IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-自動分析装置 図1
  • 特開-自動分析装置 図2
  • 特開-自動分析装置 図3
  • 特開-自動分析装置 図4
  • 特開-自動分析装置 図5
  • 特開-自動分析装置 図6
  • 特開-自動分析装置 図7
  • 特開-自動分析装置 図8
  • 特開-自動分析装置 図9
  • 特開-自動分析装置 図10
  • 特開-自動分析装置 図11
  • 特開-自動分析装置 図12
  • 特開-自動分析装置 図13
  • 特開-自動分析装置 図14
  • 特開-自動分析装置 図15
  • 特開-自動分析装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172408
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G01N35/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090112
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚人
(72)【発明者】
【氏名】細岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 玲子
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠暉
(72)【発明者】
【氏名】奥木 健介
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CD04
2G058FB03
2G058FB12
2G058FB14
2G058GA01
2G058GD07
(57)【要約】
【課題】反応容器を適切に洗浄すること。
【解決手段】実施形態に係る自動分析装置は、反応容器情報記憶部と、洗浄部と、洗浄制御部とを備える。反応容器情報記憶部は、試料及び試薬が供給されて試料と試薬との混合液の測定が行われた反応容器に関する反応容器情報を記憶する。洗浄部は、測定が行われた反応容器を洗浄する。洗浄制御部は、反応容器情報記憶部に記憶された反応容器情報に基づいて、測定動作が行われるタイミング以外のタイミングで通常の洗浄動作と異なる洗浄動作を行うように洗浄部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬が供給されて前記試料と前記試薬との混合液の測定が行われた反応容器に関する反応容器情報を記憶する反応容器情報記憶部と、
前記測定が行われた前記反応容器を洗浄する洗浄部と、
前記反応容器情報記憶部に記憶された前記反応容器情報に基づいて、測定動作が行われるタイミング以外のタイミングで通常の洗浄動作と異なる洗浄動作を行うように前記洗浄部を制御する洗浄制御部と、
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記洗浄制御部は、前記測定が行われた前記反応容器のうちの設定された条件に該当する前記反応容器情報が記憶された前記反応容器に対して、前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作を行うように前記洗浄部を制御する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記反応容器情報は、前記反応容器で測定された1つ以上の項目に関する情報、前記反応容器での測定に使用された試薬に関する情報、及び前記反応容器の洗浄に使用された洗剤に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記測定動作が行われるタイミング以外のタイミングは、スタートアップ動作、シャットダウン動作、及びサスペンド動作の少なくとも1つが行われるタイミングである、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作は、前記反応容器情報に基づいて前記反応容器内に1回以上洗剤を注入することを含む、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作は、前記反応容器情報に基づいて前記反応容器内に設定された時間洗剤を保持することを含む、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作は、前記反応容器情報に基づいて前記反応容器内に酸性洗剤、アルカリ性洗剤、試薬、及び防汚剤の少なくとも1つを注入することを含む、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項8】
項目又は試薬毎に前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作の内容を設定する設定部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記設定部は、入力操作及び試薬容器に付された情報の少なくとも一方にしたがって前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作の内容を設定する、請求項8に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作が行われる前記反応容器の前記反応容器情報をユーザに通知する反応容器情報通知部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作が行われる前及び行われた後の少なくとも一方において前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作の内容をユーザに通知する洗浄通知部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作を行うことができないことをユーザに通知する洗浄不可通知部を更に備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項13】
前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作は、前記反応容器を保持する反応ディスクを測定動作時における回転方向と逆方向に回転させることを含む、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項14】
前記洗浄制御部は、前記反応容器に収容された水の吸光度の測定結果に基づいて汚染されていると判断された前記反応容器に対して前記通常の洗浄動作と異なる洗浄動作を行うように、前記洗浄部を制御する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項15】
前記反応容器情報は、前記汚染されていると判断された前記反応容器の情報を含む、請求項14に記載の自動分析装置。
【請求項16】
前記測定動作の進行にしたがって前記反応容器情報記憶部に前記反応容器情報を記録する反応容器情報記録部を更に備える、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動分析装置では、反応容器内に試薬と試料とを分注し、試薬と試料との混合液の反応によって生じる色調及び濁り等の変化を光学的に測定することで、検査項目を分析することが行われていた。そして、測定が終了した反応容器は、洗浄されたうえで次回の測定に用いられていた。
【0003】
検査項目の中には、微量な成分の分析が要求される項目があり、その項目が設定されていると、洗浄された反応容器に付着した僅かな試料による汚染の影響によって分析データが悪化する可能性がある。そこで、従来より、自動分析装置では、分析データの閾値に基づいて反応容器の汚染の有無を判定し、汚染されていると判定された反応容器に対して測定動作期間中に特殊な洗浄動作を実施することが行われていた。
【0004】
しかしながら、従来の自動分析装置では、特殊な洗浄動作といっても他の検査項目に影響しないように制約された洗浄動作を行うことが求められていたため、汚染された反応容器を適切に洗浄することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-170075号公報
【特許文献2】特開2001-289864号公報
【特許文献3】特開2017-20893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、反応容器を適切に洗浄することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る自動分析装置は、反応容器情報記憶部と、洗浄部と、洗浄制御部とを備える。反応容器情報記憶部は、試料及び試薬が供給されて試料と試薬との混合液の測定が行われた反応容器に関する反応容器情報を記憶する。洗浄部は、測定が行われた反応容器を洗浄する。洗浄制御部は、反応容器情報記憶部に記憶された反応容器情報に基づいて、測定動作が行われるタイミング以外のタイミングで通常の洗浄動作と異なる洗浄動作を行うように洗浄部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図。
図2図2は、第1の実施形態に係る自動分析装置において、図1に示される分析機構の構成を示す図。
図3図3は、第1の実施形態に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
図4図4は、第1の実施形態に係る自動分析装置の動作例において反応容器情報の一例を示す図。
図5図5は、第1の実施形態に係る自動分析装置の動作例において特殊洗浄動作の内容の一例を示す図。
図6図6は、第1の実施形態の変形例に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
図7図7は、第1の実施形態の変形例に係る自動分析装置の動作例において、反応容器情報の一例を示す図。
図8図8は、第2の実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図。
図9図9は、第2の実施形態に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
図10図10は、第3の実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図。
図11図11は、第3の実施形態に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
図12図12は、第3の実施形態の変形例に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
図13図13は、第4の実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図。
図14図14は、第4の実施形態に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
図15図15は、第5の実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図。
図16図16は、第5の実施形態に係る自動分析装置の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2と、解析回路3と、駆動機構4と、入力インタフェース5と、出力インタフェース6と、通信インタフェース7と、記憶回路8と、制御回路9とを備える。記憶回路8は、反応容器情報記憶部の一例である。
【0011】
自動分析装置1は、例えば、ラテックス凝集法を用いて試料等の濃度を測定する装置である。試薬に添加する不溶性の担体としては、各種の担体粒子が利用可能である。担体粒子としては、例えば、ラテックス粒子、ポリスチレン、ポリスチレンラテックス、シリカ粒子等を用いることができる。
【0012】
分析機構2は、標準試料(すなわち、キャリブレータ)及び被検試料等の試料に、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬を添加することで、試料と試薬との混合液(すなわち、反応液)を得る。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度又は散乱光量で表される標準データ及び被検データを生成する。標準データは、含まれる検出対象の濃度が既知の標準試料についての吸光度又は散乱光量の測定データを表す。また、被検データは、被検試料についての吸光度又は散乱光量の測定データを表す。
【0013】
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析し、検量データ、及び分析データ等を生成するプロセッサである。検量データは、例えば、標準データと、標準試料について予め設定された標準検量線との関係を示す。標準検量線は、例えば、標準試料を使って試薬メーカーが算出した測定精度の高い検量線である。また、分析データは、被検データを検量データに基づいて分析することで得られる、例えば、濃度値、及び酵素の活性値として表されるデータである。
【0014】
解析回路3は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行し、この動作プログラムに対応する機能を実現することで、検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、吸光度又は散乱光量が既知で濃度が0の標準試料と、吸光度又は散乱光量が既知で、濃度がそれぞれ既知である複数の標準試料とについて得られた標準データ、これらの標準試料について予め設定された標準検量線、及び予め設定された測光タイミング等に基づき、検量データを算出する。また、解析回路3は、被検データ、この被検データに対応する検査項目の検量データ、及び予め設定された測光タイミング等に基づき、分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ、及び分析データ等を制御回路9へ出力する。
【0015】
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
【0016】
入力インタフェース5は、例えば、ユーザすなわち操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、制御回路9に接続され、ユーザから入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
【0017】
出力インタフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インタフェース6は、例えば、表示回路、及び印刷回路等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。
【0018】
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
【0019】
記憶回路8は、種々の情報を記憶する非一過性の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、光ディスク、SSD(Solid State Drive)、及び集積回路記憶装置等である。記憶回路8は、例えば、自動分析装置1を制御する制御プログラムと、この制御プログラムの実行に用いられる各種のデータとを記憶する。記憶回路8は、HDD及びSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体、或いはRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0020】
より具体的には、記憶回路8は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路9で実行される動作プログラムを記憶している。記憶回路8は、分析機構2内に保持されている試薬に関する検量線情報を記憶する。検量線情報には、試薬について予め設定された標準検量線に関するデータが、検査項目毎に含まれている。検量線情報は、通信インタフェース7を介し、例えば、試薬のロット単位で、試薬メーカーから提供される。なお、検量線情報は、例えば、試薬と共に試薬メーカーから提供され、入力インタフェース5からユーザにより入力されても構わない。
【0021】
また、記憶回路8は、試料及び試薬が供給されて試料と試薬との混合液の測定が行われた反応容器2011(すなわち、反応管)に関する情報である反応容器情報を記憶する。
【0022】
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えても構わない。
【0023】
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、恒温部202、サンプルディスク203、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205を備える。
【0024】
反応ディスク201は、反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、反応ディスク201は、複数の反応容器2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。
【0025】
例えば、反応容器2011は、1サイクルタイム毎に図2の矢印R1方向へ回転移動して、移動前とは異なる停止位置で停止する。例えば、反応容器2011は、反応ディスク201の回転駆動により、1サイクルタイム毎にR1方向へ回転移動して、移動前の位置からR1方向に90°の角度に位置する反応容器2011に対して、R1方向と反対のR2方向において隣接する反応容器2011の位置で停止する。そして、反応容器2011は、1サイクルタイムよりも長い時間である1ラウンドタイム毎に同じ停止位置で停止する。
【0026】
反応容器2011の停止位置の中には、混合液の測定終了毎に、後述する洗浄ユニット215により1回の通常洗浄が行われる反応容器2011が停止する洗浄位置がある。また、洗浄位置の他にも、反応容器2011の停止位置の中には、後述するサンプル吐出位置、第1試薬吐出位置、第2試薬吐出位置、第1攪拌位置、及び第2攪拌位置がある。
【0027】
反応容器2011は、例えば、ガラスにより形成されている。反応容器2011は、四角柱状を有し、上部に開口部を有している。四角柱を形成する第1乃至第4側壁のうち、第1側壁の外面からは、測光ユニット214に設けられる光源から照射される光が入射される。第1乃至第4側壁のうち、第1側壁と対向する第2側壁の外面からは、第1側壁の外面から入射された光が出射される。
【0028】
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留する。恒温部202は、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される混合液を昇温する。
【0029】
サンプルディスク203は、試料を収容する試料容器を複数保持する。サンプルディスク203は、駆動機構4により1サイクルタイム毎に回動及び停止される。
【0030】
第1試薬庫204は、標準試料、及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器2042を複数保冷する。第1試薬は、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等を含む緩衝液である。試薬容器2042には、試薬ラベルが貼付されている。試薬ラベルには、試薬情報を表す光学式マークが印刷されている。光学式マークには、例えば、1次元画素コード、及び2次元画素コード等、任意の画素コードが用いられる。試薬情報は、試薬容器2042に収容される試薬に関する情報であり、例えば、試薬名、試薬メーカコード、試薬項目コード、ボトル種類、ボトルサイズ、容量、製造ロット番号、及び有効期間等を含む。
【0031】
また、第1試薬庫204は、標準試料を収容する標準試料容器を複数保冷する。標準試料容器には、濃度が異なる同一の成分の標準試料が収容されていても構わない。なお、標準試料容器は、サンプルディスク203に保持されていても構わない。
【0032】
第1試薬庫204内には、試薬ラック2041が回転自在に設けられている。試薬ラック2041は、複数の試薬容器2042、及び複数の標準試料容器を円環状に配列して保持する。試薬ラック2041は、駆動機構4により1サイクルタイム毎に回動及び停止される。また、第1試薬庫204内には、試薬容器2042に貼付されている試薬ラベルから試薬情報を読み取るリーダ(図示せず)が設けられている。読み取られた試薬情報は、記憶回路8で記憶される。
【0033】
第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。第1試薬吸引位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬ラック2041に円環状に配列される試薬容器2042及び標準試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
【0034】
第2試薬庫205は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器2052を複数保冷する。第2試薬は、例えば、試料に含まれる所定の抗原又は抗体と、特異的抗原抗体反応により結合又は乖離する抗原又は抗体が固定化された不溶性担体、例えば、担体粒子とを含む溶液である。特異的反応により結合又は乖離するものとして酵素、基質、アプタマー、受容体であっても良い。第2試薬庫205内には、試薬ラック2051が回転自在に設けられている。
【0035】
試薬ラック2051は、複数の試薬容器2052を円環状に配列して保持する。なお、第2試薬庫205において、標準試料を収容する標準試料容器が保冷されていても構わない。試薬ラック2051は、駆動機構4により1サイクルタイム毎に回動及び停止される。また、第2試薬庫205内には、試薬容器2052に貼付されている試薬ラベルから試薬情報を読み取るリーダ(図示せず)が設けられている。読み取られた試薬情報は、記憶回路8で記憶される。
【0036】
第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、試薬ラック2051に円環状に配列される試薬容器2052の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
【0037】
なお、試薬としては、以上に例示されたものよりも高感度な試薬を用いることもできる。
【0038】
また、図2に示される分析機構2は、サンプル分注アーム206、サンプル分注プローブ207、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、第1攪拌ユニット212、第2攪拌ユニット213、測光ユニット214、及び洗浄ユニット215を備える。洗浄ユニット215は、洗浄部の一例である。
【0039】
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とサンプルディスク203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207を保持する。
【0040】
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプルディスク203で保持される試料容器の開口部が位置するようになっている。また、サンプル分注プローブ207の回動軌道上には、サンプル分注プローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ吐出するためのサンプル吐出位置が設けられている。サンプル吐出位置は、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0041】
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、サンプルディスク203で保持される試料容器の開口部の直上、又は、サンプル吐出位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ207は、サンプル分注プローブ207に接続された分注ポンプの動作にしたがって試料の分注を行う。すなわち、サンプル分注プローブ207は、制御回路9による分注ポンプの制御に従った分注ポンプの吸引動作によって、直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9による分注ポンプの制御に従った分注ポンプの吐出動作によって、吸引された試料をサンプル吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
【0042】
第1試薬分注アーム208は、第1試薬庫204の外周近傍に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持する。
【0043】
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置が設けられている。また、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ209が吸引した第1試薬、又は標準試料を反応容器2011へ吐出するための第1試薬吐出位置が設定されている。第1試薬吐出位置は、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0044】
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、又は第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注プローブ209に接続された第1試薬ポンプの動作にしたがって第1試薬又は標準試料の分注を行う。すなわち、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9による第1試薬ポンプの制御に従った第1試薬ポンプの吸引動作によって、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器2042から第1試薬又は標準試料を吸引する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9による第1試薬ポンプの制御に従った第1試薬ポンプの吐出動作によって、吸引された第1試薬又は標準試料を第1試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
【0045】
第2試薬分注アーム210は、第1試薬庫204の外周近傍に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持する。
【0046】
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置が設けられている。また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した第2試薬を反応容器2011へ吐出するための第2試薬吐出位置が設定されている。第2試薬吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0047】
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、又は第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注プローブ211に接続された第2試薬ポンプの動作にしたがって第2試薬の分注を行う。すなわち、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9による第2試薬ポンプの制御に従った第2試薬ポンプの吸引動作によって、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器2052から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9による第2試薬ポンプの制御に従った第2試薬ポンプの吐出動作によって、吸引された第2試薬を第2試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
【0048】
第1攪拌ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第1攪拌ユニット212は、第1攪拌アーム2121、及び第1攪拌アーム2121の先端に設けられる第1攪拌子を有する。第1攪拌ユニット212は、第1攪拌子により、反応ディスク201上の第1攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている標準試料と第1試薬とを攪拌する。また、第1攪拌ユニット212は、第1攪拌子により、反応ディスク201上の第1攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている試料と第1試薬とを攪拌する。
【0049】
第2攪拌ユニット213は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第2攪拌ユニット213は、第2攪拌アーム2131、及び第2攪拌アーム2131の先端に設けられる第2攪拌子を有する。第2攪拌ユニット213は、第2攪拌子により、反応ディスク201上の第2攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている標準試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。また、第2攪拌ユニット213は、第2攪拌子により、第2攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
【0050】
測光ユニット214は、反応容器2011内に吐出された試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を測光位置において光学的に測定する。測光ユニット214は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット214は、制御回路9の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット214は、反応容器2011から出射された光を、光検出器により検出する。
【0051】
具体的には、例えば、光検出器は、光源から反応容器2011に照射される光の光軸上に配置されている。光検出器は、反応容器2011内の標準試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を透過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度により表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応容器2011内の被検試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を透過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度により表される被検データを生成する。測光ユニット214は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
【0052】
洗浄ユニット215は、洗浄位置に位置する測定が行われた反応容器2011を洗浄する。より具体的には、洗浄ユニット215は、測光ユニット214で混合液の測定が終了した反応容器2011の内部を洗浄する。図2に示される例において、洗浄ユニット215は、複数のノズル2151を有する。複数のノズル2151には、例えば、廃液ノズルと、洗浄ノズルと、乾燥ノズルとが含まれる。廃液ノズルは、廃液ノズルに接続された廃液ポンプの動作にしたがって廃液を吸引する。すなわち、廃液ノズルは、制御回路9による廃液ポンプの制御に従った廃液ポンプの吸引動作によって、第1の洗浄位置で停止した反応容器2011内の混合液を廃液として吸引する。洗浄ノズルは、洗浄ノズルに接続された洗浄ポンプの動作にしたがって、廃液ポンプにより混合液が吸引された反応容器2011を洗浄する。すなわち、洗浄ノズルは、制御回路9による洗浄ポンプの制御に従った洗浄ポンプの吐出動作によって、第1の洗浄位置に停止した後に第2の洗浄位置に停止した反応容器2011内への洗浄液の吐出を行う。また、洗浄ノズルは、制御回路9による洗浄ポンプの制御に従った洗浄ポンプの吸引動作によって、吐出された洗浄液を反応容器2011から吸引する。洗浄液は、例えば、アルカリ性洗浄液、酸性洗浄液、試薬及び洗浄水のいずれかである。第2の洗浄位置及び洗浄ノズルは、洗浄液の種類毎に個別に設けられていてもよい。乾燥ノズルは、乾燥ノズルに接続された乾燥ポンプの動作にしたがって、洗浄された反応容器2011を乾燥する。すなわち、乾燥ノズルは、制御回路9による乾燥ポンプの制御に従った乾燥ポンプの吐出動作によって、第2の洗浄位置に停止した後に第3の洗浄位置に停止した反応容器2011内への乾燥空気の吐出を行う。洗浄ユニット215の具体的な態様は以上の態様に限定されない。例えば、ノズル2151には、ポンプの動作にしたがって反応容器2011に防汚液(すなわち、防汚剤)を吐出及び吸引するノズルが含まれていていてもよい。また、洗浄ユニット215は、洗浄された反応容器2011内の水分を吸水部材によって吸水して乾燥してもよい。
【0053】
制御回路9は、入力インタフェース5から入力される入力操作の電気信号に応じて、自動分析装置1全体の動作を制御する回路である。例えば、制御回路9は、システム制御機能91と、校正制御機能92と、測定制御機能93と、洗浄制御機能94と、反応容器情報記録機能95とを有する。洗浄制御機能94は、洗浄制御部の一例である。反応容器情報記録機能95は、反応容器情報記録部の一例である。
【0054】
ここで、例えば、図1に示す制御回路9の構成要素であるシステム制御機能91、校正制御機能92、測定制御機能93、洗浄制御機能94、及び反応容器情報記録機能95が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路8に記録されている。制御回路9は、例えば、プロセッサである。制御回路9を構成するプロセッサは、記憶回路8から各プログラムを読み出し、実行することで読み出した各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の制御回路9は、図1の制御回路9内に示された各機能を有することとなる。
【0055】
なお、図1においては、システム制御機能91、校正制御機能92、測定制御機能93、洗浄制御機能94、及び反応容器情報記録機能95の各処理機能が単一の制御回路9によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、制御回路9は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、制御回路9が有する各処理機能は、単一又は複数の制御回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0056】
システム制御機能91は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
【0057】
校正制御機能92は、標準データを生成するように、分析機構2、及び駆動機構4を制御する機能である。具体的には、制御回路9は、所定のタイミングで校正制御機能92を実行する。所定のタイミングとは、例えば、初期設定時、装置起動時、メンテナンス時、及びユーザから校正動作開始の指示が入力された際等である。
【0058】
校正制御機能92を実行すると制御回路9は、分析機構2、及び駆動機構4を制御する。分析機構2、及び駆動機構4が制御されることで、分析機構2では、標準データが生成される。具体的には、例えば、駆動機構4により駆動されることで、分析機構2の第1試薬分注プローブ209は、標準試料を第1試薬庫204から吸引し、吸引した標準試料を反応容器2011へ吐出する。第1試薬分注プローブ209は、第1試薬を第1試薬庫204から吸引し、吸引した第1試薬を、標準試料が吐出された反応容器2011へ吐出する。第1攪拌ユニット212は、標準試料に第1試薬が添加された溶液を撹拌する。
【0059】
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬を第2試薬庫205から吸引し、吸引した第2試薬を、標準試料と第1試薬とが混合された混合液へ吐出する。第2攪拌ユニット213は、混合液に第2試薬が添加された溶液を撹拌する。測光ユニット214は、標準試料、第1試薬、及び第2試薬が撹拌されてなる混合液を光学的に測定することで、標準データを生成する。測光ユニット214は、生成した標準データを解析回路3へ出力する。測光ユニット214は、予め設定された周期で予め設定された回数、混合液の測定を繰り返し、生成した標準データを解析回路3へ出力する。分析機構2は、予め設定した複数の濃度の標準試料について上記動作を繰り返し、生成した標準データを解析回路3へ出力する。
【0060】
測定制御機能93は、被検データを生成するように、分析機構2、及び駆動機構4を制御する機能である。具体的には、制御回路9は、所定の指示に応じて測定制御機能93を実行する。所定の指示とは、例えば、ユーザから入力される測定動作開始の指示、及び予め設定した時刻に到達したことを表す指示等である。
【0061】
測定制御機能93を実行すると制御回路9は、分析機構2、及び駆動機構4を制御する。分析機構2、及び駆動機構4が制御されることで、分析機構2では、被検データが生成される。具体的には、駆動機構4により駆動されることで、分析機構2のサンプル分注プローブ207は、被検試料をサンプルディスク203から吸引し、吸引した被検試料を反応容器2011へ吐出する。第1試薬分注プローブ209は、第1試薬を第1試薬庫204から吸引し、吸引した第1試薬を、被検試料が吐出された反応容器2011へ吐出する。第1攪拌ユニット212は、被検試料に第1試薬が添加された溶液を撹拌する。
【0062】
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬を第2試薬庫205から吸引し、吸引した第2試薬を、被検試料と第1試薬とが混合された混合液へ吐出する。第2攪拌ユニット213は、混合液に第2試薬が添加された溶液を撹拌する。測光ユニット214は、被検試料、第1試薬、及び第2試薬が撹拌されてなる混合液を光学的に測定することで、被検データを生成する。測光ユニット214は、生成した被検データを解析回路3へ出力する。測光ユニット214は、予め設定された周期で予め設定された回数、混合液の測定を繰り返し、生成した被検データを解析回路3へ出力する。
【0063】
洗浄制御機能94は、記憶回路8に記憶された反応容器情報に基づいて、測定動作が行われるタイミング以外のタイミングで通常の洗浄動作と異なる洗浄動作(以下、特殊洗浄動作と呼ぶ)を行うように洗浄ユニット215を制御する。
【0064】
洗浄制御機能94は、測定が行われた反応容器2011のうちの予め設定された条件に該当する反応容器情報が記憶された反応容器2011に対して、特殊洗浄動作を行うように洗浄ユニット215を制御する。
【0065】
反応容器情報は、例えば、反応容器2011で測定された1つ以上の項目に関する情報、反応容器2011での測定に使用された試薬に関する情報、及び反応容器2011の洗浄に使用された洗浄液(すなわち、洗剤)に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0066】
測定動作が行われるタイミング以外のタイミングすなわち、特殊洗浄動作が行われるタイミングは、例えば、自動分析装置1を始動させるスタートアップ動作、自動分析装置1を停止させるシャットダウン動作、及び自動分析装置1の測定動作を一時的に停止させるサスペンド動作の少なくとも1つが行われるタイミングである。
【0067】
特殊洗浄動作は、例えば、反応容器情報に基づいて反応容器2011内に1回以上洗浄液を注入することを含む。
【0068】
また、特殊洗浄動作は、反応容器情報に基づいて反応容器2011内に予め設定された時間洗浄液を保持することを含んでもよい。
【0069】
また、特殊洗浄動作は、反応容器情報に基づいて反応容器2011内に酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液、試薬、及び防汚液(すなわち防汚剤)の少なくとも1つを注入することを含んでもよい。
【0070】
また、特殊洗浄動作は、反応容器2011を保持する反応ディスク201を測定動作時における回転方向(図2のR1方向)と逆方向(図2のR2方向)に回転させることを含んでもよい。
【0071】
反応容器情報記録機能95は、測定制御機能93による制御の下での測定動作の進行にしたがって反応容器情報を生成し、生成された反応容器情報を記憶回路8に記録する。
【0072】
図1に示される解析回路3は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、解析回路3は、動作プログラムを実行することで、検量データ生成機能31、及び分析データ生成機能32を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって検量データ生成機能31、及び分析データ生成機能32が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて解析回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することにより検量データ生成機能31、及び分析データ生成機能32を実現しても構わない。
【0073】
検量データ生成機能31は、分析機構2で生成された標準データに基づいて検量データを生成する機能である。具体的には、解析回路3は、分析機構2で生成された標準データを受信すると、検量データ生成機能31を実行する。検量データ生成機能31を実行すると解析回路3は、所定の検査項目の試薬について予め設定された標準検量線に関するデータ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、標準データ、標準検量線、及び測光タイミング線に基づき、検量データを生成する。解析回路3は、生成した検量データを記憶回路8に記憶させる。
【0074】
分析データ生成機能32は、分析機構2で生成された被検データを解析することで分析データを生成する機能である。具体的には、解析回路3は、分析機構2で生成された被検データを受信すると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32を実行すると解析回路3は、所定の検査項目について記憶されている検量データ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、被検データ、測光タイミング線、及び検量データに基づき、分析データを生成する。
【0075】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る自動分析装置1の動作例について説明する。図3は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。図4は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の動作例において反応容器情報の一例を示す図である。図5は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の動作例において特殊洗浄動作の内容の一例を示す図である。なお、図3のフローチャートは、必要に応じて繰り返される(他のフローチャートにおいても同様)。
【0076】
先ず、図3に示すように、測定制御機能93は、入力インタフェース5を介してユーザから入力される測定動作開始の指示に応じて、分析機構2及び駆動機構4を制御することで測定動作を開始する(ステップS1)。例えば、測定動作において、測定制御機能93は、駆動機構4にサンプル分注プローブ207を駆動させて、サンプル分注プローブ207に、サンプルディスク203からの被検試料の吸引と、吸引された被検試料の反応容器2011への吐出とを行わせる。また、測定制御機能93は、駆動機構4に第1試薬分注プローブ209を駆動させて、第1試薬分注プローブ209に、第1試薬庫204からの第1試薬の吸引と、被検試料が吐出された反応容器2011への吸引された第1試薬の吐出とを行わせる。また、測定制御機能93は、駆動機構4に第1攪拌ユニット212を駆動させて、第1攪拌ユニット212に、被検試料と第1試薬との混合液を撹拌させる。また、測定制御機能93は、駆動機構4に第2試薬分注プローブ211を駆動させて、第2試薬分注プローブ211に、第2試薬庫205からの第2試薬の吸引と、被検試料と第1試薬との混合液への吸引された第2試薬の吐出とを行わせる。また、測定制御機能93は、駆動機構4に第2攪拌ユニット213を駆動させて、第2攪拌ユニット213に、被検試料と第1試薬と第2試薬との混合液を撹拌させる。また、測定制御機能93は、測光ユニット214を制御して、測光ユニット214に、撹拌された被検試料と第1試薬と第2試薬との混合液を光学的に測定させることで被検データを生成させる。また、測定制御機能93は、測光ユニット214を制御して、測光ユニット214に、生成した被検データを解析回路3へ出力させる。測定制御機能93は、測光ユニット214に、予め設定された周期で予め設定された回数、混合液の測定を繰り返させ、生成された被検データを解析回路3へ出力させる。また、測定動作において、洗浄制御機能94は、測光ユニット214による測定が行われた後に洗浄位置で停止した反応容器2011に対して、洗浄ユニット215に通常洗浄動作を行わせる。
【0077】
測定動作が開始された後、反応容器情報記録機能95は、測定動作の進行にしたがって反応容器情報を生成し、生成された反応容器情報を記憶回路8に記録する(ステップS2)。図4に示される例において、反応容器情報は、反応容器2011(反応容器-1、反応容器-2、反応容器-3)で測定された項目(項目-1、項目-2、項目-3)に関する情報(A、B、C、・・・)を含む。反応容器2011で測定された項目に関する情報は、例えば、当該項目の名称、種類、識別番号等であってもよい。また、図4に示される例において、反応容器情報は、反応容器2011での測定に使用された試薬(試薬1-1、試薬1-2、試薬1-3、試薬2-1、試薬2-2、試薬2-3)に関する情報(A1、B1、C1、・・・)を含む。反応容器2011での測定に使用された試薬に関する情報は、当該試薬の名称、種類、識別番号等であってもよい。また、図4に示される例において、反応容器情報は、反応容器2011内の混合液量を含む。
【0078】
反応容器情報が記録された後、図3に示すように、洗浄制御機能94は、サスペンド動作、スタートアップ動作又はシャットダウン動作が行われているか否かを判定する(ステップS3)。
【0079】
サスペンド動作、スタートアップ動作又はシャットダウン動作が行われている場合(ステップS3:Yes)、洗浄制御機能94は、記憶回路8に記憶された反応容器情報に基づいて、汚染された反応容器2011が有るか否かを判定する(ステップS4)。一方、サスペンド動作、スタートアップ動作、又はシャットダウン動作が行われていない場合(ステップS3:No)、測定制御機能93は、測定動作を継続させる(ステップS6)。
【0080】
汚染された反応容器2011の有無の判定(ステップS4)は、例えば、反応容器情報が、予め記憶回路8に記憶された汚染要因に該当するか否かに基づいて行われる。例えば、図5に示すように、汚染要因は、項目又は複数の項目の組み合わせである。図4及び図5に示される例において、反応容器-1は、項目(項目-1)として汚染要因に示される「A」を含んでいるので、汚染された反応容器2011に該当する。また、反応容器-2は、項目(項目-1、項目-2)として汚染要因に示される「D」と「E」との組み合わせを含んでいるので、汚染された反応容器2011に該当する。一方、反応容器-3は、対応する項目が汚染要因に示されていないため、汚染された反応容器2011に該当しない。
【0081】
図3に示すように、汚染された反応容器2011が有る場合(ステップS4:Yes)、洗浄制御機能94は、汚染された反応容器2011に対して、洗浄ユニット215を介して特殊洗浄動作を実施する(ステップS5)。特殊洗浄動作は、例えば、予め記憶回路8に記憶された特殊洗浄動作の内容にしたがって実施される。図5に示される例において、洗浄制御機能94は、反応容器情報として汚染要因「A」を含む反応容器-1に対して、特殊洗浄動作として、200mlのアルカリ性洗浄液を用いた当該洗浄液の満たし時間(すなわち、保持時間)が5分の、2回の洗浄動作を実施する。また、洗浄制御機能94は、反応容器情報として汚染要因「D」と「E」との組み合わせを含む反応容器-2に対して、特殊洗浄動作として、150mlの酸性洗浄液を用いた当該洗浄液の満たし時間が1分の1回の洗浄動作を実施する。
【0082】
なお、反応容器2011が複数の汚染要因に該当する場合は、複数の汚染要因のそれぞれに対応する特殊洗浄動作の内容の中から、洗浄効果が高い内容(洗浄液、回数、洗浄液量、満たし時間)の組み合わせを実施してもよい。例えば、図5に示される例において、反応容器2011が汚染要因「D1」と、「D2」及び「F2」の組み合わせとを含む場合、特殊洗浄動作として、200mlの酸性洗浄液を用いた当該洗浄液の満たし時間が3分の3回の洗浄動作を実施してもよい。
【0083】
一方、図3に示すように、汚染された反応容器2011が無い場合(ステップS4:No)、洗浄制御機能94は、測定動作が行われるタイミングで通常洗浄動作を実施する(ステップS7)。
【0084】
以上説明したように、第1の実施形態では、洗浄制御機能94が、記憶回路8に記憶された反応容器情報に基づいて、測定動作が行われるタイミング以外のタイミングで特殊洗浄動作(すなわち、通常の洗浄動作と異なる洗浄動作)を行うように洗浄ユニット215を制御する。
【0085】
これにより、測定動作によって特殊洗浄動作が時間的な制約を受けないようにすることができるため、反応容器2011を適切に洗浄することができる。また、特殊洗浄動作が測定動作に影響しないため、スループットの低下を抑制することが可能となる。
【0086】
また、第1の実施形態では、洗浄制御機能94が、測定が行われた反応容器2011のうちの予め設定された条件に該当する反応容器情報が記憶された反応容器2011に対して、特殊洗浄動作を行うように洗浄ユニット215を制御する。
【0087】
これにより、予め設定された条件に該当する反応容器情報に基づいて簡便かつ適切に特殊洗浄動作を行うことができる。
【0088】
また、第1の実施形態では、反応容器情報は、反応容器2011で測定された1つ以上の項目に関する情報、反応容器2011での測定に使用された試薬に関する情報、及び反応容器2011の洗浄に使用された洗浄液に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0089】
これにより、様々な反応容器情報の態様に応じた適切な特殊洗浄動作を行うことができるので、より適切に反応容器2011を洗浄することができる。
【0090】
また、第1の実施形態では、測定動作が行われるタイミング以外のタイミングは、スタートアップ動作、シャットダウン動作、及びサスペンド動作の少なくとも1つが行われるタイミングである。
【0091】
これにより、特殊洗浄動作のタイミングとして測定動作に影響されない好適なタイミングを採用することができるので、より適切に反応容器2011を洗浄することができる。
【0092】
また、第1の実施形態では、特殊洗浄動作は、反応容器情報に基づいて反応容器2011内に1回以上洗剤を注入することを含むことができる。また、特殊洗浄動作は、反応容器情報に基づいて反応容器2011内に予め決められた時間洗浄液を保持することを含むことができる。また、特殊洗浄動作は、反応容器情報に基づいて反応容器2011内に酸性洗浄液、アルカリ性洗浄液、試薬、及び防汚剤の少なくとも1つを注入することを含むことができる。
【0093】
これにより、反応容器情報に応じた様々な態様の特殊洗浄動作を行うことができるので、より適切に反応容器2011を洗浄することができる。
【0094】
また、第1の実施形態では、特殊洗浄動作は、反応ディスク201を測定動作時における回転方向R1と逆方向R2に回転させることを含むことができる。測定動作のタイミングで実施される通常洗浄動作では、反応ディスク201はR1方向のみに回転する。このため、例えば、洗浄ユニット215によって反応容器2011から混合液を吸引してから反応容器2011を洗浄するまでに、反応ディスク201をR1方向に360°近く回転させなければならない場合がある。これに対して、特殊洗浄動作において反応ディスク201をR2方向に回転させることで、例えば、混合液の吸引から反応容器2011の洗浄までの移行に要する時間を短縮することができる。したがって、特殊洗浄動作を短時間で効率的に行うことができる。
【0095】
(第1の実施形態の変形例)
次に、水の吸光度の測定結果に基づいて汚染されていると判断された反応容器2011に対して特殊洗浄動作を実施する第1の実施形態の変形例について、上述した自動分析装置1との差異を中心に説明する。図6は、第1の実施形態の変形例に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。図7は、第1の実施形態の変形例に係る自動分析装置1の動作例において、反応容器情報の一例を示す図である。
【0096】
本変形例において、洗浄制御機能94は、反応容器2011に収容された水の吸光度の測定結果に基づいて汚染されていると判断された反応容器2011に対して特殊洗浄動作を行うように洗浄ユニット215を制御する。また、第1の変形例において、反応容器情報は、水の吸光度の測定結果に基づいて汚染されていると判断された反応容器の情報を含む。
【0097】
図6に示すように、本変形例において、先ず、洗浄制御機能94は、測光ユニット214に、反応容器2011に収容された水の吸光度を測定させ、測定結果に基づいて、汚染された反応容器2011を検出する(ステップS101)。例えば、洗浄制御機能94は、水の吸光度が閾値以上である反応容器2011を、汚染された反応容器2011として検出する。
【0098】
水の吸光度の測定結果に基づいて汚染された反応容器2011が検出された後、反応容器情報記録機能95は、検出された反応容器2011の反応容器情報を生成し、生成された反応容器情報を記憶回路8に記録する(ステップS102)。図7に示すように、反応容器情報は、例えば、反応容器2011の識別情報(反応容器-1、反応容器-2)と、特殊洗浄動作の内容(洗浄液、回数、洗浄液量、満たし時間)とが対応付けられた情報である。特殊洗浄動作の内容は、例えば、検出された反応容器2011について過去に記録された反応容器情報(すなわち、反応容器2011の使用履歴)に基づいて決定されてもよい。
【0099】
図6に示すように、ステップS101において検出された反応容器2011は、ステップS4における汚染された反応容器2011に該当し、特殊洗浄動作が実施される(ステップS5)。
【0100】
水の吸光度が高い反応容器2011は、汚染されている可能性が高く、特殊洗浄の優先度が高いといえる。本変形例によれば、水の吸光度の測定結果に基づいて汚染されていると判断された反応容器2011に対して特殊洗浄動作を実施することで、優先度が高い反応容器2011を適切に特殊洗浄することができる。
【0101】
(第2の実施形態)
次に、特殊洗浄動作の内容を設定する第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図8は、第2の実施形態に係る自動分析装置1の構成の一例を示すブロック図である。図9は、第2の実施形態に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0102】
図8に示すように、第2の実施形態に係る自動分析装置1の制御回路9は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、設定機能96を有する。設定機能96は、設定部の一例である。設定機能96は、項目又は試薬毎に特殊洗浄動作の内容を記憶回路8に設定(すなわち、記録)する。設定機能96は、例えば、入力インタフェース5を用いたユーザの入力操作にしたがって特殊洗浄動作の内容を設定する。設定機能96は、試薬容器2042,2052に貼付された試薬ラベルに付された試薬情報にしたがって、特殊洗浄動作の内容を自動的に設定してもよい。この場合、試薬情報には、例えば、当該試薬と他の特定の試薬とが使用された反応容器2011には、或る内容の特殊洗浄動作を行う等の、試薬と汚染要因と特殊洗浄動作の内容とを対応付ける情報が含まれていてもよい。
【0103】
図9に示すように、第2の実施形態において、先ず、設定機能96は、項目又は試薬毎に特殊洗浄動作の内容を記憶回路8に設定する(ステップS201)。特殊洗浄動作の内容は、例えば、図5に示すように、項目又は試薬を含む汚染要因と対応付けられた内容であってもよい。図9に示すように、洗浄制御機能94は、ステップS201において設定された特殊洗浄動作の内容にしたがって特殊洗浄動作を実施する(ステップS5)。
【0104】
第2の実施形態によれば、設定機能96が、項目又は試薬毎に特殊洗浄動作の内容を設定する。
【0105】
これにより、特殊洗浄動作の自由度を向上させることができるので、より適切に反応容器2011を洗浄することができる。
【0106】
また、第2の実施形態によれば、設定機能96が、入力操作及び試薬容器2042,2052に付された情報の少なくとも一方にしたがって特殊洗浄動作の内容を設定する。
【0107】
これにより、ユーザの希望又は試薬容器2042,2052に適した特殊洗浄動作を実施することができる。
【0108】
(第3の実施形態)
次に、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報をユーザに通知する第3の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図10は、第3の実施形態に係る自動分析装置1の構成の一例を示すブロック図である。図11は、第3の実施形態に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0109】
図10に示すように、第3の実施形態に係る自動分析装置1の制御回路9は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、反応容器情報通知機能97を有する。反応容器情報通知機能97は、反応容器情報通知部の一例である。反応容器情報通知機能97は、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報をユーザに通知する。例えば、反応容器情報通知機能97は、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報を表示することで、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報をユーザに通知する。反応容器情報通知機能97は、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報を音声出力することで、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報をユーザに通知してもよい。
【0110】
図11に示すように、第3の実施形態において、反応容器情報通知機能97は、ステップS4において汚染された反応容器2011が有ると判定された場合(ステップS4:Yes)、汚染された反応容器2011(すなわち、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011)の反応容器情報をユーザに通知する(ステップS301)。汚染された反応容器2011の反応容器情報がユーザに通知された後に、汚染された反応容器2011に対する特殊洗浄動作が実施される(ステップS5)。
【0111】
第3の実施形態によれば、反応容器情報通知機能97が、特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報をユーザに通知する。
【0112】
これにより、ユーザが特殊洗浄動作が行われる反応容器2011を事前に把握することができるため、利便性を向上させることができる。
【0113】
(第3の実施形態の変形例)
次に、通知された反応容器情報に対応する反応容器2011の特殊洗浄動作がユーザにより選択された場合に特殊洗浄動作を実施する第3の実施形態の変形例について説明する。
【0114】
図12は、第3の実施形態の変形例に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。図12に示すように、本変形例において、洗浄制御機能94は、反応容器情報通知機能97による汚染された反応容器2011の反応容器情報の通知(ステップS301)が行われた後に、通知された反応容器情報に対応する反応容器2011の特殊洗浄動作がユーザによって選択されたか否かを判定する(ステップS302)。例えば、反応容器情報通知機能97は、特殊洗浄動作の実施を選択する選択ボタンと共に特殊洗浄動作が行われる反応容器2011の反応容器情報を表示し、洗浄制御機能94は、選択ボタンが押されたか否かを判定してもよい。
【0115】
特殊洗浄動作が選択された場合(ステップS302:Yes)、洗浄制御機能94は、特殊洗浄動作を実施する(ステップS5)。一方、特殊洗浄動作が選択されなかった場合(ステップS302:No)、処理を終了する。
【0116】
本変形例によれば、ユーザによる選択を待って反応容器情報が通知された反応容器2011の特殊洗浄動作を行うため、ユーザの意思を反映した特殊洗浄を行うことができる。
【0117】
(第4の実施形態)
次に、特殊洗浄動作の内容を事前又は事後的にユーザに通知する第4の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図13は、第4の実施形態に係る自動分析装置1の構成の一例を示すブロック図である。図14は、第4の実施形態に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0118】
図13に示すように、第4の実施形態に係る自動分析装置1の制御回路9は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、特殊洗浄通知機能98を有する。特殊洗浄通知機能98は、洗浄通知部の一例である。特殊洗浄通知機能98は、特殊洗浄動作が行われる前及び行われた後の少なくとも一方において特殊洗浄動作の内容をユーザに通知する。特殊洗浄通知機能98は、例えば、特殊洗浄動作の内容を表示することで、特殊洗浄動作の内容をユーザに通知する。特殊洗浄通知機能98は、特殊洗浄動作の内容を音声出力することで、特殊洗浄動作の内容をユーザに通知してもよい。
【0119】
図14に示すように、例えば、第4の実施形態において、特殊洗浄通知機能98は、ステップS4において汚染された反応容器2011が有ると判定された場合(ステップS4:Yes)、特殊洗浄動作の内容をユーザに通知する(ステップS401)。特殊洗浄動作の内容がユーザに通知された後に、汚染された反応容器2011に対する特殊洗浄動作が実施される(ステップS5)。
【0120】
第4の実施形態によれば、特殊洗浄通知機能98が、特殊洗浄動作が行われる前及び行われた後の少なくとも一方において特殊洗浄動作の内容をユーザに通知する。
【0121】
これにより、ユーザが特殊洗浄動作の内容を把握することができるので、利便性を向上させることができる。
【0122】
(第5の実施形態)
次に、特殊洗浄動作を行うことができないことをユーザに通知する第5の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図15は、第5の実施形態に係る自動分析装置1の構成の一例を示すブロック図である。図16は、第5の実施形態に係る自動分析装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0123】
図15に示すように、第5の実施形態に係る自動分析装置1の制御回路9は、第1の実施形態の構成に加えて、更に、特殊洗浄不可通知機能99を有する。特殊洗浄不可通知機能99は、洗浄不可通知部の一例である。特殊洗浄不可通知機能99は、特殊洗浄動作を行うことができない事情が発生した場合に、特殊洗浄動作を行うことができないことをユーザに通知する。特殊洗浄不可通知機能99は、例えば、特殊洗浄動作を行うことができないことを表示することで、特殊洗浄動作を行うことができないことをユーザに通知する。特殊洗浄不可通知機能99は、特殊洗浄動作を行うことができないことを音声出力することで、特殊洗浄動作を行うことができないことをユーザに通知してもよい。
【0124】
図16に示すように、例えば、第5の実施形態において、洗浄制御機能94は、ステップS4において汚染された反応容器2011が有ると判定された場合(ステップS4:Yes)、洗浄ボトル内に残存している洗浄液の残存量を確認する(ステップS501)。例えば、洗浄制御機能94は、記憶回路8に記録されている過去の洗浄動作の履歴に基づいて、洗浄液の残存量を確認する。
【0125】
洗浄液の残存量を確認した後、洗浄制御機能94は、例えば、洗浄液の残存量が予め決められた閾値を超えるか否かに基づいて、特殊洗浄動作を実施可能か否かを判定する(ステップS502)。なお、洗浄制御機能94は、洗浄液の残存量以外の事情を更に考慮して、特殊洗浄動作を実施可能か否かを判定してもよい。
【0126】
特殊洗浄動作を実施可能である場合(ステップS502:Yes)、洗浄制御機能94は、特殊洗浄動作を実施する(ステップS5)。
【0127】
一方、特殊洗浄動作が実施可能でない場合(ステップS502:No)、特殊洗浄不可通知機能99は、特殊洗浄動作が不可能である旨をユーザに通知する(ステップS503)。このとき、特殊洗浄不可通知機能99は、洗浄ボトルの交換を促すメッセージを表示してもよい。
【0128】
第5の実施形態によれば、特殊洗浄不可通知機能99が、特殊洗浄動作を行うことができないことをユーザに通知する。
【0129】
これにより、ユーザが特殊洗浄動作を行うことを把握することができるので、利便性を向上させることができる。
【0130】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、反応容器を適切に洗浄することができる。
【0131】
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路8に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路8にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0133】
1 自動分析装置
201 反応ディスク
2011 反応容器
215 洗浄ユニット
8 記憶回路
94 洗浄制御機能
96 設定機能
97 反応容器情報通知機能
98 特殊洗浄通知機能
99 特殊洗浄不可通知機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16