(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172452
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】中子除去装置
(51)【国際特許分類】
B22D 29/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B22D29/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090181
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000142883
【氏名又は名称】株式会社五十鈴製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝純
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 敬晃
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩庸
(72)【発明者】
【氏名】中山 総
(57)【要約】
【課題】被打撃物に打撃力を効果的に作用させること。
【解決手段】ハンマチゼル168の打撃部168bに凹部167を設ける。これにより、打撃部168bによって、押し湯部90a,90a,90a,90aを打撃する際に、打撃部168bと押し湯部90a,90a,90a,90aとの間で滑りが発生することを良好に抑制することができる。この結果、ハンマチゼル168を介した打撃力を押し湯部90a,90a,90a,90aに効果的に作用させることができる。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被打撃物を打撃する打撃装置であって、
中空部を有する本体部と、
前記中空部の延在方向に摺動可能に該中空部に配置されたピストンと、
長手方向の一端に凹部を有すると共に、前記ピストンの摺動に基づき前記長手方向に摺動可能なよう少なくとも一部が前記中空部に配置されたチゼルと、
を備える打撃装置。
【請求項2】
前記チゼルは、雄ネジを有する軸部と、前記雄ネジにネジ係合可能な第1雌ネジを有する打撃部と、前記雄ネジにネジ係合可能な第2雌ネジを有する緩み防止ナットと、を有しており、
前記第1雌ネジは、開口部に第1テーパー面を有しており、
前記緩み防止ナットは、軸線方向の一方側に向かって突出する突出部と、前記緩み防止ナットを径方向および前記軸線方向に貫通する一条のスリットと、を有しており、
前記突出部は、前記第1テーパー面に当接可能な第2テーパー面を有しており、
前記第2テーパー面は、前記第1テーパー面の内径以上の外径を有している
請求項1に記載の打撃装置。
【請求項3】
中子を有する鋳造成形体から前記中子を除去する中子除去装置であって、
請求項1または2に記載の打撃装置を備え、
前記チゼルの前記長手方向の一端によって前記鋳造成形体を打撃することにより、前記鋳造成形体から前記中子を除去する
中子除去装置。
【請求項4】
前記チゼルの異常を検知可能な検知部をさらに備える
請求項3に記載の中子除去装置。
【請求項5】
前記検知部は、基台と、第1状態と第2状態との間で揺動可能に前記基台に支持された揺動体と、前記基台と前記揺動体とに接続されたバネと、前記揺動体の揺動を検出可能な揺動検出部と、を有しており、
前記揺動体は、前記チゼルが当接可能な第1当接部を有しており、
前記バネは、前記揺動体を前記第1状態に維持可能であると共に前記第2状態にある前記揺動体を前記第1状態に復帰可能なバネ力を有している
請求項4に記載の中子除去装置。
【請求項6】
前記第1当接部は、前記チゼルが進入可能な貫通孔を有している
請求項5に記載の中子除去装置。
【請求項7】
ロボットアームを有するロボットをさらに備え、
前記打撃装置は、前記ロボットアームに固定されている
請求項3に記載の中子除去装置。
【請求項8】
前記鋳造成形体は、前記チゼルの前記長手方向の一端が当接可能な第2当接部を有しており、
前記第2当接部は、押し湯である
請求項3に記載の中子除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被打撃物を打撃する打撃装置およびこれを備える中子除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平7-314125号公報(特許文献1)には、中空部を有する本体部と、当該中空部の延在方向に摺動可能に当該中空部に配置されたピストンと、中空部の延在方向に摺動可能に当該中空部内に少なくとも一部が配置されたチゼルと、本体部とチゼルとを連結するチゼルスプリングと、を備える打撃装置が記載されている。
【0003】
当該打撃装置は、中空部に供給される加圧エアによってピストンを押圧すると共に、押圧された当該ピストンの押圧力を利用してチゼルを押し出すことで、当該チゼルを介して被打撃物に打撃を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、チゼルと、被打撃物のチゼルが当接する当接部と、が面接触可能な場合には、チゼルからの打撃力が被打撃物に効果的に作用するが、チゼルと当接部とが面接触困難な場合、例えば、当接部に凸部が存在する場合などでは、打撃の際に、チゼルと当接部との間で滑りが生じるなどして、チゼルの打撃力が被打撃物に効果的に作用しない場合が生じる。上述した公報に記載の打撃装置は、この点について何ら言及がなく、打撃力を効果的に作用させるという点において、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、打撃力の効果的な作用に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の中子除去装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る打撃装置の好ましい形態によれば、被打撃物を打撃する打撃装置が構成される。当該打撃装置は、中空部を有する本体部と、当該中空部の延在方向に摺動可能に当該中空部に配置されたピストンと、長手方向の一端に凹部を有するチゼルと、を備えている。そして、チゼルは、ピストンの摺動に基づき長手方向に摺動可能なように少なくとも一部が中空部に配置されている。
【0009】
本発明によれば、チゼルが、当該チゼルの長手方向の一端、即ち、被打撃部に当接可能な端部に、凹部を有するため、被打撃物のチゼルが当接する部分に凸部が存在するような場合であっても、チゼルが被打撃部を打撃する際に、凹部が凸部に係合して、チゼルと被打撃部との間で滑りが発生することを抑制することができる。これにより、チゼルの打撃力を被打撃物に効果的に作用させることができる。
【0010】
本発明に係る打撃装置の更なる形態によれば、チゼルは、雄ネジを有する軸部と、雄ネジにネジ係合可能な第1雌ネジを有する打撃部と、雄ネジにネジ係合可能な第2雌ネジを有する緩み防止ナットと、を有している。第1雌ネジは、開口部に第1テーパー面を有している。緩み防止ナットは、軸線方向の一方側に向かって突出する突出部と、緩み防止ナットを径方向および軸線方向に貫通する一条のスリットと、を有している。突出部は、第1テーパー面に当接可能な第2テーパー面を有している。そして、第2テーパー面は、第1テーパー面の内径以上の外径を有している。
【0011】
本形態によれば、打撃部が軸部から着脱可能であるため、被打撃物を打撃することによって、打撃部が摩耗や破損した場合に、当該打撃部のみを交換することができ、合理的である。しかも、緩み防止ナットによって打撃部の軸部に対する緩みを良好に抑止することができる。なお、打撃部に第1テーパー面を設けると共に、緩み防止ナットにスリットおよび第2テーパー面を設けるのみであるため、打撃部の緩み止め構成を簡易に実現することができる。
【0012】
本発明に係る中子除去装置の好ましい形態によれば、中子を有する鋳造成形体から中子を除去する中子除去装置が構成される。当該中子除去装置は、上述したいずれかの態様の本発明に係る打撃装置を備えている。そして、当該中子除去装置は、チゼルの長手方向の一端によって鋳造成形体を打撃することにより、鋳造成形体から中子を除去する。
【0013】
本発明によれば、上述したいずれかの態様の本発明に係る打撃装置を備えており、当該打撃装置のチゼルによって鋳造成形体を打撃して鋳造成形体から中子を除去するため、上述したいずれかの態様の本発明に係る打撃装置と同様の作用効果、例えば、チゼルの打撃力を被打撃物としての鋳造成形体に効果的に作用させることができるという作用効果を奏することができる。これにより、鋳造成形体から中子を適正に除去することができる。
【0014】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、チゼルの異常を検知可能な検知部をさらに備えている。ここで、本発明における「チゼルの異常」は、典型的には、チゼルの曲がりや折れがこれに該当するが、チゼルを本体部へ着け忘れた状態(セットし忘れた状態)を好適に包含する。
【0015】
本形態によれば、チゼルの異常を検知することができるため、異常が発生したチゼルによって鋳造成形体を打撃することを防止できる。例えば、チゼルの異常がチゼルの曲がりである場合には、鋳造成形体への打撃力の低下を抑制することができる。この結果、中子除去性能の低下を抑制することができる。また、チゼルの異常がチゼルの折れやチゼルの本体部への着け忘れなどである場合には、鋳造成形体への打撃不良(空振り)を防止することができる。
【0016】
チゼルの異常を検知可能な検知部を備える態様の本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、検知部は、基台と、第1状態と第2状態との間で揺動可能に基台に支持された揺動体と、基台と揺動体とに接続されたバネと、揺動体の揺動を検出可能な揺動検出部と、を有している。揺動体は、チゼルが当接可能な第1当接部を有している。そして、バネは、揺動体を第1状態に維持可能であると共に第2状態にある揺動体を第1状態に復帰可能なバネ力を有している。
【0017】
本形態によれば、チゼルの異常のうちチゼルの折れやチゼルの本体部への付け忘れなどを検知可能な検知部を、簡易な構成で実現することができる。
【0018】
チゼルの異常を検知可能な検知部を備える態様の本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、第1当接部は、チゼルが進入可能な貫通孔を有している。
【0019】
本形態によれば、チゼルの異常のうちチゼルの曲がりを検知可能な検知部を簡易な構成で実現することができる。
【0020】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、ロボットアームを有するロボットをさらに備えている。そして、打撃装置は、ロボットアームに固定されている。
【0021】
本形態によれば、自動で鋳造成形体を打撃することができる。
【0022】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、鋳造成形体は、チゼルの長手方向の一端が当接可能な第2当接部を有している。そして、第2当接部は、押し湯である。
【0023】
本形態によれば、鋳造成形体のうち製品として残存しない部分を打撃するため、製品の品質低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被打撃物に打撃力を効果的に作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態に係る中子除去装置1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る中子除去装置1を上方から見た平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る中子除去装置1を治具台車4の搬送方向の上流側から見た図である。
【
図4】治具台車4を搬送方向および鉛直方向の両方向に直交する方向から見た側面図である。
【
図5】作業エリアWAに配置されたレールR,Rの回動の様子を示す説明図である。
【
図6】治具台車4を搬送方向の上流側から見た正面図である。
【
図8】鋳造成形体90を支持した状態の治具台車4を示す三面図である。
【
図11】ロボットアーム60を拡大して示す要部拡大図である。
【
図12】ハンマ64の構成の概略を示す一部断面図である。
【
図13】ピストン164が下降する様子を示す説明図である。
【
図14】ピストン164が下死点に到達した様子を示す説明図である。
【
図15】ハンマチゼル168が突出した様子を示す説明図である。
【
図16】ハンマチゼル168構成の概略を示す概略構成図である。
【
図17】軸線を通る平面で切った打撃部168bの断面を示す断面図である。
【
図18】緩み防止ナットNutの構成を示す三面図である。
【
図19】ハンマチゼル異常検知部17の構成の概略を示す三面図である。
【
図20】ドリル異常検知部18の構成の概略を示す三面図である。
【
図21】鋳造成形体90を支持した状態の治具台車4を搬送方向の上流側から見た正面図である。
【
図22】砂受けパンSPの回動の様子を示す説明図である。
【
図23】引掛け部62aと引掛け用ブロック40aとの係合の様子を示す説明図である。
【
図24】打撃部168bによって押し湯部90a,90a,90a,90aを打撃する様子を示す説明図である。
【
図25】治具本体26を傾動させた状態を示す説明図である。
【
図26】引掛け部62aと突出片30cとの係合の様子を示す説明図である。
【
図27】引掛け部62aと押出し用ブロック40bとの係合の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0027】
本発明の実施の形態に係る中子除去装置1は、中子を有する鋳造成形体90から中子を除去するための装置として構成されており、
図1ないし
図3に示すように、作業エリアWAを囲う枠体2と、作業エリアWAを貫通するように枠体2内外に亘って敷設された一対のレールR,Rと、当該一対のレールR,R上に配置された治具台車4と、枠体2内であって作業エリアWAに隣接して配置された作業ロボット6と、作業エリアWAであって作業ロボット6に隣接して配置された異常検知ユニット7(
図2のみに記載)と、作業エリアWAであって一対のレールR,Rの下方に配置されたリフター8,8(
図1および
図3のみに記載)と、作業エリアWAであって一対のレールR,Rの下方に配置された砂受けパンSP(
図2および
図3のみに記載)と、枠体2内であって作業エリアWAに隣接して配置された排砂台車10(
図2および
図3のみに記載)と、装置全体を制御する制御部12(
図1のみに記載)と、を備えている。鋳造成形体90は、本発明における「被打撃物」に対応する実施構成の一例である。
【0028】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、鉛直方向の上方(
図1の上方向)を「上側」ないし「上方」として規定し、鉛直方向の下方(
図1の下方向)を「下側」ないし「下方」として規定する。また、治具台車4を後述するセットエリアSAから作業エリアWAを介して取出しエリアTAまで搬送する方向(
図1の左方向)を「搬送方向」として規定する。また、搬送方向(
図2の左側)に向かって右側(
図2の上側)を「右側」ないし「右方」として規定し、搬送方向(
図2の左側)に向かって左側(
図2の下側)を「左側」ないし「左方」として規定する。
【0029】
一対のレールR,Rは、
図1および
図2に示すように、作業エリアWA外であるセットエリアSAから作業エリアWAまで、および、作業エリアWAから作業エリアWA外である取出しエリアTAまで、治具台車4を搬送可能なように、枠体2内外に亘って敷設されている。レールR,Rは、図示しない複数の支柱によって、床面Fより所定高さだけ高い位置に配設されている。換言すれば、一対のレールR,Rの下方には、空間が存在していると言うことができる。
【0030】
作業エリアWAに配置されたレールR,Rは、
図5に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向)における上流側(
図5における右側)の端部に支点RS1を有しており、当該支点RS1を中心に回動可能なように構成されている。支点RS1は、レールR,Rの延在方向(治具台車4の走行方向(搬送方向))および鉛直方向の両方向に直交する方向に延在している。
【0031】
また、作業エリアWAに配置されたレールR,R間には、当該レールR,Rを支持する支柱(図示せず)同士を接続するように、一対の梁Bm,Bmが配置されている(
図3および
図5)。梁Bm,Bmは、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図5の左方向)に沿う長さとほぼ同じ距離を隔てて配置されている。より具体的には、一方の梁Bmは、治具台車4の後述する車体40の前端部(
図1における左側端部)に対応する位置に配置されると共に、他方の梁Bmは、車体40の後端部(
図1における右側端部)に対応する位置に配置される。即ち、治具台車4が作業エリアWAに到達した際に、車体40の前端部の直下には一方の梁Bmが存在し、車体40の後端部の直下には他方の梁Bmが存在している。当該梁Bm,Bmは、
図21に示すように、それぞれ一対のストッパーブロックSB1,SB2を有している。
【0032】
ストッパーブロックSB1は、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図21における紙面に垂直な方向)に向かって左側(
図21の左側)に配置されたレールR、即ち、治具台車4の後述する車輪42Lが係合されるレールR側に配置され、ストッパーブロックSB2は、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図21における紙面に垂直な方向)に向かって右側(
図21の右側)に配置されたレールR、即ち、治具台車4の後述する車輪42Rが係合されるレールR側に配置される。ストッパーブロックSB1,SB2間の距離は、治具台車4の車体40の幅寸法(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって左右方向の寸法)よりも大きい。また、ストッパーブロックSB1,SB2は、互いに向き合う面に切欠きNt1,Nt2を有している。切欠きNt1,Nt2は、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図21における紙面に垂直な方向)から見たときに、略C字状を有しており、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図21における紙面に垂直な方向)に貫通している。切欠きNt1,Nt2の上面(
図21の上側の面)は、治具台車4を上昇(鉛直方向の上方)させたときに、治具台車4の車輪42L,42RがレールR,Rとの係合が解除されて、車輪42L,42RとレールR,Rとの距離が所定距離離れたときに、後述する車体40のストッパーバー41,41が当接する位置に設定されている。
【0033】
治具台車4は、
図4、
図6ないし
図8に示すように、車体40と、当該車体40に回転可能に支持された4つの左右一対の車輪42R,42Lと、車体40に固定された治具20と、を有している。
【0034】
車体40は、
図4、
図6ないし
図8に示すように、作業ロボット6の後述する引掛け部62aが係合可能な引掛け用ブロック40aおよび押出し用ブロック40bと、前側砂収集プレート40cおよび後側砂収集プレート40dと、ストッパーバー41,41と、を有している。引掛け用ブロック40aは、治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって前側の右角部に配置されている。また、押出し用ブロック40bは、治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって後側の右角部に配置されている。前側砂収集プレート40cは、
図4に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図4の左方向)に向かって上り傾斜を有している。また、後側砂収集プレート40dは、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図4の左方向)に向かって下り傾斜を有している。換言すれば、前側砂収集プレート40cおよび後側砂収集プレート40dは、互いに近付く方向に向かって下り傾斜を有していると言うことができる。ストッパーバー41,41は、
図4および
図8に示すように、車体40の下方(
図4の下方向)を向く面(床を向く面)に固定されている。ストッパーバー41,41は、車体40の前端部(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって前側の端部)および後端部(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって後側の端部)にそれぞれ配置されている。また、ストッパーバー41,41は、
図6に示すように、車体40の幅寸法(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって左右方向の寸法)よりも大きい長さを有している。即ち、ストッパーバー41,41は、治具台車4の走行方向(搬送方向)の一方側から見た場合、車体40よりも突出している。
【0035】
治具20は、
図4、
図6および
図7に示すように、固定プレート22と、当該固定プレート22に一体にされた複数の弾性体(例えば、ゴム)24a,24a,24a,24b,24b,24bと、当該弾性体(例えば、ゴム)24a,24a,24a,24b,24b,24bを介して当該固定プレート22に接続された治具本体26と、を有している。
【0036】
固定プレート22は、
図4、
図6および
図7に示すように、平面視略長方形の平板として構成されており、ボルトなどの締結部材(図示せず)によって車体40に固定される。また、固定プレート22は、ストッパーブロック23を有している。ストッパーブロック23は、ボルトなどの締結部材(図示せず)によって固定プレート22に固定される。ストッパーブロック23は、
図6および
図7に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)に向かって左側であって、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)の略中央に配置される。ストッパーブロック23は、ストッパーピン23aを有している。当該ストッパーピン23aは、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)に向かって右側に突出している。
【0037】
弾性体24a,24a,24aは、
図6に示すように、車輪42L寄りの位置に配置され、弾性体24b,24b,24bは、車輪42R寄りの位置に配置される。
【0038】
治具本体26は、
図4、
図6および
図7に示すように、ベースプレート28と、支持アーム30と、ブロック体32と、を有している。
【0039】
ベースプレート28は、
図4および
図6に示すように、平面視略長方形の平板として構成されている。また、ベースプレート28は、固定プレート22よりも一回り小さく、平面視において、ほぼ同心状となるように固定プレート22上に配置される。ベースプレート28は、弾性体(例えば、ゴム)24a,24a,24a,24b,24b,24bを介して固定プレート22に接続されており、弾性体24a,24a,24a,24b,24b,24bの弾性領域内において、固定プレート22に対して揺動可能である。
【0040】
支持アーム30は、前側支持アーム30aおよび後側支持アーム30bを有しており、ボルトなどの締結部材(図示せず)によってベースプレート28に固定されている。前側支持アーム30aおよび後側支持アーム30bは、
図6および
図7に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)に向かって右側に配置される。前側支持アーム30aは、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)に向かって前側に配置され、後側支持アーム30bは、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)に向かって後側に配置されている。支持アーム30は、
図4および
図6に示すように、作業ロボット6の後述する引掛け部62aが係合可能な突出片30cを有している。
【0041】
ブロック体32は、
図6に示すように、上端面に鋳造成形体90を載置可能に構成されており、ボルトなどの締結部材(図示せず)によってベースプレート28に固定されている。ブロック体32は、
図6および
図7に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)に向かって左側であって、治具台車4の走行方向(搬送方向、
図7の左方向)の略中央に配置される。これにより、ブロック体32は、ストッパーブロック23、より詳細には、ストッパーピン23aに対向する。
【0042】
こうして構成された治具台車4は、
図8に示すように、支持アーム30およびブロック体32によって鋳造成形体90を支持した状態で、作業エリアWA外から作業エリアWAまで、および、作業エリアWAから作業エリアWA外まで、鋳造成形体90を搬送する。
【0043】
作業ロボット6は、
図9および
図10に示すように、ロボットアーム60と、ブラケット62を介してロボットアーム60に固定された本発明の実施の形態に係るハンマ64およびドリル66と、を有している。ブラケット62は、
図11に示すように、側面視略L字状の引掛け部62aを有している。作業ロボット6は、本発明における「ロボット」に対応する実施構成の一例である。
【0044】
ハンマ64は、例えば、電動ハンマを用いることができ、
図12に示すように、中空部160aを有する本体部160と、クランク機構162と、中空部160aに配置されたピストン164およびストライカー166と、ハンマチゼル168と、を有している。ハンマ64は、本発明における「打撃装置」に対応する実施構成の一例である。
【0045】
クランク機構162は、
図12に示すように、回転運動を直線運動に変換可能な機構であり、図示しないモータの回転軸に接続された回転体162aと、当該回転体162aに偏心状に配置されたクランクアーム162bと、を有している。クランクアーム162bは、長手方向の一端が回転体162aに揺動可能に接続されており、長手方向の他端がピストン164に揺動可能に接続されている。ピストン164は、中空部160aの内径と同じか若干小さい外径を有しており、中空部160aの軸線方向に摺動可能である。
【0046】
ストライカー166は、
図12に示すように、中空部160aの内径と同じか若干小さい外径を有しており、中空部160aの軸線方向に摺動可能である。ストライカー166は、ピストン164とハンマチゼル168との間に配置されている。
【0047】
ハンマチゼル168は、
図12に示すように、軸部168aと、当該軸部168aの軸線方向の一端部に一体にされた打撃部168bと、軸部168aの軸線方向の中間部に一体にされたストッパー部168cと、軸部168aの軸線方向の他端部(ストッパー部168cに関して、打撃部168bが配置された側とは反対側の端部)に一体にされたストッパー部168dと、を有している。ハンマチゼル168は、本発明における「チゼル」に対応する実施構成の一例である。
【0048】
軸部168aは、
図16に示すように、軸線方向の一端部(
図16の下側の端部)に雄ネジMsを有している。
【0049】
打撃部168bは、
図17に示すように、雄ネジMsにネジ係合可能な雌ネジFs1と、凹部167と、を有している。雌ネジFs1は、
図16に示すように、軸線方向の一端部(
図17の上側の端部)に開口するように配置されている。雌ネジFs1は、
図17に示すように、テーパー面Tp1を有している。テーパー面Tp1は、雌ネジFs1の開口部に配置されている。凹部167は、
図16に示すように、軸線方向の他端部(
図17の下側の端部)に開口するように配置されている。打撃部168bは、
図16に示すように、雌ネジFs1を軸部168aの雄ネジMsにネジ係合することによって、軸部168aに一体にされる。ここで、雄ネジMsには、
図16に示すように、緩み防止ナットNutがネジ係合されており、当該緩み防止ナットNutによって、打撃部168bの雌ネジFs1と、軸部168aの雄ネジMsと、の緩み発生が抑制されている。雌ネジFs1は、本発明における「第1雌ネジ」に対応し、テーパー面Tp1は、本発明における「第1テーパー面」に対応する実施構成の一例である。
【0050】
緩み防止ナットNutは、
図18に示すように、軸部168aの雄ネジMsにネジ係合可能な雌ネジFs2と、軸線方向の一方に向かってに突出する突出部Pdと、スリットSltと、を有している。突出部Pdは、外周面にテーパー面Tp2を有している。当該テーパー面Tp2は、打撃部168bのテーパー面Tp1の内径よりも若干大きい外径を有すると共に(即ち、打撃部168bのテーパー面Tp1の寸法公差がマイナスに設定されていると共に、突出部Pdのテーパー面Tp2の寸法公差がプラスに設定されている)、ほぼ同じテーパー角度を有している。スリットSltは、緩み防止ナットNutの外周面から雌ネジFs2まで貫通すると共に、緩み防止ナットNutの軸線方向に貫通している。換言すれば、緩み防止ナットNutは、平面視略C字状を有していると言うことができる。雌ネジFs2は、本発明における「第2雌ネジ」に対応し、テーパー面Tp2は、本発明における「第2テーパー面」に対応する実施構成の一例である。
【0051】
こうして構成された打撃部168bは、
図16に示すように、以下の手順で軸部168aに組み付けられる。まず、緩み防止ナットNutの突出部Pdが、軸部168aの先端(軸部168aの軸線方向の一端部であって、
図16の下側の端部)を向くように、緩み防止ナットNutを軸部168aにネジ係合する。次いで、打撃部168bを軸部168aにネジ係合する。そして、打撃部168bが軸部168aの軸線方向の適切な位置に配置されたときに、緩み防止ナットNutを打撃部168bに向けて(緩み防止ナットNutが軸部168aから外れる向に)ねじ込む。このとき、緩み防止ナットNutの突出部Pdのテーパー面Tp2と、打撃部168bのテーパー面Tp1と、が当接する。これにより、緩み防止ナットNutに、径方向に縮小する方向の変形が生じて、緩み防止ナットNutと軸部168aとのネジ係合がより強固になる。この結果、打撃部168bと軸部168aとのネジ係合が緩むことを良好に抑制することができる。なお、打撃部168bが軸部168aから着脱可能であるため、鋳造成形体90を打撃することによって、打撃部168bに摩耗や破損が生じた場合であっても、当該打撃部168bのみを交換することができ、合理的である。また、打撃部168bにテーパー面Tp1を設けると共に、緩み防止ナットNutにスリットSltおよびテーパー面Tp2を設けるのみであるため、打撃部168bの緩み止め構成を簡易に実現することができる。
【0052】
ストッパー部168cは、
図12に示すように、中空部160a外に配置されており、本体部160と当接可能である。また、ストッパー部168dは、中空部160aに配置されており、ストッパー部168dと本体部160との間には、スプリング169が配置されている。
【0053】
スプリング169は、
図12に示すように、ストッパー部168cが本体部160に当接した状態を維持するようなバネ力をハンマチゼル168に付与する。
【0054】
こうして構成されたハンマ64は、
図12に示すように、作動前は、ピストン164が本体部160の上端部に配置されると共に、ハンマチゼル168のストッパー部168cが本体部160に当接した状態となっている。当該状態において、クランク機構162が図示しないモータによって回転されることにより、ピストン164が下降して(
図13)、ピストン164とハンマチゼル168との間の空間AC内の空気が圧縮される。そして、ピストン164が下死点に達したときに(
図14)、空間ACの圧力が最大となり、ストライカー166が当該空圧によって下降して、ハンマチゼル168に衝突する(
図15)。これにより、ハンマチゼル168は、
図15に示すように、本体部160から突出する方向に移動する。このとき、打撃部168bに対向する位置に配置された鋳造成形体90が打撃される。なお、ハンマチゼル168は、鋳造成形体90を打撃後、スプリング169のバネ力(復元力)によって、ストッパー部168cが本体部160に当接するまで引っ込む方向に移動する。この間、ピストン164は、クランク機構162によって上死点に向けて上昇される。そして、ハンマチゼル168が作動前の状態まで引っ込んだときには、再びピストン164がクランク機構162によって下死点に向けて下降され、空間ACが圧縮されるため、ストライカー166が下降して、再びハンマチゼル168に衝突して、当該ハンマチゼルが本体部160から突出する。当該動作が繰り返されることで、継続して鋳造成形体90に打撃を与えることができる。
【0055】
異常検知ユニット7は、
図2に示すように、ハンマチゼル異常検知部17と、ドリル異常検知部18と、を有している。異常検知ユニット7は、作業ロボット6に関して、治具台車4の走行方向(搬送方向)における上流側(
図2における右側)に配置される。ハンマチゼル異常検知部17は、本発明における「検知部」に対応する実施構成の一例である。
【0056】
ハンマチゼル異常検知部17は、
図19に示すように、支持プレート170と、当該支持プレート170に揺動可能に支持された揺動体172と、支持プレート170と揺動体172とを接続する一対のコイルスプリングSPR,SPRと、支持プレート170に固定された近接スイッチ174と、を有している。
【0057】
支持プレート170は、主要な表面170aおよび裏面170bを有する板状部材であり、床面Fに設置された図示しない土台に固定される。支持プレート170は、ストッパーピン171aと、スプリング係止ピン171bと、を有している。ストッパーピン171aは、主要な表面170aに配置されている。ストッパーピン171aは、主要な表面170aに直交している。スプリング係止ピン171bは、主要な表面170aおよび裏面170bに配置されている。換言すれば、スプリング係止ピン171bは、ストッパーピン171aを貫通していると言うことができる。スプリング係止ピン171bは、主要な表面170aおよび裏面170bに直交している。
【0058】
揺動体172は、
図19に示すように、当接部172aと、当該当接部172aに一体にされた本体部172bと、を有しており、支持軸173を介して支持プレート170に揺動可能に支持されている。当接部172aは、ハンマチゼル168を挿通可能な挿通孔1721aを有している。本体部172bは、第1延出片1721bと、当該第1延出片1721bに対して平行かつ所定距離隔てて配置された第2延出片1722bと、を有している。本体部172bは、平面視略U字状を有していると共に、側面視(支持軸173の軸線方向の一方側から見た場合)略逆V字状を有している。第1延出片1721bは、第2延出片1722bよりも長い長さを有している。また、第1延出片1721bは、スプリング係止ピン175aを有している。第2延出片1722bは、スプリング係止ピン175bを有している。スプリング係止ピン175a,175bは、支持軸173に関して、第1延出片1721bおよび第2延出片1722bの延出端部(当接部172aが配置された側とは反対側の端部)寄りに配置される。支持プレート170は、本発明における「基台」に対応し、近接スイッチ174は、本発明における「揺動検出部」に対応する実施構成の一例である。また、当接部172aは、本発明における「第1当接部」に対応し、挿通孔1721aは、本発明における「貫通孔」に対応する実施構成の一例である。
【0059】
コイルスプリングSPR,SPRは、
図19に示すように、スプリング係止ピン171bおよびスプリング係止ピン175a,175bに係止される。具体的には、一方のコイルスプリングSPRの一端がスプリング係止ピン171bに係止され、他端がスプリング係止ピン175aに係止されると共に、他方のコイルスプリングSPRの一端がスプリング係止ピン171bに係止され、他端がスプリング係止ピン175bに係止される。これにより、コイルスプリングSPR,SPRは、揺動体172を時計回りに揺動させる方向にバネ力を揺動体172に付与する。コイルスプリングSPR,SPRは、本発明における「バネ」に対応する実施構成の一例である。
【0060】
近接スイッチ174は、
図19に示すように、検出面174aが第1延出片1721b側を向くように、支持プレート170に支持されている。これにより、揺動体172が揺動したときに、検出面174aが第1延出片1721bに対向する。
【0061】
こうして構成されたハンマチゼル異常検知部17は、セット状態、即ち、ハンマチゼル168の異常を確認する前の状態では、コイルスプリングSPR,SPRによって、第1延出片1721bがストッパーピン171aに当接するまで揺動した状態となっており、第1延出片1721bと近接スイッチ174の検出面174aとは対向していない。即ち、支持軸173の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上において、第1延出片1721bと検出面174aとが重なっていない(
図19の実線)。当該状態において、挿通孔1721aの軸線方向は、鉛直方向と平行となっている(
図19の実線)。ハンマチゼル168の異常を確認する前の揺動体172の状態は、本発明における「第1状態」に対応する実施構成の一例である。
【0062】
ドリル異常検知部18は、揺動体172を揺動体182に替えた点を除いて、基本的には、ハンマチゼル異常検知部17と同一の構成を有している。したがって、ドリル異常検知部18のうちハンマチゼル異常検知部17のハード構成と同一部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0063】
ドリル異常検知部18は、
図20に示すように、支持プレート170と、当該支持プレート170に揺動可能に支持された揺動体182と、支持プレート170と揺動体182とを接続する一対のコイルスプリングSPR,SPRと、支持プレート170に固定された近接スイッチ174と、を有している。
【0064】
揺動体182は、
図20に示すように、当接部182aと、当該当接部182aに一体にされた本体部172bと、を有しており、支持軸173を介して支持プレート170に揺動可能に支持されている。当接部182aは、ドリル66を挿通可能な挿通孔1821aを有している。換言すれば、揺動体182は、当接部172aを当接部182aに替えた点を除いて、揺動体172と同一の構成を有していると言うことができる。
【0065】
こうして構成されたドリル異常検知部18は、セット状態、即ち、ドリル66の異常を確認する前の状態では、コイルスプリングSPR,SPRによって、第1延出片1721bがストッパーピン171aに当接するまで揺動した状態となっており、第1延出片1721bと近接スイッチ174の検出面174aとは対向していない。即ち、支持軸173の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上において、第1延出片1721bと検出面174aとが重なっていない(
図20の実線)。当該状態において、挿通孔1821aの軸線方向は、鉛直方向と平行となっている(
図20の実線)。
【0066】
リフター8,8は、
図21に示すように、それぞれ、梁Bm,Bmに配置された油圧シリンダー80と、同じく梁Bm,Bmに配置された一対のガイド82,82と、油圧シリンダー80および一対のガイド82,82に接続された当接プレート84と、を有している。リフター8,8は、一対のストッパーブロックSB1,SB2間に配置されている。ガイド82,82は、油圧シリンダー80を挟むように配置されている。当接プレート84は、ストッパーバー41,41に下方(
図21における下方)から当接可能である。
【0067】
砂受けパンSPは、
図2に示すように、作業エリアWAにセットされた治具台車4の真下に配置される。また、砂受けパンSPは、
図22に示すように、延在方向(
図22における左右方向)の一端(
図22の左側の端部)に支点RS2を有しており、当該支点RS2を中心に回動可能に構成されている。当該支点RS2は、作業エリアWAに配置された一対の支柱St,St(
図2も併せて参照)の上端部に配置されている。なお、支点RS2は、レールR,Rの延在方向(治具台車4の走行方向(搬送方向))と平行に延在している。支柱St,Stは、作業エリアWAにセットされた排砂台車10の前端部に対応する位置に配置されている。
【0068】
排砂台車10は、
図2および
図22に示すように、前端部が支柱St,Stに当接した状態で作業エリアWAに配置される。換言すれば、支柱St,Stは排砂台車10のストッパーの機能を有していると言うことができる。
【0069】
制御部12は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートおよび通信ポートと、を備えている。制御部12には、治具台車4が作業エリアWAに到着したことを検知するセンサ70からの到達信号や、鋳造成形体90の治具台車4へのセット完了を示すセット完了信号、近接スイッチ174からのオンオフ信号、鋳造成形体90の治具台車4からの取出し完了を示す取出し完了信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御部12からは、作業ロボット6への駆動信号や、リフター8,8への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0070】
次に、こうして構成された中子除去装置1の動作、特に、治具20を揺動させることによって、鋳造成形体90から中子を除去する際の動作について説明する。まず、作業者がセットエリアSAに配置された治具台車4に鋳造成形体90をセットする(
図1および
図2)。制御部12のCPUは、鋳造成形体90の治具台車4へのセット完了を示すセット完了信号を受信すると、鋳造成形体90がセットされた治具台車4をセットエリアSAから作業エリアWAに引き込むように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。ここで、セット完了信号は、治具台車4への鋳造成形体90のセットが完了したときに、作業者がセット完了ボタンを押すことにより出力される構成としても良いし、治具台車4への鋳造成形体90のセットが完了したときに、作業者がセットエリアSAの扉を閉めることにより出力される構成としても良い。作業ロボット6による治具台車4の搬送(引き込み)は、
図23に示すように、ロボットアーム60に固定されたブラケット62の引掛け部62aを、治具台車4の引掛け用ブロック40aに係合させることにより行われる。
【0071】
そして、鋳造成形体90がセットされた治具台車4が、作業ロボット6によって作業エリアWAに配置されると、センサ70から到達信号が出力される。制御部12のCPUは、到達信号を受信すると、治具台車4を上昇させるように、リフター8,8に駆動信号を出力する。リフター8,8による治具台車4の上昇は、
図25に示すように、治具台車4のストッパーバー41,41がストッパーブロックSB1,SB2の切欠きNt1,Nt2の上面に当接するまで行われる。これにより、治具台車4は、リフター8,8(具体的には、当接プレート84)とストッパーブロックSB1,SB2とに挟持された状態で固定される。こうして治具台車4が上昇されることで、車輪42R,42LとレールR,Rとの係合が解除される。
【0072】
続いて、制御部12のCPUは、ハンマチゼル168およびドリル66の異常を確認するべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、まず、ドリル66を、ドリル異常検知部18の当接部182aに当接させるように作動する。ここで、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していなければ、ドリル66が当接部182aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体182が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していることを検出することができる。一方、ドリル66に折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していれば、ドリル66が当接部182aに当接しないため、揺動体182は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していないことを検出することができる。
【0073】
こうして、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れの発生の有無を確認した後、作業ロボット6は、ドリル66を、挿通孔1821aに挿通するように作動する。ここで、ドリル66に曲がりが発生していなければ、ドリル66が挿通孔1821aに挿通されるため、揺動体182は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ドリル66に曲がりが発生していないことを検出することができる。一方、ドリル66に曲がりが発生していれば、ドリル66が挿通孔1821aに挿通されずに、ドリル66の少なくとも一部が、例えば、当接部182aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体182が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ドリル66に曲がりが発生していることを検出することができる。
【0074】
ドリル異常検知部18によるドリル66の異常の検出が完了すると、続いて、作業ロボット6は、ハンマチゼル168を、ハンマチゼル異常検知部17の当接部172aに当接させるように作動する。ここで、ハンマチゼル168の折れやハンマチゼル168の本体部160への取付け忘れが発生していなければ、ハンマチゼル168が当接部172aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体172が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ハンマチゼル168の折れやハンマチゼル168の本体部160への取付け忘れが発生していることを検出することができる。一方、ハンマチゼル168に折れやハンマチゼル168の本体部160への取付け忘れが発生していれば、ハンマチゼル168が当接部172aに当接しないため、揺動体172は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ハンマチゼル168の折れやハンマチゼル168の本体部160への取付け忘れが発生していないことを検出することができる。
【0075】
こうして、ハンマチゼル168の折れやハンマチゼル168の本体部160への取付け忘れの発生の有無を確認した後、作業ロボット6は、ハンマチゼル168をハンマチゼル異常検知部17の挿通孔1721aに挿通するように作動する。ここで、ハンマチゼル168に曲がりが発生していなければ、ハンマチゼル168が挿通孔1721aに挿通されるため、揺動体172は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ハンマチゼル168に曲がりが発生していないことを検出することができる。一方、ハンマチゼル168に曲がりが発生していれば、ハンマチゼル168が挿通孔1721aに挿通されずに、ハンマチゼル168の少なくとも一部(例えば、打撃部168b)が、例えば、当接部172aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体172が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ハンマチゼル168に曲がりが発生していることを検出することができる。第1延出片1721bの少なくともが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体172が反時計回りに揺動された状態は、本発明における「第2状態」に対応する実施構成の一例である。
【0076】
このように、本実施の形態によれば、ドリル66やハンマチゼル168による中子の破砕作業の前に、ドリル66やハンマチゼル168の異常を検出するため、異常が発生したドリル66やハンマチゼル168で中子の破砕作業を行うことがない。これにより、中子の破砕作業の効率低下や製品の品質低下を抑制することができる。
【0077】
こうして、ドリル66やハンマチゼル168に異常が発生していないことを確認した後、制御部12のCPUは、ドリル66およびハンマ64によって、鋳造成形体90の中子を破砕するように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、まず、ドリル66によって、鋳造成形体90の穴構成部90b,90b,90b,90b(
図21および
図25参照)に穴あけ加工を施し、次いで、ハンマ64によって、鋳造成形体90に凸状に設けられた押し湯部90a,90a,90a,90a(
図21および
図25参照)を打撃する。これにより、中子を砕いて鋳造成形体90の内壁から中子の大半を剥離させることができる。ここで、ハンマチゼル168の打撃部168bは、凹部167を有しているため、打撃部168bが押し湯部90a,90a,90a,90aに当接する際に、凹部167が押し湯部90a,90a,90a,90aに係合可能である。これにより、打撃部168bによって、押し湯部90a,90a,90a,90aを打撃する際に、打撃部168bと押し湯部90a,90a,90a,90aとの間で滑りが発生することを良好に抑制することができる。これにより、ハンマチゼル168を介した打撃力を押し湯部90a,90a,90a,90aに効果的に作用させることができる。押し湯部90a,90a,90a,90aは、本発明における「第2当接部」および「押し湯」に対応する実施構成の一例である。
【0078】
ドリル66およびハンマ64による中子破砕が完了すると、制御部12のCPUは、再び、ドリル66およびハンマチゼル168の異常を確認するべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。ドリル66およびハンマチゼル168の異常の検出については上述したので、ここでは説明を省略する。
【0079】
こうしてドリル66およびハンマチゼル168の異常を確認した後、治具本体26を傾動させるべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、
図26に示すように、引掛け部62aを治具本体26の突出片30cに係合させると共に、ブロック体32がストッパーブロック23から離れる方向に、治具本体26を引っ張る(
図25)。このとき、弾性体24a,24a,24aに引張力が作用して、当該弾性体24a,24a,24aは延伸する(
図25)。なお、作業ロボット6による治具本体26の引っ張りは、弾性体24a,24a,24a,24b,24b,24bの弾性領域内で行われる。
【0080】
こうしてブロック体32がストッパーブロック23から所定距離離れるまで治具本体26を引っ張った後、制御部12のCPUは、引掛け部62aの突出片30cへの係合を解除するように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、引掛け部62aの突出片30cへの係合が解除され、弾性体24a,24a,24aの復元力によって、ブロック体32がストッパーブロック23に近付く方向、即ち、治具本体26が元の位置に戻る方向へ揺動する。このとき、治具本体26は、慣性によって、元の位置を超えて(元の位置に関して、作業ロボット6による引っ張り方向とは反対方向に)傾動しようとするが、当該傾動は、ブロック体32のストッパーブロック23への衝突により阻止される。そして、ブロック体32のストッパーブロック23への衝突の反力により、治具本体26は、再度、作業ロボット6による引っ張り方向と同方向に傾動する。以降、弾性体24a,24a,24a,24b,24b,24bによる上述した治具本体26の振動が収束するまで、ブロック体32のストッパーブロック23への衝突を伴う揺動を繰り返す。当該衝突を伴う治具本体26の揺動によって、穴構成部90b,90b,90b,90bを含む鋳造成形体90の内壁から剥離した中子や砕かれた中子同士、あるいは、これら剥離した中子や砕かれた中子と鋳造成形体90の内壁とを衝突させて、中子をより細かく砕くことができると共に、鋳造成形体90から中子を振り落とす(除去する)ことができる。
【0081】
そして、治具本体26を揺動させることによる鋳造成形体90からの中子除去作業が完了すると、制御部12のCPUは、治具台車4を下降させるように、リフター8,8に駆動信号を出力する。これにより、車輪42R,42LとレールR,Rとが係合される。続いて、制御部12のCPUは、治具台車4を作業エリアWAから取出しエリアTAに押し出すように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。作業ロボット6による治具台車4の搬送(押出し)は、
図27に示すように、ロボットアーム60に固定されたブラケット62の引掛け部62aによって、治具台車4の押出し用ブロック40bを押圧することにより行われる。
【0082】
治具台車4が、作業ロボット6によって取出しエリアTAに配置されると、制御部12のCPUは、砂受けパンSPに収集された中子砂を排砂台車10に投入するべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、まず、
図5に示すように、支点RS1を中心に作業エリアWAに配置されたレールR,Rを時計回りに回動させ(
図5の二点鎖線)、その後、
図22に示すように、支点RS2を中心に砂受けパンSPを反時計回りに回動させる(
図22の二点鎖線)。こうして砂受けパンSP内の中子砂が排砂台車10に投入される。排砂台車10への中子砂の投入が完了すると、制御部12のCPUは、砂受けパンSPに収集された中子砂を排砂台車10に投入する際の動作とは逆の動作をするように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、砂受けパンSPが元の位置に戻るよう、支点RS2を中心に砂受けパンSPを時計回りに回動させた後(
図22の実線)、支点RS1を中心に作業エリアWAに配置されたレールR,Rを反時計回りに回動させる(
図5の実線)。なお、取出しエリアTAに配置された治具台車4にセットされた鋳造成形体90は、作業者によって取り外されて、図示しないパレットに配置される。
【0083】
以上説明した本発明の実施の形態に係るハンマ64を備える中子除去装置1によれば、ハンマチゼル168が凹部167を有するため、打撃部168bによって、押し湯部90a,90a,90a,90aを打撃する際に、打撃部168bと押し湯部90a,90a,90a,90aとの間で滑りが発生することを良好に抑制することができる。これにより、ハンマチゼル168を介した打撃力を押し湯部90a,90a,90a,90aに効果的に作用させることができる。この結果、鋳造成形体90から中子を適正に除去することができる。
【0084】
また、本発明の実施の形態に係る中子除去装置1によれば、打撃部168bが軸部168aから着脱可能であるため、鋳造成形体90を打撃することによって、打撃部168bに摩耗や破損が生じた場合であっても、当該打撃部168bのみを交換することができ、合理的である。なお、緩み防止ナットNutによって打撃部168bの軸部168aに対する緩みを良好に抑止することができる。また、打撃部168bにテーパー面Tp1を設けると共に、緩み防止ナットNutにスリットSltおよびテーパー面Tp2を設けるのみであるため、打撃部168bの緩み止め構成を簡易に実現することができる。
【0085】
さらに、本発明の実施の形態に係る中子除去装置1によれば、ドリル66やハンマ64による中子破砕作業の前に、当該ドリル66やハンマチゼル168の異常を検出するため、異常が発生したドリル66やハンマチゼル168で中子の破砕作業を行うことがない。これにより、中子の破砕作業の効率低下や製品の品質低下を抑制することができる。
【0086】
また、本発明の実施の形態に係る中子除去装置1によれば、ハンマチゼル異常検知部17およびドリル異常検知部18を、支持プレート170と、当該支持プレート170に揺動可能に支持された揺動体172,182と、支持プレート170と揺動体182とを接続する一対のコイルスプリングSPR,SPRと、支持プレート170に固定された近接スイッチ174と、から構成したため、ハンマチゼル168およびドリル66の異常を簡易な構成で検知することができる。
【0087】
本実施の形態では、打撃部168bの凹部167の形状については、詳細な説明を省略したが、凹部であれば良く、例えば、平面視丸形状や平面視十字形状、平面視四角形状など、如何なる形状であっても良い。
【0088】
本実施の形態では、セットエリアSAおよび取出しエリアTAを設け、鋳造成形体90をセットエリアSAから作業エリアWAを介して取出しエリアTAまで搬送する構成としたが、これに限らない。例えば、本実施の形態に係るセットエリアSAおよび取出しエリアTAに替えて、複数のセット取出しエリアを設け、セット取出しエリアと作業エリアWAとの間で鋳造成形体90を往復搬送する構成としても良い。即ち、セット取出しエリアにおいて、鋳造成形体90を治具台車4にセットして、当該鋳造成形体90がセットされた治具台車4をセット取出しエリアから作業エリアWAに搬送し、作業エリアWAにおける作業(中子除去作業)が完了した際に、鋳造成形体90がセットされた治具台車4を再びセット取出しエリアに搬送して、当該セット取出しエリアにおいて、鋳造成形体90を治具台車4から取り外す構成とすることができる。なお、この場合、作業エリアWAにおける作業(中子除去作業)が行われている間に、別のセット取出しエリアにおいて、別の鋳造成形体90を別の治具台車4にセットしておき、作業エリアWAにおける作業(中子除去作業)が完了した治具台車4を元のセット取出しエリアに搬送すると同時に、別の鋳造成形体90をセットした別の治具台車4を、作業エリアWAに搬送する構成としても良い。当該構成によれば、効率よく作業エリアWAに鋳造成形体90を搬送することができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0089】
本実施の形態では、電動ハンマを用いる構成としたが、これに限らない。例えば、エアハンマを用いる構成としても良い。
【0090】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。