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特開2024-172488車両用表示装置、表示方法、及び表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172488
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両用表示装置、表示方法、及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090241
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽大
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 寿文
(72)【発明者】
【氏名】井上 久展
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広矩
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員が予め認識することができる車両用表示装置、表示方法、及び表示プログラムを提供する。
【解決手段】地図情報と車両の仮想の目的地とに基づいて車両制御の試行進路を生成し、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の車両制御の動作に関する統計情報を取得し、車両制御に関する試行設定値と試行進路とに基づいて車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果を算出し、試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて統計情報のうちの注意喚起情報を予め車両の乗員に認識させるための試行画像を生成し、車両の表示部に試行画像を表示させる。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両に設けられる車両用表示装置であって、
地図情報と前記車両の仮想の目的地とに基づいて、前記車両制御の試行進路を生成する試行進路生成部と、
過去の前記車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の前記車両制御の動作に関する統計情報を取得する情報取得部と、
前記車両制御に関する試行設定値と前記試行進路とに基づいて、前記車両を前記試行進路に沿って仮想的に走行させたときの前記試行設定値に応じた前記車両制御の動作に関する試行結果を算出する試行結果算出部と、
前記試行進路上の前記統計情報と前記試行結果とに基づいて、前記統計情報のうちの注意喚起情報を予め前記車両の乗員に認識させるための試行画像を生成する画像生成部と、
前記車両の表示部に前記試行画像を表示させる表示制御部と、を備える、車両用表示装置。
【請求項2】
前記注意喚起情報に対応する前記試行進路上の注意喚起位置と前記試行設定値とを含む通知情報を記憶する通知情報記憶部を備え、
前記画像生成部は、前記試行進路を実際の前記車両制御の進路として前記車両が走行する際、前記通知情報に基づいて前記試行設定値を含む通知画像を生成し、
前記表示制御部は、前記車両の位置が前記注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いた場合に前記表示部に前記通知画像を表示させる、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記試行設定値は、前記車両制御のうちの前記自動運転制御に関する設定車速であり、
前記注意喚起情報は、前記自動運転制御の実行中の前記車両がカーブを走行するときの前記車両の車速に基づく前記自動運転制御の一時中断についての情報である、請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両に設けられる車両用表示装置を用いた表示方法であって、
地図情報と前記車両の仮想の目的地とに基づいて、前記車両制御の試行進路を生成するステップと、
過去の前記車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の前記車両制御の動作に関する統計情報を取得するステップと、
前記車両制御に関する試行設定値と前記試行進路とに基づいて、前記車両を前記試行進路に沿って仮想的に走行させたときの前記試行設定値に応じた前記車両制御の動作に関する試行結果を算出するステップと、
前記試行進路上の前記統計情報と前記試行結果とに基づいて、前記統計情報のうちの注意喚起情報を予め前記車両の乗員に認識させるための試行画像を生成するステップと、
前記車両の表示部に前記試行画像を表示させるステップと、を備える、表示方法。
【請求項5】
運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両に設けられる車両用表示装置としてコンピュータを機能させる表示プログラムであって、前記表示プログラムは、前記コンピュータを、
地図情報と前記車両の仮想の目的地とに基づいて、前記車両制御の試行進路を生成する試行進路生成部、
過去の前記車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の前記車両制御の動作に関する統計情報を取得する情報取得部、
前記車両制御に関する試行設定値と前記試行進路とに基づいて、前記車両を前記試行進路に沿って仮想的に走行させたときの前記試行設定値に応じた前記車両制御の動作に関する試行結果を算出する試行結果算出部、
前記試行進路上の前記統計情報と前記試行結果とに基づいて、前記統計情報のうちの注意喚起情報を予め前記車両の乗員に認識させるための試行画像を生成する画像生成部、及び、
前記車両の表示部に前記試行画像を表示させる表示制御部、として機能させる、表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置、表示方法、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバによる車両の操作量の検出結果と地図情報とに基づいて、ドライバが車両で仮想現実走行を行う道路の仮想現実画像を作成し、仮想現実画像をドライバに表示することで、ドライバが目的地までの運転を仮想現実でトレーニングするシステムが開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-148677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば乗員が初めて訪れる場所を車両が走行するとき等、道路状況によっては、運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御が乗員の意図に沿わない動作をする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両に設けられる車両用表示装置であって、地図情報と車両の仮想の目的地とに基づいて、車両制御の試行進路を生成する試行進路生成部と、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の車両制御の動作に関する統計情報を取得する情報取得部と、車両制御に関する試行設定値と試行進路とに基づいて、車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果を算出する試行結果算出部と、試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて、統計情報のうちの注意喚起情報を予め車両の乗員に認識させるための試行画像を生成する画像生成部と、車両の表示部に試行画像を表示させる表示制御部と、を備える。
【0006】
本開示の一態様に係る車両用表示装置によれば、試行進路と試行設定値とに基づいて、車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果が算出される。試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて生成された試行画像が、車両の表示部に表示される。これにより、乗員は、試行進路上の注意喚起情報を手掛かりに、道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員が予め認識することができる。
【0007】
一実施形態では、車両用表示装置は、注意喚起情報に対応する試行進路上の注意喚起位置と試行設定値とを含む通知情報を記憶する通知情報記憶部を備え、画像生成部は、試行進路を実際の車両制御の進路として車両が走行する際、通知情報に基づいて試行設定値を含む通知画像を生成し、表示制御部は、車両の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いた場合に表示部に通知画像を表示させてもよい。この場合、試行進路を実際の車両制御の進路として車両が走行する際、車両の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いた場合に、表示部に通知画像が表示される。これにより、乗員は、注意喚起位置に対応する地図上の位置に車両が近付いていること、及び、試行設定値を認識することができる。
【0008】
一実施形態では、試行設定値は、車両制御のうちの自動運転制御に関する設定車速であり、注意喚起情報は、自動運転制御の実行中の車両がカーブを走行するときの車両の車速に基づく自動運転制御の一時中断についての情報であってもよい。この場合、カーブにおいて設定車速に応じて自動運転制御が一時中断されるか否かを乗員が予め認識することができる。
【0009】
本開示の他の態様は、運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両に設けられる車両用表示装置を用いた表示方法であって、地図情報と車両の仮想の目的地とに基づいて、車両制御の試行進路を生成するステップと、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の車両制御の動作に関する統計情報を取得するステップと、車両制御に関する試行設定値と試行進路とに基づいて、車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果を算出するステップと、試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて、統計情報のうちの注意喚起情報を予め車両の乗員に認識させるための試行画像を生成するステップと、車両の表示部に試行画像を表示させるステップと、を備える。
【0010】
本開示の他の態様に係る表示方法によれば、試行進路と試行設定値とに基づいて、車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果が算出される。試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて生成された試行画像が、車両の表示部に表示される。これにより、乗員は、試行進路上の注意喚起情報を手掛かりに、道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員が予め認識することができる。
【0011】
本開示の更に他の態様は、運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両に設けられる車両用表示装置としてコンピュータを機能させる表示プログラムであって、表示プログラムは、コンピュータを、地図情報と車両の仮想の目的地とに基づいて、車両制御の試行進路を生成する試行進路生成部、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の車両制御の動作に関する統計情報を取得する情報取得部、車両制御に関する試行設定値と試行進路とに基づいて、車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果を算出する試行結果算出部、試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて、統計情報のうちの注意喚起情報を予め車両の乗員に認識させるための試行画像を生成する画像生成部、及び、車両の表示部に試行画像を表示させる表示制御部、として機能させる。
【0012】
本開示の更に他の態様に係る表示プログラムによれば、試行進路と試行設定値とに基づいて、車両を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果が算出される。試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて生成された試行画像が、車両の表示部に表示される。これにより、乗員は、試行進路上の注意喚起情報を手掛かりに、道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員が予め認識することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示のいくつかの態様によれば、道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員が予め認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る車両用表示装置を備える車両を示すブロック図である。
図2】注意喚起情報の一例を説明するための図である。
図3】注意喚起情報の他の例を説明するための図である。
図4】注意喚起情報の更に他の例を説明するための図である。
図5】試行画像の表示処理の一例を示すフローチャートである。
図6】通知画像の表示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係る車両用表示装置を備える車両を示すブロック図である。図1に示されるように、車両用表示装置100は、運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行可能な車両1に設けられている。車両1は、例えば乗用車等である。
【0017】
[車両制御システムの構成]
車両1には、車両制御システム2が搭載されている。車両制御システム2は、車両1の運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実行するシステムである。運転支援制御とは、車両1の加速、減速、及び操舵のうちのいずれか一つ又は二つを自動で制御して車両1を走行させる車両制御である。運転支援制御には、例えば、レーントレーシングアシスト、レーンキープコントロール、アダプティブクルーズコントロール、レーダクルーズコントロール、及び、ロードサインアシストの少なくとも一つが含まれる。自動運転制御とは、ドライバが運転操作をすることなく、車両1の走行する道路に沿って自動で車両1を走行させる車両制御である。自動運転制御には、渋滞支援、車線変更支援、及び追い越し支援の少なくとも一つが含まれてもよい。
【0018】
車両制御システム2は、車両制御ECU[Electronic Control Unit]20、外部センサ21、地図データベース22、内部センサ23、GPS[Global Positioning System]受信機24、及び、アクチュエータ25を備える。
【0019】
車両制御ECU20は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路などを有する電子制御ユニットである。車両制御ECU20は、CPUが出力する信号に基づいてハードウェアを制御し、後述する車両制御ECU20の機能を実現する。より具体的な動作の一例としては、車両制御ECU20は、CAN通信回路を動作させてデータを入出力し、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行する。車両制御ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。車両制御ECU20の機能の一部は、車両1と通信可能なサーバで実行されてもよい。
【0020】
外部センサ21は、カメラ又はレーダセンサのいずれかを少なくとも含む。カメラは、車両1の周辺の状況を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば車両1のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両1の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、レーダ(ミリ波レーダ)又はライダー[LiDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。外部センサ21は、撮像画像及び周辺の物体に関する検出情報を車両制御ECU20に送信する。
【0021】
地図データベース22は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース22は、例えば、車両1に搭載されたHDD[Hard Disk Drive]等の記録装置内に形成されている。地図データベース22に記憶された地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えば曲率情報)、交差点及び分岐点の位置情報等が含まれる。地図情報には、道路の位置及び道路形状等についての精度がナビゲーション用の地図よりも高い、いわゆる高精度地図情報が含まれてもよい。
【0022】
内部センサ23は、車両1の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含んでいてもよい。車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサとしては、公知のセンサを用いることができる。内部センサ23は、車両1の走行状態に関する検出情報を車両制御ECU20に送信する。
【0023】
GPS受信機24は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両1の位置(例えば車両1の緯度及び経度)を測定する。GPS受信機24は、測定した車両1の位置情報を車両制御ECU20へ送信する。
【0024】
アクチュエータ25は、車両1の走行制御に用いられる機器であり、車両制御ECU20からの制御信号に応じて動作する。アクチュエータ25は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、例えば動力源としてのエンジン又はモータ等に設けられ、車両1の駆動力を制御する。ブレーキアクチュエータは、例えば液圧ブレーキシステムに設けられ、車両1の車輪へ付与する制動力を制御する。操舵アクチュエータは、例えば電動パワーステアリングシステムのアシストモータであり、車両1の操舵トルクを制御する。
【0025】
車両制御ECU20は、車両1の地図上の位置、車両1の外部環境、及び、車両1の走行状態を認識可能に構成されている。
【0026】
車両制御ECU20は、外部センサ21の検出情報に基づいて、車両1の周辺の外部環境を認識する。外部環境には、車両1に対する物体の位置、車両1に対する物体の相対速度、及び車両1に対する物体の移動方向などが含まれる。物体には、車両1の周辺の他車両等の移動物体、及び、車両1の周辺の構造物等の静止物体が含まれる。外部環境には、外部センサ21の検出情報から区画線認識処理によって認識された区画線、道路形状、及び、料金所の通路形状が含まれる。
【0027】
車両制御ECU20は、車両制御のために用いる地図情報を取得可能に構成されている。車両制御ECU20は、地図情報を地図データベース22から取得する。車両制御ECU20は、車両1と通信可能なサーバから通信ネットワークを介して地図情報を取得してもよい。
【0028】
車両制御ECU20は、内部センサ23の検出結果に基づいて、車両1の走行状態を認識する。走行状態には、例えば、車両1の車速、車両1の加速度、車両1のヨーレートが含まれる。
【0029】
車両制御ECU20は、GPS受信機24の位置情報及び地図情報に基づいて、車両1の地図上の位置を取得する。車両制御ECU20は、SLAM[Simultaneous Localization and Mapping]技術により車両1の地図上の位置を認識してもよい。
【0030】
車両制御ECU20は、目的地、地図情報、車両1の地図上の位置、外部環境、及び走行状態(車速、ヨーレートなど)に基づいて、車両1の走行計画を生成する。目的地は、ドライバを含む乗員が設定した目的地であってもよく、車両制御システム2が提案した目的地であってもよい。
【0031】
車両1の進路は、自動運転制御により走行中の車両1が未来に走行することが予定される走行軌跡である。車両制御ECU20は、目的地、現在の車両1の地図上の位置、及び地図情報に基づいて目的地までの車両1の目標ルート(車線単位の経路)を算出する。
【0032】
車両制御ECU20は、車両1が進路に沿って走行するための速度パターン(速度計画)を算出する。車両制御ECU20は、乗員の設定した自動運転制御の設定速度、地図情報に含まれる制限速度(例えば法定最高速度)、地図情報に含まれる一時停止線、信号機などの位置情報、先行車、歩行者などの外部環境などに基づいて、車両1の速度パターンを算出する。車両制御ECU20は、車両1の進路及び速度パターンを算出することで、車両1の進路及び速度パターンを含む走行計画を生成する。
【0033】
車両制御ECU20は、生成した走行計画に基づいて、車両1の自動運転制御を実行する。車両制御ECU20は、アクチュエータ25に制御信号を送信することにより、車両1の車速、操舵角をコントロールして自動運転制御を実行する。
【0034】
[車両用表示装置の構成]
次に、本実施形態に係る車両用表示装置100の構成について説明する。車両用表示装置100は、試行車両制御に関する画像を表示する装置である。試行車両制御は、運転支援制御及び自動運転制御を含む車両制御を実際に実行する前に、道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員に予め体験させるための仮想現実空間上での車両制御である。車両用表示装置100は、主に、車両1に搭載された表示制御ECU10と、統計情報記憶部17と、試行入力部18と、ディスプレイ装置(表示部)19と、で構成されている。車両用表示装置100は、地図情報及び車両1の地図上の位置(以下、単に車両1の位置と記す)を取得するための地図データベース22及びGPS受信機24を含んでもよい。
【0035】
表示制御ECU10は、CPU、ROM、RAM、CAN通信回路などを有する電子制御ユニットである。表示制御ECU10は、ディスプレイ装置19を制御する。表示制御ECU10は、ディスプレイ装置19に内蔵された電子制御ユニットであってもよい。表示制御ECU10は、車両制御ECU20の一部分であってもよい。表示制御ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。表示制御ECU10は、例えば車両制御ECU20と通信可能に接続されている。表示制御ECU10の機能の一部は、車両1と通信可能なサーバで実行されてもよい。
【0036】
統計情報記憶部17は、統計情報を記憶するデータベースである。統計情報は、過去の車両制御の動作に関する情報である。統計情報記憶部17では、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが互いに関連付けられて統計情報として記憶されている。「過去の車両制御の動作情報」とは、車両1及びその他の車両が過去に車両制御を実行した結果の情報の蓄積であり、例えば、車両制御によって車両1の車速又は操舵角がどのように制御されたか、車両制御が自動でキャンセルされたか否か、及び、自動運転制御の進路及び速度パターンを含む走行計画がどのように修正されたか、等の情報を含むことができる。統計情報記憶部17は、例えば、車両1に搭載されたHDD[Hard Disk Drive]等の記録装置内に形成されている。統計情報記憶部17は、車両1と通信可能なサーバの記録装置内に形成されていてもよい。
【0037】
試行入力部18は、車両1の乗員の試行入力を受け付ける機器である。試行入力は、試行車両制御に関する条件設定の入力を意味する。試行入力には、例えば、車両1の仮想の目的地、及び、車両制御に関する試行設定値が含まれる。仮想の目的地は、車両制御がどのように動作するかを乗員に予め体験させるための仮想現実空間上での目的地である。試行設定値は、車両制御がどのように動作するかを乗員に予め体験させる際に用いられる車両制御の各種の乗員が設定可能なパラメータである。試行設定値の具体例は、後述する。
【0038】
試行入力部18としては、例えば、車両1に設けられたHMI[Human Machine Interface]の入力部(例えばカーナビゲーション装置のタッチパネルディスプレイ、ボタン等)を用いることができる。試行入力部18は、乗員による入力操作を試行入力として受け付ける。試行入力部18は、受け付けた乗員の試行入力の情報を表示制御ECU10に送信する。
【0039】
ディスプレイ装置19は、車両1に搭載され、ドライバに対して画像を表示する表示器である。画像は、ディスプレイ装置19の所定の表示領域に表示される。ディスプレイ装置19は、表示制御ECU10により制御され、画像を表示領域に表示する。ディスプレイ装置19としては、図形の大きさ、図形の形状、輝度、色等を変更可能な表示器が用いられる。
【0040】
ディスプレイ装置19の一例として、車両1の車内に設けられたヘッドマウントディスプレイ[HMD:Head Mounted Display]が用いられる。その他、ディスプレイ装置19として、ヘッドアップディスプレイ[HUD:Head Up Display]、ナビゲーションシステムの液晶ディスプレイ、又は、インストルメントパネルのドライバ前方に設けられた液晶ディスプレイ(いわゆるマルチインフォメーションディスプレイ[MID:Multi Information Display])が用いられてもよい。ヘッドアップディスプレイは、車両1のインストルメントパネル内に設置された映写部から、フロントウィンドシールドの表示面(フロントウィンドシールドの内側の反射面)に画像を照射する表示装置である。
【0041】
以下、表示制御ECU10の機能について説明する。図1に示されるように、表示制御ECU10は、機能的構成として、試行進路生成部11、情報取得部12、試行結果算出部13、通知情報記憶部14、画像生成部15、及び、表示制御部16を有している。
【0042】
表示制御ECU10は、例えば、「試行モード」を有効にするように乗員が試行入力部18に入力した場合に、試行車両制御を機能させてもよい。表示制御ECU10は、例えば、車両1が乗員の自宅のガレージに位置しており、車両1が完全に停止しており、且つ、シフト位置がPレンジであることを条件に、試行モードを有効してもよい。試行進路生成部11は、例えば、車両1がパーキングエリア等に位置しており、車両1が完全に停止しており、且つ、シフト位置がPレンジであることを条件に、試行モードを有効してもよい。
【0043】
試行進路生成部11は、試行開始位置として車両1の位置を取得する。試行開始位置は、表示制御ECU10による試行車両制御の始点となる地図上の位置である。試行進路生成部11は、例えば車両1が信号待ち等の一時的な停車中ではなく、車両1が駐車中に試行開始位置を取得する。ここでの試行進路生成部11は、車両制御ECU20によって認識された車両1の位置を用いることができる。
【0044】
試行進路生成部11は、地図情報と車両1の仮想の目的地とに基づいて、車両制御の試行進路を生成する。試行進路生成部11は、例えば乗員が試行入力部18に入力した車両1の仮想の目的地を取得する。試行進路生成部11は、試行開始位置、仮想の目的地、及び地図情報に基づいて、例えば車両制御ECU20での算出手法と同様にして、試行開始位置から仮想の目的地までの車両1の試行進路を生成する。試行進路は、仮想の目標ルート(車線単位の経路)に相当する。ここでの試行進路生成部11は、車両制御ECU20によって取得された地図情報を用いることができる。
【0045】
情報取得部12は、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の車両制御の動作に関する統計情報を取得する。情報取得部12は、例えば、試行開始位置から仮想の目的地までの試行進路に沿って統計情報を取得する。
【0046】
試行結果算出部13は、車両制御に関する試行設定値と試行進路とに基づいて、試行結果を算出する。試行結果は、車両1を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関するアウトプットを意味する。
【0047】
試行結果算出部13は、例えば、乗員が試行入力部18に入力した試行設定値を取得する。試行結果算出部13は、試行設定値に応じた車両制御を実行させながら、車両1を試行進路上で仮想的に走行させる。試行結果算出部13は、例えば、車両1が仮想的に走行していた試行進路上に注意喚起情報が存在する場合、注意喚起情報の内容、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点、及び、車両制御の実行中に使用していた試行設定値、を試行結果として算出する。
【0048】
注意喚起情報には、試行設定値に応じた車両制御における想定外の動作が含まれ得る。「想定外の動作」とは、試行設定値に応じた車両制御において、統計情報に基づいて乗員の想定に沿わない動作をする可能性が所定の確率以上で存在することを意味する。想定外の動作には、例えば、乗員の想定に沿わずに自動で車両制御がキャンセルされること、乗員の想定に沿わない車両1の車速の制御、及び、乗員の想定に沿わない車両1の操舵角の制御、等が含まれる。
【0049】
注意喚起情報は、試行進路上において、例えば外的要因により外部センサ21の誤認識の可能性があるような特定の場所に存在しやすい。注意喚起情報の一例として、図2図4の状況を説明する。
【0050】
注意喚起情報は、自動運転制御の実行中の車両1がカーブを走行するときの車両1の車速に基づく自動運転制御の一時中断についての情報であってもよい。図2は、注意喚起情報の一例を説明するための図である。図2には、自動運転制御を実行中の車両1がセンターライン32に沿って自車線31を走行している状況が描かれている。車両1の前方にはカーブ33が存在している。図2の例では、実行中の自動運転制御の設定車速が、自車線31の直線部分で許容される自動運転制御の最大車速よりも低く、カーブ33で許容される自動運転制御の最大車速よりも高い。自車線31の直線部分からカーブ33に差し掛かる位置P1で、乗員の想定に沿わずに自動で車両制御がキャンセルされる可能性がある。この場合、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点は、位置P1である。
【0051】
注意喚起情報は、自動運転制御の実行中の車両1が料金所を走行するときの車両1の前方の他車両の状況に基づく自動運転制御の意図しない作動についての情報であってもよい。図3は、注意喚起情報の他の例を説明するための図である。図3には、自動運転制御を実行中の車両1が料金所34に向かってセンターライン32に沿って自車線31を走行している状況が描かれている。車両1の前方には料金所34のゲートを通過しようと減速している他車両35,36が存在している。図3の例では、乗員は、他車両35,36が存在していないゲートに向かう実線矢印で示されるように、車両1が走行すると想定している。ここで、車両1の外部センサ21による料金所34の構造物又は他車両36の検出結果に基づいて、乗員の想定に沿わずに自動運転制御が意図しない作動をする可能性がある。仮に車両1が位置P2に位置しているときに自動運転制御が意図しない作動をした場合、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点は、位置P2である。
【0052】
注意喚起情報は、運転支援制御の実行中の車両1が複数の分岐路に接近するときに誤案内となるような運転支援制御の作動についての情報であってもよい。図4は、注意喚起情報の更に他の例を説明するための図である。図4には、運転支援制御として例えばレーントレーシングアシストを実行中の車両1が複数の分岐路37,38に接近するように、センターライン32に沿って自車線31を走行している状況が描かれている。図4の例では、乗員は、分岐路38に向かう実線矢印で示されるように、車両1を分岐路38に向かって走行させようと想定している。ここで、分岐路38の手前側の分岐路37に車両1を誤案内するようなレーントレーシングアシストの感度及びヨーアシストの量で車両1のステアリングホイールが誤アシストされるように、乗員の想定に沿わずにレーントレーシングアシストが作動する可能性がある。分岐路37の手前の位置P3で車両1が誤案内された場合、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点は、位置P3である。
【0053】
その他、例えば、区画線の経年劣化又は塗り替え等が存在する場所では、区画線が誤認識されやすく、注意喚起情報が存在しやすい。
【0054】
通知情報記憶部14は、注意喚起情報に対応する試行進路上の注意喚起位置と試行設定値とを含む通知情報を記憶する。通知情報は、試行モードに対応する試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に乗員に通知するために記憶しておく情報である。注意喚起位置は、試行進路上で注意喚起情報が存在する地点のうち、試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に乗員への注意喚起を行う地点を意味する。例えば、上記図2図4の場合の注意喚起位置は、位置P1~P3のうち、試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に乗員への注意喚起を行う位置である。通知情報記憶部14は、例えば、試行進路上で複数の注意喚起情報が存在する場合、乗員が選択した通知希望対象の注意喚起情報についての通知情報を記憶してもよい。通知情報記憶部14は、通知希望対象を乗員が選択する試行入力部18への操作を受付けてもよい。
【0055】
画像生成部15は、試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて、試行画像を生成する。試行画像は、統計情報のうちの注意喚起情報を予め車両1の乗員に認識させるための画像である。画像生成部15は、例えば、試行進路上で注意喚起情報が存在する地点を車両1が仮想的に走行する状況を表す試行画像を生成する。試行画像は、注意喚起情報の内容、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点、及び、車両制御の実行中に使用していた試行設定値、の少なくともいずれかを含む。
【0056】
試行画像は、車両1を後方から俯瞰するように表す俯瞰画像であってもよい。試行画像は、例えば、車両1を後方から俯瞰したときに、車両1が現在走行している車線における車両1の位置に対応させて表示される自車両画像を含む。試行画像は、車両1の周辺の他車両等の物体の位置に対応させて表示される物体画像を含んでもよい。俯瞰画像には、注意喚起情報の内容、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点、及び、車両制御の実行中に使用していた試行設定値、の少なくともいずれかが重畳されてもよい。
【0057】
画像生成部15は、俯瞰画像に代えて、試行進路上で注意喚起情報が存在する地点を地図上で表す試行画像を表示させてもよい。
【0058】
画像生成部15は、複数の注意喚起情報が存在する場合、複数の注意喚起情報に対応する複数の試行画像を生成してもよい。画像生成部15は、複数の試行画像について、どのような注意喚起情報であるのかを示すタイトル等を付してリストに整理してもよい。タイトルとしては、例えば自動運転のキャンセル、急減速、誤案内等であってもよい。画像生成部15は、複数の試行画像について、試行進路に沿って試行開始位置に近い注意喚起情報から順に並び替えて整理してもよい。
【0059】
画像生成部15は、試行進路を実際の車両制御の進路として車両が走行する際、通知情報に基づいて試行設定値を含む通知画像を生成してもよい。通知画像は、試行モードでの予習結果としての通知情報を、試行モードに対応する試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に乗員に提示するための画像である。画像生成部15は、例えば、記憶された通知情報に基づいて、記憶された通知情報に含まれる注意喚起位置の周辺の状況を表す画像と、記憶された通知情報に含まれる試行設定値を表す画像と、を含む通知画像を生成する。画像生成部15は、例えばナビゲーション画面の一部分の領域にポップアップするような通知画像を生成してもよい。画像生成部15は、例えばメータ等のマルチインフォメーションディスプレイ又はヘッドアップディスプレイへの割込み通知として用いられる通知画像を生成してもよい。
【0060】
表示制御部16は、車両1のディスプレイ装置19に試行画像を表示させる。表示制御部16は、ディスプレイ装置19に試行画像を表示させることで、駐車中の車両1において乗員に対して注意喚起情報を提供する。注意喚起情報を予め車両1の乗員に認識させることで、試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に、車両1の乗員が注意喚起情報についての事前準備をすることができる。また、乗員は、試行設定値を変更することで、車両制御の各種の乗員が設定可能なパラメータを、車両制御が想定外の動作をしないように予め調整して試すことができる。
【0061】
図2の例では、想定外の動作として、乗員の想定に沿わずに自動で車両制御がキャンセルされる可能性がある。この注意喚起情報を車両1の乗員が認識することで、車両1の乗員は、乗員の想定に沿わずに自動で車両制御がキャンセルされないような自動運転制御の設定車速を試すことができる。このように、試行設定値は、車両制御のうちの自動運転制御に関する設定車速であってもよい。
【0062】
図3の例では、想定外の動作として、乗員の想定に沿わずに自動運転制御が意図しない作動をする可能性がある。この注意喚起情報を車両1の乗員が認識することで、車両1の乗員は、乗員の想定に沿わずに自動運転制御が意図しない作動をしないような自動運転制御のパラメータ(例えば設定車間等)を試してもよい。
【0063】
図4の例では、想定外の動作として、乗員の想定に沿わずにレーントレーシングアシストが作動する可能性がある。この注意喚起情報を車両1の乗員が認識することで、車両1の乗員は、乗員の想定に沿わずにレーントレーシングアシストが作動しないようなレーントレーシングアシストの感度及びヨーアシストの量を試すことができる。このように、試行設定値は、車両制御のうちの運転支援制御に関する設定感度であってもよい。試行設定値は、車両制御のうちの運転支援制御に関する設定アシスト量であってもよい。この場合、分岐路37において、想定外となる程度の運転支援制御の動作を抑制しつつ、想定外とはならない程度の運転支援制御の動作とすることで、乗員の操作介入をスムーズに補助することができる。
【0064】
表示制御部16は、車両1のディスプレイ装置19に通知画像を表示させてもよい。表示制御部16は、生成した通知画像を車両1のディスプレイ装置19に表示させる。表示制御部16は、ディスプレイ装置19に通知画像を表示させることで、試行進路を実際の車両制御の進路として走行する車両1において乗員に対して、通知情報を提供する。走行中の車両1の乗員(ドライバ)は、通知画像に表された試行設定値を参照して、実行中の実際の車両制御において、各種の乗員が設定可能なパラメータを調整することができる。
【0065】
表示制御部16は、車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いたと判定した場合、車両1のディスプレイ装置19に通知画像を表示させてもよい。表示制御部16は、例えば、車両1の地図上の位置と注意喚起位置に対応する地図上の位置との距離が所定の接近閾値以下である場合、車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いたと判定する。表示制御部16は、例えば、車両1の地図上の位置と注意喚起位置に対応する地図上の位置との距離が所定の接近閾値よりも大きい場合、車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いていないと判定する。接近閾値は、通知画像の表示をするか否かを切り替えるための、車両1の地図上の位置と注意喚起位置に対応する地図上の位置との距離の閾値である。
【0066】
[車両用表示装置の処理、表示方法、及び表示プログラムの処理]
次に、車両用表示装置100の処理の一例について、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。図5は、車両用表示装置の表示制御ECUの処理例を示すフローチャートである。図5に示される処理(ステップ)は、例えば、車両1の乗員の入力により試行モードが有効となっている場合、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
【0067】
図5に示されるように、車両用表示装置100の表示制御ECU10は、S01において、試行進路生成部11により、試行進路の生成を行う。試行進路生成部11は、例えば、車両1の位置(試行開始位置)と、乗員が試行入力部18に入力した車両1の仮想の目的地と、を取得する。試行進路生成部11は、試行開始位置から仮想の目的地までの試行進路を生成する。
【0068】
S02において、表示制御ECU10は、情報取得部12により、統計情報の取得を行う。情報取得部12は、過去の車両制御の動作情報と地図上の位置とが関連付けて記憶された過去の車両制御の動作に関する統計情報を取得する。情報取得部12は、例えば、試行開始位置から仮想の目的地までの試行進路に沿って統計情報を取得する。
【0069】
S03において、表示制御ECU10は、試行結果算出部13により、試行結果の算出を行う。試行結果算出部13は、例えば、乗員が試行入力部18に入力した試行設定値を取得する。試行結果算出部13は、試行設定値と試行進路とに基づいて、車両1を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果を算出する。試行結果算出部13は、試行設定値に応じた車両制御を実行させながら、車両1を試行進路上で仮想的に走行させる。試行結果算出部13は、例えば、車両1が仮想的に走行していた試行進路上に注意喚起情報が存在した場合、注意喚起情報の内容、注意喚起情報が存在した試行進路上の地点、及び、車両制御の実行中に使用していた試行設定値、を試行結果として算出する。
【0070】
S04において、表示制御ECU10は、画像生成部15により、試行画像の生成を行う。画像生成部15は、試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて、試行画像を生成する。画像生成部15は、例えば、試行進路上で注意喚起情報が存在する地点を車両1が仮想的に走行する状況を表す試行画像を生成する。画像生成部15は、試行進路上で注意喚起情報が存在する地点を地図上で表す試行画像を表示させてもよい。試行画像は、統計情報のうちの注意喚起情報を予め車両1の乗員に認識させるための画像である。
【0071】
S05において、表示制御ECU10は、表示制御部16により、試行画像の表示を行う。表示制御部16は、生成した試行画像を車両1のディスプレイ装置19に表示させる。表示制御部16は、ディスプレイ装置19に試行画像を表示させることで、駐車中の車両1において乗員に対して注意喚起情報を提供する。表示制御部16は、仮想的に走行する車両1が試行進路上で注意喚起情報が存在する地点に接近又は通過する状況を表す試行画像を表示させる。
【0072】
S06において、表示制御ECU10は、通知情報記憶部14により、通知情報の記憶を行う。通知情報記憶部14は、注意喚起情報に対応する試行進路上の注意喚起位置と試行設定値とを含む通知情報を記憶する。その後、表示制御ECU10は、図5の処理を終了する。
【0073】
図6は、通知画像の表示処理の一例を示すフローチャートである。図6に示される処理(ステップ)は、例えば、車両1の駐車中に行われた試行モードで通知情報が記憶された場合に、当該試行モードに対応する試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
【0074】
S11において、表示制御ECU10は、画像生成部15により、車両の位置の認識を行う。画像生成部15は、車両1の位置(実際の車両制御の進路上での車両1の地図上の位置)を認識する。
【0075】
S12において、表示制御ECU10は、画像生成部15により、通知画像の生成を行う。画像生成部15は、例えば、図5のS06で記憶された通知情報に基づいて、記憶された通知情報に含まれる注意喚起位置の周辺の状況を表す画像と、記憶された通知情報に含まれる試行設定値を表す画像と、を含む通知画像を生成する。
【0076】
S13において、表示制御ECU10は、表示制御部16により、車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いたか否かの判定を行う。表示制御部16は、例えば、車両1の地図上の位置と注意喚起位置に対応する地図上の位置との距離が所定の接近閾値以下である場合、車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いたと判定する。表示制御部16は、例えば、車両1の地図上の位置と注意喚起位置に対応する地図上の位置との距離が所定の接近閾値よりも大きい場合、車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いていないと判定する。
【0077】
車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いたと判定した場合(S13:YES)、表示制御ECU10は、S14の処理に移行する。車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いていないと判定した場合(S13:NO)、表示制御ECU10は、図6の処理を終了する。
【0078】
S14において、表示制御ECU10は、表示制御部16により、通知画像の表示を行う。表示制御部16は、生成した通知画像を車両1のディスプレイ装置19に表示させる。表示制御部16は、ディスプレイ装置19に通知画像を表示させることで、試行進路を実際の車両制御の進路として走行する車両1において乗員に対して、通知情報を提供する。その後、表示制御ECU10は、図6の処理を終了する。
【0079】
[表示プログラム]
表示プログラムは、表示制御ECU10(コンピュータ)を、上述した試行進路生成部11、情報取得部12、試行結果算出部13、通知情報記憶部14、画像生成部15、及び、表示制御部16として機能(動作)させる。表示プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリなどの非一時的な記録媒体によって提供される。また、表示プログラムは、ネットワークなどの通信を介して提供されてもよい。
【0080】
以上説明した車両用表示装置100、表示方法、及び表示プログラムによれば、試行進路と試行設定値とに基づいて、車両1を試行進路に沿って仮想的に走行させたときの試行設定値に応じた車両制御の動作に関する試行結果が算出される。試行進路上の統計情報と試行結果とに基づいて生成された試行画像が、車両1のディスプレイ装置19に表示される。これにより、乗員は、試行進路上の注意喚起情報を手掛かりに、道路状況に応じて車両制御がどのように動作するかを乗員が予め認識することができる。
【0081】
車両用表示装置100、表示方法、及び表示プログラムでは、注意喚起情報に対応する試行進路上の注意喚起位置と試行設定値とを含む通知情報が記憶される。試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際、通知情報に基づいて試行設定値を含む通知画像が生成される。車両1の位置が注意喚起位置に対応する地図上の位置に近付いた場合にディスプレイ装置19に通知画像が表示される。これにより、乗員は、注意喚起位置に対応する地図上の位置に車両1が近付いていること、及び、試行設定値を認識することができる。
【0082】
車両用表示装置100、表示方法、及び表示プログラムでは、試行設定値は、車両制御のうちの自動運転制御に関する設定車速である。注意喚起情報は、自動運転制御の実行中の車両1がカーブを走行するときの車両1の車速に基づく自動運転制御の一時中断についての情報である。これにより、カーブにおいて設定車速に応じて自動運転制御が一時中断されるか否かを乗員が予め認識することができる。
【0083】
なお、車両用表示装置100は、統計的に注意喚起情報が存在しやすい場所などを車両1の乗員に事前に体験させることで、実際に車両1の先進安全機能を利用する前に、車両1の乗員に先進安全機能の予習をさせることができる。その結果、試行進路を実際の車両制御の進路として車両1が走行する際に、事前に体験していない場合と比べて、車両制御をより有効に活用することが期待できる。乗員は、車両1を用いた仮想現実空間で試行を行うことができるため、車両1が備える各種の機能を実際の走行時と同様に試すことができる。例えば、車両1の加減速及び操舵のオーバーライドについても、試行入力部18は受け付けて、試行結果に反映してもよい。
【0084】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0085】
上記実施形態では、車両用表示装置100は、統計情報記憶部17を備えていたが、統計情報記憶部17は必須ではない。画像生成部15による通知画像の生成は必須ではない。表示制御部16は、通知画像を表示させなくてもよい。
【0086】
上記実施形態の試行結果の算出の回数は、特に限定されない。試行結果の算出の回数は、1回でもよいし、2以上の回数でもよい。試行設定値の調整の回数は、特に限定されない。試行設定値の調整の回数は、1回でもよいし、2以上の回数でもよい。
【0087】
上記実施形態では、試行進路生成部11は、試行開始位置から仮想の目的地までの試行進路を生成したが、試行開始位置以外の位置からの試行進路を生成してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…車両、11…試行進路生成部、12…情報取得部、13…試行結果算出部、14…通知情報記憶部、15…画像生成部、16…表示制御部、19…ディスプレイ装置(表示部)、100…車両用表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6