(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172490
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】可搬型端末
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090246
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】池口 誠人
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707BS10
3C707JS03
3C707JU14
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT03
3C707KT04
3C707LS05
3C707LS15
(57)【要約】
【課題】 ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を適切に生成する。
【解決手段】 教示プログラム生成装置は、ロボット及びその周辺の情報に基づいて、所定の動作をロボットに教示するための教示プログラムを生成する教示プログラム生成装置であって、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報を、ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部111と、上述の情報を基に、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために移動する軌道を生成する教示プログラム作成部112とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット及びその周辺の情報に基づいて、所定の動作をロボットに教示するための教示プログラムを生成する教示プログラム生成装置であって、
前記ロボットが干渉を回避しながら前記所定の動作をするために用いられる情報を、前記ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部と、
前記情報を基に、前記ロボットが干渉を回避しながら前記所定の動作をするために移動する軌道を生成する教示プログラム作成部と、
を備える教示プログラム生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の教示プログラム生成装置であって、
前記情報は、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの形状、大きさ、又は慣性のうち何れかの情報を含む、教示プログラム生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の教示プログラム生成装置であって、
前記情報は、前記ロボットが前記所定の動作を開始するときの前記ロボットの姿勢又は位置の情報を含む、教示プログラム生成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の教示プログラム生成装置であって、
前記情報は、前記ロボットの種別を示す情報を含む、教示プログラム生成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の教示プログラム生成装置であって、
前記情報は、前記ロボットの種別を示す情報と、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とを含み、
前記教示プログラム生成装置は、
複数種類のロボットのそれぞれの3次元モデルと、前記ロボットに交換可能に取り付け可能な複数種類のツールのそれぞれの3次元モデルとを記憶する記憶部と、
前記ロボットの種別に対応する前記ロボットの3次元モデルと、前記ツールの種別に対応する前記ツールの3次元モデルとを前記記憶部から読み出し、読み出した前記ロボットの3次元モデルと前記ツールの3次元モデルとを表示する表示部と、
を備える、教示プログラム生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教示プログラム生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクトリーオートメーションの分野では、ロボットに実行させるための一定の動作内容を記述するプログラムを予め作成する処理が行われており、このような処理は、ティーチングと呼ばれている。ロボットはティーチングにより予め作成されたプログラムに従って動作し、一定の動作を繰り返し実行する。このようなティーチングとして、例えば、特許文献1には、ロボットが障害物を回避しながら動作するための軌道を生成する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のティーチングでは、ツールが取り付けられたロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を生成するための情報として、ロボットに取り付けられているツールの情報(例えば、ツールの形状、大きさ、又は慣性のうち何れかの情報)が用いられていないため、ロボットに取り付けられるツールが交換された場合に、ツール毎に異なるツールの形状、大きさ、又は慣性などを考慮に入れて、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を生成することができなかった。
【0005】
また、従来のティーチングでは、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を生成するための情報として、ロボットが所定の動作を開始するときのロボットの初期姿勢又は初期位置の正確な情報が用いられていないため、ロボットの初期姿勢又は初期位置の正確な情報を考慮に入れて、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を生成することができなかった。
【0006】
また、ロボット及びその周辺の環境に存在する物体の画像を撮影するとともに、ロボット及びその周辺の環境に存在する物体までの距離を計測し、撮影された画像及び計測された距離に基づいて、ロボット及びその周辺の環境に存在する物体の相対的な位置関係を計算し、その計算結果に基づいて、ロボットの動作を教示するための教示プログラムを作成する従来の方法では、作業者が初期設定値(例えば、ロボットが動作を開始するときの初期位置又は初期姿勢、或いはロボットに取り付けられているツールの種別など)を入力する必要があった。このため、所定の動作をロボットに教示する教示プログラムの作成を開始する時点で、ロボットの位置又は姿勢が変化していたり、或いはツールが交換されたりしている場合には、作業者が入力する初期設定値は、正確な情報とは限らないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような課題を解決し、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を適切に生成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明に関わる教示プログラム生成装置は、ロボット及びその周辺の情報に基づいて、所定の動作をロボットに教示するための教示プログラムを生成する教示プログラム生成装置であって、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報を、ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部と、上述の情報を基に、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために移動する軌道を生成する教示プログラム作成部とを備える。ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報をロボット制御装置から取得することにより、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を適切に生成することができる。なお、ロボット及びその周辺の情報は、例えば、ロボット及びその周辺を撮影した画像でもよく、或いはロボット及びその周辺の点群データでもよい。
【0009】
ここで、ロボット制御装置から取得する情報は、例えば、ロボットに交換可能に取り付けられたツールの形状、大きさ、又は慣性のうち何れかの情報を含むものでもよい。これにより、ロボットに取り付けられるツールが交換された場合に、ツール毎に異なるツールの形状、大きさ、又は慣性などを考慮に入れて、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を生成することができる。
【0010】
また、ロボット制御装置から取得する情報は、例えば、ロボットが所定の動作を開始するときのロボットの姿勢又は位置の情報を含むものでもよい。これにより、ロボットが所定の動作を開始するときのロボットの初期姿勢又は初期位置の正確な情報を考慮に入れて、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を生成することができる。
【0011】
また、ロボット制御装置から取得する情報は、ロボットの種別を示す情報を含むものでもよい。これにより、教示対象となるロボットが入れ替わったときに、教示プログラム生成装置は、ロボットの正しい種別を把握することができる。
【0012】
また、ロボット制御装置から取得する情報は、例えば、ロボットの種別を示す情報と、ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とを含むものでもよい。教示プログラム生成装置は、複数種類のロボットのそれぞれの3次元モデルと、ロボットに交換可能に取り付け可能な複数種類のツールのそれぞれの3次元モデルとを記憶する記憶部と、ロボットの種別に対応するロボットの3次元モデルと、ツールの種別に対応するツールの3次元モデルとを記憶部から読み出し、読み出したロボットの3次元モデルとツールの3次元モデルとを表示する表示部とを備えてもよい。このように、ロボット又はツールが交換された場合に、交換後のロボットの種別又はツールの種別に対応する3次元モデルを表示することにより、作業者は、ロボット又はツールが交換されたことを目視で確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を適切に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るロボットシステムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るロボット制御装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る端末装置の制御部の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るロボットの移動軌道を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ここで、同一符号は同一の構成要素を示すものとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るロボットシステム100の構成を示す。ロボットシステム100は、例えば、端末装置1と、ロボット制御装置2と、ロボット(マニピュレータ)3とを備える。端末装置1とロボット制御装置2、及び、ロボット制御装置2とロボット3は、それぞれネットワークを介して接続される。端末装置1とロボット制御装置2は、例えばWiFi(Wireless Fidelity)などの無線通信により接続され、ロボット制御装置2とロボット3は、例えば通信ケーブルを介して接続される。なお、ネットワークは、有線(通信ケーブルを含む)であっても無線であってもよい。
【0017】
ロボット3は、工場の床面等に固定されるベース部材上に設けられる多関節アームと、多関節アームの先端に取り付けられるツール31とを備える。ツール31は、ロボット3に交換可能に取り付けることができる。ツール31として、例えば、溶接トーチを用いることにより、ロボット3は、ロボット制御装置2からの指令に従って、溶接対象であるワークWにアーク溶接を施工することができる。また、例えば、ツール31として、エンドエフェクタを用いることにより、ロボット3は、ロボット制御装置2からの指令に従って、ワークWを把持した状態でワークWを移動させることができる。ロボット3には、複数種類のツールの中から選択された何れか一つのツールを交換可能に取り付けることができる。
【0018】
ロボット3には、マーカMが取り付けられている。マーカMは、作業空間内にマーカMが存在することを端末装置1に認識させることができる識別子であり、例えば、ARマーカである。ARマーカを用いることで、作業空間内に存在するARマーカを端末装置1が認識したときに、そのARマーカを原点とするユーザ座標系を実際の画像に重ね合わせて表示させることが簡易に実現できるようになる。
【0019】
図2に示すように、ロボット制御装置2は、ロボット3の駆動を制御する制御ユニットである。ロボット制御装置2は、例えば、制御部21、記憶部22及び通信部23を備える。
【0020】
制御部21は、プロセッサであり、記憶部22に記憶されているプログラムなどを実行することで、ロボット3を制御する。
【0021】
通信部23は、通信インターフェースであり、ネットワークを介して接続される端末装置1やロボット3との通信を制御する。
【0022】
端末装置1は、所定の動作をロボット3に教示するための教示プログラムを生成する教示プログラム生成装置として機能する。端末装置1は、例えば、デジタルカメラ付きの可搬型端末である。可搬型端末には、例えば、タブレット端末、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ノートPC(パーソナルコンピュータ)等の持ち運び可能な端末が含まれる。
【0023】
端末装置1は、例えば、制御部11、記憶部12、通信部13、撮影部14、距離計測部15及び表示部16を含む。
【0024】
制御部11は、プロセッサであり、記憶部12に格納されたプログラムを実行することで、端末装置1の各部を制御する。
【0025】
記憶部12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、端末装置1の各種機能を実現するためのプログラム及びそのプログラムで使用される各種のデータなどを記憶する。記憶部12に記憶される各種のデータには、例えば、複数種類のロボット3のそれぞれの3次元モデルと、ロボット3に交換可能に取り付け可能な複数種類のツール31のそれぞれの3次元モデルとが含まれる。
【0026】
通信部13は、通信インターフェースであり、ネットワークを介して接続されるロボット制御装置2との通信を制御する。
【0027】
撮影部14は、例えば、レンズ及びイメージセンサ(撮像素子)を含む2Dカメラであり、レンズで受光した被写体の光を電気信号(デジタル画像データ)に変換する。撮影部14は、作業者からの指示に応答して、ロボット及びその周辺を撮影する。
【0028】
距離計測部15は、例えば、距離計測センサを搭載する3Dカメラである。距離計測センサは、対象物までの距離を測定可能なセンサである。距離計測センサとして、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ、ミリ波センサ、超音波センサ等を用いることができる。LiDARは、その周囲に存在する物体の3次元情報を点群データとして収集する。点群データは、LiDARが検出した周囲の物体から反射してくる一つ一つのパルスを点として表現したデータ形式を有する。距離計測センサは、作業者からの指示に応答して、ロボット及びその周辺の点群データを収集する。
【0029】
表示部16は、例えば、タッチパネルを有するディスプレイであり、撮影部14により撮影される被写体の映像を表示するとともに、作業者による操作指示等の入力を受け付ける。
【0030】
図3は、端末装置1の制御部11の機能ブロック図を示す。記憶部12に格納されたプログラムを制御部11が実行することにより、取得部111及び教示プログラム作成部112としての機能が実現される。
【0031】
取得部111は、ロボット3が干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる以下の情報(a)~(d)をロボット制御装置2から取得する。
【0032】
(a)ロボット3の種別を示す情報。
(b)ロボット3に交換可能に取り付けられたツール31の種別を示す情報。
(c)ロボット3に交換可能に取り付けられたツール31の形状、大きさ、又は慣性のうち何れかの情報。
(d)ロボット3が所定の動作を開始するときのロボット3の姿勢又は位置の情報。
【0033】
なお、情報(d)として、ロボット3の多関節アームに取り付けられている各関節の角度を検出するエンコーダからの出力値を用いることができる。
【0034】
また、ロボット3が干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報として、上述の情報(a)~(d)に加えて、ロボット制御装置2の記憶部22に記憶されているプログラムのバージョン情報を用いてもよい。
【0035】
教示プログラム作成部112は、撮影部14により撮影される画像に含まれるマーカMに基づいて三次元のユーザ座標系を設定する。撮影部14により撮影される画像には、
図1に示すように、例えば、ロボット3が作業する空間に存在するロボット3とワークWとが含まれる。ロボット3の先端には、マーカMが取り付けられている。教示プログラム作成部112は、マーカMの特定位置(例えば、マーカの角やマーカの中心等)を原点とする三次元のユーザ座標系を設定する。
【0036】
なお、ユーザ座標系の原点は、マーカMの特定位置に限定されるものではなく、マーカMの特定位置を基準にして定められるロボット座標系の原点でもよい。例えば、ロボット3に対してマーカMの位置を固定することで、マーカMの特定位置をロボット座標系上で特定することができるため、マーカMの特定位置を基準にしてロボット座標系の原点を特定することが可能となる。この場合のユーザ座標系は、ロボット座標系となる。
【0037】
教示プログラム作成部112は、撮影部14により撮影される画像に含まれる物体までの距離を測定する距離計測部15により得られる点群データに対し、ユーザ座標系の座標を付与する。例えば、教示プログラム作成部112は、撮影部14により撮影された画像に基づいてマーカMの特定位置を検出し、その検出したマーカの特定位置を、距離計測部15により得られる点群データ上に設定する。教示プログラム作成部112は、点群データ上に設定したマーカの特定位置を原点(基準)とするユーザ座標系の座標を点群データに付与する。これにより、点群データがユーザ座標系に描画される。点群データ上に設定するマーカの特定位置は、例えば、データ解析により点群データ上のマーカの特定位置を自動的に認識させてもよいし、点群データ上のマーカの特定位置を作業者が指し示す等して指定してもよい。
【0038】
教示プログラム作成部112は、ロボット3の種別に対応するロボット3の3次元モデルと、ツール31の種別に対応するツール31の3次元モデルとを記憶部12から読み出す。教示プログラム作成部112は、読み出されたロボット3の3次元モデルとツール31の3次元モデルとを用いて、上述の情報(a)~(d)に基づいて、ロボット3及びツール31に対応するユーザ座標系上のロボット領域を計算する。ロボット領域は、ロボット3及びツール31がユーザ座標系上に占める仮想的な3次元領域である。
【0039】
なお、ロボット3が所定の動作を開始するときのロボット3の初期姿勢又は初期位置は、例えば、撮影部14により画像が撮影されたときのロボット3の姿勢又は位置でもよい。
【0040】
教示プログラム作成部112は、ロボット領域がその周囲に存在する物体の点群データと干渉しないように、ロボット3が所定の動作をするために移動する軌道を生成する。干渉とは、ロボット3又はツール31がその周囲に存在する物体と接触するなどして、ロボット3の正常な動作が妨げられることを意味する。
【0041】
このようにして、ロボット領域がその周囲に存在する物体の点群データと干渉しないようにロボット3が動作する軌道が生成されると、教示プログラム作成部112は、ユーザ座標系におけるロボット3の移動軌道をロボット座標系におけるロボット3の移動軌道に変換し、所定の動作をロボット3に教示するための教示プログラムを生成する。
【0042】
端末装置1の表示部16は、ロボット3の種別に対応するロボット3の3次元モデルと、ツール31の種別に対応するツール31の3次元モデルとを表示する。これにより、作業者は、ロボット3及びツール31を実際に駆動させずに、ロボット3及びツール31がどのような軌道を辿って、干渉を回避しながら移動するのかをそれらの3次元モデルの動きから把握することができる。
【0043】
端末装置1の表示部16は、ロボット3に所定の動作を実行させるための動作指示の入力を作業者から受け付けるためのグラフィカルユーザインターフェースを、上述の情報(a)~(b)に応じて変更してもよい。例えば、ツール31として、溶接トーチが用いられる場合には、表示部16は、ワークWの溶接個所を指定する指示の入力を作業者から受け付けるためのグラフィカルユーザインターフェースを表示してもよい。また、例えば、ツール31として、エンドエフェクタが用いられる場合には、表示部16は、ワークWを把持する個所を指定する指示の入力を作業者から受け付けるためのグラフィカルユーザインターフェースを表示してもよい。
【0044】
図4は、ロボット3の移動軌道を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
作業者は、端末装置1を操作し、撮影部14により画像を撮影する(ステップ401)。端末装置1の制御部11は、撮影部14により撮影される画像に含まれるマーカMに基づいて三次元のユーザ座標系を設定し、撮影部14により撮影される画像に含まれる物体までの距離を測定する距離計測部15により得られる点群データに対し、ユーザ座標系の座標を付与する。
【0046】
端末装置1の制御部11は、上述の情報(a)~(d)をロボット制御装置2から取得することをロボット制御装置2に要求する(ステップ402)。
【0047】
上述の要求がロボット制御装置2により許可された場合には(ステップ403;YES)、端末装置1の制御部11は、上述の情報(a)~(d)をロボット制御装置2から取得する(ステップ404)。
【0048】
上述の要求がロボット制御装置2により許可されない場合には(ステップ403;NO)、端末装置1の制御部11は、上述の情報(a)~(d)のデフォルト値として予め設定された情報を記憶部12から読み取る(ステップ405)。
【0049】
端末装置1の制御部11は、ステップ404で取得した情報(a)~(d)又はステップ405で記憶部12から読み出したデフォルト値を用いて、ロボット3及びツール31に対応するユーザ座標系上のロボット領域を計算し、ロボット領域がその周囲に存在する物体の点群データと干渉しないようにロボット3が動作する軌道を生成する。端末装置1の制御部11は、ユーザ座標系におけるロボット3の移動軌道をロボット座標系におけるロボット3の移動軌道に変換し、所定の動作をロボット3に教示するための教示プログラムを生成する(ステップ406)。
【0050】
端末装置1の制御部11は、教示プログラムをロボット制御装置2に送信する(ステップ407)。
【0051】
本発明の実施形態によれば、ツール31が取り付けられたロボット3が干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボット3の軌道を生成するための情報として、上述の情報(b)~(c)を用いているため、ロボット3に取り付けられるツール31が交換された場合に、ツール31毎に異なるツール31の形状、大きさ、又は慣性などを考慮に入れて、ロボット3が干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボット3の軌道を生成することができる。
【0052】
また、本発明の実施形態によれば、ロボット3が干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボット3の軌道を生成するための情報として、上述の情報(d)を用いているため、ロボット3が所定の動作を開始するときのロボット3の初期姿勢又は初期位置の正確な情報を考慮に入れて、ロボット3が干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボット3の軌道を生成することができる。
【0053】
また、本発明の実施形態によれば、ロボット3又はツール31が交換された場合に、交換後のロボット3の種別又はツール31の種別に対応する3次元モデルを表示することにより、作業者は、ロボット3又はツール31が交換されたことを目視で確認することができる。
【0054】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更又は改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。すなわち、実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも、本発明の特徴を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1…端末装置 11…制御部 12…記憶部 13…通信部 14…撮影部 15…距離計測部 16…表示部 2…ロボット制御装置 21…制御部 22…記憶部 23…通信部 3…ロボット 31…ツール 111…取得部 112…教示プログラム作成部
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット及びその周辺を撮影する撮影部と、
前記ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報を、前記ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部と、
前記撮影部が撮影した前記ロボット及びその周辺の情報と、前記取得部が取得した前記情報とを基に、前記ロボットが干渉を回避しながら前記所定の動作をすることを前記ロボットに教示するための教示プログラムを生成する教示プログラム作成部と、
前記ロボットの駆動を制御するロボット制御装置に前記教示プログラムを送信する通信部と、
を備える可搬型端末。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬型端末であって、
前記情報は、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの形状、大きさ、又は慣性のうち何れかの情報を含む、可搬型端末。
【請求項3】
請求項1に記載の可搬型端末であって、
前記情報は、前記ロボットが前記所定の動作を開始するときの前記ロボットの姿勢又は位置の情報を含む、可搬型端末。
【請求項4】
請求項1に記載の可搬型端末であって、
前記情報は、前記ロボットの種別を示す情報を含む、可搬型端末。
【請求項5】
請求項1に記載の可搬型端末であって、
前記情報は、前記ロボットの種別を示す情報と、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とを含み、
前記可搬型端末は、
複数種類のロボットのそれぞれの3次元モデルと、前記ロボットに交換可能に取り付け可能な複数種類のツールのそれぞれの3次元モデルとを記憶する記憶部と、
前記ロボットの種別に対応する前記ロボットの3次元モデルと、前記ツールの種別に対応する前記ツールの3次元モデルとを前記記憶部から読み出し、読み出した前記ロボットの3次元モデルと前記ツールの3次元モデルとを表示する表示部と、
を備える、可搬型端末。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明に関わる可搬型端末は、ロボット及びその周辺を撮影する撮影部と、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報を、ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部と、撮影部が撮影したロボット及びその周辺の情報と、取得部が取得した情報とを基に、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をすることをロボットに教示するための教示プログラムを生成する教示プログラム作成部と、ロボットの駆動を制御するロボット制御装置に教示プログラムを送信する通信部とを備える。ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報をロボット制御装置から取得することにより、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を適切に生成することができる。なお、ロボット及びその周辺の情報は、例えば、ロボット及びその周辺を撮影した画像でもよく、或いはロボット及びその周辺の点群データでもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、ロボット制御装置から取得する情報は、例えば、ロボットの種別を示す情報と、ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とを含むものでもよい。可搬型端末は、複数種類のロボットのそれぞれの3次元モデルと、ロボットに交換可能に取り付け可能な複数種類のツールのそれぞれの3次元モデルとを記憶する記憶部と、ロボットの種別に対応するロボットの3次元モデルと、ツールの種別に対応するツールの3次元モデルとを記憶部から読み出し、読み出したロボットの3次元モデルとツールの3次元モデルとを表示する表示部とを備えてもよい。このように、ロボット又はツールが交換された場合に、交換後のロボットの種別又はツールの種別に対応する3次元モデルを表示することにより、作業者は、ロボット又はツールが交換されたことを目視で確認することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーカーが取り付けられたロボット及びその周辺を撮影する撮影部と、
前記ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報を、前記ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部と、
前記撮影部が撮影した前記ロボット及びその周辺の情報と、前記取得部が取得した前記情報とを基に、前記マーカーを基に設定される3次元座標系上における前記ロボット及びその周辺の環境に存在する物体との位置関係を計算し、前記計算の結果に基づいて、前記ロボットが前記ロボットの周辺の環境に存在する物体との干渉を回避するように、前記ロボットに前記所定の動作を実行させるプログラムを生成するプログラム作成部と、
前記ロボットの駆動を制御するロボット制御装置に前記プログラムを送信する通信部と、
複数種類のロボットのそれぞれの3次元モデルと、前記ロボットに交換可能に取り付け可能な複数種類のツールのそれぞれの3次元モデルとを記憶する記憶部と、
前記ロボットの種別に対応する前記ロボットの3次元モデルと、前記ツールの種別に対応する前記ツールの3次元モデルとを前記記憶部から読み出し、読み出した前記ロボットの3次元モデルと前記ツールの3次元モデルとを表示する表示部と、
を備え、
前記情報は、前記ロボットの種別を示す情報と、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とを含み、
前記表示部は、前記ロボットに所定の動作を実行させるための動作指示の入力を作業者から受け付けるために前記表示部に表示されるグラフィカルユーザインターフェースを、前記ロボットの種別を示す情報と、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とに応じて変更する、可搬型端末。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬型端末であって、
前記情報は、前記ロボットに交換可能に取り付けられたツールの形状、大きさ、又は慣性のうち何れかの情報を含む、可搬型端末。
【請求項3】
請求項1に記載の可搬型端末であって、
前記情報は、前記ロボットが前記所定の動作を開始するときの前記ロボットの姿勢又は位置の情報を含む、可搬型端末。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明に関わる可搬型端末は、マーカーが取り付けられたロボット及びその周辺を撮影する撮影部と、ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報を、ロボットの駆動を制御するロボット制御装置から取得する取得部と、撮影部が撮影したロボット及びその周辺の情報と、取得部が取得した情報とを基に、マーカーを基に設定される3次元座標系上におけるロボットがロボットの周辺の環境に存在する物体との干渉を回避するように、ロボットに所定の動作を実行させるプログラムを生成するプログラム作成部と、ロボットの駆動を制御するロボット制御装置にプログラムを送信する通信部と、複数種類のロボットのそれぞれの3次元モデルと、ロボットに交換可能に取り付け可能な複数種類のツールのそれぞれの3次元モデルとを記憶する記憶部と、ロボットの種別に対応するロボットの3次元モデルと、ツールの種別に対応するツールの3次元モデルとを記憶部から読み出し、読み出したロボットの3次元モデルとツールの3次元モデルとを表示する表示部と、を備える。ここで、情報は、ロボットの種別を示す情報と、ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とを含み、表示部は、ロボットに所定の動作を実行させるための動作指示の入力を作業者から受け付けるために表示部に表示されるグラフィカルユーザインターフェースを、ロボットの種別を示す情報と、ロボットに交換可能に取り付けられたツールの種別を示す情報とに応じて変更する。ロボットが干渉を回避しながら所定の動作をするために用いられる情報をロボット制御装置から取得することにより、ロボットが干渉を回避しながら一定の動作を行うためのロボットの軌道を適切に生成することができる。なお、ロボット及びその周辺の情報は、例えば、ロボット及びその周辺を撮影した画像でもよく、或いはロボット及びその周辺の点群データでもよい。