(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172436
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】組成物の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20241205BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20241205BHJP
A61Q 90/00 20090101ALI20241205BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20241205BHJP
A41G 3/00 20060101ALI20241205BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20241205BHJP
D06M 15/263 20060101ALI20241205BHJP
D06M 13/152 20060101ALI20241205BHJP
D06M 13/228 20060101ALI20241205BHJP
D06M 13/232 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/81
A61K8/898
A61Q90/00
A61K8/58
A41G3/00 C
D06M15/643
D06M15/263
D06M13/152
D06M13/228
D06M13/232
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090154
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上高原 正一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
4L033
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB21
4C083CC50
4C083DD28
4C083EE50
4L033AA03
4L033AB01
4L033AC15
4L033BA13
4L033BA22
4L033CA18
4L033CA59
(57)【要約】
【課題】頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法であって、所定の要件を満たす頭飾製品用繊維の染色処理に用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能な方法を提供する。
【解決手段】皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法。
【請求項2】
前記処理が、前記組成物を、頭部に装着された状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
前記処理が、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、請求項1に記載の使用方法。
【請求項4】
前記組成物を前記頭飾製品用繊維に適用する工程を2回以上繰り返して行う、請求項2又は3に記載の使用方法。
【請求項5】
前記皮膜形成剤(A)がシリコーン系ポリマーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項6】
前記浸透促進剤(B)が炭酸アルキレン、芳香環含有アルコール、及びラクトン類からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項7】
前記組成物を適用した後の前記頭飾製品用繊維を水で洗い流さずに乾燥させる、請求項2~6のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項8】
前記組成物がさらに顔料を含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項9】
前記処理が、前記頭飾製品用繊維の染色処理である、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項10】
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、頭飾製品用繊維の染色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かつら、エクステンション等の頭飾製品には、人毛、獣毛等の天然の動植物から採取した繊維以外に、合成繊維、人工的に製造された再生コラーゲン繊維等が用いられている。
【0003】
ところで、染毛剤を含む多くの毛髪化粧料には、毛髪作用成分の浸透を促進させる目的で浸透促進剤が配合されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1等に記載されている毛髪処理用の組成物を、再生コラーゲン繊維等の、人毛以外の頭飾製品用繊維の処理に用い、その後に繰り返し洗浄を行うと、繊維のダメージが生じる懸念があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法であって、所定の要件を満たす頭飾製品用繊維の染色処理に用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能な方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、皮膜形成剤を含有し、且つ、浸透促進剤の含有量及びpHが所定値以下である組成物を所定の頭飾製品用繊維の処理に用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法。
[2]皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、頭飾製品用繊維の染色方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法であって、所定の要件を満たす頭飾製品用繊維の染色処理に用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能な方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
「ポリマー」は、本明細書で用いる場合、1種又は複数の単位(これらの単位は、モノマーとして知られる化合物から誘導される)の繰返しに相当する化合物を意味する。この又はこれらの単位は、少なくとも2回、好ましくは少なくとも3回繰り返される。
「頭飾製品」は、本明細書で用いる場合、例えば、ヘアーウィッグ、かつら、ウィービング、ヘアーエクステンション、ブレードヘアー、ヘアーアクセサリー、ドールヘアー等を意味する。
「頭飾製品用繊維」は、本明細書で用いる場合、前記頭飾製品に用いられる繊維を意味する。但し、人毛は除かれる。
「疎水性」は、本明細書で用いる場合、ある物質の水中溶解度が、25℃で1質量%未満であることを意味する。
「皮膜形成」は、本明細書で用いる場合、それを適用した基材上に固体の膜を残すことを意味する。
「揮発性」は、本明細書で用いる場合、常圧で260℃以下の沸点を有するものを意味する。
【0009】
本明細書において「繊維の染色性が良好である」とは、染色成分を含有する組成物を用いて処理した後の頭飾製品用繊維の色味変化が大きいことを意味する。また「繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制」とは、組成物を用いて処理した後の頭飾製品用繊維を2回以上洗浄した後の櫛通りが良好であることを意味する。
繊維の染色性及び繰り返し洗浄による繊維ダメージの抑制については、具体的には実施例に記載の方法により評価することができる。
【0010】
[組成物の使用方法]
本発明の組成物の使用方法は、皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法である。なお以下の記載において、本発明の組成物の使用方法を単に「本発明の方法」ということがある。
本発明の方法は、所定の組成物を所定の要件を満たす頭飾製品用繊維の染色処理に用いた場合には、該繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能になる方法である。
【0011】
本発明の方法が上記効果を奏する理由は定かではないが、以下のように推察される。
適用対象が主として人毛である従来の毛髪化粧料は、浸透促進剤を含有することで、機能性成分の毛髪内部への浸透作用を高めることができる。例えば染毛剤においては、染色成分を毛髪内部に浸透させることで染色性が向上する。また、また染毛剤においては、染毛性向上の観点から通常アルカリ剤が配合される。
一方、再生コラーゲン繊維等の頭飾製品用繊維は、人毛とは性質が異なり、浸透促進剤を多量に含む毛髪化粧料を適用すると感触低下等のダメージを受けることがある。また染毛剤において、pHが10を超える高アルカリ性である毛髪化粧料を頭飾製品用繊維に適用した場合の繊維や染毛性に与える影響は不明である。
本発明に用いられる組成物は、浸透促進剤を用いて染色成分を繊維内部に浸透させて染色性を高める前記染毛剤とは異なり、皮膜形成剤及び染色成分を含有し、繊維表面に染色成分を含む皮膜を形成することにより染色することが可能な組成物である。したがって該組成物においては、浸透促進剤の含有量を削減することができ、さらに、pHの値が所定値以下であっても繊維の染色性を高めることができ、染色処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージも抑制できると考えられる。
さらに本発明の方法における処理対象である頭飾製品用繊維は、水中での引張弾性率が所定値以上である。これにより、組成物による処理に対する繊維の耐性が高まるため、染色処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージを低減できると考えられる。
なお本発明の作用メカニズムは上記に限定されるものではない。
【0012】
本発明における組成物は、皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である。以下、該組成物に含まれる各成分について説明する。
【0013】
<皮膜形成剤(A)>
皮膜形成剤(A)(以下「成分(A)」ともいう)としては、シリコーン系ポリマー、アニオン性ビニルポリマー、カチオン性ビニルポリマー、両性ビニルポリマー、ノニオン性ビニルポリマー、ウレタン系ポリマー、高重合ポリエチレングリコール、及び多糖類系ポリマーからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0014】
〔シリコーン系ポリマー〕
シリコーン系ポリマーとしては、シリコーン骨格を有する皮膜形成性ポリマーが挙げられる。このようなポリマーとしては、トリメチルシロキシケイ酸、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸、フッ素変性アルキルジメチルシロキシケイ酸、又はこれらシロキシケイ酸類をジメチコノール等により架橋したクロスポリマー等のシロキシケイ酸類;ポリメチルシルセスキオキサン、ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、フッ素変性アルキルジメチルポリシルセスキオキサン等のポリシルセスキオキサン類;ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔INCI名:ポリシリコーン-9〕等のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン;ポリシリコーン-28等の国際公開第2014/002707号に記載のオルガノポリシロキサングラフトポリマー;Silsoft Spread TT(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等のポリシリコーン-17;ポリシリコーン-6;KP-545、KP-549(以上、信越化学工業(株)製)等の(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー;DOWSIL FA 4001 CM Silicone Acrylate、DOWSIL FA 4002 ID Silicone Acrylate、DOWSIL FA 4003 DM Silicone Acrylate、DOWSIL FA 4004 ID Silicone Acrylate(以上、ダウ・東レ(株)製)等の(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー;等が挙げられる。
【0015】
〔アニオン性ビニルポリマー〕
アニオン性ビニルポリマーとしては、シリコーン骨格を有さないアニオン性ビニルポリマーであって、以下のものが挙げられる。
≪クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸のいずれか由来の構成単位を含むアニオン性ビニルポリマー≫
クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸のいずれか由来の構成単位を含んでいれば特に限定されないが、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルアルコール類の1種以上と共重合されているものとして、メチルビニルエーテル/マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツES-225、同ES-425、同SP-215(以上、ISP社製))、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310(Nouryon社製)等)、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体(レジン28-2930(Nouryon社製)等)、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体(ルビセットCAP(BASF社製)等)、ビニルアルコール/イタコン酸共重合体(KM-118((株)クラレ製)等)が挙げられる。
【0016】
≪(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含むアニオン性ビニルポリマー≫
(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含むビニルポリマーであれば特に限定されないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルあるいはN-アルキル(メタ)アクリルアミドの1種以上との共重合体として、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミド共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールド・ストロング(以上、BASF社製)等)、オクチルアクリルアミド/アクリル酸共重合体(アンフォーマーHC(Nouryon社製)等)、アクリレート/メタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸共重合体(アマホールドDR25(ユニオンカーバイド社製)等)、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL-9540B(当該共重合体の2-アミノ-2-メチル-1-プロピルアルコール中和物)(互応化学工業(株)製)等)、アクリレーツ/C1-18アルキルアクリレーツ/C1-8アルキルアクリルアミド共重合体(プラスサイズL-9909B(当該共重合体の2-アミノ-2-メチル-1-プロピルアルコール中和物)(互応化学工業(株)製)等)が挙げられる。
なお本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する。
【0017】
〔カチオン性ビニルポリマー〕
カチオン性ビニルポリマーとしては、シリコーン骨格を有さないカチオン性ビニルポリマーが挙げられ、例えば、ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ガフコート755N(ISP社製))、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイリーゼW-20(ISP社製))、ビニルピロリドン/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル/アクリル酸アルキル/ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体(コスカットGA467、コスカットGA468(以上、大阪有機化学工業(株)製))、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ルーブリゾール社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体(マーコート550(ルーブリゾール社製))、塩化トリメチルアンモニオプロピルアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体(特開平2-180911号公報参照)、t-ブチルアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド/ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/メトキシポリエチレングリコール(PEG400)メタクリレート共重合体(特開平8-291206号公報参照)等が挙げられる。
【0018】
〔両性ビニルポリマー〕
両性ビニルポリマーとしては、シリコーン骨格を有さない両性ビニルポリマーが挙げられ、例えば、アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV-71、AMPHOMER 28-4910(以上、Nouryon社製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマーM-75、ユカフォーマー104D(以上、三菱ケミカル(株)製)等、RAMレジン-1000、RAMレジン-2000、RAMレジン-3000、RAMレジン-4000(以上、大阪有機化学工業(株)製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(マーコート280、マーコート295(以上、ルーブリゾール社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド/アクリル酸共重合体(マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(以上、ルーブリゾール社製))等が挙げられる。
【0019】
〔ノニオン性ビニルポリマー〕
ノニオン性ビニルポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(以上、BASF社製)、PVP K(ISP社製))、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(PVP/VA S-630、PVP/VA E-735、PVP/VA E-335(以上、ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上、BASF社製)、PVA-6450(大阪有機化学工業(株)製))、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製))、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社製))等が挙げられる。
【0020】
〔ウレタン系ポリマー〕
ウレタン系ポリマーとしては、ヨドゾールPUD(Nouryon社製)、ルビセットP.U.R.(BASF社製)、特開2006-213706号公報に記載されたポリマー等、アクリル-ウレタン系ポリマーとして、DynamX(Nouryon社製)等が挙げられる。
【0021】
〔高重合ポリエチレングリコール〕
高重合ポリエチレングリコールは、平均分子量が1万以上400万以下の酸化エチレン重合体であり、市販品としてはポリオックスTM WSR205、ポリオックスTM WSR301(以上、ダウ・ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0022】
〔多糖類系ポリマー〕
多糖類系ポリマーとしては、アラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等が挙げられる。
【0023】
疎水性の皮膜を形成しうる観点、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点からは、成分(A)はシリコーン系ポリマーを含むことが好ましい。成分(A)中のシリコーン系ポリマーの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0024】
より具体的には、成分(A)は好ましくはシリコーン系ポリマーを含み、より好ましくはシロキシケイ酸類、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含む。更に好ましくは、成分(A)は、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む。
【0025】
成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0026】
成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0027】
成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーに対するトリメチルシロキシケイ酸の質量比[トリメチルシロキシケイ酸/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー]は、皮膜形成性、繊維の染色性、感触及び耐洗浄性向上の観点、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である。
【0028】
成分(A)がポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含む場合、成分(A)中のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0029】
組成物中の成分(A)の含有量は、皮膜形成性及び繊維の染色性向上の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上であり、また、取り扱い性及び感触の低下を抑制する観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。そして、組成物中の成分(A)の含有量は、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上30質量%以下、より更に好ましくは3質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは5質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは10質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上25質量%以下である。
【0030】
<浸透促進剤(B)>
本明細書における浸透促進剤(B)としては、炭酸プロピレン等の炭酸アルキレン;ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、p-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール等の芳香環含有アルコール;γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン等のラクトン類:からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、代表的な浸透促進剤(B)としては、炭酸アルキレン及び芳香環含有アルコールからなる群から選ばれる1種以上であり、好ましくは炭酸プロピレン及びベンジルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である。
【0031】
組成物中の成分(B)の含有量は、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、24質量%以下であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.01質量%以下であり、より更に好ましくは0質量%である。
【0032】
<成分(C):高分子量オルガノポリシロキサン>
組成物は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、成分(C)として高分子量オルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。
成分(C)の重合度は、繊維の染色性向上、及び処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくは650以上、より好ましくは800以上、更に好ましくは1,200以上、より更に好ましくは1,400以上、より更に好ましくは1,900以上、より更に好ましくは2,200以上であり、入手性の観点から、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは4,500以下、より更に好ましくは4,000以下、より更に好ましくは3,900以下である。そして、成分(C)の重合度は、好ましくは650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下である。
【0033】
より詳細には、成分(C)は、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【化1】
(式中、R
11はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示し、R
12はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。R
13は炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は第一級~第三級アミノ基含有基を示す。mは重合度を示し、650以上の数である。m個のR
13は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0034】
一般式(1)中、R11における炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基のいずれでもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基、フェニル基等が挙げられる。アルキル基及びアルケニル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。
上記の中でも、R11は、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
【0035】
一般式(1)中、R12はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。
R12におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
R12における炭化水素基は、R11と同じであり、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
R12は、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点から、好ましくはヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又はフェニル基であり、より好ましくはヒドロキシ基、炭素数1以上3以下のアルキル基、又はフェニル基であり、更に好ましくはヒドロキシ基、メチル基、又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
【0036】
一般式(1)中、R13は炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は第一級~第三級アミノ基含有基を示す。
R13における炭化水素基は、R11と同じであり、好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
R13における第一級~第三級アミノ基含有基(以下、単に「アミノ基含有基」ともいう)は、-N(R14)2、-NR14(CH2)pN(R14)2、又は-NR14(CH2)pN(R15)CO-R16で示される基であることが好ましい。ここで、R14は水素原子又は炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。R15は炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示し、好ましくはメチル基又はエチル基である。R16は炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示す。pは2以上6以下の数を示し、好ましくは2以上4以下の数である。
R13における好ましいアミノ基含有基は、-(CH2)3-NH2、-(CH2)3-N(CH3)2、-(CH2)3-NH-(CH2)2-NH2、又は-(CH2)2-NH-(CH2)2-N(CH3)2であり、より好ましくは-(CH2)3-NH2である。
【0037】
R13は、好ましくは炭素数1以上6以下の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基であり、更に好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基又はフェニル基であり、より更に好ましくはメチル基である。
【0038】
一般式(1)中、mは重合度を示し、650以上の数である。繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、mは、好ましくは800以上、より好ましくは1,200以上、更に好ましくは1,400以上、より更に好ましくは1,900以上、より更に好ましくは2,200以上であり、入手性の観点から、好ましくは20,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは4,500以下、より更に好ましくは4,000以下、より更に好ましくは3,900以下である。そして、一般式(1)中のmは、650以上であり、好ましくは650以上20,000以下、より好ましくは800以上10,000以下、更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下である。
【0039】
成分(C)の粘度は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは5,000mm2/s以上、より好ましくは1万mm2/s以上、更に好ましくは5万mm2/s以上、より更に好ましくは10万mm2/s以上、より更に好ましくは45万mm2/s以上、より更に好ましくは100万mm2/s以上である。また、入手性の観点から、好ましくは14,000万mm2/s以下、より好ましくは5,000万mm2/s以下、更に好ましくは4,000万mm2/s以下である。そして、成分(C)の粘度は、好ましくは5,000mm2/s以上14,000万mm2/s以下、より好ましくは1万mm2/s以上14,000万mm2/s以下、更に好ましくは1万mm2/s以上14,000万mm2/s以下、より更に好ましくは5万mm2/s以上14,000万mm2/s以下、より更に好ましくは10万mm2/s以上5,000万mm2/s以下、より更に好ましくは45万mm2/s以上4,000万mm2/s以下、より更に好ましくは100万mm2/s以上4,000万mm2/s以下である。
【0040】
上記粘度は、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に基づき、25℃において測定した値である。例えば、細管粘度計、落球式粘度計、回転式粘度計、振動式粘度計から適切なものを選択して測定することができる。また、粘度計の常用測定範囲を超える場合には、下記の方法により、成分(C)の希釈溶液から求めることができる。
1g/100mL濃度の成分(C)のトルエン溶液を調製し、下記数式(1)により比粘度ηsp(25℃)を求める。次に下記数式(2)に示すHugginsの関係式に代入し、固有粘度〔η〕を求める。さらに〔η〕を下記数式(3)に示すA.Kolorlovの式に代入し、分子量Mを求める。最後に、Mを下記数式(4)に示すA.J.Barryの式に代入し、成分(C)の粘度ηを求めることができる(例えば、信越化学工業(株)、シリコーンオイルKF-96性能試験結果4.2参照)。
ηsp=(η/η0)-1 (1)
(但し、η0:トルエンの粘度、η:溶液の粘度)
ηsp=〔η〕+K’〔η〕2 (2)
(但し、K’:Huggins定数は、中牟田、日化、77588[1956]に記載のものを用いる。)
〔η〕=0.215×10-4M0.65 (3)
logη=1.00+0.0123M0.5(4)
【0041】
成分(C)として用いられるジメチルポリシロキサンの市販品としては、KF-96H-1万cs(粘度1万mm2/s)、KF-96H-1.25万cs(粘度1.25万mm2/s)、KF-96H-3万cs(粘度3万mm2/s)、KF-96H-5万cs(粘度5万mm2/s)、KF-96H-6万cs(粘度6万mm2/s)、KF-96H-10万cs(粘度10万mm2/s)、KF-96H-30万cs(粘度30万mm2/s)、KF-96H-50万cs(粘度50万mm2/s)、KF-96H-100万cs(粘度100万mm2/s)、X-21-5686(粘度300万mm2/s、30質量%-イソドデカン溶液)、X-25-9074(粘度3,000万mm2/s、30質量%-イソドデカン溶液)(以上、信越化学工業(株)製)、TSF451-100MA(粘度100万mm2/s)、TSE200A、Silsoft B3020(粘度2,000万mm2/s、20質量%-イソドデカン溶液)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
成分(C)として用いられるアミノプロピルメチルポリシロキサンの市販品としては、KF-8017(10質量%-低粘度ジメチルポリシロキサン溶液)、KF-8018(10質量%-シクロペンタシロキサン溶液)、KF-8020(20質量%-低粘度ジメチルポリシロキサン溶液)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
成分(C)として用いられるジメチコノールの市販品としては、X-21-5613(20質量%-低粘度ジメチルポリシロキサン溶液)、X-21-5666(30質量%-シクロペンタシロキサン溶液)、X-21-5847、X-21-5849(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0042】
成分(C)は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは重合度が前記範囲である、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノプロピルメチルポリシロキサン、及びジメチコノールからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは重合度が前記範囲であるジメチルポリシロキサンである。
【0043】
組成物が成分(C)を含有する場合、組成物中の成分(C)の含有量は、繊維の染色性向上、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、及び耐皮脂性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上である。また、べたつきを抑制して良好な感触を付与する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは4.0質量%以下、より更に好ましくは3.5質量%以下である。そして、組成物中の成分(C)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である。
【0044】
<成分(D):前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサン>
組成物は、成分(D)として、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサンを含有することができる。
成分(D)が有するカチオン性基とは、カチオン基、又は、イオン化されてカチオン基になり得る基をいう。具体的には、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、及び第四級アンモニウム基が挙げられる。成分(D)が有するカチオン性基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、及び第三級アミノ基からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0045】
成分(D)は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくはアミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上である。
【0046】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン等の主鎖又は側鎖にアミノ基を有し、且つポリエーテル基を有さないシリコーンである。
アミノ変性シリコーンの具体例としては、アミノエチルアミノプロピルジメチコン〔アモジメチコン〕、アミノプロピルジメチコン、ビス(アミノプロピル)ジメチコン、及びビス(セテアリル)アモジメチコンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
アミノ変性シリコーンの市販品としては、シリコーン SF 8457 C(ダウ・東レ(株)製)等が挙げられる。また、アミノ変性シリコーンとジメチルポリシロキサンとの混合物である、DOWSIL CF 1046(ダウ・東レ(株)製)等も用いることができる。
【0047】
アミノポリエーテル変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン等の主鎖又は側鎖にアミノ基及びポリエーテル基を有するシリコーンである。
ポリエーテル基は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点、及び入手性の観点から、好ましくはポリオキシアルキレン基であり、より好ましくはポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基からなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはポリオキシエチレン基である。
ポリオキシアルキレン基における平均オキシアルキレン数は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、また、好ましくは60以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
【0048】
アミノポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、メトキシPEG/PPG-7/3 アミノプロピルジメチコン、(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー、(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー、(ビスイソブチルPEG/PPG-20/35/アモジメチコン)コポリマー、PEG-40/PPG-8 メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメチコンコポリマー等が挙げられる。
【0049】
市販のアミノポリエーテル変性シリコーンとしては、ABIL Soft AF100(メトキシPEG/PPG-7/3 アミノプロピルジメチコン)(Evonik社製)、DOWSIL SS-3588 Fluid((ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーの80質量%-エタノール溶液)、DOWSIL SILSTYLE 104((ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー)、DOWSIL SILSTYLE 201((ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー)、DOWSIL SILSTYLE 401((ビスイソブチルPEG/PPG-20/35/アモジメチコン)コポリマー)(以上、ダウ・東レ(株)製)、Silsoft A+(PEG-40/PPG-8 メチルアミノプロピル/ヒドロキシプロピルジメチコンコポリマー)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等が挙げられる。
【0050】
成分(D)は、上記のうち1種又は2種以上を用いることができる。上記の中でも、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、成分(D)は、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーである。
【0051】
組成物が成分(D)を含有する場合、組成物中の成分(D)の含有量は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上である。また、べたつきを抑制して良好な感触を付与する観点から、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下である。そして、組成物中の成分(D)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上2.5質量%以下である。
【0052】
前記組成物は、繊維の染色性向上、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、耐洗浄性、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、下記(I)又は(II)の組成物であることが好ましい。
(I)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物であって、
前記成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸を含む、組成物。
(II)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物であって、
前記成分(A)がポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含む、組成物。
【0053】
前記組成物(I)は、さらに、好ましくは下記成分からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは2種以上、更に好ましくは3種以上、より更に好ましくは下記成分をすべて含む。
成分(A)である、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー
成分(A)である、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー
成分(C)である、高分子量オルガノポリシロキサン
成分(D)である、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサン
【0054】
前記組成物(I)における成分(A)は、トリメチルシロキシケイ酸を含み、好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーとを含む。
【0055】
前記組成物(I)における成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0056】
前記組成物(I)における成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0057】
前記組成物(I)における成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーに対するトリメチルシロキシケイ酸の質量比[トリメチルシロキシケイ酸/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー]は、皮膜形成性、繊維の染色性、感触及び耐洗浄性向上の観点、汚れのつきにくさ、耐皮脂性向上の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である。
【0058】
前記組成物(II)の前記成分(A)におけるポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンは、好ましくはポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕である。
【0059】
前記組成物(II)において、前記成分(A)中のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である。
【0060】
前記組成物(I)において、前記成分(C)は、好ましくは重合度が650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下であるジメチルポリシロキサンである。
前記組成物(I)において、前記成分(D)は、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーである。
【0061】
組成物(I)及び組成物(II)について、上記以外の各成分の好適態様は前記と同じである。
【0062】
<顔料>
組成物が染色剤組成物である場合、前記組成物は、さらに顔料を含有することが好ましい。
顔料としては、パール顔料(干渉パール顔料、着色パール顔料)、有機顔料、無機顔料、金属粉末顔料等が挙げられる。
【0063】
干渉パール顔料は、コア粒子と、該コア粒子表面に形成されるコーティング層とを有する。干渉パール顔料を構成するコア粒子の材質としては、雲母(マイカ)、セリサイト、タルク、カオリン、スメクタイト属粘土鉱物、オキシ塩化ビスマス、合成マイカ、合成セリサイト、板状シリカ、板状アルミナ等が挙げられる。
干渉パール顔料を構成するコーティング層は、反射干渉層として作用する層である。該コーティング層は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の無色金属酸化物や、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、ケイ素、アルミニウム等の無色金属を主成分とする薄膜からなる層であり、単層構造でも多層構造でもよい。
市販の干渉パール顔料としては、Timiron Super Blue、Timiron Super Gold、Timiron Super Green、Timiron Super Red(以上、メルク社製)等が挙げられる。
【0064】
着色パール顔料としては、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母、酸化鉄・黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄・紺青被覆雲母チタン、酸化鉄被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆オキシ塩化ビスマス雲母等が挙げられる。市販の着色パール顔料としては、Timica Golden Bronze、Cloisonne Super Green(以上、BASF社製)、COLORONA BORDEAUX、COLORONA LIGHT BLUE、COLORONA Blackstar BLUE、COLORONA FINE GOLD MP-20、COLORONA PRECIOUS GOLD、COLORONA RED BROWN、COLORONA DARK BLUE等が挙げられる。
【0065】
有機顔料としては、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色226号、赤色228号、赤色404号、赤色405号、だいだい色203号、だいだい色204号、だいだい色401号、黄色205号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。
【0066】
無機顔料のうち、無機黒色系顔料としては、カーボンブラック、黒酸化鉄、黒酸化チタン等が、無機赤色系顔料としては、酸化鉄(べんがら)、水酸化鉄、チタン酸鉄等が、無機褐色系顔料としては、γ-酸化鉄等、無機黄色系顔料としては黄酸化鉄、黄土等が、無機青色系顔料としては群青、紺青等が、無機紫色系顔料としては、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等が、無機緑色系顔料としては、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等が、無機白色系顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0067】
金属粉末顔料としては金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、真鍮粉等が挙げられる。
顔料は、上記のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
組成物が顔料を含有する場合、組成物中の顔料の含有量は、繊維の染色性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上であり、組成物中での分散性及び経済性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。そして、組成物中の顔料の含有量は、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。
【0069】
<揮発性溶剤>
組成物は、前記成分(A)~(D)及び顔料を分散又は溶解させる観点で、さらに揮発性溶剤を含有することが好ましい。なお本発明で定義する揮発性溶剤には、水は含まれないものとする。
【0070】
揮発性溶剤としては、前記定義の揮発性を有する、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、シリコーン系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等、ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、軽質流動イソパラフィン(炭素数8~16のイソパラフィンを主成分とするもの)、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン等が挙げられる。
また、シリコーン系溶媒としては、25℃における粘度が10mm2/s以下のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン等のアルキルトリメチコン、25℃における粘度が20mm2/s以下のメチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。揮発性溶剤としては、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0071】
前記成分(A)~(D)及び顔料を分散又は溶解させる観点から、揮発性溶剤は、好ましくはアルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、及びシリコーン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が10mm2/s以下のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、及び25℃における粘度が20mm2/s以下のメチルフェニルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が5mm2/s以下のジメチルポリシロキサン、及びメチルトリメチコンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはイソドデカンである。
【0072】
組成物が揮発性溶剤を含有する場合、組成物中の揮発性溶剤の含有量は、成分(A)~(D)及び顔料を分散又は溶解させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、頭飾製品用繊維に適用しやすい粘度に調整する観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、より更に好ましくは80質量%以下である。そして、組成物中の揮発性溶剤の含有量は、好ましくは1質量%以上98質量%以下、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは10質量%以上90質量%以下、より更に好ましくは20質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは30質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
組成物中の揮発性溶剤の含有量は、成分(A)~(D)及び顔料の残部であってもよい。
【0073】
<水>
組成物中の水の含有量は、成分(A)~(D)及び顔料の分散性向上の観点、及び乾燥速度向上の観点から、少ないことが好ましく、好ましくは10質量%未満、より好ましくは8質量%未満、更に好ましくは6質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは3質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満である。
なお、本明細書において、「実質的に含有しない」とは意図的に添加していないことを意味し、不純物として微量に含むことを排除するものではない。
【0074】
<固形油>
組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、固形油の含有量が少ないことが好ましい。固形油は25℃で固形の油剤であり、固形パラフィン等のパラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、蜜蝋等が挙げられる。組成物中の固形油の含有量は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは20質量%未満、更に好ましくは10質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満である。
【0075】
<揮発性環状シリコーン>
組成物は、乾燥速度向上の観点から、デカメチルシクロペンタシロキサン等の、揮発性環状シリコーンの含有量が少ないことが好ましい。揮発性環状シリコーンは他の揮発性溶剤より揮発時間が遅く、対象物に塗布した後に乾燥するまでの時間が長くなる傾向があるためである。組成物中の揮発性環状シリコーンの含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満であり、より更に好ましくは0質量%である。
【0076】
<シリコーン系界面活性剤>
組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、シリコーン系界面活性剤の含有量が少ないことが好ましい。シリコーン系界面活性剤とは、シリコーン構造、典型的にはポリシロキサン構造を有する界面活性剤を意味し、側鎖、末端等に、親水性基、親水性ポリマー鎖等を有していてもよい。組成物中のシリコーン系界面活性剤の含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0077】
<油ゲル化剤>
組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、脂肪酸デキストリン、疎水性シリカ、親油性粘土鉱物等の、油ゲル化剤の含有量が少ないことが好ましい。組成物中の油ゲル化剤の含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0078】
<不揮発性液状油剤>
組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、不揮発性液状油剤の含有量が少ないことが好ましい。組成物中の不揮発性液状油剤の含有量は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは40質量%未満、更に好ましくは30質量%未満、より更に好ましくは20質量%未満、より更に好ましくは10質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは2質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0079】
<多価アルコール>
組成物は、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、多価アルコールの含有量が少ないことが好ましい。当該多価アルコールとしては、プロピレングリコール、グリセリン等を例示できる。組成物中の多価アルコールの含有量は、好ましくは5質量%未満、より好ましくは2質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.5質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満である。
【0080】
<その他の成分>
組成物は、前記成分以外に、酸化防止剤、香料、防腐剤、増粘剤、pH調整剤等を含有することができる。
【0081】
<pH>
組成物のpHは、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ及び皮膚刺激性の抑制の観点から、10以下であり、好ましくは9.5以下、より好ましくは9.0以下、更に好ましくは8.5以下、より更に好ましくは8.0以下、より更に好ましくは7.5以下である。また、繊維の染色性向上、繊維ダメージ及び皮膚刺激性の抑制の観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、更に好ましくは5.0以上、より更に好ましくは5.5以上、より更に好ましくは6.0以上である。そして、組成物のpHは、10以下であり、好ましくは3.0以上10以下、より好ましくは4.0以上9.5以下、更に好ましくは5.0以上9.0以下、より更に好ましくは5.0以上8.5以下、より更に好ましくは5.5以上8.0以下、より更に好ましくは6.0以上7.5以下である。
上記pHは、30℃において、実施例に記載の方法により測定できる。
【0082】
<剤型等>
組成物の剤型は特に限定されず、製品形態に応じて、液体、ペースト、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、ワックス等の剤型にすることができる。
組成物は、油中水型等の乳化型組成物の形態でもよく、非乳化型組成物の形態でもよいが、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上、及び繊維ダメージ抑制の観点からは、非乳化型組成物であることが好ましい。
【0083】
組成物の製品形態としては、洗浄剤組成物、コンディショニング剤組成物、トリートメント剤組成物(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤組成物、染色剤組成物、パーマネント剤組成物等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の有効性の観点から、好ましくは染色剤組成物である。
【0084】
組成物は、繊維の染色性が良好で、且つ処理後の繰り返し洗浄による繊維へのダメージを抑制できるという発明の効果の観点から、頭飾製品用繊維に適用した後、洗い流さずに乾燥させて用いるリーブオン型組成物であることが好ましい。例えば組成物が染色剤組成物である場合は、該染色剤組成物は、好ましくは、頭飾製品用繊維に適用して着色皮膜を形成し、洗い流さずに乾燥させて用いる染色剤組成物である。
【0085】
組成物の調製方法は特に制限されない。例えば、成分(A)及び成分(B)、並びに必要に応じて用いられる他の成分を配合し、公知の撹拌装置を用いて撹拌することにより調製することができる。
【0086】
<頭飾製品用繊維>
本明細書において、頭飾製品用繊維から人毛は除かれる。
前記組成物による処理対象となる頭飾製品用繊維としては、天然由来繊維、合成繊維のいずれでもよいが、天然由来繊維が好ましい。天然由来繊維とは、天然の動植物から採取した繊維、あるいは、コラーゲン、カゼイン、大豆、落花生、トウモロコシ、絹屑、絹蛋白質(例えば絹フィブロイン)等由来の蛋白質や、多糖類等のポリマー又はオリゴマーを原料として人工的に製造された繊維をいう。これらのうち、獣毛、又は、ケラチン、コラーゲン、カゼイン、大豆、落花生、トウモロコシ、絹屑、絹蛋白質(例えば絹フィブロイン)等由来の蛋白質や多糖類等のポリマーやオリゴマーを原料として人工的に製造された繊維が好ましく、ケラチン、コラーゲン、カゼイン、大豆蛋白質、落花生蛋白質、トウモロコシ蛋白質、絹蛋白質(例えば絹フィブロイン)等由来の蛋白質を原料とする再生蛋白質繊維がより好ましく、コラーゲンを原料とする再生コラーゲン繊維、絹フィブロインを原料とする再生絹繊維等の再生蛋白質繊維がより好ましく、再生コラーゲン繊維が更に好ましい。
再生コラーゲン繊維は、公知の技術で製造することができる。再生コラーゲン繊維の組成はコラーゲン100%である必要はなく、品質改良のための天然ポリマー、合成ポリマー、添加剤等が含まれていてもよい。更には、再生コラーゲン繊維は後加工又は後処理されたものであってもよい。再生コラーゲン繊維の形態としてはフィラメントが好ましい。フィラメントは一般にボビン巻きしたものや箱詰めした状態から取り出される。また、再生コラーゲン繊維の製造工程で乾燥工程から出てきたフィラメントを直接利用することもできる。
【0087】
合成繊維としては、合成樹脂を主成分として含む繊維が挙げられる。合成繊維の製造容易性の観点、及び、頭髪に近い風合いを得る観点から、該合成樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂であり、より好ましくはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びモダアクリル樹脂(アクリロニトリルと塩化ビニルの共重合体)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。ここでいう「主成分」とは、合成繊維中の含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であって、100質量%以下の成分を意味する。
合成繊維は、上記合成樹脂以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に難燃剤、難燃助剤、光又は熱安定剤、蛍光剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等の各種を含有することができる。
【0088】
前記組成物による処理対象となる頭飾製品用繊維の水中での引張弾性率は、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点から、0.4GPa以上であり、好ましくは0.5GPa以上、更に好ましくは0.6GPa以上、より更に好ましくは0.7GPa以上である。上限は特に限定されないが、頭飾製品に用いる観点から、通常、10GPa以下であり、好ましくは5.0GPa以下、より好ましくは3.0GPa以下、更に好ましくは2.0GPa以下、より更に好ましくは1.0GPa以下である。
頭飾製品用繊維の水中での引張弾性率は、20℃の水中において、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0089】
本発明の方法では、皮膜を速やかに形成する観点から、頭飾製品用繊維の処理において、好ましくは、前記組成物を前記頭飾製品用繊維に適用し、次いで乾燥させる。
前記組成物は、均一塗布性の観点から、使用前に一時的に相溶又は分散させてから頭飾製品用繊維表面に適用することが好ましい。一時的に相溶又は分散させる手段としては、加熱などの熱力学的手段、機械的に剪断応力を加えるなどの物理的手段又は相溶性のある溶剤を添加するなどの化学的手段等を任意に利用することができる。使用者の利便性の観点から、好ましくは攪拌、振盪等の物理的手段によって均一に相溶又は分散させておくことが好ましい。
【0090】
頭飾製品用繊維の処理において、組成物を適用する頭飾製品用繊維は、乾燥状態でも湿潤状態でもよいが、皮膜の形成しやすさの観点から、乾燥状態の頭飾製品用繊維に組成物を適用することが好ましい。組成物の適用方法は、流延、噴霧、塗布、浸漬等が挙げられ、処理しやすさの観点から、好ましくは噴霧、塗布、又は浸漬であり、より好ましくは塗布である。
【0091】
頭飾製品用繊維の処理において、頭飾製品用繊維に対する組成物の適用量は特に制限されないが、皮膜形成性を向上させる観点、繊維の染色性向上の観点から、頭飾製品用繊維に対する組成物の質量比(組成物/頭飾製品用繊維)として、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上であり、処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージ抑制の観点、乾燥速度向上の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1以下である。そして、頭飾製品用繊維に対する組成物の適用量は、頭飾製品用繊維に対する組成物の質量比(組成物/頭飾製品用繊維)として、好ましくは0.005以上10以下、より好ましくは0.005以上5以下、更に好ましくは0.01以上3以下、より更に好ましくは0.01以上2以下、より更に好ましくは0.05以上1以下である。
【0092】
前記組成物を適用した後の頭飾製品用繊維は、水で洗い流さずに乾燥させることが好ましい。組成物を適用した後の頭飾製品用繊維の乾燥は、自然乾燥でもよく、フード、ヘアドライヤー、ストレートアイロン等のデバイス等を用いて乾燥させてもよい。
前記デバイスを使用する場合には、頭飾製品用繊維の熱ダメージを抑える観点から、40℃以上220℃以下の温度をかけて乾燥することが好ましい。より好ましくはフード又はヘアドライヤーによる乾燥であり、その乾燥温度は、好ましくは40℃以上110℃以下、より好ましくは50℃以上90℃以下である。
乾燥時間は、皮膜が頭飾製品用繊維表面に実質的に形成される範囲であれば特に制限されず、適宜調整されるが、例えば10秒から120分の範囲で行うことができる。
【0093】
前記頭飾製品用繊維の処理は、前記組成物を、頭部に装着された状態の頭飾製品用繊維に適用する工程を含んでもよく、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する工程を含んでもよい。
前記組成物を、頭部に装着された状態の頭飾製品用繊維に適用する方法では、理想の仕上がりに近づくよう処理できる点で有利である。また、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する方法では、組成物(特に染色剤組成物)が頭髪、頭皮等の、繊維以外の部位に付着することを防止できる点で有利である。
【0094】
本発明の方法において、理想の仕上がりに近づけるため、組成物を頭飾製品用繊維に適用する工程は、2回以上繰り返して行うこともできる。繰り返し回数は特に制限されないが、施術者の負担低減の観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは5回以下である。
【0095】
本発明の組成物の使用方法における頭飾製品用繊維の処理の具体例として、下記方法が挙げられる。
(1)頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程、及び、前記組成物を、頭部に装着された状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程をこの順で含む方法。なお、前記組成物を頭飾製品用繊維に適用する工程は、仕上がり状態を確認しながら、頭飾製品用繊維を頭部に装着した状態で2回以上行ってもよい。
(2)前記組成物を、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む方法。さらに、該工程の後に、前記頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程(仕上がり状態の確認)、前記頭飾製品用繊維を頭部から取り外す工程、及び、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を含んでもよい。頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程、前記頭飾製品用繊維を頭部から取り外す工程、及び、前記組成物を、前記頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する工程のサイクルは、2回以上行うこともできる。
皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減の観点からは、頭飾製品用繊維の処理としては、好ましくは上記(2)、すなわち、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む方法である。また、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減の両立の観点から、頭飾製品用繊維の処理は、より好ましくは、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む方法であって、該工程の後に、前記頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程、前記頭飾製品用繊維を頭部から取り外す工程、及び、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を行うサイクルを1回以上9回以下、好ましくは1回以上4回以下行う方法である。
【0096】
前記処理は、頭飾製品用繊維の染色処理であることが好ましい。前記組成物を前記繊維の染色処理に用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能である。
【0097】
[頭飾製品用繊維の染色方法]
本発明はさらに、皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、頭飾製品用繊維の染色方法を提供する。
当該染色方法に用いられる組成物は、好ましくは、さらに顔料を含有する染色剤組成物である。
該組成物を頭飾製品用繊維に適用する工程は、前記と同様に行うことができる。
本発明の頭飾製品用繊維の染色方法によれば、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能になる。
【0098】
上述の実施形態に関し、本発明は下記を開示する。
<1>
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法。
<2>
前記成分(A)が、シリコーン系ポリマー、アニオン性ビニルポリマー、カチオン性ビニルポリマー、両性ビニルポリマー、ノニオン性ビニルポリマー、ウレタン系ポリマー、高重合ポリエチレングリコール、及び多糖類系ポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含む、<1>の使用方法。
<3>
前記成分(A)が、好ましくはシリコーン系ポリマーを含み、より好ましくはシロキシケイ酸類、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含む。更に好ましくは、成分(A)は、トリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より更に好ましくはトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む、<1>又は<2>の使用方法。
<4>
前記組成物中の前記成分(A)の含有量が、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上30質量%以下、より更に好ましくは3質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは5質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは10質量%以上25質量%以下、より更に好ましくは15質量%以上25質量%以下である、<1>~<3>のいずれか1の使用方法。
<5>
前記浸透促進剤(B)が、炭酸プロピレン、芳香環含有アルコール、及びラクトン類からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは炭酸アルキレン及び芳香環含有アルコールからなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくは炭酸プロピレン及びベンジルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である、<1>~<4>のいずれか1の使用方法。
<6>
前記組成物中の前記成分(B)の含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.01質量%以下であり、より更に好ましくは0質量%である、<1>~<5>のいずれか1の使用方法。
<7>
前記組成物が、さらに、成分(C)として高分子量オルガノポリシロキサンを含有する、<1>~<6>のいずれか1の使用方法。
<8>
前記成分(C)の重合度が、好ましくは650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下である、<7>の使用方法
<9>
前記成分(C)は、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンである、<7>又は<8>の使用方法。
【化2】
(式中、R
11はそれぞれ独立に、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示し、R
12はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。R
13は炭素数1以上6以下の炭化水素基、又は第一級~第三級アミノ基含有基を示す。mは重合度を示し、650以上の数である。m個のR
13は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。)
<10>
前記成分(C)の粘度が、好ましくは5,000mm
2/s以上14,000万mm
2/s以下、より好ましくは1万mm
2/s以上14,000万mm
2/s以下、更に好ましくは1万mm
2/s以上14,000万mm
2/s以下、より更に好ましくは5万mm
2/s以上14,000万mm
2/s以下、より更に好ましくは10万mm
2/s以上5,000万mm
2/s以下、より更に好ましくは45万mm
2/s以上4,000万mm
2/s以下、より更に好ましくは100万mm
2/s以上4,000万mm
2/s以下である、<7>~<9>のいずれか1の使用方法。
【0099】
<11>
前記成分(C)がジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノプロピルメチルポリシロキサン、及びジメチコノールからなる群から選ばれる1種以上を含み、より好ましくはジメチルポリシロキサンを含む、<7>~<10>のいずれか1の使用方法。
<12>
前記組成物中の成分(C)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上5.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以上3.5質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上3.5質量%以下である、<7>~<11>のいずれか1の使用方法。
<13>
前記組成物が、さらに成分(D)として、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサンを含有する、<1>~<12>のいずれか1の使用方法。
<14>
前記成分(D)が、アミノ変性シリコーン及びアミノポリエーテル変性シリコーンからなる群から選ばれる1種以上であり、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンであり、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーである、<13>の使用方法。
<15>
前記組成物中の前記成分(D)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上8.0質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以上2.5質量%以下である、<13>又は<14>の使用方法。
<16>
前記組成物が下記(I)又は(II)の組成物である、<1>~<15>のいずれか1の使用方法。
(I)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物であって、
前記成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸を含む、組成物。
(II)皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物であって、
前記成分(A)がポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンを含む、組成物。
<17>
前記組成物(I)が、さらに、好ましくは下記成分からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは2種以上、更に好ましくは3種以上、より更に好ましくは下記成分をすべて含む、<16>の使用方法。
成分(A)である、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー
成分(A)である、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー
成分(C)である、高分子量オルガノポリシロキサン
成分(D)である、前記成分(A)及び成分(C)以外のカチオン性基を有するオルガノポリシロキサン
<18>
前記組成物(I)における成分(A)が、好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上とを含み、より好ましくはトリメチルシロキシケイ酸と、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーとを含む、<17>の使用方法。
<19>
前記成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である、<18>の使用方法。
<20>
前記成分(A)中のトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である、<18>又は<19>の使用方法。
【0100】
<21>
前記組成物(I)における前記成分(A)がトリメチルシロキシケイ酸及び(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーを含む場合、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーに対するトリメチルシロキシケイ酸の質量比[トリメチルシロキシケイ酸/(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー]が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは1.0以上、より更に好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である、<17>~<20>のいずれか1の使用方法。
<22>
前記組成物(II)の前記成分(A)におけるポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンが、好ましくはポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノポリシロキサン〔ポリシリコーン-9〕である、<16>~<21>のいずれか1の使用方法。
<23>
前記組成物(II)において、前記成分(A)中のポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンの含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上であり、100質量%以下である、<16>~<22>のいずれか1の使用方法。
<24>
前記組成物(I)において、前記成分(C)が、好ましくは重合度が650以上であり、より好ましくは650以上20,000以下、更に好ましくは800以上10,000以下、より更に好ましくは1,200以上4,500以下、より更に好ましくは1,400以上4,000以下、より更に好ましくは1,900以上4,000以下、より更に好ましくは2,200以上3,900以下であるジメチルポリシロキサンである、<17>~<23>のいずれか1の使用方法。
<25>
前記組成物(I)において、前記成分(D)が、好ましくはアミノポリエーテル変性シリコーンを含み、より好ましくはポリオキシエチレン基を有するアミノポリエーテル変性シリコーンであり、更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー及び(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーからなる群から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくは(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマーを含む、<17>~<24>のいずれか1の使用方法。
<26>
前記組成物がさらに顔料を含有する、<1>~<25>のいずれか1の使用方法。
<27>
前記組成物中の顔料の含有量が、好ましくは0.01質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である、<26>の使用方法。
<28>
前記組成物が、さらに揮発性溶剤を含有する、<1>~<27>のいずれか1の使用方法。
<29>
前記揮発性溶剤が、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒、及びシリコーン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上、好ましくはアルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、及びシリコーン系溶媒からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、デカン、イソデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が10mm2/s以下のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、及び25℃における粘度が20mm2/s以下のメチルフェニルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィン、25℃における粘度が5mm2/s以下のジメチルポリシロキサン、及びメチルトリメチコンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはエタノール、イソデカン、イソドデカン、イソテトラデカン及び軽質流動イソパラフィンからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはイソドデカンである、<28>の使用方法。
<30>
前記組成物中の前記揮発性溶剤の含有量が、好ましくは1質量%以上98質量%以下、より好ましくは5質量%以上95質量%以下、更に好ましくは10質量%以上90質量%以下、より更に好ましくは20質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは30質量%以上80質量%以下、より更に好ましくは40質量%以上80質量%以下である、<28>又は<29>の使用方法。
<31>
前記組成物中の水の含有量が、好ましくは10質量%未満、より好ましくは8質量%未満、更に好ましくは6質量%未満、より更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは3質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満である、<1>~<30>のいずれか1の使用方法。
<32>
前記組成物のpHが、好ましくは3.0以上10以下、より好ましくは4.0以上9.5以下、更に好ましくは5.0以上9.0以下、より更に好ましくは5.0以上8.5以下、より更に好ましくは5.5以上8.0以下、より更に好ましくは6.0以上7.5以下である、<1>~<31>のいずれか1の使用方法。
<33>
前記組成物の剤型が、液体、ペースト、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、又はワックスである、<1>~<32>のいずれか1の使用方法。
<34>
前記組成物の製品形態が、洗浄剤組成物、コンディショニング剤組成物、トリートメント剤組成物(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤組成物、染色剤組成物、又はパーマネント剤組成物であり、好ましくは染色剤組成物である、<1>~<33>のいずれか1の使用方法。
<35>
前記組成物が、頭飾製品用繊維に適用した後、洗い流さずに乾燥させて用いるリーブオン型組成物である、<1>~<34>のいずれか1の使用方法。
<36>
前記頭飾製品用繊維が、好ましくは天然由来繊維であり、より好ましくは再生蛋白質繊維、更に好ましくは再生コラーゲン繊維である、<1>~<35>のいずれか1の使用方法。
<37>
前記頭飾製品用繊維の水中での引張弾性率が、好ましくは0.5GPa以上、更に好ましくは0.6GPa以上、より更に好ましくは0.7GPa以上であり、10GPa以下、好ましくは5.0GPa以下、より好ましくは3.0GPa以下、更に好ましくは2.0GPa以下、より更に好ましくは1.0GPa以下である、<1>~<36>のいずれか1の使用方法。
<38>
前記組成物を前記頭飾製品用繊維に適用し、次いで乾燥させる工程を有する、<1>~<37>のいずれか1の使用方法。
<39>
前記頭飾製品用繊維に対する組成物の適用量が、頭飾製品用繊維に対する組成物の質量比(組成物/頭飾製品用繊維)として、好ましくは0.005以上10以下、より好ましくは0.005以上5以下、更に好ましくは0.01以上3以下、より更に好ましくは0.01以上2以下、より更に好ましくは0.05以上1以下である、<1>~<38>のいずれか1の使用方法。
<40>
前記組成物を適用した後の頭飾製品用繊維を水で洗い流さずに乾燥させる、<38>又は<39>の使用方法。
【0101】
<41>
前記処理が、前記組成物を、頭部に装着された状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、<1>~<40>のいずれか1の使用方法。
<42>
前記処理が、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、<1>~<40>のいずれか1の使用方法。
<43>
前記組成物を前記頭飾製品用繊維に適用する工程を、2回以上、好ましくは10回以下、より好ましくは5回以下繰り返して行う、<41>又は<42>の使用方法。
<44>
前記頭飾製品用繊維の処理が、下記(1)又は(2)、好ましくは(2)の方法である、<1>~<43>のいずれか1の使用方法。
(1)頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程、及び、前記組成物を、頭部に装着された状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程をこの順で含む方法。
(2)前記組成物を、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む方法。
<45>
前記(1)の方法において、前記組成物を頭飾製品用繊維に適用する工程を、仕上がり状態を確認しながら、頭飾製品用繊維を頭部に装着した状態で2回以上行う、<44>の使用方法。
<46>
前記(2)の方法において、さらに、前記工程の後に、前記頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程、前記頭飾製品用繊維を頭部から取り外す工程、及び、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、<44>の使用方法。
<47>
前記(2)の方法において、前記頭飾製品用繊維を頭部に装着する工程、前記頭飾製品用繊維を頭部から取り外す工程、及び、前記組成物を、頭部に装着されていない状態の前記頭飾製品用繊維に適用する工程のサイクルを1回以上9回以下、好ましくは1回以上4回以下行う、<46>の使用方法。
<48>
前記処理が、前記頭飾製品用繊維の染色処理である、<1>~<47>のいずれか1の使用方法。
<49>
前記組成物が、トリメチルシロキシケイ酸8.0質量%、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度2,000万mm2/s)4.0質量%、及びイソドデカンからなる組成物を除く組成物である、<1>~<48>のいずれか1の使用方法。
<50>
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物を、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維に適用する工程を含む、頭飾製品用繊維の染色方法。
<51>
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である組成物の、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理剤としての使用。
<52>
皮膜形成剤(A)を含有し、浸透促進剤(B)の含有量が24質量%以下であり、pHが10以下である、水中での引張弾性率が0.4GPa以上の頭飾製品用繊維の処理組成物。
<53>
前記組成物が、トリメチルシロキシケイ酸8.0質量%、ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度2,000万mm2/s)4.0質量%、及びイソドデカンからなる組成物を除く組成物である、<50>の染色方法、<51>の使用、又は、<52>の処理組成物。
【実施例0102】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
【0103】
<pH測定>
pHメーター(F-72、株式会社堀場製作所製)を用いて、組成物の30℃におけるpHを測定した。
【0104】
<頭飾製品用繊維の水中での引張弾性率>
頭飾製品の根本から、繊維10本を切り取った。それぞれの繊維の根本と先端の中間付近から3cmの繊維片を合計で10個採取した。この繊維片を繊維自動引張試験機(DIA-STRON limited社製「MTT690」)にセットした。繊維片を20℃の水に浸漬した状態で30分放置した後、自動測定を開始し、繊維片が水に浸漬された状態で延伸し、破断した際の荷重及びひずみ量を測定した。繊維片の水中での引張弾性率は、前記荷重を下記式に基づき応力に換算し、応力-ひずみ直線の傾きより算出した。
応力σ(GPa)=荷重(N)/繊維の断面積(mm2)/1000
繊維の断面積(mm2)は、20℃、65%RHの環境下で静置された乾燥状態の繊維の繊維径を、レーザー直径測定装置(DIA-STRON limited社製「FDAS770」)で計測し、算出した。
【0105】
<評価用繊維束の準備>
各例で使用する頭飾製品用繊維を用いて、長さ10cm、質量2gの繊維束を作製した。
前記繊維束を下記組成のプレーンシャンプーで洗浄後、40℃の温水ですすぎ、十分に乾燥させて、評価用繊維束を得た。
【0106】
(プレーンシャンプーの組成)
成分 (質量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(*1) 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド(*2) 1.5
エデト酸4ナトリウム塩 0.3
安息香酸ナトリウム 1.43
精製水 残 量
計 100.0
*1:エマール227(花王(株)製、有効成分27質量%)として57.4質量%
*2:アミノーンL-02(花王(株)製)
【0107】
実施例1(頭飾製品用繊維の処理及び評価)
頭飾製品用繊維として、表に記載の引張弾性率を有する再生コラーゲン繊維を用いて、前記評価用繊維束を作製した。
表1に示す各成分を、表に記載の配合割合にて配合し、均一になるまで混合して、組成物(染色剤組成物)を調製した。
前記評価用繊維束を被験者の頭部に装着した後、前記組成物を0.4g塗布した。次いでドライヤーを用いて、繊維束から18cm離れた位置から温風を30秒間あてた。さらに、30秒間櫛通ししながらドライヤーの温風をあてて乾燥させて、繊維処理を行った。
処理後の繊維束を頭部から外し、下記方法で評価を行った。結果を表1に示す。
【0108】
<染色性>
処理後の繊維の染色性について、専門パネラー5名が下記基準で官能評価を行った結果を表1に示した。
A:染色性が良好である。
B:染色性がやや不十分である。
C:染色性が不十分である。
【0109】
<処理後に3回洗浄を繰り返した後の繊維の櫛通り>
処理後に3回水洗及び乾燥を繰り返した後の繊維の櫛通りについて、リングコームを用いて、専門パネラー5名が下記基準で官能評価を行った結果を表1に示した。なお、処理前の繊維の櫛通りはすべて「A」評価であった。
A:櫛通りが良好である。
B:櫛通りがやや悪い。
C:櫛通りが悪い。
【0110】
<理想の仕上がり>
処理後の繊維と地毛(頭髪)との間の色バランスが影響する理想の仕上がりについて、専門パネラー5名が下記基準で官能評価を行った結果を表1に示した。
A:色バランスが良好で理想の仕上がりになっている。
B:色バランスがやや悪く、理想の仕上がりにはやや足りない。
C:色バランスが悪く、理想の仕上がりにはなっていない。
【0111】
<皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減>
頭皮への着色及び刺激について、専門パネラー5名が下記基準で官能評価を行った結果を表1に示した。
A:皮膚着色がなく、頭皮刺激を感じない。
B:皮膚着色がややある、または、頭皮刺激をやや感じる。
C:皮膚着色があり、頭皮刺激を感じる。
【0112】
<理想の仕上がりと皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減の両立>
理想の仕上がりと皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減の両立について、専門パネラー5名が下記基準で官能評価を行った結果を表1に示した。
A:色バランスが良好で理想の仕上がりになっており、かつ、皮膚着色がなく、頭皮刺激を感じない。
B:色バランスが良好で理想の仕上がりになっているが、皮膚着色がややある、または、頭皮刺激をやや感じる。または、色バランスがやや悪く、理想の仕上がりにはやや足りないが、皮膚着色がなく、頭皮刺激を感じない。
C:色バランスが悪く、理想の仕上がりにはなっていない、かつ、皮膚着色があり、頭皮刺激を感じる。
【0113】
比較例1
頭飾製品用繊維として表に記載の引張弾性率を有する再生コラーゲン繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で繊維の処理及び評価を行った。結果を表1に示す。
【0114】
実施例2
実施例1と同様に組成物の調製を行った後、評価用繊維束を被験者の頭部に装着せずに、組成物を0.4g塗布し、次いでドライヤーを用いて、繊維束から18cm離れた位置から温風を30秒間あてた。さらに、30秒間櫛通ししながらドライヤーの温風をあてて乾燥させて、繊維処理を行った。
処理後の繊維束について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
【0115】
実施例3
実施例2と同様に繊維処理を行った後、処理後の繊維束を被験者の頭部に装着して染色状態を確認した後、繊維束を被験者の頭部から取り外した。該繊維束に対し、再度前記と同様に組成物を0.4g塗布し、次いでドライヤーを用いて、繊維束から18cm離れた位置から温風を30秒間あてた。再度、繊維束を被験者の頭部に装着して染色状態を確認した。処理後の繊維束について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
【0116】
【0117】
表に記載の成分は下記である。なお、表に記載の配合量(質量%)は、いずれも有効成分量である。
*1:X-21-5595、信越化学工業(株)製、トリメチルシロキシケイ酸(60質量%)のイソドデカン溶液
*2:DOWSIL FA 4004 ID Silicone Acrylate、ダウ・東レ(株)製、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー(40質量%)のイソドデカン溶液
*3:Silsoft B3020、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、ジメチルポリシロキサン、25℃における粘度;2,000万mm2/s(重合度3,546)
*4:DOWSIL SS-3588 Fluid、ダウ・東レ(株)製、(ビスイソブチルPEG-15/アモジメチコン)コポリマー(80質量%)のエタノール溶液
*5:マルカゾールR、丸善石油化学(株)製、イソドデカン
【0118】
なお、上記成分*3の重合度(P)については、粘度(η)から前記式(4)より分子量(M)を求め、重合度(P)はジメチルポリシロキサンの基本単位の分子量が74であることから、次式(5)より求めることができる。
P=M/74 (5)
【0119】
表1より、本発明の方法を用いた場合、処理後の頭飾製品用繊維は染色性が良好で、且つ処理後の繰り返し洗浄による繊維ダメージも抑制されていることが分かる。
また、表1には(1)理想の仕上がり、(2)皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減、(3)理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減の両立、の3項目についても評価結果を示した。実施例1では、頭部に装着された状態の頭飾製品用繊維に組成物を適用しており、理想の仕上がりに近づけやすいため(1)理想の仕上がりは「A」評価である。一方、頭部に装着された状態の頭飾製品用繊維に組成物を適用したことから、(2)皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減については「B」評価である。
実施例2では、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に組成物を適用したことから(1)理想の仕上がりは「B」評価であるが、皮膚着色・頭皮刺激のリスクは低いため、(2)皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減は「A」評価である。
実施例3では、頭部に装着されていない状態の頭飾製品用繊維に組成物を適用した後、一度頭部に取り付けて仕上がりを確認し、次いで、処理後の頭飾製品を頭部から取り外して再度組成物を適用した。よって、理想の仕上がりに近づけやすく、皮膚着色・頭皮刺激のリスクも低減できるため(1)~(3)はいずれも「A」評価である。
本発明によれば、頭飾製品用繊維の処理に用いる、組成物の使用方法であって、所定の要件を満たす頭飾製品用繊維の染色処理に用いると、繊維の染色性が良好で、且つ染色処理後の繰り返し洗浄による繊維のダメージを抑制でき、さらに、理想の仕上がりと、皮膚着色・頭皮刺激のリスク低減との両立が可能な方法を提供できる。