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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172556
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241205BHJP
   B60S 5/00 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
G06Q50/10
B60S5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090345
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】秋下 耀介
(72)【発明者】
【氏名】坂大 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】堺 拓郎
【テーマコード(参考)】
3D026
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3D026BA02
3D026BA27
5L049CC17
5L050CC17
(57)【要約】
【課題】低粘度オイルの使用によって燃費が良くなる車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨する。
【解決手段】情報処理装置は、予め設定された設定地域毎に、複数の車両のデータに基づいて低粘度オイルの使用によって車両の燃費が良くなる設定条件を特定する制御部を備える。制御部は、設定地域において、低粘度オイルを使用していない車両のデータが設定条件を満たす場合、低粘度オイルを使用していない車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨するための通知処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された設定地域毎に、複数の車両のデータに基づいて低粘度オイルの使用によって車両の燃費が良くなる設定条件を特定する制御部を備え、
前記制御部は、
前記設定地域において、低粘度オイルを使用していない車両のデータが前記設定条件を満たす場合、前記低粘度オイルを使用していない車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨するための通知処理を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記低粘度オイルを使用した場合の車両の燃費から高粘度オイルを使用した場合の車両の燃費を差し引いて燃費差を算出し、前記燃費差が大きくなる車両の環境条件及び走行条件を特定することにより前記設定条件を特定し、
前記低粘度オイルを使用していない車両の環境データ及び走行データが前記設定条件を満たす場合、前記通知処理を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記低粘度オイルを使用していない車両の環境データ及び走行データが前記設定条件を満たす場合であっても、前記低粘度オイルを使用していない車両の走行データがエンジン劣化を引き起こす条件を満たす場合、前記通知処理を実行しない、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記通知処理として、前記低粘度オイルを使用していない車両のユーザの端末装置に、前記低粘度オイルの使用を推奨する通知を前記通信部によって送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記通知処理として、エンジンオイルの販売店の端末装置に、前記低粘度オイルを使用していない車両のユーザの情報を前記通信部によって送信する、請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンオイルとして使用可能な低粘度オイルが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-344017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低粘度オイルの使用によって車両の燃費が良くなる場合、その車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨できれば、有用である。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、低粘度オイルの使用によって燃費が良くなる車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、予め設定された設定地域毎に、複数の車両のデータに基づいて低粘度オイルの使用によって車両の燃費が良くなる設定条件を特定する制御部を備える。前記制御部は、前記設定地域において、低粘度オイルを使用していない車両のデータが前記設定条件を満たす場合、前記低粘度オイルを使用していない車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨するための通知処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、低粘度オイルの使用によって燃費が良くなる車両のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
図2図1に示すシステムの動作例を示すシーケンス図である。
図3】設定条件の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、サーバ装置10と、複数の車両20とを含む。サーバ装置10と車両20とは、ネットワーク2を介して通信可能である。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む任意のネットワークであってよい。
【0011】
サーバ装置10は、情報処理装置である。サーバ装置10は、例えば、サーバとして機能するように構成された専用のコンピュータ、汎用のパーソナルコンピュータ又はクラウドコンピューティングシステム等である。
【0012】
サーバ装置10は、例えば、エンジンオイルの販売業者によって管理される。サーバ装置10は、複数の車両20のそれぞれに使用されるエンジンオイルの種類の情報を有する。車両20に低粘度オイルを使用すると、車両20の燃費が良くなる場合がある。車両20の燃費が良くなるとは、より少ない燃料量で車両20がより多くの距離を走行することである。
【0013】
ここで、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる度合いは、地域毎に異なる。例えば、市街地には、郊外と比較すると、多くの信号機が存在する。そのため、市街地では、郊外と比較すると、車両20が一時停止する頻度が多くなる。車両20が一時停止する頻度が多くなると、車両20のエンジンが始動する回数が多くなる。車両20のエンジンにかかる抵抗は、特に、エンジンの始動時に高くなる。車両20のエンジンにかかる抵抗が高くなると、車両20の燃費が悪化する。ここで、低粘度オイルを使用すると、車両20の始動時にエンジンにかかる抵抗を低くすることができる。つまり、市街地をより多く含む地域では、その他の地域よりも、低粘度オイルの使用により車両20の燃費が良くなる度合いが大きくなる。
【0014】
また、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる度合いは、車両20の環境条件及び走行条件の少なくとも何れかに依拠する。例えば、車両20の車速が変化すると、エンジンの回転数が変化する。エンジンの回転数が変化すると、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる度合いも変化する。
【0015】
そこで、サーバ装置10は、複数の設定地域のそれぞれ毎に、複数の車両20のデータに基づいて低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる設定条件を特定する。設定地域は、予め設定される。設定地域は、都道府県で設定されてもよいし、東北又は関東等の地方区分で設定されてもよい。また、サーバ装置10は、後述するように、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる車両20の環境情報及び走行情報を特定することにより、設定条件を特定する。さらに、サーバ装置10は、設定地域において、低粘度オイルを使用していない車両20のデータが設定条件を満たす場合、低粘度オイルを使用していない車両20のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨するための通知処理を実行する。このように設定地域毎に車両20の燃費が良くなる設定条件が特定されることにより、より的確に、設定地域において低粘度オイルを使用していない車両20のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨することができる。
【0016】
サーバ装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0017】
通信部11は、ネットワーク2に接続可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールである。通信部11は、通信モジュールによって有線LAN又は無線LANを介して、ネットワーク2に接続される。
【0018】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうちの少なくとも2種類の組み合わせを含んで構成される。記憶部12は、主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部12には、サーバ装置10の動作に用いられるデータと、サーバ装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。例えば、記憶部12には、複数の車両20のそれぞれに使用されるエンジンオイルの種類の情報が記憶される。
【0019】
制御部13は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。制御部13は、サーバ装置10の各部を制御しながら、サーバ装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0020】
車両20は、例えば、ガソリン自動車又はハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等の自動車である。ただし、車両20は、これらに限定されない。車両20は、エンジンを備えれば、任意の種類の自動車であってよい。
【0021】
車両20は、温度センサ21と、電子制御ユニット22と、車載機器30とを備える。
【0022】
温度センサ21は、車両20の周辺温度を検出可能である。車両20の周辺温度は、車両20の外気温度ともいう。温度センサ21の少なくとも一部は、車両20の車外に配置されてよい。
【0023】
電子制御ユニット22は、車両20のECU(Electronic Control Unit)である。電子制御ユニット22は、車両20の各種機能を制御する。
【0024】
車載機器30は、情報処理装置である。車載機器30は、例えば、ナビゲーション装置である。車載機器30は、通信部31と、測位部32と、出力部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。
【0025】
通信部31は、ネットワーク2に接続可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。
【0026】
通信部31は、温度センサ21及び電子制御ユニット22と通信可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成されてもよい。通信モジュールは、例えば、車載ネットワーク又は専用線の規格に対応した通信モジュールである。
【0027】
測位部32は、車載機器30が搭載される車両20の位置情報を取得可能である。測位部32は、衛星測位システムに対応する少なくとも1つの受信モジュールを含んで構成される。受信モジュールは、例えば、GPS(Global Positioning System)に対応した受信モジュールである。
【0028】
出力部33は、データを出力可能である。出力部33は、データを出力可能な少なくとも1つの出力用インタフェースを含んで構成される。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカ等である。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0029】
記憶部34の構成は、記憶部12の構成と同じ又は類似であってよい。記憶部34には、車載機器30の動作に用いられるデータと、車載機器30の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0030】
制御部35の構成は、制御部13の構成と同じ又は類似であってよい。制御部35は、車載機器30の各部を制御しながら、車載機器30の動作に関わる処理を実行する。
【0031】
(システムの動作)
図2は、図1に示すシステム1の動作例を示すシーケンス図である。
【0032】
S1及びS2の処理は、システム1に含まれる複数の車両20のうちの任意の車両20の車載機器30によって実行されてよい。
【0033】
S1の処理において、車載機器30では、制御部35は、車両20のデータを取得する。車両20のデータは、車両20の燃費に関連するデータであれば、任意のデータであってよい。本実施形態では、車両20のデータは、車両20の環境データ及び走行データを含む。
【0034】
車両20の環境データは、例えば、車両20の周辺温度の時系列データを含む。制御部35は、例えば、温度センサ21が検出した車両20の周辺温度のデータを通信部31によって逐次受信することにより、車両20の周辺温度の時系列データを取得する。
【0035】
車両20の走行データは、例えば、車両20の位置の時系列データ、車両20の速度の時系列データ、トリップ時間のデータ及びトリップ時間毎の燃費のデータを含む。これらのデータに加えて又は一部に代えて、車両20の走行データは、暖房装置の使用履歴のデータ、エンジンの冷却水の温度の時系列データ及びエンジンの回転数の時系列データを含んでもよい。エンジンの冷却水の温度は、いわゆるエンジン水温である。トリップ時間は、出発地から目的地まで車両20が走行した時間である。車両20の燃費は、燃料の単位容量当たりの車両20の走行距離である。制御部35は、例えば、測位部32から車両20の位置情報を逐次取得することにより、車両20の位置の時系列データを取得する。制御部35は、例えば、通信部31を介して電子制御ユニット22と通信することにより、車両20の速度の時系列データ、トリップ時間のデータ及びトリップ時間毎の燃費のデータを取得する。制御部35は、例えば、通信部31を介して電子制御ユニット22と通信することにより、暖房装置の使用履歴のデータ、エンジンの冷却水の温度の時系列データ及びエンジンの回転数の時系列データを取得する。
【0036】
S2の処理において、制御部35は、車両20のデータを、ネットワーク2を介してサーバ装置10に通信部31によって送信する。
【0037】
S3の処理において、サーバ装置10では、制御部13は、ネットワーク2を介して車両20から、車両20のデータを通信部11によって受信する。制御部13は、受信した車両20のデータを記憶部12に記憶させる。
【0038】
S1からS3までの処理は、所定期間、繰り返し実行されてよい。所定期間は、システム1に含まれる複数の車両20の走行頻度等に基づいて設定されてよい。S1からS3までの処理が繰り返し実行されることにより、サーバ装置10の記憶部12には、複数の車両20のデータが蓄積される。
【0039】
S4の処理において、サーバ装置10では、制御部13は、記憶部12に蓄積された車両20のデータを取得する。制御部13は、取得した車両20のデータに基づいて、設定地域毎に、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる設定条件を特定する。以下、この処理の一例について説明する。
【0040】
制御部13は、設定地域毎に、低粘度オイルを使用した場合の車両20の燃費から高粘度オイルを使用した場合の車両20の燃費を差し引いくことにより、車両20における燃費差を算出する。ここで、高粘度オイルは、低粘度オイルよりも粘度が高いものであれば、任意の粘度のエンジンオイルであってよい。高粘度オイルは、使用が推奨される低粘度オイルに応じて、選択されてよい。例えば、SAE(Society of Automotive engineers)の粘度区分における0W-8のエンジンオイルが、使用が推奨される低粘度オイルであるものとする。この場合、制御部13は、0W-16のエンジンオイルを高粘度オイルとして車両20における燃費差を算出してもよいし、0W-20のエンジンオイルを高粘度オイルとして車両20における燃費差を算出してもよい。制御部13は、記憶部12に記憶された複数の車両20のそれぞれに使用されるエンジンオイルの種類の情報によって、低粘度オイルを使用している車両20と、高粘度オイルを使用している車両20とを区別してよい。また、制御部13は、車両20の走行データに含まれる車両20の位置の時系列データによって、設定地域を走行する車両20を特定してよい。
【0041】
車両20における燃費差が大きいほど、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる度合いが大きくなる。
【0042】
そこで、制御部13は、車両20における燃費差が大きくなる車両20の環境条件及び走行条件を特定することにより、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる設定条件を特定する。例えば、制御部13は、記憶部12に蓄積された車両20の環境データ及び走行データをデータ群に分ける。制御部13は、記憶部12に記憶されたエンジンオイルの種類の情報に基づいて、それぞれのデータ群で燃費差を算出することにより、車両20における燃費差が大きくなる車両20の環境条件及び走行条件を特定する。
【0043】
例えば、制御部13は、図3に示すように、設定条件を特定する。図3では、設定条件は、「aaa」及び「bbb」との設定地域毎に特定される。「aaa」との設定地域では、燃費差が大きくなる設定条件として、条件Aが特定される。条件Aでは、車両20の環境条件として、温度Ta1から温度Ta2までの周辺温度の範囲が特定される。条件Aでは、車両20の走行条件として、速度Ra1から速度Ra2までの車速の範囲が特定される。「bbb」との設定地域では、燃費差が大きくなる設定条件として、条件Bが特定される。条件Bでは、車両20の環境条件として、温度Tb1から温度Tb2までの周辺温度の範囲が特定される。条件Bでは、車両20の走行条件として、速度Rb1から速度Rb2までの車速の範囲が特定される。
【0044】
S4の処理において、制御部13は、車両20の車種毎に、設定条件を特定してもよい。車両20の車種によって、エンジンの構造等が異なる。そのため、車両20の車種毎に設定条件が特定されることにより、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる設定条件を精度良く特定することができる。
【0045】
S4の処理後、S5及びS6の処理が実行される。S5及びS6の処理は、システム1に含まれる複数の車両20のうちの任意の車両20の車載機器30によって実行されてよい。車載機器30は、S1及びS2の処理と同じ又は類似に、S5及びS6の処理を実行する。
【0046】
S7の処理において、サーバ装置10では、制御部13は、ネットワーク2を介して複数の車両20から、車両20のデータを通信部11によって受信する。
【0047】
S8の処理において、制御部13は、記憶部12のエンジンオイルの種類の情報を参照し、S7の処理でデータを受信した複数の車両20のうちで、低粘度オイルを使用していない車両20を特定する。以下、特定された低粘度オイルを使用していない車両20は、「車両20A」とも記載される。制御部13は、S7の処理で受信した車両20Aのデータが設定条件を満たす場合、通知処理を実行する。本実施形態では、制御部13は、車両20Aの環境データ及び走行データが設定条件を満たす場合、通知処理を実行する。
【0048】
例えば、制御部13は、車両20Aの走行データに含まれる車両20の位置の時系列データによって、車両20Aが走行する設定地域が図3に示すような「aaa」であると特定したものとする。また、車両20Aの走行データに含まれる車速が速度Ra1からRa2の範囲にあり、且つ車両20Aの環境データに含まれる外気温度が温度Ta1からTa2の範囲にあるものとする。この場合、制御部13は、車両20Aの環境データ及び走行データが図3に示すような条件Aを満たすと判定する。
【0049】
通知処理の一例として、制御部13は、車両20Aのユーザの端末装置に、低粘度オイルの使用を推奨する通知をネットワーク2を介して通信部11によって送信してよい。車両20Aのユーザの端末装置は、スマートフォンであってもよいし、車両20Aに搭載された車載機器30であってもよい。車両20Aのユーザの端末装置は、サーバ装置10から低粘度オイルの使用を推奨する通知を受信すると、受信した通知を端末装置に表示させてよい。例えば、車両20Aのユーザの端末装置が車載機器30である場合、制御部35は、低粘度オイルの使用を推奨する通知を出力部33のディスプレイに表示させる。このような通知処理が実行されることにより、車両20Aのユーザに、低粘度オイルの使用を推奨することができる。また、車両20Aのユーザが低粘度オイルの存在を知らない場合がある。この場合、通知処理が実行されることにより、車両20Aのユーザに低粘度オイルの存在を知らしめることができる。ここで、制御部13は、低粘度オイルの使用を推奨する通知とともに低粘度オイルの使用効果を示す情報を、車両20Aのユーザの端末装置に送信してもよい。低粘度オイルの使用効果を示す情報は、例えば、低粘度オイルの使用によって車両20Aの燃費が良くなる度合いを示す情報である。この場合、制御部13は、S1からS3の処理によって記憶部12に蓄積された走行データ及び環境データから、S7の処理で受信した車両20Aの環境データ及び走行データと類似するデータを取得する。制御部13は、取得した走行データ及び環境データによって車両20における燃費差を算出することにより、低粘度オイルの使用効果を示す情報を生成する。通知とともに低粘度オイルの使用効果を示す情報が車両20Aのユーザの端末装置に送信されることにより、車両20Aのユーザに、低粘度オイルの使用をより強く推奨することができる。
【0050】
通知処理の他の例として、制御部13は、エンジンオイルの販売店の端末装置に、車両20Aのユーザの情報を通信部11によって送信してよい。このような構成により、エンジンオイルの販売店を介して車両20Aのユーザに低粘度オイルの使用を推奨することができる。制御部13は、通知とともに上記低粘度オイルの使用効果を示す情報を、エンジンオイルの販売店の端末装置に送信してもよい。
【0051】
ここで、S8の処理において、制御部13は、車両20Aの環境データ及び走行データが設定条件を満たす場合であっても、S7の処理で受信した車両20Aの走行データがエンジン劣化を引き起こす条件を満たす場合、通知処理を実行しなくてもよい。エンジン劣化を引き起こす条件は、所定時間を超えるトリップ時間の走行回数が所定回数を超えるとの条件であってもよいし、所定速度を超える車速での走行頻度が所定頻度を超えるとの条件であってもよい。所定時間、所定回数、所定速度及び所定頻度は、エンジン劣化を考慮して設定されてよい。このように車両20Aの走行データがエンジン劣化を引き起こす条件を満たす場合に通知処理を実しないことにより、車両20のエンジンを保護することができる。
【0052】
このようにサーバ装置10では、制御部13は、設定地域毎に、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる設定条件を特定する。制御部13は、設定地域において、低粘度オイルを使用していない車両20のデータが設定条件を満たす場合、通知処理を実行する。上述したように、低粘度オイルの使用によって車両20の燃費が良くなる度合いは、地域毎に異なる。本実施形態では、設定地域毎に車両20の燃費が良くなる設定条件が特定されることにより、より的確に、設定地域において低粘度オイルを使用していない車両20のユーザに、低粘度オイルの使用を推奨することができる。
【0053】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、情報処理装置としてサーバ装置10が、設定地域毎に、複数の車両20のデータに基づいて低粘度オイルの使用によって車両の燃費が良くなる設定条件を特定するものとして説明した。また、サーバ装置10が、設定地域において、低粘度オイルを使用していない車両20のデータが設定条件を満たす場合、通知処理を実行するものとして説明した。ただし、任意の情報処理装置が、このような設定条件を特定し、通知処理を実行してよい。
【符号の説明】
【0055】
1:システム、2:ネットワーク、10:サーバ装置、11:通信部、12:記憶部、13:制御部、20:車両、21:温度センサ、22:電子制御ユニット、30:車載機器、31:通信部、32:測位部、33:出力部、34:記憶部、35:制御部
図1
図2
図3