(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172530
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】摺動部材用のビスマス基オーバレイ層
(51)【国際特許分類】
C25D 15/02 20060101AFI20241205BHJP
C22C 1/10 20230101ALI20241205BHJP
F16C 33/12 20060101ALI20241205BHJP
F16C 33/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
C25D15/02 J
C22C1/10 G
C25D15/02 F
C25D15/02 L
F16C33/12 A
F16C33/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090310
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】591001282
【氏名又は名称】大同メタル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】ザキル カーン
(72)【発明者】
【氏名】リズワン バージワ
(72)【発明者】
【氏名】イー チャン
(72)【発明者】
【氏名】羽根田 祐磨
【テーマコード(参考)】
3J011
4K020
【Fターム(参考)】
3J011AA20
3J011DA01
3J011DA02
3J011QA03
3J011SB20
4K020AA22
4K020AA23
4K020AC07
4K020BA08
4K020BB22
(57)【要約】
【課題】添加粒子が含有されていても耐疲労性の高いビスマス基オーバレイ層を提供する。
【解決手段】この発明の摺動部材用のビスマス基オーバレイ層は、ビスマス若しくはビスマス合金を含む材料からなる結晶粒子を含む多結晶のマトリックスと、該マトリックスに分散される添加粒子とを含み、
マトリックスは、GOS(Grain Orientation Spread)が1度以下である結晶粒子が、全結晶粒子の85%以上となる領域を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動部材用のビスマス基オーバレイ層であって、
ビスマス若しくはビスマス合金を含む材料からなる結晶粒子を含む多結晶のマトリックスと、該マトリックスに分散される添加粒子とを含み、
前記マトリックスは、GOS(Grain Orientation Spread)が1度以下である前記結晶粒子が、全結晶粒子の85%以上となる領域を含む、ビスマス基オーバレイ層。
【請求項2】
前記添加粒子の含有量は前記マトリックスにおいて、1.0vol~15.0vol%である、請求項1に記載のビスマス基オーバレイ層。
【請求項3】
硬度が20HV以上である、請求項1に記載のビスマス基オーバレイ層。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のビスマス基オーバレイ層を備える、摺動部材。
【請求項5】
添加粒子の表面を処理して該表面の濡れ性を制御するステップと、
前記処理された添加粒子をビスマス若しくはビスマス合金用のめっき液へ投入して撹拌するステップと、
摺動部材の基体を準備するステップと、
前記添加粒子が投入されためっき液で前記摺動部材の基体の表面へビスマス基オーバレイ層を積層する、積層ステップと、
を備えてなる摺動部材の製造方法。
【請求項6】
前記めっき液に対する前記添加粒子の投入量は、前記めっき液1L当たり15g~150gである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記添加粒子の表面へプラズマ処理やUV照射処理を行い、前記めっき液に対する前記表面の濡れ性を向上させる、請求項5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は摺動部材用のビスマス基オーバレイ層、その製造方法及びそのオーバレイ層を備えた摺動部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷の軽減等の見地から、摺動部材用のオーバレイ層のマトリックスとしてビスマスが採用されている。かかるビスマス基オーバレイ層には硬質粒子や固体潤滑粒子を含有させることができる。これにより、オーバレイ層に耐摩耗性や低摩擦性が得られる(特許文献1、特許文献2)。
その他、本発明に関連する先行文献として特許文献3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-156046号公報
【特許文献2】特許6905926号公報
【特許文献3】英国特許公開第2534120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
摺動部材を昨今の高出力エンジンの軸受として使用したとき、上記のように硬質粒子や固体潤滑粒子を含有したビスマス基オーバレイ層には下記の課題があることが判明した。
即ち、ビスマス基をマトリックスとしているので、ビスマスの特性に由来する脆さがオーバレイ層に影響し、オーバレイ層が疲労しやすくなる。
硬質粒子や固体潤滑粒子を含有させたビスマス基オーバレイ層の耐疲労性がこれらの粒子を含有させていないビスマス基オーバレイ層の耐疲労性に比べて、一般的には劣ると考えられていた。
【0005】
硬質粒子や固体潤滑粒子などの添加粒子はビスマス基オーバレイ層に耐摩耗性や低摩擦性を与えるものである。したがって、高出力エンジンの軸受等に適用される摺動部材にビスマス基オーバレイ層を適用するときは、これに当該添加粒子を含有させることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討をしたところ、ビスマス基オーバレイ層のマトリックスを構成する結晶粒子のミスオリエンテーションに着目して、下記の発明に想到した。即ち、この発明の第1局面は次のように規定される。
摺動部材用のビスマス基オーバレイ層であって、
ビスマス若しくはビスマス合金を含む材料からなる結晶粒子を含む多結晶のマトリックスと、該マトリックスに分散される添加粒子とを含み、
前記マトリックスは、GOS(Grain Orientation Spread)が1度以下である前記結晶粒子が、全結晶粒子の85%以上となる領域を含む、ビスマス基オーバレイ層。
【0007】
このように規定される第1局面のビスマス基オーバレイ層によれば、添加粒子がオーバレイ層に与える特性(耐摩耗性や低摩擦性等)を維持しつつ、その耐疲労性が向上する。
GOSが1度以下の結晶粒子は亀裂の起点になり難いため、その比率を85%以上と調整することで、マトリックスにおいて、亀裂に起因する疲労が生じにくくなるためと考えられる。
ここに、結晶粒子の比率は、結晶粒子の個数比を指す。
【0008】
オーバレイ層の層厚は特に限定されず、摺動部材の用途等に応じて適宜選択される。
ビスマス合金とはビスマス(Bi)を主成分として、鉛(Pb)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びアンチモン(Sb)等から選ばれる1種若しくは2種以上、又はそれらの合金である。
マトリックスを構成する結晶粒子の平均粒径は0.1μm~5.0μmとすることができる。この平均粒径の測定方法はオーバレイ試料断面を任意の結晶粒観察手法を用い、さらに画像解析ソフトによって「最大フェレット径」(粒子の輪郭上の任意の2点間での最長距離)を計測し平均値を算出した。
GOSとは、結晶粒子内において、ある測定点と残りの全ての測定点間とのミスオリエンテーションの平均値を指す。より詳しくは、木村らによる「EBSD法及びX線回析法によるステンレス鋼の塑性変形におけるミスオリエンテーションの解析」、日本機械学会論文集(A編)、71巻、712号(2005-12)を参照されたい。そして、この論文の内容をこの明細書に引用して参照する。
【0009】
添加粒子としての硬質粒子はビスマス基オーバレイ層の機械的な特性を補強する。
ビスマス基オーバレイ層の耐摩耗性を補強する添加粒子としては、ビスマス若しくはビスマス合金より硬質な粒子が採用される。かかる硬質粒子として、炭素繊維、ガラス繊維、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化アルミニウム及び酸化チタンのうちから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。硬質粒子の平均粒径は、1nm~10μmとすることができる。更に好ましくは、0.1μm~3.0μmである。かかる硬質粒子の平均粒径はめっき液投入前にレーザー回折・散乱法で測定して得ることができる。
【0010】
ビスマス基オーバレイ層の低摩擦性を補強する添加粒子としては、固体潤滑粒子が採用される。かかる固体潤滑粒子として、二硫化モリブデン、グラファイト、二硫化タングステン及びボロンナイトライドの板状結晶粒子のうちから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
固体潤滑材の平均粒径は、1nm~5.0μmとすることができる。更に好ましくは、0.1μm~3.0μmである。固体潤滑剤の形状は板状より粒状の方がGOSの制御が容易である。かかる固体潤滑剤の平均粒径はめっき液投入前にレーザー回折・散乱法で測定して得ることができる。
【0011】
添加粒子は硬質粒子や固体潤滑剤に限らず、接着性、耐食性、親油性、撥油性等のオーバレイ機能を向上させるためにその他の任意の添加粒子を任意の配合量で含有させることができる。
【0012】
添加粒子の含有量はマトリックスにおいて、1.0~15.0vol%とすることができる。添加粒子の含有量をこの範囲とすることで、添加粒子に由来する特性をビスマス基オーバレイ層に好適に発現させられる(第2局面)。
GOSが1度以下であるビスマス若しくはビスマス合金を含む結晶粒子を85%以上としたマトリックスを採用したときは、上記範囲で添加粒子を含有させたものが、これを含有しないものに比べてGOSが1度以下の結晶粒子割合をより増やせる。
【0013】
ビスマス基オーバレイ層の硬度は20HV以上とすることが好ましい(第3局面)。かかる硬度を有するオーバレイ層は耐摩耗性に優れたものとなる。
ビスマス基オーバレイ層の硬度は硬質粒子の含有量を変化させることで調整できる。硬質粒子の量は、既述の通りGOSが1度以下の結晶粒子割合を制御するため1.0~15.0vol%から選択することが好ましい。
【0014】
ビスマス基オーバレイ層の製造方法は次のように規定できる。
添加粒子の表面を処理して該表面の濡れ性を制御するステップと、
前記表面処理された添加粒子をビスマス若しくはビスマス合金用のめっき液へ投入して撹拌するステップと、
摺動部材の基体を準備するステップと、
前記添加粒子が投入されためっき液で前記摺動部材の基体の表面へビスマス基オーバレイ層を積層する、積層ステップと、
を備えてなる摺動部材の製造方法。
【0015】
上記において、添加粒子の表面の濡れ性を制御するには、当該表面へプラズマ処理やUV照射処理など、任意の処理方法を選択できる。
添加粒子の表面の濡れ性を制御してこれを高めることで、めっき液中において、添加粒子同士が凝集することが防止される。これにより、添加粒子の分散性が高まる。
めっき液中の添加粒子量はめっき液1L当たり15g~150gとすることが好ましい。更に好ましくは40g~120g/1Lである。これにより、ビスマス基オーバレイ層のマトリックスを構成する、ビスマス若しくはビスマス合金においてGOSが1度以下の結晶粒子を全結晶粒子の85%以上とすることが容易に達成できる。めっき液を充分に撹拌することが要求されるが、その撹拌条件をシビアに制御する必要は無かった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1はこの発明の実施の形態の摺動部材を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下この発明の実施の形態について説明をする。
この発明の実施形態の摺動部材1は、
図1に示すように、裏金層2の上に軸受合金層3及びビスマス基オーバレイ層5を順次積層した構造である。
摺動部材1に適用される裏金層2は一般的な鋼材からなり、軸受合金層3には銅や銅合金などの軟質な金属材料が用いられる。軸受合金層の上にAg、Ni等からなる中間層を形成することもある。
かかる摺動部材1は、摺動する相手(被摺動部材)の径や動作に応じてその形状を任意に設計できる。
【0018】
ビスマス基オーバレイ層5のマトリックス5aはビスマス若しくはビスマス合金からなる多結晶である。またマトリックス5aには添加粒子5bが均一に分散されている。
このビスマス基オーバレイ層5は、電気メッキ、真空スパッタリング、サーマル及びコールドスプレー等の周知の方法で作成することができる。
【0019】
この例では、電気メッキの手法を採用してビスマス基オーバレイ層を作成した。
はじめに、ビスマス用のめっき液を準備しておく。めっき液は特に制限されるものではなく、添加粒子との相性を考慮し、複合めっき可能なものが適宜選択される。今回はスルホン酸浴を使用した。
また、補強粒子をUV処理してその表面がめっき液に対してぬれ易くする。なお、UV処理の装置は株式会社あすみ技研製、型番:UV表面洗浄改質装置ASM1101Nである。その条件は5W~250Wの総出力照射器で0.1mW/cm2~30mW/cm2の照度、5分~48時間の処理時間でコントロールする。波長は185nm~365nmの範囲で選択した。
【0020】
めっき液に対して添加粒子の添加量は15g/L~150g/L、好ましくは40g/L~120g/Lである。
添加粒子を添加しためっき液を充分に撹拌し、添加粒子が凝集しないようにする。撹拌の条件は特に限定されないが、0.2時間から2.0時間、好ましくは1.0時間、超音波撹拌と機械的撹拌とを併用することが好ましい。超音波撹拌機にはUltrawave Ltd社製のQS12を用い、撹拌条件は32~38kHzの超音波周波数、200Wの超音波出力とした。他方、機械式撹拌機にはIKA England Ltd社製のMICROSTAR 7.5 controlを採用し、110~2000rpm、好ましく600~1000rpmの条件で撹拌をした。
【0021】
ビスマス基オーバレイ層5は次のようにして形成した。
軸受合金層3の表面を汎用的な方法で洗浄、脱脂する。
添加粒子が添加されて十分な撹拌がなされためっき液へ基体である軸受合金層3の表面を接触させて、電流密度:1~6A/dm2、めっき浴温:20~50°Cの条件で電気メッキを実行した。
これらめっき条件は固定されるものではなく、めっきのオペレータの経験に基づき適宜選択されることは当業者であれば理解できよう。
ビスマス基オーバレイ層5の厚さは15μmとした。厚さはこの限りではないが耐疲労性の観点から最大30μmまでとすることが好ましい。
【0022】
実施例及び比較例のビスマス基オーバレイ層5の特性について表1及び表2に示す。
【表1】
上記において、積算光量は照度(mW/cm
2)と時間(秒)の積である。
【表2】
【0023】
表1の実施例3と比較例1との結果より、GOSが1度以下の結晶粒子の割合が全結晶粒子の85%以上となると、疲労面積が狭くなり、耐疲労性が向上することがわかる。当該割合を90%以上とすることが更に好ましい(実施例2及び実施例3参照)。
【0024】
表2に示すように、添加粒子をSiCとして、その含有量(vol%)を変化させた実施例6~11の結果より、添加粒子の含有量が0.5vol%~20.3vol%において、GOSが1度以下の結晶粒子の割合を全結晶粒子の85%以上とすることができた。
硬質粒子であるSiCの含有量が多くなると、GOS1度以下の割合が増え、所定量を超えると減る傾向があった。他方、耐摩耗性の面で、1.0vol%以上の含有量がより優れていた。
以上より、本発明者らの検討によれば、添加粒子の含有量は1.0vol%~15.0vol%とすることが好ましい。
【0025】
上記において、GOSは次の様にして得た。
疲労試験を行う前の実施例及び比較例の試料を次のように準備した。
所望のエリア(実施例及び比較例では最も負荷が高くなると想定される箇所)で切断し、樹脂埋め込みした試料の切断面に機械研磨を実施した。機械研磨はペーパー研磨、バフ研磨(ダイヤモンドスラリー)、琢磨(コロイダルシリカ)の工程を経た。研磨面に導電コーティング(カーボン、金など)を施しその後イオンミリングを実施した。
EBSD装置:Symmetry-2 EBSD 検出器を備えた製品名(登録商標)FEI Versa 3D DualBeam SEM
測定条件:スキャンエリア;100μm×22.9μm、ステップサイズ;30nm、収集速度;約2000cps、倍率;4000倍、結晶粒定義;方位差10度以上
上記において、ステップサイズは最も粒径が小さい結晶の粒内で10点以上の測定点数を確保できるように設定した。走査パターンは四角格子、六角格子どちらでも可能だが結晶構造によって任意に決めることができる。
測定領域(スキャン領域)は測定精度を高めるためにオーバレイ中の結晶粒が1000個以上含まれるように任意に設定することができる。
このようにして得られたEBSD像をデータ解析ソフトで処理して、スキャンエリアに含まれる全ての結晶粒子のGOSを得て、その中に含まれるGOSが1度以下の結晶粒子の割合を演算した。明らかなノイズが確認される場合はノイズ除去処理(実施例ならびに比較例はOxford社製EBSDデータ解析ソフトAZtecCrystalのAuto Clean-up機能を使用)を行った。
なお、本発明者らの検討によれば、電気メッキで製造されたビスマス基オーバレイ層では、観察した全ての領域においてGOSが1度以下の結晶粒子の割合はほぼ同じ値であった。
【0026】
疲労試験の条件は次の通りである。
軸受寸法: Φ56×L14.2×t1.5 (mm)
オイルクリアランス: 0.060 (mm)
回転数: 3600 (rpm)
荷重: 100 (MPa)
周波数: 60 (Hz)
潤滑油: VG68
給油温度: 110 (°C)
軸材料: S55C焼入れ
軸粗さ: Ra0.05±0.01 (μm)
試験時間: 20 (時間)
荷重のかけ方:0荷重から15分ごとに荷重を増加し、1時間半後から20時間にわたり100MPaの荷重を連続して印加した。
【0027】
回転軸が嵌入された筒状の摺動部材(軸受)へ半径方向から繰り返し荷重をかけた後、試料である摺動部材のオーバレイ層の表面を観察する。この表面において、クラックした部位が疲労部分となる。摺動部材のオーバレイ表面をマイクロスコープ(キーエンス社製VHX-8000)にて撮影して得られた画像を付属ソフト処理し表面全体に対するクラックした部位の面積割合を計算する。得られた面積割合を疲労面積割合として表1及び表2に記した。疲労面積率が20%以下の場合は耐疲労性があるものと考える。
【0028】
被膜中の添加粒子の量(vol%)は断面観察による面積率(オーバレイ全体に対して添加粒子が占める面積割合)である。
硬度HVの測定は断面試料からマイクロビッカース硬さ試験機(ミツトヨ製 HM-220)による。
摩耗量は次のようにして得た。試験前後のオーバレイ層において、端部から1mmの箇所の厚さをそれぞれ肉厚測定器(自社製)により測定し、試験後の肉厚変化量(摩耗量)を得た。表2の結果は左端から1mm、右端から1mmの2カ所の平均値である。
【0029】
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 摺動部材
2 裏金層
3 軸受合金属
5 ビスマス基オーバレイ層
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
この例では、電気メッキの手法を採用してビスマス基オーバレイ層を作成した。
はじめに、ビスマス用のめっき液を準備しておく。めっき液は特に制限されるものではなく、添加粒子との相性を考慮し、複合めっき可能なものが適宜選択される。今回はスルホン酸浴を使用した。
また、補強粒子をUV処理してその表面がめっき液に対してぬれ易くする。なお、UV処理の装置は株式会社あすみ技研製UV表面洗浄改質装置、型番:ASM1101Nである。その条件は5W~250Wの総出力照射器で0.1mW/cm2~30mW/cm2の照度、5分~48時間の処理時間でコントロールする。波長は185nm~365nmの範囲で選択した。