(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172551
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】運転診断装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090340
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫛引 有輝也
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC27
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】本開示は、運転者が後方確認をしているか否かをリアルタイムで診断することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置は、予め定めた取得時間分の、車両の動作に係る車両情報、車両の運転者の首振り角度、及び運転者の視線の位置を取得する取得部と、取得部の取得結果から、車両が後方に移動する前の確認期間を抽出する抽出部と、首振り角度が所定角度以上となる首振り動作、及び視線が車両の後方に向く後方動作のうち少なくとも一方の確認動作を運転者が確認期間に行っているか否かの診断を、取得時間より短い予め定めた間隔時間毎に行う診断部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた取得時間分の、車両の動作に係る車両情報、前記車両の運転者の首振り角度、及び前記運転者の視線の位置を取得する取得部と、
前記取得部の取得結果から、前記車両が後方に移動する前の確認期間を抽出する抽出部と、
前記首振り角度が所定角度以上となる首振り動作、及び前記視線が前記車両の後方に向く後方動作のうち少なくとも一方の確認動作を前記運転者が前記確認期間に行っているか否かの診断を、前記取得時間より短い予め定めた間隔時間毎に行う診断部と、
を備えた運転診断装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記車両が後方に移動可能なリバースレンジにシフトレンジが切り替わる所定時間前から、前記車両が後方に移動を始めるまでを前記確認期間として抽出する請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記確認期間と当該確認期間の1つ前に前記抽出部が抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔以下である場合は、前記確認期間と前記前の確認期間とをまとめたまとめ確認期間に前記運転者が前記確認動作を行っているか否かの診断を行う請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項4】
前記診断部は、前記確認期間における前記車両の車速が所定速度以下の場合は、前記診断を行わない請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項5】
前記取得部は、現時点から前記取得時間前までにおける前記車両情報、前記首振り角度、及び前記視線の位置を全て取得する請求項1に記載の運転診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報記録装置が開示されている。この情報記録装置は、少なくとも自車両の周囲を撮像した画像である車両周辺画像と、自車両の乗員を撮像した画像とを含む画像情報を取得する車両関連情報取得部を備える。また、この情報記録装置は、画像情報に基づいて自車両の乗員の視線位置を検出し、検出した視線位置に基づく視線情報と、視線位置に対応する物体情報とを取得する視線情報取得部と、同じ時刻における視線情報と物体情報とを関連付けて記録する記録部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、運転者が後方確認をしているか否かをリアルタイムで診断することができなかった。
【0005】
そこで、本開示は、運転者が後方確認をしているか否かをリアルタイムで診断することができる運転診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る運転診断装置は、予め定めた取得時間分の、車両の動作に係る車両情報、前記車両の運転者の首振り角度、及び前記運転者の視線の位置を取得する取得部と、前記取得部の取得結果から、前記車両が後方に移動する前の確認期間を抽出する抽出部と、前記首振り角度が所定角度以上となる首振り動作、及び前記視線が前記車両の後方に向く後方動作のうち少なくとも一方の確認動作を前記運転者が前記確認期間に行っているか否かの診断を、前記取得時間より短い予め定めた間隔時間毎に行う診断部と、を備える。
【0007】
請求項1に係る運転診断装置では、取得部は、予め定めた取得時間分の、車両の動作に係る車両情報、車両の運転者の首振り角度、及び運転者の視線の位置を取得し、抽出部は、取得部の取得結果から、車両が後方に移動する前の確認期間を抽出し、診断部は、首振り角度が所定角度以上となる首振り動作、及び視線が車両の後方に向く後方動作のうち少なくとも一方の確認動作を運転者が確認期間に行っているか否かの診断を、取得時間より短い予め定めた間隔時間毎に行う。これにより、当該運転診断装置では、運転者が後方確認をしているか否かをリアルタイムで診断することができる。
【0008】
請求項2に係る運転診断装置は、請求項1において、前記抽出部は、前記車両が後方に移動可能なリバースレンジにシフトレンジが切り替わる所定時間前から、前記車両が後方に移動を始めるまでを前記確認期間として抽出する。
【0009】
請求項2に係る運転診断装置では、抽出部は、車両が後方に移動可能なリバースレンジにシフトレンジが切り替わる所定時間前から、車両が後方に移動を始めるまでを確認期間として抽出する。これにより、当該運転診断装置では、運転者がシフトレンジをリバースレンジに切り替える前に後方確認をしているか否かをリアルタイムで診断することができる。
【0010】
請求項3に係る運転診断装置は、請求項1又は2において、前記診断部は、前記確認期間と当該確認期間の1つ前に前記抽出部が抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔以下である場合は、前記確認期間と前記前の確認期間とをまとめたまとめ確認期間に前記運転者が前記確認動作を行っているか否かの診断を行う。
【0011】
請求項3に係る運転診断装置では、診断部は、確認期間と当該確認期間の1つ前に抽出部が抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔以下である場合は、確認期間と前の確認期間とをまとめたまとめ確認期間に運転者が確認動作を行っているか否かの診断を行う。これにより、当該運転診断装置では、確認期間と前の確認期間とを別々に診断する場合に比較して、効率的に診断を行うことができる。
【0012】
請求項4に係る運転診断装置は、請求項1から3の何れか1項において、前記診断部は、前記確認期間における前記車両の車速が所定速度以下の場合は、前記診断を行わない。
【0013】
請求項4に係る運転診断装置では、診断部は、確認期間における車速が所定速度以下の場合は、診断を行わない。これにより、当該運転診断装置では、車速が所定速度以下の場合にも診断する場合に比較して、効率的に診断を行うことができる。
【0014】
請求項5に係る運転診断装置は、請求項1から4の何れか1項において、前記取得部は、現時点から前記取得時間前までにおける前記車両情報、前記首振り角度、及び前記視線の位置を全て取得する。
【0015】
請求項5に係る運転診断装置では、取得部は、現時点から取得時間前までにおける車両情報、首振り角度、及び視線の位置を全て取得する。これにより、当該運転診断装置では、現時点から取得時間前までにおける車両情報、首振り角度、及び視線の位置のうち一部のみを取得する場合に比較して、高精度に診断できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本開示に係る運転診断装置では、運転者が後方確認をしているか否かをリアルタイムで診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】車両のハードウェア構成を示すブロック図の一例である
【
図2】車両の機能構成の例を示すブロック図の一例である。
【
図3】従来の運転診断と本実施形態の運転診断を説明するための図である。
【
図4】運転診断処理の流れを示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る車両12について説明する。車両12は、エンジン車両、ハイブリッド車両、又は電気自動車の何れであってもよいが、本実施形態では、一例として、車両12はエンジン車両とする。
【0019】
図1は、車両12のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両12は、車載器20と、ECU(Electronic Control Unit)22と、センサ群23と、モニタ24と、スピーカ25と、シフトレバー26と、カメラ27と、を含んで構成されている。車載器20は「運転診断装置」の一例である。
【0020】
車載器20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、ストレージ20D、無線通信I/F(InterFace)20E、車内通信I/F20F、及び入出力I/F20Gを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、ストレージ20D、無線通信I/F20E、車内通信I/F20F、及び入出力I/F20Gは、内部バス20Iを介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20B又はストレージ20Dからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU20Aは、ROM20B又はストレージ20Dに記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0022】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0023】
ストレージ20Dは、各種プログラム及び各種データを格納する。ストレージ20Dには、後述する運転診断処理をCPU20Aに実行させるための運転診断プログラムが格納されている。
【0024】
無線通信I/F20Eは、外部と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。
【0025】
車内通信I/F20Fは、ECU22と接続するためのインターフェースである。当該インターフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F20Fは、外部バス20Hに対して接続されている。なお、図示を省略しているが、ECU22は、車両12の機能毎に複数設けられている。
【0026】
ここで、ECU22にはセンサ群23が接続されている。例えば、センサ群23は、3D-LiDAR、ミリ波センサ、赤外線センサ、ウインカーセンサ、アクセルポジションセンサ、車速センサ、舵角センサ、角速度センサ、GPS(Global Positioning System)センサ、ジャイロセンサ、及び加速度センサ等の車両12の状態及び周辺の状況を検出するためのセンサを備えている。センサ群23は、各センサの検出結果をECU22へ出力する。
【0027】
入出力I/F20Gは、車両12に搭載される車載機器と通信するためのインターフェースである。
【0028】
車載機器は、車両12に搭載される各種機器である。当該車両12は、車載機器の例として、モニタ24、スピーカ25、シフトレバー26、及びカメラ27を備える。
【0029】
モニタ24は、インストルメントパネル又はメータパネル等に設けられ、車両12の機能に係る作動の提案、及び当該機能の説明に係る画像等を表示するための液晶モニタである。
【0030】
スピーカ25は、インストルメントパネル、センタコンソール、フロントピラー、又はダッシュボード等に設けられ、車両12の機能に係る作動の提案、及び当該機能の説明に係る音声等を出力するための装置である。
【0031】
シフトレバー26は、車両12の運転者(以下、単に「運転者」という。)が操作可能な位置に設けられている。本実施形態では一例として、Pレンジ(パーキングレンジ)、Rレンジ(リバースレンジ)、Nレンジ(ニュートラルレンジ)及びDレンジ(ドライブレンジ)に切り替えることができるように構成されている。
【0032】
カメラ27は、運転者の顔を撮像する撮像装置である。
【0033】
次に、車両12の機能構成について説明する。
図2は、車両12の機能構成の例を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、車載器20のCPU20Aは、機能構成として、取得部200、抽出部210、診断部220、及び出力部230を有する。各機能構成は、CPU20Aがストレージ20Dに記憶された運転診断プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0035】
取得部200は、予め定めた取得時間分の、車両12の動作に係る車両情報、運転者の首振り角度、及び当該運転者の視線の位置を取得する機能を有している。本実施形態では、取得部200は、現時点から取得時間前(例えば、10秒前)までにおける、車両情報、運転者の首振り角度、及び当該運転者の視線の位置を全て取得する。しかし、この例に限られない。例えば、取得部200は、現時点から取得時間前までにおける、車両情報、運転者の首振り角度、及び当該運転者の視線の位置を一部のみ取得してもよい。また、現時点とは、取得時間分の、車両情報、運転者の首振り角度、及び当該運転者の視線の位置を取得部200が取得する時を示す。
【0036】
また、本実施形態では、車両情報として、車両12の車速(以下、単に「車速」という)及びリバース信号を含む情報を適用する。そして、リバース信号とは、車両12が後方に移動可能なリバースレンジにシフトレンジが切り替わっているか否かを示す情報である。
【0037】
具体的に、取得部200は、現時点から取得時間前までにおける、センサ群23が備える車速センサによって検出された車速、及びシフトレバー26から入力されたリバース信号を全て取得する。なお、取得部200は、車速及びリバース信号に加えて、車両12の移動距離等を車両情報として取得してもよい。
【0038】
また、取得部200は、現時点から取得時間前までにおける、運転者の首振り角度(以下、単に「首振り角度」という)及び運転者の視線の位置(以下、単に「視線の位置」という)を全て取得する。なお、首振り角度とは、運転者の顔が車両12の前方から、後方に向く角度である。例えば、車両12の直進前方方向に伸びる中心軸の方向と、運転者の顔の向きとが一致する場合は首振り角度を0度とし、車両12の直進後方方向に伸びる中心軸の方向と、運転者の顔の向きとが一致する場合は首振り角度を180度とする。したがって、本実施形態に係る首振り角度は0度から180度までである。しかし、この例に限られない。首振り角度の範囲は如何なる範囲であってもよい。
【0039】
具体的に、取得部200は、カメラ27が取得した画像データから運転者の顔のエッジを検出することにより、運転者の顔画像を取得する。そして、取得部200は、運転者の顔画像から首振り角度及び視線の位置を取得する。
【0040】
抽出部210は、取得部200の取得結果から、車両12が後方に移動する前の確認期間を抽出する機能を有している。本実施形態では、抽出部210は、シフトレンジがリバースレンジに切り替わる所定時間前(例えば、3秒前)から、車両12が後方に移動を始めるまでを確認期間として抽出する。具体的に、抽出部210は、シフトレバー26によってリバース信号が入力される所定時間前から、車速が時速0kmより大きくなるまでを確認期間として抽出する。なお、確認期間は、車両12が後方に移動する前(具体的には、リバース信号が入力される前)であれば如何なる期間でもよい。
【0041】
診断部220は、首振り角度が所定角度以上となる首振り動作、及び視線が車両12の後方に向く後方動作のうち少なくとも一方の確認動作を運転者が確認期間に行っているか否かの診断(以下、単に「診断」ともいう)を、予め定めた間隔時間(例えば、1秒)毎に行う機能を有している。なお、間隔時間は取得時間より短い時間である。
【0042】
本実施形態では、所定角度として90度以上を適用している。具体的に、本実施形態では、首振り動作として、車両12の直進前方方向に伸びる中心軸とのずれが90度以上になるまで、運転者が顔を向く動作を適用している。しかし、この例に限られない。所定角度は90度未満であってもよい。また、首振り動作として、予め定めた速度未満で首振り角度が所定角度以上になる動作等を適用してもよい。
【0043】
また、本実施形態では、後方動作として、視線の位置が、車両12の後方に移動する動作、車両12の前方中央の上部に設置されたルームミラーに移動する動作、又は運転者が座る席に最も近いドアの外側に設置されたサイドミラーに移動する動作を適用する。しかし、この例に限られない。例えば、車両12の後方の映像がモニタ24に表示される場合は、後方動作として、視線の位置がモニタ24に移動する動作等を適用してもよい。
【0044】
本実施形態では、診断部220は、確認期間と当該確認期間の1つ前に抽出部210が抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔(例えば、0.5秒)以下である場合は、確認期間と前の確認期間とをまとめたまとめ確認期間に運転者が確認動作を行っているか否かの診断を行う。しかし、この例に限られない。診断部220は、確認期間と前の確認期間との間隔が抽出間隔以下であっても、これらを別々に診断してもよい。また、本実施形態では、抽出間隔として、間隔時間より短い時間を適用している。しかし、この例に限られない。抽出間隔として、間隔時間以上の時間を適用してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、診断部220は、確認期間における車速が所定速度(例えば、時速1.5km)以下の場合は診断を行わない。しかし、この例に限られない。診断部220は、確認期間における車速の大きさに関わらず、診断を行ってもよい。
【0046】
出力部230は、診断部220による診断結果を、モニタ24及びスピーカ25のうち少なくとも一方に出力する。本実施形態では、出力部230は、診断部220が診断を行う間隔である間隔時間毎に診断結果を出力する。しかし、この例に限られない。出力部230は、診断部220が診断を行う間隔とは異なる間隔で診断結果を出力してもよい。また、出力部230は、診断部220による診断結果を、モニタ24及びスピーカ25以外の装置(例えば、運転者が保有する携帯端末等)に出力してもよい。また、出力部230は、診断部220が確認動作を運転者が確認期間に行っていないと診断した場合は、取得部200が取得した首振り角度及び視線の位置を更に出力してもよい。
【0047】
ところで、従来の運転診断では、
図3の上側に示すように、10[min]等の予め定めた一定期間毎に運転診断を行ってレポートを作成していた。そのため、実際に安全確認不足を行ったときに運転者にフィードバックできないため、運転者にフィードバックしても覚えていなかったり、何が悪かったのか分からなかったりする場合がある。
【0048】
そこで、本実施形態に係る車載器20では、リアルタイムに運転診断を行って運転者にフィードバックを行うようにしている。
【0049】
リアルタイムに診断を行うために、
図3の下側に示すように、1[sec]等の間隔時間ずつずらして、過去10[sec]等の取得時間分のデータを重複させながら運転診断を行う。すなわち、取得部200は、取得時間分の、車両情報、首振り角度、及び視線の位置を取得する。そして、抽出部210は、取得部200の取得結果から、車両12が後方に移動する前の確認期間を抽出する。そして、診断部220は、確認動作を運転者が確認期間に行っているか否かの診断を、取得時間より短い間隔時間毎に行う。なお、重複して診断を行うことで、同じ診断を行ってしまうことがあるので、重複する診断結果は先の診断結果を優先して出力する。
【0050】
図4は、運転診断処理の流れを示すフローチャートである。CPU20Aがストレージ20Dから運転診断プログラムを読み出して、RAM20Cに展開して実行することにより、運転診断処理が行われる。
【0051】
図4に示すステップS100において、CPU20Aは、予め定めた取得時間分の、車両情報、首振り角度、及び視線の位置を取得する。具体的に、CPU20Aは、現時点から取得時間前までにおける、車両情報、首振り角度、及び視線の位置を全て取得する。
【0052】
ステップS102において、CPU20Aは、ステップS100における取得結果から、確認期間を抽出する。具体的に、CPU20Aは、シフトレンジがリバースレンジに切り替わる所定時間前から、車両12が後方に移動を始めるまでを確認期間として抽出する。
【0053】
ステップS104において、CPU20Aは、確認期間における車速が所定速度以下であるか否かを判定する。CPU20Aは、確認期間における車速が所定速度以下である場合(ステップS104:YES)、ステップS116に移行する。一方、CPU20Aは、確認期間における車速が所定速度より大きい場合(ステップS104:NO)、ステップS106に移行する。
【0054】
ステップS106において、CPU20Aは、ステップS102において抽出した確認期間より前に確認期間を抽出したか否かを判定する。CPU20Aは、ステップS102において抽出した確認期間より前に確認期間を抽出した場合(ステップS106:YES)、ステップS108に移行する。一方、CPU20Aは、ステップS102において抽出した確認期間より前に確認期間を抽出していない場合(ステップS106:NO)、ステップS112に移行する。
【0055】
ステップS108において、CPU20Aは、確認期間と当該確認期間の1つ前に抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔以下であるか否かを判定する。CPU20Aは、確認期間と当該確認期間の1つ前に抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔以下である場合(ステップS108:YES)、ステップS110に移行する。一方、CPU20Aは、確認期間と当該確認期間の1つ前に抽出した前の確認期間との間隔が予め定めた抽出間隔より大きい場合(ステップS108:NO)、ステップS112に移行する。
【0056】
ステップS110において、CPU20Aは、確認期間と前の確認期間とをまとめたまとめ確認期間に運転者が確認動作を行っているか否かの診断を行う。
【0057】
ステップS112において、CPU20Aは、確認期間に運転者が確認動作を行っているか否かの診断を行う。
【0058】
ステップS114において、CPU20Aは、ステップS110又はステップS112における診断結果をモニタ24及びスピーカ25のうち少なくとも一方に出力する。
【0059】
ステップS116において、CPU20Aは、前回ステップS116の処理を実行してから間隔時間が経過したか否かを判定する。CPU20Aは、前回ステップS116の処理を実行してから間隔時間が経過した場合(ステップS116:YES)、ステップS100に戻る。一方、CPU20Aは、前回ステップS116の処理を実行してから間隔時間が経過していない場合(ステップS116:NO)、ステップS118に移行する。
【0060】
ステップS118において、CPU20Aは、車両12の運転が終了したか否かを判定する。例えば、CPU20Aは、車両12のイグニッションスイッチがオフされたか否か等を判定する。CPU20Aは、車両12の運転が終了したと判定した場合、運転診断処理を終了する。一方、CPU20Aは、車両12の運転が終了していないと判定した場合、ステップS116に戻る。
【0061】
(その他)
上記実施形態では、車載器20を運転診断装置の一例としたが、これに限らず、サーバ等の車両12の外部に配置された外部端末又は運転者が保有するスマートフォン等の携帯端末を運転診断装置の一例としてもよい。また、車載器20、外部端末、及び携帯端末の組合せを運転診断装置の一例としてもよい。
【0062】
なお、上記実施形態でCPU20Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した運転診断処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、運転診断処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0063】
また、上記実施形態では、運転診断プログラムがストレージ20Dに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。運転診断プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、運転診断プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 車両
20 車載器(運転診断装置)
200 取得部
210 抽出部
220 診断部