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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172403
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G01N35/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090103
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】小森 裕也
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 誠
(72)【発明者】
【氏名】松田 勇
(72)【発明者】
【氏名】児玉 究
(72)【発明者】
【氏名】下平 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】瀬町 崇浩
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CD04
2G058CF16
2G058CF22
2G058GA03
2G058GB08
2G058GB10
(57)【要約】
【課題】反応ディスクの回転駆動状態をモニタリングできるようにすることである。
【解決手段】実施形態に係る自動分析装置は、複数の反応容器を支持するセルホルダを保持する反応ディスクと、前記反応容器に対応して前記セルホルダに設けられる検知板の位置を検知する検知部により検知された検知データ、及び、前記反応容器を透過した光を検出する光検出部により検出された測光データの少なくともいずれか一方に基づいて、前記反応ディスクの回転速度を算出する算出部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の反応容器を支持するセルホルダを保持する反応ディスクと、
前記反応容器に対応して前記セルホルダに設けられる検知板の位置を検知する検知部により検知された検知データ、及び、前記反応容器を透過した光を検出する光検出部により検出された測光データの少なくともいずれか一方に基づいて、前記反応ディスクの回転速度を算出する算出部と、
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記検知データを用いて前記回転速度を算出する場合、前記検知データに加えて、前記検知板の寸法に関する検知板寸法データを用いて、前記反応ディスクの回転速度を算出する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記検知板寸法データにおける前記検知板の寸法を前記検知データの1周期の時間で除算して、前記反応ディスクの回転速度を算出する、請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記検知データを用いて前記回転速度を算出する場合、前記検知データに加えて、前記検知データの1周期の時間と、前記反応ディスクの回転速度とを関連付けた第1回転速度算出テーブルを用いて、前記回転速度を算出する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記検知板は、前記セルホルダに支持された複数の反応容器のうち、1つの前記反応容器に対して、1つ設けられる、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記検知板は、前記セルホルダに支持された複数の反応容器のうち、2つ以上の反応容器に対して、1つ設けられる、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記測光データを用いて前記回転速度を算出する場合、前記測光データに加えて、前記セルホルダに支持された前記反応容器の寸法に関する反応容器寸法データを用いて、前記反応ディスクの回転速度を算出する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記算出部は、前記反応容器寸法データにおける前記反応容器の寸法を前記測光データにおける前記反応容器を透過した光の検出時間で除算することにより、前記反応ディスクの回転速度を算出する、請求項7に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記測光データを用いて前記回転速度を算出する場合、前記測光データに加えて、前記測光データの1周期の時間と、前記反応ディスクの回転速度とを関連付けた第2回転速度算出テーブルを用いて、前記回転速度を算出する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
算出された前記反応ディスクの回転速度に基づいて、前記反応ディスクが回転を開始してから終了するまでの1サイクル分の前記反応ディスクの回転速度に関する回転速度データを生成する生成部をさらに備える、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記算出部により算出された前記反応ディスクの回転速度に基づいて、前記反応ディスクに異常があるか否かを判定する異常判定部を備える、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記異常判定部は、前記反応ディスクの異常の判定結果と前記反応容器に収容されている反応液の測定データに関する測定データ情報とを関連付ける、請求項11に記載の自動分析装置。
【請求項13】
前記反応ディスクの回転速度に基づいて、前記反応ディスクの異常の判定結果を通知する第1通知部をさらに備える、請求項12に記載の自動分析装置。
【請求項14】
前記第1通知部は、前記測定データ情報とともに、前記反応ディスクの回転速度に対する前記反応ディスクの異常の判定結果を通知する、請求項13に記載の自動分析装置。
【請求項15】
前記算出部は、前記反応ディスクの回転速度のばらつきを算出し、
前記異常判定部は、前記算出部により算出された、前記反応ディスクの回転速度のばらつきに基づいて、前記反応ディスクに異常があるか否かを判定する、請求項11に記載の自動分析装置。
【請求項16】
前記反応ディスクの回転速度のばらつきに対する前記反応ディスクの異常の判定結果を通知する第2通知部をさらに備え、
前記第2通知部は、前記異常判定部により前記反応ディスクの回転速度のばらつきに基づく時系列データに異常があると判定された場合に、故障予測に関する故障予測情報又は前記反応ディスクのメンテナンスに関するメンテナンス情報を通知する、請求項15に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液などの被検体から採取された被検試料又は各検査項目の標準試料などの試料と、各検査項目に対応する試薬とを混合することで得られる反応液を、例えば、光学的に測定することで、各検査項目に対応した被検試料の成分を分析する装置である。この反応液の光学的な測定には、反応容器に収容された反応液に光を照射する光源と、その透過光や散乱光を検出する光検出器とを備える測光ユニットが用いられる。
【0003】
従来より、自動分析装置は、反応液の光学的な測定を行うために、反応容器が配置される反応ディスクを回転駆動させて、光源と光検出器との光軸上を通過した反応液に光を照射し、その透過光や散乱光の光量を検出して、所定のタイミングにおいて、検出された光量に関する測定データを取得している。このような自動分析装置において、反応容器の光学的な測定を正確且つ高精度に行うために、反応液が収容された反応容器の中央部分が光源と光検出器との光軸中心を通過するタイミングで、反応液の測定データを取得することが望ましい。
【0004】
近年、このような自動分析装置において、単位時間あたりの処理検体数を表すスループットを向上するために、反応ディスクを大型にする傾向がある。このため、反応ディスクのがたつきや、反応ディスク及び反応ディスクを回転駆動するための回転駆動系を構成する部品の寸法公差が大きくなり、反応ディスクの回転速度が一定にならないことから、反応液の測定データを取得するタイミングが不安定になり、反応液の測定データが不安定になる場合がある。また、このような自動分析装置において、反応ディスクを大型にし、かつ、高速で回転する傾向もある。このため、回転駆動系の摩耗量が増加することとなり、回転駆動系が故障する要因となる場合もある。したがって、自動分析装置において、反応ディスクの回転駆動状態をモニタリングできるようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-183140号公報
【特許文献2】特開2022-050952号公報
【特許文献3】特開2004-301509号公報
【特許文献4】特開2012-108061号公報
【特許文献5】特許第4901766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、反応ディスクの回転駆動状態をモニタリングできるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る自動分析装置は、複数の反応容器を支持するセルホルダを保持する反応ディスクと、前記反応容器に対応して前記セルホルダに設けられる検知板の位置を検知する検知部により検知された検知データ、及び、前記反応容器を透過した光を検出する光検出部により検出された測光データの少なくともいずれか一方に基づいて、前記反応ディスクの回転速度を算出する算出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る分析機構の構成を示す模式図。
図3】第1実施形態に係る分析機構における反応ディスクに保持されるセルホルダの一例を示す図。
図4】第1実施形態に係る分析機構における反応ディスクに保持されるセルホルダの他の例を示す図。
図5】第1実施形態に係る分析機構において、検知板の検知時における、セルホルダとセンサとの断面を示す断面図。
図6】第1実施形態に係る位置検知データと測光データの一例を示す図。
図7】第1実施形態に係る生成機能において生成される回転速度データの一例を示す図。
図8】第1実施形態に係る自動分析装置で実行される第1通知処理の内容を説明するフローチャート図。
図9】第1実施形態に係る自動分析装置で実行される第1通知処理において生成された回転速度データの一例を示す図。
図10】第1実施形態に係る自動分析装置において、反応ディスクの異常を判定する判定方法の一例を示す図。
図11】第1実施形態に係る自動分析装置で実行される第1通知処理において生成された回転速度データの他の例を示す図。
図12】第1実施形態に係る自動分析装置において、反応ディスクの異常の通知の一例を示す図。
図13】第1実施形態に係る自動分析装置において、反応ディスクの異常の通知の他の例を示す図。
図14】第1実施形態に係る自動分析装置で実行される第2通知処理の内容を説明するフローチャート図。
図15】第1実施形態に第2通知処理において生成された回転速度データの一例を示す図。
図16】第1実施形態に係る第2通知処理において取得された回転速度のばらつきの時系列データの一例を示す図。
図17】変形例1に係る記憶回路に記憶される第1回転速度算出テーブルの一例を示す図。
図18】第2実施形態に係る分析機構における反応ディスクに保持されるセルホルダの一例を示す図。
図19】第2実施形態に係る位置検知データと測光データの一例を示す図。
図20】第2実施形態に係る自動分析装置で実行される第1通知処理の内容を説明するフローチャート図。
図21】第2実施形態に係る自動分析装置で実行される第2通知処理の内容を説明するフローチャート図。
図22】変形例2に係る記憶回路に記憶される第2回転速度算出テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、自動分析装置の実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図である。本実施形態に係る自動分析装置1は、例えば、測定対象の試料に試薬を添加して得られる反応液を測定することにより、試料内の成分を測定する装置である。この図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、例えば、分析機構2と、解析回路3と、駆動機構4と、入力インターフェース5と、出力インターフェース6と、通信インターフェース7と、記憶回路8と、制御回路9とを備えて構成されている。
【0011】
分析機構2は、標準試料又は被検試料等の試料に、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬を添加する。分析機構2は、試料に試薬を添加して得られる反応液を測定し、例えば、標準データ及び被検データを生成する。本実施形態においては、標準データは、含まれる検出対象の濃度が既知の標準試料についての吸光度の測定結果を表す。また、被検データは、被検試料についての吸光度の測定結果を表す。なお、以下において、標準試料と被検試料を区別せずに表現する場合は、単に「試料」と表記する場合がある。
【0012】
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ及び被検データを解析することで、検量データ及び分析データ等を生成するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路8から解析プログラムを読み出し、読み出した解析プログラムに従って検量データ及び分析データなどを生成する。例えば、解析回路3は、標準データと、標準データに基づき、標準試料について予め設定された標準値との関係を示す検量データとを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、濃度値及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ及び分析データなどを制御回路9へ出力する。
【0013】
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。例えば、駆動機構4は、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0014】
入力インターフェース5は、例えば、ユーザから又は病院内ネットワークNWを介して、測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インターフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インターフェース5は、制御回路9に接続され、ユーザから入力される操作指示を電気信号へ変換し、この電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本実施形態においては、入力インターフェース5は、マウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース5の例に含まれる。
【0015】
出力インターフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インターフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
【0016】
通信インターフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWに接続されており、自動分析装置1を病院内ネットワークNWに接続する。通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
【0017】
記憶回路8は、磁気的、若しくは、光学的記録媒体、又は、半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等により構成されている。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現することもできる。
【0018】
また、記憶回路8は、解析回路3で実行される解析プログラム、及び、制御回路9で実行される制御プログラムを記憶している。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データを検査項目毎に記憶する。
【0019】
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えていてもよい。
【0020】
図2は、第1実施形態に係る分析機構2の構成を示す模式図である。この図2に示すように、本実施形態に係る分析機構2は、例えば、反応ディスク201と、恒温部202と、サンプルディスク203と、第1試薬庫204と、第2試薬庫205と、サンプル分注アーム206と、サンプル分注プローブ207と、第1試薬分注アーム208と、第1試薬分注プローブ209と、第2試薬分注アーム210と、第2試薬分注プローブ211と、第1撹拌ユニット212と、第2撹拌ユニット213と、測光ユニット214と、洗浄ユニット215と、センサ216と、セルホルダ301とを備えて構成されている。
【0021】
反応ディスク201は、複数のセルホルダ301を着脱可能に、円周上に保持する。また、反応ディスク201は、セルホルダ301を介して、複数の反応容器2011を所定の間隔を開けて円弧状に配列させて支持する。反応ディスク201は、セルホルダ301を介して、複数の反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、試料と試薬の反応液の分析動作中、反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応容器2011は、例えば、ガラス、ポリプロピレン(polypropylene:PP)又はアクリルにより形成されている。
【0022】
図3は、本実施形態に係る分析機構2における反応ディスク201に保持されるセルホルダ301の一例を示す図である。図3に示すように、セルホルダ301は、複数の反応容器2011にそれぞれ対応する複数の位置に応じて、セルホルダ301の外縁部分3011から水平方向に突き出た複数の突出部分3012それぞれに直立されて配列された複数の検知板3013を有する。図3に示す例において、検知板3013は、セルホルダ301に支持された複数の反応容器2011のうち、2つの反応容器2011に対して、1つ設けられている。つまり、図3に示す例において、セルホルダ301は、22個の反応容器2011に対して、11個の検知板3013を有する。
【0023】
なお、本実施形態において、検知板3013は、2つの反応容器2011に対して、1つ設けられることとしたが、1つの検知板3013に対する反応容器2011の数は、これに限られない。すなわち、1つの検知板3013に対して設けられる反応容器2011の数は任意であり、1つの検知板3013に対して3つ以上の反応容器2011が設けられるようにしてもよい。
【0024】
また、上述した本実施形態に係る検知板3013は、複数の反応容器2011に対して、1つ設けられることとしたが、検知板3013は、1つの反応容器2011に対して、1つ設けられてもよい。図4は、本実施形態に係る分析機構2における反応ディスク201に保持されるセルホルダ301の他の例を示すブロック図であり、図3に対応する図である。図4に示すように、本実施形態に係る検知板3013は、セルホルダ301に支持された複数の反応容器2011のうち、1つの反応容器2011に対して、1つ設けられている。つまり、図4に示す例において、セルホルダ301は、11個の反応容器2011に対して、11個の検知板3013を有する。
【0025】
図3及び図4に示すように、本実施形態に係るセルホルダ301における検知板3013は、複数の反応容器2011に対して、1つ設けられる場合だけでなく、1つの反応容器2011に対して、1つ設けられる場合にも適用可能である。以下の説明では、図3に示すように、検知板3013が、複数の反応容器2011に対して、1つ設けられる場合を例として、本実施形態の詳細を説明する。
【0026】
また、本実施形態において、記憶回路8には、検知板寸法データが記憶されている。検知板寸法データとは、複数の検知板3013の寸法に関するデータである。具体的には、本実施形態に係る検知板寸法データは、図3に示すように、複数の検知板3013それぞれの回転方向に沿った幅の寸法A1と、隣接する検知板3013同士の間隙3014それぞれの回転方向に沿った幅の寸法B1とを含んでいる。このような検知板寸法データは、複数の検知板3013のそれぞれの幅の寸法A1及び間隙3014それぞれの幅の寸法B1をノギスなどの測定器具により測定し、記憶回路8に記憶するようにしてもよく、反応容器2011を低速で回転させて、測定装置(図示せず)などを用いて、検知板3013の寸法を正確に測定して、記憶回路8に記憶するようにしてもよい。
【0027】
なお、本実施形態に係る検知板寸法データは、複数の検知板3013それぞれの幅の寸法A1と、複数の間隙3014それぞれの幅の寸法B1とを含むこととしたが、検知板寸法データは、複数の検知板3013それぞれの幅の寸法A1及び間隙3014の寸法B1のいずれ一方を含むようにしてもよい。また、検知板寸法データは、複数の検知板3013それぞれの幅の寸法A1と、複数の間隙3014それぞれの幅の寸法B1とを含むこととしたが、1つの検知板3013の幅の寸法と、1つの間隙3014の幅の寸法とを含むようにしてもよい。
【0028】
なお、検知板3013は、複数の突出部分3012のそれぞれに直立されて配列されることとしたが、セルホルダ301は複数の突出部分3012を有することなく、検知板3013は、外縁部分3011に直立されて配列されるように設けてもよい。
【0029】
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留する。恒温部202は、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される反応液を所定の温度まで昇温し保温する。
【0030】
サンプルディスク203は、試料を収容する試料容器を複数保持する。サンプルディスク203は、駆動機構4により回動されることによって、サンプルディスク203に保持された各試料容器を予め設定された位置に搬送する。なお、この試料容器を搬送する機構は、サンプルディスク203に限られず、サンプルディスク203に代えて1又は複数の試料容器が収容されたラックを所定の位置に搬送するラックサンプラにより構成されてもよい。
【0031】
第1試薬庫204は、標準試料及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器を複数保冷する。第1試薬は、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等を含む緩衝液である。試薬容器には、試薬ラベルが貼付されている。試薬ラベルには、試薬情報を表す光学式マークが印刷されている。光学式マークには、例えば、1次元画素コード及び2次元画素コード等、任意の画素コードが用いられる。試薬情報は、試薬容器に収容される試薬に関する情報であり、例えば、試薬名、試薬メーカコード、試薬項目コード、ボトル種類、ボトルサイズ、容量、製造ロット番号、及び、有効期間等を含んでいる。
【0032】
また、第1試薬庫204は、標準試料を収容する標準試料容器を複数保冷する。複数の標準試料容器のそれぞれには、濃度が異なる同一の成分の標準試料が収容されている。
【0033】
第1試薬庫204内には、試薬ラック2041が回転自在に設けられている。試薬ラック2041は、複数の試薬容器及び複数の標準試料容器を、円環状に配列して保持する。試薬ラック2041は、駆動機構4により回動される。また、第1試薬庫204内には、試薬容器に貼付されている試薬ラベルから試薬情報を読み取るリーダ(図示せず)が設けられている。読み取られた試薬情報は、記憶回路8で記憶される。
【0034】
第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。第1試薬吸引位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬ラック2041に円環状に配列される試薬容器及び標準試料容器の開口部の移動軌道とが、交差する位置に設けられる。
【0035】
第2試薬庫205は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器を複数保冷する。第2試薬は、試料に含まれる所定の抗原又は抗体と、特異的抗原抗体反応により結合又は乖離する抗原又は抗体が固定化された不溶性担体、例えば、担体粒子を含む溶液である。特異的反応により結合又は乖離するものとして酵素、基質、アプタマー、受容体であっても良い。第2試薬庫205内には、試薬ラック2051が回転自在に設けられている。
【0036】
試薬ラック2051は、複数の試薬容器を円環状に配列して保持する。なお、第2試薬庫205において、標準試料を収容する標準試料容器が保冷されていてもよい。試薬ラック2051は、駆動機構4により回動される。また、第2試薬庫205内には、試薬容器に貼付されている試薬ラベルから試薬情報を読み取るリーダ(図示せず)が設けられている。読み取られた試薬情報は、記憶回路8で記憶される。
【0037】
第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、試薬ラック2051に円環状に配列される試薬容器の開口部の移動軌道とが、交差する位置に設けられる。
【0038】
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とサンプルディスク203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207を保持する。
【0039】
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプルディスク203に保持された試料容器から試料を吸引するための分注位置が設けられている。また、サンプル分注プローブ207の回動軌道上には、サンプル分注プローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ吐出するためのサンプル吐出位置が設けられている。サンプル吐出位置は、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道とが、交差する位置に設けられる。
【0040】
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、分注位置又はサンプル吐出位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、分注位置において、サンプルディスク203に保持された試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
【0041】
第1試薬分注アーム208は、第1試薬庫204の外周近傍に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持している。
【0042】
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、前述の第1試薬吸引位置が設けられている。また、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ209が吸引した第1試薬又は標準試料を反応容器2011へ吐出するための第1試薬吐出位置が設定されている。第1試薬吐出位置は、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道とが、交差する位置に設けられる。
【0043】
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置又は第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第1試薬又は標準試料を吸引する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した第1試薬又は標準試料を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
【0044】
第2試薬分注アーム210は、第1試薬庫204の外周近傍に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持している。
【0045】
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、前述の第2試薬吸引位置が設けられている。また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した第2試薬を反応容器2011へ吐出するための第2試薬吐出位置が設定されている。第2試薬吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道とが、交差する位置に設けられる。
【0046】
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、又は第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
【0047】
第1撹拌ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第1撹拌ユニット212は、第1撹拌アーム2121を有し、また、この第1撹拌アーム2121の先端に設けられる第1撹拌子を有する。第1撹拌ユニット212は、第1撹拌子により、反応ディスク201上の第1撹拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている標準試料と第1試薬との反応液を撹拌する。また、第1撹拌ユニット212は、第1撹拌子により、反応ディスク201上の第1撹拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている被検試料と第1試薬との反応液を撹拌する。
【0048】
第2撹拌ユニット213は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第2撹拌ユニット213は、第2撹拌アーム2131を有し、また、この第2撹拌アーム2131の先端に設けられる第2撹拌子を有する。第2撹拌ユニット213は、第2撹拌子により、反応ディスク201上の第2撹拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている標準試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を撹拌する。また、第2撹拌ユニット213は、第2撹拌子により、第2撹拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている被検試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を撹拌する。
【0049】
測光ユニット214は、反応容器2011内に吐出された試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を光学的に測定する。測光ユニット214は、光源2141、及び、光検出器2142を有する。測光ユニット214は、制御回路9の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット214は、反応容器2011から出射された光を、光検出器2142により検出する。この測光ユニット214は、本実施形態における測光部に相当する。また、光検出器2142は、本実施形態における光検出部に相当する。
【0050】
具体的には、例えば、光検出器2142は、光源2141から反応容器2011に照射される光の光軸上の位置に配置されている。光検出器2142は、反応容器2011内の標準試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を透過した光を検出する。自動分析装置1は、この光検出器2142が検出した光の強度により表される測光データを取得する。そして、自動分析装置1は、この測光データから所定のタイミングで取得される測定データに基づき、吸光度により表される標準データを生成する。また、光検出器2142は、反応容器2011内の被検試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を透過した光を検出する。自動分析装置1は、この光検出器2142が検出した光の強度により表される測光データを取得する。そして、自動分析装置1は、この測光データから所定のタイミングで取得される測定データに基づき、吸光度により表される被検データを生成する。測光ユニット214は、生成した標準データ及び被検データを解析回路3へ出力する。
【0051】
洗浄ユニット215は、測光ユニット214で反応液の測定が終了した反応容器2011の内部を洗浄する。
【0052】
センサ216は、反応ディスク201が回転することによるセルホルダ301の回転に応じて、セルホルダ301に設けられた複数の検知板3013をそれぞれ検知する。図5は、本実施形態に係る分析機構2において、検知板3013の検知時における、セルホルダ301とセンサ216との断面を示す断面図である。
【0053】
図5に示すように、センサ216は、検知板3013の検知時において、検知板3013の上方の端部(以下、上端と呼ぶ)に覆い被さるように、分析機構2に設けられている。また、図5に示すように、本実施形態において、センサ216は、凹型形状を有する。凹型形状の凹部は、直立した検知板3013の上端に覆い被さるように設けられる。すなわち、センサ216における凹型形状の凹部は、鉛直下向きに設けられる。このセンサ216は、例えば、フォトインタラプタである。
【0054】
また、図5に示すように、センサ216は、光を照射する照射部2161と、照射部2161から照射された光を受光する受光部2162とを有する。この照射部2161と受光部2162とは対向して設けられる。照射部2161は受光部2162に向けて光を照射する。図5に示す点線は、照射部2161から受光部2162に向けて照射される光の照射ラインを示している。そして、センサ216は、照射部2161から照射された光が検知板3013により遮断されると信号を出力せず、照射部2161から照射された光が間隙3014を通り受光部2162にて受光されると信号を出力する。そして、測光ユニット214は、センサ216が検知板3013を検知した検知結果、すなわち、センサ216の信号の出力結果に基づいて、測光データから反応容器2011内の反応液の測定データを取得するタイミングを決定する。このため、センサ216は、図5に示すように、例えば、測光ユニット214の光路の上方に配置される。以下、このセンサ216が出力する信号のデータを位置検知データと呼ぶ。この位置検知データは、本実施形態に係る検知データに相当する。
【0055】
図6は、本実施形態に係る位置検知データと測光データの一例を示す図である。図6に示す例において、位置検知データD1は、所定の周期で繰り返されるパルス状の波形である。この位置検知データD1は、照射部2161から照射された光が検知板3013により遮断されるときOFFとなり、照射部2161から照射された光が受光部2162で受光されるときONとなる。そのため、検知板3013と間隙3014がセンサ216を通過した時間が、この位置検知データD1の1周期の時間T1となる。本実施形態において、図6に示すように、位置検知データD1の1周期の時間T1は、センサ216がOFFになってから次にOFFになるまでの時間である。つまり、自動分析装置1は、位置検知データD1に基づいて、検知板3013及び間隙3014がセンサ216を通過する時間を取得することができる。なお、1周期の時間T1の取り方は任意であり、ONになってから次にONになるまでの時間であってもよい。
【0056】
また、図6に示す例において、測光データD2は、所定の周期で繰り返される波形であり、光源2141から発生された光が反応容器2011に収容された反応液を透過した光が光検出器2142にて検出される場合、光検出器2142の検出値は高くなり、光源2141から発生された光が反応容器2011に収容された反応液以外を透過した光が光検出器2142にて検出される場合、光検出器2142の検出値は低くなる。
【0057】
これらの位置検知データD1及び測光データD2を用いて、自動分析装置1は、測光データD2の検出値が高いタイミング、すなわち、反応容器2011の中央部分が光源2141と光検出器2142との光軸中心を通過するタイミングで測定データを取得する。具体的には、自動分析装置1は、位置検知データD1においてON又はOFFとなった時から所定の時間経過後のタイミングで測定データを取得する。本実施形態において、自動分析装置1は、1つの検知板3013に対して、2つの反応容器2011が設けられているため、位置検知データD1がOFFとなった時から第1の時間経過後の第1のタイミングS1において、測光データD2から1つの反応容器2011に収容された反応液の測定データを取得し、位置検知データD1がOFFとなった時から第1の時間より後の第2の時間経過後の第2のタイミングS2において、測光データD2からもう1つの反応容器2011の収容された反応液の測定データを取得する。なお、この測定データを取得する際、自動分析装置1は、測定データを取得するタイミングから所定の時間分の複数の測光データD2を取得し、取得した複数の測光データD2の平均値や積分値を測定データとして取得するようにしてもよい。このように、位置検知データD1に基づいて、所定のタイミングで測定データを取得しているため、反応ディスク201の回転が不安定になると、図6に示すタイミングS3などの反応容器2011が光源2141と光検出器2142との光軸中心を通過していないタイミングで測定データを取得することになり、正確な測定データを得ることができない。
【0058】
図1に示す制御回路9は、例えば、制御プログラムを実行することで、制御機能91と、取得機能92と、算出機能93と、生成機能94と、異常判定機能95と、第1通知機能96と、第2通知機能97とを実現する。なお、本実施形態では単一のプロセッサによって制御機能91と、取得機能92と、算出機能93と、生成機能94と、異常判定機能95と、第1通知機能96と、第2通知機能97とが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが制御プログラムを実行することにより制御機能91と、取得機能92と、算出機能93と、生成機能94と、異常判定機能95と、第1通知機能96と、第2通知機能97とを実現しても構わない。
【0059】
制御機能91は、入力インターフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。例えば、制御機能91は、制御回路9において、駆動機構4及び分析機構2を制御すると共に、検査項目に応じた解析を実施するように解析回路3を制御する。
【0060】
取得機能92は、位置検知データや測光データを取得したり、位置検知データと測光データとに基づいて、反応液の測定データを取得したりする。
【0061】
算出機能93は、位置検知データ及び測光データの少なくともいずれか一方に基づいて、反応ディスク201の回転速度を算出する。また、算出機能93は、反応ディスク201の回転速度のばらつきを表す指標として、反応ディスク201の回転速度の標準偏差やCV(Coefficient of Variation:変動係数)値、レンジ値などを算出する。
【0062】
生成機能94は、算出機能93により算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、反応ディスク201が回転を開始してから終了するまでの1サイクル毎の反応ディスク201の回転速度に関する回転速度データを生成する。反応ディスク201は1サイクルで約90°回転する。図7は、本実施形態に係る生成機能において生成される回転速度データの一例を示す図である。この図7に示すように、回転速度データには、縦軸を回転速度、横軸を時間として、1サイクルにおいて、反応ディスク201が一定速度になるまで加速し、一定速度になった後、等速で回転し、所定時間だけ等速で回転した後、減速して停止することが表されている。このような回転速度データにおいて、反応ディスク201が正常に回転している場合にあっては、加速区間、等速区間及び減速区間の時間はモータの制御に基づいて決まる。
【0063】
異常判定機能95は、算出機能93により算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、反応ディスク201の異常を判定する。
【0064】
第1通知機能96は、反応ディスク201の回転速度に対する反応ディスク201の異常の判定結果を通知する機能である。本実施形態において、第1通知機能96は、反応容器2011に収容された反応液の測定中において、反応ディスク201に異常があった場合に、ユーザに通知する。
【0065】
第2通知機能97は、反応ディスク201の回転速度のばらつきに対する反応ディスク201の異常の判定結果を通知する。
【0066】
なお、図1に示した制御機能91と、取得機能92と、算出機能93と、生成機能94と、異常判定機能95と、第1通知機能96と、第2通知機能97とは、それぞれ、本実施形態における制御部と、取得部と、算出部と、生成部と、異常判定部と、第1通知部と、第2通知部とを構成している。
【0067】
図8は、本実施形態に係る自動分析装置1で実行される第1通知処理の内容を説明するフローチャート図である。この第1通知処理では、反応ディスク201の回転速度を算出したり、回転速度データを生成したり、反応ディスク201に異常があるか否かを判定したり、反応ディスク201に異常がある場合に通知したりする。例えば、この第1通知処理は、反応液の光学的測定において反応ディスク201が回転を開始する場合に実行される処理である。
【0068】
図8に示すように、まず、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転を開始する(ステップS11)。この反応ディスク201の回転を開始する処理は、制御回路9における制御機能91により実現される。具体的には、自動分析装置1は、駆動機構4を制御して、反応ディスク201の回転を開始する。そして、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転開始から反応ディスク201の回転終了までのセンサ216により出力される位置検知データD1及び光検出器2142により検出される測光データD2を記憶回路8に記憶する。
【0069】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転を終了したか否かを判定する(ステップS13)。この反応ディスクの回転を終了したか否かを判定する処理は、制御回路9における制御機能91により実現される。そして、ステップS13において、反応ディスク201の回転が終了していない場合(ステップS13:NO)、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転が終了するまで待機する。
【0070】
一方、ステップS13において、反応ディスク201の回転が終了した場合(ステップS13:YES)、図8に示すように、自動分析装置1は、位置検知データD1を取得する(ステップS15)。この位置検知データD1を取得する処理は、制御回路9における取得機能92により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までの1サイクル分の位置検知データD1を取得する。
【0071】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、検知板寸法データを取得する(ステップS17)。この検知板寸法データを取得する処理は、制御回路9における取得機能92により実現される。具体的には、自動分析装置1は、記憶回路8から、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までにセンサ216を通過した検知板3013の検知板寸法データを取得する。
【0072】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、回転速度を算出する(ステップS19)。この回転速度を算出する処理は、制御回路9における算出機能93により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS15で取得された位置検知データD1とステップS17で取得された検知板寸法データとに基づいて、反応ディスク201の回転速度を算出する。より具体的には、自動分析装置1は、検知板寸法データにおける検知板3013の寸法である、1つの検知板3013の幅方向の寸法A1及び1つの間隙3014の幅の寸法B1を、この1つの検知板3013と1つの間隙3014がセンサ216を通過したときの位置検知データD1における1周期の時間T1で除算することにより、1つの検知板3013がセンサ216を通過したときの回転速度を算出する。そして、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までにセンサ216により検知された複数の検知板3013のそれぞれの検知板寸法データにおける検知板3013の寸法を、複数の検知板3013と複数の間隙3014とがセンサ216を通過したときのそれぞれの位置検知データD1における1周期の時間T1で除算することにより、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までにセンサ216により検知された検知板3013のそれぞれについての回転速度を算出する。このように、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度を算出する。
【0073】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、回転速度データを生成する(ステップS21)。この回転速度データを生成する処理は、制御回路9における生成機能94により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS19で算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、回転速度データを生成する。より具体的には、自動分析装置1は、算出された複数の反応ディスク201の回転速度の時系列データを生成することにより、1サイクル分の反応ディスク201の回転速度に関する回転速度データを生成する。
【0074】
図9は、本実施形態に係る自動分析装置1で実行される第1通知処理において生成された回転速度データの一例を示す図である。図9に示すように、自動分析装置1は、縦軸を回転速度、横軸を時間として、ステップS19で算出された複数の反応ディスク201の回転速度を時系列的にプロットすることにより、回転速度データを生成する。また、図9に示される点線は、反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データである。この図9に示す回転速度データにおいては、点線で示される反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データと比較すると、等速区間において、駆動機構4にバックラッシュが生じ、反応ディスク201の回転に異常が生じることにより、回転速度に異常値が発生している。なお、この反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データを示す点線は、図9に重畳されてなくてもよい。
【0075】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度に基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定する(ステップS23)。この反応ディスク201の異常を判定する処理は、制御回路9における異常判定機能95により実現される。具体的には、本実施形態において、自動分析装置1は、ステップS21において反応ディスク201の回転速度から生成された回転速度データに基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定する。
【0076】
図10は、本実施形態に係る自動分析装置1において、反応ディスク201の異常を判定する判定方法の一例を示す図である。図10(a)に示す例において、自動分析装置1は、破線で囲まれた回転速度データの等速区間において、等速区間における回転速度が、等速区間の回転速度の管理幅の範囲内であるか否かを判定する。そして、図10(b)に示すように、等速区間における回転速度が、回転速度の管理幅上限を上回る場合及び/又は回転速度の管理幅下限を下回る場合、自動分析装置1は、反応ディスク201に異常があると判定する。一方、等速区間における回転速度が管理幅の範囲内である場合、自動分析装置1は、反応ディスク201に異常がないと判定する。なお、図10(a)に示される点線は、反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データを示す。この反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データを示す点線は、図10(a)に重畳されてなくてもよい。
【0077】
なお、判定方法は、等速区間における回転速度が管理幅の範囲内であるか否かを判定する場合に限られない。すなわち、判定方法は任意である。図11は、本実施形態に係る自動分析装置1で実行される第1通知処理において生成された回転速度データの他の例を示す図であり、図9に対応する図である。この図11に示される破線は、反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データである。この図11に示す回転速度データにおいては、破線で示される反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データと比較すると、反応ディスク201の回転に異常が生じることにより、等速区間が短く、減速区間が長くなっている。このような場合においても、反応ディスク201の回転に異常があると判定されるように、加速区間、等速区間及び減速区間の少なくともいずれかの時間が、反応ディスク201を駆動する駆動機構4の制御における駆動制御時間と一致するか否かを判定するようにしてもよく、加速区間、等速区間及び減速区間の少なくともいずれかの回転速度の微分値を算出し、回転速度の微分値の算出結果と、反応ディスク201が正常に回転している場合の加速区間、等速区間及び減速区間の少なくともいずれかの回転速度の微分値とを比較することにより、反応ディスク201に異常があるか否かを判定するようにしてもよい。この反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データを示す破線は、図11に重畳されてなくてもよい。
【0078】
そして、ステップS23において、反応ディスク201に異常があると判定された場合(ステップS23:YES)、自動分析装置1は、測定データ情報を取得する(ステップS25)。この測定データ情報を取得する処理は、制御回路9における取得機能92により実現される。具体的には、自動分析装置1は、異常があると判定された回転速度を算出するために用いられた位置検知データD1に基づいて、その位置検知データD1における検知板3013に対応する反応容器2011に収容された反応液の測定データ情報を取得する。ここで、測定データ情報とは、反応液の測定データに関する情報であり、反応液の測定データや、反応液が収容された反応容器2011を示す情報、反応液の測光回数に関する情報等を含んでいる。
【0079】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、測定データ情報と反応ディスク201の異常の判定結果とを関連付ける(ステップS27)。この測定結果と異常の判定結果とを関連付ける処理は、制御回路9における異常判定機能95により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS25において取得された測定データ情報と、ステップS23において判定された反応ディスク201の異常の判定結果とを関連付ける。
【0080】
次に、図8に示すように、自動分析装置1は、反応ディスク201の異常を通知する(ステップS29)。この反応ディスク201の異常を通知する処理は、制御回路9における第1通知機能96により実現される。具体的には、自動分析装置1は、出力インターフェース6を介して、反応ディスク201の異常を通知する。
【0081】
図12は、本実施形態に係る自動分析装置1において、反応ディスク201の異常の通知の一例を示す図である。図12に示すように、自動分析装置1は、出力インターフェース6を介して、回転速度データとともに、反応ディスク201の異常として、反応ディスク201の異常の判定結果と、ステップS29において反応ディスク201の異常の判定結果に関連付けられた測定データ情報とに基づく「反応容器No.XXのn回目測光で回転駆動異常」の情報をユーザに通知する。また、自動分析装置1は、例えば、図12に示すように、回転速度データにおける異常がある部分を示して、反応ディスク201の異常をユーザに通知するようにしてもよい。なお、図12に示される点線は、反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データを示す。この反応ディスク201が正常に回転した場合における回転速度データを示す点線は、図12に重畳されてなくてもよい。
【0082】
なお、本実施形態において、反応ディスク201の異常を通知する方法は図12に示す方法に限られない。すなわち、反応ディスク201の異常を通知する方法は任意である。図13は、本実施形態に係る自動分析装置1において、反応ディスク201の異常の通知の他の例を示す図である。図13に示すように、自動分析装置1は、出力インターフェース6を介して、測定データの時系列データである測定結果とともに、反応ディスク201に異常があったときに取得された測定データに基づく吸光度を強調表示することにより、反応ディスク201の異常を通知するようにしてもよい。なお、この測定データの時系列データである測定結果は、反応タイムコースとも呼ばれる。
【0083】
一方、ステップS23において、反応ディスク201に異常がないと判定された場合(ステップS23:NO)、及び、ステップS29の後、図8に示すように、自動分析装置1は、反応ディスク201が回転を開始したか否かを判定する(ステップS31)。この反応ディスク201が回転を開始したか否かを判定する処理は、制御回路9における制御機能91により実現される。そして、ステップS31において、反応ディスク201が回転を開始していない場合(ステップS31:NO)、図8に示すように、自動分析装置1は、反応ディスク201が回転を開始するまで待機する。
【0084】
一方、ステップS31において、反応ディスク201が回転を開始した場合(ステップS31:YES)、自動分析装置1は、上述したステップS13に戻り、ステップS13からの処理を繰り返す。
【0085】
この図8に示す本実施形態に係る第1通知処理は、自動分析装置1が反応液の測定を実行している間、繰り返し実行され、自動分析装置1が反応液の測定を終了した時は、終了する。
【0086】
図14は、本実施形態に係る自動分析装置1で実行される第2通知処理の内容を説明するフローチャート図である。この第2通知処理では、反応ディスク201の回転速度のばらつきを算出したり、回転速度のばらつきの時系列データに基づいて反応ディスク201に異常があるか否かを判定したりする。例えば、この第2通知処理は、所定のタイミングで反応ディスク201が回転を開始する場合に実行される処理である。なお、所定のタイミングとは、自動分析装置1の電源投入時に実行されるスタートアップ動作時や、自動分析装置1を構成する各分析ユニットを予め設定された初期位置に移動させるホーム動作時、電源投入後の初回の測光ユニット214による測定動作時などである。また、第2通知処理におけるステップS11からステップS21までの処理は、上述した第1通知処理と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
図15は、本実施形態に第2通知処理において生成された回転速度データの一例を示す図である。図15に示すように、第2通知処理のステップS21において、自動分析装置1は、縦軸を回転速度、横軸を時間として、ステップS19で算出された反応ディスク201の回転速度を時系列的にプロットすることにより、回転速度データを生成する。この図15に示す回転速度データは、破線で囲まれた等速区間において、回転速度にばらつきが生じている。
【0088】
次に、図14に示すように、自動分析装置1は、算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、回転速度のばらつきを算出する(ステップS41)。この回転速度のばらつきを算出する処理は、制御回路9における算出機能93により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS21において反応ディスク201の回転速度から生成された回転速度データに基づいて、回転速度データの等速区間における回転速度の標準偏差、CV(Coefficient of Variation:変動係数)値、又は、レンジなどを算出することにより、回転速度のばらつきを算出する。そして、自動分析装置1は、算出した回転速度のばらつきを記憶回路8に記憶する。
【0089】
次に、図14に示すように、自動分析装置1は、回転速度のばらつきの時系列データを取得する(ステップS43)。この回転速度のばらつきの時系列データを取得する処理は、制御回路9における取得機能92により実現される。具体的には、自動分析装置1は、記憶回路8に記憶された反応ディスク201の回転速度のばらつきに基づく時系列データを取得する。より具体的には、自動分析装置1は、記憶回路8に記憶されている回転速度のばらつきから時系列データを生成することにより、回転速度のばらつきの時系列データを取得する。
【0090】
図16は、本実施形態に係る第2通知処理において取得された回転速度のばらつきの時系列データの一例を示す図である。図16に示すように、縦軸を回転速度のばらつき、横軸を時間とするグラフにおいて、記憶回路8に記憶されている回転速度のばらつきをプロットすることにより、時系列データを生成する。この図16に示す例においては、回転速度のばらつきの時系列データは、単調増加をしている。
【0091】
次に、図14に示すように、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度のばらつきに基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定する(ステップS45)。この反応ディスクに異常があるか否かを判定する処理は、制御回路9における異常判定機能95により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS43で取得された回転速度のばらつきの時系列データに基づいて、時系列データが単調増加しているか、又は、時系列データの値が閾値を超えているか等を判定することにより、反応ディスク201に異常があるか否かを判定する。そして、ステップS45において、反応ディスク201に異常がないと判定された場合(ステップS45:NO)、図14に示すように、自動分析装置1は、第2通知処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS45において、反応ディスク201に異常があると判定された場合(ステップS45:YES)、図14に示すように、自動分析装置1は、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知する(ステップS47)。この故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知する処理は、制御回路9における第2通知機能97により実現される。具体的には、自動分析装置1は、出力インターフェース6を介して、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知する。ここで、故障予測情報とは、反応ディスク201を駆動する駆動機構4の故障時期や交換部品に関する情報等を含んだ故障予測に関する情報である。また、メンテナンス情報とは、メンテナンス時期やメンテナンス対象となる部品に関する情報等を含んだ反応ディスク201のメンテナンスに関する情報である。
【0093】
なお、ステップS47において、自動分析装置1は、出力インターフェース6を介して、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知することとしたが、自動分析装置1は、通信インターフェース7を介して、ネットワークNWに接続されたサービスマンなどの端末装置に故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知するようにしてもよい。
【0094】
このステップS47において、自動分析装置1は、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知することにより、本実施形態に係る第2通知処理を終了する。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、自動分析装置1は、検知板3013を検知するセンサ216により検知された位置検知データと、記憶回路8に記憶された検知板寸法データとを取得し、位置検知データと検知板寸法データとに基づいて回転速度を算出することとした。このため、反応ディスク201の回転駆動状態をモニタリングすることができる。
【0096】
また、自動分析装置1は、測光ユニット214の光検出器2142により検出された測光データから測定データを取得するタイミングを決定するために従来から利用されている、センサ216とセルホルダ301に設けられた検知板3013とから位置検知データを取得することとした。このため、自動分析装置1は、検知板寸法データを記憶しておくことにより、ハードウェア構成を追加することなく、反応ディスク201の回転速度を算出することができ、反応ディスク201の回転駆動状態をモニタリングすることができる。
【0097】
また、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度に基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定し、反応ディスク201に異常がある場合、反応ディスク201の異常の判定結果と、測定データ情報とを関連付けて、反応ディスク201の異常を通知することとした。このため、測定結果に異常が発生した場合でも、反応ディスク201の異常が原因の場合、ユーザは、測定結果の異常の要因分析を容易にすることができる。
【0098】
さらに、自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度のばらつきを算出し、反応ディスク201の回転速度のばらつきの時系列データに基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定し、反応ディスク201に異常がある場合、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知することとした。このため、反応ディスク201を駆動するための駆動機構4が故障する前に、故障が予測される部品の交換やメンテナンスを行うことができるので、自動分析装置1の稼働率を向上させることができる。
【0099】
〔変形例1〕
上述した第1実施形態に係る自動分析装置1においては、位置検知データD1を用いて反応ディスク201の回転速度を算出する場合に、位置検知データD1に加えて、検知板寸法データを用いて、反応ディスク201の回転速度を算出することとしたが、自動分析装置1においては、位置検知データD1を用いて反応ディスク201の回転速度を算出する場合に、位置検知データD1に加えて、位置検知データD1の1周期の時間から反応ディスクの201の回転速度に換算するテーブルを用いて、反応ディスク201の回転速度を算出するようにしてもよい。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例1として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0100】
図17は、本変形例に係る記憶回路8に記憶される第1回転速度算出テーブルの一例を示す図である。図17に示すように、第1回転速度算出テーブルT1には、位置検知データD1の1周期の時間毎に回転速度が関連付けられている。図17に示す例においては、位置検知データD1の1周期の時間が30msのとき、回転速度は150mm/sと関連付けられている。なお、図17に示す例において、第1回転速度算出テーブルT1には、3つの位置検知データD1の1周期の時間のデータと回転速度とが関連付けられているが、第1回転速度算出テーブルT1に登録される1周期の時間と回転速度とのデータ数はこれに限られない。すなわち、第1回転速度算出テーブルT1に登録される1周期の時間と回転速度とのデータ数は任意であり、1つ又は2つの1周期の時間と回転速度とのデータが第1回転速度算出テーブルT1に登録されてもよく、4つ以上の1周期の時間と回転速度とのデータが第1回転速度算出テーブルT1に登録されてもよい。
【0101】
そして、自動分析装置1は、図8の第1通知処理及び図14の第2通知処理におけるステップS15において位置検知データD1を取得した場合、ステップS17において検知板寸法データを取得することなく、ステップS19において回転速度を算出する。具体的には、制御回路9における算出機能93は、ステップS19において、ステップS15で取得した位置検知データD1から位置検知データD1の1周期毎の時間を求め、記憶回路8に記憶された第1回転速度算出テーブルを参照して、位置検知データD1の1周期の時間を反応ディスクの201の回転速度に換算することにより、位置検知データD1の1周期毎の反応ディスク201の回転速度を算出する。より具体的には、算出機能93は、ステップS15で取得した位置検知データD1から位置検知データD1の1周期の時間が30msと求められた場合、図17に示す第1回転速度算出テーブルT1を参照して、位置検知データD1の1周期の時間における反応ディスク201の回転速度を150mm/sと算出することができる。
【0102】
なお、位置検知データD1の1周期の時間が、第1回転速度算出テーブルT1にない場合、算出機能93は、ステップS15で取得した位置検知データD1から求められた位置検知データD1の1周期の時間と、第1回転速度算出テーブルT1に関連付けられた位置検知データD1の1周期の時間及び回転速度とに基づいて、位置検知データD1の1周期の時間における反応ディスク201の回転速度を算出するようにしてもよい。具体的には、算出機能93は、ステップS15で取得した位置検知データD1から位置検知データD1の1周期の時間が25msと求められた場合、図17に示す第1回転速度算出テーブルT1を参照して、第1回転速度算出テーブルT1に関連付けられた位置検知データD1の1周期の時間30ms及び回転速度150mm/sであることに基づいて、反応ディスク201の回転速度180mm/sを算出するようにしてもよい。
【0103】
以上のように、本変形例に係る自動分析装置1によれば、自動分析装置1は、検知板3013を検知するセンサ216により検知された位置検知データD1を取得し、位置検知データD1の1周期の時間を求め、記憶回路8に記憶された第1回転速度算出テーブルを参照することにより、反応ディスク201の回転速度を算出することができるので、反応ディスク201の回転駆動状態をモニタリングすることができる。
【0104】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態に係る自動分析装置1においては、位置検知データD1と、検知板寸法データとを取得し、位置検知データD1と検知板寸法データとに基づいて、回転速度や回転速度のばらつきを算出することとしたが、回転速度や回転速度のばらつきを算出する方法は、これに限られない。第2実施形態に係る自動分析装置1においては、光検出器2142により検出される測光データD2と、セルホルダ301に支持された反応容器2011の寸法に関する反応容器寸法データとに基づいて、回転速度や回転速度のばらつきを算出する場合を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。なお、第2実施形態に係る自動分析装置1及び分析機構2の構成は、図1及び図2の構成と同様であるので説明を省略する。
【0105】
図18は、第2実施形態に係る分析機構2における反応ディスク201に保持されるセルホルダ301の一例を示す図であり、上述した図3に対応する図である。本実施形態においては、記憶回路8には、反応容器寸法データが記憶されている。具体的には、本実施形態に係る反応容器寸法データは、図18に示すように、複数の反応容器2011のそれぞれの回転方向に沿った幅の寸法A2を含んでいる。このような反応容器寸法データは、複数の反応容器2011それぞれの幅の寸法A2をノギスなどの測定器具により測定し、記憶回路8に記憶するようにしてもよく、反応容器2011を低速で回転させて、測定装置(図示せず)などにより、反応容器2011の幅の寸法を正確に測定して、記憶回路8に記憶するようにしてもよい。なお、この他のセルホルダ301の構成は上述した第1実施形態の図3と同様であるため、説明を省略する。また、第2実施形態に係るセルホルダ301の別の例の構成及びセルホルダ301とセンサ216の位置関係については、図4及び図5と同様であるので説明を省略する。
【0106】
図19は、第2実施形態に係る位置検知データD1と測光データD2の一例を示す図であり、上述した図6に対応する図である。図19に示す例において、反応容器2011の中央部分が、光源2141と光検出器2142との光路上を通過する場合、反応容器2011の側面部分やセルホルダ301の壁などが光路上を通過する場合と比較して、光検出器2142の検出値(すなわち、測光データD2の値)は高くなる。そのため、光検出器2142の検出値が高い部分の検出時間が、光検出器2142が反応容器2011を透過した光を検出した時間T2となる。つまり、自動分析装置1は、測光データD2に基づいて、複数の反応容器2011のそれぞれが光源2141と光検出器2142との光路上を通過する時間を取得することができる。その他の位置検知データD1及び測光データD2の説明は、図6における説明と同様であるので説明を省略する。また、本実施形態に係る反応ディスク201の回転が正常な場合の回転速度データは、上述した図7と同様であるので説明を省略する。
【0107】
図20は、本実施形態に係る自動分析装置1で実行される第1通知処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における図8に対応する図である。本実施形態に係る第1通知処理において、自動分析装置1は、反応容器寸法データと測光データD2を取得したり、反応容器寸法データで測光データD2とに基づいて、反応ディスク201の回転速度を算出したりする。例えば、この第1通知処理は、反応液の光学的測定において反応ディスク201が回転を開始する場合に実行される処理である。なお、この図20に示す本実施形態に係る第1通知処理において、ステップS11及びステップS13の処理は、上述した第1実施形態の第1通知処理と同様であるので説明を省略する。
【0108】
そして、ステップS15において、反応ディスク201の回転が終了した場合(ステップS13:YES)、図20に示すように、自動分析装置1は、測光データD2を取得する(ステップS51)。この測光データD2を取得する処理は、制御回路9における取得機能92により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までの1サイクル分の測光データD2を取得する。
【0109】
次に、図20に示すように、自動分析装置1は、反応容器寸法データを取得する(ステップS53)。この反応容器寸法データを取得する処理は、制御回路9における取得機能92により実現される。具体的には、自動分析装置1は、記憶回路8から、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までに光源2141と光検出器2142との光路上を通過した反応容器2011に関する反応容器寸法データを取得する。
【0110】
次に、図20に示すように、自動分析装置1は、回転速度を算出する(ステップS55)。回転速度を算出する処理は、制御回路9における算出機能93により実現される。具体的には、自動分析装置1は、ステップS51で取得した測光データと、ステップS53で取得した反応容器寸法データとに基づいて、反応ディスク201の回転速度を算出する。より具体的には、自動分析装置1は、反応容器寸法データにおける1つの反応容器2011の幅の寸法A2を、測光データにおける1つの反応容器2011に対応する光検出器2142により検出された反応容器2011を透過した光の検出時間T2で除算することにより1つの反応容器の通過速度を算出する。そして、ステップS11における反応ディスク201の回転開始からステップS13における反応ディスク201の回転終了までに光源2141と光検出器2142との光路上を通過した反応容器2011それぞれの通過速度を算出することにより、反応ディスク201の回転速度を算出する。なお、ステップS55より後のステップS21からステップS31までの処理は、上述した第1実施形態の第1通知処理と同様であるので説明を省略する。
【0111】
上述した第1実施形態における第1通知処理と同様に、この図20に示す本実施形態に係る第1通知処理は、自動分析装置1が反応液の測定を実行している間、繰り返し実行され、自動分析装置1が反応液の測定を終了した時は、終了する。
【0112】
図21は、本実施形態に係る自動分析装置1で実行される第2通知処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における図14に対応する図である。本実施形態に係る第2通知処理では、反応容器寸法データと測光データD2を取得したり、反応容器寸法データと測光データD2とに基づいて、反応ディスク201の回転速度のばらつきを算出したりする。例えば、この第2通知処理は、所定のタイミングで反応ディスク201が回転を開始する場合に実行される処理である。なお、所定のタイミングとは、自動分析装置1の電源投入時に実行されるスタートアップ動作時や、自動分析装置1を構成する各分析ユニットを予め設定された初期位置に移動させるホーム動作時、電源投入後の初回の測光ユニット214による測定動作時などである。なお、この図20に示す本実施形態に係る第1通知処理において、ステップS11及びステップS13の処理は、上述した第1実施形態の第1通知処理と同様であるので説明を省略する。また、ステップS51からステップS55までの処理は、上述した第1通知処理と同様であるため、説明を省略する。さらにステップS55より後のステップS21及びステップS41からステップS47までの処理は上述した第1実施形態の第1通知処理と同様であるので説明を省略する。そして、このステップS47において、自動分析装置1は、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知することにより、本実施形態に係る第2通知処理を終了する。
【0113】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、自動分析装置1は、光検出器2142により検出される測光データD2と、記憶回路8に記憶された反応容器2011の寸法に関する反応容器寸法データとを取得し、測光データD2と反応容器寸法データとに基づいて回転速度を算出することとした。このため、反応ディスク201の回転駆動状態をモニタリングすることができる。
【0114】
また、本実施形態に係る自動分析装置1は、測光ユニット214の光検出器2142により検出された測光データD2から反応容器2011の通過時間を取得することとした。このため、自動分析装置1は、反応容器寸法データを記憶しておくことにより、ハードウェア構成を追加することなく、反応ディスク201の回転速度を算出することができ、反応ディスク201の回転駆動状態をモニタリングすることができる。
【0115】
また、上述した第1実施形態と同様に、本実施形態に係る自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度に基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定し、反応ディスク201に異常がある場合、反応ディスク201の異常の判定結果と、測定データ情報とを関連付けて、反応ディスク201の異常を通知することとした。このため、測定結果に異常が発生した場合でも、反応ディスク201の異常が原因の場合は、測定結果の異常の要因分析を容易にすることができる。
【0116】
さらに、上述した第1実施形態と同様に、本実施形態に係る自動分析装置1は、反応ディスク201の回転速度のばらつきを算出し、反応ディスク201の回転速度のばらつきの時系列データに基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定し、反応ディスク201に異常がある場合、故障予測情報及び/又はメンテナンス情報を通知することとした。このため、反応ディスク201を駆動するための駆動機構4が故障する前に、故障が予測される部品の交換やメンテナンスを行うことができる。したがって、自動分析装置1の稼働率を向上させることができる。
【0117】
〔変形例2〕
上述した第1実施形態に係る自動分析装置1においては、測光データD2を用いて反応ディスク201の回転速度を算出する場合に、測光データD2に加えて、反応容器寸法データを用いて、反応ディスク201の回転速度を算出することとしたが、自動分析装置1においては、測光データD2を用いて反応ディスク201の回転速度を算出する場合に、測光データD2に加えて、測光データD2の1周期の時間から反応ディスク201の回転速度に換算するテーブルを用いて、反応ディスク201の回転速度を算出するようにしてもよい。以下、この変形例を第2実施形態に適用した場合を変形例2として、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0118】
図22は、本変形例に係る記憶回路8に記憶される第2回転速度算出テーブルの一例を示す図である。図22に示すように、第2回転速度算出テーブルT2には、測光データD2の1周期の時間毎に回転速度が関連付けられている。図22に示す例においては、測光データD2の1周期の時間が30msのとき、回転速度は150mm/sと関連付けられている。なお、図21に示す例において、第2回転速度算出テーブルT2には、3つの測光データD2の1周期の時間のデータと回転速度とが関連付けられているが、第2回転速度算出テーブルT2に登録される1周期の時間と回転速度とのデータ数はこれに限られない。すなわち、第2回転速度算出テーブルT2に登録される1周期の時間のデータ数は任意であり、1つ又は2つの1周期の時間と回転速度とのデータが第2回転速度算出テーブルT2に登録されてもよく、4つ以上の1周期の時間と回転速度とのデータが第2回転速度算出テーブルT2に登録されてもよい。
【0119】
そして、自動分析装置1は、図20の第1通知処理及び図21の第2通知処理におけるステップS51において測光データD2を取得した場合、ステップS53において反応容器寸法データを取得することなく、ステップS55において回転速度を算出する。具体的には、制御回路9における算出機能93は、ステップS55において、ステップS51で取得した測光データD2から測光データD2の1周期毎の時間を求める。そして、算出機能93は、記憶回路8に記憶された第2回転速度算出テーブルを参照して、測光データD2の1周期の時間を反応ディスクの201の回転速度に換算することにより、測光データD2の1周期毎の反応ディスク201の回転速度を算出する。より具体的には、算出機能93は、ステップS51で取得した測光データD2から測光データD2の1周期の時間が30msと求められた場合、図22に示す第2回転速度算出テーブルT2を参照して、測光データD2の1周期の時間における反応ディスク201の回転速度を150mm/sと算出することができる。
【0120】
なお、測光データD2の1周期の時間が、第2回転速度算出テーブルT2にない場合、算出機能93は、ステップS51で取得した測光データD2から求められた測光データD2の1周期の時間と、第2回転速度算出テーブルT2に関連付けられた測光データD2の1周期の時間及び回転速度とに基づいて、測光データD2の1周期の時間における反応ディスク201の回転速度を算出するようにしてもよい。具体的には、算出機能93は、ステップS51で取得した測光データD2から測光データD2の1周期の時間が25msと求められた場合、図22に示す第2回転速度算出テーブルT2を参照して、第2回転速度算出テーブルT2に関連付けられた測光データD2の1周期の時間30ms及び回転速度150mm/sであることに基づいて、反応ディスク201の回転速度180mm/sを算出するようにしてもよい。
【0121】
以上のように、本変形例に係る自動分析装置1によれば、自動分析装置1は、光検出器2142により検出される測光データD2を取得し、測光データD2の1周期の時間を求め、記憶回路8に記憶された第2回転速度算出テーブルを参照することにより、反応ディスク201の回転速度を算出することができるので、反応ディスク201の回転駆動状態をモニタリングすることができる。
【0122】
〔第1及び第2実施形態の変形例〕
なお、上述した第1及び第2実施形態の第1通知処理において、算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、回転速度データを生成することとしたが、回転速度データは生成されなくてもよい。すなわち、上述した第1及び第2実施形態の第1通知処理において、算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、算出された回転速度が管理幅の範囲内にあるか否かを判定することにより、反応ディスク201に異常があるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、上述した第1及び第2実施形態の第1通知処理においてステップS21は省略される。
【0123】
また、上述した第1及び第2実施形態の第2通知処理において、算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、回転速度データを生成することとしたが、回転速度データは生成されなくてもよい。すなわち、上述した第1及び第2実施形態の第2通知処理のステップS41において、算出された反応ディスク201の回転速度に基づいて、回転速度のばらつきを算出するようにしてもよい。この場合、上述した第1及び第2実施形態の第2通知処理においてステップS21は省略される。
【0124】
また、上述した第1及び第2実施形態の第2通知処理において、回転速度のばらつきの時系列データを取得し、取得された回転速度のばらつきの時系列データに基づいて、反応ディスク201に異常があるか否かを判定することとしたが、回転速度のバラツキの時系列データは取得されなくてもよい。すなわち、上述した第1及び第2実施形態の第2通知処理において、回転速度のばらつきを算出し、算出部により算出された回転速度のばらつきに基づいて、回転速度のばらつきが閾値を超えているか否か等を判定することにより、反応ディスク201に異常があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0125】
また、上述した第1及び第2実施形態の第1通知処理及び第2通知処理においては、自動分析装置1は、位置検知データD1と、測光データD2とのいずれか一方を取得して、位置検知データD1と、測光データD2とのいずれか一方に基づいて、反応ディスク201の回転速度を算出することとしたが、位置検知データD1、測光データD2との両方を取得して、位置検知データD1と、測光データD2とのそれぞれに基づいて、回転速度を算出するようにしてもよい。このように、自動分析装置1は、位置検知データD1と、測光データD2とのそれぞれに基づいて、回転速度を算出することにより、位置検知データD1又は測光データD2のいずれかデータが正確に取得できていない場合に、もう一方のデータから回転速度を算出して補完してもよい。また、自動分析装置1は、位置検知データD1及び測光データD2のそれぞれに基づいて回転速度を算出して、位置検知データD1に基づいて算出された回転速度と、測光データD2に基づいて算出された回転速度との平均を算出して、反応ディスク201の回転速度を算出するようにしてもよい。
【0126】
さらに、上述した第1及び第2実施形態に係る自動分析装置1は、生化学検査を実施する自動分析装置への適用について説明したが、これに限られない。すなわち、血液凝固分析検査を実施する自動分析装置にも、第1及び第2実施形態は応用可能である。
【0127】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路8に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路8にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0128】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0129】
1…自動分析装置、2…分析機構、3…解析回路、4…駆動機構、5…入力インターフェース、6…出力インターフェース、7…通信インターフェース、8…記憶回路、9…制御回路、91…制御機能、92…取得機能、93…算出機能、94…生成機能、95…異常判定機能、96…第1通知機能、97…第2通知機能、201…反応ディスク、202…恒温部、203…サンプルディスク、204…第1試薬庫、205…第2試薬庫、206…サンプル分注アーム、207…サンプル分注プローブ、208…第1試薬分注アーム、209…第1試薬分注プローブ、210…第2試薬分注アーム、211…第2試薬分注プローブ、212…第1撹拌ユニット、213…第2撹拌ユニット、214…測光ユニット、215…洗浄ユニット、216…センサ、301…セルホルダ
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