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特開2024-172493配管構造および配管構造の気密試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172493
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】配管構造および配管構造の気密試験方法
(51)【国際特許分類】
   F17D 5/02 20060101AFI20241205BHJP
   F16L 9/18 20060101ALI20241205BHJP
   G01M 3/22 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F17D5/02
F16L9/18
G01M3/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090250
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】志知 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】上丸 拓弥
【テーマコード(参考)】
2G067
3H111
3J071
【Fターム(参考)】
2G067AA11
2G067DD02
3H111AA04
3H111CA17
3H111CB04
3H111CB14
3H111CB25
3H111DA14
3H111DA23
3H111DA26
3H111DB11
3H111DB20
3J071AA02
3J071CC06
3J071CC07
3J071EE05
3J071FF16
(57)【要約】
【課題】容易に気密試験を行うことができる配管構造を提供する。
【解決手段】配管構造は、内管と、前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材とを備える。前記脱着部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する連通路を有する
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と、
前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、
前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、
前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材と
を備え、
前記脱着部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する連通路を有する配管構造。
【請求項2】
前記外管は、前記第1流路側の前記外管に形成され、前記第1流路と連通する第1開口部を有し、
前記連通路の一端が前記第1開口部に接続された、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記第1開口部は、前記第1流路側の前記外管から立ち上がる第1取り付け部を貫通する孔である、請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記外管は、前記第2流路側の前記外管に形成され、前記第2流路と連通する第2開口部を有し、
前記連通路の他端が前記第2開口部に接続された、請求項2または3に記載の配管構造。
【請求項5】
前記第2開口部は、前記第2流路側の前記外管から立ち上がる第2取り付け部を貫通する孔である、請求項4に記載の配管構造。
【請求項6】
前記連通路は、
一端部に形成され、前記第1開口部に接続された前記第1流路側の貫通孔と、
他端部に形成され、前記第2開口部に接続された前記第2流路側の貫通孔と、
を有する、請求項4に記載の配管構造。
【請求項7】
前記外管は、
前記第1流路側の前記外管に形成され、前記第1流路と連通する第1開口部と、
前記第2流路側の前記外管に形成され、前記第2流路と連通する第2開口部と
を有し、
前記連通路の一端が前記第1開口部に接続され、前記連通路の他端が前記第2開口部に接続されており、
前記第1開口部は、前記第1流路側の前記外管から立ち上がる第1取り付け部を貫通する孔であり、
前記第2開口部は、前記第2流路側の前記外管から立ち上がる第2取り付け部を貫通する孔であり、
前記脱着部材は、前記第1取り付け部と前記第2取り付け部を介して前記外管に取り外し可能に取り付けられた、請求項1に記載の配管構造。
【請求項8】
前記外管から前記脱着部材が取り外された状態で、前記第1開口部に外部装置が接続される、請求項2に記載の配管構造。
【請求項9】
前記外管から前記脱着部材が取り外された状態で、前記第1開口部に、前記第1流路の気密試験を行う装置が接続される、請求項2に記載の配管構造。
【請求項10】
内管と、前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材とを備え、前記脱着部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する連通路を有する、配管構造の気密試験方法であって、
前記脱着部材を前記外管から取り外した後、
前記第1流路と前記連通路との接続箇所を介して前記第1流路に気体を供給して、前記第1流路に所定の圧力を付与し、
前記第1流路の圧力の変化を計測する
ことを含む、気密試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管構造および配管構造の気密試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガス燃料タンクからエンジンにガス燃料を導入する配管構成が開示されている。この配管構成の一例としてのガスマニホールドは、二重配管として構成されており、一端において他の配管と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-188688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配管構成では、ガスマニホールドの気密試験を行う場合、ガスマニホールドの一端から他の配管を取り外して、ガスマニホールドの一端に気密試験のための装置を接続する必要がある。
【0005】
本発明は、容易に気密試験を行うことができる配管構造および配管構造の気密試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
内管と、
前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、
前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、
前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材と
を備え、
前記脱着部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する連通路を有する、配管構造を提供する。
【0007】
この構成によれば、脱着部材を外管に取り付けた状態では、連通路によって第1流路と第2流路とを接続できる。他方、脱着部材を外管から取り外した状態では、第1流路を例えば気密試験で使う装置に接続できる。したがって、脱着部材を外管から取り外すことで、配管構造から他の配管を取り外す必要がなく、第1流路を気密試験で使う装置に接続することができる。これにより、容易に気密試験を行うことができる。言い換えれば、外管に対して脱着部材を脱着することで、第1流路の接続先を変更できる。
【0008】
一実施形態では、前記外管は、前記第1流路側の前記外管に形成され、前記第1流路と連通する第1開口部を有し、前記連通路の一端が前記第1開口部に接続されている。
【0009】
この構成によれば、第1流路と連通路の一端とが第1開口部を介して接続される。これにより、仕切部材に遮断された第1流路内の流体を連通路に案内することができる。他方で、仕切部材に遮断された第2流路から連通路に導かれた流体を第1流路に案内することができる。
【0010】
一実施形態では、前記第1開口部は、前記第1流路側の前記外管から立ち上がる第1取り付け部を貫通する孔である。
【0011】
この構成によれば、第1取り付け部を貫通する孔に連通路の一端を接続するために、脱着部材が第1取り付け部を介して外管に取り付けられる。これにより、第1取り付け部は、第1開口部によって流路の一部を形成し、かつ外管に取り付けられた脱着部材を支持することができる。また、脱着部材を外管から取り外して第1流路を例えば気密試験で使う装置に接続するとき、第1取り付け部を接続用の台座として使用することができる。
【0012】
一実施形態では、前記外管は、前記第2流路側の前記外管に形成され、前記第2流路と連通する第2開口部を有し、前記連通路の他端が前記第2開口部に接続されている。
【0013】
この構成によれば、第2流路と連通路の他端とが第2開口部を介して接続される。これにより、仕切部材に遮断された第1流路から連通路に導かれた流体を第2流路に案内することができる。他方で、仕切部材に遮断された第2流路内の流体を連通路に案内することができる。
【0014】
一実施形態では、前記第2開口部は、前記第2流路側の前記外管から立ち上がる第2取り付け部を貫通する孔である。
【0015】
この構成によれば、第2取り付け部を貫通する孔に連通路の他端を接続するために、脱着部材が第2取り付け部を介して外管に取り付けられる。これにより、第2取り付け部は第2開口部によって流路の一部を形成し、かつ外管に取り付けられた脱着部材を支持することができる。また、脱着部材を外管から取り外すことで開放された第2流路への異物の侵入を防止するために、第2取り付け部をカバーで覆われる被覆部として使用することができる。
【0016】
一実施形態では、前記連通路は、一端部に形成され、前記第1開口部に接続された前記第1流路側の貫通孔と、他端部に形成され、前記第2開口部に接続された前記第2流路側の貫通孔とを有する。
【0017】
この構成によれば、第1流路側の貫通孔と第2流路側の貫通孔と、これら2つの貫通孔を接続する流路のみで連通路を構成できる。これにより、脱着部材の構造を簡単にでき、かつ設計の自由度を高めることができる。また、取り外された脱着部材を外管に取り付けるとき、第1流路側の貫通孔を第1開口部に位置決めし、第2流路側の貫通孔を第2開口部に位置決めするだけで、容易に取り付けることができる。
【0018】
一実施形態では、前記外管は、前記第1流路側の前記外管に形成され、前記第1流路と連通する第1開口部と、前記第2流路側の前記外管に形成され、前記第2流路と連通する第2開口部とを有し、前記連通路の一端が前記第1開口部に接続され、前記連通路の他端が前記第2開口部に接続されており、前記第1開口部は、前記第1流路側の前記外管から立ち上がる第1取り付け部を貫通する孔であり、前記第2開口部は、前記第2流路側の前記外管から立ち上がる第2取り付け部を貫通する孔であり、前記脱着部材は、前記第1取り付け部と前記第2取り付け部を介して前記外管に取り外し可能に取り付けられている。
【0019】
この構成によれば、脱着部材は第1取り付け部と第2取り付け部によって外管に対して二箇所で支持されるので、外管に取り付けられた状態における強度を確保することができる。
【0020】
一実施形態では、前記外管から前記脱着部材が取り外された状態で、前記第1開口部に外部装置が接続される。
【0021】
脱着部材が外管に取り付けられた状態では、第1流路と第2流路が連通路を介して接続されている。一方、脱着部材が外管から取り外されると、第1流路と第2流路との接続が解除され、第1流路が第1開口部を介して外部装置に接続される。このように、外管に対して脱着部材を脱着することで、第1流路の接続先を変更できる。また、脱着部材が外管から取外された状態では、第2流路は連通路との接続が解除されるので、任意の用途に使用することができる。
【0022】
一実施形態では、前記外管から前記脱着部材が取り外された状態で、前記第1開口部に、前記第1流路の気密試験を行う装置が接続される。
【0023】
脱着部材が外管に取り付けられた状態では、第1流路と第2流路が連通路を介して接続されている。一方、脱着部材が外管から取り外されると、第1流路は気密試験で使う装置に接続される。したがって、脱着部材を外管から取り外すことで、配管構造から他の配管を取り外す必要がなく、第1流路を気密試験で使う装置に接続することができる。これにより、容易に気密試験を行うことができる。このように、外管に対して脱着部材を脱着することで、第1流路の接続先を変更できる。また、脱着部材が外管から取外された状態では、第2流路は連通路との接続が解除されるので、任意の用途に使用することができる。
【0024】
本発明の他の態様は、
内管と、前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材とを備え、前記脱着部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する連通路を有する、配管構造の気密試験方法であって、
前記脱着部材を前記外管から取り外した後、
前記第1流路と前記連通路との接続箇所を介して前記第1流路に気体を供給して、前記第1流路に所定の圧力を付与し、
前記第1流路の圧力の変化を計測する
ことを含む、気密試験方法を提供する。
【0025】
この方法によれば、脱着部材を外管から取り外すことで、配管構造から他の配管を取り外す必要がなく、第1流路を気密試験で使う装置に接続することができる。これにより、容易に気密試験を行うことができる。言い換えれば、外管に対して脱着部材を脱着することで、第1流路の接続先を変更できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、容易に気密試験を行うことができる配管構造および配管構造の気密試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配管構造の模式図である。
図2図2は、図1の脱着部材周辺における配管構造の斜視図である。
図3図3は、図2において配管構造を切断して示した斜視図である
図4図4は、図1の脱着部材周辺における配管構造の縦断面図である。
図5図5は、気密試験時における図1の配管構造の模式図である。
図6図6は、気密試験時の仕切部材周辺における配管構造の縦断面図である。
図7図7は、上記実施形態の変形例に係る配管構造の模式図である。
図8図8は、気密試験時における図7の配管構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る配管構造および配管構造の気密試験方法を説明する。
【0029】
[配管構造]
図1は、本発明の一実施形態に係る配管構造1の模式図である。
【0030】
図1を参照すると、本実施形態の配管構造1は、エンジン2に気体燃料を供給するための配管構造である。
【0031】
配管構造1は、二重配管である。配管構造1は、内管10と、外管20とを備える。以下の説明において、内管10と外管20とが延びる方向を軸方向という場合がある。また、軸方向を中心とする仮想円の周方向を単に周方向という場合があり、軸方向を中心とする仮想円の径方向を単に径方向という場合がある。
【0032】
内管10は、円管状である。内管10には、気体燃料の供給源(図示せず)から気体燃料が供給される。内管10に供給された気体燃料は、内管10と連通した複数の分岐管10aを介してエンジン2に供給される。
【0033】
外管20は、内管10の外径よりも大きい内径を有する円管状であり、内管10と同軸に配置されている。これにより、外管20は、内管10との間に流路30を画定している。万が一、内管10から気体燃料が漏れたとき、気体燃料は、流路30を流れ、外管20の外部に漏れ出ないようになっている。また、流路30には、換気用の空気が流れており、内管10の内部から流路30に漏れ出た気体燃料は、換気用の空気によって流されて、配管構造1の外部に排出される。
【0034】
配管構造1は、第1端部1aと、軸方向において第1端部1aと反対側に位置する第2端部1bとを備える。
【0035】
配管構造1の第1端部1aには、空気管40が配置されている。空気管40には、空気の供給源(図示せず)から換気用の空気が供給される。空気管40の内部は、流路30(詳細には、後述する第1流路31)と連通している。空気管40に供給され、流路30に供給された空気は、流路30を流れて、配管構造1の第2端部1bから配管構造1の外部(具体的には、後述する第2外部配管4)に排出される。
【0036】
空気管40には、第1外部配管3が機械的に接続されている。第1外部配管3は、空気管40から取り外し可能である。第1外部配管3は、空気の供給源(図示せず)と空気管40とを流体的に接続している。本実施形態では、第1外部配管3は単管である。
【0037】
配管構造1の第2端部1bには、第2外部配管4が機械的に接続されている。第2外部配管4は、二重配管である。第2外部配管4の内管には、気体燃料の供給源(図示せず)から気体燃料が供給される。第2外部配管4の内管に供給された気体燃料は、内管10を介してエンジン2に供給される。
【0038】
本実施形態の配管構造1は、2つの伸縮継手50を備える。配管構造1は、各伸縮継手50によりそれぞれ連結された3つの区間を有する。言い換えれば、配管構造1は、2つの伸縮継手50により区分された3つの区間を有する。伸縮継手50をメンテナンスなどのために配管構造1から取り外した後、再度取り付けた場合に、配管構造1の気密試験を行う必要がある。
【0039】
配管構造1は、仕切部材60と、脱着部材70とを備える。図2は、配管構造1の脱着部材70周辺における斜視図である。図3は、図2において配管構造1を切断して示した斜視図である。図4は、配管構造1の脱着部材70周辺における縦断面図である。
【0040】
仕切部材60は、流路30を第1流路31と第2流路32とに仕切る。具体的には、仕切部材60は、流路30を、仕切部材60に対して第1端部1a側に位置する第1流路31と、仕切部材60に対して第2端部1b側に位置する第2流路32とに仕切る。本実施形態の仕切部材60は、第1端部1aよりも第2端部1bに近い位置に配置されている。言い換えれば、第1流路31は、第2流路32よりも長い。
【0041】
図2から図4を参照すると、仕切部材60は、リング状であり、内管10と同軸に配置されている。また、図3および図4に示すように、仕切部材60は、内管10と外管20との間に配置されている。
【0042】
外管20は、脱着部材70が取り付けられる第1取り付け部21および第2取り付け部22を備える。第1取り付け部21と第2取り付け部22とは、外管20の管状の本体から径方向外側に立ち上がるように設けられている。第1取り付け部21と第2取り付け部22とは、軸方向において仕切部材60を挟んで配置されている。具体的には、第1取り付け部21は、仕切部材60に対して軸方向における第1端部1a側に配置されており、第2取り付け部22は、仕切部材60に対して軸方向における第2端部1b側に配置されている。
【0043】
外管20は、第1流路31と連通する第1開口部20aと、第2流路32と連通する第2開口部20bとを備える。第1開口部20aと第2開口部20bとは、軸方向において仕切部材60を挟んで配置されている。具体的には、第1開口部20aは、仕切部材60に対して軸方向における第1端部1a側に配置されており、第2開口部20bは、仕切部材60に対して軸方向における第2端部1b側に配置されている。言い換えれば、第1開口部20aは、仕切部材60に対して軸方向における第1流路31側に形成されており、第2開口部20bは、仕切部材60に対して軸方向における第2流路32側に形成されている。本実施形態の第1開口部20aは、外管20の管状の本体と第1取り付け部21とを径方向に貫通する孔であり、本実施形態の第2開口部20bは、外管20の管状の本体と第2取り付け部22を径方向に貫通する孔である。
【0044】
脱着部材70は、略直方体のブロック状である。脱着部材70は、外管20に取り外し可能に取り付けられている。脱着部材70は、第1取り付け部21および第2取り付け部22にボルト71で締結されている。脱着部材70は、第1開口部20aと第2開口部20bとを連通する連通路72を有する。連通路72の一端は、第1開口部20aに接続されている。連通路72の他端は、第2開口部20bに接続されている。
【0045】
連通路72は、2つの貫通孔72a,72bを有する。2つの貫通孔72a,72bは、連通路72の一端部に形成され、第1開口部20aに接続された第1流路31側の貫通孔72aと、連通路72の他端部に形成され、第2開口部20bに接続された第2流路32側の貫通孔72bとを含む。連通路72は、第1流路31側の貫通孔72aと、第2流路32側の貫通孔72bと、軸方向沿って延びて第1流路31側の貫通孔72aと第1流路31側の貫通孔72aを接続する部分とを有する。
【0046】
図4に示すように、第1取り付け部21と脱着部材70との間には、シール部材80が配置されている。本実施形態のシール部材80は、Oリングである。シール部材80は、第1取り付け部21において脱着部材70に向き合う座面21aから窪み、第1開口部20aを取り囲むように配置された収容部21b内に配置されている。本実施形態では、第1取り付け部21の座面21aは、平面状である。第1取り付け部21の座面21aには、脱着部材70の第1取り付け部21への取り付けに使用される雌ねじ(図示せず)が配置されている。雌ねじは、脱着部材70と第1取り付け部21との締結に用いられるボルト71(図2に示す)の雄ねじ(図示せず)と嵌まり合う。
【0047】
第2取り付け部22と脱着部材70との間にはシール部材81が配置されている。シール部材81は、第2取り付け部22において脱着部材70に向き合う座面22aから窪み、第2開口部20bを取り囲むように配置された収容部22b内に配置されている。第2取り付け部22の座面22aは、平面状である。
【0048】
[配管構造の気密試験方法]
以下、図5および図6を参照して、本実施形態に係る配管構造1の気密試験方法を説明する。図5は、本実施形態に係る気密試験時の配管構造1の模式図である。図6は、気密試験時の仕切部材周辺における配管構造1の縦断面図である。
【0049】
まず、図5に示すように、脱着部材70(図1に示す)が外管20から取り外される。
【0050】
次に、第1取り付け部21に気密試験用のコック90が取り付けられる。コック90には圧力計91が取り付けられている。コック90は、気密試験用の気体供給源5に流体的に接続されている。コック90には、気体供給源5から圧縮空気が供給される。なお、第2取り付け部22は、第2流路32に異物が入らないように、テープなどにより養生されている。言い換えれば、第2開口部20bは、テープなどにより覆われている。本実施形態に係る気体供給源5は、本発明に係る外部装置の一例であり、本発明に係る気密試験を行う装置の一例である。
【0051】
図6に示すように、コック90は、閉止フランジ92を介して第1取り付け部21に取り付けられている。コック90は、閉止フランジ92に設けられた開口に嵌め合わされている。
【0052】
閉止フランジ92は、ボルト(図示せず)を用いて第1取り付け部21に締結される。脱着部材70と第1取り付け部21との締結のために座面21aに設けられた雌ねじは、閉止フランジ92と第1取り付け部21との締結にも利用することができる。すなわち、閉止フランジ92は、例えば、閉止フランジ92を座面21a上に配置した状態で、ボルト(図示せず)を座面21aに設けられた雌ねじに締め込むことで、第1取り付け部21に締結される。言い換えれば、第1取り付け部21に設けられた雌ねじは、脱着部材70の取り付けと、閉止フランジ92の取り付けとに共用できる。なお、本実施形態では、ボルトを用いて第1取り付け部21に脱着部材70または閉止フランジ92を取り付けている。しかし、ボルト止め以外の方法を用いて、第1流路31と第1開口部20aの密封状態を維持しつつ第1取り付け部21に脱着部材70または閉止フランジ92を取り付けてもよい。
【0053】
次に、図5に示すように、空気管40から第1外部配管3(図1に示す)が取り外される。その後、空気管40に閉止フランジ93が取り付けられる。これにより、空気管40の開口部が閉止フランジ93により閉じられ、第1流路31から気体が漏れないように密閉されている。
【0054】
次に、第1流路31と連通路72(図4に示す)との接続箇所を介して第1流路31に気体が供給されて、第1流路31に所定の圧力が付与される。具体的には、第1開口部20aを介して第1流路31に圧縮空気が供給されることで、第1流路31に所定の圧力が付与される。
【0055】
次に、第1流路31の圧力の変化が計測される。具体的には、コック90と気体供給源5との間の流体的な接続が遮断された後、第1流路31の圧力の変化が圧力計91により計測される。本実施形態では、コック90と気体供給源5との流体的な接続が遮断された後10分間の第1流路31の圧力降下を計測することで、配管構造1の気密性を確認する。
【0056】
[効果]
本実施形態の配管構造1によれば、脱着部材70を外管20に取り付けた状態では、連通路72によって第1流路31と第2流路32とを接続できる。他方、脱着部材70を外管20から取り外した状態では、第1流路31を例えば気密試験で使う装置(本実施形態では、気体供給源5)に接続できる。したがって、脱着部材70を外管20から取り外すことで、配管構造1から第2外部配管4を取り外す必要がなく、第1流路31を気密試験で使う装置に接続することができる。これにより、容易に気密試験を行うことができる。言い換えれば、外管20に対して脱着部材70を脱着することで、第1流路31の接続先を変更することができる。また、脱着部材70を外管20から取り外すことで、第2流路32と連通路72との接続が解除されるので、第2流路32を任意の用途に使用することができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1取り付け部21の座面21aは、脱着部材70の取り付けと、閉止フランジ92の取り付けとに共有できる。その結果、第1取り付け部21が脱着部材70の取り付けのための構造と閉止フランジ92の取り付けのための構造とを別個に備える場合と比較して、第1取り付け部21の構造を簡素にすることができる。
【0058】
本実施形態では、外管20は、第1流路31側の外管20に形成され、第1流路31と連通する第1開口部20aを有し、連通路72の一端が第1開口部20aに接続されている。この構成によれば、第1流路31と連通路72の一端とが第1開口部20aを介して接続される。これにより、仕切部材60に遮断された第1流路31内の流体を連通路72に案内することができる。他方で、仕切部材60に遮断された第2流路32から連通路72に導かれた流体を第1流路31に案内することができる。
【0059】
本実施形態では、第1開口部20aは、第1流路31側の外管20から立ち上がる第1取り付け部21を貫通する孔である。この構成によれば、第1取り付け部21を貫通する孔に連通路72の一端を接続するために、脱着部材70が第1取り付け部21を介して外管20に取り付けられる。これにより、第1取り付け部21は、第1開口部20aによって流路の一部を形成し、かつ外管20に取り付けられた脱着部材70を支持することができる。また、脱着部材70を外管20から取り外して第1流路31を例えば気密試験で使う装置(本実施形態では、気体供給源5)に接続するとき、第1取り付け部21を接続用の台座として使用することができる。
【0060】
本実施形態では、外管20は、第2流路32側の外管20に形成され、第2流路32と連通する第2開口部20bを有し、連通路72の他端が第2開口部20bに接続されている。この構成によれば、第2流路32と連通路72の他端とが第2開口部20bを介して接続される。これにより、仕切部材60に遮断された第1流路31から連通路72に導かれた流体を第2流路32に案内することができる。他方で、仕切部材60に遮断された第2流路32内の流体を連通路72に案内することができる。
【0061】
本実施形態では、第2開口部20bは、第2流路32側の外管20から立ち上がる第2取り付け部22を貫通する孔である。この構成によれば、第2取り付け部22を貫通する孔に連通路72の他端を接続するために、脱着部材70が第2取り付け部22を介して外管20に取り付けられる。これにより、第2取り付け部22は第2開口部20bによって流路の一部を形成し、かつ外管20に取り付けられた脱着部材70を支持することができる。また、脱着部材70を外管20から取り外すことで開放された第2流路32への異物の侵入を防止するために、第2取り付け部22をカバー(本実施形態では、テープ)で覆われる被覆部として使用することができる。
【0062】
本実施形態では、連通路72は、一端部に形成され、第1開口部20aに接続された第1流路31側の貫通孔72aと、他端部に形成され、第2開口部20bに接続された第2流路32側の貫通孔72bとを有する。この構成によれば、第1流路31側の貫通孔72aと第2流路32側の貫通孔72bと、これら2つの貫通孔72a,72bを接続する流路のみで連通路72を構成できる。これにより、脱着部材70の構造を簡単にでき、かつ設計の自由度を高めることができる。また、脱着部材70を外管20に取り付けるとき、第1流路31側の貫通孔を第1開口部20aに位置決めし、第2流路32側の貫通孔を第2開口部20bに位置決めするだけで、容易に取り付けることができる。
【0063】
本実施形態では、脱着部材70は第1取り付け部21と第2取り付け部22によって外管20に対して二箇所で支持されている、これにより、脱着部材70が外管20に取り付けられた状態における強度を確保することができる。
【0064】
本実施形態の配管構造1の気密試験方法によれば、脱着部材70を外管20から取り外すことで、配管構造1から第2外部配管4を取り外す必要がなく、第1流路31を気密試験で使う装置に接続することができる。これにより、容易に気密試験を行うことができる。言い換えれば、外管20に対して脱着部材70を脱着することで、第1流路31の接続先を変更することができる。
【0065】
(第2実施形態)
以下、図7および図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る配管構造101および配管構造101の気密試験方法を説明する。第2実施形態に係る配管構造101は、第2の仕切部材160および第2の脱着部材170を有している点を除いて、第1実施形態に係る配管構造1と概ね同じ構成を有している。第2実施形態において、第1実施形態と同一または類似の構成には、同一の参照符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。図7は、本実施形態の配管構造101の模式図である。図8は、気密試験時における図7の配管構造101の模式図である。
【0066】
図7を参照すると、配管構造101は、第2の仕切部材160と、第2の脱着部材170とを有する。第2の仕切部材160は、仕切部材60に対して第1端部1a側に配置されている。流路130は、仕切部材60と第2の仕切部材160により軸方向において第1流路131と第2流路132と第3流路133とに仕切られる。本変形例では、空気管40は、第3流路133と連通している。
【0067】
本変形例では、外管120は、第3取り付け部123と、第4取り付け部124とを備える。第3取り付け部123は、第1取り付け部21と同じ構成を有しており、その詳細な説明を省略する。第4取り付け部124は、第2取り付け部22と同じ構成を有しており、その詳細な説明を省略する。
【0068】
第3取り付け部123と第4取り付け部124とは、軸方向において第2の仕切部材160を挟んで配置されている。具体的には、第3取り付け部123は、第2の仕切部材160に対して軸方向における第2端部101b側に配置されており、第4取り付け部124は、第2の仕切部材160に対して軸方向における第1端部101a側に配置されている。
【0069】
外管120は、第1流路131と連通し、第3取り付け部123を径方向に貫通する孔である第3開口部120cと、第3流路133と連通し、第4取り付け部124を径方向に貫通する孔である第4開口部120dとを備える。
【0070】
第2の脱着部材170は、脱着部材70と同一の構成を有している。第2の脱着部材170は、第3取り付け部123と第4取り付け部124に取り付けられている。第2の脱着部材170は、第3開口部120cと第4開口部120dとを連通する第2の連通路172を備える。
【0071】
図8を参照すると、本実施形態の配管構造101の気密試験方法では、空気管40から第1外部配管3が取り外される代わりに第2の脱着部材170(図7に示す)が外管120から取り外される。その後、第3取り付け部123に閉止フランジ194が取り付けられる。これにより、第3取り付け部123に設けられた第3開口部120cが閉止フランジ194により閉じられ、第1流路131から気体が漏れないように密閉されている。なお、第4取り付け部124は、第3流路133に異物が入らないように、テープなどにより養生されている。言い換えれば、第4開口部120dは、テープなどにより覆われている。
【0072】
第2実施形態に係る配管構造101によれば、第1実施形態に係る配管構造1と同様の作用効果を奏する。
【0073】
本実施形態の配管構造101によれば、第2の脱着部材170を外管120に取り付けた状態では、第2の連通路172によって第1流路131と第3流路133とを接続できる。他方、第2の脱着部材170を外管120から取り外し、第3開口部120cを閉止フランジ194により閉じることで、第1流路131から気体が漏れないように密閉される。したがって、第2の脱着部材170を外管120から取り外すことで、配管構造101から第1外部配管3を取り外す必要がなく、第1流路131を気密試験のために密閉することができる。これにより、容易に気密試験を行うことができる。
【0074】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0075】
上記実施形態では配管構造1は二重配管であるが、本発明に係る配管構造は、これに限定されず、内管10と外管20とを備える他の配管構造であってもよい。本発明に係る内管および外管は、円筒状に限定されず、多角形断面を有する筒状または管状であってもよい。
【0076】
上記実施形態では仕切部材60はリング状であり、内管10と同軸に配置されているが、本発明に係る仕切部材は、これに限定されない。本発明に係る仕切部材の形状、材質、配置される位置、および姿勢は、限定されない。本発明に係る仕切部材は、流路30を、仕切部材に対して第1端部1a側に位置する第1流路31と、仕切部材に対して第2端部1b側に位置する第2流路32とに仕切る他の部材であってもよい。
【0077】
上記実施形態では脱着部材70は略直方体のブロック状であるが、本発明に係る脱着部材は、これに限定されず、他の形状であってもよい。また、上記実施形態では、脱着部材70は第1取り付け部21および第2取り付け部22にボルト71で締結されたが、脱着部材70を外管20に取り外し可能に取り付ける他の機構を採用してもよい。
【0078】
上記実施形態では連通路72は、2つの貫通孔72a,72bとこれらを接続する部分から形成されるが、本発明に係る連通路は、これに限定されず、他の形状に形成されてもよい。
【0079】
上記実施形態では、本発明に係る外部装置の一例として気密試験を行う装置を説明したが、これに限定されない。本発明に係る外部装置は、配管構造を洗浄、パージする装置であってもよいし、エンジンに給気、排気するための装置であってもよく、その他の装置であってもよい。
【0080】
上記実施形態では、シール部材80,81としてOリングを用いたが、これに限定されず、例えば紙パッキンなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 配管構造
1a 第1端部
1b 第2端部
2 エンジン
3 第1外部配管
4 第2外部配管
5 気体供給源
10 内管
10a 分岐管
20 外管
20a 第1開口部
20b 第2開口部
21 第1取り付け部
21a 座面
21b 収容部
22 第2取り付け部
22b 収容部
30 流路
31 第1流路
32 第2流路
40 空気管
50 伸縮継手
60 仕切部材
70 脱着部材
71 ボルト
72 連通路
80 シール部材
81 シール部材
90 コック
91 圧力計
92 閉止フランジ
93 閉止フランジ
101 配管構造
101a 第1端部
101b 第2端部
120 外管
120c 第3開口部
120d 第4開口部
123 第3取り付け部
124 第4取り付け部
130 流路
131 第1流路
132 第2流路
133 第3流路
160 第2の仕切部材
170 第2の脱着部材
172 第2の連通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管と、
前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、
前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、
前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材と
前記仕切部材に対して前記第1流路側において前記外管から径方向外側に立ち上がる第1取り付け部と、
前記仕切部材に対して前記第2流路側において前記外管から径方向外側に立ち上がる第2取り付け部と
を備え、
前記脱着部材は、前記第1流路と前記第2流路とを連通する連通路を有し、
前記脱着部材は、締結手段により前記第1取り付け部および前記第2取り付け部に取り外し可能に締結されている、配管構造。
【請求項2】
前記第1取り付け部と前記第2取り付け部とは、前記脱着部材に向き合う平面状の座面をそれぞれ有する、請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
内管と、
前記内管の外側に配置され、前記内管との間に流路を画定する外管と、
前記流路を第1流路と第2流路とに仕切る仕切部材と、
前記外管に取り外し可能に取り付けられた脱着部材と、
前記第1流路と連通する第1開口部を有し、前記仕切部材に対して前記第1流路側において前記外管から径方向外側に立ち上がり、前記脱着部材が取り付けられる第1取り付け部と、
前記第2流路と連通する第2開口部を有し、前記仕切部材に対して前記第2流路側において前記外管から径方向外側に立ち上がり、前記脱着部材が取り付けられる第2取り付け部と
を備え、
前記脱着部材は、前記第1開口部を介して前記第1流路と連通し、前記第2開口部を介して前記第2流路と連通する連通路を有する、配管構造。
【請求項4】
前記第1取り付け部と前記脱着部材との間には、前記第1取り付け部と前記脱着部材との間をシールする第1シール部材が配置され、
前記第2取り付け部と前記脱着部材との間には、前記第2取り付け部と前記脱着部材との間をシールする第2シール部材が配置されている、請求項1または3に記載の配管構造。