(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017246
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】レールのねじれ矯正装置、ねじれ矯正方法、及びレールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 3/10 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B21D3/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119763
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】井上 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】木川 祐太
(72)【発明者】
【氏名】藤本 健一郎
(57)【要約】
【課題】レールのねじれを的確に矯正することができるレールのねじれ矯正装置、ねじれ矯正方法、及びレールの製造方法を提供する。
【解決手段】レールのねじれ矯正装置1は、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図1では上側)において、レール100の足部103を押圧する第1の金型10及びレール100の頭部101を押圧する第2の金型20と、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)において、レール100の頭部101を押圧する第3の金型30及びレール100の足部103を押圧する第4の金型40を備える。第1の金型10及び第3の金型30はレール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図1では左側)に配置され、第2の金型20及び第4の金型40はレール100の幅方向の他側(
図1では右側)に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びるレールのねじれを矯正するレールのねじれ矯正装置であって、
前記レールの長手方向の一側において、前記レールの足部を押圧する第1の金型及び前記レールの頭部を押圧する第2の金型と、
前記レールの長手方向の他側において、前記レールの頭部を押圧する第3の金型及び前記レールの足部を押圧する第4の金型を備え、
前記第1の金型及び前記第3の金型は前記レールの幅方向の一側に配置され、前記第2の金型及び前記第4の金型は前記レールの幅方向の他側に配置されることを特徴とするレールのねじれ矯正装置。
【請求項2】
前記第1の金型、第2の金型、第3の金型、及び第4の金型は、それぞれ第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4のホルダに保持され、前記第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4のホルダは、それぞれ第1のプレート、第2のプレート、第3のプレート、及び第4のプレートに対して上下動自在に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のレールのねじれ矯正装置。
【請求項3】
前記第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4ホルダは、それぞれの上面に前記第1のプレート、第2のプレート、第3のプレート、及び第4のプレート上に載置されて前記第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4のホルダの落下を防止する落下防止プレートを備えていることを特徴とする請求項2に記載のレールのねじれ矯正装置。
【請求項4】
前記第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4のホルダのそれぞれの前記落下防止プレートと、前記第1のプレート、第2のプレート、第3のプレート、及び第4のプレートの上面とが、前記第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4のホルダのぞれぞれの上下方向位置を保持する弾性体によって連結されていることを特徴とする請求項3に記載のレールのねじれ矯正装置。
【請求項5】
前記第1のホルダ、第2のホルダ、第3のホルダ、及び第4のホルダのそれぞれと、前記第1のプレート、第2のプレート、第3のプレート、及び第4プレートのそれぞれとの間にコロが設けられていることを特徴とする請求項4に記載のレールのねじれ矯正装置。
【請求項6】
前記第1の金型による前記レールの足部への押圧、前記第2の金型による前記レールの頭部への押圧、前記第3の金型による前記レールの頭部への押圧、及び前記第4の金型による前記レールの足部への押圧は、前記レールのねじれを矯正する際に、圧下シリンダによって前記第2の金型及び前記第4の金型のそれぞれが前記第1の金型及び前記第3の金型のそれぞれに近づく方向に移動した際に達成され、前記第1の金型による前記レールの足部への押圧の解除、前記第2の金型による前記レールの頭部への押圧の解除、前記第3の金型による前記レールの頭部への押圧の解除、及び前記第4の金型による前記レールの足部への押圧の解除は、前記圧下シリンダによって前記第2の金型及び前記第4の金型のそれぞれが前記第1の金型及び前記第3の金型のそれぞれから離れる方向に移動した際に達成されることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のレールのねじれ矯正装置。
【請求項7】
長手方向に延びるレールのねじれを矯正するレールのねじれ矯正方法であって、
前記レールの長手方向の一側において、前記レールの幅方向の一側に配置された第1の金型で前記レールの足部を押圧するとともに、前記レールの幅方向の他側に配置された第2の金型で前記レールの頭部を押圧し、
前記レールの長手方向の他側において、前記レールの幅方向の一側に配置された第3の金型で前記レールの頭部を押圧するとともに、前記レールの幅方向の他側に配置された第4の金型で前記レールの足部を押圧することを特徴とするレールのねじれ矯正方法。
【請求項8】
請求項7に記載のレールのねじれ矯正方法によってレールのねじれを矯正するねじれ矯正工程を含むことを特徴とするレールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールのねじれ矯正装置、ねじれ矯正方法、及びレールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レールは熱間圧延により製造される。レールの熱間圧延では、矩形断面のブルームを素材として、孔型圧延によって断面形状を形成し、製品形状とする。
ここで、熱間圧延されたレールは、その熱間圧延後に、ローラー矯正機によってレールの曲がり、反りなどを矯正して真直なレールとする。そして、ローラー矯正機による矯正後にレールに形状不良がある場合には、冷間でプレス矯正を行いその形状不良を矯正するようにしている。
従来、レールの反りを矯正するものとして、例えば、特許文献1に示すレールの矯正方法が知られている。
【0003】
特許文献1に示すレールの矯正方法は、レールを冷却した後、レールの長手方向に引張り力を付与し、全断面の70%以上が降伏した状態で、レールの頭部が外側または内側となる曲げモーメントを付与するものである。
特許文献1に示すレールの矯正方法によれば、これにより、形状の曲がりや反りが小さく、残留応力の非常に低い、耐摩耗性と耐破壊性に優れたレールを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レールを製品形状に熱間圧延して冷却した後においては、その形状不良として反りや曲がりの他、ねじれと呼ばれる形状不良が発生している場合がある。
ここで、レールの一般的な形状について、
図11を参照して説明する。レール100は、左右の幅方向(
図11における矢印xで示す方向)、上下方向(
図11における矢印zで示す方向)、及び長手方向(
図11において紙面に対して直交する方向、
図12における矢印yで示す方向)に延びる。レール100は、頭部101と、腹部102と、足部103とを備えている。足部103は、左右の幅方向に細長く延び、底面103aを備えている。腹部102は、足部103の幅方向中央部の上面から上方に向けて細長く延びている。また、頭部101は、腹部102の上部に設けられ、左右の幅方向に直線状に延びる頭頂面101aを備えている。また、頭部101は、頭頂面101aの幅方向左側から下方に延びる幅方向左側の頭側面101bと、頭頂面101aの幅方向右側から下方に延びる幅方向右側の頭側面101cとを備えている。また、幅方向左側の頭側面101bから腹部102の左側面に向けて左側の顎下面101dが設けられ、幅方向右側の頭側面101cから腹部102の右側面に向けて右側の顎下面101eが設けられている。
【0006】
そして、レールのねじれについては、
図12に示すように、レール100の長手方向に沿ってレール100がねじれ、正面側(レール100の頭部101と腹部102と足部103とが見える側)から見てレール100の足部103の幅方向一方側(
図12では左方側)の先端103bが徐々に浮き上がってしまう現象をいう。
レールのねじれ量については、
図13に示すように、定盤110の平坦な基準平面111にレール100を足部103の底面103a側を下にして静置する。このときの、レール100の足部103の幅方向一方側(
図13では右方側)の先端103cの底面と基準平面111との「すきま」δの大きさをレール100の「ねじれ量」δと定義する。このレール100の「ねじれ量」については、通常、レール100の長手方向先端側領域と長手方向後端側領域の2カ所について管理するのが一般的である。
【0007】
しかしながら、特許文献1に示すレールの矯正方法においては、前述したように、レールの反りを矯正するものであって、レールのねじれを矯正するものではない。従って、レールのねじれを矯正するために、特許文献1に示す矯正方法を適用しても、レールのねじれ矯正が適切になされない。
従って、本発明はこの従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、レールのねじれを的確に矯正することができるレールのねじれ矯正装置、ねじれ矯正方法、及びレールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るレールのねじれ矯正装置は、長手方向に延びるレールのねじれを矯正するレールのねじれ矯正装置であって、前記レールの長手方向の一側において、前記レールの足部を押圧する第1の金型及び前記レールの頭部を押圧する第2の金型と、前記レールの長手方向の他側において、前記レールの頭部を押圧する第3の金型及び前記レールの足部を押圧する第4の金型を備え、前記第1の金型及び前記第3の金型は前記レールの幅方向の一側に配置され、前記第2の金型及び前記第4の金型は前記レールの幅方向の他側に配置されることを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係るレールのねじれ矯正方法は、長手方向に延びるレールのねじれを矯正するレールのねじれ矯正方法であって、前記レールの長手方向の一側において、前記レールの幅方向の一側に配置された第1の金型で前記レールの足部を押圧するとともに、前記レールの幅方向の他側に配置された第2の金型で前記レールの頭部を押圧し、前記レールの長手方向の他側において、前記レールの幅方向の一側に配置された第3の金型で前記レールの頭部を押圧するとともに、前記レールの幅方向の他側に配置された第4の金型で前記レールの足部を押圧することを要旨とする。
【0009】
また、本発明の別の態様に係るレールの製造方法は、前述のレールのねじれ矯正方法によってレールのねじれを矯正するねじれ矯正工程を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るレールのねじれ矯正装置、ねじれ矯正方法、及びレールの製造方法によれば、レールのねじれを的確に矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置の平面図である。
【
図4】
図1に示すねじれ矯正装置における第2の金型の第2のホルダに対する嵌合状態を説明するための図である。
【
図5】第1変形例に係るレールのねじれ矯正装置の平面図である。
【
図6】第2変形例に係るレールのねじれ矯正装置の平面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるA-A’に沿う断面図と同様の断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるB-B’に沿う断面図と同様の断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるA-A’に沿う断面図と同様の断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるB-B’に沿う断面図と同様の断面図である。
【
図11】レールの各部位を説明するための正面図である。
【
図12】レールのねじれを説明するための図である。
【
図13】レールのねじれ量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置の平面が示されている。
【0013】
図1に示すレールのねじれ矯正装置1は、製品形状に熱間圧延して冷却した後の
図11に示すレール100のねじれを矯正するものである。ねじれ矯正装置1は、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図1では上側)において、レール100の足部103を押圧する第1の金型10及びレール100の頭部101を押圧する第2の金型20を備えている。
また、ねじれ矯正装置1は、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)において、レール100の頭部101を押圧する第3の金型30及びレール100の足部103を押圧する第4の金型40を備えている。
【0014】
そして、第1の金型10及び第3の金型30はレール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図1では左側)に配置され、第2の金型20及び第4の金型40はレール100の幅方向の他側(
図1では右側)に配置されている。
レール100は、本実施形態においては、レール100の長手方向の先端(
図1においては上端)を先頭にしてテーブルローラ(図示せず)により搬送されて第3の金型30及び第4の金型40を配置した側(
図1では下方側)からねじれ矯正装置1に装入される。
そして、レール100の長手方向先端側領域において、レール100の長手方向の一側で、第1の金型10によってレール100の足部103を押圧し、かつ、第2の金型20によってレール100の頭部101を押圧する。また、レール100の長手方向の他側で、第3の金型10によってレール100の頭部101を押圧し、かつ、第4の金型40によってレール100の足部103を押圧する。これにより、レール100の長手方向先端側領域においてレール100のねじれの矯正を行う。
【0015】
また、長手方向先端側領域においてねじれが矯正されたレール100を、テーブルローラによって長手方向(
図1では下方側から上方側の方向)に順送りする。そして、レール100の長手方向後端側領域において、レール100の長手方向の一側で、第1の金型10によってレール100の足部103を押圧し、かつ、第2の金型20によってレール100の頭部101を押圧する。また、レール100の長手方向の他側で、第3の金型10によってレール100の頭部101を押圧し、かつ、第4の金型40によってレール100の足部103を押圧する。これにより、レール100の長手方向後端側領域においてレール100のねじれの矯正を行う。
【0016】
このように、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によって、レール100の長手方向先端側領域及び長手方向後端側領域においてレール100のねじれの矯正を行うのは次の理由による。即ち、レール100の長手方向先端側領域及び長手方向後端側領域においては、レール100にねじれが生じた場合には、レール100の他の領域に比較してそのねじれ量が顕著になるからである。
ここで、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向の一側における第1位置aでレール100の幅方向において対向するように配置される。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置されている。第1位置aと第2位置bとの間の距離は、本実施形態では1~2m程度に設定される。
【0017】
第1の金型10について具体的に述べると、
図1及び
図2に示すように、レール100のねじれ矯正の際に、レール100の長手方向の一側における第1位置aにおいて、レール100の足部103の幅方向左側の先端103bを押圧する。
第1の金型10は、
図1及び
図2に示すように、第1のホルダ11の内側に保持され、第1のホルダ11は、第1のプレート15に対し幅方向内側に配置されて第1のプレート15の内側面に対して上下動自在に設置されている。第1の金型10を保持する第1のホルダ11が第1のプレート15に対して上下動自在に配置されている。これにより、第1の金型10がレール100の足部103を押圧した際にその反力で第1のホルダ11が第1のプレート15に対して上下動する。このため、第1のホルダ11の落下を防止する後述の落下防止プレート12及び接続ボルト13等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。
【0018】
また、第1のホルダ11の上面には、第1のプレート15上に載置されて第1のホルダ11の落下を防止する落下防止プレート12が接続ボルト13により固定されている。これにより、第1のホルダ11の第1のプレート15からの落下を防止することができる。
但し、第1のホルダ11に固定された落下防止プレート12と、第1のプレート15の上面とが、第1のホルダ11の上下方向位置を保持する弾性体としての金属バネ14によって連結されている。
これにより、第1のホルダ11が第1のプレート15に対して上下動した際に、金属バネ14によって第1のホルダ11の上下動を吸収しつつ第1のホルダ11の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第1の金型10のレール100の足部103に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第1の金型10のレール100の足部103に対する適切な押圧を担保することができる。
【0019】
第1のホルダ11に固定された落下防止プレート12が第1のプレート15の上面に金属バネ14によって連結されていないとする。すると、第1のホルダ11が第1のプレート15に対して上下動した際に、第1の金型10のレール100の足部103に対する上下方向位置の範囲を限定できず、第1の金型10のレール100の足部103に対する適切な押圧を担保することができない場合がある。
金属バネ14は、圧縮バネ、引張バネのいずれでもよく、第1のホルダ11及び第1の金型10の重量にもよるが、そのバネ定数は100~1000N/mm程度、そのストロークは上下方向に±10mm程度が好適である。
【0020】
また、第2の金型20について具体的に述べる。第2の金型20は、
図1及び
図2に示すように、レール100のねじれ矯正の際に、レール100の長手方向の一側における第1位置aにおいて、レール100の頭部101の幅方向右側の頭側面101cを押圧する。
第2の金型20は、
図1及び
図2に示すように、第2のホルダ21の内側に保持され、第2のホルダ21は、第2のプレート25に対し幅方向内側に配置されて第2のプレート25の内側面に対して上下動自在に設置されている。第2の金型20を保持する第2のホルダ21が第2のプレート25に対して上下動自在に配置されている。これにより、第2の金型20がレール100の頭部101を押圧した際にその反力で第2のホルダ21が第2のプレート25に対して上下動する。このため、第2のホルダ21の落下を防止する後述の落下防止プレート22及び接続ボルト23等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。
【0021】
第2のホルダ21による第2の金型20の保持について、
図4を参照して説明する。第2の金型20は、平面側から見てT字形に形成されている。第2の金型20は、上下方向に延びる矩形状の金型本体20aと、金型本体20aの側面において金型本体20aの幅方向両側から幅方向(
図4における上下方向)に突出する突出部20bとを備えている。なお、
図4では金型本体20aの形状を矩形で示しているが、金型本体20aの形状は矩形に限るものではなく、角部に丸みを付与することや、先端部を円弧状の形状にすることもできる。
第2のホルダ21の内側面には、T字形の第2の金型20が嵌合されるアリ溝が形成される。このアリ溝は、金型本体20aが嵌合される第1溝部21a及び突出部20bが嵌合される第2溝部21bを有する。アリ溝は、第2のホルダ21において上下方向に貫通するように形成されている。T字形の第2の金型20は、第2のホルダ21の内側面に形成されたアリ溝に第2のホルダ21の上方あるいは下方から嵌合される。そして、第2の金型を嵌合したアリ溝に第2のホルダ21の下方からスペーサー(図示せず)を挿入する。これにより、既にアリ溝に嵌合された第2の金型20の下方への抜け止めを行うとともに第2の金型20の上下方向の位置決めを行う。この際に、第2の金型20の上下方向の位置は、レール100の頭部101の幅方向右側の頭側面101cを押圧できる位置とする。これにより、第2のホルダ21に第2の金型20が保持される。なお、スペーサーの上下方向位置を、レール100のサイズに応じて適宜変更することで、第2の金型20の上下方向の位置を調整することができる。アリ溝に嵌合された第2の金型20の上方への抜け止めは、必ずしも必要ではなく、金型20の自重で上下方向の位置を決めてもいいし、金型20の上方にスペーサーを配置して抜け止めとしてもよい。
【0022】
第1の金型10、第3の金型30、及び第4の金型40も、第2の金型20と同様の態様を有する。すなわち、金型形状としては、矩形形状のほか、角部に丸みを有する形状や、先端部が円弧状となる形状にすることもできる。また、これらの金型の大きさをそろえる必要も特にない。また、第1のホルダ11による第1の金型10の保持、第3のホルダ31による第3の金型30の保持、及び第4のホルダ41による第4の金型40の保持についても、この第2のホルダ21による第2の金型20の保持と同様の手法がとられる。なお、第1のホルダ11による第1の金型10の保持に際し、第1の金型10の上下方向の位置は、レール100の足部103の幅方向左側の先端103bを押圧できる位置とする。また、第3のホルダ31による第3の金型30の保持に際し、第3の金型30の上下方向の位置は、レール100の頭部101の幅方向左側の頭側面101bを押圧できる位置とする。更に、第4の金型40の上下方向の位置は、レール100の足部103の幅方向右側の先端103cを押圧できる位置とする。
【0023】
また、第2のホルダ21の上面には、第2のプレート25上に載置されて第2のホルダ21の落下を防止する落下防止プレート22が接続ボルト23により固定されている。これにより、第2のホルダ21の第2のプレート25からの落下を防止することができる。
但し、第2のホルダ21に固定された落下防止プレート22と、第2のプレート25の上面とが、第1のホルダ11と同様に、第2のホルダ21の上下方向位置を保持する弾性体としての金属バネ24によって連結されている。
これにより、第2のホルダ21が第2のプレート25に対して上下動した際に、金属バネ24によって第2のホルダ21の上下動を吸収しつつ第2のホルダ21の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第2の金型20のレール100の頭部101に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第2の金型20のレール100の頭部101に対する適切な押圧を担保することができる。
【0024】
金属バネ24は、金属バネ14と同様に、圧縮バネ、引張バネのいずれでもよく、第2のホルダ21及び第2の金型20の重量にもよるが、そのバネ定数は100~1000N/mm程度、そのストロークは上下方向に±10mm程度が好適である。
更に、第3の金型30について具体的に述べる。第3の金型30は、
図1及び
図3に示すように、レール100のねじれ矯正の際に、レール100の長手方向の他側における第2位置bにおいて、レール100の頭部101の幅方向左側の頭側面101bを押圧する。
第3の金型30は、
図1及び
図3に示すように、第3のホルダ31に保持され、第3のホルダ31は、第3のプレート35に対し幅方向内側に配置されて第3のプレート35の内側面に対して上下動自在に設置されている。第3の金型30を保持する第3のホルダ31が第3のプレート35に対して上下動自在に配置されている。これにより、第3の金型30がレール100の頭部101を押圧した際にその反力で第3のホルダ31が第3のプレート35に対して上下動する。このため、第3のホルダ31の落下を防止する後述の落下防止プレート32及び接続ボルト33等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。
【0025】
また、第3のホルダ31の上面には、第3のプレート35上に載置されて第3のホルダ31の落下を防止する落下防止プレート32が接続ボルト33により固定されている。これにより、第3のホルダ31の第3のプレート35からの落下を防止することができる。
但し、第3のホルダ31に固定された落下防止プレート32と、第3のプレート35の上面とが、第1のホルダ11と同様に、第3のホルダ31の上下方向位置を保持する弾性体としての金属バネ34によって連結されている。
これにより、第3のホルダ31が第3のプレート35に対して上下動した際に、金属バネ34によって第3のホルダ31の上下動を吸収しつつ第3のホルダ31の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第3の金型30のレール100の頭部101に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第3の金型30のレール100の頭部101に対する適切な押圧を担保することができる。
【0026】
金属バネ34は、金属バネ14と同様に、圧縮バネ、引張バネのいずれでもよく、第3のホルダ31及び第3の金型30の重量にもよるが、そのバネ定数は100~1000N/mm程度、そのストロークは上下方向に±10mm程度が好適である。
また、第4の金型40について具体的に述べる。第4の金型40は、
図1及び
図3に示すように、レール100のねじれ矯正の際に、レール100の長手方向の他側における第2位置bにおいて、レール100の足部103の幅方向右側の先端103cを押圧する。
第4の金型40は、
図1及び
図3に示すように、第4のホルダ41に保持され、第4のホルダ41は、第4のプレート45に対し幅方向内側に配置されて第4のプレート45の内側面に対して上下動自在に設置されている。第4の金型40を保持する第4のホルダ41が第4のプレート45に対して上下動自在に配置されている。これにより、第4の金型40がレール100の足部103を押圧した際にその反力で第4のホルダ41が第4のプレート45に対して上下動する。このため、第4のホルダ41の落下を防止する後述の落下防止プレート42及び接続ボルト43等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。
【0027】
また、第4のホルダ41の上面には、第4のプレート45上に載置されて第4のホルダ41の落下を防止する落下防止プレート42が接続ボルト43により固定されている。これにより、第4のホルダ41の第4のプレート45からの落下を防止することができる。
但し、第4のホルダ41に固定された落下防止プレート42と、第4のプレート45の上面とが、第1のホルダ11と同様に、第4のホルダ41の上下方向位置を保持する弾性体としての金属バネ44によって連結されている。
これにより、第4のホルダ41が第4のプレート45に対して上下動した際に、金属バネ44によって第4のホルダ41の上下動を吸収しつつ第4のホルダ41の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第4の金型40のレール100の足部103に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第4の金型40のレール100の足部103に対する適切な押圧を担保することができる。
【0028】
金属バネ44は、金属バネ14と同様に、圧縮バネ、引張バネのいずれでもよく、第4のホルダ41及び第4の金型40の重量にもよるが、そのバネ定数は100~1000N/mm程度、そのストロークは上下方向に±10mm程度が好適である。
なお、
図1に示すように、第1のプレート15及び第3のプレート35は、固定側プレート50として一体に形成されている。また、第2のプレート25及び第4のプレート45は、移動側プレート60として一体に形成されている。移動側プレート60には、該移動側プレート60を固定側プレート50に近づける方向、及び固定側プレート50に近づいた移動側プレート60を固定側プレート50から離れる方向に移動させる圧下シリンダ70が接続されている。
【0029】
そして、第1の金型10によるレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)への押圧、及び第2の金型20によるレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)への押圧は、レール100のねじれを矯正する際に、圧下シリンダ70によって移動側プレート60が固定側プレート50に近づく方向に移動した際に達成される。つまり、レール100のねじれを矯正する際に、圧下シリンダ70によって第2の金型20が、第1の金型10に近づく方向に移動する。これにより、第1の金型10によるレール100の足部103への押圧、及び第2の金型20によるレール100の頭部101への押圧が達成される。
【0030】
また、圧下シリンダ70によって移動側プレート60が固定側プレート50に近づく方向に移動した際に、第3の金型30によるレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)への押圧、及び第4の金型40によるレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)への押圧も同時に達成される。つまり、レール100のねじれを矯正する際に、圧下シリンダ70によって第4の金型40が、第3の金型30に近づく方向に移動する。これにより、第3の金型30によるレール100の頭部101への押圧、及び第4の金型40によるレール100の足部103への押圧が同時に達成される。
つまり、圧下シリンダ70によって移動側プレート60が固定側プレート50に近づく方向に移動する。すると、移動側プレート60を構成する第2のプレート25に設置されている第2のホルダ21及び第2の金型20も固定側プレート50(第1の金型10)に近づく方向(幅方向他側(右側)から幅方向一側(左側)への方向)に移動する。これにより、第1の金型10によるレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)への押圧、及び第2の金型20によるレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)への押圧が達成される。また、圧下シリンダ70によって移動側プレート60が固定側プレート50に近づく方向に移動する。すると、第4のプレート45に設置されている第4のホルダ41及び第4の金型40も同時に固定側プレート50(第3の金型30)に近づく方向に移動する。これにより、第3の金型30によるレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)への押圧、及び第4の金型40によるレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)への押圧が達成される。
【0031】
また、固定側プレート50に移動側プレート60が近付いた状態で圧下シリンダ70によって移動側プレート60が固定側プレート50から離れる方向に移動する。すると、移動側プレート60を構成する第2のプレート25に設置されている第2のホルダ21及び第2の金型20も固定側プレート50(第1の金型10)から離れる方向(幅方向一側(左側)から幅方向他側(右側)への方向)に移動する。これにより、第1の金型10によるレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)への押圧状態、及び第2の金型20によるレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)への押圧状態が解除される。また、固定側プレート50に移動側プレート60が近付いた状態で圧下シリンダ70によって移動側プレート60が固定側プレート50から離れる方向に移動する。すると、第4のプレート45に設置されている第4のホルダ41及び第4の金型40も同時に固定側プレート50(第3の金型30)から離れる方向に移動する。これにより、第3の金型30によるレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)への押圧状態、及び第4の金型40によるレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)への押圧状態が解除される。
【0032】
次に、
図1乃至
図3に示すレールのねじれ矯正装置1を用いてレール100のねじれを矯正する方法について説明する。
先ず、レール100のねじれを矯正するに際し、製品形状に熱間圧延されて冷却されたレール100は、足部103の底面103aを下側にしてテーブルローラ(図示せず)により搬送される。そして、レール100は、本実施形態においては、レール100の長手方向の先端(
図1においては上端)を先頭にしてテーブルローラ(図示せず)により搬送されて第3の金型30及び第4の金型40を配置した側(
図1では下方側)からねじれ矯正装置1に装入される。そして、レール100の長手方向先端側領域がねじれ矯正装置1の第1の金型10及び第3の金型30と第2の金型20及び第4の金型40との間に位置する。
【0033】
これにより、第1の金型10及び第3の金型30は、レール100の長手方向先端側領域において、レール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図1では左側)に配置される。また、第2の金型20及び第4の金型40はレール100の幅方向の他側(
図1では右側)に配置される。また、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向先端側領域において、レール100の長手方向の一側(
図1では上側)における第1位置aでレール100の幅方向において対向するように配置される。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置される。
【0034】
次いで、圧下シリンダ70によって移動側プレート60を固定側プレート50に近づく方向に移動させる。
これにより、移動側プレート60を構成する第2のプレート25に設置されている第2のホルダ21及び第2の金型20が固定側プレート50に近づく方向(幅方向他側(右側)から幅方向一側(左側)への方向)に移動する。これにより、レール100の長手方向の一側(
図1では上側)において、レール100の幅方向の一側(左側)に配置された第1の金型10でレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)を押圧する。また、同時に、レール100の幅方向の他側(右側)に配置された第2の金型20でレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)を押圧する。
【0035】
また、移動側プレート60を構成する第4のプレート45に設置されている第4のホルダ41及び第4の金型40も固定側プレート50に近づく方向(幅方向他側(右側)から幅方向一側(左側)への方向)に移動する。これにより、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)において、レール100の幅方向の一側(左側)に配置された第3の金型30でレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)を押圧する。また、同時に、レール100の幅方向の他側(右側)に配置された第4の金型40でレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)を押圧する。
これにより、レール100の長手方向先端側領域において、レール100のねじれが矯正される。
【0036】
次いで、圧下シリンダ70によって移動側プレート60を固定側プレート50から離れる方向に移動させる。
これにより、移動側プレート60を構成する第2のプレート25に設置されている第2のホルダ21及び第2の金型20が固定側プレート50から離れる方向(幅方向一側(左側)から幅方向他側(右側)への方向)に移動する。これにより、第1の金型10によるレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)に対する押圧状態が解除される。また、同時に、第2の金型20によるレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)に対する押圧状態が解除される。
【0037】
また、移動側プレート60を構成する第4のプレート45に設置されている第4のホルダ41及び第4の金型40も固定側プレート50から離れる方向(幅方向一側(左側)から幅方向他側(右側)への方向)に移動する。これにより、第3の金型30によるレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)に対する押圧状態が解除される。また、同時に、第4の金型40によるレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)に対する押圧状態が解除される。
次いで、長手方向先端側領域においてねじれが矯正されたレール100は、テーブルローラによって長手方向(
図1では下方側から上方側へ向かう方向)に順送りされる。そして、レール100の長手方向後端側領域がねじれ矯正装置1の第1の金型10及び第3の金型30と第2の金型20及び第4の金型40との間に位置する。
【0038】
これにより、第1の金型10及び第3の金型30は、レール100の長手方向後端側領域において、レール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図1では左側)に配置される。また、第2の金型20及び第4の金型40はレール100の幅方向の他側(
図1では右側)に配置される。また、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向後端側領域において、レール100の長手方向の一側(
図1では上側)における第1位置aでレール100の幅方向において対向するように配置される。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置される。
【0039】
次いで、圧下シリンダ70によって移動側プレート60を固定側プレート50に近づく方向に移動させる。
これにより、移動側プレート60を構成する第2のプレート20に設置されている第2のホルダ21及び第2の金型20が固定側プレート50に近づく方向(幅方向他側(右側)から幅方向一側(左側)への方向)に移動する。これにより、レール100の長手方向の一側(
図1では上側)において、レール100の幅方向の一側(左側)に配置された第1の金型10でレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)を押圧する。また、同時に、レール100の幅方向の他側(右側)に配置された第2の金型20でレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)を押圧する。
【0040】
また、移動側プレート60を構成する第4のプレート40に設置されている第4のホルダ41及び第4の金型40も固定側プレート50に近づく方向(幅方向他側(右側)から幅方向一側(左側)への方向)に移動する。これにより、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)において、レール100の幅方向の一側(左側)に配置された第3の金型30でレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)を押圧する。また、同時に、レール100の幅方向の他側(右側)に配置された第4の金型40でレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)を押圧する。
これにより、レール100の長手方向後端領域において、レール100のねじれが矯正される。
【0041】
そして、圧下シリンダ70によって移動側プレート60を固定側プレート50から離れる方向に移動させて、第1の金型10によるレール100の足部103(幅方向左側の先端103b)に対する押圧状態を解除する。また、同時に、第2の金型20によるレール100の頭部101(幅方向右側の頭側面101c)に対する押圧状態を解除する。また、同時に、第3の金型30によるレール100の頭部101(幅方向左側の頭側面101b)に対する押圧状態を解除する。また、同時に、第4の金型40によるレール100の足部103(幅方向右側の先端103c)に対する押圧状態を解除する。
これにより、レールのねじれ矯正装置1を用いてのレール100のねじれの矯正が終了する。
【0042】
そして、レール100の製造方法は、このレールのねじれ矯正装置1を用いてのねじれ矯正方法によってレール100のねじれを矯正するねじれ矯正工程を含んでいる。
このように、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によれば、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図1では上側)において、レール100の足部103を押圧する第1の金型10及びレール100の頭部101を押圧する第2の金型20を備えている。また、ねじれ矯正装置1は、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)において、レール100の頭部101を押圧する第3の金型30及びレール100の足部103を押圧する第4の金型40を備えている。そして、第1の金型10及び第3の金型30はレール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図1では左側)に配置される。また、第2の金型20及び第4の金型40はレール100の幅方向の他側(
図1では右側)に配置される。
【0043】
これにより、レール100のねじれを的確に矯正することができる。
また、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によれば、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図1では上側)における第1位置aでレール100の幅方向(矢印xで示す方)において対向するように配置されている。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側(
図1では下側)における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置されている。
これにより、第1~第4の金型10~40を適切な位置に配置し、効率よくレール100のねじれを矯正することができる。
【0044】
また、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によれば、第1~第4の金型10~40は、それぞれ第1~第4のホルダ11~41に保持されている。そして、第1~第4のホルダ11~41は、それぞれ第1~第4のプレート15~45に対して上下動自在に設置されている。
これにより、第1の金型10がレール100の足部103を押圧した際にその反力で第1のホルダ11が第1のプレート15に対して上下動する。このため、第1のホルダ11の落下を防止する落下防止プレート12及び接続ボルト13等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。また、第2の金型20がレール100の頭部101を押圧した際にその反力で第2のホルダ21が第2のプレート25に対して上下動する。このため、第2のホルダ21の落下を防止する後述の落下防止プレート22及び接続ボルト23等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。更に、第3の金型30がレール100の頭部101を押圧した際にその反力で第3のホルダ31が第3のプレート35に対して上下動する。このため、第3のホルダ31の落下を防止する後述の落下防止プレート32及び接続ボルト33等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。また、第4の金型40がレール100の足部103を押圧した際にその反力で第4のホルダ41が第4のプレート45に対して上下動する。このため、第4のホルダ41の落下を防止する落下防止プレート42及び接続ボルト43等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を防止することができる。
【0045】
また、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によれば、第1~第4のホルダ11~41は、それぞれの上面に第1~第4のプレート15~45上に載置されて第1~第4のホルダ11~41の落下を防止する落下防止プレート12~42を備えている。
これにより、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれの、第1~第4のプレート15~45からの落下を防止することができる。
また、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によれば、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれの落下防止プレート12~42と、第1~第4のプレート15~45の上面とが、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれの上下方向位置を保持する弾性体としての金属バネ14~44によって連結されている。
【0046】
これにより、第1のホルダ11が第1のプレート15に対して上下動した際に、金属バネ14によって第1のホルダ11の上下動を吸収しつつ第1のホルダ11の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第1の金型10のレール100の足部103に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第1の金型10のレール100の足部103に対する適切な押圧を担保することができる。また、第2のホルダ21が第2のプレート25に対して上下動した際に、金属バネ24によって第2のホルダ21の上下動を吸収しつつ第2のホルダ21の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第2の金型20のレール100の頭部101に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第2の金型20のレール100の頭部101に対する適切な押圧を担保することができる。また、第3のホルダ31が第3のプレート35に対して上下動した際に、金属バネ34によって第3のホルダ31の上下動を吸収しつつ第3のホルダ31の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第3の金型30のレール100の頭部101に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第3の金型30のレール100の頭部101に対する適切な押圧を担保することができる。更に、第4のホルダ41が第4のプレート45に対して上下動した際に、金属バネ44によって第4のホルダ41の上下動を吸収しつつ第4のホルダ41の上下方向の移動範囲を所定距離に限定できる。これにより、第4の金型40のレール100の足部103に対する上下方向位置の範囲を限定でき、第4の金型40のレール100の足部103に対する適切な押圧を担保することができる。
【0047】
また、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によれば、第1のプレート15及び第3のプレート35は、固定側プレート50として一体に形成され、第2のプレート25及び第4のプレート45は、圧下シリンダ70によって移動する移動側プレート60として一体に形成されている。
そして、第1の金型10によるレール100の足部103への押圧、及び第2の金型20によるレール100の頭部101への押圧は、レール100のねじれを矯正する際に、圧下シリンダ70によって移動側プレート60(第2の金型2)が固定側プレート50(第1の金型10)に近づく方向に移動した際に達成される。また、第3の金型30によるレール100の頭部101への押圧、及び第4の金型40によるレール100の足部103への押圧も、レール100のねじれを矯正する際に、圧下シリンダ70によって移動側プレート60(第4の金型40)が固定側プレート50(第3の金型30)に近づく方向に移動した際に達成される。また、第1の金型10によるレール100の足部103への押圧の解除、及び第2の金型20によるレール100の頭部101への押圧の解除は、圧下シリンダ70によって移動側プレート60(第2の金型20)が固定側プレート50(第1の金型10)から離れる方向に移動した際に達成される。また、第3の金型30によるレール100の頭部101への押圧の解除、及び第4の金型40によるレール100の足部103への押圧の解除も、圧下シリンダ70によって移動側プレート60(第4の金型40)が固定側プレート50(第3の金型30)から離れる方向に移動した際に達成される。
【0048】
このため、レール100のねじれを矯正する際に、第1の金型10、第2の金型20、第3の金型30、及び第4の金型40をそれぞれ独立して動かす必要はなく、圧下シリンダ70によって移動側プレート60を移動させるのみでレール100のねじれを矯正することができる。
また、第1実施形態に係るレールのねじれ矯正方法によれば、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図1における上側)において、レール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図1における左側)に配置された第1の金型10でレール100の足部103を押圧する。また、レール100の幅方向の他側(
図1における右側)に配置された第2の金型20でレール100の頭部101を押圧する。また、レール100の長手方向の他側(
図1における下側)において、レール100の幅方向の一側(
図1における左側)に配置された第3の金型30でレール100の頭部101を押圧する。また、レール100の幅方向の他側(
図1における右側)に配置された第4の金型40でレール100の足部103を押圧する。
【0049】
これにより、レール100のねじれを的確に矯正することができる。
(第1変形例)
次に、第1変形例に係るレールのねじれ矯正装置について、
図5を参照して説明する。
図5は、第1変形例に係るレールのねじれ矯正装置の平面図である。
図5において、
図1に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図5に示す第1変形例に係るレールのねじれ矯正装置1は、
図1に示す第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1と同様に、製品形状に熱間圧延して冷却した後の
図11に示すレール100のねじれを矯正するものである。ねじれ矯正装置1は、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図5では上側)において、レール100の足部103を押圧する第1の金型10及びレール100の頭部101を押圧する第2の金型20を備えている。
【0050】
また、第1変形例に係るレールのねじれ矯正装置1は、第1実施形態に係るねじれ矯正装置1と同様に、レール100の長手方向の他側(
図5では下側)において、レール100の頭部101を押圧する第3の金型30及びレール100の足部103を押圧する第4の金型40を備えている。
そして、第1の金型10及び第3の金型30はレール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図5では左側)に配置され、第2の金型20及び第4の金型40はレール100の幅方向の他側(
図5では右側)に配置されている。
ここで、第1実施形態に係るねじれ矯正装置1においては、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向の一側における第1位置aでレール100の幅方向において対向するように配置されている。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置されている。
【0051】
これに対して、第1変形例に係るねじれ矯正装置1においては、第1の金型10は、レール100の長手方向の第1位置aからやや第2位置b側に配置され、第2金型20は、レール100の長手方向の第1位置aからやや第2位置b側と反対側に配置されている点で相違している。
また、第1変形例に係るねじれ矯正装置1においては、第3の金型30は、レール100の長手方向の第2位置bからやや第1位置a側と反対側に配置され、第4金型40は、レール100の長手方向の第2位置bからやや第1位置a側に配置されている点で相違している。
【0052】
このように、第1変形例に係るねじれ矯正装置1のような第1の金型10、第2の金型20、第3の金型30、及び第4の金型40の配置にしても、製品形状に熱間圧延して冷却した後のレール100のねじれを的確に矯正することができる。
つまり、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向の一側における第1位置aでレール100の幅方向において対向するように配置されている必要は必ずしもない。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置されている必要は必ずしもない。レール100のサイズやねじれの状況にもよるが、これらの長手方向の対向位置のずれ量は、レール100の高さ寸法の2倍は許容される。
(第2変形例)
次に、第2変形例に係るレールのねじれ矯正装置について、
図6を参照して説明する。
図6は、第2変形例に係るレールのねじれ矯正装置の平面図である。
図6において、
図1に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0053】
図6に示す第2変形例に係るレールのねじれ矯正装置1は、
図1に示す第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1と同様に、製品形状に熱間圧延して冷却した後の
図11に示すレール100のねじれを矯正するものである。ねじれ矯正装置1は、レール100の長手方向(矢印yで示す方向)の一側(
図6では上側)において、レール100の足部103を押圧する第1の金型10A、10B及びレール100の頭部101を押圧する第2の金型20を備えている。
また、第2変形例に係るレールのねじれ矯正装置1は、第1実施形態に係るねじれ矯正装置1と同様に、レール100の長手方向の他側(
図6では下側)において、レール100の頭部101を押圧する第3の金型30及びレール100の足部103を押圧する第4の金型40A、40Bを備えている。
【0054】
そして、第1の金型10A、10B及び第3の金型30はレール100の幅方向(矢印xで示す方向)の一側(
図6では左側)に配置され、第2の金型20及び第4の金型40A、40Bはレール100の幅方向の他側(
図6では右側)に配置されている。
ここで、第1実施形態に係るねじれ矯正装置1においては、第1の金型10及び第2の金型20は、レール100の長手方向の一側における第1位置aでレール100の幅方向において対向するように配置されている。また、第3の金型30及び第4の金型40は、レール100の長手方向の他側における第2位置bでレール100の幅方向において対向するように配置されている。
【0055】
これに対して、第2変形例に係るねじれ矯正装置1においては、第2の金型20は、レール100の長手方向の一側における第1位置aに配置されている。しかし、第1の金型10A、10Bは、レール100の長手方向の第1位置aに対して第2位置b側と反対側に配置された第1の金型10Aと、レール100の長手方向の第1位置aに対して第2位置b側に配置された第1の金型10Bとの2つの金型で構成されている点で第1実施形態に係るねじれ矯正装置1と相違している。
また、第2変形例に係るねじれ矯正装置1においては、第3の金型30は、レール100の長手方向の他側における第2位置bに配置されている。しかし、第4の金型40A、40Bは、レール100の長手方向の第2位置bに対して第1位置a側に配置された第4の金型40Aと、レール100の長手方向の第2位置bに対して第1位置a側と反対側に配置された第4の金型40Bとの2つの金型で構成されている点で第1実施形態に係るねじれ矯正装置1と相違している。
【0056】
このように、第2変形例に係るねじれ矯正装置1のような第1の金型10A、10B、第2の金型20、第3の金型30、及び第4の金型40A、40Bの配置にしても、製品形状に熱間圧延して冷却した後のレール100のねじれを的確に矯正することができる。
つまり、第1の金型、第2の金型、第3の金型、及び第4の金型の個数は1つでなくとも2つ以上であってもよい。
なお、
図6において、符号11Aは第1の金型10Aを保持する第1ホルダ、12Aは第1のホルダ11Aに備えられた落下防止プレート、13Aは落下防止プレート12Aを第1のホルダ11Aに接続するための接続ボルト、14Aは落下防止プレート12Aと第1のプレート15とを連結する金属バネである。
【0057】
また、
図6において、符号11Bは第1の金型10Bを保持する第1のホルダ、12Bは第1のホルダ11Bに備えられた落下防止プレート、13Bは落下防止プレート12Bを第1のホルダ11Bに接続するための接続ボルト、14Bは落下防止プレート12Bと第1のプレート15とを連結する金属バネである。
更に、
図6において、符号41Aは第4の金型40Aを保持する第4のホルダ、42Aは第4のホルダ41Aに備えられた落下防止プレート、43Aは落下防止プレート42Aを第1のホルダ41Aに接続するための接続ボルト、44Aは落下防止プレート42Aと第4のプレート45とを連結する金属バネである。
【0058】
また、
図6において、符号41Bは第4の金型40Bを保持する第4のホルダ、42Bは第4のホルダ41Bに備えられた落下防止プレート、43Bは落下防止プレート42Bを第1のホルダ41Bに接続するための接続ボルト、44Bは落下防止プレート42Bと第4のプレート45とを連結する金属バネである。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置について、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるA-A’に沿う断面図と同様の断面図である。
図8は、本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるB-B’に沿う断面図と同様の断面図である。なお、
図7及び
図8において、
図2及び
図3に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0059】
図7及び
図8に示す第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1は、
図1乃至
図3に示す第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1と基本構成は同様である。しかし、第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1は、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれと、第1~第4のプレート15~45のそれぞれとの間にコロ16、26、36、46が設けられている点で第1実施形態に係るねじれ矯正装置1と相違している。
具体的に述べると、
図7において、第1のホルダ11は、第1のプレート15に対し幅方向内側に配置されて第1のプレート15の内側面に対して上下動自在に設置されている。そして、更に、第1のホルダ11と、第1のプレート15の内側面との間に、複数のコロ16が設けられている。これら複数のコロ16は、図示しない保持器によってそれぞれがばらばらにならないように転動自在に保持されている。この保持器は、第1のプレート15の内側面に固定される。
【0060】
第1のホルダ11が第1のプレート15の内側面に対して上下動自在に設置されていても、状況により第1のホルダ11が第1のプレート15の内側面に対して円滑に上下動できない場合がある。これに対して、第1のホルダ11と、第1のプレート15の内側面との間に、複数のコロ16を設けることにより、第1のホルダ11が第1のプレート15の内側面に対して円滑に上下動することが可能となる。
これにより、第1の金型10がレール100の足部103を押圧した際にその反力で第1のホルダ11が第1のプレート15に対して円滑に上下動し、第1のホルダ11の落下を防止する落下防止プレート12及び接続ボルト13等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を確実に防止することができる。
【0061】
また、同様に、第2のホルダ21は、第2のプレート25に対し幅方向内側に配置されて第2のプレート25の内側面に対して上下動自在に設置されている。そして、更に、第2のホルダ21と、第2のプレート25の内側面との間に、複数のコロ26が設けられている。これら複数のコロ26は、同様に、図示しない保持器によってそれぞれがばらばらにならないように転動自在に保持されている。この保持器は、第2のプレート25の内側面に固定される。
第2のホルダ21と、第2のプレート25の内側面との間に、複数のコロ26を設けることにより、第2のホルダ21が第2のプレート25の内側面に対して円滑に上下動することが可能となる。
【0062】
これにより、第2の金型20がレール100の頭部101を押圧した際にその反力で第2のホルダ21が第2のプレート25に対して円滑に上下動し、第2のホルダ21の落下を防止する落下防止プレート22及び接続ボルト23等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を確実に防止することができる。
また、
図8に示すように、第3のホルダ31は、第3のプレート35に対し幅方向内側に配置されて第3のプレート35の内側面に対して上下動自在に設置されている。そして、更に、第3のホルダ31と、第3のプレート35の内側面との間に、複数のコロ36が設けられている。これら複数のコロ36は、同様に、図示しない保持器によってそれぞれがばらばらにならないように転動自在に保持されている。この保持器は、第3のプレート35の内側面に固定される。
【0063】
第3のホルダ31と、第3のプレート35の内側面との間に、複数のコロ36を設けることにより、第3のホルダ31が第3のプレート35の内側面に対して円滑に上下動することが可能となる。
これにより、第3の金型30がレール100の頭部101を押圧した際にその反力で第3のホルダ31が第3のプレート35に対して円滑に上下動し、第3のホルダ31の落下を防止する落下防止プレート32及び接続ボルト33等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を確実に防止することができる。
更に、同様に、第4のホルダ41は、第4のプレート45に対し幅方向内側に配置されて第4のプレート45の内側面に対して上下動自在に設置されている。そして、更に、第4のホルダ41と、第4のプレート45の内側面との間に、複数のコロ46が設けられている。これら複数のコロ46は、図示しない保持器によってそれぞれがばらばらにならないように転動自在に保持されている。この保持器は、第4のプレート45の内側面に固定される。
【0064】
第4のホルダ41と、第4のプレート45の内側面との間に、複数のコロ46を設けることにより、第4のホルダ41が第4のプレート45の内側面に対して円滑に上下動することが可能となる。
これにより、第4の金型40がレール100の足部103を押圧した際にその反力で第4のホルダ41が第4のプレート45に対して円滑に上下動し、第4のホルダ41の落下を防止する落下防止プレート42及び接続ボルト43等の部材に負荷がかからず、それら部材の損傷を確実に防止することができる。
また、第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によっても、レール100のねじれを的確に矯正することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるA-A’に沿う断面図と同様の断面図である。
図10は、本発明の第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置において、
図1におけるB-B’に沿う断面図と同様の断面図である。なお、
図9及び
図10において、
図2及び
図3に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0065】
図9及び
図10に示す第2実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1は、
図1乃至
図3に示す第1実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1と基本構成は同様である。しかし、第3実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1は、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれに固定された落下防止プレート12~42が、第1~第4のプレート15~45の上面に直接載置されている点で第1実施形態に係るねじれ矯正装置1と相違している。つまり、第3実施形態に係るねじれ矯正装置1においては、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれの落下防止プレート12~42と、第1~第4のプレート15~45の上面とが、弾性体としての金属バネ14~44によって連結されていいない。
【0066】
この第3実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によっても、レール100のねじれを的確に矯正することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、レール100のねじれの矯正に際しては、レール100の長手方向先端領域及び長手方向後端領域におけるねじれの矯正のみならず、レール100のねじれ具合やねじれ箇所に応じて、ねじれ矯正装置1を用いてレール100の長手方向の適宜領域におけるねじれの矯正を行うようにしてもよい。
【0067】
また、レール100のねじれの矯正に際しては、レール100の長手方向先端領域及び長手方向後端領域におけるねじれの矯正をそれぞれ1回ずつ行っているが、ねじれの程度に応じそれぞれ複数回行っても良い。
また、レール100を、レール100の長手方向の先端(
図1においては下端)を先頭にしてテーブルローラ(図示せず)により搬送されて第1の金型10及び第2の金型20を配置した側(
図1では上方側)からねじれ矯正装置1に装入するようにしてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態に係るレールの矯正装置1において、弾性体として金属バネ14~44を用いた例を説明したが、金属バネに限らず、ゴム部材であってもよい。
【0068】
また、各第1~第4のホルダ11~41による各第1~第4の金型10~40の保持については、T字形の各第1~第4の金型10~40を各第1~第4のホルダ11~41のアリ溝に嵌合する場合に限られない。
また、レール100のねじれの矯正を行う方向に合わせて、固定側プレート50側に設けられた第1の金型10及び第3の金型30と、移動側プレート60側に設けられた第2の金型20及び第4の金型40とを付け替えるようにしてもよい。
また、第3実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1において、第1~第4のホルダ11~41のそれぞれを、第1~第4のプレート15~45のそれぞれに対して固定するようにしてもよい。
【実施例0069】
1mあたりの質量162kgのサイズのレールのねじれ矯正を実施した。レールの長さは25mである。
実施例1~3では、金属バネ14~44及びコロ16~46を用いていない
図9及び
図10に示す第3実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いて前述のレールのねじれ矯正を実施した。
また、実施例4~6では、金属バネ14~44を用い、コロ16~46を用いていない
図1乃至
図3に示す第1実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いて前述のレールのねじれ矯正を実施した。
【0070】
更に、実施例7~8では、金属バネ14~44及びコロ16~46を用いた
図7及び
図8に示す第2実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いて前述のレールのねじれ矯正を実施した。
ねじれ矯正の結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
表1において、矯正前ねじれ量と矯正後ねじれ量を比較すると、実施例1~8のいずれにおいても、矯正後ねじれ量が矯正前ねじれ量に対し、レールの先端側及び後端側のいずれにおいても減少し、矯正後のねじれ量の管理値5mm以内になったことがわかる。
従って、第1乃至第3実施形態に係るレールのねじれ矯正装置1によってレールのねじれ矯正を的確に行えることが確認された。
なお、金属バネ14~44及びコロ16~46を用いていない実施例1~3の第3実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いてレールのねじれ矯正を実施した場合よりも、金属バネ14~44を用い、コロ16~46を用いていない実施例4~6の第1実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いてレールのねじれ矯正を実施した場合の方が、ねじれ量の改善度合いが大きいことが確認された。
【0073】
また、金属バネ14~44を用い、コロ16~46を用いていない実施例4~6の第1実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いてレールのねじれ矯正を実施した場合よりも、金属バネ14~44及びコロ16~46を用いた実施例7~8の第2実施形態のレールのねじれ矯正装置1を用いてレールのねじれ矯正を実施した場合の方が、ねじれ量の改善度合いが大きいことが確認された。
なお、実施例3においては、第1~第4のホルダ11~41が、第1~第4のプレート15~45に対して上下動自在に配置されているものの、第1~第4のホルダ11~41が第1~第4のプレート15~45に対して円滑に上下動できず、落下防止プレート12~42の変形が確認された。