(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172526
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】端子金具
(51)【国際特許分類】
H01R 4/38 20060101AFI20241205BHJP
H01R 12/58 20110101ALI20241205BHJP
【FI】
H01R4/38 B
H01R12/58
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090306
(22)【出願日】2023-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】523205496
【氏名又は名称】電建株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110744
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 敬知
(72)【発明者】
【氏名】長田 昇
【テーマコード(参考)】
5E012
5E223
【Fターム(参考)】
5E012BA44
5E223AB38
5E223AC23
5E223AC50
5E223BA23
5E223BA26
5E223BA27
5E223BB01
5E223BB14
5E223CA11
5E223CB11
5E223CD01
5E223CD15
5E223DB13
(57)【要約】
【課題】端子ネジの落下防止を図ることが可能なプリント基板用の端子金具を提供する。
【解決手段】端子金具1は、プリント基板40に実装される金具本体10と、金具本体10に上側から被着して金具本体10との間に電線50を締付ける締結用副体20と、を備える。副体頂板21は、ネジ穴11aと同軸且つ大径に形成されて端子ネジ30の足部31が挿入される開口部21aを有すると共に、開口部21aの内周縁から径内方向に突設され且つ斜め下向きに傾斜する4本の突起片21bを有する。端子ネジ30の足部31が副体頂板21の開口部21aを通して本体頂板11のネジ穴11aに締付けられることで、各突起片21bは変形して斜め下向きの傾斜が減少し、各々の先端が端子ネジ30の足部31の周面に当接して係合する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に実装される金具本体と、前記金具本体に上側から被着して端子ネジを介して前記金具本体との間に電線を締結する締結用副体と、を具備してなる端子金具であって、
前記金具本体は、
平面視矩形状を呈し且つ前記端子ネジが締付けられるネジ穴を有する本体頂板と、前記本体頂板における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の本体側板とを有して下向きコ字状をなし、
前記締結用副体は、
平面視矩形状を呈し且つ前記ネジ穴と同軸且つ大径に形成されて前記端子ネジの足部が挿通される開口部を有する副体頂板と、前記副体頂板における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の副体側板とを有して下向きコ字状をなすと共に、前記開口部の内周縁から径内方向に突設され且つ斜め下向きに傾斜する少なくとも一つの突起片を有するものであって、
前記端子ネジの足部が前記副体頂板の前記開口部を通して前記本体頂板の前記ネジ穴に締付けられることで、前記各突起片は変形して前記斜め下向きの傾斜が減少し、各々の先端が前記端子ネジの足部の周面に当接して係合する、端子金具。
【請求項2】
前記金具本体は、前記各本体側板の外側面に上下に延びる係合凹部がそれぞれ形成され、
前記締結用副体は、前記各副体側板の下部から内向きに突出して前記各本体側板の前記各係合凹部内で上下移動自在に係合する係合凸部をそれぞれ備える、請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記副体頂板に設けられる前記各突起片は、前記開口部の前記内周縁に周方向に間隔をおいて複数設けられる、請求項1に記載の端子金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に実装するための端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板に実装するための端子金具が広く用いられている。例えば、端子金具は、平面視矩形状の頂板と、頂板を挟んで対向する一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の側板とを有して下向きコ字状に形成されている(例えば、特許文献1、2等参照。)。頂板には端子ネジ用のネジ穴が形成され、端子ネジの頭部と頂板との間に電線の端部を挟んで端子ネジをネジ穴に締付けることで、電線の接続を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-134197号公報
【特許文献2】特開2004-207162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術の端子金具では、端子ネジで電線を締結する際に誤って端子ネジをプリント基板上に落下させてしまうことがあり、その場合にプリント基板上に実装された多数の電子部品の隙間から端子ネジを取り出すのは容易でなく、作業に時間を要するという課題がある。また、プリント基板上に端子ネジが落下したまま放置されると、プリント基板上の他の電子部品に接触してショート等の事故が発生する可能性が高まるという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、端子ネジの落下防止を図ることが可能なプリント基板用の端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る端子金具は、プリント基板に実装される金具本体と、前記金具本体に上側から被着して端子ネジを介して前記金具本体との間に電線(裸線又は圧着端子など導体部分)を締結する締結用副体と、を具備してなる。
【0007】
前記金具本体は、平面視矩形状を呈し且つ前記端子ネジが締付けられるネジ穴を有する本体頂板と、前記本体頂板における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の本体側板とを有して下向きコ字状をなしている。
【0008】
前記締結用副体は、平面視矩形状を呈し且つ前記ネジ穴と同軸且つ大径に形成されて前記端子ネジの足部が挿通される開口部を有する副体頂板と、前記副体頂板における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の副体側板とを有して下向きコ字状をなすと共に、前記開口部の内周縁から径内方向に突設され且つ斜め下向きに傾斜する少なくとも一つの突起片を有するものである。
【0009】
そして、前記端子ネジの足部が前記副体頂板の前記開口部を通して前記本体頂板の前記ネジ穴に締付けられることで、前記各突起片は変形して前記斜め下向きの傾斜が減少し、各々の先端が前記端子ネジの足部の周面に当接して係合する。
【0010】
この構成によれば、端子金具に電線を接続する場合、電線の端部を金具本体の本体頂板と締結用副体の副体頂板との間の空間に差し込み、この状態で副体頂板の開口に端子ネジの足部を通して本体頂板のネジ穴に締付けて電線の端部を固定して接続を図る。ここで、締結用副体が金具本体に端子ネジを介して締結される前においては、各突起片は径内方向へ斜め下向きに傾斜しているので、端子ネジの足部を副体頂板の開口へ上方から円滑に挿入することができる。
【0011】
一方、端子金具から電線を外す場合、端子ネジを緩めて締結用副体を上昇させ、金具本体の本体頂板と締結用副体の副体頂板との間の空間を拡大させた状態で電線の端部を引き抜く。ここで、締結用副体が金具本体に端子ネジを介して締結された後においては、各突起片は変形により斜め下向きの傾斜が減少して各々の先端が端子ネジの足部の周面に当接して係合している。つまり、端子ネジが足部への突起片の係合により締結用副体に保持され、端子ネジを緩めた場合にも締結用副体から脱落することがないので、端子ネジがプリント基板上に落下することを防止できる。よって、端子ネジの落下防止を図ることが可能なプリント基板用の端子金具を提供することができるという効果を奏する。
【0012】
また、前記金具本体は、前記各本体側板の外側面に上下に延びる係合凹部がそれぞれ形成され、前記締結用副体は、前記各副体側板の下部から内向きに突出して前記各本体側板の前記各係合凹部内で上下移動自在に係合する係合凸部をそれぞれ備える。
【0013】
この構成によれば、金具本体の各本体側板の外側面にそれぞれ形成された上下に延びる係合凹部に、締結用副体の各副体側板の下部から内向きに突出する係合凸部がそれぞれ係合しているので、締結用副体は金具本体に対して上下移動自在且つ一体化した状態が保持される。よって、端子ネジを緩めて金具本体のネジ穴から足部が離脱した状態においても、端子ネジを保持する締結用副体が金具本体と一体化した状態が保持されることで、確実に端子ネジの落下防止を図ることができる。
【0014】
また、前記副体頂板に設けられる前記各突起片は、前記開口部の前記内周縁に周方向に間隔をおいて複数設けられる。
【0015】
この構成によれば、開口部の内周縁に周方向に間隔をおいて複数設けられた突起片が端子ネジの足部に当接して係合するので、端子ネジが締結用副体に安定して保持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る端子金具を示す正面図である。
【
図2】実施形態に係る端子金具を示す右側面図である。
【
図3】実施形態に係る端子金具を示す平面図である。
【
図4】実施形態に係る端子金具を示す底面図である。
【
図11】端子ネジの締付けにより電線を接続した端子金具の使用状態を示す正面図である。
【
図12】端子ネジの締付けにより電線を接続した端子金具の使用状態を示す
図11に対応する右側面図である。
【
図13】端子金具の使用状態において端子ネジを緩めた様子を示す正面図である。
【
図14】端子金具の使用状態において端子ネジを緩めた様子を示す
図13に対応する右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る端子金具を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<端子金具1の構成>
最初に、本発明の実施形態に係る端子金具1の構成について、
図1乃至
図10を参照しつつ説明する。
図1は端子金具1を示す正面図、
図2は右側面図、
図3は平面図、
図4は底面図である。
図5は金具本体10を示す正面図、
図6は右側面図、
図7は平面図である。
図8は締結用副体20を示す正面図、
図9は右側面図、
図10は平面図である。尚、端子金具1、金具本体10及び締結用副体20において、それぞれ背面図は正面図と同一に表われ、左側面図は右側面図と同一に表われるため省略する。
【0019】
端子金具1は、プリント基板40に実装するための端子金具であって、金具本体10と、締結用副体20とを具備して構成される。
【0020】
金具本体10は、プリント基板40に直接実装される金具であって、本体頂板11と、一対の本体側板12,12とを有して、下向きコ字状に形成される。金具本体10は、導電性の高い金属、例えば、銅や黄銅等からなる厚さ0.8mm程度の金属板を加工した物である。
【0021】
本体頂板11は、平面視矩形状を呈し、端子ネジ30を締付けるために内周面に雌ネジ溝が形成されたネジ穴11aが中央に設けられる。ネジ穴11aは、例えば、バーリングタップ加工によって形成されたものである。
【0022】
一対の本体側板12,12は、側面視矩形状を呈し、本体頂板11における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びている。各本体側板12の外側面には、左右幅方向の中央で上下に延びる細長い長方形状の係合凹部12aが形成されている。尚、本実施形態における係合凹部12aは、本体側板12の内外側面を貫通する開口部分として形成されている。また、各本体側板12の下辺には、2本のリードピン12bが間隔を隔てて下向きに突設されている。
【0023】
締結用副体20は、金具本体10に上側から被着して端子ネジ30を介して金具本体10との間に電線50(裸線又は圧着端子など導体部分)を締結する板部材である。締結用副体20は、副体頂板21と、一対の副体側板22,22とを有して、下向きコ字状に形成される。締結用副体20は、例えば、ステンレス等からなる厚さ0.5mm程度の金属製の薄板を加工した物である。
【0024】
副体頂板21は、本体頂板11よりも一対の対向辺の間隔が僅かに大きい平面視矩形状を呈する。例えば、本体頂板11における一対の対向辺の間隔を10mmに設定したとき、副体頂板21において対応する一対の対向辺の間隔は、僅かに大きい10.4mm程度に設定することができる。副体頂板21の中央には、開口部21aが形成されている。開口部21aは、端子ネジ30の足部31が挿入される円形の開口部分であり、その内周縁の内径は端子ネジ30の足部31の外径よりも大径且つネジ穴11aの内径よりも大径に設定されている。
【0025】
副体頂板21は、開口部21aの内周縁から径内方向に突設される4本の突起片21bを有している。また、締結用副体20が端子ネジ30を介して金具本体10に締結される前において、各突起片21bは径内方向へ斜め下向きに傾斜している。各突起片21bは、例えば、幅1mm程度の細長い板バネ状のものであって、上下に押圧されると変形し、下向きの傾斜角度が減少して水平に近い姿勢となる。
【0026】
一対の副体側板22,22は、側面視矩形状を呈し、副体頂板21を挟んで対向する一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びている。各副体側板22の下部には、内向きに突出して各本体側板12の各係合凹部12aに係合する係合凸部22aが形成されている。
【0027】
<端子金具1の使用状態の説明>
次に、端子金具1の使用状態について、
図11~
図14を参照しつつ説明する。
図11はプリント基板40に実装された端子金具1に端子ネジ30の締付けにより電線50が接続された使用状態を示す正面図、
図12は同じく右側面図である。
図13は端子金具1の使用状態において端子ネジ30を緩めた様子を示す正面図、
図14は同じく右側面図である。尚、
図11~
図14では、プリント基板40のみ断面を図示している。
【0028】
端子金具1は、
図11~
図14に示すように、使用状態においてプリント基板40に実装されている。すなわち、端子金具1における金具本体10は、下部に設けられた4本のリードピン12bが、プリント基板40に形成された4個の貫通孔41にそれぞれ差し込まれ、半田42によって実装されている。
【0029】
端子金具1に電線50を接続する場合、まず、電線50の導体部分である端部51を金具本体10の本体頂板11と締結用副体20の副体頂板21との間の空間に差し込む。電線50の端部51は、単線や撚り線等の裸線の先端部分でもよく、裸線の先端部分に丸形圧着端子、先開形圧着端子又は棒形端子を取付けたものでもよい。
【0030】
電線50の端部51を本体頂板11と副体頂板21との間に差し込んだ状態で、副体頂板21の開口部21aに端子ネジ30の足部31を通して本体頂板11のネジ穴11aに締付けて電線50の端部51を固定して接続を図る。尚、端部51が丸形圧着端子である場合、端子ネジ30の締め付けを行う前に丸形圧着端子の丸穴に足部31を挿入しておく。
【0031】
ここで、締結用副体20が端子ネジ30を介して金具本体10に締結される前においては、各突起片21bは径内方向へ斜め下向きに傾斜しているので、端子ネジ30の足部31を副体頂板21の開口部21aへ上方から下方に向かって円滑に挿入することができる。
【0032】
一方、端子金具1から電線50を外す場合、端子ネジ30を緩めて締結用副体20を上昇させ、金具本体10の本体頂板11と締結用副体20の副体頂板21との間の空間が上下に拡大した状態で電線50の端部51を引き抜く。尚、端部51が丸形圧着端子である場合、端子ネジ30の足部31がネジ穴11aから外れて足部31と本体頂板11との間に隙間ができた状態(
図13参照)として、丸形圧着端子を足部31から外す。
【0033】
ここで、端子ネジ30の足部31が副体頂板21の開口部21aを通して本体頂板11のネジ穴11aに締付けられた後において、各突起片21bは変形により斜め下向きの傾斜が減少して(換言すれば、各突起片21bが水平姿勢に近づいて)各々の先端が端子ネジ30の足部31の周面に当接して係合している。つまり、足部31の外周面には雄ネジ溝が形成されているため、各突起片21bの先端が雄ネジ溝に当接することで確実に係合することになる。よって、端子ネジ30が足部31への突起片21bの係合により締結用副体20に保持され、端子ネジ30を緩めた場合にも締結用副体20から脱落しないので、端子ネジ30がプリント基板40上へ落下することを防止できる。特に、突起片21bが開口部21aの内周縁に周方向に間隔をおいて(本実施形態では等間隔で)4本設けられているので、端子ネジ30は締結用副体20に一層安定して保持される。
【0034】
また、金具本体10の各本体側板12において上下に延びる係合凹部12aに、締結用副体20における各副体側板22の係合凸部22aがそれぞれ係合しているので、締結用副体20は金具本体10に対して上下にスライド移動自在であると共に、両部材が一体化した状態が保持されて締結用副体20が金具本体10から外れない。
【0035】
<実施形態のまとめ>
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態に係る端子金具1は、プリント基板40に実装される金具本体10と、金具本体10に上側から被着して端子ネジ30を介して金具本体10との間に電線50(裸線又は圧着端子など導体部分)を締結する締結用副体20と、を具備してなる。
【0036】
金具本体10は、平面視矩形状を呈し且つ端子ネジ30が締付けられるネジ穴11aを有する本体頂板11と、本体頂板11における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の本体側板12,12とを有して下向きコ字状をなしている。
【0037】
締結用副体20は、平面視矩形状を呈し且つネジ穴11aと同軸且つ大径に形成されて端子ネジ30の足部31が挿通される開口部21aを有する副体頂板21と、副体頂板21における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の副体側板22,22とを有して下向きコ字状をなすと共に、開口部21aの内周縁から径内方向に突設され且つ斜め下向きに傾斜する少なくとも一つの突起片21bを有するものである。
【0038】
そして、端子ネジ30の足部31が副体頂板21の開口部21aを通して本体頂板11のネジ穴11aに締付けられることで、各突起片21bは変形して斜め下向きの傾斜が減少し、各々の先端が端子ネジ30の足部31の周面に当接して係合する。
【0039】
この構成によれば、端子金具1に電線50を接続する場合、電線50の端部51を金具本体10の本体頂板11と締結用副体20の副体頂板21との間の空間に差し込み、この状態で副体頂板21の開口部21aに端子ネジ30の足部31を通して本体頂板11のネジ穴11aに締付けて電線50の端部51を固定して接続を図る。ここで、締結用副体20が金具本体10に端子ネジ30を介して締結される前においては、各突起片21bは径内方向へ斜め下向きに傾斜しているので、端子ネジ30の足部31を副体頂板21の開口部21aへ上方から円滑に挿入することができる。
【0040】
一方、端子金具1から電線50を外す場合、端子ネジ30を緩めて締結用副体20を上昇させ、金具本体10の本体頂板11と締結用副体20の副体頂板21との間の空間を拡大させた状態で電線50の端部51を引き抜く。ここで、締結用副体20が金具本体10に端子ネジ30を介して締結された後においては、各突起片21bは変形により斜め下向きの傾斜が減少して各々の先端が端子ネジ30の足部31の周面に当接して係合している。つまり、端子ネジ30が足部31への突起片21bの係合により締結用副体20に保持され、端子ネジ30を緩めた場合にも締結用副体20から脱落することがないので、端子ネジ30がプリント基板40上へ落下することを防止できる。よって、端子ネジ30の落下防止を図ることが可能なプリント基板用の端子金具1を提供することができるという効果を奏する。
【0041】
また、金具本体10は、各本体側板12の外側面に上下に延びる係合凹部12aがそれぞれ形成され、締結用副体20は、各副体側板22の下部から内向きに突出して各本体側板12の各係合凹部12a内で上下移動自在に係合する係合凸部22aをそれぞれ備える。
【0042】
この構成によれば、金具本体10の各本体側板12の外側面にそれぞれ形成された上下に延びる係合凹部12aに、締結用副体20の各副体側板22の下部から内向きに突出する係合凸部22aがそれぞれ係合しているので、締結用副体20は金具本体10に対して上下移動自在且つ一体化した状態が保持される。よって、端子ネジ30を緩めて金具本体10のネジ穴11aから足部31が離脱した状態においても、端子ネジ30を保持する締結用副体20が金具本体10と一体化した状態が保持されることで、確実に端子ネジ30の落下防止を図ることができる。
【0043】
また、副体頂板21に設けられる突起片21bは、開口部21aの内周縁に周方向に間隔をおいて複数(本実施形態では4本)設けられる。
【0044】
この構成によれば、開口部21aの内周縁に周方向に間隔をおいて複数(4本)設けられた突起片21bが端子ネジ30の足部31に当接して係合するので、端子ネジ30が締結用副体20に安定して保持される。
【0045】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変更を施すことが可能である。例えば、上述した実施形態において示した各部の寸法は一例を示したに過ぎず、用途に応じて適宜変更して実施可能であることは言うまでも無い。また、上述した実施形態では、開口部21aの内周縁に4本の突起片21bを設けた例を示したがこれには限られず、1~3本、或いは5本以上設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 端子金具
10 金具本体
11 本体頂板
11a ネジ穴
12 本体側板
12a 係合凹部
20 締結用副体
21 副体頂板
21a 開口
21b 突起片
22 副体側板
22a 係合凸部
30 端子ネジ
40 プリント基板
50 電線
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に実装される金具本体と、前記金具本体に上側から被着して端子ネジを介して前記金具本体との間に電線を締結する締結用副体と、を具備してなる端子金具であって、
前記金具本体は、
平面視矩形状を呈し且つ前記端子ネジが締付けられるネジ穴を有する本体頂板と、前記本体頂板における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の本体側板とを有して下向きコ字状をなし、
前記締結用副体は、
平面視矩形状を呈し且つ前記ネジ穴と同軸且つ大径に形成されて前記端子ネジの足部が挿通される開口部を有する副体頂板と、前記副体頂板における一対の対向辺からそれぞれ直角に下方へ延びる一対の副体側板とを有して下向きコ字状をなすと共に、前記開口部の内周縁から径内方向に突設され且つ斜め下向きに傾斜する少なくとも一つの突起片を有し、
前記端子ネジの足部が前記副体頂板の前記開口部を通して前記本体頂板の前記ネジ穴に締付けられることで、前記各突起片は変形して前記斜め下向きの傾斜が減少し、各々の先端が前記端子ネジの足部の周面に当接して係合するものであって、
さらに、前記金具本体は、前記各本体側板の外側面に上下に延びる係合凹部がそれぞれ形成され、
前記締結用副体は、前記各副体側板の下部から内向きに突出して前記各本体側板の前記各係合凹部内で上下移動自在に係合する係合凸部をそれぞれ備える、端子金具。
【請求項2】
前記副体頂板に設けられる前記各突起片は、前記開口部の前記内周縁に周方向に間隔をおいて複数設けられる、請求項1に記載の端子金具。