IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172435
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】頭飾製品用繊維処理組成物
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20241205BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 8/895 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241205BHJP
   A61K 8/49 20060101ALN20241205BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALN20241205BHJP
   D06M 15/643 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
A41G3/00 C
A61K8/65
A61K8/891
A61K8/895
A61K8/34
A61K8/49
A61Q5/10
D06M15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090153
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上高原 正一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
4L033
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC151
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC912
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB21
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE26
4L033AA03
4L033AB01
4L033AC15
4L033BA11
4L033BA22
4L033CA59
(57)【要約】
【課題】頭飾製品用繊維の染色剤組成物として用いると、繊維の染色性が良好で、且つ繊維のダメージを抑制できる頭飾製品用繊維処理組成物を提供する。
【解決手段】皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である、頭飾製品用繊維処理組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である、頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項2】
さらに顔料を含有する、請求項1に記載の頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項3】
前記頭飾製品用繊維が再生コラーゲン繊維である、請求項1又は2に記載の頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項4】
前記皮膜形成剤(A)がシリコーン系ポリマーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項5】
前記浸透促進剤(B)が炭酸アルキレン、芳香環含有アルコール、及びラクトン類からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項6】
前記組成物が、染色剤組成物である、請求項2~5のいずれか1項に記載の頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項7】
前記染色剤組成物が、前記頭飾製品用繊維に適用し、次いで洗い流さずに乾燥させて用いるリーブオン型組成物である、請求項6に記載の頭飾製品用繊維処理組成物。
【請求項8】
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物の、頭飾製品用繊維処理組成物としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭飾製品用繊維に用いる処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
かつら、エクステンション等の頭飾製品には、人毛、獣毛等の天然の動植物から採取した繊維以外に、人工的に製造された合成繊維、あるいは、再生コラーゲン繊維等が用いられている。
【0003】
ところで、染毛剤を含む多くの毛髪化粧料には、毛髪作用成分の浸透を促進させる目的で浸透促進剤が配合されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1等に記載されている毛髪処理用の組成物を、再生コラーゲン繊維等の、人毛以外の頭飾製品用繊維の処理に用いると、繊維のダメージが生じる懸念があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-97122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、頭飾製品用繊維の染色剤組成物として用いると、繊維の染色性が良好で、且つ繊維のダメージを抑制できる頭飾製品用繊維処理組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、皮膜形成剤を含有し、且つ、浸透促進剤の含有量及びpHが所定値以下である頭飾製品用繊維処理組成物が、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である、頭飾製品用繊維処理組成物。
[2]皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物の、頭飾製品用繊維処理組成物としての使用。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、頭飾製品用繊維の染色剤組成物として用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理による繊維のダメージを抑制できる頭飾製品用繊維処理組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
「ポリマー」は、本明細書で用いる場合、1種又は複数の単位(これらの単位は、モノマーとして知られる化合物から誘導される)の繰返しに相当する化合物を意味する。この又はこれらの単位は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回繰り返される。
「頭飾製品」は、本明細書で用いる場合、例えば、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー、ドールヘアー等を意味する。
「頭飾製品用繊維」は、本明細書で用いる場合、前記頭飾製品に用いられる繊維を意味する。但し、人毛は除かれる。
「疎水性」は、本明細書で用いる場合、ある物質の水中溶解度が、25℃で1質量%未満であることを意味する。
「皮膜形成」は、本明細書で用いる場合、それを適用した基材上に固体の膜を残すことを意味する。
「揮発性」は、本明細書で用いる場合、常圧で260℃以下の沸点を有するものを意味する。
【0009】
本明細書において「繊維の染色性が良好である」とは、染色成分を含有する頭飾製品用繊維処理組成物を用いて処理した後の頭飾製品用繊維の色味変化が大きいことを意味する。また「繊維のダメージを抑制」とは、頭飾製品用繊維処理組成物を用いて処理した後の頭飾製品用繊維の櫛通りが良好であることを意味する。
繊維の染色性及びダメージの抑制については、具体的には実施例に記載の方法により評価することができる。
【0010】
[頭飾製品用繊維処理組成物]
本発明の頭飾製品用繊維処理組成物は、皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である。なお以下の記載において、頭飾製品用繊維処理組成物を単に「(本発明の)組成物」ということがある。
本発明の頭飾製品用繊維処理組成物は上記構成であることにより、頭飾製品用繊維の染色剤組成物として用いた場合には、繊維の染色性が良好で、且つ繊維のダメージを抑制できる。
【0011】
本発明の組成物が上記効果を奏する理由は定かではないが、以下のように推察される。
適用対象が主として人毛である従来の毛髪化粧料は、浸透促進剤を含有することで、機能性成分の毛髪内部への浸透作用を高めることができる。例えば染毛剤においては、染色成分を毛髪内部に浸透させることで染色性が向上する。また染毛剤においては、染毛性向上の観点から通常アルカリ剤が配合される。
一方、再生コラーゲン繊維等の頭飾製品用繊維は、人毛とは性質が異なり、浸透促進剤を多量に含む毛髪化粧料を適用すると表面荒れ、強度低下等のダメージを受けることがある。また染毛剤において、pHが10を超える高アルカリ性である毛髪化粧料を頭飾製品用繊維に適用した場合の繊維や染毛性に与える影響は不明である。
これに対し、例えば本発明の一実施形態である染色剤組成物は、浸透促進剤を用いて染色成分を繊維内部に浸透させて染色性を高める前記染毛剤とは異なり、皮膜形成剤及び染色成分を含有する組成物を用いて、繊維表面に染色成分を含む皮膜を形成することにより染色することが可能な組成物である。したがって本発明の組成物においては、浸透促進剤の含有量を削減することができ、さらに、pHの値が所定値以下であっても繊維の染色性を高めることができ、繊維ダメージも抑制できると考えられる。
なお本発明の作用メカニズムは上記に限定されるものではない。
【0012】
<頭飾製品用繊維>
本発明の組成物は頭飾製品用繊維処理組成物であることから、その処理対象物は、頭飾製品用繊維である。なお本明細書において、頭飾製品用繊維から人毛は除かれる。
頭飾製品用繊維としては、天然由来繊維、合成繊維のいずれでもよいが、天然由来繊維が好ましい。天然由来繊維とは、天然の動植物から採取した繊維、あるいは、コラーゲン、カゼイン、大豆、落花生、トウモロコシ、絹屑、絹蛋白質(例えば絹フィブロイン)等由来の蛋白質や、多糖類等のポリマー又はオリゴマーを原料として人工的に製造された繊維をいう。これらのうち、獣毛、又は、ケラチン、コラーゲン、カゼイン、大豆、落花生、トウモロコシ、絹屑、絹蛋白質(例えば絹フィブロイン)等由来の蛋白質や多糖類等のポリマーやオリゴマーを原料として人工的に製造された繊維が好ましく、ケラチン、コラーゲン、カゼイン、大豆蛋白質、落花生蛋白質、トウモロコシ蛋白質、絹蛋白質(例えば絹フィブロイン)等由来の蛋白質を原料とする再生蛋白質繊維がより好ましく、コラーゲンを原料とする再生コラーゲン繊維、絹フィブロインを原料とする再生絹繊維等の再生蛋白質繊維がより好ましく、再生コラーゲン繊維が更に好ましい。
再生コラーゲン繊維は、公知の技術で製造することができる。再生コラーゲン繊維の組成はコラーゲン100%である必要はなく、品質改良のための天然ポリマー、合成ポリマー、添加剤等が含まれていてもよい。更には、再生コラーゲン繊維は後加工又は後処理されたものであってもよい。再生コラーゲン繊維の形態としてはフィラメントが好ましい。フィラメントは一般にボビン巻きしたものや箱詰めした状態から取り出される。また、再生コラーゲン繊維の製造工程で乾燥工程から出てきたフィラメントを直接利用することもできる。
【0013】
合成繊維としては、合成樹脂を主成分として含む繊維が挙げられる。合成繊維の製造容易性の観点、及び、頭髪に近い風合いを得る観点から、該合成樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂であり、より好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びモダアクリル樹脂(アクリロニトリルと塩化ビニルの共重合体)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。ここでいう「主成分」とは、合成繊維中の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であって、100質量%以下の成分を意味する。
合成繊維は、上記合成樹脂以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に難燃剤、難燃助剤、光又は熱安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等の各種を含有することができる。
【0014】
<組成物の形態>
本発明の組成物の製品形態としては、洗浄剤組成物、コンディショニング剤組成物、トリートメント剤組成物(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤組成物、染色剤組成物、パーマネント剤組成物等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の有効性の観点から、本発明の組成物は、好ましくは染色剤組成物である。
【0015】
本発明の組成物は、繊維の染色性が良好で、且つ繊維のダメージを抑制できるという発明の効果の観点から、頭飾製品用繊維に適用し、次いで洗い流さずに乾燥させて用いるリーブオン型組成物であることが好ましい。例えば本発明の組成物が染色剤組成物である場合は、該染色剤組成物は、好ましくは、頭飾製品用繊維に適用して着色皮膜を形成し、次いで洗い流さずに乾燥させて用いる染色剤組成物である。
以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
【0016】
<皮膜形成剤(A)>
皮膜形成剤(A)(以下「成分(A)」ともいう)としては、シリコーン系ポリマー、アニオン性ビニルポリマー、カチオン性ビニルポリマー、両性ビニルポリマー、ノニオン性ビニルポリマー、ウレタン系ポリマー、高重合ポリエチレングリコール、及び多糖類系ポリマーからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0017】
(シリコーン系ポリマー)
シリコーン系ポリマーとしては、シリコーン骨格を有する皮膜形成性ポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、トリメチルシロキシケイ酸、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸、フッ素変性アルキルジメチルシロキシケイ酸、又はこれらシロキシケイ酸類をジメチコノール等により架橋したクロスポリマー等のシロキシケイ酸類;ポリメチルシルセスキオキサン、ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、フッ素変性アルキルジメチルポリシルセスキオキサン等のポリシルセスキオキサン類;ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔INCI名:ポリシリコーン-9〕等のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン;ポリシリコーン-28等の国際公開第2014/002707号に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー;Silsoft Spread TT(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等のポリシリコーン-17;ポリシリコーン-6;KP-545、KP-549(以上、信越化学工業(株)製)等の(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー;DOWSIL FA 4001 CM Silicone Acrylate、DOWSIL FA 4002 ID Silicone Acrylate、DOWSIL FA 4003 DM Silicone Acrylate、DOWSIL FA 4004 ID Silicone Acrylate(以上、ダウ・東レ(株)製)等の(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー;等が挙げられる。
【0018】
(アニオン性ビニルポリマー)
アニオン性ビニルポリマーとしては、シリコーン骨格を有さないアニオン性ビニルポリマーであって、以下のものが挙げられる。
〔クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸のいずれか由来の構成単位を含むアニオン性ビニルポリマー〕
クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸のいずれか由来の構成単位を含んでいれば特に限定されないが、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルアルコール類の1種以上と共重合されているものとして、メチルビニルエーテル/マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツES-225、同ES-425、同SP-215(以上、ISP社製))、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310(Nouryon社製)等)、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体(レジン28-2930(Nouryon社製)等)、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体(ルビセットCAP(BASF社製)等)、ビニルアルコール/イタコン酸共重合体(KM-118((株)クラレ製)等)が挙げられる。
【0019】
〔(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含むアニオン性ビニルポリマー〕
(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含むビニルポリマーであれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルあるいはN-アルキル(メタ)アクリルアミドの1種以上との共重合体として、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミド共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールド・ストロング(以上、BASF社製)等)、オクチルアクリルアミド/アクリル酸共重合体(アンフォーマーHC(Nouryon社製)等)、アクリレート/メタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸共重合体(アマホールドDR25(ユニオンカーバイド社製)等)、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL-9540B(当該共重合体の2-アミノ-2-メチル-1-プロピルアルコール中和物)(互応化学工業(株)製)等)、アクリレーツ/C1-18アルキルアクリレーツ/C1-8アルキルアクリルアミド共重合体(プラスサイズL-9909B(当該共重合体の2-アミノ-2-メチル-1-プロピルアルコール中和物)(互応化学工業(株)製)等)が挙げられる。
なお本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する。
【0020】
(カチオン性ビニルポリマー)
カチオン性ビニルポリマーとしては、シリコーン骨格を有さないカチオン性ビニルポリマーが挙げられ、例えば、ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ガフコート755N(ISP社製))、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイリーゼW-20(ISP社製))、ビニルピロリドン/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル/アクリル酸アルキル/ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(コスカットGA467、コスカットGA468(以上、大阪有機化学工業(株)製))、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ルーブリゾール社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(マーコート550(ルーブリゾール社製))、塩化トリメチルアンモニオプロピルアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(特開平2-180911号公報参照)、t-ブチルアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(PEG400)メタクリレート共重合体(特開平8-291206号公報参照)等が挙げられる。
【0021】
(両性ビニルポリマー)
両性ビニルポリマーとしては、シリコーン骨格を有さない両性ビニルポリマーが挙げられ、例えば、アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV-71、AMPHOMER 28-4910(以上、Nouryon社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマーM-75、ユカフォーマー104D(以上、三菱ケミカル(株)製)等、RAMレジン-1000、RAMレジン-2000、RAMレジン-3000、RAMレジン-4000(以上、大阪有機化学工業(株)製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(以上、ルーブリゾール社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド/アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(以上、ルーブリゾール社製))等が挙げられる。
【0022】
(ノニオン性ビニルポリマー)
ノニオン性ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(以上、BASF社製)、PVP K(ISP社製))、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(PVP/VA S-630、PVP/VA E-735、PVP/VA E-335(以上、ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上、BASF社製)、PVA-6450(大阪有機化学工業(株)製))、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製))、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社製))等が挙げられる。
【0023】
(ウレタン系ポリマー)
ウレタン系ポリマーとしては、ヨドゾールPUD(Nouryon社製)、ルビセットP.U.R.(BASF社製)、特開2006-213706号公報に記載されたポリマー等、アクリル-ウレタン系ポリマーとして、DynamX(Nouryon社製)等が挙げられる。
【0024】
(高重合ポリエチレングリコール)
高重合ポリエチレングリコールは、平均分子量が1万以上400万以下の酸化エチレン重合体であり、市販品としてはポリオックスTM WSR205、ポリオックスTM WSR301(以上、ダウ・ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0025】
(多糖類系ポリマー)
多糖類系ポリマーとしては、アラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等が挙げられる。
【0026】
疎水性の皮膜を形成しうる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点からは、成分(A)はシリコーン系ポリマーを含むことが好ましい。成分(A)中のシリコーン系ポリマーの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0027】
より具体的には、成分(A)は好ましくはシリコーン系ポリマーを含み、より好ましくはシロキシケイ酸類、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含む。更に好ましくは、成分(A)は、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む。
【0028】
成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0029】
成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0030】
成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーに対するトリメチルシロキシケイ酸の質量比[トリメチルシロキシケイ酸/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー]は、皮膜形成性、繊維の染色性、感触及び耐洗浄性向上の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である。
【0031】
成分(A)がポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含む場合、成分(A)中のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0032】
組成物中の成分(A)の含有量は、皮膜形成性及び繊維の染色性向上の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上であり、また、取り扱い性及び感触の低下を抑制する観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。そして、組成物中の成分(A)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上30質量%以下、より更に好ましくは3質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは5質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは10質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上25質量%以下である。
【0033】
<浸透促進剤(B)>
本明細書における浸透促進剤(B)としては、炭酸プロピレン等の炭酸アルキレン;ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、p-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール等の芳香環含有アルコール;γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン等のラクトン類:からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、代表的な浸透促進剤(B)としては、炭酸アルキレン及び芳香環含有アルコールからなる群から選ばれる1種以上であり、好ましくは炭酸プロピレン及びベンジルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である。
【0034】
組成物中の成分(B)の含有量は、繊維ダメージ抑制の観点から、24質量%以下であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.01質量%以下であり、より更に好ましくは0質量%である。
【0035】
<成分(C):高分子量オルガノポリシロキサン>
本発明の組成物は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、成分(C)として高分子量オルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。
成分(C)の重合度は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくは650以上、より好ましくは800以上、更に好ましくは1,200以上、より更に好ましくは1,400以上、より更に好ましくは1,900以上、より更に好ましくは2,200以上であり、入手性の観点から、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは4,500以下、より更に好ましくは4,000以下、より更に好ましくは3,900以下である。そして、成分(C)の重合度は、好ましくは650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下である。
【0036】
より詳細には、成分(C)は、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【化1】

(式中、R11はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示し、R12はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。R13は炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は第一級~第三級アミノ基含有基を示す。mは重合度を示し、650以上の数である。m個のR13は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0037】
一般式(1)中、R11における炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基のいずれでもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、フェニル基等が挙げられる。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。
上記の中でも、R11は、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
【0038】
一般式(1)中、R12はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。
12におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
12における炭化水素基は、R11と同じであり、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
12は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくはヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又はフェニル基であり、より好ましくはヒドロキシ基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又はフェニル基であり、更に好ましくはヒドロキシ基、メチル基、又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
【0039】
一般式(1)中、R13は炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は第一級~第三級アミノ基含有基を示す。
13における炭化水素基は、R11と同じであり、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
13における第一級~第三級アミノ基含有基(以下、単に「アミノ基含有基」ともいう)は、-N(R14、-NR14(CHN(R14、又は-NR14(CHN(R15)CO-R16で示される基であることが好ましい。ここで、R14は水素原子又は炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。R15は炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示し、好ましくはメチル基又はエチル基である。R16は炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示す。pは2以上6以下の数を示し、好ましくは2以上4以下の数である。
13における好ましいアミノ基含有基は、-(CH-NH、-(CH-N(CH、-(CH-NH-(CH-NH、又は-(CH-NH-(CH-N(CHであり、より好ましくは-(CH-NHである。
【0040】
13は、好ましくは炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
【0041】
一般式(1)中、mは重合度を示し、650以上の数である。繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、mは、好ましくは800以上、より好ましくは1,200以上、更に好ましくは1,400以上、より更に好ましくは1,900以上、より更に好ましくは2,200以上であり、入手性の観点から、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは4,500以下、より更に好ましくは4,000以下、より更に好ましくは3,900以下である。そして、一般式(1)中のmは、650以上であり、好ましくは650以上20,000以下、より好ましくは800以上10,000以下、更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下である。
【0042】
成分(C)の粘度は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくは5,000mm/s以上、より好ましくは1万mm/s以上、更に好ましくは5万mm/s以上、より更に好ましくは10万mm/s以上、より更に好ましくは45万mm/s以上、より更に好ましくは100万mm/s以上である。また、入手性の観点から、好ましくは14,000万mm/s以下、より好ましくは5,000万mm/s以下、更に好ましくは4,000万mm/s以下である。そして、成分(C)の粘度は、好ましくは5,000mm/s以上14,000万mm/s以下、より好ましくは1万mm/s以上14,000万mm/s以下、更に好ましくは1万mm/s以上14,000万mm/s以下、より更に好ましくは5万mm/s以上14,000万mm/s以下、より更に好ましくは10万mm/s以上5,000万mm/s以下、より更に好ましくは45万mm/s以上4,000万mm/s以下、より更に好ましくは100万mm/s以上4,000万mm/s以下である。
【0043】
上記粘度は、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に基づき、25℃において測定した値である。例えば、細管粘度計、落球式粘度計、回転式粘度計、振動式粘度計から適切なものを選択して測定することができる。また、粘度計の常用測定範囲を超える場合には、下記の方法により、成分(C)の希釈溶液から求めることができる。
1g/100mL濃度の成分(C)のトルエン溶液を調製し、下記数式(1)により比粘度ηsp(25℃)を求める。次に下記数式(2)に示すHugginsの関係式に代入し、固有粘度〔η〕を求める。さらに〔η〕を下記数式(3)に示すA.Kolorlovの式に代入し、分子量Mを求める。最後に、Mを下記数式(4)に示すA.J.Barryの式に代入し、成分(C)の粘度ηを求めることができる(例えば、信越化学工業(株)、シリコーンオイルKF-96性能試験結果4.2参照)。
ηsp=(η/η0)-1 (1)
(但し、η0:トルエンの粘度、η:溶液の粘度)
ηsp=〔η〕+K’〔η〕2 (2)
(但し、K’:Huggins定数は、中牟田、日化、77588[1956]に記載のものを用いる。)
〔η〕=0.215×10-40.65 (3)
logη=1.00+0.0123M0.5(4)
【0044】
成分(C)として用いられるジメチルポリシロキサンの市販品としては、KF-96H-1万cs(粘度1万mm/s)、KF-96H-1.25万cs(粘度1.25万mm/s)、KF-96H-3万cs(粘度3万mm/s)、KF-96H-5万cs(粘度5万mm/s)、KF-96H-6万cs(粘度6万mm/s)、KF-96H-10万cs(粘度10万mm/s)、KF-96H-30万cs(粘度30万mm/s)、KF-96H-50万cs(粘度50万mm/s)、KF-96H-100万cs(粘度100万mm/s)、X-21-5686(粘度300万mm/s、30質量%-イソドデカン溶液)、X-25-9074(粘度3,000万mm/s、30質量%-イソドデカン溶液)(以上、信越化学工業(株)製)、TSF451-100MA(粘度100万mm/s)、TSE200A、Silsoft B3020(粘度2,000万mm/s、20質量%-イソドデカン溶液)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
成分(C)として用いられるアミノプロピルメチルポリシロキサンの市販品としては、KF-8017(10質量%-低粘度ジメチルポリシロキサン溶液)、KF-8018(10質量%-シクロペンタシロキサン溶液)、KF-8020(20質量%-低粘度ジメチルポリシロキサン溶液)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
成分(C)として用いられるジメチコノールの市販品としては、X-21-5613(20質量%-低粘度ジメチルポリシロキサン溶液)、X-21-5666(30質量%-シクロペンタシロキサン溶液)、X-21-5847、X-21-5849(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0045】
成分(C)は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくは重合度が前記範囲である、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノプロピルメチルポリシロキサン、及びジメチコノールからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは重合度が前記範囲であるジメチルポリシロキサンである。
【0046】
組成物が成分(C)を含有する場合、組成物中の成分(C)の含有量は、繊維の染色性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上である。また、べたつきを抑制して良好な感触を付与する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは4.0質量%以下、より更に好ましくは3.5質量%以下である。そして、組成物中の成分(C)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である。
【0047】
<成分(D):前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサン>
本発明の組成物は、成分(D)として、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサンを含有することができる。
成分(D)が有するカチオン性基とは、カチオン基、又は、イオン化されてカチオン基になり得る基をいう。具体的には、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、及び第四級アンモニウム基が挙げられる。成分(D)が有するカチオン性基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、及び第三級アミノ基からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0048】
成分(D)は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくはアミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上である。
【0049】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン等の主鎖又は側鎖にアミノ基を有し、且つポリエーテル基を有さないシリコーンである。
アミノ変性シリコーンの具体例としては、アミノエチルアミノプロピルジメチコン〔アモジメチコン〕、アミノプロピルジメチコン、ビス(アミノプロピル)ジメチコン、及びビス(セテアリル)アモジメチコンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
アミノ変性シリコーンの市販品としては、シリコーン SF 8457 C(ダウ・東レ(株)製)等が挙げられる。また、アミノ変性シリコーンとジメチルポリシロキサンとの混合物である、DOWSIL CF 1046(ダウ・東レ(株)製)等も用いることができる。
【0050】
アミノポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン等の主鎖又は側鎖にアミノ基及びポリエーテル基を有するシリコーンである。
ポリエーテル基は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点、及び入手性の観点から、好ましくはポリオキシアルキレン基であり、より好ましくはポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基からなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはポリオキシエチレン基である。
ポリオキシアルキレン基における平均オキシアルキレン数は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは60以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0051】
アミノポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、メトキシPEG/PPG-7/3 アミノプロピルジメチコン、(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー、(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー、(ビスイソブチルPEG/PPG-20/35/アモジメチコン)コポリマー、PEG-40/PPG-8 メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメチコンコポリマー等が挙げられる。
【0052】
市販のアミノポリエーテル変性シリコーンとしては、ABIL Soft AF100(メトキシPEG/PPG-7/3 アミノプロピルジメチコン)(Evonik社製)、DOWSIL SS-3588 Fluid((ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーの80質量%-エタノール溶液)、DOWSIL SILSTYLE 104((ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー)、DOWSIL SILSTYLE 201((ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー)、DOWSIL SILSTYLE 401((ビスイソブチルPEG/PPG-20/35/アモジメチコン)コポリマー)(以上、ダウ・東レ(株)製)、Silsoft A+(PEG-40/PPG-8 メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメチコンコポリマー)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0053】
成分(D)は、上記のうち1種又は2種以上を用いることができる。上記の中でも、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、成分(D)は、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーである。
【0054】
組成物が成分(D)を含有する場合、組成物中の成分(D)の含有量は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上である。また、べたつきを抑制して良好な感触を付与する観点から、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下である。そして、組成物中の成分(D)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上2.5質量%以下である。
【0055】
本発明の組成物は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、下記(I)又は(II)の組成物であることが好ましい。
(I)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である頭飾製品用繊維処理組成物であって、
前記成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸を含む、頭飾製品用繊維処理組成物。
(II)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である頭飾製品用繊維処理組成物であって、
前記成分(A)がポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含む、頭飾製品用繊維処理組成物。
【0056】
前記組成物(I)は、さらに、好ましくは下記成分からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは2種以上、更に好ましくは3種以上、より更に好ましくは下記成分をすべて含む。
成分(A)である、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー
成分(A)である、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー
成分(C)である、高分子量オルガノポリシロキサン
成分(D)である、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサン
【0057】
前記組成物(I)における成分(A)は、トリメチルシロキシケイ酸を含み、好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーとを含む。
【0058】
前記組成物(I)における成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0059】
前記組成物(I)における成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0060】
前記組成物(I)における成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーに対するトリメチルシロキシケイ酸の質量比[トリメチルシロキシケイ酸/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー]は、皮膜形成性、繊維の染色性、感触及び耐洗浄性向上の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である。
【0061】
前記組成物(II)の前記成分(A)におけるポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンは、好ましくはポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕である。
【0062】
前記組成物(II)において、前記成分(A)中のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0063】
前記組成物(I)において、前記成分(C)は、好ましくは重合度が650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下であるジメチルポリシロキサンである。
前記組成物(I)において、前記成分(D)は、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーである。
【0064】
組成物(I)及び組成物(II)について、上記以外の各成分の好適態様は前記と同じである。
【0065】
<顔料>
本発明の組成物が染色剤組成物である場合は、さらに顔料を含有することが好ましい。
顔料としては、パール顔料(干渉パール顔料、着色パール顔料)、有機顔料、無機顔料、金属粉末顔料等が挙げられる。
【0066】
干渉パール顔料は、コア粒子と、該コア粒子表面に形成されるコーティング層とを有する。干渉パール顔料を構成するコア粒子の材質としては、雲母(マイカ)、セリサイト、タルク、カオリン、スメクタイト属粘土鉱物、オキシ塩化ビスマス、合成マイカ、合成セリサイト、板状シリカ、板状アルミナ等が挙げられる。
干渉パール顔料を構成するコーティング層は、反射干渉層として作用する層である。該コーティング層は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の無色金属酸化物や、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、ケイ素、アルミニウム等の無色金属を主成分とする薄膜からなる層であり、単層構造でも多層構造でもよい。
市販の干渉パール顔料としては、Timiron Super Blue、Timiron Super Gold、Timiron Super Green、Timiron Super Red(以上、メルク社製)等が挙げられる。
【0067】
着色パール顔料としては、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母、酸化鉄・黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄・紺青被覆雲母チタン、酸化鉄被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆オキシ塩化ビスマス雲母等が挙げられる。市販の着色パール顔料としては、Timica Golden Bronze、Cloisonne Super Green(以上、BASF社製)、COLORONA BORDEAUX、COLORONA LIGHT BLUE、COLORONA Blackstar BLUE、COLORONA FINE GOLD MP-20、COLORONA PRECIOUS GOLD、COLORONA RED BROWN、COLORONA DARK BLUE等が挙げられる。
【0068】
有機顔料としては、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色226号、赤色228号、赤色404号、赤色405号、だいだい色203号、だいだい色204号、だいだい色401号、黄色205号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。
【0069】
無機顔料のうち、無機黒色系顔料としては、カーボンブラック、黒酸化鉄、黒酸化チタン等が、無機赤色系顔料としては、酸化鉄(べんがら)、水酸化鉄、チタン酸鉄等が、無機褐色系顔料としては、γ-酸化鉄等、無機黄色系顔料としては黄酸化鉄、黄土等が、無機青色系顔料としては群青、紺青等が、無機紫色系顔料としては、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等が、無機緑色系顔料としては、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等が、無機白色系顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0070】
金属粉末顔料としては金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、真鍮粉等が挙げられる。
顔料は、上記のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
本発明の組成物が顔料を含有する場合、組成物中の顔料の含有量は、繊維の染色性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上であり、組成物中での分散性及び経済性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。そして、組成物中の顔料の含有量は、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。
【0072】
<揮発性溶剤>
本発明の組成物は、前記成分(A)~(D)及び顔料を分散又は溶解させる観点で、さらに揮発性溶剤を含有することが好ましい。なお本発明で定義する揮発性溶剤には、水は含まれないものとする。
【0073】
揮発性溶剤としては、前記定義の揮発性を有する、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、軽質流動イソパラフィン(炭素数8~16のイソパラフィンを主成分とするもの)、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン等が挙げられる。
また、シリコーン系溶媒としては、25℃における粘度が10mm/s以下のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン等のアルキルトリメチコン、25℃における粘度が20mm/s以下のメチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。揮発性溶剤としては、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0074】
前記成分(A)~(D)及び顔料を分散又は溶解させる観点から、揮発性溶剤は、好ましくはアルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、及びシリコーン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が10mm/s以下のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、及び25℃における粘度が20mm/s以下のメチルフェニルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が5mm/s以下のジメチルポリシロキサン、及びメチルトリメチコンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはイソドデカンである。
【0075】
本発明の組成物が揮発性溶剤を含有する場合、組成物中の揮発性溶剤の含有量は、成分(A)~(D)及び顔料を分散又は溶解させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、頭飾製品用繊維に適用しやすい粘度に調整する観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、より更に好ましくは80質量%以下である。そして、組成物中の揮発性溶剤の含有量は、好ましくは1質量%以上98質量%以下、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは10質量%以上90質量%以下、より更に好ましくは20質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは30質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
組成物中の揮発性溶剤の含有量は、成分(A)~(D)及び顔料の残部であってもよい。
【0076】
<水>
本発明の組成物中の水の含有量は、成分(A)~(D)及び顔料の分散性向上の観点、及び乾燥速度向上の観点から、少ないことが好ましく、好ましくは10質量%未満、より好ましくは8質量%未満、更に好ましくは6質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは3質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満である。
なお、本明細書において、「実質的に含有しない」とは意図的に添加していないことを意味し、不純物として微量に含むことを排除するものではない。
【0077】
<固形油>
本発明の組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、固形油の含有量が少ないことが好ましい。固形油は25℃で固形の油剤であり、固形パラフィン等のパラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、蜜蝋等が挙げられる。組成物中の固形油の含有量は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは20質量%未満、更に好ましくは10質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満である。
【0078】
<揮発性環状シリコーン>
本発明の組成物は、乾燥速度向上の観点から、デカメチルシクロペンタシロキサン等の、揮発性環状シリコーンの含有量が少ないことが好ましい。揮発性環状シリコーンは他の揮発性溶剤より揮発時間が遅く、対象物に塗布した後に乾燥するまでの時間が長くなる傾向があるためである。組成物中の揮発性環状シリコーンの含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満であり、より更に好ましくは0質量%である。
【0079】
<シリコーン系界面活性剤>
本発明の組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、シリコーン系界面活性剤の含有量が少ないことが好ましい。シリコーン系界面活性剤とは、シリコーン構造、典型的にはポリシロキサン構造を有する界面活性剤を意味し、側鎖、末端等に、親水性基、親水性ポリマー鎖等を有していてもよい。組成物中のシリコーン系界面活性剤の含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0080】
<油ゲル化剤>
本発明の組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、脂肪酸デキストリン、疎水性シリカ、親油性粘土鉱物等の、油ゲル化剤の含有量が少ないことが好ましい。組成物中の油ゲル化剤の含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0081】
<不揮発性液状油剤>
本発明の組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、不揮発性液状油剤の含有量が少ないことが好ましい。組成物中の不揮発性液状油剤の含有量は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%未満、更に好ましくは30質量%未満、より更に好ましくは20質量%未満、より更に好ましくは10質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは2質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0082】
<多価アルコール>
本発明の組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、多価アルコールの含有量が少ないことが好ましい。当該多価アルコールとしては、プロピレングリコール、グリセリン等を例示できる。組成物中の多価アルコールの含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0083】
<その他の成分>
本発明の組成物は、前記成分以外に、酸化防止剤、香料、防腐剤、増粘剤、pH調整剤等を含有することができる。
本発明の組成物は、常法に従って製造することができる。
【0084】
<剤型等>
本発明の組成物の剤型は特に限定されず、製品形態に応じて、液体、ペースト、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、ワックス等の剤型にすることができる。
また本発明の組成物は、油中水型等の乳化型組成物の形態でもよく、非乳化型組成物の形態でもよいが、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点からは、非乳化型組成物であることが好ましい。
【0085】
<pH>
本発明の組成物のpHは、繊維ダメージ及び皮膚刺激性の抑制の観点から、10以下であり、好ましくは9.5以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.5以下、より更に好ましくは8.0以下、より更に好ましくは7.5以下である。また、繊維の染色性向上、繊維ダメージ及び皮膚刺激性の抑制の観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.0以上、より更に好ましくは5.5以上、より更に好ましくは6.0以上である。そして、本発明の組成物のpHは、10以下であり、好ましくは3.0以上10以下、より好ましくは4.0以上9.5以下、更に好ましくは5.0以上9.0以下、より更に好ましくは5.0以上8.5以下、より更に好ましくは5.5以上8.0以下、より更に好ましくは6.0以上7.5以下である。
上記pHは、30℃において、実施例に記載の方法により測定できる。
【0086】
<頭飾製品用繊維の処理方法>
本発明の組成物による頭飾製品用繊維の処理方法は、皮膜を速やかに形成する観点から、好ましくは、該組成物を頭飾製品用繊維に適用し、次いで乾燥させる工程を有する。
本発明の組成物は、均一塗布性の観点から、使用前に一時的に相溶又は分散させてから頭飾製品用繊維表面に適用することが好ましい。一時的に相溶又は分散させる手段としては、加熱などの熱力学的手段、機械的に剪断応力を加えるなどの物理的手段又は相溶性のある溶剤を添加するなどの化学的手段等を任意に利用することができる。使用者の利便性の観点から、好ましくは攪拌、振盪等の物理的手段によって均一に相溶又は分散させておくことが好ましい。
【0087】
組成物の各種効果を持続させる観点から、該組成物は、好ましくは乾燥状態の頭飾製品用繊維に塗布等により適用し、次いで乾燥させて、洗い流さずに使用されることが好ましい。組成物を適用した後の頭飾製品用繊維の乾燥は、自然乾燥でもよく、フード、ヘアドライヤー、ストレートアイロン等のデバイス等を用いて乾燥させてもよい。
前記デバイスを使用する場合には、頭飾製品用繊維の熱ダメージを抑える観点から、40℃以上220℃以下の温度をかけて乾燥することが好ましい。より好ましくはフード又はヘアドライヤーによる乾燥であり、その乾燥温度は、好ましくは40℃以上110℃以下、より好ましくは50℃以上90℃以下である。
乾燥時間は、皮膜が頭飾製品用繊維表面に実質的に形成される範囲であれば特に制限されず、適宜調整されるが、例えば10秒から120分の範囲で行うことができる。
【0088】
前記処理方法において、頭飾製品用繊維に対する組成物の適用量は特に制限されないが、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上の観点から、頭飾製品用繊維に対する組成物の質量比(組成物/頭飾製品用繊維)として、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、繊維ダメージ抑制の観点、乾燥速度向上の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1以下である。そして、頭飾製品用繊維に対する組成物の適用量は、頭飾製品用繊維に対する組成物の質量比(組成物/頭飾製品用繊維)として、好ましくは0.005以上10以下、より好ましくは0.005以上5以下、更に好ましくは0.01以上3以下、より更に好ましくは0.01以上2以下、より更に好ましくは0.05以上1以下である。
【0089】
<頭飾製品用繊維の染色方法>
本発明はさらに、本発明の組成物を頭飾製品用繊維に適用し、次いで乾燥させる工程を有する、頭飾製品用繊維の染色方法を提供することができる。
前記組成物は、好ましくは染色剤組成物であり、より好ましくは顔料を含有する染色剤組成物である。
前記組成物は、頭飾製品用繊維に塗布等により適用し、次いで乾燥させて、好ましくは洗い流さずに使用される。組成物を適用した後の頭飾製品用繊維の乾燥は、自然乾燥でもよく、ドライヤー等を用いて乾燥させてもよい。
【0090】
<使用>
本発明はさらに、皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物の、頭飾製品用繊維処理組成物としての使用を提供する。組成物の詳細及びその好適態様については前記と同じである。
【0091】
上述の実施形態に関し、本発明は下記を開示する。
<1>
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である、頭飾製品用繊維処理組成物。
<2>
前記頭飾製品用繊維が、好ましくは天然由来繊維であり、より好ましくは再生蛋白質繊維、更に好ましくは再生コラーゲン繊維である、<1>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<3>
前記組成物の製品形態が、洗浄剤組成物、コンディショニング剤組成物、トリートメント剤組成物(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤組成物、染色剤組成物、又はパーマネント剤組成物であり、好ましくは染色剤組成物である、<1>又は<2>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<4>
前記組成物が、頭飾製品用繊維に適用し、次いで洗い流さずに乾燥させて用いるリーブオン型組成物であり、好ましくは前記組成物が染色剤組成物であって、頭飾製品用繊維に適用し、次いで洗い流さずに乾燥させて用いるリーブオン型組成物である、<1>~<3>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<5>
前記皮膜形成剤(A)が、シリコーン系ポリマー、アニオン性ビニルポリマー、カチオン性ビニルポリマー、両性ビニルポリマー、ノニオン性ビニルポリマー、ウレタン系ポリマー、高重合ポリエチレングリコール、及び多糖類系ポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含む、<1>~<4>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<6>
前記皮膜形成剤(A)が、好ましくはシリコーン系ポリマーを含み、より好ましくはシロキシケイ酸類、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含む。更に好ましくは、成分(A)は、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む、<1>~<5>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<7>
前記組成物中の前記成分(A)の含有量が、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上30質量%以下、より更に好ましくは3質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは5質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは10質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上25質量%以下である、<1>~<6>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<8>
前記浸透促進剤(B)が、炭酸プロピレン、芳香環含有アルコール、及びラクトン類からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは炭酸アルキレン及び芳香環含有アルコールからなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくは炭酸プロピレン及びベンジルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である、<1>~<7>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<9>
前記組成物中の前記成分(B)の含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.01質量%以下であり、より更に好ましくは0質量%である、<1>~<8>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<10>
前記組成物が、さらに、成分(C)として高分子量オルガノポリシロキサンを含有する、<1>~<9>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
【0092】
<11>
前記成分(C)の重合度が、好ましくは650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下である、<10>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<12>
前記成分(C)は、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである、<10>又は<11>の頭飾製品用繊維処理組成物。
【化2】

(式中、R11はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示し、R12はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。R13は炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は第一級~第三級アミノ基含有基を示す。mは重合度を示し、650以上の数である。m個のR13は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
<13>
前記成分(C)の粘度が、好ましくは5,000mm/s以上14,000万mm/s以下、より好ましくは1万mm/s以上14,000万mm/s以下、更に好ましくは1万mm/s以上14,000万mm/s以下、より更に好ましくは5万mm/s以上14,000万mm/s以下、より更に好ましくは10万mm/s以上5,000万mm/s以下、より更に好ましくは45万mm/s以上4,000万mm/s以下、より更に好ましくは100万mm/s以上4,000万mm/s以下である、<10>~<12>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<14>
前記成分(C)がジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノプロピルメチルポリシロキサン、及びジメチコノールからなる群から選ばれる1種以上を含み、より好ましくはジメチルポリシロキサンを含む、<10>~<13>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<15>
前記組成物中の成分(C)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である、<10>~<14>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<16>
前記組成物が、さらに成分(D)として、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサンを含有する、<1>~<15>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<17>
前記成分(D)が、アミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上を含み、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーである、<16>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<18>
前記組成物中の前記成分(D)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上2.5質量%以下である、<16>又は<17>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<19>
前記組成物が下記(I)又は(II)の組成物である、<1>~<18>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
(I)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である頭飾製品用繊維処理組成物であって、
前記成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸を含む、頭飾製品用繊維処理組成物。
(II)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である頭飾製品用繊維処理組成物であって、
前記成分(A)がポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含む、頭飾製品用繊維処理組成物。
<20>
前記組成物(I)が、さらに、好ましくは下記成分からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは2種以上、更に好ましくは3種以上、より更に好ましくは下記成分をすべて含む、<19>の頭飾製品用繊維処理組成物。
成分(A)である、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー
成分(A)である、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー
成分(C)である、高分子量オルガノポリシロキサン
成分(D)である、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサン
【0093】
<21>
前記組成物(I)における成分(A)が、好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーとを含む、<20>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<22>
前記成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である、<21>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<23>
前記成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である、<21>又は<22>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<24>
前記組成物(I)における前記成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーに対するトリメチルシロキシケイ酸の質量比[トリメチルシロキシケイ酸/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー]が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である、<20>~<23>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<25>
前記組成物(II)の前記成分(A)におけるポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンが、好ましくはポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕である、<19>~<24>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<26>
前記組成物(II)において、前記成分(A)中のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンの含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である、<19>~<25>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<27>
前記組成物(I)において、前記成分(C)が、好ましくは重合度が650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下であるジメチルポリシロキサンである、<20>~<26>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<28>
前記組成物(I)において、前記成分(D)が、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンを含み、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーを含む、<20>~<27>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<29>
前記組成物が、さらに顔料を含有する、<1>~<28>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<30>
前記組成物中の顔料の含有量が、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である、<29>の頭飾製品用繊維処理組成物。
【0094】
<31>
前記組成物が、さらに揮発性溶剤を含有する、<1>~<30>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<32>
前記揮発性溶剤が、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、及びシリコーン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上、好ましくはアルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、及びシリコーン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が10mm/s以下のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、及び25℃における粘度が20mm/s以下のメチルフェニルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が5mm/s以下のジメチルポリシロキサン、及びメチルトリメチコンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはイソドデカンである、<31>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<33>
前記組成物中の前記揮発性溶剤の含有量が、好ましくは1質量%以上98質量%以下、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは10質量%以上90質量%以下、より更に好ましくは20質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは30質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは40質量%以上80質量%以下である、<31>又は<32>の頭飾製品用繊維処理組成物。
<34>
前記組成物中の水の含有量が、好ましくは10質量%未満、より好ましくは8質量%未満、更に好ましくは6質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは3質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満である、<1>~<33>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<35>
前記組成物のpHが、好ましくは3.0以上10以下、より好ましくは4.0以上9.5以下、更に好ましくは5.0以上9.0以下、より更に好ましくは5.0以上8.5以下、より更に好ましくは5.5以上8.0以下、より更に好ましくは6.0以上7.5以下である、<1>~<34>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<36>
トリメチルシロキシケイ酸8.0質量%、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度2,000万mm/s)4.0質量%、及びイソドデカンからなる組成物を除く、<1>~<35>のいずれか1の頭飾製品用繊維処理組成物。
<37>
<1>~<36>のいずれか1の組成物を前記頭飾製品用繊維に適用し、次いで乾燥させる工程を有する、頭飾製品用繊維の処理方法。
<38>
前記頭飾製品用繊維に対する組成物の適用量が、頭飾製品用繊維に対する組成物の質量比(組成物/頭飾製品用繊維)として、好ましくは0.005以上10以下、より好ましくは0.005以上5以下、更に好ましくは0.01以上3以下、より更に好ましくは0.01以上2以下、より更に好ましくは0.05以上1以下である、<37>の処理方法。
<39>
前記組成物を適用した後の頭飾製品用繊維を、水で洗い流さずに乾燥させる、<37>又は<38>の処理方法。
<40>
<37>~<39>のいずれか1の処理方法を用いた、頭飾製品用繊維の染色方法。
<41>
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物の、頭飾製品用繊維処理組成物としての使用。
【実施例0095】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0096】
<pH測定>
pHメーター(F-72、株式会社堀場製作所製)を用いて、頭飾製品用繊維処理用組成物の30℃におけるpHを測定した。
【0097】
<染色性及び処理後の櫛通り>
頭飾製品用繊維として(株)カネカ製の再生コラーゲン繊維「ネクステンションクリスタル XXL 30」(色番:30(ホワイト)、形状:ストレート)を用いて、長さ10cm、質量2gの再生コラーゲン繊維束を作製した。
前記繊維束を下記組成のプレーンシャンプーで洗浄後、40℃の温水ですすぎ、十分に乾燥させた。この繊維束に、各例の頭飾製品用繊維処理用組成物を0.4g塗布し、次いでドライヤーを用いて、繊維束から18cm離れた位置から温風を30秒間あてた。さらに、30秒間櫛通ししながらドライヤーの温風をあてて乾燥させて、繊維処理を行った。
処理後の繊維の染色性及び櫛通りについて、専門パネラー5名が下記基準で官能評価を行った結果を表1に示した。処理後の櫛通りに関しては、リングコームを用いて評価を行い、櫛通りが良好であれば繊維のダメージが少ないと判断した。
(染色性)
A:染色性が良好である。
B:染色性がやや不十分である。
C:染色性が不十分である。
(処理後の櫛通り)
A:櫛通りが良好である。
B:櫛通りがやや悪い。
C:櫛通りが悪い。
【0098】
(プレーンシャンプーの組成)
成分 (質量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(*1) 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド(*2) 1.5
エデト酸4ナトリウム塩 0.3
安息香酸ナトリウム 1.43
精製水 残 量
計 100.0
*1:エマール227(花王(株)製、有効成分27質量%)として57.4質量%
*2:アミノーンL-02(花王(株)製)
【0099】
実施例1、比較例1~2(頭飾製品用繊維処理用組成物の調製、評価)
表1に示す各成分を、各表に記載の配合割合にて配合し、均一になるまで混合して、頭飾製品用繊維処理用組成物(染色剤組成物)を調製した。得られた組成物を用いて、前記方法で評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表に記載の配合量(質量%)は、いずれも有効成分量である。
【0100】
【表1】
【0101】
表に記載の成分は下記である。
*1:X-21-5595、信越化学工業(株)製、トリメチルシロキシケイ酸(60質量%)のイソドデカン溶液
*2:DOWSIL FA 4004 ID Silicone Acrylate、ダウ・東レ(株)製、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー(40質量%)のイソドデカン溶液
*3:Silsoft B3020、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、ジメチルポリシロキサン、25℃における粘度;2,000万mm/s(重合度3,546)
*4:DOWSIL SS-3588 Fluid、ダウ・東レ(株)製、(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー(80質量%)のエタノール溶液
*5:マルカゾールR、丸善石油化学(株)製、イソドデカン
【0102】
なお、上記成分*3の重合度(P)については、粘度(η)から前記式(4)より分子量(M)を求め、重合度(P)はジメチルポリシロキサンの基本単位の分子量が74であることから、次式(5)より求めることができる。
P=M/74 (5)
【0103】
表1より、本発明の組成物は頭飾製品用繊維の染色性が良好であり、且つ処理後の繊維ダメージも抑制されていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、頭飾製品用繊維の染色剤組成物として用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理による繊維のダメージを抑制できる頭飾製品用繊維処理用組成物を提供できる。