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  • 特開-足元位置認識方法 図1
  • 特開-足元位置認識方法 図2
  • 特開-足元位置認識方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172554
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】足元位置認識方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241205BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090343
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角間 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岡 雄平
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FE13
5C054HA19
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA64
5L096FA69
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】バウンディングボックスを用いてカメラ画像に含まれる人物の足元位置を認識する場合において、この認識の誤差を低減する。
【解決手段】カメラ画像に含まれる人物の足元の位置を認識する方法が提供される。この方法では、まず、カメラ画像が取得される。カメラ画像にはカメラの画角の範囲に存在する歩行面と、この画角の範囲に存在する人物とが含まれる。続いて、カメラ画像に含まれる人物を囲む矩形のバウンディングボックスが付与される。続いて、左方及び右方距離が計算される。左方及び右方距離は、カメラ画像において基準座標からバウンディングボックスの左下及び右下の頂点の座標までの各距離を示す。基準座標は、歩行面とカメラの光軸が交わる位置に対応する座標を示す。右方及び左方距離のうち短い距離を有する頂点の座標が、バウンディングボックスにより囲まれた人物の足元位置として推定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ画像に含まれる人物の足元の位置を認識する方法であって、
前記カメラ画像を取得するステップであって、前記カメラ画像にはカメラの画角の範囲に存在する歩行面と、前記画角の範囲に存在する人物とが含まれるステップと、
前記カメラ画像に含まれる人物を囲む矩形のバウンディングボックスを付与するステップと、
前記カメラ画像において前記歩行面と前記カメラの光軸が交わる位置に対応する座標を示す基準座標から前記バウンディングボックスの左下の頂点の座標までの距離を示す左方距離と、前記カメラ画像において前記基準座標から前記バウンディングボックスの右下の頂点の座標までの距離を示す右方距離と、を計算するステップと、
前記右方距離及び前記左方距離のうち短い距離を有する頂点の座標を、前記バウンディングボックスにより囲まれた人物の足元位置として推定するステップと、
を含む
ことを特徴とする足元位置認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ画像に含まれる人物の足元の位置を認識する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-067469号公報は、カメラの位置又は任意の位置から当該カメラに写った被写体までの距離を推定する方法を開示する。この従来の方法では、まず、被写体(人物)が写る画像が取得される。続いて、この画像における被写体の表示領域を囲む矩形のバウンディングボックスが付与され、被写体の足元位置が推定される。足元位置は、バウンディングボックスの下辺の中心座標から推定される。カメラの位置又は任意の位置から被写体までの距離は、この足元位置を変数とする推定モデルを用いて推定される。
【0003】
本開示に関連する技術分野の技術水準を示す文献としては、特開2021-067469号公報の他に、特許第6397354号公報及び特開2021-056717号公報を例示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-067469号公報
【特許文献2】特許第6397354号公報
【特許文献3】特開2021-056717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、バウンディングボックスの下辺の中点を人物の足元位置と推定した場合、カメラ画像内の人物の座標によってはこの足元位置の認識に誤差が生じることがある。よって、この認識の誤差を低減するための改良が求められる。
【0006】
本開示の1つの目的は、バウンディングボックスを用いてカメラ画像に含まれる人物の足元位置を認識する場合において、この認識の誤差を低減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、カメラ画像に含まれる人物の足元の位置を認識する方法であり、次の特徴を有する。
前記方法は、
前記カメラ画像を取得するステップであって、前記カメラ画像にはカメラの画角の範囲に存在する歩行面と、前記画角の範囲に存在する人物とが含まれるステップと、
前記カメラ画像に含まれる人物を囲む矩形のバウンディングボックスを付与するステップと、
前記カメラ画像において前記歩行面と前記カメラの光軸が交わる位置に対応する座標を示す基準座標から前記バウンディングボックスの左下の頂点の座標までの距離を示す左方距離と、前記カメラ画像において前記基準座標から前記バウンディングボックスの右下の頂点の座標までの距離を示す右方距離と、を計算するステップと、
前記右方距離及び前記左方距離のうち短い距離を有する頂点の座標を、前記バウンディングボックスにより囲まれた人物の足元位置として推定するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
右方距離よりも左方距離の方が短い場合は、バウンディングボックスにより囲まれた人物がカメラ画像の右側に位置している可能性が高い。反対に、左方距離よりも右方距離の方が短い場合は、バウンディングボックスにより囲まれた人物がカメラ画像の左側に位置している可能性が高い。また、カメラ画像の右側に位置する人物の足元はバウンディングボックスの下辺の中点の座標よりも左側に寄る傾向があり、カメラ画像の左側に位置する人物の足元は、この中点よりも右側に寄る傾向がある。本開示はこの特徴に着目したものである。本開示によれば、バウンディングボックスの右下又は左下の頂点の座標のうち、基準座標からの距離が短い頂点の座標を人物の足元位置と推定することができる。従って、バウンディングボックスの下辺の中点の座標を足元位置と認識する場合に比べて、認識の誤差の低減が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る足元位置認識方法を説明する図である。
図2】従来の足元位置認識方法の一例を説明する図である。
図3】実施形態に係る方法を図2に示したカメラ画像に適用した場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。尚、各図において、同一又は相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化し又は省略する。
【0011】
実施形態に係る足元位置認識方法(以下、単に「方法」とも称す。)は、コンピュータ処理により実現される。コンピュータには、CCDカメラが有線又は無線で接続されている。CCDカメラは、例えば、信号機、歩道橋といった道路構造物、商業施設、駐車場、工場などの各種施設に設けられるインフラカメラである。インフラカメラは、道路構造物や施設の天井、支柱、壁面などに取り付けられ、事前に設定された範囲を撮像する。事前に設定された範囲には、カメラの周囲に存在する道路、床などの平坦面が含まれている。この平坦面は、CCDカメラの周囲に存在する人物が歩行可能な歩行面でもある。
【0012】
図1は、実施形態に係る方法を説明する図である。図1に示されるように、実施形態に係る方法では、まず、カメラ画像IMGが取得される(ステップS1)。カメラ画像IMGは、CCDカメラから取り込まれた画像、又は、この画像に対して所定のフィルタを用いた前処理を行った後の画像である。この前処理は、CCDカメラに付属の画像処理装置で行われてもよいし、実施形態に係る方法を実現するコンピュータにより行われてもよい。図1には、CCDカメラの画角の範囲に存在する歩行面GRと、この歩行面GR上に存在する人物(歩行者)PD1及びPD2とを含むカメラ画像IMGが模式的に描かれている。
【0013】
ステップS1の処理に続いて、カメラ画像IMGに含まれる物体を囲む矩形のバウンディングボックスBBが付与される(ステップS2)。この処理では、カメラ画像IMGを入力とする物体検出により、物体(図1に示される例では、人物PD1及びPD2)を囲む部分にバウンディングボックスBB1及びBB2が付与(割り当て)される。バウンディングボックスを用いた画像内の物体検出技術は公知技術であり、本明細書での詳細な説明については省略する。
【0014】
ステップS2の処理に続いて、左方距離DLと右方距離DRが計算される(ステップS3)。この処理に際しては、基準座標RCが用いられる。基準座標RCは、カメラ画像IMGにおけるCCDカメラの光軸と歩行面GRが交わる位置に対応する座標である。CCDカメラの光軸と歩行面GRが交わる位置は、CCDカメラの設置の際に特定できる。首振り機能を有するCCDカメラの場合、基準座標RCは、CCDカメラ上下及び左右方向の回転角に応じて微調整してもよい。左方距離DLは、カメラ画像IMGにおける基準座標RCからバウンディングボックスBBの左下の頂点の座標までの距離であり、右方距離DRは当該基準座標RCから当該バウンディングボックスBBの右下の頂点の座標までの距離である。
【0015】
左方距離DLと右方距離DRは、バウンディングボックスBBごとに計算される。図1に示される例では、バウンディングボックスBB1について左方距離DL1及び右方距離DR1が計算されている。また、バウンディングボックスBB2について左方距離DL1及び右方距離DR1が計算されている。
【0016】
ステップS3の処理に続いて、人物PDの足元位置の推定が行われる(ステップS4)。この処理では、まず、左方距離DLと右方距離DRが比較される。この比較は、バウンディングボックスBBごとに計算される。そして、左方距離DLと右方距離DRのうち、短い距離を有する頂点の座標が、バウンディングボックスBBにより囲まれた人物PDの足元位置として推定される。
【0017】
図1に示される例では、バウンディングボックスBB1の左方距離DL1<右方距離DR1である。そのため、人物PD1の足元位置は、バウンディングボックスBB1の左下の頂点の座標であると推定されることになる。一方、バウンディングボックスBB2の左方距離DL2>右方距離DR2である。そのため、人物PD2の足元位置は、バウンディングボックスBB2の右下の頂点の座標であると推定されることになる。
【0018】
図2-3は、実施形態に係る方法をより具体的に説明する図である。図2は、従来の方法の一例を説明する図であり、図3は、実施形態に係る方法を図2に示したカメラ画像に適用した場合を説明する図である。
【0019】
図2に示される例では、カメラ画像IMGに含まれる各人物にバウンディングボックスBB1~5がそれぞれ割り当てられている。バウンディングボックスBB1の下辺の中心位置CLH_B1は、このバウンディングボックスBB1によって囲まれる人物の足元位置として推定される。中心位置CLH_B1同様、中心位置CLH_B2-CLH_B5は、それぞれ、バウンディングボックスBB2-BB5によって囲まれる人物の足元位置として推定される。
【0020】
ここで着目すべきは、バウンディングボックスBB2によって囲まれる人物の実際の足元位置と、中心位置CLH_B2との間にズレが生じていることである。また、僅かではあるが、バウンディングボックスBB3-BB4によって囲まれる人物の実際の足元位置も、中心位置CLH_B3、CLH_B4に比べてそれぞれズレている。
【0021】
この点、図3に示される例では、バウンディングボックスBB2によって囲まれる人物の足元位置が、バウンディングボックスBB2の左下の頂点位置LLH_B2と推定される。また、バウンディングボックスBB3及びBB4によってそれぞれ囲まれる人物の足元位置が、各バウンディングボックスの左下の頂点位置LLH_B3及びLLH_B4と推定される。また、バウンディングボックスBB1及びBB5によってそれぞれ囲まれる人物の足元位置が、各バウンディングボックスBBの右下の頂点位置LLH_B1及びLLH_B5と推定される。
【0022】
図3の説明においては、全て、各バウンディングボックスBBについて左方距離DLと右方距離DRが計算され、これらの比較の結果に基づいて各バウンディングボックスBBによってそれぞれ囲まれる人物の足元位置が推定されている。尚、図3には明示されていないが、基準座標RCは、バウンディングボックスBB1の右方、かつ、バウンディングボックスBB3の左方に位置している。
【0023】
右方距離DRよりも左方距離DLの方が短い場合は、バウンディングボックスBBにより囲まれた人物がカメラ画像IMGの右側に位置している可能性が高い。反対に、左方距離DLよりも右方距離DRの方が短い場合は、バウンディングボックスBBにより囲まれた人物がカメラ画像IMGの左側に位置している可能性が高い。また、カメラ画像IMGの右側に位置する人物の足元はバウンディングボックスBBの下辺の中点の座標よりも左側に寄る傾向があり、カメラ画像IMGの左側に位置する人物の足元は、この中点よりも右側に寄る傾向がある。
【0024】
この点、実施形態に係る方法によれば、バウンディングボックスBBの右下又は左下の頂点の座標のうち、右方距離DRと左方距離DLのうち距離が短い頂点の座標を人物PDの足元位置と推定するので、バウンディングボックスBBの下辺の中点の座標を足元位置と推定する場合に比べて、足元位置の推定の誤差の低減が期待される。このことは、足元位置の認識の精度の向上に繋がる。
【符号の説明】
【0025】
BB,BB1-BB5 バウンディングボックス
RC 基準座標
GR 歩行面
IMG カメラ画像
PD,PD1,PD2 人物
LLH_B1-LLH_B5,RLH_B1-RLH_B5 頂点位置
図1
図2
図3