(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172534
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/28 20060101AFI20241205BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241205BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20241205BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20241205BHJP
B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D51/28 100
B65D47/34 200
F04B9/14 C
B05B11/00 102E
B05B11/10 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090317
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】落合 皐汰朗
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA04
3E084GB04
3E084KB03
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA09
3H075BB03
3H075BB22
3H075CC33
3H075DA30
3H075DB13
(57)【要約】
【課題】製造者にとっては製造工程の簡素化を図ることができ、消費者にとっては利便性の向上を図ることができる吐出容器のカートリッジを提供する。
【解決手段】本発明に係る態様のカートリッジは、第1液体が収容される容器体、及び吐出口が形成されるとともに容器体の口部に着脱可能に装着される吐出器本体の間に設けられる。カートリッジは、第2液体が収容される収容空間を形成するとともに、口部に装着される収容部と、収容空間を上下方向に貫通した状態で収容部に対して上下動可能に設けられた接続筒と、収容部から下方に延びるとともに、接続筒の下端部を支持する支持筒と、を備えている。接続筒は、吐出器本体が容器体の口部に組み付けられる過程で、吐出器本体により下方に向けて押し込まれることで、上端位置から下端位置に移行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体が収容される容器体、及び吐出口が形成されるとともに前記容器体の口部に着脱可能に装着される吐出器本体の間に設けられるカートリッジであって、
第2液体が収容される収容空間を形成するとともに、前記口部に装着される収容部と、
前記吐出器本体に連通可能な上端開口部、及び前記容器体内に連通可能な下端開口部を有し、前記収容空間を上下方向に貫通した状態で前記収容部に対して上下動可能に設けられた接続筒と、
前記収容部から下方に延びるとともに、前記接続筒の下端部を支持する支持筒と、を備え、
前記支持筒は、
前記接続筒が上端位置にあるとき前記収容空間及び前記接続筒内の連通を遮断するシール部と、
前記接続筒が下端位置にあるとき前記収容空間及び前記接続筒内の間を連通させる連通路と、を備え、
前記接続筒は、前記吐出器本体が前記口部に組み付けられる過程で、前記吐出器本体により下方に向けて押し込まれることで、前記上端位置から前記下端位置に移行するカートリッジ。
【請求項2】
前記接続筒には、前記上端位置において前記収容空間に開口する一方、前記下端位置において前記シール部を上下方向に跨って配置されることで、前記収容空間と前記連通路との間を連通させる流路溝が形成されている請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記接続筒と前記収容部との間には、前記収容部に対する前記接続筒の回転を規制する規制部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記収容部には、前記吐出器本体の挿し込み部が前記収容部の上方から挿し込まれるガイド部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
液体が収容される容器体と、液体を吐出する吐出口を有し、容器体に着脱可能に装着される吐出器と、を備えた吐出容器が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した吐出容器にあっては、同一製品について、例えば香料の種類を変えることで、複数種類の吐出容器として展開する場合がある。この場合、従来の吐出容器では、容器体内に充填する液体を、香料の種類ごとに分ける必要があった。そのため、製造工程の複雑化に繋がる可能性がある。
また、消費者にとっては、現在使用している香料とは異なる香料が含まれる液体を使用したい場合、吐出容器全体を買い替える必要がある。
【0005】
本発明は、製造者にとっては製造工程の簡素化を図ることができ、消費者にとっては利便性の向上を図ることができる吐出容器のカートリッジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るカートリッジは、第1液体が収容される容器体、及び吐出口が形成されるとともに前記容器体の口部に着脱可能に装着される吐出器本体の間に設けられるカートリッジであって、第2液体が収容される収容空間を形成するとともに、前記口部に装着される収容部と、前記吐出器本体に連通可能な上端開口部、及び前記容器体内に連通可能な下端開口部を有し、前記収容空間を上下方向に貫通した状態で前記収容部に対して上下動可能に設けられた接続筒と、前記収容部から下方に延びるとともに、前記接続筒の下端部を支持する支持筒と、を備え、前記支持筒は、前記接続筒が上端位置にあるとき前記収容空間及び前記接続筒内の連通を遮断するシール部と、前記接続筒が下端位置にあるとき前記収容空間及び前記接続筒内の間を連通させる連通路と、を備え、前記接続筒は、前記吐出器本体が前記口部に組み付けられる過程で、前記吐出器本体により下方に向けて押し込まれることで、前記上端位置から前記下端位置に移行する。
【0007】
本態様によれば、接続筒を下端位置に移行させた状態で吐出操作を行うと、接続筒内に第1液体が通過する際、連通路を通じて収容空間に負圧が作用することで、収容空間の第2液体が接続筒内に流入する。これにより、第1液体及び第2液体が接続筒で混合された状態で、吐出口から吐出される。この場合、同一製品について、例えば香料の種類を変えて複数種類の吐出容器1として展開する際、容器体には各種類間で共通の第1液体(例えば、無香料の液体)を充填することで、容器体内に種類ごとの液体を充填する必要がない。そのため、製造工程の簡素化を図ることができる。
また、容器体には各種類で共通の第1液体が充填されるので、カートリッジのみの交換によって異なる種類の混合液体を使用することができる。これにより、吐出容器全体を買い替えることなく、異なる種類の混合液体を吐出することができるので、消費者にとって使い勝手に優れた吐出容器を提供することができる。
しかも、本態様において、接続筒は、吐出器本体が容器体の口部に組み付けられる過程で下方に向けて押し込まれることで、上端位置から下端位置に移行する。そのため、カートリッジの開栓作業と、吐出器本体の組付作業と、を別々に行う場合に比べて、利便性を向上させることができる。
【0008】
上記態様に係るカートリッジにおいて、前記接続筒には、前記上端位置において前記収容空間に開口する一方、前記下端位置において前記シール部を上下方向に跨って配置されることで、前記収容空間と前記連通路との間を連通させる流路溝が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、接続筒の下端位置において、収容空間と接続筒内とを確実に連通させることができる。これにより、カートリッジとしての信頼性を向上させることができる。
【0009】
上記態様に係るカートリッジにおいて、前記接続筒と前記収容部との間には、前記収容部に対する前記接続筒の回転を規制する規制部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、例えば吐出器本体を回転操作によって容器体に装着する構成であっても、吐出器本体と接続筒との間に作用する摩擦力によって接続筒が回転することを抑制できる。これにより、カートリッジとしての信頼性を向上させることができる。
【0010】
上記態様に係るカートリッジにおいて、前記収容部には、前記吐出器本体の挿し込み部が前記収容部の上方から挿し込まれるガイド部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、挿し込み部がガイド筒内に挿入されることで、収容筒に対する吐出器本体の下方移動を案内することができる。これにより、吐出器本体によって確実に接続筒を下端位置まで押し込むことができる。その結果、カートリッジとしての信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造者にとっては製造工程の簡素化を図ることができ、消費者にとっては利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施形態に係るカートリッジにおいて、開栓状態を示す拡大断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に対応する断面図である。
【
図4】実施形態に係るカートリッジの断面図である。
【
図5】実施形態に係るカートリッジにおいて、閉栓状態を示す拡大断面図である。
【
図6】実施形態に係る吐出容器1において、吐出器本体6の組み付け方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、カートリッジを備えた吐出器が容器体に装着された状態の吐出容器を例にして、本発明に係るカートリッジを説明する。
図1に示す吐出容器1は、有底筒状の容器体2と、容器体2の口部2aに着脱可能に装着された吐出器3と、を備えている。
容器体2には、第1液体が収容されている。第1液体としては、例えば化粧料や薬剤、消臭剤や洗浄剤等に用いられる液体であって、無色透明や無香料のような容器体2に色や匂いが移り難いものが好適に用いられる。
【0014】
吐出器3は、カートリッジ5と、吐出器本体6と、を備えている。カートリッジ5及び吐出器本体6は、それぞれ軸線Oと同軸上に配置された筒状に形成されている。以下、軸線Oに沿う方向を上下方向とし、上下方向のうち、吐出器本体6側を上方といい、カートリッジ5側を下方という。また、上下方向から見て軸線Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
カートリッジ5は、第1液体に混合される第2液体を保持するものである。第2液体としては、第1液体と同様の用途に用いられる液体であって、例えば顔料や香料が含まれたものが好適に用いられる。但し、第2液体としては、必ずしも顔料や香料が含まれたものに限られない。
【0016】
カートリッジ5は、容器体2の口部2aに着脱可能に装着される。カートリッジ5は、カートリッジ本体11と、接続部材12と、吸上パイプ13と、を備えている。
カートリッジ本体11には、第2液体が収容される。カートリッジ本体11は、ベース体21と、閉塞部22と、を備えている。
【0017】
ベース体21は、口部2aを通じて容器体2内に挿入されている。ベース体21は、収容筒(収容部)31と、支持筒32と、を備えている。収容筒31は、軸線Oと同軸に配置された有底筒状に形成されている。収容筒31の周壁部35は、下方に位置するものほど外径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的に、周壁部35は、位置決め筒35aと、大径部35bと、中径部35cと、小径部35dと、を備えている。
位置決め筒35aは、カートリッジ5が容器体2内に配置された状態において、口部2aの内周面に径方向で近接又は当接している。位置決め筒35aの上端縁には、径方向の外側に張り出す外フランジ部36が形成されている。ベース体21は、外フランジ部36が口部2aの上端開口縁上に配置された状態で、容器体2内に配置されている。
【0018】
大径部35bは、位置決め筒35aから下方に延びている。大径部35bには、ベース体21内と容器体2内とを連通させる貫通孔35hが形成されている。
中径部35cは、大径部35bの下端縁に第1内フランジ部35eを介して下方に延びている。
小径部35dは、中径部35cの下端縁に第2内フランジ部35fを介して下方に延びている。第2内フランジ部35fから小径部35dに至る部分には、上下方向に延びるリブ35gが形成されている。リブ35gは、小径部35dから径方向の内側に突出するとともに、第2内フランジ部35fから上方に延びている。本実施形態において、リブ35gは、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0019】
収容筒31の底壁部37は、小径部35dの下端縁から径方向の内側に向けて延びる環状に形成されている。
【0020】
支持筒32は、底壁部37の内周縁から下方に延びている。
図2に示すように、支持筒32における上下方向の中央部には、突当部32aが形成されている。突当部32aは、支持筒32から径方向の内側に突出するとともに、支持筒32の全周に亘って延びている。支持筒32のうち突当部32aに対して上方に位置する部分には、連通路32bが形成されている。連通路32bは、支持筒32の内周面上を上下方向に延びるとともに、突当部32aの上面上を径方向に延びている。連通路32bの上端部は、支持筒32の内周面上において、上下方向の中間部分で終端している。連通路32bにおける径方向の内側端部は、突当部32aにおける径方向の内側端面上で開放されている。なお、本実施形態において、連通路32bは、支持筒32における周方向の一部に一か所のみ形成されている。但し、連通路32bは、周方向に間隔をあけて複数形成されていてもよい。
【0021】
図1に示すように、閉塞部22は、中径部35c内に嵌め込まれることで、中径部35cの上端開口部を閉塞している。収容筒31(中径部35c、小径部35d及び底壁部37)と閉塞部22とで囲まれた空間は、第2液体が収容される収容空間Sとして機能する。
【0022】
閉塞部22は、軸線Oと同軸の有頂筒状に形成されている。閉塞部22は、嵌合筒41と、頂壁部42と、ガイド筒43と、保持筒44と、を備えている。
嵌合筒41は、中径部35c内に嵌め込まれている。嵌合筒41の上部には、位置決め突起41aが形成されている。位置決め突起41aは、第1内フランジ部35eに第1内フランジ部35eの上方から支持されている。
【0023】
頂壁部42は、嵌合筒41の上端縁から径方向の内側に向けて延びている。図示の例において、頂壁部42は、径方向の内側に向かうに従い下方に延びている。
ガイド筒43は、頂壁部42の内周縁から下方に延びている。
保持筒44は、ガイド筒43の下端縁から下方に延びている。保持筒44は、下方に向かうに従い外径が漸次縮小するテーパ状に形成されている。
【0024】
接続部材12は、接続筒51と、弾性板部52と、を備えている。
接続筒51には、容器体2内の第1液体と、収容空間Sの第2液体と、が混合された混合液体が流通する。接続筒51は、軸線Oと同軸に配置されている。接続筒51は、収容空間Sを上下方向に貫通した状態で、カートリッジ本体11に対して上下動可能に構成されている。接続筒51の上端部は、保持筒44の内側に嵌め込まれている。接続筒51の外周面は、保持筒44の下端縁が密接することで、カートリッジ本体11内のうち閉塞部22よりも上方に位置する空間と、収容空間S1と、の間をシールしている。本実施形態において、接続筒51とガイド筒43との間には、周方向の全周に亘って隙間が設けられている。
【0025】
図2に示すように、接続筒51の下端部は、支持筒32内に嵌め込まれている。接続筒51の下端縁は、突当部32aに突当部32aの上方から近接又は当接している。これにより、接続筒51の下端縁と連通路32bとで囲まれた部分には、支持筒32内に連通する合流口55が画成されている。
【0026】
接続筒51の下端部のうち、連通路32bと平面視で重なり合う部分(連通路32bの周方向の範囲内)には、流路溝51aが形成されている。流路溝51aは、接続筒51の外周面上で開口するとともに、上下方向に延びている。流路溝51aの下端部は、接続筒51の下端縁よりも上方に位置する部分で終端している。流路溝51aは、支持筒32のうち連通路32bよりも上方に位置する部分(シール部32c)よりも上下方向の寸法が大きい。流路溝51aは、シール部32cを上下方向に跨ることで、収容空間Sと連通路32bとの間を連通させている(開栓状態)。具体的に、流路溝51aの上端開口部は、収容空間Sに連通している。一方、流路溝51aの下端開口部は、連通路32bの上端部に連通している。
【0027】
弾性板部52は、接続筒51のうち上下方向の中央部(収容空間Sに位置する部分)から径方向の外側に張り出している。弾性板部52は、接続筒51のとの境界部分を起点に上下方向に弾性変形可能に構成されている。弾性板部52の外周部は、第2内フランジ部35fに第2内フランジ部35fの上方から支持されている。
図3に示すように、弾性板部52には、位置決め溝52aが形成されている。位置決め溝52aは、弾性板部52を上下方向に貫通するとともに、弾性板部52の外周縁上で開口している。位置決め溝52aは、リブ35gと平面視で重なり合う位置に、周方向に間隔をあけて形成されている。位置決め溝52a内には、対応するリブ35gの上端部がそれぞれ収容されている。リブ35gは、位置決め溝52aの内面のうち周方向を向く部分に当接することで、ベース体21に対する接続部材12の軸線O回りの回転を規制する。
【0028】
弾性板部52のうち隣り合う位置決め溝52a間に位置する部分には、通過孔52bが形成されている。通過孔52bは、弾性板部52を上下方向に貫通するとともに、弾性板部52の外周縁上で開口している。収容空間Sは、通過孔52bを通じて弾性板部52に対して上方空間と下方空間とが連通している。
【0029】
図1に示すように、吸上パイプ13は、支持筒32のうち突当部32aよりも下方に位置する部分に嵌め込まれている。したがって、接続筒51の下端開口部は、支持筒32内及び吸上パイプ13内を通じて容器体2内に連通している。
【0030】
吐出器本体6は、接続筒51を流通した混合液体を吐出する。吐出器本体6は、ポンプ61と、吐出ヘッド62と、押下部材63と、装着キャップ64と、を備えている。
ポンプ61は、シリンダ部71と、ピストン部72と、第1付勢部材73と、下部弁体74と、を備えている。シリンダ部71、ピストン部72及び第1付勢部材73は、軸線Oと同軸上に配置されている。
【0031】
シリンダ部71は、シリンダ本体71aと、フランジ部71bと、第1連結筒部71cと、押込筒71dと、挿入筒71eと、を備えている。
シリンダ本体71a内には、カートリッジ5内の第2液体と、の混合液体が下端開口部を通して導入される。シリンダ本体71aは、口部2aを通じてカートリッジ本体11内に挿入される。シリンダ本体71aは、下方に位置するものほど外径が縮小する多段筒状に形成されている。
【0032】
フランジ部71bは、シリンダ本体71aの上端開口縁から径方向の外側に張り出している。フランジ部71bは、パッキン76を介して外フランジ部36上に配置されている。
第1連結筒部71cは、フランジ部71bから上方に突出している。第1連結筒部71cは、軸線Oと同軸に配置されている。
【0033】
押込筒71dは、シリンダ本体71aの下端開口縁から下方に延びている。押込筒71dは、ガイド筒43内に挿入されるとともに、ガイド筒43内において接続筒51の上端開口縁に接続筒51の上方から当接している。すなわち、押込筒71dは、カートリッジ本体11に対する接続部材12の上方への移動を規制している。なお、シリンダ本体71a内は、押込筒71d、接続筒51、支持筒32及び吸上パイプ13を通じて容器体2内に連通可能である。
【0034】
挿入筒71eは、押込筒71dの下端開口縁から下方に延びている。挿入筒71eは、軸線Oと同軸上に配置されている。挿入筒71eは、ガイド筒43内に挿入されるとともに、ガイド筒43内において接続筒51の周囲を取り囲んでいる。
【0035】
ピストン部72は、環状の頂壁を有する有頂筒状の摺動部72aと、摺動部72aの頂壁の内周縁から上方に向けて延びる筒部72bと、を備えている。摺動部72aは、シリンダ部71内に上下摺動可能に嵌合されている。筒部72bは、第1連結筒部71cに挿入されている。筒部72bの上端部は、第1連結筒部71cから上方に突出している。
【0036】
第1付勢部材73は、シリンダ本体71aとピストン部72とで囲まれた空間に配置されている。第1付勢部材73の上端部は、摺動部72a内に挿入されるとともに、摺動部72aの頂壁に当接している。第1付勢部材73の下端部は、シリンダ本体71aの下端部に当接している。第1付勢部材73は、例えば上下方向に延びるコイルばねである。
【0037】
下部弁体74は、例えばボール弁である。下部弁体74は、シリンダ本体71a内の加圧時に容器体2内とシリンダ部71内との連通を遮断する一方、シリンダ本体71a内の減圧時に容器体2内とシリンダ本体71a内とを連通させる逆止弁である。具体的に、下部弁体74は、シリンダ本体71aの下端部内に設けられている。下部弁体74は、シリンダ本体71aにおける下端部の内周面に対して上方に離反可能に構成されている。
【0038】
装着キャップ64は、例えば螺着等によって口部2aに装着される。装着キャップ64は、環状の頂壁を有する有頂筒状に形成されている。装着キャップ64のうち頂壁の内側には、第1連結筒部71cが挿入されている。装着キャップ64が口部2aに装着された状態において、頂壁の下面と口部2aの上端開口縁との間に、フランジ部71bが上下方向に挟まれることで、シリンダ部71が容器体2に固定される。
【0039】
押下部材63は、支持部81と、レバー部82と、を備えている。
支持部81は、第1連結筒部71cが嵌め込まれた有頂筒状の第2連結筒部81aと、第2連結筒部81aから上方に向けて突出する突出部81bと、を備えている。第2連結筒部81aの頂壁は、環状に形成されている。頂壁の内側には、筒部72bが挿入されている。筒部72bの上端部は、第2連結筒部81aから上方に突出している。突出部81bは、軸線Oから径方向に離れている。以下、径方向のうち、突出部81bが軸線Oから離れている側を後方とし、これとは逆側を前方とする。
【0040】
レバー部82は、突出部81bの上端部から前方に向けて延びている。レバー部82は、軸線Oを前後方向に跨いだ後、下方に向けて延びている。レバー部82は、突出部81bの上端部回りに上下方向に回転可能に設けられている。レバー部82は、吐出ヘッド62に係合する係合部82aを有する。レバー部82が、突出部81bの上端部回りに下方に向けて回転する際、係合部82aが吐出ヘッド62を押下する。
【0041】
支持部81には、レバー部82の下方に向けた回転を規制する規制位置と、レバー部82の下方に向けた回転を許容する許容位置と、の間を移動可能に設けられた規制部材83が取付けられている。
【0042】
吐出ヘッド62は、本体部91と、蓄圧弁92と、第2付勢部材93と、を備えている。
本体部91は、径方向に延びる横筒91aと、横筒91aの後部から下方に向けて延びる縦筒91bと、を備えている。横筒91aは、前後方向に延び、レバー部82の前部を前後方向に貫いている。横筒91aの前端部に、前方に向けて開口した吐出口91cが形成されている。縦筒91bは、筒部72b内に嵌め込まれている。
蓄圧弁92は、横筒91a内に設けられ、縦筒91b内と吐出口91cとの連通を遮断する。蓄圧弁92は、横筒91aの後部内に前後動可能に設けられ、第2付勢部材93により前方に向けて付勢されている。横筒91aの後部の内圧が所定値を超えたときに、蓄圧弁92が第2付勢部材93の付勢力に抗して後方に向けて移動することで、縦筒91b内と吐出口91cとが連通し、混合液体が吐出口91cから吐出される。
【0043】
ここで、本実施形態のカートリッジ5について、吐出器本体6が容器体2に組み付けられる前の状態(閉栓状態)を説明する。
図4に示すように、カートリッジ5の接続筒51は、閉栓状態(上端位置)において、開栓状態(下端位置)よりも上方に位置している。閉栓状態では、
図5に示すように、接続筒51のうち、流路溝51aよりも下方に位置する部分が、シール部32cの内周面に密接している。これにより、流路溝51aを通じた収容空間Sと連通路32bとの間の連通が遮断されている。すなわち、閉栓状態では、収容空間S及び容器体2内、並びに収容空間S及び吐出器本体6(シリンダ本体71a内)の連通が遮断されている。
【0044】
次に、上述した吐出容器1の作用について説明する。以下の説明では、混合液体の吐出動作について説明した後、カートリッジ5の開栓方法について説明する。なお、吐出動作の説明において、シリンダ本体71a内には、既に混合液体が収容されているものとする。
図1に示すように、レバー部82を突出部81bの上端部回りに下方に向けて回転させ、吐出ヘッド62を押し下げると、ピストン部72が吐出ヘッド62とともに、第1付勢部材73の付勢力に抗して押し下げられる。この際、摺動部72aが、シリンダ本体71aの内周面上を下方に向けて摺動する。これにより、シリンダ本体71aの内容積が減少することで、シリンダ本体71a内が加圧される。シリンダ本体71a内の圧力上昇により、シリンダ本体71a内の下部弁体74が、シリンダ本体71aにおける下端部の内周面に密接し、シリンダ本体71a内と容器体2内との連通が遮断される。その結果、シリンダ本体71a内で加圧された混合液体が、筒部72b内を上昇し、吐出ヘッド62の縦筒91b内を通して横筒91aの後部内に流入する。これにより、横筒91aの後部内が加圧される。そして、横筒91aの後部内の圧力が所定値を超えたときに、蓄圧弁92が第2付勢部材93の付勢力に抗して後方に移動することで、縦筒91b内と吐出口91cとが連通し、混合液体が吐出口91cから吐出される。
【0045】
その後、レバー部82の操作を解除すると、吐出ヘッド62の押し下げが解除される。すると、第1付勢部材73の上方付勢力によってピストン部72が吐出ヘッド62とともに上昇する。ピストン部72がシリンダ本体71aの内周面上を上方に向けて摺動すると、シリンダ本体71aとピストン部72とで囲まれた空間の内容積が増加し、シリンダ本体71a内が減圧される。シリンダ本体71a内の圧力が減少することにより、下部弁体74がシリンダ本体71aにおける下端部の内周面から上方に離反する。シリンダ本体71aの下端開口部が開放され、シリンダ本体71a内が減圧状態になる。
【0046】
ここで、シリンダ本体71a内が減圧状態になると、シリンダ本体71aの下端開口部を通じて接続筒51内に負圧が作用する。すると、接続筒51内、支持筒32内及び吸上パイプ13内を通じて容器体2内に負圧が作用することで、容器体2内の第1液体が吸い上げられる。容器体2内の第1液体は、吸上パイプ13、支持筒32及び接続筒51内を流通する。一方、シリンダ本体71a内の減圧や、第1液体が接続筒51内を通過することに伴い接続筒51内に作用する負圧は、連通路32b及び流路溝51aを通じて収容空間Sにも作用する。すると、収容空間Sの第2液体が連通路32b及び流路溝51aを通じて接続筒51内に流入する。これにより、連通路32b内を流れる第2液体は、合流口55を通じて接続筒51内に流入する。その結果、第2液体は、接続筒51内を流通する第1液体と混合される。第1液体と第2液体との混合液体は、接続筒51内で混合された後、シリンダ本体71aの下端開口部を通じてシリンダ本体71a内に導入される。これにより、次の吐出に備えることができる。
【0047】
続いて、カートリッジ5の開栓方法について説明する。以下の説明では、閉栓状態のカートリッジ5が既に容器体2に装着されているものとする。
図6に示すように、カートリッジ5を開栓するには、吐出器本体6を容器体2に組み付ける。具体的には、挿入筒71eをガイド筒43内に挿入しつつ、装着キャップ64を口部2aに締め付ける。すると、装着キャップ64と口部2aとの締付方向への相対回転に伴い、吐出器本体6が容器体2に対して下方に移動する。これにより、押込筒71dが接続筒51の上端開口縁に当接する。その後、さらに装着キャップ64を締め付け、吐出器本体6を下方に移動させると、押込筒71dを介して接続筒51が下方に押し込まれる。これにより、弾性板部52が接続筒51との境界部分を支点に弾性変形しつつ、接続筒51がカートリッジ本体11に対して下方に移動する。
【0048】
接続筒51が下方に移動することで、シール部32cと接続筒51との下端部とのシールが解除され、収容空間Sと連通路32bとが流路溝51aを通じて連通する。その後、接続筒51の下端縁は、突当部32aに突当部32aの上方から近接又は当接した時点で、装着キャップ64の締め付けが完了する。すなわち、本実施形態では、吐出器本体6の組付作業とともに、カートリッジ5の開栓作業が行われるようになっている。接続部材12を開栓状態にしておくことで、上述した吐出操作の際に吐出口91cを通じて混合液体を吐出することができる。
【0049】
このように、本実施形態のカートリッジ5は、吐出器本体6に連通可能な上端開口部、及び容器体2内に連通可能な下端開口部を有し、収容空間Sを上下方向に貫通した状態で収容筒31に対して上下動可能に設けられた接続筒51と、収容筒31から下方に延びるとともに、接続筒51の下端部を支持する支持筒32と、を備えている。その上で、支持筒32は、接続筒51が上端位置にあるとき収容空間S及び接続筒51内の連通を遮断するシール部32cと、接続筒51が下端位置にあるとき収容空間S及び接続筒51内の間を連通させる連通路32bと、を備えている。
この構成によれば、吐出操作時において、接続筒51内に第1液体が通過する際、連通路32bを通じて収容空間Sに負圧が作用することで、収容空間Sの第2液体が接続筒51内に流入する。これにより、第1液体及び第2液体が接続筒51で混合された状態で、吐出口91cから吐出される。この場合、同一製品について、例えば香料の種類を変えて複数種類の吐出容器1として展開する際、容器体2には各種類間で共通の第1液体(例えば、無香料の液体)を充填することで、容器体2内に種類ごとの液体を充填する必要がない。そのため、製造工程の簡素化を図ることができる。
また、容器体2には各種類で共通の第1液体が充填されるので、カートリッジ5のみの交換によって異なる種類の混合液体を使用することができる。これにより、吐出容器1全体を買い替えることなく、異なる種類の混合液体を吐出することができるので、消費者にとって使い勝手に優れた吐出容器1を提供することができる。
しかも、本実施形態において、接続筒51は、吐出器本体6が容器体2の口部2aに組み付けられる過程で下方に向けて押し込まれることで、上端位置(閉栓状態)から下端位置(開栓状態)に移行する構成とした。
この構成によれば、カートリッジ5の開栓作業と、吐出器本体6の組付作業と、を別々に行う場合に比べて、利便性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態のカートリッジ5において、接続筒51には、閉栓状態で収容空間Sに開口する一方、開栓状態でシール部32cを上下方向に跨って配置されることで、収容空間Sと連通路32bとの間を連通させる流路溝51aが形成されている構成とした。
この構成によれば、開栓状態において、収容空間Sと接続筒51内とを確実に連通させることができる。これにより、カートリッジ5としての信頼性を向上させることができる。
【0051】
本実施形態のカートリッジ5において、接続筒51と収容筒31との間には、収容筒31に対する接続筒51の回転を規制する弾性板部(規制部)52が設けられている構成とした。
この構成によれば、例えば吐出器本体6を回転操作によって容器体2に装着する構成であっても、吐出器本体6と接続筒51との間に作用する摩擦力によって接続筒51が回転することを抑制できる。これにより、カートリッジ5としての信頼性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態のカートリッジ5において、収容筒31には、吐出器本体6の挿入筒(挿し込み部)71eが収容筒31の上方から挿し込まれるガイド筒43が設けられている構成とした。
この構成によれば、挿入筒71eがガイド筒43内に挿入されることで、収容筒31に対する吐出器本体6の下方移動を案内することができる。これにより、吐出器本体6によって確実に接続筒51を開栓状態まで押し込むことができる。その結果、カートリッジ5としての信頼性を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、吐出器本体6がポンプ61を備える構成について説明したが、この構成に限られない。吐出容器は、吐出器本体6が吐出口を有する構成で、容器体のスクイズ変形によって混合液体を吐出する構成であってもよい。この場合においても、第1液体が吐出口に向けて流通する際に接続筒を通過する過程で、接続筒内に負圧が作用することで、収容空間の第2液体を接続筒内に引き込むことができる。
【0054】
上述した実施形態では、収容空間Sと接続筒51内とが流路溝51a及び連通路32bを通じて連通する構成について説明したが、この構成に限られない。収容空間Sと接続筒51内との連通方法は、適宜変更が可能である。
上述した実施形態では、吐出器本体6が回転操作によって口部2aに装着される構成について説明したが、この構成に限られない。吐出器本体6の装着方法は、口部2aへの装着に伴い、吐出器本体6が容器体2に対して下方に移動する構成であれば、適宜変更が可能である。
上述した実施形態では、ガイド部(ガイド筒43)の内側に接続筒51が挿入される構成について説明したが、この構成に限られない。ガイド部は、接続筒51の挿入部分とは別の部分に設けられていてもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0056】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
第1液体が収容される容器体、及び吐出口が形成されるとともに前記容器体の口部に着脱可能に装着される吐出器本体の間に設けられるカートリッジであって、
第2液体が収容される収容空間を形成するとともに、前記口部に装着される収容部と、
前記吐出器本体に連通可能な上端開口部、及び前記容器体内に連通可能な下端開口部を有し、前記収容空間を上下方向に貫通した状態で前記収容部に対して上下動可能に設けられた接続筒と、
前記収容部から下方に延びるとともに、前記接続筒の下端部を支持する支持筒と、を備え、
前記支持筒は、
前記接続筒が上端位置にあるとき前記収容空間及び前記接続筒内の連通を遮断するシール部と、
前記接続筒が下端位置にあるとき前記収容空間及び前記接続筒内の間を連通させる連通路と、を備え、
前記接続筒は、前記吐出器本体が前記口部に組み付けられる過程で、前記吐出器本体により下方に向けて押し込まれることで、前記上端位置から前記下端位置に移行するカートリッジ。
<2>
前記接続筒には、前記上端位置において前記収容空間に開口する一方、前記下端位置において前記シール部を上下方向に跨って配置されることで、前記収容空間と前記連通路との間を連通させる流路溝が形成されている<1>に記載のカートリッジ。
<3>
前記接続筒と前記収容部との間には、前記収容部に対する前記接続筒の回転を規制する規制部が設けられている<1>又は<2>に記載のカートリッジ。
<4>
前記収容部には、前記吐出器本体の挿し込み部が前記収容部の上方から挿し込まれるガイド部が設けられている<1>から<3>の何れか1項に記載のカートリッジ。
【符号の説明】
【0057】
2:容器体
2a:口部
3:吐出器
5:カートリッジ
6:吐出器本体
31:収容筒(収容部)
32:支持筒
32b:連通路
32c:シール部
43:ガイド筒(ガイド部)
51:接続筒
51a:流路溝
52:弾性板部(規制部)
71e:挿入筒(挿し込み部)
91c:吐出口