(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172492
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】人の情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090249
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071216
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130395
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】関 優志
(72)【発明者】
【氏名】中西 亮輔
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】 或る目的に適合又は合致した人の探索の際に利用できる人の情報提供システムに於いて、各ユーザのその他の人とのコンタクト履歴が記録され、他のユーザも適宜参照できるようにする。
【解決手段】 複数のユーザが利用可能な人の情報提供システムは、各ユーザが任意に入力した、そのユーザと、システムに記録された人物とのコンタクト履歴をその人物の人名と関連づけて記録しておき、ユーザがシステムに記録された人物の人名を選択すると、その人名に関連づけられたコンタクト履歴を抽出し、表示するよう構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが利用可能な人の情報提供システムであって、
複数の人の人名を記録するよう構成された人名記録手段と、
各ユーザが任意にそのユーザと前記人名記録手段に記録された人とのコンタクト履歴を入力できるよう構成されたコンタクト履歴入力手段と、
前記コンタクト履歴入力手段に入力された前記コンタクト履歴をそのコンタクト履歴に関わる人の人名と関連づけて記録するよう構成されたコンタクト履歴記録手段と、
一のユーザが前記人名記録手段に記録された人名を選択できるよう構成された人名選択手段と、
前記一のユーザによる前記人名選択手段に於ける人名の選択に応答して前記コンタクト履歴記録装置に記録されている前記選択された人名に関連づけられたコンタクト履歴を抽出するよう構成されたコンタクト履歴抽出手段と、
前記コンタクト履歴抽出手段により抽出されたコンタクト履歴を表示するよう構成されたコンタクト履歴表示手段と
を含むシステム。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、前記コンタクト履歴記録手段に於いて記録される前記コンタクト履歴がブロックチェーンの方式で記録され、前記コンタクト履歴入力手段に入力されたコンタクト履歴がそのコンタクト履歴を入力したユーザの選択により前記ブロックチェーンに保存されるシステム。
【請求項3】
請求項1のシステムであって、更に、前記コンタクト履歴記録手段に新たなコンタクト履歴が追加されたとき、そのコンタクト履歴に関わる前記人名記録手段に記録された人名を選択しているユーザへ前記新たなコンタクト履歴の追加の情報を通知するよう構成されたコンタクト履歴追加情報通知手段を含むシステム。
【請求項4】
請求項1のシステムであって、更に、
前記人名記録手段に人名が記録された人の論文等情報を取得するよう構成された論文等情報取得手段と、
前記一のユーザによる前記人名選択手段に於ける人名の選択に応答して前記論文等情報取得手段にて取得された論文等情報に基づいて前記一のユーザにより選択された人名に関連する別の人名を抽出する関連人名抽出手段と
を含み、
前記コンタクト履歴抽出手段が、更に、前記一のユーザの要求に応じて、前記関連人名抽出手段により抽出された人名に関連づけられた前記コンタクト履歴記録手段に記録されているコンタクト履歴を抽出するよう構成されているシステム。
【請求項5】
請求項4のシステムであって、前記関連人名抽出手段の抽出する前記一のユーザにより選択された人名に関連する別の人名が、各ユーザにより選択された前記人名の共著者、引用論文の著者、被引用論文の著者の人名であるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムを用いて、任意の目的に適合又は合致した人の探索に用いられるシステムに係り、より詳細には、人の探索に於いて利用可能な種々の人の情報を提供するシステムに係る。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムを用いて種々の人の情報を蓄積したデータベースを構築し、そのデータベースに於いて種々の目的に適合又は合致した人を探索するシステムが種々提案されている。例えば、特許文献1に於いては、複数の人の間で授受又は交換された名刺の情報を用いて、一のユーザに対して、そのユーザに直接的に繋がっておらず、且つ、間接的に繋がっており、予め決められた条件を満たす一人以上の人を探索して、繋がるべき人を推薦する技術が提案されている。特許文献2では、システムに登録された任意の二人のユーザの名前をWebページなどの公開された情報にて検索し、前記二人のユーザの名前が同時にヒットした件数が既定値を超えるとその二人に人間関係があると判断され、その人間関係の情報がシステムに於いてユーザに提供される構成が提案されている。特許文献3には、研究者交流支援システムとして、複数のユーザが研究分野や研究に関する嗜好と、既読論文や執筆した論文や著者情報、時期とを入力することによりユーザ情報データベースを構築し、ユーザ情報に基づいて一のユーザにマッチングする他の適当なユーザを探索し、一のユーザに推薦する構成が開示されている。なお、研究者の論文情報を利用した技術として、例えば、特許文献4には、或る研究集団の創出した論文群の年度毎の被引用件数に基づいて、その研究集団の研究開発活性度を定量的に評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-088031
【特許文献2】特開2004-348179
【特許文献3】特開2007-328753
【特許文献4】特開2003-058671
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの或る目的に適合又は合致した人の探索に於いては、典型的には、インターネットなどにて公にされた種々の人の情報が参照される。例えば、研究開発の分野で、共同研究や情報交換の申し入れをする研究者、開発者、技術者(以下、「研究者等」と称する。)を探察する場合、公開されている論文の著者、その著者の共著者、その著者が引用した論文(引用論文)の著者、その著者の論文が引用されている論文(被引用論文)の著者及び各著者の所属、経歴などの情報(論文著者情報)を参照して、探索者(目的に合致した人を探索するユーザ)自身の研究目的、課題、興味或いは関心に最も或いは十分に適合する研究者等の探索が試みられる。しかしながら、公にされた情報、例えば、論文著者情報、だけを参照しても、探索者の目的に最も或いは十分に適合している人を必ずしも的確に探索できるとは限らないことがある。例えば、共同研究や情報交換の申し入れをする研究者等の決定の際には、公開された論文情報の他、人柄や共同作業に対するコミュニケーション能力、目的とする事業や求められる成果に対する理解なども考慮できることが好ましい。また、或る人が或る目的に合致した人か否かの判断に際しては、探索者の目的だけではなく、探索される人物の周りの人との繋がり或いは関係性も考慮できることが好ましい。
【0005】
ところで、或る人物の人柄、共同作業に対するコミュニケーション能力、目的とする事業や求められる成果に対する理解、周りの人との繋がり或いは関係性は、これまでに、その人物と交際又は接触した履歴のある人からの情報に基づいて類推することが可能と考えられる。例えば、研究開発の分野で共同研究や情報交換の申し入れをする研究者等を探索する場合であれば、探索対象の人物と直接に会ったことがある、リモート又は電話で連絡をとったことがある、共同で仕事をしたことがある、探索対象の人物の講演を聴講したことがある、名前だけは聞いたことがある、などの履歴のある人からの情報から、探索対象の人物の人柄などの、その他の公開された情報からだけでは知り得ない特長を類推できることが期待される。従って、探索者による或る目的に合致した人の探索の際に、探索の対象となる各人物と、その周りの人との交際又は接触の履歴を参照できると、その履歴を基に、より適切な人の探索が可能となることが期待される。この点に関し、人同士の交際又は接触の履歴(以下、「コンタクト履歴」と称する。)の情報は、現在のところ、属人的であるので、そのコンタクト履歴を有する人同士の以外のユーザに十分に共有されていない。そこで、或る目的に合致した人の探索の際に有利に利用できるシステムとして、各ユーザがコンタクト履歴を入力してシステムに記録ができ、その他のユーザも記録されたコンタクト履歴を適宜参照できるようになったシステムがあると、より的確に或る目的に合致した人を探索するために有利となろう。
【0006】
かくして、本発明の主な課題は、或る目的に適合又は合致した人の探索の際に利用できる人の情報提供システムに於いて、各ユーザのその他の人とのコンタクト履歴が記録され、かかるコンタクト履歴が任意のユーザも適宜参照できるようにした構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の課題は、複数のユーザが利用可能な人の情報提供システムであって、
複数の人の人名を記録するよう構成された人名記録手段と、
各ユーザが任意にそのユーザと前記人名記録手段に記録された人とのコンタクト履歴を入力できるよう構成されたコンタクト履歴入力手段と、
前記コンタクト履歴入力手段に入力された前記コンタクト履歴をそのコンタクト履歴に関わる人の人名と関連づけて記録するよう構成されたコンタクト履歴記録手段と、
一のユーザが前記人名記録手段に記録された人名を選択できるよう構成された人名選択手段と、
前記一のユーザによる前記人名選択手段に於ける人名の選択に応答して前記コンタクト履歴記録装置に記録されている前記選択された人名に関連づけられたコンタクト履歴を抽出するよう構成されたコンタクト履歴抽出手段と、
前記コンタクト履歴抽出手段により抽出されたコンタクト履歴を表示するよう構成されたコンタクト履歴表示手段と
を含むシステム
によって達成される。
【0008】
上記に於いて、「人名記録手段」に人名が記録される人(以下、「被記録人」と称する。)は、本システムのユーザが情報を知りたい人物であり、本システムのユーザであってもなくてもよい。被記録人の人名は、システムの各ユーザが任意に人名記録手段に入力して記録してもよく、システムの管理者又はシステムが公開されている種々の情報から任意の態様にて収集して人名記録手段に記録してもよい。「コンタクト履歴」とは、システムの一のユーザと一の被記録人との間に於ける、これまでの交際又は接触の履歴、例えば、直接に会ったことがある、リモート又は電話で連絡をとったことがある、講演を聴講したことがある、共同で仕事をしたことがある、名前だけは聞いたことがある、などの過去の履歴であり、更に、システムのユーザによる被記録人の印象又は評価(例えば、人柄、独創性、指導力、説明のわかりやすさ、連絡のとりやすさ、など)が含まれていてよい。「コンタクト履歴入力手段」は、本システムの各ユーザが各自のこれまでの経験等に基づいて任意に「コンタクト履歴」を入力するための手段であり、「コンタクト履歴記録手段」は、コンタクト履歴入力手段にて入力されたコンタクト履歴をその「コンタクト履歴」の関わる被記録人(コンタクト履歴に於けるユーザの相手の人物)の人名(及びコンタクト履歴を入力したユーザ)と関連づけて記録する所謂データベースである。従って、上記の人名記録手段、コンタクト履歴入力手段及びコンタクト履歴記録手段は、複数の人のコンタクト履歴のデータベースを構成するための手段であるということができる。
【0009】
そして、上記の構成に於いて、「人名選択手段」、「コンタクト履歴抽出手段」及び「コンタクト履歴表示手段」は、上記のコンタクト履歴のデータベースを用いて、任意の被記録人についてのコンタクト履歴を参照するための手段である。具体的には、上記から理解される如く、「人名選択手段」は、一のユーザが人名記録手段に記録された人名を選択するための手段であり、ここで、一のユーザが一の被記録人の人名を選択すると、「コンタクト履歴抽出手段」は、選択された被記録人の人名と関連づけられたコンタクト履歴をコンタクト履歴記録手段から抽出し、「コンタクト履歴表示手段」は、抽出されたコンタクト履歴を任意の態様にて表示することとなる。かくして、そのユーザは、選択された被記録人について記録されたコンタクト履歴を参照することが可能となる。なお、上記の本システムに於ける各手段は、コンピュータ装置のプログラムに従った作動により実現される。
【0010】
上記の本システムの構成によれば、ユーザに人の情報を提供するシステムに於いて、被記録人についてのこれまでの(幾人かのユーザとの間の)交際又は接触の履歴の情報であるコンタクト履歴の情報が、任意に、コンタクト履歴を入力したユーザ以外のユーザにも提供されることとなる。既に触れた如く、コンタクト履歴は、或る人の人柄、共同作業に対するコミュニケーション能力、目的とする事業や求められる成果に対する理解、周りの人との繋がり或いは関係性を類推する上で有用な情報となるので、或る目的に合致した人をより的確に探索することに大いに役立つことが期待される。
【0011】
上記の本システムに於いて、好適には、コンタクト履歴記録手段に新たなコンタクト履歴が追加されたときには、そのコンタクト履歴に関わる人名記録手段に記録された人名を選択しているユーザへ、その新たなコンタクト履歴の追加の情報を通知するよう構成されたコンタクト履歴追加情報通知手段が設けられていてよい。かかる構成によれば、或るユーザによりコンタクト履歴が追加/更新されたときに、他のユーザは、そのことが通知されてコンタクト履歴を確認できるため、興味のある被記録人のコンタクト履歴が更新された場合、ユーザ間のコミュニケーションのきっかけや新たな目的に適合した人の探索に有利となることが期待される。
【0012】
上記の本システムは、種々の分野に於いて、任意の目的に適合する人材の探索に利用されてよいところ、一つの態様として、例えば、研究又は技術開発の分野に於いて、共同研究や情報交換の申し入れをする研究者等の探索に利用されてよい。その場合、本システムに於いては、人名記録手段に記録される人は、書籍、学術雑誌、学会発表等にて公開される論文や抄録の著者(以下、「論文等著者」と称する。)であってよい。本システムを利用すれば、ユーザは、論文等著者のコンタクト履歴を参照することが可能となり、かかるコンタクト履歴の情報を頼りに、公開された情報だけを参照する場合よりも、より的確に、共同研究や情報交換の申し入れの候補者を選定できることが期待される。その際、論文等著者の論文、抄録等の種々の情報も合わせて参照できるようになっていてよく、そのために、本システムに於いて、人名が記録された人の論文に関わる種々の情報(論文等情報)を取得するよう構成された論文等情報取得手段が設けられていてよい。また、論文等情報には、その論文に関わる種々の人物の人名が含まれるので、本システムに於いて、各ユーザによる人名記録手段に記録された人名の選択に応答して、論文等情報取得手段にて取得された論文等情報に基づいて各ユーザにより選択された人名に関連する別の人名、例えば、共著者、引用論文の著者、被引用論文の著者の人名など、を抽出する関連人名抽出手段が設けられ、コンタクト履歴抽出手段は、更に、ユーザの要求に応じて、関連人名抽出手段により抽出された人名に関連づけられたコンタクト履歴記録手段に記録されているコンタクト履歴を抽出するよう構成されていてよい。これにより、ユーザによりも選択された被記録人に関連する人物のコンタクト履歴も参照できることとなり、より広い範囲にて研究者等の探索をすることが可能となる。
【0013】
上記の如く、本システムに於いて、論文等著者の論文、抄録等の種々の情報も参照できるようにする場合、ユーザが一の被記録人を指定すると、その被記録人の論文等情報から共著者、引用論文の著者、被引用論文の著者が抽出され、それらの著者の群の(後述の実施形態の欄に例示されている如き)相関図が形成されて、任意の表示器に表示され、その相関図上に上記のコンタクト履歴も表示されるようになっていてよい。これにより、著者群の中での交際・接触関係を把握することが可能となり、例えば、興味のある著者にコンタクトしたことがあるユーザにより詳細な情報をヒアリングする際に有用な情報となる。また、かかる構成は、著者群の中での連絡又は申し入れする人物を戦略的に計画することにも役立つことが期待される。
【0014】
また、本システムは、上記の如く、論文等著者の論文、抄録等の種々の情報(論文等情報)も参照できる場合、種々の態様にて論文等情報を解析・分析し、その結果が任意の態様にて表示されるよう構成されていてよい。例えば、論文等情報から各論文の被引用数(各論文を引用した論文の数)が検出され、任意に設定されてよい所定期間に於いて被引用数が多い著者(著者となっている全論文の被引用数の総計が多い著者)が著者群から抽出されて、任意の態様にて、例えば、上記の相関図に於いて、他の著者に比べて目立たせて表示されてよい。かかる態様は、連絡又は申し入れが有益となることが期待される著者が際立ち、より適切な共同研究等の候補者の探索に有用である。
【0015】
更に、別の態様として、本システムに於いて、著者群がリストの形式にて表示され、リスト内の任意の著者を選択すると、選択した著者の論文数、第一著者論文数、被引用数等の論文等情報に基づいて算出される数値がグラフ又はレーダーチャートの形式にて表示されるようになっていてよく、これにより、論文数などの数値的な情報が視覚的に比較可能となり、リストとグラフ等とを参照することで、より適切な共同研究等の候補者の探索が容易となることが期待される。
【0016】
また更に、本システムに於いて、著者群の論文等情報から“研究分野の広さ”を表わす指標値(研究分野広さ度)や著者群の中に於けるその偏差などが算出され、その算出結果がグラフの形式で表示されてよい。研究分野広さ度は、論文中に含まれるキーワードの属する分野が多いほど、大きくなる値であり、種々の態様にて算出されてよい(後述の実施態様の欄参照)。このような構成は、一の著者が著者群の中でどの程度の研究分野の広さを有しているかが把握され、より適切な共同研究等の候補者の探索に有用である。
【0017】
更なる態様として、本システムに於いて、ユーザが指定した著者の論文等情報から抽出された著者群に於いて被引用数の多い著者(被引用数とは、その著者の著作論文を引用した論文の数である。)が、コンタクト履歴を参照すべき被記録人として推薦されるようになっていてよい。被引用数が多い著者を推薦することで、他の著者を探す手間が省かれ、登録の効率の向上が期待される。
【0018】
ところで、上記の本システムに於けるコンタクト履歴の情報は、データベースであるコンタクト履歴記録手段に於いて任意の態様にて記憶されてよいところ、一つの態様として、ブロックチェーンの方式で記録されてよい。ブロックチェーンに保存された情報は、改ざんが極めて困難となるので、かかる構成により、本システムにより提供されるコンタクト履歴の情報の信頼性が向上されることとなる。また、その場合、コンタクト履歴入力手段に入力されたコンタクト履歴は、そのコンタクト履歴を入力したユーザの選択によりブロックチェーンに保存されるようになっていてよい。或るユーザにとって或る人物との間のコンタクト履歴は、例えば、或る期間が経過するまでは、非公開が望まれる場合もある。上記の如く、コンタクト履歴入力手段に一旦入力されたコンタクト履歴でも、そのユーザが他のユーザへの提供を決断するまで、非公開のままに保持できるようになっていれば、コンタクト履歴の秘密性が担保できることとなり、これにより、コンタクト履歴の情報の他のユーザへの提供が躊躇されているときでも、コンタクト履歴入力手段への入力は実行されやすくなり、また、ユーザが或るコンタクト履歴の他のユーザへの提供を決断したときには、改めて入力する手間が省けることとなる。
【0019】
本システムに於いて、コンタクト履歴を提供したユーザには、何等かの利益の得られるトークンが発行され、システム又は連携するコミュニティから付与されてよく、これにより、更なるコンタクトとコンタクト履歴の提供の促進が期待される。
【発明の効果】
【0020】
かくして、上記の本システムの構成によれば、インターネットなどに公開されている情報ではなく、各ユーザのその他の人物とのコンタクト履歴が他のユーザにも参照できることとなり、種々の人との間のコンタクト履歴がシステムのユーザの間に於いて共有されることとなるので、本システムは、或るユーザが或る目的に適合又は合致した人の探索をすべく種々の人の情報を収集しようとする際に有利に利用されることが期待される。本システムは、既に触れた如き、研究又は開発の分野で共同研究や情報交換の申し入れをする研究者等の候補の選定だけでなく、任意の事業を共同で行うための人材の探索、執筆や寄稿の依頼先の候補の選定、映画・演劇・演奏等の製作者・出演者の候補の選定などに利用されてもよい。
【0021】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1(A)は、本実施形態による人の情報提供システムの概略構成を表わした図である。
図1(B)は、本実施形態による人の情報提供システムの各ユーザの端末の構成の模式図である。
図1(C)は、本実施形態による人の情報提供システムのサーバの構成の模式図である。
【
図2】
図2(A)、(B)は、それぞれ、本実施形態による人の情報提供システムに於けるコンタクト履歴を入力するための被記録人の検索をするための表示器の画面と、一のユーザが一の被記録人とのコンタクト履歴を入力するための表示器の画面とを模式的に表わした図である。
【
図3】
図3(A)は、本実施形態による人の情報提供システムに於いて、コンタクト履歴を参照したい被記録人の検索と、検索された被記録人のコンタクト履歴の表示をする表示器の画面を模式的に表わした図である。
図3(B)は、検索された被記録人に関わる著者群の著者名をリスト形式で表わした表示器の画面を模式的に表わした図である。
【
図4】
図4は、一の被記録人に関わる著者群の著者の相関図を表わした表示器の画面を模式的に表わした図である。
【
図5】
図5(A)は、表示器の画面に表示される、一の被記録人又はその被記録人に関わる著者群の著者の年毎の論文数、被引用数を表わしたグラフ図を模式的に表わした図である。
図5(B)は、表示器の画面に表示される、一の被記録人又はその被記録人に関わる著者群の著者の種々の業績を表わすレーダーチャート図を模式的に表わした図である。
図5(C)は表示器の画面に表示される、一の被記録人に関わる著者群の著者の研究広さ度の分布図を模式的に表わした図である。
【
図6】
図6は、ユーザにコンタクト履歴を参照すべき被記録人を推薦する処理をフローチャートの形式で表わした図である。
【
図7】
図7は、本実施形態による人の情報提供システムに於いてコンタクト履歴をブロックチェーンの方式で記録する場合のシステムの概略構成を表わした図である。
【符号の説明】
【0023】
10…サーバ,11…通信ネットワーク,12…コンタクト履歴のデータベース(コンタクト履歴記録手段),14…ユーザ端末,15…インターネット等外部ネットワーク
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
【0025】
システムの構成
本実施形態の人の情報提供システム(以下、「本システム」と称する。)は、
図1(A)に模式的に描かれている如く、サーバ10と、それと無線又は有線の通信ネットワーク11で接続された複数のユーザ端末14とで構成され、サーバ10とユーザ端末14とは、それぞれ、通常の形式のコンピュータ装置であってよい。サーバ10は、
図1(C)の模式的に例示されている如く、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、記憶装置、入出力装置(I/O)が装備され、記憶装置は、本実施形態の演算で使用する演算処理を実行する各プログラムを記憶したメモリPMと、演算中に使用されるワークメモリWM及びデータメモリDMを含む。また、サーバ10は、後述の如く、各ユーザが任意に入力した種々の人物とのコンタクト履歴を記憶するデータベース12とアクセス可能に接続されると共に、本システムの通信ネットワーク11は、典型的には、インターネットなどの外部の通信ネットワーク15から情報を適宜取得できるように接続される。各ユーザ端末14は、
図1(B)に例示の如く、各ユーザからサーバ10への指示及びサーバ10からの処理結果その他の情報の表示及び出力を実行すべく、通常の態様にて、モニター3とキーボード並びにマウスといった入力装置4が設けられ、システムのプログラムが起動されると、ユーザは、プログラムの手順に従ってモニター3上の表示に従って、入力装置4を用いてサーバ10への各種の指示及び入力を行うとともに、モニター3上にてサーバ10からの処理結果等を視覚的に確認することが可能となる。
【0026】
上記のシステムは、概して述べれば、ユーザに対して、それぞれユーザ端末14を介して、種々の人物の情報を提供するよう構成されたシステムであるところ、特に、本システムに於いては、各ユーザが任意に種々の人物とのコンタクト履歴、即ち、これまでの交際又は接触の履歴、を入力し、その入力されたコンタクト履歴がデータベース12に保存され、かかる保存されたコンタクト履歴は、それを入力したユーザ本人だけでなく、本システムの他のユーザも任意に参照可能とされる。また、本システムに於いては、更に、外部の通信ネットワーク15から得られる情報、例えば、書籍、学術雑誌、学会発表等にて公開される論文や抄録の情報、を用いて、或る人物のこれまで業績等が理解しやすくなるように調整された情報(業績等調製情報)も提供されるようになっていてよい。これらの機能を達成するべく、本システムに於いては、各ユーザ端末14には、ユーザが任意に情報の提供される人の人名を入力或いは指定するための人名入力部21、ユーザが任意に人毎にコンタクト履歴を入力するためのコンタクト履歴入力部22、ユーザが、或る人についてのコンタクト履歴又は更に業績調製情報を参照したいときにその人の人名を選択するための人名選択部23、選択された人名の人のコンタクト履歴をモニター3に表示させるコンタクト履歴表示部24、選択された人名の人の業績等調製情報をモニター3に表示させる業績等調製情報表示部25などが設けられ、サーバ10には、外部の通信ネットワーク15から種々の人物の人名と所属若しくは連絡先、各種業績等の情報を取得するための人物情報取得部31、ユーザ端末14の人名入力部21に入力された人名の人物の情報を検索し抽出する人名抽出部32、ユーザ端末14のコンタクト履歴入力部22に入力されたコンタクト履歴をデータベース12へ記録するためのコンタクト履歴記録処理部33、ユーザ端末14の人名選択部23にて選択された人名のコンタクト履歴を抽出してユーザ端末14へ送信するコンタクト履歴抽出部34、ユーザ端末14の人名選択部23にて選択された人名の業績の情報を抽出し種々の態様にて調製してユーザ端末14へ送信する業績等調製情報調製処理部35などが設けられてよい。なお、上記の各部は、いずれも、プログラムに従ったコンピュータ装置(サーバ10、各ユーザ端末14)の作動により実現される。
【0027】
システムの実行する処理
上記の如く、本システムでは、提供される情報の取得・調製段階の処理として、
(1)情報の提供される人物(被記録人)の記録、
(2)被記録人のコンタクト履歴の入力及び記録、
(3)被記録人の業績等の情報の取得
が実行される。そして、取得・調製された情報の提供段階の処理として、
(4)被記録人のコンタクト履歴情報の提供
(5)被記録人の業績等調製情報の提供
(6)コンタクト履歴・業績等調製情報の更新通知
が実行されてよい。以下、各処理について説明する。
【0028】
(1)情報の提供される人物(被記録人)の記録
情報の提供される人物(被記録人)の人名は、外部の通信ネットワークから適時に取得されて(人物情報取得部31)、システム内の記録装置(データメモリDM又はデータベース12)に記録されてよく、或いは、ユーザにより、適宜、入力されて、システム内の記録装置に記録されてよい。ユーザが被記録人の人名を入力する場合には、例えば、
図2(A)に例示の如き画面に於ける入力欄101に人名が入力され(人名入力部21)、ボタン102aがクリックされることで、入力欄101の人名が記録される。本システムが研究・開発の人材の探索のための情報収集に用いられる場合には、被記録人として記録される人の人名は、論文、抄録の著者名であってよく、それらは、任意の公開された論文データベースから取得可能である。
【0029】
(2)被記録人のコンタクト履歴の入力及び記録
被記録人のコンタクト履歴は、本システムのユーザにより任意に入力され、データベース12に蓄積される。コンタクト履歴は、既に述べた如く、ユーザと被記録人との間のこれまでの交際・接触の履歴であるところ、その表現は、本システムの用途に応じて、任意に設定されてよい。例えば、本システムが研究・開発の人材の探索のための情報収集に用いられる場合には、コンタクト履歴の具体的な表現は、講演等を聴講;NDAを結んだことがある;共同研究を行ったことがある;共同開発を行ったことがある;指導教員;出身研究室が同じ;顔見知り;コンタクトは無いが注目;その他、などであってよいが、これらに限定されない。コンタクト履歴は、いくつかの上記の如き表現が予め準備され、ユーザがその準備された表現の中から適当なものを選択できるようになっていてもよく、ユーザが自由な表現にて記載できるようになっていてもよい。
【0030】
コンタクト履歴の入力に際しては、任意の態様にて、ユーザがユーザ端末14を用いて被記録人を指定して(人名入力部21、人名抽出部32)、その指定した被記録人とのコンタクト履歴を入力し(コンタクト履歴入力部22)、そのコンタクト履歴がデータベース12へ被記録人の人名と関連付けられて記録される(コンタクト履歴記録処理部33)。一つの例として、まず、ユーザが、そのユーザ端末14に於いて、
図2(A)に例示の如き画面に於ける入力欄101に人名を入力し、ボタン102をクリックすると、その情報がサーバ10へ送信される。そうすると、サーバ10は、データメモリDM若しくはデータベース12から入力欄101の人名のこれまでの取得されている情報を抽出し、ユーザ端末14のモニター3に於いては、
図2(B)の如く、被記録人の人名
Nが欄103に、被記録人の所属等の情報
Oが欄104に表示され、更に、コンタクト履歴
H1を入力するための欄105が表示されるので、ユーザは、その欄に上記の如きコンタクト履歴を入力することが可能となる。なお、欄105は、枠106の如くプルダウン形式の入力欄であってもよい。また、コンタクト履歴
H1に加えて、その他の被記録人の印象・評価等、例えば、人柄、独創性、指導力、説明のわかりやすさ、連絡のとりやすさ、など、の項目
H2、
H3、…が設けられ、それぞれの対応する欄107、欄108…に評価(例えば、5段階評価)等が入力できるようになっていてよい。そして、ボタン109がクリックされると、各欄に入力された情報がサーバ10へ送信され、被記録人の人名と関連づけられてデータベース12に蓄積される。
【0031】
(3)被記録人の業績等の情報の取得
上記のコンタクト履歴の記録と合わせて、被記録人のこれまでの種々の業績等の情報がデータベース12又はデータメモリDM等の記憶装置に保存されてよい。本システムが研究・開発の人材の探索のための情報収集に用いられる場合には、被記録人のこれまでの種々の業績等の情報としては、著作論文名とその情報、例えば、共著者、引用論文名とその著者、被引用論文名とその著者、その他論文に関わる情報であってよい。被記録人のこれまでの種々の業績等の情報は、外部の通信ネットワークから適時に取得されてよい(人物情報取得部31)。
【0032】
(4)被記録人のコンタクト履歴情報の提供
本システムに於いては、既に触れた如く、上記のデータベース12に記録されたコンタクト履歴は、それを入力したユーザ以外も任意に参照することができる。一の被記録人についてのコンタクト履歴を参照する際には、被記録人の人名が選択されると(人名選択部23)、選択された人名のコンタクト履歴がデータベース12から抽出され、ユーザ端末14へ送信され(コンタクト履歴抽出部34)、ユーザ端末14のモニター3上に表示されてよい。具体的には、例えば、ユーザが、
図3(A)の如く、モニター3の画面に於ける欄201にコンタクト履歴を参照したい被記録人の人名を入力し、ボタン202をクリックすると、その下方に描かれている如く、その被記録人のコンタクト履歴を入力したユーザの名前
UN、所属等情報
UOと、コンタクト履歴等の情報(
H1、
H2、
H3…)が、それぞれ、欄203、204、205、207、208、…に表示されてよい。これにより、ユーザは、システムの他のユーザによる被記録人のコンタクト履歴を知ることができ、かかる情報は、或る目的に適合又は合致した人の探索の際に有用な情報となる。即ち、本システムのかかる構成によれば、今まで、属人的であった人同士の交際・接触の履歴の情報がシステムのユーザの間で広く共有されることとなり、例えば、共同研究や情報交換の申し入れをする研究者等を探察するときに、多いに役立つ情報が得られることとなる。
【0033】
更に、本システムに於いては、被記録人の業績等の情報を用いて、被記録人に関連のある人物がリストアップされ、そのリストアップされた人物のコンタクト履歴も参照できるようになっていてよい。具体的には、例えば、ユーザが、
図3(A)に例示されている如く、モニター3の画面に於ける欄201にコンタクト履歴を参照したい被記録人の人名を入力した状態で、ボタン210をクリックすると、
図3(B)の如く、被記録人に関連のある人物(関連人物)の人名
RNと所属
ROとがリストアップされてよい。その際、関連人物の人名は、欄201の被記録人との関わり方の違いによって、グループ(G1、G2、G3)に分けて表示されてよい。例えば、関連人物が、被記録人の著作論文の共著者、引用論文の著者、被引用論文の著者である場合には、それぞれ、別々の欄G1、G2、G3に表示されてよい。そして、画面上で、関連人物の人名のそれぞれを選択してクリックすると、その選択された関連人物のコンタクト履歴が
図3(A)に例示されている如き態様にて表示されてよい。これにより、コンタクト履歴が被記録人の関連する人物についても参照でき、或る目的に適合又は合致した人の探索の際に有用な情報となることが期待される。
【0034】
(5)被記録人の業績等調製情報の提供
本システムに於いては、既に触れた如く、被記録人の業績等の情報を用いて、被記録人の業績が把握しやすいように調製された情報(業績等調製情報)が提供されてよい。概して述べれば、業績等調製情報は、いずれも、ユーザ端末14のモニター3の画面上に表示され、或いは、印刷されてもよい。業績等調製情報の態様は、本システムの用途、即ち、どのような分野で本システムを利用するかによって、種々に考案されてよい。以下、本システムを、研究又は技術開発の分野に於いて共同研究や情報交換の申し入れをする研究者等の探索に利用するべく、被記録人が、書籍、学術雑誌、学会発表等にて公開される論文や抄録の著者(論文等著者)である場合の業績等調製情報の例について説明する。
【0035】
先ず、被記録人が論文等著者である場合、関連人物は、上記に触れた如く、論文等著者の著作論文の共著者、引用論文の著者、被引用論文の著者であってよく、それらは、ユーザ端末14のモニター3の画面に於いて、
図3(B)の如く、グループ毎に別々の欄に列記された表にて表示されてよい。(コンタクト履歴の画面に戻る場合には、ボタン211をクリックする。)。なお、著者群の表中の一の著者を選択すると、その著者を被記録人として、一連の情報が表示されてもよい。
【0036】
また、一の論文等著者(選択された被記録人)、共著者、引用論文の著者及び被引用論文の著者(著者群)が、
図4に例示されている如き、相関図の形式で表わされてよい。例えば、
図4の相関図は、
図3(B)のボタン220をクリックすることにより、画面上に表示されてよい。例として、同図の場合、一の論文等著者(●)に対して、その共著者(共著の論文がある著者-太線丸(G1))、引用論文の著者(楕円G2)及び被引用論文の著者(三角G3)が直線で接続され、共著論文数、引用論文数、被引用論文数が多いほど、接続線が太く表示されてよい。その際、それぞれの著者のコンタクト履歴がある場合には、かかるコンタクト履歴が相関図上で表示されてもよい。これにより、著者群の中での交際・接触関係を把握でき、例えば、本システムを企業内において用いた場合には、コンタクトしたことがある従業員に詳細な情報をヒアリングすることなどが容易となり、著者群の中でのコンタクトを戦略的に計画できることが期待される。また、著者群に於いて、適宜設定されてよい特定の期間内に被引用論文数の多い著者が抽出され、相関図に於いて、強調して表示されてもよい。かかる構成によれば、コンタクトすべき著者が際立つため、共同研究候補先としての選択の際に有用となる。
【0037】
更に、業績等調製情報の例として、
図5(A)の如きグラフ(横軸:年Y、縦軸:論文数N)の形式にて、論文等著者又はその著者群の中の関連人物の年別の著作論文数301、被引用論文数302が表示されてもよい。これにより、論文の数値的な情報が視覚的に比較でき、共著者、引用論文の著者及び被引用論文の著者のリストとグラフとで確認を繰り返すことで、共同研究候補先の選定等の作業がより容易になることが期待される。
【0038】
また更に、業績等調製情報の別の例として、
図5(B)の如く、論文等著者又はその著者群の中の関連人物の種々の業績、例えば、総論文数、第一著者論文数、被引用数、これらの累積数などがレーダーチャートの形式で表わされてもよい(チャートを見やすくするために、抽出範囲等が適宜調整されてよい。)。
【0039】
更なる別の業績等調製情報の例としては、論文等著者又はその著者群の中の関連人物の論文等情報から“研究分野の広さ”を表わす指標値である「研究分野広さ度」や著者群の中に於けるその偏差などが算出されてよい。研究分野広さ度は、著作論文中に含まれるキーワードの属する分野が多いほど、大きくなる指標値であり、種々の態様(単語をベクトル化する方法等)にて算出されてよい。そして、研究分野広さ度又はその偏差は、被記録人である論文等著者を含む著者群中の各著者について算出され、その分布が、
図5(C)に模式的に例示されている如く、分布グラフ(横軸WR:研究分野広さ度、縦軸NP:著者数)の形式で表示され、その分布図に於いて、論文等著者又はその著者群の中の関連人物の位置が強調されて表示されてよい。かかる構成によれば、各著者の研究分野の広さの程度が、他の著者の研究の広さと比べて、どの程度であるかの情報が得られ、共同研究候補先の選定等に於いて有用な情報となることが期待される。
【0040】
(6)コンタクト履歴・業績等調製情報の更新通知
上記の本システムに於いて、一の被記録人のコンタクト履歴の更新があったとき、或いは、一の被記録人の関連人物の業務等の情報に於ける有用な情報に更新があったときには、その被記録人を選択しているユーザに情報更新の通知が与えられてよい。かかる構成によれば、興味のある被記録人のコンタクト履歴等の情報が更新された場合には、ユーザ間のコミュニケーションのきっかけや新たな目的に適合した人の探索に有利となることが期待される。
【0041】
被記録人が論文等著者である場合、コンタクト履歴の更新の通知は、例えば、以下の如く、手順で実行されてよい。まず、一の論文等著者のコンタクト履歴の更新・追加されると、その論文等著者の情報が抽出され、著者群の相関図が作成され、コンタクト履歴の表示が作成され、それらの保存したページのリンクが、その論文等著者を選択したユーザへ通知されてよい。また、被記録人が論文等著者である場合、その著者群の中の一の著者の被引用論文数が急増した場合、例えば、所定期間内の被引用論文数が所定数を超えたとき、その旨が、その論文等著者を選択したユーザへ通知されてよい。その場合、具体的には、例えば、著者群の中の一の著者の被引用論文数が急増すると、その著者の情報が抽出され、その著者の著者群に於ける被引用論文数が多い順に著者5名が選択され、その著作論文数と被引用論文数のグラフ(
図5(A)参照)が作成され、その著者のレーダーチャート(
図5(B))が作成され、その著者のコンタクト履歴の表示が作成され、それらの保存したページのリンクが、その論文等著者を選択したユーザへ通知されてよい。
【0042】
被記録人の登録と推薦
本システムは、各ユーザが、コンタクト履歴等の情報を追跡的に参照したい被記録人を、適宜設定されてよい所定数(例えば、5人など)まで登録できるよう構成されていてよい。登録された被記録人についての情報は、その被記録人を登録したユーザのユーザ端末に於いて、上記の人名選択処理を実行しなくても適時表示されてよく、一の被記録人についてのコンタクト履歴等の情報が更新されると、その一の被記録人を登録していたユーザに、その情報が通知されるようになっていてよい。また、この場合、一のユーザの被記録人の登録数が所定数に達していない場合には、システムに於いて、被記録人の関連人物から登録候補が適宜選択され、そのユーザに推薦されてよい。被記録人が論文等著者である場合、登録候補の推薦と登録は、以下の如く実行されてよい。
図6を参照して、一のユーザがコンタクト履歴等の情報を追跡的に参照したい論文等著者の新規登録を望んでいる場合(S1)には、既登録数が所定数に達しているか否かが判定され(S2)、既登録数が所定数に達していない場合には、既に登録している論文等著者の著者群の中から被引用論文数が多い複数の著者が選択され推薦される(S3)。ここで、その推薦された著者の中で登録を希望する著者が選択されると(S4)、その選択された著者が登録される(S5)。かかる構成によれば、既登録の著者の著者群から被引用論文数が多い著者が推薦されるので、他の著者を探す手間が省かれ、論文等著者の選択の効率の向上が期待される。
【0043】
ブロックチェーンを用いたコンタクト履歴の保存
本システムに於いて、被記録人についてのコンタクト履歴は、サーバ10に直接に接続されたデータベース(記憶装置)12に保存されるのではなく、
図7に模式的に描かれている如く、ブロックチェーンの方式にて各ユーザ端末14の記憶装置12aに保存されるようになっていてよい。コンタクト履歴がブロックチェーンの方式で保存されることでコンタクト履歴の改ざんが極めて困難となり、本システムにて提供されるコンタクト履歴の信頼性が向上されることとなる。その際、各ユーザの入力したコンタクト履歴は、そのユーザのディジタルウォレットに保存され、ユーザの選択によりブロックチェーンへ供出できるようになっていてよい。或るユーザにとって或る人物との間のコンタクト履歴は、例えば、或る期間が経過するまでは、非公開が望まれる場合もある。そこで、上記の如く、コンタクト履歴が入力後にすぐにシステムで共有されるのではなく、ユーザが他のユーザへの提供を決断するまで、非公開のままに保持できるようにし、これにより、コンタクト履歴の秘密性が選択的に担保され、コンタクト履歴の情報の他のユーザへの提供が躊躇されているときでも、コンタクト履歴の入力は実行されやすくなり、また、ユーザが或るコンタクト履歴の他のユーザへの提供を決断したときには、改めて入力する手間が省けることとなる。
【0044】
上記の如く、コンタクト履歴をブロックチェーンの方式にて保存する場合、コンタクト履歴を提供したユーザには、何等かの利益の得られるトークンが発行され、システム又は連携するコミュニティから付与されてよく、これにより、更なるコンタクトとコンタクト履歴の提供の促進が期待される。
【0045】
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。