特開 2024-172484 注出キャップ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024172484

(43)【公開日】2024-12-12

(54)【発明の名称】注出キャップ

(51)【国際特許分類】

   B65D 47/32 20060101AFI20241205BHJP

【ＦＩ】

B65D47/32 310

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023090235

(22)【出願日】2023-05-31

(71)【出願人】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100186358

【弁理士】

【氏名又は名称】齋藤 信人

(74)【代理人】

【氏名又は名称】佐野 整博

(72)【発明者】

【氏名】坂本 智

【テーマコード（参考）】

3E084

【Ｆターム（参考）】

3E084AA04

3E084AA12

3E084AA24

3E084AA37

3E084AB01

3E084BA03

3E084CA01

3E084CB02

3E084CC03

3E084DA01

3E084DB12

3E084DC03

3E084EA01

3E084EB02

3E084EC03

3E084FA03

3E084FB01

3E084GA04

3E084GA06

3E084GB04

3E084GB06

3E084HB02

3E084HC03

3E084HD04

3E084KA05

3E084KB01

3E084LB02

3E084LC01

3E084LF04

(57)【要約】

【課題】 外気導入弁を簡単かつ生産性よく製造することができる二重容器に装着する注出キャップを提供すること。
【解決手段】 外容器Ａ１と内容器Ａ２からなり、外容器Ａ１のスクイズにより、内容器Ａ２を減容させて内容液を注出し、スクイズが解除されると、外容器Ａ１と内容器Ａ２との間に外気が導入される二重容器Ａに装着される注出キャップであって、注出キャップは、二重容器Ａの口筒部１に装着されるキャップ本体Ｂ１と、キャップ本体Ｂ１を覆う上蓋Ｂ３と、キャップ本体Ｂ１の内側に装着される栓体Ｄとを備え、キャップ本体Ｂ１は、口筒部１に装着される外筒壁１０と、外筒壁１０の上端部から内方に延設され、通気口１５を有する天面壁１２と、通気口１５を開閉する外気導入弁Ｃとを備え、外気導入弁Ｃは、上面が天面壁１２の通気口１５下面に疑似接着するとともに、下面が栓体Ｄから突設される突起部４０，４１により保持されることを特徴とする。
【選択図】 図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

外容器と内容器からなり、外容器をスクイズすることにより、内容器を減容させて内容液を注出し、スクイズが解除されることにより、外容器と内容器との間に外気が導入される二重容器に装着される注出キャップであって、
注出キャップは、二重容器の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体を覆う上蓋と、キャップ本体の内側に装着される栓体とを備え、
キャップ本体は、口筒部に装着される外筒壁と、外筒壁の上端部から内方に延設され、通気口を有する天面壁と、通気口を開閉する外気導入弁とを備え、
外気導入弁は、上面が天面壁の通気口下面に疑似接着するとともに、下面が栓体から突設される突起部により保持されることを特徴とする注出キャップ。

【請求項2】

突起部は、外気導入弁の基部側の中央を保持する中央突起部と、中央突起部の両側から保持する両側突起部とを備えることを特徴とする請求項１に記載の注出キャップ。

【請求項3】

両側突起部は、中央突起部よりも延長されることを特徴とする請求項２に記載の注出キャップ。

【請求項4】

外気導入弁は、二色成形によりキャップ本体と一体的に成形されることを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の注出キャップ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、外容器と内容器とを有し、外容器の胴部をスクイズ（押圧）して、内容器内の内容液を押し出す二重容器に装着する注出キャップに関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来から、各種の食品や調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容し、スクイズすることによって、内容液を注出するスクイズ容器が使用されている。

【0003】

また、内容液の品質維持が可能なスクイズ容器として、内外二重の構造体とし、外容器の胴部をスクイズすることによって、内側に配設された内容器を減容させて内容液を注出し、それに伴って内圧が減少し、外容器と内容器との間に外気導入口からの外気を取り込むことで外容器の胴部のみを元の形状に復元させる二重容器も知られている（例えば、特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１６－１９３７４９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

上記特許文献１記載の二重容器の場合、外気導入弁は、全周にわたって薄肉で設けられているため、全周にわたって均一に成形することが難しく、外気導入弁が垂れ下がったり、円周方向に波打ったりする等、外気導入弁の形状が安定せず、機能不全を起こす可能性があるという問題があった。

【0006】

本発明は、上記問題を解決することを課題とし、外気導入弁を簡単かつ生産性よく製造することができる二重容器に装着する注出キャップを提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、上記の課題を解決するため、外容器と内容器からなり、外容器をスクイズすることにより、内容器を減容させて内容液を注出し、スクイズが解除されることにより、外容器と内容器との間に外気が導入される二重容器に装着される注出キャップであって、注出キャップは、二重容器の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体を覆う上蓋と、キャップ本体の内側に装着される栓体とを備え、キャップ本体は、口筒部に装着される外筒壁と、外筒壁の上端部から内方に延設され、通気口を有する天面壁と、通気口を開閉する外気導入弁とを備え、外気導入弁は、上面が天面壁の通気口下面に疑似接着するとともに、下面が栓体から突設される突起部により保持されることを特徴とする構成を採用する。

【0008】

注出キャップの実施形態として、突起部は、外気導入弁の基部側の中央を保持する中央突起部と、中央突起部の両側から保持する両側突起部とを備えることを特徴とする構成、また、両側突起部は、中央突起部よりも延長されることを特徴とする構成、また、外気導入弁は、二色成形によりキャップ本体と一体的に成形されることを特徴とする構成を採用する。

【発明の効果】

【0009】

本発明の注出キャップは、上記構成を採用することにより、キャップ本体に剥離可能な外気導入弁を疑似接着することで、外気導入弁を簡単かつ生産性よく製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】本発明の注出キャップを装着した二重容器の閉蓋状態を示す図で、（ａ）は側面断面図、（ｂ）は（ａ）のＸ－Ｘ線切断矢視図である。

【図2】本発明の注出キャップの栓体を示す図で、（ａ）は上面図、（ｂ）は側面断面図である。

【図3】本発明の注出キャップの要部を示す説明図で、（ａ）は図１（ａ）の要部拡大図、（ｂ）は（ａ）の上面図、（ｃ）は（ａ）の弁体押し下げ時の図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

本発明の注出キャップとして、ヒンジキャップとして具体化された実施形態について、実施例を示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図１（ａ）でみて、左方向を「正面側（ヒンジと反対側）」とし、右方向を「背面側（ヒンジ側）」とし、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。

【0012】

（実施例）
図１において、Ａは二重容器、Ｂは二重容器Ａに装着されるキャップ本体Ｂ１と、キャップ本体Ｂ１にヒンジＢ２を介して開閉可能に連設される上蓋Ｂ３とからなるヒンジキャップ、Ｃはキャップ本体Ｂ１に剥離可能に一体成形され、通気口を塞ぐ薄肉状の外気導入弁、Ｄはキャップ本体Ｂ１の内側に装着され、二重容器Ａの開口を塞ぐとともに、逆止弁を備える栓体、Ｅはキャップ本体Ｂ１と栓体Ｄとの間に装着され、栓体Ｄの開口を塞ぐ弁体である。
外気導入弁ＣとヒンジキャップＢのキャップ本体Ｂ１は、二色成形技術（コアバック）により、疑似接着されるとともに、剥離可能に一体成形されている。
また、ヒンジキャップＢと外気導入弁Ｃは、二色成形技術に限らずインサート成形などで疑似接着されるとともに、剥離可能に一体成形することができれば、成形方法は問わない。

【0013】

図１に示すように、二重容器Ａは、上部に口筒部１と、その下方にネック部２が形成され、ネック部２の下方に形成される胴部３をスクイズすることにより弾性変形可能な外容器Ａ１と、外容器Ａ１の内側で外容器Ａ１に対して剥離可能に積層され、かつ、減容変形可能な内容器Ａ２とを有する積層剥離容器（デラミネーション容器）として形成され、外容器Ａ１の口筒部１の上端面には、内容器Ａ２の端部５が積層されており、外容器Ａ１内を閉塞している。
なお、内容器Ａ２は、減容可能であればよいので、外容器Ａ１から剥離しない構造としても構わない。

【0014】

二重容器Ａは、口筒部１の外周面に、ねじ部（雄ねじ）６が形成され、さらに、口筒部１には、外容器Ａ１と内容器Ａ２との間に外気を吸入するための外気導入孔７が設けられ、さらに、外気導入孔７が位置する口筒部１の外周面には、ねじ部６を上下方向に切り欠く溝部８が形成されている。
外容器Ａ１の胴部３がスクイズされると、内容液がキャップ本体Ｂ１から外部に注出される一方、胴部３のスクイズが解除された後は、外気導入孔７から外容器Ａ１と内容器Ａ２との間に外気が吸入されて内容器Ａ２を減容変形させたまま外容器Ａ１が復元する。

【0015】

キャップ本体Ｂ１は、外容器Ａ１の口筒部１に装着される外筒壁１０と、外筒壁１０の外周上端部に設けられ、上蓋Ｂ３と係合する蓋係合部１１と、外筒壁１０の内周上端部から内方に延設される天面壁１２と、天面壁１２の中央より正面側に偏った位置に穿設された注出口１３と、注出口１３の周縁からに立設される注出筒１４と、天面壁１２の背面側に穿設された通気口１５と、通気口１５の下端内周から拡径され、内側に薄肉の外気導入弁Ｃが一体的に成形される装着凹部１６とを備えている。
また、天面壁１２の下面には、注出口１３を囲むように外周側から垂設され、栓体Ｄの後述する嵌合筒３５に嵌入する栓体嵌合筒１７が形成され、天面壁１２下面と栓体嵌合筒１７内面と、栓体Ｄの内方に空間αが形成される。

【0016】

通気口１５は、図１および図３（ａ）、（ｂ）に示すように、正面側から中心角１８０°以上の円弧となる円弧部１５ａと、背面側が円弧の両端を結ぶ弦となる直線部１５ｂとから弓形に開口されている。
装着凹部１６は、内周部１６ａが通気口１５の径よりも拡径した径の円形に凹設されるとともに、下向き面が通気口１５の周囲に形成され、正面側の内向き面部１６ｂと、背面側の円弧面部１６ｃとから構成され、円弧面部１６ｃは、後述する栓体Ｄの中央突起部４０により外気導入弁Ｃを保持するために、内向き面部１６ｂよりも径方向に広く形成されている。

【0017】

外気導入弁Ｃは、変形可能な薄肉状に形成され、外周および外周上面がキャップ本体Ｂ１の装着凹部１６の内周面および下向き面に疑似接着して通気口１５を塞ぐように、また、下面が天面壁１２下面と面一となるようにキャップ本体Ｂ１に一体的に成形される。
なお、本実施例では、外気導入弁Ｃは、装着凹部１６の形状に合致するように、平面視で円形状に形成されているが、楕円形状や矩形状等であってよく、この場合には、装着凹部１６の形状も外気導入弁Ｃの形状に合致する必要がある。

【0018】

外筒壁１０の内周面には、上部に凹設される栓体装着部１８と、栓体装着部１８の正面側、背面側および両側から突設される装着リブ１９とが形成され、栓体装着部１８の下方には、二重容器Ａのねじ部６に螺合するねじ部（雌ねじ）２０と、ねじ部２０の下方に内周が外容器Ａ１のネック部２外周上部と密着する密着突部２１とが形成されている。
なお、ネック部２の外周面と外筒壁１０の内周面でシールできればよいので、密着突部２１は、設けなくてもよい。

【0019】

上蓋Ｂ３は、ヒンジＢ２を介してキャップ本体Ｂ１の外筒壁１０の外周上端に、回動自在に連設され、円板状の頂壁２５と、頂壁２５の周縁部から垂設され、外周下端の所定の位置にヒンジＢ２が連設される側周壁２６とを備え、頂壁２５の下面には、閉蓋時にキャップ本体Ｂ１の注出筒１４の内周面に外周面が当接するシール筒２７が垂設され、側周壁２６の内周下端部には、閉蓋時にキャップ本体Ｂ１の蓋係合部１１と係合し、閉蓋を維持する係合凹部２８が設けられている。

【0020】

図１、図２および図３に示すように、栓体Ｄは、二重容器Ａの口筒部１の上面に当接するとともに、外縁がキャップ本体Ｂ１の外筒壁１０の栓体装着部１８に係合して装着されるリング状の上壁３０と、上壁３０の上面外縁から立設され、外周が外筒壁１０内周に近接する外周壁３１と、上壁３０の内縁から垂設され、外周が口筒部１の内周上部に挿入される密着壁３２と、密着壁３２の内周下端に連設され、口筒部１内を塞ぐ底壁３３と、底壁３３の上面に、中央よりも正面側に偏った位置に立設される弁体装着内筒３４と、弁体装着内筒３４の外周側に同心円状に立設され、内周上部にキャップ本体Ｂ１の栓体嵌合筒１７外周が挿入される嵌合筒３５と、弁体装着内筒３４の内周上端に連設され、開口を塞ぐ隔壁部３６とを備えている。
底壁３３の背面側上面は、密着壁３２と嵌合筒３５との間に、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２下面とで囲まれる空間βが形成される。

【0021】

栓体Ｄの上壁３０の外縁および外周壁３１の外周の正面側と背面側および両側には、上部が外周壁３１の上端を切り込み、下部が上壁３０の外縁を切り込むように外周壁３１に凹設され、セット時にキャップ本体Ｂ１の装着リブ１９の外面が内方に嵌合して位置合わせする嵌合溝３８が配設されている。
また、嵌合溝３８同士の間には、所定の間隔で外周壁３１の内外および上壁３０の上下を連通し、空間βと栓体Ｄ下方との間で空気の流路となる空気流通部３９が形成されている。

【0022】

外周壁３１内周の背面側には、セット時に、中央部からキャップ本体Ｂ１の天面壁１２の通気口１５の直線部１５ｂの下方まで延びるとともに、上面が外気導入弁Ｃの背面側下面に当接する中央突起部４０と、中央突起部４０の両側から間隔を開けて正面側に延び、セット時に上面が外気導入弁Ｃの下面のそれぞれの両側に当接する一対の両側突起部４１とが形成されている。
なお、外気導入弁Ｃをキャップ本体Ｂ１の通気口１５の下方で保持するためには、中央突起部４０を形成するだけでも構わないが、補助的に両側突起部４１を形成することが好ましい。

【0023】

隔壁部３６には、正面側に開口４３ａを穿設して垂設されるサックバック用の筒状壁部４３と、筒状壁部４３の背面側に注出開口４４が穿設され、筒状壁部４３の内部には、逆止弁としての球状の移動弁４５が上下動可能に収容されている。
移動弁４５は、金属あるいは合成樹脂からなり、内容液の注出時、容器が傾けられ、筒状壁部４３内で隔壁部３６の開口４３ａ側に移動し、内容液の注出を終えて、胴部３への押圧を止め、また、容器を正立位置に戻したときには、移動弁４５が下がり、筒状壁部４３の下方部に着座することにより、筒状壁部４３内と二重容器Ａ内との間を遮断するとともに、移動弁４５が下方へ移動することで空間α内の内容液を二重容器Ａ側へ引き込む（サックバック）ことができる。
なお、本実施例では、逆止弁として移動弁４５を設けているが、別の構造の逆止弁を設けてもよい。

【0024】

弁体Ｅは、栓体Ｄへのセット時に、弁体装着内筒３４外周と嵌合筒３５内周との間に形成される溝部に嵌入して装着される装着筒５０と、装着筒５０の内周上端に円周に等間隔で複数配設された弾性変形可能な変形片５１とを介して連結され、下面が隔壁部３６上面と当接し、少なくとも、隔壁部３６の注出開口４４を塞ぐ弁部５２とを備えている。

【0025】

次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップＢは、キャップ本体Ｂ１と上蓋Ｂ３とをヒンジＢ２を介して開蓋した状態の比較的硬めの材質と、外気導入弁Ｃの比較的簡単に変形可能な軟材質とで、二色成形により一体的に成形する。
ヒンジキャップＢと外気導入弁Ｃとを二色成形技術（コアバック）により一体的に成形すると、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２下面に通気口１５を塞ぐように外気導入弁Ｃが疑似接着され、コアとキャビティとからなる金型に硬めの材質を充填してヒンジキャップＢを形成した後、コアをキャビティに対してコアバックして軟材質の素材を充填するので、スムーズに安定して充填することができ、成形する金型構造としても簡単で都合がよいものとなる。

【0026】

栓体Ｄは、筒状壁部４３内に移動弁４５をセットした後、弁体装着内筒３４と嵌合筒３５との間に弁体Ｅの装着筒５０を挿入することにより、弁体Ｅを装着する。
次に、弁体Ｅを装着した栓体Ｄは、ヒンジキャップＢのキャップ本体Ｂ１内に下方から位置合わせして装着する。
栓体Ｄをキャップ本体Ｂ１に装着すると、キャップ本体Ｂ１の外筒壁１０の装着リブ１９が栓体Ｄの外周壁３１の嵌合溝３８に嵌合して位置合わせされるとともに、キャップ本体Ｂ１の外筒壁１０の栓体装着部１８に栓体Ｄの上壁３０外縁が係合して装着を維持し、さらに、キャップ本体Ｂ１の栓体嵌合筒１７に、栓体Ｄの嵌合筒３５上部が嵌入し、天面壁１２下面と、栓体Ｄ内方および弁体Ｅ上面とで形成される空間αを気密に維持する。

【0027】

キャップ本体Ｂ１の通気口１５を塞ぐように天面壁１２下面に疑似接着して一体的に成形された外気導入弁Ｃは、背面側下面に、栓体Ｄの外周壁３１の背面側から突設された中央突起部４０および両側の両側突起部４１が当接することで、外気導入弁Ｃの背面側は、天面壁１２の装着凹部１６の円弧面部１６ｃと、中央突起部４０および両側の両側突起部４１とで挟み込んで固定される。
また、天面壁１２と、外気導入弁Ｃの下面と、外周壁３１と嵌合筒３５との間の栓体Ｄの上面とで、空間βを形成し、空間β内の空気は、外周壁３１の空気流通部３９を介して上壁３０の下面に抜ける流路が形成されている。

【0028】

次に、図３（ｃ）に示すように、ヒンジキャップＢは、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２の上方から通気口１５内に棒状部材Ｆを挿入し、外気導入弁Ｃの上面を下方へ押し込む。
すると、通気口１５内の外気導入弁Ｃは、背面側が天面壁１２の装着凹部１６の円弧面部１６ｃと、中央突起部４０および両側の両側突起部４１とで挟み込んで固定されているので、正面側が押し込み変形され、天面壁１２の装着凹部１６の内向き面部１６ｂの正面側との疑似接着が剥離される。
棒状部材Ｆによる押し込みが終了すると、外気導入弁Ｃは、正面側が天面壁１２下面から剥離し、背面側が天面壁１２下面に固定されて疑似接着した状態で、キャップ本体Ｂ１の通気口１５を塞ぐように天面壁１２下面に装着され、通気口１５を開閉する弁として機能する。

【0029】

次に、ヒンジキャップＢは、上蓋Ｂ３をヒンジＢ２を支点としてキャップ本体Ｂ１に対して閉蓋する。
上蓋Ｂ３の閉蓋時には、側周壁２６の係合凹部２８と、キャップ本体Ｂ１の蓋係合部１１とが係合し、閉蓋を維持するとともに、シール筒２７の外周先端部がキャップ本体Ｂ１の注出筒１４の注出口１３を塞ぎ、シールする。

【0030】

次に、閉蓋したヒンジキャップＢは、内容器Ａ２に内容液が充填された二重容器Ａの口筒部１に形成されたねじ部６に、キャップ本体Ｂ１の外筒壁１０に形成されたねじ部２０をねじ込み、キャップ本体Ｂ１を二重容器Ａに螺合するとともに、栓体Ｄの密着壁３２を、二重容器Ａの口筒部１の上端部内周に嵌合して装着し、二重容器Ａ（特に内容器Ａ２）の内方を密封した容器とする。
その際、キャップ本体Ｂ１の外筒壁１０の内周下端の密着突部２１が外容器Ａ１のネック部２外周上部と密着し、外筒壁１０内を密封する。
また、栓体Ｄの空気流通部３９を介して上壁３０下面に通した空気が、キャップ本体Ｂ１の外筒壁１０内周と外容器Ａ１の口筒部１外周との間および口筒部１の溝部８を介して外気導入孔７内まで流れる空気の流路が形成される。

【0031】

本実施例の注出キャップは、キャップ本体Ｂ１の栓体嵌合筒１７と、それを嵌入する栓体Ｄの嵌合筒３５とが、比較的硬めの材質で形成されているので、互いに保形性がよく、成形精度を高くでき、また、従来のように軟材質の弁体を間に介在させることがなく、嵌合部を一個所のみにできるので、シール性を高くすることができ、キャップ本体Ｂ１の栓体嵌合筒１７と、栓体Ｄの嵌合筒３５との嵌合部から外に液漏れすることを防止できる。

【0032】

また、外気導入弁Ｃは、キャップ本体Ｂ１に一体的に成形され、セット時に、背面側が、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２の装着凹部１６の円弧面部１６ｃおよび内向き面部１６ｂの両側と、中央突起部４０および両側の両側突起部４１とで挟み込んで固定するとともに、棒状部材Ｆの操作後でも、疑似接着が剥離されないで、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２の装着凹部１６に装着されているので、外気導入弁Ｃは、背面側が装着凹部１６に固定され、装着凹部１６との疑似接着が剥離された正面側の部分だけが下方に変形可能な開閉弁となり、変形が安定し、かつ、使用中に装着凹部１６から外れることを防止でき、さらに、外気導入弁Ｃ自体およびキャップ本体Ｂ１の天面壁１２の装着凹部１６の構成を簡単にすることができる。

【0033】

二重容器Ａ内の内容液を使用するには、図１に示す状態から、上蓋Ｂ３をキャップ本体Ｂ１から開蓋してキャップ本体Ｂ１の注出筒１４を開口し、二重容器Ａを持った状態で傾け、外容器Ａ１の胴部３をスクイズすれば、内容液を注出することができる。
その際、二重容器Ａの内容器Ａ２内の内容液は、スクイズによって栓体Ｄの隔壁部３６の筒状壁部４３内の移動弁４５を押し上げるとともに、注出開口４４を介して弁体Ｅの弁部５２を押し上げ、隔壁部３６上面と弁部５２下面との間に隙間を作り、該隙間を通して空間α内に流れ、空間α内からキャップ本体Ｂ１の開口した注出筒１４を通して注出される。
また、外気導入弁Ｃは、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２の装着凹部１６に押し付けられ、通気口１５を封鎖するので、スクイズによる圧力を内容器Ａ２に効率的に伝えることができる。

【0034】

二重容器Ａのスクイズを止めると、栓体Ｄの隔壁部３６の注出開口４４からの弁体Ｅの弁部５２の押し上げが止まり、変形片５１の復元により、弁部５２が隔壁部３６上面に当接して注出開口４４を塞ぎ、空間α内への流入が止まる。
同時に、筒状壁部４３内の移動弁４５が下がり、筒状壁部４３下部の開口を閉じて内容液の注出が止められるとともに、空間α内に残った内容液を筒状壁部４３の下部の開口からサックバックする。したがって、二重容器Ａの内容器Ａ２内の内容液への空気の接触を抑制し、内容液の品質を良好に維持することができる。

【0035】

さらに、外気導入孔７は、内容液の注出に伴う内容器Ａ２の容積を減少させる変形と、外容器Ａ１の弾性変形からの復元力とによって内方が負圧になり、内容器Ａ２と外容器Ａ１との間に空気を導入する。
空気は、通気口１５から内方の負圧により変形された外気導入弁Ｃの正面側と装着凹部１６との間から空間βに入り、空気流通部３９、口筒部１の溝部８、外気導入孔７を介して外容器Ａ１内に引き込まれ、外容器Ａ１のみが速やかに初期状態に復元する。

【0036】

外容器Ａ１の復元が終わると、内容器Ａ２と外容器Ａ１との間の負圧が解消され、外気導入弁Ｃの上面がキャップ本体Ｂ１の装着凹部１６に当接して通気口１５を塞ぎ、空間β内を封鎖する。
再度、外容器Ａ１の胴部３をスクイズすれば、外容器Ａ１内に流入した空気の圧力で内容器Ａ２を押圧し、内容器Ａ２内の内容液を繰り返して注出することができる。

【0037】

使用後は、上蓋Ｂ３をキャップ本体Ｂ１に嵌合させて閉蓋状態とし、キャップ本体Ｂ１の注出筒１４と空間α内の弁体Ｅとで容器内を二重にシールする。
この状態で、二重容器Ａが冷蔵庫内に保管されて、外容器Ａ１と内容器Ａ２との間の空気および内容器Ａ２内が冷やされて負圧になっても、キャップ本体Ｂ１の天面壁１２の通気口１５および外気導入弁Ｃの変形を介して外容器Ａ１内に空気の流入がなされるので、負圧により上蓋Ｂ３がキャップ本体Ｂ１から開蓋できなかったり、あるいは、上蓋Ｂ３を開放したときに、内容液が飛び出すことがなく、安定して使用することができる。

【産業上の利用可能性】

【0038】

本発明の注出キャップは、キャップ本体と、弁体および栓体との嵌合部を、キャップ本体と栓体との一個所のみにしたので、従来よりも気密性を向上することができ、さらに、キャップ本体に剥離可能な外気導入弁を疑似接着することで、外気導入弁を簡単かつ生産性よく製造することができるとともに、キャップ本体から外れて機能不全を起こすことがなく、特に、食品や調味料などを充填する二重容器用の注出キャップとして好適である。

【符号の説明】

【0039】

Ａ 二重容器
Ａ１ 外容器
Ａ２ 内容器
Ｂ ヒンジキャップ
Ｂ１ キャップ本体
Ｂ２ ヒンジ
Ｂ３ 上蓋
Ｃ 外気導入弁
Ｄ 栓体
Ｅ 弁体
Ｆ 棒状部材
α、β 空間
１ 口筒部
２ ネック部
３ 胴部
５ 端部
６、２０ ねじ部
７ 外気導入孔
８ 溝部
１０ 外筒壁
１１ 蓋係合部
１２ 天面壁
１３ 注出口
１４ 注出筒
１５ 通気口
１５ａ 円弧部
１５ｂ 直線部
１６ 装着凹部
１６ａ 内周部
１６ｂ 内向き面部
１６ｃ 円弧面部
１７ 栓体嵌合筒
１８ 栓体装着部
１９ 装着リブ
２１ 密着突部
２５ 頂壁
２６ 側周壁
２７ シール筒
２８ 係合凹部
３０ 上壁
３１ 外周壁
３２ 密着壁
３３ 底壁
３４ 弁体装着内筒
３５ 嵌合筒
３６ 隔壁部
３８ 嵌合溝
３９ 空気流通部
４０ 中央突起部
４１ 両側突起部
４３ 筒状壁部
４３ａ 開口
４４ 注出開口
４５ 移動弁
５０ 装着筒
５１ 変形片
５２ 弁部

【図1】

【図2】

【図3】