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特開2024-172414購入支援装置、購入支援方法、及び購入支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172414
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】購入支援装置、購入支援方法、及び購入支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20241205BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/0601 320
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090119
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】真保 陽一
(72)【発明者】
【氏名】當房 誠
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB24
5L030BB34
5L030BB55
5L030BB58
5L049BB24
5L049BB34
5L049BB55
5L049BB58
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】流体搬送システムを構成する複数のプラント部品をまとめてユーザに提供すること。
【解決手段】相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援装置1であって、ユーザが購入を希望する流体搬送システムに関する選定条件を取得する条件入力支援部31と、選定条件に基づいて機器の仕様を特定し、標準部品データベース21から機器の仕様に基づいて複数の標準部品を選定し、選定した複数の標準部品を機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定部32と、選定条件に基づいて流体搬送システムを構成する複数のプラント部品に対応する標準部品を特定するとともに、特定した複数の標準部品とユーザによって選択された部品候補の標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末に表示させる標準システム構成生成部33とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援装置であって、
ユーザが購入を希望する前記流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援部と、
前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベースから、前記機器の仕様に基づいて複数の前記標準部品を選定し、選定した複数の前記標準部品を前記機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定部と、
前記選定条件に基づいて前記流体搬送システムを構成する複数の前記プラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の前記標準部品とユーザによって選択された前記部品候補の前記標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末に表示させる標準システム構成生成部と、
を備える購入支援装置。
【請求項2】
前記標準機器選定部は、前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定できない場合に、前記機器の仕様を特定するために必要となるパラメータ項目の条件をユーザに入力させるための条件設定支援画面を前記クライアント端末に表示させ、前記ユーザによって入力された条件を用いて前記機器の仕様を特定する請求項1に記載の購入支援装置。
【請求項3】
前記条件設定支援画面には、複数の前記パラメータ項目を軸とする直交座標系に前記機器の部品候補となる複数の前記標準部品の仕様に基づく特性が描かれたグラフが含まれている請求項2に記載の購入支援装置。
【請求項4】
前記条件設定支援画面には、複数の前記パラメータ項目を軸とする直交座標系に前記機器の部品候補となる複数の前記標準部品の仕様に基づく特性曲線が描かれたグラフが含まれ、前記特性曲線上には前記機器の標準部品の仕様又は周辺機器の標準部品の仕様に応じた運転可能範囲が示されている請求項2に記載の購入支援装置。
【請求項5】
前記標準機器選定部は、前記機器において流体の流入流出位置が異なる複数の流入流出パターンを生成し、生成した複数の流入流出パターンの中からいずれか一つの流入流出パターンをユーザに選択させるための流入流出パターン選定画面を前記クライアント端末に表示させ、ユーザによって選択された流入流出パターンの前記機器の標準部品を特定する請求項1に記載の購入支援装置。
【請求項6】
前記標準システム構成生成部は、前記標準システム構成図を構成する前記標準部品の位置及び配置順序の変更、配管の追加、継手の追加、搬送経路の変更、配管長さの変更、配管の寸法変更、並びに、要求機能の追加及び削除のうちの少なくともいずれか1つをユーザに行わせるための標準システム構成調整画面を生成し、前記クライアント端末に表示させる請求項1に記載の購入支援装置。
【請求項7】
プラント部品と流量演算式とが関連付けられた複数の計算ブロックが格納された流体計算ブロックデータベースから前記標準システム構成図を構成する各前記標準部品に対応する計算ブロックを抽出し、抽出した前記計算ブロックを前記標準システム構成図に従ってつなぎ合わせることにより計算ブロックチェーンを生成し、前記計算ブロックチェーンに対して入力条件を与えることにより、前記標準システム構成図に含まれる流量調整に用いるプラント部品である流量調整部品の流体条件を算出し、算出した流体条件に基づいて前記流量調整部品の適合性を判定する標準システム選定部を備える請求項1に記載の購入支援装置。
【請求項8】
前記標準システム選定部は、前記流量調整部品の標準部品が不適合であると判定された場合に、不適合と判定された前記流量調整部品に対応する前記標準部品を前記流体条件に適合する標準部品に変更する請求項7に記載の購入支援装置。
【請求項9】
サプライヤが販売するサプライヤ部品の情報が格納されたサプライヤ部品データベースから前記標準システム構成図を構成する前記標準部品毎にそれぞれ対応する1又は複数のサプライヤ部品を選定するサプライヤ部品選定部と、
選定された複数の前記サプライヤ部品に基づいて、前記流体搬送システムを構成するサプライヤ部品の組み合わせであるシステム構成候補を少なくとも一つ生成し、クライアント端末に送信する選定候補生成部と、
を備える請求項1に記載の購入支援装置。
【請求項10】
前記標準システム構成生成部によって特定された複数の前記標準部品の仕様に基づいて注文仕様書を作成する注文仕様書作成部を備える請求項1に記載の購入支援装置。
【請求項11】
前記注文仕様書を複数のサプライヤに対して閲覧可能に提供するとともに見積依頼を行う注文仕様書提供部を備える請求項10に記載の購入支援装置。
【請求項12】
相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援方法であって、
ユーザが購入を希望する前記流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援工程と、
前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベースから、前記機器の仕様に基づいて複数の前記標準部品を選定し、選定した複数の前記標準部品を前記機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定工程と、
前記選定条件に基づいて前記流体搬送システムを構成する複数の前記プラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の前記標準部品とユーザによって選択された前記部品候補の前記標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末に表示させる標準システム構成生成工程と、
をコンピュータが実行する購入支援方法。
【請求項13】
コンピュータを請求項1から11のいずれかに記載の購入支援装置として機能させるための購入支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、購入支援装置、購入支援方法、及び購入支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、購入希望者(以下、「ユーザ」という場合もある。)がプラント部品を購入する場合、一般的に、サプライヤとの間で以下のような工程を経る必要がある。ここで、購入希望者の一例として、プラントメーカやプラントを運用している工場等が挙げられる。
まず、購入希望者が、部品の注文仕様書を作成し、作成した注文仕様書を提示してサプライヤに対して見積依頼を行う。サプライヤでは、注文仕様書に基づいて見積書を作成し、購入希望者へ提示する。購入希望者は、仕様の調整を行い、見積依頼を行ったサプライヤに対して発注を行う。
【0003】
このように、従来、発注までに多くの工程を必要とすることから、部品の発注に時間と労力を要していた。また、見積りは、購入希望者が自ら問い合わせを行ったサプライヤからしか得ることができない。このため、例えば、更にいい条件(例えば、価格が安い、納期が短い、サービスがよい等)で同様の部品を提供しているサプライヤがあったとしても、そのサプライヤにたどり着くことができないといった不都合があった。更に、サプライヤ側としても、小口の案件で、単価が安い部品の場合、見積りを作成する手間に対して売上や利益が少なく、割に合わないことがある。このため、他の案件に対して対応が後回しになる、提供価格が比較的高く見積もられる等の購入希望者の不利益につながるおそれがあった。
【0004】
従来、部品の調達の工程や手間を低減するシステムとして、例えば、特許文献1に開示される製造委託支援装置がある。この製造委託支援装置は、製造業者から部品の図面データを受信すると、受信した図面データの分析を行って部品の加工可能性を判定し、部品の加工が可能な複数の加工業者に対して見積もり依頼を行い、その見積価格を製造業者に回答するというものである。このように、特許文献1に開示される製造委託支援装置は、製造業者と加工業者とのやり取りを仲介するため、部品調達に関する両者の負担を軽減することが可能となる。
また、特許文献2には、機械装置を構成する複数の部品一式の価格又は納期を自動的に見積り、ユーザに提供することのできる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6462945号公報
【特許文献2】特許第6415492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に開示される装置は、加工品に特化したシステムであり、プラント部品の手配にただちに適用することはできない。すなわち、プラント部品は、設計圧力、運転圧力、設計温度、運転温度などの制約条件に加えて、流量や圧力損失などの流体搬送システム特有のパラメータを考慮した上で、購入部品を決定する必要がある。このため、特許文献1、2に開示される装置では、複数のプラント部品からなる流体搬送システム全体の見積りにおいて、制約条件などを全て満足する部品を選定することは不可能であった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、流体搬送システムを構成する複数のプラント部品をまとめてユーザに提供することのできる購入支援装置、購入支援方法、及び購入支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る購入支援装置は、相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援装置であって、ユーザが購入を希望する前記流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援部と、前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベースから、前記機器の仕様に基づいて複数の前記標準部品を選定し、選定した複数の前記標準部品を前記機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定部と、前記選定条件に基づいて前記流体搬送システムを構成する複数の前記プラント部品に対応する標準部品を特定するとともに、特定した複数の前記標準部品とユーザによって選択された前記部品候補の前記標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末に表示させる標準システム構成生成部と、を備える購入支援装置である。
【0009】
本開示の一態様に係る購入支援方法は、相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援方法であって、ユーザが購入を希望する前記流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援工程と、前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベースから、前記機器の仕様に基づいて複数の前記標準部品を選定し、選定した複数の前記標準部品を前記機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定工程と、前記選定条件に基づいて前記流体搬送システムを構成する複数の前記プラント部品に対応する標準部品を特定するとともに、特定した複数の前記標準部品とユーザによって選択された前記部品候補の前記標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末に表示させる標準システム構成生成工程と、をコンピュータが実行する購入支援方法である。
【0010】
本開示の一態様に係る購入支援プログラムは、コンピュータを上記購入支援装置として機能させるための購入支援プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示の購入支援装置、購入支援方法、及び購入支援プログラムによれば、流体搬送システムを構成する複数のプラント部品をまとめてユーザに提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態に係る購入支援装置のネットワーク構成を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る購入支援装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る購入支援装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る標準部品データベースに格納される情報の一例を示した図である。
図5】本開示の第1実施形態に係るサプライヤ部品データベースに格納されるサプライヤ部品情報の一例を示した図である。
図6】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図7】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図8】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図9】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図10】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図11】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図12】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図13】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図14】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図15】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図16】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図17】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図18】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図19】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図20】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図21】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図22】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図23】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図24】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図25】本開示の第1実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
図26】本開示の第1実施形態に係る流入流出パターン選定画面の一例を示した図である。
図27】本開示の第1実施形態に係る標準システム構成調整画面の一例を示した図である。
図28】本開示の第1実施形態に係る熱交換器周辺の圧力、温度、エンタルピの関係を示した図である。
図29】本開示の第1実施形態に係る標準機器選定画面の一例を示した図である。
図30】本開示の第1実施形態に係る低温流体側の条件設定支援画面の一例を示した図である。
図31】本開示の第1実施形態に係る高温流体側の条件設定支援画面の一例を示した図である。
図32】本開示の第1実施形態に係る高温流体側の条件設定支援画面の一例を示した図である。
図33】本開示の第1実施形態に係る低温流体側の条件設定支援画面の一例を示した図である。
図34】本開示の第1実施形態に係る高温流体側の条件設定支援画面の一例を示した図である。
図35】本開示の第1実施形態に係る標準システム構成調整画面の一例を示した図である。
図36】本開示の第1実施形態に係る標準システム構成調整画面の一例を示した図である。
図37】本開示の第1実施形態に係るシステム構成記憶部に格納される情報の一例を示した図である。
図38】本開示の第1実施形態に係る計算ブロックチェーンの一例を示した図である。
図39】本開示の第1実施形態に係る標準システム選定画面の一例を示した図である。
図40】本開示の第1実施形態に係る部品候補記憶部に格納されるデータの一例を示した図である。
図41】本開示の第1実施形態に係る比較選定画面の一例を示した図である。
図42】本開示の第1実施形態に係る個別選択画面の一例を示した図である。
図43】本開示の第1実施形態に係る選定部品記憶部に格納されるデータの一例を示した図である。
図44】本開示の第1実施形態に係るシステム構成調整画面の一例を示した図である。
図45】本開示の第1実施形態に係る最終確認画面の一例を示した図である。
図46】本開示の第1実施形態に係る注文予約画面の一例を示した図である。
図47】本開示の第1実施形態に係る購入支援方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図48】本開示の第1実施形態に係る購入支援装置によって購入可能な流体搬送システムの一例を示した図である。
図49】本開示の第2実施形態に係る購入支援装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
図50】本開示の第2実施形態に係る要求仕様データの一例を示した図である。
図51】本開示の第2実施形態に係る見積書依頼画面の一例を示した図である。
図52】本開示の第2実施形態に係る要素部品がポンプの場合の比較選定画面の一例を示した図である。
図53】プラント部品の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の第1実施形態に係る購入支援装置1、購入支援方法、及び購入支援プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る購入支援装置1は、例えば、流体搬送システムにおけるエンジニアリングを伴うプラントエンジニアリングにおいて、流体搬送システムを構成する部品群(部品一式)を購入する場合に適した装置である。
ここで、「流体搬送システムにおけるエンジニアリング」とは、例えば、プラント中に組み込まれている、気体、液体、固体などの媒体を搬送する系統の企画・設計・調達を行うことを意味する。媒体には、気体液体混合系(例えば、蒸気とドレンの混合系)、気体固体混合系(例えば、微粉炭の空気による搬送)、液体固体混合系(例えば、スラリ)等も含まれる。
【0014】
また、「プラント部品」とは、例えば、流体搬送システムに用いられている流体流通要素および機器を意味する。流体流通要素として、例えば、配管、伸縮・可撓管(ベローズ、フレキシブルチューブ等)、ベンド管、エルボ、継手、弁(手動弁、電動弁、電磁弁、調節弁、安全弁、逆止弁等)が挙げられる。機器として、例えば、計器、搬送機器、ストレーナ、アキュムレータ、スチームトラップ、タンク、減温器、熱交換器等が挙げられる。計器の一例として、圧力計、温度計、流量計等が挙げられる。搬送機器の一例として、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ、コンベア等が挙げられる。また、周辺部品として、保温機器(保温部材)、配管支持部材、機器の支持架台、鉄骨等が挙げられる。さらに拡張すると、ボイラ、冷凍機、脱水機、乾燥機などの流体を受け入れて流体を吐き出す産業機械なども対象とできる。
【0015】
図53にプラント部品の関係を示す。
プラント部品には、流量の変化範囲等、プラントの運用を考慮した設計を行った後でなければ仕様を選定できない部品が存在する。このようなプラント部品として、例えば、安全弁、制御弁(空動、油動を含む)、熱交換器、減温器、オリフィス、スチームトラップなどの配管部品、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ等の搬送機器が挙げられる。
また、電源や計測・制御信号などの電気的な取り合いを必要とするプラント部品があり、このようなプラント部品として、例えば、電磁弁、電動弁、制御弁(空動、油動を含む)、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ、コンベア等の搬送機器、計器が挙げられる。
【0016】
以下、本実施形態に係る購入支援装置1について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る購入支援装置1のネットワーク構成を示す図である。図1に示すように、購入支援装置1は、クライアント端末70、及びサプライヤ端末80とネットワークを介して接続可能とされ、相互に情報の送受信が可能な構成とされている。ネットワークの一例として、Wi-Fi、移動通信システム(3G、4G、5G、6G、LTE等)、無線LAN(Local Area Network)、有線LANなどが挙げられる。
【0017】
図1では、1台のクライアント端末70、1台のサプライヤ端末80を例示しているが、購入支援装置1に接続されるクライアント端末70、サプライヤ端末80の台数は、この例に限定されない。例えば、部品選択の自由度を向上させるためには、より多くのサプライヤ端末80が購入支援装置1と接続されていることが好ましい。
また、図1では、同じネットワークによって、購入支援装置1、クライアント端末70、サプライヤ端末80がそれぞれ接続されているが、この例に限られない。例えば、購入支援装置1とクライアント端末70とが接続されるネットワークと、購入支援装置1とサプライヤ端末80とが接続されるネットワークとは異なっていてもよい。
【0018】
図2は、購入支援装置1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。購入支援装置1は、いわゆるサーバ(コンピュータ)であり、図2に一例を示すように、CPU(プロセッサ)11、CPU11が実行するプログラム(例えば、購入支援プログラム)等を記憶するための補助記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ13、ネットワークに接続するための通信デバイス14を主な構成として備え、これら各部はバス18を介して接続されている。また、購入支援装置1は、キーボード等の入力部15や表示部16等を更に備えていてもよい。補助記憶装置12には、例えば、購入支援装置1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、当該購入支援装置1を実現するためのアプリケーション及び各種データやファイル等が格納されている。上記補助記憶装置12の一例として、半導体メモリ、磁気ディスク、光磁気ディスク等が挙げられる。
【0019】
クライアント端末70は、プラント部品、本実施形態では、複数のプラント部品から構成される流体搬送システムの購入を希望するユーザが利用する情報処理装置である。クライアント端末70は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、タブレット端末、携帯電話端末、スマートフォン等である。クライアント端末70の構成は公知であるため、詳細な説明は省略するが、上述した購入支援装置1と同様に、CPU、補助記憶装置、メインメモリ、通信デバイス、入力部を備えている。更に、クライアント端末70は、表示部(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)を備えている。更に、クライアント端末70は、マイクロホン、スピーカを備えていてもよい。補助記憶装置には、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等のクライアント端末70の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、後述するクライアント端末70の機能を実現するためのアプリケーション及び各種データやファイル等が格納されている。
【0020】
サプライヤ端末80は、プラント部品を販売するサプライヤが利用する情報処理装置である。ここで、「サプライヤ」とは、例えば、プラント部品を製造・販売している会社を意味する。プラント部品の製造会社が商社を代理店として自社製品を販売している場合、プラント部品の製造会社と商社の組み合わせを「サプライヤ」という。
【0021】
サプライヤ端末80は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、タブレット端末、携帯電話端末、スマートフォン等である。サプライヤ端末80の構成は公知であるため、詳細な説明は省略するが、上述した購入支援装置1と同様に、CPU、補助記憶装置、メインメモリ、通信デバイス、入力部を備えている。更に、サプライヤ端末80は、表示部(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)を備えている。更に、サプライヤ端末80は、マイクロホン、スピーカを備えていてもよい。補助記憶装置には、例えば、Windows(登録商標),iOS(登録商標)、Android(登録商標)等のサプライヤ端末80全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、後述するサプライヤ端末80の機能を実現するためのアプリケーション及び各種データやファイル等が格納されている。
【0022】
次に、本実施形態に係る購入支援装置1の機能について説明する。図3は、本実施形態に係る購入支援装置1が備える機能の一例を示した機能構成図である。以下に示す各機能を実現するための一連の処理は、一例としてプログラム(例えば、購入支援プログラム)として、購入支援装置1が備える補助記憶装置12に格納されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ13に読み出して実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、購入支援装置1が備える補助記憶装置12に予めインストールされている形態、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0023】
図3に示すように、購入支援装置1は、標準部品データベース21及びサプライヤ部品データベース22を備えていてもよい。また、購入支援装置1は、流体計算ブロックデータベース23及び発注データベース24を備えていてもよい。また、購入支援装置1は、条件入力支援部31、標準機器選定部32、及び標準システム構成生成部33を備えている。また、購入支援装置1は、標準システム選定部34、サプライヤ部品選定部35、選定候補生成部36、システム構成生成部37、仕様確認部38、発注支援部39などを備えていてもよい。また、購入支援装置1は、システム部品を選定する上で、各種データを格納する記憶領域として、選定条件記憶部41、システム構成記憶部42、部品候補記憶部43、及び選定部品記憶部44を備えていてもよい。以下、各部について説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、ある既存(既設)のタンクから別の既存のタンクまで水を送る流体搬送システムを新たに設置する場合について説明する。また、この流体搬送システムは、相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成されるものとする。本実施形態では、機器(以下「主要機器」という。)として熱交換器を採用する場合を例示して説明する。
なお、本実施形態に係る購入支援装置1によって購入が支援される流体搬送システムは、この例に限られない。すなわち、購入支援装置1は、あらゆる流体(液体、気体など)、および、媒体が出入りするあらゆる機器、部品について同様の取り扱いが可能である。
【0024】
〔標準部品データベース21〕
標準部品データベース21には、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている。例えば、標準部品データベース21には、各プラント部品について、代表的な仕様の情報である代表仕様情報とその部品が備える機能とが関連付けられて格納されている。代表仕様情報は、例えば、各サプライヤが提供する各プラント部品の仕様に基づいて事前に決定される。例えば、熱交換器の場合、熱交換量、高温流体の出口温度、高温流体の流量、低温流体の出口温度、低温流体の流量、サイズなどに基づいて代表仕様が予め決定される。
【0025】
図4に、本実施形態に係る標準部品データベース21に格納される情報の一例を示す。図4に示すように、標準部品データベース21には、標準部品名、部品種別、代表仕様情報、及び機能が互いに関連付けられて登録されている。また、ここでは、部品種別と代表仕様情報とを区別しているが、代表仕様情報に部品種別を組み入れ、部品種別を代表仕様情報の一部としてもよい。
【0026】
ここで、「機能」とは、後述する条件入力支援部31で入力等される「要求機能」に対応している。ユーザが後述する条件入力支援部31において選択した「要求機能」に対応する「機能」に関連付けられている標準部品が流体搬送システムの構成部品として選定されることとなる。
標準部品データベース21には、これらの情報を容易に抽出できるよう、例えば、標準部品名をキー(目印になる名称)として、そのキーに紐づけて代表仕様情報を保管、処理する方法(以下、「マップ形式」という。)を取ってもよい。
【0027】
〔サプライヤ部品データベース22〕
サプライヤ部品データベース22には、サプライヤが販売するサプライヤ部品の情報が格納されている。サプライヤ部品データベース22には、例えば、サプライヤ毎に、そのサプライヤが販売するプラント部品の型番と仕様データとが関連付けられて格納されている。またプラント部品の型番には、製品名、価格、及び納期の情報が更に関連付けられていてもよい。また、プラント部品の型番には、オプション情報が更に関連付けられていてもよい。
【0028】
図5に、本実施形態に係るサプライヤ部品データベース22に格納されるサプライヤ部品情報の一例を示す。図5に示すように、サプライヤ部品データベース22には、サプライヤ毎に、型番、製品名、仕様情報、価格、及び納期が互いに関連付けられて登録されている。サプライヤ部品データベース22には、これらの情報が、例えば、マップ形式でデータ管理されていてもよい。
【0029】
価格及び納期の情報は、各サプライヤによって随時更新可能とされている。これにより、最新のデータを用いて見積書を作成することが可能となる。これにより、信頼性の高い見積書をユーザに提供することが可能となる。また、価格には、プラント部品の価格の他、商品の発送に必要となる諸経費などが登録されていてもよい。
【0030】
オプション情報として、例えば、オプション製品(消耗品、特殊工具等)、取付時の指導員派遣、試運転時の運転調整、トラブルシューティングなどの技術サポートサービス、仕様アップグレードサービス(例えば、耐食の肉盛り、高級塗装、追加検査、追加提出図面等)が挙げられる。また、オプション情報には、各種オプションに関連付けられて詳細情報が登録されていてもよい。例えば、予備品の詳細情報として、納期、価格、交換時期等が挙げられる。また、技術サポート、オプションサービスの詳細情報として、提供時期、価格、特徴、メリット、注意事項等が挙げられる。
【0031】
〔流体計算ブロックデータベース23〕
流体計算ブロックデータベース23には、標準部品(例えば、標準部品名)と標準的な演算式とが関連付けられた複数の計算ブロックが格納されている。また、流体計算ブロックデータベース23には、各サプライヤが提供するサプライヤ部品(例えば、サプライヤの型番)とサプライヤ独自の演算式とが関連付けられた複数の計算ブロックが格納されている。
各計算ブロックには、例えば、圧力損失演算式や放熱計算式が登録されており、入口条件から出口条件を算出することが可能とされている。
【0032】
〔発注データベース24〕
発注データベース24には、例えば、ユーザ別に発注に関する情報が格納されている。発注に関する情報として、過去の発注履歴や、現在の発注予約情報、発注状況等が挙げられる。発注データベース24の内容を確認することで、各ユーザがどのようなプラント部品を購入したのか、また、これから購入しようとしているのかを把握することができる。
【0033】
〔条件入力支援部31〕
条件入力支援部31は、ユーザが購入を希望する流体搬送システムに関する要求仕様及び要求機能を選定条件として取得する。例えば、要求仕様には、既設の設計条件が含まれていてもよい。例えば、既設の設計条件には、複数の系統(例えば、高温流体側系統と低温流体側系統など)のそれぞれに関する、入口側設計圧力、入口側設計温度、出口側設計圧力、及び出口側設計温度の少なくともいずれか一つが含まれる。また、要求仕様には、既設の運転条件が含まれていてもよい。既設の運転条件として、例えば、各系統に関する入口側流体圧力、入口側流体温度、出口側流体圧力、及び出口側流体温度の少なくともいずれか一つが含まれる。
【0034】
また、選定条件には、主要機器の仕様を特定するために必要な各パラメータ項目に関する要求条件が含まれていてもよい。主要機器は、例えば、相互に作用する複数の流体が流入する機器である。より具体的には、主要機器とは、複数の系統から流体が入力される機器であり、主要機器において複数の系統の流体が相互に作用することで、主要機器からの各系統の流体の出力状態が変化する機器が挙げられる。主要機器の一例として、熱交換器、ボイラ等が挙げられる。例えば、主要機器が熱交換器である場合、パラメータ項目として、熱交換量、高温流体の出口温度、高温流体の流量、低温流体の出口温度、低温流体の流量、サイズなどが挙げられる。各パラメータ項目に関する要求条件は、例えば、数値指定でもよいし、数値範囲指定でもよい(例えば、図25参照)。また、選定条件には、主要機器に関する複数のパラメータ項目について、ユーザが重要視するパラメータの情報が含まれていてもよい。例えば、複数のパラメータ項目において、トレードオフの関係にあるパラメータ項目がある場合には、どのパラメータ項目を重要視するのかがユーザによって指定されることにより、円滑に機器選定を行うことが可能となる。
【0035】
要求機能は、ユーザが流体搬送システムに備えさせたい機能であり、例えば、各系統に関してそれぞれ取得される。要求機能の一例として、逆流防止機能、入口仕切り機能、出口仕切り機能、流量制御機能、圧力計測機能、流量計測機能、異物流入防止機能、ドレン抜き機能、温度計測機能(現場計、発信機付き等)、流量調整機能(手動)、熱交換器入口仕切り機能、熱交換器出口仕切り機能、ポンプ入口圧力計測機能、ポンプ出口圧力計測機能などが挙げられる。
【0036】
更に、選定条件には、各系統に関し、搬送する流体の種類(換言すると、主要機器に流入するときの状態)、主要機器から出力されるときの流体の状態、流体の駆動源、流体の搬送始点及び搬送終点に関する情報、適用規格、配管継手仕様の少なくともいずれか一つが含まれてもよい。
【0037】
搬送する流体の種類として、例えば、空気、ガス、水、飽和水、飽和蒸気、過熱蒸気等が挙げられる。主要機器から出力されるときの流体の状態として、蒸気、ドレン、蒸気及びドレン、水などが挙げられる。流体の駆動源として、例えば、ファン、ポンプ、位置エネルギー、圧力等が挙げられる。
【0038】
流体の搬送始点の情報として、例えば、始点座標、接続先、接続仕様が挙げられる。液体を搬送する場合の接続先として、例えば、配管、ヘッダー、タンク底の管台(液面下)、タンク胴の管台(液面下)、配管(液面下)などが挙げられる。接続仕様として、例えば、フランジ、ねじ込み、ユニオン、溶接などが挙げられる。
【0039】
流体の搬送終点の情報として、例えば、終点座標、接続先、接続仕様が挙げられる。液体を搬送する場合の接続先として、例えば、タンク天の管台(液面上)、タンク胴の管台(液面上)、タンク胴の管台(液面下)、配管(液面上)、配管(液面下)などが挙げられる。接続仕様として、例えば、フランジ、ねじ込み、ユニオン、溶接が挙げられる。
【0040】
適用規格として、例えば、JIS、ASME、ANSI、JPI等が挙げられる。
継手仕様として、例えば、フランジ、ねじ込み、ユニオン、溶接が挙げられる。
【0041】
また、選定条件には、許容できる最遅納期、許容できる最高価格、希望送り先・梱包仕様・輸送方法等の納品に関する各種情報等が含まれていてもよい。このように、許容できる最遅納期や許容できる最高価格を選定条件として入力させることで、ユーザの希望に合わない納期や価格を排除することが可能となる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができるとともに、購入支援装置1における演算処理負担を軽減させることが可能となる。
【0042】
例えば、条件入力支援部31は、これらの選定条件を入力するための条件入力画面をクライアント端末70に表示させるための画面データを生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。選定条件の入力は、例えば、対話形式で行うこととしてもよい。また、経験の浅いユーザでも容易に入力できるように、また、イメージをつかみやすいように、図などを用いながら入力を促すこととしてもよい。
【0043】
図6図25は、主要機器として「熱交換器」が選択された場合に、条件入力支援部31が生成する対話型の条件入力画面の一例を示した図である。条件入力支援部31は、図6図25に示す条件入力画面を順番にクライアント端末70に表示させることで、必要な条件をユーザに入力させ、流体搬送システムを構成するプラント部品を選定するために必要な情報を取得する。
【0044】
図6は、購入対象を選定させるための条件入力画面、図7は、主要機器を選択させるための条件入力画面、図8は、高温側流体系統の流体種類を選択させるための条件入力画面、図9は、低温側流体系統の流体種類を選択させるための条件入力画面、図10は、高温側流体系統の熱交換後の状態を選択させるための条件入力画面、図11は、低温側流体系統の熱交換後の状態を選択させるための条件入力画面、図12は、高温側流体系統の流体の駆動源を選択させるための条件入力画面、図13は、低温側流体系統の流体の駆動源を選択させるための条件入力画面である。
【0045】
図14は、高温側流体系統及び低温側流体系統のそれぞれについて、流体の搬送始点及び搬送終点の座標を入力するための条件入力画面、図15は、高温側流体系統の流体の搬送始点の接続先及び接続仕様を選択させるための条件入力画面、図16は、高温側流体系統の流体の搬送終点の接続先及び接続仕様を選択させるための条件入力画面、図17は、低温側流体系統の流体の搬送始点の接続先及び接続仕様を選択させるための条件入力画面、図18は、低温側流体系統の流体の搬送終点の接続先及び接続仕様を選択させるための条件入力画面である。
【0046】
図19は、適用規格を選択させるための条件入力画面、図20は、継手仕様を選択させるための条件入力画面、図21は、高温側流体系統において追加機能(要求機能)を選択させるための条件入力画面、図22は、低温側流体系統において追加機能(要求機能)を選択させるための条件入力画面、図23は、高温側流体系統及び低温側流体系統のそれぞれについて、既設の設計条件を入力させるための条件入力画面、図24は、高温側流体系統及び低温側流体系統のそれぞれについて、既設の運転条件を入力させるための条件入力画面、図25は、主要機器の性能条件を入力するための条件入力画面(以下「性能条件入力画面」という。)である。図25は、一例として、主要機器を熱源機器とした場合の条件入力画面が示されている。
【0047】
図25に例示した性能条件入力画面は、主要機器の仕様を特定するのに必要とされるパラメータ項目の条件を入力する画面である。パラメータ項目の条件は、数値又は数値範囲として入力することが可能とされている。また、性能条件入力画面では、ユーザが重視するパラメータ項目を指定することができる。性能条件入力画面では、各パラメータ項目について、希望する数値や数値範囲が決まっていればそれらを入力し、決まっていなければ空欄のままとすることも可能である。空欄とした場合、後述する標準機器選定部32によって、ユーザへの条件入力の支援がなされる。
【0048】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、ある既存(既設)のタンクから別の既存のタンクまで水を送る流体搬送システムを新たに設置する場合を例に挙げて説明しているため、図23図24において既設の設計条件、既設の運転条件を入力しているが、新設の場合には、新設の設計条件、新設の運転条件を入力することとしてもよい。
【0049】
なお、選定条件の入力については、複数の入力モードが設けられていてもよい。例えば、ユーザに、複数の入力モードを提示し、そのうちのいずれかをユーザに選択させるようにしてもよい。そして、条件入力支援部31がユーザによって選択された入力モードに応じた条件入力画面を生成して、クライアント端末70の表示部に表示させることとしてもよい。
【0050】
入力モードの一例として、詳細入力モード、簡易入力モード、型番入力モード等が挙げられる。詳細入力モードは、一般的に、サプライヤが部品を選定する際に必要となる全ての条件を入力するモードである。このモードは、流体搬送システムにおけるエンジニアリングに精通しているユーザ向けである。簡易入力モードは、不慣れなユーザ向けに入力事項を主要なものに絞ったモードである。例えば、詳細入力モードで入力する条件のうちのいくつかが省略されたモードとされている。型番入力モードは、サプライヤ名又は型番を入力するモードであり、既設のプラント部品と同じものを購入したいユーザや、予めサプライヤのカタログ等を調査して欲しい型番が決まっているユーザを対象としたモードである。
このように、複数の入力モードを設け、ユーザが所望の入力モードを選択できるように構成することで、ユーザのエンジニアリングの能力とニーズに応じたサービスを提供することが可能となる。
【0051】
〔入力補助部51〕
条件入力支援部31は、例えば、入力補助部51(図3参照)を備えていてもよい。入力補助部51は、複数の選定条件のうち、ユーザによって入力されなかった選定条件を過去の蓄積データ又は予め設定されている初期値に基づいて仮入力する。
例えば、入力補助部51は、設計条件や運転条件に関する初期値を予め保有しており、設計条件や運転条件に選定条件が入力されなかった場合に、それらの初期値を仮入力する。また、初期値に代えて、過去の実績値等に基づく代表値を仮入力することとしてもよい。
【0052】
更に、入力補助部51は、所定の質問フローに従ってユーザに質問を投げかけ、その質問に対してユーザが回答する対話形式により、不足している選定条件をユーザに入力させることとしてもよい。また、入力補助部51によって仮入力が行われた場合、仮入力した条件をユーザに提示し、ユーザの想定から外れていないかをユーザに確認させるようにしてもよい。
【0053】
例えば、プラント部品は形状、強度などの部品自体に紐づく制約条件だけでなく、内部を流れる流体に対する制約条件もあることから、適切な部品を選定するにはある程度の経験が必要となる。このため、経験に乏しいユーザは、どのような条件を設定すればよいかわからず、自主的に条件を設定することが難しい場合がある。このような場合に、入力補助部51を設け、ユーザの入力を支援することにより、流体搬送システムにおけるエンジニアリングの経験に乏しいユーザでも、プラント部品の手配に必要となる適切な条件を入力することが可能となる。
なお、本実施形態において、主要機器については、後述する標準機器選定部32によって入力補助がされるが、標準機器選定部32が備える入力補助の機能を入力補助部51に持たせることとしてもよい。
【0054】
〔選定条件記憶部41〕
条件入力支援部31によって取得された要求仕様及び要求機能等の選定条件は、選定条件記憶部41に格納される。例えば、選定条件は、マップ形式で格納されてもよい。例えば、選定条件には、入口条件、出口条件、要求機能、設計圧力温度、要求仕様等の各主項目に対して、ユーザによって入力された条件がそれぞれ関連付けられて格納される。
【0055】
〔標準機器選定部32〕
標準機器選定部32は、選定条件記憶部41に格納されている選定条件に基づいて、主要機器の仕様を特定し、標準部品データベース21から主要機器の仕様に近い複数の標準部品を選定し、選定した複数の標準部品を主要機器の部品候補としてクライアント端末70に表示させる。そして、ユーザによって選定された部品候補を主要機器に対応する標準部品として特定する。
【0056】
まず、標準機器選定部32は、選定条件(例えば、主要機器のサイズ、高温側流体系統の始点及び終点情報、低温側流体系統の始点及び終点情報等)に基づいて、主要機器において流体の流入流出位置が異なる複数の流入流出パターンを生成し、生成した複数の流入流出パターンの中からいずれか一つの流入流出パターンをユーザに選択させるための流入流出パターン選定画面を生成する。そして、生成した流入流出パターン選定画面をクライアント端末70の表示部に表示させる。
【0057】
図26は、流入流出パターン選定画面の一例を示した図である。図26に示すように、流入流出パターン選定画面には、主要機器である熱交換器において高圧系統の流入流出位置及び低圧系統の流入流出位置がそれぞれ異なる複数の流入流出パターンが表示される。
このとき、標準機器選定部32は、図25に示した性能条件入力画面で入力された熱交換量、サイズ等の情報から、適切な形状を絞り込むこととしてもよい。更に、複数の流入流出パターンにおいて優先順位をつけて表示することとしてもよい。
また、標準機器選定部32は、図27に示すように、主要機器の流入流出パターンと各系統の始点及び終点位置との位置関係(すなわち、取り合い位置)がわかるような画面を生成することとしてもよい。これにより、ユーザは、各系統の始点及び終点との位置関係を確認しながら主要機器の流入流出パターンを選択することが可能となる。
ユーザは、流入流出パターン選定画面において、所望する一つの流入流出パターンを選択し、送信ボタンBT1を押下する。これにより、ユーザによって選択された流入流出パターンの情報が購入支援装置1に送信される。
【0058】
このように、プラント部品の選定の早い時期において、ユーザが希望する流入流出位置の情報を取得しておくことで、後になって配管ルートが大幅に変更されることを回避することが可能となる。
【0059】
次に、標準機器選定部32は、上述した性能条件入力画面(図25参照)において入力された各パラメータ項目に対する条件に基づいて主要機器である熱交換器の仕様を特定する。
【0060】
ここで、熱交換器やボイラなどのように、複数流体が流入する機器の場合、熱的な性能を以って機器選定することとなるのが一般的である。例えば、ポンプでは、配管の呼び径と呼び圧力の情報から大まかに選定が可能であるが、系統が複数になるほど、ハード面以外の性能面などの要素も選定時に考慮に入れる必要がある。例えば、熱交換器の場合、低温流体、高温流体および熱交換器自体の条件は、図28に示すような関係で表すことができる。
【0061】
図28において、中央のブロックは、熱交換器であり、熱交換器に流入流出される低温側流体系統の入力状態(PL in,TL in,HL in)と出力状態((PL out,TL out,HL out)、熱交換器に流入流出される高温側流体系統の入力状態(PH in,TH in,HH in)と出力状態(PH out,TH out,HH out)とを示している。
ここで、Pは圧力、Tは温度、Hはエンタルピであり、添え字のHとLは、それぞれ高温側流体または低温側流体であることを、また添え字のinとoutは、各場所における圧力、温度、エンタルピであることを示している。また、WLは低温側流体(水)の流量、WHは高温側流体(蒸気)の流量である。
また、熱交換器において、Qは交換熱量、Uは熱の伝わりやすさを示す値(熱貫流率、総括熱伝達係数)であり、流体の種類や流速、流れの状態で決まる数値、Aは熱交換器の表面積、ΔTは高温側流体と低温側流体との温度差をそれぞれ示している。これらは、熱交換器の性能・仕様を決定する上での主要なパラメータである。
【0062】
図28に示したパラメータのうち、未知数は、HL out,WL,HH out,WH,Q,A,U,ΔTの8つである一方で、これらの関係は以下の5つの式で表される。
Q =WL×(HL out-HL in) (1)
=WH×(HH in-HH out) (2)
=U×A×ΔT (3)
ΔT=F1(HL out,HL in,HH out,HH in,WL,WH) (4)
U=F2(WL,WH) (5)
【0063】
したがって、更に3つの式があれば数式上は仕様を一点に決めることが可能である。
このため、例えば、ユーザが、図25に示した性能条件入力画面において、3つ以上のパラメータを指定していれば、上記関係式を用いて計算によって熱交換器の仕様を選定することができる。この場合、標準機器選定部32は、計算によって算出した熱交換器の仕様に近い熱交換器の複数の標準部品を部品候補として選定し、選定した部品候補が示された標準機器選定画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。
【0064】
図29に標準機器選定画面の一例を示す。標準機器選定画面には、複数の熱交換器が部品候補として示されているとともに、各部品候補の各パラメータ項目の数値、例えば、熱交換量、高温流体の出口温度、高温流体の流量、低温流体の出口温度、低温流体の流量、伝熱面積、及び熱交換器のサイズが示されている。図29において、左側に行くほどイニシャルコストが小さく、熱利用の程度が小さいためにランニングコストが大きい熱交換器とされている。また、標準機器選定画面には、概算価格、参考納期などの情報が併せて表示されてもよい。また、標準機器選定画面において、例えば、部品候補の優劣を示すグラフとして、横軸にイニシャルコスト、縦軸にランニングコストを示すグラフを表示してもよい。
標準機器選定画面において、ユーザはニーズに合ういずれかの部品候補を選択し、送信ボタンBT2を押下する。これにより、ユーザによって選択された部品候補の情報が購入支援装置1に送信される。
【0065】
一方、図25に示した性能条件入力画面において、パラメータ項目の数値又は数値範囲が全く指定されていない場合、又は、3つ未満のパラメータ項目についてしか数値又は数値範囲が指定されていない場合には、熱交換器の仕様を計算によって定めることができない。この場合には、標準機器選定部32は、選定条件に基づいて主要機器の仕様を特定できないと判定し、主要機器の仕様を特定するために必要となるパラメータ項目の条件をユーザに入力させるための条件設定支援画面を生成し、生成した条件設定支援画面をクライアント端末70の表示部に表示させる。そして、条件設定支援画面において、ユーザによって入力された条件を用いて主要機器の仕様を特定する。
条件設定支援画面には、例えば、複数のパラメータ項目を軸とする直交座標系に主要機器の部品候補となる複数の標準部品の仕様に基づく特性が描かれたグラフが含まれている。
【0066】
主要機器が熱交換器の場合、条件設定支援画面は、低温流体側の条件をユーザに指定させるための低温流体側の画面と、高温流体側の条件をユーザに指定させるための高温流体側の画面とを含んで構成されている。
図30に、低温流体側の条件設定支援画面の一例を示す。図30に示すように、低温流体側の条件設定支援画面には、横軸に流量W、縦軸にエンタルピHが示された2次元座標上に、熱交換量の異なる熱交換器の特性が示されたグラフが表示される。
【0067】
条件設定支援画面において、ユーザは、所望の熱交換量Qを選定し、更に、選定した熱交換量Qの曲線において流量WとエンタルピHを指定する。このように、ユーザに対してグラフを提供することにより、低温流体側の熱交換量Q、流量W、エンタルピHの関係を視覚的に提供できることから、ユーザはこれらのパラメータの関係を直感的に理解することができ、所望の条件を容易に指定することが可能となる。
【0068】
低温流体側のパラメータ値が指定されると、続いて、標準機器選定部32は、高温流体側の条件設定支援画面をクライアント端末70の表示部に表示させる。図31に、高温流体側の条件設定支援画面の一例を示す。図31に示すように、高温流体側の条件設定支援画面には、低温流体側の条件設定支援画面と同様に、横軸に流量W、縦軸にエンタルピHが示された2次元座標上に、熱交換量が異なる熱交換器の特性が示されたグラフが表示される。
【0069】
ここで、熱交換量Qについては低温流体側で指定された熱交換量(例えば、Q=Q2)と同じ値を取る必要がある。このため、高温流体側の条件設定支援画面では、低温流体側で指定された熱交換量の特性が他の特性と異なる態様で表示される。図31では、指定された熱交換量の特性が他の特性よりも太い線で示されている。ユーザは、この特性上で所望の流量WとエンタルピHを指定する。なお、低温流体側で指定した熱交換量Qに対して高温流体側では所望の流量W又はエンタルピHを得られない場合があることから、ユーザの選択肢を増やすために、高温流体側の条件設定支援画面においても他の熱交換量の特性について表示することとしている。このように、複数の熱交換量Qを選定候補として示しておくことで、ユーザは、低温流体側及び高温流体側の特性を考慮して、所望するパラメータ値を指定することが可能となる。なお、高温流体側の条件設定支援画面において、低温流体側とは異なる熱交換量が指定された場合には、指定された熱交換量において低温流体側で再指定を行うこととなる。
【0070】
また、高温流体側の条件設定支援画面では、図32に示すように、周辺機器の特性についても参考情報として合わせて示すこととしてもよい。図32では、性能の異なる複数のポンプの特性が点線として描かれている。このように、周辺機器の特性を合わせて表示することにより、ユーザは周辺機器の性能を考慮しながら熱交換器のパラメータ値を指定することが可能となる。
【0071】
また、図33図34に示すように、特性曲線上に熱交換器の標準部品の仕様又は周辺機器の標準部品の仕様に応じた範囲を示すようにしてもよい。
例えば、熱交換器の特性は、図33に示すように連続的な曲線で描かれるが、熱交換器の仕様は、標準部品のラインナップに対応して離散的であるため、必ずしもユーザが指定したパラメータ値を満足する熱交換器が存在するわけではない。このため、グラフ上に熱交換器の標準部品の仕様に合致する範囲(図33図34の黒太線)を示しておくことで、ユーザに熱交換器の標準部品の仕様を直接的に指定することが可能となる。
【0072】
なお、図30図34に示した条件設定支援画面では、熱交換量Qを使用していたが、これに限られない。例えば、熱交換量Qに代えて、熱交換量Qにおおむね比例する熱交換器の伝熱面積Aを用いてもよい。また、典型的には、熱交換量Q、熱交換器の伝熱面積Aは、熱交換器のサイズにおおむね比例するため、熱交換器の寸法目安や価格目安を示す曲線を表示することとしてもよい。
このように、ユーザの選定を左右する条件を条件選定のグラフに重ねて表示することで、ユーザはニーズに近い仕様を短時間で直感的に選定することが可能となる。
また、グラフの縦軸及び横軸は、ユーザの希望に合わせて変更してもよい。例えば、エンタルピHよりも温度Tの方が直感的に理解しやすい。この場合、縦軸は、温度Tにしてもよい。この場合、軸に合わせてグラフは再計算を行っても良いし、違いが微小な場合は計算量の削減のため、再計算を行わないままでもよい。例えば、温水のエンタルピの場合、圧力の寄与を無視して比熱と温度の積としてエンタルピを計算してもよい。
【0073】
また、本実施形態では、グラフを用いた選定方法としたが、この例に限られない。例えば、エンタルピHと流量Wの組み合わせのうち、有力な複数の仕様候補を自動で選定し、選定した仕様候補をリストとしてユーザに提示することとしてもよい。このように、リストを用いることにより、グラフの計算、描画に関する処理が不要となるため、演算処理量を削減できる。
【0074】
条件設定支援画面において、低温流体側の流量W及びエンタルピH、高温流体側の流量W及びエンタルピH、並びに熱交換量Qが指定されると、これらのパラメータ値に基づいて熱交換器の仕様を特定することが可能となる。標準機器選定部32は、指定されたこれらのパラメータ値に基づいて熱交換器の仕様を算出し、算出した熱交換器の仕様に近い熱交換器の複数の標準部品を部品候補として選定し、選定した部品候補が示された標準機器選定画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。標準機器選定画面を表示させた後の処理は、上述した通りである。
【0075】
なお、本実施形態では、主要機器として熱交換器を例示しているため、上述したようなパラメータ項目が挙げられたが、他の機器についても同様に取り扱うことが可能である。すなわち、エネルギー保存則や質量保存則が成り立つ場合には、それらの法則に基づいた演算によって機器の仕様を計算することが可能である。また、条件が不足しており、計算によって仕様を決定することができない場合には、機器に応じて必要となるパラメータ項目についてユーザに入力させるための条件入力支援画面をクライアント端末に表示させ、これらのパラメータ値を得ることで、他の主要機器についても同様に仕様を決定することが可能となる。
【0076】
例えば、主要機器として蒸気駆動のコンプレッサ、蒸気駆動のポンプ、ターボチャージャ等が挙げられる。これらの主要機器は、流体のエネルギーによって圧力を昇圧させる機器である。蒸気駆動コンプレッサは、蒸気のエネルギーによって気体を昇圧させるものであり、蒸気駆動のポンプは蒸気のエネルギーによって液体を昇圧させるものであり、ターボチャージャは、気体のエネルギーによって気体を昇圧させるものである。各機器において成立する圧力や温度などのパラメータ間の関数を用いて、熱交換器と同様の手法により、機器の仕様を特定することが可能である。
【0077】
また、主要機器として、流体同士が反応する吸収塔などが挙げられる。例えば、二酸化炭素の回収を行う吸収塔では、吸収液と二酸化炭素を含んだガスとが反応し、二酸化炭素が吸収液に吸着されるものである。吸収率は、ガスの分圧や流量等のパラメータの関数となり、これらのパラメータ項目の数値を用いて仕様を特定することが可能である。
また、系統に分岐や合流があるような場合、系統の数が増える場合であっても、同様の手法を適用することが可能である。
【0078】
〔標準システム構成生成部33〕
標準システム構成生成部33は、選定条件記憶部41に格納された選定条件に基づいて、流体搬送システムを構成する複数のプラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の標準部品と、上記標準機器選定画面においてユーザによって選択された主要機器の標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。ここで、主要機器の標準部品は、ユーザによって選択された流入流出パターン(図26図27参照)を有する部品とされている。
【0079】
具体的には、標準システム構成生成部33は、特定した複数の標準部品を搬送始点から搬送終点までの流体搬送路に配置することにより、流体搬送システムのシステム構成図である標準システム構成図を生成する。このとき、流体搬送路は、始点座標、終点座標及び既設仕様等に基づいて生成される。
【0080】
標準システム構成生成部33は、標準システム構成図を生成すると、この標準システム構成図を含む標準システム構成調整画面を生成し、この標準システム構成調整画面をクライアント端末70の表示部に表示させる。図35は、標準システム構成調整画面の一例を示した図である。標準システム構成調整画面には、選定条件に基づいて生成された標準システム構成図が表示されるとともに、この標準システム構成図の選定条件とされた要求機能、要求仕様、既設仕様等の情報が併せて表示される。図35に示した標準システム構成図において、一点鎖線で囲われたそれぞれのブロックが各標準部品に対応する部品ブロックである。
【0081】
この標準システム構成調整画面は、例えば、標準システム構成図を構成する標準部品の位置及び配置順序の変更、配管の追加、継手の追加、搬送経路の変更、配管長さの変更、配管の寸法変更、並びに、要求機能の追加及び削除のうちの少なくともいずれか一つをユーザが行えるように構成されている。例えば、地面への固定が必要となる機器(例えば、熱交換器、ポンプ)を中心に、ドラッグ・アンド・ドロップや座標直接入力により、標準部品の位置が動かせるようになっている。標準部品の位置が移動された場合には、図36に示すように、調整用配管部品(modification部品)を挿入することとしてもよい。図36には、図35に示される標準システム構成図において、熱交換器の位置をずらした場合の標準システム構成図が示されている。
【0082】
また、例えば(標準部品データベース21やサプライヤ部品データベース22に登録されている)アンカーボルトによる固定位置など、ユーザが据え付けや基礎の計画をするのに必要な情報を合わせて表示しても良い。
標準システム構成図は、例えば、等角投影図を用いたアイソメ図として表示されていてもよいし、3D表示などの3次元のシステム構成図として表示されてもよい。また、流体搬送システムが設置される周辺部品の図面(例えば、2次元CADデータ、3次元CADデータ等)などが購入支援装置1に与えられた場合には、標準システム構成生成部33は、背景としてこれらの周辺部品などを標準システム構成図に含めて表示することとしてもよい。このように、周辺部品などを背景として併せて表示することにより、周辺部品との配置などを考慮して、適切な位置に標準部品を配置することが可能となる。
【0083】
また、例えば、プラント部品には、上流下流の設備構成や直管長に制約のあるケースがある。例えば、オリフィス式流量計は、計測誤差を基準内に収めるために、その前後に一定長の直管長を確保するという制約がある。また、異なる種類の計器を並べる場合、望ましい設置順がある。例えば、温度計は計測点を流体内に差し込むため、流体の流れを乱す要因となり、圧力や流量の計測結果に影響を与え得る。このため、圧力計や流量計の下流側に温度計を設置する等の制約がある。また、電磁式流量計では、流量計測部が常に流体に満たされている必要があるため、配管ルートに制約がある。また、安全弁では、後流の圧力損失が高すぎると、換言すると、配管が細すぎたり長すぎたりすると、計画の吹出量を確保できなくなるため、配管の長さや径に制約がある。
【0084】
このため、標準システム構成生成部33は、上記のような制約条件を考慮して、標準部品の配置や周囲の部品との位置関係の適切さを判定し、標準システム構成図において、変更を要する標準部品や変更した方が良い標準部品を重要度に応じて色別表示する機能を有していてもよい。このように、ユーザによる標準部品の位置変更等を支援することにより、不具合の防止、検討工数の低減に貢献することが可能となる。
【0085】
また、標準システム構成生成部33は、標準部品の変更を提案する機能を有していてもよい。例えば、フランジ継手だと寸法が合わないが、溶接継手に変更すると寸法が規定範囲内に収まるなどの提案が挙げられる。
【0086】
更に、標準システム構成生成部33は、現在の標準システム構成調整画面において、価格がより安くなる、または、ほとんど変わらない配管ルートの改良案を図示提案する機能を備えても良い。なお、ここでの評価軸はユーザが1つまたは複数選択できるようにし、価格に限らず、納期、低圧力損失、適合度、おすすめ度、配管長の短さ、等を選ぶことができるようにしてもよい。また、機械学習の結果に基づき、改良案を提案してもよい。これにより、最適な配管ルートをユーザに提供することが可能となり、ユーザの労力を軽減することが可能となる。
【0087】
更に、標準システム構成生成部33は、あるプラント部品の位置を動かすにあたり、プラント部品を選択すると、予め決めた評価軸の評価の変化の予想結果が、選択したプラント部品の周りに色の違いとして表現される機能を備えていてもよい。このように、プラント部品の移動先を視覚的に提示することで、ユーザは標準部品の配置を容易に決定することが可能となる。評価軸の一例として、価格改善の可能性あり、価格変動なし、価格変動の懸念レベル:小、中、大などがある。また、計器仕様に基づいて移動できない領域がある場合には、その領域を視覚的に提示することとしてもよい。
【0088】
更に、標準システム構成生成部33は、予め設定した評価軸の評価を高くする、あるいは、評価軸の改良案を提案する機能を備えていてもよい。これにより、空間的な配置の最適化に寄与する工夫点のみならず、プラント部品の仕様見直しによる改良が期待できる。例えば、このような提案は、購入支援装置1が蓄積している過去の事例や機械学習の結果、または、予め登録してある典型的な改良パターンにより実現することが可能である。
【0089】
更に、標準システム構成生成部33は、選定されている各標準部品の継手の仕様や配管ルートの情報から、典型的な工数を見積もり、一般的な工数単価を以って計算することで、工事費用を見積もり、システム手配の価格との合算として表示する機能を有していてもよい。更に、見積工数を上記評価軸の一つとしてもよい。このように、工事費用も含めた評価軸を用意することで、ユーザがシステム導入する際の総費用低減に寄与することが可能となる。
【0090】
ユーザは、システム構成調整画面において部品ブロックを動かす、部品ブロック同士を繋ぐ配管の寸法を変更する等の操作を行うことにより所望のシステム構成図を作図し、作図が完了すると、送信ボタンBT3を押下する。これにより、ユーザによって確定された標準システム構成図の情報が購入支援装置1に送信される。
【0091】
〔システム構成記憶部42〕
システム構成記憶部42には、ユーザによって確定された標準システム構成図に基づく情報が格納される。図37は、システム構成記憶部42に格納される情報の一例を示した図である。図37に示すように、システム構成記憶部42には、流体搬送システムを構成する各標準部品の情報がその接続順に上から順番にリスト化されて格納される。各標準部品の情報は、ブロック名、標準部品名、配管呼び径(寸法)、呼び圧力(温度圧力レーティング)、始点の座標、終点の座標、及び長さを含んでいてもよい。これらの情報は、標準部品データベース21に格納されている各標準部品の仕様情報等に基づいて作成される。また、システム構成記憶部42には、更に、参考納期、参考価格などが関連付けられて格納されてもよい。
このように、システム構成記憶部42には、後続の処理である部品選定に必要な情報(主要機器の仕様情報、寸法(呼び径)、呼び圧力(温度圧力レーティング)、座標情報等)が関連付けられて登録される。
【0092】
〔標準システム選定部34〕
標準システム選定部34は、システム構成記憶部42に格納された各標準部品のうち、所定の標準部品については仕様のそれぞれ異なる複数の標準部品を選定し、複数の標準システム構成候補を生成する。所定の標準部品の一例として、ポンプ、流量を調整する機能を有するプラント部品(例えば、ニードル弁、流量調整弁、流量制御弁等)などが挙げられる。
【0093】
更に、標準システム選定部34は、複数の標準システム構成候補のそれぞれについて、その構成部品である標準部品に対応する計算ブロックを流体計算ブロックデータベース23から取得し、取得した計算ブロックを接続順序に従ってつなぎ合わせることにより、計算ブロックチェーンを生成する。そして、標準システム選定部34は、計算ブロックチェーンに対して入力条件(例えば、圧力、温度、流量等の入口条件)を与えることにより、流体搬送システムの出口条件(例えば、圧力、温度、流量等の出口条件)を算出する。
【0094】
図38は、計算ブロックチェーンの一例を示した図である。図38において、例えば、「Bv」は標準ボール弁計算ブロック、「Piping」は標準配管計算ブロック、「Pump」は標準ポンプ計算ブロック(口径調整用のレデューサを含む)、「Elbow」は標準エルボ計算ブロック、「FT」は標準流量計計算ブロックを示している。また、「Nv」は標準ニードル弁計算ブロック、「Control Valve」は標準調節弁計算ブロックを示している。
【0095】
標準システム選定部34は、計算ブロックチェーンの最初の計算ブロックBL1に流体の入力条件、具体的には、圧力、温度、流量を入力する。最初の計算ブロックBL1において算出された出口条件は、次の計算ブロックBL2に入力条件として与えられる。そして、計算ブロックをつなぎ合わされた順番で、出口条件の計算が順次行われることにより、最終的に終点となる計算ブロックBLnにおいて出力条件が算出される。ここで、出力条件の演算は、流量調整に用いるプラント部品(以下「流量調整部品」という。)を終点となる計算ブロックBLnとして設定するとよい。ここで、流量調整部品として、流量調整弁、ニードル弁、オリフィスなどが挙げられる。
【0096】
計算ブロックチェーンでは、各系統の入力端(例えば、低温流体Input側、高温流体Input側)及び各系統の出力端(例えば、低温流体Output側、高温流体Output側)の各々から終点である流量調整部品に向けて流体計算が順次行われることとなる。そして、標準システム選定部34は、流量調整部品の流体条件を算出すると、算出した流体条件に基づいて流量調整部品の適合性を判定する。具体的には、流量調整部品として選定した標準部品が流体条件に適合する仕様であるかを判定する。
【0097】
この結果、標準システム選定部34は、標準部品が流体条件に適合できていないと判定した場合には、流量調整部品として選定した標準部品を流体条件に適合する標準部品に変更してもよい。また、適合しない旨をユーザに通知することで、標準部品の再選定を行わせることとしてもよい。また、流量調整部品が標準流体搬送システムに含まれていない場合には、必要な仕様とともにオリフィスやニードル弁の追加を提案することとしてもよい。
標準システム選定部34は、複数の標準システム構成候補のそれぞれに対して計算ブロックチェーンを生成し、各流量調整に用いるプラント部品の運転条件を算出する。
【0098】
また、標準システム選定部34は、例えば、最高到達点での流体流れ診断機能、NPSH(Net Positive Suction Head:正味吸込ヘッド)計算機能、ハンマー診断機能、騒音計算機能、各部品の設計圧力温度の妥当性診断機能などの他の計算機能を有していてもよい。
最高到達点での流体流れ診断機能は、各標準部品の座標情報から流体搬送システムの最高到達点の座標情報及びその部品を特定し、その部品に対応する計算ブロックにおいて入口条件及び出口条件の圧力条件が所定の閾値以上であるかを判定する。これにより、選定した標準部品によって流体を搬送する際に、最高到達点にある部品において最低流量以上の流量が確保できるのかを確認することができる。また、最低流量が確保できていないと判定した場合には、例えば、その標準システム構成候補におけるポンプの仕様を変更することにより、最高到達点にある部品において最低流量が確保できるように調整してもよい。
【0099】
また、NPSH計算機能は、ポンプや圧縮機の吸込側の制約条件を満たしているか否かを判定する機能、騒音計算は騒音が所定の閾値以下であるか否かを判定する機能、ハンマー診断機能は、ハンマー現象(水撃現象)が発生する可能性があるか否かを判定する機能である。
また、各部品の設計圧力温度の妥当性診断機能は、各部品における運転圧力温度が設計圧力温度を下回っているか、換言すると、運転条件が各部品の呼び圧力の範囲内に入っているか否かを判定する機能である。例えば、ポンプで昇圧すると、ポンプの性能によっては、ポンプ以後のプラント部品の呼び圧力が変わる場合がある。このような場合を考慮して、各部品の設計圧力温度の妥当性を診断することで、適切な部品、例えば、より高圧に耐える部品等を選定する必要性をユーザに伝えることができる。
標準システム選定部34は、各標準システム構成候補について、主要機器である熱交換器の情報、所定の標準部品(例えば、ポンプ、ニードル弁、流量調整弁等)の情報が示された標準システム選定画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。
【0100】
図39は、標準システム選定画面の一例を示した図である。標準システム選定画面には、各標準システム構成候補について、主要機器の情報とともに、低温流体側系統及び高温流体側系統のそれぞれにおいて、予め設定された主要なプラント部品、例えば、ポンプの情報、流量調整部品の情報(例えば、流量範囲、開度情報等)が表示される。また、上述した各計算機能による診断結果、例えば、最高到達点において最低流量が確保できるか否かの診断結果、NPSHの計算結果、ハンマー危険性、騒音レベル、各部品の設計圧力温度の妥当性診断結果等についても判断材料の一つとして表示されてもよい。
このように各計算機能による診断結果を表示することにより、ユーザに様々な観点に基づく判断材料を与えることができ、最もニーズに合った標準システム構成候補を選定させることが可能となる。更に、標準システム選定画面には、価格、納期などの情報が併せて表示されてもよい。
【0101】
なお、標準システム選定画面は、高温流体側系統と低温流体側系統の主要部品の組み合わせをそれぞれ個別に設定しても良い。高温流体側系統の主要部品として、例えば、流量調整弁が挙げられる。また、低温流体側系統の主要部品として、ポンプ、ニードル弁などが挙げられる。
標準システム選定画面において、ユーザはニーズに合う標準システム構成候補を選択し、送信ボタンBT4を押下する。これにより、ユーザによって選択された標準システム構成候補の情報が購入支援装置1に送信される。
【0102】
なお、標準システム選定画面において、複数の部品候補を表示してユーザが選択できるような構成としてもよい。また、各主要部品の特性を表やグラフなどにより比較表示することで、複数の部品候補の特性を比較しながらユーザが選定できるような構成としてもよい。また、ユーザが所望する標準システム構成候補が得られない場合には、主要機器の再選定からやり直すこととしてもよい。
【0103】
標準システム選定部34は、ユーザによって選択された標準システム構成候補の情報に基づいてシステム構成記憶部42の情報を更新する。すなわち、図37に示した各種情報(流体搬送システムを構成する各標準部品名および仕様データ等)がユーザによって選定された標準システム構成候補の情報に基づいて更新される。
【0104】
〔サプライヤ部品選定部35〕
サプライヤ部品選定部35は、サプライヤ部品データベース22から標準システム構成図を構成する標準部品毎にそれぞれ対応する1又は複数のサプライヤ部品を選定する。具体的には、サプライヤ部品選定部35は、システム構成記憶部42に格納されている各標準部品に対応するプラント部品(以下、「サプライヤ部品」という。)をサプライヤ部品データベース22から選定する。このとき、サプライヤ部品選定部35は、各標準部品に対して、異なるサプライヤが販売する複数のサプライヤ部品を選定するとよい。
例えば、サプライヤ部品選定部35は、標準部品毎に、その標準部品名および仕様データに基づいて条件に合致する複数のサプライヤ部品を選定するとともに、そのサプライヤ部品の価格、納期、オプション情報をサプライヤ部品データベース22から取得する。例えば、バルブの場合、呼び圧力とサイズ(例えば、呼び径)に基づいてサプライヤ部品が選定される。
【0105】
ここで、サプライヤによっては、サプライヤ部品を選定する際に、独自の要件を必要とする場合があり、この場合には、ユーザにその情報について問い合わせる必要がある。このような場合には、サプライヤ部品選定部35は、必要な情報を入力させる入力フォーム等をクライアント端末70に表示させることにより、追加入力をユーザに問い合わせることとしてもよい。
【0106】
このようにして、サプライヤ部品選定部35は、熱交換器、ポンプ、配管、ボール弁、流量調整弁などの各標準部品のそれぞれに対応する1又は複数のサプライヤ部品(例えば、A社、B社、C社等のサプライヤ部品)を選定すると、選定したサプライヤ部品の情報を各標準部品と関連付けて部品候補記憶部43に格納する。
【0107】
〔部品候補記憶部43〕
部品候補記憶部43には、標準システム構成図を構成するブロック毎にサプライヤ部品の情報が関連付けられて格納される。図40は、部品候補記憶部43に格納されるデータの一例を示した図である。図40に示すように、部品候補記憶部43には、構成要素(ブロック名)に関連付けられてサプライヤ、型番、製品名、仕様情報、価格及び納期情報が格納される。ここで、サプライヤ、型番、製品名、仕様情報、価格及び納期情報は、サプライヤ部品データベース22から取得した情報を書き込めばよい。
【0108】
〔選定候補生成部36〕
選定候補生成部36は、部品候補記憶部43に格納された複数のサプライヤ部品に基づいて、流体搬送システムを構成するサプライヤ部品の組み合わせであるシステム構成候補を少なくとも一つ生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。
具体的には、選定候補生成部36は、部品候補記憶部43に格納された複数のサプライヤ部品の中から所定の評価基準に従って複数のシステム構成候補を生成する。評価基準として、例えば、最安値、最短納期、低価格及び短納期、及びおすすめが挙げられる。
【0109】
最安値は、流体搬送システムを構成するプラント部品のトータル金額が最も安いサプライヤ部品の組み合わせ候補であり、最短納期は、流体搬送システムを構成するプラント部品の納期が最も早いサプライヤ部品の組み合わせである。また、低価格及び短納期は、価格と納期の両方から評価したものであり、例えば、価格と納期をパラメータとして含む評価演算式にそれぞれの値を代入することにより得た評価値が最も高いサプライヤ部品の組み合わせである。また、おすすめは、例えば、価格及び納期に加えて他の評価指標を加えた総合的評価値が最も高い部品の組み合わせである。例えば、価格、納期、口コミ(ユーザによる過去の評価情報)のそれぞれの評価値を所定の評価値演算式に代入することにより、サプライヤ部品毎にそれぞれ総合評価値を算出し、算出した総合評価値が最も高いサプライヤ部品の組み合わせを特定する。
【0110】
評価値演算式は、任意に設定できる。例えば、各項目の評価を10点満点で評価し、それぞれを加算した値としてもよいし、各項目に重み係数を設定し、各項目における点数と重みづけ係数とを乗じたものを加算した値としてもよい。また、購入支援装置1の運営者の過去実績又は過去の類似設計実績、若しくは購入支援装置1の運用による過去実績等を用いて機械学習し、機械学習結果に近いものから、おすすめ順として示しても良い。
【0111】
選定候補生成部36は、各評価基準に基づいて、複数のシステム構成候補を生成すると、これらが比較可能に示された比較選定画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。
【0112】
図41は、比較選定画面の一例を示した図である。図41に示した比較選定画面では、パターン1として最安値のシステム構成候補が、パターン2として最短納期のシステム構成候補が、パターン3として低価格及び短納期の両面から評価されたシステム構成候補が、パターン4としておすすめのシステム構成候補が示されている。また、各システム構成候補について、各プラント部品のサプライヤ、製品名、価格、納期、及びユーザ評価が表示される。この比較選定画面において、ユーザは所望のパターンを選択することができる。
【0113】
また、比較選定画面には、個別選択ボタンBT5が設けられている。この個別選択ボタンBT5は、各プラント部品をユーザが選定できる個別選択画面に遷移するためのボタンである。図42に、個別選択画面の一例を示す。個別選択画面では、流体搬送システムを構成する構成要素毎、換言すると、標準システム構成図に示されたブロック毎に、サプライヤ部品の情報が表示される。また、各サプライヤ部品は、価格順、納期順、おすすめ順に表示することが可能である。表示順序の切り替えは、例えば、タブ(図示略)を切り替えることにより可能となる。
【0114】
ユーザは、比較選定画面においていずれかのシステム構成候補を選択すると、又は、個別選択画面において各構成要素のサプライヤ部品を特定することにより、流体搬送システムを構成する各構成要素に対応するサプライヤ部品を選定すると、確定ボタンBT6を押下する。
これにより、ユーザによって選定された各構成要素に対応するサプライヤ部品の情報が購入支援装置1に送信される。このようにしてユーザによって選定されたサプライヤ部品の情報は、各構成要素の情報に関連付けられて選定部品記憶部44に格納される。
【0115】
〔選定部品記憶部44〕
選定部品記憶部44には、流体搬送システムを構成する構成要素毎に対応するサプライヤ部品の情報が格納される。更に、選定部品記憶部44には、各サプライヤ部品に対応して座標情報が格納される。図43は、選定部品記憶部44に格納されるデータの一例を示した図である。図43に示すように、選定部品記憶部44には、各プラント部品に対応するサプライヤ部品の情報及び座標情報が関連付けられて登録される。サプライヤ部品の情報は、例えば、部品候補記憶部43から取得した情報であり、座標情報は、システム構成記憶部42から取得した情報である。
また、選定部品記憶部44において、各サプライヤ部品は、例えば、図35に示したシステム構成図における搬送始点から搬送終点までのプラント部品の配置順にリスト化されて格納されてもよい。
【0116】
〔システム構成生成部37〕
システム構成生成部37は、選定部品記憶部44に格納されたサプライヤ部品の情報及び座標情報に基づいて、搬送始点から搬送終点までをつなぐシステム構成図を生成し、生成したシステム構成図を含むシステム構成調整画面を生成し、この画面データをクライアント端末70の表示部に表示させる。図44にシステム構成調整画面の一例を示す。図44に示すように、システム構成調整画面には、サプライヤ部品を用いて生成されたシステム構成図とともに、選定部品の詳細情報が表示される。図44に示されるシステム構成図には、調整用配管部品(modification部品)が含まれている。これは、標準部品に代えてサプライヤ部品を採用したことによる配管誤差分を示したものである。
【0117】
すなわち、図35及び図36に示した標準システム構成図は、標準部品を用いて作成されているのに対し、図44に示したシステム構成図は、サプライヤ部品を用いて作成されている。このため、標準部品の代表的仕様とサプライヤ部品の仕様との誤差により、搬送終点の位置がユーザの要求した搬送終点の座標と異なる可能性がある。そこで、その誤差分を配管調整用部品としてシステム構成図に示し、ユーザに、この配管調整用部品が不要となるように各構成部品の位置や配管の長さを調整させる。これにより、サプライヤ部品を使用した場合の誤差を解消でき、要求入力画面(図14参照)において入力された搬送始点及び搬送終点の条件を満たすことが可能となる。
ユーザは、調整が終了すると、送信ボタンBT7を押下する。これにより、調整後のシステム構成図の情報、具体的には、各構成要素の調整後の座標情報及び長さが購入支援装置1に送信される。システム構成生成部37は、調整後の情報を受信すると、この情報に基づいて選定部品記憶部44に格納されている各構成部品の座標情報や長さを更新する。
【0118】
〔仕様確認部38〕
仕様確認部38は、調整後のシステム構成図のデータ、すなわち、選定部品記憶部44に格納されている更新後のデータに基づいて、改めて性能計算を行う。例えば、仕様確認部38は、流体計算ブロックデータベース23に格納されている複数の計算ブロックの中から、選定部品記憶部44に格納されている各サプライヤ部品に対応する計算ブロックを取得し、取得した計算ブロックを配置順序に基づいてつなぎ合わせて、計算ブロックチェーンを生成する。そして、仕様確認部38は、作成した計算ブロックチェーンに対して入力条件(例えば、圧力、温度、流量)を与えることにより、流体搬送システムの流体条件(例えば、圧力、温度、流量)を算出する。また、仕様確認部38は、例えば、最高到達点での流体流れ診断機能、NPSH計算機能、ハンマー診断機能、騒音計算機能、各部品の設計圧力温度の妥当性診断結果などの他の計算機能を有していてもよい。
【0119】
仕様確認部38は、性能計算が終了すると、この性能計算結果等を含む最終確認画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。これにより、クライアント端末70の表示部には、最終確認画面が表示される。
図45は、最終確認画面の一例を示した図である。最終確認画面には、選定部品(ユーザによって選定されたサプライヤ部品)を用いて流体搬送システムを構成したときの性能情報が表示される。具体的には、最終確認画面には、主要機器である熱交換器の仕様(例えば、熱交換量、高温流体の出口温度、高温流体の流量、低温流体の出口温度、低温流体の流量、伝熱面積、熱交換器のサイズ等)等が表示される。
【0120】
また、最終確認画面には、低温流体側系統及び高温流体側系統における主要なプラント部品の情報、並びに、上述した各計算機能による診断結果、例えば、最高到達点において最低流量が確保できるか否かの診断結果、NPSH、ハンマー危険性、騒音レベル、各部品の設計圧力温度の妥当性診断結果等が表示されてもよい。更に、最終確認画面には、価格、納期情報が併せて表示されるとともに、選定部品の詳細情報(例えば、サプライヤ、型番、製品名、価格、個数等)が表示される。
そして、ユーザにより確認ボタンBT8が押下されると、注文予約が確定され、注文予約情報が購入支援装置1に送信される。
【0121】
〔発注支援部39〕
発注支援部39は、注文予約の情報をクライアント端末70から受信すると、最終確認が行われたサプライヤ部品の発注を支援する。
まず、発注支援部39は、ユーザによって最終確認が行われたサプライヤ部品の情報を発注予約情報として発注データベース24に格納する。発注データベース24には、ユーザ別に発注に関する情報が格納されている。発注に関する情報として、発注予約情報、発注履歴、発注状況等が挙げられる。発注予約情報には、選定部品記憶部44に格納されているサプライヤ部品のデータ(図43参照)が登録されている。
【0122】
続いて、発注支援部39は、発注データベース24に格納されている当該流体搬送システムの発注予約情報に基づいて注文予約画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。
注文予約画面には、流体搬送システムの価格及び納期、発注予約日が表示される。また、注文予約画面には、ユーザによるシステム発注を支援するための各種機能が表示される。図46は、注文予約画面の一例を示した図である。図46に示した注文予約画面では、システム発注を支援するための機能の一例として、オプション選択、見積書確認、仕様書確認、見積更新が表示されている。
【0123】
例えば、オプション選択は、流体搬送システム全体又は流体搬送システムを構成する各サプライヤ部品のオプション情報をユーザに提示し、必要なオプション情報を選択させる機能である。
また、見積書確認は、現在発注予定であるサプライヤ部品の見積書をユーザに提示する機能である。例えば、注文予約画面に設けられた見積書確認ボタンBT11がユーザによって押下されると、発注支援部39は、発注予約情報から流体搬送システムを構成する各サプライヤ部品の価格及び納期情報を取得し、取得したこれらの情報に基づいて見積書を作成する。また、発注予約情報にオプション情報が登録されていた場合には、オプション情報についても含めた見積書を作成する。そして、見積書をユーザに提示するための見積書確認画面を生成し、クライアント端末70に表示させる。
【0124】
また、仕様書確認は、現在発注予定であるサプライヤ部品の仕様書をユーザに提示する機能である。例えば、注文予約画面に設けられた仕様書確認ボタンBT12がユーザによって押下されると、発注支援部39は、発注予約情報から流体搬送システムを構成する各サプライヤ部品の仕様情報を取得し、取得したこれらの情報に基づいて仕様書を作成する。そして、仕様書をユーザに提示するための仕様書確認画面を生成し、クライアント端末70に表示させる。
また、見積更新は、見積書の有効期限がもう少しで過ぎそうな発注予約又は既に見積書の有効期限が過ぎてしまった発注予約に対して、現在の発注予約情報に基づく見積書の更新をユーザが指示するための機能である。
【0125】
そして、注文予約画面において、ユーザにより発注ボタンBT14が押下されると、発注を指示する発注指示情報が購入支援装置1に送信される。発注支援部39は、発注指示情報を受信すると、発注予約情報に基づいて各サプライヤ端末80(図1参照)に対してサプライヤ部品の発注を行う。
【0126】
次に、本実施形態に係る購入支援方法について、図47を参照して簡単に説明する。以下に示す一連の処理は、プログラム(例えば、購入支援プログラム)として購入支援装置1が備える補助記憶装置12に格納されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ13に読み出して実行することにより実現される。
【0127】
図47は、本実施形態に係る購入支援方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下、説明の便宜上、あるタンクからあるタンクまで水を搬送する流体搬送システムの購入を希望する場合の購入支援方法について説明する。
【0128】
まず、購入支援装置1は、図6図25に示したような対話型の条件入力画面をクライアント端末70に送信し、表示させることにより、流体搬送システムのプラント部品購入において必要となる各種情報をユーザに入力させる(SA1:条件入力支援工程)。条件入力支援工程において入力された情報は選定条件として選定条件記憶部41に格納される。
【0129】
続いて、購入支援装置1は、選定条件に基づいて主要機器に対応する標準部品を特定する(SA2:標準機器選定工程)。具体的には、選定条件記憶部41に格納されている選定条件に基づいて、主要機器の仕様を特定し、標準部品データベース21から主要機器の仕様に近い複数の標準部品を選定し、選定した複数の標準部品を主要機器の部品候補としてクライアント端末70に表示させる。そして、ユーザによって選定された部品候補を主要機器の標準部品として特定する。なお、選定条件に基づいて主要機器の仕様を特定できない場合には、主要機器の仕様を特定するために必要となるパラメータ項目の条件をユーザに入力させるための条件設定支援画面をクライアント端末70に表示させ、ユーザによって入力された条件を用いて主要機器の仕様を特定する。
【0130】
続いて、購入支援装置1は、選定条件に基づいて流体搬送システムを構成する複数のプラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の標準部品と主要機器に対応する標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、ユーザに標準システム構成の調整を行わせる(SA3:標準システム構成生成工程)。具体的には、選定条件記憶部41に格納された選定条件に基づいて、流体搬送システムを構成する標準部品を標準部品データベース21から取得するとともに、標準機器選定工程で特定された主要機器の標準部品を取得し、搬送始点から搬送終点までをつなぐ配管ルート上に標準部品を順番に配置することで標準システム構成図を生成する。そして、標準システム構成図を含む標準システム構成調整画面(図35図36参照)をクライアント端末70の表示部に表示させ、ユーザに標準システム構成図の調整を行わせる。ユーザによって確定された標準システム構成図に基づく情報は、システム構成記憶部42に格納される(図37参照)。
【0131】
続いて、購入支援装置1は、複数の標準システム構成候補を生成し、これらを比較可能に示した標準システム選定画面を生成し(図39参照)、ユーザに所望の標準システム構成候補を選択させる(SA4:標準システム選定工程)。このとき、購入支援装置1は、標準システム構成候補毎に計算ブロックチェーンを生成し、計算ブロックチェーンに対して入力条件を与えることにより、各標準システム構成候補に含まれる流量調整に用いるプラント部品である流量調整部品の流体条件を算出し、算出した流体条件に応じて流量調整部品の適合性を判定する。そして、購入支援装置1は、流体条件に適合すると判定した流量調整部品の条件等が含まれる標準システム選定画面を生成し、クライアント端末70の表示部に表示させる。表示システム選定画面においていずれか一つの標準システム構成候補が選択されると、選択された標準システム構成候補の情報に基づいてシステム構成記憶部42の情報を更新する。
【0132】
次に、購入支援装置1は、システム構成記憶部42に格納されている各標準部品に対応する1又は複数のサプライヤ部品をサプライヤ部品データベース22から選定し、選定したサプライヤ部品の情報を各標準部品と関連付けて部品候補記憶部43に格納する(SA5:システム部品選定工程)。
【0133】
続いて、購入支援装置1は、部品候補記憶部43に格納された複数のサプライヤ部品の中から所定の評価基準に従って複数のシステム構成候補を生成し、これらを比較可能に示した比較選定画面を生成し(図41参照)、ユーザに所望の選定パターン候補を選択させる(SA6:選定候補生成工程)。購入支援装置1は、ユーザによっていずれかのシステム構成候補が選択されると、選択されたシステム構成候補の情報を座標情報と共に選定部品記憶部44に格納する。
【0134】
続いて、購入支援装置1は、選定部品記憶部44に格納されたサプライヤ部品の情報および座標情報に基づいて、搬送始点から搬送終点までをつなぐシステム構成図を生成し、生成したシステム構成図を含むシステム構成調整画面を生成し(図44参照)、ユーザにシステム構成を調整させる(SA7:システム構成生成工程)。購入支援装置1は、ユーザによってシステム構成が調整されると、調整後のシステム構成に基づいて選定部品記憶部44の情報を更新する。
【0135】
次に、購入支援装置1は、調整後のシステム構成図に基づいて性能計算を行い、性能計算結果等を含む最終確認画面(図45参照)を生成し、ユーザに確認させる(SA8:仕様確認工程)。購入支援装置1は、ユーザによって注文予約が確定されると、最終確認が行われたサプライヤ部品の情報を発注予約情報として発注データベース24に格納する。
【0136】
続いて、購入支援装置1は、発注データベース24に格納されている当該流体搬送システムの発注予約情報に基づいて注文予約画面を生成し、ユーザにオプション選択等の情報を提供する(SA9:発注支援工程)。そして、購入支援装置1は、ユーザから発注指示を受信すると、発注予約情報に基づいて各サプライヤに対してサプライヤ部品の発注を行うとともに、当該発注予約情報を発注情報に変更する。
【0137】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る購入支援装置1、購入支援方法、及び購入支援プログラムによれば、ユーザが購入を希望する流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援部31と、選定条件に基づいて機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベース21から、主要機器の仕様に近い複数の標準部品を選定し、選定した複数の標準部品を機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定部32と、選定条件に基づいて流体搬送システムを構成する複数のプラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の標準部品とユーザによって選択された部品候補に対応する標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末70に表示させる標準システム構成生成部33とを備えている。
【0138】
これにより、ユーザは、選定条件を入力するという簡単な操作を行うだけで、選定条件に適合する複数の標準部品が特定され、特定された複数の標準部品からなる標準システム構成図が生成される。したがって、この標準システム構成図に基づいて容易に流体搬送システムを構成する複数のプラント部品を選定することが可能となる。
また、相互に作用する複数の流体が流入するような主要機器は、熱、圧力等の複数のパラメータ条件を満足する必要がある。このような主要機器にあっては、流体計算が複雑になり、選定が難しい。この点、本実施形態によれば、選定条件に基づいて自動的に複数の部品候補がユーザに提示されるので、これらのうちの一つを選択するという簡単な操作で所望の主要機器を選定することが可能となる。これにより、例えば、図48に示すような複数の系統を有する複雑な流体搬送システムであっても、システム全体を構成する各プラント部品を容易に選定することが可能となる。
【0139】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る購入支援装置1a、購入支援方法、及び購入支援プログラムについて、図面を参照して説明する。本実施形態に係る購入支援装置1aは、上述した第1実施形態に係る購入支援装置1のシステムを簡素化した構成とされている。以下、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0140】
図49は、本実施形態に係る購入支援装置1aが備える機能の一例を示した機能構成図である。図49に示すように、購入支援装置1aは、標準部品データベース21を備えていてもよい。また、購入支援装置1aは、流体計算ブロックデータベース23及び発注データベース24を備えていてもよい。また、購入支援装置1aは、条件入力支援部31、標準機器選定部32、標準システム構成生成部33、注文仕様書作成部61、注文仕様書提供部62、見積書取得部63、比較選定画面生成部64、及び発注支援部65を備えていてもよい。また、購入支援装置1aは、システム部品を選定する上で、各種データを格納する記憶領域として、選定条件記憶部41、システム構成記憶部42、及び見積書記憶部46を備えていてもよい。
【0141】
条件入力支援部31は、第1実施形態と同様に、ユーザが購入を希望する流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する。標準機器選定部32は、選定条件に基づいて主要機器(例えば、熱交換器)の仕様を特定し、特定した仕様に対応する標準部品を標準部品データベース21から選定する。また、選定条件だけでは主要機器の仕様を特定できない場合には、条件設定支援画面をユーザに提示することにより、仕様を特定するのに必要となるパラメータ項目の条件指定を支援し、入力された条件に基づいて主要機器の仕様を特定する。標準システム構成生成部33は、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベース21から選定条件に基づいて流体搬送システムを構成する複数の要素部品にそれぞれ対応する複数の標準部品を特定し、標準システム構成図を生成する。
【0142】
システム構成記憶部42には、ユーザによって確定された標準システム構成図に基づく情報が格納される(図37参照)。システム構成記憶部42に格納されるデータは、上述した第1実施形態と同様のため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0143】
注文仕様書作成部61は、標準システム構成生成部33によって特定された複数の標準部品で構成された標準流体搬送システムに基づいて、注文仕様書を作成する。このとき、注文仕様書作成部61は、クライアント端末70に所望のオプションを指定するための画面を提示し、ユーザに必要なオプションを選択させることとしてもよい。
【0144】
注文仕様書作成部61は、標準流体搬送システムを構成する要素部品毎に、例えば、熱交換器、弁、ポンプ、流量計、圧力計、配管・継手等のそれぞれについて、その要素部品に対応する標準部品の仕様に基づいて、それぞれ注文仕様書を作成する。すなわち、要素部品毎に注文仕様書が作成される。また、オプションが指定されていた場合には、オプションの情報を含めた注文仕様書が作成される。注文仕様書は、例えば、性能面の要求仕様項目、性能面以外の要求仕様、ユーザの個別要求仕様を含んでいてもよい。
【0145】
本実施形態では、一例として、注文仕様書は、表紙、一般項目、性能面以外の要求仕様、性能面の要求仕様、ユーザの個別要求仕様で構成されている。
一般項目には、例えば、選定、適用範囲、見積時の注意事項、設計時の注意事項などが記載される。一般項目の内容は、プラント機器・部品の種類によって異なるが、同じ種類では同じ内容とされている。例えば、プラント機器・部品の種類毎に一般項目の記載内容を格納した仕様書一般項目データベース(図示略)を事前に用意しておき、注文仕様書作成部61が、仕様書の発行対象となるプラント機器・部品の種類に該当する記載内容を仕様書一般項目データベースから読み出して、一般項目の記載を自動的に作成することとしてもよい。
【0146】
性能面以外の要求仕様として、例えば、塗装、銘板、検査、図面などに対する要求が挙げられる。性能面以外の要求仕様は、例えば、塗装仕様、提出図面、検査の種類、梱包、品質要求、銘板等の各項目を対話形式または一覧形式でユーザが選択することで決定できる仕組みとしてもよい。
【0147】
例えば、各項目について、選択結果と記載内容とを関連付けたデータベースを予め用意しておく。そして、注文仕様書作成時において、ユーザによって各項目について選択された選択結果に該当する記載内容をデータベースから読み出して当該項目の記載内容を自動的に作成することとしてもよい。また、ユーザ毎に、各項目についての記入内容の履歴(実績)を記憶しておき、履歴情報からユーザが選択することで、2回目以降の記入を簡略化するような構成としてもよい。また、ユーザの登録する勤務先などの情報から候補を自動入力した状態でユーザに提示することとしてもよい。
【0148】
性能面の要求仕様は、主に、システム構成記憶部42に格納されているデータに基づいて自動的に作成される。例えば、配管や弁の場合、注文仕様書作成部61は、システム構成記憶部42から対象部品に対応する標準部品名、配管呼び径、呼び圧力(温度圧力レーティング)、始点の座標、終点の座標、及び長さ等の情報を取得し(図37参照)、取得した情報に基づいて要求仕様書を作成する。
【0149】
また、購入支援装置1aは、要求仕様書に記載された要求仕様データ(機能面、機能面以外の両方を含む)を記憶するための要求仕様記憶部(図示略)を有しており、注文仕様書作成部61が、作成した要求仕様書の要求仕様データを要求仕様記憶部に格納することとしてもよい。図50に、要求仕様データの一例を示す。図50に示すように、要求仕様データには、プラント部品毎に、部品名、要求仕様(性能面に関する要求仕様)、前提条件、性能面以外の要求仕様、性能面の追加要求仕様、オプション、座標(始点・終点)及び長さ、入口条件(圧力、温度、流量など)、出口条件(圧力、温度、流量など)が登録されている。このうち、部品名、要求仕様(性能面に関する要求仕様)、前提条件、座標(始点・終点)及び長さ、入口条件(圧力、温度、流量など)、出口条件(圧力、温度、流量など)については、上述したシステム構成記憶部42から取得した情報が登録される。また、前提条件、性能面の追加要求仕様、オプションについては、上述した性能面以外の要求仕様と同様に、対話形式で入力される情報とされてもよい。
【0150】
注文仕様書提供部62は、注文仕様書作成部61によって作成された各要素部品に対応する注文仕様書を、その要素部品を供給可能な複数のサプライヤ端末80に対して閲覧可能に提供することで、見積依頼を行う。例えば、注文仕様書提供部62は、注文仕様書を含むとともに、見積書の作成に必要な情報が示された見積依頼画面を生成し、見積依頼画面の情報(例えば、見積依頼画面へのアクセス情報)を予め登録されている複数のサプライヤ端末80に対して公募の形で送信する。上記見積書の作成に必要な情報とは、例えば、購入対象の情報(例えば、ポンプ、配管、弁等)、募集期間、希望納期等である。
また、ユーザが見積依頼を行うサプライヤを指定できる構成としてもよい。この場合、注文仕様書提供部62は、ユーザによって指定されたサプライヤのサプライヤ端末80に限定して見積依頼を行う。
【0151】
図51に、サプライヤ端末80に表示される見積依頼画面の一例を示す。サプライヤ端末80には、例えば、そのサプライヤが現在受信している見積依頼が一覧として表示される。図51に示すように、見積依頼画面には、依頼先の企業名、案件名、見積提出期限等が表示される。また、見積依頼画面には、Deviation and Clarification(以下「デビクラ」という。)のやり取りの可否、納品先情報等が表示されてもよい。ここで、Deviationとは、注文仕様書に対して、対応できない項目がある場合に、サプライヤが注文者に申し出る項目である。例えば、最高使用温度350℃のスチームトラップが要求されているが、サプライヤが提供できるのは320℃までの場合、320℃までなら対応できる旨をDeviationで申し出る。また、Clarificationとは、注文仕様書に対して、記載内容に対する確認事項がある場合に、サプライヤが注文者に申し出る項目である。例えば、単位の書き間違えを指摘し、認識が正しいかなどをClarificationで確認する。また、見積依頼画面には、注文仕様書を表示させるための情報が表示されていてもよい。
サプライヤは、サプライヤ端末80に表示された見積依頼画面を確認し、見積回答をしたい案件を選択する。これにより、見積書を添付するための入力画面が表示される。サプライヤによって見積書が添付され、送信操作が行われると、見積書がその案件情報と関連付けられて購入支援装置1aに送信される。
【0152】
見積書取得部63は、サプライヤ端末80から案件情報に対応付けられた見積書を受信すると、受信した見積書を見積書記憶部46に格納する。これにより、見積書記憶部46には、受信した見積書が案件情報と関連付けられて格納される。
【0153】
比較選定画面生成部64は、当該案件情報に関する複数の見積書に基づいて、要素部品毎に1又は複数のサプライヤ部品に関する納期及び価格が比較可能に示された比較選定画面をクライアント端末70から閲覧可能に生成する。例えば、比較選定画面生成部64は、公募期間が終了すると、見積書記憶部46から要素部品毎に見積書を取得し、取得した見積書に基づいて比較選定画面を生成する。図52は、要素部品がポンプの場合の比較選定画面の一例を示した図である。図52に示すように、比較選定画面には、例えば、サプライヤの企業名、見積価格及び納期が比較可能に表示されている。また、比較選定画面には、ユーザによって指定されたサプライヤであるか否かの別(指名又は公募)、見積期限、デビクラのやり取りの可否等が含まれていてもよい。また、比較選定画面には、見積書、見積仕様書、注文仕様書が閲覧可能に含まれていてもよい。
【0154】
発注支援部65は、比較選定画面生成部64において、ユーザによって発注を行いたいサプライヤ部品が選択されて発注操作が行われると、このサプライヤ部品のサプライヤに対して発注を行う。発注情報は、例えば、発注データベース24に記憶され管理されてもよい。
【0155】
以上説明してきたように、本実施形態に係る購入支援装置1a、購入支援方法、及び購入支援プログラムによれば、標準システム構成生成部33によって生成された標準システム構成図に基づいて注文仕様書が自動的に作成されるので、ユーザの負担軽減及び作業時間削減を図ることが可能となる。また、経験の浅いユーザでも容易に注文仕様書を得ることができる。
【0156】
また、本実施形態に係る購入支援装置1aによれば、注文仕様書を複数のサプライヤに送信するとともに見積依頼を行う。これにより、複数のサプライヤの価格や納期を比較することが可能となり、最も条件のよいサプライヤ部品を容易に選択することが可能となる。また、価格と納期の両方において要求を満足するサプライヤ部品を容易に選択することが可能となる。また、比較選定画面から所望のサプライヤ部品を選択するという非常に簡便な入力操作によって、流体搬送システムを構成する各サプライヤ部品の発注を行うことが可能となる。これにより、複数のプラント部品を容易にかつ効率的に手配することが可能となる。よって、条件入力から購入までの期間を効果的に短縮することが可能となる。
【0157】
また、本実施形態に係る購入支援装置1aによれば、注文仕様書の要求仕様をデジタルデータとして取り扱う。これにより、サプライヤは、デジタルデータの注文仕様書を流用して、自動で見積書、見積仕様書、外形図などの提出書類を作成することが可能となる。これにより、紙ベースの注文仕様書を受け取る場合と比べて、サプライヤの負担を大幅に削減することが可能となる。
【0158】
また、本実施形態に係る購入支援装置1aによれば、注文仕様書における一般項目、要求仕様を自動的に作成することができ、また、自動作成が難しい性能面以外の要求仕様等についても対話形式でユーザが入力することができる。これにより、注文仕様書の作成に関するユーザの負担を大幅に削減することが可能となる。従来、表計算アプリケーション等を用いて注文仕様書を作成する場合があったが、性能面以外の要求仕様の作成については、表計算アプリケーションの形式に落とし込むことのできない内容が多く、作業性や利便性が低かった。これに対し、本実施形態では、優れた注文仕様書の作成支援機能を有しているため、注文仕様書を作成するユーザの負担や労力を軽減することが可能となる。
【0159】
また、本実施形態に係る購入支援装置1aによれば、流体の種類、運用モード、要求機能及び要求仕様等の選定条件、運転条件(例えば、入口条件、出口条件等)等、様々な情報が注文仕様書としてサプライヤに提供される。これにより、従来はユーザからサプライヤに提供されていなかった詳細な情報(例えば、運用条件等)を通知することができる。これにより、サプライヤは、これらの情報を総合的に勘案して、ユーザの要求に合致する製品を選定することが可能となる。従来は、流体の種類や運転条件等については、サプライヤに提供されていなかったため、サプライヤが過去の実績等から推測して製品を提供する場面もあったが、このような課題が改善される。
【0160】
以上、本開示について各実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0161】
例えば、上述した第1実施形態では、標準機器選定部32によって主要機器の仕様が特定された後に、標準システム構成生成部33によって標準システム構成図が生成されたがこれに限られない。例えば、主要機器の仕様が特定される前に、流入流出パターン選定画面において選定された流入流出パターンの主要機器の標準部品を用いて標準システム構成図を生成し、ユーザに提示することとしてもよい。また、主要機器の仕様が特定される前後の両方において、標準システム構成図をユーザに提示することとしてもよい。
【0162】
以上説明した購入支援装置、購入支援方法、及び購入支援プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0163】
本開示の第1態様に係る購入支援装置(1、1a)は、相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援装置(1,1a)であって、ユーザが購入を希望する前記流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援部(31)と、前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベース(21)から、前記機器の仕様に基づいて複数の前記標準部品を選定し、選定した複数の前記標準部品を前記機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定部(32)と、前記選定条件に基づいて前記流体搬送システムを構成する複数の前記プラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の前記標準部品とユーザによって選択された前記部品候補の前記標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末(70)に表示させる標準システム構成生成部(33)と、を備える。
【0164】
上記態様に係る購入支援装置によれば、ユーザは、選定条件を入力するという簡単な操作を行うだけで、選定条件に適合する複数の標準部品が特定され、特定された複数の標準部品からなる標準システム構成図が生成される。したがって、この標準システム構成図に基づいて容易に流体搬送システムを構成する複数のプラント部品を選定することが可能となる。
また、相互に作用する複数の流体が流入するような機器(主要機器)についても、自動的に複数の部品候補がユーザに提示されるので、これらのうちの一つを選択するという簡単な操作で所望の主要機器を選定することが可能となる。
【0165】
本開示の第2態様に係る購入支援装置は、上記第1態様において、前記標準機器選定部は、前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定できない場合に、前記機器の仕様を特定するために必要となるパラメータ項目の条件をユーザに入力させるための条件設定支援画面を前記クライアント端末に表示させ、前記ユーザによって入力された条件を用いて前記機器の仕様を特定する。
【0166】
上記態様に係る購入支援装置によれば、機器の仕様を特定するために必要な条件をユーザに入力させるための条件設定支援画面をクライアント端末に表示させるので、機器の仕様を特定するための必要条件をユーザに容易に入力させることが可能となる。
【0167】
本開示の第3態様に係る購入支援装置は、上記第2態様において、前記条件設定支援画面には、複数の前記パラメータ項目を軸とする直交座標系に前記機器の部品候補となる複数の前記標準部品の仕様に基づく特性が描かれたグラフが含まれている。
【0168】
上記態様に係る購入支援装置によれば、機器の仕様を特定するためのパラメータ項目の関係性をグラフとして提示するので、ユーザに各パラメータ項目の関係を直感的に理解させることができ、これにより、条件入力を容易に行わせることができる。
【0169】
本開示の第4態様に係る購入支援装置は、上記第2態様において、前記条件設定支援画面には、複数の前記パラメータ項目を軸とする直交座標系に前記機器の部品候補となる複数の前記標準部品の仕様に基づく特性曲線が描かれたグラフが含まれ、前記特性曲線上には前記機器の標準部品の仕様又は周辺機器の標準部品の仕様に応じた運転可能範囲が示されている。
【0170】
例えば、グラフにおいて機器の特性曲線は連続的な曲線で描かれるが、機器の仕様は、標準部品のラインナップに対応して離散的である。このため、機器の標準部品の仕様又は周辺機器の標準部品の仕様に応じた運転可能範囲を特性曲線上に示すことで、ユーザに機器の標準部品の仕様を直感的に理解させることが可能となる。
【0171】
本開示の第5態様に係る購入支援装置は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記標準機器選定部は、前記機器において流体の流入流出位置が異なる複数の流入流出パターンを生成し、生成した複数の流入流出パターンの中からいずれか一つの流入流出パターンをユーザに選択させるための流入流出パターン選定画面を前記クライアント端末に表示させ、ユーザによって選択された流入流出パターンの前記機器の標準部品を特定する。
【0172】
上記態様に係る購入支援装置によれば、流体の流入流出位置も含めてユーザが所望する機器の標準部品を選定することが可能となる。これにより、標準システム構成図を作成した際における配管取り回しなどの大幅な修正を回避することが可能となる。
【0173】
本開示の第6態様に係る購入支援装置は、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記標準システム構成生成部は、前記標準システム構成図を構成する前記標準部品の位置及び配置順序の変更、配管の追加、継手の追加、搬送経路の変更、配管長さの変更、配管の寸法変更、並びに、要求機能の追加及び削除のうちの少なくともいずれか1つをユーザに行わせるための標準システム構成調整画面を生成し、前記クライアント端末に表示させる。
【0174】
上記態様に係る購入支援装置によれば、ユーザは、所望の標準システム構成を簡単な操作によって作成することができる。
【0175】
本開示の第7態様に係る購入支援装置(1)は、上記第1態様から第6態様のいずれかにおいて、プラント部品と流量演算式とが関連付けられた複数の計算ブロックが格納された流体計算ブロックデータベース(23)から前記標準システム構成図を構成する各前記標準部品に対応する計算ブロックを抽出し、抽出した前記計算ブロックを前記標準システム構成図に従ってつなぎ合わせることにより計算ブロックチェーンを生成し、前記計算ブロックチェーンに対して入力条件を与えることにより、前記標準システム構成図に含まれる流量調整に用いるプラント部品である流量調整部品の流体条件を算出し、算出した流体条件に応じて前記流量調整部品の適合性を判定する標準システム選定部(34)を備える。
【0176】
上記態様に係る購入支援装置によれば、標準システム構成図に含まれる流量調整部品が流体搬送システムにおける流体条件を満たしているか否かを容易に判定することができる。また、標準部品の配置順がユーザによって変更された場合には、変更後の配置に基づいて計算ブロックの配置を変更するだけで、容易に流体条件の演算を実行することが可能となる。
【0177】
本開示の第8態様に係る購入支援装置は、上記第7態様において、標準システム選定部は、前記流量調整部品の標準部品が不適合であると判定された場合に、不適合と判定された前記流量調整部品に対応する前記標準部品を前記流体条件に適合する標準部品に変更する。
【0178】
上記態様に係る購入支援装置によれば、流量調整部品の仕様が流体条件に適合しない場合には、流体条件に適合する標準部品に容易に変更することが可能となる。
【0179】
本開示の第9態様に係る購入支援装置は、上記第1態様から第8態様のいずれかにおいて、サプライヤが販売するサプライヤ部品の情報が格納されたサプライヤ部品データベース(22)から前記標準システム構成図を構成する前記標準部品毎にそれぞれ対応する1又は複数のサプライヤ部品を選定するサプライヤ部品選定部(35)と、選定された複数の前記サプライヤ部品に基づいて、前記流体搬送システムを構成するサプライヤ部品の組み合わせであるシステム構成候補を少なくとも一つ生成し、クライアント端末に送信する選定候補生成部(36)と、を備える。
【0180】
上記態様に係る購入支援装置によれば、まずは、第1段階として、選定条件に合致する標準部品を用いて標準システム構成図を生成し、次の第2段階として、各標準部品に対応する各サプライヤ部品を特定することとしている。これにより、サプライヤ部品の絞り込みを行うことができるので、ユーザのニーズを汲みつつ計算量を最小限に抑えることができ、処理時間を短縮することが可能となる。
【0181】
本開示の第10態様に係る購入支援装置(1)は、上記第1態様から第8態様のいずれかにおいて、標準システム構成生成部(33)によって特定された複数の前記標準部品の仕様に基づいて注文仕様書を作成する注文仕様書作成部(61)を備える。
【0182】
上記態様に係る購入支援装置によれば、標準システム構成生成部によって特定された複数の標準部品の仕様に基づいて注文仕様書が自動的に作成される。これにより、ユーザの負担軽減及び作業時間削減を図ることが可能となる。また、経験の浅いユーザでも容易に注文仕様書を得ることができる。
【0183】
本開示の第11態様に係る購入支援装置は、上記第10態様において、注文仕様書を複数のサプライヤに対して閲覧可能に提供するとともに見積依頼を行う注文仕様書提供部(62)を備える。
【0184】
上記態様によれば、注文仕様書を複数のサプライヤに閲覧可能に提供するとともに見積依頼を行う。これにより、複数のサプライヤから容易に見積書を得ることが可能となる。
【0185】
本開示の第12態様に係る購入支援方法は、相互に作用する複数の流体が流入する機器を含む複数のプラント部品によって構成される流体搬送システムの購入を支援する購入支援方法であって、ユーザが購入を希望する前記流体搬送システムに関する要求機能及び要求仕様を選定条件として取得する条件入力支援工程と、前記選定条件に基づいて前記機器の仕様を特定し、流体搬送システムに関する複数の標準部品の情報が格納されている標準部品データベース(21)から、前記機器の仕様に基づいて複数の前記標準部品を選定し、選定した複数の前記標準部品を前記機器の部品候補としてクライアント端末に表示させる標準機器選定工程と、前記選定条件に基づいて前記流体搬送システムを構成する複数の前記プラント部品に対応する標準部品を特定し、特定した複数の前記標準部品とユーザによって選択された前記部品候補の前記標準部品とを繋ぎ合わせた標準システム構成図を生成し、クライアント端末に表示させる標準システム構成生成工程と、をコンピュータが実行する。
【0186】
本開示の第13態様に係る購入支援プログラムは、コンピュータを上記第1態様から第11態様のいずれかに記載の購入支援装置として機能させるための購入支援プログラムである。
【符号の説明】
【0187】
1 :購入支援装置
1a :購入支援装置
11 :CPU
12 :補助記憶装置
13 :メインメモリ
14 :通信デバイス
15 :入力部
16 :表示部
18 :バス
21 :標準部品データベース
22 :サプライヤ部品データベース
23 :流体計算ブロックデータベース
24 :発注データベース
31 :条件入力支援部
32 :標準機器選定部
33 :標準システム構成生成部
34 :標準システム選定部
35 :サプライヤ部品選定部
36 :選定候補生成部
37 :システム構成生成部
38 :仕様確認部
39 :発注支援部
41 :選定条件記憶部
42 :システム構成記憶部
43 :部品候補記憶部
44 :選定部品記憶部
46 :見積書記憶部
51 :入力補助部
61 :注文仕様書作成部
62 :注文仕様書提供部
63 :見積書取得部
64 :比較選定画面生成部
65 :発注支援部
70 :クライアント端末
80 :サプライヤ端末
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