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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172466
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動車用音響システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 5/02 20060101AFI20241205BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20241205BHJP
   H04R 1/02 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
H04R5/02 F
B60R11/02 S
H04R1/02 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090203
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】523204581
【氏名又は名称】山口 宗久
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 宗久
【テーマコード(参考)】
3D020
5D011
5D017
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BA09
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
3D020BE03
5D011AA13
5D011AA15
5D017AA10
(57)【要約】
【課題】左右方向だけでなく、前後方向にも拡がる音像を自動車の室内に形成可能にして乗員を立体的な音像の中に置くことができるようし、車内での音楽体験を高める。
【解決手段】自動車用音響システム1は、左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4と、運転席と助手席の上方に設けられ、車幅方向に延びる金属製の板材130と、板材130を加振する加振器5~8と、左チャンネル及び右チャンネルを含む音声信号が入力され、入力された音声信号の左チャンネル及び右チャンネルの信号に基づいて左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4をそれぞれ駆動するとともに、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号に基づいて加振器5~8を駆動する駆動ユニット2とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される自動車用音響システムであって、
前記自動車の室内における運転席と助手席の前方の左側に設置された左フロントスピーカーと、
前記自動車の室内における運転席と助手席の前方の右側に設置された右フロントスピーカーと、
運転席と助手席の上方に設けられ、車幅方向に延びる金属製の板材と、
前記板材に取り付けられ、当該板材を加振する加振器と、
左チャンネル及び右チャンネルを含む音声信号が入力され、入力された音声信号の左チャンネル及び右チャンネルの信号に基づいて前記左フロントスピーカー及び前記右フロントスピーカーをそれぞれ駆動するとともに、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号に基づいて前記加振器を駆動する駆動ユニットとを備えている、自動車用音響システム。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用音響システムにおいて、
前記加振器は、前記板材の車幅方向外側に取り付けられた外側加振器と、前記板材の車幅方向内側に取り付けられた内側加振器とを含み、
前記駆動ユニットは、前記外側加振器による加振力を前記内側加振器による加振力よりも大きくする、自動車用音響システム。
【請求項3】
請求項2に記載の自動車用音響システムにおいて、
前記板材は、運転席側から助手席側まで延びており、
前記外側加振器は、前記板材における運転席及び助手席の車幅方向外側に対応するようにそれぞれ取り付けられ、
前記内側加振器は、前記板材における運転席及び助手席の車幅方向内側に対応するようにそれぞれ取り付けられている、自動車用音響システム。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車用音響システムにおいて、
前記自動車用音響システムは、ルーフが開閉可能に構成された自動車に搭載され、
前記板材は、前記ルーフの一部を構成する部材であり、前記ルーフのクローズ時に運転席及び助手席の上方に位置付けられる一方、前記ルーフのオープン時に運転席及び助手席の後方に位置付けられる、自動車用音響システム。
【請求項5】
請求項4に記載の自動車用音響システムにおいて、
前記駆動ユニットは、前記ルーフのオープン時は前記ルーフのクローズ時に比べて前記加振器の加振力を大きくする、自動車用音響システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車に搭載される自動車用音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、自動車の室内の音場を低い位置から高い位置に上げるとともにどの座席でも同じように高音が聞こえるようにするための自動車用スピーカーが開示されている。特許文献1の自動車用スピーカーでは、自動車の屋根を形成している大型の樹脂製ルーフパネルが振動板となっており、この樹脂製ルーフパネルを、振動子を用いて高音再生用の信号にて振動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-159120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車の室内は、スピーカーの設置場所の自由度が低く、またウインドガラス等の音反射材もあり、音楽再生における音場としてみた時、好ましい空間とは言えないが、このような空間であっても特に音像に立体感を持たせて乗員を立体的な音像の中に置くことによって音楽体験を高めたいという要求がある。
【0005】
ここで、一般的な自動車の室内の前側部分には左右にそれぞれスピーカーが設置されているので、左右のスピーカーを用いることで左右方向(車幅方向)の音像の拡がりを得ることはできる。ところが、自動車の構造によっては乗員の後方にスピーカーを設定することができない場合があり、その場合、前後方向に拡がりを感じる空間感を作り出すのが難しく、その結果、乗員を立体的な音像の中に置くことができない。
【0006】
この点、特許文献1では、乗員の上方に位置している樹脂製ルーフパネルを振動させてスピーカーとして利用しているが、その目的は音場を上げること、及び天井の広い範囲から高音を放射することでどの座席でも同じように高音が聞こえるようにすることにあり、前後方向に拡がる空間感を作り出すことは難しいと考えられる。
【0007】
すなわち、特許文献1のように高音再生用の信号のみで樹脂製ルーフパネルを振動させる場合、その高音再生用の信号は元の音源から中音域以下の周波数帯を除いた音域の信号であることから、例えばギターや声などのプレゼンス(存在感)を受け持つ周波数帯域、つまり音像を再現する上で重要な周波数帯域が抜けた信号となっている。よって、樹脂製ルーフパネルの全面から高音を放射しても、各着座位置では高音が天井から降り注ぐようなイメージで聞こえるだけであり、乗員を立体的な音像の中に置くことはできないので、ギターや声などの任意の要素を乗員の左右方向にステレオとして展開される平面音像から前後方向の音像感として目前に浮かび上がらせるのは難しい。
【0008】
また、樹脂製ルーフパネルの駆動時に、ステレオ信号で駆動すると、左右チャンネルの位相ずれに起因した音量低下が起こり得るという問題もある。
【0009】
さらに、乗員の後方にスピーカーを設置できない自動車において、例えば座席のヘッドレスト内にスピーカーを設置する場合がある。これは、乗員の前方に設置されているスピーカー群の能率の限界や、乗員との大きな距離による音量不足を補うことを目的とした装備であることから、乗員の耳に極めて近い位置にスピーカーが位置することになる。このため、乗員の頭の位置が前後、あるいは左右にわずかに動いただけで、聴覚する総音量や左右の音量割合の変化量が著しく、音楽鑑賞用としては相応しくない。また、乗員は耳元で鳴る当該装置からの音を強く意識する傾向があるため、乗員が感じる音像は後方に音の存在を強く感じる像になり、乗員を立体的な音像の中に置くのに適しているとは言い難い。
【0010】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、左右方向だけでなく、前後方向にも拡がる音像を自動車の室内に形成可能にして乗員を立体的な音像の中に置くことができるようし、車内での音楽体験を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、自動車に搭載される自動車用音響システムを前提とすることができる。自動車用音響システムは、前記自動車の室内における運転席と助手席の前方の左側に設置された左フロントスピーカーと、前記自動車の室内における運転席と助手席の前方の右側に設置された右フロントスピーカーと、運転席と助手席の上方に設けられ、車幅方向に延びる金属製の板材と、前記板材に取り付けられ、当該板材を加振する加振器と、前記左右のフロントスピーカー及び加振器を駆動する駆動ユニットとを備えている。そして、駆動ユニットには、左チャンネル及び右チャンネルを含む音声信号が入力される。駆動ユニットは、入力された音声信号の左チャンネル及び右チャンネルの信号に基づいて前記左フロントスピーカー及び前記右フロントスピーカーをそれぞれ駆動し、さらに、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号に基づいて前記加振器を駆動するように構成されている。
【0012】
この構成によれば、左チャンネル及び右チャンネルを含む音声信号が駆動ユニットに入力されると、左チャンネルの信号に基づいて左フロントスピーカーが駆動され、右チャンネルの信号に基づいて右フロントスピーカーが駆動されるので、運転席や助手席の乗員の前方で左右方向に拡がった音像が形成される。一方、運転席や助手席の乗員の上方では、金属製の板材が加振器によって加振されているので、板材から放射された音が左右のフロントスピーカーよりも後に離れた所から乗員へ届くことになる。このとき、加振器は、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号に基づいて駆動されているので、位相ずれによる音量低下が抑制されて十分な音量が得られるとともに、従来例のように高音のみが天井から降り注ぐように聞こえるのではなく、任意の存在感を示すプレゼンス成分も含まれた音が乗員に届くことになる。よって、前後方向にも拡がる音像が自動車の室内に形成される。
【0013】
また、前記加振器は、前記板材の車幅方向外側に取り付けられた外側加振器と、前記板材の車幅方向内側に取り付けられた内側加振器とを含んでいてもよい。この場合、前記駆動ユニットは、前記外側加振器による加振力を前記内側加振器による加振力よりも大きくすることができる。すなわち、車幅方向外側は自動車の窓側となり、この窓側からは風切り音やロードノイズ等が大きく侵入する一方、車幅方向内側は窓側に比べて比較的ノイズが小さくなる。このノイズの大小関係に対応するように外側加振器による加振力を内側加振器による加振力よりも大きくすることで、立体的な音像の乗員に対するセンタリングで拡がり加減の調整を行うことができる。
【0014】
前記自動車用音響システムは、ルーフが開閉可能に構成された自動車、即ちオープンカーに搭載することができる。オープンカーに搭載する場合、前記板材は、前記ルーフの一部を構成する部材とすることができる。前記板材は、前記ルーフのクローズ時に運転席及び助手席の上方に位置付けられる一方、前記ルーフのオープン時に運転席及び助手席の後方に位置付けられる部材である。例えば2座のオープンカーの場合は、乗員の後方にスピーカーを設置するスペースがなく、前後方向に拡がる立体的な音像の形成が難しいケースがあるが、本音響システムを搭載することで、そのような自動車であっても、前後方向に拡がる立体的な音像の中に乗員を置くことが可能になる。
【0015】
前記駆動ユニットは、前記ルーフのオープン時は前記ルーフのクローズ時に比べて前記加振器の加振力を大きくすることもできる。すなわち、ルーフのオープン時にはクローズ時に比べて車外のノイズが大きく侵入することになるが、このオープン時に加振器の加振力を大きくすることで、オープン時であっても、前後方向に拡がる立体的な音像を室内に形成できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、左チャンネル及び右チャンネルの信号に基づいて駆動される左右のフロントスピーカーとは別に、乗員の上方に金属製の板材を設け、当該板材を加振器によってモノラル信号で駆動するようにしたので、効果的に、左右方向だけでなく、前後方向にも拡がる音像を自動車の室内に形成することができる。これにより、乗員を立体的な音像の中に置き、車内での音楽体験を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る自動車用音響システムが搭載された自動車のルーフがクローズ状態のときの側面図である。
図2】自動車のルーフがクローズ状態のときの平面図である。
図3】自動車のルーフがオープン状態のときの側面図である。
図4】自動車のルーフがオープン状態のときの平面図である。
図5】自動車用音響システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1図4は、本発明の実施形態に係る自動車用音響システム1を備えた自動車100を示すものである。自動車用音響システム1が搭載される自動車100は、ルーフ101が開閉可能に構成された、いわゆるオープンカーであり、図1及び図2に示すようにルーフ101が閉じたクローズ状態と、図3及び図4に示すようにルーフ101が開いたオープン状態とに切り替えられるようになっている。尚、この実施形態では、自動車100の前側を単に「前」といい、自動車100の後側を単に「後」というものとする。また、自動車100の車幅方向を左右方向ともいい、自動車100の右側を単「右」といい、自動車100の左側を単「左」というものとする。
【0020】
自動車用音響システム1を説明する前に、自動車100の構造の概略について説明する。自動車100は、室内R(図3及び図4のみに示す)に運転席111と助手席112の2座席のみが設けられた2座席タイプ、いわゆる2シーターの自動車である。尚、本発明は、図示しないが、後席を備えた自動車にも適用することができる。
【0021】
図4に示すように、運転席111及び助手席112は、それぞれ、車体に取り付けられるシートクッション111a、112aと、シートクッション111a、112aに対して揺動自在に連結されたシートバック111b、112bとを備えている。この実施形態の説明では、運転席111が右側、助手席112が左側に設けられている例について説明するが、これに限らず、運転席111が左側、助手席112が右側に設けられていてもよい。また、本発明の適用範囲は、2座席タイプの自動車100に限られるものではなく、後部座席が設けられた自動車(図示せず)も含まれる。また、本発明の適用範囲は、ルーフ101が開閉可能に構成された自動車100に限られるものではなく、ルーフ101が固定式で開閉不能に構成された自動車(図示せず)も含まれる。
【0022】
自動車100の前側部分には、フロントウインドガラス102の左縁部に沿って上下方向に延びる左側フロントピラー121と、フロントウインドガラス102の右縁部に沿って上下方向に延びる右側フロントピラー122と、左側フロントピラー121の上端部から右側フロントピラー122の上端部まで車幅方向に延びる上端部材123とが設けられている。また、自動車100の室内Rよりも後側部分には、オープン状態にあるときのルーフ101を収容するためのルーフ収容部Sが設けられている。ルーフ収容部Sは、トランクリッド131の前方で下方に窪むように形成されている。
【0023】
自動車100のルーフ101を開閉可能にする構造は従来から周知であり、どのような構造であってもよい。ルーフ101は、いわゆるソフトトップと呼ばれる幌材からなる外装を備えた構造であってもよいし、硬質樹脂や金属等の硬質材からなる外板を備えた構造であってもよい。幌材からなる外装を備えた構造の場合、図示しないが、複数の揺動リンク等を介して車体に接続された折り畳み機構によって折り畳まれた状態でルーフ収容部Sに収容される。一方、幌材が展開されてクローズ状態になると、当該幌材の前端部が上端部材123と連結されてクローズ状態が維持される。
【0024】
図1図4に破線で示すように、ルーフ101には、車幅方向に延びる板材130が設けられている。板材130は、ルーフ101の一部を構成する部材であり、例えば鋼板、アルミニウム合金等の軽金属製の板等で構成されている。板材130は、1枚の板で構成されていてもよいし、1枚の板に補強部材等が付加されることによって構成されていてもよい。板材130は、ルーフ101を補強するための補強部材であってもよいし、幌材を支持するための支持部材であってもよい。又、板材130は音響効果を得るために設けられたものであってもよい。
【0025】
板材130は、ルーフ101の外装と内装との間に配置されていて、車幅方向両側がそれぞれ揺動リンク(図示せず)等を介して車体に対して支持されている。板材130の室内R側の面を覆う内装は、音を透過させる性質を持っている。従って、後述するように板材130から放射された音は、内装を透過して室内Rに到達する。
【0026】
図1及び図2に示すように、ルーフ101がクローズ状態にあるときには、板材130は運転席111と助手席112の上方に設けられることになる。板材130が運転席111と助手席112の真上に位置していてもよいし、運転席111と助手席112の斜め前方または斜め後方に位置していてもよい。
【0027】
板材130は、運転席111側から助手席112側まで連続して延びている。具体的には、平面視で、板材130の右端部が運転席111の右端部と重複するように位置付けられ、板材130の左端部が運転席111の左端部と重複するように位置付けられている。これにより、板材130を室内Rの幅方向の広い範囲に設置することが可能になる。尚、板材130は、左右方向に連続していなくてもよく、左右に分割された分割構造であってもよい。
【0028】
板材130は、前後方向にも延びている。すなわち、ルーフ101がクローズ状態にあるときには、板材130の前端部が上端部材123の近傍に位置付けられ、板材130の後端部は運転席111及び助手席112のシートバック111b、112bの真上近傍に位置付けられる。一方、図3及び図4に示すように、ルーフ101がオープン状態にあるときには、板材130はルーフ収容部Sに収容され、運転席111及び助手席112から後方に離れた所に位置付けられる。この実施形態では、ルーフ101がクローズ状態にあるときに、板材130が、運転席111の乗員及び助手席112の乗員の頭頂部から所定距離(例えば15cm以上35cm以下の距離)だけ離れている。このように板材130と乗員との距離を設定していることで、後述するように板材130をサウンドドライバー5~8によって振動させた時に、板材130と乗員との位置関係を、室内Rに音場の空間感が形成されるのに適した位置関係とすることができる。上記所定距離は、標準的なドライビングポジションにある乗員の頭部と、ヘッドレスト112c(図3に示す)との前後方向の距離よりも長く設定されている。つまり、板材130と乗員の頭頂部との距離は、従来のヘッドレスト112cに内蔵されたスピーカー(図示せず)と、乗員の頭部との距離よりも長く設定されている。
【0029】
次に、自動車用音響システム1について説明する。図5は自動車用音響システム1のブロック図である。この図に示すように、自動車用音響システム1は、メインユニット(駆動ユニット)2と、左フロントスピーカー3と、右フロントスピーカー4と、4つのサウンドドライバー(加振器)5~8とを備えている。自動車用音響システム1は更に上述した板材130も備えており、この板材130を4つのサウンドドライバー5~8によって加振することで振動板として利用することができる。つまり、板材130は、ルーフ101の一部を構成する部材でありながら、室内Rに音を放射する部材としても機能する。尚、板材130は自動車100に既存の部材であってもよいし、板材130が無い自動車(図示せず)の場合には板材130をルーフ101に新たに取り付けてもよい。
【0030】
メインユニット2は、例えば室内Rに設けることができるが、設置場所は特に限定されるものではない。メインユニット2には、左チャンネル及び右チャンネルを含む音声信号がオーディオプレーヤー10から入力されるようになっている。オーディオプレーヤー10には、例えばCD(コンパクトディスク)プレーヤー、各種メモリに記憶された音楽のデジタル信号を再生する機器、ラジオチューナー、テレビチューナー等が含まれている。オーディオプレーヤー10とメインユニット2とは、有線接続されていてもよいし、無線接続されていてもよい。オーディオプレーヤー10は、自動車用音響システム1の構成要素であってもよいし、自動車用音響システム1の構成要素でなくてもよく、例えばスマートフォンや携帯型音楽プレーヤーがオーディオプレーヤー10であってもよい。尚、メインユニット2は、一体型のユニットであってもよいし、機能ごとに分離可能な分離型ユニットであってもよい。
【0031】
左フロントスピーカー3は、メインユニット2に入力された音声信号のうち、左チャンネルの音声を出力するための部材であり、フルレンジスピーカー3aと高音用スピーカー(左側ツィーターともいう)3bとを備えている。フルレンジスピーカー3aは、例えば左ドアの前側の下部等に室内Rへ向けて取り付けられている。高音用スピーカー3bは、例えば左側フロントピラー121の下部等に乗員へ向けて取り付けられている。左フロントスピーカー3は、室内Rにおける助手席112側に設けられることになるが、運転席111と助手席112よりも前に位置付けられるので、室内Rにおける運転席111と助手席112の前方の左側に設置されているといえる。
【0032】
右フロントスピーカー4は、メインユニット2に入力された音声信号のうち、右チャンネルの音声を出力するための部材であり、フルレンジスピーカー4aと高音用スピーカー(右側ツィーターともいう)4bとを備えている。フルレンジスピーカー4aは、例えば右ドアの前側の下部等に室内Rへ向けて取り付けられている。高音用スピーカー4bは、例えば右側フロントピラー122の下部等に乗員へ向けて取り付けられている。右フロントスピーカー4は、室内Rにおける運転席111側に設けられることになるが、運転席111と助手席112よりも前に位置付けられるので、室内Rにおける運転席111と助手席112の前方の右側に設置されているといえる。尚、高音用スピーカー3b、4bの取付位置は、上述した位置に限られるものではなく、例えばダッシュボード等であってもよい。また、高音用スピーカー3b、4bは設置されていなくてもよい。
【0033】
左フロントスピーカー3は、フルレンジスピーカーのみで構成されていてもよいし、高音用スピーカー3bと中低音域スピーカーとが組み合わされた2ウェイスピーカーシステムで構成されていてもよいし、さらにウーハーを備えた3ウェイスピーカーシステムで構成されていてもよい。高音用スピーカー3bはフルレンジスピーカー3aと同軸配置されていてもよい。右フロントスピーカー4も同様である。
【0034】
ところで、2座席タイプの自動車100は、運転席111及び助手席112の後方にスピーカーを設置するためのスペースを確保するのが難しい。特にルーフ101が開閉可能に構成されている場合には、運転席111及び助手席112の後方にルーフ収容部Sを設けなければならないので、運転席111及び助手席112の後方にスピーカーを設置するためのスペースを確保するのがより一層難しくなる。よって、このような自動車100では、左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4のみで音楽を再生すること行われる。
【0035】
左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4が室内Rの左右両側に位置しているので、左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4から音を放射することで、いわゆる左右方向の音像の拡がりを得ることはできる。しかし、左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4のみで前後方向に拡がりを感じる空間感を作り出すのは難しく、本実施形態では、前後方向に拡がりを感じさせるために、ルーフ101の構造物の一つである板材130を4つのサウンドドライバー5~8で加振することにより、板材130から中音域及び高音域の音を放射させるようにしている。
【0036】
すなわち、4つのサウンドドライバー5~8は、板材130の長手方向である車幅方向に互いに間隔をあけて配置され、板材130に取り付けられている。板材130におけるサウンドドライバー5~8が取り付けられる箇所は、今回使用したサウンドドライバーの取付要件に従い、平坦な箇所となっている。サウンドドライバー5~8は、板材130の車幅方向外側に取り付けられた運転席用外側サウンドドライバー(外側加振器)5及び助手席用外側サウンドドライバー(外側加振器)8と、板材130の車幅方向内側に取り付けられた運転席用内側サウンドドライバー(内側加振器)6及び助手席用内側サウンドドライバー(内側加振器)7とを含んでいる。
【0037】
より具体的には、平面視において、運転席用外側サウンドドライバー5は、運転席111の車幅方向中央部よりも右に偏位している。また、運転席用内側サウンドドライバー6は、運転席111の車幅方向中央部よりも左に偏位している。これにより、運転席用外側サウンドドライバー5と運転席用内側サウンドドライバー6とは車幅方向に所定の隙間をあけることができる。
【0038】
また、平面視において、助手席用外側サウンドドライバー8は、助手席112の車幅方向中央部よりも左に偏位している。また、助手席用内側サウンドドライバー7は、助手席112の車幅方向中央部よりも右に偏位している。これにより、助手席用外側サウンドドライバー8と助手席用内側サウンドドライバー7とは車幅方向に所定の隙間をあけることができる。
【0039】
つまり、運転席用外側サウンドドライバー5及び助手席用外側サウンドドライバー8は、板材130における運転席111及び助手席112の車幅方向外側に対応するようにそれぞれ取り付けられている。また、運転席用内側サウンドドライバー6及び助手席用内側サウンドドライバー7は、板材130における運転席111及び助手席112の車幅方向内側に対応するようにそれぞれ取り付けられている。
【0040】
4つのサウンドドライバー5~8は、それぞれ、マグネットとコイルで構成されたドライバーユニットを備えており、このドライバーユニットが音声信号に即した振動を板材130に伝え、板材130に発声させるように構成されている。
【0041】
4つのサウンドドライバー5~8は同じ構造である。このようなサウンドドライバー5~8としては、例えばdayton audio社製のトランスデューサー等を挙げることができる。サウンドドライバー5~8をそれぞれ両面テープ等によって板材130に貼り付けることにより板材130に取り付けることができる。尚、サウンドドライバー5~8の板材130への取付方法は、両面テープを用いる方法に限られるものではなく、例えば接着剤や粘着剤等を用いた方法であってもよい。また、サウンドドライバー5~8の構造は上述した構造に限られるものではなく、板材130を振動させて所望の音を板材130から放射させることが可能な加振器であれば問題なく使用できる。
【0042】
図5に示すように、メインユニット2には、アンプと呼ばれる部分が含まれている。メインユニット2には、操作ボタン11が接続されている。操作ボタン11は、メインユニット2の各種設定操作、調整操作等を行うための部材であり、例えばインストルメントパネル等に配設することができる。
【0043】
メインユニット2には、自動車100に搭載されているバッテリ(図示せず)から給電される。メインユニット2におけるアンプは、音声信号入力部20と、信号処理部21と、増幅器22と、操作受付部23とを備えている。メインユニット2の操作者が操作ボタン11を操作すると、その操作内容が操作受付部23で受け付けられるようになっている。音声信号入力部20、信号処理部21、増幅器22及び操作受付部23は、1つの筐体に収容されていてもよいし、一部が別の筐体に収容されていてもよい。また、この実施形態では、音声信号入力部20、信号処理部21、増幅器22及び操作受付部23を概念的に分けて記載しているが、例えば信号処理部21が音声信号入力部20及び操作受付部23等の機能を兼ねた構成であってもよい。
【0044】
音声信号入力部20は、オーディオプレーヤー10から出力された音声信号が入力される部分であり、例えば音声入力用のインターフェース機器等で構成されている。音声信号入力部20に入力された音声信号は信号処理部21に出力される。信号処理部21は、入力された音声信号に対して各種信号処理を実行する。信号処理部21の構成は特に限定されるものではないが、例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサー)等で構成されており、図示しないがマイクロコンピュータ及び記憶部(ROM、RAM等)等が組み合わされてできている。
【0045】
信号処理部21は、各種音響設定が可能に構成されている。具体的には、信号処理部21には、音量設定回路、クロスオーバーネットワーク回路、イコライザー回路、タイムアライメント回路等が設けられている。音量設定回路、クロスオーバーネットワーク回路、イコライザー回路、タイムアライメント回路は従来から周知であり、4つのサウンドドライバー5~8に個別に設定可能になっている。
【0046】
音量設定回路では、4つのサウンドドライバー5~8の音量を個別に調整可能になっている。例えば、操作ボタン11によって入力された音量調整操作が操作受付部23で受け付けられると、その音量調整操作が信号処理部21で反映されて、4つのサウンドドライバー5~8の音量が個別に設定される。音量設定値は、記憶部に記憶され、信号処理部21が音声信号を増幅器22への出力する時に反映される。
【0047】
クロスオーバーネットワーク回路は、いわゆるカットオフフィルター回路であり、入力された音声信号のうち、任意の周波数以下または以上の帯域のレベルを所定の減衰カーブで減衰させるための回路である。例えば、操作ボタン11によって入力された周波数設定操作が操作受付部23で受け付けられると、その周波数操作が信号処理部21で反映されて、4つのサウンドドライバー5~8に出力される音声信号に対してカットオフフィルターによる処理が個別に施される。周波数設定値は、記憶部に記憶され、信号処理部21が音声信号を増幅器22への出力する時に反映される。
【0048】
イコライザー回路は、入力された音声信号のうち、演出したい立体的音像に応じて設定することが可能な任意の周波数(または特定の周波数)のレベルを増減させるための回路である。例えば、操作ボタン11によって任意の周波数が選択されるとともにその周波数のレベル調整操作が操作受付部23で受け付けられると、その操作が信号処理部21で反映されて、4つのサウンドドライバー5~8に出力される音声信号に対してイコライザー回路による処理が個別に反映される。各周波数のレベル調整のための設定値は、記憶部に記憶され、信号処理部21が音声信号を増幅器22への出力する時に反映される。
【0049】
タイムアライメント回路は、4つのサウンドドライバー5~8の振動のタイミングを個別に調整するための回路である。例えば、操作ボタン11によって4つのサウンドドライバー5~8の振動のタイミングを個別に設定すると、その設定操作が操作受付部23で受け付けられた後、信号処理部21で反映されて、4つのサウンドドライバー5~8に対してタイムアライメント回路による処理が個別に反映される。タイムアライメント設定値は、記憶部に記憶され、信号処理部21が音声信号を増幅器22への出力する時に反映される。
【0050】
例えば乗員の前方に広がるステレオ音像の中から、音楽的な見地、視聴感情的な見地により、より視聴者の目前に浮かび上がらせたい要素(ギターや声などのプレゼンスを受け持つパート)をクロスオーバーネットワーク回路、イコライザー回路、タイムアライメント回路などを使用することで引き立たせることができる。このような設定を行った上で、音楽を再生すると、希望する要素のみが音像に浮き出るような前後方向の立体感を音像に付与することができる。上記設定により、まるでステージ上の歌手やリード楽器が客席の方に迫るような音像を形成することや、演者の一人となって他のミュージシャンに囲まれてステージ上に立っているかのような包まれ感を演出することも可能になる。
【0051】
このような設定は、実際の試聴と調整・設定を繰り返すことで可能になる。一例を挙げると、クロスオーバーネットワーク回路のカットオフ周波数は、一般的なツィータースピーカーが受け持つ1kHz以上、3kHz~5kHz程度よりもずっと低い周波数としており、具体的には、400Hz以上、または500Hz以上、または600Hz以上とすることができる。これにより、従来例のように高音のみが天井から降り注ぐように聞こえるのではなく、プレゼンス成分も含まれた音が板材130から室内Rへ放射される。よって、前後方向にも拡がる音像が自動車100の室内Rに形成される。
【0052】
信号処理部21及び増幅器22は、入力された音声信号のうち、左チャンネルの音声信号に基づいて左フロントスピーカー3を駆動し、また右チャンネルの音声信号に基づいて右フロントスピーカー4を駆動する。一方、信号処理部21及び増幅器22は、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号に基づいて、4つのサウンドドライバー5~8を駆動する。例えば、信号処理部21は、左チャンネル及び右チャンネルの信号を含むステレオの音声信号が入力されると、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号を生成する。信号処理部21が生成したモノラル信号が増幅器22で所定のレベルまで増幅された後、4つのサウンドドライバー5~8に入力される。尚、図示しないが、左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4を駆動するための増幅器と、サウンドドライバー5~8を駆動するための増幅器22とは異なっていてもよい。
【0053】
この実施形態では、運転席用内側サウンドドライバー6で再生する音の設定と、助手席用内側サウンドドライバー7で再生する音の設定とは同じである。また、運転席用外側サウンドドライバー5で再生する音の設定と、助手席用外側サウンドドライバー8で再生する音の設定とは同じである。
【0054】
左フロントスピーカー3及び右フロントスピーカー4と、4つのサウンドドライバー5~8との音量バランスを信号処理部21で調整することにより、運転席111の乗員及び助手席112の乗員を包み込むような立体的な音像を室内Rに形成できる。
【0055】
また、自動車100に特有の環境として、走行時の風切り音、ロードノイズの侵入がある。風切り音、ロードノイズは、車両窓側(車幅方向外側)が窓側(車幅方向内側)に比べて大きく侵入することになるので、風切り音、ロードノイズが大きい車幅方向外側、風切り音、ロードノイズが小さい車幅方向内側という区別で4つのサウンドドライバー5~8の相対的な音量を設定することもできる。具体的には、メインユニット2は、運転席用外側サウンドドライバー5及び助手席用外側サウンドドライバー8による加振力を、運転席用内側サウンドドライバー6及び助手席用内側サウンドドライバー7による加振力よりも大きくする。これにより、立体的な音像のセンタリングを、運転席111及び助手席112で同時に行うことができる。
【0056】
上述したように、クローズ状態の時に板材130と乗員の頭頂部との距離が15cm以上35cm以下となるようにしているので、オープン状態の時よりもサウンドドライバー5~8が加振するデバイス周辺のサウンドを乗員が直接的に感じることができる。これにより、信号処理部21によるタイムアライメント等の設定を効果的に発揮させることができる。また、天井が面で鳴っていることで、室内Rを音が満たす効果が大きくなる。
【0057】
車幅方向外側のサウンドドライバー5、8の加振力を車幅方向内側のサウンドドライバー6、7よりも大きくすることを前提として、さらに、車幅方向外側と車幅方向内側とでそれぞれ別のクロスオーバー周波数、イコライジング、タイムアライメントの設定を行うことで、音像の聴感を調整し、より立体的な音像を運転席111及び助手席112で実現できる。
【0058】
4つのサウンドドライバー5~8で同一のモノラル音源を再生することで、クローズ状態のときに、室内Rの天上面全体を同じ音源で鳴らすことになり、左右チャンネルの異なる音楽信号を1枚の板材130で同時に鳴らすことで発生し得る位相のずれなどによる音量の低下を回避することができ、効率よく大きな音量を得ることが可能になる。このことは、クローズ状態に比べて大きな音量が必要なオープン状態のときに有利であるとともに、走行時の風切り音、ロードノイズ対策にも有効である。
【0059】
また、クローズ状態とオープン状態とで、サウンドドライバー5~8の位置が異なることになるが、サウンドドライバー5~8の位置が異なることによる聴感の調整は、信号処理部21の音量設定回路、クロスオーバーネットワーク回路、イコライザー回路、タイムアライメント回路によって可能である。これにより、クローズ状態であってもオープン状態であっても、立体的な音像を運転席111及び助手席112で実現できる。また、ルーフ101のオープン状態では室内Rへの騒音の侵入量が大きいので、メインユニット2は、オープン時がクローズ時に比べてサウンドドライバー5~8の加振力を大きくするように音量設定しておく。
【0060】
音量設定回路、クロスオーバーネットワーク回路、イコライザー回路、タイムアライメント回路の設定値は、クローズ状態用の設定値と、オープン状態用の設定値とを個別にメインユニット2に記憶させておくことができる。例えば運転席111に操作ボタン11が配設されている場合には、この操作ボタン11を操作することで、クローズ状態用の設定値からオープン状態用の設定値への切替、その反対の切替が可能になっている。また、クローズ状態であるか、オープン状態であるかをメインユニット2が自動判定し、その判定結果に基づいて、クローズ状態用の設定値からオープン状態用の設定値への切替、その反対の切替を可能にすることもできる。尚、クローズ状態の時とオープン状態の時とで音像や音の雰囲気を変えることもできる。
【0061】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、左チャンネル及び右チャンネルを含む音声信号がオーディオプレーヤー10からメインユニット2に入力されると、左チャンネルの信号に基づいて左フロントスピーカー3が駆動され、右チャンネルの信号に基づいて右フロントスピーカー4が駆動されるので、運転席111や助手席112の乗員の前方では左右方向に拡がった音像が形成される。一方、運転席111や助手席112の乗員の上方では、金属製の板材130がサウンドドライバー5~8によって加振されているので、板材130から放射された音が左右のフロントスピーカー3、4よりも後に離れた所から乗員へ届くことになる。
【0062】
このとき、サウンドドライバー5~8は、左チャンネル及び右チャンネルの信号を合成したモノラル信号に基づいて駆動されているので、特に板材130が単一板で形成される場合の板材130内における位相ずれによる音量低下が抑制されて十分な音量が得られるとともに、プレゼンス成分も含まれた音が板材130から放射されるので、前後方向にも拡がる音像が自動車の室内に形成される。これにより、乗員を立体的な音像の中に置き、車内での音楽体験を高めることができる。
【0063】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。例えばサウンドドライバーの数は、3つ以下(例えば1つ)であってもよいし、5つ以上であってもよい。主にフロントスピーカーとの兼ね合いにおいて乗員に片寄りが生じないことが担保できる最小数として一人あたり2つのサウンドドライバーを設置するのが好ましい。
【0064】
また、サウンドドライバーの大きさは、特に限定されるものではなく、任意の大きさのものを選定することができる。また、サウンドドライバーの板材130への取付位置は、聴感上、好ましい位置や、音圧が得られ易い位置等を考慮して設定すればよく、図示した位置に限られるものではない。また、板材130の大きさや形状も任意に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本開示に係る自動車用音響システムは、例えば運転席及び助手席の上方に加振可能な板材を有する自動車で利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 自動車用音響システム
2 メインユニット(駆動ユニット)
3 左フロントスピーカー
4 右フロントスピーカー
5 運転席用外側サウンドドライバー(外側加振器)
6 運転席用内側サウンドドライバー(内側加振器)
7 助手席用内側サウンドドライバー(内側加振器)
8 助手席用外側サウンドドライバー(外側加振器)
130 板材
R 室内
図1
図2
図3
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図5