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特開2024-172459水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法、水酸化マグネシウムの粒子の粒径を大きくする方法、水酸化マグネシウムの粒子、及び樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172459
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法、水酸化マグネシウムの粒子の粒径を大きくする方法、水酸化マグネシウムの粒子、及び樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C01F 5/22 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
C01F5/22
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090192
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】722010585
【氏名又は名称】セトラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓輝
(72)【発明者】
【氏名】岩本 禎士
【テーマコード(参考)】
4G076
【Fターム(参考)】
4G076AA10
4G076AB04
4G076BA12
4G076BA15
4G076BA43
4G076BB04
4G076BC02
4G076BD04
4G076BE11
4G076CA02
4G076CA26
4G076CA28
4G076CA36
4G076DA02
4G076DA03
4G076DA30
(57)【要約】
【課題】所定量のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料を用いて、水酸化マグネシウムの粒子を簡易に成長させることができる、水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法に関する。本第1の開示に係る製造方法は、混合物形成工程を含む。上記混合物形成工程では、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する。本第1の開示に係る製造方法は、熟成方法を含む。上記熟成方法では、上記混合物を熟成することにより、上記種結晶を成長させ、上記種結晶よりも粒径が大きい上記水酸化マグネシウムの粒子を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法であって、
100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する混合物形成工程、
前記混合物を熟成することにより、前記種結晶を成長させ、前記種結晶よりも粒径が大きい前記水酸化マグネシウムの粒子を形成する熟成工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記熟成工程における水酸化マグネシウムの粒子は、100ppm以上のケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熟成工程における水酸化マグネシウムの粒子は、0.6~5.0μmのD50を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物形成工程の前に、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させ、前記水酸化マグネシウム材料を形成する水酸化マグネシウム材料形成工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルカリ性物質は、水酸化カルシウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ性物質は、石灰石に由来する水酸化カルシウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物形成工程における前記水酸化マグネシウムの種結晶は、100ppm以上のケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記混合物形成工程における前記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーは、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させ、所定の熟成温度で熟成させることにより形成された、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熟成工程において前記混合物を熟成する熟成温度は、前記所定の熟成温度よりも低い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記混合物形成工程の前に、前記水酸化マグネシウム材料の一部を熟成することにより、前記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーを形成する種結晶形成工程をさらに含み、
前記混合物形成工程において、前記水酸化マグネシウム材料の残部と、前記種結晶形成工程において形成された前記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合する、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記水酸化マグネシウム反応物の一部と、前記水酸化マグネシウム反応物の残部との質量比が、1~90:10~99である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
水酸化マグネシウムの結晶を含む粒子の粒径を大きくする方法であって、
100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する混合物形成工程、
前記混合物を熟成することにより、前記種結晶を成長させ、前記種結晶よりも粒径が大きい前記水酸化マグネシウムの粒子を形成する熟成工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
100ppm以上且つ1,000ppm未満のケイ素を含み、0.6~5.0μmのD50を有する、
ことを特徴とする、水酸化マグネシウムの粒子。
【請求項14】
前記水酸化マグネシウムの粒子が、高級脂肪酸類、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル類、カップリング剤、並びに多価アルコール及び脂肪酸のエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の表面処理剤により表面処理されている、請求項13に記載の水酸化マグネシウムの粒子。
【請求項15】
請求項13に記載の水酸化マグネシウムの粒子と、樹脂とを含む、
ことを特徴とする、樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法、水酸化マグネシウムの粒子の粒径を大きくする方法、水酸化マグネシウムの粒子、及び水酸化マグネシウムの粒子を含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化マグネシウムを製造する方法が、種々、検討されている。
例えば、特許文献1には、所定の高純度水酸化マグネシウムの製造方法が開示されている。また、特許文献1の明細書には、「従来、水酸化マグネシウムは海水を原料とし、これに石灰乳を反応せしめて得られていた。しかしながら、このような水酸化マグネシウム中には、石灰乳等から混入する硼酸分、シリカやアルミナ分、鉄分、カルシウム分等が比較的多量に混入し、このままでは前記高級品の用途には不向きである」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-155529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水酸化マグネシウムを製造するに当たり、例えば、許容可能な成分又は残存することが好ましい成分の存在下で水酸化マグネシウムを製造することは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成の観点から好ましいものである。しかし、特許文献1にはそのような方法は開示されていない。
従って、本開示は、所定量のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料を用いて、水酸化マグネシウムの粒子を簡易に成長させることができる、水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の各態様を含む。
(第1の開示)
本第1の開示は、水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法に関する。本第1の開示に係る製造方法は、混合物形成工程を含む。上記混合物形成工程では、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する。本第1の開示に係る製造方法は、熟成方法を含む。上記熟成方法では、上記混合物を熟成することにより、上記種結晶を成長させ、上記種結晶よりも粒径が大きい上記水酸化マグネシウムの粒子を形成する。
【0006】
(第2の開示)
本第2の開示では、第1の開示において、上記熟成工程における水酸化マグネシウムの粒子は、100ppm以上のケイ素を含む。
(第3の開示)
本第3の開示では、第1の開示又は第2の開示において、上記熟成工程における水酸化マグネシウムの粒子は、0.6~5.0μmのD50を有する。
【0007】
(第4の開示)
本第4の開示では、第1の開示から第3の開示のいずれかにおいて、上記混合物形成工程の前に、水酸化マグネシウム材料形成工程をさらに含む。上記水酸化マグネシウム材料形成工程は、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させ、上記水酸化マグネシウム材料を形成する。
【0008】
(第5の開示)
本第5の開示では、第4の開示において、上記アルカリ性物質は、水酸化カルシウムである。
(第6の開示)
本第6の開示では、第4の開示又は第5の開示において、上記アルカリ性物質は、石灰石に由来する水酸化カルシウムである。
【0009】
(第7の開示)
本第7の開示では、第1の開示から第6の開示のいずれかにおいて、上記混合物形成工程における上記水酸化マグネシウムの種結晶は、100ppm以上のケイ素を含む。
(第8の開示)
本第8の開示では、第1の開示から第7の開示のいずれかにおいて、上記混合物形成工程における上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーは、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させ、所定の熟成温度で熟成させることにより形成される。
【0010】
(第9の開示)
本第9の開示では、第8の開示において、上記熟成工程において上記混合物を熟成する熟成温度は、上記所定の熟成温度よりも低い。
(第10の開示)
本第10の開示は、第1の開示から第9の開示のいずれかにおいて、上記混合物形成工程の前に、種結晶形成工程をさらに含む。上記種結晶形成工程では、上記水酸化マグネシウム材料の一部を熟成することにより、上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーを形成する。上記混合物形成工程では、上記水酸化マグネシウム材料の残部と、上記種結晶形成工程において形成された上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合する。
【0011】
(第11の開示)
本第11の開示では、第10の開示において、上記水酸化マグネシウム反応物の一部と、上記水酸化マグネシウム反応物の残部との質量比が、1~90:10~99である。
(第12の開示)
本第12の開示は、水酸化マグネシウムの結晶を含む粒子の粒径を大きくする方法に関する。本第12の開示に係る方法は、混合物形成工程を含む。上記混合物形成工程では、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する。本第12の開示に係る方法は、熟成方法を含む。上記熟成方法では、上記混合物を熟成することにより、上記種結晶を成長させ、上記種結晶よりも粒径が大きい上記水酸化マグネシウムの粒子を形成する。
【0012】
(第13の開示)
本第12の開示は、水酸化マグネシウムの粒子に関する。上記水酸化マグネシウムの粒子は、100ppm以上且つ1,000ppm未満のケイ素を含む。上記水酸化マグネシウムの粒子は、0.6~5.0μmのD50を有する。
【0013】
(第14の開示)
本第14の開示では、第13の開示において、上記水酸化マグネシウムの粒子が、表面処理剤により表面処理されている。上記表面処理剤は、高級脂肪酸類、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル類、カップリング剤、並びに多価アルコール及び脂肪酸のエステル類からなる群から選択される少なくとも1種である。
(第15の開示)
本第15の開示は、樹脂組成物に関する。上記樹脂組成物は、第13の開示又は第14の開示に係る水酸化マグネシウムの粒子と、樹脂とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る、水酸化マグネシウムの結晶を含む粒子を製造する方法は、所定量のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料を用いて、水酸化マグネシウムの粒子を簡易に成長させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示に係る水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法、水酸化マグネシウムの粒子の粒径を大きくする方法、水酸化マグネシウムの粒子、及び水酸化マグネシウムの粒子を含む樹脂組成物について、以下、詳細に説明する。
なお、本開示に係る水酸化マグネシウムの粒子を製造する方法を、以下、「本開示に係る製造方法」と称する場合がある。また、本開示に係る酸化マグネシウムの粒子の粒径を大きくする方法を、以下、「本開示に係る方法」と称する場合がある。
【0016】
本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法は、以下の工程を含む。
-100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する混合物形成工程
-上記混合物を熟成することにより、上記種結晶を成長させ、上記種結晶よりも粒径が大きい上記水酸化マグネシウムの粒子を形成する熟成工程
なお、以下、上述の混合物形成工程を、単に「混合物形成工程」と称する場合があり、上述の熟成工程を、単に「熟成工程」と称する場合がある。
【0017】
許容可能な成分又は残存することが好ましい成分の存在下で水酸化マグネシウムを製造することは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成の観点から好ましいものである。本開示者らは、所定量のケイ素を含む水酸化マグネシウムが、例えば、難燃剤の用途に好適であることを見出し、水酸化マグネシウムの結晶を含む粒子を形成する種々の検討を行った。その結果、所定量のケイ素を含む水酸化カルシウムは、ケイ素が多く含まれることに起因して、水酸化マグネシウムの結晶が成長しにくくなることが分かった。
【0018】
本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法は、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料を用いるものである。しかし、本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法は、所定の混合物形成工程及び所定の熟成工程を含むことから、種結晶よりも粒径が大きい水酸化マグネシウムの粒子を簡易に形成することができる。
100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料から形成された水酸化マグネシウムの粒子は、種々の用途に有用である。上記用途としては、例えば、難燃剤、電線被覆材、添加剤、樹脂フィラー、高機能性材料、触媒、紙のサイジング剤、充填剤、及び電磁鋼板用焼鈍分離剤の少なくとも1つが挙げられる。
【0019】
上記混合物形成工程では、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することにより混合物を形成する。
【0020】
上記100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとの混合は、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、そしてさらに好ましくは5分以上の注加時間で実施することができる。また、上記混合は、好ましくは120分以下、より好ましくは100分以下、そしてさらに好ましくは90分以下の注加時間で実施することができる。上記注加時間を上記範囲とすることにより、D50を所定の範囲としやすくなり、そして注加時間を長くすることにより、D50を大きくすることができる。
【0021】
上記水酸化マグネシウム材料は、乾燥状態において、100ppm以上、好ましくは120ppm以上、そしてさらに好ましくは130ppm以上のケイ素を含む。また、上記水酸化マグネシウム材料は、乾燥状態において、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、そしてさらに好ましくは700ppm以下のケイ素を含む。それにより、生成物である水酸化マグネシウムの粒子が、所定量のケイ素を含みやすくなり、例えば、難燃剤の用途に好適となる。
上記ケイ素は、ケイ素原子のみならず、ケイ素含有化合物、例えば、二酸化ケイ素を含む。
【0022】
本開示では、乾燥状態における試料のケイ素の量は、株式会社リガク製の走査型蛍光X線分析装置ZSX Primus IVを用いて測定することができる。上記乾燥状態における試料は、試料を105℃で24時間乾燥させることにより得ることができる。上記試料としては、例えば、水酸化マグネシウム材料、アルカリ性物質、水酸化マグネシウムの種結晶、及び水酸化マグネシウムの粒子が挙げられる。
【0023】
上記水酸化マグネシウム材料は、100ppm以上のケイ素を含むものであれば、特に制限されず、当技術分野で公知の方法により形成することができ、そして当技術分野で公知のものを採用することができる。
上記水酸化マグネシウム材料は、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させることにより形成することができる。
【0024】
上記アルカリ性物質としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、及びアンモニア水の少なくとも1つが挙げられ、水酸化カルシウムであることが好ましく、そして石灰石に由来する水酸化カルシウムであることがより好ましい。それにより、生成物である水酸化マグネシウムの粒子が、所定量のケイ素を含みやすくなる。
【0025】
上記アルカリ性物質が石灰石に由来する水酸化カルシウムである場合に、水酸化カルシウムは、例えば、以下の通り形成することができる。
石灰石を900℃~1300℃で焼成し、酸化カルシウムを得る。得られた酸化カルシウムを、イオン交換水に、例えば、200g/Lの濃度となるように投入して、例えば、90℃で酸化カルシウム及び水を反応させ、反応物を得る。上記反応物を、50メッシュの篩に通し、例えば、未反応の酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムの不純物を除去し、水酸化カルシウムのスラリーを得る。
なお、得られる水酸化カルシウムのスラリーにおける水酸化カルシウム中のケイ素の濃度は、原料となる石灰石によっても変化するが、例えば、120~220ppmの濃度となる。
【0026】
上記水溶性マグネシウム化合物としては、例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム及び海水の少なくとも1つが挙げられる。
上記アルカリ性物質及び水溶性マグネシウム化合物の反応は、好ましくは1℃以上、より好ましくは10℃以上、そしてさらに好ましくは20℃以上の温度で実施することができる。また、上記アルカリ性物質及び水溶性マグネシウム化合物の反応は、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、そしてさらに好ましくは40℃以下の温度で実施することができる。それにより、媒体が凍ることを抑制するとともに、水酸化マグネシウム材料が凝集することを抑制することができる。
上記アルカリ性物質及び水溶性マグネシウム化合物の反応は、pH8.5~10.0の条件で実施することが好ましい。
【0027】
なお、本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法では、上記混合物形成工程における「100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料」が、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させることにより形成されたものであることができる。また、本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法は、上記混合物形成工程の前に、100ppm以上のケイ素を含むアルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させ、上記水酸化マグネシウム材料を形成する水酸化マグネシウム材料形成工程をさらに含むものであってもよい。
【0028】
本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法は、上記混合物形成工程の前に、水酸化マグネシウム材料に含まれるケイ素の濃度を調整するケイ素濃度調整工程をさらに含むことができる。上記ケイ素濃度調整工程では、ケイ素濃度を、高く又は低く調整することができる。
上記ケイ素濃度調整工程では、例えば、水酸化マグネシウム材料に、ケイ素化合物を添加することによりケイ素の濃度を高く調整することができる。また、上記ケイ素濃度調整工程では、ケイ素の濃度の異なる複数種のアルカリ性物質の混合によりケイ素の濃度を高く若しくは低く調整することができる。
【0029】
上記ケイ素化合物としては、例えば、ケイ酸アルカリ塩、及び水ガラスが挙げられる。
上記ケイ酸アルカリ塩としては、例えば、例えば、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムが挙げられる。上記水ガラスとしては、例えば、3号水ガラスが挙げられる。上記ケイ素化合物としては、3号水ガラスが好ましい。
【0030】
本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法において、上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーは、種結晶形成工程により得ることができる。また、本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法は、上記混合物形成工程の前に、上記種結晶形成工程を含んでもよい。上記種結晶形成工程は、当技術分野で公知の方法により実施することができる。上記種結晶形成工程は、例えば、アルカリ性物質と、水溶性マグネシウム化合物とを反応させ、熟成させることにより実施することができる。
【0031】
なお、上記種結晶形成工程における「アルカリ性物質」及び「水酸化マグネシウム化合物」の好ましい例は、それぞれ、混合物形成工程の説明の箇所で例示した『アルカリ性物質』及び『水酸化マグネシウム化合物』と同様である。
【0032】
上記種結晶形成工程における熟成は、所定の熟成温度で、所定の熟成時間実施することができる。
上記種結晶形成工程における上記所定の熟成温度としては、好ましくは100℃以上、より好ましくは115℃以上、そしてさらに好ましくは120℃以上が挙げられる。また、上記所定の温度としては、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、そしてさらに好ましくは180℃以下が挙げられる。それにより、形成される水酸化マグネシウムの粒子の粒径を所定の範囲にしやすくなる。また、上記熟成温度を高くすることにより、水酸化マグネシウムの粒子の粒径を大きくしやすくなるとともに、BET比表面積を小さくすることができる。
【0033】
なお、BET比表面積を小さくすることにより、例えば、水酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムに変質することを抑制することができる。
また、上記種結晶形成工程における熟成の温度は、後述の熟成工程における熟成温度よりも低くすることができる。詳細は、熟成工程の説明の箇所にて説明する。
【0034】
上記種結晶形成工程における上記所定の熟成時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは45分以上、そしてさらに好ましくは60分以上である。また、上記所定の熟成時間は、好ましくは300分以下、より好ましくは270分以下、そしてさらに好ましくは240分以下が挙げられる。それにより、水酸化マグネシウムの種結晶を効率よく成長させることができる。また、その結果、形成される水酸化マグネシウムの粒子が所定の粒径を有しやすくなり、水酸化マグネシウムの粒子が、樹脂に混合した際の分散性に優れる。
【0035】
上記種結晶形成工程では、上記水酸化マグネシウム材料の一部を熟成することにより、上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーを形成してもよい。また、上記混合物形成工程において、上記水酸化マグネシウム材料の残部と、上記種結晶形成工程において形成された、水酸化マグネシウム材料の一部に由来する上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとを混合することができる。それにより、生産効率を向上させることができる。上記生産効率の向上としては、例えば、水酸化マグネシウム材料の一部を別の容器に移動させることの省略、及び水酸化マグネシウム材料の一部の温度を調整する工程の省略が挙げられる。
【0036】
具体的には、本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法が上記種結晶形成工程を含む場合に、単一の水酸化マグネシウム材料、例えば、同一ロットにて形成された水酸化マグネシウム材料を、第1画分と、第2画分とに区画することができる。次いで、第1画分から上記水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーを形成することができる。次いで、混合物形成工程において、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料(第2画分)と、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリー(第1画分)とを混合することができる。
【0037】
また、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料(第2画分)を、複数の画分にさらに区画し、混合物形成工程と、熟成工程とを繰り返してもよい。
例えば、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料(第2画分)を、第2A画分及び第2B画分の2つに区画することができる。次いで、1回目の混合物形成工程(第1混合物形成工程)において、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリー(第1画分)と、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料(第2A画分)とを混合し、1回目の混合物(第1混合物)を形成することができる。次いで、1回目の熟成工程(第1熟成工程)において、第1混合物を熟成し、水酸化マグネシウムの1回目の粒子(第1粒子)を形成することができる。
【0038】
次いで、2回目の混合物形成工程(第2混合物形成工程)において、水酸化マグネシウムの第1粒子を、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとして、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料(第2B画分)と混合し、2回目の混合物(第2混合物)を形成することができる。次いで、2回目の熟成工程(第2熟成工程)において、第2混合物を熟成し、水酸化マグネシウムの2回目の粒子(第2粒子)を形成することができる。
なお、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料(第2画分)を、3つ以上の画分に区画する場合も同様である。
【0039】
上記水酸化マグネシウム材料の一部と、上記水酸化マグネシウム材料の残部とは、任意の比率とすることができる。上記比率は、好ましくは1~90:10~99、より好ましくは5~70:30~95、さらに好ましくは10~50:50~90、そしてさらにいっそう好ましくは20~40:60~80である。それにより、形成される水酸化マグネシウムの粒子の粒径を所定の範囲にしやすくなる。
【0040】
単一の水酸化マグネシウム材料を用いて、混合物形成工程と、熟成工程とを繰り返す例は上述の通りである。本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法では、異なる水酸化マグネシウム材料を用いて、混合物形成工程と、熟成工程とを実施することができるとともに、混合物形成工程と、熟成工程とを複数回繰り返すことができる。混合物形成工程と、熟成工程とを複数回繰り返すことにより、水酸化マグネシウムの粒子の粒径をより大きくすることができる。
【0041】
例えば、混合物形成工程と、熟成工程とを2回繰り返す場合は、以下の通りとすることができる。
1回目の混合物形成工程(第1混合物形成工程)において、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーと、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料とを混合し、1回目の混合物(第1混合物)を形成することができる。次いで、1回目の熟成工程(第1熟成工程)において、第1混合物を熟成し、水酸化マグネシウムの1回目の粒子(第1粒子)を形成することができる。
【0042】
次いで、2回目の混合物形成工程(第2混合物形成工程)において、水酸化マグネシウムの第1粒子を、水酸化マグネシウムの種結晶を含むスラリーとして、100ppm以上のケイ素を含む水酸化マグネシウム材料と混合し、2回目の混合物(第2混合物)を形成することができる。次いで、2回目の熟成工程(第2熟成工程)において、第2混合物を熟成し、水酸化マグネシウムの2回目の粒子(第2粒子)を形成することができる。
なお、混合物形成工程と、熟成工程とを3回以上繰り返す場合も同様である。
【0043】
上記水酸化マグネシウムの種結晶は、乾燥状態において、所定量のケイ素を含むことが好ましい。上記ケイ素の上記所定量としては、好ましくは100ppm以上、より好ましくは120ppm以上、そしてさらに好ましくは130ppm以上が挙げられる。また、上記ケイ素の上記所定量としては、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、そしてさらに好ましくは700ppm以下が挙げられる。それにより、生成物である水酸化マグネシウムの粒子が、所定量のケイ素を含みやすくなり、例えば、難燃剤の用途に好適となる。
【0044】
上記熟成工程では、上記混合物を熟成することにより、上記種結晶を成長させ、上記種結晶よりも粒径が大きい上記水酸化マグネシウムの粒子を形成する。
一般的に、熟成工程を実施することで水酸化マグネシウムの結晶を成長させ、一次粒径を大きくすることができることが知られている。本願発明者らが確認したところ、系に所定量のケイ素が含まれる場合には、水酸化マグネシウムの結晶の成長が阻害され、熟成工程を実施しても、水酸化マグネシウムの一次粒子が成長しにくいことが分かった。
本開示に係る製造方法及び本開示に係る方法では、所定の熟成工程を含むことにより、より粒径の大きな水酸化マグネシウム粒子を得ることができる。
【0045】
熟成工程における熟成は、所定の熟成温度で、所定の熟成時間実施することができる。
上記熟成工程における上記所定の熟成温度としては、好ましくは100℃以上、より好ましくは115℃以上、そしてさらに好ましくは120℃以上が挙げられる。また、上記所定の温度としては、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、そしてさらに好ましくは180℃以下が挙げられる。
【0046】
本開示の製造方法が、上述の種結晶形成工程を含む場合には、上記熟成工程における所定の熟成温度を、上記種結晶形成工程における所定の熟成温度よりも高くすることができる。この場合、上記熟成工程における所定の熟成温度と、上記種結晶形成工程における所定の熟成温度温度との温度差は、好ましくは70℃以下、より好ましくは40℃以下、そしてさらに好ましくは20℃以下である。また、上記温度差は、好ましくは10℃以上である。それにより、生産効率を保持しながら、形成される水酸化マグネシウムの粒子の成長速度を精密に制御し、所望の形状、粒度及びBET比表面積を有する水酸化マグネシウムの粒子を得ることができる。
【0047】
上記熟成工程における上記所定の熟成時間としては、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上、そしてさらに好ましくは40分以上である。また、上記熟成工程における上記所定の熟成時間としては、好ましくは300分以下、より好ましくは240分以下、そしてさらに好ましくは210分以下である。それにより、形成される水酸化マグネシウムの粒子が、所定の粒径を有しやすくなり、水酸化マグネシウムが、樹脂と混合した際の分散性に優れる。
【0048】
上記熟成工程において得られた水酸化マグネシウムの粒子を含む懸濁液は、脱水後、大量、例えば、水酸化マグネシウムの粒子の20倍量の脱イオン水で洗浄することができる。それにより、不純物、例えば、ナトリウムを除去し、水酸化マグネシウムの一次粒子の凝集を抑制することができる。
【0049】
上記水酸化マグネシウムの粒子は、乾燥状態において、所定量のケイ素を含むことが好ましい。上記ケイ素の上記所定量としては、好ましくは100ppm以上、より好ましくは120ppm以上、そしてさらに好ましくは130ppm以上が挙げられる。また、上記ケイ素の上記所定量としては、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは600ppm以下、さらに好ましくは400ppm以下、そしてさらにいっそう好ましくは300ppm以下が挙げられる。それにより、水酸化マグネシウムの粒子を樹脂と混合し、樹脂組成物を形成した際に、樹脂組成物を燃えにくくすることができる。その結果、上記水酸化マグネシウムの粒子は、例えば、難燃剤の用途に好適である。
【0050】
上記水酸化マグネシウムの粒子は、好ましくは0.6μm以上、より好ましくは0.7μm以上、そしてさらに好ましくは0.8μm以上のD50を有する。また、上記水酸化マグネシウムの粒子は、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下、そしてさらにいっそう好ましくは1.5μm以下のD50を有する。それにより、水酸化マグネシウムが、樹脂と混合した際の分散性に優れる。
【0051】
本明細書では、粒子のD50は、体積基準の50%粒径を意味し、以下の通り測定される。
(1)粒子0.7gを、100mLビーカーに秤取し、ビーカーに、2.0g/Lのヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液70mLを加え、3分間超音波処理を実施し、粒子の分散液を得る。
(2)分散液のD50を、マイクロトラック・ベル株式会社製の粒子径分布測定装置 MT3300ExIIを用いて測定する。
【0052】
上記水酸化マグネシウムの粒子は、好ましくは1.0m2/g以上、より好ましくは1.5m2/g以上、そしてさらに好ましくは2.0m2/g以上のBET比表面積を有する。また、上記水酸化マグネシウムの粒子は、好ましくは8.5m2/g以下、より好ましくは8.0m2/g以下、そしてさらに好ましくは7.5m2/g以下のBET比表面積を有する。それにより、樹脂と混合した樹脂組成物において、水酸化マグネシウムが、例えば、炭酸マグネシウムに変質することを抑制することができる。
【0053】
上記BET比表面積は、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製の高精度比表面積/細孔分布測定装置 BELsorp-miniにより測定される。
【0054】
上記水酸化マグネシウムの粒子は、表面処理剤により表面処理されていてもよい。上記表面処理剤は、当技術分野で公知のものを選択することができる。上記表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸類、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル類、カップリング剤、並びに多価アルコール及び脂肪酸のエステル類が挙げられる。
【0055】
上記樹脂組成物は、上述の水酸化マグネシウムと、樹脂とを含む。
上記樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、エチレンと他のα-オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル又はアクリル酸メチルとの共重合体、ポリプロピレン、プロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、ポリブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、スチレンとアクリロニトリルとの共重合体、エチレンとプロピレンジエンゴム又はブタジエンとの共重合体、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0056】
上記樹脂組成物は、例えば、難燃剤、電線被覆材、添加剤、樹脂フィラー、高機能性材料、触媒、紙のサイジング剤、充填剤、及び電磁鋼板用焼鈍分離剤の少なくとも1つの用途に好適である。
【実施例0057】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[製造例1]
石灰石を900℃で焼成し、酸化カルシウムを得た。得られた酸化カルシウムを、イオン交換水に、200g/Lの濃度となるように投入し、液温を90℃に調整して、水酸化カルシウムを含む懸濁液を得た。得られた水酸化カルシウムを含む懸濁液を50メッシュの篩に通し、イオン交換水を加えて濃度を調整し、2.2mol/Lの水酸化カルシウムのスラリーを得た。水酸化カルシウム中のケイ素含有量は、198ppmであった。
【0058】
[実施例1]
1.7mol/Lの塩化マグネシウム水溶液410mLをステンレス製反応槽に入れ、ケミスターラーを用いて200rpmで撹拌しながら、水溶液の温度を35℃に調整した。上記ステンレス製反応槽に、35℃に調整した、製造例1で製造した、2.2mol/Lの水酸化カルシウムのスラリー290mLを、5分かけて注加し、水酸化マグネシウム材料No.1を得た。
【0059】
水酸化マグネシウム材料No.1の一部(10質量%)をオートクレーブに移し、500rpmで攪拌しながら170℃で2時間(120分)熟成することにより、水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.1を得た。続いて、水酸化マグネシウム材料No.1の残部(90質量%)を、30分の注加時間で、500rpmで攪拌しながら170℃に保持している水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.1に注加して、混合物No.1を得た。注加終了後、混合物No.1を、170℃で1.5時間(90分)熟成させ、熟成物No.1を得た。
【0060】
熟成物No.1を吸引濾過し、水酸化マグネシウムの20質量倍の脱イオン水で洗浄して、水酸化マグネシウムのケーキを得た。水酸化マグネシウムのケーキを105℃で24時間乾燥させることにより、水酸化マグネシウムの粒子No.1を得た。
水酸化マグネシウムの粒子No.1のケイ素含有量[Si(ppm)]、D50[D50(μm)]及びBET比表面積[BET(m2/g)]を表1に示す。
【0061】
[実施例2]
水酸化マグネシウム材料No.1の一部(30質量%)から水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.2を形成し、水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.2(30質量%)と、水酸化マグネシウム材料No.1の残部(70質量%)とを混合することにより混合物No.2を得た以外は、実施例1と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.2を得た。結果を表1にまとめる。
【0062】
[実施例3]
水酸化マグネシウム材料No.1の一部(50質量%)から水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.3を形成し、水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.3(50質量%)と、水酸化マグネシウム材料No.1の残部(50質量%)とを混合することにより混合物No.3を得た以外は、実施例1と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.3を得た。結果を表1にまとめる。
【0063】
[実施例4]
水酸化マグネシウム材料No.1の一部(70質量%)から水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.4を形成し、水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーNo.4(70質量%)と、水酸化マグネシウム材料No.1の残部(30質量%)とを混合することにより混合物No.4を得た以外は、実施例1と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.4を得た。結果を表1にまとめる。
【0064】
[実施例5から実施例8]
種結晶の熟成温度を表1及び表2に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.5~No.8を得た。結果を表1及び表2にまとめる。
[実施例9から実施例11]
種結晶の熟成時間、種結晶への注加時間及び熟成工程における熟成時間を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例4と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.9~No.11を得た。結果を表2にまとめる。
【0065】
[実施例12及び実施例13]
種結晶への注加時間及び熟成工程における熟成時間を表2及び表3に示すとおりに変更した以外は、実施例3と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.12及びNo.13を得た。結果を表2及び表3にまとめる。
[実施例14]
種結晶の熟成温度を表3に示す通りとした以外は実施例2と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.14を得た。結果を表3にまとめる。
【0066】
[比較例1]
水酸化マグネシウムの種結晶のスラリーを形成せず、水酸化マグネシウム材料No.1の全量をオートクレーブに移し、170℃で4時間熟成させた以外は実施例1と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.15を得た。結果を表3にまとめる。
【0067】
[比較例2]
「1.7mol/Lの塩化マグネシウム水溶液410mL」を『1.7mol/Lの塩化マグネシウム水溶液353mL』に変更し、「2.2mol/Lの水酸化カルシウムのスラリー290mL」を『2.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液547mL」に変更し、そして「水酸化マグネシウム材料No.1の全量」を『得られた水酸化マグネシウム材料のうち700mL』に変更した以外は比較例1と同様にして、水酸化マグネシウムの粒子No.16を得た。結果を表3にまとめる。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】