(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172519
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】リフィル
(51)【国際特許分類】
B27F 7/38 20060101AFI20241205BHJP
B25C 5/16 20060101ALI20241205BHJP
B27F 7/36 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B27F7/38
B25C5/16
B27F7/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090294
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】進藤 拓志
(72)【発明者】
【氏名】亀田 太志
(72)【発明者】
【氏名】岸 和彦
【テーマコード(参考)】
3C054
3C068
【Fターム(参考)】
3C054CA00
3C054CB04
3C054CC06
3C054CD05
3C054CD12
3C068AA04
3C068AA07
(57)【要約】
【課題】ブロッキングを抑制可能なリフィルを提供すること。
【解決手段】本開示に係るリフィルは、底壁と、第1側壁と、第2側壁と、排出口が形成された前壁とを備える。第1側壁は、積層方向の一部において、針の連結方向に延在し、かつ、軸方向に傾斜する第1傾斜壁を含み、第2側壁は、積層方向の一部において、針の連結方向に延在し、かつ、軸方向に傾斜する第2傾斜壁を含み、第1傾斜壁及び第2傾斜壁は、同じ方向に傾斜し、かつ、少なくとも一部が積層方向において底壁の底面から同じ高さに形成されている。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延伸する複数の針を前記軸方向と直交する方向に連結してなる針シートと、
複数枚の前記針シートが積層されて載置される底壁と、
積層された前記針シートの前記軸方向の一方の端部と対向して、前記底壁から前記積層方向に立設する第1側壁と、
積層された前記針シートの前記軸方向の他方の端部と対向して、前記底壁から前記積層方向に立設する第2側壁と、
前記針の連結方向における前記第1側壁の端部と、前記針の連結方向における前記第2側壁の端部とを連結し、前記針シートを前記針の連結方向に排出するための排出口が形成された前壁と
を備え、
前記第1側壁は、前記積層方向の一部において、前記針の連結方向に延在し、かつ、前記軸方向に傾斜する第1傾斜壁を含み、
前記第2側壁は、前記積層方向の一部において、前記針の連結方向に延在し、かつ、前記軸方向に傾斜する第2傾斜壁を含み、
前記第1傾斜壁及び前記第2傾斜壁は、同じ方向に傾斜し、かつ、少なくとも一部が前記積層方向において前記底壁の底面から同じ高さに形成されている
リフィル。
【請求項2】
前記積層方向において前記底壁に向かう方向を下方、その反対方向を上方としたとき、
前記第1傾斜壁は、前記下方に向けて前記第2側壁に接近する方向に傾斜し、
前記第1傾斜壁上端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さは、前記第2傾斜壁上端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さより小さく、かつ、前記第1傾斜壁下端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さは、前記第2傾斜壁下端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さより小さい
請求項1に記載のリフィル。
【請求項3】
前記第1側壁は、前記底壁から前記積層方向に立設して形成された第1下部側壁と、前記第1下部側壁の前記上方に位置し前記第1下部側壁と連続して形成された前記第1傾斜壁と、前記第1傾斜壁の前記上方に位置し前記第1傾斜壁と連続して前記積層方向に延伸して形成された第1上部側壁とを含む
請求項2に記載のリフィル。
【請求項4】
前記第1傾斜壁上端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さと、前記第2傾斜壁上端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さとの差は、一枚の前記針シートの厚さ以上であり、かつ、前記第1傾斜壁下端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さと、前記第2傾斜壁下端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さとの差は、一枚の前記針シートの厚さ以上である
請求項3に記載のリフィル。
【請求項5】
前記第1下部側壁の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さは、一枚の前記針シートの厚さの半分以上である
請求項4に記載のリフィル。
【請求項6】
前記第1傾斜壁は、前記第1下部側壁に対して10度以上30度以下の角度で傾斜する
請求項5に記載のリフィル。
【請求項7】
前記第1傾斜壁は、前記積層方向において前記排出口よりも前記上方に位置する
請求項6に記載のリフィル。
【請求項8】
底壁と、
前記底壁から第1方向に立設する第1側壁と、
前記第1側壁と対向して前記底壁から前記第1方向に立設する第2側壁と、
前記第1方向と直交する第2方向における前記第1側壁の端部と、前記第2方向における前記第2側壁の端部とを連結し、前記第1方向と反対方向である第3方向において前記底壁と隣接する位置に前記底壁上に載置される針シートを前記第2方向に排出するための排出口が形成された前壁と
を備え、
前記第1側壁は、前記第1方向の一部において、前記第2方向に延在し、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第4方向に傾斜する第1傾斜壁を含み、
前記第2側壁は、前記第1方向の一部において、前記第2方向に延在し、かつ、前記第4方向に傾斜する第2傾斜壁を含み、
前記第1傾斜壁及び前記第2傾斜壁は、同じ方向に傾斜し、かつ、少なくとも一部が前記積層方向において前記底壁の底面から同じ高さに形成されている
リフィル。
【請求項9】
前記第1側壁は、前記第3方向に向けて前記第2側壁に接近する方向に傾斜し、
前記第1傾斜壁上端の前記第1方向における前記底壁の底面からの高さは、前記第2傾斜壁上端の前記第1方向における前記底壁の底面からの高さより小さく、かつ、前記第1傾斜壁下端の前記第1方向における前記底壁の底面からの高さは、前記第2傾斜壁下端の前記第1方向における前記底壁の底面からの高さより小さい
請求項8に記載のリフィル。
【請求項10】
前記第1側壁は、前記底壁から前記第1方向に立設して形成された第1下部側壁と、前記第1下部側壁に対して前記第1方向に進行した位置に前記第1下部側壁と連続して形成された前記第1傾斜壁と、前記第1傾斜壁に対して前記第1方向に進行した位置に前記第1傾斜壁と連続して前記第1方向に延伸して形成された第1上部側壁とを含む
請求項9に記載のリフィル。
【請求項11】
前記第1傾斜壁上端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さと、前記第2傾斜壁上端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さとの差は、一枚の前記針シートの厚さ以上であり、かつ、前記第1傾斜壁下端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さと、前記第2傾斜壁下端の前記積層方向における前記底壁の底面からの高さとの差は、一枚の前記針シートの厚さ以上である
請求項10に記載のリフィル。
【請求項12】
前記第1下部側壁の前記第1方向における前記底壁の底面からの高さは、一枚の前記針シートの厚さの半分以上である
請求項11に記載のリフィル。
【請求項13】
前記第1傾斜壁は、前記第1下部側壁に対して10度以上30度以下の角度で傾斜する
請求項12に記載のリフィル。
【請求項14】
前記第1傾斜壁は、前記排出口に対して前記第1方向に進行した位置に形成される
請求項13に記載のリフィル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、針シートを収容するリフィルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステープル処理(用紙綴じ処理)を自動で行う電動ステープラが広く利用されている。電動ステープラとしては、例えば、複写機やプリンタ等の画像形成装置の下流工程に設置される後処理装置(フィニッシャ)に内蔵されるものや、卓上型(単体)のものが知られている。
【0003】
一般的な電動ステープラは、カートリッジが装着される本体とを備えている。カートリッジには、略真直に延伸する複数の針を延伸方向(軸方向)とは直交する方向に並列に連結してなる針シートを積層して収容するリフィルが交換可能に装填(装着)される(例えば、特許文献1~5)。
【0004】
電動ステープラは、ステープル処理の開始に伴い、リフィルに収容された針シートを送出し部に順次送り出し、送出し部に送られた針シートの先端に位置する針をフォーミングプレートで例えばU字状に成形する。その後、成形された針をドライバによって用紙に打ち込み、用紙を貫通した針をクリンチして(折り曲げて)ステープル処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-89322号公報
【特許文献2】特開2004-237446号公報
【特許文献3】国際公開WO2004/069487号明細書
【特許文献4】特開2013-86284号公報
【特許文献5】実願平03-33409号(実開平04-122474号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなリフィルにおいて上下の針シート同士が貼りついてしまうブロッキングが発生することがある。ブロッキングが発生すると、針シートをうまく送り出すことができなくなってしまう場合がある。
【0007】
そこで本開示は、針シート同士の貼りつき(ブロッキング)を抑制可能なリフィルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は、針シートのリフィルを開示する。針シートは、軸方向に延伸する複数の針を前記軸方向と直交する方向に連結して構成される。リフィルは、複数枚の前記針シートが積層されて載置される底壁と、積層された前記針シートの前記軸方向の一方の端部と対向して、前記底壁から前記積層方向に立設する第1側壁と、積層された前記針シートの前記軸方向の他方の端部と対向して、前記底壁から前記積層方向に立設する第2側壁と、前記針の連結方向における前記第1側壁の端部と、前記針の連結方向における前記第2側壁の端部とを連結し、前記針シートを前記針の連結方向に排出するための排出口が形成された前壁とを備える。加えて前記第1側壁は、前記積層方向の一部において、前記針の連結方向に延伸し、かつ、前記軸方向に傾斜する第1傾斜壁を含む。
【0009】
また、前記第2側壁は、前記積層方向の一部において、前記針の連結方向に延伸し、かつ、前記軸方向に傾斜する第2傾斜壁を含んでよい。
【0010】
また、前記第1傾斜壁及び前記第2傾斜壁は、同じ方向に傾斜し、かつ、少なくとも一部が前記積層方向において前記底壁の底面から同じ高さに形成されてよい。
【0011】
さらに本出願は、針シートを収容可能に構成されたリフィルを開示する。リフィルは、底壁と、前記底壁から第1方向に立設する第1側壁と、前記第1側壁と対向して前記底壁から前記第1方向に立設する第2側壁と、前記第1方向と直交する第2方向における前記第1側壁の端部と、前記第2方向における前記第2側壁の端部とを連結し、前記第1方向と反対方向である第3方向において前記底壁と隣接する位置に前記底壁上に載置される針シートを前記第2方向に排出するための排出口が形成された前壁とを備える。前記第1側壁は、前記第1方向の一部において、前記第2方向に延伸し、かつ、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第4方向に傾斜する第1傾斜壁を含む。
【0012】
また、前記第2側壁は、前記第1方向の一部において、前記第2方向に延伸し、かつ、前記第4方向に傾斜する第2傾斜壁を含んでよい。
【0013】
また、前記第1傾斜壁及び前記第2傾斜壁は、同じ方向に傾斜し、かつ、少なくとも一部が前記積層方向において前記底壁の底面から同じ高さに形成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1Aは、一実施形態に係る針シートの平面図である。
【
図1B】
図1Bは、一実施形態に係る針シートの平面図の部分拡大図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態に係る針シートの正面図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態に係る針シートの側面図である。
【
図3A】
図3Aは、一実施形態に係るリフィルの斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、一実施形態に係るリフィルの斜視図である。
【
図3C】
図3Cは、一実施形態に係るリフィルの斜視図である。
【
図3D】
図3Dは、一実施形態に係るリフィルの斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施形態に係るリフィルの平面図である。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態に係るリフィルの断面図である。
【
図5A】
図5Aは、一実施形態に係るリフィルの正面図及び背面図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施形態に係るリフィルの底面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るリフィルの左側面図及び右側面図である。
【
図7A】
図7Aは、一実施形態に係るリフィルの断面を示す模式図である。
【
図7B】
図7Bは、比較構成に係るリフィルの断面を示す模式図である。
【
図8A】
図8Aは、一実施形態に係るリフィルの斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、一実施形態に係るリフィルの断面図である。
【
図8C】
図8Cは、一実施形態に係るリフィルの断面図である。
【
図8D】
図8Dは、一実施形態に係るリフィルの断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係るリフィル及びカートリッジの水平断面図である。
【
図10A】
図10Aは、一実施形態に係るリフィル及びカートリッジの垂直断面図である。
【
図10B】
図10Bは、一実施形態に係るリフィル及びカートリッジの垂直断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態に係るリフィル及びカートリッジの斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、一実施形態に係るリフィル及びカートリッジの垂直断面図である。
【
図12B】
図12Bは、一実施形態に係るリフィル及びカートリッジの垂直断面図である。
【
図14】
図14は、一実施形態に係るリフィルの変形例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、一実施形態に係るリフィル、カートリッジ及び電動ステープラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。
【0016】
なお、便宜上、リフィルに収容されていた針シートが排出される方向を前方(
図3等におけるX軸の正方向)と呼び、反対方向を後方と呼び、前後方向と総称する場合がある。またリフィルの底壁から上蓋部に向かう方向を上方(
図3等におけるZ軸の正方向)と呼び、反対方向を下方と呼び、上下方向と総称する場合がある。また前方から見て右の方向を右方(
図3等におけるY軸の正方向)と呼び、反対方向を左方と呼ぶ場合がある。これら方向の名称は、相対的な位置関係を示す便宜的なものであり絶対的な方向を示すものではない。
【0017】
[針シートの構成]
図1A及び
図1Bは本実施形態に開示される針シートSSを上方から見た平面図及び同図における針シートSSの角部AR1の拡大図である。
図2Aは、針シートSSを前方から見た正面図及び同図における針シートSSの端部AR2の拡大図である。
図2Bは、針シートSSを右方から見た右側面図及び同図における針シートSSの前端部AR3の拡大図である。
【0018】
これら図面に示されるように針シートSSは、一方向に延伸する針Sを延伸方向と直交する方向に連結して形成される(以下、針の軸AXが延伸する延伸方向を「軸方向AD」と呼び、軸方向ADに直角で、連結されている隣の針が存在する方向を「連結方向CD」と呼び、軸方向AD及び連結方向CDに直交する方向を「高さ方向HD」と呼ぶ場合がある。)。
【0019】
図2Aの正面図及び
図2Bの右側面図等に示されるように、各針Sは、正面視においても、側面視においても、上下対称に形成されている。また、
図1B等及び
図2A等に示されるように、各針Sの軸方向ADにおける両端部は、高さ方向HDの中間位置において連結方向CDに延在し軸方向ADに突出する先端を有する。
【0020】
また
図1A等及び
図2B等に示されるように、各針Sは、連結方向CDの幅が高さよりも大きくなるように形成されており、平坦な上面及び下面と、上面と下面とを接続し高さ方向の中間位置において最も幅が大きくなるように傾斜する2つの側面とを有する。
【0021】
一枚の針シートSSは、軸方向ADと直交する連結方向CDに連結された複数の針Sから構成されており、平面視において2つの短辺と2つの長辺とを有する矩形状に形成される。針シートSSの短辺の長さSSLは一本の針Sの軸方向の長さSLに相当し(
図2A)、例えば、10~30mmである。針シートSSの長辺の長さSSWは、一本の針Sの連結方向の幅SWに針の連結数(例えば、100~200本)を乗じた値に相当し(
図2B)、例えば、30~50mmである。針シートSSの厚みSSHは、一本の針Sの高さSHに相当し、例えば、0.1~1mmである。
【0022】
リフィル10内において各針シートSSは連結方向CDが前後方向(X軸方向)と一致し、軸方向ADが左右方向(Y軸方向)と一致するように載置され、複数の針シートSSは上下方向(Z軸方向)に積層される。このため、上下方向を積層方向と呼ぶ場合がある。
【0023】
[リフィルの基本構成]
図3Aは本実施形態に係るリフィル10を左側の前方から見た斜視図であり、
図3Bはリフィル10を右側の後方から見た斜視図である。
図3Cは全ての針シートSSが消費されリフィル10内に針シートSSが存在しない状態におけるリフィル10を右側の前方から見た斜視図であり、
図3Dは上蓋部30が取り外された状態におけるリフィル10を左側の前方から見た斜視図である。
図4A及び
図4Bは、リフィル10を上方から見た平面図及び同図のA-A断面における断面図である。
図5Aはリフィル10を前方から見た正面図及び後方から見た背面図であり、
図5Bはリフィル10を下方から見た底面図である。
図6はリフィル10を左方及び右方から見た左側面図及び右側面図である。
【0024】
これら図面に示されるようにリフィル10は、針シートSSを積層された状態で収容するための本体部20と、本体部20に収容された最上層の針シートSSを上方から覆う上蓋部30とを備える。
【0025】
本体部20は、底壁20B、左側壁20L、右側壁20R、前壁20F及び後壁20RWという5つの壁部を備える。針シートSSは、これら5つの壁部及び上蓋部30で囲まれる領域に収容される。なお後述するように各壁部には開口が形成されてもよい。また壁部同士は別体に形成されてもよいし一体的に形成されてもよい。例えば、底壁20Bと左側壁20L(又は右側壁20R)は、異なる部材を接着材等の手段を用いて接着等することにより形成されてもよいし、一体成形その他の手段を用いて形成されてもよい。さらに各壁部はそれぞれ一、または、複数の部品から構成されてもよい。例えば前壁20Fと底壁20Bは、一体成形された樹脂から構成されてもよい。
【0026】
底壁20B(
図5B)は、一枚若しくは複数枚の針シートSSが積層されて載置されるための壁部であり、最下層の針シートSSが接触する底面20BS(
図3D)を有する。したがって底壁20Bの底面20BSは、針シートSSを載置可能に形成されている。本実施形態の針シートSSは、上述したように長辺と短辺とを有する矩形状に形成されるため、底壁20Bの底面20BSは、平面視において、前端、後端、左端及び右端を有する略矩形状に形成される。また底壁20Bには、
図5に示されるように、前端に連通し後方に延伸する開口を含む複数の開口が形成されている。この開口によって露出する最下層の針シートSSに、電動ステープラSPが備える送り手段(例えば、爪またはローラ等)を下方から係合させて前方に向かう力を作用させることにより、最下層の針シートSSを前方に移動させることが可能となる。
【0027】
さらに本実施形態における底壁20Bは、付加的に、カートリッジCに装着されていない状態においては針シートSSを前方に排出するための開口20FOの前方に位置することにより針シートSSの前方への移動、すなわち針シートSSが開口20FOから排出されるのを規制し、カートリッジCに装着されている状態においては下方に退避することにより針シートSSの前方への移動を許容する前端部20ST(「針シートストッパー20ST」と呼ばれる場合がある。)を備えている。前端部20STの構成については後述する。
【0028】
右側壁20R(「第1側壁」の一例。
図6)は、針シートSSの軸方向ADの一方の端部に対向する位置に設けられた壁部であり、底壁20Bの右方端部から上方(積層方向)に立設して形成されている。右側壁20Rは、針シートSSが積層されて底壁20B上に載置されたとき、積層された各針シートSSの軸方向ADの一方の端部と対向する内壁面20RS(
図4B)を有する。換言すると、右側壁20Rの内壁面20RSは、針シートSSを介して、左側壁20Lの内壁面20LSと対向する。
【0029】
図4Bの断面図に示されるように右側壁20Rは、積層方向の一部において、軸方向ADに傾斜する第1傾斜壁20R1を有する。本実施形態において右側壁20Rの第1傾斜壁20R1は、底壁20Bから離間するほど(上方に進行するほど)左側壁20Lから離間する方向(右方)に傾斜する。換言すると、第1傾斜壁20R1は、底壁20Bに接近するほど(下方に進行するほど)左側壁20Lに接近する方向(左方)に傾斜する。また第1傾斜壁20R1は、前後方向(連結方向)に延在する(
図3B)。
【0030】
右側壁20Rはさらに、積層方向の他の一部において、積層方向に延伸する壁部を有する。本実施形態において右側壁20Rは、積層方向に延伸する壁部として、第1傾斜壁20R1の下方に設けられ底壁20Bと接続する右下部側壁20RL(「第1下部側壁」の一例)と、第1傾斜壁20R1の上方に設けられる右上部側壁20RU(「第1上部側壁」の一例)とを備える。このため右側壁20Rは、下方から右下部側壁20RL、第1傾斜壁20R1及び右上部側壁20RUを備える。本実施形態において、右下部側壁20RL及び右上部側壁20RUは、底壁20Bの底面20BSと垂直又は略垂直に設けられる。
【0031】
また右側壁20Rには、右上部側壁20RUの一部、第1傾斜壁20R1及び右下部側壁20RLに亘って上下方向に延在して形成され、底壁20Bに連通する開口20ROが形成される。後述するようにこの開口20ROに上蓋部30の第1蓋凸部30P1を挿入することにより、針シートSSの消費に伴う上蓋部30の下方への移動をガイドすることが可能となる。加えて後述するように、第1蓋凸部30P1は、第1傾斜壁20R1に形成された開口20ROから突出するように構成されている。一方でリフィル10が挿入されるカートリッジCは、第1傾斜壁20R1から突出する第1蓋凸部30P1の後方向への移動を規制するリフィルのストッパーCS(
図10B)を備えている。このような構成により、リフィル10がカートリッジCから外れてしまうことを抑制することが可能となる。
【0032】
さらに右側壁20Rは、リフィル10内に針シートSSが残存している状態においてはカートリッジと係合してカートリッジからの分離を禁止し、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態においては、カートリッジからの分離を許容するカートリッジ係合右壁部20REを備えている。カートリッジ係合右壁部20REの構成については後述する。
【0033】
なお、積層方向の一部において、軸方向ADに傾斜する第1傾斜壁20R1を有すれば、右下部側壁20RLは設けられなくてもよい。この場合右側壁20Rは、底壁20Bに接続する第1傾斜壁20R1及び第1傾斜壁20R1の上方に設けられる右上部側壁20RUを備える。
【0034】
また、第1傾斜壁20R1は、前壁20Fから後壁20RWまで形成される必要はなく、前壁20Fと後壁20RWとの間の一部の領域に設けられてもよい。一部の領域に設けられていても、第1傾斜壁20R1が針シートSSと接触することにより、針シートSSの位置を規制することが可能となる。
【0035】
また、右側壁20Rは、前壁20Fから後壁20RWにわたって底壁20Bと接続している必要はない。例えば、底壁20Bと右側壁20Rとの境界に開口を形成し、底壁20Bと右側壁20Rとが一部の領域においてのみ接続するように底壁20B及び右側壁20Rを形成してもよい。
【0036】
第1傾斜壁20R1を設ける高さ、第1傾斜壁20R1の傾斜角度及び上部側壁と下部側壁の変位量等に関する好ましい構成については後述する。
【0037】
左側壁20L(「第2側壁」の一例。
図6)は、針シートSSの軸方向ADの他方の端部に対向する位置に設けられた壁部であり、底壁20Bの左方端部から上方(積層方向)に立設して形成されている。左側壁20Lは、針シートSSが積層されて底壁20B上に載置されたとき、積層された各針シートSSの軸方向ADの他方の端部と対向する内壁面20LS(
図4B)を有する。換言すると、左側壁20Lの内壁面20LSは、針シートSSを介して、右側壁20Rの内壁面20RSと対向する。
【0038】
図4Bの断面図に示されるように左側壁20Lは、積層方向の一部において、軸方向ADに傾斜する第2傾斜壁20L2を有する。本実施形態において左側壁20Lの第2傾斜壁20L2は、底壁20Bから離間するほど(上方に進行するほど)右側壁20Rに接近する方向(右方)に傾斜する。換言すると第2傾斜壁20L2は、底壁20Bに接近するほど(下方に進行するほど)右側壁20Rから離間する方向(左方)に傾斜する。また
図3Aに示されるように第2傾斜壁20L2は、前後方向(連結方向CD)に延在する。
【0039】
左側壁20Lはさらに、積層方向の他の一部において、積層方向に延伸する壁部を有する。本実施形態において左側壁20Lは、積層方向に延伸する壁部として、第2傾斜壁20L2の下方に設けられ底壁20Bと接続する左下部側壁20LL(「第2下部側壁」の一例)と、第2傾斜壁20L2の上方に設けられる左上部側壁20LU(「第2上部側壁」の一例)とを備える。このため左側壁20Lは、下方から左下部側壁20LL、第2傾斜壁20L2及び左上部側壁20LUを備える。本実施形態において、左下部側壁20LL及び左上部側壁20LUは、底壁20Bの底面20BSと垂直又は略垂直に設けられる。
【0040】
また左側壁20Lには、左上部側壁20LUの一部、第2傾斜壁20L2及び左下部側壁20LLに亘って上下方向に延在して形成され、底壁20Bに連通する開口20LOが形成される。後述するようにこの開口20LOに上蓋部30の第2蓋凸部30P2を挿入することにより、針シートSSの消費に伴う上蓋部30の下方への移動をガイドすることが可能となる。
【0041】
さらに左側壁20Lは、リフィル10内に針シートSSが残存している状態においてはカートリッジCと係合してカートリッジCからの分離を禁止し、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態においては、カートリッジCからの分離を許容するカートリッジ係合左壁部20LEを備えている。カートリッジ係合左壁部20LEの構成については後述する。
【0042】
なお、積層方向の一部において、軸方向ADに傾斜する第2傾斜壁20L2を有すれば、左下部側壁20LLは設けられなくてもよい。この場合左側壁20Lは、底壁20Bに接続する第2傾斜壁20L2及び第2傾斜壁20L2の上方に設けられる左上部側壁20LUを備える。
【0043】
また、第2傾斜壁20L2は、前壁20Fから後壁20RWまで形成される必要はなく、前壁20Fと後壁20RWとの間の一部の領域に設けられてもよい。
【0044】
また、左側壁20Lは、前壁20Fから後壁20RWにわたって底壁20Bと接続している必要はない。例えば、底壁20Bと左側壁20Lとの境界に開口を形成し、底壁20Bと左側壁20Lとが一部の領域においてのみ接続するように底壁20B及び左側壁20Lを形成してもよい。
【0045】
第2傾斜壁20L2を設ける高さ、第2傾斜壁20L2の傾斜角度、第2傾斜壁20L2の長さ等については後述する。
【0046】
以上述べたように、また、
図4B等に示されるように、第1傾斜壁20R1及び第2傾斜壁20L2は、同じ方向に傾斜する。このため、第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sと第2傾斜壁20L2の内壁面20L2Sとの間に、針シートSSの短辺の長さSSL以上の間隔を設けることが可能となる。
【0047】
ただし後述するように、第1傾斜壁20R1の傾斜角度と第2傾斜壁20L2の傾斜角度は、同一でなくてよい。また、第1傾斜壁20R1を設ける位置(底壁20Bの底面20BSからの高さ)と第2傾斜壁20L2を設ける位置(底壁20Bの底面20BSからの高さ)は、同一でなくてよい。ただし、第1傾斜壁20R1の少なくとも一部と、第2傾斜壁20L2の少なくとも一部は、底壁20Bの底面20BSから同じ高さに形成されている。さらに、第1傾斜壁20R1の長さと第2傾斜壁20L2の長さとは、同一でなくてよい。
【0048】
前壁20Fは、底壁20Bの前方端部の上方に設けられる。このため前壁20Fは、積層されている各針シートSSの最も前方に位置する各針Sの前方を向いた側面と対向する内壁面を有する。
【0049】
前壁20Fには、積層されている針シートSSのうち、最下層に位置し、底壁20Bの底面20BSと接触する針シートSSを前方(針シートSSの連結方向)に排出するための開口20FO(「排出口20FO」と呼ばれる場合がある。)が形成されている。従って開口20FOは、左右方向において、針シートSSの軸方向ADの長さである長さSSLより大きい長さを有し、上下方向において、針シートSSの厚みSSHより大きい高さを有する。なお開口20FOは、針シートSSを前方(針シートSSの連結方向)に排出可能に形成されていればよく、したがって排出される針シートSSの前方の領域に壁部が形成されていなければよい。例えば開口20FOは、前壁20Fにより全周が包囲されるように形成されてもよい。あるいは開口20FOは、前壁20Fの下端部の一部または全部を、上方に窪ませることにより形成されてもよい。
【0050】
なお上述したように本実施形態に係るリフィル10は、カートリッジCに装着されていない状態において開口20FOの前方に位置することにより、針シートSSのストッパーとして機能する前端部20STを備えている。このためカートリッジCに装着されていない状態のリフィル10の正面図(
図6)において、開口20FOの一部は、底壁20Bから上方に延伸する前端部20STによって閉塞されている。
【0051】
また前壁20Fには、上下方向に延在して前壁20Fの上端に連通する開口20FOPが形成されている。このような開口20FOPを形成することによって、リフィル10の上蓋部30を下方に押圧するカートリッジCの付勢部材CSPが開口を通過するように、リフィル10を後方に引き抜いてカートリッジCから分離することが可能となる。また、この開口20FOPに上蓋部30の第4蓋凸部30P4を挿入することにより、針シートSSの消費に伴う上蓋部30の下方への移動をガイドすることが可能となる。
【0052】
本実施形態において前壁20Fの左方端部は左側壁20Lの前方端部(連結方向前端部)と連結し、前壁20Fの右方端部は右側壁20Rの前方端部(連結方向前端部)と連結する。また、本実施形態において前壁20Fは、底壁20Bと垂直に設けられており、したがって前壁20Fの内壁面は、底壁20Bの底面20BSと垂直に形成されている。ただし前壁20Fまたは前壁20Fの内壁面は、底壁20Bの底面20BSに対し傾斜して形成されてもよく、例えば、底面20BSから離間して上方へ進行するほど後方に進行するように傾斜して形成されてもよいし、あるいは、底面20BSから離間して上方へ進行するほど前方に進行するように傾斜して形成されてもよい。
【0053】
後壁20RWは、底壁20Bの後方端部の上方に設けられる。このため後壁20RWは、積層されている各針シートSSの最も後方に位置する各針Sの後方を向いた側面と対向する内壁面を有する。
【0054】
後壁20RWには、上下方向に延在する開口20RWOが形成されている。この開口20RWOに上蓋部30の第3蓋凸部30P3を挿入することにより、上蓋部30がリフィル10から外れるのを防止するとともに、針シートSSの消費に伴う上蓋部30の下方への移動をガイドすることが可能となる。
【0055】
上蓋部30(
図4A)は、底壁20B上に載置される一枚若しくは複数枚の針シートSSの上面を覆う上面視において矩形状に形成される板状の壁部であり、最上層の針シートSSの上面と対向する内壁面を有する。
【0056】
上蓋部30は、カートリッジCの付勢部材CSPから下方に押圧される上面30USを備えている。上蓋部30は下方に付勢されているため、上蓋部30の内壁面は、最上層の針シートSSの上面に接触し、針シートSSを下方に押圧する。このような構成により、針シートSSを底壁20Bの底面20BSと平行に維持することが可能となる。
【0057】
ここで上蓋部30は、左右方向中央部において前方に突出する第4蓋凸部30P4を備えている。このような第4蓋凸部30P4は、針シートSSの前端よりも前方に突出している。このような第4蓋凸部30P4を備えることにより、後述するように、カートリッジCにリフィル10が装着されてから針シートSSが消費されリフィル10がカートリッジCから分離されるまで、カートリッジCの付勢部材CSPは、上蓋部30の上面30USのみに接触する。そこで上蓋部30の上面30USを平滑に形成することにより、カートリッジCの付勢部材CSPがリフィル10に引っかかってしまうことを抑制することが可能となる。一方で上蓋部30の後端と、後壁20RWとの間には、わずかな隙間(あそび)が設けられている。
【0058】
上蓋部30は、針シートSSの消費に伴って下方へ移動可能に設けられている。
図3Cは、全ての針シートSSが消費された状態におけるリフィル10を右側の前方から見た斜視図である。同図に示されるように上蓋部30は、底壁20Bの底面20BSに接触する位置まで下方へ移動可能に設けられている。下方への移動をガイドするために上蓋部30は、上蓋部30の右側の側部(右端)から外方(右方)に突出して右側壁20Rの上下に延在する開口20ROに係合する第1蓋凸部30P1(
図3B)と、上蓋部30の左側の側部(左端)から外方(左方)に突出して左側壁20Lの上下に延在する開口20LOに係合する第2蓋凸部30P2(
図3A)と、上蓋部30の後方の端部(後端)から外方(後方)に突出して後壁20RWの上下に延在する開口20RWOに係合する第3蓋凸部30P3(
図3B)とを備える。また上蓋部30は、上述したとおり、上蓋部30の前方の端部(前端)から外方(前方)に突出して前壁20Fの上下に延在する開口20FOPに係合する第4蓋凸部30P4を備える。このように上蓋部30は、四方向にそれぞれ突出し、本体部の4つの壁部にそれぞれ係合する4つの凸部を有するから、平行を保ちつつ下方へ移動可能に構成される。
【0059】
第1蓋凸部30P1と第2蓋凸部30P2を除く、上蓋部30の左右方向の幅は、
図4に示されるように、左右方向における左上部側壁20LUの内壁面20LUSと右下部側壁20RLの内壁面20RLSとの間隔よりも小さい。このような構成とすることにより上蓋部30が下降して第1傾斜壁20R1に差し掛かっても、上蓋部30はまっすぐ下方に進行することが可能となる。
【0060】
以上の基本構成を備えたリフィル10の効果について以下に記載する。
図7Aは、基本構成を備えたリフィル10の効果について説明するための図であり、リフィル10を針シートSSの連結方向(前後方向)に垂直な仮想平面で切断した模式図である。なお、説明の便宜のため、各構成の寸法は、他の図における寸法と異なっている。
【0061】
同図に示されるように本実施形態において、リフィル10の底壁20B上に積層して載置される針シートSSは、左側壁20Lと右側壁20Rとの間に配置される。ここで底壁20Bの底面20BSからの高さによらず、左側壁20Lと右側壁20Rとの軸方向ADの間隔は、針シートSSの短辺の長さSSLよりわずかに大きく設けられている。このため左側壁20Lの内壁面と針シートSSの間、または、右側壁20Rの内壁面と針シートSSの間の少なくとも一方にはわずかな間隙が設けられる。最下層の針シートSSが排出されると、各針シートSSは、針シートSSの厚み分下方に移動する。
【0062】
本実施形態に係るリフィル10は、第2傾斜壁20L2及び第1傾斜壁20R1を備えている。このため、左上部側壁20LUと右上部側壁20RUとの間に位置していた針シートSSが第1傾斜壁20R1に対向する位置まで下方に移動すると、第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sに接してわずかに軸方向(第2側壁である左側壁20Lに接近する方向)に変位する。このため、リフィル10内の針シートSSのうち、第1傾斜壁20R1に対向する位置にある一枚または複数枚の針シートSSの軸方向端部の少なくとも一部(針シートSSを構成する一または複数の針Sの軸方向端部)は、第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sに当接または、第2傾斜壁20L2の内壁面20L2Sと比較して内壁面20R1Sに近接する。
【0063】
このような構成の結果、リフィル10内に積層されている針シートSS(の一部)は、高さに応じて軸方向ADに変位する。例えば、最下層の針シートSS0の上層に位置する針シートSS1は、針シートSS0に対し軸方向ADに変位する。ここで針シートSS1は、同断面図において、第2傾斜壁20L2と第1傾斜壁20R1との間に位置してよい。また、針シートSS1の軸方向端部の少なくとも一部(針シートSS1を構成する一または複数の針Sの軸方向端部)は、第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sと当接または、第2傾斜壁20L2の内壁面20L2Sと比較して内壁面20R1Sに近接する。
【0064】
また、針シートSS1のさらに上層の針シートSS2は、針シートSS1に対しさらに同じ軸方向ADに変位する。ここで針シートSS2は、同断面図において、第2傾斜壁20L2と第1傾斜壁20R1との間に位置してよい。また、針シートSS2の軸方向端部の少なくとも一部(針シートSS2を構成する一または複数の針Sの軸方向端部)は、第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sと当接または、第2傾斜壁20L2の内壁面20L2Sと比較して内壁面20R1Sに近接する。
【0065】
さらに、針シートSS2のさらに上層の針シートSS3は、針シートSS0、針シートSS1及び針シートSS2のいずれに対しても、軸方向ADに変位した位置に載置される。ここで針シートSS2は、同断面図において、左上部側壁20LUと右上部側壁20RUとの間に位置してよい。このとき針シートSS3の針シートSS1に対する変位量は、針シートSS3の針シートSS2に対する変位量より大きく、針シートSS3の針シートSS0に対する変位量は、針シートSS3の針シートSS1に対する変位量より大きい。
【0066】
以上の基本構成を備えるリフィル10によれば、リフィル10内の針シートSSを、底壁20Bの底面からの高さに応じて軸方向ADに変位させる(ずらす)ことが可能となるから、リフィル10内で上下の針シートSSが貼りついてしまうブロッキングを抑制することが可能となる。
ここで針シートSSの表面には、傷防止等を目的として潤滑油等が塗布されて保護膜が形成される場合がある。このような針シートSSがリフィル10内において上方に積層される針シートSSから押圧されると、上下の針シートSSの保護膜同士が密着してしまうため、一層ブロッキングが生じやすい。このような針シートSSにおいても、リフィル10によれば、リフィル10内の針シートSSを底壁20Bの底面からの高さに応じて軸方向ADに変位させる(ずらす)ことが可能となるから、ブロッキングを抑制することが可能となる。
【0067】
ところで、本実施形態に係るリフィル10では、積層された針シートSSの一部を、第1傾斜壁20R1及び/または第2傾斜壁20L2により軸方向ADに変位させる(ずらす)ことで、上下の針シートSSの貼りつきを抑制している。これに対し、例えば
図7Bに示すように、リフィルの前壁を傾斜させて、積層される針シートを前方に変位させることでブロッキングを抑制する構成(以下、「比較構成」と呼ぶ場合がある。)が考えられる。しかしこの構成を採用する場合、以下に掲げる問題が生じ得る。
【0068】
図7Bの左図に模式的に示されるように、最下層の針シートとその上層の針シートが次第に狭くなる排出口に入り込む現象(いわゆる重層クラッチ)が生じ、針シートが排出口付近でロックしてしまう(詰まってしまう)ことがある。これに対して本実施形態に係るリフィル10では、針シートSSを軸方向ADに変位、すなわち左側壁20L及び右側壁20Rの傾斜方向を、針シートSSの排出方向(前方)と異る方向としているため、重送クラッチの問題は生じない。
【0069】
また比較構成においては、前壁を傾斜させているため、
図7Bの右図に模式的に示されるように、針シートの前端部付近を押圧することができない。このため、積層される針シートが後傾してしまう(針シートの前端が浮いてしまう)結果、積層された針シートの重心が後ろにずれてしまう。また同図の矢印で示されるように、針シートの前端が底面から浮く方向の回転モーメントが生じてしまう。このため、電動ステープラの送り手段(例えば、送り爪)から針シートが離間するために十分な力がかけられず、送り不良が発生してしまう可能性があった。しかし本実施形態に係るリフィル10では、軸方向(左右方向)に針シートを変位させるので、針シートSSの前端を押圧することができるため、比較構成に伴う送り不良の発生を抑制することが可能となる。
【0070】
さらに比較構成においては、リフィルの前壁を傾斜させ、これに伴いリフィルの後壁も傾斜させるため、リフィルの前後方向の体積が増大してしまう。その結果、リフィルが装填(装着)されたカートリッジが装着される電動ステープラの前後方向の体積が増大してしまう。複写機やプリンタ等のフィニッシャ(後処理装置)に内蔵される電動ステープラは、ステープル処理を紙の左上に行う場合や、紙の左下に行う場合など、ステープル処理を異なる位置で実行する必要があることから、軸方向AD(左右方向)に移動可能に設けられている。このため、電動ステープラの前後方向の体積が増大してしまうと、異なる位置でステープル処理を実行するために軸方向AD(左右方向)に移動する電動ステープラと衝突することがないように、軸方向ADの電動ステープラの移動範囲に亘って、電動ステープラの前後方向の体積増大分のスペースを確保しなければならない。このためフィニッシャの大型化を招いてしまう。
【0071】
本実施形態に係るリフィル10の左側壁20L及び右側壁20Rの傾斜方向は軸方向AD(左右方向)であり、軸方向AD(左右方向)に移動する電動ステープラのためにそもそも確保されているスペースを利用するものであるから、比較構成の採用に伴うフィニッシャの大型化を抑制することが可能となる。
【0072】
また、一本の針Sの連結方向の幅SWは公差を有するため、針シートSSの連結数が多くなるほど針シートSSの長辺の長さSSWの公差は大きくなってしまう。針シートSSの長辺の長さSSWの公差が大きくなると、前壁と後壁との間隔は、針シートSSが詰まることがないように、公差以上のマージンを取る必要がある。しかしながら、前壁と後壁との間隔を大きく設定すると(マージンを大きくとると)、針シートが後壁と接触することなく底壁に到達してしまい、針シートをうまく前方向にずらせない可能性があった。さらに、マージンが大きいため、針シートがリフィル内でガタつき、針シートの送り性能に支障をきたすおそれがあった。
【0073】
これに対して本実施形態に係るリフィル10では、左側壁20L及び右側壁20Rの傾斜方向は軸方向AD(左右方向)であり、針Sの軸方向の長さSLの公差を考慮して、左側壁20L及び右側壁20Rとの隙間を設ければよいから、比較構成と比較して、相対的に小さなマージンを取ることが可能となり、針シートSSをしっかりとずらすことができるとともに、針シートSSがリフィル10内で大きくガタつくことがないため送り性能に支障をきたさない。
【0074】
さらに針シートSSは、略真直に延伸する複数の針Sを連結方向において接続するため、連結方向において凹凸を有する(
図2B)。比較構成においては、針シートを前方(連結方向)に変位させる構成となるため、針シートを変位させる際、上層の針シートの凹面(隣接する針と針の間の表面)と、下層の針シートの凸面(針の上面)とが擦れ合ってしまい(上下の針シートの凹凸が抵抗となって)、大きな負荷を発生して針シートをずらし難い。さらに、針シートは連結方向に円弧状に沿いやすいため、上層の針シートと下層の針シートとの間の負荷がさらに大きくなってしまい、送り不良の原因となる。
【0075】
これに対して本実施形態に係る針シートSSの変位方向は、
図2Aに示されるとおり平坦な軸方向AD(左右方向)であるから、比較構成が抱えるようなスライド負荷の増大に伴う送り不良の発生を抑制することが可能となる。
【0076】
以上本実施形態に係るリフィル10の基本構成について説明した。以下、リフィル10の他の構成について説明する。
【0077】
[針シートの排出防止機構]
上述したように、本実施形態に係るリフィル10は、付加的に、排出口から針シートSSが意図することなく飛び出してしまうことを抑制するための排出防止機構として、針シートのストッパーとして機能する前端部20STを備えている。
【0078】
図8Aは、本実施形態に係るリフィル10を下方から見た斜視図である。また、
図8B乃至
図8Cは、前後方向に平行な仮想平面で排出防止機構を切断した側断面図である。排出防止機構に関し、リフィル10は、軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する方向に連結してなる針シートSSが載置される底壁20Bと、針シートSSを針の連結方向に排出するための排出口20FOが形成された前壁20Fとを備える。そしてこの底壁20Bは、固定端となる後端部20BFと、後端部20BFから前方(連結方向)に延伸する延伸部20BEと、延伸部20BEの前端から上方に延伸して排出口20FOの前方の領域の少なくとも一部に配置されることにより排出口20FOの少なくとも一部を閉塞し、かつ、自由端となる前端部20STとを備える。ここで延伸部20BEは、左方及び右方にそれぞれ形成された開口乃至スリットにより前後方向に細長く形成されている。
【0079】
リフィル10は、針シートSSの排出防止機構として、このような後端部20BF、延伸部20BE及び前端部20STを有する構成により、針シートSSが意図することなく飛び出してしまうことを抑制する。なお、排出口20FOを閉塞するとは、排出口20FOの開口面積が小さくなるように、前端部20STが排出口20FOに接触して排出口20FOの一部を塞ぐ場合の他、前端部20STが排出口20FOよりも前方に配置されることにより、正面視において、排出口20FOの一部が塞がれている場合も含む。
【0080】
以上のような構成によれば前端部20STは、下方から上方に延伸して排出口20FOの前方の領域の少なくとも一部を閉塞するから、排出口20FOから針シートSSが意図することなく飛び出してしまうことを抑制することが可能となる。また、前端部20STは自由端であるから、例えばカートリッジC等に装着したときに前端部20STまたは延伸部20BEがカートリッジC等から下方へ向かう力を受けることにより、前端部20STを下方に退避(変位)させて排出口20FOの前方の領域を開放することが可能となる。このためカートリッジC等に装着したときには、針シートSSの前方への移動を許容することが可能となる。
【0081】
特許文献2には排出防止機構として、前後方向を回転軸として回転可能に前壁に設けられた係止部材(特許文献2における蓋部材)をリフィルの前壁に設け、カートリッジに装着されたときに係止部材が回転することにより、排出口を閉塞していた状態から解放する状態に移動する排出防止機構が示されている。しかしながら、このような従来の排出防止機構においては、前壁に設けられる係止部材が回転して排出口を閉塞できるように係止部材を細長く形成する必要があった。カートリッジへの装着時に上下に延伸する係止部材は、針シートが消費されてカートリッジとリフィルを分離するためにリフィルを抜き取る際に、係止部材の上端が上蓋部から突出するとリフィルの上蓋部を押圧するカートリッジの付勢部材と干渉してしまう可能性があった。このため、係止部材の上端が突出しないように上蓋部の厚みを大きくせざるを得ず、その結果、リフィル及びカートリッジ、ひいてはフィニッシャの上下方向の大型化を招いていた。
【0082】
本実施形態に係る針シートの排出防止機構は、底壁20Bが設けられる針シートSSの下方において、前方に延伸する延伸部20BEと、延伸部20BEの前端から上方に延伸することにより排出口20FOの前方の領域の少なくとも一部を閉塞する、自由端となる前端部20STとを備えている。前端部20STが底壁20Bの底面20BSよりもわずかに突出すれば、排出口20FOの前方の領域の少なくとも一部を閉塞することが可能となる。このため本実施形態に係る排出防止機構によれば、上蓋部30の薄型化を促進し、リフィル及びカートリッジ、ひいてはフィニッシャの上下方向の小型化を促進することが可能となる。
【0083】
また本実施形態に係る針シートSSの排出防止機構の延伸部20BEは、外力を受けることにより前端部20STを下方に移動させる押圧面20BESを備えている。
図8B乃至
図8Dは、リフィル10をカートリッジCに対して前方に移動させることによりカートリッジCに装着される際に、リフィル10の排出防止機構の押圧面20BESがカートリッジCの押圧部材CEに接触して外力を受けることにより、前端部20STが下方へ移動する様子を示している。
本実施形態に係る押圧面20BESは、
図8Bの断面図に示されるように上方及び前方を向いた傾斜を有する。このため押圧面20BESは、後方に向かう外力を受けることにより下方に向かう分力を生じさせる。したがって押圧面20BES及び延伸部20BEの押圧面より前方に存在する部分並びに自由端である前端部20STは、下方に移動可能に設けられている。一方でカートリッジCは、押圧面20BESに接触可能に設けられ、後方に延伸する押圧部材CEを備えている。
【0084】
このような構成によれば、リフィル10を前方に移動させてカートリッジCに装着する際に、押圧面20BESと接触して押圧する押圧部材CEをカートリッジCに設け、カートリッジCの押圧部材CEから押圧面20BESが外力を受けることにより、自由端となる前端部20STを下方に退避させて排出口20FOの前方の領域を開放することが可能となる。なお押圧面20BESは前端部20STに形成されてもよい。
【0085】
従来の排出防止機構は、前後方向を回転軸とする係止部材を備えていたから、リフィルを前方に移動させてカートリッジに装着させる際にカートリッジの押圧部材から外力を受けると、係止部材の押圧される部分と前壁に固定される回転軸との間に上下方向を回転軸とする回転モーメントが生じてしまうため、係止部材が前後方向ではなく上下方向を回転軸として回転してしまう可能性があった。
【0086】
本実施形態におけるリフィル10の底壁20Bは、固定端となる後端部20BFと、後端部20BFから前方に延伸する延伸部20BEと、延伸部20BEの前端に設けられ、自由端となる前端部20STとを備えている。このため、リフィル10を前方に移動させてカートリッジCに装着させる際にカートリッジCの押圧部材から外力を受けると、押圧面20BESと後端部20BFとの間に左右方向を回転軸とする回転モーメントが生じる。この回転モーメントは、自由端である前端部20STを下方へ移動させる。このため従来の排出防止機構のように外力により意図しない方向に係止部材が回転してしまう事態を抑制し、外力を前端部20STが下方に移動させるために効率良く利用することが可能となる。
【0087】
さらに本実施形態における延伸部20BEは、押圧面20BESと回転の基端となる後端部20BFとの間の一部に、上下方向の厚みが小さくなる薄肉部20BETを備えている。具体的には、押圧面20BESと後端部20BFとの間の延伸部20BEの一部に、下方から上方に窪む凹面が形成された薄肉部20BETを備えている。このような構成により、延伸部20BEの曲げ剛性が小さくなるので、前端部20STの下方への移動を促進することが可能となる。本実施形態の排出防止機構は、
図8Dに示されるように薄肉部20BETを支点として前端部20STを下方に移動させることにより、カートリッジC装着時に前端部20STが底壁20Bよりも下方に位置するように形成されている。
【0088】
なお
図5Bに示されるように、前端部20STの上端は、前壁20Fの下端よりも上方の位置に設けられることが好ましい。このような構成により、カートリッジCに装着されていない状態において、前端部20STの上端よりも上方の針シートSSが意図することなく飛び出してしまうことを抑制することが可能となる。
【0089】
[リフィルとカートリッジの固定機構]
針シートの使用途中で、リフィルのカートリッジからの分離を許容すると、針シートの針が破損したり、目詰まりの原因となったりする可能性がある。
【0090】
そこで本実施形態に係るリフィル10は、付加的に、リフィル10内に針シートSSが残存している状態においてはカートリッジCと係合してカートリッジCからの分離を禁止し、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態においては、カートリッジCからの分離を許容するリフィル10とカートリッジCの固定機構を備えている。
【0091】
図3B及び
図6の下図等に示されるように、第1の固定機構として、右側壁20Rは、カートリッジ係合右壁部20RE(「第1係合壁部」の一例)を備えている。具体的には、右側壁20Rは、内方(左側壁20Lに接近する方向)に変位可能に構成され、カートリッジCと係合するための外方(左側壁20Lから離間する方向)に突出する第1係合凸部20RPを備えたカートリッジ係合右壁部20REを備えている。
【0092】
図9は、カートリッジCに装着されたリフィル10を、上下方向に垂直で第1係合凸部20RPを通過する仮想平面で切断した断面図である。
【0093】
同図に示されるように、上記構成によれば、リフィル10を前方に移動させてカートリッジCに装着させた時に第1係合凸部20RPと係合する第1凹部C1をカートリッジCに設けることにより、リフィル10とカートリッジCとの分離を抑制することが可能となる。
【0094】
また、リフィル10の所定の位置に形成される第1係合凸部20RPとカートリッジCの所定の位置に形成される第1凹部C1とを係合可能に構成することにより、第1係合凸部20RPと第1凹部C1の係合に基づいてカートリッジCに対するリフィル10の位置決めをすることが可能となる。
【0095】
図3A及び
図6の上図等に示されるように、右側壁20Rと同様に左側壁20Lは、カートリッジ係合左壁部20LE(「第2係合壁部」の一例)を備えており、具体的には、左側壁20Lは、内方(右側壁20Rに接近する方向)に変位可能に構成され、カートリッジと係合するための外方(右側壁20Rから離間する方向)に突出する第2係合凸部20LPを備えたカートリッジ係合左壁部20LEを備えている。同様に、カートリッジCに装着させた時に第2係合凸部20LPと係合する第2凹部C2をカートリッジCに設けることにより、リフィル10とカートリッジCとの分離を抑制することが可能となる。
【0096】
ここで第1係合凸部20RP(第2係合凸部20LP)は、後方に進行するほど突出量が大きくなるように傾斜する傾斜面を備えてよい。このような傾斜面を備えることにより、スムーズにリフィル10を前方に移動させて第1係合凸部20RP(第2係合凸部20LP)とカートリッジCの第1凹部C1(第2凹部C2)が係合するように、カートリッジCに装着させることが可能となる。
【0097】
また、第1係合凸部20RP(第2係合凸部20LP)は、上下方向に延伸して形成されてよい。このように形成することにより、カートリッジCとの係合及び位置決めを確実に行うことが可能となる。
【0098】
また、
図9に示されるようにカートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部20LE)の内壁面に対向する位置に針シートSSが存在すれば、針シートSSに衝突してカートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部20LE)の内方への変位が規制されるので、リフィル10とカートリッジCとの分離を抑制することが可能となる。一方で針シートSSが消費されてリフィル10内に針シートSSが存在しなければ、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)の内方への変位が許容されるから、第1係合凸部20RP(第2係合凸部20LP)と第1凹部C1(第2凹部C2)との係合が解除され、リフィル10とカートリッジCとの分離が許容される。
【0099】
さらに本実施形態に係る右側壁20R(左側壁20L)は、
図6等に示されるように、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部20LE)として、固定端を有する前端部20RF(前端部20LF)と、前端部20RF(前端部20LF)から後方に延伸し、外方に突出する第1係合凸部20RP(第2係合凸部20LP)を有する延伸部20REX(延伸部20LEX)と、延伸部20REX(延伸部20LEX)の後方に設けられ、自由端となる後端部20RR(後端部20LR)とを有する。カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)に自由端を設けるために、右側壁20R(左側壁20L)のカートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)との境界には、前後方向に延伸する2本のスリットが形成される。固定端となる前端部20RF(前端部20LF)は、2本のスリット間の壁部に相当する。自由端となる後端部20RR(後端部20LR)を有することから、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)は容易に内方に変位可能に構成される。なお右側壁20Rまたは左側壁20Lの一方のみに、カートリッジ係合右壁部20RE(左壁部LE)に相当する構成を設けてもよい。
【0100】
また、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)の後端部20RR(後端部20LR)は延伸部20REX(延伸部20LEX)よりも下方に延在して形成される。このように延伸部20REX(延伸部20LEX)よりも後端部20RR(後端部20LR)の上下方向の大きさを大きくすることにより、固定端となる前端部20RF(前端部20LF)から離れた自由端部の体積及び質量が増大するので、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)を容易に内方に変位させることが可能となる。また、延伸部20REX(延伸部20LEX)の下端よりも、後端部20RR(後端部20LR)の下端を底壁20Bの底面20BSに接近して形成することにより、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)の内方への変位が規制できる範囲を大きくすることが可能となる。ここでカートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)の下端の、底壁20Bの底面20BSからの高さを第1高さとすると、最上層の針シートSSの上面が底壁20Bの底面20BSから第1高さより上に存在する場合、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部LE)の内方への変位が規制されるから、リフィル10とカートリッジCとの分離を抑制することが可能となる。
【0101】
続いて、針シートSSの消費が進み、リフィル10内の最上層の針シートSSの上面が底壁20Bの底面20BSから第1高さ以下となった場合であっても、カートリッジCと係合してカートリッジCからの分離を禁止し、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態(
図3C)においてはカートリッジCからの分離を許容するリフィル10とカートリッジCの第2の固定機構について説明する。なお、リフィル10は、第1の固定機構及び第2の固定機構のいずれか一方を備えていてもよいし、いずれとも備えなくてもよい。
【0102】
図10AはカートリッジCに装着されたリフィル10内に残存する針シートSSが一枚となったときに、前後方向に垂直で開口20RO及び開口20LOよりも後方の領域を通過する仮想平面で切断した断面図であり、
図10Bは、カートリッジCに装着されたリフィル10内に針シートSSがなくなったときに、前後方向に垂直で開口20RO及び開口20LOよりも後方の領域を通過する仮想平面で切断した断面図である。
【0103】
本実施形態に係るリフィル10の上蓋部30は、第2の固定機構として、少なくとも右上部側壁20RUの一部及び第1傾斜壁20R1の一部に亘って上下に延在して形成された開口20ROに係合し、第1傾斜壁20R1に対向する位置に下降したときに、第1傾斜壁20R1に形成された開口20ROから突出する凸部(第1蓋凸部30P1)を備えている。
【0104】
図10A及び
図10Bに示されるように、第1傾斜壁20R1は下方に進行するほど左側壁20Lに接近する方向に傾斜するので、右上部側壁20RUの下方は、リフィル10の壁部が存在しない空間となっている。そこで本実施形態に係る第1蓋凸部30P1は、針シートSSの消費に伴って開口20ROに沿って下方に進行し、第1傾斜壁20R1に差し掛かると第1傾斜壁20R1に形成された開口20ROよりも外方に突出するように形成されている。
【0105】
このような構成によれば、カートリッジCに装着されているリフィル10の第1傾斜壁20R1において開口20ROよりも外方に突出する第1蓋凸部30P1の少なくとも後方に、第1蓋凸部30P1の後方への移動を規制するストッパーCSをカートリッジCに設けることにより、リフィル10とカートリッジCとの分離を抑制することが可能となる。
【0106】
なお、第1蓋凸部30P1及び第2蓋凸部30P2は、それぞれ、右上部側壁20RUにおける開口20RO及び左上部側壁20LUにおける開口20LOから突出しないように形成されている。ただし、第1蓋凸部30P1及び第2蓋凸部30P2の少なくとも一方が右上部側壁20RUにおける開口20ROまたは左上部側壁20LUにおける開口20LOから突出するように形成するとともに、突出した第1蓋凸部30P1及び第2蓋凸部30P2の後方への移動を規制するストッパーをカートリッジCに設けてもよい。
【0107】
さらに
図10Bに示されるように、カートリッジCのリフィルのストッパーCSは、全ての針シートSSが消費され、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態においては、リフィル10のカートリッジCからの分離を許容するように構成されている。具体的には、ストッパーCSは、全ての針シートSSが消費された結果、上蓋部30が底壁20Bの底面20BSと接触する状態における第1蓋凸部30P1よりも上方に形成されている。
【0108】
このような構成によれば、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態においては、上蓋部30の第1蓋凸部30P1がストッパーCSの下方を通過するようにリフィル10を後方に引き出すことにより、リフィル10をカートリッジCから分離することが可能となる。
【0109】
特許文献3には、リフィルの後壁に形成された開口に係合する係合部をカートリッジの後壁に設け、リフィルの後壁を変位させることによりカートリッジとの係合を解除可能なリフィルとカートリッジとの固定機構が示されている。この従来の固定機構によれば、針シートがリフィル内に残存している場合には、リフィルの後壁が変位できないため、針シートがリフィル内に残存している場合のみ、リフィルとカートリッジを固定することが可能となる。
【0110】
しかしながら、この従来の固定機構は、リフィルの後壁に形成された開口に係合するための係合部をカートリッジの後壁に設ける必要があるから、前方に移動させてカートリッジに装着されるタイプのリフィルには適用が困難であった。また、最後の一枚の針シートの使用中においては、リフィルの後壁の変位が許容されてしまう可能性があった。
【0111】
また、特許文献4には、リフィルの側壁に形成された開口から突出するガイド突部をリフィルの上蓋部に設けるとともに、リフィルの側壁から突出するガイド突部の後方において、ガイド突部の後方への移動を規制する係合部をカートリッジに設けることにより、リフィルとカートリッジとの分離を抑制する固定機構が示されている。
【0112】
しかしながら、この従来の固定機構は、針シートの使用に伴ってガイド突部がスムーズに下降するように、ガイド突部と開口との間に隙間を設ける必要があった。このため、リフィルをカートリッジに装着しただけでは、カートリッジに対するリフィルの位置決めをすることができなかった。
【0113】
本実施形態に係る第1の固定機構によれば、左側壁20Lは、内方(右側壁20Rに接近する方向)に変位可能に構成され、外方(右側壁20Rから離間する方向)に突出する第2係合凸部20LPを備えたカートリッジ係合左壁部20LEを備え、右側壁20Rは、内方(左側壁20Lに接近する方向)に変位可能に構成され、外方(左側壁20Lから離間する方向)に突出する第1係合凸部20RPを備えたカートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部20LE)を備えているから、カートリッジCの第1凹部C1(第2凹部C2)を第1係合凸部20RP(第2係合凸部20LP)に係合することにより、カートリッジCに対するリフィル10の位置決めをすることが可能となる。また、右側壁20R(左側壁20L)に設けられるカートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部20LE)の内方への変位に応じてリフィル10とカートリッジCとの係合を解除できるから、前方に移動させてカートリッジCに装着するタイプのリフィル10に好適である。
【0114】
なお底壁20Bの底面20BSからの高さを基準として、カートリッジ係合右壁部20RE(同左壁部20LE)の下端は、第1傾斜壁20R1(第2傾斜壁20L2)の上端と同じか、または、上端よりも低い位置に形成されることが好ましい。
【0115】
このような構成により、リフィル10内の針シートSSが何枚であっても、すなわち、リフィル10内の最上層の針シートSSの上面が底壁20Bの底面20BSからいずれの高さにあっても、第1の固定機構または第2の固定機構の少なくともいずれか一方によって、リフィル10とカートリッジCとの分離を抑制することが可能となる。
【0116】
[上蓋部の構成]
カートリッジに装着されていたリフィルをカートリッジから分離するとき、スムーズにリフィルを分離できない場合がある。その原因の一つは、上蓋部の上面を下方に押圧する、電動ステープラまたはカートリッジ等の付勢部材が、リフィルをカートリッジから分離するとき、上蓋部に引っかかってしまう点にある。
【0117】
そこで本実施形態に係るリフィル10の上蓋部30の上面30USのうち、リフィル10をカートリッジCから分離するときに、カートリッジCの付勢部材CSP(例えば、ネジリコイルばね)が接触する領域は、平滑に形成されている。具体的には、上蓋部30の上面30USは、針シートSSが排出される連結方向(排出方向)の端部に相当する前端30F(
図3A等)と、針シートSSがリフィル10内の底壁20B上に載置されているときに、カートリッジCの付勢部材CSPに押圧される第1領域30AR1と、第1領域30AR1よりも排出方向に延在して上蓋部30の前端30Fに接続する第2領域30AR2とを備えている。ここで、第1領域30AR1及び第2領域30AR2は全域にわたり平滑に形成されている。例えば、第1領域30AR1及び第2領域30AR2は、面一に形成されてもよい。
【0118】
このような構成によれば、カートリッジCにリフィル10が装着されてから、針シートSSが消費され、リフィル10がカートリッジCから分離されるまで、付勢部材CSPによって下方に押圧される領域は、段差(凹凸)がない平滑に形成されることとなる。このため、リフィル10をカートリッジCからスムーズに分離することが可能となる。
図11は、リフィル10が収容可能な最大枚数の針シートSSが載置されたリフィル10がカートリッジCに装着された状態(初期状態)を示す斜視図である。
図12Aは、
図11の状態において左右方向に垂直でリフィル10の左右方向中心を通過する仮想平面でリフィル10を切断した断面図であり、
図12Bは、リフィル10内に針シートSSが存在しない状態において同仮想平面でリフィル10を切断した断面図である。
【0119】
同図に示されるように、初期状態において付勢部材CSPは、上蓋部30の上面30USのうち、前端30Fに近接した領域を押圧する。そして針シートSSが消費されるにつれて、付勢部材CSPが上面30USを押圧する位置は後方に進行する。したがって第1領域30AR1は、前後に延在する領域であり、N枚の針シートSSが底壁20B上に載置されているときに、付勢部材CSPに押圧される部分領域と、この部分領域よりも後方に位置し、M枚(ただし、M<N)の針シートSSが底壁20B上に載置されているときに、付勢部材CSPに押圧される部分領域を含んでよい。
【0120】
また、第2領域30AR2は、第1領域30AR1と前端30Fとを結ぶ領域となる。本実施形態において第1領域30AR1は前端30Fに近接する領域まで前後方向に広く延在しているため、第2領域30AR2は、第1領域30AR1と前端30Fとを結ぶごくわずかな領域に相当する。
【0121】
このような構成によれば、第1領域30AR1及び第2領域30AR2は、全域にわたって平滑に形成されており、段差がないから、リフィル10をカートリッジCからスムーズに分離することが可能となる。ここで、上蓋部30は、左右方向中央部において前方に突出する第4蓋凸部30P4を備えており、第4蓋凸部30P4は針シートSSの前端よりも前方に突出している。このため、リフィル10がカートリッジCから分離される際、付勢部材CSPは、上蓋部30の上面30US以外の壁部に当接することなく、リフィル10と分離することが可能となる。
【0122】
一方で、
図12A及び
図12Bに示されるように、上蓋部30の上面30USのうち、第1領域30AR1よりも排出方向と反対方向(後方)に進行する領域には、段差が形成されてよい。本実施形態においても、上蓋部30の後端と後壁20RWとの間にはわずかな隙間(あそび)が設けられているから、この領域には、段差が形成される。
【0123】
以上、本実施形態に係るリフィル10が付加的に備えることができる、針シートSSの排出防止機構、リフィル10とカートリッジCの固定機構及び上蓋部30の構成について説明した。
【0124】
以下、第1傾斜壁及び第2傾斜壁を設ける高さ、第1傾斜壁及び第2傾斜壁の傾斜角度及び上部側壁と下部側壁の変位量等についての好適な構成について説明する。
【0125】
[第1傾斜壁及び第2傾斜壁を設ける高さ]
第2傾斜壁20L2の積層方向における少なくとも一部は、底壁20Bの底面を基準とする左側壁20Lの高さの半分以下の領域(下半分)に設けられることが好ましく、第2傾斜壁20L2の全部は、底壁20Bの底面を基準とする左側壁20Lの高さの半分以下の領域(下半分)に設けられることがさらに好ましい。
【0126】
同様に、第1傾斜壁20R1の少なくとも一部は、底壁20Bの底面を基準とする右側壁20Rの高さの半分以下の領域(下半分)に設けられることが好ましく、第1傾斜壁20R1の全部は、底壁20Bの底面を基準とする右側壁20Rの高さの半分以下の領域(下半分)に設けられることがさらに好ましい。
【0127】
例えば、
図4Bに示されるように、底壁20Bの底面20BSを基準として、左側壁20Lの高さを高さ20LHとし、第2傾斜壁20L2の高さ(第2傾斜壁20L2の上端の高さ)を高さ20L2Hとするとき、高さ20L2Hは、高さ20LHの半分以下であることが好ましい。同様に、底壁20Bの底面を基準として、右側壁20Rの高さを高さ20RHとし、第1傾斜壁20R1の高さ(第1傾斜壁20R1の上端の高さ)を高さ20R1Hとするとき、高さ20R1Hは、高さ20RHの半分以下であることが好ましい(なお、典型的には、高さ20LHと高さ20RHは、同一である。)。
【0128】
上述したように、第2傾斜壁20L2及び第1傾斜壁20R1を設けることにより、積層された針シートSS(の一部)を軸方向に変位させる(ずらす)ことで、ブロッキングを抑制することが可能となる。ブロッキングを抑制するための第2傾斜壁20L2(第1傾斜壁20R1)を左側壁20L(右側壁20R)の高さの半分以下の領域(下半分)に設けることにより、針シートSSの自重の影響を受けてブロッキングが生じやすい下方の領域において好適にブロッキングを抑制することが可能となる。
【0129】
また、第2傾斜壁20L2の、底面20BSからの積層方向における高さ(第2傾斜壁20L2の上端の高さ)は、第1傾斜壁20R1の、底面20BSからの積層方向における高さ(第1傾斜壁20R1の上端の高さ)より大きいことが好ましい。すなわち、高さ20L2Hは、高さ20R1Hより大きいこと(すなわち、20L2H>20R1Hであること)が好ましい。換言すると、第1傾斜壁20R1の上端の高さは、第2傾斜壁20L2の上端の高さより小さいことが好ましい。
【0130】
このような構成とすることにより、第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sに針シートSSが接触して左側壁20Lに接近する軸方向に変位したときに、針シートSSの左方の端部が左側壁20Lに接触して針シートSSの下方への送りが阻害されてしまう事態を抑制することが可能となる。
【0131】
ここで、第2傾斜壁20L2の高さと、第1傾斜壁20R1の高さの差は、一枚の針シートSSの厚みSSH以上であること(すなわち、20L2H-20R1H≧SSHであること)が好ましい。
【0132】
同様に第2傾斜壁20L2の下端の、底面20BSからの積層方向における高さ20L2HLは、第1傾斜壁20R1の下端の、底面20BSからの積層方向における高さ20R1HLより大きいこと(すなわち、20L2HL>20R1HLであること)が好ましく、高さの差は、一枚の針シートSSの厚みSSH以上であること(すなわち、20L2HL-20R1HL≧SSHであること)が好ましい。換言すると、第1傾斜壁20R1の下端の高さは、第2傾斜壁20L2の下端の高さより小さいことが好ましい。
【0133】
加えて、右下部側壁20RLの高さは、一枚の針シートSSの厚みSSHの半分以上であることが好ましい。ここで右下部側壁20RLの高さが、第1傾斜壁20R1の下端の高さ20R1HLとなる場合、20R1HL≧(SSH/2)であることが好ましい。
【0134】
上述したように、針シートSSの軸方向ADにおける両端部は、高さ方向HDの中間位置において軸方向ADに突出する先端を有する。このため、右下部側壁20RLの高さを一枚の針シートSSの厚みSSHの半分以上に形成することにより、針シートSSの軸方向ADにおける一方の先端を、右下部側壁20RLに当接させることが可能となる。このため、最下層の針シートSSを右下部側壁20RLの内壁面20RLSに基づいて位置決めすることが可能となる。
【0135】
ここで、右下部側壁20RLの高さを針シートSSの排出口20FOの最大高さ以上として、第1傾斜壁20R1が、針シートSSの排出口20FOよりも上方に設けられるようにリフィル10を構成してもよい。
【0136】
また、少なくとも一部の右下部側壁20RLを、底面20BSから離隔させて設けてもよい。このような構成において、右下部側壁20RLと底面20BSとの間隔は、一枚の針シートSSの厚みSSHの半分以下であることが好ましい。
【0137】
右下部側壁20RLを、底面20BSから離隔させても、右下部側壁20RLと底面20BSとの間隔が一枚の針シートSSの厚みSSHの半分以下であれば、最下層の針シートSSの軸方向端部を、右下部側壁20RLの内壁面に接触させて位置決めすることが可能となる。
【0138】
[第1傾斜壁及び第2傾斜壁の傾斜角度]
第1傾斜壁20R1の右下部側壁20RLに対する傾斜角度(前後方向に垂直で、左右方向及び上下方向に平行な仮想平面で切断した断面図(
図4B)における右下部側壁20RLの延伸方向に対する第1傾斜壁20R1の延伸方向がなす角度)は、20度以上30度以下であることが好ましい。この傾斜角度が小さすぎると積層される針シートSSの軸方向の変位量が小さく、ブロッキングを解除しにくくなってしまう一方で、この傾斜角度が大きすぎると、ブロッキングは解除できるもののリフィル10の左右方向の幅が大きくなり過ぎてしまう。この傾斜角度を10度以上30度以下とすることにより、リフィル10の左右方向の幅の増加を抑制しつつ、針シートの軸方向の変位量を確保することが可能となる。
【0139】
なお、同仮想平面における底壁20Bの底面20BSと第1傾斜壁20R1の内壁面20R1Sとのなす角(鋭角)をα1とすると、第1傾斜壁20R1の右下部側壁20RLに対する傾斜角度は、(90-α1)となる。
【0140】
同様に第2傾斜壁20L2の左下部側壁20LLに対する傾斜角度(前後方向に垂直で、左右方向及び上下方向に平行な仮想平面で切断した断面図(
図4B)における左下部側壁20LLの延伸方向に対する第2傾斜壁20L2の延伸方向がなす角度)は、20度以上30度以下であることが好ましい。なお、同仮想平面における底壁20Bの底面20BSと第2傾斜壁20L2の内壁面とのなす角(鋭角)をα2とすると、第2傾斜壁20L2の左下部側壁20LLに対する傾斜角度は、(90-α2)となる。
【0141】
ただし、α1とα2は同一でなくてもよい。
【0142】
[上部側壁と下部側壁の変位量(ずれ量)]
右上部側壁20RUと、右下部側壁20RLとの軸方向の変位量D1は、概ねリフィル10内における針シートSSの軸方向の変位量に相当する。ここで変位量D1は、左側壁20Lの内壁面20LSと右側壁20Rの内壁面20RSとの間隔の6~8%に設定されることが好ましい。具体的には、変位量D1は、1.6mm以上2.2mm以下であることが好ましい。
【0143】
変位量D1が小さすぎると積層される針シートSSの軸方向の変位量が小さくなってしまう一方で、変位量D1が大きすぎるとリフィル10の左右方向の幅が大きくなり過ぎてしまう。変位量D1を上記に設定することにより、リフィル10の左右方向の幅の増加を抑制しつつ、針シートSSの軸方向の変位量を確保することが可能となる。この変位量D1は、上記仮想平面で切断した断面図(
図4B)における第1傾斜壁20R1の上端と下端との軸方向位置の差に相当する。
【0144】
同様に左上部側壁20LUと、左下部側壁20LLとの軸方向の変位量D2は、概ねリフィル10内における針シートSSの軸方向の変位量に相当する。ここで変位量D2は、下端における左側壁20L(左下部側壁20LL)の内壁面20LSと右側壁20R(右下部側壁20RL)の内壁面20RSとの間隔の6~8%に設定されることが好ましい。具体的には、変位量D2は、1.6mm以上2.2mm以下であることが好ましい。
【0145】
以上のとおり本実施形態によれば、ブロッキングを抑制可能なリフィルを提供することが可能となる。
【0146】
[リフィルの変形例]
以下、リフィル10の変形例について説明する。
図13Aは、第2側壁(リフィル10の左側壁20L)の変形例を示す模式図である。
【0147】
各変形例の左側壁は、左下部側壁20LLと、左下部側壁20LLから軸方向ADに変位した位置に設けられる左上部側壁20LUと、軸方向に変位しながら上下方向に延伸する第2傾斜壁を備える。
当業者に理解されるように、第2傾斜壁は、必ずしも針シートSSと接触しないので、様々な変形が可能である。
【0148】
第1変形例である左側壁120Lの第2傾斜壁120L2のように、第2傾斜壁は、外壁面のみが傾斜し、内壁面が傾斜していなくてもよい。例えば内壁面は、垂直及び水平な壁面から構成されてもよい。
【0149】
第2変形例である左側壁220Lの第2傾斜壁220L2のように、第2傾斜壁は、一部に開口が形成されてもよい。
【0150】
第3変形例である左側壁320Lの第2傾斜壁320L2のように、第2傾斜壁は、垂直及び水平な外壁面及び内壁面を交互に形成することによって設けられてもよい。
【0151】
第4変形例である左側壁420Lの第2傾斜壁420L2のように、第2傾斜壁は、湾曲面等の曲面から形成される外壁面及び/又は内壁面を有するように形成されてもよい。
【0152】
図13Bは、第1側壁(リフィル10の右側壁20R)の変形例を示す模式図である。
各変形例の右側壁は、右下部側壁20RLと、右下部側壁20RLから軸方向ADに変位した位置に設けられる右上部側壁20RUと、軸方向に変位しながら上下方向に延伸する第1傾斜壁を備える。
当業者に理解されるように、第1傾斜壁は、積層される針シートSSを軸方向に変位するように形成されればよいので、様々な変形が可能である。
【0153】
第5変形例である右側壁520Rの第1傾斜壁520R1のように、第1傾斜壁は、湾曲面等の曲面から形成される外壁面及び/又は内壁面を有するように形成されてもよい。
【0154】
第6変形例である右側壁620Rの第1傾斜壁620R1のように、第1傾斜壁は、細かい凹凸が形成される外壁面及び/又は内壁面を有するように形成されてもよい。
【0155】
図14は、第1側壁及び第2側壁の更なる変形例を示す模式図である。同図に示されるように第7変形例において、左側壁720Lは、複数の傾斜壁として、傾斜壁720L21及び傾斜壁720L21の上方に設けられる傾斜壁720L22を有してよい。ここで、傾斜壁720L21及び傾斜壁720L22は、同じ方向に傾斜して形成されてもよいし、同図に示されるように、反対方向に傾斜して形成されてもよい。同様に、右側壁720Rは、複数の傾斜壁として、傾斜壁720R11及び傾斜壁720R11の上方に設けられる傾斜壁720R12を有してよい。ここで、傾斜壁720R11及び傾斜壁720R12は、同じ方向に傾斜して形成されてもよいし、同図に示されるように、反対方向に傾斜して形成されてもよい。
【0156】
ただし少なくとも一部が同じ高さに形成される傾斜壁720L21及び傾斜壁720R11は同じ方向に傾斜することが好ましい。同様に少なくとも一部が同じ高さに形成される傾斜壁720L22及び傾斜壁720R12は同じ方向に傾斜することが好ましい。
【0157】
このような構成によれば、傾斜壁720L22及び傾斜壁720R12の間に載置される針シートSSを軸方向に変位させることが可能である。また、傾斜壁720L21及び傾斜壁720R11の間に載置される針シートSSも軸方向に変位させることが可能である。
【0158】
なお、上記実施形態及び変形例に示されるリフィルは、針シートSSを収容可能に構成されていれば、実際に針シートSSを収容していなくてもよい。そのようなリフィルは、底壁20Bと、底壁20Bから第1方向(上方)に立設する第1側壁(右側壁20R)と、第1側壁(右側壁20R)と対向して底壁20Bから第1方向(上方)に立設する第2側壁(左側壁20L)と、第1方向(上方)と直交する第2方向(前方)における第1側壁(20R)の端部と、第2方向(前方)における第2側壁(左側壁20L)の端部とを連結し、第1方向(上方)と反対方向である第3方向(下方)において底壁20Bと隣接する位置に底壁20B上に載置されることとなる針シートSSを第2方向(前方)に排出するための排出口20FOが形成された前壁20Fを備える。ここで第1側壁(右側壁20R)は、第1方向(上方)の一部において、第2方向(前方)に延伸し、かつ、第1方向(上方)及び第2方向(前方)に直交する第4方向(左方または右方)に傾斜する第1傾斜壁20R1を含んで構成される。
【0159】
さらに第2側壁(左側壁20L)は、第1方向(上方)の一部において、第2方向(前方)に延伸し、かつ、第1方向(上方)及び第2方向(前方)に直交する第4方向(左方または右方)に傾斜する第2傾斜壁20L2を含んでよい。
【0160】
以上の構成のリフィルによれば、針シートSSが互いに軸方向に変位するように、複数の針シートSSを積層して収容することが可能となるから、ブロッキングを抑制することが可能となる。
【0161】
また更なる変形例に係るリフィルは、底壁と、軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する連結方向に連結してなり、前記底壁上に載置される下から第L番目の第L針シートと(Lは1以上の整数)、軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する連結方向に連結してなり、前記第L針シートから前記軸方向と平行な第1方向(右方または左方)に変位して前記第L針シートの上方に積層される下から第M番目の第M針シートと(MはLより大きい整数)、軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する連結方向に連結してなり、前記第M針シートから前記第1方向(右方または左方)に変位して前記第M針シートの上方に積層される下から第N番目の第N針シートと(NはMより大きい整数)、前記N針シート及び前記第M針シートを前記軸方向と平行であって前記第1方向と反対の第2方向(左方または右方)に変位させるための内壁面を備え、前記針シートを前記第1方向、前記第2方向及び前記針シートの積層方向と垂直な方向に排出可能に構成されたリフィルである。
【0162】
以上の構成のリフィルによれば、側壁の内壁面によって、第L針シートに対して第M針シートは軸方向に変位し、第M針シートに対して第N針シートは軸方向に変位するように、複数の針シートが積層して載置されるから、ブロッキングを抑制するリフィルを提供することが可能となる。L=1の場合、第1針シートは最下層の針シートSSに相当する。第1実施形態のリフィル10にあてはめる場合、右下部側壁20RLに対向する針シートSSは、第L針シートに該当する場合がある。例えば、右下部側壁20RLに対向する針シートSSが下から1~10番目の針シートSSの場合(すなわち右下部側壁20RLの上端の高さが、針シートSSの厚みの約10倍の場合)、1~10から選択される任意の整数が、Lに該当する場合がある。また、第1傾斜壁20R1に対向する針シートSSは、第M針シートに該当する場合がある。例えば、第1傾斜壁20R1に対向する針シートSSが下から11~30番目の針シートSSの場合、11~30から選択される任意の整数が、Mに該当する場合がある。第M針シートの上層の針シートSSであり、第1傾斜壁20R1または右上部側壁20RUに対向する針シートSSは、第N針シートに該当する可能性がある。
ここで典型的には、前記側壁の内壁面は、下方に進行するほど前記第2方向に接近する方向に傾斜して形成される。以上の構成のリフィルにおいて本実施形態等に記載された各構成(例えば第2傾斜壁)の構成をさらに付加してよい。
【0163】
[カートリッジ]
本実施形態に係るカートリッジCは、リフィル10を着脱自在に構成される。
図15は、リフィル10がカートリッジCに装着され、リフィル10が装着されたカートリッジがさらに電動ステープラSPに装着される様子を示す斜視図である。
【0164】
同図に示されるようにリフィル10は、カートリッジCの後方から前方に移動することにより、カートリッジCに装着される。また、収容していた全ての針シートSSが消費された後は、カートリッジCに対して後方に移動することにより、カートリッジCから分離される。
【0165】
カートリッジCは、例えば特許文献1に示される知られた構成を採用することが可能であり、リフィル10の前方に設けられ、リフィル10から送り出される針シートSSの前端に位置する針S(ステープルと呼ばれる場合がある。)をフォーミングプレートによりコ字状に成形した後、成形したステープルをドライバプレートにより用紙に打ち出し、用紙を貫通したステープルをクリンチして綴じ処理を行うための送出し部CD1(
図12A)と、カートリッジCに装着されたリフィル10の上蓋部30の上面30USを下方に押圧するための付勢部材CSPとを備える。
【0166】
以上の構成に加え本実施形態に係るカートリッジCは、前後方向に垂直で、リフィル10が装着されたときにリフィル10の第1傾斜壁20R1及び第2傾斜壁20L2を通過する仮想平面で切断した断面において、第1傾斜壁20R1と対向し、下方に進行するほど内方に進行する第1カートリッジ傾斜面CIS1(
図10A)を有する第1内壁と、第2傾斜壁20L2と対向し、上方に進行するほど内方に進行する第2カートリッジ傾斜面CIS2を有する第2内壁とを備える。
【0167】
さらにカートリッジCは、装着されたリフィル10の針シートが一枚又は二枚となったときに、第1傾斜壁20R1の開口20ROから突出する上蓋部30の第1蓋凸部30P1の後方に位置するように、内方に突出して形成された壁部CS(ストッパーCS)を備えてよい。ここで壁部CSは、リフィル10内の針シートが無くなったときに、上蓋部30の第1蓋凸部30P1の上方に位置することにより、カートリッジCに対するリフィル10の後方への移動を許可するように構成されてよい。
【0168】
同図に示されるようにリフィル10が装着されたカートリッジCは、さらに電動ステープラSPに装着される。電動ステープラSPは、知られた構成を採用することが可能である。
【0169】
電動ステープラSPは、例えば、複合機のフィニッシャに搭載される。本実施形態に係るリフィル10によれば、比較構成と比較して前後方向のスペースを小さくすることが可能となるから、フィニッシャの前後方向の小型化を促進することが可能となる。
【0170】
以上のとおりであるから、本発明によれば、ブロッキングを抑制可能なリフィルを提供することが可能となる。
【0171】
その他本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態またはある変形例に示される一部の構成要素を、他の変形例に追加することができる。また、ある実施形態またはある変形例に示される一部の構成要素を、他の変形例の対応する構成要素と置換することができる。例えば、リフィル10は、必ずしも上蓋部30を備えなくてもよい。例えば、リフィル10は上蓋部30を備えず、カートリッジCが上蓋部30に相当する蓋部を備えるように、リフィル10及びカートリッジCを変形してもよい。
図3Dは、上蓋部30を備えないリフィル10の一例を示している。
【0172】
(付記)
以下本出願に開示された発明を異なる表現で記載した発明を付記する。当業者に理解されるように、各付記に記載された発明に本実施形態に記載された他の構成を追加してもよい。例えば、付記A1、付記B1及び付記C1に記載されたいずれのリフィルに係る発明ともに、本実施形態に記載された第1傾斜壁及び第2傾斜壁を備えていてもよいし、第1傾斜壁及び第2傾斜壁のうち第2傾斜壁のみを備えていてもよい。
【0173】
(付記A1)
軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する連結方向に連結してなる針シートが載置される底壁と、
前記針シートを前記連結方向に排出するための排出口が形成された前壁と
を備えるリフィルであって、
前記底壁は、
固定端となる後端部と、
前記後端部から前記連結方向に延伸する延伸部と、
前記延伸部の前端から上方に延伸して、前記排出口の前方の領域の少なくとも一部に配置されることにより前記排出口の少なくとも一部を閉塞し、かつ、自由端となる前端部とを備える
リフィル。
【0174】
(付記A2)
前記延伸部は、外力を受けることにより前記前端部を下方に移動させる押圧面を備えている付記A1記載のリフィル。
【0175】
(付記A3)
前記押圧面は、前記針シートの排出方向である前方及び前記上方を向いた傾斜面を有する付記A2記載のリフィル。
【0176】
(付記A4)
前記延伸部は、前記押圧面と前記後端部との間の一部に、上下方向の厚みが小さくなる薄肉部を備えている付記A2またはA3記載のリフィル。
【0177】
(付記B1)
軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する連結方向に連結してなる針シートが積層されて載置される底壁と、
積層された前記針シートの前記軸方向の一方の端部と対向する第1側壁と、
積層された前記針シートの前記軸方向の他方の端部と対向する第2側壁と、
前記針シートを連結方向に排出可能に構成された前壁と
を備え、
前記第2側壁は、
前記第1側壁に接近する内方に変位可能に構成され、前記第1側壁から離間する外方に突出することによりカートリッジと係合するための第2凸部を有する第2係合壁部を備える
リフィル。
【0178】
(付記B2)
前記第2係合壁部は、
固定端となる後端部と、
前記後端部から前記針シートの排出方向と反対の後方に延伸する延伸部と、
前記延伸部の後方に設けられ、自由端となる後端部と
を備える付記B1記載のリフィル。
【0179】
(付記B3)
前記後端部の下端の、前記底壁部の底面からの高さは、
前記延伸部の下端の、前記底壁部の底面からの高さより小さい
付記B2記載のリフィル。
【0180】
(付記B4)
前記カートリッジに装着されたとき、前記リフィルの前記第2凸部は、前記カートリッジに形成された第2凹部と係合する
付記B1乃至B3のいずれかに記載されたリフィル
(付記B5)
前記第2側壁は、前記針シートが積層される積層方向の一部において、前記針の連結方向に延在し、かつ、前記軸方向に傾斜する第2傾斜壁を含む付記B1乃至付記B4のいずれかに記載されたリフィル。
【0181】
(付記B6)
前記第2側壁は、
下方に進行するほど前記第1側壁に接近する方向に傾斜する前記第2傾斜壁と、
前記第2傾斜壁の上方に位置し前記第2傾斜壁と連続して前記積層方向に延伸して形成された第2上部側壁とを含み、
前記第2上部側壁の少なくとも一部から前記第2傾斜壁の少なくとも一部にわたって上下方向に延在する開口が形成され、
前記リフィルは、
最上層の針シートの上面に載置されるように下方に移動可能に構成された蓋部であって、前記開口に係合する蓋凸部を有する蓋部を更に備え、
前記蓋凸部は、
前記第2上部側壁に対向する高さのとき、前記第2傾斜壁の開口内の領域に存在し、
前記第2傾斜壁に対向する高さのとき、前記第2傾斜壁の開口から突出する
付記B1乃至付記B5いずれかに記載されたリフィル。
【0182】
(付記B7)
前記カートリッジに装着されたとき、前記リフィルの前記蓋凸部は、前記リフィルの前記蓋凸部から後方に進行した位置において前記カートリッジに設けられたリフィルのストッパーにより後方への移動を規制される
付記B6記載のリフィル。
【0183】
(付記B8)
前記蓋部が前記底壁の底面に接触するとき、前記リフィルの前記蓋凸部は、前記リフィルのストッパーの下方を通過して後方に移動可能に構成される
付記B7記載のリフィル。
【0184】
(付記B9)
前記第1側壁は、
前記第2側壁に接近する内方に変位可能に構成され、前記第2側壁から離間する外方に突出することによりカートリッジと係合するための第1凸部を有する第1係合壁部を備える
付記B1乃至B8のいずれかに記載されたリフィル。
【0185】
(付記C1)
軸方向に延伸する複数の針を軸方向と直交する連結方向に連結してなる針シートが積層されて載置される底壁と、
前記針シートを連結方向に排出可能に構成された前壁と、
最上層の前記針シートの上面に載置されるように下方に移動可能に構成されており、かつ、カートリッジの付勢部材から下方に押圧される上面を備える蓋部と
を備え、
前記蓋部の上面は、
前記針シートが排出される前記連結方向の端部に相当する前端部と、
前記針シートが前記底壁上に載置されているときに、カートリッジの付勢部材に押圧される第1領域と、
前記第1領域から前記針シートが排出される前記連結方向に進行して前記前端部に接続する第2領域とを備え、
前記第1領域及び前記第2領域は、平滑に形成されている
リフィル。
【0186】
(付記C2)
前記リフィルが前記カートリッジに装着された状態において、前記リフィルを前記カートリッジに対して相対的に後方に移動させることにより前記リフィルを前記カートリッジから分離するとき、前記カートリッジの前記付勢部材は、前記第2領域に接触しながら、前記第1領域から前記前端部まで相対的に移動する
付記C1に記載されたリフィル。
【符号の説明】
【0187】
10 リフィル
20 本体部
20B 底壁
20BS 底面
20F 前壁
20FO 開口(排出口)
20L 左側壁(第2側壁)
20L2 第2傾斜壁
20LL 左下部側壁(第2下部側壁)
20LU 左上部側壁(第2上部側壁)
20R 右側壁(第1側壁)
20R1 第1傾斜壁
20RL 右下部側壁(第1下部側壁)
20RU 右上部側壁(第1上部側壁)
20RW 後壁
20ST 前端部
30 上蓋部
30US 上面
AD 軸方向
C カートリッジ
C1 第1凹部
C2 第2凹部
CD 連結方向
CS ストッパー
CSP 付勢部材
SP 電動ステープラ
SS 針シート