(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172471
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/52 20230101AFI20241205BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20241205BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/65
H04N23/667
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090208
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸田 裕輝
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA36
5C122FL05
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA82
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮像素子のクリーニング動作による使い勝手の低下を抑制することが可能な撮像装置およびその制御方法を提供すること。
【解決手段】撮像素子の撮像面上の異物を除去するセンサクリーニングを実行可能な撮像装置である。撮像装置は、電源オフを伴うイベントの発生を検出した場合、イベントが再起動イベントか否かを判定する。撮像装置は、再起動イベントであれば、電源オフ時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、電源オフ時におけるセンサクリーニングを実行せずに再起動処理を実行する。また、撮像装置は、イベントが再起動イベントでなければ、設定に応じて電源オフ時におけるセンサクリーニングを実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子の撮像面上の異物を除去するセンサクリーニングを実行可能な撮像装置であって、
電源オフを伴うイベントの発生を検出する検出手段と、
前記イベントが再起動イベントであれば、電源オフ時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、電源オフ時における前記センサクリーニングを実行せずに再起動処理を実行し、前記イベントが前記再起動イベントでなければ、前記設定に応じて電源オフ時における前記センサクリーニングを実行するように前記撮像装置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、電源オン時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、再起動のための電源オン時にはセンサクリーニングを実行しないように前記撮像装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記再起動イベントが、前記撮像装置の動作モードの切り替え時に発生することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記動作モードの切り替えが、静止画記録モードと動画記録モードとの切り替えであることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記再起動イベントでないイベントが、オートパワーオフ機能の実行条件の充足または電源スイッチのオフ操作であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記電源オフ時の前記センサクリーニングの実行中に前記再起動イベントの発生が検出された場合、前記制御手段は、実行中の前記センサクリーニングを中止して再起動処理を実行するように前記撮像装置を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記イベントが前記再起動イベントでなく、前記電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行がオフに設定されている場合、前記制御手段は、電源オフ処理の実行中に前記撮像装置の表示装置に警告画面を表示し、
前記イベントが前記再起動イベントでなく、前記電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行がオンに設定されている場合、前記制御手段は、前記電源オフ時の前記センサクリーニングの実行中に前記再起動イベントの発生が検出された場合、実行中の前記センサクリーニングを中止して再起動処理を実行するように前記撮像装置を制御する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、前記撮像素子または前記撮像素子の近傍に設けられた部材を振動させることによって前記センサクリーニングを実行することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像素子の撮像面上の異物を除去するセンサクリーニングを実行可能な撮像装置が実行する制御方法であって、
電源オフを伴うイベントの発生を検出することと、
前記イベントが再起動イベントであれば、電源オフ時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、電源オフ時における前記センサクリーニングを実行せずに再起動処理を実行し、前記イベントが前記再起動イベントでなければ、前記設定に応じて電源オフ時における前記センサクリーニングを実行するように前記撮像装置を制御する制御することと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項10】
撮像装置が有するコンピュータを、請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像に異物が写り込むのを防止するため、撮像素子の前面に設けたフィルタを振動させるなどして、撮像面上の異物を除去する撮像装置が知られている(特許文献1)。特許文献1では、異物が長時間付着することを防止するために、電源オフ時に撮像面上の異物除去動作(センサクリーニング)を実行することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像装置によっては、動作モードの切り替え時などに再起動が必要な場合がある。再起動時に電源オフ動作および電源オン動作が実行される場合、電源オフ時のセンサクリーニングの実行が再起動に要する時間を増加させうる。電源オン時にセンサクリーニングを実行する場合にも同様の問題が生じうる。
【0005】
このような従来技術の課題に鑑み、本発明はその一態様において、撮像素子のクリーニング動作による使い勝手の低下を抑制することが可能な撮像装置およびその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はその一態様において、撮像素子の撮像面上の異物を除去するセンサクリーニングを実行可能な撮像装置であって、電源オフを伴うイベントの発生を検出する検出手段と、イベントが再起動イベントであれば、電源オフ時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、電源オフ時におけるセンサクリーニングを実行せずに再起動処理を実行し、イベントが再起動イベントでなければ、設定に応じて電源オフ時におけるセンサクリーニングを実行するように撮像装置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像素子のクリーニング動作による使い勝手の低下を抑制することが可能な撮像装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラの記の構成例を示すブロック図
【
図2】第1実施形態における電源オフイベント検出時の動作に関するフローチャート
【
図3】第2実施形態における電源オフイベント検出時の動作に関するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定しない。また、実施形態には複数の特徴が記載されているが、その全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
なお、以下の実施形態では、本発明をデジタルカメラで実施する場合に関して説明する。しかし、本発明は撮像機能を有する任意の電子機器で実施可能である。このような電子機器には、ビデオカメラ、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤ、PDAなど)、携帯電話機、スマートフォン、ゲーム機、ロボット、ドローン、ドライブレコーダが含まれる。これらは例示であり、本発明は他の電子機器でも実施可能である。
【0011】
●(第1実施形態)
図1は、本発明を実施可能なデジタルカメラ10の機能構成例を示すブロック図である。デジタルカメラ10の各機能ブロックは、撮像素子、不揮発性メモリ110、システムメモリ111など、ハードウェアでのみ実現可能な部分を除き、ソフトウェア、ハードウェア、またはその組み合わせのいずれによって実現されてもよい。例えば、機能ブロックは、ASICのような専用のハードウェアにより実現されてもよい。また、機能ブロックは、CPUなどのプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。なお、複数の機能ブロックが共通の構成(例えば1つのASIC)によって実現されてもよい。また、ある機能ブロックの一部の機能を実現するハードウェアが、他の機能ブロックを実現するハードウェアに含まれてもよい。
【0012】
撮影レンズ105は、被写体の光学像を撮像部103に含まれる撮像素子の撮像面に形成する光学系である。撮影レンズ105は交換レンズの形態であってもよいし、デジタルカメラ10に固定されていてもよい。
【0013】
撮影レンズ105は可動レンズを含む複数のレンズを有する。可動レンズには例えばズームレンズおよびフォーカスレンズが含まれる。ズームレンズは撮影レンズ105の焦点距離(画角)を変化させる。ズームレンズの駆動はズーム制御部101を通じてシステム制御部50が制御する。フォーカスレンズは撮影レンズ105の合焦距離を調節する。フォーカスレンズの駆動はフォーカス制御部102を通じてシステム制御部50が制御する。
【0014】
撮像部103は、撮像素子およびその駆動回路などを含む。 撮像素子は例えば原色ベイヤ配列のカラーフィルタを有する公知のCCDもしくはCMOSカラーイメージセンサであってよい。撮像素子は複数の画素が2次元配列された画素アレイと、各画素から信号を読み出すための周辺回路とを有する。各画素は光電変換によって入射光量に応じた電荷を蓄積する。露光期間に蓄積された電荷量に応じた電圧を有する信号を各画素から読み出すことにより、撮像面に形成された被写体像を表す画素信号群(アナログ画像信号)が得られる。
【0015】
撮像部103は、撮像素子で撮像される画像に写り込む異物(本明細書では撮像面上の異物という)を除去するためのクリーニング機構を含む。クリーニング機構は撮像素子の一部を構成する部材や撮像素子の前面や近傍に設けられた部材を高速で振動させる機構である。クリーニング機構は、例えば光学フィルタやカバーガラスを振動させるものであってよいが、他の部材を振動させるものであってもよい。本発明はクリーニング機構の構成には依存しないため、公知の任意のクリーニング機構を用いうる。
【0016】
クリーニング機構の動作は、センサクリーニング制御部121を通じてシステム制御部50が制御する。
【0017】
A/D変換器104は、撮像部103から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号(画像データ)に変換する。
【0018】
画像処理部106は、A/D変換器104が出力する画像データに対して予め定められた画像処理を適用し、用途に応じた信号や画像データを生成したり、各種の情報を取得および/または生成したりする。画像処理部106は例えば特定の機能を実現するように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような専用のハードウェア回路であってよい。あるいは画像処理部106はDSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)のようなプロセッサがソフトウェアを実行することで特定の機能を実現する構成であってもよい。画像処理部106は、取得もしくは生成した情報やデータを、用途に応じてシステム制御部50やメモリ制御部107などに出力する。
【0019】
画像処理部106が適用する画像処理には、例えば、前処理、色補間処理、補正処理、検出処理、データ加工処理、評価値算出処理、特殊効果処理などが含まれうる。
前処理には、信号増幅、基準レベル調整、欠陥画素補正などが含まれうる。
色補間処理は、撮像素子にカラーフィルタが設けられている場合に行われ、画像データを構成する個々の画素データに含まれていない色成分の値を補間する処理である。色補間処理はデモザイク処理とも呼ばれる。
補正処理には、ホワイトバランス調整、階調補正、撮影レンズ105の光学収差に起因する画像劣化の補正(画像回復)、撮影レンズ105の周辺減光の影響の補正、色補正などの処理が含まれうる。
検出処理には、特徴領域(たとえば顔領域や人体領域)やその動きの検出、人物の認識処理などが含まれうる。
データ加工処理には、領域の切り出し(トリミング)、合成、スケーリング、符号化および復号、ヘッダ情報生成(データファイル生成)などの処理が含まれうる。表示用画像データや記録用画像データの生成もデータ加工処理に含まれる。
評価値算出処理には、自動焦点検出(AF)に用いる信号や評価値の生成、自動露出制御(AE)に用いる評価値の生成などの処理が含まれうる。
特殊効果処理には、ボケ効果の付加、色調の変更、リライティングなどの処理などが含まれうる。
なお、これらは画像処理部106が適用可能な処理の例示であり、画像処理部106が適用する処理を限定するものではない。
【0020】
メモリ108は、A/D変換器104が出力する画像データ、画像処理部106が処理中の画像データ、画像処理部106が生成した表示用および/または記録用の画像データ、記録媒体119から読み出されたデータなどが一時的に記憶される。メモリ108の一部は表示部109のビデオメモリとして用いられる。
【0021】
D/A変換器120は、メモリ108のビデオメモリ領域に格納されている画像データをアナログ信号に変換して表示部109に供給する。メモリ108のビデオメモリ領域に格納されている画像データは、例えば表示用画像データとデジタルカメラ10の設定値などを表す画像データとの合成画像データや、メニュー画面などのGUI画面を表す画像データであってよい。
【0022】
表示部109は、例えば液晶または有機ELディスプレイを含み、D/A変換器120からのアナログ信号に応じた表示を行う。動画の撮影と、撮影された動画の表示とを継続的に実行することにより、表示部109を電子ビューファインダ(EVF)として機能させることができる。表示部109をEVFとして機能させるための動作をライブビュー表示動作、ライブビュー表示される動画をライブビュー画像と呼ぶ。なお、表示部109はデジタルカメラ10とは別の外部装置であってもよい。また、表示部109が複数存在してもよい。
【0023】
システム制御部50は例えばプログラムを実行可能なプロセッサ(CPU、MPU、マイクロプロセッサなど)である。システム制御部50は、不揮発性メモリ110に記憶されたプログラムをシステムメモリ111に読み込んで実行することにより、デジタルカメラ10の各部の動作を制御し、デジタルカメラ10の機能を実現する。例えばシステム制御部50は画像処理部106が生成する評価値を用いて自動露出制御(AE)や自動焦点検出(AF)動作を実行する。また、システム制御部50は操作部113、タッチパネル114、モード切替スイッチ115の操作を検出すると、検出した操作に応じた動作を実行する。
【0024】
また、システム制御部50は、予め登録されているイベントの発生を検出し、検出したイベントに応じた動作を実行する。本実施形態ではイベントとして電源オフイベントおよび再起動イベントが予め定められているものとする。電源オフイベントは、電源オフ動作の実行が必要なイベントであり、電源スイッチのオフ操作、オートパワーオフ機能の実行条件の充足、再起動イベントが含まれる。再起動イベントは電源オフイベントの下位イベントであり、電源オフ動作および引き続く電源オン動作が必要なイベントである。本実施形態では、再起動が必要な実行プログラムの切り替えを伴うイベントが再起動イベントとして登録されている。以下では一例として静止画記録モードと動画記録モードとの切り替えが再起動イベントとして登録されている場合について説明する。
【0025】
不揮発性メモリ110は電気的に書き換え可能であり、例えばEEPROMである。不揮発性メモリ110はシステム制御部50が実行するプログラム、デジタルカメラ10の各種の設定値、GUIデータなどを記憶する。本実施形態では、不揮発性メモリ110に記憶されているプログラムの中には、システム制御部50が実行する際にデジタルカメラ10の再起動が必要なものがある。例えば、システム制御部50が実行するプログラムを静止画記録モード用のプログラムから動画記録モード用のプログラムに切り替える場合にはデジタルカメラ10の再起動が必要である。
【0026】
システムメモリ111はシステム制御部50がプログラムをロードしたり実行したりする際に用いるメインメモリである。なお、メモリ108とシステムメモリ111とは同じメモリ空間内の別領域であってもよい。
【0027】
システムタイマ112は各種制御に用いる時間や、内蔵時計の時間をシステム制御部50の制御に従って計測する。システム制御部50は、例えばデジタルカメラ10が静止画記録モードや再生モードで動作している際、ユーザ操作が検出されない時間をシステムタイマ112によって計測し、一定時間に達するとオートパワーオフ機能を実行する。なお、オートパワーオフ機能により電力の供給が停止される機能ブロックは、電源スイッチの操作によって電源オフが指示された場合に電力の供給が停止される機能ブロックより少なくてもよい。
【0028】
操作部113は、システム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。操作部113は、電源スイッチ、メニューボタン、キャンセルボタン、十字キー(上方向キー、下方向キー、左方向キー、右方向キー)、SETキー、オートフォーカス/マニュアルフォーカス切替ボタンなどを含みうる。
【0029】
タッチパネル114は例えば表示部109に設けられる。表示部109におけるGUIパーツ(ボタン、スイッチなど)の画像表示と、タッチパネル114に対する操作の検出とを組み合わせることにより、いわゆるソフトウェアキーを実現できる。
【0030】
モード切替スイッチ115は、デジタルカメラ10の動作モードを切り替える。なお、モード切替スイッチ115は操作部113に含まれてもよいし、タッチパネル114を用いて実現されるソフトウェアキーとして実装されてもよい。本実施形態において、デジタルカメラ10の動作モードには静止画記録モード、動画記録モード、再生モードが含まれるものとする。
【0031】
システム制御部50は、操作部113、タッチパネル114、モード切替スイッチ115の操作を検出すると、検出した操作に応じた動作を実行する。例えば、システム制御部50は、メニューボタンの操作を検出するとメニュー画面を表示部109に表示させる。また、システム制御部50は、メニュー画面の表示中に十字キーやSETキーの操作を検出すると、操作に応じてメニュー画面の表示を変更したり、メニュー画面の表示内容に応じてデジタルカメラ10の設定を変更したりする。
【0032】
電源制御部116は、電池の装着の有無、装着された電池の種類および残量を検出する。また、電源制御部116は、システム制御部50の制御に基づいて、各機能ブロックに対して適切な電力を供給したり、電力の供給を遮断したりする。なお、電源制御部116は、消費電力を低減するため、一部の機能ブロックに対する電力の供給を停止することもできる。電源部117は、電池または電池パック、電源アダプタなどである。
【0033】
記録媒体I/F118は、メモリカードなどの記録媒体119とのインターフェースである。画像処理部106が生成する記録用画像データは、所定形式のデータファイルに格納され、システム制御部50が記録媒体I/F118を通じて記録媒体119に記録する。また、システム制御部50は、記録媒体119に記録されているデータを記録媒体I/F118を通じてメモリ108に読み込む。
【0034】
次に、
図2のフローチャートを用いて、本実施形態のデジタルカメラ10における、電源オフイベント検出時の動作について説明する。なお、
図2のフローチャートに示す動作は、システム制御部50が不揮発性メモリ110に記憶されているプログラムを実行することにより実現することができる。なお、少なくとも一部の動作が、システム制御部50とは別のハードウェアによって実施されてもよい。ここでは、デジタルカメラ10が静止画記録モードで動作しているものとするが、他の動作モードで動作していてもよい。
【0035】
S200でシステム制御部50は、電源オフイベントの発生を検出したか否かを判定し、検出したと判定されればS201を実行し、判定されなければS200を繰り返し実行する。上述したように、電源オフイベントは電源オフ動作の実行が必要なイベントであり、電源スイッチのオフ操作、オートパワーオフ機能の実行条件の充足、再起動イベントが含まれる。
【0036】
S201でシステム制御部50は、検出した電源オフイベントが再起動イベントか否かを判定し、再起動イベントと判定されればS204を、判定されなければS202を実行する。再起動イベントは例えば動画記録モードへの変更を指示する操作であってよい。なお、デジタルカメラ10が動画記録モードで動作している場合、静止画記録モードへの変更を指示する操作が再起動イベントに該当する。
【0037】
S202でシステム制御部50は、センサクリーニング制御部121にセンサクリーニングの実行を指示する。また、システム制御部50は、表示部109にセンサクリーニング実行中であることを示す画面を表示する。なお、電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行がオフに設定されている場合、システム制御部50はS202でセンサクリーニングの実行を指示する代わりに、レンズキャップの装着をユーザに促す警告画面を表示部109に表示する。
【0038】
S203でシステム制御部50は、設定値の保存など、現在の動作モードに応じた終了処理を実行する。終了処理の実行が完了すると、システム制御部50は、電源制御部116に対して電源オフを指示する。これにより、電源制御部116は電源部117から各機能ブロックへの電力供給を停止する。なお、電源制御部116は、電源オフ時においても一部の機能ブロックへの電力供給を維持してもよい。システム制御部50は、S203において電源オフ処理中であることを示す画面を表示部109に表示してもよい。このように、電源オフイベントが再起動イベントであると判定されなかった場合、システム制御部50は設定に応じて電源オフ時のセンサクリーニングを実行したのち、電源オフ処理を実行する。
【0039】
一方、電源オフイベントが再起動イベントと判定された場合、システム制御部50は、電源オフ処理と電源オン処理とを含んだ再起動処理を実行する。
【0040】
具体的には、S204でシステム制御部50は、電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行についての設定にかかわらず、センサクリーニングを実行せずに、電源オフ処理を実行する。電源オフ処理の内容は基本的にS203と同様であってよいが、引き続いて電源オン処理を実行できるようにする。また、システム制御部50は、例えば不揮発性メモリ110に記憶されている次回起動時の動作モードの設定を、動画記録モードに変更する。例えば、電源オフ処理においてシステム制御部50は、電源制御部116に対して電源オフを指示する際、一定時間後に電源オンするような指示を含める。これは一例であり、他の任意の方法で、電源オフ後の自動的な電源オン実行を実現することができる。
【0041】
S205でシステム制御部50は、電源制御部116が電源オフ状態から電力の供給を開始すると、電源オン処理を実行する。電源オン処理においてシステム制御部50は、不揮発性メモリ110に記憶された設定に応じて、動画記録モード用のプログラムを実行する。
【0042】
なお、電源オン時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、再起動の際の電源オン時にはセンサクリーニングを実行しないようにすることができる。具体的には、S204の電源オフ処理において、システム制御部50が再起動イベントの実行中であることを示す1ビットのフラグを真値(例えば1)に設定する。フラグは例えば不揮発性メモリ110に保存することができる。
【0043】
S205の電源オン処理時にシステム制御部50は不揮発性メモリ110に保存されているフラグを参照する。そして、フラグが再起動イベントの実行中であることを示す値(真値)であれば、システム制御部50は、電源オン時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合であってもセンサクリーニングを実行しない。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、再起動のために電源オフする場合には、センサクリーニングの自動実行が設定されていても電源オフ時のセンサクリーニングを実行しない。そのため、センサクリーニングの実行による再起動時間の増加を抑制することが可能になる。これにより、再起動が必要なイベントの発生時における操作性を改善することができる。電源オン時のセンサクリーニングについても再起動時には実行しないようにすることで、さらに再起動時間を短縮することも可能である。
【0045】
●(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態はデジタルカメラ10で実施可能であり、電源オフイベント検出時の動作以外は第1実施形態と共通である。したがって、第1実施形態と共通する内容については説明を省略する。
【0046】
図3のフローチャートを用いて、本実施形態のデジタルカメラ10における、電源オフイベント検出時の動作について説明する。なお、
図3のフローチャートに示す動作は、システム制御部50が不揮発性メモリ110に記憶されているプログラムを実行することにより実現することができる。なお、少なくとも一部の動作が、システム制御部50とは別のハードウェアによって実施されてもよい。ここでは、デジタルカメラ10が静止画記録モードで動作しているものとするが、他の動作モードで動作していてもよい。なお、
図3において、第1実施形態と同じ動作を行う工程には
図2と同じ参照数字を付してある。
【0047】
図2および
図3の比較から明らかなように、再起動イベントが検出された場合の動作は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。S201で、電源オフイベントが再起動イベントであると判定されなかった場合、システム制御部50はS302を実行する。
【0048】
S302でシステム制御部50は、センサクリーニング制御部121にセンサクリーニングの実行を指示する。また、システム制御部50は、表示部109にセンサクリーニング実行中であることを示す画面を表示する。そして、システム制御部50はS303を実行する。
【0049】
なお、電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行がオフに設定されている場合、システム制御部50はS302でセンサクリーニングの実行を指示する代わりに、レンズキャップの装着をユーザに促す警告画面を表示部109に表示してS203を実行する。この場合、S303およびS305は実行されない。
【0050】
S303でシステム制御部50は、再起動イベントの発生を検出したか否かを判定し、検出したと判定されればS304を、判定されなければS305を実行する。再起動イベントの発生の検出は、S200およびS201と同様に実行することができる。
【0051】
S305でシステム制御部50は、センサクリーニングを実行中か否かを判定し、実行中と判定されればS303を、判定されなければS203を実行する。システム制御部50は例えばセンサクリーニング制御部121からセンサクリーニングの終了が通知されていなければセンサクリーニングを実行中であると判定することができる。
【0052】
S304でシステム制御部50は、実行中のセンサクリーニングを中止するようにセンサクリーニング制御部121に指示する。また、システム制御部50は、センサクリーニングを中止する旨をユーザに報知する画面を表示部109に表示してもよい。あるいは、センサクリーニングを実行中である旨をユーザに報知する画面を表示している場合、システム制御部50は、画面の表示を終了してもよい。その後システム制御部50はS204を実行する。
【0053】
本実施形態によれば、電源オフ時のセンサクリーニングの実行中に再起動イベントの発生が検出された場合、センサクリーニングの実行を中止し、再起動処理を実行するようにした。そのため、例えばユーザが動作モードの変更を指示した場合、一旦電源オフされるのを待つことなく、直ちに再起動処理を実行して動作モードを変更することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0055】
本実施形態の開示は、以下の撮像装置、撮像装置の制御方法、およびプログラムを含む。
(項目1)
撮像素子の撮像面上の異物を除去するセンサクリーニングを実行可能な撮像装置であって、
電源オフを伴うイベントの発生を検出する検出手段と、
前記イベントが再起動イベントであれば、電源オフ時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、電源オフ時における前記センサクリーニングを実行せずに再起動処理を実行し、前記イベントが前記再起動イベントでなければ、前記設定に応じて電源オフ時における前記センサクリーニングを実行するように前記撮像装置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする撮像装置。
(項目2)
前記制御手段は、電源オン時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、再起動のための電源オン時にはセンサクリーニングを実行しないように前記撮像装置を制御することを特徴とする項目1に記載の撮像装置。
(項目3)
前記再起動イベントが、前記撮像装置の動作モードの切り替え時に発生することを特徴とする項目1または2に記載の撮像装置。
(項目4)
前記動作モードの切り替えが、静止画記録モードと動画記録モードとの切り替えであることを特徴とする項目3に記載の撮像装置。
(項目5)
前記再起動イベントでないイベントが、オートパワーオフ機能の実行条件の充足または電源スイッチのオフ操作であることを特徴とする項目1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(項目6)
前記電源オフ時の前記センサクリーニングの実行中に前記再起動イベントの発生が検出された場合、前記制御手段は、実行中の前記センサクリーニングを中止して再起動処理を実行するように前記撮像装置を制御することを特徴とする項目1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
(項目7)
前記イベントが前記再起動イベントでなく、前記電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行がオフに設定されている場合、前記制御手段は、電源オフ処理の実行中に前記撮像装置の表示装置に警告画面を表示し、
前記イベントが前記再起動イベントでなく、前記電源オフ時のセンサクリーニングの自動実行がオンに設定されている場合、前記制御手段は、前記電源オフ時の前記センサクリーニングの実行中に前記再起動イベントの発生が検出された場合、実行中の前記センサクリーニングを中止して再起動処理を実行するように前記撮像装置を制御する、
ことを特徴とする項目1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
(項目8)
前記撮像装置は、前記撮像素子または前記撮像素子の近傍に設けられた部材を振動させることによって前記センサクリーニングを実行することを特徴とする項目1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
(項目9)
撮像素子の撮像面上の異物を除去するセンサクリーニングを実行可能な撮像装置が実行する制御方法であって、
電源オフを伴うイベントの発生を検出することと、
前記イベントが再起動イベントであれば、電源オフ時にセンサクリーニングを自動実行するように設定されている場合でも、電源オフ時における前記センサクリーニングを実行せずに再起動処理を実行し、前記イベントが前記再起動イベントでなければ、前記設定に応じて電源オフ時における前記センサクリーニングを実行するように前記撮像装置を制御する制御することと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
(項目10)
撮像装置が有するコンピュータを、項目1から8のいずれか1項に記載の撮像装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【0056】
本発明は上述した実施形態の内容に制限されず、発明の精神および範囲から離脱することなく様々な変更及び変形が可能である。したがって、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0057】
10…デジタルカメラ、50…システム制御部、103…撮像部、113…操作部、114…タッチパネル、115…モード切替スイッチ、116…電源制御部、121…センサクリーニング制御部