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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172441
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G01N35/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090160
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 光男
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正明
(72)【発明者】
【氏名】細岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 玲子
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠暉
(72)【発明者】
【氏名】奥木 健介
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CD04
2G058FB17
2G058FB21
2G058GB10
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】反応管に対して、ワイパの接触状態を可変にすることである。
【解決手段】自動分析装置は、ワイパ、ワイパ支持機構、駆動部及びワイパ制御部を備える。ワイパは反応管の外壁に接触する。ワイパ支持機構は、前記ワイパを支持し、前記反応管に対する、前記ワイパの接触量を調整する。駆動部は、前記ワイパ支持機構に動力を伝える。ワイパ制御部は、前記ワイパ支持機構を介して、前記反応管に前記ワイパが接触するように、前記駆動部を駆動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管の外壁に接触するワイパと、
前記ワイパを支持し、前記反応管に対する、前記ワイパの接触量を調整するワイパ支持機構と、
前記ワイパ支持機構に動力を伝える駆動部と、
前記ワイパ支持機構を介して、前記反応管に前記ワイパが接触するように、前記駆動部を駆動させるワイパ制御部と、
備える自動分析装置。
【請求項2】
前記ワイパ制御部は、スタートアップ時に、前記駆動部を駆動させる、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記ワイパ制御部は、測光部が照射する前記反応管の測定位置の受光量に応じて、前記駆動部を駆動させる、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記ワイパ制御部は、前記測光部が前記反応管の外壁の測定位置の検出した第1受光量が第1所定閾値を下回る場合、前記駆動部を駆動させる、
請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記反応管の外壁を洗浄後、前記測光部が前記反応管の外壁の測定位置に検出した第2受光量が第1所定閾値を下回る場合、前記反応管の外壁が異常であることを示す外壁異常情報を報知する報知部と、を備える、
請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記ワイパ制御部は、前記反応管内の混合液を分析中に、前記測光部が前記反応管の外壁の測定位置に検出した第3受光量が第2所定閾値を下回る場合、前記駆動部を駆動させる、
請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記報知部は、前記ワイパが前記反応管の外壁に接触後、前記測光部が前記反応管の外壁の測定位置に検出した第4受光量が第2所定閾値を下回る場合、前記反応管の分析結果が異常であることを示す分析結果異常情報を報知する、
請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記ワイパによる洗浄は、前記反応管の外壁のうち、測定部が照射する測定位置に対して、接触し、払拭する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記反応管の短手方向に対して、前記ワイパを回動する回動部と、を備える、
請求項1に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置に関する。
【0002】
自動分析装置は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(以下、単に試料という)を反応管に分注し、試薬庫に格納された試薬ボトル内の試薬を、反応管に分注し、反応管内の試料と試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を光学的に測定する。
【0003】
例えば、光を照射する反応管外壁に水滴等の液体や汚れ等が付着すると光学的測定に悪影響を与える。そのため、恒温槽に、反応管外壁に対して接触するワイパを取り付けることで、反応管外壁に付着した液体や汚れ等を除去している。
【0004】
ところが、このワイパは、反応管外壁の測光に必要な部分にワイパが接触する位置で恒温槽内に固定され、反応管表面を常時擦り洗いする構造であった。この場合、摩耗によりワイパが早期に消耗し定期交換が必要であった。また、恒温液交換中等、メンテナンス時に恒温液の介在しない状態での接触等が原因となり、摩耗したワイパ素材が反応管表面に付着して測光データに影響を与えることもあり、更なる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-106033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、反応管に対して、ワイパの接触状態を可変にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る自動分析装置は、ワイパ、ワイパ支持機構、駆動部及びワイパ制御部を備える。ワイパは反応管の外壁に接触する。ワイパ支持機構は、前記ワイパを支持し、前記反応管に対する、前記ワイパの接触量を調整する。駆動部は、前記ワイパ支持機構に動力を伝える。ワイパ制御部は、前記ワイパ支持機構を介して、前記反応管に前記ワイパが接触するように、前記駆動部を駆動させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る分析装置の構成の一例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る反応管洗浄機構を上面から見た斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る反応管洗浄機構を下面から見た斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る自動分析装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る自動分析装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、変形例1に係る反応管洗浄機構を上面から見た上面図である。
図8図8は、変形例2に係る反応管洗浄機構を上面から見た上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関する自動分析装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る自動分析装置100の構成の一例を示すブロック図である。自動分析装置100は、分析装置30及び処理装置40を備える。なお、図1に示す構成は、一例であり、自動分析装置100の構成はこれに限定されない。
【0011】
分析装置30は、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料(以下、単に試料という)を反応管に分注し、試薬庫に格納された試薬ボトル内の試薬を、反応管に分注し、反応管内の試料と試薬との混合液を測定する装置である。
【0012】
ここで、図2を用いて分析装置30の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る分析装置30の斜視図である。分析装置30は、試料の項目や、この項目の希釈液に対して選択的に反応する試薬が入った試薬容器7、この試薬容器7を収納する試薬ラック1、試薬の入った試薬容器7を収納した試薬ラック1を収納する試薬庫3、円周上に複数の反応管4を配置した反応ディスク5、試料や希釈液を納める試料容器17をセットするディスクサンプラ6及び反応管4の測光光路部分の外壁に先端を接触させるワイパを有する反応管洗浄機構14を備える。分析装置30は、1サイクル毎に、試薬庫3及びディスクサンプラ6は夫々回動し、反応ディスク5は回転して、処理回路80の分析制御機能82により制御された位置に停止する。
【0013】
ここで、図3及び図4を用いて反応管洗浄機構14について説明する。図3は、反応管洗浄機構14を上面から見た斜視図である。図4は、反応管洗浄機構14を下面から見た斜視図である。なお、図3及び図4は、反応管洗浄機構14を説明するために、反応管4を示す。反応管洗浄機構14は、試薬分注プローブ15の上流側に位置し、恒温反応槽(不図示)の内部に配置する。反応管洗浄機構14は、ワイパ141、ワイパ支持機構142、回動部143、支持部144、連結部145及び駆動部146を備える。
【0014】
ワイパ141は、反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭(洗浄)する部材である。ワイパ141は、反応管4に対して、対向する位置にそれぞれ配置され、反応管4の測光位置の外壁に先端が接触し、反応管4の外壁の付着物(一例として、水滴や気泡、汚損等)を払拭する。つまり、ワイパ141による洗浄は、反応管4の外壁のうち、測光ユニット13が照射する測定位置に対して、接触し、払拭する。ワイパ141は、略T字の形状から成り、ワイパ支持機構142の下端の凹部に挿入される。つまり、ワイパ141は、ワイパ支持機構142に対して脱着可能である。反応管洗浄機構14は、ワイパ141を脱着可能とすることで、ユーザによるメンテナンスの効率化に寄与する。
【0015】
ワイパ支持機構142は、ワイパ141を支持し、反応管4に対する、ワイパ141の接触量を調整する。ワイパ支持機構142は、ワイパ141をワイパ支持機構142の下端の凹部に挿入し、ワイパ141を支持する部材である。ワイパ支持機構142は、略円柱形状であり、ワイパ支持機構142の下端部は、回動部143の開口部に挿入され、ワイパ支持機構142の上端部は、支持部144の開口部に挿入される。ワイパ支持機構142のうち、少なくとも1つのワイパ支持機構142(の上端)は、連結部145と連結する。また、ワイパ141とワイパ支持機構142を以降、単にワイパともいう。
【0016】
回動部143は、ワイパ支持機構142を介して、反応管4の短手方向に対して、ワイパ141を回動する部材である。回動部143は、例えば、歯車の形状から構成され、回動部143同士の歯車を篏合することで、ワイパ支持機構142から受ける駆動力をそれぞれ逆方向に同じ角度だけ回転させることができる。これにより、ワイパ141は反応管に対する接触状態を任意に可変させることが可能となる。
【0017】
支持部144は、ワイパ支持機構142を支持する部材である。支持部144は、開口部が設けられており、ワイパ支持機構142の上端部を開口部に挿入する。連結部145は、ワイパ支持機構142と、駆動部146と、を連結する部材である。
【0018】
駆動部146は、処理装置40の処理回路80のワイパ制御機能85により、ワイパ支持機構142に動力を伝える部材である。駆動部146は、連結部145を介して、ワイパ支持機構142に動力を伝える。つまり、駆動部146は、ワイパを反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁の付着物を払拭するように駆動する。駆動部146は、モータ及びアクチュエータ等を含む。駆動部146は、処理装置40の処理回路80のワイパ制御機能85により制御される。
【0019】
図2に戻り、次に、プローブに関して説明する。なお、本実施形態の分析装置30は、試薬分注プローブ15及びサンプル分注プローブ16を有する。試薬分注プローブ15は、1サイクル毎に、試薬庫3の試薬吸引位置の試薬容器7から試薬を吸引した後、試薬分注位置に停止した反応管4に分注する。また、試薬分注プローブ15は、回動及び上下動可能に保持する試薬分注アーム9を備える。
【0020】
サンプル分注プローブ16は、処理回路80の分析制御機能82に制御された位置にある、ディスクサンプラ6の試料容器17から試料或いは希釈液を吸引した後、試料分注位置に停止した反応管4に分注する。サンプル分注プローブ16は、回動及び上下動可能に保持するサンプル分注アーム10を備える。
【0021】
また、分析装置30は、1サイクル毎に、撹拌位置に停止した反応管4内における試料と試薬との混合液や、希釈液と試薬等との混合液を撹拌する撹拌ユニット11と、この混合液を含む反応管4を測光位置から測定する測光ユニット13と、洗浄・乾燥位置に停止した反応管4内の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応管内を洗浄・乾燥する洗浄ユニット12と、を備えている。
【0022】
測光ユニット13は、スタートアップ(動作)時に、ワイパ141により払拭された反応管4に光を照射して、反応管4の測定位置の吸光度変化を測定し、その測定から得られた反応管4の分析信号(以下、第1受光量、或いは、第2受光量ともいう)を処理回路80の取得機能83に出力する。スタートアップ動作には、測定を開始するために必要な予め設定された保守動作、例えば、分析装置30が備える各ユニットの動作確認、及び反応ディスク5に保持された反応管4の内部及び外壁を洗浄する洗浄動作等を含む。
【0023】
また、測光ユニット13は、分析時に、分注された回転移動する反応管4の測光位置に光を照射して混合液の吸光度変化を測定し、その測定から得られた試料或いは希釈液の分析信号或いはキャリブレーション信号(以下、第3受光量ともいう)を処理回路80の分析データ処理機能81及び取得機能83に出力する。
【0024】
さらに、測光ユニット13は、分析時に、異常が検出され、その後、ワイパ141により反応管4の外壁を払拭され、再度、分注された回転移動する反応管4の測光位置に光を照射して混合液の吸光度変化を測定し、その測定から得られた試料或いは希釈液の分析信号或いはキャリブレーション信号(以下、第4受光量ともいう)を処理回路80の分析データ処理機能81及び取得機能83に出力する。その後、混合液の測定を終了して洗浄・乾燥された反応管4は、再び測定に使用される。測光ユニット13は、測光部の一例である。
【0025】
分析装置30は、試薬庫3及びディスクサンプラ6の夫々回動、反応ディスク5の回転、試薬分注アーム9、サンプル分注アーム10及び撹拌ユニット11の夫々回動及び上下動、洗浄ユニット12の上下動等を行う機構を備える。また、分析装置30は、サンプル分注プローブ16から試料及び希釈液を吸引及び吐出させるための分注ポンプ、試薬分注プローブ15から試薬を吸引及び吐出させるための試薬ポンプ、洗浄ユニット12から反応管4内洗浄用の洗浄液を供給及び吸引させるための洗浄ポンプ及び反応管4内を乾燥させるための乾燥ポンプなどの各種ポンプを備える。さらに、分析装置30は、撹拌ユニット11を撹拌駆動する機構を備える。
【0026】
図1に戻る。処理装置40は、出力装置50、入力装置60、記憶回路70及び処理回路80を備える。なお、処理装置40の構成は、これに限定されない。
【0027】
出力装置50は、処理回路80に接続され、後述する処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを印刷出力する。出力装置50は、出力部の一例である。例えば、出力装置50は、プリンタ等を備え、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データなどを予め設定されたフォーマットに基づいて、プリンタ用紙に印刷出力する。
【0028】
また、出力装置50は、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データ等を出力する。例えば、出力装置50は、CRTや液晶パネル等のディスプレイを備え、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データ等を出力する。また、出力装置50は、処理回路80の分析制御機能82から指示された分析条件を設定するための画面を出力する。
【0029】
さらに、出力装置50は、処理回路80の報知機能86が報知する反応管4が異常であることを出力する。また、出力装置50は、分析データなどを外部の情報システム(図示せず)等にネットワークを介して、外部出力(オンライン出力)する。出力装置50は、表示出力した表示出力結果や外部出力した外部出力を記憶回路70に記憶させる。
【0030】
入力装置60は、処理回路80に接続され、ユーザが入力操作する装置である。入力装置60は、入力部の一例である。例えば、入力装置60は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネル等の装置である。入力装置60は、ユーザにより、分析条件の設定、被検体の被検体IDや被検体名等の被検体情報の入力、被検体の試料毎の測定項目の選択、各項目のキャリブレーション操作、試料分析操作等の様々な操作が入力される。入力装置60は、入力された入力結果を記憶回路70に記憶させる。
【0031】
記憶回路70は、処理回路80に接続され、各種データを記憶する。記憶回路70は、記憶部の一例である。例えば、記憶回路70は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。記憶回路70は、処理回路80の分析データ処理機能81から出力されたキャリブレーションテーブル、分析データ等を試料毎に記憶する。また、記憶回路70は、処理回路80の分析制御機能82から指示された分析条件を記憶する。
【0032】
さらに、記憶回路70は、処理回路80の取得機能83が取得した受光量を記憶する。記憶回路70は、処理回路80の異常検出機能84が検出した結果を記憶する。また、さらに、記憶回路70は、処理回路80のワイパ制御機能85が制御した結果を記憶する。記憶回路70は、処理回路80の報知機能86が報知する反応管4が異常であることを記憶する。記憶回路70は、処理回路80が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。
【0033】
処理回路80は、分析装置30及び処理装置40全体の動作を制御する。処理回路80は、例えば、分析データ処理機能81、分析制御機能82、取得機能83、異常検出機能84、ワイパ制御機能85及び報知機能86を備える。実施形態では、分析データ処理機能81、分析制御機能82、取得機能83、異常検出機能84、ワイパ制御機能85及び報知機能86にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路70へ記憶されている。
【0034】
処理回路80は、プログラムを記憶回路70から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路80は、図1の処理回路80内に示された各機能を有することになる。
【0035】
なお、図1においては単一のプロセッサにて、分析データ処理機能81、分析制御機能82、取得機能83、異常検出機能84、ワイパ制御機能85及び報知機能86を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路80を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0036】
また、図1においては、記憶回路70等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路80は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0037】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0038】
プロセッサは、記憶回路70に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路70にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0039】
分析データ処理機能81は、分析装置30から出力されたキャリブレーション信号、分析信号等からキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出等を行う。分析データ処理機能81は、分析データ処理部の一例である。例えば、分析データ処理機能81は、分析装置30から出力された各項目のキャリブレーション信号から各項目のキャリブレーションテーブルを作成して出力装置50に出力する。
【0040】
また、分析データ処理機能81は、分析装置30から出力された各項目の分析信号に対して、その分析信号の項目に対応したキャリブレーションテーブルを記憶回路70から読み出した後、このキャリブレーションテーブルを用いて分析データを算出して出力装置50に出力する。さらに、分析データ処理機能81は、出力装置50に出力した結果を記憶回路70に記憶させる。
【0041】
分析制御機能82は、入力装置60により入力されたユーザのコマンド信号、分析条件、被検体情報、試料毎の測定項目等の分析情報に基づいて、分析装置30を構成する各ユニットを一定サイクルの所定のシーケンスで動作させる制御、或いはキャリブレーションテーブルの作成、分析データの算出と出力に関する制御等、自動分析装置100全体の制御を行う。
【0042】
取得機能83は、反応管4の測定位置の受光量(第1受光量、第2受光量、第3受光量及び第4受光量、)を取得する。取得機能83は、取得部の一例である。取得機能83は、測光ユニット13が出力する反応管4の測定位置の分析信号を取得する。具体的には、取得機能83は、スタートアップ時に、ワイパ141により払拭された反応管4を測光ユニット13が測定し、その測定から得られた反応管4の測定位置の分析信号(第1受光量)を取得する。取得機能83は、スタートアップ時に、異常が検出され、その後、ワイパ141が反応管4の外壁を払拭し、スタートアップ時に、測光ユニット13が払拭された反応管4を測定し、その測定から得られた反応管4の測定位置の分析信号(第2受光量)を取得する。
【0043】
また、取得機能83は、分析時に、測光ユニット13が測定し、その測定から得られた試料或いは希釈液(分注された反応管4の測定位置)の分析信号或いはキャリブレーション信号(第3受光量)を取得する。さらに、取得機能83は、分析時に、異常が検出され、その後、反応管洗浄機構14が反応管4の外壁を払拭し、再分析時に、測光ユニット13が測定し、その測定から得られた試料或いは希釈液(分注された反応管4の測定位置)の分析信号或いはキャリブレーション信号(第4受光量)を取得する。
【0044】
異常検出機能84は、反応管4に異常があるか否かを検出する。異常検出機能84は、異常検出部の一例である。異常検出機能84は、取得機能83が取得した反応管4の測定位置の受光量に基づいて、反応管4に異常があるか否かを検出する。反応管4に異常があるとは、反応管4の外壁に、付着物等がある場合である。
【0045】
例えば、異常検出機能84は、スタートアップ時に、取得機能83が取得した反応管4の測定位置の第1受光量が、第1所定閾値未満である場合、反応管4に異常があると検出する。ここで、第1所定閾値とは、スタートアップ時に、払拭された反応管4(サンプルを分注される前)の外壁に付着物があり、その後の混合液の分析に異常が検出される恐れがある場合の受光量(分析信号)の値である。或いは、第1所定閾値には、測光ユニット13のランプが故障し、分析結果に影響がある場合も含まれる。
【0046】
また、例えば、異常検出機能84は、分析時に、取得機能83が取得した分注された反応管4の測定位置の第2所定閾値未満である場合、反応管4に異常があると検出する。ここで、第1所定閾値とは、分析時に、払拭された反応管4(サンプルを分注される前)の外壁に付着物があり、分析結果に影響がある場合の受光量(分析信号)の値である。或いは、第2所定閾値には、測光ユニット13のランプが故障し、分析結果に影響がある場合も含まれる。なお、第2所定閾値は、混合液毎に異なった値でも良い。
【0047】
さらに、例えば、異常検出機能84は、分析時に異常があると検出され、その後、再分析時に、取得機能83が取得した分注された反応管4の測定位置の第2所定閾値未満である場合、反応管4に異常があると検出する。
【0048】
ワイパ制御機能85は、ワイパ支持機構142を介して、反応管4にワイパ141が接触するように、駆動部146を駆動させる。ワイパ制御機能85は、ワイパ制御機能部の一例である。例えば、ワイパ制御機能85は、スタートアップ時に、ワイパ141を反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭するように、駆動部146を駆動させる。また、ワイパ制御機能85は、測光部が照射する反応管4の測定位置の受光量に応じて、駆動部146を駆動させる。
【0049】
例えば、ワイパ制御機能85は、異常検出機能84が、スタートアップ時に、反応管4に異常であると検出すると、ワイパを反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭するように、駆動部146を駆動させる。また、例えば、ワイパ制御機能85は、異常検出機能84が、分析時に、反応管4に異常であると検出すると、ワイパを反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭するように、駆動部146を駆動させる。
【0050】
報知機能86は、反応管4が異常である(恐れ)ことを報知する。報知機能86は、報知部の一例である。報知機能86は、異常検出機能84により、反応管4が異常である状態であると検出されると、出力装置50に対して、反応管4が異常であることを報知する。反応管4が異常である状態とは、受光量(エネルギー)が所定の閾値より少ないため、測光不良である状態である。
【0051】
例えば、報知機能86は、反応管4の外壁を洗浄後、測光部が反応管4の外壁の測定位置に検出した第2受光量が第1所定閾値を下回る場合、反応管4の外壁が異常であることを示す外壁異常情報を報知する。また、例えば、報知機能86は、ワイパ141を反応管4の外壁に接触後、測光部が反応管4の外壁の測定位置に検出した第4受光量が第2所定閾値を下回る場合、反応管4の分析結果が異常であることを示す分析結果異常情報を報知する。外壁異常情報及び分析結果異常情報は、反応管4が異常である状態の一例である。
【0052】
図5は、自動分析装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下においては、説明を具体的にするため、自動分析装置100のスタートアップ時に、フローが開始するものとする。
【0053】
処理回路80のワイパ制御機能85は、ワイパ141を反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭するように、駆動部146を駆動させる(ステップS101)。続いて、測光ユニット13は、払拭された反応管4に光を照射する(ステップS102)。続いて、処理回路80の取得機能83は、測光ユニット13が測定し、その測定から得られた反応管4の測定位置の分析信号(第1受光量)を取得する(ステップS103)。
【0054】
続いて、処理回路80の異常検出機能84は、取得機能83が取得した反応管4の測定位置の第1受光量が、第1所定閾値未満であるかを検出する(ステップS104)。ここで、異常検出機能84が、第1受光量が、第1所定閾値以上であると検出する(ステップS104:No)と、本処理は終了する。他方で、異常検出機能84が、第1受光量が、第1所定閾値未満であると検出する(ステップS104:Yes)と、ステップS105へ進む。
【0055】
ステップS105において、処理回路80のワイパ制御機能85は、ワイパ141を反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭するように、駆動部146を駆動させる(ステップS105)。続いて、測光ユニット13は、払拭された反応管4に光を照射する(ステップS106)。続いて、処理回路80の取得機能83は、測光ユニット13が払拭された反応管4を測定し、その測定から得られた反応管4の測定位置の分析信号(第2受光量)を取得する(ステップS107)。
【0056】
続いて、処理回路80の異常検出機能84は、取得機能83が取得した反応管4の測定位置の第2受光量が、第1所定閾値未満であるかを検出する(ステップS108)。ここで、異常検出機能84が、第2受光量が、第1所定閾値以上であると検出する(ステップS108:No)と、本処理は終了する。他方で、異常検出機能84が、第1受光量が、第1所定閾値未満であると検出する(ステップS108:Yes)と、ステップS109へ進む。
【0057】
ステップS109において、処理回路80の報知機能86は、出力装置50に対して、反応管4が異常であることを報知する(ステップS109)。ステップS109が終了すると、本処理は終了する。本処理が終了した後は、分注動作が開始される。
【0058】
図6は、自動分析装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下においては、説明を具体的にするため、自動分析装置100の分析時に、分注動作が終了後に、フローが開始するものとする。
【0059】
測光ユニット13は、分注された反応管4に光を照射する(ステップS111)。続いて、処理回路80の取得機能83は、測光ユニット13が分注された反応管4を測定し、その測定から得られた反応管4の測定位置の分析信号(第3受光量)を取得する(ステップS112)。
【0060】
続いて、処理回路80の異常検出機能84は、取得機能83が取得した反応管4の測定位置の第3受光量が、第2所定閾値未満であるかを検出する(ステップS113)。ここで、異常検出機能84が、第3受光量が、第2所定閾値以上であると検出する(ステップS113:No)と、本処理は終了する。他方で、異常検出機能84が、第3受光量が、第2所定閾値未満であると検出する(ステップS113:Yes)と、ステップS114へ進む。
【0061】
ステップS114において、処理回路80のワイパ制御機能85は、ワイパ141を反応管4の外壁に接触し、反応管4の外壁を払拭するように、駆動部146を駆動させる(ステップS114)。続いて、測光ユニット13は、払拭された(分注されている)反応管4に光を照射する(ステップS115)。続いて、処理回路80の取得機能83は、測光ユニット13が払拭された反応管4を測定し、その測定から得られた反応管4の測定位置の分析信号(第4受光量)を取得する(ステップS116)。
【0062】
続いて、処理回路80の異常検出機能84は、取得機能83が取得した反応管4の測定位置の第4受光量が、第1所定閾値未満であるかを検出する(ステップS117)。ここで、異常検出機能84が、第4受光量が、第1所定閾値以上であると検出する(ステップS117:No)と、本処理は終了する。他方で、異常検出機能84が、第4受光量が、第2所定閾値未満であると検出する(ステップS117:Yes)と、ステップS118へ進む。
【0063】
ステップS181において、処理回路80の報知機能86は、出力装置50に対して、反応管4が異常であることを報知する(ステップS118)。ステップS118が終了すると、本処理は終了する。
【0064】
以上のように、実施形態に係る自動分析装置100は、反応管4の外壁に接触するワイパ141と、ワイパ141を支持し、反応管4に対する、ワイパ141の接触量を調整するワイパ支持機構142と、ワイパ支持機構142に動力を伝える駆動部146と、ワイパ支持機構142を介して、反応管4にワイパ141が接触するように、駆動部146を駆動させるワイパ制御部と、を備える。
【0065】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、例えば、ワイパ141は、スタートアップ時等のタイミングで反応管4の外壁と接触するため、常時、反応管4に接触することはなく、反応管4に対して、ワイパ141の接触状態を可変にすることができる。これにより、ワイパ141の摩擦等に伴う消耗が削減することができる。これにより、ワイパ141の交換頻度を削減することができる。
【0066】
例えば、反応管4の外壁に付着物がある場合、反応管4の外壁に対して、ワイパ141を接触させ、付着物を払拭する。これにより、自動分析装置100が分析する分析結果に影響を与える恐れ状態を未然に抑制することができる。
【0067】
(変形例1)
上記実施形態においては、駆動部146は、駆動力を連結部145に伝達し、連結部145は、伝達された駆動力をワイパ支持機構142に伝達した。その後、ワイパ支持機構142は、回動部143を介して、反応管4の短手方向に対して、ワイパ141を回動する形態を例として説明した。これに対し、変形例1では、回動部143をカム機構に変形する形態について図7を用いて説明する。
【0068】
図7は、変形例1に係る反応管洗浄機構14を上面から見た上面図である。変形例1に係る反応管洗浄機構14は、ワイパ141、ワイパ支持機構142、支持部144、カム部147及びカム駆動部148を備える。
【0069】
カム部147は、支持部144の間に設けられ、反応管4の短手方向に対して、ワイパ141を接触状態71、或いは、非接触状態72にするための部材である。カム駆動部148は、処理装置40の処理回路80のワイパ制御機能85により、駆動される部材である。変形例1に係る反応管洗浄機構14は、カム部147が回動することで、支持部144の間の距離が変化し、距離が変化することで、ワイパ141を反応管4に対して、接触状態71、或いは非接触状態72にすることができる。
【0070】
(変形例2)
変形例2では、回動部143をリンク機構に変形する形態について図8を用いて説明する。図8は、変形例2に係る反応管洗浄機構14を上面から見た上面図である。変形例2に係る反応管洗浄機構14は、ワイパ141、ワイパ支持機構142、駆動部146、接続部149及びリンク部150を備える。
【0071】
接続部149は、ワイパ支持機構142と、リンク部150を接続する部材である。接続部149は、ワイパ支持機構142が反応管4の短手方向に対して、ワイパ141を接触状態91、或いは、非接触状態92にするために、ワイパ141の軸を回転させるための部材を備える。リンク部150は、駆動部146と、接続部149と、を接続する部材である。変形例2に係る反応管洗浄機構14は、接続部149が回転することで、ワイパ141を反応管4に対して、接触状態71、或いは非接触状態72にすることができる。
【0072】
(変形例3)
変形例3に係る駆動部146は、ソレノイド等の電磁デバイスを使用することで、ワイパ2を反応管4に対して接触させる、もしくは、接触させないと、の2つの状態を駆動部146への通電をオン、又は、オフするのみの制御をワイパ制御機能85により実現しても良い。
【0073】
(変形例4)
変形例4に係る駆動部146は、駆動部146にサーボモータ等の任意回転角度を出力できるデバイスを使用することで、ワイパ2を反応管4に対して接触させる状態を任意に可変できるようにしても良い。
【0074】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、反応管4に対して、ワイパ141の接触状態を可変にすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
4 反応管
13 測光ユニット
14 反応管洗浄機構
30 分析装置
40 処理装置
50 出力装置
60 入力装置
70 記憶回路
80 処理回路
81 分析データ処理機能
82 分析制御機能
83 取得機能
84 異常検出機能
85 ワイパ制御機能
86 報知機能
141 ワイパ
142 ワイパ支持機構
143 回動部
144 支持部
145 連結部
146 駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8