(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172498
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】脚付台及び土木構造体
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20241205BHJP
E02D 17/18 20060101ALI20241205BHJP
E02B 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E02D17/18 Z
E02B7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090256
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D044
2D063
【Fターム(参考)】
2D044CA00
2D063AA01
(57)【要約】
【課題】 上下方向の強度及び/又はクリープ耐性を向上させた土木構造体を構築できる脚付台及び当該脚付台を用いた土木構造体を提供する。
【解決手段】 台部と、前記台部から突起する脚部を有するプラスチック製の地中埋設型の土木構造体を構成する脚付台であって、前記脚部に外挿又は内挿されたプラスチック製の補強筒をさらに有する、脚付台とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台部と、
前記台部から突起する脚部を有するプラスチック製の地中埋設型の土木構造体を構成する脚付台であって、
前記脚部に外挿又は内挿されたプラスチック製の補強筒をさらに有する、脚付台。
【請求項2】
前記補強筒が中空部を有する、請求項1の脚付台。
【請求項3】
前記中空部にモルタルが充填されている、請求項2の脚付台。
【請求項4】
前記中空部が隔壁により複数の区画に仕切られている、請求項2の脚付台。
【請求項5】
前記複数の区画の一部にのみモルタルが充填されている、請求項4の脚付台。
【請求項6】
複数の請求項1~5のいずれかの脚付台を上下に積層した複数の柱が水平方向に間隔を空けて配置されている、地中埋設型の土木構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中埋設型の土木構造体(骨組構造体/空隙構造体)に好適に使用される脚付台及び脚付台を用いた土木構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
高空隙率のブロック(脚付台)を前後左右上下に多数積み上げた土木構造体を窪地に設置し、土で埋戻すことで、雨水の貯留空間を形成した貯水槽(又は、貯留浸透槽)が知られている(例えば、特許文献1)。土木構造体はダム構造や盛土等の形成にも利用可能である。脚付台の例は特許文献2,3に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-211316号公報
【特許文献2】特開平11-222886号公報
【特許文献3】特開2008-280775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の脚付台はプラスチック製であり、軽量化等のため脚部は中空の場合が多い。そのため、上下方向の強度不足の問題があった。また、プラスチック製のため、長期間の土圧等によりクリープ変形する問題があった。本発明は、上下方向の強度を向上させた脚付台、及び/又は、クリープ耐性に優れる脚付台、及び、これを用いた土木構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願には、
台部と、
前記台部から突起する脚部を有するプラスチック製の地中埋設型の土木構造体を構成する脚付台であって、
前記脚部に外挿又は内挿されたプラスチック製の補強筒をさらに有する、脚付台が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の1実施形態の土木構造体1を用いた貯水槽3を示す。
【
図3】(a)は脚付台10の断面図。(b)は脚付台10の下面図。(c)は補強筒20を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の1実施形態の土木構造体1を示す。防水シートで覆った窪地2に土木構造体1を設置し、土で埋め戻すことで雨水等の貯水槽3を形成できる。貯水槽3の上は、駐車場、道路、公園等として使用できる。土木構造体1を路面下や宅地下に設置して盛土として使用し、又は、ダム底に設置してダム構造を形成してもよい。土木構造体1の側部や上部に側壁4や天井5を設けてもよい。
【0008】
図2,3は、土木構造体1に使用される1実施形態の脚付台10を示す。脚付台10は、台部11と、台部11から突起する脚部12を有する。台部11は上面と下面を有するとよい。脚部12は台部11の上面から上方に延びるとよい。脚部12は中空部13を有するとよい。中空部13は下面開放で上面有底にするとよい。脚部12は中実でもよい。脚部12及び/又は中空部13は上方先細りの錐台形状がよい。高さ方向に断面積一定にするなど他の形状も可能である。断面形状は任意である。
【0009】
図3のように、脚付台10は、脚部12の中空部13に内挿された補強筒20をさらに有する。補強筒20は、中空部21を有するとよい。中空部21を隔壁22により複数の区画a,bに仕切るとよい。図では、中央の区画bの周囲に複数の区画aが配列された例を示す。脚部12及び/又は中空部13が錐台形状の場合、補強筒20は
図3(c)のような先細りの錐台形状とするとよい。
【0010】
脚付台10及び補強筒20はプラスチック製がよい。
【0011】
図4は、脚付台10を用いた土木構造体1を示す。土木構造体1は、対向積層した複数の脚付台10を有する複数の柱30を有する。柱30は水平面内に(マトリクス状に)配置するとよい。隣接する柱30を連結部材31等で連結することで水平方向を補強してもよい。連結部材31はプラスチックやコンクリート等で形成できる。
【0012】
上記実施形態の土木構造体1は、小型/軽量の脚付台10や補強筒20で構成されるため、人手による配列/積層で構築可能である。脚部12や補強筒20を中空にすると、一層軽量で取扱に優れる。脚部12を補強筒20で補強することで、上下方向の強度が向上する。隔壁22を設けることで強度は一層向上する。中空部21にモルタルを装填すれば強度はさらに向上し、クリープ耐性が向上する。区画a,bの一部のみ(例えば、区画aのみ/一部の区画aのみ/区画bのみ)にモルタルを入れるとよく、これにより、上下方向の強度やクリープ耐性と脚付台10の重量のバランスを設計できる。先細りの補強筒20の場合、モルタルを入れない区画(例えば、区画b)の先細り程度を大きくし、入れる区画(例えば、区画a)の先細り程度を小さくするとモルタルの入りが良くなる。
【0013】
上記実施形態では、1本脚の脚付台10を示したが、脚の数は任意である。例えば、
図5のような1本脚の脚付台10Aでもよい。
【0014】
上記実施形態に記載した土木構造体1や脚付台10,10A、あるいは、それらの要素の寸法、形状、配置、個数等は例示であり、他の態様も可能である。脚部12に補強筒20が内挿された例を示したが、脚部12に補強筒20を外挿してもよい。この場合、補強筒20に下面開放の中空部を設け、当該中空部に脚部12を挿入するとよく、あるいはさらに、脚部12と補強筒20の間にモルタルを充填してもよい。
【符号の説明】
【0015】
1・・・土木構造体
2・・・窪地
3・・・貯水槽
4・・・側壁
5・・・天井
10,10A・・・脚付台
11・・・台部
12・・・脚部
13・・・中空部
20・・・補強筒
21・・・中空部
22・・・隔壁
30・・・柱
31・・・連結部材