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特開2024-172525運行管理装置、運行管理システム、運行調整方法、および運行調整プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172525
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】運行管理装置、運行管理システム、運行調整方法、および運行調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/12 20220101AFI20241205BHJP
【FI】
B61L27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090302
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】井原 真之
(72)【発明者】
【氏名】上田 健詞
(72)【発明者】
【氏名】立石 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菅原 浩介
(72)【発明者】
【氏名】柏井 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】東耕 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 遼太
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ26
5H161JJ32
5H161JJ36
(57)【要約】
【課題】鉄道網における列車の運行効率の改善を可能とする運行管理装置を得ること。
【解決手段】運行管理装置1Aは、鉄道にて運行される列車6についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、列車6による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部11と、旅客データと貨物データとに基づいて、列車6についての旅客の将来の乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、列車6についての貨物の将来の輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部12と、旅客需要予測データと、貨物需要予測データと、列車6の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える
ことを特徴とする運行管理装置。
【請求項2】
前記運行調整部は、前記旅客需要予測データと前記基本ダイヤとに基づいて、前記列車による旅客の輸送についての運行計画である旅客ダイヤを作成し、かつ、前記旅客ダイヤと前記貨物需要予測データとに基づいて、前記列車による旅客の輸送と前記列車による貨物の輸送とを含めた運行計画である前記実施ダイヤを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記基本ダイヤには、増便の際に追加で運行させる前記列車についての運行計画と、減便の際に運行を取り止め可能な前記列車についての運行計画とが含まれている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項4】
前記基本ダイヤには、前記列車を構成する車両の数を変更可能であるか否かを示す情報が紐付けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項5】
前記基本ダイヤには、前記列車を貨物の輸送に使用可能であるか否かを示す情報が紐付けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項6】
前記需要予測部は、前記旅客データと、前記旅客データおよび前記旅客需要予測データを学習させた学習済モデルとを用いて将来の前記乗車需要を予測する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項7】
前記学習済モデルは、旅客の流動に影響を及ぼす事象についての情報と前記旅客データと前記旅客需要予測データとを学習することによって生成され、
前記需要予測部は、前記旅客データと、旅客の流動に影響を及ぼすことが予想される将来の事象についての情報と前記学習済モデルとを用いて将来の前記乗車需要を予測する
ことを特徴とする請求項6に記載の運行管理装置。
【請求項8】
前記需要予測部は、前記貨物データと、前記貨物データおよび前記貨物需要予測データを学習させた学習済モデルとを用いて将来の前記輸送需要を予測する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項9】
前記運行調整部は、前記旅客需要予測データが前記乗車需要の基準値を超えており、かつ、増車または増便の対象とする前記列車の候補が複数存在する場合において、増車または増便が行われた場合における効果を評価する評価関数に基づいて、複数の前記候補から増車または増便の対象とする前記列車を選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項10】
前記運行調整部は、貨物の輸送についての予約情報と前記貨物需要予測データとに基づいて単位期間における貨物の輸送量を決定し、決定された前記輸送量に基づいて、前記実施ダイヤのうち、貨物の輸送についての運行計画である貨物ダイヤを作成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項11】
前記運行調整部は、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、貨物の前記輸送量を決定する
ことを特徴とする請求項10に記載の運行管理装置。
【請求項12】
前記運行調整部は、貨物の輸送に使用可能な前記列車の候補が複数存在する場合において、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、複数の前記候補から貨物の輸送に使用する前記列車を選択する
ことを特徴とする請求項10に記載の運行管理装置。
【請求項13】
前記運行調整部は、旅客が乗車する前記列車を貨物の輸送にも使用する場合において、前記列車を構成する複数の車両に旅客が乗車する場合における複数の前記車両の各々の乗車率を予測した結果に基づいて、複数の前記車両を、旅客が乗車する前記車両と貨物の輸送に使用する前記車両とに振り分ける
ことを特徴とする請求項10に記載の運行管理装置。
【請求項14】
前記運行調整部は、決定された前記輸送量に対して、貨物の輸送に使用可能な前記列車の数が不足する場合に、旅客の輸送に使用する複数の前記列車の一部を貨物の輸送に使用する前記列車へ変更する
ことを特徴とする請求項10に記載の運行管理装置。
【請求項15】
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える運行調整装置と、
前記運行調整装置によって作成された前記実施ダイヤに基づいて前記列車の運行を管理する運行管理装置と、を備える
ことを特徴とする運行管理システム。
【請求項16】
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える運行管理装置と、
前記貨物データを保持し、前記データ取得部へ前記貨物データを出力する貨物情報管理装置と、を備える
ことを特徴とする運行管理システム。
【請求項17】
鉄道にて運行される列車の運行計画をコンピュータによって調整する運行調整方法であって、
前記列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するステップと、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成するステップと、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成するステップと、を含む
ことを特徴とする運行調整方法。
【請求項18】
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するステップと、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成するステップと、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成するステップと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする運行調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、列車の運行を管理する運行管理装置、運行管理システム、運行調整方法、および運行調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道を利用する旅客の乗車需要を把握して、列車の運行計画を調整する技術が知られている。特許文献1には、列車の過去の運行にかかる情報に基づいて時間帯ごとの必要輸送量を駅ごとに特定し、列車の運行間隔が常に最低限の運行間隔以下となるように、時間帯ごとの列車の運行編成数を決定する車両制御装置が開示されている。特許文献1の技術によると、列車の運行本数または列車の編成数を乗車需要に応じて調整することで、旅客の利便性を損ねることなく列車の運行効率を向上させ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-182653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術によると、旅客が少なくなる時間帯において減便された列車の有効活用ができないことから、鉄道網における列車の運行効率の改善を図ることが困難であるという課題があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、鉄道網における列車の運行効率の改善を可能とする運行管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる運行管理装置は、鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、旅客データと貨物データとに基づいて、列車についての旅客の将来の乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、列車についての貨物の将来の輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、旅客需要予測データと、貨物需要予測データと、列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる運行管理装置は、鉄道網における列車の運行効率を改善させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる運行管理装置の構成例を示す図
図2】実施の形態1にかかる運行管理装置の運行ダイヤ作成部によって作成される基本ダイヤについて説明するための図
図3】実施の形態1にかかる運行管理装置の運行ダイヤ作成部によって作成される基本ダイヤに含まれる情報の例を示す図
図4】実施の形態1にかかる運行管理装置の旅客情報データベースに蓄積される旅客データの例を示す図
図5】実施の形態1にかかる運行管理装置の貨物情報データベースに蓄積される貨物データの例を示す図
図6】実施の形態1にかかる運行管理装置の需要予測部によって作成される旅客需要予測データの例を示す図
図7】実施の形態1にかかる運行管理装置の需要予測部によって作成される貨物需要予測データの例を示す図
図8】実施の形態1にかかる運行管理装置の運行調整部による基本ダイヤの調整の概要について説明するための図
図9】実施の形態1にかかる運行管理装置の運行調整部による基本ダイヤの調整の第1の例について説明するための図
図10】実施の形態1にかかる運行管理装置の運行調整部による基本ダイヤの調整の第2の例について説明するための図
図11】実施の形態1にかかる運行管理装置による処理の手順を示すフローチャート
図12】実施の形態1にかかる運行管理装置の運行調整部が行う処理の手順を示すフローチャート
図13】実施の形態1にかかる運行管理装置が有する運行調整部の旅客調整モードによる処理の手順を示すフローチャート
図14】実施の形態1にかかる運行管理装置が有する運行調整部の増便モードによる処理の手順を示すフローチャート
図15】実施の形態1にかかる運行管理装置が有する運行調整部の減便モードによる処理の手順を示すフローチャート
図16】実施の形態1にかかる運行管理装置が有する運行調整部の貨物計画モードによる処理の手順を示すフローチャート
図17】実施の形態2にかかる運行管理システムの構成例を示す図
図18】実施の形態3にかかる運行管理システムの構成例を示す図
図19】実施の形態4にかかる運行管理システムの構成例を示す図
図20】実施の形態5にかかる運行管理装置による旅客用の車両と貨物用の車両との振り分けについて説明するための図
図21】実施の形態5にかかる運行管理装置が有する運行調整部の貨物計画モードによる処理の手順を示すフローチャート
図22】実施の形態6にかかる運行管理装置による旅客ダイヤの再調整について説明するための図
図23】実施の形態6にかかる運行管理装置の運行調整部が行う処理の手順を示すフローチャート
図24】実施の形態6にかかる運行管理装置が有する運行調整部の旅客調整モードによる処理の手順を示すフローチャート
図25】実施の形態1から6にかかる運行管理装置を実現するハードウェア構成の第1の例を示す図
図26】実施の形態1から6にかかる運行管理装置を実現するハードウェア構成の第2の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる運行管理装置、運行管理システム、運行調整方法、および運行調整プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの構成例を示す図である。運行管理装置1Aは、鉄道における複数の列車6の運行を管理する。図1には、複数の列車6のうちの1つを示している。運行管理装置1Aは、複数の列車6により旅客の輸送と貨物の輸送とを実現するダイヤを作成し、ダイヤに基づいて複数の列車6の運行を管理する。
【0011】
運行管理装置1Aは、例えば、1つ以上のクラウドサーバによって構成される。クラウドサーバは、クラウドサービスプラットフォームにおいて提供されるコンピュータ資源を含むクラウド環境に構築されるサーバである。なお、運行管理装置1Aは、クラウドサーバ以外のサーバであっても良く、例えば、オンプレミスのサーバであっても良い。
【0012】
情報端末7は、列車6が発着する駅等に設置される。情報端末7には、貨物の輸送についての情報が、駅員または輸送の依頼者などによって入力される。貨物の輸送についての情報が入力される情報端末7は複数存在するものとする。図1には、複数の情報端末7のうちの1つを示している。
【0013】
複数の列車6の各々と複数の情報端末7の各々とは、ネットワークを介して運行管理装置1Aに通信可能に接続されており、運行管理装置1Aとの間で情報の送受信を行う。ネットワークは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)であるが、LAN(Local Area Network)であっても良い。
【0014】
複数の列車6の各々は、旅客の乗車需要を示す旅客データを運行管理装置1Aへ送信する。複数の情報端末7の各々は、列車6による貨物の輸送需要を示す貨物データを運行管理装置1Aへ送信する。また、複数の情報端末7の各々には、貨物の輸送の予約についての情報である予約情報が入力される。複数の情報端末7の各々は、予約情報を含む貨物データを運行管理装置1Aへ送信する。
【0015】
運行管理装置1Aは、データ取得部11と、需要予測部12と、運行調整部13と、運行ダイヤ作成部14と、記憶部15とを備える。記憶部15は、4つのデータベースである、旅客情報データベースと貨物情報データベースと需要予測データベースと運行ダイヤデータベースとを記憶する。なお、図1では、データベースをDB(Data Base)と表記する。図2以降においても同様とする。図1では1つの記憶部15に4つのデータベースが記憶されるものとしたが、運行管理装置1Aには、データベースごとの記憶部が備えられても良い。
【0016】
データ取得部11は、鉄道にて運行される列車6についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、列車6による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得する。データ取得部11には、複数の列車6の各々から運行管理装置1Aへ送信された旅客データが入力される。また、データ取得部11には、複数の情報端末7の各々から運行管理装置1Aへ送信された貨物データが入力される。データ取得部11は、取得した旅客データを旅客情報データベースに保存する。データ取得部11は、取得した貨物データを貨物情報データベースに保存する。
【0017】
需要予測部12は、旅客データと貨物データとに基づいて、列車6についての旅客の将来の乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、列車6についての貨物の将来の輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する。需要予測部12は、旅客情報データベースから旅客データを読み出す。需要予測部12は、貨物情報データベースから貨物データを読み出す。需要予測部12は、旅客データに基づいて時間帯ごとの乗車需要を予測して、旅客需要予測データを作成する。需要予測部12は、貨物データに基づいて時間帯ごとの輸送需要を予測して、貨物需要予測データを作成する。需要予測部12は、作成された旅客需要予測データと作成された貨物需要予測データとを需要予測データベースに保存する。
【0018】
運行調整部13は、旅客需要予測データと、貨物需要予測データと、列車6の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する。運行調整部13は、旅客需要予測データと貨物需要予測データとを需要予測データベースから読み出す。運行調整部13は、運行ダイヤデータベースから基本ダイヤを読み出す。運行調整部13は、旅客需要予測データと基本ダイヤとに基づいて、列車6による旅客の輸送についての運行計画である旅客ダイヤを作成する。また、運行調整部13は、旅客ダイヤと貨物需要予測データとに基づいて、列車6による旅客の輸送と列車6による貨物の輸送とを含めた運行計画である実施ダイヤを作成する。運行調整部13は、作成された実施ダイヤを運行ダイヤデータベースに保存する。
【0019】
運行ダイヤ作成部14は、基本ダイヤを作成する。運行ダイヤ作成部14は、運行管理装置1Aによる運行の対象とされる1つまたは複数の路線についての基本ダイヤを作成する。基本ダイヤには、各路線について、上り用のダイヤと下り用のダイヤとが含まれる。また、基本ダイヤには、平日用のダイヤと休日用のダイヤとが含まれる。運行ダイヤ作成部14は、自動で基本ダイヤを作成しても良く、運行管理装置1Aを操作するオペレータの操作に従って基本ダイヤを作成しても良い。運行ダイヤ作成部14は、作成された運行ダイヤを運行ダイヤデータベースに保存する。
【0020】
図2は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの運行ダイヤ作成部14によって作成される基本ダイヤについて説明するための図である。図2には、基本ダイヤの例を簡略化して示している。図2に示す基本ダイヤでは、列車6が停車する駅の名称が縦方向に並べられている。図2に示す基本ダイヤでは、左から右へ向かう方向が時刻の推移を表している。図2に示す基本ダイヤでは、時刻ごとにおける列車6の位置を、折れ線により示されるスジにより表している。
【0021】
運行ダイヤ作成部14によって作成される基本ダイヤには、通常列車のダイヤと、臨時列車のダイヤと、運休が可能な通常列車のダイヤとが含まれる。通常列車は、増便の有無および減便の有無に関わらず運行される列車6を指すものとする。図2では、通常列車のスジを実線により示す。臨時列車は、増便および減便が行われない通常時には運行されない列車6であって、増便の際に追加で運行させる列車6を指すものとする。図2では、臨時列車のスジを破線により示す。運休が可能な通常列車とは、通常時には運行される列車6であって、減便の際に運休させることが可能な通常列車である。図2では、運休が可能な通常列車のスジを一点鎖線により示す。このように、基本ダイヤには、増便の際に追加で運行させる列車6である通常列車についての運行計画と、減便の際に運行を取り止め可能な列車6である、運休が可能な通常列車についての運行計画とが含まれている。各列車6のスジには、列車6が、通常列車と、臨時列車と、運休が可能な通常列車とのいずれに該当するかを示す情報が紐付けられる。以下の説明では、通常列車と、臨時列車と、運休が可能な通常列車とのいずれに該当するかを示す情報を、列車種別情報とも称する。
【0022】
運行管理装置1Aによって運行される複数の列車6には、旅客の輸送のみに使用される列車6、すなわち旅客専用の列車6と、貨物の輸送のみに使用される列車6、すなわち貨物専用の列車6とを含めることができる。また、運行管理装置1Aによって運行される複数の列車6には、旅客の輸送と貨物の輸送とに使用可能な列車6、すなわち貨客混載が可能な列車6を含めることができる。図2では、旅客の輸送のみに使用される列車6である、旅客専用の列車6のスジには三角形のマークを付している。各列車6のスジには、列車6が、旅客専用の列車6と、貨物専用の列車6と、貨客混載が可能な列車6とのいずれに該当するかを示す情報が紐付けられる。以下の説明では、旅客専用の列車6と、貨物専用の列車6と、貨客混載が可能な列車6とのいずれに該当するかを示す情報を、列車用途情報とも称する。
【0023】
さらに、運行ダイヤ作成部14によって作成される基本ダイヤには、各列車6について、列車6を構成する車両の数を変更可能であるか否かが設定される。各列車6のスジには、車両の数を変更可能であるか否かを示す情報が紐付けられる。以下の説明では、車両の数を変更可能であるか否かを示す情報を、車両数変更情報とも称する。
【0024】
基本ダイヤの性質として、旅客の利便性または時刻表へのダイヤの記載の観点から、運休可能な列車6の本数は少ないことが望ましい。運行管理装置1Aは、運休可能な列車6を少なくしておき、輸送力を削減する場合には車両の数を削減する調整によって対応する。または、運行管理装置1Aは、通常列車を少なくしておき、臨時列車を積極的に設定することとしても良い。運休可能な列車6を設定する場合は、旅客への影響が少ないと判断される列車6が優先的に運休可能な列車6とされる。
【0025】
運行ダイヤ作成部14は、例えば貨物の定期的な輸送需要が存在する場合には、貨物専用の列車6の定期的な運行を基本ダイヤに含めることとしても良い。運行ダイヤ作成部14は、輸送需要の変化に応じて貨物専用の列車6の運行を調整することとしても良い。
【0026】
運行管理装置1Aは、列車6に使用される車両の数が固定である場合、当該固定の車両数で基本ダイヤを作成しておき、列車6の運行本数の調整によって輸送力を調整する。運行管理装置1Aは、列車6に使用される車両の数を変更可能である場合は、列車6の運行本数の調整と車両の数の調整とによって、輸送力を調整し得る。
【0027】
ここで、基本ダイヤを構成する情報の例について説明する。図3は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの運行ダイヤ作成部14によって作成される基本ダイヤに含まれる情報の例を示す図である。
【0028】
基本ダイヤには、運行日、列車番号、出発駅、出発時刻、到着駅、到着時刻、使用車両の各項目の情報と、属性情報とが含まれる。運行日の項目は、列車6が運行される日を表す。列車番号の項目は、列車6の識別子である列車番号を表す。出発駅の項目は、列車6が出発する駅の駅名を表す。出発時刻の項目は、出発駅を出発する時刻を表す。到着駅の項目は、列車6が到着する駅の駅名を表す。使用車両の項目は、列車6に使用される車両の数を表す。属性情報には、列車種別情報と、車両数変更情報と、列車用途情報とが含まれる。
【0029】
基本ダイヤには、各列車6について、列車6が走行する全ての駅間についての情報が含まれる。図3に示す表の各行は、列車6ごとの駅間単位の情報を表す。例えば、図3に示す表のうち上から1行目には、列車番号「M0001」の列車6のA駅およびB駅間についての情報が示されている。また、当該行には、当該列車6について、運行日が全日であって、A駅の出発時刻が8時0分、かつB駅の到着時刻が8時5分であること、車両数が4両であることが示されている。また、属性情報として、当該列車6は通常列車であって、車両数の変更は可能、かつ、貨物輸送の利用は不可であることが示されている。
【0030】
図3に示すように、基本ダイヤには、増便の際に追加で運行させる列車6についての運行計画と、減便の際に運行を取り止め可能な列車6についての運行計画とが含まれている。基本ダイヤには、通常列車と、臨時列車と、運休が可能な通常列車とのいずれに該当するかを示す情報である列車種別情報が紐付けられている。また、基本ダイヤには、列車6を構成する車両の数を変更可能であるか否かを示す情報である車両数変更情報が紐付けられている。また、基本ダイヤには、列車6を貨物の輸送に使用可能であるか否かを示す情報である列車用途情報が紐付けられている。
【0031】
なお、車両数変更情報には、設定可能な車両数を示す情報が含まれても良い。例えば、設定可能な車両数として2両、4両、および6両が設定されている場合、当該列車6は、2両、4両、および6両の中で車両数を変更することができる。基本ダイヤを構成する情報は、図3に示す項目の情報に限られない。基本ダイヤを構成する情報の項目には、図3に示す項目以外の項目が含められても良い。
【0032】
図4は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの旅客情報データベースに蓄積される旅客データの例を示す図である。旅客データには、日付、列車番号、出発駅、出発時刻、到着駅、到着時刻、および乗車人数の各項目の情報が含まれる。旅客データは、実際に運行された列車6についてのデータである。
【0033】
日付の項目は、列車6が運行された日付を表す。列車番号の項目は、運行された列車6の列車番号を表す。出発駅の項目は、運行された列車6が出発した駅の名称を表す。出発時刻の項目は、出発駅を列車6が出発した時刻を表す。到着駅の項目は、運行された列車6が到着した駅の名称を表す。到着時刻の項目は、到着駅に列車6が到着した時刻を表す。乗車人数の項目は、出発駅から到着駅までの間において列車6に乗車した旅客の人数を表す。乗車人数の項目は、駅間単位における旅客の乗車需要を表す。
【0034】
旅客データには、実際に運行された各列車6について、列車6が走行した全ての駅間についての情報が含まれる。図4に示す表の各行は、列車6ごとの駅間単位の情報を表す。例えば、図4に示す表のうち上から1行目には、列車番号「M0001」の列車6についてのA駅およびB駅間の情報が示されている。また、当該行には、当該列車6の運行日が2022年の10月1日であって、A駅の出発時刻が8時0分0秒、かつB駅の到着時刻が8時5分0秒であったこと、当該列車6に乗車していた旅客の人数が134人であったことが示されている。
【0035】
旅客データに含められる情報は、図4に示す項目の情報に限られない。旅客データに含められる情報の項目には、図4に示す項目以外の項目が含められても良い。例えば、列車6における車両ごとの乗車人数の情報を取得可能である場合、旅客データには、車両ごとの乗車人数の情報が含められても良い。列車6における車両の中の1つでも混雑が激しい車両があると列車6が遅延する可能性が高くなるため、運行管理装置1Aは、車両ごとの乗車人数の情報から、遅延の原因を推定することとしても良い。また、駅の改札口を通る人の数を示す情報を取得可能である場合、旅客データには、改札口を通る人の数を示す情報が含められても良い。運行管理装置1Aは、当該情報から駅間の人流を推定することとしても良い。
【0036】
図5は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの貨物情報データベースに蓄積される貨物データの例を示す図である。貨物データには、データ分類、受付日時、輸送期限、出発駅、出発日時、到着駅、到着日時、分類、および内容の各項目の情報が含まれる。貨物データには、実際に輸送された貨物についてのデータと、予約情報のデータとが含まれる。データ分類の項目は、データが、輸送の実績についてのデータと輸送の予約についてのデータとのいずれであるかを表す。受付日時の項目は、輸送のために貨物を受け付けた日時、または、輸送のために貨物を受け付ける予定の日時を表す。輸送期限の項目は、貨物の輸送期限である日時を表す。出発駅の項目は、列車6に貨物が載せられる駅の名称を表す。出発日時の項目は、出発駅から列車6が出発する時刻を表す。到着駅の項目は、列車6から貨物が降ろされる駅の名称を表す。到着日時の項目は、到着駅に列車6が到着する時刻を表す。分類の項目は、貨物の分類を表す。内容の項目は、貨物の内容を表す。
【0037】
貨物データには、各列車6について、列車6により輸送される全ての貨物についての情報が含まれる。図5に示す表の各行は、貨物単位の情報を表す。例えば、図5に示す表のうち上から1行目には、実際に輸送された貨物であって、分類が「普通」、かつ内容が「宅配便」である貨物についての情報が示されている。また、当該行には、輸送のために当該貨物を受け付けた日時が2022年10月1日の8時30分であって、当該貨物の輸送期限が2022年10月3日であったことが示されている。また、当該行には、当該貨物が列車6に載せられた駅がA駅であって、A駅を列車6が出発した日時が2022年10月2日の15時0分であったこと、当該貨物が列車6から降ろされた駅がC駅であって、C駅に列車6が到着した日時が2022年10月2日の15時30分であったことが示されている。
【0038】
なお、予約情報のデータについては、出発日時の情報と到着日時の情報とはいずれも空欄とされる。貨物データに含められる情報は、図5に示す項目の情報に限られない。貨物データに含められる情報の項目には、図5に示す項目以外の項目が含められても良い。
【0039】
図6は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの需要予測部12によって作成される旅客需要予測データの例を示す図である。図6には、A駅とB駅との間の旅客需要予測データの例を表す。図6には各列車6の平均乗車人数と時刻との関係を表すグラフであって、基準値のグラフと予測値のグラフとを示している。基準値とは、平均乗車人数の基準とされる値であって、乗車需要を推定する際に使用される値とする。基準値は、例えば、直近1年間における乗車人数の実績に基づいて算出される。予測値とは、需要予測部12によって予測された平均乗車人数の値とする。図6において、縦軸は各列車6の平均乗車人数を表し、横軸は時刻を表す。図6に示す例では、早朝の時間帯と夜の時間帯とで、予測値が基準値に近い値となっており、その他の時間帯では、予測値と基準値との乖離が見られる。
【0040】
需要予測部12は、例えば1日1回、翌日の乗車需要を予測する。需要予測部12は、駅間単位の乗車需要を予測し、駅間単位の旅客需要予測データを作成する。需要予測部12は、列車6を走行させる全ての駅間についての旅客需要予測データを作成する。全ての駅間について需要予測部12によって作成された旅客需要予測データが、需要予測データベースに蓄積される。
【0041】
一例として、需要予測部12は、人工知能(Artificial Intelligence:AI)を用いて将来の乗車需要を予測することによって、旅客需要予測データを作成する。需要予測部12は、旅客データと、旅客データおよび旅客需要予測データを学習させた学習済モデルとを用いて将来の乗車需要を予測しても良い。乗車需要の予測には、各列車6の各駅における乗降人数のデータが使用されても良く、OD(Origin-Destination)データが使用されても良い。ODデータは、出発地から目的地までの乗車需要を単位時間ごとに示したデータである。ODデータの単位時間は任意であるものとする。需要予測部12は、旅客データから各駅における乗降人数を求めても良い。図6に示す例では、需要予測部12によって作成される旅客需要予測データは、平均乗車人数のデータである。需要予測部12によって作成される旅客需要予測データは、各駅における乗降人数のデータであっても良い。
【0042】
なお、将来の乗車需要を予測するための学習済モデルは、旅客の流動に影響を及ぼす事象についての情報と旅客データと旅客需要予測データとを学習することによって生成されても良い。この場合、需要予測部12は、旅客データと、旅客の流動に影響を及ぼすことが予想される将来の事象についての情報と学習済モデルとを用いて将来の乗車需要を予測する。旅客の流動に影響を及ぼす事象とは、例えば、多くの人が訪れるイベントの開催などである。需要予測部12は、旅客の流動に影響を及ぼす事象についての情報が学習に含まれることによって、将来の乗車需要をさらに高精度に予測することができる。
【0043】
図7は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの需要予測部12によって作成される貨物需要予測データの例を示す図である。図7には、A駅とB駅との間の貨物需要予測データの例を表す。図7には、A駅からB駅へ向かう列車6に載せられる貨物の数の予測値と日との関係を表すグラフを示している。図7において、縦軸は貨物の数を表し、横軸は日を表す。
【0044】
需要予測部12は、駅間単位の輸送需要を予測し、駅間単位の貨物需要予測データを作成する。需要予測部12は、列車6を走行させる全ての駅間についての貨物需要予測データを作成する。需要予測部12によって作成された全ての駅間についての貨物需要予測データが、需要予測データベースに蓄積される。
【0045】
一例として、需要予測部12は、AIを用いて将来の輸送需要を予測することによって、貨物需要予測データを作成する。需要予測部12は、貨物データと、貨物データおよび貨物需要予測データを学習させた学習済モデルとを用いて将来の輸送需要を予測しても良い。
【0046】
なお、貨物は輸送のために駅等に留め置くことが可能であることから、貨物の輸送需要は旅客の乗車需要に比べて即時性が低いといえる。このため、図7に示す例では、日ごとに輸送される貨物の数のデータが貨物需要予測データとされている。貨物の数のデータは日ごとのデータに限られない。すなわち、貨物の数のデータが求められる単位期間は、1日に限られない。当該単位期間は、1日よりも長い期間であっても良く、1日よりも短い期間であっても良い。また、当該単位期間は、貨物の分類または貨物の内容によって変更されても良い。例えば、生鮮品などの輸送期限が短い貨物については、当該単位期間を1日よりも短い期間とし、その他の貨物については、当該単位期間を1日または1日よりも長い期間としても良い。
【0047】
次に、運行調整部13による旅客ダイヤの作成について説明する。運行調整部13は、旅客需要予測データに基づいて基本ダイヤを調整することにより、旅客ダイヤを作成する。
【0048】
図8は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの運行調整部13による基本ダイヤの調整の概要について説明するための図である。図8には、図6と同様のグラフを示している。図8において、グラフのうち破線の枠21により囲われた部分では、基準値に対して予測値が上回っている。図8において、グラフのうち破線の枠22により囲われた部分では、基準値に対して予測値が下回っている。
【0049】
運行調整部13は、基準値に対して予測値が上回っている時間帯について、通常よりも列車6が混雑することが予想されることから、基本ダイヤから輸送力を増やす調整を試みる。一方、運行調整部13は、基準値に対して予測値が下回っている時間帯について、常よりも列車6が閑散とすることが予想されることから、基本ダイヤから輸送力を減らす調整を試みる。
【0050】
図9は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの運行調整部13による基本ダイヤの調整の第1の例について説明するための図である。図9には、基本ダイヤから輸送力を増やす場合におけるダイヤの調整例を表している。運行調整部13は、基本ダイヤにおける運行の対象である列車6の増車、または基本ダイヤからの増便により、輸送力を増やす調整を行う。増車とは、列車6の車両を増やすことを指す。増便とは、運行する列車6の本数を増やすことを指す。
【0051】
例えば、図9に示すダイヤ23は、運行ダイヤ作成部14によって作成された基本ダイヤとする。ダイヤ23のうち、長円26により囲われた部分が、乗車需要の予測値が基準値を上回った時間帯とする。図9に示すダイヤ24は、ダイヤ23からの増車が行われたダイヤの例である。ダイヤ24における2つのスジ27,28は、ダイヤ23において長円26により囲われた部分に含まれるスジであって、いずれも通常列車のスジである。
【0052】
例えば、運行調整部13は、2つのスジ27,28の各列車6について、車両の数を増加させる調整を行う。ダイヤ23では各スジ27,28の列車6における車両の数が2両であったとした場合に、運行調整部13は、ダイヤ24では各スジ27,28の列車6における車両の数を4両に増加させる。かかる調整は、ダイヤ23において、2つのスジ27,28の各々に車両の数の変更が可能であることを示す車両数変更情報が紐付けられている場合に行い得る。また、変更可能な車両数に制限がある場合は、変更可能な車両数の中で変更後の車両数が決定される。運行管理装置1Aは、車両の数を増加させる調整によって、乗車需要に合わせて列車6の混雑を緩和させることができる。
【0053】
図9に示すダイヤ25は、ダイヤ23からの増便が行われたダイヤの例である。ダイヤ25における1つのスジ29は、ダイヤ23において長円26により囲われた部分に含まれるスジであって、臨時列車のスジである。例えば、運行調整部13は、スジ29の臨時列車を、増便のために追加で運行させる列車6に設定する。運行調整部13は、ダイヤ23のうち乗車需要の予測値が基準値を上回った部分にスジが存在している臨時列車を、増便の対象とすることができる。運行管理装置1Aは、運行させる列車6を増加させる調整によって、乗車需要に合わせて列車6の混雑を緩和させることができる。
【0054】
図10は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの運行調整部13による基本ダイヤの調整の第2の例について説明するための図である。図10には、基本ダイヤから輸送力を減らす場合におけるダイヤの調整例を表している。運行調整部13は、基本ダイヤにおける運行の対象である列車6の減車、または基本ダイヤからの減便により、輸送力を減らす調整を行う。減車とは、列車6の車両を減らすことを指す。減便とは、運行する列車6の本数を減らすことを指す。
【0055】
例えば、図10に示すダイヤ31は、運行ダイヤ作成部14によって作成された基本ダイヤとする。ダイヤ31のうち、長円34により囲われた部分が、乗車需要の予測値が基準値を下回った時間帯とする。図10に示すダイヤ32は、ダイヤ31からの減車が行われたダイヤの例である。ダイヤ32における2つのスジ35,36は、ダイヤ31において長円34により囲われた部分に含まれるスジである。このうち、スジ35は、運休が可能な通常列車のスジである。スジ36は、運休が不可である通常列車のスジである。
【0056】
例えば、運行調整部13は、2つのスジ35,36の各列車6について、車両の数を減少させる調整を行う。ダイヤ31では各スジ35,36の列車6における車両の数が4両であったとした場合に、運行調整部13は、ダイヤ32では各スジ35,36の列車6における車両の数を2両に減少させる。かかる調整は、ダイヤ31において、2つのスジ35,36の各々に車両の数の変更が可能であることを示す車両数変更情報が紐付けられている場合に行い得る。また、変更可能な車両数に制限がある場合は、変更可能な車両数の中で変更後の車両数が決定される。運行管理装置1Aは、車両の数を減少させる調整によって、乗車需要に合わせて列車6の運行を効率化させることが可能となる。
【0057】
図10に示すダイヤ33は、ダイヤ31からの減便が行われたダイヤの例である。ダイヤ33における1つのスジ37は、ダイヤ31において長円34により囲われた部分に含まれるスジであって、運休が可能な通常列車のスジである。例えば、運行調整部13は、スジ37の通常列車を、減便のために運行を取り止める列車6に設定する。運行調整部13は、ダイヤ31のうち乗車需要の予測値が基準値を下回った部分にスジが存在している、運休が可能な通常列車を、減便の対象とすることができる。運行管理装置1Aは、運行させる列車6を減少させる調整によって、乗車需要に合わせて列車6の運行を効率化させることが可能となる。
【0058】
なお、乗車需要の予測値が基準値を下回る時間帯に、車両の数の変更が可能であることを示す車両数変更情報が紐付けられているスジも、運休が可能な通常列車のスジも存在しない場合、運行調整部13は、旅客が乗車する列車6を貨客混載とする調整を行うことができる。かかる調整は、列車6を貨物の輸送に使用可能であることを示す列車用途情報がスジに紐付けられている場合に行い得る。
【0059】
運行調整部13は、このように、輸送力を増やす調整、または輸送力を減らす調整を基本ダイヤに施すことによって、旅客ダイヤを作成する。これにより、運行調整部13は、乗車需要に合わせて、列車6の混雑の緩和または列車6の運行の効率化を図ることができる。
【0060】
運行調整部13は、旅客需要予測データが乗車需要の基準値を超えており、かつ、増車または増便の対象とする列車6の候補が複数存在する場合において、増車または増便が行われた場合における効果を評価する評価関数に基づいて、複数の候補から増車または増便の対象とする列車6を選択しても良い。乗車需要の予測値が基準値を上回る時間帯に増便の対象とし得る臨時列車が複数存在する場合に、各臨時列車を増便の対象とし得る。また、乗車需要の予測値が基準値を上回る時間帯に増車の対象とし得る通常列車が複数存在する場合に、各通常列車を増車の対象とし得る。
【0061】
評価関数は、増車または増便が行われた場合における効果を評価可能な関数であれば良く、任意であるものとする。評価関数は、乗車需要の予測値が基準値を上回る時間帯にて運行される全ての列車6についての、駅ごとの乗降人数の最大値を表す関数であっても良い。運行調整部13は、かかる評価関数を最小化させる候補の組合せを求め、求めた組合せの各候補を、増車の対象に選択する。
【0062】
または、評価関数は、当該時間帯にて運行される全ての列車6における平均乗車率を表す関数であっても良い。または、評価関数は、当該時間帯にて運行される全ての列車6における運行コストの総和を表す関数であっても良い。または、評価関数は、当該時間帯にて運行される全ての列車6における、上記各評価値と目標値との差分を表す関数であっても良い。または、評価関数は、上記の評価関数のうちの少なくとも2つの組合せであっても良い。これらの各評価関数の場合も、運行調整部13は、評価関数を最小化させる候補の組合せを求め、求めた組合せの各候補を、増車の対象に選択する。運行調整部13は、評価関数に基づいて複数の候補から増車または増便の対象とする列車6を選択することで、列車6の混雑の緩和または列車6の運行の効率化を図ることができる。
【0063】
運行調整部13は、旅客需要予測データが乗車需要の基準値を下回り、かつ、減車または減便の対象とする列車6の候補が複数存在する場合において、減車または減便が行われた場合における効果を評価する評価関数に基づいて、複数の候補から減車または減便の対象とする列車6を選択しても良い。
【0064】
増車または増便の場合には、運行調整部13による基本ダイヤの調整は、車両と乗務員とを確保可能であることを前提とする。運行調整部13は、評価関数を基に、各候補について増車または増便の対象とする優先度を設定し、車両と乗務員とを確保可能な範囲において、優先度に基づいて増車または増便の対象を選択しても良い。運行調整部13は、増便の対象とし得る臨時列車が無い場合に、通常列車の増車のみを検討する。また、運行調整部13による基本ダイヤの調整において、車両の数の変更は、各列車6のスジに紐付けられている車両数変更情報を満たすことを前提とする。
【0065】
次に、運行調整部13による貨物ダイヤの作成について説明する。運行調整部13は、貨物の輸送についての予約情報と貨物需要予測データとに基づいて単位期間における貨物の輸送量を決定する。運行調整部13は、決定された輸送量と旅客ダイヤとに基づいて貨物ダイヤを作成する。
【0066】
運行調整部13による貨物ダイヤの作成は、輸送量を決定するステップと、貨物の輸送に必要な列車6の運行本数を算出するステップと、貨物ダイヤを決定するステップとに分けられる。
【0067】
輸送量を決定するステップでは、運行調整部13は、予約情報と貨物需要予測データとを基に、1日ごとの各駅間における貨物の輸送量を決定する。運行調整部13は、貨物の輸送に関する制約を考慮して、輸送量を決定する。貨物の輸送に関する制約とは、例えば、輸送期限、各列車6または各駅間の輸送容量、または、各駅における貨物の最大保管量などである。
【0068】
運行調整部13は、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、貨物の輸送量を決定しても良い。評価関数は、貨物の輸送効率を評価可能な関数であれば良く、任意であるものとする。評価関数は、貨物の輸送にかかるコストを表す関数であっても良い。運行調整部13は、かかる評価関数を最小化させるような、1日ごとの各駅間における輸送量を求める。
【0069】
または、評価関数は、輸送前の貨物の保存に要するコストを表す関数であっても良い。または、評価関数は、各貨物の輸送期限までの残日数を表す関数であっても良い。または、評価関数は、上記の評価関数のうちの少なくとも2つの組合せであっても良い。これらの各評価関数の場合も、運行調整部13は、評価関数を最小化させるような、1日ごとの各駅間における輸送量を求める。なお、上記説明では、輸送量の決定における単位期間を1日としたが、単位期間は1日以外の期間であっても良い。
【0070】
貨物の輸送に必要な列車6の運行本数を算出するステップでは、運行調整部13は、求めた輸送量を満たすように、各駅間にて貨物の輸送に使用する列車6の本数を算出する。
【0071】
貨物ダイヤを決定するステップでは、運行調整部13は、翌日における貨物の輸送に使用する列車6についての貨物ダイヤを決定する。運行調整部13は、旅客ダイヤのスジのうち貨客混載が可能なスジ、または、旅客ダイヤにおいて運行の対象とされていない臨時列車のスジを、貨物の輸送に使用するスジの候補として選択する。または、運行調整部13は、基本ダイヤにおいて貨物専用の列車6のスジが設定されている場合は、当該スジを、貨物の輸送に使用するスジの候補として選択する。
【0072】
運行調整部13は、貨物の輸送に使用可能な列車6の候補が複数存在する場合において、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、複数の候補から貨物の輸送に使用する列車6を選択しても良い。評価関数は、貨物の輸送効率を評価可能な関数であれば良く、任意であるものとする。評価関数は、貨物の輸送にかかるコストを表す関数であっても良い。運行調整部13は、かかる評価関数を最小化させる候補の組合せを求め、求めた組合せの各候補を、貨物の輸送に使用する列車6に選択する。運行調整部13は、このようにして、貨物ダイヤを作成する。運行調整部13は、作成された旅客ダイヤと作成された貨物ダイヤとを合わせることによって、実施ダイヤを作成する。
【0073】
なお、運行調整部13は、貨物の輸送に必要な本数の列車6を確保できない場合、運行管理装置1Aの管理者にエラーを通知する。管理者は、エラーが通知された場合に、手動で実施ダイヤを調整する。実施ダイヤを調整する際には、例えば、貨物の輸送期限を変更して貨物ダイヤを再度作成する、旅客の輸送に使用される列車6を減らして貨物の輸送に使用する列車6を増やす、といった措置を取り得る。
【0074】
このように、運行管理装置1Aは、旅客需要予測データと貨物需要予測データとに基づいて、旅客ダイヤと貨物ダイヤとを含む実施ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、旅客の輸送力を減少させる調整を行った場合には、旅客について減少させた輸送力を貨物の輸送に振り分けることができる。よって、運行管理装置1Aは、旅客について減少させた輸送力を有効活用することができるため、鉄道網における列車6の運行効率の改善を図ることができる。
【0075】
次に、運行管理装置1Aが行う処理の手順について説明する。図11は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aによる処理の手順を示すフローチャートである。
【0076】
ステップS1において、運行管理装置1Aは、旅客データと貨物データとを取得する。運行管理装置1Aは、取得された旅客データを旅客情報データベースに保存する。運行管理装置1Aは、取得された貨物データを貨物情報データベースに保存する。
【0077】
ステップS2において、運行管理装置1Aは、旅客需要予測データと貨物需要予測データとを作成する。運行管理装置1Aは、旅客データに基づいて旅客需要予測データを作成する。運行管理装置1Aは、貨物データに基づいて貨物需要予測データを作成する。運行管理装置1Aは、作成された旅客需要予測データと作成された貨物需要予測データとを需要予測データベースに保存する。
【0078】
ステップS3において、運行管理装置1Aは、実施ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、旅客需要予測データと基本ダイヤとに基づいて、旅客ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、運行調整部13により旅客需要予測データに基づいて基本ダイヤを調整することによって、旅客ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、作成された旅客ダイヤと貨物需要予測データとに基づいて、貨物ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、運行調整部13により旅客ダイヤと貨物需要予測データとに基づいて、貨物の輸送に使用する列車6を計画することによって、貨物ダイヤを作成する。なお、以下の説明では、旅客需要予測データに基づいて基本ダイヤを調整することを、旅客調整モードによる調整とも称する。また、旅客ダイヤと貨物需要予測データとに基づいて貨物の輸送に使用する列車6を計画することを、貨物計画モードによる調整とも称する。
【0079】
運行管理装置1Aは、作成された旅客ダイヤと作成された貨物ダイヤとを合わせることによって、実施ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、作成された実施ダイヤを運行ダイヤデータベースに保存する。以上により、運行管理装置1Aは、図11に示す手順による処理を終了する。
【0080】
次に、運行調整部13が行う処理の詳細について説明する。図12は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aの運行調整部13が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【0081】
ステップS11において、運行調整部13は、旅客調整モードによる調整を実施する。運行調整部13は、旅客需要予測データに基づいて基本ダイヤを調整することによって、旅客ダイヤを作成する。
【0082】
ステップS12において、運行調整部13は、貨物計画モードによる調整を実施する。運行調整部13は、貨物需要予測データとステップS11により作成された旅客ダイヤとに基づいて、貨物の輸送に使用する列車6を計画することによって、貨物ダイヤを作成する。
【0083】
ステップS13において、運行調整部13は、ステップS11により作成された旅客ダイヤとステップS12により作成された貨物ダイヤとを合わせることによって、実施ダイヤを確定する。以上により、運行調整部13は、図12に示す手順による処理を終了する。
【0084】
図13は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aが有する運行調整部13の旅客調整モードによる処理の手順を示すフローチャートである。運行調整部13は、時間帯ごとに、以下のステップS21からステップS24の処理を実施する。ここでは、乗車需要の基準値として、増便または増車の判定基準とする第1の基準値と、減便または減車の判定基準とする第2の基準値とが設定される例を説明する。
【0085】
ステップS21において、運行調整部13は、旅客需要予測データが第1の基準値を超えるか否かを判断する。第1の基準値は、増車または増便による調整を実施するか否かを判定するための乗車需要の基準値とする。第1の基準値は、増車または増便による調整を実施するか否かを判定するための閾値ともいえる。第1の基準値は、あらかじめ設定される。旅客需要予測データが第1の基準値を超える場合(ステップS21,Yes)、運行調整部13は、ステップS22において、増便モードによる調整を実施する。増便モードによる調整とは、基本ダイヤにおける運行の対象である列車6の増車、または基本ダイヤからの増便により、輸送力を増やす調整を指す。その後、運行調整部13は、増便モードによる調整を行った時間帯とは別の時間帯について、ステップS21からの手順を繰り返す。
【0086】
旅客需要予測データが第1の基準値を超えない場合(ステップS21,No)、運行調整部13は、ステップS23において、旅客需要予測データが第2の基準値を下回るか否かを判断する。第2の基準値は、減車または減便による調整を実施するか否かを判定するための乗車需要の基準値である。第2の基準値は、減車または減便による調整を実施するか否かを判定するための閾値ともいえる。第2の基準値は、第1の基準値よりも小さい値である。第2の基準値は、あらかじめ設定される。旅客需要予測データが第2の基準値を下回る場合(ステップS23,Yes)、運行調整部13は、ステップS24において、減便モードによる調整を実施する。減便モードによる調整とは、基本ダイヤにおける運行の対象である列車6の減車、または基本ダイヤからの減便により、輸送力を減らす調整を指す。その後、運行調整部13は、減便モードによる調整を行った時間帯とは別の時間帯について、ステップS21からの手順を繰り返す。
【0087】
旅客需要予測データが第2の基準値を下回らない場合(ステップS23,No)、運行調整部13は、増便モードによる調整も減便モードによる調整も行わない。ステップS21およびステップS23による判断を行った時間帯とは別の時間帯について、ステップS21からの手順を繰り返す。
【0088】
運行調整部13は、全ての時間帯について、ステップS21からステップS24の手順を繰り返す。運行調整部13は、全ての時間帯についてのステップS21からステップS24の手順を終えることにより、旅客調整モードによる処理を終了する。
【0089】
上記説明では、運行調整部13は、旅客需要予測データが第1の基準値を超える場合に増便モードによる調整を実施し、旅客需要予測データが第2の基準値を下回る場合に減便モードによる調整を実施することとした。運行調整部13は、あらかじめ設定された基準範囲に基づいて、増便モードによる調整を実施するか否か、および、減便モードによる調整を実施するか否かを判定しても良い。基準範囲は、乗車需要の基準とする範囲とする。ここでは、基準範囲が例えば100人から120人までとする。運行調整部13は、旅客需要予測データが基準範囲の上限値である120人を超える場合に、増便モードによる調整を実施する。運行調整部13は、旅客需要予測データが基準範囲の下限値である100人を下回る場合に、減便モードによる調整を実施する。運行調整部13は、旅客需要予測データが100人以上かつ120人以下である場合、増便モードによる調整も減便モードによる調整も実施しない。基準範囲の上限値および基準範囲の下限幅の少なくとも一方は、時間帯ごとに異ならせることとしても良い。すなわち、運行調整部13は、時間帯ごとに異なる基準範囲に基づいて、増便モードによる調整を実施するか否か、および、減便モードによる調整を実施するか否かを判定しても良い。
【0090】
上記説明では、基準範囲は、上限値と下限値とによって設定されるものとした。基準範囲は、例えば、基準値を中心に±10人の範囲、または、基準値を中心に基準値の±10%の範囲、というように、基準値を中心とする数値幅により設定されるものとしても良い。基準範囲の数値幅は、時間帯ごとに異ならせることとしても良い。すなわち、運行調整部13は、時間帯ごとに異なる基準範囲に基づいて、増便モードによる調整を実施するか否か、および、減便モードによる調整を実施するか否かを判定しても良い。
【0091】
図14は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aが有する運行調整部13の増便モードによる処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、増車または増便の対象とする列車6の候補が複数存在する場合における処理の例を説明する。図14についての以下の説明では、増車または増便の候補である列車6のスジを、候補スジと称する。運行調整部13は、2以上の候補スジの組合せごとに、以下のステップS31およびステップS32の処理を実施する。
【0092】
ステップS31において、運行調整部13は、互いに組み合わせる候補スジを複数の候補スジから選択する。ステップS32において、運行調整部13は、ステップS31において選択された候補スジに対して増車または増便が行われる場合についての評価値を計算する。ステップS31において計算される評価値は、増車または増便が行われた場合における効果を評価可能な評価関数の値である。運行調整部13は、複数の候補スジに含まれる候補スジの全ての組合せについて、ステップS31およびステップS32の手順を繰り返す。
【0093】
ステップS33において、運行調整部13は、候補スジの全ての組合せについて求めた評価値を基に、増車または増便の対象とする候補スジを選択する。運行調整部13は、候補スジの全ての組合せの中から評価値が最小である組合せを特定することによって、増車または増便の対象とする候補スジを選択する。運行調整部13は、ステップS33の手順を終えることにより、増便モードによる処理を終了する。
【0094】
図15は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aが有する運行調整部13の減便モードによる処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、減車または減便の対象とする列車6の候補が複数存在する場合における処理の例を説明する。図15についての以下の説明では、減車または減便の候補である列車6のスジを、候補スジと称する。運行調整部13は、2以上の候補スジの組合せごとに、以下のステップS41およびステップS42の処理を実施する。
【0095】
ステップS41において、運行調整部13は、互いに組み合わせる候補スジを複数の候補スジから選択する。ステップS42において、運行調整部13は、ステップS41において選択された候補スジに対して減車または減便が行われる場合についての評価値を計算する。ステップS41において計算される評価値は、減車または減便が行われた場合における効果を評価可能な評価関数の値である。運行調整部13は、複数の候補スジに含まれる候補スジの全ての組合せについて、ステップS41およびステップS42の手順を繰り返す。
【0096】
ステップS43において、運行調整部13は、候補スジの全ての組合せについて求めた評価値を基に、減車または減便の対象とする候補スジを選択する。運行調整部13は、候補スジの全ての組合せの中から評価値が最小である組合せを特定することによって、減車または減便の対象とする候補スジを選択する。運行調整部13は、ステップS43の手順を終えることにより、減便モードによる処理を終了する。
【0097】
図16は、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aが有する運行調整部13の貨物計画モードによる処理の手順を示すフローチャートである。ステップS51において、運行調整部13は、単位期間における貨物の輸送量を決定する。運行調整部13は、予約情報と貨物需要予測データとを基に、単位期間の各駅間における貨物の輸送量を決定する。運行調整部13は、例えば、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、貨物の輸送量を決定する。
【0098】
ステップS52において、運行調整部13は、ステップS51において決定された輸送量の貨物について、貨物を輸送する列車6の数を算出する。運行調整部13は、ステップS51において決定された輸送量の貨物を輸送期限内にて輸送し得る列車6の数を算出する。
【0099】
次に、運行調整部13は、貨物の輸送に使用する列車6についての貨物ダイヤを決定する。ここでは、貨物の輸送に使用する列車6の候補が複数存在する場合における処理の例を説明する。図16についての以下の説明では、貨物の輸送に使用する候補である列車6のスジを、候補スジと称する。運行調整部13は、2以上の候補スジの組合せごとに、以下のステップS53およびステップS54の処理を実施する。
【0100】
ステップS53において、運行調整部13は、互いに組み合わせる候補スジを複数の候補スジから選択する。ステップS54において、ステップS53において選択された候補スジを使用して貨物が輸送される場合の、貨物の輸送効率についての評価値を算出する。ステップS54において計算される評価値は、貨物の輸送効率を評価する評価関数の値である。運行調整部13は、複数の候補スジに含まれる候補スジの全ての組合せについて、ステップS53およびステップS54の手順を繰り返す。
【0101】
ステップS55において、運行調整部13は、候補スジの全ての組合せについて求めた評価値を基に、貨物の輸送に使用する候補スジを選択する。運行調整部13は、候補スジの全ての組合せの中から評価値が最小である組合せを特定することによって、貨物の輸送に使用する候補スジを選択する。運行調整部13は、ステップS55の手順を終えることにより、貨物計画モードによる処理を終了する。
【0102】
実施の形態1によると、運行調整部13は、旅客需要予測データと貨物需要予測データと基本ダイヤとに基づいて、実施ダイヤを作成する。運行調整部13は、旅客需要予測データと基本ダイヤとに基づいて旅客ダイヤを作成し、かつ、旅客ダイヤと貨物需要予測データとに基づいて、列車6による旅客の輸送と列車6による貨物の輸送とを含めた実施ダイヤを作成する。運行管理装置1Aは、乗車需要に合わせて、列車6の混雑の緩和または列車6の運行の効率化を図ることができる。運行管理装置1Aは、旅客需要予測データを基に旅客についての輸送力を減少させる場合に、貨物の輸送に輸送力を振り分けることができる。運行管理装置1Aは、旅客についての輸送力の減少分を有効活用することができるため、鉄道網における列車6の運行効率の改善を図ることができる。以上により、運行管理装置1Aは、鉄道網における列車の運行効率を改善させることができる、という効果を奏する。
【0103】
実施の形態2.
実施の形態2では、運行管理装置を有する運行管理システムの第1の例を説明する。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。
【0104】
図17は、実施の形態2にかかる運行管理システム3Bの構成例を示す図である。運行管理システム3Bは、運行管理装置1Bと運行調整装置2Bとを備える。実施の形態2において、運行調整装置2Bは、運行管理装置1Bの外部の装置である。
【0105】
運行管理装置1Bは、鉄道における複数の列車6の運行を管理する。運行管理装置1Bは、ダイヤに基づいて複数の列車6の運行を管理する。図17には、複数の列車6のうちの1つを示している。また、図17には、複数の情報端末7のうちの1つを示している。
【0106】
運行管理装置1Bおよび運行調整装置2Bの各々は、例えば、1つ以上のクラウドサーバによって構成される。運行管理装置1Bおよび運行調整装置2Bの各々は、クラウドサーバ以外のサーバであっても良く、例えば、オンプレミスのサーバであっても良い。
【0107】
運行管理装置1Bと運行調整装置2Bとは、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。複数の列車6の各々は、ネットワークを介して運行管理装置1Bに通信可能に接続されている。複数の情報端末7の各々は、ネットワークを介して運行調整装置2Bに通信可能に接続されている。ネットワークは、例えば、インターネットなどのWANであるが、LANであっても良い。
【0108】
運行調整装置2Bは、複数の列車6により旅客の輸送と貨物の輸送とを実現する実施ダイヤを作成する。運行調整装置2Bは、作成された実施ダイヤを運行管理装置1Bへ送信する。運行管理装置1Bは、運行調整装置2Bにより作成された実施ダイヤに基づいて複数の列車6の運行を管理する。
【0109】
運行調整装置2Bは、データ取得部11と、需要予測部12と、運行調整部13と、運行ダイヤ作成部14と、記憶部15とを備える。すなわち、運行調整装置2Bは、図1に示す運行管理装置1Aと同様の構成を備える。
【0110】
複数の列車6の各々は、運行管理装置1Bへ旅客データを送信する。運行管理装置1Bは、旅客データを受信し、運行調整装置2Bへ旅客データを送信する。データ取得部11は、運行管理装置1Bから送信される旅客データを取得する。複数の情報端末7の各々は、運行調整装置2Bへ貨物データを送信する。データ取得部11は、複数の情報端末7の各々から送信される貨物データを取得する。
【0111】
運行調整部13は、実施の形態1と同様に、実施ダイヤを作成する。運行調整装置2Bは、作成された実施ダイヤを運行管理装置1Bへ送信する。
【0112】
実施の形態2によると、運行管理システム3Bは、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aと同様に、鉄道網における列車6の運行効率を改善させることができる。運行管理システム3Bは、運行管理装置1Bの外部の装置である運行調整装置2Bを備えることによって、既存の運行管理装置を運行管理装置1Bとして利用することができる。運行管理装置1Bに運行調整装置2Bが組み合わせられることによって、基本ダイヤの調整により実施ダイヤを作成する機能を備える運行管理システム3Bを容易に実現できる。また、運行管理システム3Bは、運行管理装置1Bの外部の運行調整装置2Bにより実施ダイヤを作成することによって、運行管理装置1Bと運行調整装置2Bとに処理負荷を分散させることができる。
【0113】
実施の形態3.
実施の形態3では、運行管理装置を有する運行管理システムの第2の例を説明する。実施の形態3では、上記の実施の形態1または2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1または2とは異なる構成について主に説明する。
【0114】
図18は、実施の形態3にかかる運行管理システム3Cの構成例を示す図である。運行管理システム3Cは、運行管理装置1Cとデータ収集装置4とを備える。実施の形態3において、データ収集装置4は、運行管理装置1Cの外部の装置である。
【0115】
運行管理装置1Cは、ダイヤに基づいて、鉄道における複数の列車6の運行を管理する。図18には、複数の列車6のうちの2つを示している。また、図18には、複数の情報端末7のうちの1つを示している。データ収集装置4は、複数の列車6の各々において取得された旅客データを収集する。
【0116】
運行管理装置1Cおよびデータ収集装置4の各々は、例えば、1つ以上のクラウドサーバによって構成される。運行管理装置1Cおよびデータ収集装置4の各々は、クラウドサーバ以外のサーバであっても良く、例えば、オンプレミスのサーバであっても良い。
【0117】
運行管理装置1Cとデータ収集装置4とは、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。複数の列車6の各々は、ネットワークを介してデータ収集装置4に通信可能に接続されている。複数の情報端末7の各々は、ネットワークを介して運行管理装置1Cに通信可能に接続されている。ネットワークは、例えば、インターネットなどのWANであるが、LANであっても良い。
【0118】
運行管理装置1Cは、データ取得部11と、需要予測部12と、運行調整部13と、運行ダイヤ作成部14と、記憶部15とを備える。すなわち、運行管理装置1Cは、図1に示す運行管理装置1Aと同様の構成を備える。
【0119】
複数の列車6の各々は、データ収集装置4へ旅客データを送信する。データ収集装置4は、複数の列車6の各々から送信される旅客データを収集し、収集された旅客データを運行管理装置1Cへ送信する。データ取得部11は、データ収集装置4から送信される旅客データを取得する。複数の情報端末7の各々は、運行管理装置1Cへ貨物データを送信する。データ取得部11は、複数の情報端末7の各々から送信される貨物データを取得する。
【0120】
運行調整部13は、実施の形態1と同様に、実施ダイヤを作成する。運行管理装置1Cは、作成された実施ダイヤに基づいて各列車6の運行を管理する。
【0121】
実施の形態3によると、運行管理システム3Cは、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aと同様に、鉄道網における列車6の運行効率を改善させることができる。運行管理システム3Cは、データ収集装置4にて収集される旅客データを活用して、実施ダイヤを作成することができる。
【0122】
実施の形態4.
実施の形態4では、運行管理装置を有する運行管理システムの第3の例を説明する。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。
【0123】
図19は、実施の形態4にかかる運行管理システム3Dの構成例を示す図である。運行管理システム3Dは、運行管理装置1Dと貨物情報管理装置5とを備える。実施の形態4において、貨物情報管理装置5は、運行管理装置1Dの外部の装置である。
【0124】
運行管理装置1Dは、ダイヤに基づいて、鉄道における複数の列車6の運行を管理する。図19には、複数の列車6のうちの1つを示している。また、図19には、複数の情報端末7のうちの1つを示している。
【0125】
貨物情報管理装置5は、鉄道による貨物の輸送に関する情報を管理する。貨物情報管理装置5は、貨物情報データベースを記憶する。貨物情報管理装置5は、貨物データを保持し、データ取得部11へ貨物データを出力する。貨物情報管理装置5に記憶される貨物情報データベースは、図1に示す運行管理装置1Aの記憶部15に記憶される貨物情報データベースと同様である。
【0126】
運行管理装置1Dおよび貨物情報管理装置5の各々は、例えば、1つ以上のクラウドサーバによって構成される。運行管理装置1Dおよび貨物情報管理装置5の各々は、クラウドサーバ以外のサーバであっても良く、例えば、オンプレミスのサーバであっても良い。
【0127】
運行管理装置1Dと貨物情報管理装置5とは、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。複数の列車6の各々は、ネットワークを介して運行管理装置1Dに通信可能に接続されている。複数の情報端末7の各々は、ネットワークを介して貨物情報管理装置5に通信可能に接続されている。ネットワークは、例えば、インターネットなどのWANであるが、LANであっても良い。
【0128】
運行管理装置1Dは、データ取得部11と、需要予測部12と、運行調整部13と、運行ダイヤ作成部14と、記憶部15とを備える。すなわち、運行管理装置1Dは、図1に示す運行管理装置1Aと同様の構成を備える。ただし、運行管理装置1Dは、記憶部15に貨物情報データベースが記憶されない点が、運行管理装置1Aとは異なる。
【0129】
複数の列車6の各々は、旅客データを運行管理装置1Dへ送信する。データ取得部11は、複数の列車6の各々から送信される旅客データを取得する。複数の情報端末7の各々は、貨物情報管理装置5へ貨物データを送信する。貨物情報管理装置5は、貨物情報データベースに貨物データを蓄積する。貨物情報管理装置5は、運行管理装置1Dへ貨物データを送信する。データ取得部11は、貨物情報管理装置5から送信される貨物データを取得する。データ取得部11は、取得した貨物データを需要予測部12へ出力する。
【0130】
需要予測部12は、取得した貨物データと旅客情報データベースから読み出された旅客データとに基づいて、旅客需要予測データと貨物需要予測データとを作成する。運行調整部13は、実施の形態1と同様に、実施ダイヤを作成する。運行管理装置1Dは、作成された実施ダイヤに基づいて各列車6の運行を管理する。
【0131】
実施の形態4によると、運行管理システム3Dは、実施の形態1にかかる運行管理装置1Aと同様に、鉄道網における列車6の運行効率を改善させることができる。運行管理システム3Dは、貨物情報管理装置5に蓄積される貨物データを活用して、実施ダイヤを作成することができる。
【0132】
実施の形態5.
実施の形態5では、貨客混載の対象である列車6における旅客用の車両と貨物用の車両との振り分けを行う例を説明する。実施の形態5で説明する機能は、運行管理装置1A,1C,1Dと運行調整装置2Bとのいずれにも備えられることができる。ここでは、実施の形態5で説明する機能が運行管理装置1Aに備えられるものとする。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる構成について主に説明する。
【0133】
図20は、実施の形態5にかかる運行管理装置1Aによる旅客用の車両と貨物用の車両との振り分けについて説明するための図である。運行管理装置1Aの運行調整部13は、旅客が乗車する列車6を貨物の輸送にも使用する場合において、列車6を構成する複数の車両に旅客が乗車する場合における複数の車両の各々の乗車率を予測した結果に基づいて、複数の車両を、旅客が乗車する車両と貨物の輸送に使用する車両とに振り分ける。
【0134】
図20には、列車6が発着する1つの駅と、駅へ向けて走行している列車6とを示している。図20に示す矢印は、列車6が走行している方向を表す。図20に示す列車6は、4つの車両から構成されている。図20に示す駅の構造は、乗車を待つ旅客が一部に集中し易い構造であるものとする。図20に示す例では、駅に到着する列車6の進行方向前方に、旅客が利用する階段が設置されている。このため、駅のホームのうち列車6の前方部分が到着する位置に、乗車を待つ旅客が集中し易い。
【0135】
運行管理装置1Aは、列車6における車両ごとの乗車人数の情報を旅客データとして取得する。運行調整部13は、旅客データに基づいて、各駅間における複数の車両の各々の乗車率を予測する。運行調整部13は、図20に示す駅について、列車6のうち前方の車両ほど乗車率が高くなることを旅客データから予測する。運行調整部13は、かかる予測によって、列車6のうち前方の車両を旅客の輸送に使用するように、旅客が乗車する車両と貨物の輸送に使用する車両とに複数の車両を振り分ける。
【0136】
例えば、図20に示す列車6のうち2つの車両を貨物の輸送に使用し、他の2つの車両を旅客の輸送に使用することが運行調整部13により決定されたとする。この場合において、運行調整部13は、進行方向前方の2つの車両42を旅客の輸送に使用し、残りの2つの車両41を貨物の輸送に使用することを決定する。
【0137】
次に、実施の形態5において運行調整部13が行う処理の手順について説明する。ここでは、運行調整部13が行う処理のうち、貨物計画モードによる処理について説明する。
【0138】
図21は、実施の形態5にかかる運行管理装置1Aが有する運行調整部13の貨物計画モードによる処理の手順を示すフローチャートである。ステップS61において、運行調整部13は、単位期間における貨物の輸送量を決定する。ステップS62において、運行調整部13は、ステップS61において決定された輸送量の貨物について、貨物を輸送する列車6の数を算出する。ステップS61およびステップS62は、図16に示すステップS51およびステップS52と同様である。
【0139】
ステップS63において、運行調整部13は、貨物の輸送に使用するスジを決定する。ステップS63では、運行調整部13は、図16に示すステップS53からステップS55と同様に、貨物の輸送に使用する候補スジを選択することによって、貨物の輸送に使用するスジを決定する。図21についての以下の説明では、貨物の輸送に使用するスジを、貨物スジと称する。
【0140】
次に、運行調整部13は、貨客混載が行われる列車6について、旅客が乗車する車両と貨物の輸送に使用する車両との振り分けを行う。運行調整部13は、貨物スジごとに、以下のステップS64およびステップS65の処理を実施する。
【0141】
ステップS64において、運行調整部13は、貨物スジについて、貨客混載を実施するか否かを判断する。すなわち、運行調整部13は、貨物スジが、貨客混載が行われる列車6のスジに該当するか否かを判断する。貨客混載を実施する場合(ステップS64,Yes)、運行調整部13は、ステップS65において、当該貨物スジの列車6について、旅客が乗車する車両と貨物の輸送に使用する車両との割り振りを決定する。運行調整部13は、列車6を構成する複数の車両に旅客が乗車する場合における複数の車両の各々の乗車率を予測した結果に基づいて、複数の車両を、旅客が乗車する車両と貨物の輸送に使用する車両とに振り分ける。一方、貨客混載を実施しない場合(ステップS64,No)、運行調整部13は、ステップS65をスキップする。
【0142】
運行調整部13は、全ての貨物スジについて、ステップS64およびステップS65の手順を繰り返す。運行調整部13は、全ての貨物スジについて、ステップS64およびステップS65の手順を終えることによって、貨物計画モードによる処理を終了する。
【0143】
実施の形態5によると、運行調整部13は、貨客混載が行われる列車6について、列車6を構成する複数の車両に旅客が乗車する場合における複数の車両の各々の乗車率を予測した結果に基づいて、複数の車両を、旅客が乗車する車両と貨物の輸送に使用する車両とに振り分ける。列車6のうち乗車率が高くなることが見込まれる車両が、旅客が乗車する車両に振り分けられることによって、スムーズな乗降が可能となる。これにより、運行管理装置1Aは、スムーズな乗降を可能とする実施ダイヤを作成することができる。
【0144】
実施の形態6.
実施の形態1では、貨物計画モードによる調整において貨物の輸送に必要な本数の列車6を確保できない場合を、エラーとして扱うこととした。実施の形態6では、貨物の輸送に必要な本数の列車6を確保できない場合において旅客ダイヤの再調整を行う例を説明する。
【0145】
実施の形態6で説明する機能は、運行管理装置1A,1C,1Dと運行調整装置2Bとのいずれにも備えられることができる。ここでは、実施の形態6で説明する機能が運行管理装置1Aに備えられるものとする。実施の形態6では、上記の実施の形態1から5と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から5とは異なる構成について主に説明する。
【0146】
実施の形態6において、運行調整部13は、決定された輸送量に対して、貨物の輸送に使用可能な列車6の数が不足する場合に、旅客の輸送に使用する複数の列車6の一部を貨物の輸送に使用する列車6へ変更する。
【0147】
図22は、実施の形態6にかかる運行管理装置1Aによる旅客ダイヤの再調整について説明するための図である。図22には、図6と同様のグラフを示している。運行調整部13は、旅客の乗車需要が比較的小さい時間帯を、旅客の輸送に使用する列車6の減車または減便を行う候補の時間帯に設定する。図22において、グラフのうち破線の枠51,52により囲われた部分は、乗車需要の予測値が比較的小さいことから、運行調整部13は、枠51,52の各々に相当する時間帯を、減車または減便を行う候補の時間帯に設定する。
【0148】
運行調整部13は、減車または減便を行う候補の時間帯におけるスジの中から、旅客の輸送から貨物の輸送に変更するスジを決定する。このように、運行調整部13は、旅客の輸送に使用する列車6の減車または減便によって、輸送期限において貨物を輸送し得る路線容量を確保する。
【0149】
次に、実施の形態6において運行調整部13が行う処理の手順について説明する。図23は、実施の形態6にかかる運行管理装置1Aの運行調整部13が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【0150】
ステップS71において、運行調整部13は、旅客調整モードによる調整を実施する。ステップS72において、運行調整部13は、貨物計画モードによる調整を実施する。ステップS71およびステップS72は、図12に示すステップS11およびステップS12と同様である。
【0151】
ステップS73において、運行調整部13は、輸送期限内に貨物を輸送可能であるか否かを判断する。輸送期限内に貨物を輸送可能である場合(ステップS73,Yes)、運行調整部13は、ステップS74において実施ダイヤを確定する。ステップS74は、図12に示すステップS13と同様である。ステップS74を終えることにより、運行調整部13は、図23に示す手順による処理を終了する。
【0152】
一方、輸送期限内に貨物を輸送可能ではない場合(ステップS73,No)、運行調整部13は、手順をステップS71へ戻し、旅客調整モードによる調整を再度実施する。運行調整部13は、輸送期限内に貨物を輸送可能となるまで、ステップS71からステップS73の手順を繰り返す。
【0153】
図24は、実施の形態6にかかる運行管理装置1Aが有する運行調整部13の旅客調整モードによる処理の手順を示すフローチャートである。運行調整部13は、時間帯ごとに、以下のステップS81からステップS85の処理を実施する。ここでは、図13と同様に、乗車需要の基準値として、増便または増車の判定基準とする第1の基準値と、減便または減車の判定基準とする第2の基準値とが設定される例を説明する。
【0154】
ステップS81において、運行調整部13は、旅客需要予測データが第1の基準値を超えるか否かを判断する。旅客需要予測データが第1の基準値を超える場合(ステップS81,Yes)、運行調整部13は、ステップS82において、増便モードによる調整を実施する。その後、運行調整部13は、増便モードによる調整を行った時間帯とは別の時間帯について、ステップS81からの手順を繰り返す。
【0155】
旅客需要予測データが第1の基準値を超えない場合(ステップS81,No)、運行調整部13は、ステップS83において、旅客需要予測データが第2の基準値を下回るか否かを判断する。旅客需要予測データが第2の基準値を下回る場合(ステップS83,Yes)、運行調整部13は、ステップS84において、減便モードによる調整を実施する。その後、運行調整部13は、減便モードによる調整を行った時間帯とは別の時間帯について、ステップS81からの手順を繰り返す。
【0156】
旅客需要予測データが第2の基準値を下回らない場合(ステップS83,No)、運行調整部13は、ステップS85において、貨物の輸送に使用するスジが確保されたか否かを判断する。運行調整部13は、貨物計画モードにおいて決定された輸送量の貨物を輸送期限内に輸送可能な数の列車6が、貨物を輸送する列車6として確保されたか否かを判断する。
【0157】
貨物の輸送に使用するスジが確保された場合(ステップS85,Yes)、運行調整部13は、ステップS81、ステップS83、およびステップS85による判断を行った時間帯とは別の時間帯について、ステップS81からの手順を繰り返す。
【0158】
一方、貨物の輸送に使用するスジが確保されていない場合(ステップS85,No)、運行調整部13は、ステップS84において、減便モードによる調整を実施する。これにより、運行調整部13は、旅客の輸送に使用する列車6の減車または減便によって、輸送期限において貨物を輸送し得る路線容量を確保する。
【0159】
運行調整部13は、全ての時間帯について、ステップS81からステップS85の手順を繰り返す。運行調整部13は、全ての時間帯についてのステップS81からステップS85の手順を終えることにより、旅客調整モードによる処理を終了する。なお、運行調整部13は、図13の場合と同様に、基準範囲に基づいて、増便モードによる調整を実施するか否か、および、減便モードによる調整を実施するか否かを判定しても良い。
【0160】
実施の形態6によると、運行調整部13は、決定された輸送量に対して、貨物の輸送に使用可能な列車6の数が不足する場合に、旅客の輸送に使用する複数の列車6の一部を貨物の輸送に使用する列車6へ変更する。運行調整部13は、旅客の輸送に使用する複数の列車6の一部を貨物の輸送に使用する列車6へ変更する調整によって、輸送期限において貨物を輸送することが可能となる。これにより、運行管理装置1Aは、利便性を向上させることができる。
【0161】
次に、実施の形態1から6にかかる運行管理装置1A,1B,1C,1Dを実現するハードウェア構成について説明する。運行管理装置1A,1C,1Dの処理機能は、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサがソフトウェアを実行する回路であっても良いし、専用の回路であっても良い。
【0162】
図25は、実施の形態1から6にかかる運行管理装置1A,1B,1C,1Dを実現するハードウェア構成の第1の例を示す図である。第1の例において、運行管理装置1A,1B,1C,1Dは、プロセッサ72とメモリ73とを有する処理回路70と、入力部71と、出力部74とを備える。
【0163】
入力部71は、運行管理装置1A,1B,1C,1Dの外部から運行管理装置1A,1B,1C,1Dへ送信されるデータを受信してプロセッサ72に与えるインターフェース回路である。出力部74は、プロセッサ72またはメモリ73のデータを運行管理装置1A,1B,1C,1Dの外部に出力するインターフェース回路である。
【0164】
運行管理装置1A,1B,1C,1Dの各々が有する処理部は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ73に格納される。処理回路70では、メモリ73に記憶されたプログラムをプロセッサ72が読み出して実行することにより、処理部の各機能が実現される。すなわち、処理回路70は、処理部の各機能による処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ73を備える。このプログラムは、運行管理装置1A,1B,1C,1Dの手順および方法をコンピュータに実行させるプログラムといえる。運行管理装置1A,1C,1Dの各々が有する処理部である、データ取得部11、需要予測部12、運行調整部13、および運行ダイヤ作成部14は、メモリ73に記憶されたプログラムをプロセッサ72が読み出して実行することにより実現される。メモリ73は、プロセッサ72が各種処理を実行する際の一時メモリにも使用される。運行管理装置1A,1C,1Dが有する記憶部15は、メモリ73により実現される。
【0165】
プロセッサ72は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうちの1つ以上を含む。メモリ73は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうちの1つ以上を含む。また、メモリ73は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうちの1つ以上を含む。
【0166】
図25は、汎用のプロセッサ72およびメモリ73により処理部を実現するハードウェアの例であるが、処理部は、専用のハードウェア回路により実現されても良い。図26は、実施の形態1から6にかかる運行管理装置1A,1B,1C,1Dを実現するハードウェア構成の第2の例を示す図である。第2の例において、運行管理装置1A,1B,1C,1Dは、専用のハードウェア回路である処理回路75と、入力部71と、出力部74とを備える。
【0167】
処理回路75は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)といった集積回路、あるいは、これらを組み合わせた回路である。処理部の各機能を機能別に処理回路75で実現しても良いし、各機能をまとめて処理回路75で実現しても良い。処理部の各機能は、処理回路70と処理回路75との組合せによって実現されても良い。
【0168】
実施の形態2にかかる運行調整装置2Bは、図25に例示するハードウェア構成と同様のハードウェア構成、または、図26に例示するハードウェア構成と同様のハードウェア構成により実現される。運行調整装置2Bが有する処理部である、データ取得部11、需要予測部12、運行調整部13、および運行ダイヤ作成部14は、処理回路70または処理回路75により実現される。実施の形態3にかかるデータ収集装置4と、実施の形態4にかかる貨物情報管理装置5との各々は、図25に例示するハードウェア構成と同様のハードウェア構成、または、図26に例示するハードウェア構成と同様のハードウェア構成により実現される。
【0169】
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【0170】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0171】
(付記1)
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える
ことを特徴とする運行管理装置。
(付記2)
前記運行調整部は、前記旅客需要予測データと前記基本ダイヤとに基づいて、前記列車による旅客の輸送についての運行計画である旅客ダイヤを作成し、かつ、前記旅客ダイヤと前記貨物需要予測データとに基づいて、前記列車による旅客の輸送と前記列車による貨物の輸送とを含めた運行計画である前記実施ダイヤを作成する
ことを特徴とする付記1に記載の運行管理装置。
(付記3)
前記基本ダイヤには、増便の際に追加で運行させる前記列車についての運行計画と、減便の際に運行を取り止め可能な前記列車についての運行計画とが含まれている
ことを特徴とする付記1または2に記載の運行管理装置。
(付記4)
前記基本ダイヤには、前記列車を構成する車両の数を変更可能であるか否かを示す情報が紐付けられている
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記5)
前記基本ダイヤには、前記列車を貨物の輸送に使用可能であるか否かを示す情報が紐付けられている
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記6)
前記需要予測部は、前記旅客データと、前記旅客データおよび前記旅客需要予測データを学習させた学習済モデルとを用いて将来の前記乗車需要を予測する
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記7)
前記学習済モデルは、旅客の流動に影響を及ぼす事象についての情報と前記旅客データと前記旅客需要予測データとを学習することによって生成され、
前記需要予測部は、前記旅客データと、旅客の流動に影響を及ぼすことが予想される将来の事象についての情報と前記学習済モデルとを用いて将来の前記乗車需要を予測する
ことを特徴とする付記6に記載の運行管理装置。
(付記8)
前記需要予測部は、前記貨物データと、前記貨物データおよび前記貨物需要予測データを学習させた学習済モデルとを用いて将来の前記輸送需要を予測する
ことを特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記9)
前記運行調整部は、前記旅客需要予測データが前記乗車需要の基準値を超えており、かつ、増車または増便の対象とする前記列車の候補が複数存在する場合において、増車または増便が行われた場合における効果を評価する評価関数に基づいて、複数の前記候補から増車または増便の対象とする前記列車を選択する
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記10)
前記運行調整部は、貨物の輸送についての予約情報と前記貨物需要予測データとに基づいて単位期間における貨物の輸送量を決定し、決定された前記輸送量に基づいて、前記実施ダイヤのうち、貨物の輸送についての運行計画である貨物ダイヤを作成する
ことを特徴とする付記1から9のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記11)
前記運行調整部は、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、貨物の前記輸送量を決定する
ことを特徴とする付記10に記載の運行管理装置。
(付記12)
前記運行調整部は、貨物の輸送に使用可能な前記列車の候補が複数存在する場合において、貨物の輸送効率を評価する評価関数に基づいて、複数の前記候補から貨物の輸送に使用する前記列車を選択する
ことを特徴とする付記10または11に記載の運行管理装置。
(付記13)
前記運行調整部は、旅客が乗車する前記列車を貨物の輸送にも使用する場合において、前記列車を構成する複数の車両に旅客が乗車する場合における複数の前記車両の各々の乗車率を予測した結果に基づいて、複数の前記車両を、旅客が乗車する前記車両と貨物の輸送に使用する前記車両とに振り分ける
ことを特徴とする付記10から12のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記14)
前記運行調整部は、決定された前記輸送量に対して、貨物の輸送に使用可能な前記列車の数が不足する場合に、旅客の輸送に使用する複数の前記列車の一部を貨物の輸送に使用する前記列車へ変更する
ことを特徴とする付記10から13のいずれか1つに記載の運行管理装置。
(付記15)
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える運行調整装置と、
前記運行調整装置によって作成された前記実施ダイヤに基づいて前記列車の運行を管理する運行管理装置と、を備える
ことを特徴とする運行管理システム。
(付記16)
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するデータ取得部と、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成する需要予測部と、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成する運行調整部と、を備える運行管理装置と、
前記貨物データを保持し、前記データ取得部へ前記貨物データを出力する貨物情報管理装置と、を備える
ことを特徴とする運行管理システム。
(付記17)
鉄道にて運行される列車の運行計画をコンピュータによって調整する運行調整方法であって、
前記列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するステップと、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成するステップと、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成するステップと、を含む
ことを特徴とする運行調整方法。
(付記18)
鉄道にて運行される列車についての旅客の乗車需要を示す旅客データと、前記列車による貨物の輸送需要を示す貨物データとを取得するステップと、
前記旅客データと前記貨物データとに基づいて、前記列車についての旅客の将来の前記乗車需要を予測した結果である旅客需要予測データと、前記列車についての貨物の将来の前記輸送需要を予測した結果である貨物需要予測データとを作成するステップと、
前記旅客需要予測データと、前記貨物需要予測データと、前記列車の運行計画の基本である基本ダイヤとに基づいて、前記基本ダイヤから調整された運行計画である実施ダイヤを作成するステップと、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする運行調整プログラム。
【符号の説明】
【0172】
1A,1B,1C,1D 運行管理装置、2B 運行調整装置、3B,3C,3D 運行管理システム、4 データ収集装置、5 貨物情報管理装置、6 列車、7 情報端末、11 データ取得部、12 需要予測部、13 運行調整部、14 運行ダイヤ作成部、15 記憶部、21,22,51,52 枠、23,24,25,31,32,33 ダイヤ、26,34 長円、27,28,29,35,36,37 スジ、41,42 2つの車両、70,75 処理回路、71 入力部、72 プロセッサ、73 メモリ、74 出力部。
図1
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