源を備え、紫外光源は、搬送面及び搬送面とは反対側の背面を通ってコンベヤベルトが回転移動することにより、搬送面において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する搬送部に対して、紫外光を照射する。紫外光源は、コンベヤベルトの背面に位置する部分に向かって、紫外光を照射する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンベヤベルトを用いた搬送部において、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルトを適切に除菌可能にする紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る紫外光照射システムの一例を示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る紫外光照射システムの制御系統の一例を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る紫外光照射システムにおいて、処理部によって行われる処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態に係る紫外光照射システムにおいて、処理部によって行われる処理の図3とは別の一例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の紫外光照射装置(3)は、紫外光源(15)を備え、紫外光源(15)は、搬送面(11)及び搬送面(11)とは反対側の背面(12)を通ってコンベヤベルト(5)が回転移動することにより、搬送面(11)において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する搬送部(2)に対して、紫外光を照射する。紫外光源(15)は、コンベヤベルト(5)の背面(12)に位置する部分に向かって、紫外光を照射する。これにより、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルト(5)を適切に除菌可能になる。
【0010】
実施形態の紫外光照射装置(3)では、紫外光源(15)は、コンベヤベルト(5)の背面(12)に位置する部分での照射量が25mJ/cm以上かつ50mJ/cm以下となる状態で、紫外光を照射する。25mJ/cm以上の照射量でコンベヤベルト(5)に紫外光が照射されることにより、紫外光による雑菌等の除菌がさらに適切に行われる。また、50mJ/cm以下の照射量でコンベヤベルト(5)に紫外光が照射されることにより、紫外光の照射によるコンベヤベルト(5)の変色及び劣化等が低減されるとともに、搬送面(11)において搬送される食用肉類等への紫外光の影響が、さらに低減される。
【0011】
実施形態の紫外光照射システム(1)は、前述の紫外光照射装置(3)、搬送部(2)及び処理部(20)を備える。搬送部(2)は、搬送面(11)及び背面(12)を有するとともに、搬送面(11)及び背面(12)を通って回転移動することにより、搬送面(11)において上流側から下流側へ搬送対象を搬送するコンベヤベルト(5)を備える。搬送部(2)では、コンベヤベルト(5)の背面(12)に位置する部分に向かって紫外光源(15)からの紫外光が照射される。処理部(20)は、紫外光源(15)の動作状態、及び、搬送部(2)でのコンベヤベルト(5)の状態に基づいて、紫外光源(15)からコンベヤベルト(5)への紫外光の照射に関連する処理を行う。これにより、コンベヤベルト(5)への雑菌等の付着状態等に対応させて、紫外光源(15)からの紫外光の照射を、処理部(20)によって適切に制御可能となる。
【0012】
実施形態の紫外光照射システム(1)では、処理部(20)は、紫外光源(15)の正味の点灯時間に基づいて、コンベヤベルト(5)の交換時期についての判定を行い、交換時期についての判定結果を通知させる。また、実施形態の紫外光照射システム(1)では、処理部(20)は、搬送部(2)でのコンベヤベルト(5)の色についての検知結果に基づいて、コンベヤベルト(5)の交換時期についての判定を行い、交換時期についての判定結果を通知させる。これにより、紫外光の照射によるコンベヤベルト(5)の劣化状態等に対応して、コンベヤベルト(5)の交換時期を適切に判定可能となる。また、適切に判定されたコンベヤベルト(5)の交換時期を、紫外光照射システム(1)の利用者等に、通知可能となる。
【0013】
実施形態の紫外光照射システム(1)では、処理部(20)は、搬送面(11)を通過した搬送対象の数(N)が規定数(Nref)以上になったこと、及び、コンベヤベルト(5)の回転移動における周回数(M)が規定回数(Mref)以上になったことのいずれかに対応させて、コンベヤベルト(5)の背面(12)に位置する部分へ紫外光源(15)から紫外光を照射させる。これにより、コンベヤベルト(5)への雑菌等の付着状態等に対応させて、除菌が必要なタイミングで、紫外光による除菌が適切に行われる。
【0014】
実施形態の紫外光照射システム(1)では、処理部(20)は、コンベヤベルト(5)に付着している肉片量(α)又は油分量(β)についての検知結果に基づいて、検知結果における肉片量(α)又は油分量(β)が規定量(αref;βref)以上であることに対応させて、コンベヤベルト(5)の背面(12)に位置する部分へ紫外光源(15)から紫外光を照射させる。これにより、コンベヤベルト(5)の状態に対応させて、紫外光の照射が必要なタイミングで、適切に紫外光が照射される。
【0015】
実施形態の紫外光照射方法では、搬送部(2)において搬送面(11)及び搬送面(11)とは反対側の背面(12)を通してコンベヤベルト(5)を回転移動させることにより、搬送面(11)において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する。紫外光照射方法では、搬送面(11)において搬送対象が搬送されている状態で、コンベヤベルト(5)の背面(12)に位置する部分に向かって、紫外光源(15)から紫外光を照射する。これにより、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルト(5)を適切に除菌可能になる。
【0016】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る紫外光照射システム1の一例を概略的に示す。図1の紫外光照射システム1は、例えば、食用肉類又は食用魚類等の加工工場で用いられる。図1に示すように、紫外光照射システム1は、搬送部2及び紫外光照射装置3を備える。図1の一例では、搬送部2は、ベルトコンベヤから形成され、コンベヤベルト5を備える。搬送部2では、食用肉類又は食用魚類等が、搬送対象として搬送される。搬送部2において搬送される食用肉類には、生肉等の食用肉に加えて、生肉を加工したベーコン等の食肉加工品が、含まれる。また、搬送部2において搬送される食用魚類には、生魚等の食用魚に加えて、生魚を加工した食魚加工品が、含まれる。図1の一例では、生肉の塊である肉ブロック4が、搬送部において、搬送される。
【0018】
搬送部2における搬送対象の搬送経路では、搬送対象となる食用肉類等が搬送部2において搬送される搬送方向(矢印X1で示す方向)が、規定される。搬送対象の搬送経路では、搬送方向は、“下流側”とも称され、搬送方向とは反対方向(矢印X2で示す方向)は、“上流側”とも称される。また、搬送部2では、搬送方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(図1の紙面に対して直交又は略直交する方向)、及び、搬送方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。そして、搬送部2では、高さ方向の一方側が、上側(矢印Z1側)となり、高さ方向について上側とは反対側が、下側(矢印Z2側)となる。図1では、幅方向の一方側から視た状態で、搬送部2が示される。
【0019】
搬送部2は、搬送面11、及び、搬送面11とは反対側の背面12を有する。搬送部2では、搬送面11が、高さ方向の上側を向き、背面12が、高さ方向の下側を向く。なお、搬送部2では、搬送面11を“上面”とも称し、背面12を“下面”とも称する。搬送部2では、搬送面11において、食用肉類等の搬送対象が、上流側から下流側へ搬送される。すなわち、搬送対象は、搬送面11に配置された状態で、下流側へ搬送される。また、搬送部2では、背面12に搬送対象は配置されない。
【0020】
紫外光照射システム1には、搬入部6及び搬出部7が設けられる。食用肉類等の搬送対象は、搬入部6から、搬送面11の上流端に搬入される。そして、搬送対象は、搬送面11において下流端まで搬送された後、搬送面11の下流端から、搬出部7へ搬出される。また、図1の一例では、紫外光照射システム1に、切断機8が設けられる。そして、搬送面11の下流端まで搬送された肉ブロック4は、切断機8によって、複数の肉片に切断(スライス)される、そして、切断機8によって1つの肉ブロック4から切断された複数の肉片が、搬出部7へ搬出される。
【0021】
ある一例では、搬送面11は、水平又は略水平に形成され、搬送面11上での食用肉類等の搬送方向は、水平面に対して平行又は略平行になる。この場合、搬送部2での高さ方向は、鉛直方向と一致又は略一致する。別のある一例では、搬送面11は、水平面に対して傾斜する状態で、延設される。そして、搬送部2での高さ方向は、鉛直方向に対して傾斜する。この場合、搬送面11は、下流側に向かうほど鉛直上側に位置する状態に傾斜してもよく、下流側に向かうほど鉛直下側に位置する状態に傾斜してもよい。
【0022】
搬送対象が搬送面11において搬送されている状態では、搬送面11において、コンベヤベルト5は、上流側から下流側へ移動する(図1の矢印A1)。そして、コンベヤベルト5は、搬送面11の下流端から、背面12へ移動し、背面12において、搬送面11での移動方向とは反対方向へ移動する。このため、搬送対象が搬送面11において搬送されている状態では、背面12において、コンベヤベルト5は、搬送対象の搬送方向とは反対方向へ移動する(図1の矢印A2)。そして、コンベヤベルト5は、背面12から、搬送面11の上流端へ移動し、搬送面11を上流側から下流側へ再び移動する。したがって、コンベヤベルト5は、搬送面11及び背面12を通って回転移動する。搬送部2では、コンベヤベルト5の回転移動によって、搬送面11に配置される搬送対象が搬送される。
【0023】
なお、搬送部2には、コンベヤベルト5を回転移動させる駆動源(図示しない)等が、設けられる。また、コンベヤベルト5は、高分子材料又は樹脂等から形成され、ある一例では、ポリウレタンから形成される。また、コンベヤベルト5では、厚さが規定され、ある一例では、コンベヤベルト5の厚さは、1.7mm程度となる。また、コンベヤベルト5では、湿熱に対して耐性を有する温度範囲として、湿熱耐温が規定される。ある一例では、コンベヤベルト5の湿熱耐温は、0℃以上かつ80℃以下となる。
【0024】
紫外光照射装置3は、紫外光源15及び筐体16を備える。紫外光源15は、紫外光を発光する発光素子を1つ以上備える。紫外光源15は、発光素子で発光した紫外光を、照射する。紫外光源15の発光素子は、例えば、紫外光LEDである。また、紫外光源15としては、発光素子の代わりに、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外光ランプ及びエキシマランプ等のLED以外のランプ等が、用いられてもよい。ただし、搬送対象となる食用肉等へのガラスの混入等を防止する観点から、発光素子を含む紫外光源15を形成する材料に、ガラスが用いられないことが、好ましい。ある一例では、紫外光源15からは、280nmをピーク波長とする紫外光が、照射される。
【0025】
また、紫外光照射装置3では、筐体16の内部に紫外光源15が収納される。筐体16は、アルミニウム及びステンレス等の金属、又は、樹脂から形成され、紫外光を透過させない、又は、ほとんど透過させない。また、筐体16には、窓部17が形成される。窓部17は、樹脂又はガラスから形成され、紫外光は、窓部17を透過可能である。紫外光源15は、窓部17を通して、筐体16の外部へ紫外光を照射する。なお、搬送対象となる食用肉等へのガラスの混入等を防止する観点から、窓部17は、樹脂から形成されることが、好ましい。
【0026】
紫外光照射装置3は、高さ方向の下側から搬送部2の背面12に窓部17が対向する状態で、配置される。そして、紫外光源15は、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分に向かって、窓部17を通して紫外光を照射する。このため、搬送部2では、搬送対象が搬送される搬送面11とは異なる部分に、紫外光源15からの紫外光が照射され、搬送面11とは反対側から、紫外光が照射される。
【0027】
搬送部2では、搬送対象である食用肉類等がコンベヤベルト5に接触する状態で、搬送対象が搬送される。このため、コンベヤベルト5の表面には、真菌、細菌及びウィルス等の雑菌が付着する可能性がある。本実施形態では、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分に向かって紫外光源15からの紫外光を照射することにより、コンベヤベルト5に付着した雑菌等の除菌が、行われる。なお、“除菌”とは、雑菌を不活性化すること等を意味し、“除菌”の代わりに“殺菌”、“滅菌”及び“減菌”等といった用語を用いることも可能である。
【0028】
また、紫外光照射システム1には、検知部18が設けられる。検知部18によって、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量等が、検知される。ある一例では、検知部18は、カメラ及び画像センサから構成される。そして、カメラによって、コンベヤベルト5が撮影され、画像センサは、カメラによる撮影画像を画像処理することにより、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量を算出する。検知部18は、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量として、例えば、コンベヤベルト5の表面の色を検知する。また、搬送面11において搬送対象として食用肉等が搬送される場合は、コンベヤベルト5に付着している肉片量又は油分量が、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量として、検知されてもよい。
【0029】
図2は、紫外光照射システム1の制御系統の一例を、ブロック図で示す。図2等に示すように、紫外光照射システム1は、前述した搬送部2、紫外光照射装置3及び検知部18に加えて、処理部20を備える。処理部20は、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体から構成される。処理部20を構成するプロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。処理部20は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。また、処理部20は、記憶媒体を1つのみ備えてもよく、記憶媒体を複数備えてもよい。処理部20では、プロセッサ又は集積回路によって、後述する処理が行われる。
【0030】
ある一例では、処理部20は、複数のコンピュータから構成され、処理部20の構成する複数のコンピュータのプロセッサ又は集積回路が、後述する処理を協働して行う。また、別のある一例では、処理部20は、クラウド環境のサーバから構成されてもよい。クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。処理部20となるクラウド環境のサーバでは、仮想プロセッサ等によって、後述の処理が行われ、クラウドメモリに、処理に必要なデータ等が記憶される。
【0031】
処理部20は、搬送部2の動作、及び、紫外光照射装置3の紫外光源15の動作を制御する。例えば、処理部20は、紫外光源15への電力の供給を制御することにより、紫外光源15が点灯する状態と紫外光源15が点灯していない状態との間を、切替える。これにより、紫外光源15から紫外光が照射される状態と紫外光源15から紫外光が照射されない状態との間が、切替わる。また、紫外光源15からの紫外光の出射強度が変化可能な場合、紫外光源15が点灯している状態において、処理部20は、紫外光源15への電力の大きさを調整することにより、紫外光源15からの紫外光の出射強度を調整する。
【0032】
処理部20は、搬送部2において、コンベヤベルト5が回転移動する状態とコンベヤベルト5の回転移動が停止されている状態との間を、切替える。また、処理部20は、コンベヤベルト5が回転移動している状態において、コンベヤベルト5の移動速度を調整する。
【0033】
搬送部2の背面12において紫外光源15からの紫外光がコンベヤベルト5に照射されている部分では、紫外光源15からの紫外光の出射強度が調整されることにより、紫外光の照度が調整される。また、コンベヤベルト5の移動速度が調整されることにより、紫外光源15からの紫外光が照射される範囲の通過にコンベヤベルト5が要する時間が、調整される。これにより、紫外光源15からの紫外光のコンベヤベルト5への照射時間が、調整される。したがって、処理部20等によって、紫外光源15からの紫外光の出射強度、及び、コンベヤベルト5の移動速度が調整されることにより、搬送部2の背面12において紫外光源15からの紫外光がコンベヤベルト5に照射されている部分での紫外光の照射量が、調整される。すなわち、コンベヤベルト5の背面に位置する部分での紫外光の照射量が、調整される。
【0034】
ここで、紫外光については、照度と照射時間との積が、照射量となる。照度は、例えば、mW/cm等の単位で示され、照射量は、例えば、mJ/cmの単位で示される。処理部20は、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分での紫外光の照射量が25mJ/cm以上かつ50mJ/cm以下となる状態に、紫外光源15からの紫外光の照射、及び、コンベヤベルト5の回転移動を制御する。このため、紫外光照射装置3の紫外光源15は、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分での照射量が25mJ/cm以上かつ50mJ/cm以下となる状態で、紫外光を照射する。
【0035】
また、処理部20は、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量についての検知部18での検知結果を、取得する。処理部20は、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量についての検知結果に基づいて、コンベヤベルト5の回転移動、及び、紫外光源15からの紫外光の照射量等を制御する。また、ある一例では、検知部18に設けられるカメラで撮影された画像についての画像情報を、処理部20が取得する。そして、処理部20は、画像情報を用いて、所定の時点から搬送面を通過した搬送対象の数等を、算出する。
【0036】
また、図2の一例では、紫外光照射システム1に、ユーザインタフェース21が設けられる。ユーザインタフェース21は、操作部材として、ボタン、スイッチ、タッチパネル及びリモコン等のいずれかを備える。操作部材では、紫外光照射システム1の利用者等による操作によって、搬送部2の動作に関する操作指令、及び、紫外光源15の動作に関する操作指令等が、入力される。処理部20は、操作部材からの操作指令に基づいて、コンベヤベルト5の回転移動、及び、紫外光源15からの紫外光の照射量等を、制御する。
【0037】
また、ユーザインタフェース21には、通知部が設けられる。処理部20は、紫外光源15に関する通知情報、及び、搬送部2に関する通知情報等を、通知部に通知させる。ある一例では、通知部は、搬送部2に関する通知情報として、コンベヤベルト5の交換時期についての情報を通知する。通知部では、画面表示及び音声発信等のいずれかによって、通知が行われる。
【0038】
前述のようにして処理部20による処理が行われるため、本実施形態では、処理部20は、紫外光源15の動作状態、及び、搬送部2でのコンベヤベルト5の状態に基づいて、紫外光源15からコンベヤベルト5への紫外光の照射に関連する処理を行う。以下、紫外光源15からのコンベヤベルト5への紫外光の照射に関連する処理について、例を挙げて説明する。
【0039】
図3は、処理部20によって行われる処理の一例をフローチャートで示す。図3の一例の処理は、コンベヤベルト5の交換に関する処理として、定期的に行われる。図3の一例の処理を開始すると、処理部20は、紫外光源15の動作についての制御情報を取得する(S31)。制御情報は、例えばユーザインタフェース21を用いてユーザ等が入力した情報である。なお、処理部20は、検知部18から送信された情報に基づいて、自身で制御情報を生成してもよい。そして、処理部20は、取得又は生成した制御情報に基づいて、前回のコンベヤベルトの交換時からの紫外光源15の正味の点灯時間を算出する(S32)。
【0040】
そして、処理部20は、紫外光源15の正味の点灯時間に基づいて、コンベヤベルト5の交換時期について判定する(S33)。交換時期についての判定では、処理部20は、例えば、リアルタイムでコンベヤベルト5を交換する必要があるか否かを判定する。このとき、処理部20は、紫外光源15が照射する光の波長に応じて、コンベヤベルト5を交換する必要があるか否かの判定に補正をかけてもよい。例えば、波長が長い場合は交換までの時間を長く補正し、波長が短い場合は交換までの時間を短く補正する。また、リアルタイムでのコンベヤベルト5の交換が必要でない場合において、処理部20は、使用されているコンベヤベルト5の寿命等を予測し、コンベヤベルト5の交換が必要となるタイミングを予測してもよい。
【0041】
ある一例では、処理部20は、紫外光源15の正味の点灯時間が規定時間以上であることに基づいて、リアルタイムでコンベヤベルト5を交換する必要があると判定する。そして、紫外光源15の正味の点灯時間が規定時間より短い場合は、処理部20は、正味の点灯時間が規定時間になるタイミングを算出し、算出したタイミングを、コンベヤベルト5の交換が必要となるタイミングとして、予測する。そして、処理部20は、コンベヤベルト5の交換時期についての判定結果を、ユーザインタフェース21の通知部等によって通知させる(S34)。
【0042】
また、図3の一例とは別のある一例では、検知部18は、撮影した画像を画像処理する等して、搬送部2でのコンベヤベルト5の色を検知する。そして、処理部20は、コンベヤベルト5の色についての検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて、コンベヤベルト5の交換時期について判定する。この際、処理部20は、例えば、使用開始時からのコンベヤベルト5の色の変色度合い等に基づいて、コンベヤベルト5が規定レベルを超えて変色しているか否かを判定する。そして、コンベヤベルト5が規定レベルを超えて変色している場合は、リアルタイムでコンベヤベルト5を交換する必要があると判定する。
【0043】
また、リアルタイムでのコンベヤベルト5の交換が必要でない場合において、処理部20は、使用開始時からのコンベヤベルト5の色の変色度合い等に基づいて、コンベヤベルト5の交換が必要となるタイミングを予測してもよい。本一例でも、処理部20は、コンベヤベルト5の交換時期についての判定結果を、ユーザインタフェース21の通知部等によって通知させる。なお、コンベヤベルト5では、紫外光が照射される正味の時間がある程度長くなると、変色する傾向にある。このため、コンベヤベルト5の色に基づいて、コンベヤベルト5の交換時期について、前述のように判定可能である。
【0044】
図4は、処理部20によって行われる処理の図3とは別の一例をフローチャートで示す。図4の一例の処理は、紫外光源15からの紫外光の照射の制御に関する処理として、行われる。また、図4の一例の処理は、紫外光源15からの紫外光の照射が停止されている状態において、開始される。また、紫外光源15からの紫外光の照射が停止されている間において、図4の一例の処理は、定期的に行われる。
【0045】
図4の一例では、検知部18は、撮影した画像の画像処理を行う等して、撮影した画像についての画像情報を検知する。撮影した画像において食用肉類等の搬送対象が示される場合、検知部18によって検知される画像情報には、画像において示される搬送対象についての情報が、含まれる。図4の一例の処理を開始すると、処理部20は、検知部18によって検知された前述の画像情報を、取得する(S41)。そして、処理部20は、取得した画像情報に基づいて、紫外光源15による紫外光の前回の照射の終了から搬送面を通過した搬送対象の数Nを、算出する(S42)。そして、処理部20は、搬送面を通過した搬送対象の数Nについての算出結果が規定数Nref以上であるか否かを判定する(S43)。例えば、検知部18は、定期的に画像情報を取得し、その画像情報を処理部20へ送信する。処理部20は、検知部18から送信された画像に搬送対象が含まれるか否かを判断する。そして、搬送対象が含まれる画像の累積枚数が規定数Nref以上となるか否かを判定する。また、例えば、処理部20は検知部18から送信された画像に含まれる搬送対象の数をカウントする。そして、搬送対象のカウント数が規定数Nref以上となるか否かを判定する。
【0046】
数Nが規定数Nref以上の場合は(S43-Yes)、処理部20は、紫外光源15から紫外光を照射させる(S44)。搬送対象が含まれる画像の累積枚数で判定が行われる場合、S44の処理に移行した段階で、累積枚数はリセットされる(累積枚数は0となる)。搬送対象の数をカウントすることで判定が行われる場合、S44の処理に移行した段階で、カウント数はリセットされる(カウント数は0となる)。この際、紫外光源15は、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分に向かって、紫外光を照射する。また、好ましい一例では、処理部20は、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分での紫外光の照射量が25mJ/cm以上かつ50mJ/cm以下となる状態に、紫外光源15からの紫外光の照射、及び、コンベヤベルト5の回転移動を制御する。
【0047】
一方、数Nが規定数Nrefより小さい場合は(S43-No)、処理部20は、紫外光源15からの紫外光の照射が停止されている状態を維持する(S45)。搬送対象が含まれる画像の累積枚数で判定が行われる場合、S45の処理に移行した際は、累積枚数は維持される。搬送対象の数をカウントすることで判定が行われる場合、S44の処理に移行した際は、カウント数は維持される。前述のような処理が行われるため、図4の一例では、処理部20は、搬送面11を通過した搬送対象の数Nが規定数Nref以上になったことに対応させて、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分へ紫外光源15から紫外光を照射させる。
【0048】
また、図4の一例とは別のある一例では、処理部20は、紫外光源15による紫外光の前回の照射の終了からのコンベヤベルト5の回転移動における周回数Mを、取得する。この際、処理部20は、例えば、搬送部2の動作についての制御情報から、コンベヤベルト5の回転移動における移動速度等を算出する。そして、処理部20は、搬送部2の1周回当たりの距離、及び、回転移動における移動速度等を用いて演算を行い、コンベヤベルト5の回転移動における周回数Mを算出する。
【0049】
また、コンベヤベルト5に指標が形成され、処理部20は、検知部18によって撮影された画像等を用いて、例えば、紫外光の前回の照射の終了からの指標の位置の変化を追跡してもよい。この場合、処理部20は、紫外光の前回の照射の終了からの指標の位置の変化の追跡結果に基づいて、コンベヤベルト5の回転移動における周回数Mを算出する。例えば、指標が含まれる画像枚数と、指標が含まれない画像の枚数と、を用いて周回数Mを算出する。
【0050】
本一例では、コンベヤベルト5の周回数Mが規定回数Mref以上であるか否かを判定する。そして、周回数Mが規定回数Mref以上の場合は、処理部20は、紫外光源15から紫外光を照射させる。一方、周回数Mが規定回数Mrefより小さい場合は、処理部20は、紫外光源15からの紫外光の照射が停止されている状態を維持する。前述のような処理を行うことにより、処理部20は、コンベヤベルト5の回転移動における周回数Mが規定回数Mref以上になったことに対応させて、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分へ紫外光源15から紫外光を照射させる。
【0051】
また、別のある一例では、搬送面11において、食用肉が、搬送対象として搬送される。そして、検知部18は、撮影した画像を画像処理する等して、コンベヤベルト5に付着している肉片量αを、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量として、検知する。そして、処理部20は、検知部18での検知結果を取得し、検知結果においてコンベヤベルト5に付着している肉片量αが、規定量αref以上であるか否かを判定する。ここでの肉片量αは、例えば、肉の大きさ(体積、上面視での面積、表面積等)であったり、肉の重さであったりする。肉片量αが肉の重さの場合は、検知部18は、重量を検知可能なセンサ(例えば、質量計)であってもよい。
【0052】
肉片量αが規定量αref以上の場合は、処理部20は、紫外光源15から紫外光を照射させる。一方、肉片量αが規定量αrefより小さい場合は、処理部20は、紫外光源15からの紫外光の照射が停止されている状態を維持する。前述のような処理を行うことにより、処理部20は、検知結果においてコンベヤベルト5に付着している肉片量αが規定量αref以上であることに対応させて、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分へ紫外光源15から紫外光を照射させる。
【0053】
また、別のある一例では、検知部18は、肉片量αの代わりに、コンベヤベルト5に付着している油分量βを、コンベヤベルト5の状態を示す特徴量として、検知する。そして、油分量βが規定量βref以上の場合は、処理部20は、紫外光源15から紫外光を照射させる。一方、油分量βが規定量βrefより小さい場合は、処理部20は、紫外光源15からの紫外光の照射が停止されている状態を維持する。前述のような処理を行うことにより、処理部20は、検知結果においてコンベヤベルト5に付着している油分量βが規定量βref以上であることに対応させて、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分へ紫外光源15から紫外光を照射させる。ここでの油分量βは、例えば、コンベヤベルト5において油が付着した領域の面積、又は、油の重量である。例えば、検知部18がコンベヤベルト5を含む画像情報を取得した際に、光の反射度合いの違いにより、コンベヤベルト5の油が付着した領域と、油の付着していない領域と、を判断し、油分量βを面積又は面積比で導出する。また、例えば、検知部18が、肉片が搭載されていないコンベヤベルト5の重量を検知し、初期状態のコンベヤベルト5からの重量の変化量に基づいて、油分量βを導出する。油分量βが重さの場合は、検知部18は、重量を検知可能なセンサ(例えば、質量計)であってもよい。
【0054】
前述のように本実施形態では、コンベヤベルト5の回転移動によって搬送面11において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する搬送部2に対して、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分に向かって、紫外光源15は、紫外光を照射する。このため、搬送対象である食用肉等がコンベヤベルト5に接触する状態で搬送を行っても、コンベヤベルト5に付着した雑菌等が、紫外光源15から照射される紫外光によって、適切に除菌される。
【0055】
また、紫外光による除菌は、消毒液を用いての除菌等とは異なり、コンベヤベルト5の回転移動を停止することなく、すなわち、搬送対象の搬送を停止することなく、実行可能なる。したがって、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルト5を適切に除菌可能になる。また、搬送対象の搬送を停止することなく紫外光による除菌が実行可能であるため、搬送部2では、紫外光によるコンベヤベルト5の除菌を、頻繁に実行可能である。これにより、コンベヤベルト5において、雑菌等に起因する汚染のリスクが、適切に低減される。
【0056】
また、紫外光による除菌は、消毒液を用いての除菌等とは異なり、コンベヤベルト5の乾燥等を行う必要はない。このため、コンベヤベルト5の除菌における手間が、低減されるとともに、コンベヤベルト5の除菌に要する時間が、短縮される。また、紫外光による除菌が行われることにより、コンベヤベルト5の乾燥が不十分な箇所において雑菌等が増殖するリスク等が、適切に低減される。
【0057】
また、本実施形態では、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分に向かって、紫外光源15からの紫外光が照射され、搬送対象が搬送される搬送面11とは反対側から、紫外光が照射される。このため、搬送面11において搬送される食用肉類等への紫外光の影響が、低減される。また、食用肉類等の加工を行う作業者、及び、切断機8等の食用肉類等の加工処理を行う装置への、紫外光の影響が、適切に低減される。
【0058】
また、本実施形態の好ましい一例では、紫外光源15は、コンベヤベルト5の背面に位置する部分での照射量が25mJ/cm以上かつ50mJ/cm以下となる状態で、紫外光を照射する。25mJ/cm以上の照射量でコンベヤベルト5に紫外光が照射されることにより、紫外光による雑菌等の除菌がさらに適切に行われる。また、50mJ/cm以下の照射量でコンベヤベルト5に紫外光が照射されることにより、紫外光の照射によるコンベヤベルト5の変色及び劣化等が低減されるとともに、搬送面11において搬送される食用肉類等への紫外光の影響が、さらに低減される。
【0059】
また、本実施形態では、処理部20は、紫外光源15の動作状態、及び、搬送部2でのコンベヤベルト5の状態に基づいて、紫外光源15からコンベヤベルト5への紫外光の照射に関連する処理を行う。これにより、コンベヤベルト5への雑菌等の付着状態等に対応させて、紫外光源15からの紫外光の照射を、処理部20によって適切に制御可能となる。
【0060】
また、本実施形態のある一例では、処理部20は、紫外光源15の正味の点灯時間、及び、搬送部2でのコンベヤベルト5の色についての検知結果のいずれかに基づいて、コンベヤベルト5の交換時期についての判定を行う。そして、処理部20は、コンベヤベルト5の交換時期についての判定結果を、通知させる。これにより、紫外光の照射によるコンベヤベルト5の劣化状態等に対応して、コンベヤベルト5の交換時期を適切に判定可能となる。また、適切に判定されたコンベヤベルト5の交換時期を、紫外光照射システム1の利用者等に、通知可能となる。
【0061】
また、本実施形態のある一例では、処理部20は、搬送面11を通過した搬送対象の数Nが規定数Nref以上になったこと、及び、コンベヤベルト5の回転移動における周回数Mが規定回数Mref以上になったことのいずれかに対応させて、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分へ紫外光を照射させる。これにより、コンベヤベルト5への雑菌等の付着状態等に対応させて、除菌が必要なタイミングで、紫外光による除菌が適切に行われる。
【0062】
また、本実施形態のある一例では、処理部20は、コンベヤベルト5に付着している肉片量α又は油分量βについての検知結果に基づいて、検知結果における肉片量α又は油分量βが規定量(αref又はβref)以上であることに対応させて、コンベヤベルト5の背面12に位置する部分へ紫外光を照射させる。これにより、コンベヤベルト5の状態に対応させて、紫外光の照射が必要なタイミングで、適切に紫外光が照射される。
【0063】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、紫外光源は、搬送面及び搬送面とは反対側の背面を通ってコンベヤベルトが回転移動することにより、搬送面において上流側から下流側へ搬送対象を搬送する搬送部に対して、コンベヤベルトの背面に位置する部分に向かって、紫外光を照射する。これにより、コンベヤベルトを用いた搬送部において、搬送対象の搬送を停止することなく、コンベヤベルトを適切に除菌可能にする紫外光照射装置、紫外光照射システム及び紫外光照射方法を提供することができる。
【0064】
上述した実施形態においては、搬送部がコンベヤベルトの形態で説明を行ったが、搬送部はコンベヤベルトでなくてもよい。例えば、搬送部がローラーであってもよいし、ローラーコンベヤであってもよいし、金属性のコンベヤであってもよい。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…紫外光照射システム、2…搬送部、3…紫外光照射装置、5…コンベヤベルト、11…搬送面、12…背面、15…紫外光源、18…検知部、20…処理部。

図1
図2
図3
図4