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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172453
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】中子除去装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B22D29/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090182
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000142883
【氏名又は名称】株式会社五十鈴製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】松澤 孝純
(72)【発明者】
【氏名】長野 善和
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 浩庸
(72)【発明者】
【氏名】中山 総
(57)【要約】
【課題】中子除去性能の向上を図ること。
【解決手段】中子破砕に際し、細長い穴構成部90b,90b,90b,90bに存在する中子を、ドリル66によって直接的に破砕した後に、ハンマ64によって鋳造成形体90を打撃する。これにより、細長い穴に存在する中子のように、ハンマ64によって鋳造成形体90を打撃するのみでは、破砕しきれない中子であっても効果的に破砕することができる。また、ドリル66およびハンマ64による中子の破砕後に、治具本体26を揺動させることで鋳造成形体90に打撃(衝撃力)を与える。これにより、鋳造成形体90の内壁から剥離した中子や砕かれた中子同士、あるいは、これら剥離した中子や砕かれた中子と鋳造成形体90の内壁とを衝突させて、中子をより細かく砕くことができると共に、鋳造成形体90から中子を振り落とす(除去する)ことができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中子を有する鋳造成形体から前記中子を除去する中子除去装置であって、
前記中子に直接作用して前記中子を破砕可能な第1中子破砕部と、
該第1中子破砕部によって破砕された破砕中子を含む前記中子に、前記鋳造成形体を介して作用することにより、前記中子を破砕可能な第2中子破砕部と、
を備える中子除去装置。
【請求項2】
前記第1中子破砕部は、ドリルを有している
請求項1に記載の中子除去装置。
【請求項3】
前記ドリルの異常を検知可能な検知部をさらに備える
請求項2に記載の中子除去装置。
【請求項4】
前記検知部は、基台と、第1状態と第2状態との間で揺動可能に前記基台に支持された揺動体と、前記基台と前記揺動体とに接続されたバネと、前記揺動体の揺動を検出可能な揺動検出部と、を有しており、
前記揺動体は、前記ドリルが当接可能な第1当接部を有しており、
前記バネは、前記揺動体を前記第1状態に維持可能であると共に前記第2状態にある前記揺動体を前記第1状態に復帰可能なバネ力を有している
請求項3に記載の中子除去装置。
【請求項5】
前記第1当接部は、前記ドリルが進入可能な貫通孔を有するドリル進入部を有している
請求項4に記載の中子除去装置。
【請求項6】
前記第2中子破砕部は、前記鋳造成形体を打撃可能な打撃部を有している
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の中子除去装置。
【請求項7】
ロボットアームを有するロボットをさらに備え、
前記ドリルおよび前記打撃部は、前記ロボットアームに配置されている
請求項2に従属する請求項6に記載の中子除去装置。
【請求項8】
前記鋳造成形体を支持可能な支持部をさらに備え、
前記第2中子破砕部は、前記支持部を介して前記鋳造成形体に振動を付与可能な振動部を有している
請求項1または2に記載の中子除去装置。
【請求項9】
前記鋳造成形体を支持可能な支持部をさらに備え、
前記第2中子破砕部は、前記鋳造成形体を打撃可能な打撃部と、前記支持部を介して前記鋳造成形体に振動を付与可能な振動部と、を有している
請求項1または2に記載の中子除去装置。
【請求項10】
中子を有する鋳造成形体から前記中子を除去する中子除去方法であって、
(a)前記中子に直接破砕作用を施し、
(b)前記ステップ(a)で破砕された破砕中子を含む前記中子に、前記鋳造成形体を介して破砕作用を施すことで前記鋳造成形体から前記中子を除去する
中子除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中子を有する鋳造成形体から中子を除去する中子除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-192949号公報(特許文献1)には、枠体と、当該枠体に固定された打撃部と、枠体に固定された振動発生部と、打撃部および振動発生部を制御する制御部と、を備え、受け台を介して枠体にセットされた鋳造成形体を、打撃部によって打撃しながら、振動発生部によって枠体を介して鋳造成形体を振動させることで、鋳造成形体から中子を除去する中子除去装置が記載されている。
【0003】
当該中子除去装置は、打撃部によって、中子を砕いて、鋳造成形体の内壁から当該中子を剥離させ、振動発生部によって、砕かれた中子同士あるいは砕かれた中子と鋳造成形体の内壁とを衝突させることができるため、中子をより細かく砕くことができ、鋳造成形体から中子を適正に除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-192949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、鋳造成形体と中子との結合状態によっては、上述した公報に記載の中子除去装置のように、鋳造成形体を介して中子に打撃と振動を与えるのみでは、鋳造成形体から中子を適正に除去できない場合があり、中子除去性能の向上という点において、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、中子除去性能の向上に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の中子除去装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る中子除去装置の好ましい形態によれば、中子を有する鋳造成形体から中子を除去する中子除去装置が構成される。当該中子除去装置は、第1中子破砕部と、第2中子破砕部と、を備えている。第1中子破砕部は、中子に直接作用して中子を破砕可能である。第2中子破砕部は、第1中子破砕部によって破砕された破砕中子を含む中子に、鋳造成形体を介して作用することにより、中子を破砕可能である。
【0009】
本発明によれば、第1中子破砕部を中子に直接作用させて中子を破砕した後に、鋳造成形体を介して第2中子破砕部を,当該第1中子破砕部によって破砕された破砕中子を含む中子に作用させるため、中子を効果的に破砕することができる。これにより、中子除去性能を向上することができる。
【0010】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、第1中子破砕部は、ドリルを有している。
【0011】
本形態によれば、中子に直接作用して当該中子を破砕可能な構造を簡易な構成で実現できる。
【0012】
第1中子破砕部がドリルを有する態様の本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、ドリルの異常を検知可能な検知部をさらに備えている。ここで、本発明における「ドリルの異常」は、典型的には、ドリルの曲がりや折れがこれに該当するが、ドリルをドリル本体へ着け忘れた状態(セットし忘れた状態)を好適に包含する。
【0013】
本形態によれば、ドリルの異常を検知することができるため、異常が発生したドリルによって中子を破砕することで、当該ドリルが鋳造成形体に接触することを回避することができる。これにより、製品の品質低下を抑制できる。
【0014】
ドリルの異常を検知可能な検知部を備える態様の本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、検知部は、基台と、第1状態と第2状態との間で揺動可能に基台に支持された揺動体と、基台と揺動体とに接続されたバネと、揺動体の揺動を検出可能な揺動検出部と、を有している。揺動体は、当接可能な第1当接部を有している。そして、バネは、揺動体を第1状態に維持可能であると共に第2状態にある揺動体を第1状態に復帰可能なバネ力を有している。
【0015】
本形態によれば、ドリルの異常のうちドリルの折れやドリルのドリル本体への付け忘れなどを検知可能な検知部を、検知可能な検知部を簡易な構成で実現することができる。
【0016】
ドリルの異常を検知可能な検知部を備える態様の本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、ドイルの異常を検知可能な検知部を備える態様の本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、第1当接部は、ドリルが進入可能な貫通孔を有している。
【0017】
本形態によれば、ドリルの異常のうちドリルの曲がりを検知可能な検知部を簡易な構成で実現することができる。
【0018】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、第2中子破砕部は、鋳造成形体を打撃可能な打撃部を有している。
【0019】
本形態によれば、鋳造成形体を打撃することでさらに中子を破砕することができる。これにより、鋳造成形体から中子をより適正に除去することができる。
【0020】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、ロボットアームを有するロボットをさらに備えている。そして、ドリルおよび打撃部は、ロボットアームに配置されている。
【0021】
本形態によれば、ドリルおよび打撃部を一つのロボットで操作することができる。これにより、省スペース化を図りながら中子除去性能を向上することができる。
【0022】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、鋳造成形体を支持可能な支持部をさらに備えている。そして、第2中子破砕部は、支持部を介して鋳造成形体に振動を付与可能な振動部を有している。
【0023】
本形態によれば、支持部を介して鋳造成形体に振動を与えることでさらに中子を破砕することができる。これにより、鋳造成形体から中子をより適正に除去することができる。
【0024】
本発明に係る中子除去装置の更なる形態によれば、鋳造成形体を支持可能な支持部をさらに備えている。そして、第2中子破砕部は、鋳造成形体を打撃可能な打撃部と、支持部を介して鋳造成形体に振動を付与可能な振動部と、を有している。
【0025】
本形態によれば、鋳造成形体を打撃することで中子の破砕をより促進することができると共に、支持部を介して鋳造成形体に振動を与えることで中子の破砕をより一層促進することができる。これにより、鋳造成形体から中子をより一層適正に除去することができる。
【0026】
本発明に係る中子除去方法の好ましい形態によれば、中子を有する鋳造成形体から中子を除去する中子除去方法が構成される。当該中子除去方法は、(a)中子に直接破砕作用を施し、(b)ステップ(a)で破砕された破砕中子を含む中子に、鋳造成形体を介して破砕作用を施すことで鋳造成形体から中子を除去する。
【0027】
本発明によれば、中子に直接作用を施すことで当該中子を破砕した後に、鋳造成形体を介して、破砕された破砕中子を含む中子に作用を施すことで当該中子を破砕するため、中子を効果的に破砕することができる。これにより、中子除去性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、中子除去性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態に係る中子除去装置1の構成の概略を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る中子除去装置1を上方から見た平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る中子除去装置1を治具台車4の搬送方向の上流側から見た図である。
図4】治具台車4を搬送方向および鉛直方向の両方向に直交する方向から見た側面図である。
図5】作業エリアWAに配置されたレールR,Rの回動の様子を示す説明図である。
図6】治具台車4を搬送方向の上流側から見た正面図である。
図7】治具台車4を上方から見た平面図である。
図8】鋳造成形体90を支持した状態の治具台車4を示す三面図である。
図9】作業ロボット6の側面図である。
図10】作業ロボット6の平面図である。
図11】ロボットアーム60を拡大して示す要部拡大図である。
図12】ハンマチゼル異常検知部17の構成の概略を示す三面図である。
図13】ドリル異常検知部18の構成の概略を示す三面図である。
図14】鋳造成形体90を支持した状態の治具台車4を搬送方向の上流側から見た正面図である。
図15】砂受けパンSPの回動の様子を示す説明図である。
図16】引掛け部62aと引掛け用ブロック40aとの係合の様子を示す説明図である。
図17】治具本体26を傾動させた状態を示す説明図である。
図18】引掛け部62aと突出片30cとの係合の様子を示す説明図である。
図19】引掛け部62aと押出し用ブロック40bとの係合の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0031】
本発明の実施の形態に係る中子除去装置1は、中子を有する鋳造成形体90から中子を除去するための装置として構成されており、図1ないし図3に示すように、作業エリアWAを囲う枠体2と、作業エリアWAを貫通するように枠体2内外に亘って敷設された一対のレールR,Rと、当該一対のレールR,R上に配置された治具台車4と、枠体2内であって作業エリアWAに隣接して配置された作業ロボット6と、作業エリアWAであって作業ロボット6に隣接して配置された異常検知ユニット7(図2のみに記載)と、作業エリアWAであって一対のレールR,Rの下方に配置されたリフター8,8(図1および図3のみに記載)と、作業エリアWAであって一対のレールR,Rの下方に配置された砂受けパンSP(図2および図3のみに記載)と、枠体2内であって作業エリアWAに隣接して配置された排砂台車10(図2および図3のみに記載)と、装置全体を制御する制御部12(図1のみに記載)と、を備えている。
【0032】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、鉛直方向の上方(図1の上方向)を「上側」ないし「上方」として規定し、鉛直方向の下方(図1の下方向)を「下側」ないし「下方」として規定する。また、治具台車4を後述するセットエリアSAから作業エリアWAを介して取出しエリアTAまで搬送する方向(図1の左方向)を「搬送方向」として規定する。また、搬送方向(図2の左側)に向かって右側(図2の上側)を「右側」ないし「右方」として規定し、搬送方向(図2の左側)に向かって左側(図2の下側)を「左側」ないし「左方」として規定する。
【0033】
一対のレールR,Rは、図1および図2に示すように、作業エリアWA外であるセットエリアSAから作業エリアWAまで、および、作業エリアWAから作業エリアWA外である取出しエリアTAまで、治具台車4を搬送可能なように、枠体2内外に亘って敷設されている。レールR,Rは、図示しない複数の支柱によって、床面Fより所定高さだけ高い位置に配設されている。換言すれば、一対のレールR,Rの下方には、空間が存在していると言うことができる。
【0034】
作業エリアWAに配置されたレールR,Rは、図5に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向)における上流側(図5における右側)の端部に支点RS1を有しており、当該支点RS1を中心に回動可能なように構成されている。支点RS1は、レールR,Rの延在方向(治具台車4の走行方向(搬送方向))および鉛直方向の両方向に直交する方向に延在している。
【0035】
また、作業エリアWAに配置されたレールR,R間には、当該レールR,Rを支持する支柱(図示せず)同士を接続するように、一対の梁Bm,Bmが配置されている(図3および図5)。梁Bm,Bmは、治具台車4の走行方向(搬送方向、図5の左方向)に沿う長さとほぼ同じ距離を隔てて配置されている。より具体的には、一方の梁Bmは、治具台車4の後述する車体40の前端部(図1における左側端部)に対応する位置に配置されると共に、他方の梁Bmは、車体40の後端部(図1における右側端部)に対応する位置に配置される。即ち、治具台車4が作業エリアWAに到達した際に、車体40の前端部の直下には一方の梁Bmが存在し、車体40の後端部の直下には他方の梁Bmが存在している。当該梁Bm,Bmは、図14に示すように、それぞれ一対のストッパーブロックSB1,SB2を有している。
【0036】
ストッパーブロックSB1は、治具台車4の走行方向(搬送方向、図14における紙面に垂直な方向)に向かって左側(図14の左側)に配置されたレールR、即ち、治具台車4の後述する車輪42Lが係合されるレールR側に配置され、ストッパーブロックSB2は、治具台車4の走行方向(搬送方向、図14における紙面に垂直な方向)に向かって右側(図14の右側)に配置されたレールR、即ち、治具台車4の後述する車輪42Rが係合されるレールR側に配置される。ストッパーブロックSB1,SB2間の距離は、治具台車4の車体40の幅寸法(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって左右方向の寸法)よりも大きい。また、ストッパーブロックSB1,SB2は、互いに向き合う面に切欠きNt1,Nt2を有している。切欠きNt1,Nt2は、治具台車4の走行方向(搬送方向、図14における紙面に垂直な方向)から見たときに、略C字状を有しており、治具台車4の走行方向(搬送方向、図14における紙面に垂直な方向)に貫通している。切欠きNt1,Nt2の上面(図14の上側の面)は、治具台車4を上昇(鉛直方向の上方)させたときに、治具台車4の車輪42L,42RがレールR,Rとの係合が解除されて、車輪42L,42RとレールR,Rとの距離が所定距離離れたときに、後述する車体40のストッパーバー41,41が当接する位置に設定されている。
【0037】
治具台車4は、図4図6ないし図8に示すように、車体40と、当該車体40に回転可能に支持された4つの左右一対の車輪42R,42Lと、車体40に固定された治具20と、を有している。
【0038】
車体40は、図4図6ないし図8に示すように、作業ロボット6の後述する引掛け部62aが係合可能な引掛け用ブロック40aおよび押出し用ブロック40bと、前側砂収集プレート40cおよび後側砂収集プレート40dと、ストッパーバー41,41と、を有している。引掛け用ブロック40aは、治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって前側の右角部に配置されている。また、押出し用ブロック40bは、治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって後側の右角部に配置されている。前側砂収集プレート40cは、図4に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、図4の左方向)に向かって上り傾斜を有している。また、後側砂収集プレート40dは、治具台車4の走行方向(搬送方向、図4の左方向)に向かって下り傾斜を有している。換言すれば、前側砂収集プレート40cおよび後側砂収集プレート40dは、互いに近付く方向に向かって下り傾斜を有していると言うことができる。ストッパーバー41,41は、図4および図8に示すように、車体40の下方(図4の下方向)を向く面(床を向く面)に固定されている。ストッパーバー41,41は、車体40の前端部(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって前側の端部)および後端部(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって後側の端部)にそれぞれ配置されている。また、ストッパーバー41,41は、図6に示すように、車体40の幅寸法(治具台車4の走行方向(搬送方向)に向かって左右方向の寸法)よりも大きい長さを有している。即ち、ストッパーバー41,41は、治具台車4の走行方向(搬送方向)の一方側から見た場合、車体40よりも突出している。
【0039】
治具20は、図4図6および図7に示すように、固定プレート22と、当該固定プレート22に一体にされた複数の弾性体(例えば、ゴム)24a,24a,24a,24b,24b,24bと、当該弾性体(例えば、ゴム)24a,24a,24a,24b,24b,24bを介して当該固定プレート22に接続された治具本体26と、を有している。治具20は、本発明における「第2中子破砕部」および「振動部」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
固定プレート22は、図4図6および図7に示すように、平面視略長方形の平板として構成されており、ボルトなどの締結部材(図示せず)によって車体40に固定される。また、固定プレート22は、ストッパーブロック23を有している。ストッパーブロック23は、ボルトなどの締結部材(図示せず)によって固定プレート22に固定される。ストッパーブロック23は、図6および図7に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)に向かって左側であって、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)の略中央に配置される。ストッパーブロック23は、ストッパーピン23aを有している。当該ストッパーピン23aは、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)に向かって右側に突出している。ストッパーブロック23は、本発明における「打撃部」に対応する実施構成の一例である。
【0041】
弾性体24a,24a,24aは、図6に示すように、車輪42L寄りの位置に配置され、弾性体24b,24b,24bは、車輪42R寄りの位置に配置される。
【0042】
治具本体26は、図4図6および図7に示すように、ベースプレート28と、支持アーム30と、ブロック体32と、を有している。治具本体26は、本発明における「支持部」に対応する実施構成の一例である。
【0043】
ベースプレート28は、図4および図6に示すように、平面視略長方形の平板として構成されている。また、ベースプレート28は、固定プレート22よりも一回り小さく、平面視において、ほぼ同心状となるように固定プレート22上に配置される。ベースプレート28は、弾性体(例えば、ゴム)24a,24a,24a,24b,24b,24bを介して固定プレート22に接続されており、弾性体24a,24a,24a,24b,24b,24bの弾性領域内において、固定プレート22に対して揺動可能である。
【0044】
支持アーム30は、前側支持アーム30aおよび後側支持アーム30bを有しており、ボルトなどの締結部材(図示せず)によってベースプレート28に固定されている。前側支持アーム30aおよび後側支持アーム30bは、図6および図7に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)に向かって右側に配置される。前側支持アーム30aは、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)に向かって前側に配置され、後側支持アーム30bは、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)に向かって後側に配置されている。支持アーム30は、図4および図6に示すように、作業ロボット6の後述する引掛け部62aが係合可能な突出片30cを有している。
【0045】
ブロック体32は、図6に示すように、上端面に鋳造成形体90を載置可能に構成されており、ボルトなどの締結部材(図示せず)によってベースプレート28に固定されている。ブロック体32は、図6および図7に示すように、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)に向かって左側であって、治具台車4の走行方向(搬送方向、図7の左方向)の略中央に配置される。これにより、ブロック体32は、ストッパーブロック23、より詳細には、ストッパーピン23aに対向する。ブロック体32は、本発明における「打撃部」に対応する実施構成の一例である。
【0046】
こうして構成された治具台車4は、図8に示すように、支持アーム30およびブロック体32によって鋳造成形体90を支持した状態で、作業エリアWA外から作業エリアWAまで、および、作業エリアWAから作業エリアWA外まで、鋳造成形体90を搬送する。
【0047】
作業ロボット6は、図9および図10に示すように、ロボットアーム60と、ブラケット62を介してロボットアーム60に固定されたハンマ64およびドリル66と、を有している。ブラケット62は、図11に示すように、側面視略L字状の引掛け部62aを有している。ハンマ64は、図10および図11に示すように、ハンマチゼル64aを有している。作業ロボット6は、本発明における「ロボット」および「振動部」に対応し、ハンマ64は、本発明における「第2中子破砕部」および「打撃部」に対応する実施構成の一例である。また、ドリル66は、本発明における「第1中子破砕部」に対応する実施構成の一例である。
【0048】
異常検知ユニット7は、図2に示すように、ハンマチゼル異常検知部17と、ドリル異常検知部18と、を有している。異常検知ユニット7は、作業ロボット6に関して、治具台車4の走行方向(搬送方向)における上流側(図2における右側)に配置される。ドリル異常検知部18は、本発明における「検知部」に対応する実施構成の一例である。
【0049】
ハンマチゼル異常検知部17は、図12に示すように、支持プレート170と、当該支持プレート170に揺動可能に支持された揺動体172と、支持プレート170と揺動体172とを接続する一対のコイルスプリングSPR,SPRと、支持プレート170に固定された近接スイッチ174と、を有している。
【0050】
支持プレート170は、主要な表面170aおよび裏面170bを有する板状部材であり、床面Fに設置された図示しない土台に固定される。支持プレート170は、ストッパーピン171aと、スプリング係止ピン171bと、を有している。ストッパーピン171aは、主要な表面170aに配置されている。ストッパーピン171aは、主要な表面170aに直交している。スプリング係止ピン171bは、主要な表面170aおよび裏面170bに配置されている。換言すれば、スプリング係止ピン171bは、ストッパーピン171aを貫通していると言うことができる。スプリング係止ピン171bは、主要な表面170aおよび裏面170bに直交している。
【0051】
揺動体172は、図12に示すように、当接部172aと、当該当接部172aに一体にされた本体部172bと、を有しており、支持軸173を介して支持プレート170に揺動可能に支持されている。当接部172aは、ハンマチゼル64aを挿通可能な挿通孔1721aを有している。本体部172bは、第1延出片1721bと、当該第1延出片1721bに対して平行かつ所定距離隔てて配置された第2延出片1722bと、を有している。本体部172bは、平面視略U字状を有していると共に、側面視(支持軸173の軸線方向の一方側から見た場合)略逆V字状を有している。第1延出片1721bは、第2延出片1722bよりも長い長さを有している。また、第1延出片1721bは、スプリング係止ピン175aを有している。第2延出片1722bは、スプリング係止ピン175bを有している。スプリング係止ピン175a,175bは、支持軸173に関して、第1延出片1721bおよび第2延出片1722bの延出端部(当接部172aが配置された側とは反対側の端部)寄りに配置される。当接部172aは、本発明における「第1当接部」に対応する実施構成の一例である。
【0052】
コイルスプリングSPR,SPRは、図12に示すように、スプリング係止ピン171bおよびスプリング係止ピン175a,175bに係止される。具体的には、一方のコイルスプリングSPRの一端がスプリング係止ピン171bに係止され、他端がスプリング係止ピン175aに係止されると共に、他方のコイルスプリングSPRの一端がスプリング係止ピン171bに係止され、他端がスプリング係止ピン175bに係止される。これにより、コイルスプリングSPR,SPRは、揺動体172を時計回りに揺動させる方向にバネ力を揺動体172に付与する。
【0053】
近接スイッチ174は、図12に示すように、検出面174aが第1延出片1721b側を向くように、支持プレート170に支持されている。これにより、揺動体172が揺動したときに、検出面174aが第1延出片1721bに対向する。
【0054】
こうして構成されたハンマチゼル異常検知部17は、セット状態、即ち、ハンマチゼル64aの異常を検知する前の状態では、コイルスプリングSPR,SPRによって、第1延出片1721bがストッパーピン171aに当接するまで揺動した状態となっており、第1延出片1721bと近接スイッチ174の検出面174aとは対向していない。即ち、支持軸173の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上において、第1延出片1721bと検出面174aとが重なっていない(図12の実線)。当該状態において、挿通孔1721aの軸線方向は、鉛直方向と平行となっている(図12の実線)。
【0055】
ドリル異常検知部18は、揺動体172を揺動体182に替えた点を除いて、基本的には、ハンマチゼル異常検知部17と同一の構成を有している。したがって、ドリル異常検知部18のうちハンマチゼル異常検知部17のハード構成と同一部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
ドリル異常検知部18は、図13に示すように、支持プレート170と、当該支持プレート170に揺動可能に支持された揺動体182と、支持プレート170と揺動体182とを接続する一対のコイルスプリングSPR,SPRと、支持プレート170に固定された近接スイッチ174と、を有している。支持プレート170は、本発明における「基台」に対応し、近接スイッチ174は、本発明における「揺動検出部」に対応する実施構成の一例である。また、コイルスプリングSPR,SPRは、本発明における「バネ」に対応する実施構成の一例である。
【0057】
揺動体182は、図13に示すように、当接部182aと、当該当接部182aに一体にされた本体部172bと、を有しており、支持軸173を介して支持プレート170に揺動可能に支持されている。当接部182aは、ドリル66を挿通可能な挿通孔1821aを有している。換言すれば、揺動体182は、当接部172aを当接部182aに替えた点を除いて、揺動体172と同一の構成を有していると言うことができる。当接部182aは、本発明における「ドリル進入部」に対応し、挿通孔1821aは、本発明における「貫通孔」に対応する実施構成の一例である。
【0058】
こうして構成されたドリル異常検知部18は、セット状態、即ち、ドリル66の異常を検知する前の状態では、コイルスプリングSPR,SPRによって、第1延出片1721bがストッパーピン171aに当接するまで揺動した状態となっており、第1延出片1721bと近接スイッチ174の検出面174aとは対向していない。即ち、支持軸173の軸線方向の一方側から見たときの仮想投影面上において、第1延出片1721bと検出面174aとが重なっていない(図13の実線)。当該状態において、挿通孔1821aの軸線方向は、鉛直方向と平行となっている(図13の実線)。ドリル66の異常を検知する前の揺動体182の状態は、本発明における「第1状態」に対応する実施構成の一例である。
【0059】
リフター8,8は、図14に示すように、それぞれ、梁Bm,Bmに配置された油圧シリンダー80と、同じく梁Bm,Bmに配置された一対のガイド82,82と、油圧シリンダー80および一対のガイド82,82に接続された当接プレート84と、を有している。リフター8,8は、一対のストッパーブロックSB1,SB2間に配置されている。ガイド82,82は、油圧シリンダー80を挟むように配置されている。当接プレート84は、ストッパーバー41,41に下方(図14における下方)から当接可能である。
【0060】
砂受けパンSPは、図2に示すように、作業エリアWAにセットされた治具台車4の真下に配置される。また、砂受けパンSPは、図15に示すように、延在方向(図15における左右方向)の一端(図15の左側の端部)に支点RS2を有しており、当該支点RS2を中心に回動可能に構成されている。当該支点RS2は、作業エリアWAに配置された一対の支柱St,St(図2も併せて参照)の上端部に配置されている。なお、支点RS2は、レールR,Rの延在方向(治具台車4の走行方向(搬送方向))と平行に延在している。支柱St,Stは、作業エリアWAにセットされた排砂台車10の前端部に対応する位置に配置されている。
【0061】
排砂台車10は、図2および図15に示すように、前端部が支柱St,Stに当接した状態で作業エリアWAに配置される。換言すれば、支柱St,Stは排砂台車10のストッパーの機能を有していると言うことができる。
【0062】
制御部12は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートおよび通信ポートと、を備えている。制御部12には、治具台車4が作業エリアWAに到着したことを検知するセンサ70からの到達信号や、鋳造成形体90の治具台車4へのセット完了を示すセット完了信号、近接スイッチ174からのオンオフ信号、鋳造成形体90の治具台車4からの取出し完了を示す取出し完了信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御部12からは、作業ロボット6への駆動信号や、リフター8,8への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0063】
次に、こうして構成された中子除去装置1の動作、特に、治具20を揺動させることによって、鋳造成形体90から中子を除去する際の動作について説明する。まず、作業者がセットエリアSAに配置された治具台車4に鋳造成形体90をセットする(図1および図2)。制御部12のCPUは、鋳造成形体90の治具台車4へのセット完了を示すセット完了信号を受信すると、鋳造成形体90がセットされた治具台車4をセットエリアSAから作業エリアWAに引き込むように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。ここで、セット完了信号は、治具台車4への鋳造成形体90のセットが完了したときに、作業者がセット完了ボタンを押すことにより出力される構成としても良いし、治具台車4への鋳造成形体90のセットが完了したときに、作業者がセットエリアSAの扉を閉めることにより出力される構成としても良い。作業ロボット6による治具台車4の搬送(引き込み)は、図16に示すように、ロボットアーム60に固定されたブラケット62の引掛け部62aを、治具台車4の引掛け用ブロック40aに係合させることにより行われる。
【0064】
そして、鋳造成形体90がセットされた治具台車4が、作業ロボット6によって作業エリアWAに配置されると、センサ70から到達信号が出力される。制御部12のCPUは、到達信号を受信すると、治具台車4を上昇させるように、リフター8,8に駆動信号を出力する。リフター8,8による治具台車4の上昇は、図17に示すように、治具台車4のストッパーバー41,41がストッパーブロックSB1,SB2の切欠きNt1,Nt2の上面に当接するまで行われる。これにより、治具台車4は、リフター8,8(具体的には、当接プレート84)とストッパーブロックSB1,SB2とに挟持された状態で固定される。こうして治具台車4が上昇されることで、車輪42R,42LとレールR,Rとの係合が解除される。
【0065】
続いて、制御部12のCPUは、ハンマチゼル64aおよびドリル66の異常を確認するべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、まず、ドリル66を、ドリル異常検知部18の挿通孔1821aに当接させるように作動する。ここで、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していなければ、ドリル66が当接部182aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体182が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していることを検出することができる。一方、ドリル66に折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していれば、ドリル66が当接部182aに当接しないため、揺動体182は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れが発生していないことを検出することができる。
【0066】
こうして、ドリル66の折れやドリル66のドリル本体への取付け忘れの発生の有無を確認した後、作業ロボット6は、ドリル66を、挿通孔1821aに挿通するように作動する。ここで、ドリル66に曲がりが発生していなければ、ドリル66が挿通孔1821aに挿通されるため、揺動体182は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ドリル66に曲がりが発生していないことを検出することができる。一方、ドリル66に曲がりが発生していれば、ドリル66が挿通孔1821aに挿通されずに、ドリル66の少なくとも一部が、例えば、当接部182aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体182が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ドリル66に曲がりが発生していることを検出することができる。第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体182が反時計回りに揺動された状態は、本発明における「第2状態」に対応する実施構成の一例である。
【0067】
ドリル異常検知部18によるドリル66の異常の検出が完了すると、続いて、作業ロボット6は、ハンマチゼル64aを、ハンマチゼル異常検知部17の当接部172aに当接させるように作動する。ここで、ハンマチゼル64aの折れやハンマチゼル64aのハンマ本体への取付け忘れが発生していなければ、ハンマチゼル64aが当接部172aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体172が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ハンマチゼル64aの折れやハンマチゼル64aのハンマ本体への取付け忘れが発生していることを検出することができる。一方、ハンマチゼル64aに折れやハンマチゼル64aのハンマ本体への取付け忘れが発生していれば、ハンマチゼル64aが当接部172aに当接しないため、揺動体172は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ハンマチゼル64aの折れやハンマチゼル64aのハンマ本体への取付け忘れが発生していないことを検出することができる。
【0068】
こうして、ハンマチゼル64aの折れやハンマチゼル64aのハンマ本体への取付け忘れの発生の有無を確認した後、作業ロボット6は、ハンマチゼル64aをハンマチゼル異常検知部17の挿通孔1721aに挿通するように作動する。ここで、ハンマチゼル64aに曲がりが発生していなければ、ハンマチゼル64aが挿通孔1721aに挿通されるため、揺動体172は揺動しない。したがって、近接スイッチ174はオフのままとなるため、これにより、ハンマチゼル64aに曲がりが発生していないことを検出することができる。一方、ハンマチゼル64aに曲がりが発生していれば、ハンマチゼル64aが挿通孔1721aに挿通されずに、ハンマチゼル64aの少なくとも一部が、例えば、当接部172aに当接する。これにより、第1延出片1721bが近接スイッチ174の検出面174aに対向する位置まで、揺動体172が反時計回りに揺動されて、近接スイッチ174がオンとなる。この結果、ハンマチゼル64aに曲がりが発生していることを検出することができる。
【0069】
このように、本実施の形態によれば、ドリル66やハンマチゼル64aによる中子の破砕作業の前に、ドリル66やハンマチゼル64aの異常を検出するため、異常が発生したドリル66やハンマチゼル64aで中子の破砕作業を行うことがない。これにより、中子の破砕作業の効率低下や製品の品質低下を抑制することができる。
【0070】
こうして、ドリル66やハンマチゼル64aに異常が発生していないことを確認した後、制御部12のCPUは、ドリル66およびハンマ64によって、鋳造成形体90の中子を破砕するように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、まず、ドリル66によって、鋳造成形体90の穴構成部90b,90b,90b,90b(図14および図17参照)に穴あけ加工を施し、次いで、ハンマ64によって、鋳造成形体90に凸状に設けられた押し湯部90a,90a,90a,90a(図14および図17参照)を打撃する。これにより、中子を砕いて鋳造成形体90の内壁から中子の大半を剥離させることができる。このように、穴構成部90b,90b,90a,90b,90bのように細長い穴に存在する中子を、ドリル66によって直接的に破砕した後に、ハンマ64によって鋳造成形体90を打撃するため、穴構成部90b,90b,90b,90bのように細長い穴に存在する中子のように、ハンマ64によって鋳造成形体90を打撃するのみでは、破砕しきれない中子であっても効果的に破砕することができる。これにより、中子除去性能を向上することができる。穴構成部90b,90b,90b,90bに存在する中子であって、ドリル66によって破砕された中子は、本発明における「破砕中子」に対応する実施構成の一例である。
【0071】
ドリル66およびハンマ64による中子破砕が完了すると、制御部12のCPUは、再び、ドリル66およびハンマチゼル64aの異常を確認するべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。ドリル66およびハンマチゼル64aの異常の検出については上述したので、ここでは説明を省略する。
【0072】
こうしてドリル66およびハンマチゼル64aの異常を確認した後、治具本体26を傾動させるべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、図18に示すように、引掛け部62aを治具本体26の突出片30cに係合させると共に、ブロック体32がストッパーブロック23から離れる方向に、治具本体26を引っ張る(図17)。このとき、弾性体24a,24a,24aに引張力が作用して、当該弾性体24a,24a,24aは延伸する(図17)。なお、作業ロボット6による治具本体26の引っ張りは、弾性体24a,24a,24a,24b,24b,24bの弾性領域内で行われる。
【0073】
こうしてブロック体32がストッパーブロック23から所定距離離れるまで治具本体26を引っ張った後、制御部12のCPUは、引掛け部62aの突出片30cへの係合を解除するように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、引掛け部62aの突出片30cへの係合が解除され、弾性体24a,24a,24aの復元力によって、ブロック体32がストッパーブロック23に近付く方向、即ち、治具本体26が元の位置に戻る方向へ揺動する。このとき、治具本体26は、慣性によって、元の位置を超えて(元の位置に関して、作業ロボット6による引っ張り方向とは反対方向に)傾動しようとするが、当該傾動は、ブロック体32のストッパーブロック23への衝突により阻止される。そして、ブロック体32のストッパーブロック23への衝突の反力により、治具本体26は、再度、作業ロボット6による引っ張り方向と同方向に傾動する。以降、弾性体24a,24a,24a,24b,24b,24bによる上述した治具本体26の振動が収束するまで、ブロック体32のストッパーブロック23への衝突を伴う揺動を繰り返す。当該衝突を伴う治具本体26の揺動によって、穴構成部90b,90b,90b,90bを含む鋳造成形体90の内壁から剥離した中子や砕かれた中子同士、あるいは、これら剥離した中子や砕かれた中子と鋳造成形体90の内壁とを衝突させて、中子をより細かく砕くことができると共に、鋳造成形体90から中子を振り落とす(除去する)ことができる。
【0074】
そして、治具本体26を揺動させることによる鋳造成形体90からの中子除去作業が完了すると、制御部12のCPUは、治具台車4を下降させるように、リフター8,8に駆動信号を出力する。これにより、車輪42R,42LとレールR,Rとが係合される。続いて、制御部12のCPUは、治具台車4を作業エリアWAから取出しエリアTAに押し出すように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。作業ロボット6による治具台車4の搬送(押出し)は、図19に示すように、ロボットアーム60に固定されたブラケット62の引掛け部62aによって、治具台車4の押出し用ブロック40bを押圧することにより行われる。
【0075】
治具台車4が、作業ロボット6によって取出しエリアTAに配置されると、制御部12のCPUは、砂受けパンSPに収集された中子砂を排砂台車10に投入するべく、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、まず、図5に示すように、支点RS1を中心に作業エリアWAに配置されたレールR,Rを時計回りに回動させ(図5の二点鎖線)、その後、図15に示すように、支点RS2を中心に砂受けパンSPを反時計回りに回動させる(図15の二点鎖線)。こうして砂受けパンSP内の中子砂が排砂台車10に投入される。排砂台車10への中子砂の投入が完了すると、制御部12のCPUは、砂受けパンSPに収集された中子砂を排砂台車10に投入する際の動作とは逆の動作をするように、作業ロボット6に駆動信号を出力する。これにより、作業ロボット6は、砂受けパンSPが元の位置に戻るよう、支点RS2を中心に砂受けパンSPを時計回りに回動させた後(図15の実線)、支点RS1を中心に作業エリアWAに配置されたレールR,Rを反時計回りに回動させる(図5の実線)。なお、取出しエリアTAに配置された治具台車4にセットされた鋳造成形体90は、作業者によって取り外されて、図示しないパレットに配置される。
【0076】
以上説明した本発明の実施の形態に係る中子除去装置1によれば、穴構成部90b,90b,90b,90bのように細長い穴に存在する中子を、ドリル66によって直接的に破砕した後に、ハンマ64によって鋳造成形体90を打撃するため、穴構成部90b,90b,90b,90bのように細長い穴に存在する中子のように、ハンマ64によって鋳造成形体90を打撃するのみでは、破砕しきれない中子であっても効果的に破砕することができる。また、ドリル66およびハンマ64による中子の破砕後に、治具本体26を揺動させることで鋳造成形体90に打撃(衝撃力)を与えるため、鋳造成形体90の内壁から剥離した中子や砕かれた中子同士、あるいは、これら剥離した中子や砕かれた中子と鋳造成形体90の内壁とを衝突させて、中子をより細かく砕くことができると共に、鋳造成形体90から中子を振り落とす(除去する)ことができる。これにより、中子を効果的に破砕することができ、中子除去性能を向上することができる。
【0077】
また、本発明の実施の形態に係る中子除去装置1によれば、ドリル66やハンマ64による中子破砕作業の前に、当該ドリル66やハンマチゼル64aの異常を検出するため、異常が発生したドリル66やハンマチゼル64aで中子の破砕作業を行うことがない。これにより、中子の破砕作業の効率低下や製品の品質低下を抑制することができる。
【0078】
さらに、本発明の実施の形態に係る中子除去装置1によれば、ハンマチゼル異常検知部17およびドリル異常検知部18を、支持プレート170と、当該支持プレート170に揺動可能に支持された揺動体172,182と、支持プレート170と揺動体182とを接続する一対のコイルスプリングSPR,SPRと、支持プレート170に固定された近接スイッチ174と、から構成したため、ハンマチゼル64aおよびドリル66の異常を簡易な構成で検知することができる。
【0079】
本実施の形態では、中子に直接作用させる工具としてドリル66を用いたが、これに限らない。例えば、斫りハンマを用いる構成としても良い。
【0080】
本実施の形態では、作業者がセットエリアSAおよび取出しエリアTAを設け、鋳造成形体90をセットエリアSAから作業エリアWAを介して取出しエリアTAまで搬送する構成としたが、これに限らない。例えば、本実施の形態に係るセットエリアSAおよび取出しエリアTAに替えて、複数のセット取出しエリアを設け、セット取出しエリアと作業エリアWAとの間で鋳造成形体90を往復搬送する構成としても良い。即ち、セット取出しエリアにおいて、鋳造成形体90を治具台車4にセットして、当該鋳造成形体90がセットされた治具台車4をセットエリアSAから作業エリアWAに搬送し、作業エリアWAにおける作業(中子除去作業)が完了した際に、鋳造成形体90がセットされた治具台車4を再びセット取出しエリアに搬送して、当該セット取出しエリアにおいて、鋳造成形体90を治具台車4から取り外す構成とすることができる。なお、この場合、作業エリアWAにおける作業(中子除去作業)が行われている間に、別のセット取出しエリアにおいて、別の鋳造成形体90を別の治具台車4にセットしておき、作業エリアWAにおける作業(中子除去作業)が完了した治具台車4を元のセット取出しエリアに搬送すると同時に、別の鋳造成形体90をセットした別の治具台車4を、作業エリアWAに搬送する構成としても良い。当該構成によれば、効率よく作業エリアWAに鋳造成形体90を搬送することができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0081】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0082】
1 中子除去装置(中子除去装置)
2 枠体
4 治具台車
6 作業ロボット(ロボット、振動部)
7 異常検知ユニット
8 リフター
10 排砂台車
12 制御部
17 ハンマチゼル異常検知部
18 ドリル異常検知部(検知部)
20 治具(第2中子破砕部、振動部)
22 固定プレート
23 ストッパーブロック(打撃部)
23a ストッパーピン(打撃部)
24a 弾性体
24b 弾性体
26 治具本体(支持部)
28 ベースプレート
30 支持アーム
30a 前側支持アーム部
30b 後側支持アーム
30c 突出片
32 ブロック体(打撃部)
40 車体
40a 引掛け用ブロック
40b 押出し用ブロック
40c 前側砂収集プレート
40d 後側砂収集プレート
41 ストッパーバー
42R 車輪
42L 車輪
60 ロボットアーム(ロボットアーム)
62 ブラケット
62a 引掛け部(係合部)
64 ハンマ(第2中子破砕部、打撃部)
64a ハンマチゼル
66 ドリル(第1中子破砕部、ドリル)
70 センサ
80 油圧シリンダー
82 ガイド
84 当接プレート
90 鋳造成形体(鋳造成形体)
90a 押し湯部
90b 穴構成部
170 支持プレート(基台)
170a 表面
170b 裏面
171a ストッパーピン
171b スプリング係止ピン
172 揺動体(揺動体)
172a 当接部
172b 本体部
173 支持軸
174 近接スイッチ(揺動検出部)
174a 検出面
175a スプリング係止ピン
175b スプリング係止ピン
182 揺動体(揺動体)
182a 当接部(第1当接部)
1721a 挿通孔
1721b 第1延出片
1722b 第2延出片
1821a 挿通孔(貫通孔)
WA 作業エリア
SA セットエリア
TA 取出しエリア
R レール
SP 砂受けパン
F 床面
RS1 支点
RS2 支点
Bm 梁
SB1 ストッパーブロック
SB2 ストッパーブロック
Nt1 切欠き
Nt2 切欠き
St 支柱
SPR コイルスプリング(バネ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19