(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172503
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20241205BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B05B11/00 102Z
B05B11/00 102G
B05B11/10 102G
B05B11/10 102Z
B65D47/34 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090268
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】トリガー部に意図しない変形等が生じることを抑制することができ、良好な品質が確保されたトリガー式液体噴出器を提供すること。
【解決手段】容器体Aに装着される噴出器本体2と、噴出孔4が形成されたノズル部3とを備え、噴出器本体は、縦供給筒部10と、弾性部材52によって前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部61を有するトリガー機構60とを備え、トリガー部は、上方から下方に向かうに従い前方に傾斜するように延びるトリガー本体65と、トリガー本体に一体に形成され、上方から下方に向かうにしたがってトリガー本体の前面よりも前方に向けて突出した傾斜面を有する突出部100とを備え、突出部は、トリガー部に対して応力が作用する作用領域の前方に配置されているトリガー式液体噴出器1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、を備え、
前記噴出器本体は、
前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
弾性部材によって前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記トリガー部は、
上方から下方に向かうに従い前方に傾斜するように延びるトリガー本体と、
前記トリガー本体に一体に形成され、上方から下方に向かうにしたがって前記トリガー本体の前面よりも前方に向けて突出した傾斜面を有する突出部と、を備え、
前記突出部は、前記トリガー部に対して応力が作用する作用領域の前方に配置されていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記トリガー機構は、前記トリガー部の後方への移動に伴って主シリンダ内を加圧して、主シリンダ内の液体を前記縦供給筒部内に供給すると共に、前記トリガー部の前方に向けた復元移動に伴って前記主シリンダ内を減圧して、前記容器体内の液体を前記縦供給筒部内に吸い上げ、且つ前記主シリンダ内に導入する主ピストンを備え、
前記トリガー本体は、前記主ピストンの前方に配置され、
前記突出部は、前記トリガー本体の上端部に形成されていると共に、前記トリガー部のうち少なくとも前記弾性部材及び前記主ピストンからの応力が作用する作用領域の前方に配置されているトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記突出部は、前記トリガー本体の幅方向に間隔をあけて少なくとも3つ以上形成され、
3つ以上の前記突出部のうち、前記幅方向の外側に位置する2つの外側突出部の前記傾斜面は、傾斜勾配が同一とされ、
3つ以上の前記突出部のうち、2つの前記外側突出部よりも前記幅方向の内側に配置される少なくとも1つの前記突出部の前記傾斜面は、前記外側突出部の前記傾斜面に対して傾斜勾配が異なっている、トリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー部の操作によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。
この種のトリガー式液体噴出器として、例えば下記特許文献1に示されるように、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、を備えたトリガー式液体噴出器が知られている。
【0003】
噴出器本体は、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部から前方に向けて延びた射出筒部と、トリガー部の後方への移動によって、液体を縦供給筒部内から射出筒部内に導入させると共に、射出筒部内から噴出孔側に向けて射出させるトリガー機構と、を備えている。トリガー部は、射出筒部に組み合わされた弾性アーム部によって、前方に向けて付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のトリガー式液体噴出器では、トリガー部の上端部に、弾性アーム部からの前方に向けた応力(弾性付勢力)や、主ピストンからの前方に向けた応力等、各種の応力が作用し易い。そのため、トリガー部の上端部(支点部)付近に対して応力が局所的に集中し易く、トリガー部に意図しない変形等が生じるおそれがあった。
【0006】
特に、環境負荷低減の要望から、製品全体の合成樹脂量の低減化を図った場合、トリガー部自体が軽量化され、剛性が低下し易くなってしまう。さらに操作性を向上するために、トリガー部の全長を長くすることで、トリガー部を後方に向けて引き易く(回転操作し易く)した場合には、トリガー部の上端部付近に強い応力(回転モーメント)が作用し易くなってしまう。
従って、これらの場合には、トリガー部に意図しない変形等が生じてしまうといった課題が顕著に生じ易くなってしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、トリガー部に意図しない変形等が生じることを抑制することができ、良好な品質が確保されたトリガー式液体噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体に装着され、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部と、を備え、前記噴出器本体は、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、弾性部材によって前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記トリガー部は、上方から下方に向かうに従い前方に傾斜するように延びるトリガー本体と、前記トリガー本体に一体に形成され、上方から下方に向かうにしたがって前記トリガー本体の前面よりも前方に向けて突出した傾斜面を有する突出部と、を備え、前記突出部は、前記トリガー部に対して応力が作用する作用領域の前方に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、弾性部材による付勢力に抗してトリガー部を操作して後方に移動させることで、液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させることができ、噴出孔から外部に向けて液体を噴出させることができる。
また液体の噴出後、トリガー部の操作を解除すると、弾性部材の付勢力(弾性復元力)によってトリガー部を前方に向けて付勢して、該トリガー部を復元移動させることができる。これにより、容器体内の液体を縦供給筒部内に吸い上げることができ、次回の噴出に備えることができる。
【0010】
特に上述した液体噴出の過程において、トリガー部には、例えば付勢部材からの付勢力に起因する応力等が作用する。この場合であっても、トリガー本体には、上方から下方に向かうにしたがってトリガー本体の前面よりも前方に向けて突出した傾斜面を有する突出部が設けられている。しかも突出部は、トリガー部に対して応力が作用する作用領域の前方に配置されている。従って、トリガー部の操作時に、トリガー本体に対して応力が伝わったとしても、該応力を傾斜面の傾斜に沿って分散させることができ、応力が局所的(1か所)に集中して作用することを抑制することができる。
従って、トリガー部の全体に応力を分散させることができ、トリガー部に意図しない変形等が生じることを抑制することができる。さらに、例えば製品全体の合成樹脂量の低減化を図って、環境負荷の低減化を図ることや、トリガー部の全長を長くしてトリガー部の操作性を向上すること等も可能となる。
【0011】
(2)前記トリガー機構は、前記トリガー部の後方への移動に伴って主シリンダ内を加圧して、主シリンダ内の液体を前記縦供給筒部内に供給すると共に、前記トリガー部の前方に向けた復元移動に伴って前記主シリンダ内を減圧して、前記容器体内の液体を前記縦供給筒部内に吸い上げ、且つ前記主シリンダ内に導入する主ピストンを備え、前記トリガー本体は、前記主ピストンの前方に配置され、前記突出部は、前記トリガー本体の上端部に形成されていると共に、前記トリガー部のうち少なくとも前記弾性部材及び前記主ピストンからの応力が作用する作用領域の前方に配置されても良い。
【0012】
この場合には、弾性部材による付勢力に抗してトリガー部を操作して後方に移動させることで、主ピストンを利用して主シリンダ内を加圧することができ、主シリンダ内の液体を縦供給筒部内に供給することができる。これにより、液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させることができ、噴出孔から外部に向けて液体を噴出させることができる。また液体の噴出後、トリガー部を復元移動に連動させて、主ピストンを利用して主シリンダ内を減圧することができるので、容器体内の液体を縦供給筒部内に吸い上げて主シリンダ内に導入することができる。これにより、次回の噴出に備えることができる。
特に液体噴出の過程において、トリガー本体に対して付勢部材及び主ピストンから応力が伝わったとしても、該応力を傾斜面の傾斜に沿って分散させることができ、応力が局所的(1か所)に集中して作用することを抑制することができる。
【0013】
(3)前記突出部は、前記トリガー本体の幅方向に間隔をあけて少なくとも3つ以上形成され、3つ以上の前記突出部のうち、前記幅方向の外側に位置する2つの外側突出部の前記傾斜面は、傾斜勾配が同一とされ、3つ以上の前記突出部のうち、2つの前記外側突出部よりも前記幅方向の内側に配置される少なくとも1つの前記突出部の前記傾斜面は、前記外側突出部の前記傾斜面に対して傾斜勾配が異なっても良い。
【0014】
この場合には、トリガー本体の幅方向に間隔をあけて少なくとも3つ以上の突出部を有しているので、トリガー本体に対して付勢部材及び主ピストンから応力が伝わったとしても、該応力を3つ以上の突出部に分散させながら、各傾斜面の傾斜を利用して応力を効率良く分散させることができる。従って、トリガー部に意図しない変形等が生じることをさらに抑制することができる。
しかも、幅方向の最も外側に位置する2つの突出部(外側突出部)の傾斜面は、傾斜勾配が同一とされているので、全体のバランスを保つことができ、応力を安定して分散させ易い。そのうえで、2つの外側突出部よりも幅方向の内側に位置する少なくとも1つの突出部の傾斜面については、外側突出部の傾斜面に対して傾斜勾配を異ならせている。そのため、応力の分散の仕方を異ならせることができ、トリガー部全体として見たときに、応力の集中箇所をさらに分散させることができる。従って、トリガー部に意図しない変形等が生じることを、より一層効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トリガー部に意図しない変形等が生じることを抑制することができ、良好な品質が確保されたトリガー式液体噴出器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示すトリガー式液体噴出器の斜視図である。
【
図3】
図2に示すトリガー部の上端部周辺を拡大した斜視図である。
【
図4】
図1に示すトリガー部における突出部と弾性アーム部との関係を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、トリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられた噴出容器を例にして説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部3と、噴出器本体2及びノズル部3を覆うカバー体5と、を備えている。
なお、
図2では、カバー体5の図示を省略している。さらに、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0019】
(噴出器本体)
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、射出筒部20と、装着キャップ30と、蓄圧部材40と、閉塞部材50と、トリガー機構60と、ボール弁70とを主に備えている。
【0020】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。さらに、上下方向から見た平面視において、軸線O1に交差する一方向を前後方向L1といい、上下方向及び前後方向L1の双方向に直交する方向を左右方向L2という。
さらに本実施形態では、射出筒部20の中心軸線を軸線O2とする。本実施形態において軸線O2は、前後方向L1に延びている。従って、本実施形態において前後方向L1は、射出筒部20の中心軸線に沿う軸方向に相当する。ただし、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向L1と一致していなくても良い。
【0021】
(縦供給筒部)
図1に示すように、縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の液体を吸い上げる機能を有する。縦供給筒部10は、外筒11及び外筒11内に嵌合された内筒12を主に備えている。
【0022】
外筒11は、内側に内筒12が嵌合される筒部11aと、筒部11aの上方に配設され、且つ筒部11aよりも縮径した接続筒部11bと、筒部11aの上端部と接続筒部11bの下端部とを連結する天壁部11cと、を備えている。
【0023】
内筒12は、上下方向に延びるように形成され、軸線O1と同軸に配置された状態で筒部11aの内側に嵌合されている。これにより、内筒12は、外筒11に対して一体に組み合わされている。内筒12は、容器体Aの口部の上端開口縁上にパッキンを介して配置されるフランジ部12aを有している。さらに内筒12の内側には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ13の上部が嵌合されている。
【0024】
上述のように構成された縦供給筒部10は、内筒12のフランジ部12aを上方から押さえ付ける装着キャップ30によって容器体Aの口部に装着(螺着)されている。
【0025】
(射出筒部)
縦供給筒部10の上方には、射出筒部20が配置されている。
射出筒部20は、縦供給筒部10における接続筒部11bの上端部に接続され、軸線O2を中心として前方に向けて延びるように形成されている。射出筒部20は、前壁を有し、且つ後方が開放された筒状に形成されている。射出筒部20の前壁には、該前壁を前後方向L1に貫通する連通孔が形成されている。この連通孔の内側が、前方に向けて開口する射出開口部21とされている。また射出筒部20の内部は、接続筒部11b内に連通している。
さらに射出筒部20の後端部には、軸線O2と同軸に配置された後筒部22が形成されている。なお、後筒部22は、射出筒部20を構成する一部である。
【0026】
上述のように構成された射出筒部20には、後筒部22を後方から閉塞する閉塞部材50が装着されている。これにより、射出筒部20の全体は、閉塞部材50によって内部が閉塞されている。
【0027】
(蓄圧部材)
蓄圧部材40は、射出筒部20内に前後動可能に配設されると共に、射出筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断する。蓄圧部材40は、前後方向L1に延びる棒状に形成され、射出筒部20の内周面に対して前後方向L1に当接することで、射出筒部20内を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断する。蓄圧部材40が、射出筒部20内の圧力上昇時に後方移動することで、射出筒部20内を通じて縦供給筒部10内と噴出孔4とが連通する。
【0028】
(中継部材)
射出筒部20には、射出筒部20とノズル部3との間を接続する中継部材80が装着されている。
図1及び
図2に示すように、中継部材80は、射出筒部20に対して前方から装着されている。中継部材80は、射出筒部20の射出開口部21よりも前方側に位置すると共に、射出開口部21に対して対向配置された対向壁部81と、対向壁部81から後方に向けて延びると共に射出筒部20に外嵌された第1中継筒部82と、対向壁部81から前方に向けて延びる第2中継筒部83と、第2中継筒部83の内側に位置し、且つ対向壁部81から前方に向けて延びるガイド軸84と、を備えている。
【0029】
第2中継筒部83及びガイド軸84は、射出筒部20の軸線O2に対して下方に偏心した軸線O3を中心に配置されている。対向壁部81のうち、ガイド軸84の上方に位置し、且つ第2中継筒部83の内側に位置する部分には、射出筒部20の射出開口部21に連通する連通孔85が形成されている。これにより、第2中継筒部83の内部は、連通孔85及び射出開口部21を通じて射出筒部20の内部に連通している。
ガイド軸84の外周面には、前後方向L1に延びる図示しない第1切換溝が形成されている。第1切換溝は、軸線O3回りに間隔をあけて複数形成されている。
【0030】
さらに対向壁部81のうち第2中継筒部83を挟んで左右方向L2の両側に位置する部分には、
図2に示すように、後方に向けて延びる一対のレバー支持壁87が形成されている。レバー支持壁87は、第2中継筒部83との間に隙間をあけて配置されている。
【0031】
(トリガー機構)
図1及び
図2に示すように、トリガー機構60は、トリガー部61と、主シリンダ62と、主ピストン63とを備えている。トリガー機構60は、トリガー部61の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から射出筒部20内を通じて噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
【0032】
主シリンダ62は、シリンダ用筒部15内に嵌合されている。主シリンダ62は、前方に開口する有底筒状に形成されている。主シリンダ62内は、縦供給筒部10における外筒11内のうち内筒12よりも上方に位置する部分に連通している。
【0033】
主ピストン63は、主シリンダ62内に前後方向L1に移動可能に配置されている。主ピストン63は、トリガー部61の揺動に連動して前後方向L1に移動可能とされている。これにより、主シリンダ62の内部は、主ピストン63の前後方向L1の移動に伴って加圧及び減圧される。なお、主ピストン63は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
主ピストン63は、トリガー部61と共に、後述する弾性アーム部52による付勢力によって前方に付勢されている。主ピストン63は、トリガー部61の後方への揺動に伴って後方に移動して主シリンダ62内に押し込まれる。
なお、主ピストン63は、トリガー部61が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。
【0034】
トリガー部61は、トリガー本体65と、支持片66とを備え、主ピストン63の前方に前後動可能に配置されている。
トリガー本体65は、主ピストン63の前方を上方から下方に向かうに従い前方に傾斜するように延びている。トリガー本体65は、噴出操作を行うにあたって把持操作される部分であり、例えば人差し指等が前方から引っ掛けられる。
トリガー本体65には、主ピストン63の前端部が揺動可能に連結される連結軸67が形成されている。これにより、主ピストン63は、トリガー部61の前後動に伴って前後移動する。
【0035】
図2及び
図3に示すように、支持片66は、トリガー本体65の上端部から上方に向けて突出するように形成されていると共に、左右方向L2に間隔をあけて一対設けられている。なお、
図3ではノズル部3及び中継部材80の図示を省略している。
一対の支持片66は、中継部材80に形成された一対のレバー支持壁87に、左右方向L2に沿う軸線O4回りに回動可能にそれぞれ組み合わされている。これにより、トリガー部61は、一対の支持片66を支点にして軸線O4回りに回動操作可能とされている。
【0036】
上述のように構成されたトリガー本体65については、後に詳細に説明する。
【0037】
(ボール弁)
図1に示すように、ボール弁70は、縦供給筒部10における内筒12の内側に設けられている。
ボール弁70は、内筒12の上端部の内側に配置されていると共に、内筒12の内周面から内側に向けて突出した環状のテーパ筒71に対して離反可能に着座している。ボール弁70は、主シリンダ62内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ62内との連通を遮断すると共に、主シリンダ62内の減圧時に上方に向けて移動し、テーパ筒71から離反することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ62内との連通を許容する逆止弁とされている。
【0038】
図示の例では、外筒11における天壁部11cの下面には、下方に向けて突出する複数の弾性突起72が形成されている。弾性突起72は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。ボール弁70が、テーパ筒71から上方に離反したときに、複数の弾性突起72を径方向の外側に向けて弾性変形させながら、複数の弾性突起72で囲まれた空間を拡げる。これにより、ボール弁70は上方への移動量が規制される。
【0039】
(閉塞部材)
図1及び
図2に示すように、閉塞部材50は、射出筒部20の後筒部22に対して後方からが組み合わされている。これにより、閉塞部材50は、射出筒部20の内側に蓄圧部材40を閉じ込めた状態で、射出筒部20を後方から閉塞している。
閉塞部材50は、蓄圧部材40に対して後方から接触して、射出開口部21を閉塞した状態に蓄圧部材40を位置決めする弾性片51と、トリガー部61を前方に向けて付勢する一対の弾性アーム部(本発明に係る弾性部材)52とを少なくとも備えている。
【0040】
閉塞部材50について、詳細に説明する。
閉塞部材50は、射出筒部20における後筒部22の後方開口端に対して後方から接触する閉塞壁53と、閉塞壁53から前方に向かって延びると共に、後筒部22の内側に嵌合される嵌合筒54と、を備えている。なお、嵌合筒54は、後方への抜け止めがされた状態で後筒部22の内側に嵌合されている。
【0041】
閉塞壁53には、後方移動した蓄圧部材40を前方に向けて付勢する弾性片51が設けられている。弾性片51は、射出筒部20内の圧力上昇に起因して弾性変形することで、蓄圧部材40の後方への移動を許容すると共に、射出筒部20内の圧力低下に伴って弾性復元変形によって蓄圧部材40を前方に向けて付勢する。
本実施形態では、弾性片51は、射出筒部20内の圧力が所定値に達するまでは射出開口部21を通じた液体の流通を遮断するように蓄圧部材40を位置決めし、射出筒部20内の圧力が所定値以上となったときに弾性変形して、射出開口部21と縦供給筒部10内とを連通させる。
【0042】
図2~
図4に示すように、一対の弾性アーム部52は、射出筒部20を挟んで左右方向L2の両側に配置されている。一対の弾性アーム部52は、左右方向L2から見た側面視において、上方に向けて突の円弧状となるように弾性変形した状態で、前端部(下端部)がトリガー部61に対して後方から接触している。これにより、弾性アーム部52は、トリガー部61を前方に向けて付勢している。
なお、弾性アーム部52は、トリガー部61が後方移動したときに、はじめて弾性変形してトリガー部61を前方に付勢してもよい。
【0043】
なお、弾性片51及び弾性アーム部52を有する閉塞部材50の全体は、合成樹脂製で一体に形成されている。合成樹脂としては、例えばポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリアセタール(POM)、またはポリケトン(POK)等が挙げられる。
さらには、閉塞部材50の全体は、結晶性の高いポリエステル樹脂である共重合成分を含まないポリエチレンテレフタレート(PET)、いわゆるホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)によって形成されても構わない。
【0044】
(ノズル部)
図1及び
図2に示すように、ノズル部3は、第2中継筒部83に装着されている。これにより、ノズル部3は、中継部材80を介して噴出器本体2に装着されている。
ノズル部3は、中継部材80の対向壁部81よりも前方に配設され、噴出孔4が形成されたノズル壁部90と、ノズル壁部90から後方に向けて延びると共に、第2中継筒部83に対して前方から外嵌された外嵌筒部91と、を備えている。なお、第2中継筒部83内は、連通孔85を通じて射出筒部20内に連通可能とされている。
なお、外嵌筒部91は、第2中継筒部83に対して前方に抜け止めがされた状態で軸線O3回りに回転可能に装着されている。これにより、ノズル部3は、軸線O3回りに回転可能に中継部材80に組み合わされている。
【0045】
さらにノズル壁部90のうち外嵌筒部91の内側に位置する部分には、ガイド軸84に対して回転可能に外嵌する内筒部92が後方に向けて突設されている。内筒部92の内周面には、前後方向L1に沿って延びる図示しない第2切換溝が形成されている。
【0046】
ガイド軸84に形成された第1切換溝と、内筒部92に形成された第2切換溝とは、軸線O3を中心としたノズル部3の所定の回転位置で連通し、それ以外の回転位置で非連通状態となる。第1切換溝と第2切換溝とが連通することで、噴出孔4と第2中継筒部83内とが連通する。従って、ノズル部3は、軸線O3回りの回転に伴って、噴出孔4からの液体の噴出を許容する噴出許容状態と、噴出が規制される噴出規制状態との切り換えを行うことが可能とされている。
【0047】
(カバー体)
図1に示すように、カバー体5は、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体及び射出筒部20の全体を、少なくとも左右方向L2の両側及び上方から覆うように形成されている。
【0048】
(トリガー本体)
次に、トリガー部61を構成するトリガー本体65について詳細に説明する。
図1~
図4に示すように、トリガー本体65には、トリガー本体65の前面よりも前方に向けて、側面視V字状に突出した突出部100が一体に形成されている。
突出部100は、トリガー本体65の上端部に形成されていると共に、弾性アーム部52の下端部及び主ピストン63よりも前方に位置するように形成されている。従って、突出部100は、トリガー部61のうち少なくとも弾性アーム部52及び主ピストン63からの応力が作用する作用領域の前方に配置されている。突出部100は、例えばトリガー本体65の下端部よりも、トリガー本体65の幅方向(左右方向L2)に幅広となるように形成されている。
【0049】
トリガー本体65の上端部には、該トリガー本体65を前後方向L1に貫通する貫通孔101が形成されている。貫通孔101は、左右方向L2よりも上下方向に長い縦長に形成され、左右方向L2に間隔をあけて一対形成されている。これにより、突出部100は、トリガー本体65の幅方向に間隔をあけて3つ(複数)形成されている。
3つの突出部100のうち、左右方向L2の両側に位置する2つの突出部100は、第1突出部(外側突出部)110及び第2突出部(外側突出部)120とされている。3つの突出部100のうち、第1突出部110及び第2突出部120よりも左右方向L2の内側に位置する突出部100は、第3突出部130とされている。
【0050】
第1突出部110及び第2突出部120は、一対の支持片66よりも下方に配置されていると共に、一対の支持片66よりも左右方向L2の外側に配置されている。第3突出部130は、一対の支持片66よりも下方に配置されていると共に、一対の支持片66よりも左右方向L2に内側に配置されている。具体的には、第3突出部130は、射出筒部20の下方に配置されている。
【0051】
図3に示すように、第1突出部110は、上方から下方に向かうにしたがって前方に傾斜するように延びた第1傾斜面(本発明に係る傾斜面)111と、第1傾斜面111の下端部から下方に向かうにしたがって後方に傾斜するように延びた第2傾斜面112と、を備えている。これにより、第1傾斜面111と第2傾斜面112との連結部分が、前方に向けて最も突出した頂上部とされている。
第2突出部120は、第1突出部110と同様に、上方から下方に向かうにしたがって前方に傾斜するように延びた第1傾斜面(本発明に係る傾斜面)121と、第1傾斜面121の下端部から下方に向かうにしたがって後方に傾斜するように延びた第2傾斜面122と、を備えている。これにより、第1傾斜面121と第2傾斜面122との連結部分が、前方に向けて最も突出した頂上部とされている。
【0052】
第3突出部130は、第1突出部110及び第2突出部120と同様に、上方から下方に向かうにしたがって前方に傾斜するように延びた第1傾斜面(本発明に係る傾斜面)131と、第1傾斜面131の下端部から下方に向かうにしたがって後方に傾斜するように延びた第2傾斜面132と、を備えている。これにより、第1傾斜面131と第2傾斜面132との連結部分が、前方に向けて最も突出した頂上部とされている。
【0053】
第1突出部110、第2突出部120、第3突出部130は、それぞれの頂上部が上下方向に同じ位置に配置されることで、左右方向L2に一列に並ぶように配置されている。また、第1突出部110の第1傾斜面111、及び第2突出部120の第1傾斜面121は、互いに同一の傾斜勾配とされていると共に、第3突出部130の第1傾斜面131よりも上方に向けて延びている。
これに対して、第3突出部130の第1傾斜面131は、第1突出部110の第1傾斜面111、及び第2突出部120の第1傾斜面121に対して傾斜勾配が異なっている。図示の例では、第3突出部130の第1傾斜面131は、第1突出部110の第1傾斜面111、及び第2突出部120の第1傾斜面121よりも、傾斜が緩くなるような傾斜勾配とされている。
【0054】
上述のように本実施形態では、3つの突出部100のうち、左右方向L2の外側に位置する2つの外側突出部(第1突出部110及び第2突出部120)の第1傾斜面111、121は、傾斜勾配が同一とされている。そのうえで、2つの外側突出部(第1突出部110及び第2突出部120)よりも左右方向L2の内側に配置される突出部(第3突出部130)の第1傾斜面131は、第1傾斜面111、121に対して傾斜勾配が異なっている。
なお、第1突出部110、第2突出部120、第3突出部130の各第2傾斜面112、122、132は、傾斜勾配が同等とされていると共に、貫通孔101よりも下側で一体に繋がっている。
【0055】
特に、第1突出部110及び第2突出部120は、上方及び後方に向けて開口するように形成されている。
図3及び
図4に示すように第1突出部110は、第1傾斜面111及び第2傾斜面112を有する前壁部113と、前壁部113に連設され、左右方向L2に間隔をあけて配置された一対の側壁部114と、を備えている。これにより、前壁部113と一対の側壁部114とで囲まれた部分は、上方及び後方に開口した収容空間とされている。
弾性アーム部52の下端部は、この収容空間内に収容された状態で、前壁部113の後面に対して後方から接触している。なお、前壁部113の後面は、第1傾斜面111及び第2傾斜面112に対応して傾斜している。これにより、前壁部113は、一定の厚みで形成されている。
【0056】
第2突出部120は、第1突出部110と同様に、第1傾斜面121及び第2傾斜面122を有する前壁部123と、前壁部123に連設され、左右方向L2に間隔をあけて配置された一対の側壁部124と、を備えている。従って、弾性アーム部52の下端部は、第2突出部120の収容空間内に収容された状態で、前壁部123の後面に対して後方から接触している。
【0057】
従って、弾性アーム部52は、第1突出部110及び第2突出部120を介して、トリガー部61を前方に向けて付勢している。これにより、第1突出部110及び第2突出部120を含む突出部100には、弾性アーム部52からの応力が作用する。
さらに第1突出部110の側壁部114及び第2突出部120の側壁部114には、主ピストン63の前端部が揺動可能に連結される連結軸67が形成されている(
図4参照)。これにより、第1突出部110及び第2突出部120を含む突出部100には、主ピストン63からの応力が作用する。
【0058】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、
図1に示すトリガー部61の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0059】
トリガー部61を弾性アーム部52による付勢に抗して、
図1に示す矢印Fの如く、後方に引くように操作すると、主ピストン63が最前方位置から後方に移動し、主シリンダ62内が加圧される。これにより、主シリンダ62内の液体を、縦供給筒部10内に供給することができると共に、ボール弁70を下方に押下げて、テーパ筒71に対して押し付ける。
【0060】
これにより、縦供給筒部10内に供給した液体を、接続筒部11b内を通じて、射出筒部20内に供給することができる。この際、蓄圧部材40によって射出開口部21と縦供給筒部10内との連通が遮断されているので、射出筒部20内の圧力を上昇させることができる。
【0061】
そして、射出筒部20内の圧力が所定値を超えると、弾性片51が弾性変形するので、蓄圧部材40を弾性片51の付勢に抗して後方に移動させることができる。そのため、射出開口部21と縦供給筒部10とを連通させることができる。従って、圧力が高まった液体を、射出開口部21を通じて射出筒部20から第2中継筒部83内に向けて勢い良く射出させることができると共に、噴出孔4から外部に向けて噴出させることができる。
【0062】
なお、液体の噴出後、トリガー部61を解放すると、主シリンダ62内から縦供給筒部10内を通じた射出筒部20内への液体の供給を停止することができる。これにより、射出筒部20内の圧力が低下するので、弾性片51が弾性復元変形する。そのため、弾性片51によって蓄圧部材40を前方に向けて復元移動させることができる。そのため、
図1に示すように射出開口部21と縦供給筒部10内との連通を再び遮断することができる。
【0063】
さらに、弾性アーム部52の弾性復元力によってトリガー部61を前方に向けて付勢して、該トリガー部61を復元移動させることができる。そのため、トリガー部61に連動させて、主ピストン63を主シリンダ62内で前方に向けて復元移動させることができる。従って、主シリンダ62内を減圧させて、容器体A内の圧力よりも低い圧力にすることができるので、ボール弁70を上昇させてテーパ筒71から離反させることができる。
従って、容器体A内の液体を、縦供給筒部10内に吸い上げ、主シリンダ62内に導入することができる。これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部61を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができる。特に、蓄圧部材40を具備しているので、噴出孔4から噴出される液体の圧力を安定させることができ、液体を所期した態様(例えば霧状等)で噴出することができる。
【0065】
特に上述した液体噴出の過程において、トリガー部61を操作した際、トリガー部61には、少なくとも弾性アーム部52からの付勢力に起因する応力や主ピストン63からの応力が作用する。
この点、トリガー本体65には、
図2~
図4に示すように、上方から下方に向かうにしたがってトリガー本体65の前面よりも前方に向けて突出した第1傾斜面111、121、131を有する突出部100(第1突出部110、第2突出部120、第3突出部130)が設けられている。しかも突出部100は、少なくとも弾性アーム部52及び主ピストン63からの応力が作用する作用領域の前方に配置されている。従って、トリガー部61の操作時に、トリガー本体65に対して弾性アーム部52及び主ピストン63から応力が伝わったとしても、該応力を第1傾斜面111、121、131(第2傾斜面112、122、132も同様)の傾斜に沿って分散させることができ、応力が局所的(1か所)に集中して作用することを抑制することができる。
【0066】
従って、トリガー部61の全体に応力を分散させることができ、トリガー部61に意図しない変形等が生じることを抑制することができる。さらに、例えば製品全体の合成樹脂量の低減化を図って、環境負荷の低減化を図ることや、トリガー部61の全長を長くしてトリガー部61の操作性を向上すること等も可能となる。
【0067】
以上のことから、本実施形態によれば、トリガー部61に意図しない変形等が生じることを抑制することができ、良好な品質が確保されたトリガー式液体噴出器1とすることができる。
【0068】
さらに本実施形態では、トリガー本体65の幅方向に間隔をあけて3つの突出部100(第1突出部110、第2突出部120、第3突出部130)を有しているので、トリガー本体65に対して弾性アーム部52及び主ピストン63から応力が伝わったとしても、該応力を3つの突出部100に分散させながら、各第1傾斜面111、121、131の傾斜を利用して応力を効率良く分散させることができる。従って、トリガー部61に意図しない変形等が生じることをさらに抑制することができる。
【0069】
しかも、トリガー本体65の幅方向の最も外側に位置する2つの外側突出部(第1突出部110及び第2突出部120)の第1傾斜面111、121は、傾斜勾配が同一とされているので、突出部100全体のバランスを保つことができ、応力を安定して分散させ易い。そのうえで、2つの外側突出部(第1突出部110及び第2突出部120)よりも幅方向の内側に位置する突出部(第3突出部130)の第1傾斜面131については、第1突出部110及び第2突出部120の第1傾斜面111、121に対して傾斜勾配を異ならせている。そのため、応力の分散の仕方を異ならせることができ、トリガー部61を全体として見たときに、応力の集中箇所をさらに分散させることができる。従って、トリガー部61に意図しない変形等が生じることを、より一層効果的に抑制することができる。
【0070】
さらにトリガー本体65の前面よりも前方に向けて側面視V字状に突出した第1突出部110及び第2突出部120の内部空間を利用して、弾性アーム部52の下端部を収容しているので、弾性アーム部52の下端部を位置ずれすることなく、十分な収容スペースを利用して収容することができる。従って、未使用時における弾性アーム部52の撓み量を減らすことができ、弾性アーム部52の耐久性の向上化を図ることができる。
【0071】
さらに、閉塞部材50と弾性アーム部52とが一体に形成されているため、1つのユニットとして取り扱うことができる。従って、部品点数の削減化を図ることができるうえ、低コスト化にも繋げることができる。さらに、弾性アーム部52を射出筒部20の外側に配置することができるので、弾性アーム部52と液体とが直接的に接触することを抑制することができる。従って、液体の付着による弾性アーム部52の強度低下等がさらに生じ難い。
【0072】
さらに本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、蓄圧部材40が射出筒部20内に設けられている。
従って、蓄圧部材40をノズル部3内に設けた従来の場合に比べて、ノズル部3を小型化することができるうえ、構造を簡略化することができ、例えばノズル部3の前後方向L1、左右方向L2、上下方向へのかさ張り等を容易に抑えることができる。従って、トリガー式液体噴出器1全体の小型化を図ることができる。
さらに、蓄圧部材40を射出筒部20内に設けることで、ノズル部3の構造の自由度を高めることができる。従って、トリガー式液体噴出器1として、例えば本実施形態のように、ノズル部3の回転に伴って、噴出孔4からの噴出が許容された噴出許容状態と、噴出が規制された噴出規制状態を切換える構成等を容易に採用することができる。
【0073】
さらに、蓄圧部材40が射出筒部20内に設けられているため、部品点数を増加させずに射出筒部20の内容積を減少させることができる。これにより、トリガー部61を操作した際、射出筒部20内の液体の圧力を速やかに上昇させることができ、プライミング回数を抑えることができる。
さらに射出筒部20内に空気が残存し難くなるので、空気の残存によって生じる噴出量のばらつきや、噴出孔4からの液だれ等を抑制することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0075】
例えば上記実施形態では、蓄圧部材40を射出筒部20内の全長に亘って設けた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば射出筒部20内の前後方向L1における一部分にのみ蓄圧部材40を配置しても構わない。
【0076】
さらに上記実施形態では、液体を噴出孔4から前方に向けて噴出するトリガー式液体噴出器1について説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば上向きや左向き等、前方以外の方向に向けて液体を噴出するトリガー式液体噴出器1としても構わない。
【0077】
さらに上記実施形態では、左右方向L2に間隔をあけて3つの突出部(第1突出部110、第2突出部120、第3突出部130)を設けた場合を例に挙げたが、突出部100の数は3つに限定されるものではなく、少なくとも3つ以上であれば良い。従って、突出部100の数としては、例えば左右方向L2に間隔をあけて4つ形成しても構わないし、5つ、或いは5つ以上形成しても構わない。これらの場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
【0078】
さらに左右方向L2に間隔をあけて3つ以上の突出部100を設けた場合であっても、左右方向L2の最も外側に位置する2つの外側突出部の傾斜面(第1傾斜面)については、傾斜勾配を同一とする。そのうえで、3つ以上の突出部100のうち、2つの外側突出部よりも内側に配置される少なくとも1つの突出部100の傾斜面(第1傾斜面)については、外側突出部の傾斜面に対して傾斜勾配を異ならせれば良い。
【0079】
この場合、例えば4つの突出部100を設けた場合、2つの外側突出部の傾斜面(第1傾斜面)については、傾斜勾配を同一とし、且つ、内側に位置する2つの突出部のうちの少なくとも1つの突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配を、外側突出部の傾斜面(第1傾斜面)と異ならせても良い。さらに、この場合において、内側に位置する2つの突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配についは、互いに同一であっても構わないし、それぞれ異ならせても構わない。
【0080】
さらに例えば5つの突出部100を設けた場合、左右方向L2の最も内側に位置する突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配のみが他と異なっていても構わない。或いは、左右方向L2の最も内側に位置する突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配を、2つの外側突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配と同一とし、且つ、外側から2番目に位置する2つの突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配を、2つの外側突出部の傾斜面(第1傾斜面)の傾斜勾配と異ならせても構わない。
【符号の説明】
【0081】
A…容器体
1…トリガー式液体噴出器
2…噴出器本体
3…ノズル部
4…噴出孔
10…縦供給筒部
52…弾性アーム部(弾性部材)
60…トリガー機構
61…トリガー部
62…主シリンダ
63…主ピストン
65…トリガー本体
100…突出部
110…第1突出部(突出部、外側突出部)
111…第1突出部の第1傾斜面(傾斜面)
120…第2突出部(突出部、外側突出部)
121…第2突出部の第1傾斜面(傾斜面)
130…第3突出部(突出部)
131…第3突出部の第1傾斜面(傾斜面)