(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172517
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】油性クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20241205BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/72 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20241205BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241205BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/86
A61K8/72
A61K8/92
A61K8/9789
A61K8/37
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090291
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】592106155
【氏名又は名称】ジェイオーコスメティックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰悟
(72)【発明者】
【氏名】小幡 俊介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC112
4C083AC212
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB25
4C083CC23
4C083DD21
4C083DD30
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】 使用時の垂れ落ちがなく、メイクとなじませる際のマッサージのしやすさ、メイクなじみの良さ、洗い流し性の良さを維持しながらも、チューブやポンプ容器に充填した場合においても、離しょうを起こすことがない、使用性に優れた油性クレンジング化粧料を提供する。
【解決手段】 (A)融点が50~120℃である固形油(B)液状油、(C)HLBが5~15である非イオン性界面活性剤、(D)有機変性粘土鉱物を含有し、レオメーター(5mmφ、200gレンジ、テーブルスピード:2cm/min)で30℃において測定した際の、針入距離4mm~9mmにおける最大値と最小値の平均値が30~110gfである油性クレンジング化粧料を用いる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点が50~120℃である固形油
(B)液状油、
(C)HLBが5~15である非イオン性界面活性剤、
(D)有機変性粘土鉱物、
を含有し、レオメーター(5mmφ、200gレンジ、テーブルスピード:2cm/min)で30℃において測定した際の、針入距離4mm~9mmにおける最大値と最小値の平均値が30~110gfである油性クレンジング化粧料。
【請求項2】
前記有機変性粘土鉱物の含有量が0.05~15質量%である、請求項1に記載の油性クレンジング化粧料。
【請求項3】
融点が50~120℃である固形油を2~10質量%含有する、請求項1または2に記載の油性クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記有機変性粘土鉱物がクオタニウム-90ベントナイト、クオタニウム-18ベントナイト、ジステアルジモニウムヘクトライト、およびクオタニウム-18ヘクトライトからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の油性クレンジング化粧料。
【請求項5】
請求項1または2に記載の油性クレンジング化粧料がチューブ容器またはポンプ容器に充填されている油性クレンジング化粧料。
【請求項6】
前記融点が50~120℃である固形油が、ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックス、ヒマワリ種子ロウ、キャンデリラロウ、ベヘン酸ベへニル、水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の油性クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
常温で固形状の油性クレンジング化粧料は、使用時の垂れ落ちがなく、メイクとなじませる際のマッサージがしやすいという特長を有しており、その開発が鋭意進められている。このような化粧料は、従来はジャー容器に充填されて販売されているものが多いが、より簡便な使用性の要望や、衛生的・機能性保持の観点から、チューブあるいはポンプ容器での提供が望まれている。しかしながら、このような化粧料は、固形油分が形成するカードハウス構造により、液状油を製剤内にとどめておく特性上、チューブやポンプ容器から吐出する際の外力によりカードハウス構造が壊れることで、液状油が製剤内から染み出す(離しょう)こととなり、市場において問題となる場合がある。
【0003】
特許文献1には、炭素数12~22のヒドロキシ脂肪酸と非イオン性界面活性剤を併用する、ウォッシュオフ・オイルゲル化粧料が開示されている。しかし、この化粧料は、洗い流し性が十分でなく、また、チューブあるいはポンプ容器で使用する際に離しょうを防げないという問題があった。
【0004】
特許文献2には、高融点の固形油、液状油及び非イオン性界面活性剤を併用する油性固形クレンジング化粧料が開示されている。しかし、この化粧料をチューブあるいはポンプ容器で使用する際に離しょうを防げないという問題があった。
【0005】
特許文献3には、ポリグリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸と非イオン性界面活性剤を併用する油性固形化粧料が開示されている。しかし、この化粧料は、のびが重く、メイクなじみが悪く、また洗い流し性が十分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09-059140号公報
【特許文献2】特開2001-213726号公報
【特許文献3】特開2008-280287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、固形状の油性クレンジング化粧料の特徴である、使用時の垂れ落ちがなく、メイクとなじませる際のマッサージのしやすさ、メイクなじみの良さ、洗い流し性の良さを維持しながらも、チューブやポンプ容器に充填した場合においても、離しょうを起こすことが無い、使用性に優れた油性クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、有機変性粘土鉱物を配合することで、上記課題を解決することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
[1](A)融点が50~120℃である固形油
(B)液状油、
(C)HLBが5~15である非イオン性界面活性剤、
(D)有機変性粘土鉱物、
を含有し、レオメーター(5mmφ、200gレンジ、テーブルスピード:2cm/min)で30℃において測定した際の、針入距離4mm~9mmにおける最大値と最小値の平均値が30~110gfである油性クレンジング化粧料である。
[2] 前記有機変性粘土鉱物の含有量が0.05~15質量%である、[1]に記載の油性クレンジング化粧料である。
[3]融点が50~120℃である固形油を2~10質量%含有する、[1]または[2]に記載の油性クレンジング化粧料である。
[4]前記有機変性粘土鉱物がクオタニウム-90ベントナイト、クオタニウム-18ベントナイト、ジステアルジモニウムヘクトライト、およびクオタニウム-18ヘクトライトからなる群から選択さされる少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の油性クレンジング化粧料である。
[5][1]または[2]に記載の油性クレンジング化粧料がチューブ容器またはポンプ容器に充填されている油性クレンジング化粧料である。
[6]前記融点が50~120℃である固形油が、ポリエチレン、フィッシャートロプシュワックス、ヒマワリ種子ロウ、キャンデリラロウ、ベヘン酸ベへニル、水添ヒマシ油からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の油性クレンジング化粧料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チューブやポンプ容器に充填した場合においても、離しょうを起こすことが無い、使用性に優れた油性クレンジング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いられる固形油としては、融点が50~120℃であれば特に限定はないが、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン-プロピレンコポリマー、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケライト、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックスや、モクロウ、カルナウバワックス、ヒマワリ種子ロウ、キャンデリラロウ、水添ヒマシ油、ライスワックス、ミツロウ(ビーズワックス)、水添ホホバ油、ベヘン酸ベへニル、硬化油、高級アルコール、シリコーンワックスなどを挙げることができる。ポリエチレンワックスの分子量としては、特に制限はないが、例えばMw=300~4500のものを挙げることができ、好ましくはMw=400~1000、より好ましくはMw=400~700のものを挙げることができる。
【0012】
油性クレンジング化粧料に含有される融点が50~120℃の固形油の量としては、2~10質量%を挙げることができる。炭化水素系ワックスを含む場合は、好ましくは2~6質量%、より好ましくは3~5質量%を挙げることができる。炭化水素系ワックスを含まない場合には、好ましくは5~10質量%、より好ましくは6~9質量%を挙げることができる。
【0013】
本発明に用いられる液状油としては、常温で液状であれば特に制限はないが動物油、植物油、合成油のいずれであってもよい。液状油分の具体例としては、トリエチルヘキサノイン、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、ダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ジグリセリル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、ホホバ油等のエステル類;揮発性イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、重質流動イソパラフィン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類;オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類;イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類;低重合度ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルトリメチコン、カプリリルトリメチコン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;等を挙げることができる。
【0014】
油性クレンジング化粧料に含有される液状油の量としては、35~96.9質量%を挙げることができ、好ましくは38~95質量%、より好ましくは40~90質量%を挙げることができる。
【0015】
本発明に用いられる非イオン性界面活性剤としては、油性クレンジング化粧料に含有される他の成分を安定して分散できるものであれば特に制限はないが、例えば、HLBが5~15のものを挙げることができる。ここで「HLB値が5~15の範囲にある非イオン性界面活性剤」とは、HLB値が5~15の範囲にある1種の非イオン性界面活性剤であるか、その範囲のHLB値を有する複数の非イオン性界面活性剤の組合せであるか、またはHLB値が異なる2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせた結果としてその加重平均のHLB値が5~15の範囲になる複数の非イオン性界面活性剤の組合せであることを意味する。
【0016】
なお、HLBとは親水性と親油性のバランスを0~20までの値で示す指標であり、0に近づくほど親油性が高く、20に近づくほど親水性が高いことを示している。HLB値の算出法としては種々の計算法が知られている他、製造元から提供されるカタログ等にその値が記載されている。本明細書においては、非イオン性界面活性剤のHLB値は、非イオン性界面活性剤が市販品である場合には、メーカーカタログ記載のHLB値を採用しており、また、市販品ではない場合には、「界面活性剤便覧」第307頁(産業図書株式会社出版、1960年発行)に記載されているグリフィン(Griffin)の方法(HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量)により算出した数値を採用している。
【0017】
非イオン性界面活性剤のHLB値が5以上の場合は、肌の上でメイクをクレンジング化粧料になじませた後に水またはぬるま湯で洗い流す際、水とのなじみがよいためにきれいに洗い流すことができ、洗い流し後のさっぱり感が得られやすい。また、HLB値が15を未満で場合には、疎水性のメイクをクレンジング化粧料になじませることができ、十分なメイク落ちとなる。中でも、HLB値が6~13の範囲、より好ましくは7~12にあると、メイク落ちおよび洗い流しやすさが良好である。(C)成分の非イオン性界面活性剤は、固体状、液状のいずれでもよいが、25℃で液状の非イオン性界面活性剤を使用するとメイク落ちおよび洗い流しやすさの点でより優れた性能が得られる。
【0018】
(C)成分として用いる非イオン性界面活性剤、および組み合わせて用いることによりHLB値が上記範囲に入る非イオン性界面活性剤の具体例としては、カプリン酸ポリグリセリル-2、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、モノオレイン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、モノオレイン酸ポリグリセリル-2、セスキオレイン酸ポリグリセリル-2、ジステアリン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ステアリン酸PEG-2、ステアリン酸PEG-5等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;セテス-2、オレス-3、ステアレス-6等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ステアリン酸ステアレス-6、イソステアリン酸ラウレス-8、ステアリン酸ステアレス-12等の脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル;イソステアリン酸PEG-3グリセリル、トリステアリン酸PEG-15グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-5グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、トリステアリン酸PEG-20グリセリル等のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル; イソステアリン酸PEG-15水添ヒマシ油、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油等の脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;等が挙げられる。その他にもソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマーと長鎖アルコールとのエーテル、ポリブチレングリコールポリグリセリンコポリマーと長鎖アルコールのエーテル等を挙げることができる。中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、メイク落ちおよび洗い流しやすさの観点から好ましく用いられる。
【0019】
(C)成分として用いる非イオン性界面活性剤が分子中に脂肪酸残基を有する場合、その脂肪酸残基としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等のような炭素数10~22の高級脂肪酸の残基であることが好ましく、中でも非イオン性界面活性剤の性状が液状となり、耐酸化安定性に優れる分岐高級脂肪酸の残基であることが好ましく、特にイソステアリン酸残基が好ましい。
【0020】
(C)成分として用いる25℃で液状の非イオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、サンソフトQ-10D-C(カプリン酸ポリグリセリル-2;太陽化学社製;HLB値9.5)、サンソフトQ-17B-C(セスキオレイン酸ポリグリセリル-2;太陽化学社製;HLB値 5.3)、SYグリスターMO-5S(阪本薬品工業社製;HLB値11.6)、エマレックスRWIS-320(トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油;日本エマルジョン社製;HLB値6)、エマレックスGWIS-305(トリイソステアリン酸PEG-5グリセリル;日本エマルジョン社製;HLB値3)、ユニオックスGT-20IS(トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル;日油社製;HLB値10.4)等があり、また、25℃で固体状の市販品としては、例えば、エマレックスGWS-320(トリステアリン酸PEG-20グリセリル;日本エマルジョン社製;HLB値8)、エマレックスSWS-12(ステアリン酸ステアレス-12;日本エマルジョン社製;HLB値8)、エマレックス608(ステアレス-8;日本エマルジョン社製;HLB値9)等がある。なお、エマレックスGWIS-305は、HLB値が低いため、他の非イオン性界面活性剤と組み合わせて用いられる。
【0021】
油性クレンジング化粧料に含有される非イオン性界面活性剤の量としては、2~40質量%を挙げることができ、好ましくは5~35質量%、より好ましくは8~30質量%を挙げることができる。
【0022】
本発明に用いられる有機変性粘土鉱物としては、化粧料に通常使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、ヘクトライト、モンモリロナイト、サポナイト、ベントナイト、スメクタイト等の公知の粘土を、有機カチオンで処理したものが挙げられる。より具体的にはクオタニウム-90ベントナイト、クオタニウム-18ベントナイト、ジステアルジモニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト等を挙げることができ、特に、クオタニウム-90ベントナイト、クオタニウム-18ヘクトライトが好ましい。
【0023】
油性クレンジング化粧料に含有される有機変性粘土鉱物の量としては、0.01~15質量%を挙げることができ、好ましくは0.05~13質量%、より好ましくは0.08~12質量%を挙げることができる。
【0024】
本発明の油性クレンジング化粧料は、チューブやポンプ容器から取り出すのに適度な硬度であることが好ましい。具体的には、レオメーター(5mmφ、200gレンジ、テーブルスピード:2cm/min)で30℃において測定した際の、針入距離4mm~9mmにおける最大値と最小値の平均値が30~90gfであることが好ましい。
【0025】
本発明の油性クレンジング化粧料には、上記成分のほか、通常の油性クレンジング化粧料に用いられる他の成分を含有することができる。
【0026】
本発明の油性クレンジング化粧料は、常法により製造することができるが、例えば、固形油の融点以上の温度で各成分を混合、撹拌し、均一となったところで溶融状態のまま、ジャー容器、チューブ容器、ポンプ容器に充填することが好ましい。
【実施例0027】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0028】
表1、表2に示す内容にて油性クレンジング化粧料を製造した。得られた油性クレンジング化粧料につき、以下の項目につき評価を行った。結果を表1、表2に併せて示す。
【0029】
(硬度)
試料を90℃で加熱溶解し、内径40mmφのステンレス製容器に注ぎ、25℃の恒温槽中で一夜放冷し、下記の方法で、硬度(gf)を測定した。
サンレオメーターCR-100(サン科学社製)を使用し、最大応力200Gレンジで、5mmφ円盤針アダプターを用い、針入速度20mm/min.で針入させ、針入深さ4~9mmにおける最大値と最小値の平均値を硬度とした。
【0030】
(チューブの出しやすさ、塗布時の滑らかさ、マッサージ性、洗い流し性)
化粧経験のある女性評価パネル10名が市販のパウダーファンデーション(セザンヌ化粧品社製、セザンヌUVファンデーションEXプラス)を肌に塗布した後、評価用のサンプルでクレンジングを行い、各項目について下記(1)に示す評価基準に基づき1~5の5段階で評点を付けた。評価者10名の評点の平均値を算出し、下記(2)に示す4段階判定基準によりクレンジング化粧料としての性能を判定した。
【0031】
(1)評価基準
5点:良い
4点:やや良い
3点:どちらとも言えない
2点:やや悪い
1点:悪い
【0032】
(2)4段階判定基準
A:平均点が4以上5以下
B:平均点が3以上4未満
C:平均点が2以上3未満
D:平均点が2未満
【0033】
(安定性)
試料を調製後、90℃に溶解した後、逆止弁チューブ容器(口径30mm、スリーブ長80mm、穴径3mmφ、内層LDPE、中間層EVOH、外層HDPE積層材質)に充填する。常温(25℃)とした後、5回チューブ容器を揉み、チューブから出して状態を確認する。その後40℃の恒温槽にて保管し14日後および28日後のタイミングで同様に5回揉んでから系の状態を目視で観察し、下記の判定基準で判定した。
A:28日後でも油分の離しょうが確認されない。
B:14日後では問題がないが、28日後に油分の離しょうが確認される。
C:14日後に油分の離しょうが確認される。
D:直後から油分が離しょうする。
【0034】
【0035】
【0036】
表1および表2の結果から、本発明の油性クレンジング化粧料は、チューブ出しやすさ、塗布時の滑らかさ、マッサージ性、洗い流し性といった、クレンジング化粧料としての性能に優れるとともに、チューブから出しやすいという使用性にも優れ、経時による離獎も起こさない安定性にも優れるものであることが分かった(実施例1、2)。これに対し、有機粘土鉱物を含まない場合は、安定性が劣るものとなり(比較例1)、有機粘土鉱物以外の油相増粘剤を用いた場合も同様に安定性が劣るものとなった(比較例2~6)。また、有機粘土鉱物以外の油相増粘剤を用いると、塗布時の滑らかさ、マッサージ性、洗い流し性などのクレンジング化粧料としての性能そのものも劣ることとなるものもあった。
【0037】
【0038】
【0039】
表3および表4の結果から、本発明の油性クレンジング化粧料は、チューブ出しやすさ、塗布時の滑らかさ、マッサージ性、洗い流し性といった、クレンジング化粧料としての性能に優れるとともに、チューブから出しやすいという使用性に優れるとともに、経時による離獎も起こさない安定性にも優れるものであることが分かった(実施例3~9)。これに対し、固形油の配合量が過度に少ない場合は(比較例7)、チューブ仕様に耐えうる硬度を得ることができず、マッサージ性や安定性も劣るものとなり、固形油の配合量が過度に多い場合には、チューブから出しにくくなるとともに、塗布時の滑らかさ、マッサージ性に劣るものとなった。また、界面活性剤のHLB(加重平均値)が5未満の場合は(比較例9)、洗い流し性に劣ることとなり、クレンジング化粧料としての性能が劣ることとなった。