(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172463
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】テープ先端処理治具およびテープ先端処理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090198
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】粟野 之也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353HH12
5E353HH24
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH34
5E353NN12
5E353QQ03
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】部品供給テープの収納部を開く刃先をカバーテープとキャリアテープとの間に的確に導くことを可能とする。
【解決手段】キャリアテープ62の1番目のポケット63A(収納部)の壁面631を凹ませることができる。したがって、部品供給テープ60の先端691に挿入された刃先571が下側にずれたとしても、壁面631のうち下側に凹んだ部分(刃先案内路66)に当該刃先571を進入させることができる。その結果、刃先571がポケット63の壁面631に突き刺さるのを回避して、当該刃先571をカバーテープ67とキャリアテープ62との間に的確に導くことを可能となる。
【選択図】
図13B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配列された複数の収納部を有するキャリアテープと、前記キャリアテープに接着されて前記複数の収納部それぞれの開口を塞ぐカバーテープとを有する部品供給テープの先端部分に処理を実行するテープ先端処理治具であって、
前記キャリアテープの先端から1番目の収納部と2番目の収納部との間のインターバル部のうち前記1番目の収納部に隣接する部分と、前記1番目の収納部を規定する壁面のうちの前記インターバル部に隣接する壁面とに少なくとも重複する押圧対象領域において前記キャリアテープを押圧することで、前記押圧対象領域において前記キャリアテープを凹ませるテープ押圧部材を備えるテープ先端処理治具。
【請求項2】
前記テープ押圧部材によって押圧される前記部品供給テープを支持するテープ受け部材をさらに備え、
前記テープ受け部材が前記キャリアテープ側から前記部品供給テープを支持しつつ前記テープ押圧部材が前記押圧対象領域において前記カバーテープ側から前記部品供給テープを前記テープ受け部材側に押圧することで、前記押圧対象領域において前記キャリアテープを凹ませる請求項1に記載のテープ先端処理治具。
【請求項3】
前記テープ受け部材を変位可能に支持する第1支持部と、
前記テープ受け部材を前記テープ押圧部材に向けて付勢する第1付勢部材と
をさらに備え、
前記テープ押圧部材が前記カバーテープに当接するとともに前記テープ受け部材が前記キャリアテープに当接した状態から前記テープ押圧部材が前記部品供給テープを前記テープ受け部材側に押圧すると、前記テープ受け部材は、前記部品供給テープを介した前記テープ押圧部材の押圧に応じて変位するとともに、前記第1付勢部材の付勢力によって前記部品供給テープを前記テープ押圧部材との間に挟み込む請求項2に記載のテープ先端処理治具。
【請求項4】
前記テープ押圧部材を変位可能に支持する第2支持部と、
オペレータによって操作される操作部と、
前記操作部と前記第2支持部との間に設けられて、前記テープ押圧部材を前記操作部に対して前記テープ受け部材に向けて付勢する第2付勢部材と
をさらに備え、
前記テープ押圧部材が前記カバーテープに当接するとともに前記テープ受け部材が前記キャリアテープに当接した状態から前記操作部が前記テープ押圧部材に向けて操作されると、前記操作部が前記第2付勢部材を介して前記テープ押圧部材を前記テープ受け部材側に変位させて、前記テープ押圧部材は前記第2付勢部材の付勢力によって前記部品供給テープを前記テープ受け部材との間に挟み込む請求項3に記載のテープ先端処理治具。
【請求項5】
前記テープ押圧部材と前記テープ受け部材とを互いに離間させるように付勢する第3付勢部材をさらに備えた請求項4に記載のテープ先端処理治具。
【請求項6】
前記部品供給テープの下側に位置する下側プレス部材と、
前記部品供給テープの上側に位置する上側プレス部材と
をさらに備え、
前記部品供給テープは、前記押圧対象領域よりも前記部品供給テープの先端側において、前記カバーテープおよび前記キャリアテープのうち前記キャリアテープのみに設けられた、前記部品供給テープの長手方向に沿った切り込みを有し、
前記キャリアテープは、前記切り込みを境界として前記部品供給テープの幅方向に隣接する第1キャリア領域および第2キャリア領域を有し、
前記下側プレス部材は、前記キャリアテープの前記第1キャリア領域に向けて突出した突出部位を有し、
前記上側プレス部材は、前記突出部位に嵌合可能な篏合部位を有し、
前記下側プレス部材と前記上側プレス部材とが前記部品供給テープを挟み込むのに応じて、前記突出部位が前記第1キャリア領域を選択的に下側から持ち上げることで、前記カバーテープのうち前記第1キャリア領域上に位置する第1カバー領域を持ち上げるとともに、前記第1カバー領域の持ち上げに追従して前記第2キャリア領域上に位置する第2カバー領域が前記第2キャリア領域から上方に離間することによって、前記第2キャリア領域と前記第2カバー領域との間に空間を形成する請求項1ないし5のいずれか一項に記載のテープ先端処理治具。
【請求項7】
前記テープ押圧部材は、前記テープ受け部材側に突出する突起を有し、前記突起によって前記部品供給テープを押圧し、
前記テープ受け部材は、前記テープ押圧部材側に開いた溝を有し、前記溝は、前記部品供給テープを押圧する前記突起に前記部品供給テープを介して対向しつつ前記部品供給テープを受ける請求項2に記載のテープ先端処理治具。
【請求項8】
前記1番目の収納部および前記2番目の収納部は部品を収納しない請求項1に記載のテープ先端処理治具。
【請求項9】
一列に配列された複数の収納部を有するキャリアテープと、前記キャリアテープに接着されて前記複数の収納部それぞれの開口を塞ぐカバーテープとを有する部品供給テープの先端部分に処理を実行するテープ先端処理方法であって、
前記キャリアテープの先端から1番目の収納部と2番目の収納部との間のインターバル部のうち前記1番目の収納部に隣接する部分と、前記1番目の収納部を規定する壁面のうちの前記インターバル部に隣接する壁面とに少なくとも重複する押圧対象領域において前記キャリアテープを押圧することで、前記押圧対象領域において前記キャリアテープを凹ませる工程を備えるテープ先端処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一列に配列された複数の収納部(ポケット)を有するキャリアテープと、キャリアテープに接着されて複数の収納部それぞれの開口を塞ぐカバーテープとを有する部品供給テープを用いて収納部に収納された部品を供給する技術に関し、特にカッターによって収納部をスムーズに開くための前処理をキャリアテープに実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
部品供給テープのキャリアテープに収納された部品を部品供給位置に供給するフィーダを備え、部品供給位置に供給された部品を基板に実装することで部品実装基板を生産する部品実装機が知られている(特許文献1、2等)。この部品実装機では、部品を部品供給位置に移動させる前に、当該部品を露出させる必要がある。例えば自動で部品供給テープをローディング可能なフィーダを用いる部品実装機においては、当該部品の収納部を覆っているカバーテープをキャリアテープから剥離させて当該部品を露出させるために、片剥離方式と両開き方式との2種類が提案されている(非特許文献1)。いずれの方式も、ブレードやスクレーパなどの露出処理機構部の刃先をキャリアテープとカバーテープとの間に挿入することで部品を露出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5884083号
【特許文献2】特許第6320001号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】一般社団法人 電子情報技術産業協会、“オートローディングフィーダ対応のエンボステーピング仕様に関する技術報告書”、[online]、2018.11、一般社団法人 電子情報技術産業協会 標準化センター、[令和3年9月21日検索]、インターネット<URL : https://www.jeita.or.jp/japanese/standard/book/ETR-7030_J/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1および特許文献2では、刃先の挿入性を高めるために、露出処理の前処理としてキャリアテープの先端部を凹ませることで挿入用の空間(以下「挿入空間」という)をカバーテープとキャリアテープとの間に形成している。より詳しくは、カバーテープとキャリアテープとの境界に凹部形成用の治具を挿入することで、凹部を上記挿入空間として形成している。しかしながら、部品供給テープの先端に挿入された後に、刃先がカバーテープとキャリアテープの間より下側にずれて、収納部の壁面に突き刺さる場合があった。このような場合、刃先によって収納部を適切に開くことができない。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品供給テープの収納部を開く刃先をカバーテープとキャリアテープとの間に的確に導くことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るテープ先端処理治具は、一列に配列された複数の収納部を有するキャリアテープと、キャリアテープに接着されて複数の収納部それぞれの開口を塞ぐカバーテープとを有する部品供給テープの先端部分に処理を実行するテープ先端処理治具であって、キャリアテープの先端から1番目の収納部と2番目の収納部との間のインターバル部のうち1番目の収納部に隣接する部分と、1番目の収納部を規定する壁面のうちのインターバル部に隣接する壁面とに少なくとも重複する押圧対象領域においてキャリアテープを押圧することで、押圧対象領域においてキャリアテープを凹ませるテープ押圧部材を備える。
【0008】
本発明に係るテープ先端処理方法は、一列に配列された複数の収納部を有するキャリアテープと、キャリアテープに接着されて複数の収納部それぞれの開口を塞ぐカバーテープとを有する部品供給テープの先端部分に処理を実行するテープ先端処理方法であって、キャリアテープの先端から1番目の収納部と2番目の収納部との間のインターバル部のうち1番目の収納部に隣接する部分と、1番目の収納部を規定する壁面のうちのインターバル部に隣接する壁面とに少なくとも重複する押圧対象領域においてキャリアテープを押圧することで、押圧対象領域においてキャリアテープを凹ませる工程を備える。
【0009】
このように構成された本発明では、キャリアテープの1番目の収納部の壁面を凹ませることができる。したがって、部品供給テープの先端に挿入された刃先が下側にずれたとしても、壁面のうち下側に凹んだ部分に当該刃先を進入させることができる。その結果、刃先が収納部の壁面に突き刺さるのを回避して、当該刃先をカバーテープとキャリアテープとの間に的確に導くことを可能となる。
【0010】
また、テープ押圧部材によって押圧される部品供給テープを支持するテープ受け部材をさらに備え、テープ受け部材がキャリアテープ側から部品供給テープを支持しつつテープ押圧部材が押圧対象領域においてカバーテープ側から部品供給テープをテープ受け部材側に押圧することで、押圧対象領域においてキャリアテープを凹ませるように、テープ先端処理治具を構成してもよい。かかる構成では、テープ受け部材によって部品供給テープを支持しつつテープ押圧部材によってキャリアテープを押圧することで、キャリアテープの1番目の収納部の壁面を確実に凹ませることができる。
【0011】
また、テープ受け部材を変位可能に支持する第1支持部と、テープ受け部材をテープ押圧部材に向けて付勢する第1付勢部材とをさらに備え、テープ押圧部材がカバーテープに当接するとともにテープ受け部材がキャリアテープに当接した状態からテープ押圧部材が部品供給テープをテープ受け部材側に押圧すると、テープ受け部材は、部品供給テープを介したテープ押圧部材の押圧に応じて変位するとともに、第1付勢部材の付勢力によって部品供給テープをテープ押圧部材との間に挟み込むように、テープ先端処理治具を構成してもよい。かかる構成では、部品供給テープに加わる力を第1付勢部材によって加減することができる。その結果、部品供給テープを過度に潰してしまうのを回避できる。
【0012】
また、テープ押圧部材を変位可能に支持する第2支持部と、オペレータによって操作される操作部と、操作部と第2支持部との間に設けられて、テープ押圧部材を操作部に対してテープ受け部材に向けて付勢する第2付勢部材とをさらに備え、テープ押圧部材がカバーテープに当接するとともにテープ受け部材がキャリアテープに当接した状態から操作部がテープ押圧部材に向けて操作されると、操作部が第2付勢部材を介してテープ押圧部材をテープ受け部材側に変位させて、テープ押圧部材は第2付勢部材の付勢力によって部品供給テープをテープ受け部材との間に挟み込むように、テープ先端処理治具を構成してもよい。かかる構成では、部品供給テープに加わる力を第2付勢部材によって加減することができる。その結果、部品供給テープを過度に潰してしまうのを回避できる。
【0013】
また、テープ押圧部材とテープ受け部材とを互いに離間させるように付勢する第3付勢部材をさらに備えるように、テープ先端処理治具を構成してもよい。かかる構成では、操作部への操作がない間は、テープ押圧部材とテープ受け部材とを離間させて、これらの間に部品供給テープを挿入することができる。
【0014】
また、部品供給テープの下側に位置する下側プレス部材と、部品供給テープの上側に位置する上側プレス部材とをさらに備え、部品供給テープは、押圧対象領域よりも部品供給テープの先端側において、カバーテープおよびキャリアテープのうちキャリアテープのみに設けられた、部品供給テープの長手方向に沿った切り込みを有し、キャリアテープは、切り込みを境界として部品供給テープの幅方向に隣接する第1キャリア領域および第2キャリア領域を有し、下側プレス部材は、キャリアテープの第1キャリア領域に向けて突出した突出部位を有し、上側プレス部材は、突出部位に嵌合可能な篏合部位を有し、下側プレス部材と上側プレス部材とが部品供給テープを挟み込むのに応じて、突出部位が第1キャリア領域を選択的に下側から持ち上げることで、カバーテープのうち第1キャリア領域上に位置する第1カバー領域を持ち上げるとともに、第1カバー領域の持ち上げに追従して第2キャリア領域上に位置する第2カバー領域が第2キャリア領域から上方に離間することによって、第2キャリア領域と第2カバー領域との間に空間を形成するように、テープ先端処理治具を構成してもよい。かかる構成では、刃先を挿入する空間をキャリアテープとカバーテープの間に容易かる確実に形成することができる。
【0015】
また、テープ押圧部材は、テープ受け部材側に突出する突起を有し、突起によって部品供給テープを押圧し、テープ受け部材は、テープ押圧部材側に開いた溝を有し、溝は、部品供給テープを押圧する突起に部品供給テープを介して対向しつつ部品供給テープを受けるように、テープ先端処理治具を構成してもよい。かかる構成では、突起と溝によって挟み込むことで、キャリアテープの1番目の収納部の壁面を確実に凹ませることができる。
【0016】
また、1番目の収納部および2番目の収納部は部品を収納しない場合に、上記構成は特に好適に機能する。つまり、部品に干渉されることなく、キャリアテープの1番目の収納部の壁面を確実に凹ませることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、部品供給テープの収納部を開く刃先をカバーテープとキャリアテープとの間に的確に導くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明に係るテープ先端処理方法の一実施形態によりテープ先端処理された部品供給テープにより供給される部品を基板に実装する部品実装機の一例を示す平面図。
【
図2】
図1に示す部品実装機が備えるフィーダの構成を示す図。
【
図3】
図2に示すフィーダが部品供給に使用する部品供給テープの構成を示す斜視図。
【
図4】本発明に係るテープ先端処理方法の一実施形態を示すフローチャート。
【
図5】本発明に係るテープ先端処理治具の一実施形態を示す斜視図。
【
図6】
図5に示すテープ先端処理治具により実行される切込導入工程を模式的に示す図。
【
図7A】本発明に係るテープ先端処理方法が適用された部品供給テープの先端部に対する露出処理機構部による露出処理を模式的に示す図。
【
図7B】本発明に係るテープ先端処理方法が適用された部品供給テープの先端部に対する露出処理機構部による露出処理を模式的に示す図。
【
図8A】
図5に示すテープ先端処理治具のテープ屈曲機構の断面図。
【
図8B】
図5に示すテープ先端処理治具のテープ屈曲機構の断面図。
【
図9】部品供給テープとこれを持ち上げる機構の関係を示す側面図。
【
図10】部品供給テープとこれを持ち上げる機構との関係を示す正面図。
【
図12A】
図11の動作に伴って実行される刃先案内路形成工程を拡大して模式的に示す側面図。
【
図12B】
図11の動作に伴って実行される刃先案内路形成工程を拡大して模式的に示す側面図。
【
図13A】
図11の動作に伴って実行される刃先案内路形成工程を拡大して模式的に示す正面図。
【
図13B】
図11の動作に伴って実行される刃先案内路形成工程を拡大して模式的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係るテープ先端処理方法の一実施形態によりテープ先端処理された部品供給テープにより供給される部品を基板に実装する部品実装機の一例を示す平面図である。部品実装機1は、フィーダ型供給機構40に装着されたフィーダ50により供給される電子部品(
図3中の符号E)を基板Bに実装する装置であり、上記フィーダ型供給機構40以外に、基台10と、基板Bを搬送するための搬送コンベア20と、基板B上に電子部品を実装するための部品実装装置30とを備えている。
【0020】
基台10は平面視で長方形状を有している。そして、この基台10に対し、その長手方向と平行に搬送コンベア20が設けられている。また、搬送コンベア20の下方には、基板B上に電子部品を実装する際にその基板Bをバックアップするためのバックアッププレート(図示省略)が設けられている。なお、以下の説明では、基台10の長辺方向(
図1の横方向)および搬送コンベア20による基板Bの搬送方向をX方向とし、基台10の短辺方向(
図1の縦方向)をY方向とし、鉛直方向(後で説明する
図2の縦方向)をZ方向とする。また、X方向の図中の矢印側を(+X)方向側とし、矢印の逆側を(-X)方向側とするとともに、Y方向の図中の矢印側を(+Y)方向側とし、矢印の逆側を(-Y)方向側とする。
【0021】
搬送コンベア20は、Y方向における基台10の略中央位置に配置され、基板Bを搬送方向(X方向)に沿って搬送する。搬送コンベア20は、搬送方向Xに循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えている。基板Bは、両コンベアベルト22に架設する形で載置され、その状態でX方向に搬送される。基板Bは、搬送方向Xの一方側(
図1で示す右側)からコンベアベルト22に沿って基台10上の作業位置(
図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入され、作業位置で停止して電子部品の実装作業がされた後、コンベアベルト22に沿って他方側(
図1で示す左側)に搬出されるようになっている。
【0022】
部品実装装置30は、一対の支持フレーム31と、ヘッドユニット32と、ヘッドユニット32を駆動するヘッドユニット駆動機構とを有している。各支持フレーム31は、それぞれX方向における基台10の両側に位置しており、Y方向に延設されている。支持フレーム31には、ヘッドユニット駆動機構を構成するX軸サーボ機構およびY軸サーボ機構が設けられている。そして、装置全体を制御する制御部(図示省略)からの動作指令に応じてX軸サーボ機構およびY軸サーボ機構が作動することで、ヘッドユニット32が一定の可動領域内でX方向およびY方向に移動する。
【0023】
Y軸サーボ機構は、Y軸ガイドレール33Y、Y軸ボールねじ34YおよびY軸サーボモータ35Yを有している。このY軸サーボ機構では、各支持フレーム31に対し、Y軸ガイドレール33Yが延設されている。また、各Y軸ガイドレール33Yと平行にY軸ボールねじ34Yが延設されている。このY軸ボールねじ34Yの一方端には、Y軸サーボモータ35Yが取り付けられ、制御部からの駆動指令に応じて作動することでY軸ボールねじ34Yに螺合しているボールナット(図示省略)がY方向に移動する。これらのボールナットにヘッド支持体36が固定されている。ヘッド支持体36はX方向に延設されている。そして、2つのY軸ガイドレール33Yを橋渡しするようにヘッド支持体36はボールナット上に配置され、Y軸ガイドレール33Yに沿って移動可能となっている。このため、制御部によりY軸サーボモータ35Yが通電制御されると、上記したボールナットの進退動作によって、ボールナットに固定されたヘッド支持体36およびヘッドユニット32がY軸ガイドレール33Yに沿ってY方向に移動する。
【0024】
X軸サーボ機構は、X軸ガイドレール(図示省略)、X軸ボールねじ34XおよびX軸サーボモータ35Xを有している。このX軸サーボ機構では、ヘッド支持体36に対し、X軸ガイドレール33XがX方向に延設されている。また、X軸ガイドレール33Xと平行にX軸ボールねじ34Xが延設されている。このX軸ボールねじ34Xの一方端には、X軸サーボモータ35Xが取り付けられ、制御部からの駆動指令に応じて作動することでX軸ボールねじ34Xに螺合しているボールナット(図示省略)がX方向に移動する。このボールナットにはヘッドユニット32が固定されており、上記ボールナットの移動によってX軸ガイドレール33Xに沿ってX方向に移動する。
【0025】
ヘッドユニット32は、後述するフィーダ型供給機構40によって供給される電子部品を取り出して基板B上に実装する。ヘッドユニット32には、電子部品の実装動作を行う実装ヘッド37が列状をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド37は、ヘッドユニット32の下面から下向きに突出しており、その先端には電子部品を負圧によって吸着する吸着ノズル(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0026】
各実装ヘッド37は、R軸サーボモータ(図示省略)によって鉛直方向Zに延びる軸周りの回転動作が可能とされている。また、各実装ヘッド37は、Z軸サーボモータの駆動によってヘッドユニット32に対して鉛直方向Zに昇降可能とされている。
【0027】
なお、ヘッドユニット32には、基板認識カメラC1が設けられている。基板認識カメラC1は、撮像面を下に向けた状態でヘッドユニット32のフレーム32Aに固定されており、ヘッドユニット32とともに一体的に移動する。基板認識カメラは、ヘッドユニット32がX方向およびY方向に移動されることで、作業位置に停止した基板B上の任意の位置の画像を撮像する。
【0028】
また、基台10上におけるヘッドユニット32による作業位置の近傍には、部品認識カメラC2が固定されている。部品認識カメラC2は、実装ヘッド37によって部品供給位置S(
図2)から取り出された電子部品の画像を撮像することで、各電子部品の吸着ノズル38による吸着姿勢等を認識する。
【0029】
図2は
図1に示す部品実装機が備えるフィーダの構成を示す図である。
図3は
図2に示すフィーダが部品供給に使用する部品供給テープの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、フィーダ型供給機構40は搬送コンベア20の両側(
図1の上下両側)においてX方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。各フィーダ型供給機構40は、複数のフィーダ50を列状に着脱可能に装着した一括交換台車により構成されている。各フィーダ型供給機構40には、複数のリール支持部(図示省略)が設けられており、リール支持部に対してリール状に巻回された部品供給テープ60をフィーダ50に送出可能となっている。
【0030】
部品供給テープ60は、例えば
図3に示すように、一方向(Y方向)に長いシート形状を有するキャリアテープ62と、キャリアテープ62の上面に貼り付けられたカバーテープ67とから構成される。キャリアテープ62には、それぞれ上方に開口したボックス状の複数のポケット63が当該キャリアテープ62の長手方向(Y方向)に等ピッチで一列に配列されている。また、キャリアテープ62の一辺側には、その縁部に沿って上下に貫通する係合孔65が一定間隔で設けられている。複数のポケット63のそれぞれは上側に開口し、複数のポケット63のそれぞれの開口はカバーテープ67によって塞がれている。このキャリアテープ62では、隣接する2個のポケット63の間に、所定長さのインターバル部64が設けられている。つまり、複数のポケット63はインターバル部64を空けてY方向に配列されている。
図3の例では、複数のポケット63のうち、部品供給テープ60の先端691から1番目および2番目のポケット63A、63Bには電子部品Eが収納されておらず、3番目以後のポケット63に電子部品Eが収納されている。
【0031】
このように構成された部品供給テープ60は、後で詳述するテープ先端処理治具によるテープ先端処理が実行された状態で、リール支持部から送出されてフィーダ50にセットされた後、制御部からの動作指令に応じたフィーダ50の動作によって部品供給位置Sに向けて搬送される。なお、フィーダ50の構成説明を行うにあたって、説明の便宜から、電子部品Eを供給する側(搬送コンベア20に向けられる側、
図2における右側)を前側とし、それとは反対側を後側とする。また、フィーダ50の前後方向(Y方向)および高さ方向(Z方向)の両者と直交する方向をフィーダ50の幅方向(X方向)とする。
【0032】
フィーダ型供給機構40には、フィーダ取付部42が設けられており、当該フィーダ取付部42に対して複数のフィーダ50がX方向に一列に整列して取り付け可能となっている。各フィーダ50では、電子部品Eを収納する部品供給テープ60を部品供給位置Sに向けて送出するために、
図2に示すように、前後方向(Y方向)に長い形状をなす本体部51に対して2つの送出部52、54が設けられている。なお、本体部51には、カバー部材511が取り付けられているが、
図2ではカバー部材511を切欠いて両送出部52、54の構成を図示している。
【0033】
これらのうち送出部52は、本体部51の前側部分に設けられた前側送出部であり、前側モータ52Aと、複数枚のギヤからなる前側ギヤ群52Bと、本体部51の前端上部に配された前側スプロケット52Cと、中間スプロケット52Dとを有している。前側モータ52Aは制御部と電気的に接続されており、制御部からの動作指令に応じて動作する。これによって、前側モータ52Aが制御部に予め記憶された実装プログラムに従って作動する。そして、前側モータ52Aの動力は前側ギヤ群52Bを介して前側スプロケット52Cおよび中間スプロケット52Dに伝達され、前側スプロケット52Cおよび中間スプロケット52Dを回転させる。この前側スプロケット52Cの外周には、部品供給テープ60の係合孔65に係合される歯52Eが等ピッチで形成されている。また、中間スプロケット52Dの外周にも、前側スプロケット52Cと同様に、部品供給テープ60の係合孔65に係合される歯52Fが等ピッチで形成されている。そして、前側送出部52は、前側スプロケット52Cの歯52Eが部品供給テープ60の係合孔65に係合した状態で前側スプロケット52Cおよび中間スプロケット52Dを回転させることで、後側送出部54側から送出されてくる部品供給テープ60をフィーダ50の前端部の部品供給位置Sに送出する。
【0034】
また、
図2に示すように、中間スプロケット52Dと前側スプロケット52Cとの間には、露出処理位置が設けられ、当該露出処理位置に露出処理機構部57が配置されている。すなわち、露出処理機構部57は部品供給位置Sに対して(-Y)方向側に配置されている。このため、露出処理機構部57に搬送されてきた部品供給テープ60のカバーテープ67が露出処理機構部57により片剥離方式でキャリアテープ62から剥離され、電子部品Eが露出される。そして、電子部品Eを露出させた状態で部品供給テープ60が部品供給位置Sに供給される。なお、テープ先端処理治具およびテープ先端処理については、後で詳述する。
【0035】
後側送出部54は、後側モータ54Aと、複数枚のギヤからなる後側ギヤ群54Bと、本体部51の後端上部に配された後側スプロケット54Cとを有している。後側送出部54も、基本的には、前側送出部52と同様に構成されている。すなわち、後側モータ54Aは制御部と電気的に接続されており、制御部からの動作指令に応じて動作する。これによって、後側モータ54Aが上記実装プログラムに従って作動する。そして、後側モータ54Aの動力が後側ギヤ群54Bを介して後側スプロケット54Cに伝達され、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔65に係合した状態で後側スプロケット54Cが回転する。これによって、部品供給テープ60がテープ通路56を介して前側送出部52に送出される。
【0036】
つまり、部品供給テープ60を後側送出部54にセットすることで後側送出部54により前側送出部52に送出し、さらに前側送出部52により部品供給テープ60を前方に送出することで部品供給テープ60に収納された電子部品Eを部品供給位置Sに搬送することが可能となっている。また、上記したように前側スプロケット52Cの歯52Eが部品供給テープ60の係合孔65に係合した状態では、後側スプロケット54Cの歯54Dが部品供給テープ60の係合孔65に係合していない状態、つまりフリー状態のまま、前側送出部52のみにより電子部品Eを部品供給位置Sに搬送することが可能となっている。さらに、フィーダ50に対して先にセットされた部品供給テープ60(以下、これを「先行テープ60」と称する)を前側送出部52のみにより送出するとともに、先行テープ60の末端部がフィーダ50に近づくのに対応してフィーダ50に対してセットされた部品供給テープ60(以下、これを「後続テープ60」と称する)を後側送出部54により前側送出部52に向けて送出することが可能となっている。すなわち、フィーダ50は、前側送出部52および後側送出部54を有し、以下の3つの態様、
・第1テープ送出態様:1つの部品供給テープ60を後側送出部54で前側送出部52に送り、さらに同部品供給テープ60を前側送出部52により部品供給位置Sに送出する、
・第2テープ送出態様:1つの部品供給テープ60を前側送出部52のみで部品供給位置Sに送出する、
・第3テープ送出態様:前側送出部52のみによる先行テープ60の部品供給位置Sへの送出から独立して後続テープ60を後側送出部54で前側送出部52に送る、
で部品供給テープ60を搬送することが可能となっている。
【0037】
また、本体部51には、上記3つの送出態様を実行可能とするために、
図2に示すように、後側送出部54から前側送出部52に向けてテープ通路56が設けられるとともに、部品供給テープ60をテープ通路56に導入するための導入領域53が設けられている。この導入領域53はテープ通路56と接続する位置から本体部51の後端部に向けて高さ方向Zにおいてラッパ状に広がっている。
【0038】
この導入領域53に対しては、テープセット部55の先端が挿脱可能に設けられている。そして、導入領域53へのテープセット部55の挿入により部品供給テープ60を後側送出部54による送出を可能とする。また、導入領域53からのテープセット部55の引抜(離脱)およびテープ支持の解除によって部品供給テープ60を導入領域53の下方側に移動させて後側送出部54に対してフリー状態にする。なお、テープセット部55と、テープセット部55をY方向に移動させるセット移動機構70とは、特開2017-199831号公報に記載のこれらと同様の構成を具備している。したがって、ここでは、テープセット部55およびセット移動機構70に関する説明は省略する。
【0039】
ここまで説明してきたように、部品実装機1に装備されているフィーダ50は、自動で部品供給テープ60をローディングでき、先行テープ60による部品供給中に後続テープ60を自動的に送出して後続テープ60の先端部を先行テープ60の末端部に近づけて部品供給の切れ目を抑制する機能を有している。この機能を効果的に発揮させるためには、上記したテープ先端処理を施すことが有効であり、それを確実に実現するためには、専用のテープ先端処理治具を用いるのが好適である。以下、本発明に係るテープ先端処理およびテープ先端処理治具の一実施形態について、以下に詳述する。
【0040】
図4は本発明に係るテープ先端処理方法の一実施形態を示すフローチャートである。また、
図5は本発明に係るテープ先端処理治具の一実施形態を示す斜視図である。さらに、
図6は
図5に示すテープ先端処理治具により実行される切込導入工程を模式的に示す図である。また、
図7Aおよび
図7Bは本発明に係るテープ先端処理方法が適用された部品供給テープの先端部に対する露出処理機構部による露出処理を模式的に示す図である。このテープ先端処理方法は、後続テープ60、つまり新たな部品供給テープ60をテープセット部55にセットし、当該テープセット部55を導入領域53に挿入する前に行われるものである。テープ先端処理方法は、大きく分けて4つの工程(切断工程、切込導入工程、刃先案内路形成工程および刃先挿入空間形成工程)を有している。なお、刃先案内路形成工程および刃先挿入空間形成工程とは、後述するように、オペレータの一回的な作業によって実行される。
【0041】
切断工程は、リール支持部から繰り出した部品供給テープ60を切断する工程であり、例えば特開2017-162844号公報に記載されたテープ切断治具などを用いて行われる。より具体的には、例えば
図3に示すように、オペレータは、互いに隣接するポケット63の間、つまりインターバル部64に対してテープ切断治具を適用して部品供給テープ60を切断する(ステップS1)。これによって、切断後の部品供給テープ60の先端691は、インターバル部64に形成される。そして、Y方向において部品供給テープ60の先端691から所定範囲の先端処理領域69に対して、切込導入工程(ステップS2)、刃先案内路形成工程(ステップS3)および刃先挿入空間形成工程(ステップS4)が実行される。特に、切込導入工程および刃先挿入空間形成工程は、先端処理領域69のうち、Y方向において先端691と1番目のポケット63Aとの間の先端部692(すなわち、先端691に隣接するインターバル部64)に対して実行される。また、刃先案内路形成工程は、先端処理領域69のうち、Y方向において先端部692よりも進入した押圧対象部693に対して実行される。この押圧対象部693は、Y方向において、1番目のポケット63Aの途中から、1番目のポケット63Aと2番目のポケット63Bとの間のインターバル部64の途中までに設けられている。
【0042】
切込導入工程は、
図5に示すテープ先端処理治具100をオペレータが操作することで実行される。この切込導入工程では、先端処理領域69の先端部692および押圧対象部693のうち、先端部692に対して選択的に切り込みが入れられる。具体的には、
図5中の矢印AR2に示すように、オペレータは部品供給テープ60の先端処理領域69をテープ先端処理治具100の切込導入機構110に挿入する。それに続いて、ステープラと同様の操作でオペレータがテープ先端処理治具100を操作する。これにより、カッターなどの切込部112の刃先112aが先端部692においてキャリアテープ62にのみ食い込み、部品供給テープ60の長手方向Yに沿った切り込みをキャリアテープ62に対してのみ入れる。その結果、
図6に示すように、部品供給テープ60の幅方向Xにおいて先端部692のキャリアテープ62が第1キャリア領域621と第2キャリア領域622とに分離される。一方、カバーテープ67には、切込部112の刃先112aは達しておらず、切り込みは導入されない。
【0043】
オペレータがテープ先端処理治具100の操作を停止し、部品供給テープ60を切込導入機構110から引き出すことで、切込導入工程は終了する。これに続いて、
図5中の矢印AR3に示すように、オペレータは、先端処理領域69をテープ先端処理治具100のテープ屈曲機構150に挿入する。そして、再びステープラと同様の操作でオペレータがテープ先端処理治具100を操作する。
【0044】
これにより、部品供給テープ60の押圧対象部693が下側に押圧されて、当該押圧対象部693が凹む。この押圧対象部693は、上述の通り、1番目のポケット63Aの途中から1番目のポケット63Aと2番目のポケット63Bの間のインターバル部64の途中までに設けられている。つまり、この押圧対象部693は、1番目のポケット63Aを規定する壁面のうち、1番目のポケット63Aと2番目のポケット63Bとの間のインターバル部64に隣接する壁面631(すなわち、ポケット63Aの後端の壁面631)を含む。したがって、押圧対象部693が凹むことで、1番目のポケット63Aの後端の壁面631が下側に凹んで、刃先の案内路が形成される(刃先案内路形成工程S3)。
【0045】
さらに、先端部692の第1キャリア領域621のみが選択的に下方から持ち上げられる。これに伴って、カバーテープ67のうち第1キャリア領域621上に位置する第1カバー領域671が持ち上げられるとともに、第1カバー領域671の持ち上げに追従して第2キャリア領域622上に位置する第2カバー領域672が第2キャリア領域622から上方に離間する。その結果、第2キャリア領域622と第2カバー領域672との間に刃先の挿入空間(
図7A等の符号SP)が形成される(刃先挿入空間形成工程S4)。
【0046】
こうしてテープ先端処理が完了すると、オペレータは部品供給テープ60をテープ屈曲機構150から引き出した後、当該部品供給テープ60をテープセット部55に装着し、当該テープセット部55を導入領域53に挿入する。そして、当該部品供給テープ60を用いて部品供給を行うためにテープ搬送が行われると、
図7Aの(a)欄に示すように先端部692が露出処理位置に到達する。同欄の(a-2)および(b)欄において、露出処理機構部57と部品供給テープ60との位置関係を明確にするために、露出処理機構部57にドットを付している。このように先端部692の露出処理位置への到達により、露出処理機構部57の刃先571が挿入空間SPに入り込む。
【0047】
また、挿入空間SPに入り込んだ刃先571は、
図7Bに示す動作を実行する。なお、
図7Bでは、上記の刃先案内路形成工程S3により形成された凹みの機能を示すために、凹みが無い場合と凹みが有る場合とが併記されている。
図7Bの「凹み無し」の列および
図7Bの「凹み有り」の列のそれぞれの「初期」の欄に示すように、挿入空間SPから入り込んだ刃先571は、キャリアテープ62とカバーテープ67との間を進行して、キャリアテープ62からカバーテープ67を剥がす。一方、
図7Bの「凹み無し」の列の「進入時」の欄に示す例では、「初期」からさらに進行した刃先571が1番目のポケット63Aの壁面631に突き刺さってしまっている。これは、刃先571がキャリアテープ62に対して相対的に下側にずれたために発生する。
【0048】
これに対して、
図7Bの「凹み有り」の列に示す例では、押圧対象部693においてキャリアテープ62が押圧された結果、ポケット63Aの壁面631が下側に凹むことで、キャリアテープ62とカバーテープ67との間に刃先案内路66が形成されている。その結果、
図7Bの「凹み有り」の列の「進入時」の欄に示す例では、刃先571が相対的に下側にずれたとしても、刃先571を刃先案内路66に進入させることができる。その結果、刃先案内路66に進入した刃先571にキャリアテープ62およびカバーテープ67が倣って、キャリアテープ62とカバーテープ67との間に刃先571を相対的に案内することができる。
【0049】
ちなみに、刃先案内路形成工程S3の結果、下側に押圧されたカバーテープ67がキャリアテープ62と同様に下側に凹む場合がある。このような場合であっても、キャリアテープ62とカバーテープ67との間に進入した刃先571が進行するのに伴って、カバーテープ67をキャリアテープ62から離す力が作用して、刃先案内路66が形成される。
【0050】
次に、テープ先端処理治具100の構成および動作について説明する。テープ先端処理治具100は、
図5に示すように、基台101と、仕切部材102と、操作部材103とを有している。基台101は、切込導入機構110およびテープ屈曲機構150を保持するベースとしての機能を有している。基台101の上面中央部には、上方に立設された仕切部材102がY方向に延設されている。この仕切部材102により、基台101の上方空間が幅方向Xにおいて2つの仕切空間に仕切られている。そして、(-X)方向側の仕切空間に切込導入機構110が配置される一方、(+X)方向側の仕切空間にテープ屈曲機構150が配置されている。
【0051】
また、基台101、仕切部材102、切込導入機構110およびテープ屈曲機構150を上方から覆うように、操作部材103が配置されている。操作部材103の(+Y)方向側の端部が基台101の(+Y)方向側の端部に対し、軸支ピン104を介して揺動可能に連結されている。このため、操作部材103の(-Y)方向側の端部が切込導入機構110およびテープ屈曲機構150の上方側で離接可能となっている。なお、オペレータがテープ先端処理治具100を操作しない間、次に説明するテープ先端処理治具100に設けられたバネの付勢力が操作部材103に与えられる。その結果、
図5に示すように、操作部材103の(-Y)方向側の端部は切込導入機構110およびテープ屈曲機構150から上方に離れた位置で静止している。
【0052】
図8Aおよび
図8Bは
図5に示すテープ先端処理治具のテープ屈曲機構の断面図である。
図8Aと
図8Bとの違いは、
図8Aで示された前面部分の一部の部材が
図8Bでは省略されて、当該一部の部材の後ろ側の部材が示されている点である。
【0053】
テープ屈曲機構150は、
図5中の(+X)方向側の仕切空間において基台101に固定された固定フレーム151と、固定フレーム151に固定された下側プレス部材152とを有する。下側プレス部材152は、固定フレーム151の上面から上側に突出する。さらに、テープ屈曲機構150は、固定フレーム151に固定されたストッパー153を有する。ストッパー153は、オペレータによってテープ屈曲機構150に差し込まれた部品供給テープ60の先端691に当接することで、部品供給テープ60の(+)Y方向側への進入を規制する。このストッパー153は、下側プレス部材152に対して(+Y)方向側に設けられている。
【0054】
さらに、テープ屈曲機構150は、揺動フレーム155と、固定フレーム151に対して揺動フレーム155を揺動可能に支持する軸支ピン156とを有する。軸支ピン156は、ストッパー153よりも(+Y)方向側において、X方向に平行に設けられており、揺動フレーム155の(+Y)方向側の端部が軸支ピン156によって支持される。この揺動フレーム155には、下側プレス部材152の上方に設けられた上側プレス部材154が取り付けられている。この上側プレス部材154は、揺動フレーム155から下側に突出して、揺動フレーム155の揺動に伴って、下側プレス部材152に対して離間・接近する。この上側プレス部材154は、部品供給テープ60を介して、下側プレス部材152に上側から対向する。
【0055】
また、テープ屈曲機構150は、軸支ピン156よりも(-Y)側方向において、固定フレーム151と揺動フレーム155との間に設けられたバネ部材157を有する。バネ部材157は、下側の固定フレーム151と上側の揺動フレーム155とを互いに離間させる方向へこれらを付勢する。換言すれば、バネ部材157は、固定フレーム151に対して揺動フレーム155を上側へ付勢する。さらに、テープ屈曲機構150は、バネ部材157よりも(-Y)側方向において、揺動フレーム155と操作部材103との間に設けられたバネ部材159を有する。このように、揺動フレーム155の(+Y)方向側の端部に軸支ピン156が設けられ、揺動フレーム155の(-Y)方向側の端部にバネ部材159が設けられ、揺動フレーム155の中央部にバネ部材157が設けられている。バネ部材159は、下側の揺動フレーム155と上側の操作部材103とを互いに離間させる方向へこれらを付勢する。換言すれば、バネ部材159は、操作部材103に対して揺動フレーム155を下側へ付勢する。
【0056】
ここで、オペレータがテープ先端処理治具100を操作しない間、バネ部材157の付勢力によって、揺動フレーム155は固定フレーム151から上方に離れる。これによって、上側プレス部材154が下側プレス部材152から上方に離れ、既に切込導入工程を受けた部品供給テープ60の先端部692をテープ屈曲機構150に挿入し、ストッパー153により係止しながら下側プレス部材152と上側プレス部材154との間に位置決め可能となっている。
【0057】
下側プレス部材152の上部には、
図9の部分拡大領域R1に示すように、(+X)方向側において上方に突出した突出部位152aが設けられている。一方、上側プレス部材154の下部には、
図9の部分拡大領域R2に示すように、(+X)方向側において上方に後退した後退部位154aが設けられている。これらの突出部位152aおよび後退部位154aは互いに嵌合可能な形状を有している。そして、部品供給テープ60の先端部692を下側プレス部材152の上方位置に位置決めした状態でオペレータが操作部材103を操作し、バネ部材159の付勢力に抗いながら
図8の紙面において反時計回りに操作部材103を揺動させると、上側プレス部材154が揺動フレーム155と一体的に下側プレス部材152に向かって移動し、下側プレス部材152とで先端部692を挟み込む。すると、2つのキャリア領域621、622のうち(+Y)方向側に位置する第1キャリア領域621が選択的に下方から突出部位152aにより持ち上げられる。このとき、カバーテープ64のうち第1キャリア領域621上に位置する第1カバー領域671も一緒に持ち上げられる。また、この第1カバー領域671の持ち上げに追従して第2キャリア領域622上に位置する第2カバー領域672が第2キャリア領域622から上方に剥離され、離間する。これによって、
図10に示すように、第2キャリア領域622と第2カバー領域672との間に空間SPが形成される(刃先挿入空間形成工程S4)。
【0058】
また、テープ屈曲機構150は、固定フレーム151に対して揺動可能に軸支ピン156に支持された揺動フレーム161を有する。揺動フレーム161は、Y方向に延設された延設部162と、延設部162の(+Y)方向側の端部に設けられたプレート部163と、延設部162の(-Y)方向側の端部に設けられたプレート部164とを有する。なお、
図8Bでは、延設部162に隠れる部材を示すために、延設部16が省略されている。プレート部163およびプレート部164はそれぞれ延設部162からX方向に延設されている。また、テープ屈曲機構150は、プレート部164の上面に設けられたテープ受け部材165を有する。したがって、軸支ピン156を中心とする揺動フレーム161の揺動に伴って、プレート部163が上昇するとプレート部164およびテープ受け部材165が下降し、プレート部163が下降するとプレート部164およびテープ受け部材165が上昇する。さらに、テープ屈曲機構150は、揺動フレーム161のプレート部163と操作部材103のの(+Y)方向側の端部との間に設けられたバネ部材166を有する。バネ部材166は、軸支ピン156の(+Y)方向側で揺動フレーム161のプレート部163と操作部材103とを互いに離間させる方向へこれらを付勢する。換言すれば、バネ部材159は、操作部材103に対して揺動フレーム161のプレート部163を下側へ付勢する。その結果、テープ受け部材165は、バネ部材166によって上側に付勢される。
【0059】
さらに、テープ屈曲機構150は、テープ受け部材165の上側に設けられたテープ押圧部材167を有する。このテープ受け部材165は、軸支ピン156よりも(-Y)方向側において揺動フレーム155に取り付けられて、揺動フレーム155から下側に突出する。このテープ押圧部材167は、揺動フレーム155の揺動に伴って、テープ受け部材165に対して離間・接近する。テープ押圧部材167は、部品供給テープ60を介して、テープ受け部材165に上側から対向する。
【0060】
ここで、オペレータがテープ先端処理治具100を操作しない間、バネ部材157の付勢力によって、揺動フレーム155は固定フレーム151から上方に離れる。これによって、テープ押圧部材167がテープ受け部材165から上方に離れ、部品供給テープ60の先端部692をテープ屈曲機構150に挿入し、ストッパー153により係止しながらテープ受け部材165とテープ押圧部材167との間に位置決め可能となっている。
【0061】
図11はテープ屈曲機構の動作を模式的に示す図であり、
図12Aおよび
図12Bは
図11の動作に伴って実行される刃先案内路形成工程を拡大して模式的に示す側面図であり、
図13Aおよび
図13Bは
図11の動作に伴って実行される刃先案内路形成工程を拡大して模式的に示す正面図である。
【0062】
図11の「離間状態」の欄では、オペレータによる操作部材103に対する操作はない。そのため、バネ部材157の付勢力によって、テープ押圧部材167はテープ受け部材165から上側へ離間し、上側プレス部材154は下側プレス部材152から上側へ離間する。また、テープ受け部材165は、バネ部材166の付勢力によって上昇位置Luに位置する。なお、テープ受け部材165の上昇位置Luからの上昇は、不図示の規制部材等によって規制されている。その結果、ストッパー153にまで進入した部品供給テープ60は、テープ押圧部材167とテープ受け部材165との間に位置するとともに、上側プレス部材154と下側プレス部材152との間に位置する。換言すれば、テープ押圧部材167は部品供給テープ60に上側から対向し、テープ受け部材165は部品供給テープ60に下側から対向するとともに、上側プレス部材154は部品供給テープ60に上側から対向するとともに、下側プレス部材152は部品供給テープ60に下側から対向する。
【0063】
この「離間状態」からオペレータが操作部材103を基台101に向けて下側に操作すると、操作部材103がバネ部材159を介して揺動フレーム155を下側に押圧する。。その結果、揺動フレーム155に支持されるテープ押圧部材167および上側プレス部材154が軸支ピン156を中心に下側に揺動する。そして、テープ押圧部材167が部品供給テープ60の上面、すなわちカバーテープ67に上側から当接する(
図11の「途中状態」の欄)。
図12Aおよび
図12Bに示すように、テープ押圧部材167は、下側に突出する突起167pを有し、突起167pの先端(下端)がカバーテープ67に当接する。この突起167pはY方向に延設されて、所定の長さを有する。なお、テープ押圧部材167が部品供給テープ60の上面に当接した時点では、上側プレス部材154と下側プレス部材152とは互いに離間しており、上側プレス部材154は部品供給テープ60から上側に離間している。
【0064】
さらに、この「途中状態」からオペレータが操作部材103を基台101に向けて下側に操作すると、テープ押圧部材167の突起167pが部品供給テープ60のカバーテープ67を上側から押圧するとともに、テープ受け部材165が部品供給テープ60のキャリアテープ62に下側から当接する。つまり、テープ受け部材165によって下側から支持されている部品供給テープ60を、テープ押圧部材167の突起167pが上側から押圧する。また、テープ受け部材165は、軸支ピン156を中心に揺動可能であるため、部品供給テープ60を介してテープ押圧部材167に押圧されることで下側に揺動する(
図11の「当接状態」の欄)。また、テープ押圧部材167とともに、上側プレス部材154も下側に揺動する。そして、
図10を用いて上述したように、上側プレス部材154と下側プレス部材152とが部品供給テープ60を介して当接することで、テープ押圧部材167および上側プレス部材154の下側への揺動が停止する。これに伴って、テープ受け部材165の下側への揺動も停止して、テープ受け部材165は上昇位置Luより下側の下降位置Llに位置する。
【0065】
テープ受け部材165が下降位置Llに位置する状態(当接状態)では、部品供給テープ60には、バネ部材159の付勢力F159がテープ押圧部材167の突起167pを介して上側から加わるとともに、バネ部材166の付勢力F166がテープ受け部材165を介して下側から加わる。また、バネ部材157は、テープ押圧部材167を上側に付勢するように働くため、部品供給テープ60に上側から加わる付勢力は、バネ部材159の付勢力F159からバネ部材157の付勢力F157を減算した値となる。ここで、これらの大小関係は、
付勢力F159>付勢力F166>付勢力F157
となっている。
【0066】
こうして、部品供給テープ60は、押圧対象部693において、テープ押圧部材167の突起167pとテープ受け部材165とによって挟み込まれる。また、
図12Aおよび
図12Bに示すように、テープ受け部材165は下側に凹んだV字状の溝165vを有する。この溝165vは、Y方向に延設されて所定の長さを有し、突起167pに下側から対向する。したがって、
図12Bに示すように、部品供給テープ60の上側部分は、突起167pの形状に沿って下側に凹むとともに、部品供給テープ60の下側部分は、溝165vの形状に沿って下側に凹む。さらに、
図13Bに示すように、部品供給テープ60の上側部分は、押圧対象部693に渡って凹む。この押圧対象部693は、上述の通り、ポケット63Aを規定する壁面のうち後端の壁面631を含む。したがって、押圧対象部693が凹むことで、1番目のポケット63Aの後端の壁面631が下側に凹んで、刃先案内路66が形成される(刃先案内路形成工程S3)。
【0067】
以上に説明する実施形態では、キャリアテープ62の1番目のポケット63A(収納部)の壁面631を凹ませることができる。したがって、部品供給テープ60の先端691に挿入された刃先571が下側にずれたとしても、壁面631のうち下側に凹んだ部分(刃先案内路66)に当該刃先571を進入させることができる。その結果、刃先571がポケット63の壁面631に突き刺さるのを回避して、当該刃先571をカバーテープ67とキャリアテープ62との間に的確に導くことを可能となる。
【0068】
また、テープ押圧部材167によって押圧される部品供給テープ60を支持するテープ受け部材165が具備されている。このテープ受け部材165がキャリアテープ62側から部品供給テープ60を支持しつつテープ押圧部材167が押圧対象部693(押圧対象領域)においてカバーテープ67側から部品供給テープ60をテープ受け部材165側に押圧することで、押圧対象部693においてキャリアテープ62を凹ませる。かかる構成では、テープ受け部材165によって部品供給テープ60を支持しつつテープ押圧部材167によってキャリアテープ62を押圧することで、キャリアテープ62の1番目のポケット63Aの壁面631を確実に凹ませることができる。
【0069】
また、テープ受け部材165を変位可能に支持する揺動フレーム161と、テープ受け部材165をテープ押圧部材167に向けて付勢するバネ部材166(第1付勢部材)とが具備されている。そして、テープ押圧部材167がカバーテープ67に当接するとともにテープ受け部材165がキャリアテープ62に当接した状態からテープ押圧部材167が部品供給テープ60をテープ受け部材165側に押圧すると、テープ受け部材165は、部品供給テープ60を介したテープ押圧部材167の押圧に応じて変位するとともに、バネ部材166の付勢力F166によって部品供給テープ60をテープ押圧部材167との間に挟み込む。かかる構成では、部品供給テープ60に加わる力をバネ部材166によって加減することができる。その結果、部品供給テープ60を過度に潰してしまうのを回避できる。
【0070】
また、テープ押圧部材167を変位可能に支持する揺動フレーム155(第2支持部)と、オペレータによって操作される操作部材103(操作部)と、操作部材103と揺動フレーム155との間に設けられて、テープ押圧部材167を操作部材103に対してテープ受け部材165に向けて付勢するバネ部材159(第2付勢部材)とが具備されている。テープ押圧部材167がカバーテープ67に当接するとともにテープ受け部材165がキャリアテープ62に当接した状態から操作部材103がテープ押圧部材167に向けて操作されると、操作部材103がバネ部材159を介してテープ押圧部材167をテープ受け部材165側に変位させる。そして、テープ押圧部材167はバネ部材159の付勢力F159によって部品供給テープ60をテープ受け部材165との間に挟み込む。かかる構成では、部品供給テープ60に加わる力をバネ部材159によって加減することができる。その結果、部品供給テープ60を過度に潰してしまうのを回避できる。
【0071】
また、テープ押圧部材167とテープ受け部材165とを互いに離間させるように付勢するバネ部材157(第3付勢部材)が具備されている。かかる構成では、操作部材103への操作がない間は、テープ押圧部材167とテープ受け部材165とを離間させて、これらの間に部品供給テープ60を挿入することができる。
【0072】
また、部品供給テープ60の下側に位置する下側プレス部材152と、部品供給テープ60の上側に位置する上側プレス部材154とが具備されている。部品供給テープ60は、押圧対象部693(押圧対象領域)よりも部品供給テープ60の先端691側において、カバーテープ67およびキャリアテープ62のうちキャリアテープ62のみに設けられた、部品供給テープ60の長手方向に沿った切り込みを有する。キャリアテープ62は、切り込みを境界として部品供給テープ60の幅方向に隣接する第1キャリア領域621および第2キャリア領域622を有する。また、下側プレス部材152は、キャリアテープ62の第1キャリア領域621に向けて突出した突出部位152aを有し、上側プレス部材154は、突出部位152aに嵌合可能な後退部位154a(篏合部位)を有する。そして、下側プレス部材152と上側プレス部材154とが部品供給テープ60を挟み込むのに応じて、突出部位152aが第1キャリア領域621を選択的に下側から持ち上げることで、カバーテープ67のうち第1キャリア領域621上に位置する第1カバー領域671を持ち上げるとともに、第1カバー領域671の持ち上げに追従して第2キャリア領域622上に位置する第2カバー領域672が第2キャリア領域622から上方に離間することによって、第2キャリア領域622と第2カバー領域672との間に挿入空間SPを形成する。かかる構成では、刃先571を挿入するための挿入空間SPをキャリアテープ62とカバーテープ67との間に容易かる確実に形成することができる。
【0073】
また、テープ押圧部材167は、テープ受け部材165側(下側)に突出する突起167pを有し、突起167pによって部品供給テープ60を押圧する。さらに、テープ受け部材165は、テープ押圧部材167側(上側)に開いた溝165vを有し、溝165vは、部品供給テープ60を押圧する突起167pに部品供給テープ60を介して対向しつつ部品供給テープ60を受ける。かかる構成では、突起167pと溝165vによって挟み込むことで、キャリアテープ62の1番目のポケット63Aの壁面631を確実に凹ませることができる。
【0074】
また、1番目のポケット63Aおよび2番目のポケット63Bは電子部品E(部品)を収納しない。したがって、電子部品Eに干渉されることなく、キャリアテープ62の1番目のポケット63Aの壁面631を確実に凹ませることができる。
【0075】
以上に説明する実施形態では、部品供給テープ60が本発明の「部品供給テープ」の一例に相当し、キャリアテープ62が本発明の「キャリアテープ」の一例に相当し、第1キャリア領域621が本発明の「第1キャリア領域」の一例に相当し、第2キャリア領域622が本発明の「第2キャリア領域」の一例に相当し、ポケット63が本発明の「収納部」の一例に相当し、ポケット63Aが本発明の「1番目の収納部」の一例に相当し、ポケット63Bが本発明の「2番目の収納部」の一例に相当し、インターバル部64が本発明の「インターバル部」の一例に相当し、カバーテープ67が本発明の「カバーテープ」の一例に相当し、第1カバー領域671が本発明の「第1カバー領域」の一例に相当し、第2カバー領域672が本発明の「第2カバー領域」の一例に相当し、先端処理領域69が本発明の「先端部分」の一例に相当し、押圧対象部693が本発明の「押圧対象領域」の一例に相当し、テープ先端処理治具100が本発明の「テープ先端処理治具」の一例に相当し、操作部材103が本発明の「操作部」の一例に相当し、下側プレス部材152が本発明の「下側プレス部材」の一例に相当し、突出部位152aが本発明の「突出部位」の一例に相当し、上側プレス部材154が本発明の「上側プレス部材」の一例に相当し、後退部位154aが本発明の「篏合部位」の一例に相当し、揺動フレーム155が本発明の「第2支持部」の一例に相当し、バネ部材157が本発明の「第3付勢部材」の一例に相当し、バネ部材159が本発明の「第2付勢部材」の一例に相当し、揺動フレーム161が本発明の「第1支持部」の一例に相当し、テープ受け部材165が本発明の「テープ受け部材」の一例に相当し、溝165vが本発明の「溝」の一例に相当し、バネ部材166が本発明の「第1付勢部材」の一例に相当し、テープ押圧部材167が本発明の「テープ押圧部材」の一例に相当し、突起167pが本発明の「突起」の一例に相当する。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、テープ先端処理治具100に対して切込導入機構110およびテープ屈曲機構150を並設させているが、切込導入機構110を装備するテープ先端処理治具と、テープ屈曲機構150を装備するテープ先端処理治具とを個別に準備し、各テープ先端処理治具で順番にテープ先端処理を実行してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、本発明を片剥離方式に適用しているが、本発明については両開き方式にも適用可能である。
【0078】
また、テープ押圧部材167によって凹ませる押圧対象部693を設ける範囲は、上記の例に限られない。例えば、2番目のポケット63Bに重複するように、押圧対象部693を設けてもよい。
【0079】
また、刃先案内路形成工程(ステップS3)および刃先挿入空間形成工程(ステップS4)を一回的な操作で実行できるように、テープ屈曲機構150を構成する必要はない。したがって、刃先案内路形成工程(ステップS3)を実行する機構と、刃先挿入空間形成工程(ステップS4)を実行する機構とを個別に設けてもよい。
【符号の説明】
【0080】
60…部品供給テープ
62…キャリアテープ
621…第1キャリア領域
622…第2キャリア領域
63…ポケット(収納部)
63A…ポケット63A(1番目の収納部)
63B…ポケット63B(2番目の収納部)
64…インターバル部
67…カバーテープ
671…第1カバー領域
672…第2カバー領域
69…先端処理領域(先端部分)
693…押圧対象部(押圧対象領域)
100…テープ先端処理治具
103…操作部材(操作部)
152…下側プレス部材
152a…突出部位
154…上側プレス部材
154a…後退部位(篏合部位)
155…揺動フレーム(第2支持部)
157…バネ部材(第3付勢部材)
159…バネ部材(第2付勢部材)
161…揺動フレーム(第1支持部)
165…テープ受け部材(テープ受け部材)
165v…溝
166…バネ部材(第1付勢部材)
167…テープ押圧部材
167p…突起