IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2024-172546情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図10
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図11
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図12
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図13
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図14
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図15
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図16
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図17
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図18
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図19
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172546
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090334
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳歩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晶子
(72)【発明者】
【氏名】大野 耕司
(72)【発明者】
【氏名】石田 夏樹
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L049AA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】計算規模の増大を抑制し割当計画の質の劣化を抑制する情報処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】輸送機の第1割当計画を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報処理装置10であって、第1制約条件に基づいて、第1割当計画の輸送機の行路において隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに人員が割り当てられるか否かを示す割当パターンを複数生成し、割当パターンの一部を組み合わせ、第1割当計画を遂行可能な第2割当計画の基となる第3割当計画を作成し、第2制約条件に基づいて、第3割当計画に含まれる複数の割当パターンを結合して新たな割当パターンとし、新たな割当パターンを含む第3割当計画を、第2割当計画として出力する処理を実行する。新たな割当パターンは、複数の区間において、結合される割当パターンの少なくとも一において人員が割り当てられている場合に、人員が割り当てられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて構成され、輸送機の第1割当計画
を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報処理装置であって、
所定の第1制約条件に基づいて、前記第1割当計画における前記輸送機の行路において
隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに前記人員が割り当てられるか否か
を示す割当パターンを複数生成し、
複数の前記割当パターンの一部を組み合わせ、前記第1割当計画を遂行可能な前記第2
割当計画の基となる第3割当計画を作成し、
所定の第2制約条件に基づいて、前記第3割当計画に含まれる複数の前記割当パターン
を結合して新たな割当パターンとし、
前記新たな割当パターンを含む前記第3割当計画を、前記第2割当計画として出力する
処理を実行し、
前記新たな割当パターンとする処理において、
前記新たな割当パターンは、
前記複数の区間のそれぞれにおいて、結合される前記複数の割当パターンの少なくとも
一において前記人員が割り当てられている場合に、前記人員が割り当てられる、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1制約条件は、
前記輸送機の発着点のうち、人員が勤務を開始又は終了する発着点の条件を含む、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1制約条件は、
人員の勤務時間の所定の上限又は下限を含む、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第1制約条件は、
前記複数の割当パターンの数の上限を含む、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記割当パターンは、所定の算出方法で算出されたコストが紐付けられ、
前記第2割当計画は、前記コストの総和が最小となるように作成される、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第2制約条件は、
法令によって定められた労働条件を含む、
情報処理装置。
【請求項7】
演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて構成され、輸送機の第1割当計画
を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報処理装置が、
所定の第1制約条件に基づいて、前記第1割当計画における前記輸送機の行路において
隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに前記人員が割り当てられるか否か
を示す割当パターンを複数生成し、
複数の前記割当パターンの一部を組み合わせ、前記第1割当計画を遂行可能な前記第2
割当計画の基となる第3割当計画を作成し、
所定の第2制約条件に基づいて、前記第3割当計画に含まれる複数の前記割当パターン
を結合して新たな割当パターンとし、
前記新たな割当パターンを含む前記第3割当計画を、前記第2割当計画として出力する
処理を実行し、
前記新たな割当パターンとする処理において、
前記新たな割当パターンは、
前記複数の区間のそれぞれにおいて、結合される前記複数の割当パターンの少なくとも
一において前記人員が割り当てられている場合に、前記人員が割り当てられる、
情報処理方法。
【請求項8】
演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて構成され、輸送機の第1割当計画
を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報処理装置に、
所定の第1制約条件に基づいて、前記第1割当計画における前記輸送機の行路において
隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに前記人員が割り当てられるか否か
を示す割当パターンを複数生成させ、
複数の前記割当パターンの一部を組み合わせ、前記第1割当計画を遂行可能な前記第2
割当計画の基となる第3割当計画を作成させ、
所定の第2制約条件に基づいて、前記第3割当計画に含まれる複数の前記割当パターン
を結合して新たな割当パターンとさせ、
前記新たな割当パターンを含む前記第3割当計画を、前記第2割当計画として出力する
処理を実行させ、
前記新たな割当パターンとさせる処理において、
前記新たな割当パターンは、
前記複数の区間のそれぞれにおいて、結合される前記複数の割当パターンの少なくとも
一において前記人員が割り当てられている場合に、前記人員が割り当てられる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
バス、航空、鉄道等の公共交通機関において、予め定められた輸送機の割当計画を遂行
するために、人員を輸送機の割当計画へ割り当てる割当パターンを決定する必要がある。
【0003】
この場合、先ず複数の割当パターンの候補が列挙され、これらの内から、輸送機の割当
計画に含まれるすべての便を被覆し、かつ法規制や社内規定等に伴う制約条件を満たす割
当パターンの組合せが最終的に決定される。
【0004】
このとき、例えば、輸送機の割当計画に含まれる便の数が増加すると、割当パターンの
候補の数が膨大になり、最終的な割当パターンを決定することが困難になる可能性がある
【0005】
そこで、例えば非特許文献1には、計算規模を縮小するために割当パターンの候補の数
を削減すべく、所定の手続によって割当パターンの一部を候補から排除する技術が記載さ
れている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B. Gopalakrishnan, E. L. Johnson,「Airline Crew Scheduling: State-of-the-Art」, Annals of Operations Research, vol.140, 2005, P.305-337
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1に開示された技術では、最終的に作成される割当計画を好
ましいものとするために重要な寄与をする割当パターンが候補から排除されてしまう可能
性がある。そのため、最終的に作成される割当計画の質が劣化する可能性がある。
【0008】
本発明はこれらのような課題を鑑みてなされたものであり、計算規模の増大を抑制した
上で最終的に得られる割当計画の質の劣化を抑制することが可能な情報処理装置を提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための一の発明は、演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を
用いて構成され、輸送機の第1割当計画を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報
処理装置であって、所定の第1制約条件に基づいて、前記第1割当計画における前記輸送
機の行路において隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに前記人員が割り
当てられるか否かを示す割当パターンを複数生成し、複数の前記割当パターンの一部を組
み合わせ、前記第1割当計画を遂行可能な前記第2割当計画の基となる第3割当計画を作
成し、所定の第2制約条件に基づいて、前記第3割当計画に含まれる複数の前記割当パタ
ーンを結合して新たな割当パターンとし、前記新たな割当パターンを含む前記第3割当計
画を、前記第2割当計画として出力する処理を実行し、前記新たな割当パターンとする処
理において、前記新たな割当パターンは、前記複数の区間のそれぞれにおいて、結合され
る前記複数の割当パターンの少なくとも一において前記人員が割り当てられている場合に
、前記人員が割り当てられる、情報処理装置である。
【0010】
上記目的を達成するための他の発明は、演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を
用いて構成され、輸送機の第1割当計画を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報
処理装置が、所定の第1制約条件に基づいて、前記第1割当計画における前記輸送機の行
路において隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに前記人員が割り当てら
れるか否かを示す割当パターンを複数生成し、複数の前記割当パターンの一部を組み合わ
せ、前記第1割当計画を遂行可能な前記第2割当計画の基となる第3割当計画を作成し、
所定の第2制約条件に基づいて、前記第3割当計画に含まれる複数の前記割当パターンを
結合して新たな割当パターンとし、前記新たな割当パターンを含む前記第3割当計画を、
前記第2割当計画として出力する処理を実行し、前記新たな割当パターンとする処理にお
いて、前記新たな割当パターンは、前記複数の区間のそれぞれにおいて、結合される前記
複数の割当パターンの少なくとも一において前記人員が割り当てられている場合に、前記
人員が割り当てられる、情報処理方法である。
【0011】
上記目的を達成するための他の発明は、演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を
用いて構成され、輸送機の第1割当計画を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報
処理装置に、所定の第1制約条件に基づいて、前記第1割当計画における前記輸送機の行
路において隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに前記人員が割り当てら
れるか否かを示す割当パターンを複数生成させ、複数の前記割当パターンの一部を組み合
わせ、前記第1割当計画を遂行可能な前記第2割当計画の基となる第3割当計画を作成さ
せ、所定の第2制約条件に基づいて、前記第3割当計画に含まれる複数の前記割当パター
ンを結合して新たな割当パターンとさせ、前記新たな割当パターンを含む前記第3割当計
画を、前記第2割当計画として出力する処理を実行させ、前記新たな割当パターンとさせ
る処理において、前記新たな割当パターンは、前記複数の区間のそれぞれにおいて、結合
される前記複数の割当パターンの少なくとも一において前記人員が割り当てられている場
合に、前記人員が割り当てられる、情報処理プログラムである。本発明の他の特徴につい
ては、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、計算規模の増大を抑制した上で最終的に得られる割当計画の質の劣化
を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の情報処理装置10の構成図である。
図2】実施形態の情報処理装置10のハードウェア構成を説明する図である。
図3】人員の割当計画を立案するまでの概要を示すフローチャートである。
図4】輸送計画データ30aの一具体例について説明する図である。
図5】候補列挙パラメータ30bの一具体例を説明する図である。
図6】運行条件データ30cの一具体例について説明する図である。
図7】端点決定パラメータ30dの一具体例について説明する図である。
図8】端点決定及び運行条件の分類の一例を説明するフローチャートである。
図9】端点決定及び運行条件の分類の一例を説明するフローチャートである。
図10】候補列挙部60による候補列挙の一例を説明する有向グラフである。
図11】候補列挙部60による候補列挙の一例を説明する図である。
図12】一般的な手法による候補列挙の一例を説明する図である。
図13】結合処理及び出力データの作成の詳細を説明するフローチャートである。
図14】結合処理及び出力データの作成の詳細を説明するフローチャートである。
図15】結合処理及び出力データの作成の詳細を説明するフローチャートである。
図16】結合処理部80によって作成された人員の割当計画を説明する図である。
図17】結合処理部80によって作成された人員の割当計画の詳細を説明する図である。
図18】候補列挙部60による候補列挙の一例を説明する図である。
図19】一般的な手法による候補列挙の一例を説明する有向グラフである。
図20】一般的な手法による候補列挙の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
==実施形態==
<<装置全体の構成>>
図1は、本実施形態の情報処理装置10の構成の一例を示す図である。情報処理装置1
0は、輸送機の割当計画を遂行可能な人員の割当計画を出力する装置である。
【0015】
本実施形態では、輸送機として航空機を例示して説明する。なお、情報処理装置10は
、輸送機の割当計画が定められている他の公共交通機関(バス路線、鉄道等)における輸
送機(車両等)に適用することも可能である。
【0016】
また、以下の説明において、輸送機の割当計画は「第1割当計画」に相当し、人員の割
当計画は「第2割当計画」に相当する。
【0017】
情報処理装置10は、一つの物理的な計算機によって構成されることができる。あるい
は、情報処理装置10は、各構成要素が別々の物理的な計算機によって実現されていても
よい。
【0018】
また、情報処理装置10は、一つ以上の物理的な計算機を備えた計算機システムに代え
て、他種のシステム、例えば、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実
現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)であってもよい。
【0019】
図1において、情報処理装置10は、入出力支援部20、入力データ記憶部30、端点
決定及び運行条件分類部40、制約条件記憶部50、候補列挙部60、最適化計算部70
、結合処理部80、出力データ記憶部90を有する。
【0020】
以下、それぞれの概要について説明する。それぞれの詳細については、具体例を用いて
後述する。
【0021】
<入出力支援部20>
入出力支援部20は、受け取った入力データを、後述する入力データ記憶部30に格納
するとともに、詳細は後述する端点決定及び運行条件分類部40及び候補列挙部60に出
力する。
【0022】
ここでの入力データは、後述する輸送計画データ30a、候補列挙パラメータ30b、
運行条件データ30c及び端点決定パラメータ30dである。なお、以下、端点決定及び
運行条件分類部40を便宜上、「分類部40」と称する。
【0023】
更に、入出力支援部20は、入力データ記憶部30と、出力データ記憶部90と、を備
えている。
【0024】
入力データ記憶部30は、割当計画の案の作成指示や作成のための入力情報として、輸
送計画データ30a、候補列挙パラメータ30b、運行条件データ30c及び端点決定パ
ラメータ30dを入力データとして記憶する。これらの入力データの詳細は後述する。
【0025】
出力データ記憶部90は、輸送機の割当計画および各種制約条件に基づいて作成された
人員の割当計画の案(詳細は後述)を出力データとして記憶する。
【0026】
<分類部40>
分類部40は、先ず、入力データ記憶部30に格納された候補列挙パラメータ30b、
運行条件データ30c及び端点決定パラメータ30dを取得する。
【0027】
分類部40は、運行条件データ30cと端点決定パラメータ30dとに基づいて、端点
を決定し、候補列挙制約条件(詳細は後述)に追加する。ここで、「端点」とは、輸送機
の発着点のうち、人員が勤務開始又は勤務終了をすることが可能な発着点である。
【0028】
そして、分類部40は、候補列挙パラメータ30bおよび端点決定パラメータ30dに
基づいて、運行条件データ30cを候補列挙制約条件又は結合制約条件に分類する。
【0029】
詳細は後述するが、「候補列挙制約条件」は、候補列挙部60が割当パターンの候補を
列挙する際に用いられる制約条件である。また、「結合制約条件」は、結合処理部80が
割当パターンを結合して新たな割当パターンを生成する際に用いられる制約条件である。
【0030】
なお、以下の説明において、候補列挙制約条件は「所定の第1制約条件」に相当し、結
合制約条件は「所定の第2制約条件」に相当する。
【0031】
分類部40は、候補列挙制約条件及び結合先約条件を制約条件記憶部50に出力する。
【0032】
<制約条件記憶部50>
制約条件記憶部50は、候補列挙制約条件記憶部50a及び結合制約条件記憶部50b
を含む。
【0033】
候補列挙制約条件記憶部50aは、上述の候補列挙制約条件を格納する。結合制約条件
記憶部50bは、上述の結合制約条件を格納する。
【0034】
<候補列挙部60>
候補列挙部60は、候補列挙制約条件に基づいて、割当パターンを複数生成する。「割
当パターン」は、輸送機の割当計画における輸送機の行路において隣接する2つの発着点
で定まる複数の区間(以下、「ノード」とも称する)のそれぞれに人員が割り当てられる
か否かを示すパターンである。
【0035】
候補列挙部60は、候補列挙制約条件と、入力データ記憶部30から取得した候補列挙
パラメータ30bと、輸送計画データ30aとに基づいて、割当パターンの候補を列挙す
る。そして、候補列挙部60は、列挙した割当パターンの候補を最適化計算部70に出力
する。
【0036】
<最適化計算部70>
最適化計算部70は、候補列挙部60によって生成された複数の割当パターンの一部を
組み合わせ、輸送機の割当計画を遂行可能な人員の割当計画の基となる割当計画を作成す
る。なお、ここでの割当計画の基となる割当計画は、「第3割当計画」に相当する。
【0037】
ここで、最適化計算部70は、所定の最適化計算により割当計画を作成するが、詳細な
手続は具体例と共に後述する。
【0038】
最適化計算部70は、従来型計算機に搭載されたCPU上で動作する数理最適化ソルバ
でもよいし、量子アニーリングマシンのような非ノイマン型計算機や、CMOSアニーリ
ングのような専用ASIC、FPGAや従来型計算機に搭載されたGPU上に実装された
計算技術を最適化計算に用いてもよい。
【0039】
最適化計算部70は、得られた割当計画を結合処理部80に出力する。ここでの割当計
画は、候補列挙部60によって列挙された複数の割当パターンの内から最適化計算部70
によって選択された複数の割当パターンを含んでいる。
【0040】
<結合処理部80>
結合処理部80は、結合制約条件に基づいて、最適化計算部70によって作成された割
当計画に含まれる複数の割当パターンを結合し、新たな割当パターンを生成する。
【0041】
ここで「複数の割当パターンを結合する」とは、当該複数の割当パターンの全てを被覆
する割当パターンを、一の人員に対する割当パターンとして生成することを意味する。詳
細な説明は具体例を挙げて後述する。
【0042】
<出力データ記憶部90>
出力データ記憶部90は、結合処理部80によって生成された新たな割当パターンを含
む割当計画を、人員の最終的な割当計画(「第2割当計画」に相当)として出力する。
【0043】
<<ハードウェア構成>>
本実施形態の情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施
形態は、情報処理装置を構成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【0044】
情報処理装置10は、演算装置100、主記憶装置101、補助記憶装置102、送受
信装置103、出力装置104、及び入力装置105を備える。
【0045】
演算装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Pro
cessing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable
Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artifi
cial Intelligence)チップ等を用いて構成されている。
【0046】
主記憶装置101は、演算装置100がプログラムを実行する際に利用する装置であり
、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メ
モリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。情報処理装置10において実現され
る各種の機能は、演算装置100が、補助記憶装置102に格納(記憶)されているプロ
グラムやデータを主記憶装置101に読み出して実行することにより実現される。
【0047】
補助記憶装置102は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、SSD(
Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc
)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカ
ードや光学式記録媒体等の非一時的な記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの非一
時的な記憶領域等で構成することができる。補助記憶装置102には、記録媒体の読取装
置や送受信装置103を介して、非一時的な記録媒体や非一時的な記憶装置を備えた他の
情報処理装置からプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置102に格
納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置101に随時読み込まれる。
【0048】
送受信装置103は、他の装置との間の通信を実現する装置である。送受信装置103
は、ネットワークを介して他の装置との間の通信を実現する、有線方式又は無線方式の通
信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュ
ール、USBモジュール等である。
【0049】
出力装置104と入力装置105は、ユーザーとの間での対話処理(情報の受け付け、
情報の提供等)を実現するユーザインタフェースを構成する。
【0050】
<<人員の割当計画を立案するまでのフロー>>
図3は、人員の割当計画を立案するまでの概要を示すフローチャートである。以下は、
図3のフローチャートを参照して、航空機の行路における人員の割当計画を立案する場合
について説明する。
【0051】
本実施形態は、航空機の割当計画の改訂などに伴い、人員の割当計画を立案する必要が
生じた際に活用することができる。あるいは、航空会社の社内規定や労働基準法等の法律
の改正などに伴い、人員の勤務シフトの改定を行う際のシミュレーションにも活用するこ
とができる。
【0052】
本実施形態では、航空機の割当計画が予め定められている航空路線に対して人員を割り
当てるパターン(以下、単に「割当パターン」と称する)を作成することを想定する。
【0053】
<処理の概要>
まずは、図3に示すフローチャートを参照して、情報処理装置10が人員の割当計画の
案を出力するまでの処理手順の概要を説明する。各々の手順(ステップS1~ステップS
6)の詳細については後で補足的に説明する。
【0054】
先ず、ステップS1において、情報処理装置10は、入力データの読み込みを行う。一
具体例では、入力データの読み込みは、PCなどの外部装置から送信される元の計画に関
する種々の情報を、入出力支援部20のプロセッサの動作によって読み込むことによって
実現される。
【0055】
また、読み込まれた入力データは、図1に示すように、入出力支援部20内の例えばH
DDなどの入力データ記憶部30内で、情報の種類に応じて分類する(区分けする)よう
に格納されるようにするとよい。
【0056】
次いで、ステップS2において、分類部40は、図1に示す入力データ記憶部30内に
格納された候補列挙パラメータ30b、運行条件データ30c及び端点決定パラメータ3
0dを取得する。
【0057】
分類部40は、端点決定パラメータ30dと運行条件データ30cの整合性を確認し、
ステップS3において候補列挙に用いる端点を決定し、候補列挙制約条件に追加する。な
お、ステップS2における処理内容の更なる詳細については、図7等を用いて後述する。
【0058】
分類部40は、取得した候補列挙パラメータ30b及び端点決定パラメータ30dに基
づいて、運行条件データ30cに含まれる運行条件を候補列挙制約条件又は結合制約条件
に分類し、制約条件記憶部50に格納する。
【0059】
次いで、ステップS3において、候補列挙部60は、入力データ記憶部30内に格納さ
れた輸送計画データ30aと候補列挙パラメータ30b、制約条件記憶部50内の候補列
挙制約条件を取得し、これらの情報を用いて、割当パターンの候補を列挙する。
【0060】
次いで、ステップS4において、最適化計算部70は、最適化計算により、ステップS
3で列挙された複数の割当パターンの一部を組み合わせ、輸送機の割当計画を遂行可能な
人員の割当計画の基となる割当計画を作成する。
【0061】
詳細は後述するが、最適化計算部70は、所定の算出方法で算出されたコストを最小化
するように割当計画を作成する。
【0062】
次いで、ステップS5において、結合処理部80は、ステップS4で作成された割当計
画に含まれる割当パターンを結合制約条件に基づいて結合することにより、新たな割当パ
ターンを生成する。
【0063】
そして、結合処理部80は、新たな割当パターンを含む人員の割当計画を出力データと
して作成し、かかる出力データを入出力支援部20の出力データ記憶部90に出力する。
【0064】
最後に、ステップS6において、情報処理装置10は、入出力支援部20のプロセッサ
の処理により、出力データ記憶部90内の割当計画の案をPC等の外部装置に出力して、
処理を終了する。以上が情報処理装置10で実行される処理の概要である。
【0065】
<<フローの詳細>>
以下、図3に示したフローチャートのそれぞれのステップの処理について詳細に説明す
る。
【0066】
<ステップS1:入力データ読込>
ステップS1で読み込まれる入力データは、図1の入力データ記憶部30内に示すよう
に、輸送計画データ30a、候補列挙パラメータ30b、運行条件データ30c及び端点
決定パラメータ30dである。先ず、それぞれについて具体例と共に説明する。
【0067】
[輸送計画データ30a]
図4は、輸送計画データ30aの一具体例について説明する図である。輸送計画データ
30aは、情報処理装置10によって出力される人員の割当計画の案の対象となる航空機
の割当計画を示す情報であり、例えば、時刻表の情報である。
【0068】
図4に示すように、輸送計画データ30aの具体例としては、行列型式の運行予定表と
することができる。図4に示す例では、特定の1日に割当てられた便の情報が記録されて
いる。
【0069】
図4に示すように、輸送計画データ30aには、それぞれの便の「識別ID」、「運行
ID」、「出発地」、「到着地」、「出発時刻」、「到着時刻」、「始発地」及び「終着
地」の項目が示されている。
【0070】
例えば、識別IDが1の輸送計画データの場合、運行IDは「101」、出発地は「B
」、到着地は「A」、出発時刻は「11:30」、到着時刻は「13:00」、始発地は
「B」、終着地は「A」である。
【0071】
[候補列挙パラメータ30b]
図5は、候補列挙パラメータ30bの一具体例を説明する図である。候補列挙パラメー
タ30bは、情報処理装置10の候補列挙部60を制御するパラメータであり、ユーザー
が設定することができる。
【0072】
図5に示すように、候補列挙パラメータ30bには、「候補列挙パラメータID」、「
パラメータ」、「種別」及びパラメータの「値」の項目が示されている。
【0073】
この例において、候補列挙パラメータID=1は、一の割当パターンの候補について、
人員の勤務時間に上限を設け、勤務時間に上限を6時間としている。つまり、候補列挙部
60において、勤務時間が6時間を超える割当パターンについては候補から除外されるこ
とになる。
【0074】
同様に、候補列挙パラメータID=2より、候補列挙部60において、勤務時間が1時
間30分を下回る割当パターンについては候補から除外されることになる。また、候補列
挙パラメータID=3より、候補列挙部60において、列挙される割当パターンの候補の
上限は10000となる。
【0075】
一般的な手法によって割当パターンの候補を列挙する場合、本実施形態のような候補列
挙パラメータは考慮されない。そのため、一般的な手法によると、勤務時間が6時間を超
える割当パターンの候補や、勤務時間が1時間30分未満である割当パターンの候補が列
挙され得る。
【0076】
更に、一般的な手法によると、列挙される割当パターンの候補の数が10000を超え
ることがあり得る。
【0077】
従って、以上のような候補列挙パラメータ30bにより、候補列挙部60において列挙
される割当パターンの候補の数が増大することを抑えることができる。なお、図5に示し
た候補列挙パラメータは一例であり、ここでのパラメータに限定されるものではない。
【0078】
[運行条件データ30c]
図5は、運行条件データ30cの一具体例について説明する図である。運行条件データ
30cは、人員の割当計画の立案に際し、最終的な割当計画案が守るべき社内規定や労働
法規が記載されたデータである。
【0079】
図5に示すように、運行条件データ30cには、「運行条件ID」、「条件内容」、パ
ラメータ(「X」~「Z」)、「種別」及び「分類条件」の項目が示されている。
【0080】
例えば、運行条件ID=1は時間に関する条件であり(「種別」より)、法令に基づい
て、労働時間Xが6時間以上ならば、休憩時間Yを45分以上取得しなければならない旨
を示している。なお、ここでの条件は一例であり、これに限定されるものではない。
【0081】
なお、分類条件には、運行条件にしきい値が存在する場合にはしきい値が格納されてい
る。例えば運行条件ID=1及び2において、分類条件には、所定の休憩時間を取得する
ことが義務付けられた労働時間のしきい値が格納されている。
【0082】
また、運行条件ID=4は場所に関する条件であり(「種別」より)、休憩可能な地点
Xは発着点Bである旨を示している。
【0083】
[端点決定パラメータ30d]
図7は、端点決定パラメータ30dの一具体例について説明する図である。端点決定パ
ラメータ30dは、ユーザーによって設定された始端や終端とする発着点が記載されたデ
ータである。
【0084】
図7に示すように、端点決定パラメータ30dには、「端点候補ID」、「端点候補地
点」、「始端」、「終端」及び「ON/OFF」の項目が示されている。
【0085】
端点候補IDは、端点の候補となる発着点を識別するための識別子である。端点候補地
点は、端点の候補となる発着点の名称である。
【0086】
始端(終端)は、発着点を始端(終端)とすることが可能か否かを示す値であって、ユ
ーザーにより設定される値である。発着点を始端(終端)とすることが可能であれば「1
」、不可能であれば「0」が格納されている。
【0087】
ON/OFFは、ステップS3の候補列挙の際に前述の始端(終端)の情報を用いるか
否かを示す値であって、ユーザーにより設定される値である。始端(終端)の情報を用い
るならば「1」、用いないならば「0」が格納されている。
【0088】
例えば、端点候補ID=3は、端点候補である発着点Cは、始端となり得るが、終端に
はなり得ないことを示している。また、端点候補ID=3は、ステップS3の候補列挙の
際に前述の始端(終端)の情報として用いられることを示している。
【0089】
<<ステップS2:端点決定及び運行条件の分類>>
図8及び図9は、端点決定及び運行条件の分類の一例を説明するフローチャートである
。なお、図8に示すフローチャートは、図3で上述したステップS2のサブルーチンに対
応する。また、図9に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートのサブルーチン
に対応する。
【0090】
ステップS1(図3)で入力データの読み込みが実行された後、図8のステップS21
において、分類部40は、入力データ記憶部30(図1)から候補列挙パラメータ30b
図5)、運行条件データ30c(図6)及び端点決定パラメータ30d(図7)を取得
する。
【0091】
分類部40は、取得した運行条件データ30c(図6)に含まれる運行条件の全てにつ
いて種別を確認し(ステップS22)、種別が「時間」であれば「時間に関する制約条件
」に分類(ステップS23)、種別が時間でなければ「場所に関する制約条件」に分類(
ステップS24)する。
【0092】
例えば、運行条件ID=1であれば、種別が「時間」であるため、「時間に関する制約
条件」に分類される(ステップS23)。また、運行条件ID=4であれば、種別が「場
所」であるため、「場所に関する制約条件」に分類される。また、運行条件ID=10で
あれば、種別が空欄であるため、「場所に関する制約条件」に分類される(ステップS2
4)。
【0093】
分類部40が運行条件データ30cに含まれる全ての運行条件についての種別の確認処
理を終えると、全ての運行条件は、時間に関する制約条件、または、場所に関する制約条
件に分類されることになる。
【0094】
次に、分類部40は、ステップS23で分類された時間に関する制約条件を取得する(
ステップS25)。そして、分類部40は、時間に関する制約条件に含まれる全ての運行
条件について、分類条件にしきい値が存在するかを確認する。そして、分類部40は、し
きい値及び候補列挙制約条件における上限時間の大小関係を比較する(ステップS26)
【0095】
図6の分類条件にしきい値が指定されてない(空欄である)、または候補列挙制約条件
の上限時間以上であれば、分類部40は、運行条件を結合制約条件に追加する(ステップ
S27)。
【0096】
例えば、運行条件ID=4であれば、分類条件にしきい値が指定されていないため、結
合制約条件に追加される(ステップS27)。
【0097】
一方、分類部40は、分類条件にしきい値が指定され、かつ候補列挙上限時間未満であ
れば、分類部40は、運行条件を候補列挙制約条件に追加(ステップS28)する。
【0098】
例えば、運行条件ID=1であれば、分類条件にしきい値(X=6時間)が指定されて
おり、候補列挙上限時間未満であるため(図5の候補列挙パラメータID=1)、結合制
約条件に追加される(ステップS28)。
【0099】
更に、分類部40は、S24で分類された場所に関する制約条件を取得(ステップS2
8)する。そして、分類部40は、場所に関する制約条件と端点決定パラメータ30dを
用いて、端点決定処理(ステップS29)を行う。
【0100】
図9は、図8の端点決定処理(ステップS29)の詳細を説明するフローチャートであ
る。まず、ステップS291において、分類部40は、端点決定パラメータ30dと、ス
テップS24で分類された場所に関する制約条件を取得する。
【0101】
端点決定パラメータ30dは、図7に示したように、端点候補ID、端点候補地点、始
端、終端及びON/OFFの項目から成る。
【0102】
分類部40は、端点決定パラメータ30dに含まれる全ての端点候補を確認し、それぞ
れのON/OFFが1であるかを判定する(ステップS292)。分類部40は、ここで
1であれば始端及び終端の値を確認する(ステップS293)。
【0103】
例えば、図7の端点候補ID=2及び3については、ON/OFFが1であるため、ス
テップS293において始端及び終端の値が確認される。端点候補ID=1については、
ON/OFFが0であるため、後の処理において考慮されない。
【0104】
ステップS293において始端が1であり終端が0であれば、端点候補地点が出勤可能
な発着点か否かを判定(ステップS297)し、出勤可能な発着点であれば端点に追加(
ステップS298)する。
【0105】
例えば、図7の端点候補ID=3については、始端が1であり終端が0であるため、発
着点Cが出勤可能な発着点であれば端点に追加(ステップS298)される。
【0106】
ステップS293において始端が0であり終端が1であれば、端点候補地点が退勤可能
な発着点か否かを判定(ステップS296)し、退勤可能な発着点であれば端点に追加(
ステップS298)する。
【0107】
ステップS293における処理は、出勤可能でない発着点が始端のみに指定された場合
、退勤可能でない発着点が終端のみに指定された場合のいずれも、後の結合処理において
結合することができず、出力される割当計画の案が遂行不可能になることを防ぐためであ
る。
【0108】
また、S293において、始点及び終端がともに1の場合は、端点候補地点が休憩可能
な発着点か否かを判定(ステップS295)し、休憩可能な発着点であれば端点に追加(
ステップS298)する。
【0109】
以上の処理により、候補列挙制約条件及び結合制約条件が決定する。このようにして得
られた候補列挙制約条件は、人員の勤務時間の所定の上限又は下限を含む。また、候補列
挙制約条件は、複数の割当パターンの数の上限を含む。また、結合制約条件は、法令によ
って定められた労働条件を含む。
【0110】
<<ステップS3:候補列挙>>
図10~15は、候補列挙部60による候補列挙の一例を説明する図である。候補列挙
部60は、ステップS2(図3)が実行された後、図10に示すような、各運行便のつな
がりを有向グラフ化したデータ(以下、単に「有向グラフ」と称する)を作成する。
【0111】
図10に示す有向グラフは、入力データ記憶部30内に格納された、輸送計画データ3
0a(図4)に基づいて作成することができる。この有向グラフにおいて、丸印はノード
に対応し、「運行ID」が付されている。また「-(ハイフン)1」は、特定の1日に割
り当てられた航空機の割当計画であることを示している。つまり、この例では、複数の日
に跨る割当計画ではない。
【0112】
候補列挙部60は、候補列挙パラメータ30b(図5)、制約条件記憶部50内の候補
列挙制約条件を取得し、これらの情報に基づいて図10の有向グラフ上のリンクを辿り、
割当パターンの候補を列挙し、割当候補に加える。
【0113】
図11は、列挙された複数の割当パターンの候補からなる候補表の一例である。図11
の候補表に含まれる割当パターンは、候補列挙制約条件に格納された端点を始端と終端に
持つ。この例では、5個の割当パターンの候補(j=1~5)が列挙されている。
【0114】
前述のように、割当パターンは、輸送機の割当計画における輸送機の行路において隣接
する2つの発着点で定まる複数の区間(ノード)のそれぞれに人員が割り当てられるか否
かを示すパターンである。
【0115】
この例では、割当パターンの候補j(1~5)は、ノードiに人員が割り当てられる場
合は1、割り当てられない場合は0となる。
【0116】
例えば、候補j=1の場合は、ノードi=1及び2にのみ人員が割り当てられることを
示している。更にこの場合は、「所属」が発着点Bであることから、人員が発着点Bにお
いて勤務開始及び勤務終了することを示している。
【0117】
更にこの場合は、人員の出勤時刻、退勤時刻、休憩時間及び拘束時間(勤務時間)はそ
れぞれ、11:00、14:30、0時間及び3時間30分であることを示している。
【0118】
なお、図12は、候補列挙制約条件を用いず、運行条件データ30cのみに基づいて割
当パターンを列挙した場合の割当パターンの候補からなる候補表を示している。
【0119】
図12の候補表においては、列挙された割当パターンの全てが運行条件データ30cの
条件を満たしている。この場合、9個の割当パターンの候補(j=1~9)が列挙されて
おり、本実施形態(図11)と比べて、列挙された割当パターンの候補数が多い。
【0120】
例えば、図12の候補表における9個の割当パターンの候補(j=1~9)のうち、候
補j=5については、拘束時間(勤務時間)が11時間30分である。
【0121】
しかし、本実施形態においては、候補列挙制約条件が図5に示した候補列挙パラメータ
30bに基づくため、勤務時間が6時間30分を超える割当パターンは候補から除外され
る。そのため、図11の候補表における候補j=5のような割当パターンが列挙されるこ
とはない。
【0122】
従って、本実施形態の候補列挙部60の処理によれば、列挙される割当パターンの候補
の数が増大することを抑えることができる。
【0123】
<<ステップS4:最適化計算>>
ステップS4において、最適化計算部70は、集合被覆問題を用いて人員の割当計画を
作成する。一般的な集合被覆問題では、例えば図12の勤務候補表のデータのような計画
候補のどの列jの組み合わせを選択するかをバイナリ変数xで決定する。
【0124】
具体的には、割当パターンの候補jの候補を選択する場合はx=1、選択しない場合
はx=0とする。x=1となる割当パターンの候補のみを選択したものが割当計画に
使用されることとなる。なお、以下の説明において、「割当パターンの候補」を単に「候
補」と称する場合がある。
【0125】
以下に示す数式1のAijは、図12の例では、ノードiを行とし、割当パターンの候
補jを列とした0/1のバイナリ値の行列である。
【0126】
【数1】
【0127】
なお、割当パターンは、所定の算出方法で算出されたコストが紐付けられている。数式
1を満たすjの組み合わせを決定する際、評価値として図12に示したコストCを用い
て算出されるコストを最小化する(次式)。
【0128】
【数2】
【0129】
つまり、人員の割当計画は、コストCの総和が最小となるように作成される。コスト
は、割当パターンの候補jの好ましさを表す指標である。コストCは、ユーザーが
任意の算出方法に基づいて設定すればよい。コストCの一例としては、割当パターンの
候補jの総勤務時間とすることができる。
【0130】
このとき、数式2の目的関数と数式1の制約条件を用いて最適化を行うことで、全ての
ノードiに1人以上の人員が割り当てられ、かつ人員の総勤務時間を最小化するような割
当パターンの候補の組合せを選択することができる。
【0131】
また、コストの他の一例として、ユーザーの求める勤務パターンの好ましさ(例えば、
同じ航空機を使用した運行便で折り返すなど)の度合いを候補列挙の際などに計算してC
に格納し、Cを最大化(あるいは、-Cを最小化)することとしてもよい。
【0132】
また、コストの他の一例として、勤務シフトごとの人員の人件費をコストとしてもよい
【0133】
また、コストの他の一例として、人員の割当計画に含まれる割当パターンの数をコスト
としてもよい。この場合にコストを最小化したい場合は、数式2で示した目的関数に代え
て、数式3の目的関数を用いて、航空機の割当計画を被覆するような割当パターンの候補
の組合せのみを抜き出してもよい。
【0134】
【数3】
【0135】
なお、最適化計算部70が量子アニーリングマシンやCMOSアニーリングのような相
互作用モデルを動作原理とするハードウェアで構成する場合、入力される相互作用モデル
は例えば次式のように記述することができる。
【0136】
【数4】
【0137】
<<ステップS5:結合処理>>
図13図14及び図15は、ステップS5(図3)の結合処理及び出力データの作成
の詳細を説明するフローチャートである。本実施形態では、ステップS5において結合処
理部80は、貪欲法を用いて結合処理を行う。
【0138】
なお、図13に示すフローチャートは図3で上述したステップS5のサブルーチンに対
応し、図14及び図15に示すフローチャートは図13に示すフローチャート内のサブル
ーチンにそれぞれ対応する。
【0139】
ステップS4(図3)の最適化計算が実行された後、図13に示すステップS51にお
いて、情報処理装置10のプロセッサは最適化計算部70が作成して割当計画に含まれる
割当パターンの集合(図11)を取得し、集合に含まれる割当パターンにインデックスを
振る(ステップS51)。
【0140】
本実施形態で用いる貪欲法においては、2つの割当パターン同士が結合できるか否かを
判定するために、2重のループを用いる。
【0141】
結合処理部80は、1つ目のループ中のステップS52で、割当パターンの候補iが他
の候補と既に結合されたものであるか否かを判定する。なお、他の割当パターンの候補と
既に結合された割当パターンを、「初期化済み」の割当パターンと称する。
【0142】
結合処理部80は、割当パターンの候補iが初期化済みでなければ、割当パターンの候
補iに結合可能な割当パターンを探索するために2つ目のループの処理に進む。
【0143】
ステップS53では、割当パターンiが自身と結合することを避けるためにインデック
スを確認する。2つ目のループにおいて、インデックスがiと異なれば、割当パターンの
候補jが初期化済みか否かを判定(ステップS54)し、初期化済みでなければステップ
S55で割当パターンの候補iと候補jの結合判定処理を行う。
【0144】
図14を用いて、ステップS55の詳細について説明する。先ず、結合処理部80は、
割当パターンの候補i及びjを取得する(ステップS551)。
【0145】
次いで、結合処理部80は、割当パターンの候補iの終端と、候補jの始端とが一致す
るか否かを判定する(ステップS552)。ここで、否と判定されると、ステップS56
に進む。
【0146】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、候補1の終端が発着
点Bであり、候補5の始端が発着点Bで一致すると判定される。
【0147】
ステップS552において候補iの終端と、候補jの始端とが一致すると判定されると
、結合処理部80は、候補iの勤務終了時刻は候補jの勤務開始時刻以前か否かを判定す
る(ステップ553)。ここで、否と判定されると、ステップS56に進む。
【0148】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、候補1の勤務終了時
刻(退勤時刻)は14時30分であり、候補5の勤務開始時刻(出勤時刻)が15時30
分である。候補1の勤務終了時刻は候補5の勤務開始時刻以前である。
【0149】
ステップS553において候補iの勤務終了時刻は候補jの勤務開始時刻以前と判定さ
れると、結合処理部80は、候補iの勤務時間と候補jの勤務時間との和を計算する。更
に、結合処理部80は、候補iの休憩時間と候補jの休憩時間との和を計算する(ステッ
プS554)。
【0150】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、拘束時間(勤務時間
)の和は10時間30分、休憩時間の和は1時間である。
【0151】
次いで、ステップS555において、結合処理部80は、ステップS554で計算され
た勤務時間の和は勤務の上限時間未満か否かを判定する。ここで、否と判定されると、ス
テップS56に進む。
【0152】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、前述のように勤務時
間の和は10時間30分である。この場合、図6の運航条件ID=13によると上限拘束
時間(上限時間)である15時間未満である。
【0153】
ステップS555において勤務時間の和は勤務の上限時間未満であると判定されると、
結合処理部80は、結合制約条件に基づいて、当該勤務時間の和から取得すべき休憩時間
を算出する(ステップS556)。ここで、否と判定されると、ステップS56に進む。
【0154】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、前述のように勤務時
間の和は10時間30分である。この場合、図6の運航条件ID=2によると取得すべき
休憩時間は60分以上である。
【0155】
次いで、ステップS557において、結合処理部80は、ステップS554で計算され
た休憩時間の和は取得すべき休憩時間以上であるか否かを判定する。ここで、否と判定さ
れると、ステップS56に進む。
【0156】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、前述のように休憩時
間の和は1時間である。この場合、図6の運航条件ID=2から、取得すべき休憩時間以
上である。
【0157】
ステップS557において休憩時間の和は取得すべき休憩時間以上と判定されると、結
合処理部80は、候補i及び候補jを結合可能であると判定し、ステップS56へ進む。
【0158】
図13に戻り、結合処理部80は、ステップS56で結合判定処理を実行し、結合可能
であると判定すればステップS57の結合処理に進み、結合不可能と判定すれば、次の割
当パターンj+1の判定に進む。
【0159】
結合処理部80は、すべての割当パターンの対について、結合判定処理と結合処理を終
了すると、ステップS57で結合した新たな割当パターンから人員の割当計画を出力デー
タとして作成する。
【0160】
図15を用いて、ステップS57の詳細について説明する。先ず、結合処理部80は、
割当パターンの候補i及びjを取得する(ステップS571)。
【0161】
次いで、結合処理部80は、割当パターンの候補iの勤務時間と候補jの勤務時間との
和を計算する。更に、結合処理部80は、候補iの休憩時間と候補jの休憩時間との和を
計算する(ステップS572)。
【0162】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、拘束時間(勤務時間
)の和は10時間30分、休憩時間の和は1時間である。
【0163】
次いで、結合処理部80は、結合制約条件に基づいて、割当パターンの候補iの終端は
休憩可能な発着点であるか否かを判定する(ステップS573)。ここで、否と判定され
ると、ステップS575に進む。
【0164】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1であれば、終端は発着点Bであり、図6
運航条件ID=5より、発着点Bは休憩可能な発着点である。
【0165】
ステップS573において休憩可能な発着点と判定されると、ステップS572で計算
された休憩時間の和に対し、候補iの勤務終了時刻から候補jの勤務開始時刻までの時間
を加算し、新たな休憩時間とする(ステップS574)。
【0166】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対であれば、前述のように休憩時
間の和は1時間であり、候補1の勤務終了時刻から候補5の勤務開始時刻までの時間(1
時間)を加算すると、新たな休憩時間は2時間である。
【0167】
次いで、結合処理部80は、候補iを、候補jと結合された新たな割当パターンの候補
iとする(ステップS575)。
【0168】
新たな割当パターンの候補は、複数の区間(ノード)のそれぞれにおいて、結合される
複数の割当パターンの少なくとも一において人員が割り当てられている場合に、人員が割
り当てられるパターンである。
【0169】
つまり、図11に示す割当パターンの候補(j=1~5)において、2つの割当パター
ンの候補を結合することとは、それぞれのノードiにおいて、いずれか少なくとも一方の
割当パターンが「1」であれば、新たな割当パターンの候補は「1」となる。
【0170】
また、それぞれのノードiにおいて、いずれの割当パターンも「0」であれば、新たな
割当パターンの候補は「0」となる。
【0171】
例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対が結合される場合、新たな割当
パターンは、ノード1、2、8及び9が「1」であり、他のノードが0となる。
【0172】
なお、ステップS3(図3)の候補列挙で列挙された候補iと、ステップS575にお
いて候補iに対して候補jを結合した候補とを区別するため、後者を「新たな候補i」等
と称する。
【0173】
このような結合処理により、新たな候補iの勤務時間は、ステップS572で計算され
た勤務時間となる。また、新たな候補iの休憩時間は、ステップS572又はステップS
574で計算された休憩時間となる。
【0174】
更に、新たな候補iの終端は候補jの終端となり、勤務終了時刻は候補jの勤務終了時
刻となる。
【0175】
次いで、結合処理部80は、割当パターンの候補jを、初期化済の候補とする(ステッ
プS576)。例えば、図11の割当パターンの候補j=1及び5の対の場合、候補5が
初期化される。
【0176】
図13に戻り、結合処理部80は、出力データを出力データ記憶部90(図1)へ出力
する(ステップS58)。
【0177】
図16及び図17は、結合処理部80によって作成された人員の割当計画900を説明
する図である。図16は割当計画900の概要を示すデータであり、図17は割当計画に
含まれる複数の割当パターン900a,900b,900c・・のそれぞれの詳細な情報
を含むデータである。
【0178】
これらの図に示す最終的な人員の割当計画は、複数の割当パターンを含む。これらの割
当パターンは、ステップS4の最適化計算によって選択された割当パターンのから、ステ
ップS5の結合処理によって初期化された割当パターンが排除され、更にステップS5の
結合処理によって生成された新たな割当パターンで構成されている。
【0179】
例えば、図16及び図17に示す割当計画に含まれる割当パターン900aは、総拘束
時間(勤務時間)が12時間である。
【0180】
上述のステップS3の候補列挙において用いられる候補列挙制約条件は、図5に示した
候補列挙パラメータ30bに基づいている。そのため、ステップS3の候補列挙において
、勤務時間が6時間を超える割当パターンは除外される。
【0181】
そのため、図16及び図17に示す割当計画900に含まれる割当パターン900aは
、ステップS3の候補列挙において列挙されることはない。
【0182】
しかし、ステップS5の結合処理により、候補列挙制約条件を満たさない割当パターン
900aが生成されている。割当パターン900aは、結合制約条件を満たすものである
ため、法規制や社内規定を遵守するものである。
【0183】
以上の処理により、情報処理装置10は、人員の割当計画を作成し、出力する。このよ
うな処理によれば、計算規模の増大を抑制した上で最終的に得られる割当計画の質の劣化
を抑制することが可能となる。
【0184】
==変形例==
本実施形態の情報処理装置10は、人員の泊まり勤務が存在する場合にも拡張すること
ができる。図18に泊まり勤務を考慮した有向グラフの一例を示す。計画対象のシフト種
別に1泊の泊まり勤務が存在する場合、ノードの数は泊まり勤務が存在しない場合を比較
して2倍となる。
【0185】
この場合、仮に候補列挙制約条件を用いずに割当パターンを全て列挙すると、1日目の
みに対しては図12に示した候補表と同じだけの割当パターンの候補(9通り)が存在す
る。そして、2日目のみに対しても図12に示した候補表と同じだけの割当パターンの候
補(9通り)が存在する。
【0186】
更に、泊まり勤務の割当パターンの候補として、6通りの割当パターンが存在する({
103-1,104-1}+{101-2,102-2}、{103-1,105-1}
+{101-2,102-2}、{108-1,109―1}+{101-2,102-
2}、{103-1,104―1}+{106-2,107-2}、{103-1,10
5―1}+{106-2,107-2}、{108-1,109―1}+{106-2,
107-2})。
【0187】
従って、候補列挙制約条件を用いずに割当パターンを全て列挙すると、図19に示す全
部で24の割当パターンの候補が列挙されることになる。
【0188】
一方、上記実施形態のように、候補列挙制約条件を用いて割当パターンを列挙すると、
2日分の割当候補を列挙した場合、12通りとなる。つまり、泊まり勤務が存在する場合
であっても、一般的な手法に比べて割当パターンの候補の数を絞ることができる。
【0189】
<結合方法の他の例>
ステップS5(図3)の結合処理において、結合処理部80が実行する結合処理の他の
例について説明する。
【0190】
結合処理部80は、ステップS4において最適化計算部70で選択された割当パターン
から結合可能な割当パターン同士をすべて結合して新たに候補表を作成し、新たに作成さ
れた候補表を用いてステップS4(最適化計算)と同様の最適化計算を更に行ってもよい
【0191】
例えば、最適化計算部70は、図11に示した割当パターンの候補から数式1と数式3
を用いて全ての運行便を被覆する最小の組合せを求めた後、結合可能な割当パターンの候
補同士をすべて結合すると、図20に示す新たに候補表が作成される。
【0192】
図20中の割当パターンの候補1、2、5、6、7及び8は一日勤務であり、候補3、
4及び9は遅番勤務である。そして、それぞれの割当パターンには、割当パターンごとの
人件費の重みがコストとして設定されているとする。
【0193】
遅番勤務は、一日勤務と比較して一人当たりが一日に乗務できる運行便の数が少ないた
め、コストが高いと考える。従って、この例では、候補jが一日勤務のときのコストを1
、遅番勤務のときのコストを1.5と設定する。
【0194】
そして、図20に列挙された割当パターンごとのコストCを数式2に代入し、数式1
の制約条件の下、再度最適化計算を行ってもよい。
【0195】
また、コストの設定について、例えば図18に長鎖線で示した宿泊をまたぐリンクや、
休憩をまたぐリンクを通るか否かを決定する最適化計算を行ってもよい。例として1日勤
務と2日勤務があり、1日目ノードと2日目ノードをそれぞれ作成する場合を考える。
【0196】
この場合の最適化計算における制約条件の具体例としては、下記の2式である。
【0197】
【数5】
【0198】
【数6】
【0199】
ここで、lpqは、1日目ノードpと2日目ノードqを繋ぐリンクを通る場合は1、通
らない場合は0となる変数である。数式5はノードpから出るリンクが数式1の制約条件
の下で決定されるノードpへの割当数以下とする制約であり、数式6はノードqに入るリ
ンクが数式1の制約条件の下で決定されるノードqへの割当数以下とする制約の例である
【0200】
ここで、一日目ノードpが必ず宿泊シフトに含まれていなければならない場合(例えば
人員が帰宅する手段がない場合)は、数式5は等式付き不等号に代えて等号としなければ
ならない。
【0201】
また、ノードpが1日目で勤務を終了してよく、2日目につなぐ必要がない場合は等式
付き不等号となる。一方、ノードqは2日目ノードであり、上記説明の通り、1日勤務に
含まれず、常に宿泊を伴った勤務に含まれるノードであることから、等式制約となる。
【0202】
数式5や数式6の制約と、後述する目的関数を用いて最適化計算を行うことで、割当計
画の案を作成することができる。
【0203】
目的関数の一例として、泊まり勤務の数を最小化したい場合は次式の目的関数と数式5
及び数式6の制約条件を用いて割当パターン同士を結合し、人員の割当計画の案を作成す
ることができる。
【0204】
【数7】
【0205】
目的関数の他の例として、wtをノードpの勤務時間、wtをノードqの勤務時間
とし、数式8に示す目的関数と数式5及び数式6の制約条件を用いることで、泊まり勤務
の勤務時間が所定の時間(T)程度となるように候補同士を結合するよう最適化してもよ
い。この場合、公平性を考慮した割当計画を作成することができる。
【0206】
【数8】
【0207】
以上、泊まり勤務が存在する場合の2日に亘る勤務について説明したが、上記の説明は
3日以上の複数日の勤務のケースとなっても拡張可能である。
【0208】
==まとめ==
以上、上記実施形態の情報処理装置10は、演算装置及び記憶装置を有する情報処理装
置を用いて構成され、輸送機の第1割当計画を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する
情報処理装置10であって、所定の第1制約条件に基づいて、第1割当計画における輸送
機の行路において隣接する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに人員が割り当て
られるか否かを示す割当パターンを複数生成し、複数の割当パターンの一部を組み合わせ
、第1割当計画を遂行可能な第2割当計画の基となる第3割当計画を作成し、所定の第2
制約条件に基づいて、第3割当計画に含まれる複数の割当パターンを結合して新たな割当
パターンとし、新たな割当パターンを含む第3割当計画を、第2割当計画として出力する
処理を実行し、新たな割当パターンとする処理において、新たな割当パターンは、複数の
区間のそれぞれにおいて、結合される複数の割当パターンの少なくとも一において人員が
割り当てられている場合に、人員が割り当てられる。
【0209】
このような構成によれば、第1制約条件によって割当パターンの候補の数の増大を抑え
ることができる。そして、結合処理によって新たな割当パターンが生成されることにより
、好ましい割当パターンが排除されることが抑制される。したがって、このような構成に
よれば、計算規模の増大を抑制した上で最終的に得られる割当計画の質の劣化を抑制する
ことが可能となる。
【0210】
情報処理装置10において、第1制約条件は、輸送機の発着点のうち、人員が勤務を開
始又は終了する発着点の条件を含む。このような構成によれば、人員の勤務形態に応じた
人員の割当計画を作成することができる。
【0211】
情報処理装置10において、第1制約条件は、人員の勤務時間の所定の上限又は下限を
含む。このような構成によれば、割当パターンの候補の増大を抑制することができる。
【0212】
情報処理装置10において、第1制約条件は、複数の割当パターンの数の上限を含む。
このような構成によれば、割当パターンの候補の数を所望の数に設定することができる。
【0213】
情報処理装置10において、割当パターンは、所定の算出方法で算出されたコストが紐
付けられ、第2割当計画は、コストの総和が最小となるように作成される。このような構
成によれば、さらに好ましい人員の割当計画を作成することができる。
【0214】
情報処理装置10において、第2制約条件は、法令によって定められた労働条件を含む
。このような構成によれば、法令を遵守した人員の割当計画を作成することができる。
【0215】
上記実施形態の情報処理方法は、演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて
構成され、輸送機の第1割当計画を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報処理装
置が、所定の第1制約条件に基づいて、第1割当計画における輸送機の行路において隣接
する2つの発着点で定まる複数の区間のそれぞれに人員が割り当てられるか否かを示す割
当パターンを複数生成し、複数の割当パターンの一部を組み合わせ、第1割当計画を遂行
可能な第2割当計画の基となる第3割当計画を作成し、所定の第2制約条件に基づいて、
第3割当計画に含まれる複数の割当パターンを結合して新たな割当パターンとし、新たな
割当パターンを含む第3割当計画を、第2割当計画として出力する処理を実行し、新たな
割当パターンとする処理において、新たな割当パターンは、複数の区間のそれぞれにおい
て、結合される複数の割当パターンの少なくとも一において人員が割り当てられている場
合に、人員が割り当てられる。
【0216】
このような方法によれば、第1制約条件によって割当パターンの候補の数の増大を抑え
ることができる。そして、結合処理によって新たな割当パターンが生成されることにより
、好ましい割当パターンが排除されることが抑制される。したがって、このような構成に
よれば、計算規模の増大を抑制した上で最終的に得られる割当計画の質の劣化を抑制する
ことが可能となる。
【0217】
演算装置及び記憶装置を有する情報処理装置を用いて構成され、輸送機の第1割当計画
を遂行可能な人員の第2割当計画を出力する情報処理装置に、所定の第1制約条件に基づ
いて、第1割当計画における輸送機の行路において隣接する2つの発着点で定まる複数の
区間のそれぞれに人員が割り当てられるか否かを示す割当パターンを複数生成させ、複数
の割当パターンの一部を組み合わせ、第1割当計画を遂行可能な第2割当計画の基となる
第3割当計画を作成させ、所定の第2制約条件に基づいて、第3割当計画に含まれる複数
の割当パターンを結合して新たな割当パターンとさせ、新たな割当パターンを含む第3割
当計画を、第2割当計画として出力する処理を実行させ、新たな割当パターンとさせる処
理において、新たな割当パターンは、複数の区間のそれぞれにおいて、結合される複数の
割当パターンの少なくとも一において人員が割り当てられている場合に、人員が割り当て
られる、情報処理プログラム。
【0218】
このような方法によれば、第1制約条件によって割当パターンの候補の数の増大を抑え
ることができる。そして、結合処理によって新たな割当パターンが生成されることにより
、好ましい割当パターンが排除されることが抑制される。したがって、このような構成に
よれば、計算規模の増大を抑制した上で最終的に得られる割当計画の質の劣化を抑制する
ことが可能となる。
【符号の説明】
【0219】
10 情報処理装置
20 入出力支援部
30 入力データ記憶部
30a 輸送計画データ
30b 候補列挙パラメータ
30c 運行条件データ
30d 端点決定パラメータ
40 端点決定及び運行条件分類部
50 制約条件記憶部
50a 候補列挙制約条件記憶部
50b 結合制約条件記憶部
60 候補列挙部
70 最適化計算部
80 結合処理部
90 出力データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20