IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-有機発光素子 図1
  • 特開-有機発光素子 図2
  • 特開-有機発光素子 図3
  • 特開-有機発光素子 図4
  • 特開-有機発光素子 図5
  • 特開-有機発光素子 図6
  • 特開-有機発光素子 図7
  • 特開-有機発光素子 図8
  • 特開-有機発光素子 図9
  • 特開-有機発光素子 図10
  • 特開-有機発光素子 図11
  • 特開-有機発光素子 図12
  • 特開-有機発光素子 図13
  • 特開-有機発光素子 図14
  • 特開-有機発光素子 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172508
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/814 20230101AFI20241205BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 59/60 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 50/813 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 59/95 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20241205BHJP
   H10K 71/60 20230101ALI20241205BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20241205BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241205BHJP
   F21S 43/145 20180101ALI20241205BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241205BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241205BHJP
【FI】
H10K50/814
H10K59/35
H10K50/10
H10K59/38
H10K59/60
H10K50/813
H10K50/858
H10K59/95
H10K59/122
H10K71/60
G02B3/00 A
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
G09F9/30 349A
G09F9/30 330
G09F9/30 349Z
F21S43/145
F21W103:00
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090274
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】石津谷 幸司
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB04
3K107BB08
3K107CC11
3K107DD22
3K107DD25
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD90
3K107EE21
3K107EE22
3K107EE63
3K107EE68
3K107FF15
5C094AA23
5C094BA27
5C094CA24
5C094DA15
5C094EA04
5C094EA06
5C094ED01
5C094ED03
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB12
5C094FB15
5C094HA05
5C094HA08
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】 下部電極の電圧降下を低減した有機発光素子を提供する。
【解決手段】 第1の面を有する基板と、第1の面上に導電層と、絶縁層と、第1電極と、有機化合物層と、第2電極と、をこの順に有する有機発光素子であって、導電層は凹部を有し、凹部の少なくとも一部において、第1電極と導電層とが電気的に接続されることを特徴とする有機発光素子。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する基板と、前記第1の面上に導電層と、絶縁層と、第1電極と、有機化合物層と、第2電極と、をこの順に有する有機発光素子であって、
前記導電層は凹部を有し、
前記凹部の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが電気的に接続されることを特徴とする有機発光素子。
【請求項2】
前記凹部の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが直接接続されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記凹部の側面の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが直接接続されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記凹部において、前記導電層は連続して形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記第1電極は透明電極であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記導電層は、第1導電層と第2導電層とを有し、
前記第2導電層が前記第1導電層よりも前記第1電極側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記凹部が前記第1導電層に設けられることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記第1電極が前記第2導電層と直接接続されることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記第1電極は前記第1導電層と直接接続していないことを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記第2導電層が、前記第1導電層および前記絶縁層と重畳する部分を有することを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機発光素子は、それぞれ異なる波長の光を発する第1の素子と第2の素子とを有し、
前記有機発光素子は、前記導電層と前記第1電極の間に絶縁層を有し、
前記第1の素子が有する前記絶縁層を第1絶縁層、前記第2の素子が有する前記絶縁層を第2絶縁層としたとき、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記第1の面に垂直な前記第1絶縁層の高さと、前記第1の面に垂直な前記第2絶縁層の高さは、それぞれ異なることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機発光素子は、前記第1の素子と前記第2の素子と異なる波長の光を発する第3の素子を更に有し、
前記有機発光素子は、前記導電層と前記第1電極の間に絶縁層を有し、
前記第3の素子が有する前記絶縁層を第3絶縁層としたとき、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記第1の面に垂直な前記第1絶縁層の高さと、前記第1の面に垂直な前記第2絶縁層の高さと、前記第1の面に垂直な前記第3絶縁層の高さはそれぞれ異なることを特徴とする請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記第1電極は、前記有機化合物層に接する第1領域と、前記基板から離れる方向に傾斜し、前記第1領域と接する第2領域と、前記第2領域よりも前記基板に対する傾斜が小さく、前記第2領域と接する第3領域と、前記第3領域よりも前記基板に対する傾斜が大きく、前記基板から離れる方向に傾斜し、前記第3領域と接する第4領域と、を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記有機発光素子は、前記第2電極上にカラーフィルタまたは光学部材を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機発光素子は、前記第2電極上にカラーフィルタを有し、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記カラーフィルタの前記第1の面に平行な幅のうち最も長い幅を前記カラーフィルタの幅とし、前記第1電極のうち前記有機化合物層と電気的に接続されている領域を発光部とし、前記発光部の前記第1の面に平行な幅のうち最も長い幅を前記発光部の幅としたとき、
前記カラーフィルタの幅の中点と前記発光部の幅の中点とが、第1距離で離れていることを特徴とする請求項14に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記有機発光素子は、前記第2電極上に光学部材を有し、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記第1電極のうち前記有機化合物層と電気的に接続されている領域を発光部とし、前記発光部の前記第1の面に平行な幅のうち最も長い幅を前記発光部の幅としたとき、
前記光学部材の頂点と前記発光部の幅の中点とが、第1距離で離れていることを特徴とする請求項14に記載の有機発光素子。
【請求項17】
前記有機発光素子は、前記第2電極上に光学部材を有し、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記光学部材の外縁が極小値となる点または極大値となる点を光学部材の端部としたとき、
前記光学部材の端部を結んだ線分の中点と前記光学部材の頂点とが、第1距離で離れていることを特徴とする請求項14に記載の有機発光素子。
【請求項18】
光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子が前記表示部であることを特徴とする光電変換装置。
【請求項19】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部を有することを特徴とする電子機器。
【請求項21】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が設けられた筐体と、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項22】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
【請求項23】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部の光を集光する光学系と、前記表示部の動作を制御する制御装置と、を有することを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項24】
感光体と、前記感光体を露光する露光光源と、を有し、
前記露光光源は、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(以下、「有機EL素子」または「有機デバイス」とも称する)は、一対の電極と、一対の電極間に発光層を含む有機化合物層とを有する発光素子である。有機発光素子の特長としては、低駆動電圧、多様な発光波長、高速応答性、発光デバイスの薄型化・軽量化が可能であることが挙げられる。有機発光素子は、これらの特長を生かし、薄型ディスプレイ、照明器具、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などへ用いられている。
【0003】
ところで、有機発光素子の発光層と反射膜の光学距離を最適化することで、有機発光素子の高輝度化や消費電力の低減が可能であることが知られている。
【0004】
特許文献1には、下部電極と反射電極との間に絶縁層が配されるとき、下部電極と反射電極とが反射電極の端部において接続することで、下部電極に所定の電位が印加される有機発光素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-121604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に記載の有機発光素子は、下部電極と反射電極との接続部が、発光部と離れて設けられるため、下部電極の電圧降下によって下部電極と反射電極とで電位差が生じ、下部電極と反射電極との間に配される絶縁層の信頼性が低下することがある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされるものであり、その目的は、下部電極の電圧降下を低減した有機発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る有機発光素子は、第1の面を有する基板と、前記第1の面上に導電層と、絶縁層と、第1電極と、有機化合物層と、第2電極と、をこの順に有する有機発光デバイスであって、前記導電層は凹部を有し、前記凹部の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが電気的に接続されることを特徴とする有機発光素子である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下部電極の電圧降下を低減した有機発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明に係る第1実施形態の有機発光素子の平面図である。(b)本発明に係る第1実施形態の有機発光素子の断面図である。(c)本発明に係る第1実施形態の有機発光素子の断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の有機発光素子の作製フローを示した図である。
図3】本発明に係る第2実施形態の有機発光素子の断面図である。
図4】本発明に係る第3実施形態の有機発光素子の断面図である。
図5】本発明に係る第4実施形態の有機発光素子の断面図である。
図6】本発明に係る第5実施形態の有機発光素子の断面図である。
図7】本発明に係る第6実施形態の有機発光素子の断面図である。
図8】本発明に係る第7実施形態の有機発光素子の断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。
図10】(a)本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。
図11】(a)本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図である。
図12】(a)本発明の一実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図である。
図13】(a)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例を示す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例で、撮像装置を有する形態を示す模式図である。
図14】(a)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を表す模式図である。(b)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の露光光源の一例を表す模式図である。(c)本発明の一実施形態に係る画像形成装置の露光光源の一例を表す模式図である。
図15】従来の有機発光素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
また、本願明細書において、基板「上」や基板の「下」は、基板に対して導電層が配される側を「上」、その逆を「下」と表現する。また、基板「上」に導電層が配される、と記載した場合、基板と導電層は必ずしも接している必要はない。
【0013】
また、本明細書において、複数の有機発光素子のうち発光色を特定した有機発光素子を指す場合は、有機発光素子100「r」のように参照番号の後に添え字し、いずれであってもよい場合は、単に有機発光素子「100」と示す。他の構成要素についても同様である。
【0014】
(第1実施形態)
図1を参照しながら、第1実施形態の有機発光素子100について説明する。図1(a)は、本発明における第1実施形態の平面図である。図1(b)は、図1(a)のA-A’間の断面図である。図1(c)は、第1実施形態の変形例である。
【0015】
本発明に係る有機発光素子は、基板1が有する第1の面上に、導電層11、絶縁層12、第1電極2、有機化合物層3、第2電極4と、をこの順に有する。
【0016】
基板1は、導電層11、絶縁層12、第1電極2、有機化合物層3、および第2電極4を支持できる材料で形成される。具体的には、シリコン基板等の半導体基板や樹脂基板であってよい。基板1には、トランジスタ等のスイッチング素子(不図示)や、配線層21や、層間絶縁膜22などが形成されていてもよい。
【0017】
導電層11は、第1電極2に電流を供給する役割を担う。導電層11には、直接電源が接続されていてもよく、配線層21を介して電源が接続されていてもよく、トランジスタ(不図示)を介して電源から電流を供給してもよい。また、導電層11は、有機化合物層3から発せられた光を反射して、第2電極4の方向に出射する反射層としても機能してよい。
【0018】
そのため、導電層11は導電材料で構成され、光の反射率が80%以上のものであることが好ましい。具体的には、Al、Ag、Pt、Ni、Tiなどの金属材料や、当該金属材料にSi、Cu、Ni、Nd、Tiなどを添加した合金や、TiNなど金属化合物で構成されることが好ましい。また、導電層11は単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0019】
第1電極2は、有機化合物層3から基板1に向けて発せられた光を透過できるものであれば特に限定されないが、発光効率の観点から透明電極であることが好ましい。具体的には、酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などの導電酸化物材料や、AlやAg、Ptなどの金属や合金、金属酸化物などの導電材料からなる薄膜が挙げられる。
【0020】
有機化合物層3は、第1電極2上に配されており、蒸着法、スピンコート法、インクジェット法などの公知の手法によって形成することができる。有機化合物層3は、少なくとも発光層を有している。発光層は少なくとも1つの発光材料を有しており、例えば、青色発光材料や緑色発光材料、赤色発光材料が挙げられる。発光材料は、蛍光材料であってもよく、遅延蛍光材料であってもよく、燐光材料であってもよい。発光材料は、1つの発光層に1種類の発光材料を有していてもよいし、1つの発光層に2種類以上の発光材料を有していてもよい。
【0021】
また、有機化合物層3は、単層であってもよく、複数層であってもよい。有機化合物層3が複数の発光層を有する場合、それぞれの発光層は隣接して積層されていてもよく、他の層を介して設けられていてもよい。有機化合物層3が発光層以外の層を有する場合、当該他の層は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層などが挙げられる。
【0022】
第2電極4は、有機化合物層3上に配されており、有機化合物層3で発した光の少なくとも一部を透過できる材料である。具体的には、ITOやIZOなどの透明導電酸化物材料、AlやAgやAuなどの金属や、LiやCsなどのアルカリ金属、MgやCaやBaなどのアルカリ土類金属、これらの金属を含んだ合金材料の薄膜からなる半透過反射性材料が挙げられる。特に、第2電極4は、Ag、または、MgとAgとからなる合金であることが好ましい。また、第2電極4は、光を透過することができるのであれば、単層であっても複数層であってもよい。
【0023】
本実施形態において、第1電極2が陰極、第2電極4が陽極であってもよく、第1電極2が陽極、第2電極4が陰極であってもよい。陽極から正孔(ホール)が注入され、陰極から電子が注入される。これらが有機化合物層内、特に、有機化合物層3内で再結合することで、有機発光素子100は発光する。
【0024】
絶縁層12は、導電層11と第1電極2の間に配されている。絶縁層12は、光を透過できる材料であることが好ましい。具体的には、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはシリコン酸化物などの無機材料や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料が挙げられる。絶縁層12は、スパッタリング法や化学気相堆積法(CVD法)など公知の手法を用いて形成することができる。
【0025】
また、絶縁層12は、有機化合物層3で発せられた光を効率よく取り出すことができるように、絶縁層12の膜厚が調整されていてもよい。ここで、膜厚とは、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1の面に垂直な方向に対する層の厚さである。絶縁層12の膜厚を変えることで、複数の有機発光素子の各々の発光効率や色純度を調整することが可能となる。
【0026】
特に、本実施形態に係る有機発光素子は、有機化合物層3から発せられた光の一部が導電層11によって反射される。有機化合物層3が発する光と当該反射光が干渉し、強め合う場合、本実施形態に係る有機発光素子は、光共振器構造を有するといえる。具体的には、有機化合物層3が第2電極4に向けて発した光と、有機化合物層3から発せられた光のうち、導電層11によって反射された光が、有機化合物層3で互いに干渉することで強め合う。そのため、光共振器構造を有する有機発光素子は、発光効率と色純度に優れた有機発光素子である。
【0027】
本実施形態に係る有機発光素子が有機発光素子100rと有機発光素子100gとを有する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1の面に垂直な絶縁層12rの高さと絶縁層12gの高さは互いに異なってよい。また、本実施形態に係る有機発光素子が有機発光素子100bを更に有する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1の面に垂直な絶縁層12rの高さと絶縁層12gと絶縁層12bの高さは互いに異なってよい。
【0028】
また、本実施形態に係る有機発光素子は、第1電極2の上に絶縁体部5を、第2電極4の上に封止膜6、平坦化層7、カラーフィルタ層8、および光学部材9の少なくとも1つを更に有していてもよい。
【0029】
絶縁体部5は、第1電極2の少なくとも端部を覆い、隣接する有機発光素子が有する第1電極と絶縁する役割を担う。絶縁体部5は、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはシリコン酸化物など無機材料や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などのような有機材料で形成されてよい。絶縁体5は、スパッタリング法や化学気相堆積法(CVD法)など公知の手法を用いて形成することができる。
【0030】
封止層6は、第2電極4の上に配されてよく、空気や水分の浸入から有機発光素子を保護する役割を担う。封止層6を形成する材料は特に限定されないが、透光性を有し、かつ、外部からの酸素や水分の浸入を抑制できる材料であることが好ましい。具体的には、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物などの無機材料や、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などのような有機材料が挙げられる。
【0031】
封止層6は、化学気相堆積法(CVD法)、原子層堆積法(ALD法)、スパッタリング法などの公知の手法を用いて形成することができる。
【0032】
封止層6は、上記の機能を有するのであれば、単層であっても複数層であってもよい。特に、封止層6が複数層である場合は、無機材料のみ、または、有機材料のみの積層構造であってもよく、無機材料と有機材料との積層構造であってもよい。また、封止層6は、複数の有機発光素子にまたがって形成されてもよい。
【0033】
平坦化層7は、封止膜6の上に形成されてもよい。平坦化層7は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。平坦化層7を形成する材料は特に限定されないが、平坦化層7は無機材料または有機材料で構成されてよく、有機材料で形成される場合は、低分子であっても、高分子であってもよい。
【0034】
平坦化層7は、スピンコート法、ディップコート法、スリットコート法、ブレードコート法などのウエットプロセスで形成されることが好ましい。ウエットプロセスで行なうことにより平坦化層7の光出射側の面を平坦にすることが容易となる。ウエットプロセスで形成された平坦化層7は、形成後に加熱やUV照射などによって硬化させることが好ましい。また、平坦化層7は、複数の有機発光素子にまたがって形成されてもよい。
【0035】
カラーフィルタ層8は、有機発光素子1の光出射側に設けられてよく、平坦化層7上に設けられることが好ましい。本実施形態に係る有機発光素子が複数の有機発光素子で構成される場合、有機発光素子100rが有するカラーフィルタ層8rと有機発光素子100gが有するカラーフィルタ層8gは、それぞれ透過する光の波長が異なっていてもよく、同じであってもよい。当該有機発光素子が有機発光素子100bを更に有する場合、有機発光素子100bが有するカラーフィルタ層8bは、カラーフィルタ層8rおよび8gが透過する光の波長と異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0036】
カラーフィルタ層8は、平坦化層7等の下地の上にカラーレジストを塗布した後、それをリソグラフィによってパターニングすることによって形成されてよい。カラーレジストは、例えば、光硬化性樹脂で構成され、紫外線等が照射された部位を硬化させることによりパターンを形成する。
【0037】
光学部材9は、有機発光素子100の光出射側に設けられてよく、カラーフィルタ層8の上もしくは下に設けられてよい。光学部材9はレンズであってよく、その形状は特に限定されず、有機化合物層3に向かって凸形状、または、有機化合物層3とは反対の方向に向かって凸形状であってよい。光学部材9がレンズであるとき、マイクロレンズと称することもある。マイクロレンズは、球面マイクロレンズであってもよく、非球面マイクロレンズであってもよく、非対称マイクロレンズであってもよい。
【0038】
光学部材9は光透過性を有する材料で構成される。具体的には、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの有機材料や、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、またはシリコン酸化物など無機材料によって構成される。
【0039】
光学部材9が有機化合物層3とは反対の方向に向かって凸形状である場合、光学部材9の光出射側には光学部材9を構成する材料よりも屈折率が低い材料が配される。特に、空気や窒素等の気体、シリカエアロゲルなどの屈折率が低い材料、または真空状態が好ましい。また、光学部材9が有機化合物層3に対して凸形状である場合、光出射側にはレンズを構成する材料よりも屈折率が高い材料が形成される。
【0040】
本実施形態に係る有機発光素子は、有機発光素子100r、100g、および100bをそれぞれ副画素とみなし、複数の副画素によって形成される画素を1つの主画素とみなすことができる。副画素の画素配列は、例えば、ストライプ配列、デルタ配列、ベイヤー配列であってよい。特に、デルタ配列は、円状のレンズを表示平面内に配置しやすいため、好ましい。また、主画素を表示平面内に複数設けることにより、高精細の表示装置を得ることができる。
【0041】
続いて、本発明の第1実施形態に係る有機発光素子について、詳細に説明する。
【0042】
本発明に係る有機発光素子は、導電層11が凹部110を有し、凹部110の上に絶縁層12と第1電極2とが配されている。このとき、凹部110の少なくとも一部において、第1電極2と導電層11とが電気的に接続される。ここで、第1電極2と導電層11とが電気的に接続されるとは、第1電極2と導電層11とが他の層を介して接続する形態や、第1電極2と導電層11とが直接接して接続する形態を含む。また、導電層11は、凹部110において連続的に形成されていてよい。
【0043】
本願明細書において、導電層11が有する凹部110は、凹部110の底面である第1面111と、第1面に対して傾斜している第2面112とを有する。第1面111と第2面112とが成す角は、鋭角であってよく、鈍角であってよく、直角であってもよい。製造の観点から、第1面111と第2面112とが成す角は、直角または鈍角であってよい。
【0044】
このとき、本発明に係る有機発光素子は、第1電極2と導電層11とが、凹部110が有する第2面で電気的に接続していてもよい。また、第1の面に対する平面視において、凹部110の第1面111のうち、絶縁体部5と重畳する位置で第1電極2と導電層11とが電気的に接続していてもよい。製造の観点から、第1電極2と導電層11とが、凹部110が有する第2面112で電気的に接続することが好ましい。
【0045】
ここで、従来の有機発光素子と本発明に係る有機発光素子の違いについて、図1図15を用いて説明する。図15は、従来の有機発光素子の断面図を表す図である。従来の有機発光素子は、導電層11と第1電極2との間に絶縁層12が配されるとき、凹部110の外側、具体的には導電層11の端部において、第1電極2が導電層11と接していた。そのため、発光部からより離れた位置で、第1電極2と導電層11とが接続していた。このような構成を有するため、従来の有機発光素子は、第1電極2と導電層11とが接続する接続部周辺における第1電極2の電圧と、発光部における第1電極2の電圧に差が生じることがあった。換言すると、発光部における第1電極2の電圧と導電層11の電圧に差が生じることがあった。その結果、第1電極2の電圧と導電層11の電圧の差によって、絶縁層12の信頼性が低下することがあった。具体的には、絶縁層12が絶縁破壊されることがあった。
【0046】
それに対して本発明に係る有機発光素子は、凹部の少なくとも一部において、第1電極2と導電層11とが電気的に接続される構成を有する。そのため、従来の有機発光素子と比較して、第1電極2と導電層11の接続部が発光部により近い位置に配される。その結果、本発明に係る有機発光素子は、第1電極2の電圧降下を低減することができるため、第1電極2の電圧と導電層11の電圧の差による絶縁層12の破断を低減することができる。
【0047】
次に、第1実施形態に係る有機発光素子の変形例について説明する。本実施形態に係る有機発光素子が、複数の有機発光素子を有するとき、全ての有機発光素子が本発明に係る有機発光素子の構造を有する必要はない。例えば、図1(c)に示したように、複数の有機発光素子が、第1の素子と第2の素子とを有するとき、第1の素子が本発明に係る有機発光素子の構成を有し、第2の素子は凹部110とは異なる位置で、第1電極2と導電層11とが接してもよい。具体的には、光学干渉距離が最も小さい色を発光する有機発光素子のみが、本発明に係る有機発光素子の構造を有していてもよく、光学干渉距離が最も長い色を発光する有機発光素子以外が、本発明に係る有機発光素子の構造を有していてもよい。なぜなら、光学干渉距離が短い有機発光素子ほど、第1電極2と導電層11との間に配される絶縁層12の膜厚が薄くなり、第1電極2の電圧降下による影響を受けやすいためである。
【0048】
より具体的には、1つの主画素が赤画素、青画素、緑画素の3つの副画素からなるとき、青色画素のみが本発明に係る有機発光素子の構成を有してもよく、青画素と緑画素が本発明に係る有機発光素子の構成を有してよい。同様に、1つの主画素がシアン画素と黄色画素の2つの副画素からなるとき、シアン画素のみが本発明に係る有機発光素子の構成を有してよい。
【0049】
図1(b)および図1(c)では、第1電極2は第1の素子と第2の素子とで分離した形態となっているが、その形態に限られるものではない。第1電極2は第1の素子と第2の素子とで連続していてもよい。また、第1の素子が有する導電層11および第2の素子が有する導電層11は、いずれも凹部110を有する形態となっているが、その形態に限られるものではない。第1の素子が有する導電層11が凹部110を有し、第2の素子が有する導電層11は凹部110を有さなくてもよい。
【0050】
また、従来の有機発光素子は、導電層11と第1電極2との間に絶縁層12が配されるとき、凹部110の外側、具体的には導電層11の端部において、第1電極2は導電層11と接していた。第1電極2と導電層11とが接する接続部の面積は、第1電極2の膜厚によって決まっていたため、小さくなる傾向があった。その結果、第1電極2と導電層11との接続部での抵抗が高くなり、従来の有機発光素子は駆動電圧が上昇しやすい傾向があった。
【0051】
一方、図1に示したように、本実施形態に係る有機発光素子は、凹部110の少なくとも一部で第1電極2と導電層11とが電気的に接続される。そのため、第1電極2と導電層11とが接する接続部の面積が、従来の有機発光素子よりも大きくなる。その結果、本実施形態に係る有機発光素子は駆動電圧を低減することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る有機発光素子は、凹部110の深さによって、第1電極2と導電層11とが接する面積を調整することができる。凹部110の深さとは、凹部110の上面と底面の間の高さである。そのため、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1電極2と導電層11とが接する接続部の幅が、第1電極2の最も厚い膜厚よりも大きいことが好ましい。その結果、本実施形態に係る有機発光素子は、駆動電圧をより低減することができる。
【0053】
また、従来の有機発光素子は、凹部110の外側において、第1電極2と導電層11とが接する構造である。そのため、凹部110の外側で第1電極2と導電層11とが接する幅(面積)の分だけ、発光面積が小さくなる。
【0054】
ここで、発光面積は、平面視において絶縁体部5によって規定される形状(発光部)の面積であってよい。有機発光素子が絶縁体部5を有さないときは、凹部110によって規定される形状(発光部)の面積であってよい。
【0055】
また、本実施形態に係る有機発光素子は、凹部110内で第1電極2と導電層11とが接するため、凹部110の外側で第1電極2と導電層11とが接する接続部を設けなくてよい分、発光面積が大きくなる。
【0056】
ここで、発光面積の違いが有機発光素子の特性に及ぼす効果について説明する。有機発光素子の発光面積が大きい場合、発光面積が小さい場合と比較して、所望の輝度を得るために必要な電流密度が小さくなる。そのため、発光面積が大きい有機発光素子は、発光面積が小さい有機発光素子に比べて輝度劣化に対する耐久性に優れる。したがって、本実施形態に係る有機発光素子は、輝度劣化比に対する耐久性にも優れた有機発光素子である。
【0057】
次に、図2を用いて、本実施形態に係る有機発光素子の製造方法を説明する。
【0058】
まず、図2(a)に示すように、基板1の第1の面上に、配線層21等を有する層間絶縁層22を形成する。層間絶縁層22は、プラズマCVD法や高密度プラズマ法、または、これらの製法を組み合わせることにより形成されてよい。成膜後、層間絶縁層22は、CMP法によって平坦化処理されてもよい。その後、層間絶縁層22の所定の位置に、開口が形成される。所定の位置は、配線層21に重畳する位置であってよい。フォトリソグラフィ法やドライエッチング法等によって、開口は形成されてよい。形成された開口に配線23が形成される。CMP法やエッチバック法によって、余分な部分が除去されていてもよい。
【0059】
次に、図2(b)に示すように、層間絶縁層22の上に、導電層11が形成される。導電層11はスパッタリング法によって形成されてよい。導電層11を成膜後、導電層110をフォトリソグラフィ法、ドライエッチング法、またはウエットエッチング法により、所定の形状にパターニングする。そうすることで、配線23に接続された導電層11を形成できる。
【0060】
次に、図2(c)に示すように、導電層11上に絶縁膜を成膜して、絶縁層12を形成する。絶縁層12は、プラズマCVD法によって成膜されてよい。
【0061】
次に、図2(d)に示すように、導電層11に凹部110が形成される。凹部110は、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法によって形成されてよい。凹部110の端部の形状は特に限定されないが、テーパー形状を有することが好ましい。
【0062】
次に、図2(e)に示すように、導電層11および絶縁層12上に絶縁層12を更に成膜する。絶縁層12の成膜方法は、上述した方法と同様である。
【0063】
次に、図2(f)に示すように、絶縁層12をフォトリソグラフィ法またはドライエッチング法によって除去する。その際、凹部110の底面の少なくとも一部に絶縁層12が残るように条件を設定することが好ましい。
【0064】
次に、図2(g)に示すように、第1電極2を成膜し、フォトリソグラフィ法やドライエッチング法等を用いて、パターン形成を行う。
【0065】
最後に、第1電極2上に有機化合物層3以降の各層を、公知の手法で形成することで、有機発光素子100が得られる。
【0066】
上述した製造方法により、凹部110の少なくとも一部において、第1電極2と導電層11とが電気的に接続された有機発光素子を得ることができる。
【0067】
(第2実施形態)
図3を参照しながら、第2実施形態の有機発光素子について説明する。図3は、本実施形態に係る有機発光素子の断面図である。本実施形態に係る有機発光素子は、導電層11が第1導電層11aと、第1導電層11a上に第2導電層11bを有する点で、第1実施形態と異なる。具体的には、第1導電層11aは反射層、第2導電層11bは反射防止層であってよい。
【0068】
第1導電層11aはAlまたは、AlとCuの合金材料から構成されてよい。具体的には、Alに0.2~1.0重量%のCuを含んだものであってよい。第2導電層11bはTiNから構成されてよい。
【0069】
本実施形態に係る有機発光素子は、凹部110が第1導電層11aに設けられる。凹部110において、第1電極2が第1導電層11aと電気的に、または、直接接続される。また、第1導電層11bは、第1電極2と直接接続されていてよい。
【0070】
本実施形態に係る有機発光素子は、発光部の外周において第2導電層11bが配されるため、第2導電層11bが反射防止層であるとき、隣接する画素からの光が副画素間における導電層11上で反射して迷光として出射することを抑制できる。そのため、本実施形態に係る有機発光素子は、より色純度に優れた有機発光素子である。
【0071】
本実施形態に係る有機発光素子は、導電層11として第1導電層11aと第2導電層11bをこの順に形成し、第1導電層11aの一部と第2導電層11bをエッチングすることで得ることができる。
【0072】
(第3実施形態)
図4を参照しながら、第3実施形態の有機発光素子について説明する。図4(a)および図4(b)は、本実施形態に係る有機発光素子の断面図である。第3実施形態は、導電層11が第1導電層11aと、第1導電層11a上に第2導電層11bを有する点と、第1電極2と第1導電層11aの間に絶縁層12が配されている点で異なる。また、第1の面に対する平面視において、図4(a)は、第2導電層11bが第1導電層11aおよび絶縁層12に重畳する部分を有し、図4(b)は、第2導電層11bが第1導電層11aのみと重畳する部分を有する。図4(a)は、第1導電層11aに対して、第2導電層11bが凹部110側に庇状の構造を形成しているともいえる。
【0073】
本実施形態において、第1導電層11aはAlなど酸化しやすい金属、第2導電層11bは反射防止層であってよく、第1電極はITOやIZOなどの導電酸化物材料であってよい。このとき、第1導電層11aと第1電極2とが直接接する場合、第1電極2によって第1導電層11aが酸化されることが懸念される。
【0074】
そこで本実施形態に係る有機発光素子は、凹部110の第2面112のうち第1導電層11aの部分を覆うように絶縁層12が設けられており、第1電極2と第2導電層11bとが直接接する。そのため、第1電極2と第1導電層11aは、絶縁層12を介して配されるため、第1電極2による第1導電層11aの酸化を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る有機発光素子は、第1導電層11aと第1電極2とが直接接していないことが好ましい。その結果、本実施形態に係る有機発光素子は、より効率的に光学干渉を起こすことができるため、発光効率に優れる。また、第1電極2による第1導電層11aの酸化を抑制できるため、第1電極2と第1導電層11aの間の電位差による絶縁層の絶縁破壊をより低減できる。
【0075】
本実施形態に係る有機発光素子は、導電層11として第1導電層11aと第2導電層11bをこの順に形成し、第1導電層11aの一部と第2導電層11bをエッチングすることで得ることができる。このとき、第1導電層11aの材料の種類に合わせて、エッチング条件を設定することで、図4(a)のように第2導電層11bが庇状となるように形成できる。同様に、図4(b)のように第1導電層11aの側面と第2導電層11bの側面が同一面上に配されるようにも形成できる。
【0076】
(第4実施形態)
図5を参照しながら、第4実施形態の有機発光素子について説明する。図5(a)および図5(b)は、第4実施形態の有機発光素子の断面図である。第4実施形態は、第1電極2が段差構造を有する点で、第1実施形態と異なる。また、図5(a)は導電層11が1層からなり、図5(b)は導電層11が第1導電層11aと第2導電層11bとからなる。
【0077】
第1実施形態において、凹部110の第1面111が第1の面により近い場合、第1電極2が薄膜化しやすくなる。具体的には、凹部110の第1面111が第1の面に近い時、凹部110の端部上に配される第1電極2が薄膜化しやすくなる。そのため、第1電極2の信頼性が低下しやすい傾向がある。
【0078】
そこで、本実施形態では、第1電極2が段差構造を有する。具体的には、第1電極2が有機化合物3に接する第1領域S1と、基板1から離れる方向に傾斜し、第1領域S1と接する第2領域S2、第2領域S2よりも基板1に対する傾斜が小さく、第2領域S2と接する第3領域S3と、第3領域S3よりも基板1に対する傾斜が大きく、基板1から離れる方向に傾斜し、第3領域S3と接する第4領域S4を有する。このような構成を有することで、本実施形態に係る有機発光素子は、基板1の第1の面に対して垂直な方向における、導電層11の上面と凹部11の底面の高さが高い時であっても、第1電極2の薄膜化を抑制することができる。そのため、本実施形態に係る有機発光素子は、第1電極2の信頼性を向上させることができる。
【0079】
本実施形態に係る有機発光素子は、凹部110を形成するときに導電層11が段差構造を有するようにエッチングすることで、本実施形態に係る有機発光素子を得ることができる。
【0080】
(第5実施形態)
図6を参照しながら、第5実施形態の有機発光素子について説明する。図6は、第5実施形態の有機発光素子の断面図である。本実施形態に係る有機発光素子は、第2電極4上に配されるカラーフィルタ層8の幅の中点が、発光部の幅の中点とずれて配される点で、第1実施形態とは異なる。
【0081】
ここで、カラーフィルタ層8の幅とは、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1の面に対して平行なカラーフィルタ層8の幅のうち最も長い幅である。また、発光部の幅とは、第1電極2のうち有機化合物層3と電気的に接続されている領域を発光部としたとき、当該発光部の第1の面に平行な幅のうち最も長い幅である。換言すると、絶縁体部5によって開口された第1電極2の幅のうち、第1の面に対して平行な幅である。また、本実施形態に係る有機発光素子が絶縁部5を有さないとき、凹部110内に配された第1電極の幅が発光部の幅であってよい。換言すると、凹部110の幅が発光部の幅であってよい。
【0082】
本実施形態に係る有機発光素子は、カラーフィルタ層8の幅の中点を、発光部の幅の中点と第1距離で離して配置することで、第1の面の垂直方向に対して斜めに発せられた光を、効率的に抽出することができる。
【0083】
表示領域と周辺領域とを有する表示装置において、表示領域の周辺領域側に配される画素が上記の構成を有することが好ましい。表示領域の周辺領域側に配される画素が本実施形態の構成を有することで、表示装置に表示される画像を観察した際の画質を向上させることができる。
【0084】
また、表示領域において、表示装置が第1画素と、第1画素よりも周辺領域側に配された第2画素を有するとき、第2画素におけるカラーフィルタの幅の中点と発光部の幅の中点との間の距離(第2距離)が、第1画素におけるカラーフィルタの幅の中点と発光部の幅の中点との間の距離(第1距離)よりも大きいことが好ましい。同様に、表示領域において、表示装置が第2画素よりも周辺領域側に配された第3画素を更に有するとき、第3画素におけるカラーフィルタの幅の中点と発光部の幅の中点との間の距離(第3距離)が、第2画素におけるカラーフィルタの幅の中点と発光部の幅の中点との間の距離(第2距離)よりも大きいことが好ましい。周辺領域側に配された画素ほど、カラーフィルタの幅の中点と発光部の幅の中点との間の距離が大きくなることで、有機発光素子から発せられた光をより集光しやすくなるため、表示装置に表示される画像を観察した際の画質をより向上させることができる。
【0085】
本実施形態において、カラーフィルタ層8の幅は副画素ごとに同じであってもよく、副画素ごとに異なってもよい。カラーフィルタ層8の幅が副画素ごとで異なる場合、光の視感度が最も高い光を透過するカラーフィルタの幅が最も長くなることが好ましい。
【0086】
また、本実施形態に係る有機発光素子が光学部材9を更に有する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面視において、光学部材9の頂点はカラーフィルタ層8の幅の中点とずれて配置されてもよい。また、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面視において、カラーフィルタ層8の幅の中点と光学部材9の頂点とが一致するように配置してもよい。
【0087】
このような構成を有することで、本実施形態に係る有機発光素子は、画像の画質をより向上させることができる。
【0088】
(第6実施形態)
図7を参照しながら、第6実施形態の有機発光素子について説明する。図7は、第6実施形態の有機発光素子の断面図である。本実施形態に係る有機発光素子は、第2電極4上に配される光学部材9の頂点が、発光部の幅の中点とずれて配される点で、第1実施形態とは異なる。
【0089】
ここで、光学部材9の頂点とは、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、光学部材9の端部間のうち光学部材9の高さが最も高くなる点、または、最も低くなる点である。
【0090】
光学部材9が有機化合物層3に対して凸形状であるとき、光学部材9の頂点は、光学部材9の端部間のうち、光学部材9の高さが最も低くなる点である。また、光学部材9が有機化合物層3とは反対の方向に対して凸形状であるとき、光学部材9の頂点は、光学部材9の端部間のうち、光学部材9の高さが最も高くなる点である。具体的には、図7において、有機発光素子100b、100g、100rが有する光学部材9b、9g、9rの頂点はそれぞれ、頂点A、頂点B、頂点Cである。
【0091】
光学部材9の端部とは、基板1、有機化合物層3、光学部材9を通る断面において、光学部材9の外縁が極小値となる点、または、極大値となる点である。換言すると、図7において、有機発光素子100gが有する光学部材9gの端部は端部Bおよび端部Cであり、有機発光素子100rが有する光学部材9rの端部は端部Cおよび端部Dである。このとき、光学部材9の幅の中点とは、光学部材9の端部同士を結んだ線分の中点である。
【0092】
本実施形態において、光学部材9は隣り合う光学部材同士が接していてもよく、離間して配されていてもよい。本実施形態に係る有機発光素子が第1の素子と第2の素子を有し、第1の素子が有する光学部材と第2の素子が有する光学部材とが接する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1の素子が有する光学部材の外縁に沿って仮想線を引く。当該仮想線と例えばカラーフィルタ層8との交点を、第1の素子が有する光学部材の端部とみなしてよい。本実施形態に係る有機発光素子がカラーフィルタ層8を有さない場合は、仮想線と平坦化層7との交点を、第1の素子が有する光学部材の端部とみなしてよい。
【0093】
発光部の幅は、第5実施形態において、上述した通りである。
【0094】
本実施形態に係る有機発光素子は、光学部材9の頂点と発光部の幅の中点とが第1距離で離れているため、第1の面の垂直方向に対して斜めに発せられた光を、効率的に抽出することができる。
【0095】
表示領域と周辺領域とを有する表示装置において、表示領域の周辺領域側に配される画素が上記の構成を有することが好ましい。表示領域の周辺領域側に配される画素が上記の構成を有することで、表示装置に表示される画像を観察した際の画質を向上させることができる。
【0096】
また、表示領域において、表示装置が第1画素と、第1画素よりも周辺領域側に配された第2画素を有するとき、第2画素における光学部材の頂点と発光部の幅の中点との間の距離(第2距離)が、第1画素における光学部材の頂点と発光部の幅の中点との間の距離(第1距離)よりも大きいことが好ましい。同様に、表示領域において、表示装置が第2画素よりも周辺領域側に配された第3画素を更に有するとき、第3画素における光学部材の頂点と発光部の幅の中点との間の距離(第3距離)が、第2画素における光学部材の頂点と発光部の幅の中点との間の距離(第2距離)よりも大きいことが好ましい。周辺領域側に配された画素ほど、光学部材の頂点と発光部の幅の中点との間の距離が大きくなることで、表示装置に表示される画像を観察した際の画質をより向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態に係る有機発光素子がカラーフィルタ層8を更に有する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面視において、光学部材9の頂点はカラーフィルタ層8の幅の中点とずれて配置されてもよい。また、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面視において、カラーフィルタ層8の幅の中点と光学部材9の頂点とが一致するように配置してもよい。
【0098】
(第7実施形態)
図8を参照しながら、第7実施形態の有機発光素子について説明する。図8は、第7実施形態の有機発光素子の断面図である。本実施形態に係る有機発光素子は、第2電極4上に配される光学部材9の端部を結んだ線分の中点が、光学部材9の頂点とずれて配される点で、第1実施形態とは異なる。
【0099】
ここで、光学部材9の端部とは、基板1、有機化合物層3、光学部材9を通る断面において、光学部材9の外縁が極小値となる点、または、極大値となる点である。換言すると、図7において、有機発光素子100bが有する光学部材9bの端部は端部Aおよび端部Bである。同様に、有機発光素子100gが有する光学部材9gの端部は端部Bおよび端部Cであり、有機発光素子100rが有する光学部材9rの端部は端部Cおよび端部Dである。このとき、光学部材9の幅の中点とは、光学部材9の端部同士を結んだ線分の中点である。
【0100】
図7において、本実施形態に係る有機発光素子は、端部Aと端部Bを結んだ線分の中点と頂点Aとが基板1、有機化合物層3、光学部材9を通る断面において第1距離で離れて(ずれて)いる。同様に、端部Bと端部Cを結んだ線分の中点が頂点Bと、端部Bと端部Dを結んだ線分の中点が頂点Cと基板1、有機化合物層3、光学部材9を通る断面においてずれている。そのため、第1の面の垂直方向に対して斜めに発せられた光を、効率的に抽出することができる。
【0101】
表示領域と周辺領域とを有する表示装置において、表示領域の周辺領域側に配される画素が上記の構成を有することが好ましい。表示領域の周辺領域側に配される画素が上記の構成を有することで、表示装置に表示される画像を観察した際の画質を向上させることができる。
【0102】
また、表示領域において、表示装置が第1画素と、第1画素よりも周辺領域側に配された第2画素を有するとき、第2画素における光学部材の端部を結んだ線分の中点と光学部材の頂点との間の距離(第2距離)が、第1画素における光学部材の端部を結んだ線分の中点と光学部材の頂点との間の距離(第1距離)よりも大きいことが好ましい。同様に、表示領域において、表示装置が第2画素よりも周辺領域側に配された第3画素を更に有するとき、第3画素における光学部材の端部を結んだ線分の中点と光学部材の頂点との間の距離(第3距離)が、第2画素における光学部材の端部を結んだ線分の中点と光学部材の頂点との間の距離(第2距離)よりも大きいことが好ましい。周辺領域側に配された画素ほど、光学部材の端部を結んだ線分の中点と光学部材の頂点との間の距離が大きくなることで、表示装置に表示される画像を観察した際の画質をより向上させることができる。
【0103】
本実施形態において、光学部材9は隣り合う光学部材同士が接していてもよく、離間して配されていてもよい。本実施形態に係る有機発光素子が第1の素子と第2の素子を有し、第1の素子が有する光学部材と第2の素子が有する光学部材とが接する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面において、第1の素子が有する光学部材の外縁に沿って仮想線を引く。当該仮想線と例えばカラーフィルタ層8との交点を、第1の素子が有する光学部材の端部とみなしてよい。本実施形態に係る有機発光素子がカラーフィルタ層8を有さない場合は、仮想線と平坦化層7との交点を、第1の素子が有する光学部材の端部とみなしてよい。
【0104】
また、本実施形態に係る有機発光素子がカラーフィルタ層8を更に有する場合、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面視において、光学部材9の頂点はカラーフィルタ層8の幅の中点とずれて配置されてもよい。また、基板1、絶縁層12、有機化合物層3を通る断面視において、カラーフィルタ層8の幅の中点と光学部材9の頂点とが一致するように配置してもよい。
【0105】
(応用例)
図9は、本実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と下部カバー1009との間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005には、それぞれフレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。表示パネル1005は、本発明に係る有機発光素子を有していてよい。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0106】
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
【0107】
本実施形態に係る表示装置は、光を受光する撮像素子を有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0108】
図10(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を示す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101および背面ディスプレイ1102は、本発明に係る有機発光素子を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0109】
撮像装置1100は、不図示の光学部を更に有してよい。光学部が有するレンズは、単数であっても、複数であってもよく、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
【0110】
図10(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203とを有する。表示部1201は、本発明に係る有機発光素子を有してもよい。筐体1203は、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部を有してよい。操作部1202はボタンであってもよく、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は、通信機器ということもできる。電子機器は、レンズと、撮像素子とを備えることで、カメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部1201に表示される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
【0111】
図11は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図11(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、筐体1301と、表示部1302とを有する。表示部1302には、本発明に係る発光素子が用いられてよい。
【0112】
表示装置1300は、筐体1301と表示部1302とを支える土台1303をさらに有してもよい。土台1303は、図11(a)の形態に限定されない。筐体1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
【0113】
また、筐体1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0114】
図11(b)は、本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図11(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部は、本発明に係る有機発光素子を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一表示部1311および第二表示部1312とで1つの画像を表示してもよい。
【0115】
図12(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403とを有してよい。光源1402は、本発明に係る有機発光素子を有していてよい。照明装置1400は、光源の演色性を向上させるために、光学フィルム1404を有してよい。また、照明装置1400は、光源の光を効果的に拡散するために、光拡散部1405を有してよい。照明装置1400が光拡散部1405を有することで、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルム1404および光拡散部1405は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0116】
照明装置は、例えば、室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は、電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧から直流電圧に変換する回路であってよい。また、白とは、色温度が4200Kで、昼白色とは、色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
【0117】
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、熱伝導率の大きな金属、セラミックからなる。
【0118】
図12(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプが点灯する携帯であってよい。自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。
【0119】
テールランプ1501は、本発明に係る有機発光素子を有してよい。テールランプは、光源を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0120】
本実施形態に係る移動体は、主に当該移動体の移動に利用される駆動力を生成する駆動力生成部と、主に当該移動体の移動に利用される回転体の一方もしくは両方を含む。駆動力生成部は、エンジン、モーターなどで有り得る。回転体は、タイヤ、車輪、船舶のスクリュー、飛行体のプロペラなどで有り得る。具体的には、自転車、自動車、電車、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知られるために発光していてもよい。
【0121】
電子機器あるいは表示装置は、例えば、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。電子機器は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有してもよい。
【0122】
図13は、本実施形態に係る眼鏡(スマートグラス)の一例を表す模式図である。図13(a)を用いて、眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600は、レンズ1601の裏面側に、表示部を有する。当該表示部は、本発明に係る有機発光素子を有していてもよい。更に、レンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられていてもよい。
【0123】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と表示部に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示部の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602や表示部の光を集光するための光学系が形成されている。
【0124】
図13(b)を用いて、眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、本発明に係る有機発光素子を有する表示装置が設けられている。制御装置1612は、撮像装置1602に相当する撮像装置をさらに有していてもよい。レンズ1611には、制御装置1612からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着車の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は、赤外線を用いてよい。赤外線発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して赤外線を発光する。発せられた赤外光のうち、眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0125】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から、制御装置1612は表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には、任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づき視線検出方法を用いることができる。
【0126】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが産出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
【0127】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0128】
具体的には、表示装置は視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定する。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を、第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0129】
なお、第一の表示領域や優先度が高い表示領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIは、表示装置が有してもよいし、撮像装置が有してもよいし、外部装置有してもよい。外部装置がAIを有する場合は、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0130】
図14(a)は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。画像形成装置40は電子写真方式の画像形成装置であり、感光体27、露光光源28、帯電部30、現像部31、転写器32、搬送ローラー33、定着器35を有する。露光光源28から光29が照射され、感光体27の表面に静電潜像が形成される。この露光光源28が本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。現像部31はトナー等を有する。帯電部30は感光体27を帯電させる。転写器32は現像された画像を記憶媒体34に転写する。搬送ローラー33は記録媒体34を搬送する。記録媒体34は例えば紙である。定着器35は記録媒体34に形成された画像を定着させる。
【0131】
図14(b)および図14(c)は、露光光源28を示す図であり、発光部36が長尺状の基板に複数配置されている様子を示す模式図である。矢印37は有機発光素子が配列されている列方向を表わす。この列方向は、感光体27が回転する軸の方向と同じである。この方向は感光体27の長軸方向と呼ぶこともできる。図14(b)は発光部36を感光体27の長軸方向に沿って配置した形態である。図14(c)は、図14(b)とは異なる形態であり、第一の列と第二の列のそれぞれにおいて発光部36が列方向に交互に配置されている形態である。第一の列と第二の列は行方向に異なる位置に配置されている。第一の列は、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。第二の列は、第一の列の発光部36同士の間隔に対応する位置に発光部36を有する。すなわち、行方向にも、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。図14(c)の配置は、たとえば格子状に配置されている状態、千鳥格子に配置されている状態、あるいは市松模様と言い換えることもできる。
【0132】
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
【0133】
以上より、本発明に係る有機発光素子は、下部電極と反射電極との接続部が、発光部に近いため、下部電極の電圧降下を低減することができる。また、本発明に係る有機発光素子は、下部電極と反射電極とが接する面積が大きいため、駆動電圧の上昇を低減することができる。また、本発明に係る有機発光素子は、凹部内にて下部電極と反射電極とが接するため、平面視において、従来の有機発光素子よりも発光面積を大きくすることができる。
【0134】
また、本発明は、以下の構成を有することができる。
【0135】
(構成1)
第1の面を有する基板と、前記第1の面上に導電層と、絶縁層と、第1電極と、有機化合物層と、第2電極と、をこの順に有する有機発光素子であって、
前記導電層は凹部を有し、
前記凹部の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが電気的に接続されることを特徴とする有機発光素子。
【0136】
(構成2)
前記凹部の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが直接接続されることを特徴とする構成1に記載の有機発光素子。
【0137】
(構成3)
前記凹部の側面の少なくとも一部において、前記第1電極と前記導電層とが直接接続されることを特徴とする構成1に記載の有機発光素子。
【0138】
(構成4)
前記凹部において、前記導電層は連続して形成されることを特徴とする構成1に記載の有機発光素子。
【0139】
(構成5)
前記第1電極は透明電極であることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0140】
(構成6)
前記導電層は、第1導電層と第2導電層とを有し、
前記第2導電層が前記第1導電層よりも前記第1電極側に設けられることを特徴とする構成1乃至5のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0141】
(構成7)
前記凹部が前記第1導電層に設けられることを特徴とする構成6に記載の有機発光素子。
【0142】
(構成8)
前記第1電極が前記第2導電層と直接接続されることを特徴とする構成6または7に記載の有機発光素子。
【0143】
(構成9)
前記第1電極は前記第1導電層と直接接続していないことを特徴とする構成6乃至8のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0144】
(構成10)
前記第2導電層が、前記第1導電層および前記絶縁層と重畳する部分を有することを特徴とする構成6乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0145】
(構成11)
前記有機発光素子は、それぞれ異なる波長の光を発する第1の素子と第2の素子とを有し、
前記有機発光素子は、前記導電層と前記第1電極の間に絶縁層を有し、
前記第1の素子が有する前記絶縁層を第1絶縁層、前記第2の素子が有する前記絶縁層を第2絶縁層としたとき、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記第1の面に垂直な前記第1絶縁層の高さと、前記第1の面に垂直な前記第2絶縁層の高さは、それぞれ異なることを特徴とする構成1乃至10のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0146】
(構成12)
前記有機発光素子は、前記第1の素子と前記第2の素子と異なる波長の光を発する第3の素子を更に有し、
前記有機発光素子は、前記導電層と前記第1電極の間に絶縁層を有し、
前記第3の素子が有する前記絶縁層を第3絶縁層としたとき、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記第1の面に垂直な前記第1絶縁層の高さと、前記第1の面に垂直な前記第2絶縁層の高さと、前記第1の面に垂直な前記第3絶縁層の高さはそれぞれ異なることを特徴とする構成11に記載の有機発光素子。
【0147】
(構成13)
前記第1電極は、前記有機化合物層に接する第1領域と、前記基板から離れる方向に傾斜し、前記第1領域と接する第2領域と、前記第2領域よりも前記基板に対する傾斜が小さく、前記第2領域と接する第3領域と、前記第3領域よりも前記基板に対する傾斜が大きく、前記基板から離れる方向に傾斜し、前記第3領域と接する第4領域と、を有することを特徴とする構成1乃至12のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0148】
(構成14)
前記有機発光素子は、前記第2電極上にカラーフィルタまたは光学部材を有することを特徴とする構成1乃至13のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0149】
(構成15)
前記有機発光素子は、前記第2電極上にカラーフィルタを有し、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記カラーフィルタの前記第1の面に平行な幅のうち最も長い幅を前記カラーフィルタの幅とし、前記第1電極のうち前記有機化合物層と電気的に接続されている領域を発光部とし、前記発光部の前記第1の面に平行な幅のうち最も長い幅を前記発光部の幅としたとき、
前記カラーフィルタの幅の中点と前記発光部の幅の中点とが、第1距離で離れていることを特徴とする構成14に記載の有機発光素子。
【0150】
(構成16)
前記有機発光素子は、前記第2電極上に光学部材を有し、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記第1電極のうち前記有機化合物層と電気的に接続されている領域を発光部とし、前記発光部の前記第1の面に平行な幅のうち最も長い幅を前記発光部の幅としたとき、
前記光学部材の頂点と前記発光部の幅の中点とが、第1距離で離れていることを特徴とする構成14または15に記載の有機発光素子。
【0151】
(構成17)
前記有機発光素子は、前記第2電極上に光学部材を有し、
前記基板、前記絶縁層、および前記有機化合物層を通る断面において、前記光学部材の外縁が極小値となる点または極大値となる点を光学部材の端部としたとき、
前記光学部材の端部を結んだ線分の中点と前記光学部材の頂点とが、第1距離で離れていることを特徴とする構成14乃至16のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【0152】
(構成18)
光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子が前記表示部であることを特徴とする光電変換装置。
【0153】
(構成19)
構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、を有することを特徴とする表示装置。
【0154】
(構成20)
構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部を有することを特徴とする電子機器。
【0155】
(構成21)
構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が設けられた筐体と、を有することを特徴とする照明装置。
【0156】
(構成22)
構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
【0157】
(構成23)
構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部の光を集光する光学系と、前記表示部の動作を制御する制御装置と、を有することを特徴とするウェアラブルデバイス。
【0158】
(構成24)
感光体と、前記感光体を露光する露光光源と、を有し、
前記露光光源は、構成1乃至17のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0159】
1 基板
2 第1電極
3 有機化合物層
4 第2電極
11 導電層
12 絶縁層
100 有機発光素子
110 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15