(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172557
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090346
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 透
(72)【発明者】
【氏名】浅山 幹
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
(72)【発明者】
【氏名】千葉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅安
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】収容箱ごとに累積でのCO
2の合計排出量を算出する。
【解決手段】物品を収容して複数の拠点間を繰り返し搬送される収容箱に付されたID情報と、前記収容箱の前記拠点間の搬送の各々とを関連付けて記憶する記憶部と、前記収容箱ごとに累積でのCO
2合計排出量を算出する排出量算出部と、を含み、前記CO
2合計排出量は、前記記憶部に記憶された前記収容箱の前記搬送の履歴に基づいて算出された搬送時のCO
2排出量を含む、情報処理システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容して複数の拠点間を繰り返し搬送される収容箱に付されたID情報と、前記収容箱の前記拠点間の搬送の各々とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記収容箱ごとに累積でのCO2合計排出量を算出する排出量算出部と、
を含み、
前記CO2合計排出量は、前記記憶部に記憶された前記収容箱の前記搬送の履歴に基づいて算出された搬送時のCO2排出量を含む、情報処理システム。
【請求項2】
前記CO2合計排出量は、前記搬送時のCO2排出量と、前記収容箱の製造時のCO2排出量と、前記収容箱の洗浄時のCO2排出量との合計である、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記排出量算出部は、所定の期間、所定の範囲、又は所定の期間かつ範囲における前記CO2合計排出量を算出する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
ユーザによって前記所定の期間、前記所定の範囲、又は前記所定の期間かつ範囲が入力される入力部と、
前記ユーザの入力に対応する表示を行う表示部と、
をさらに備える、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記入力部は、前記所定の範囲に対して複数の前記所定の期間を入力可能である、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記入力部は、前記所定の期間に対して複数の前記所定の範囲を入力可能である、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記排出量算出部は、使い捨ての段ボール箱を前記収容箱に替えて使用した場合の累積でのCO2合計排出量をさらに算出する、請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記排出量算出部は、前記段ボール箱を使用した場合の累積でのCO2合計排出量と、前記収容箱を用いた場合の累積でのCO2合計排出量との差をCO2の排出削減量としてさらに算出する、請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理システムにさらに含まれる表示端末であって、
前記収容箱に付与されたID情報を読み取るためのID情報読み取り部と、
前記ID情報を読み取った前記収容箱のCO2合計排出量を表示する表示部と、
を備える、表示端末。
【請求項10】
前記表示部は、前記ID情報を読み取った前記収容箱による前記CO2の排出削減量をさらに表示する、請求項8に従属する請求項9に記載の表示端末。
【請求項11】
請求項8に記載の情報処理システムにさらに含まれる表示端末であって、
前記収容箱に付与されたID情報を読み取るためのID情報読み取り部と、
前記ID情報を読み取った前記収容箱による前記CO2の排出削減量を表示する表示部と、
を備える、表示端末。
【請求項12】
コンピュータを、
物品を収容して複数の拠点間を繰り返し搬送される収容箱に付されたID情報と、前記収容箱の前記拠点間の搬送の各々とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記収容箱ごとに累積でのCO2合計排出量を算出する排出量算出部と、
として機能させ、
前記CO2合計排出量に、前記記憶部に記憶された前記収容箱の前記搬送の履歴に基づいて算出された搬送時のCO2排出量を含ませるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品の流通の過程では、複数の物品を収容する収容箱が用いられる。例えば、物品を製造するメーカの倉庫から物流倉庫への物品の搬送、物流倉庫から販売店倉庫への物品の搬送などは、物品が収容箱に収容された状態で行われる。従来、このような収容箱としては、段ボール箱が用いられている。
【0003】
しかしながら、段ボール箱は、使い捨てであるため、環境負荷が高くなりやすい。そのため、環境負荷を低減することを目的として、繰り返し使用可能な合成樹脂製のコンテナを収容箱として用いることが検討されている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、パレット、通い箱、コンテナ、又はカゴ台車等の繰り返し利用可能な物品搬送部材が記載されている。また、特許文献1には、物品搬送部材を用いた物品の入出荷の際に、物品搬送部材に付与された識別情報を読み取ることで、物品の入出荷を管理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
収容箱を繰り返し使用するためには、物品の搬送後に空の収容箱を回収する作業が追加で必要となる。空の収容箱の回収には、トラック等の運搬車両が使用されるため、収容箱の回収の際にもCO2が排出される。
【0007】
そこで、繰り返し使用可能な収容箱を物品の搬送に用いた場合に、どの程度の環境負荷が発生しているかを可視化することが求められていた。
【0008】
本発明は、収容箱ごとに累積でのCO2の合計排出量を算出することが可能な技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点は、物品を収容して複数の拠点間を繰り返し搬送される収容箱に付されたID情報と、前記収容箱の前記拠点間の搬送の各々とを関連付けて記憶する記憶部と、前記収容箱ごとに累積でのCO2合計排出量を算出する排出量算出部と、を含み、前記CO2合計排出量は、前記記憶部に記憶された前記収容箱の前記搬送の履歴に基づいて算出された搬送時のCO2排出量を含む、情報処理システムに関する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、収容箱ごとに累積でのCO2の合計排出量を算出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の概要を説明するための図面である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る流通管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】搬送履歴テーブルの一例を示す説明図である。
【
図5】洗浄履歴テーブルの一例を示す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る情報端末の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る解析サーバの構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る解析サーバの動作の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
本発明の実施形態は、収容箱を用いて物品が搬送される物流システムに適用される。本発明の実施形態における収容箱は、複数の拠点間での物品の搬送に繰り返し利用可能である。以下、
図1を参照して、このような収容箱が用いられる本発明の一実施形態の概要を説明する。
【0014】
<概要>
図1は、本発明の実施形態の概要を説明するための図面である。
図1には、複数の拠点として、メーカ工場、メーカ倉庫、物流倉庫、販売店倉庫、店舗、及び収容箱回収場が示される。
【0015】
メーカ工場及びメーカ倉庫は、物品の製造業者であるメーカの拠点である。メーカ工場では物品が製造され、メーカ倉庫ではメーカ工場で製造された物品が保管される。物流倉庫は、物流業者の拠点である。物流倉庫ではメーカ倉庫から搬送された物品が保管される。販売店倉庫及び店舗は、店舗の運営業者の拠点である。販売店倉庫では物流倉庫から搬送された物品が保管され、店舗では物品が販売、消費、又は使用される。これらの拠点間での物品の搬送には、複数の物品を収容可能な収容箱50が用いられる。収容箱回収場は、物品の搬送に用いられた収容箱50の回収先となる拠点である。
【0016】
なお、
図1では、各拠点間で車両40(例えば、トラック)が収容箱50を搬送する例を示しているが、例えば、船舶、列車、航空機、又はドローンなどの他の移動体が収容箱50を搬送してもよい。
【0017】
(搬送の流れ)
メーカ工場で物品が製造され、製造された物品は、収容箱50に収容される。物品を収容した収容箱50は、車両40によってメーカ倉庫に搬送される。メーカ倉庫に搬送された収容箱50は、メーカ倉庫にて保管される。その後、収容箱50は、車両40によりメーカ倉庫から物流倉庫に搬送され、物流倉庫で保管される。さらに、収容箱50は、車両40により物流倉庫から販売店倉庫に搬送され、販売店倉庫での保管を経て店舗に搬送される。
【0018】
店舗では、収容箱50に収容されていた物品が収容箱50から取り出されて、又は収容箱50に収容されたまま販売される。収容された物品が店舗で販売等されて、空になった収容箱50は、店舗のスタッフなどによって折り畳まれ、所定の位置に保管される。
【0019】
その後、空になった収容箱50は、例えば、回収業者によって店舗から回収され、収容箱回収場に搬送される。収容箱回収場では、収容箱50は、回収業者によって選択的に洗浄又は廃棄されてもよい。さらに、収容箱50は、回収業者によって収容箱回収場からメーカ工場に搬送されることにより、最初に説明したメーカ工場に戻る。上述したサイクルの繰り返しにより、同一の収容箱50が繰り返し搬送に利用される。
【0020】
なお、上述した収容箱50の搬送の流れは一例である。収容箱50は、他の流れによって搬送されてもよい。例えば、店舗で空になった収容箱50は、販売店倉庫に戻された後、販売店倉庫から収容箱回収場に搬送されてもよい。また、
図1に記載した全ての拠点が存在する必要はない。例えば、店舗で空になった収容箱50は、店舗から物流倉庫に搬送された後、さらに、メーカ倉庫又はメーカ工場に搬送されてもよい。
【0021】
(収容箱の構成)
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る収容箱50の構成例について説明する。
【0022】
図2は、収容箱50の外観構成例である。
図2に示したように、収容箱50は、組み立てられた状態と、折り畳まれた状態の間で変形可能である。収容箱50は、組み立てられた状態では物品を収容する収容空間を有し、折り畳まれた状態では当該収容空間を有さない。ここで、
図2においては変形のために必要な構造を示す線を省略している。なお、収容箱50は、組み立てられた状態において、
図2に示したように直方体形状を有してもよいし、他の形状を有してもよい。また、収容箱50には、上述のように組み立てられた状態と、折り畳まれた状態の間で変形可能であり、さらに、収容箱50は開閉可能な窓が設けられていてもよい。または、収容箱50は、組立てられた状態で、少なくとも側面の1つを、収容箱50に収容された物品に影響を与えることなく、着脱や回動等により、開放することができるように構成されていてもよい。窓を開いた状態にした、又は少なくとも1つの側面を開放した収容箱50においては、収容箱50に収容された物品は外部から視認や出し入れが可能であり、収容箱50を店頭での展示用にも使用することができる。
【0023】
収容箱50に収容される物品の種類は特に限定されない。例えば、物品は、化粧品、飲食物、生活用品、娯楽用品、運動競技用品、事務用品、電子素子、医療品、又は衣服などであってもよい。
【0024】
また、本発明の実施形態による収容箱50には、各収容箱50を識別するID情報が付与されており、付与されたID情報を情報端末10の後述する読取部120で読み取ることが出来るように、ID情報提示部が備えられている。例えば、収容箱50には、ID情報が格納されているICチップ52がID情報提示部として埋め込まれていてもよい。他の例として、収容箱50には、バーコードまたは二次元コードなどの光学的に読み取り可能なコードがID情報提示部として付されていて、これらコードから収容箱50のID情報が読み取り可能であってもよい。
【0025】
収容箱50は、例えば、合成樹脂によって構成され得る。このような収容箱50は、段ボール箱と比較して耐用性が高いため、繰り返し利用可能である。また、このような収容箱50は、付着した汚れを洗浄により落し易い。なお、洗浄は、対象物から汚れを落とす処理であり、水又は洗剤などを用いて行われてもよく、水又は洗剤などを用いずに行われてもよい(エアー洗浄など)。
【0026】
(パレットに関して)
上述した収容箱50の搬送及び保管は、パレット単位で行われてもよい。パレットは、複数の収容箱50を載せることが可能な扁平な台である。当該パレットの利用に関連して、収容箱50の搬送及び店舗における収容箱50の利用には幾つかの方法が考えられる。以下に2つ例を挙げる。
【0027】
第1の方法例として、収容箱50に物品を収容したまま物品を展示する方法がある。すなわち、収容箱50に収容された物品が外部から視認可能、かつ取り出し可能となる収容箱50を用いることで、収容箱50を展示にも使用する方法である。第1の方法によれば、複数の収容箱50の搬入から物品の展示までを迅速に行うことが可能である。収容箱50は複数段で配置してもよい。この場合、搬送に用いたパレットごと複数の収容箱50を店舗に搬入し、そのまま展示してもよい。
【0028】
第2の方法例として、収容箱50から物品を取り出して、物品を棚などに陳列することにより物品を展示する方法がある。
【0029】
上述した方法以外にも、収容箱50を用いた搬送や展示の方法は各種考えられるが、いずれの方法においても、使用される段ボール箱の数が削減され、環境負荷を低減することが可能である。
【0030】
(流通管理に関して)
図1に示したように、本発明の一実施形態では、複数の情報端末10(互いを区別する場合は情報端末10A~10Fと称する)、流通管理装置20、及び解析サーバ30が情報処理システムとして実装されることで、多様な効果を奏することができる。例えば、収容箱50の企業間での共有、輸送最適化、及び荷待ち時間の削減などにより効率的な物流が実現され得る。また、収容箱50の回収又は洗浄の場所、洗浄のタイミング、搬送ルート最適化、及び収容箱50の個体管理などにより環境に資する収容箱50の循環が実現され得る。また、収容箱50の標準化に伴い、省人かつ省力での収容箱50の生産も実現され得る。以下、各情報端末10、流通管理装置20及び解析サーバ30の概要を説明する。
【0031】
情報端末10は、メーカ工場、メーカ倉庫、物流倉庫、販売店倉庫、店舗、及び収容箱回収場などの各拠点で利用される端末である。
図1では、メーカ工場で利用される情報端末10A、メーカ倉庫で利用される情報端末10B、物流倉庫で利用される情報端末10C、販売店倉庫で利用される情報端末10D、店舗で利用される情報端末10E、及び収容箱回収場で利用される情報端末10Fを示す。
【0032】
各情報端末10は、流通管理装置20と通信可能に接続される。例えば、情報端末10の各々は、有線又は無線の伝送路を含むネットワークを介して流通管理装置20に接続されてもよい。ネットワークは、インターネット、電話回線網、衛星通信網、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、又はWAN(Wide Area Network)などを含んでもよい。また、ネットワークは、IP-VPN(Internet Protocol-Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0033】
各情報端末10は、収容箱50の各々のID情報提示部からID情報を読み取り、読み取ったID情報を含む情報を流通管理装置20に送信する。具体的には、搬送元の拠点の情報端末10は、他の拠点に収容箱50を搬送する際に、搬送される収容箱50のID情報を読み取り、読み取ったID情報と搬送元の拠点を示す搬送元情報とを含む搬送情報を流通管理装置20に送信してもよい。また、搬送先の拠点の情報端末10は、他の拠点から収容箱50が搬送された際に、搬送された収容箱50のID情報を読み取り、読み取ったID情報と搬送先の拠点を示す搬送先情報とを含む搬送情報を流通管理装置20に送信してもよい。
【0034】
なお、情報端末10の各々の構成及び機能は、同一であってもよいし、異なってもよい。例えば、収容箱回収場で利用される情報端末10Fは、収容箱50の各々の洗浄又は廃棄の要否を判定する機能を有してもよい。また、情報端末10は、据え置き型の端末であってもよく、持ち運び可能な端末であってもよい。
図1では各拠点に情報端末10が1つずつ設けられる例を示すが、各拠点には複数の情報端末10が設けられてもよい。
【0035】
流通管理装置20は、収容箱50の流通の全般を管理する。具体的には、流通管理装置20は、情報端末10の各々から受信した収容箱50の搬送情報に基づいて収容箱50の各々が滞在している拠点、及び収容箱50の搬送履歴などを管理する。また、流通管理装置20は、収容箱50の各々が収容している物品の情報も管理してもよい。このような場合、流通管理装置20は、いずれの収容箱50を、いつ、どこへ、どの車両40によって搬送するかを指示する搬送指示を情報端末10の各々に送信することも可能である。
【0036】
解析サーバ30は、複数の拠点間を搬送される各収容箱50の搬送履歴に基づいて、各収容箱50の累積でのCO2合計排出量を算出する。収容箱50の累積でのCO2合計排出量とは、収容箱50による物品の搬送によって排出されたCO2の総量に、収容箱50の製造及び洗浄により排出されたCO2の量を加算したものである。具体的には、解析サーバ30は、収容箱50の製造時のCO2排出量と、収容箱50の洗浄に係るCO2排出量(収容箱50の洗浄1回あたりのCO2排出量に洗浄回数を乗算したもの。以下、洗浄時のCO2排出量ともいう)と、搬送履歴に基づいて算出された収容箱50の搬送によるCO2排出量(以下、搬送時のCO2排出量ともいう)とを合算することで、収容箱50の累積でのCO2合計排出量を算出する。これによれば、解析サーバ30は、繰り返し使用可能な収容箱50を物品の搬送に用いた場合にどの程度の環境負荷が発生しているかをCO2排出量による数値化にて可視化することが可能である。
【0037】
(背景)
近年、企業には、環境負荷削減、生物多様性、社会課題解決ビジネス、及び人権デューデリジェンスなどのESGやSDGsに対する取り組みが求められるようになっている。そこで、環境負荷を低減するために、メーカ工場から店舗への物品の搬送に使い捨ての段ボール箱ではなく、繰り返し使用可能な収容箱50を使用することが検討されている。しかしながら、収容箱50では、繰り返し使用するためには、店舗又は販売店倉庫から収容箱回収場への収容箱50の回収、及び場合によっては収容箱50の洗浄が新たに必要となる。そのため、使い捨ての段ボール箱から繰り返し使用可能な収容箱50に変更することで、環境負荷がどの程度低減されるのかを明確にすることが困難であった。そこで、収容箱50の使用による環境負荷を可視化することが求められていた。
【0038】
本発明の実施形態は、上記事情を一着眼点にして創作された。本発明の実施形態によれば、物品の搬送に繰り返し使用可能な収容箱50を用いた場合の環境負荷を累積でのCO2合計排出量として算出することが可能である。また、物品の搬送に使い捨ての段ボール箱を用いた場合の累積でのCO2合計排出量との比較によって、収容箱50によって環境負荷がどの程度削減されたのかを可視化することが可能である。以下、このような本発明の実施形態に係る流通管理装置20、情報端末10、及び解析サーバ30の構成を順次詳細に説明する。
【0039】
<流通管理装置の構成>
図3は、本発明の一実施形態に係る流通管理装置20の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る流通管理装置20は、通信部210と、記憶部220と、制御部250とを備える。
【0040】
通信部210は、情報端末10の各々とのインタフェースであり、情報端末10の各々から情報を受信する受信部、及び各情報端末10に情報を送信する送信部として機能する。例えば、通信部210は、情報端末10の各々から収容箱50のID情報を含む搬送情報を受信してもよい。また、通信部210は、制御部250の制御に基づいて情報端末10に収容箱50の搬送についての指示を送信することも可能である。
【0041】
記憶部220は、流通管理装置20の動作に用いられる多様な情報、及びテーブルなどを記憶する。制御部250は、流通管理装置20の動作全般を制御する。特に、本発明の一実施形態に係る制御部250は、情報端末10の各々から送信された搬送情報に基づいて、記憶部220が記憶する各種テーブルを管理及び更新する管理部として機能する。
【0042】
各種テーブルとしては、搬送履歴テーブル、及び洗浄履歴テーブルなどが挙げられる。搬送履歴テーブル、及び洗浄履歴テーブルは、収容箱50の使用履歴を示すテーブルの一例である。なお、各種テーブルは、それぞれ異なる装置により管理されてもよい。
【0043】
(搬送履歴テーブル)
図4は、搬送履歴テーブルの一例を示す説明図である。搬送履歴テーブルは、収容箱50の各々が拠点間を搬送された履歴を示すテーブルである。
図4に示すように、搬送履歴テーブルでは、ID情報と、搬送元情報と、搬送先情報と、搬送距離と、搬送車両情報と、道路種別とが関連付けられる。
【0044】
ID情報は、収容箱50のID情報である。搬送元情報は、収容箱50が拠点間を搬送された際の搬送元を示す。搬送先情報は、収容箱50が拠点間を搬送された際の搬送先を示す。搬送距離は、搬送元及び搬送先の間の距離を示す。搬送車両情報は、収容箱50の搬送に用いられた車両40の種類を示す。道路種別は、収容箱50が搬送された経路上の道路の種別を示す。なお、収容箱50を搬送する移動体が車両40ではない場合、搬送車両情報として、例えば、貨車又は船舶が設定され、道路種別として、例えば、鉄道、沿岸、又は外洋などが設定される。
【0045】
なお、車両40には、化石燃料を燃料とする内燃機関によってCO2を排出する車両と、例えば電気自動車などのようなCO2を排出しない車両とが存在する。そのため、収容箱50の搬送経路の中に、CO2を排出しない車両にて収容箱50を搬送した経路が存在する場合、該経路では搬送によるCO2排出量はゼロとなると考えられる。したがって、搬送履歴テーブルでは、車両40によるCO2排出の有無についての情報も上記情報と関連付けられてもよい。車両40によるCO2排出がない場合、後述するCO2排出係数をゼロとすることで、搬送によるCO2排出量をゼロとして算出することができる。
【0046】
また、搬送履歴テーブルでは、自動運転か否かの区別、及び上述した車両40によるCO2排出の有無についても上記情報と関連付けられてもよい。このような場合、後述するCO2排出係数を自動運転か否かの区別、及び車両40によるCO2排出の有無によっても異ならせることが可能であるため、より好ましい。
【0047】
図4に示す例では、例えば、ID情報「001」と、搬送元情報「メーカ倉庫」と、搬送先情報「物流倉庫」と、搬送距離「300km」と、搬送車両情報「大型」と、道路種別「高速道路」とが関連付けられている。また、ID情報「001」と、搬送元情報「物流倉庫」と、搬送先情報「A販売店倉庫」と、搬送距離「80km」と、搬送車両情報「小型」と、道路種別「一般道路」と、が関連付けられている。さらに、ID情報「002」と、搬送元情報「メーカ工場」と、搬送先情報「メーカ倉庫」と、搬送距離「150km」と、搬送車両情報「中型」と、道路種別「高速道路」と、が関連付けられている。
【0048】
制御部250は、上記の搬送履歴テーブルを多様な方法で作成及び更新し得る。例えば、制御部250は、通信部210により収容箱50のID情報及び搬送元情報を示す搬送情報を受信した場合、受信した搬送情報に含まれるID情報及び搬送元情報を搬送履歴テーブルに関連付けて設定してもよい。さらに、制御部250は、通信部210により収容箱50のID情報及び搬送先情報を示す搬送情報を受信した場合、搬送履歴テーブルにおいて搬送情報に含まれるID情報に関連付けられたエントリのうちで、搬送先情報が未設定であるエントリを抽出し、当該エントリに上記搬送情報に含まれる搬送先情報を関連付けて設定してもよい。
【0049】
なお、搬送が開始される時点で搬送先が決まっており、ID情報、搬送元情報、及び搬送先情報を含む搬送情報が通信部210により受信されることもあり得る。このような場合、制御部250は、通信部210により受信された搬送情報に含まれるID情報、搬送元情報、及び搬送先情報を搬送履歴テーブルに関連付けて設定してもよい。または、流通管理装置20が収容箱50の搬送に関する指示を各情報端末10に送信する場合、制御部250は、送信する指示の内容に従ってID情報、搬送元情報、及び搬送先情報を搬送履歴テーブルに関連付けて設定してもよい。
【0050】
制御部250は、搬送元情報及び搬送先情報に基づいて、搬送履歴テーブルに搬送距離を設定する。具体的には、制御部250は、地図情報に基づいて特定された搬送元及び搬送先の間の距離を搬送距離として設定してもよい。また、搬送元及び搬送先の組み合わせに応じた距離が既知である場合、制御部250は、当該既知の距離を搬送距離として設定してもよい。
【0051】
情報端末10から受信された搬送情報に搬送車両を示す情報が含まれる場合、制御部250は、当該情報に基づいて搬送履歴テーブルに搬送車両情報を設定してもよい。または、流通管理装置20が搬送車両の指定を含む収容箱50の搬送に関する指示を各情報端末10に送信する場合、制御部250は、送信する指示の内容に基づいて搬送履歴テーブルに搬送車両情報を設定してもよい。なお、大型車両は、例えば、最大積載量が6.5ton超の車両である。中型車両は、例えば、最大積載量が3ton超6.5ton以下の車両である。小型車両は、例えば、最大積載量が3ton以下の車両である。
【0052】
制御部250は、搬送元情報及び搬送先情報に基づいて、搬送履歴テーブルに道路種別を設定する。具体的には、制御部250は、地図情報に基づいて搬送元及び搬送先の間の経路で支配的な道路の種別を特定し、特定した種別を道路種別として搬送履歴テーブルに設定してもよい。また、搬送元及び搬送先の組み合わせと、支配的な道路の種別との関係が既知である場合、制御部250は、当該既知の道路の種別を道路種別として設定してもよい。なお、制御部250は、経路で支配的な道路の種別を道路種別として設定することに替えて、「高速道路100km、及び一般道路50km」などのように実際に車両40が走行した道路の種別を道路種別として設定してもよい。
【0053】
なお、情報端末10の各々が送信する搬送情報にはタイムスタンプが含まれてもよい。このような場合、制御部250は、搬送情報に含まれるタイムスタンプに基づいて、搬送開始時刻及び搬送終了時刻を搬送履歴テーブルにて管理することも可能である。または、制御部250は、搬送情報の各々の受信時刻に基づいて、搬送開始時刻及び搬送終了時刻を搬送履歴テーブルにて管理してもよい。
【0054】
(洗浄履歴テーブル)
図5は、洗浄履歴テーブルの一例を示す説明図である。洗浄履歴テーブルは、収容箱50の各々が洗浄された履歴を示すテーブルである。
図5に示すように、洗浄履歴テーブルでは、ID情報と、洗浄回数とが関連付けられる。
【0055】
ID情報は、収容箱50のID情報である。洗浄回数は、収容箱50が洗浄された回数を示す。
図5に示す例では、例えば、ID情報「001」と、洗浄回数「5」とが関連付けられている。また、ID情報「002」と、洗浄回数「3」とが関連付けられている。
【0056】
制御部250は、上記の洗浄履歴テーブルを多様な方法で作成及び更新し得る。例えば、収容箱回収場で収容箱50の洗浄が行われる場合、制御部250は、収容箱回収場で使用される情報端末10Fから洗浄が実行された収容箱50のID情報を含む洗浄実行通知を受信したことに基づいて、洗浄履歴テーブルを更新してもよい。具体的には、制御部250は、受信した洗浄実行通知に含まれる収容箱50のID情報に関連付けられた洗浄回数を1増加させることで、収容箱50の洗浄回数を洗浄履歴テーブルに設定することができる。
【0057】
<情報端末の構成>
図6は、本発明の一実施形態に係る情報端末10の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、情報端末10は、通信部110と、読取部120と、操作部130と、撮像部134と、出力部140と、制御部150とを備える。なお、読取部120、操作部130、撮像部134、及び出力部140は、情報端末10の外部装置であってもよい。
【0058】
通信部110は、流通管理装置20とのインタフェースであり、流通管理装置20から多様な情報を受信する受信部、及び流通管理装置20に多様な情報を送信する送信部として機能する。例えば、通信部110は、収容箱50が他の拠点に搬送される際に、読取部120により読み取られた収容箱50のID情報を含む搬送情報を流通管理装置20に送信してもよい。また、通信部110は、収容箱50の搬送に関する指示を流通管理装置20から受信してもよい。
【0059】
読取部120は、収容箱50のID情報提示部から収容箱50のID情報を読み取る。収容箱50のID情報がICチップ52に格納されている場合、読取部120は、ICチップ52からID情報を読み取ってもよい。また、収容箱50のID情報がバーコード又は二次元コードなどのコードにコーディングされている場合、読取部120は当該コードからID情報を読み取ってもよい。
【0060】
操作部130は、情報端末10の使用者が情報端末10に情報又は指示を入力するための入力インタフェースである。操作部130は、例えば、キーボード、マウス、又はタッチパネルなどであってもよい。
【0061】
撮像部134は、被写体の光像を撮像面に形成し、撮像面に形成された光像を電気信号に変換することにより被写体の画像を取得する画像取得部の一例である。例えば、撮像部134は、収容箱50が組み立てられた状態において、収容箱50の天面、底面、正面、及び側面を含む複数面が含まれるように収容箱50を撮像してもよい。
【0062】
出力部140は、制御部150からの制御に基づいて、情報端末10の使用者に対して情報又は通知を出力する。例えば、出力部140は、情報又は通知を表示として出力する表示装置であってもよく、情報又は通知を音として出力する音響装置であってもよい。
【0063】
制御部150は、情報端末10の動作全般を制御する。例えば、制御部150は、読取部120により読み取られた収容箱50のID情報を含む搬送情報の送信を通信部110に指示してもよい。また、収容箱回収場で使用される情報端末10Fでは、洗浄が実行された収容箱50のID情報を含む洗浄実行通知の送信を通信部110に指示してもよい。
【0064】
<解析サーバの構成>
図7は、本発明の一実施形態に係る解析サーバ30の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、解析サーバ30は、通信部310と、記憶部320と、排出量算出部350とを備える。なお、解析サーバ30の機能は、情報端末10又は流通管理装置20などの他の装置と一体化して実装されてもよい。特に、解析サーバ30は、流通管理装置20と一体化されることが好ましい。このような場合、解析サーバ30は、流通管理装置20との間でのネットワークを介した通信が不要となるため、情報処理をより高速化することが可能である。
【0065】
通信部310は、流通管理装置20とのインタフェースであり、流通管理装置20から多様な情報を受信する受信部として機能する。通信部310は、流通管理装置20から収容箱50の搬送履歴テーブル、及び洗浄履歴テーブルを受信してもよい。受信した搬送履歴テーブル、及び洗浄履歴テーブルに含まれる各種情報は、後述するように排出量算出部350によるCO2排出量の算出に用いられる。また、通信部310は、算出した収容箱50のCO2累計排出量を外部に出力してもよい。
【0066】
記憶部320は、解析サーバ30の動作に用いられる多様な情報及びパラメータなどを記憶する。例えば、記憶部320は、収容箱50の製造時のCO2排出量、洗浄時のCO2排出量、及び搬送時のCO2排出量を算出するためのCO2排出係数などを記憶してもよい。また、記憶部320は、使い捨ての段ボール箱を物品の搬送に用いた場合のCO2排出量を算出するための情報として、段ボール箱の製造時のCO2排出量、及び搬送時のCO2排出量を算出するためのCO2排出係数などを記憶してもよい。
【0067】
排出量算出部350は、収容箱50の累積でのCO2合計排出量を算出する。具体的には、排出量算出部350は、収容箱50の製造時のCO2排出量と、収容箱50の洗浄時のCO2排出量と、複数の拠点間を搬送される収容箱50の搬送履歴に基づいて算出された収容箱50の搬送時のCO2排出量とを合算することで、収容箱50の累積でのCO2合計排出量を算出してもよい。なお、排出量算出部350によって算出された収容箱50のCO2排出量は、記憶部320に記憶されてもよい。例えば、排出量算出部350は、搬送ごとに収容箱50の搬送時のCO2排出量を算出し、算出された収容箱50の搬送時のCO2排出量を記憶部320に記憶させてもよい。
【0068】
収容箱50の搬送時のCO2排出量は、搬送履歴に含まれる収容箱50の各搬送によるCO2排出量をそれぞれ算出し、算出された各搬送によるCO2排出量を累積加算することで算出される。収容箱50の1回の搬送によるCO2排出量は、1回の搬送で車両40が排出したCO2を積載された荷物ごと(物品1つ1つ、及び物品を収容した収容箱50の各々)に按分した後、収容箱50単位(収容箱50と、収容箱50に収容された物品全て)で合算することで算出される。このように、排出量算出部350は、物品及び収容箱50ごとに1回の搬送によるCO2排出量を算出し、収容箱50単位で合算することで、後述するように、CO2排出量を種々の形式で提示することが可能である。
【0069】
1回の搬送で車両40が排出したCO2量は、例えば、搬送に用いられた車両40の積載量(ton)と、搬送距離(km)と、CO2排出係数(kg-CO2/ton・km)とを乗算することで算出される。積載量は、車両40に積載した物品及び収容箱50を含む荷物の合計質量である。CO2排出係数は、車両40の種類、積載量、及び車両40の燃費などから決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。車両40の燃費は、例えば、車両40の積載率、搬送経路の道路種別、又は搬送経路の道路状況などに影響されるパラメータである。
【0070】
すなわち、ある1回の搬送で車両40が排出したCO2量は、車両40の積載量と搬送距離とCO2排出係数とから(例えば、車両40の積載量と搬送距離とCO2排出係数とを乗算することで)求められる。さらに、求められたCO2排出量を搬送された収容箱50単位で按分する(例えば、収容箱50に収容された物品を含めた収容箱50の全質量で按分する)ことで、当該収容箱50の当該搬送におけるCO2排出量が求められる。このような計算を各搬送で行い、行われた計算結果を累積することで、当該収容箱50の搬送の履歴に基づいたCO2排出量が求められる。
【0071】
排出量算出部350は、搬送履歴に記憶された各収容箱50の搬送の各々について、上記方法でCO2排出量を算出し、各収容箱50の過去全ての搬送のCO2排出量を合算することで、収容箱50の搬送時のCO2排出量を算出することができる。収容箱50の各々の搬送履歴は、例えば、流通管理装置20の記憶部220に記憶された搬送履歴テーブルから当該収容箱50のID情報をキーとして取得することが可能である。
【0072】
なお、本実施形態では、収容箱50が車両40によってのみ搬送されることを前提としているが、本発明は上記例示に限定されない。例えば、収容箱50を搬送する移動体が車両40以外の船舶又は鉄道などである場合でも、演算に用いるCO2排出係数を対応する船舶又は鉄道のCO2排出係数に変更することで、同様に、搬送履歴を用いてCO2排出量を算出することが可能である。
【0073】
収容箱50の製造時のCO2排出量は、例えば、収容箱50の素材調達、成形、及び組立の各工程のCO2排出量を合算することで算出される。
【0074】
収容箱50の素材調達工程のCO2排出量は、素材質量(kg)と、CO2排出係数(kg-CO2/kg)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/kg)は、収容箱50の素材材質、及び素材の合成方法から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0075】
収容箱50の成形工程のCO2排出量は、素材質量(kg)と、CO2排出係数(kg-CO2/kg)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/kg)は、収容箱50の素材材質、成形形状、及び成形方法から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0076】
収容箱50の組立工程のCO2排出量は、組立時に消費した資源(unit)と、CO2排出係数(kg-CO2/unit)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/unit)は、収容箱50の組立時に消費した電力、水、窒素、又は蒸気などの資源の種類、及び資源の供給元から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0077】
排出量算出部350は、あらかじめ上記方法で収容箱50の製造時のCO2排出量を算出し、算出した収容箱50の製造時のCO2排出量を記憶部320に記憶させてもよい。
【0078】
収容箱50の洗浄時のCO2排出量は、収容箱50の1回の洗浄によるCO2排出量を洗浄履歴に含まれる収容箱50の洗浄回数分だけ累積加算することで(すなわち、1回の洗浄によるCO2排出量に洗浄履歴に含まれる洗浄回数を乗算することで)算出される。収容箱50の1回の洗浄によるCO2排出量は、例えば、1回の洗浄で使用される水の調達及び昇温のCO2排出量と、1回の洗浄で使用される設備のCO2排出量(例えば、設備の動力によるCO2排出量)を合算することで算出される。
【0079】
水の調達によるCO2排出量は、調達した水の質量(kg)と、CO2排出係数(kg-CO2/kg)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/kg)は、調達した水の水質及び供給元から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0080】
水の昇温によるCO2排出量は、昇温する水の質量(kg)と、昇温温度(℃)と、CO2排出係数(kg-CO2/kg・℃)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/kg・℃)は、昇温時に消費した電力又は燃料などの資源の種類及び量から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0081】
洗浄で使用される設備のCO2排出量は、洗浄時に洗浄設備が消費した電力(kWh)と、CO2排出係数(kg-CO2/kWh)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/kWh)は、消費した電力の供給元から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0082】
排出量算出部350は、上記方法で収容箱50の1回の洗浄によるCO2排出量を算出し、1回の洗浄によるCO2排出量を洗浄履歴に含まれる各収容箱50の洗浄回数分だけ累積加算することで、当該収容箱50の洗浄時の累積でのCO2排出量を算出することができる。収容箱50の各々の洗浄履歴は、例えば、流通管理装置20の記憶部220に記憶された洗浄履歴テーブルから当該収容箱50のID情報をキーとして取得することが可能である。
【0083】
上記によれば、排出量算出部350は、以下の情報を算出することが可能である。
【0084】
例えば、排出量算出部350は、1個の収容箱50の使用から廃棄までの全ての累積されたCO2合計排出量を算出することができる。
【0085】
また、排出量算出部350は、所定の期間、所定の範囲、又は所定の期間かつ範囲におけるCO2合計排出量を算出することができる。搬送時のCO2排出量と、洗浄時のCO2排出量とは、所定の期間、所定の範囲、又は所定の期間かつ範囲における搬送履歴又は洗浄履歴から算出することが可能である。製造時のCO2排出量は、例えば、収容箱50の製造時に排出されたCO2量を、収容箱50の平均の耐用年数に基づいて、所定の期間、所定の範囲、又は所定の期間かつ範囲に相当する量で按分することで算出することが可能である。
【0086】
排出量算出部350がCO2合計排出量を算出する所定の期間、所定の範囲、又は所定の期間かつ範囲は、例えば、ユーザからの入力によって設定されてもよい。解析サーバ30は、ユーザからの上記入力を受け付ける入力部(図示せず)と、ユーザの入力に対応する表示を行う表示部(図示せず)とを備えてもよい。これらの入力部及び表示部は、互いに一体化されたタッチパネル等の表示入力部であってもよい。また、これらの入力部及び表示部は、解析サーバ30ではなく、インターネットなどの通信回線を介して解析サーバ30に接続された情報処理端末に備えられてもよい。
【0087】
排出量算出部350が所定の期間かつ範囲におけるCO2合計排出量を算出する場合、解析サーバ30の図示しない入力部には、所定の範囲における複数の期間、又は所定の期間における複数の範囲が入力されてもよい。
【0088】
一例として、入力部には、所定の範囲として特定の種類の物品(例えば、シャンプーなど)が入力され、かつ所定の期間として3か月、6か月、及び1年間などの複数の期間が入力されてもよい。これによれば、排出量算出部350は、特定の種類の物品における3か月、6か月、及び1年間のCO2合計排出量をそれぞれ算出することができる。他の例として、入力部には、所定の期間として1年間が入力され、かつ所定の範囲として店舗A及び店舗Bなどの複数の取引先が入力されてもよい。これによれば、排出量算出部350は、複数の取引先への1年間の物品の搬送によるCO2合計排出量をそれぞれ算出することができる。
【0089】
例えば、排出量算出部350は、収容箱50の各々のCO2合計排出量を算出する範囲をメーカ工場から店舗を経由して再度メーカ工場に戻ってくるまでの1サイクルとすることで、1個の収容箱50の当該1サイクルにおけるCO2合計排出量を算出することができる。
【0090】
また、排出量算出部350は、1個の物品を収容箱50にてメーカ工場から店舗まで搬送する際に全体で発生するCO2合計排出量を算出することができる。具体的には、前述したように、排出量算出部350は、1回の搬送で車両40が排出したCO2量を積載された荷物ごと(物品1つ1つ、及び物品を収容した収容箱50の各々)に按分することで(例えば、質量に応じて按分することで)、当該1個の物品自体の搬送に係るCO2排出量を算出することができる。同様に、排出量算出部350は、当該物品を収容する収容箱50自体のある1回の搬送に係るCO2排出量を算出することができる。さらに、排出量算出部350は、当該収容箱50に収容される全ての物品の各々に対して、算出された収容箱50自体の搬送に係るCO2排出量を按分することで(例えば、質量に応じて按分することで)、当該1個の物品の収容箱50の搬送に係るCO2排出量を算出することができる。上記2つのCO2排出量の合計が1個の物品の1回の搬送時のCO2排出量となる。洗浄時のCO2排出量については、洗浄時のCO2排出量の累計を搬送回数で除算することで、搬送1回当たりの洗浄時のCO2排出量を求めることができる。製造時のCO2排出量については、収容箱50の平均耐用年数の間に行われる搬送回数の平均で製造時のCO2排出量の累計を除算することで、1回の搬送に相当する製造時のCO2排出量を求めることができる。次に、排出量算出部350は、搬送1回当たりの洗浄時のCO2排出量、及び1回の搬送に相当する製造時のCO2排出量を、収容箱50自体の搬送に係るCO2排出量と同様に質量に応じて按分することで、洗浄時のCO2排出量、及び製造時のCO2排出量を算出することができる。排出量算出部350は、上記の各搬送時のCO2排出量と、洗浄時のCO2排出量と、製造時のCO2排出量とを合算することで、1個の物品をメーカ工場から店舗まで搬送する際のCO2合計排出量を算出することができる。
【0091】
すなわち、1個の物品を収容箱50にてメーカ工場から店舗まで搬送する際に全体で発生するCO2合計排出量は、各搬送時のCO2排出量と、洗浄時のCO2排出量と、製造時のCO2排出量とを合算することで算出される。各搬送時のCO2排出量は、各搬送で車両40が排出したCO2排出量を物品、及び物品を収容する収容箱50にて按分することで(例えば、質量に応じて按分することで)算出される。洗浄時のCO2排出量は、洗浄時のCO2排出量の累計を、例えば、搬送回数に応じて按分し、さらに物品、及び物品を収容する収容箱50の質量に応じて按分することで算出される。製造時のCO2排出量は、製造時のCO2排出量の累計を、例えば、搬送回数に応じて按分し、さらに物品、及び物品を収容する収容箱50の質量に応じて按分することで算出される。
【0092】
例えば、排出量算出部350は、特定の期間(例えば、1年間)の特定の種類の物品を範囲としてCO2合計排出量を算出することができる。具体的には、排出量算出部350は、物品の種類ごとに、物品の搬送時のCO2排出量と、物品の搬送に用いた収容箱50の洗浄時のCO2排出量と、物品の搬送に用いた収容箱50の製造時のCO2排出量とを合算することで、特定の種類の物品の1年間での搬送で発生するCO2排出量を算出することができる。なお、洗浄時のCO2排出量、及び製造時のCO2排出量については、累計に替えて搬送ごとの按分を用いてもよい。
【0093】
例えば、排出量算出部350は、上述したように、特定の種類の物品1個の1回ごとの搬送時のCO2排出量を1年間分合算することで、特定の種類の物品の1年間での搬送時のCO2排出量を算出することができる。また、排出量算出部350は、特定の種類の物品の搬送に用いた収容箱50の1年間の洗浄履歴に基づいて洗浄時のCO2排出量を算出することができる。さらに、排出量算出部350は、特定の種類の物品の搬送に用いた収容箱50の平均耐用年数に基づいて、1年間に相当する製造時のCO2排出量を算出することができる。
【0094】
よって、排出量算出部350は、物品の種類ごとに、上記の搬送時のCO2排出量と、洗浄時のCO2排出量と、製造時のCO2排出量とを合算することで、特定の種類の物品の1年間での搬送で発生するCO2排出量を算出することができる。
【0095】
また、排出量算出部350は、特定の期間(例えば、1年間)の物品の特定の出荷先(店舗等)を範囲としてCO2合計排出量を算出することができる。具体的には、排出量算出部350は、物品の出荷先ごとに、物品の搬送時のCO2合計排出量と、物品の搬送に用いた収容箱50の洗浄時のCO2排出量と、物品の搬送に用いた収容箱50の製造時のCO2排出量とを合算することで、特定の出荷先への物品の1年間での搬送で発生するCO2合計排出量を算出することができる。
【0096】
例えば、排出量算出部350は、上述したように、特定の出荷先への物品1個の1回ごとの搬送時の搬送時のCO2排出量を1年間分合算することで、特定の出荷先への1年間での搬送時のCO2合計排出量を算出することができる。また、排出量算出部350は、特定の出荷先への物品の搬送に用いた収容箱50の1年間の洗浄履歴に基づいて洗浄時のCO2排出量を算出することができる。さらに、排出量算出部350は、特定の出荷先への物品の搬送に用いた収容箱50の平均耐用年数に基づいて、1年間に相当する製造時のCO2排出量を算出することができる。
【0097】
よって、排出量算出部350は、物品の出荷先ごとに、上記の搬送時のCO2排出量と、洗浄時のCO2排出量と、製造時のCO2排出量とを合算することで、特定の出荷先への物品の1年間の搬送で発生するCO2排出量を算出することができる。
【0098】
さらに、排出量算出部350は、特定の期間(例えば、1年間)のメーカ全体を範囲としてCO2合計排出量を算出することができる。具体的には、排出量算出部350は、物品を製造するメーカの全ての物品の搬送時のCO2合計排出量と、物品の搬送に用いた収容箱50の洗浄時のCO2排出量と、物品の搬送に用いた収容箱50の製造時のCO2排出量とを合算することで、物品を製造するメーカの1年間での物品の搬送で発生するCO2合計排出量を算出することができる。
【0099】
また、排出量算出部350は、繰り返し使用可能な収容箱50に替えて使い捨ての段ボール箱を用いた場合の累積でのCO2合計排出量を算出してもよい。具体的には、収容箱50に替えて段ボール箱を用いた場合の累積でのCO2合計排出量は、段ボール箱の製造時のCO2排出量と、段ボール箱の搬送時のCO2排出量とを合算することで算出される。
【0100】
段ボール箱の搬送時のCO2排出量は、段ボール箱に置換される収容箱50の全搬送のうちメーカ工場から店舗までの各搬送によるCO2排出量をそれぞれ算出し、算出された各搬送によるCO2排出量を累積加算することで算出される。段ボール箱の1回の搬送によるCO2排出量は、1回の搬送で車両40が排出したCO2を積載された荷物ごと(物品1つ1つ、及び物品を収容した段ボール箱の各々)に按分した後、段ボール箱単位(段ボール箱と、段ボール箱に収容された物品全て)で合算することで算出される。
【0101】
1回の搬送で車両40が排出したCO2量は、例えば、搬送に用いられた車両40の積載量(ton)と、搬送距離(km)と、CO2排出係数(kg-CO2/ton・km)とを乗算することで算出される。積載量は、車両40に積載した物品及び段ボール箱を含む荷物の合計質量である。CO2排出係数は、車両40の種類、積載量、及び車両40の燃費などから決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。車両40の燃費は、例えば、車両40の積載率、搬送経路の道路種別、又は搬送経路の道路状況などに影響されるパラメータである。
【0102】
排出量算出部350は、段ボール箱に置換される収容箱50の全搬送のうちメーカ工場から店舗までの各搬送について、上記方法でCO2排出量を算出し、算出したCO2排出量を合算することで、段ボール箱の搬送時のCO2排出量を算出することができる。
【0103】
段ボール箱の製造時のCO2排出量は、例えば、段ボール箱の素材調達、及び組立の各工程のCO2排出量を合算することで算出される。
【0104】
段ボール箱の素材調達工程のCO2排出量は、素材質量(kg)と、CO2排出係数(kg-CO2/kg)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/kg)は、段ボール箱の素材の調達方法から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0105】
段ボール箱の組立工程のCO2排出量は、組立時に消費した資源(unit)と、CO2排出係数(kg-CO2/unit)とを乗算することで算出される。このときのCO2排出係数(kg-CO2/unit)は、段ボール箱の組立時に消費した電力、水、窒素、又は蒸気などの資源の種類、及び資源の供給元から決定される係数であり、実績値、又は公知のデータベースの値が用いられる。
【0106】
排出量算出部350は、上記方法で段ボール箱の製造時のCO2排出量を算出してもよい。または、排出量算出部350は、段ボール箱の供給元から段ボール箱の製造時のCO2排出量を取得することも可能である。
【0107】
さらに、排出量算出部350は、収容箱50に替えて段ボール箱を用いた場合の累積でのCO2合計排出量と、収容箱50の累積でのCO2合計排出量との差を収容箱50によるCO2の排出削減量としてさらに算出してもよい。
【0108】
例えば、排出量算出部350は、1個の収容箱50の使用から廃棄までの全ての累積されたCO2合計排出量と、1個の収容箱50を段ボール箱に置換した場合の累積でのCO2合計排出量との差を取ることで、収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。
【0109】
例えば、排出量算出部350は、収容箱50の各々のCO2合計排出量を算出する範囲をメーカ工場から店舗を経由して再度メーカ工場に戻ってくるまでの1サイクルとすることで、1個の収容箱50の当該1サイクルにおけるCO2の排出削減量を算出することができる。
【0110】
また、排出量算出部350は、1個の物品をメーカ工場から店舗まで搬送する際の収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。具体的には、1個の物品をメーカ工場から店舗まで搬送する際のCO2の排出削減量は、当該1サイクル(メーカ工場から店舗を経由して再度メーカ工場に戻ってくるまで)の収容箱50のCO2合計排出量と、当該1サイクル(メーカ工場から店舗まで)の段ボール箱のCO2合計排出量との差を取ることで算出される。
【0111】
例えば、排出量算出部350は、特定の期間(例えば、1年間)の特定の種類の物品を範囲として収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。具体的には、排出量算出部350は、特定の種類の物品の収容箱50による1年間の搬送で発生するCO2合計排出量と、特定の種類の物品の段ボール箱による1年間の搬送で発生するCO2合計排出量との差を取ることで、特定の種類の物品の1年間での搬送における収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。
【0112】
また、排出量算出部350は、特定の期間(例えば、1年間)の物品の特定の出荷先(店舗等)を範囲として収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。具体的には、排出量算出部350は、特定の出荷先への収容箱50による1年間の搬送で発生するCO2合計排出量と、特定の出荷先への段ボール箱による1年間の搬送で発生するCO2合計排出量との差を取ることで、特定の出荷先への1年間の搬送における収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。
【0113】
さらに、排出量算出部350は、特定の期間(例えば、1年間)、及び物品を製造するメーカ全体を範囲として収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。具体的には、排出量算出部350は、メーカの全ての物品の収容箱50による1年間の搬送で発生するCO2合計排出量と、メーカの全ての物品の段ボール箱による1年間の搬送で発生するCO2合計排出量との差を取ることで、メーカの1年間の搬送における収容箱50によるCO2の排出削減量を算出することができる。
【0114】
排出量算出部350によって算出されたこれらの情報は、物品を製造するメーカによるESGやSDGsへの取り組みとして、物品の顧客等への広報等に用いることが可能である。
【0115】
例えば、本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、物品を収容した収容箱50を展示する店舗に設置された表示端末を含んでもよい。また、本実施形態に係る情報処理システムは、店舗に設置された表示端末に加えて、又は替えて、店舗の顧客が有する携帯情報端末を含んでもよい。これらの表示端末又は携帯情報端末は、端末用のアプリケーションプログラムをインストール等されることで本実施形態に係る情報処理システムの一部となり、インターネット等を介して解析サーバ30と通信可能となる。これにより、表示端末又は携帯情報端末は、展示された収容箱50に関する情報を表示することができる。以下では、店舗に設置された表示端末について説明するが、店舗の顧客が有する携帯情報端末についても表示端末と同様に機能及び動作することが可能である。
【0116】
具体的には、表示端末は、収容箱50のID情報提示部から収容箱50のID情報を読み取るID情報読み取り部と、ID情報を読み取った収容箱50に関する情報を表示する表示部とを備える。表示端末は、例えば、ID情報を読み取った収容箱50のCO2合計排出量、又はCO2の排出削減量の少なくともいずれか1つ以上に関する情報を解析サーバ30から取得し、これらの情報を表示部に表示してもよい。これによれば、物品を製造するメーカは、店舗に設置された表示端末を介して、収容箱50を用いたESGやSDGsへの取り組みを顧客に対してわかりやすく可視化することができる。
【0117】
なお、これらの収容箱50によるCO2合計排出量、又はCO2の排出削減量の少なくともいずれか1つ以上に関する情報は、他の用途に用いられてもよい。例えば、これらの情報は、ステークスホルダへの情報開示(例えば、年次レポート等)のために使用されてもよい。
【0118】
<動作>
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る解析サーバ30の動作について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る解析サーバ30の動作の一例を示すフローチャート図である。
図8では、物品を収容した収容箱50を展示する店舗において、展示された収容箱50によるCO
2の排出削減量に関する情報を表示端末によって顧客に提示する場合の解析サーバ30の動作例を示す。
【0119】
図8に示すように、まず、解析サーバ30は、店舗の表示端末にて読み取った収容箱50のID情報を表示端末から受信する(S404)。次に、解析サーバ30は、取得したID情報に対応する収容箱50の搬送履歴及び洗浄履歴を流通管理装置20から取得する(S408)。
【0120】
続いて、解析サーバ30は、収容箱50の搬送履歴に基づいて、収容箱50の搬送時のCO2排出量を算出する(S412)。次に、解析サーバ30は、収容箱50の製造時のCO2排出量、及び洗浄時のCO2排出量を記憶部320から取得する(S416)。なお、収容箱50の洗浄時のCO2排出量は、記憶部320に記憶された1回の洗浄によるCO2排出量を洗浄履歴に記憶された収容箱50の洗浄回数分だけ加算することで算出することが可能である。
【0121】
その後、解析サーバ30は、収容箱50の搬送時のCO2排出量、製造時のCO2排出量、及び洗浄時のCO2排出量を合算することで、収容箱50のCO2合計排出量を算出することができる(S420)。
【0122】
続いて、解析サーバ30は、収容箱50に替えて段ボール箱を用いた場合のCO2合計排出量を算出する(S424)。なお、収容箱50に替えて段ボール箱を用いた場合のCO2合計排出量は、段ボール箱の製造時のCO2排出量と、段ボール箱の搬送時のCO2排出量との合計である。さらに、解析サーバ30は、収容箱50に替えて段ボール箱を用いた場合のCO2合計排出量から収容箱50のCO2合計排出量を減算することで、収容箱50によるCO2の排出削減量として算出する(S428)。
【0123】
その後、解析サーバ30は、算出した収容箱50によるCO2の排出削減量に関する情報を店舗の表示端末に送信する(S432)。これによれば、店舗の表示端末は、店舗に展示されている収容箱50が段ボール箱から置換されることで削減したCO2の排出量を表示することが可能である。したがって、店舗の表示端末は、店舗に展示されている収容箱50による環境負荷低減の取り組みをCO2の排出削減量としてわかりやすく顧客に提示することが可能である。
【0124】
なお、収容箱50が削減したCO2の排出量の提示方法は、上記に限定されない。例えば、店舗の表示端末は、収容箱50を使用した場合のCO2排出量と、収容箱50に替えて段ボール箱を使用した場合のCO2排出量とを比較可能なように並列で表示してもよい。また、店舗の表示端末は、情報の提示に際して、数値に替えて、又は数値に加えて図又はグラフなどを用いてもよい。
【0125】
<作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が実現される。例えば、本発明の一実施形態によれば、物品の搬送に繰り返し使用可能な収容箱50を用いた場合の環境負荷をCO2の合計排出量として数値化することが可能である。かかる構成によれば、物品を搬送する際の収容箱50による環境負荷低減の取り組みをよりわかりやすく可視化することが可能である。例えば、物品を搬送する際に、使い捨ての段ボール箱に替えて繰り返し使用可能な収容箱50を用いることで、どの程度のCO2の排出量が削減されたのかを可視化することが可能である。これによれば、物品を製造するメーカは、物品を購入する顧客にESGやSDGsへの取り組みをわかりやすくアピールすることが可能である。
【0126】
<ハードウェア構成>
以上、本発明の実施形態を説明した。上述したCO2排出量の算出などの情報処理は、ソフトウェアと、ハードウェアとの協働により実現される。以下、情報端末10、流通管理装置20、及び解析サーバ30などに適用され得るハードウェア構成例を説明する。
【0127】
図9は、ハードウェア構成90を示した説明図である。
図9に示すように、ハードウェア構成90は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、入力装置908と、出力装置910と、メモリ装置911と、撮像装置913と、通信装置915とを備える。
【0128】
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従ってハードウェア構成90内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラム、及びその実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。CPU901、ROM902、及びRAM903はCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続される。CPU901、ROM902、及びRAM903とソフトウェアとの協働により、流通管理装置20の制御部250、情報端末10の制御部150、及び解析サーバ30の排出量算出部350などの機能が実現され得る。なお、コンピュータに内蔵されるCPU901、ROM902、及びRAM903などのハードウェアに流通管理装置20の制御部250、情報端末10の制御部150、及び解析サーバ30の排出量算出部350と同等の機能を発揮させるためのプログラムも作成可能である。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供可能である。
【0129】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ、又はレバーなどのユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路とから構成される。ユーザは、入力装置908を操作することにより、各種のデータを入力したり、処理動作を指示したりすることができる。
【0130】
出力装置910は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、又はランプなどの表示装置を含む。さらに、出力装置910は、スピーカ又はヘッドホンなどの音声出力装置を含む。例えば、表示装置は、撮像された画像、又は生成された画像などを表示することが可能である。音声出力装置は、音声データ等を音声に変換して出力することが可能である。
【0131】
メモリ装置911は、データ格納用の装置であり、流通管理装置20の記憶部220、及び解析サーバ30の記憶部320などに対応する。メモリ装置911は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置、及び記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。メモリ装置911は、CPU901が実行するプログラム及び各種データを格納してもよい。
【0132】
撮像装置913は、光を集光する撮影レンズ及びズームレンズなどの撮像光学系、並びにCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサなどの信号変換素子を備える。撮像光学系は、被写体から発せられる光を集光して信号変換部に被写体像を形成し、信号変換素子は、形成された被写体像を電気的な画像信号に変換する。
【0133】
通信装置915は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースであり、情報端末10の通信部110、流通管理装置20の通信部210、及び解析サーバ30の通信部310などに対応する。また、通信装置915は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であってもよく、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)対応通信装置であってもよく、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0134】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0135】
10 情報端末
110 通信部
120 読取部
130 操作部
134 撮像部
140 出力部
150 制御部
20 流通管理装置
210 通信部
220 記憶部
250 制御部
30 解析サーバ
310 通信部
320 記憶部
350 排出量算出部
40 車両
50 収容箱
52 ICチップ