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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172552
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20241205BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241205BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241205BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20241205BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
H04N5/74 E
H04N9/31 440
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090341
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松宮 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】月岡 敬太
(72)【発明者】
【氏名】中田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】大月 伸行
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
5E322
【Fターム(参考)】
2K203KA28
2K203KA87
2K203LA02
2K203LA10
2K203LA12
2K203LA23
2K203LA26
2K203LA27
2K203LA28
2K203MA12
2K203MA24
2K203MA32
5C058BA35
5C058EA52
5C060JA29
5E322AA01
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322EA11
5E322FA09
(57)【要約】
【課題】冷却対象の冷却効率を高められるプロジェクターを提供する。
【解決手段】画像光を投射するプロジェクターは、第1壁と、外気を冷却気体として内部に導入する導入口と、内部を流通した冷却気体を排出する排出口と、を有する外装筐体と、第1壁の内面に沿って外装筐体の内部に配置された第1冷却対象と、冷却気体を吸引する吸気部、及び、吸引した冷却気体を送出する送出部を有し、外装筐体の内部に設けられた冷却ファンと、導入口と吸気部との間に冷却気体が流通可能に形成され、第1冷却対象の第1面によって少なくとも一部が構成される第1流路と、送出部と排出口との間に冷却気体が流通可能に形成され、第1冷却対象における第1面とは異なる第2面によって少なくとも一部が構成される第2流路と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光を投射するプロジェクターであって、
第1壁と、外気を冷却気体として内部に導入する導入口と、内部を流通した前記冷却気体を排出する排出口と、を有する外装筐体と、
前記第1壁の内面に沿って前記外装筐体の内部に配置された第1冷却対象と、
前記冷却気体を吸引する吸気部、及び、吸引した前記冷却気体を送出する送出部を有し、前記外装筐体の内部に設けられた冷却ファンと、
前記導入口と前記吸気部との間に前記冷却気体が流通可能に形成され、前記第1冷却対象の第1面によって少なくとも一部が構成される第1流路と、
前記送出部と前記排出口との間に前記冷却気体が流通可能に形成され、前記第1冷却対象における前記第1面とは異なる第2面によって少なくとも一部が構成される第2流路と、を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1壁の内面は、前記第1流路を構成する前記第1面と対向する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1壁の内面は、前記第1流路を構成する前記第1面に対向し、
前記外装筐体は、前記第1壁と連続し、かつ、前記第1壁に交差した第2壁を有し、
前記導入口の少なくとも一部は、前記第2壁に設けられている、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2流路において前記第1冷却対象に対する前記冷却気体の下流に設けられた第2冷却対象を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2冷却対象の発熱量は、前記第1冷却対象の発熱量よりも大きい、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項5に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1冷却対象は、無線通信装置である、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項5に記載のプロジェクターにおいて、
光を出射する光源装置と、
前記光源装置の熱を放熱する放熱部材と、を備え、
前記第2冷却対象は、前記放熱部材である、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項4に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2面は、前記第1冷却対象において前記第1面とは反対側に設けられ、
前記冷却ファンは、前記第1冷却対象に対して前記第1面から前記第2面に向かう方向に配置され、
前記第2流路において前記送出部から前記第2冷却対象までの範囲の流路は、直線状に延在する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
請求項8に記載のプロジェクターにおいて、
入射する光を変調する光変調装置を含み、前記画像光を形成する画像形成ユニットを備え、
前記第1冷却対象は、前記冷却ファンと前記第2流路に対して前記画像形成ユニットとは反対側に配置されている、
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項8に記載のプロジェクターにおいて、
前記排出口は、前記送出部から前記第2冷却対象に向かう仮想線に対して外れた位置に設けられ、
前記第2流路は、
前記送出部から前記第2冷却対象までの範囲の第1部分流路と、
前記第1部分流路と交差し、前記第2冷却対象から前記排出口までの範囲の第2部分流路と、を含む、
ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像出力装置等の外部機器と無線にて通信する無線通信装置を備え、外部機器から受信した映像信号に応じた画像光を投射するプロジェクターが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターでは、無線通信装置は、外装筐体内に設けられた流路形成部材に固定され、流路形成部材とともに、冷却気体が流通する流路を形成する。すなわち、無線通信装置における1つの外面は、無線通信装置と流路形成部材とによって構成される流路内に露出する。流路には、冷却ファンから送出された冷却気体が流通する。これにより、無線通信装置における上記1つの外面に沿って冷却気体が流通するので、無線通信装置が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-157078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1に記載のプロジェクターでは、冷却対象における1つの外面に沿って冷却気体を流通させ、これにより、冷却対象を冷却する。このため、冷却対象の発熱量が大きいと、冷却対象の冷却効果が十分でなくなる場合がある。このような場合、冷却ファンによる冷却対象の冷却能力を高めるために、例えばファンを大型化することが考えられる他、また例えば、冷却ファンの回転速度を高めることが考えられる。
しかしながら、ファンを大型化すると、ファンが配置される外装筐体も大型化することになり、ひいては、プロジェクターの大型化を招くという問題がある。
また、冷却ファンの回転速度を高めると、消費電力の増加、電源系の発熱量の増大、及び、冷却ファンによる騒音の増大等の問題が発生するおそれがある。
このため、冷却対象の冷却効率を高められる構成が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るプロジェクターは、画像光を投射するプロジェクターであって、第1壁と、外気を冷却気体として内部に導入する導入口と、内部を流通した前記冷却気体を排出する排出口と、を有する外装筐体と、前記第1壁の内面に沿って前記外装筐体の内部に配置された第1冷却対象と、前記冷却気体を吸引する吸気部、及び、吸引した前記冷却気体を送出する送出部を有し、前記外装筐体の内部に設けられた冷却ファンと、前記導入口と前記吸気部との間に前記冷却気体が流通可能に形成され、前記第1冷却対象の第1面によって少なくとも一部が構成される第1流路と、前記送出部と前記排出口との間に前記冷却気体が流通可能に形成され、前記第1冷却対象における前記第1面とは異なる第2面によって少なくとも一部が構成される第2流路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るプロジェクターを示す斜視図。
図2】一実施形態に係るプロジェクターを示す斜視図。
図3】一実施形態に係るファブリックを省略したプロジェクターを示す斜視図。
図4】一実施形態に係るプロジェクターを示す断面図。
図5】一実施形態に係る光源装置の構成を示す模式図。
図6】一実施形態に係る無線通信装置と第1ファンとを示す斜視図。
図7】一実施形態に係るロアーケース及びファブリックユニットを取り外した状態のプロジェクターを示す斜視図。
図8】一実施形態に係るスピーカーユニットを示す斜視図。
図9】一実施形態に係る外装筐体の内部に導入された冷却気体の流れを説明する図。
図10】一実施形態に係る外装筐体の内部に導入された冷却気体の流れを説明する図。
図11】一実施形態に係る外装筐体の内部に導入された冷却気体の流れを説明する図。
図12】一実施形態に係る第2ダクトと、第2ダクトにおける冷却気体の流れとを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの構成]
図1及び図2は、本実施形態に係るプロジェクター1を示す斜視図である。詳述すると、図1は、上方正面側から見たプロジェクター1を示す斜視図であり、図2は、下方背面側から見たプロジェクター1を示す斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、画像情報に応じた画像光を被投射面に投射する。プロジェクター1は、図1及び図2に示すように、外装筐体2を備える。
以下の説明では、互いに直交する三方向を、+X方向、+Y方向及び+Z方向とする。+Y方向は、プロジェクター1が設置される設置面に対して垂直に起立する方向である。+Y方向からプロジェクター1を見た場合、+Z方向は、プロジェクター1が画像光を投射する方向である。
図示を省略するが、+X方向とは反対方向を-X方向とし、+Y方向とは反対方向を-Y方向とし、+Z方向とは反対方向を-Z方向とする。図示を省略するが、+X方向に沿う軸をX軸とし、+Y方向に沿う軸をY軸とし、+Z方向に沿う軸をZ軸とする。
【0008】
[外装筐体の構成]
外装筐体2は、図1及び図2に示すように、プロジェクター1の外装を構成する筐体である。外装筐体2は、+Y方向の部分を構成するアッパーケース2Aと、-Y方向の部分を構成するロアーケース2Bと、-Z方向、+X方向及び-X方向のそれぞれの一部を構成するファブリックユニット2Cと、を備える。外装筐体2は、アッパーケース2A、ロアーケース2B及びファブリックユニット2Cが組み合わされて略直方体形状に構成されている。外装筐体2は、正面21、背面22、右側面23、左側面24、天面25、底面26及び傾斜面27を有する。
正面21は、アッパーケース2Aにおける-Y方向の部分と、ロアーケース2Bにおける+Y方向の部分とによって構成される。背面22、右側面23及び左側面24のそれぞれは、アッパーケース2Aにおける-Y方向の部分と、ロアーケース2Bにおける+Y方向の部分と、ファブリックユニット2Cとによって構成される。天面25は、アッパーケース2Aによって構成され、底面26は、ロアーケース2Bによって構成される。
【0009】
[正面及び背面の構成]
図1に示す正面21と、図2に示す背面22とは、Z軸において互いに反対側となる面である。本実施形態では、背面22は、第1壁に相当する。
正面21は、図1に示すように、外装筐体2において+Z方向を向く側面であり、底面26と連続している。正面21には、被投射面に投射される画像光が通過する投射口211が設けられている。
背面22は、図2に示すように、外装筐体2において+Z方向を向く側面である。背面22における-Y方向の部分は、後述するスピーカーユニット6を-Z方向にて覆うファブリックユニット2Cによって構成されている。
【0010】
[右側面及び左側面の構成]
図1に示す右側面23と、図2に示す左側面24とは、X軸において互いに反対側となる面である。
右側面23は、図1に示すように、外装筐体2において+X方向を向く側面である。右側面23には、電源ボタン231、接続端子232~235及びインレット236が設けられている。
左側面24は、図2に示すように、外装筐体2において-X方向を向く側面である。左側面24には、外装筐体2内を流通した冷却気体を排出する排出口241,242が設けられている。
【0011】
[ファブリックユニットの構成]
図3は、ファブリックユニット2Cを構成するファブリック2C1を省略したプロジェクター1を-Z方向から見た斜視図である。なお、図3においては、連通口2CA1、右側放音口2CR1及び左側放音口2CL1のそれぞれを構成する複数の開口部2C3のうち一部の開口部2C3についてのみ符号を付す。
ファブリックユニット2Cは、図1及び図2に示すように、背面22、右側面23及び左側面24に跨るように配置される。
ファブリックユニット2Cは、図1及び図2に示すように、網で構成されるファブリック2C1を備える他、図3に示すように、ファブリック2C1を支持するフレーム2C2を備える。
ファブリック2C1は、フレーム2C2の外側の面に設けられて、フレーム2C2を覆う。
【0012】
フレーム2C2は、図3に示すように、+Y方向から見て略U字状に形成されている。フレーム2C2は、背面22における-Y方向の部分を構成する背面部2CAと、右側面23における-Y方向かつ-Z方向の部分を構成する右側面部2CRと、左側面24における-Y方向かつ-Z方向の部分を構成する左側面部2CLと、を有する。
背面部2CAは、外装筐体2の内部と外部とを連通する連通口2CA1を有する。
連通口2CA1は、縦横に配列された複数の開口部2C3によって構成されており、各開口部は、後述する第1放音部62の放音口であるとともに、外装筐体2の外気を冷却気体として外装筐体2の内部に導入する導入口である。すなわち、外装筐体2は、複数の導入口に相当する連通口2CA1を有する。なお、連通口2CA1を通過する冷却気体の流路抵抗は、後述する底面26に設けられた第1吸気口264を通過する冷却気体の流路抵抗よりも大きい。
【0013】
右側面部2CRは、後述する第2放音部63の放音口となる右側放音口2CR1を有する。
左側面部2CLは、後述する第2放音部64の放音口となる左側放音口2CL1を有する。
右側放音口2CR1及び左側放音口2CL1のそれぞれは、連通口2CA1と同様に、縦横に配列された複数の開口部2C3によって構成されており、外装筐体2の内部と外部とを連通させる。なお、連通口2CA1を介する冷却気体の流路抵抗と、右側放音口2CR1を介する冷却気体の流路抵抗と、左側放音口2CL1を介する冷却気体の流路抵抗とのそれぞれは同じである。
【0014】
[天面及び底面の構成]
図1に示す天面25と、図2に示す底面26とは、Y軸において互いに反対側となる面である。底面26は、背面22と連続し、かつ、背面22に交差した壁であり、第2壁に相当する。
天面25は、図1に示すように、外装筐体2において+Y方向を向く面である。
底面26は、図2に示すように、外装筐体2において-Y方向を向く面である。換言すると、底面26は、プロジェクター1が載置される設置面と対向する対向面であり、外装筐体2において-Y方向から見える部分である。
【0015】
底面26は、突出部261及び段差部263を有する。
突出部261は、底面26の略中央において-Y方向に突出した部分であり、-Y方向から見て略矩形状に形成されている。突出部261には、固定脚部262が設けられている。
固定脚部262は、突出部261において-Z方向の2つの隅部のそれぞれに設けられている。固定脚部262は、設置面に接触する接触部の1つである。
【0016】
段差部263は、底面26において突出部261以外の部分であり、設置面に接触しない非接触部である。具体的に、段差部263は、突出部261において固定脚部262が設けられた面261Aよりも+Y方向に配置されており、プロジェクター1が設置面に設置されたときに設置面から+Y方向に離間する。
段差部263には、第1吸気口264、メッシュ265、第2吸気口266、第3吸気口267及び調節脚部268が設けられている。すなわち、外装筐体2は、第1吸気口264及びメッシュ265を備える。
【0017】
第1吸気口264は、突出部261に対して-Z方向に配置されている。すなわち、第1吸気口264は、底面26において背面22側の位置に設けられている。第1吸気口264は、X軸に沿って配列された複数の開口である。外装筐体2内に配置された後述する第1ファン51が駆動すると、外装筐体2の外気が第1吸気口264を介して外装筐体2の内部に導入される。なお、段差部263において、第1吸気口264が設けられた部分は、背面22と連続して設けられている。
メッシュ265は、第1吸気口264に対応して外装筐体2の内部に設けられて、第1吸気口264を流通する外気に含まれる塵埃を捕集する。メッシュ265の目は、ファブリックユニット2Cのファブリック2C1の目よりも粗い。このため、第1吸気口264を通過する外気の流路抵抗は、連通口2CA1を通過する外気の流路抵抗よりも小さい。
【0018】
第2吸気口266は、底面26において+X方向かつ+Z方向の部分に配置され、第3吸気口267は、底面26において-X方向かつ+Z方向の部分に配置されている。
各吸気口264,266,267は、外装筐体2の外気を外装筐体2の内部に、冷却気体として導入する。外装筐体2の内部に導入された冷却気体は、後述する冷却装置5のファン51,54,55によって、冷却対象に流通する。冷却対象を冷却した冷却気体は、排出口241,242から外装筐体2の外部に排出される。
調節脚部268は、X軸において第2吸気口266と第3吸気口267とによって挟まれる位置に設けられている。調節脚部268は、底面26からの突出量を調節可能な脚部であり、設置面に接触する接触部の1つである。
【0019】
[傾斜面の構成]
傾斜面27は、正面21、背面22、右側面23及び左側面24と底面26とに跨るように、ロアーケース2Bに設けられている。傾斜面27は、正面側傾斜面27A、背面側傾斜面27B、右側傾斜面27C及び左側傾斜面27Dを含む。
正面側傾斜面27Aは、正面21における-Y方向の部分と、底面26における+Y方向の部分とにより構成されている。正面側傾斜面27Aは、正面21と底面26とに跨り、正面21とは反対側の背面22に向かうに従って設置面に近接する面である。すなわち、正面側傾斜面27Aにおける-Y方向の部分は、正面21に対して傾斜し、正面側傾斜面27Aにおける+Y方向の部分は、底面26に対して傾斜する。
【0020】
背面側傾斜面27Bは、背面22における-Y方向の部分と、底面26における+Y方向の部分とにより構成されている。
右側傾斜面27Cは、右側面23における-Y方向の部分と、底面26における+Y方向の部分とにより構成されている。
左側傾斜面27Dは、左側面24における-Y方向の部分と、底面26における+Y方向の部分とにより構成されている。
背面側傾斜面27B、右側傾斜面27C及び左側傾斜面27Dのそれぞれは、正面側傾斜面27Aと同様に傾斜している。
【0021】
[外装筐体の内部構成]
図4は、XZ平面に沿うプロジェクター1の断面を示す図である。
プロジェクター1は、外装筐体2の他、図4に示すように、外装筐体2内における+Y方向の部分に配置される画像投射装置3、無線通信装置4及び冷却装置5を備える。
この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、画像投射装置3、無線通信装置4及び冷却装置5に対する+Y方向に配置される制御基板を備える。制御基板は、プロジェクター1の動作を制御する。
【0022】
[画像投射装置の構成]
画像投射装置3は、画像情報に応じた画像光を生成し、生成した画像光を投射する。画像投射装置3は、外装筐体2の略中央にX軸及びZ軸に沿って設けられている。画像投射装置3は、光源装置31、均一化光学系32、色分離光学系33、リレー光学系34、画像形成ユニット35、光学部品用筐体36及び投射光学装置37を備える。
光源装置31は、外装筐体2内において-X方向で、かつ、Z軸における略中央の位置に設けられ、+X方向に照明光を出射する。光源装置31の構成は、後に詳述する。
【0023】
均一化光学系32は、光源装置31から出射された照明光を均一化する。均一化された照明光は、色分離光学系33及びリレー光学系34を経て、後述する光変調装置352の光変調領域を照明する。均一化光学系32は、2つのレンズアレイ321,322、偏光変換素子323及び重畳レンズ324を備える。
色分離光学系33は、均一化光学系32から入射する照明光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離光学系33は、2つのダイクロイックミラー331,332と、ダイクロイックミラー331によって分離された青色光を反射する反射ミラー333と、を備える。
【0024】
リレー光学系34は、他の色光の光路より長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー光学系34は、入射側レンズ341、リレーレンズ343、反射ミラー342,344を備える。なお、他の色光の光路よりも長い光路を有する色光を青色光とし、青色光の光路上にリレー光学系34を設ける構成としてもよい。
【0025】
画像形成ユニット35は、入射する赤、緑及び青の各色光を変調し、変調した各色光を合成して画像光を形成する。画像形成ユニット35は、入射する色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ351と、入射する光を変調する3つの光変調装置352と、1つの色合成部353と、を備える。すなわち、画像形成ユニット35は、光変調装置352を含み、画像光を形成する。
【0026】
3つの光変調装置352は、赤色光を変調する光変調装置352R、緑色光を変調する光変調装置352G、及び、青色光を変調する光変調装置352Bを含む。光変調装置352は、例えば、液晶パネルと、液晶パネルを挟む一対の偏光板とによって構成できる。なお、光変調装置352は、光が入射することによって発熱する熱源である。
色合成部353は、光変調装置352B,352G,352Rによって変調された3つの色光を合成して画像光を形成し、形成した画像光を投射光学装置37に出射する。本実施形態では、色合成部353は、クロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、これに限らず、例えば複数のダイクロイックミラーによって構成することも可能である。
【0027】
光学部品用筐体36は、均一化光学系32、色分離光学系33及びリレー光学系34を収容する。
投射光学装置37は、画像形成ユニット35から入射する画像光を被投射面に拡大して投射する投射レンズである。投射光学装置37としては、複数のレンズと、複数のレンズが内部に収容される筒状の鏡筒とを有する組レンズを例示できる。
【0028】
[光源装置の構成]
図5は、光源装置31の構成を示す模式図である。
光源装置31は、均一化光学系32に向けて+X方向に照明光WLを出射する。光源装置31は、図5に示すように、光源311、第1放熱部材312、拡散透過部313、光分離部314、第1集光素子315、波長変換素子316、第2放熱部材317、第2集光素子318、拡散反射素子319及び光源用筐体CAを備える。
【0029】
光源装置31には、Z軸に沿う光軸Ax1と、X軸に沿う光軸Ax2とが設定され、光軸Ax1と光軸Ax2とは、互いに直交している。光源装置31の光学部品は、光軸Ax1又は光軸Ax2上に配置されている。
具体的に、光源311、拡散透過部313、光分離部314、第1集光素子315及び波長変換素子316は、光軸Ax1上に配置されている。
拡散反射素子319、第2集光素子318及び光分離部314は、光軸Ax2上に配置されている。すなわち、光分離部314は、光軸Ax1と光軸Ax2との交差部に配置される。
光軸Ax2は、均一化光学系32のレンズアレイ321にて、画像投射装置3の光軸と繋がる。
【0030】
[光源用筐体の構成]
光源用筐体CAは、光源311、拡散透過部313、光分離部314、第1集光素子315、波長変換素子316、第2集光素子318及び拡散反射素子319を収容する。本実施形態では、光源用筐体CAは、内部に塵埃が侵入しにくい密閉筐体である。しかしながら、これに限らず、光源用筐体CAは、上記した光学部品を収容できればよい。
【0031】
[光源の構成]
光源311は、-Z方向に光を出射する。光源311は、発光素子3111及び基板3112を備える。
発光素子3111は、青色光BLを出射する。青色光BLは、波長変換素子316の蛍光体を励起させる励起光である。発光素子3111は、ピーク波長が455nmのレーザー光を出射する半導体レーザーである。
基板3112は、発光素子3111を支持した状態にて光源用筐体CAに固定される。基板3112は、発光素子3111から熱を受熱し、受熱した熱を第1放熱部材312に伝達する。すなわち、基板3112は、発光素子3111を支持する支持基板として機能する他、発光素子3111から受熱する受熱基板として機能する。
【0032】
[第1放熱部材の構成]
第1放熱部材312は、光源用筐体CAの外部に露出して、光源311から伝達された熱を光源用筐体CAの外部にて放熱するヒートシンクである。詳述すると、第1放熱部材312は、冷却装置5の後述する第3ダクト56内に配置され、基板3112から伝達される発光素子3111の熱を放熱する。第1放熱部材312は、後述する第3ファン55から流通する冷却気体に、発光素子3111の熱を伝達し、これにより、発光素子3111を冷却する。
【0033】
[拡散透過部の構成]
拡散透過部313は、光源311から入射する青色光BLを拡散させて、照度分布を均一化した光を出射する。拡散透過部313から出射された青色光BLは、光分離部314に入射する。拡散透過部313は、ホログラムを有する構成、複数の小レンズが光軸直交面に配列された構成、及び、光が通過する面が粗面である構成を例示できる。
なお、拡散透過部313に代えて、一対のマルチレンズアレイを有するホモジナイザー光学素子を光源装置31に採用してもよい。一方、拡散透過部313が採用される場合には、ホモジナイザー光学素子が採用される場合に比べて、光源311から光分離部314までの距離を短くできる。
【0034】
[光分離部の構成]
光分離部314は、光源311から拡散透過部313を介して入射する青色光BLのうち、一部の青色光BLを通過させ、他の青色光BLを反射するハーフミラーの機能を有する。すなわち、光分離部314は、拡散透過部313から入射する青色光BLのうち、一部の青色光BLである第1部分光を-Z方向に透過させて第1集光素子315に入射させ、他の青色光BLである第2部分光を-X方向に反射して第2集光素子318に入射させる。
光分離部314は、波長変換素子316から+Z方向に入射する蛍光YLを反射し、拡散反射素子319から+X方向に入射する青色光BLを透過させるダイクロイックミラーの機能を更に有する。
【0035】
[第1集光素子の構成]
第1集光素子315は、光分離部314を透過した第1部分光を波長変換素子316に集光する。また、第1集光素子315は、波長変換素子316から入射する蛍光YLを平行化する。
【0036】
[波長変換素子の構成]
波長変換素子316は、入射する光の波長を変換した変換光を、光の入射方向とは反対方向に拡散させて出射する反射型の波長変換素子である。波長変換素子316は、蛍光体層3161及び基板3162を有し、光源用筐体CAに対して直接又は間接的に固定されている。
蛍光体層3161は、励起光である青色光BLが入射されることによって励起される蛍光体を含有し、入射した青色光BLの波長よりも長い波長を有する蛍光YLを出射する。蛍光体層3161から出射される光は、例えば500~700nmの範囲にピーク波長を有する非偏光の蛍光YLであり、蛍光YLは、緑色光及び赤色光を含む。
基板3162は、蛍光体層3161を支持するとともに、蛍光体層3161から受熱する。図示を省略するが、蛍光体層3161と基板3162との間には、蛍光体層3161から入射する光を反射する反射層が設けられている。或いは、基板3162において蛍光体層3161が設けられる面は、反射面として機能する。
波長変換素子316から出射された蛍光YLは、光軸Ax1に沿って第1集光素子315を通過した後、光分離部314に入射する。光分離部314に入射した蛍光YLは、光分離部314にて+X方向に反射されて、光軸Ax2に沿って光源装置31の外部に出射される。
【0037】
[第2放熱部材の構成]
第2放熱部材317は、光源用筐体CAの外部に露出して、波長変換素子316から伝達された熱を光源用筐体CAの外部にて放熱するヒートシンクである。詳述すると、第2放熱部材317は、後述する第2ダクト53内に配置され、基板3162から伝達される蛍光体層3161の熱を放熱する。第2放熱部材317は、後述する第1ファン51から流通する冷却気体に、蛍光体層3161の熱を伝達し、これにより、波長変換素子316を冷却する。
【0038】
[第2集光素子の構成]
第2集光素子318は、光分離部314から入射する第2部分光を拡散反射素子319に集光する。第2集光素子318は、拡散反射素子319から入射する青色光を平行化する。
【0039】
[拡散反射素子の構成]
拡散反射素子319は、光源用筐体CAの内面に固定されている。拡散反射素子319は、波長変換素子316から出射される蛍光YLの拡散角と略同じ拡散角、もしくは、蛍光YLの拡散角よりも少し小さい拡散角で、第2集光素子318から入射する青色光BLを反射して拡散させる。すなわち、拡散反射素子319は、入射する光の波長を変換せずに、入射する光を反射して拡散させる。
拡散反射素子319にて+X方向に反射された青色光BLは、第2集光素子318を通過した後、光分離部314を+X方向に通過し、蛍光YLとともに光源装置31の外部に出射される。
以上のように、光源装置31の外部に出射される照明光WLは、青色光BLと、緑色光及び赤色光を含む蛍光YLとが混在した白色光である。
【0040】
[無線通信装置の構成]
図6は、無線通信装置4と冷却装置5の第1ファン51とを示す斜視図である。
図4に示す無線通信装置4は、上記した制御基板と電気的に接続され、例えば映像出力装置等の図示しない外部機器と無線にて通信する。詳述すると、無線通信装置4は、映像出力装置から映像信号を受信し、受信した映像信号を制御基板に出力する。無線通信装置4は、後述する冷却装置5を構成する第1ファン51と、冷却装置5を構成する第2ダクト53の第2流路とに対して画像形成ユニット35とは反対側に配置されている。
無線通信装置4は、図6に示すように、筐体41と、筐体41内に設けられた図示しない通信装置本体と、を備える。
【0041】
筐体41は、第1面411、第2面412、第3面413、第4面414、第5面415及び第6面416を有し、X軸に長い直方体形状に構成されている。
第1面411及び第2面412は、Z軸において互いに反対側となる面である。
第1面411は、-Z方向を向く面であり、背面22の内面とZ軸において対向する。
第2面412は、+Z方向を向く面であり、後述する第1ファン51の吸気部511と対向する。
第3面413及び第4面414は、X軸において互いに反対側となる面である。
第3面413は、+X方向を向く面である。第3面413には、図6では図示しない接続基板CPが接続可能な端子417を有する。接続基板CPは、制御基板と無線通信装置4とを接続する。接続基板CPは、後述する図11に図示されている。
第4面414は、-X方向を向く面である。
第5面415及び第6面416は、Y軸において互いに反対側となる面である。
第5面415は、+Y方向を向く面であり、天面25の内面と対向する。
第6面416は、-Y方向を向く面であり、後述するスピーカーユニット6とY軸において対向する。
このような筐体41を有する無線通信装置4は、図4に示すように、背面22に沿って外装筐体2の内部に配置される。無線通信装置4は、第1ファン51によって流通する冷却気体によって冷却される。
【0042】
[冷却装置の構成]
図4に示す冷却装置5は、プロジェクター1を構成する冷却対象を冷却する。冷却装置5は、第1ファン51、第1ダクト52、第2ダクト53、第2ファン54、第3ファン55及び第3ダクト56を備える。第1ファン51、第1ダクト52、第2ダクト53、第2ファン54、第3ファン55及び第3ダクト56のそれぞれは、外装筐体2の内部に設けられている。
第1ファン51、第1ダクト52及び第2ダクト53については、後に詳述する。
【0043】
[第2ファンの構成]
第2ファン54は、外装筐体2の内部において+X方向かつ+Z方向の隅部に設けられている。第2ファン54は、第2吸気口266を介して外装筐体2の外気を冷却気体として吸引し、吸引した冷却気体を光変調装置352と、画像投射装置3に対する+Y方向に配置された制御基板とに送出する。
なお、第2ファン54によって冷却気体が送出されることによって、外装筐体2の内部において画像投射装置3及び制御基板の配置部分は、陽圧となる。一方、詳しい図示を省略するが、制御基板に対する+Y方向の空間は、排出口241と連通している。
このため、光変調装置352を含む画像形成ユニット35及び制御基板を冷却した冷却気体は、陽圧によって排出口241に向かって押し出されるとともに、第2ダクト53を流通して排出口241から排出される冷却気体の流れによって引っ張られて、排出口241から外装筐体2の外部に排出される。
【0044】
[第3ファン及び第3ダクトの構成]
第3ファン55は、外装筐体2の内部において-X方向かつ+Z方向の隅部に設けられている。第3ファン55は、第3吸気口267を介して外装筐体2の外気を冷却気体として吸引し、吸引した冷却気体を第1放熱部材312に送出する。なお、第3ファン55の送出口551は、第3ダクト56内に開口している。
第3ダクト56は、第3ファン55の送出口551と、左側面24に開口する排出口242とを接続する、第3ダクト56には、第3ファン55から送出された冷却気体が流通する。上記のように、第3ダクト56内には第1放熱部材312が配置されているので、第3ファン55から第3ダクト56内に送出された冷却気体は、第1放熱部材312を冷却した後、排出口242から外装筐体2の外部に排出される。
【0045】
[スピーカーユニットの構成]
図7は、ロアーケース2B及びファブリックユニット2Cを取り外した状態のプロジェクター1を背面側から見た斜視図である。図8は、スピーカーユニット6を示す斜視図である。
プロジェクター1は、上記構成に加えて、図7に示すように、外装筐体2内に配置されるスピーカーユニット6を更に備える。
スピーカーユニット6は、外装筐体2における-Y方向かつ-Z方向の部分に配置されて、制御基板から入力する音声信号に応じた音声を出力する。この他、スピーカーユニット6は、外装筐体2内に配置されることによって、背面22の内面とともに第1ダクト52を構成する。
スピーカーユニット6は、図7及び図8に示すように、スピーカー筐体61、第1放音部62、第2放音部63,64、多孔質部材65及び封止材66を有する。
【0046】
スピーカー筐体61は、第1放音部62、第2放音部63,64、多孔質部材65及び封止材66を支持するエンクロージャーである。スピーカー筐体61は、図8に示すように、第1面611、第2面612、第3面613、第4面614、第5面615及び第6面616を有し、横向きの四角錐台形状に形成されている。すなわち、スピーカー筐体61は、-Z方向に向かうに従ってX軸に沿う寸法が小さくなる形状に形成されている。
【0047】
第1面611は、-Z方向を向く面であり、ファブリックユニット2Cにおける背面部2CAの内面と対向する。詳述すると、第1面611は、背面部2CAの連通口2CA1と対向する。
第1面611には、+Z方向に凹む凹部617が設けられている。すなわち、スピーカー筐体61は、凹部617を有する。詳しくは後述するが、凹部617は、第1吸気口264から外装筐体2内に導入された冷却気体が流通する流路の幅を大きくする。
【0048】
第2面612は、第1面611とは反対側となる面である。
第3面613は、+X方向かつ-Z方向を向く面である。すなわち、第3面613は、XY平面及びYZ平面のそれぞれに対して傾斜する傾斜面である。
第4面614は、-X方向かつ-Z方向を向く面である。すなわち、第4面614は、XY平面及びYZ平面のそれぞれに対して傾斜する傾斜面である。
第5面615は、+Y方向を向く面であり、無線通信装置4及び第1ファン51と対向する面である。
第6面616は、-Y方向を向く面であり、底面26の内面と対向する。すなわち、第6面616は、第1吸気口264と対向する。
このようなスピーカー筐体61は、連通口2CA1及び第1吸気口264と対向して配置される。
【0049】
第1放音部62は、第1面611に設けられている。詳述すると、第1放音部62は、凹部617の底部に配置されている。第1放音部62は、スピーカー筐体61に設けられた図示しないバスレフダクトの出口側ポートである。このため、第1放音部62は、低音域の音を出力する。なお、バスレフダクトの入口側ポートは、スピーカー筐体61内に配置されている。
【0050】
スピーカー筐体61には、図7及び図8に示すように、第1放音部62の少なくとも一部を覆う多孔質部材65が設けられている。本実施形態では、多孔質部材65は、-Z方向から見て第1放音部62の全てを覆うように設けられている。
多孔質部材65は、バスレフダクトを流れる空気の流速を出口側ポートにて低減する。これにより、バスレフダクトから出てくる空気の流れが遅くなるので、出口側ポートにて発生するポートノイズ及び風切り音を低減できる。
また、多孔質部材65は、ファブリックユニット2Cの内面と接触する。これにより、第1放音部62から出力される低音域の音によって、ファブリックユニット2Cが振動してノイズが発生することが抑制される。なお、多孔質部材65は、例えばスポンジにより構成できる。
【0051】
第2放音部63,64のそれぞれは、制御基板から入力する音声信号に応じた音声を出力する。第2放音部63,64は、フルレンジのスピーカーであり、第1放音部62から出力される音よりも高音域の音を出力可能である。すなわち、第2放音部63,64は、第1放音部62とは異なる音域の音を出力可能である。
第2放音部63は、第3面613に設けられ、第2放音部63において放音する放音面63Aは、+X方向かつ-Z方向を向く。第2放音部63から出力された音は、ファブリックユニット2Cの右側放音口2CR1及びファブリック2C1を介して外装筐体2の外部に放音される。
第2放音部64は、第4面614に設けられ、第2放音部64において放音する放音面64Aは、-X方向かつ-Z方向を向く。第2放音部64から出力された音は、ファブリックユニット2Cの左側放音口2CL1及びファブリック2C1を介して外装筐体2の外部に放音される。
このように各第2放音部63,64が配置されることによって、外装筐体2の外部に音を効果的に広げることができる。
【0052】
封止材66は、外装筐体2を構成するファブリックユニット2Cの内面と、スピーカー筐体61との間に設けられ、ファブリックユニット2Cの内面とスピーカー筐体61の外面との間の空間を封止する。本実施形態では、封止材66は、スピーカー筐体61に接着材又は両面接着テープによって固定されている。
詳述すると、封止材66は、第1面611、第5面615及び第6面616に跨って設けられている。封止材66は、スピーカー筐体61と外装筐体2の内面との間に設けられ、第1放音部62を囲んで、第1放音部62が配置された空間と第2放音部63,64が配置された空間とを仕切る。すなわち、封止材66は、第1ファン51によって第1放音部62が配置された空間を流通する気流と第2放音部63,64とを仕切る。
【0053】
封止材66は、図8に示すように、第1封止材661、第2封止材662、第3封止材663及び第4封止材664を有する。封止材66は、封止材661~664が接続されて枠状に構成されている。
第1封止材661及び第2封止材662は、第1面611、第5面615及び第6面616に跨って、スピーカー筐体61に設けられている。第1封止材661は、X軸において第1放音部62と第2放音部63との間に配置され、第2封止材662は、X軸において第1放音部62と第2放音部64との間に配置されている。本実施形態では、第1吸気口264及び連通口2CA1は、第1封止材661と第2封止材662との間に開口している。このため、封止材661,662によって、第1吸気口264又は連通口2CA1を介して外装筐体2内に導入された外気は、第2放音部63,64に流通せずに、第1封止材661と第2封止材662との間を+Y方向に流通する。
第3封止材663は、第5面615における+Z方向の部分にX軸に沿って設けられている。第3封止材663には、第1封止材661及び第2封止材662のそれぞれが接続される。第3封止材663は、外装筐体2において画像投射装置3と第1ファン51及び無線通信装置4とを仕切る壁部WPと、スピーカー筐体61との間を封止する。なお、壁部WPは、後述する図10にて図示されている。
第4封止材664は、第6面616における+Z方向の部分にX軸に沿って設けられている。第4封止材664には、第1封止材661及び第2封止材662のそれぞれが接続される。第4封止材664は、底面26の内面とスピーカー筐体61との間を封止する。
このようなスピーカーユニット6が外装筐体2の内部に配置されることによって、第1ダクト52の一部が構成される。
【0054】
[第1ファンの構成]
図4に示す第1ファン51は、吸気部511,512及び送出部513を有する両面吸気型のシロッコファンである。第1ファン51は、吸気部511が-Z方向を向き、吸気部512が+Z方向を向き、送出部513が-X方向を向くように、無線通信装置4に対して第1面411から第2面412に向かう+Z方向に、無線通信装置4と隣接して配置される。詳述すると、第1ファン51の一部は、図6に示すように、吸気部511が塞がることなく無線通信装置4の第2面412に対向して重なるように配置される。吸気部511は、後述する接続基板CPと対向する位置に配置される。接続基板CPは、無線通信装置4の端子417に接続される。
【0055】
第1ファン51は、図4に示すように、外装筐体2内に導入した冷却気体を第1冷却対象及び第2冷却対象に流通させて、各冷却対象を冷却する。具体的に、第1ファン51は、第1ダクト52を流通する冷却気体を吸引して第2ダクト53に送出する。これにより、第1ファン51は、第1冷却対象としての無線通信装置4と、第2冷却対象としての第2放熱部材317とに冷却気体を流通させて、無線通信装置4及び第2放熱部材317を冷却する。なお、上記のように、第2放熱部材317には、波長変換素子316から熱が伝達される。
【0056】
[第1ダクトの構成]
第1ダクト52は、第1ファン51の吸気側ダクトであり、第1吸気口264及び連通口2CA1から外装筐体2の内部に導入した冷却気体を第1ファン51に流通させる。すなわち、第1ダクト52は、第1ファン51と、連通口2CA1及び第1吸気口264とを連通させ、第1ファン51は、第1ダクト52を介して外装筐体2の外気を吸引する。
第1ダクト52は、外装筐体2の背面22の内面と、スピーカーユニット6のスピーカー筐体61と、無線通信装置4の第1面411とによって構成される。
【0057】
[外装筐体内に導入された冷却気体の流れ]
図9及び図10は、外装筐体2の内部に導入された冷却気体の流れを説明する図である。換言すると、図9は、プロジェクター1を背面側から見た斜視図であり、図10は、YZ平面に沿うプロジェクター1の断面を示す図である。なお、図9では、外装筐体2内の気流を示すために、ファブリックユニット2Cの図示を省略している。
第1ファン51が駆動すると、図9及び図10に示すように、設置面SFから離間した第1吸気口264及び連通口2CA1のうち少なくともいずれかの導入口を介して、外装筐体2の外気が外装筐体2の内部に冷却気体FWとして導入される。連通口2CA1を通過する冷却気体の流路抵抗は、底面26に設けられた第1吸気口264を通過する冷却気体の流路抵抗よりも大きいので、第1吸気口264を通過する冷却気体FWが、外装筐体2の内部に導入される主な冷却気体である。第1吸気口264が塞がれた場合では、図10において一点鎖線の矢印にて示すように、連通口2CA1を通過する冷却気体FWAが、外装筐体2の内部に導入される主な冷却気体となる。
以下では、冷却気体FWの流通方向について説明するが、連通口2CA1から外装筐体2の内部に導入された冷却気体FWAの流通方向も、第1吸気口264から外装筐体2の内部に導入された冷却気体FWの流通方向と同様である。
【0058】
外装筐体2の内部に導入された冷却気体FWは、第1封止材661と、第2封止材662と、スピーカー筐体61の第1面611と、ファブリックユニット2Cの内面とによって構成される第1ダクト52内を+Y方向に流通する。上記のように、第1封止材661と第2封止材662との間には、+Z方向に凹む凹部617が設けられ、凹部617の底部には、第1放音部62が設けられている。
【0059】
図11は、第1吸気口264から外装筐体2内に導入された冷却気体FW1の流れを説明する図である。
第1ダクト52を流通する冷却気体FWは、第1放音部62に応じて設けられた多孔質部材65を回避しつつ、更に+Y方向に流通する。そして、+Y方向に流通した冷却気体FWのうち、一部の冷却気体FW1は、図10に示すように、スピーカー筐体61よりも更に+Y方向に流通して、無線通信装置4に到達する。
この後、冷却気体FW1は、図11に示すように、第1ファン51の吸気部511によって吸引されて、無線通信装置4の第1面411に沿って吸気部511に向かって+X方向に流通する。すなわち、第1ダクト52の一部は、第1面411によって構成される。このような冷却気体FW1によって、無線通信装置4において第1面411側の部分が冷却される。
【0060】
更に、吸気部511は、無線通信装置4の端子417に接続される接続基板CPと対向している。このため、吸気部511が冷却気体FW1を吸引することによって、接続基板CPに冷却気体FW1が流通し、これにより、接続基板CPが冷却される。
このように、第1ファン51の吸気部511によって、第1吸気口264及び連通口2CA1のうち少なくともいずれかの導入口を介して外装筐体2の内部に導入された冷却気体FWがのうち、一部の冷却気体FW1が吸引されることにより、冷却気体FW1が無線通信装置4の第1面411に沿って流通し、無線通信装置4において第1面411側の部分が冷却される。
なお、スピーカー筐体61に対して+Y方向に流通した冷却気体FWのうち、他の冷却気体FW2は、第1ファン51とスピーカー筐体61の第5面615との間を+Z方向に流通して、第1ファン51の吸気部512によって吸引される。
ここで、無線通信装置4の第1面411は、第1吸気口264及び連通口2CA1に対向する位置に無い。第1吸気口264及び連通口2CA1は、第1面411より-Y方向に位置する。このため、冷却気体FW1は、-Y方向から第1面411全体にわたり流れる。なお、無線通信装置4に流通する冷却気体を外装筐体2内に導入する導入口は、無線通信装置4の第1面411に対向する位置に配置されていてもよい。
【0061】
[第2ダクトの構成]
図12は、第2ダクト53と、第2ダクト53における冷却気体の流れとを示す図である。換言すると、図12は、XZ平面に沿うプロジェクター1の断面の一部を示す図である。
第2ダクト53は、第1ファン51の排気側ダクトであり、第1ファン51の送出部513と排出口241とを接続する。第2ダクト53は、送出部513と排出口241との間に冷却気体が流通可能に設けられており、無線通信装置4における第1面411とは異なる第2面412によって少なくとも一部が構成される第2流路を構成する。詳述すると、第2ダクト53の内部には、第2面412の一部が露出する他、第2放熱部材317が配置される。すなわち、第2ダクト53によって形成される冷却気体の第2流路では、第2放熱部材317は、無線通信装置4に対する冷却気体の下流に設けられている。無線通信装置4は、第1冷却対象に相当し、第2放熱部材317は、第2冷却対象に相当する。なお、第2放熱部材317の発熱量は、無線通信装置4の発熱量よりも大きい。
第2ダクト53は、第1部分ダクト531及び第2部分ダクト532を有するダクト部材によって構成されている。
【0062】
[第1部分ダクトの構成]
第1部分ダクト531は、第1ファン51の送出部513から-X方向に送出された冷却気体が第2面412及び第2放熱部材317に流通する第1部分流路を構成する。第1部分ダクト531は、第1開口部5311、傾斜部5312及び第2開口部5313を有する。
【0063】
第1開口部5311は、第1部分ダクト531において-Z方向に開口している。第1開口部5311は、第1部分ダクト531に対して-Z方向に配置された無線通信装置4の第2面412によって閉塞される。このため、第1開口部5311を介して、第2面412の一部は、第1部分ダクト531内に露出される。
傾斜部5312は、第1部分ダクト531の内面を構成する。傾斜部5312は、第1開口部5311における-X方向の端部から-X方向に向かうに従って+Z方向に位置するよう傾斜している。傾斜部5312は、第1開口部5311内に露出する第2面412に沿って流通した冷却気体を、第2放熱部材317にガイドする。
【0064】
第2開口部5313は、光源用筐体CAから-Z方向に突出する第2放熱部材317が-Z方向に挿通する開口部である。第2開口部5313を挿通した第2放熱部材317は、第1部分ダクト531内に配置される。
このような第1部分ダクト531は、第1ファン51の送出部513からの冷却気体の送出方向である-X方向に沿って直線状に延出している。すなわち、第1部分ダクト531内の第1部分流路は、送出部513から第2放熱部材317までの範囲において、直線状に延在している。
【0065】
[第2部分ダクトの構成]
第2部分ダクト532は、第2放熱部材317を流通した冷却気体を排出口241に導く第2部分流路を構成する。
ここで、排出口241は、第1ファン51の送出部513と第2放熱部材317とを結ぶ仮想線VLに対してずれて配置されている。詳述すると、排出口241は、仮想線VLに対して+Z方向にずれている。このため、第2部分ダクト532は、X軸に沿って延在する第1部分ダクト531と交差して、第1部分ダクト531との接続部分から+Z方向に延在している。第2部分ダクト532は、ガイド部5321を有する。
ガイド部5321は、第2部分ダクト532において排出口241に対向する位置に設けられている。ガイド部5321は、+Z方向に向かうに従って排出口241に近接する-X方向に位置するように傾斜している。ガイド部5321は、第2部分ダクト532内を+Z方向に流通した冷却気体の流通方向を、排出口241に向かう-X方向に変化させる。このようなガイド部5321によって、第2部分ダクト532内を流通した冷却気体が、排出口241から速やかに排出される。
【0066】
[第2ダクト内を流通する冷却気体の流れ]
第1ファン51の送出部513から第2ダクト53の第1部分ダクト531内に送出された冷却気体FW3のうち、送出部513における-Z方向の部分から送出された冷却気体FW31は、第1開口部5311内に露出される無線通信装置4の第2面412に沿って流通する。これにより、無線通信装置4において第2面412側の部分が冷却される。
第2面412に沿って流通した冷却気体FW31は、傾斜部5312に沿って-X方向かつ+Z方向に流通して、送出部513から送出された他の冷却気体FW32,FW33とともに、第2放熱部材317に流通する。これにより、第2放熱部材317が冷却され、ひいては、波長変換素子316が冷却される。
第2放熱部材317を流通した冷却気体FW4は、第2部分ダクト532内を+Z方向に流通する。+Z方向に流通した冷却気体は、ガイド部5321によって-X方向に流通し、排出口241から外装筐体2の外部に排出される。
【0067】
[実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、画像光を投射する。プロジェクター1は、外装筐体2、無線通信装置4、第1ファン51、第1ダクト52及び第2ダクト53を備える。
外装筐体2は、背面22、第1吸気口264、連通口2CA1及び排出口241を有する。第1吸気口264及び連通口2CA1は、外装筐体2の外気を冷却気体として外装筐体2の内部に導入する導入口である。排出口241は、外装筐体2の内部を流通した冷却気体を排出する。
無線通信装置4は、第1冷却対象に相当する。無線通信装置4は、背面22の内面に沿って外装筐体2の内部に配置されている。
第1ファン51は、冷却ファンに相当し、外装筐体2の内部に設けられている。第1ファン51は、冷却気体を吸引する吸気部511,512と、吸引した冷却気体を送出する送出部513を有する。
第1ダクト52は、第1流路を構成する。第1流路は、第1吸気口264及び連通口2CA1のうち少なくともいずれかと吸気部511,512との間に冷却気体が流通可能に形成されている。第1流路は、無線通信装置4の第1面411によって少なくとも一部が構成される。
第2ダクト53は、第2流路を構成する。第2流路は、送出部513と排出口241との間に冷却気体が流通可能に形成されている。第2流路は、無線通信装置4における第1面411とは異なる第2面412によって少なくとも一部が構成される。
【0068】
このような構成によれば、無線通信装置4における第1面411と、第1面411とは異なる第2面412とのそれぞれに、冷却気体を流通させることができる。このため、第1面411及び第2面412のそれぞれを流通する冷却気体によって無線通信装置4を冷却できるので、無線通信装置4の冷却効率を高めることができる。従って、無線通信装置4を効果的に冷却できるので、プロジェクターの大型化を抑制できる他、冷却ファンの回転速度を増加させた場合に伴う消費電力の増加、電源系の発熱量の増大、及び、冷却ファンによる騒音の増大を抑制できる。
【0069】
プロジェクター1では、背面22の内面は、第1流路を構成する第1面411と対向する。
このような構成によれば、第1流路は、背面22の内面と無線通信装置4における第1面411との間に形成されるので、プロジェクター1の大型化を抑制できる。
【0070】
プロジェクター1では、背面22の内面は、第1流路を構成する第1面411と対向する。外装筐体2は、背面22と連続し、かつ、背面22に交差した底面26を有する。導入口の少なくとも一部である第1吸気口264は、底面26に設けられている。
このような構成によれば、背面22の内面に沿って流通した冷却気体を、背面22に沿って配置された無線通信装置4において背面22の内面に対向する第1面411に流通させやすくすることができる。従って、無線通信装置4の冷却効率を高めることができる。
【0071】
プロジェクター1では、第2流路において無線通信装置4に対する冷却気体の下流に設けられた第2放熱部材317を備える。第2放熱部材317は、第2冷却対象に相当する。
このような構成によれば、共通の第1ファン51によって、無線通信装置4だけでなく、第2放熱部材317も冷却できる。従って、第2放熱部材317を冷却する冷却ファンを、無線通信装置4を冷却する冷却ファンとは別に設ける場合に比べて、プロジェクター1の構成が複雑化することを抑制できる他、プロジェクター1が大型化することを抑制できる。
【0072】
プロジェクター1では、第2放熱部材317の発熱量は、無線通信装置4の発熱量よりも大きい。
このような構成によれば、発熱量が少ない無線通信装置4が、第1ファン51によって送出された冷却気体によって第2放熱部材317よりも先に冷却される。これにより、第2放熱部材317にも温度が比較的低い冷却気体を流通させることができる。従って、発熱量が異なる無線通信装置4及び第2放熱部材317を効率よく冷却できる。
【0073】
プロジェクター1では、第1冷却対象は、無線通信装置4である。
このような構成によれば、無線通信装置4を効率よく冷却できる。
【0074】
プロジェクター1では、光を出射する光源装置31と、光源装置31の波長変換素子316の熱を放熱する第2放熱部材317と、を備える。第2冷却対象は、第2放熱部材317である。
このような構成によれば、第2放熱部材317を効率よく冷却でき、ひいては、光源装置31を効率よく冷却できる。
【0075】
プロジェクター1では、無線通信装置4の第2面412は、無線通信装置4において第1面411とは反対側に設けられている。第1ファン51は、無線通信装置4に対して第1面411から第2面412に向かう方向に配置されている。第2流路において送出部513から第2放熱部材317までの範囲の流路は、直線状に延在している。
【0076】
ここで、第1ファン51から送出された冷却気体が、無線通信装置4の第1面411と第2面412とに流通した後に第2放熱部材317に流通する構成では、第1ファン51、無線通信装置4及び第2放熱部材317が第1ファン51の冷却気体の送出方向に並んだ配置となる。このような構成では、当該送出方向におけるプロジェクター1の寸法が大きくなり、プロジェクター1の小型化が阻害される。
また、無線通信装置4の第1面411と第2面412とに流通した冷却気体を第1ファン51が吸引し、第1ファン51によって送出された冷却気体が第2放熱部材317に流通する構成では、冷却気体が第1面411及び第2面412のそれぞれに流通するための隙間をZ軸において設ける必要がある。このような構成では、無線通信装置4と第2放熱部材317とを上記送出方向に対する直交方向に並べると、当該送出方向におけるプロジェクター1の寸法は小さくなるものの、当該直交方向におけるプロジェクター1の寸法が大きくなる。一方、当該直交方向に沿って見て無線通信装置4と第2放熱部材317とが重ならないように、無線通信装置4と第2放熱部材317とを上記送出方向に沿って互いに離間させると、第2流路の流路幅によっては、当該直交方向におけるプロジェクター1の寸法は小さくなるものの、上記送出方向におけるプロジェクター1の寸法が大きくなる。
【0077】
これに対し、第1ファン51によって吸引される冷却気体が、無線通信装置4の第1面411に沿って流通し、第1ファン51から送出された冷却気体が、直線状に延出した第2流路を流通して、無線通信装置4の第2面412に沿って流通した後、第2放熱部材317に流通する。これによれば、第1ファン51によって吸引される冷却気体が第2面412に沿って流通するための隙間を設ける必要がない。従って、プロジェクター1のZ軸における寸法が大きくなることを抑制でき、プロジェクター1の大型化を抑制できる。
【0078】
プロジェクター1では、画像光を形成する画像形成ユニット35を備える。画像形成ユニット35は、入射する光を変調する光変調装置352を含む。無線通信装置4は、第1ファン51と第2ダクト53の第2流路とに対して画像形成ユニット35とは反対側に配置されている。
ここで、画像形成ユニット35は、入射する光を遮蔽する場合には、熱源となる。
これに対し、無線通信装置4と画像形成ユニット35との間に、第1ファン51及び第2流路が配置されるので、無線通信装置4は、第1ファン51及び第2流路によって画像形成ユニット35と熱的に遮断される。これにより、画像形成ユニット35の熱の影響が無線通信装置4に及ぶことを抑制できる。
【0079】
プロジェクター1では、排出口241は、送出部513から第2放熱部材317に向かう仮想線VLに対して外れた位置に設けられている。第2ダクト53によって構成される第2流路は、第1部分流路及び第2部分流路を含む。
第1部分流路は、第1部分ダクト531によって形成されている。第1部分流路は、送出部513から第2放熱部材317までの範囲の流路である。
第2部分流路は、第2部分ダクト532によって形成されている。第2部分流路は、第1部分流路と交差し、第2放熱部材317から排出口241までの範囲の流路である。
このような構成によれば、排出口241が上記仮想線VLに対して外れた位置に設けられていても、第2流路が第2部分流路を含むことによって、第2流路を流通した冷却気体を排出口241から外装筐体2の外部に排出できる。従って、外装筐体2における排出口241のレイアウト自由度を高めることができる。
【0080】
[実施形態の変形]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記実施形態では、第1冷却対象は、無線通信装置4であり、第2冷却対象は、波長変換素子316の熱を放熱する第2放熱部材317であるとした。しかしながら、これに限らず、第1ファン51によって冷却気体が、第1面と第1面とは異なる第2面とに流通する第1冷却対象は、他の部材及び装置であってもよい。また、第2冷却対象は、例えば光源311からの熱を放熱する第1放熱部材312であってもよく、他の部材及び装置であってもよい。更に、第2冷却対象は、第1冷却対象に対する冷却気体の下流に設けられていなくてもよい。
【0081】
上記実施形態では、第1流路を構成する第1ダクト52は、背面22の内面と、スピーカーユニット6のスピーカー筐体61と、無線通信装置4の第1面411とによって構成されるとした。しかしながら、これに限らず、第1ダクト52は、第1吸気口264及び連通口2CA1のうち少なくともいずれかと第1ファン51の吸気部511とを接続するダクト部材と、無線通信装置4の第1面411とを含んで構成されてもよい。すなわち、第1ダクト52は、スピーカーユニット6以外の部材又は装置によって構成されていてもよい。
【0082】
上記実施形態では、第1冷却対象である無線通信装置4において、第1流路を構成する第1面411は、-Z方向を向く面であり、第2流路を構成する第2面412は、+Z方向を向く面であるとした。しかしながら、これに限らず、第1面と第2面とが互いに異なる面であれば、第1面及び第2面のそれぞれは、無線通信装置4の筐体41において他の方向を向く面であってもよい。例えば、第1面は、-Z方向を向く面であり、第2面は、-Y方向を向く面であってもよい。
【0083】
上記実施形態では、第1ファン51によって吸引される外気は、第1吸気口264と連通口2CA1のうち少なくともいずれかを流通して外装筐体2の内部に導入された気体であるとした。すなわち、本開示における導入口は、第1吸気口264及び連通口2CA1であるとした。しかしながら、これに限らず、第1吸気口264及び連通口2CA1のうち、一方は無くてもよい。また、本開示における導入口は、第1冷却対象の第1面が対向する内面とは異なる内面を有する外面に設けられていてもよい。例えば、導入口は、右側面23、左側面24及び天面25のうちのいずれかに設けられていてもよい。
【0084】
上記実施形態では、第2放熱部材317の発熱量は、無線通信装置4の発熱量よりも大きいとした。すなわち、第2流路において、下流側の第2冷却対象の発熱量は、上流側の第1冷却対象の発熱量よりも大きいとした。しかしながら、これに限らず、第2冷却対象の発熱量は、第1冷却対象の発熱量よりも小さくてもよく、第1冷却対象の発熱量と同じであってもよい。
【0085】
上記実施形態では、第2ダクト53の第1部分ダクト531は、直線状に形成され、第2流路において第1部分ダクト531によって形成される第1部分流路は、直線状に延在しているとした。しかしながら、これに限らず、第1冷却対象の第2面に冷却気体が流通し、かつ、第2面を流通した冷却気体が第2冷却対象に流通すれば、第1部分流路は、必ずしも直線状でなくてもよい。
【0086】
上記実施形態では、無線通信装置4は、第1ファン51及び第2ダクト53に対して、画像形成ユニット35とは反対側に配置されているとした。詳述すると、無線通信装置4は、第1ファン51、第2ダクト53、色分離光学系33に対して、画像形成ユニット35とは反対側に配置されているとした。すなわち、無線通信装置4と画像形成ユニット35との間には、第1ファン51、第2ダクト53及び色分離光学系33が配置されているとした。しかしながら、第1冷却対象である無線通信装置4と画像形成ユニット35との位置関係は、上記に限定されず、例えば互いに隣り合う位置に配置されていてもよい。
【0087】
上記実施形態では、第2流路を流通した冷却気体が排出される排出口241は、第1ファン51の送出部513から第2放熱部材317に向かう仮想線VLに対して外れた位置に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、排出口241は、第1ファン51の送出部513から第2放熱部材317に向かう仮想線VL上に設けられていてもよい。また、排出口241は、左側面24に限らず、例えば天面25等の他の面に設けられていてもよい。
【0088】
上記実施形態では、プロジェクター1は、3つの光変調装置352R,352G,352Bを備えるとした。しかしながら、これに限らず、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調装置を備えるプロジェクターにも、本開示の内容を適用可能である。
上記実施形態では、画像投射装置3は、図4に示したように+Y方向から見て略L字状に構成されていた。しかしながら、これに限らず、画像投射装置3の構成及びレイアウトは、上記に限定されず、例えば略U字状に構成されていてもよい。
【0089】
上記実施形態では、光変調装置352は、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルを備えるとした。しかしながら、これに限らず、光変調装置は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルを備えていてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調装置であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
【0090】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
画像光を投射するプロジェクターであって、
第1壁と、外気を冷却気体として内部に導入する導入口と、内部を流通した前記冷却気体を排出する排出口と、を有する外装筐体と、
前記第1壁の内面に沿って前記外装筐体の内部に配置された第1冷却対象と、
前記冷却気体を吸引する吸気部、及び、吸引した前記冷却気体を送出する送出部を有し、前記外装筐体の内部に設けられた冷却ファンと、
前記導入口と前記吸気部との間に前記冷却気体が流通可能に形成され、前記第1冷却対象の第1面によって少なくとも一部が構成される第1流路と、
前記送出部と前記排出口との間に前記冷却気体が流通可能に形成され、前記第1冷却対象における前記第1面とは異なる第2面によって少なくとも一部が構成される第2流路と、を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0091】
このような構成によれば、第1冷却対象における第1面と、第1面とは異なる第2面とのそれぞれに、冷却気体を流通させることができる。このため、第1面及び第2面のそれぞれを流通する冷却気体によって第1冷却対象を冷却できるので、第1冷却対象の冷却効率を高めることができる。従って、第1冷却対象を効果的に冷却できるので、プロジェクターの大型化を抑制できる他、冷却ファンの回転速度を増加させた場合に伴う消費電力の増加、電源系の発熱量の増大、及び、冷却ファンによる騒音の増大を抑制できる。
【0092】
[付記2]
付記1に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1壁の内面は、前記第1流路を構成する前記第1面と対向する、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、第1流路は、第1壁の内面と第1冷却対象の第1面との間に形成されるので、プロジェクターの大型化を抑制できる。
【0093】
[付記3]
付記1又は付記2に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1壁の内面は、前記第1流路を構成する前記第1面に対向し、
前記外装筐体は、前記第1壁と連続し、かつ、前記第1壁に交差した第2壁を有し、
前記導入口の少なくとも一部は、前記第2壁に設けられている、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、第1壁の内面に沿って流通した冷却気体を、第1壁に沿って配置された第1冷却対象において第1壁の内面に対向する第1面に流通させやすくすることができる。従って、第1冷却対象の冷却効率を高めることができる。
【0094】
[付記4]
付記1から付記3のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記第2流路において前記第1冷却対象に対する前記冷却気体の下流に設けられた第2冷却対象を備える、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、共通の冷却ファンによって、第1冷却対象だけでなく、第2冷却対象も冷却できる。従って、第2冷却対象を冷却する冷却ファンを、第1冷却対象を冷却する冷却ファンとは別に設ける場合に比べて、プロジェクターの構成が複雑化することを抑制できる他、プロジェクターが大型化することを抑制できる。
【0095】
[付記5]
付記4に記載のプロジェクターにおいて、
前記第2冷却対象の発熱量は、前記第1冷却対象の発熱量よりも大きい、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、発熱量が少ない第1冷却対象が、冷却ファンによって送出された冷却気体によって第2冷却対象よりも先に冷却される。これにより、第2冷却対象にも温度が比較的低い冷却気体を流通させることができる。従って、発熱量が異なる第1冷却対象及び第2冷却対象を効率よく冷却できる。
【0096】
[付記6]
付記5に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1冷却対象は、無線通信装置である、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、無線通信装置を効率よく冷却できる。
【0097】
[付記7]
付記5又は付記6に記載のプロジェクターにおいて、
光を出射する光源装置と、
前記光源装置の熱を放熱する放熱部材と、を備え、
前記第2冷却対象は、前記放熱部材である、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、放熱部材を効率よく冷却でき、ひいては、光源装置を効率よく冷却できる。
【0098】
[付記8]
付記4から付記7のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記第2面は、前記第1冷却対象において前記第1面とは反対側に設けられ、
前記冷却ファンは、前記第1冷却対象に対して前記第1面から前記第2面に向かう方向に配置され、
前記第2流路において前記送出部から前記第2冷却対象までの範囲の流路は、直線状に延在する、
ことを特徴とするプロジェクター。
【0099】
ここで、冷却ファンから送出された冷却気体が、第1冷却対象の第1面と第2面とに流通した後に第2冷却対象に流通する構成では、冷却ファン、第1冷却対象及び第2冷却対象が冷却ファンの冷却気体の送出方向に並んだ配置となる。このような構成では、当該送出方向におけるプロジェクターの寸法が大きくなり、プロジェクターの小型化が阻害される。
また、第1冷却対象の第1面と第2面とに流通した冷却気体を冷却ファンが吸引し、冷却ファンによって送出された冷却気体が第2冷却対象に流通する構成では、冷却気体が第1面及び第2面のそれぞれに流通するための隙間を設ける必要がある。このような構成では、第1冷却対象と第2冷却対象とを上記送出方向に対する直交方向に並べると、当該送出方向におけるプロジェクターの寸法は小さくなるものの、当該直交方向におけるプロジェクターの寸法が大きくなる。一方、当該直交方向に沿って見て第1冷却対象と第2冷却対象とが重ならないように、第1冷却対象と第2冷却対象とを上記送出方向に沿って互いに離間させると、第2流路の流路幅によっては、当該直交方向におけるプロジェクターの寸法は小さくなるものの、上記送出方向におけるプロジェクターの寸法が大きくなる。
【0100】
これに対し、上記構成によれば、冷却ファンによって吸引される冷却気体が、第1冷却対象の第1面に沿って流通し、冷却ファンから送出された冷却気体が、直線状に延出した第2流路を流通して、第1冷却対象の第2面に沿って流通した後、第2冷却対象に流通する。これによれば、冷却ファンによって吸引される冷却気体が第2面に沿って流通するための隙間を設ける必要がない。従って、プロジェクターの上記直交方向の寸法が大きくなることを抑制でき、プロジェクターの大型化を抑制できる。
【0101】
[付記9]
付記8に記載のプロジェクターにおいて、
入射する光を変調する光変調装置を含み、前記画像光を形成する画像形成ユニットを備え、
前記第1冷却対象は、前記冷却ファンと前記第2流路に対して前記画像形成ユニットとは反対側に配置されている、
ことを特徴とするプロジェクター。
ここで、画像形成ユニットは、入射する光を遮蔽する場合には、熱源となる。
これに対し、第1冷却対象と画像形成ユニットとの間に、冷却ファン及び第2流路が配置されるので、第1冷却対象は、冷却ファン及び第2流路によって画像形成ユニットと熱的に遮断される。これにより、画像形成ユニットの熱の影響が第1冷却対象に及ぶことを抑制できる。
【0102】
[付記10]
付記8又は付記9に記載のプロジェクターにおいて、
前記排出口は、前記送出部から前記第2冷却対象に向かう仮想線に対して外れた位置に設けられ、
前記第2流路は、
前記送出部から前記第2冷却対象までの範囲の第1部分流路と、
前記第1部分流路と交差し、前記第2冷却対象から前記排出口までの範囲の第2部分流路と、を含む、
ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、排気口が上記仮想線に対して外れた位置に設けられていても、第2流路が第2部分流路を含むことによって、第2流路を流通した冷却気体を排出口から外装筐体の外部に排出できる。従って、外装筐体における排出口のレイアウト自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0103】
1…プロジェクター、2…外装筐体、21…正面、22…背面(第1壁)、23…右側面、24…左側面、241,242…排出口、25…天面、26…底面(第2壁)、264…第1吸気口(導入口)、2A…アッパーケース、2B…ロアーケース、2C…ファブリックユニット、2CA1…連通口(導入口)、3…画像投射装置、31…光源装置、311…光源、312…第1放熱部材、313…拡散透過部、314…光分離部、315…第1集光素子、316…波長変換素子、317…第2放熱部材(第2冷却対象)、318…第2集光素子、319…拡散反射素子、32…均一化光学系、321,322…レンズアレイ、323…偏光変換素子、324…重畳レンズ、33…色分離光学系、331,332…ダイクロイックミラー、333…反射ミラー、34…リレー光学系、341…入射側レンズ、342,344…反射ミラー、343…リレーレンズ、35…画像形成ユニット、351…フィールドレンズ、352,352B,352G,352R…光変調装置、353…色合成部、36…光学部品用筐体、37…投射光学装置、4…無線通信装置(第1冷却対象)、41…筐体、411…第1面、412…第2面、413…第3面、414…第4面、415…第5面、416…第6面、417…端子、5…冷却装置、51…第1ファン、511,512…吸気部、513…送出部、52…第1ダクト、53…第2ダクト、54…第2ファン、55…第3ファン、551…送出口、56…第3ダクト、6…スピーカーユニット、61…スピーカー筐体、62…第1放音部、63,64…第2放音部、65…多孔質部材、66…封止材、CA…光源用筐体、VL…仮想線。
図1
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図12