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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172509
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電子機器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241205BHJP
   H04N 23/695 20230101ALI20241205BHJP
   H04N 23/69 20230101ALI20241205BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241205BHJP
   G03B 7/00 20210101ALI20241205BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/695
H04N23/69
G03B15/00 Q
G03B7/00
G03B17/18
G03B15/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090275
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸輝
【テーマコード(参考)】
2H002
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H002GA01
2H102AA45
5C122FD01
5C122FD07
5C122FD13
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122GC52
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】 撮影者の操作を必要とすることなく、ライブ配信時に設定された入力映像の一部の領域の画像を適正にすること。
【解決手段】 入力画像を取得する取得手段と、前記入力画像に基づいて被写体を検出する検出手段と、前記入力画像の領域の一部に対応するクロップ領域を設定する第1の設定手段と、特定の機能を行う領域を設定する第2の設定手段と、を備え、前記第2の設定手段は、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されている場合に、前記クロップ領域に対応させて前記クロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定し、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されていない場合に、前記検出手段の検出情報に基づいて前記特定の機能を行う領域を設定する。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を取得する取得手段と、
前記入力画像に基づいて被写体を検出する検出手段と、
前記入力画像の領域の一部に対応するクロップ領域を設定する第1の設定手段と、
特定の機能を行う領域を設定する第2の設定手段と、を備え、
前記第2の設定手段は、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されている場合に、前記クロップ領域に対応させて前記クロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定し、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されていない場合に、前記検出手段の検出情報に基づいて前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の設定手段は、前記第1の設定手段によりクロップ領域が複数設定されている場合に、前記複数のクロップ領域に対応させて前記複数のクロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2の設定手段は、配信状態である前記クロップ領域がある場合は、当該クロップ領域内に前記特定の機能を行う領域が含まれるように設定し、配信状態でない場合は、前記第1の設定手段により設定されたクロップ領域を少なくとも一つ以上包含するように前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記検出手段によって検出された被写体に対して優先度を決定する決定手段をさらに備え、
前記第1の設定手段によって設定されたクロップ領域の中で最も優先度の高い被写体を含むクロップ領域に対して優先的に前記特定の機能を実行することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記検出手段は、画像から色や形状によって被写体を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記検出手段は、撮像画像に基づいて被写体として、人物、乗り物、動物、風景の少なくともいずれかを検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
入力画像に基づいて被写体を検出する検出工程と、
前記入力画像の領域の一部に対応するクロップ領域を設定する第1の設定工程と、
特定の機能を行う領域を設定する第2の設定工程と、を有し、
前記第2の設定工程では、前記第1の設定工程によりクロップ領域が設定されている場合に、前記クロップ領域に対応させて前記クロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定し、前記第1の設定工程によりクロップ領域が設定されていない場合に、前記検出工程による検出情報に基づいて前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその制御方法に関し、特に入力画像の一部を出力可能な電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力画像の一部の領域を当該入力画像から抽出して(切り出して、クロップして)出力するクロップ機能が知られている。抽出する領域が変更可能であることによって、カメラのパン操作、チルト操作、およびズーム操作を行うことなく、出力画像の構図および画角を変更することができる。特許文献1には、シャッターボタンの押下に応答して、撮像画像における複数の領域の画像を取得するデジタルカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-175683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
映像のライブ配信を行う電子機器は、入力映像の一部の領域である第1領域をライブ配信のために出力しつつ、電子機器が主被写体としている領域である第2の領域のピント状態や露出状態などを適正にする処理を実行する。第1の領域と第2の領域にズレが発生すると、ライブ配信を行う映像のピント状態や露出状態などが適正にならなくなる。この場合、撮影者が手動で第1の領域と第2の領域の位置を合わせることが考えられるが、操作が煩雑になってしまう懸念がある。
【0005】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、撮影者の操作を必要とすることなく、ライブ配信時に設定された入力映像の一部の領域の画像を適正にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、入力画像を取得する取得手段と、前記入力画像に基づいて被写体を検出する検出手段と、前記入力画像の領域の一部に対応するクロップ領域を設定する第1の設定手段と、特定の機能を行う領域を設定する第2の設定手段と、を備え、前記第2の設定手段は、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されている場合に、前記クロップ領域に対応させて前記クロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定し、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されていない場合に、前記検出手段の検出情報に基づいて前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮影者の操作を必要とすることなく、ライブ配信時に設定された入力映像の一部の領域の画像を適正にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の撮像システムのブロック図である。
図2】クロップ撮影モード処理のフローチャートである。
図3】クロップ領域の優先度設定のフローチャートである。
図4】焦点検出領域設定処理のフローチャートである。
図5】AF動作処理のフローチャートである。
図6】クロップ領域配信処理のフローチャートである。
図7】被写体の有無による優先度の決定を行う際の概念図である。
図8】配信領域が通知されていない場合の焦点検出領域を設定する際の概念図である。
図9】優先度が設定されている場合の重点監視領域を設定する際の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態における撮像システムを構成する撮像装置の一例としてのレンズ交換式ビデオカメラ、および配信装置の機能構成を示すブロック図である。なお、ビデオカメラ本体20は、カメラ機能を備える電子機器であればよい。例えば、レンズ交換式デジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルビデオカメラ等のカメラであってもよいし、カメラ付き携帯電話及びカメラ付きコンピュータ、ゲーム機等であってもよい。
【0011】
レンズ全体の動作を統括制御するレンズ制御部106と、レンズユニット10を含めたカメラシステム全体の動作を統括するカメラ制御部212とは、レンズマウントに設けられた端子を通じて相互に通信可能である。またカメラ制御部212と、カメラシステムからの配信画像の受信やカメラシステムに対する配信状態の通知を行う配信制御部301も相互に通信が可能である。
【0012】
まず、レンズユニット10の構成について説明する。固定レンズ101、絞り102、フォーカスレンズ103は撮影光学系を構成する。絞り102は、絞り駆動部104によって駆動され、後述する撮像素子201への入射光量を制御する。フォーカスレンズ103はDCモータおよびその制御回路からなるフォーカスレンズ駆動部105によって駆動され、フォーカスレンズ103の位置に応じて撮像光学系の合焦距離が変化する。絞り駆動部104、フォーカスレンズ駆動部105はレンズ制御部106によって制御され、絞り102の開口量や、フォーカスレンズ103の位置を決定する。
【0013】
レンズ操作部107は、撮影者がレンズユニット10の動作に関する設定を行うための入力デバイス群である。レンズ操作部107により、AF(オートフォーカス)/MF(マニュアルフォーカス)モードの切り替え、MFによるフォーカスレンズの位置調整、フォーカスレンズの動作範囲設定、手ブレ補正モードの設定などが行える。レンズ操作部107が操作された場合、レンズ制御部106が操作に応じた制御を行う。
【0014】
レンズ制御部106は、後述するカメラ制御部212から受信した駆動目標位置情報や速度設定情報などからなる制御命令や制御情報に応じて絞り駆動部104やフォーカスレンズ駆動部105を制御する。そして、その動作結果としてレンズユニット内の各ユニットの位置情報やその時の光学情報をカメラ制御部212に送信するものである。
【0015】
次に、カメラ本体20の構成について説明する。カメラ本体20はレンズユニット10の撮影光学系を通過した光束から撮像信号を取得できるように構成されている。
【0016】
撮像素子201はCMOSセンサにより構成される。レンズユニット10の撮影光学系から入射した光束は撮像素子201の受光面上に結像し、撮像素子201に配列された画素に設けられたフォトダイオードにより、入射光量に応じた信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、カメラ制御部212の指令に従ってタイミングジェネレータ214が出力する駆動パルスより、信号電荷に応じた電圧信号として撮像素子201から順次読み出される。この撮像素子から全面読み出す周期をカメラ制御周期として、各処理が繰り返されるものとなる。また、本実施形態で用いられる撮像素子201の各画素は、2つ(一対)のフォトダイオードA、Bとこれら一対のフォトダイオードA、Bに対して設けられた1つのマイクロレンズとより構成されている。各画素は、入射する光をマイクロレンズで分割して一対のフォトダイオードA、B上に一対の光学像を形成し、該一対のフォトダイオードA、Bから後述するAF用信号に用いられる一対の画素信号(A信号およびB信号)を出力する。また、一対のフォトダイオードA、Bの出力を加算することで、撮像用信号(A+B信号)を得ることができる。
【0017】
複数の画素から出力された複数のA信号はA信号同士、複数のB信号はB信号同士でそれぞれ合成することによって、撮像面位相差検出方式によるAFに用いられるAF用信号(言い換えれば、焦点検出用信号)としての一対の像信号が得られる。後述するAF信号処理部204は、該一対の像信号に対する相関演算を行って、これら一対の像信号のずれ量である位相差(以下、像ずれ量という)を算出し、さらに該像ずれ量から撮影光学系のデフォーカス量(およびデフォーカス方向)を算出する。
【0018】
CDS/AGC/ADコンバータ202は、撮像素子201から読み出されたAF用信号および撮像用信号に対して、リセットノイズを除去するための相関二重サンプリング、ゲイン調節およびAD変換を行う。該コンバータ202は、これらの処理を行った撮像用信号およびAF用信号をそれぞれ、画像入力コントローラ203およびAF信号処理部204に出力する。
【0019】
クロップ領域設定部2121では撮像画面内でクロップの対象となる領域であるクロップ領域の位置および大きさ、つまりクロップ領域情報の設定を行い、また後述する配信装置30に対してクロップ領域情報を送信する。
【0020】
クロップ領域優先度設定部2122では、後述する被写体検出部2126の被写体検出の結果や、カメラ操作部213からの操作に応じて各クロップ領域に対する優先度を設定する。
【0021】
画像配信部2123では、後述する配信装置30に対して配信画像の配信を行う。配信画像は後述する配信制御部301から通知される配信領域に応じて設定する。
【0022】
焦点検出領域設定部2124では撮像画面内で焦点検出およびAFを行う領域である焦点検出領域の位置および大きさの設定を行う。なお、後述の説明では、焦点検出およびAFを行う領域として設定を行い、オートフォーカス機能を実現することの説明をするが、オートフォーカス機能に代えて、特定の機能を実行するように制御してもよい。特定の機能の例として、オートホワイトバランス、自動露出、追尾に関する機能があり、これらを行う領域の位置および大きさを設定し処理を実行することとしてもよい。
【0023】
AF制御部2125では、後述するAF信号処理部204で検出した像ずれ量をデフォーカス量に換算して焦点位置を移動させるようにレンズ制御部106に指示を出し焦点調節動作を行う。被写体検出部2126では撮像画像における配信領域内に存在する被写体を検出する。例えば撮像画像から色や形状によって被写体を検出する。また、撮像画像に基づいて被写体を識別し、検出してもよい。被写体例としては、人物、乗り物、動物、風景などである。
【0024】
画像入力コントローラ203は、焦点検出領域設定部2124で設定された焦点検出領域情報に応じて、コンバータ202から出力された撮像用信号を選択的に読み出す、つまりクロップを行い、バス21を介してSDRAM209に画像信号として格納する。このとき、クロップ領域の数だけ撮像信号を格納する。SDRAM209に格納された画像信号群は、バス21を介して表示制御部205によって読み出され、表示部206に表示される。また、画像信号の記録を行う録画モードでは、SDRAM209に格納された画像信号群は記録媒体制御部207によって半導体メモリ等の記録媒体208に記録される。
【0025】
後述する配信装置30とカメラ本体20が接続されている場合は、SDRAM209に格納された画像信号群はバス21及びカメラ制御部212内の画像配信部2123によって選択され、配信制御部301に送信される。なお、電子機器(1台の電子機器)は、クロップ機能を用いて、複数の領域にそれぞれ対応する複数の映像を同時に出力してもよい。これによって、システムにおける電子機器の数を減らすことができる。
【0026】
ROM210には、カメラ制御部212が実行する制御プログラムや処理プログラムおよびこれらの実行に必要な各種データ等が格納されている。フラッシュROM211には、撮影者により設定されたカメラ20の動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0027】
焦点検出装置としてのAF信号処理部204は、コンバータ202から出力されたAF用信号である一対の像信号に対して相関演算を行い、これら一対の像信号の像ずれ量を算出する。AF信号処理部204は、焦点検出領域設定部2124によって設定された焦点検出領域の位置および大きさの設定に応じて、相関演算を行う。AF信号処理部204は、焦点検出領域で算出した像ずれ量(検出量)をカメラ制御部212に出力する。なお、本発明の実施例では像ずれ量を用いたフォーカス制御を実施しているが、フォーカス制御手法については例えば焦点検出領域内部のコントラスト評価値を用いるなど、他の手法を用いてもよい。
【0028】
次に、配信装置30の構成について説明する。配信装置30はカメラ本体20からの画像信号やクロップ領域情報の受信や、カメラ本体20に対して配信領域の通知を行うことができるように構成されている。配信制御部301内の撮像画像送信部3011はカメラ制御部212から撮像画像を受信し、配信操作部302から配信命令が出ている場合は配信画像受信部303に撮像画像を送信する。配信領域決定部3012はカメラ本体20からクロップ領域情報を受信し、配信操作部302からの選択操作により配信領域を決定する。配信領域通知部3013ではカメラ制御部212内の焦点検出領域設定部2124に配信操作部302からの配信命令に応じた配信領域を通知する。配信画像受信部303では撮像画像を受信し、配信画像として外部への配信を行う。
【0029】
上述の構成において、本ビデオカメラの発明の、特にクロップ領域設定時の焦点検出領域の設定方法について、動作、処理の詳細説明を以下に行う。
【0030】
図2は、クロップ撮影モードにおいてクロップ撮影機能関連の動作について記述したフローチャートである。ビデオカメラ本体のカメラ操作部213からクロップ撮影モードの設定操作がされるとステップ201においてクロップ撮影モード処理を開始し、ステップ202に進む。ステップ202ではひとつ目のクロップ領域の位置および大きさを初期値に設定する。例えば、撮影領域全体と一致させるように初期値を設定することが考えられる。クロップ領域の初期値を設定したらステップ203に進む。
【0031】
ステップ203では焦点検出領域を初期値に設定する。例えば、ステップ202において設定したクロップ領域の位置、および大きさと一致させるように初期値を設定することが考えられる。焦点検出領域の初期値を設定したらステップ204に進む。
【0032】
ステップ204ではクロップ撮影モードかどうかの判定を行う。カメラ操作部213からクロップ撮影モードの終了が設定された場合、ステップ210に進みクロップ撮影モード処理を終了する。クロップ撮影モードの終了が設定されていない場合、ステップ205に進む。
【0033】
ステップ205ではクロップ領域情報の設定を行う。カメラ操作部213からクロップ領域の新規設定操作が行われた場合に新規クロップ領域情報として記録する。また既存のクロップ領域の位置や大きさの再設定操作が実施された場合は該当するクロップ領域情報の更新を行う。クロップ領域情報の設定が完了する、またはカメラ操作部213から操作が無かった場合はステップ206に進む。ステップ206では各クロップ領域に対する優先度の決定を行う。
【0034】
図3はクロップ領域の優先度決定処理について記述したフローチャートである。ステップ301に進みクロップ領域の優先度決定処理を開始すると、ステップ302に進む。
【0035】
ステップ302では各クロップ領域に対して、カメラ操作部213によって優先度が設定されているかどうかを確認する。カメラ操作の一例としては、例えばメニュー操作から優先度を設定する手法が考えられる。優先度が設定されている場合はステップ303に進み、操作に応じた優先度を設定したのち、ステップ307に進み優先度決定処理を終了する。設定されていない場合はステップ304に進む。
【0036】
ステップ304では被写体が検出されているクロップ領域の有無を確認する。被写体検出部2126において各クロップ領域に対して被写体検出を行い、被写体が検出されている場合はステップ305に進み、そうでない場合はステップ306に進む。
【0037】
ステップ305では被写体の有力さに応じてクロップ領域ごとに優先度設定を行う。ここにおける有力さは、例えば被写体の大きさや形状によって決定することが考えられる。
【0038】
図7にステップ305において撮像画像701に対して優先度を決定する場合の例を示す。クロップ領域702とクロップ領域703を比べると、クロップ領域702には一定の大きさを持つ人物被写体が含まれる一方で、クロップ領域703には何の被写体も含まれていない。このときクロップ領域702に高い優先度を設定し、クロップ領域703に対しては、低い優先度に設定する。優先度を設定したらステップ307に進み、優先度決定処理を終了する。
【0039】
ステップ306では各クロップ領域に対する優先度を設定せず、ステップ307に進み優先度決定処理を終了する。
【0040】
クロップ領域の優先度決定処理を終了するとステップ206に戻り、ステップ207に進む。ステップ207では焦点検出領域の設定処理を行う。
【0041】
図4は焦点検出領域の設定処理について記述したフローチャートである。ステップ401に進み焦点検出領域の設定処理を開始するとステップ402に進む。ステップ402では配信領域が通知されているかを確認する。配信領域が通知されている場合はステップ403に進み、配信領域と一致させるように焦点検出領域を設定したのち、ステップ407に進み焦点検出領域設定処理を終了する。配信領域が設定されていない場合はステップ404に進む。ステップ404では全てのクロップ領域を含むように焦点検出領域を設定する。
【0042】
図8にステップ406において撮像画像801に対して焦点検出領域を設定する場合の例を示す。クロップ領域802、およびクロップ領域803が設定されているとする。このとき、全てのクロップ領域を包含するように焦点検出領域804を設定する。このように焦点検出領域を設定することで、配信領域が不明な場合でも、少なくとも全てのクロップ領域を含むように焦点検出領域を設定できる。このとき焦点検出領域804は全てのクロップ領域を包含していれば大きさや位置は問わないが、領域を小さく設定することでクロップ領域外に対するフォーカス動作を抑制することが出来る。また、本実施例では全てのクロップ領域を包含するように焦点検出領域を設定しているが、ひとつ以上のクロップ領域を包含するように焦点検出領域を設定するようにしてもよい。焦点検出領域を設定したらステップ405に進む。
【0043】
ステップ405では各クロップ領域に優先度が設定されているかを確認する。優先度が設定されている場合はステップ406に進み、されていない場合はステップ407に進み焦点検出領域設定処理を終了する。
【0044】
ステップ406では優先度の最も高いクロップ領域内に重点監視領域を設定する。重点監視領域とは、後述するステップ503において追従対象を優先的に検出する領域のことを指す。
【0045】
図9にステップ406において撮像画像901内に重点監視領域を設定する場合の例を示す。クロップ領域903には高い優先度が、クロップ領域904には低い優先度が設定されているとする。焦点検出領域を焦点検出領域902に設定したうえで、重点監視領域905を最も優先度の高いクロップ領域内、つまりクロップ領域903内に設定する。重点監視領域905は例えば対象となるクロップ領域内の中央に設定する。その後、ステップ407に進み焦点検出領域設定処理を終了する。
【0046】
焦点検出領域の設定処理を終了するとステップ207に戻り、ステップ208に進む。ステップ208ではAF動作処理を行う。
【0047】
図5はAF動作処理について記述したフローチャートである。ステップ501に進み焦点検出領域のAF動作処理を開始するとステップ402に進む。
【0048】
ステップ502では焦点検出領域のデフォーカスを検出する。ステップ503に進む。ステップ503では追従対象の検出を行う。ステップ304、ステップ305の場合と同様に、例えば色や形などから被写体の検出を行い、例えば被写体の大きさや形状によって、各被写体の有力性を算出する。ここで算出した有力性が最も高い被写体に対して、後述するステップ504でレンズ制御を行う。このとき、ステップ503において重点監視領域が設定されている場合は、重点監視領域内の被写体の有力性に対して補正を掛け、高い値が算出されるようにする。これにより重点監視領域内の被写体を追従対象として優先的に設定することができる。ステップ504に進む。
【0049】
ステップ504ではレンズ駆動制御を行う。ステップ504で検出した被写体に対するデフォーカス量をもとにレンズ駆動量、レンズ駆動方向を算出し、レンズ制御部106に対して駆動を命令する。ステップ505に進み、AF動作処理を終了する。
【0050】
AF動作処理を終了するとステップ208に戻り、ステップ209に進む。ステップ209ではクロップ領域の配信処理を行う。
【0051】
図6はクロップ領域の配信処理について記述したフローチャートである。ステップ601に進みクロップ領域の配信処理を開始するとステップ602に進む。ステップ602では配信操作部302からの配信命令の有無を確認する。配信命令が出ている場合はステップ603に進み、配信画像送信部301を介して、配信画像受信部303に配信画像を配信する。配信が完了するとステップ605に進み、クロップ領域の配信処理を終了する。また、ステップ602で配信命令が出ていない場合はステップ605に進み、クロップ領域の配信処理を終了する。
【0052】
クロップ領域の配信処理を終了すると、ステップ209に戻り、ステップ204に進む。以下、クロップ撮影モードが設定されているかぎり、ステップ205からステップ209の処理を繰り返す。
【0053】
以上のように、配信領域の通知の有無や設定されているクロップ領域の位置や数に応じて焦点検出領域を設定することで、クロップ領域配信時に安定したフォーカス制御を実現できるものとなっている。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記録媒体は本発明を構成することになる。
【0055】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、並びにプログラムを含む。
【0056】
(構成1)
入力画像を取得する取得手段と、
前記入力画像に基づいて被写体を検出する検出手段と、
前記入力画像の領域の一部に対応するクロップ領域を設定する第1の設定手段と、
特定の機能を行う領域を設定する第2の設定手段と、を備え、
前記第2の設定手段は、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されている場合に、前記クロップ領域に対応させて前記クロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定し、前記第1の設定手段によりクロップ領域が設定されていない場合に、前記検出手段の検出情報に基づいて前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする電子機器。
【0057】
(構成2)
前記第2の設定手段は、前記第1の設定手段によりクロップ領域が複数設定されている場合に、前記複数のクロップ領域に対応させて前記複数のクロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする構成1に記載の電子機器。
【0058】
(構成3)
前記第2の設定手段は、配信状態である前記クロップ領域がある場合は、当該クロップ領域内に前記特定の機能を行う領域が含まれるように設定し、配信状態でない場合は、前記第1の設定手段により設定されたクロップ領域を少なくとも一つ以上包含するように前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする構成1または2に記載の電子機器。
【0059】
(構成4)
前記検出手段によって検出された被写体に対して優先度を決定する決定手段をさらに備え、
前記第1の設定手段によって設定されたクロップ領域の中で最も優先度の高い被写体を含むクロップ領域に対して優先的に前記特定の機能を実行することを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【0060】
(構成5)
前記検出手段は、画像から色や形状によって被写体を検出することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【0061】
(構成6)
前記検出手段は、撮像画像に基づいて被写体として、人物、乗り物、動物、風景のすくなくともいずれかを検出することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【0062】
(方法1)
入力画像に基づいて被写体を検出する検出工程と、
前記入力画像の領域の一部に対応するクロップ領域を設定する第1の設定工程と、
特定の機能を行う領域を設定する第2の設定工程と、を有し、
前記第2の設定工程では、前記第1の設定工程によりクロップ領域が設定されている場合に、前記クロップ領域に対応させて前記クロップ領域を包含する領域に前記特定の機能を行う領域を設定し、前記第1の設定工程によりクロップ領域が設定されていない場合に、前記検出工程による検出情報に基づいて前記特定の機能を行う領域を設定することを特徴とする電子機器の制御方法。
【0063】
(プログラム1)
コンピュータを、構成1乃至6のいずれか1つに記載の電子機器の各手段として機能させるためのプログラム。
【0064】
(記憶媒体1)
プログラム1を記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0065】
10 レンズユニット
103 フォーカスレンズ
105 フォーカスレンズ駆動部
106 レンズ制御部
20 カメラ本体
201 撮像素子
204 AF信号処理部
205 表示制御部
212 カメラ制御部
図1
図2
図3
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図9