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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172486
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/20 20110101AFI20241205BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20241205BHJP
   G10K 15/12 20060101ALI20241205BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20241205BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20241205BHJP
【FI】
G06T19/20
H04S7/00 300
G10K15/12
A63F13/52
A63F13/54
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090238
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【テーマコード(参考)】
5B050
5D162
5D208
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA12
5B050CA07
5B050EA07
5B050FA05
5B050FA10
5D162CD01
5D162EG02
5D208AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】仮想空間の臨場感を高めるプログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】ユーザに対して仮想空間における映像及び音声の鑑賞体験を提供するシステムに係るプログラムは、情報処理装置2のコンピュータを、ユーザが所定の端末装置3を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、をそれぞれ一以上含む複数のオブジェクトを配置する配置手段102と、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報144a及び素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報144bを、素材情報に基づいて生成する第1生成手段104aと、反射光情報に基づく画像及び反響音情報に基づく音声を、ユーザに対して出力する出力手段108と、として機能させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザが所定の端末装置を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報が関連付けられた素材オブジェクトと、前記仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、前記仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、をそれぞれ一以上含む複数のオブジェクトを配置する配置手段と、
前記素材オブジェクトに当たった前記光に対応する反射光情報、及び、前記素材オブジェクトに当たった前記音に対応する反響音情報を、前記素材情報に基づいて生成する第1生成手段と、
前記反射光情報に基づく画像、及び、前記反響音情報に基づく音声を、前記ユーザに対して出力する出力手段と、
として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記複数のオブジェクトの少なくとも一つの配置に関する第1操作を前記ユーザから受け付ける第1受付手段、としてさらに機能させ、
前記配置手段は、前記第1操作に基づいて、前記複数のオブジェクトの少なくとも一つを配置する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、前記素材情報の変更に関する第2操作を前記ユーザから受け付ける第2受付手段、としてさらに機能させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記光は、前記光源オブジェクトに関連付けられた光源設定情報に基づいて仮想的に発せられ、
前記音は、前記音源オブジェクトに関連付けられた音源設定情報に基づいて仮想的に発せられ、
前記コンピュータを、前記光源設定情報及び前記音源設定情報の少なくとも一方の変更に関する第3操作を前記ユーザから受け付ける第3受付手段、としてさらに機能させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記素材オブジェクトは、さらに、当該素材オブジェクトの構造に関する構造情報が関連付けられ、
前記反射光情報は、前記素材情報に基づいて生成され、
前記反響音情報は、前記構造情報及び前記素材情報に基づいて生成される、請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記構造情報は、前記素材オブジェクトの厚み及び空洞の少なくとも一方に関する情報を含む、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記素材オブジェクトは、第1素材オブジェクトと、当該第1素材オブジェクトの表面に設けられる第2素材オブジェクトとを含み、
前記素材情報は、前記第1素材オブジェクトに関連付けられた第1素材情報と、前記第2素材オブジェクトに関連付けられた第2素材情報とを含み、
前記反射光情報は、前記第2素材情報に基づいて生成され、
前記反響音情報は、前記第1素材情報及び前記第2素材情報に基づいて生成される、請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
現実空間の物体に関する画像情報を取得する取得手段と、
前記素材情報を、前記画像情報に基づいて特定された前記物体の素材に応じて生成する第2生成手段と、
としてさらに機能させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記素材情報は、前記素材オブジェクトの色彩、質感、密度及び弾性の少なくとも一部に関する情報を含む、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
仮想空間における、素材に関する素材情報が関連付けられた素材オブジェクトと、前記仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、前記仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、を含む一以上のオブジェクトを、前記ユーザが認識できるように出力する出力手段、として機能させ、
前記出力手段は、前記素材情報に基づいて生成された、前記素材オブジェクトに当たった前記光に対応する反射光情報、及び、前記素材オブジェクトに当たった前記音に対応する反響音情報を、さらに出力する、プログラム。
【請求項11】
ユーザが所定の端末装置を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報が関連付けられた素材オブジェクトと、前記仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、前記仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、を含む一以上のオブジェクトを配置する配置部と、
前記素材オブジェクトに当たった前記光に対応する反射光情報、及び、前記素材オブジェクトに当たった前記音に対応する反響音情報を、前記素材情報に基づいて生成する第1生成部と、
前記反射光情報及び前記反響音情報を前記ユーザに対して出力する出力部と、
を備える、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨場感の高い鑑賞体験を実現するコンテンツを提供する技術が知られている。例えば、特許文献1には、演者の身体運動に基づいて挙動制御がなされる演者キャラクタを提示するコンテンツの鑑賞体験を鑑賞ユーザに提供する鑑賞システムが開示されている。この鑑賞システムは、演者の身体運動を示す運動情報に基づいて、演者キャラクタの挙動を制御し、鑑賞ユーザの視点の情報に基づいて、演者キャラクタを配置した3次元空間における演出を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-173870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された鑑賞システムによっては、仮想空間の臨場感を十分に高めることができない。
【0005】
そこで、本開示は、上記課題に鑑み、仮想空間の臨場感を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、ユーザが所定の端末装置を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報が関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、をそれぞれ一以上含む複数のオブジェクトを配置する配置手段と、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報を、素材情報に基づいて生成する第1生成手段と、反射光情報に基づく画像、及び、反響音情報に基づく音声を、ユーザに対して出力する出力手段と、として機能させる。
【0007】
本開示の他の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、仮想空間における、素材に関する素材情報が関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、を含む一以上のオブジェクトを、ユーザが認識できるように出力する出力手段、として機能させ、出力手段は、素材情報に基づいて生成された、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報を、さらに出力する。
【0008】
本開示の他の一態様に係る情報処理装置は、ユーザが所定の端末装置を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報が関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、を含む一以上のオブジェクトを配置する配置部と、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報を、素材情報に基づいて生成する第1生成部と、反射光情報及び反響音情報をユーザに対して出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、仮想空間の臨場感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るシステムの機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を説明するための図である。
図7】本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を説明するための図である。
図8】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態(以下では、本実施形態という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
本開示において、「部」、「手段」、「装置」及び「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「手段」、「装置」及び「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「手段」、「装置」及び「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段及び装置、ソフトウェアにより実現されても、2つ以上の「部」、「手段」、「装置」及び「システム」の機能が1つの物理的手段、装置、ソフトウェアにより実現されてもよい。
【0013】
<1.システム1の概要>
本実施形態に係るシステム1(以下、単に「システム1」と称する)は、ユーザに対して仮想空間における映像及び音声の鑑賞体験を提供するシステムである。仮想空間とは、仮想現実(VR:Virtual Reality)における空間である。仮想現実とは、コンピュータを用いて生成されたデジタル環境である。仮想空間の一例は、メタバースである。
【0014】
ユーザは、所定の端末装置3を使用することにより、仮想空間内における自身の分身となるオブジェクト(以下、「アバター」と称する)を介して仮想空間内の他のオブジェクトを認識することができる。
【0015】
他のオブジェクトは、例えば、仮想空間内の光源(例えば、照明、太陽及び炎等)に対応する光源オブジェクトを含む。ユーザは、端末装置3としてヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mount Display)等を使用することにより、あたかも自身が仮想空間内でアバターの位置にいるかのように光源オブジェクトを視認することができる。
【0016】
他のオブジェクトは、他にも、例えば、仮想空間内の音源(例えば、楽器、スピーカー、発声している他のユーザ等)に対応する音源オブジェクトを含む。ユーザは、端末装置3としてHDM等を使用することにより、あたかも自身が仮想空間内でアバターの位置にいるかのように音源オブジェクトから仮想的に発せられる音を聴くことができる。
【0017】
ユーザは、光源オブジェクト及び音源オブジェクト以外のオブジェクト(例えば、家具のオブジェクト、壁のオブジェクト、天井のオブジェクト及び他のユーザのアバター等)も認識することができる。光源オブジェクトから仮想的に発せられた光(以下、「仮想光」と称する)は、このようなオブジェクトに反射する。そして、ユーザはその反射による反射光(以下、「仮想反射光」と称する)を認識することができる。また、音源オブジェクトから仮想的に発せられた音(以下、「仮想音」と称する)は、このようなオブジェクトに反響する。そして、ユーザはその反響による反響音(以下、「仮想反響音」と称する)を認識することができる。
【0018】
ところで、現実空間では、反射光及び反響音は、一般的に、光及び音が当たった物体の素材(例えば、材質、色彩、質感、密度及び弾性等)によって異なる。システム1の目的の一つは、このような現象を仮想空間において再現することである。具体的には、システム1は、オブジェクトに関連付けられた素材に関する素材情報に基づいて、仮想反射光及び仮想反響音を決定し、ユーザに認識可能にする。以下、素材情報が関連付けられたオブジェクトを「素材オブジェクト」と称する。
【0019】
<2.システム1の構成>
図1を参照して、システム1の構成の一例について説明する。システム1は、情報処理装置2、端末装置3及び通信ネットワーク4を含む。
【0020】
[情報処理装置2]
情報処理装置2は、制御部10、記憶部14及びネットワークインタフェース部18を含む。制御部10、記憶部14及びネットワークインタフェース部18は、それぞれがバス16を介して電気的に接続されている。
【0021】
[記憶部14]
記憶部14は、情報処理装置2の動作のために必要な各種情報を記憶する。記憶される情報は、空間情報140、オブジェクト情報142、画像情報143、反射光情報144a及び反響音情報144bを含む。
【0022】
空間情報140は、仮想空間の形状等に関する情報である。仮想空間の形状等は、仮想空間のサイズ(すなわち、高さ、幅及び奥行き等)に関する情報を含む。仮想空間が建築物の内部に対応するものである場合には、空間情報140は、当該建築物の天井、階段、床、廊下及び壁の形状、位置等に関する情報を含む。仮想空間が屋外に対応するものである場合には、空間情報140は、地形等に関する情報を含む。空間情報140は、例えば、CAD(Computer Aided Design)データ等の三次元構造情報であってよい。
【0023】
なお、仮想空間内の建築物及び当該建築物の天井、階段、床、廊下及び壁等は、それぞれが素材オブジェクトであってよい。
【0024】
情報処理装置2は、空間情報140を読み込むことで、仮想空間を生成することができる。情報処理装置2が、例えば、コンサートホールの形状等に関する情報を含む空間情報140に基づいて仮想空間を生成した場合、ユーザはアバターを介して仮想的に当該コンサートホールに入ったかのように映像及び音声を体感することができる。
【0025】
オブジェクト情報142は、オブジェクトに関連付けられた情報であり、位置情報142a、素材情報142b及び構造情報142cを含む。
【0026】
位置情報142aは、素材オブジェクトの仮想空間における位置に関する情報である。位置情報142aは、例えば、三次元座標軸上の座標に関する情報を含む。位置情報142aは、1つの素材オブジェクトに対して1つの座標(例えば、素材オブジェクトの中心に対応する座標)が関連付けられたものであってよい。また、位置情報142aは、1つの素材オブジェクトに対して複数の座標(例えば、素材オブジェクトの上端、下端、右端及び左端の4つの座標)が関連付けられたものであってよい。仮想空間が生成される際には、位置情報142aが読み込まれることにより素材オブジェクトが配置される位置が決定されてよい。
【0027】
素材情報142bは、素材オブジェクトの素材に関する情報である。ユーザは、仮想空間において、素材オブジェクトが素材情報142bに係る素材でできているかのように認識することができる。例えば、素材情報142bに係る素材が「木材」である場合、仮想空間において、当該素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトは「木材」でできているかのように認識される。他にも、例えば、素材情報142bに係る素材が「金属」である場合、仮想空間において、当該素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトは「金属」でできているかのように認識される。仮想空間が生成される際には、素材情報142bが読み込まれることにより素材オブジェクトのグラフィックが決定されてよい。
【0028】
素材情報142bは、素材オブジェクトの色彩、質感、密度及び弾性に関する情報を含んでよい。素材オブジェクトの質感は、素材オブジェクトのテクスチャ及び透明度等を含む。
【0029】
テクスチャは、素材オブジェクトの表面の微細なパターンや模様である。テクスチャは、例えば、木材の年輪、石の模様及び布地の織り等である。テクスチャが粗い場合、典型的には、素材オブジェクトはマットな印象を与える。一方で、テクスチャが平滑な場合、典型的には、素材オブジェクトは光沢があるような印象を与える。
【0030】
透明度は、素材オブジェクトが仮想光を透過させる度合である。素材オブジェクトが透明である場合、滑らかで純粋な印象を与える。一方、素材オブジェクトが半透明又は不低迷である場合、固体的な印象を与える。
【0031】
素材情報142bは、素材情報142bに係る素材に対応する第1素材パラメータと、第1素材パラメータに基づいて決定される一以上の第2素材パラメータを含んでよい。第1素材パラメータの設定値は、例えば、「木材」、「金属」、「ゴム」、「プラスチック」及び「発泡剤」等である。第2素材パラメータは、例えば、第1素材パラメータに基づいて決定される色彩、質感、密度及び弾性等である。
【0032】
第2素材パラメータは、反射光情報144aの生成に関連する反射関連パラメータと、反響音情報144bの生成に関連する反響関連パラメータを含む。反射関連パラメータは、例えば、素材オブジェクトの色彩及び質感等である。反響関連パラメータは、例えば、素材オブジェクトの密度及び弾性等である。
【0033】
構造情報142cは、素材オブジェクトの構造に関する情報を含む。素材オブジェクトの構造は、例えば、素材オブジェクトの高さ、幅、奥行き(厚み)及び内部の空洞等を含む。構造情報142cは、CADデータ等の三次元構造情報であってよい。仮想空間が生成される際には、構造情報142cが読み込まれることにより素材オブジェクトのグラフィックが決定されてよい。
【0034】
情報処理装置2は、空間情報140及びオブジェクト情報142に基づいて、オブジェクトが配置された仮想空間を生成する。
【0035】
画像情報143は、現実空間の物体が撮影されることにより生成された情報である。画像情報143は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)ファイル等で記憶されてよい。
【0036】
反射光情報144aは、光源オブジェクトから発せられた仮想光が素材オブジェクトに当たった際の仮想反射光に関する情報である。反射光情報144aの生成については、図7を参照して後述する。
【0037】
反響音情報144bは、音源オブジェクトから発せられた仮想音が素材オブジェクトに当たった際の仮想反響音に関する情報である。反響音情報144bの生成については、図7を参照して後述する。
【0038】
[制御部10]
制御部10は、記憶部14に記憶された各種プログラムを実行することにより、受付手段100、配置手段102、生成手段104、取得手段106及び出力手段108として機能する。以下では、各機能について説明する。
【0039】
―受付手段100―
受付手段100は、第1受付手段100a、第2受付手段100b及び第3受付手段100cを含む。
【0040】
第1受付手段100aは、素材オブジェクト、光源オブジェクト及び音源オブジェクトを含む複数のオブジェクトの少なくとも一つの配置に関する第1操作をユーザから受け付ける。第1操作は、仮想空間で(例えば、ユーザが視認できる三次元グラフィカルユーザインターフェース等を介して)行われてよく、現実空間で(例えば、仮想空間の平面図又は見取り図等が表示された画面において位置を選択するユーザインタフェース等を介して)行われてもよい。第1操作は、オブジェクトの位置の指定であってよい。また、第1操作は、現実空間において物体が配置された画像を読み込むことであってもよい。
【0041】
第2受付手段100bは、素材情報142bの変更に関する第2操作をユーザから受け付ける。第2操作は、典型的には、第1素材パラメータの変更に関する操作である。第1素材パラメータの変更に関する操作は、例えば、素材オブジェクトの素材を「木材」から「金属」に変更する操作である。この場合、第1素材パラメータの変更に応じて、素材オブジェクトの第2素材パラメータは、「木材」に対応する色彩、質感、密度及び弾性等から、「金属」に対応する色彩、質感、密度及び弾性等に変更されてよい。
【0042】
なお、第2素材パラメータは、ユーザが直接的に変更することはできないものであってよい。第2素材パラメータは、第1素材パラメータが変更されることにより従属的に変更されるものであってよい。すなわち、第2受付手段100bは第1素材パラメータの変更に関する操作を受け付け、第2素材パラメータは、第1素材パラメータの変更に応じて変更されてよい。
【0043】
第3受付手段100cは、光源オブジェクトに関連付けられた光源設定情報及び音源オブジェクトに関連付けられた音源設定情報の少なくとも一方の変更に関する第3操作をユーザから受け付ける。
【0044】
光源オブジェクトは、光源設定情報に基づいて仮想光を発する。光源オブジェクトは、光源設定情報がある値に設定されている場合に第1仮想光を発してよく、光源設定情報が他の値に設定されている場合に第2仮想光を発してよい。仮想反射光は、仮想光と、当該仮想光が当たった素材オブジェクトの素材情報142bに基づいて決定される。すなわち、光源設定情報が変更されることにより、仮想光が変化し、これに伴って仮想反射光も変化する。光源設定情報は、例えば、光源の種類(例えば、LED(light-emitting diode)、蛍光灯、白熱灯、ハロゲン灯、HID(High Intensity Discharge Lamp)及びオゾン灯等)、色温度、光束、照度、光源の形状、光源の位置及び光を発する方向等に関する情報を含む。
【0045】
音源オブジェクトは、音源設定情報に基づいて仮想音を発する。音源オブジェクトは、音源設定情報がある値に設定されている場合に第1仮想音を発してよく、音源設定情報が他の値に設定されている場合に第2仮想音を発してよい。仮想反響音は、仮想音と、当該仮想音が当たった素材オブジェクトの素材情報142bに基づいて決定される。すなわち、音源設定情報が変更されることにより、仮想音が変化し、これに伴って仮想反響音も変化する。音源設定情報は、例えば、音量、ピッチ、音色、曲、音源の形状、音源の位置及び音を発する方向等に関する情報を含む。
【0046】
―配置手段102―
配置手段102は、仮想空間に、素材オブジェクト、光源オブジェクト及び音源オブジェクトをそれぞれ一以上含む複数のオブジェクトを配置する。配置手段102は、第1受付手段100aが受け付けた第1操作に基づいて、複数のオブジェクトの少なくとも一つを配置してよい。例えば、第1操作がオブジェクトの位置の指定に関する操作である場合、配置手段102は、当該位置にオブジェクトを配置する。他にも、例えば、第1操作が現実空間において物体が配置された画像を読み込ませる操作である場合、配置手段102は、当該画像を解析することにより物体の現実空間における位置を特定し、当該位置に対応する仮想空間における位置に、物体に対応するオブジェクトを配置する。
【0047】
―生成手段104―
生成手段104は、第1生成手段104a及び第2生成手段104bを含む。
【0048】
第1生成手段104aは、素材オブジェクトに当たった仮想光に対応する反射光情報144a、及び、素材オブジェクトに当たった仮想音に対応する反響音情報144bを、素材情報142bに基づいて生成する。反射光情報144a及び反響音情報144bは、第1素材パラメータに基づいて決定される第2素材パラメータに基づいて決定されてよい。具体的には、反射光情報144aは、第2素材パラメータのうち、反射関連パラメータ(例えば、素材オブジェクトの色彩及び質感等)に基づいて生成されてよく、反響音情報144bは、第2素材パラメータのうち、反響関連パラメータ(例えば、素材オブジェクトの密度及び弾性等)に基づいて生成されてよい。
【0049】
また、第1生成手段104aは、素材情報142bに基づいて反射光情報144aを生成してよく、構造情報142c及び素材情報142bに基づいて反響音情報144bを生成してよい。図2図3を参照して、このようにして生成される反射光情報144a及び反響音情報144bの一例について説明する。
【0050】
図2は、素材情報142bが共通し、構造情報142c(この例では、厚み)が共通しない2つの素材オブジェクトである素材オブジェクト208a及び素材オブジェクト208bのそれぞれに対して、同じ仮想光A1が同じ方向から当たった場合における仮想反射光の一例について示した図である。仮想光A1が素材オブジェクト208aに当たった場合の仮想反射光を仮想反射光A’1とし、仮想光A1が素材オブジェクト208bに当たった場合の仮想反射光を仮想反射光A’2とする。このとき、反射光情報144aは(構造情報142cによらず)素材情報142bに基づいて生成されるため、仮想反射光A’1及び仮想反射光A’2は略同一となる。
【0051】
図3は、素材オブジェクト208a及び素材オブジェクト208bのそれぞれに対して、同じ仮想音B1が同じ方向から当たった場合における仮想反響音の一例について示した図である。仮想音B1が素材オブジェクト208aに当たった場合の仮想反響音を仮想反響音B’1とし、仮想音B1が素材オブジェクト208bに当たった場合の仮想反響音を仮想反響音B’2とする。このとき、反響音情報144bは、素材情報142bのほかに、2つの素材オブジェクト間で共通しない構造情報142cに基づいて生成されるため、仮想反響音B’1及び仮想反響音B’2は異なるものとなる。
【0052】
また、素材オブジェクトが、第1素材オブジェクトと、当該第1素材オブジェクトの表面に設けられる第2素材オブジェクトとを含み、素材情報142bが、第1素材オブジェクトに関連付けられた第1素材情報と、第2素材オブジェクトに関連付けられた第2素材情報とを含む場合、第1生成手段104aは、第2素材情報に基づいて反射光情報144aを生成してよく、第1素材情報及び第2素材情報に基づいて反響音情報144bを生成してよい。図4図5を参照して、このようにして生成される反射光情報144a及び反響音情報144bの一例について説明する。
【0053】
図4は、素材オブジェクト208c及び素材オブジェクト208dのそれぞれに対して、同じ仮想光C1が同じ方向から当たった場合における仮想反射光の一例について示した図である。なお、素材オブジェクト208cは、第1素材オブジェクト210bと、第1素材オブジェクト210bの表面に設けられた第2素材オブジェクト210aとから構成される。また、素材オブジェクト208dは、第1素材オブジェクト210dと、第1素材オブジェクト210bの表面に設けられた第2素材オブジェクト210aとから構成される。すなわち、素材オブジェクト208c及び素材オブジェクト208dは、表面に設けられた第2素材オブジェクト210aが共通し、その内部の第1素材オブジェクト210b/20dが共通しない。
【0054】
仮想光C1が素材オブジェクト208cの第2素材オブジェクト210aが設けられた面に当たった場合の仮想反射光を仮想反射光C’1とし、仮想光C1が素材オブジェクト208dの第2素材オブジェクト210aが設けられた面に当たった場合の仮想反射光を仮想反射光C’2とする。このとき、反射光情報144aは(第1素材オブジェクト210b/210dに関連付けられた第1素材情報によらず)第2素材オブジェクト210aに関連付けられた第2素材情報に基づいて生成されるため、仮想反射光A’1及び仮想反射光A’2は略同一となる。
【0055】
図5は、素材オブジェクト208c及び素材オブジェクト208dのそれぞれに対して、同じ仮想音D1が同じ方向から当たった場合における仮想反響音の一例について示した図である。仮想音D1が素材オブジェクト208cの第2素材オブジェクト210aが設けられた面に当たった場合の仮想反響音を仮想反響音D’1とし、仮想音D1が素材オブジェクト208dの第2素材オブジェクト210aが設けられた面に当たった場合の仮想反響音を仮想反響音D’2とする。このとき、反響音情報144bは、第2素材オブジェクト210aに関連付けられた第2素材情報のほか、第1素材オブジェクト210b/210dに関連付けられた第1素材情報に基づいて生成されるため、仮想反響音D’1及び仮想反響音D’2は異なるものとなる。
【0056】
第2生成手段104bは、素材情報142bを、現実空間の物体に関する画像情報143に基づいて特定された物体の素材に応じて生成する。例えば、後述する取得手段106が「木材」でできた物体の画像に関する画像情報143を取得した場合、第2生成手段104bは、画像認識処理等により、画像情報143に基づいて第2素材パラメータ(例えば、画像に写った「木材」の色彩及び質感等)を決定し、そのような第2素材パラメータを有する素材情報142bを生成してよい。
【0057】
―取得手段106―
取得手段106は、画像情報143を取得する。なお、情報を取得することは、当該情報を制御部10において処理可能な状態にすることを含む。すなわち、取得手段106は、他の装置から画像情報143を受信してよく、記憶部14に記憶された画像情報143を読み出してよい。
【0058】
―出力手段108―
出力手段108は、反射光情報144aに基づく画像(映像を含む)、及び、反響音情報144bに基づく音声を、ユーザに対して出力する。出力手段108は、例えば、ユーザが着用したHMDのディスプレイを機能させることにより反射光情報144aに基づく画像を出力し、スピーカーを機能させることにより反響音情報144bに基づく音声を出力してよい。
【0059】
[端末装置3]
端末装置3は、ユーザが操作する端末である。端末装置3は、制御部20、記憶部(図示しない)及びネットワークインタフェース部(図示しない)を含む。
【0060】
制御部20は、端末装置3の記憶部に記憶された各種プログラムを実行することにより、受付手段200、取得手段202及び出力手段204として機能する。以下では、各機能について説明する。
【0061】
―受付手段200―
受付手段200は、ユーザから、素材オブジェクト、光源オブジェクト及び音源オブジェクトを含む一以上のオブジェクトの配置に関する第1操作と、素材情報142bの変更に関する第2操作と、光源設定情報及び音源設定情報の少なくとも一方の変更に関する第3操作とを受け付ける。第1操作―第3操作に関する情報は、端末装置3のネットワークインタフェース部を介して情報処理装置2に送信される。
【0062】
―取得手段202―
取得手段202は、反射光情報144aに基づく画像、及び、反響音情報144bに基づく音声を出力するための情報を情報処理装置2から取得する。
【0063】
―出力手段204―
出力手段204は、仮想空間における、素材オブジェクト、光源オブジェクト及び音源オブジェクトを含む一以上のオブジェクトを、ユーザが認識できるようにを出力する。また、出力手段204は、素材情報142bに基づいて生成された反射光情報144a及び反響音情報144bを、さらに出力する。
【0064】
<3.情報処理装置2の動作>
図6図7を参照して、情報処理装置2の動作の一例について説明する。図6は、情報処理装置2の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図7は、オブジェクト及びアバターが存在する仮想空間の概念図である。
【0065】
初期状態において、ユーザのアバターは、仮想空間の「L1」という位置に位置するものとする(図7 中心参照)。
【0066】
まず、情報処理装置2は、ユーザから光源オブジェクトの位置の指定を受け付ける(S10)。この例では、ユーザは、光源オブジェクトの位置として「L2」を指定するものとする(図7 左上側参照)。情報処理装置2は、ユーザの操作に基づいて、光源オブジェクトを配置する。光源オブジェクトからは、仮想光E1が発せられる。
【0067】
次に、情報処理装置2は、ユーザから音源オブジェクトの位置の指定を受け付ける(S12)。この例では、ユーザは、音源オブジェクトの位置として「L3」を指定するものとする(図7 右上側参照)。情報処理装置2は、ユーザの操作に基づいて、音源オブジェクトを配置する。音源オブジェクトからは、仮想音F1が発せられる。
【0068】
次に、情報処理装置2は、ユーザから素材オブジェクトの位置の指定を受け付ける(S14)。この例では、ユーザは、素材オブジェクトの位置として「L4」を指定するものとする(図7 下側参照)。情報処理装置2は、ユーザの操作に基づいて、素材オブジェクトを配置する。
【0069】
次に、情報処理装置2は、アバター、光源オブジェクト及び素材オブジェクトの位置関係と、素材オブジェクトに関連付けられた素材情報142bとに基づいて、反射光情報144aを生成する(S16)。図7の経路r1は、光源オブジェクトから発せられた仮想光E1が素材オブジェクトに当たり、アバターに到達する経路の一例である。アバターには、仮想反射光E’1が到達する。情報処理装置2は、仮想反射光E’1に応じて反射光情報144aを生成する。
【0070】
次に、情報処理装置2は、生成された反射光情報144aに基づいて立体映像情報を生成する(S18)。
【0071】
次に、情報処理装置2は、アバター、音源オブジェクト及び素材オブジェクトの位置関係と、素材オブジェクトに関連付けられた素材情報142bとに基づいて、反響音情報144bを生成する(S20)。図7の経路r2は、音源オブジェクトから発せられた仮想音F1が素材オブジェクトに当たり、アバターに到達する経路の一例である。アバターには、仮想反響音F’1が到達する。情報処理装置2は、仮想反響音F’1に応じて反響音情報144bを生成する。
【0072】
次に、情報処理装置2は、生成された反響音情報144bに基づいて立体音声情報を生成する(S22)。
【0073】
次に、情報処理装置2は、S18で生成した立体映像情報及びS22で生成した立体音声情報を出力する(S24)。これにより、ユーザは、素材オブジェクトに反射した仮想反射光E’1及び素材オブジェクトに反響した仮想反響音F’1を認識することができる。
【0074】
以上をまとめると、本開示の一実施形態に係るプログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70を、ユーザが所定の端末装置3を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、をそれぞれ一以上含む複数のオブジェクトを配置する配置手段102と、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報144a、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報144bを、素材情報142bに基づいて生成する第1生成手段104aと、反射光情報144aに基づく画像、及び、反響音情報144bに基づく音声を、ユーザに対して出力する出力手段108と、として機能させる。
【0075】
<4.情報処理装置2の効果>
情報処理装置2は、仮想空間の臨場感を高めることができる。情報処理装置2により、ユーザは、仮想空間において素材オブジェクトの素材に応じた仮想反射光及び仮想反響音を認識することができる。ユーザは、例えば、「木材」の素材オブジェクトからは、温かみがあるような視覚的印象を受け、軟らかく低い音の反響を聴くことができる。ユーザは、他にも、例えば、「金属」の素材オブジェクトからは、冷たさがあるような視覚的印象を受け、硬く高い音の反響を聴くことができる。
【0076】
仮想空間の臨場感を高めるためには、ユーザが視覚と聴覚を一体的に体感できるようにすることが重要である。情報処理装置2によれば、ユーザは、素材オブジェクトに対して一貫した視覚的印象及び聴覚的印象を受けるため、仮想空間の臨場感を高めることができる。
【0077】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70を、複数のオブジェクトの少なくとも一つの配置に関する第1操作をユーザから受け付ける第1受付手段100a、としてさらに機能させ、配置手段102は、第1操作に基づいて、複数のオブジェクトの少なくとも一つを配置する。
【0078】
この構成により、情報処理装置2は、仮想空間のデザイン(又は設計)を効率化することができる。図7を参照して説明したように、ユーザが認識する仮想反射光及び仮想反響音は、ユーザのアバター、光源オブジェクト、音源オブジェクト及び素材オブジェクトの位置関係に基づいて決定される。特に、素材オブジェクトの位置は、仮想反射光及び仮想反響音の両方に関連するため、ユーザが受ける印象に大きな影響を与える。すなわち、情報処理装置2は、上記構成により、ユーザの意図に応じた様々な印象を与える仮想空間を作り出すことができる。
【0079】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70を、素材情報142bの変更に関する第2操作をユーザから受け付ける第2受付手段100b、としてさらに機能させる。
【0080】
この構成により、情報処理装置2は、仮想空間のデザイン(又は設計)を効率化することができる。図7を参照して説明したように、ユーザが認識する仮想反射光及び仮想反響音は、素材オブジェクトに関連付けられた素材情報142bに基づいて決定される。すなわち、素材情報142bが変更されることにより仮想反射光及び仮想反響音の両方が変化する。これにより、ユーザは、上記構成により、一貫した印象を与える仮想空間をより効率よくデザインすることができる。
【0081】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムにおいて、反射光情報144aに対応する仮想光は、光源オブジェクトに関連付けられた光源設定情報に基づいて発せられ、反響音情報144bに対応する仮想音は、音源オブジェクトに関連付けられた音源設定情報に基づいて発せられ、当該プログラムは、情報処理装置2のコンピュータ70を、光源設定情報及び音源設定情報の少なくとも一方の変更に関する第3操作をユーザから受け付ける第3受付手段100c、としてさらに機能させる。
【0082】
この構成により、情報処理装置2は、仮想空間のデザイン(又は設計)を効率化することができる。図7を参照して説明したように、ユーザが認識する仮想反射光及び仮想反響音は、それぞれ光源オブジェクトから発せられる仮想光及び音源オブジェクトから発せられる仮想音に基づいて決定される。すなわち、仮想光の設定に関する光源設定情報及び仮想音の設定に関する音源設定情報は、ユーザが受ける印象に大きな影響を与える。情報処理装置2は、上記構成により、ユーザの意図に応じた様々な印象を与える仮想空間を作り出すことができる。
【0083】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムにおいて、素材オブジェクトは、さらに、当該素材オブジェクトの構造に関する構造情報142cが関連付けられ、反射光情報144aは、素材情報142bに基づいて生成され、反響音情報144bは、構造情報142c及び素材情報142bに基づいて生成される。
【0084】
この構成により、情報処理装置2は、仮想空間の臨場感をさらに向上させることができる。現実空間においては、反射光は、典型的には物体の素材(質感を含む)によって決まる。一方で、反響音は、物体の素材のほかに、その構造(例えば、物体の厚み及び内部の空洞等)によって異なる。上記構成によれば、現実空間におけるこのような物理現象を仮想空間において再現することができる。具体的には、情報処理装置2は、仮想反射光を素材オブジェクトの素材によって、仮想反響音を素材オブジェクトの素材に加えてその構造によってそれぞれ決定する。これにより、情報処理装置2は、現実空間に近い印象を仮想空間においてユーザに与えることができる。
【0085】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムにおいて、素材オブジェクトは、第1素材オブジェクトと、当該第1素材オブジェクトの表面に設けられる第2素材オブジェクトとを含み、素材情報142bは、第1素材オブジェクトに関連付けられた第1素材情報と、第2素材オブジェクトに関連付けられた第2素材情報とを含み、反射光情報144aは、第2素材情報に基づいて生成され、反響音情報144bは、第1素材情報及び第2素材情報に基づいて生成される。
【0086】
この構成により、情報処理装置2は、仮想空間の臨場感をさらに向上させることができる。現実空間においては、反射光は、典型的には物体の表面の素材によって決まる。一方で、反響音は、物体の表面の素材のほかに、その内部の素材によって異なる。上記構成によれば、現実空間におけるこのような物理現象を仮想空間において再現することができる。具体的には、情報処理装置2は、仮想反射光を素材オブジェクトの表面の素材によって、仮想反響音を素材オブジェクトの表面の素材に加えてその内部の素材によってそれぞれ決定する。これにより、情報処理装置2は、現実空間に近い印象を仮想空間においてユーザに与えることができる。
【0087】
また、本開示の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータ70を、現実空間の物体に関する画像情報143を取得する取得手段106と、素材情報142bを、画像情報143に基づいて特定された物体の素材に応じて生成する第2生成手段104bと、としてさらに機能させる。
【0088】
この構成により、情報処理装置2は、仮想空間のデザイン(又は設計)を効率化することができる。例えばデジタルツイン技術等の、現実空間を仮想空間において再現する技術が知られている。上記構成によれば、現実空間の物体の素材に対応する素材情報142bを容易に生成することができるため、より効率的に仮想空間をデザインすることができる。
【0089】
<5.ハードウェア構成>
図8を参照して、上述してきた情報処理装置2をコンピュータ70により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0090】
図8に示すように、コンピュータ70は、プロセッサ700と、記憶装置702と、入力I/F704と、データI/F706と、通信I/F708、及び表示装置710を含む。
【0091】
プロセッサ700は、記憶装置702に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ70における様々な処理を制御する。例えば、情報処理装置2の制御部10が備える各機能部等は、記憶装置702に記憶されたプログラムを、プロセッサ700が実行することにより実現可能である。
【0092】
記憶装置702は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。RAMは、プロセッサ700によって実行されるプログラムのプログラムコード及びプログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0093】
記憶装置702は、他にも、例えばハードディスクドライブ(HDD)及びフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶装置702は、オペレーティングシステム及び上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。当該各種プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。この他、記憶装置702は、各種情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラム及びデータは、必要に応じて記憶装置702にロードされることにより、プロセッサ700から参照される。
【0094】
入力I/F704は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F704の具体例としては、カメラ、ボタン、マイク、キーボード、マウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイスなどが挙げられる。入力I/F704は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースを介してコンピュータ70に接続されてもよい。
【0095】
データI/F706は、コンピュータ70の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F706の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置などがある。データI/F706は、コンピュータ70の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F706は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ70へと接続される。
【0096】
通信I/F708は、コンピュータ70の外部の装置と有線または無線により、通信ネットワーク4を介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F708は、コンピュータ70の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F708は、例えばUSBなどのインタフェースを介してコンピュータ70に接続される。
【0097】
表示装置710は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置710の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイなどが挙げられる。表示装置710は、コンピュータ70の外部に設けられてもよい。その場合、表示装置710は、例えばディスプレイケーブルなどを介してコンピュータ70に接続される。また、入力I/F704としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置710は、入力I/F704と一体化して構成することが可能である。
【0098】
また、上記実施の形態で記載された情報処理装置2が備える構成要素は、記憶装置702に格納されたプログラムがプロセッサ700によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、または「モジュール」などとも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0099】
<6.その他の実施形態>
以下のような態様も、本開示の範囲に含まれる。
【0100】
[付記1]
本開示の一実施形態に係るプログラムは、コンピュータ70を、ユーザが所定の端末装置3を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、をそれぞれ一以上含む複数のオブジェクトを配置する配置手段102と、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報144a、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報144bを、素材情報142bに基づいて生成する第1生成手段104aと、反射光情報144aに基づく画像、及び、反響音情報144bに基づく音声を、ユーザに対して出力する出力手段108と、として機能させる。
【0101】
[付記2]
付記1に記載のプログラムは、コンピュータ70を、複数のオブジェクトの少なくとも一つの配置に関する第1操作をユーザから受け付ける第1受付手段100a、としてさらに機能させてよく、配置手段102は、第1操作に基づいて、複数のオブジェクトの少なくとも一つを配置してよい。
【0102】
[付記3]
付記1又は付記2に記載のプログラムは、コンピュータ70を、素材情報142bの変更に関する第2操作をユーザから受け付ける第2受付手段100b、としてさらに機能させてよい。
【0103】
[付記4]
付記1から付記3のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、反射光情報144aに対応する光は、光源オブジェクトに関連付けられた光源設定情報に基づいて仮想的に発せられてよく、反響音情報144bに対応する音は、音源オブジェクトに関連付けられた音源設定情報に基づいて仮想的に発せられてよく、当該プログラムは、コンピュータ70を、光源設定情報及び音源設定情報の少なくとも一方の変更に関する第3操作をユーザから受け付ける第3受付手段100c、としてさらに機能させてよい。
【0104】
[付記5]
付記1から付記4のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、素材オブジェクトは、さらに、当該素材オブジェクトの構造に関する構造情報142cが関連付けられてよく、反射光情報144aは、素材情報142bに基づいて生成されてよく、反響音情報144bは、構造情報142c及び素材情報142bに基づいて生成されてよい。
【0105】
[付記6]
付記5に記載のプログラムにおいて、構造情報142cは、素材オブジェクトの厚み及び空洞の少なくとも一方に関する情報を含んでよい。
【0106】
[付記7]
付記1から付記6のいすれか一つに記載のプログラムにおいて、素材オブジェクトは、第1素材オブジェクトと、当該第1素材オブジェクトの表面に設けられる第2素材オブジェクトとを含んでよく、素材情報142bは、第1素材オブジェクトに関連付けられた第1素材情報と、第2素材オブジェクトに関連付けられた第2素材情報とを含んでよく、反射光情報144aは、第2素材情報に基づいて生成されてよく、反響音情報144bは、第1素材情報及び第2素材情報に基づいて生成されてよい。
【0107】
[付記8]
付記1から付記7のいずれか一つに記載のプログラムは、コンピュータ70を、現実空間の物体に関する画像情報143を取得する取得手段106と、素材情報142bを、画像情報143に基づいて特定された物体の素材に応じて生成する第2生成手段104bと、としてさらに機能させてよい。
【0108】
[付記9]
付記1から付記8のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、素材情報142bは、素材オブジェクトの色彩、質感、密度及び弾性の少なくとも一部に関する情報を含んでよい。
【0109】
[付記10]
本開示の他の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ70を、仮想空間における、素材に関する素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、を含む一以上のオブジェクトを、ユーザが認識できるように出力する出力手段204、として機能させ、出力手段204は、素材情報142bに基づいて生成された、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報144a、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報144bを、さらに出力する。
【0110】
[付記11]
本開示の他の実施形態に係る情報処理装置2は、ユーザが所定の端末装置3を使用することにより認識できる仮想空間に、素材に関する素材情報142bが関連付けられた素材オブジェクトと、仮想空間において仮想的に光を発する光源オブジェクトと、仮想空間において仮想的に音を発する音源オブジェクトと、を含む一以上のオブジェクトを配置する配置部と、素材オブジェクトに当たった光に対応する反射光情報144a、及び、素材オブジェクトに当たった音に対応する反響音情報144bを、素材情報142bに基づいて生成する第1生成部と、反射光情報144a及び反響音情報144bをユーザに対して出力する出力部と、を備える。
【符号の説明】
【0111】
2…情報処理装置、3…端末装置、70…コンピュータ、100…受付手段、100a…第1受付手段、100b…第2受付手段、100c…第3受付手段、102…配置手段、104…生成手段、104a…第1生成手段、104b…第2生成手段、106…取得手段、108…出力手段、142b…素材情報、142c…構造情報、143…画像情報、144a…反射光情報、144b…反響音情報、200…受付手段、202…取得手段、204…出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8