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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017256
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】シート加熱成形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/46 20060101AFI20240201BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20240201BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20240201BHJP
   B26F 1/40 20060101ALI20240201BHJP
   B29C 51/18 20060101ALI20240201BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B29C51/46
B26D5/34 A
B26D7/18 A
B26F1/40 A
B29C51/18
G01N21/892 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119778
(22)【出願日】2022-07-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(71)【出願人】
【識別番号】591148370
【氏名又は名称】吉村化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀井 智明
(72)【発明者】
【氏名】高井 俊広
(72)【発明者】
【氏名】林 和司
(72)【発明者】
【氏名】吉村 孝勝
【テーマコード(参考)】
2G051
3C021
3C024
3C060
4F208
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AA90
2G051AB01
2G051AB03
2G051CA04
2G051DA06
2G051DA15
3C021FA02
3C024FF04
3C060AA04
3C060AB01
3C060BA03
3C060BB05
3C060BC04
3C060BD01
3C060BE10
3C060BG15
4F208AA50
4F208AC03
4F208AM19
4F208AP19
4F208AP20
4F208AQ01
4F208AR20
4F208MA05
4F208MB01
4F208MC03
4F208MD10
4F208MH06
4F208MH27
4F208MJ15
4F208MJ26
4F208MJ32
4F208MW02
4F208MW23
4F208MW45
(57)【要約】
【課題】リサイクル材のシートにより、製品となるシート成形品を製造する場合でも、製品に要求される品質要件を満たしたシート成形品を、効率良く製造することができるシート加熱成形設備を提供する。
【解決手段】シート加熱成形システム1は、シート80より半成形品91を断続的に成形する加熱成形装置2と、半成形品91から製品の不要部を取り除くトリミング装置3を有するシステムで、シート80は再生樹脂を含むリサイクル材で、制御部50と、シート80の欠陥部位をシート80の送出中に検出する撮影検査装置4と、欠陥部位に対応する位置に目印を付すマーキング装置5と、金型32により、1以上の半成形品91を含む半成形品群92を成形する成形処理に対し、半成形品群92の加工範囲S1内で目印の有無を判別する目印読取り装置6を備え、制御部50は、金型32の成形ショット時の信号情報と目印より欠陥部位の存在を知得する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、
前記シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、
制御手段と、
前記シートに含む欠陥部位を、前記シートの送出中に検出する検出手段と、
前記シートに対し、前記検出手段により検出された前記欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、
前記加熱成形装置で、前記金型の成形ショットにより、1以上の前記半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の前記成形処理に対し、前記半成形品群の加工範囲内で、前記目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、
前記制御手段は、前記金型の前記成形ショット時の信号情報と、前記目印判別手段で確認した前記目印に基づいて、前記欠陥部位の存在を知得すること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項2】
請求項1に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、前記半成形品群の中で、前記欠陥部位が前記成形品要部自体に有した状態の下で成形された前記半成形品、または前記欠陥部位が前記成形品要部に最も近接した状態の下で成形された前記半成形品の少なくとも一方を、廃棄基準配列下の廃棄対象とした上で、
前記送出側に断続的に成形される前記半成形品のうち、前記送出側に沿う前後方向に対し、前記廃棄基準配列と近接する側、または前記廃棄基準配列を挟む両側で、前記半成形品の廃棄処理にあたり、廃棄対象とする前記半成形品の前記前後方向の配列数が、前記制御手段に設定可能であること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記不要部を回収する回収手段を備え、
前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、供給される前記シートのうち、前記欠陥部位を含む設定範囲内を欠陥箇所有りとした欠陥付きの前記半成形品群に対し、
前記制御手段は、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離しを行わず、前記回収手段により、前記欠陥付きの半成形品群を含んだまま、前記不要部を回収すること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項4】
請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記制御手段は、前記欠陥付きの半成形品群の前記成形処理を行った前記成形ショット時の信号情報に基づいて、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離し動作を停止させること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項6】
請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項7】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項9】
請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項10】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項12】
請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項13】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、
前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項15】
請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、
前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項16】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、
前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱成形装置により、長尺状のシートを加熱してシート面内に成形された半成形品に対し、不要部を残したまま、製品となる成形品要部を取り除くトリミング装置と、シートの欠陥部位を検出する検査機能を備えたシート加熱成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製品のうち、シート成形品は、例えば、スーパーマーケットで販売されている食材の包装容器や食品用トレー、テイクアウト向け食物の包装容器等、種々の日常生活品として広く使用されている。このようなシート成形品は、シート加熱成形装置とシートトリミング装置により、製造される。
【0003】
シート加熱成形装置は、シート捲回ロールより供給される長尺状のシートに対し、加熱を行い、金型により、シート面内の一部を成形した状態にある半成形品を、断続的に製造する。シートトリミング装置は、この半成形品から、後に製品となる成形品要部を取り出すのにあたり、半成形品のうち、成形品要部の周囲にある成形品不要部のトリミングを断続的に行い、成形品要部(製品)と切り離す。成形品不要部は、長尺状に繋がったままになっているため、スクラップ回収部で巻き取られて回収される。切り離された製品は、その都度、搬送ユニットにより、シートトリミング装置から製品載置台に移送される。製品載置台では、複数の製品が、鉛直方向に積み重ねた単体状の製品群の形態で集められた後、次工程に向けて搬出される。
【0004】
ところで、環境保全・資源保護等の観点から、産業界では近年、樹脂材のリサイクル化が推進され、前述したシート成形品についても、再生した樹脂材を含むリサイクル材のシートが、使用されはじめている。全てバージン材のシートに比べ、リサイクル材のシートを捲回したシート捲回ロールでは、再生処理化に伴って生ずる異物が、多少なりともシートに散らばって残存している傾向にある。このような異物を含むシート成形品は、例えば、食物向けの包装容器等、製品化後の用途によっては、良品として認定されず、出来上がった製品群から排除して不良品扱いとなる場合もある。
【0005】
それ故に、製品の加熱成形工程では、異物の付着等、欠陥部位をシートに含んでいないかの確認が、品質管理上、重要になる。このような欠陥部位を検出することができる手段の一つとして、マーキングを付して検査する技術が、特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1は、所定方向に連続的に搬送される複合長尺品に対し、欠陥を検出する検査手段と、検査手段により検出した欠陥の位置を含む位置座標データを生成する制御手段と、制御手段により検出した欠陥にマーキングを行うマーキング装置等を有する欠陥検査システムである。特許文献1では、欠陥の確認が困難な製品でも、欠陥検査システムは、欠陥箇所を除去して、良品となる製品を提供することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-243911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、リサイクル材のシートを用いたシート成形品の製造工程を行う場合、バージン材のシートを対象とした従来の設備では、シート加熱成形装置による半成形品の加工前に、リサイクル材のシートに残存する異物を検出する機能がなく、作業者が、製品載置台に積まれた製品群に対し、一品毎にシート成形品の目視検査を行わなければならない。しかも、加熱成形工程は、シート加熱成形装置とシートトリミング装置により、連動した自動運転の下、十数~数十秒程の比較的短いタクトタイムで行われる。
【0009】
そのため、目視によるシート成形品の外観検査が、加熱成形工程後に必然的に実施されると、シート成形品の生産性が、大幅に低下してしまうばかりか、目視検査を行う作業者の人件費等の増加に伴って、製品となったシート成形品は、コスト高になる。それ故、リサイクル材のシートを用いたシート成形品の場合、目視検査を要することから、製品を効率良く製造することができない問題があった。
【0010】
他方、シート成形品の加熱成形工程で、シート加熱成形装置で半成形品を断続的に製造し、シートトリミング装置から送出した半成形品により、成形品不要部のトリミングを断続的に行うには、シート加熱成形装置とシートトリミング装置とが、互いに連携した制御の下で、連動しなければならず、このような設備には、特許文献1の技術は対応できない。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、リサイクル材のシートにより、製品となるシート成形品を製造する場合でも、製品に要求される品質要件を満たしたシート成形品を、効率良く製造することができるシート加熱成形設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るシート加熱成形システムは、以下の構成を有する。
【0013】
(1)送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、前記シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、制御手段と、前記シートに含む欠陥部位を、前記シートの送出中に検出する検出手段と、前記シートに対し、前記検出手段により検出された前記欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、前記加熱成形装置で、前記金型の成形ショットにより、1以上の前記半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の前記成形処理に対し、前記半成形品群の加工範囲内で、前記目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、前記制御手段は、前記金型の前記成形ショット時の信号情報と、前記目印判別手段で確認した前記目印に基づいて、前記欠陥部位の存在を知得すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するシート加熱成形システムにおいて、前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、前記半成形品群の中で、前記欠陥部位が前記成形品要部自体に有した状態の下で成形された前記半成形品、または前記欠陥部位が前記成形品要部に最も近接した状態の下で成形された前記半成形品の少なくとも一方を、廃棄基準配列下の廃棄対象とした上で、前記送出側に断続的に成形される前記半成形品のうち、前記送出側に沿う前後方向に対し、前記廃棄基準配列と近接する側、または前記廃棄基準配列を挟む両側で、前記半成形品の廃棄処理にあたり、廃棄対象とする前記半成形品の前記前後方向の配列数が、前記制御手段に設定可能であること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載するシート加熱成形システムにおいて、前記不要部を回収する回収手段を備え、前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、供給される前記シートのうち、前記欠陥部位を含む設定範囲内を欠陥箇所有りとした欠陥付きの前記半成形品群に対し、前記制御手段は、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離しを行わず、前記回収手段により、前記欠陥付きの半成形品群を含んだまま、前記不要部を回収すること、を特徴とする。
(4)(3)に記載するシート加熱成形システムにおいて、前記制御手段は、前記欠陥付きの半成形品群の前記成形処理を行った前記成形ショット時の信号情報に基づいて、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離し動作を停止させること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載するシート加熱成形システムにおいて、前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、を特徴とする。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載するシート加熱成形システムにおいて、前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、を特徴とする。
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載するシート加熱成形システムにおいて、前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、を特徴とする。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載するシート加熱成形システムにおいて、前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構成を有する本発明に係るシート加熱成形システムの作用・効果について説明する。
【0015】
(1)送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、制御手段と、シートに含む欠陥部位を、シートの送出中に検出する検出手段と、シートに対し、検出手段により検出された欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、加熱成形装置で、金型の成形ショットにより、1以上の半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の成形処理に対し、半成形品群の加工範囲内で、目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、制御手段は、金型の成形ショット時の信号情報と、目印判別手段で確認した目印に基づいて、欠陥部位の存在を知得すること、を特徴とする。
【0016】
この特徴により、再生樹脂を含むリサイクル材のシートを材料に、シート成形品である製品を製造する場合でも、本発明に係るシート加熱成形システムは、製品の製造中に、シートに残存した欠陥部位を検出することができているため、検出した欠陥部位を排除して、製品を製造することが可能になる。また、欠陥部位を排除した製品づくりができることから、このような製品に対し、欠陥部位に起因した品質検査の不要化を実現することができ、その検査に必要なコストも削減できる。それ故に、リサイクル材のシートが、製品の材料に用いられても、製品の生産性を低下させず、バージン材だけのシートと同様に、製品を効率良く製造することができる。
【0017】
従って、本発明に係るシート加熱成形システムによれば、リサイクル材のシートにより、製品となるシート成形品を製造する場合でも、製品に要求される品質要件を満たしたシート成形品を、効率良く製造することができる、という優れた効果を奏する。
【0018】
(2)に記載するシート加熱成形システムにおいて、目印判別手段により、欠陥部位の存在が確認された場合、半成形品群の中で、欠陥部位が成形品要部自体に有した状態の下で成形された半成形品、または欠陥部位が成形品要部に最も近接した状態の下で成形された半成形品の少なくとも一方を、廃棄基準配列下の廃棄対象とした上で、送出側に断続的に成形される半成形品のうち、送出側に沿う前後方向に対し、廃棄基準配列と近接する側、または廃棄基準配列を挟む両側で、半成形品の廃棄処理にあたり、廃棄対象とする半成形品の前後方向の配列数が、前記制御手段に設定可能であること、を特徴とする。
【0019】
この特徴により、本発明に係るシート加熱成形システムによる製造ライン上で、欠陥部位を含む廃棄対象の半成形品をはじめ、欠陥部位を含む蓋然性を残した廃棄対象の半成形品が、品質上、問題なく不要部をトリミングした成形品要部(製品)と、混ざることなく確実に区別できる。それ故に、欠陥部位に起因した不良率を大幅に抑えて、製品を製造することできる。
【0020】
(3)に記載するシート加熱成形システムにおいて、不要部を回収する回収手段を備え、目印判別手段により、欠陥部位の存在が確認された場合、供給されるシートのうち、欠陥部位を含む設定範囲内を欠陥箇所有りとした欠陥付きの半成形品群に対し、制御手段は、トリミング装置による成形品要部の切り離しを行わず、回収手段により、欠陥付きの半成形品群を含んだまま、不要部を回収すること、を特徴とする。
【0021】
この特徴により、良品としての製品(成形品要部)は、所定の製品置き場に集められ、不良品扱いになった欠陥付きの半成形品群は、回収手段で回収されるため、複数の製品が集められた良品群の中に、不良品扱いとなる欠陥付きの半成形品群の混入が、確実に防止できる。
【0022】
(4)に記載するシート加熱成形システムにおいて、制御手段は、欠陥付きの半成形品群の成形処理を行った成形ショット時の信号情報に基づいて、トリミング装置による成形品要部の切り離し動作を停止させること、を特徴とする。
【0023】
この特徴により、本発明に係るシート加熱成形システムは、半成形品から不要部をトリミングした成形品要部(製品)を、良品の置き場に集め、欠陥付きの半成形品群に属する廃棄対象の半成形品に含む成形品要部を、長尺状の不要部に残したままとしてている。そのため、欠陥付きの半成形品群に属した成形品要部と、良品となる成形品要部(製品)とが、確実に区別できるため、製品の生産管理が容易になる。
【0024】
(5)に記載するシート加熱成形システムにおいて、目印は、シートの送出側、かつシートの厚み方向に直交するシートの幅方向端部に付されること、を特徴とする。
【0025】
この特徴により、シートの端部は、不要部の領域となる。そのため、何らかの理由により、万が一、目印が、欠陥付きの半成形品群の対象外となる正常な半成形品群の領域に付されたとしても、この正常な半成形品群に属する成形品要部には、目印による悪影響は生じない。
【0026】
(6)に記載するシート加熱成形システムにおいて、シートに存在する欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、を特徴とする。
【0027】
この特徴により、製品づくりに、リサイクル材であるシートを使用する上で、長尺状のシートに対し、残存する欠陥部位に関する欠陥部位情報(例えば、密集度・分布状況・全シートを使用する中で、欠陥部位の出現頻度等)を、カウンタ手段により、検出した欠陥部位の数に基づいて、把握することができる。このような欠陥部位情報は、欠陥付きの半成形品群の設定範囲を定める上で、大いに役立ち、品質の信頼性を高めた製品づくりに、大いに貢献することができる。
【0028】
(7)に記載するシート加熱成形システムにおいて、目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、目印は、目印付与手段により、インクでシートの表面にマーキングをしたものであること、を特徴とする。
【0029】
この特徴により、シートは、目印を付したインクにより、変質・損傷等によるダメージを受けないため、製品となる正常な半成形品群に属した成形品要部に対し、悪影響はほぼ及ばない。
【0030】
(8)に記載するシート加熱成形システムにおいて、検出手段は、供給されるシートを撮影する撮影手段であり、目印付与手段は、撮影手段によるシートの撮像に基づき、目印を付すこと、を特徴とする。
【0031】
この特徴により、シートに残存する欠陥部位が、例えば、0.1~数mm等と、大きさにバラツキを持ち、ランダムに散財していても、撮影手段は、その撮影可能な確認領域にある欠陥部位を確実に捉えることができる。そのため、目印付与手段は、実際にシートに残存する欠陥部位に対し、洩れのない態様で、シートに目印を付すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態に係る加熱成形システムの正面図であり、シートからシート成形品(製品)を製造する様子を示す図である。
図2図1に示す加熱成形システムの平面図である。
図3】実施形態に係る加熱成形システムに構成されたマーキング装置により、図13に示す欠陥部位に基づき、目印を印刷した状態を示す説明図である。
図4】実施形態に係る加熱成形システムによるトリミング工程前の半成形品を示す図であり、長尺状のシートのうち、欠陥部位のない部分で成形された正常状態の半成形品を示す説明図である。
図5図1に示す加熱成形システム内にある撮影検査装置の正面図である。
図6図5に示す撮影検査装置の平面図である。
図7図1に示す加熱成形システム内にある目印読取り装置とトリミング装置を示す正面図である。
図8図7に示す目印読取り装置とトリミング装置を示す平面図である。
図9】実施形態に係る加熱成形システムによるトリミング工程前の半成形品を示す図であり、連続して成形された半成形品の中で、廃棄対象とする半成形品の配列数についての説明図である。
図10】実施形態に係る加熱成形システムで、不要部回収装置で回収前の状態にある不要部を示す図であり、長尺状の不要部のうち、廃棄対象の半成形品を一部に含んだ状態を示す説明図である。
図11】実施形態に係る加熱成形システムで、成形ショット時の信号情報に対し、成形工程以降、トリミング工程及び目印検出工程との関係を、タイミングチャートで示す説明図である。
図12】実施形態に係る加熱成形システムの成形で用いるシートを、その厚み方向の断面で示す図である。
図13図12に示すシートに残存する欠陥部位の一例を示す説明図である。
図14】実施形態に係る加熱成形システムで製造される製品の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係るシート加熱成形システムを具体化した実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
本発明に係るシート加熱成形システムは、シート成形品(製品)を製造する設備であり、送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置を有する。また、シート加熱成形システムは、この半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を有すると共に、供給されるシートに、欠陥部位の有無を検出する検査機能を備えている。
【0035】
はじめに、製品95について、簡単に説明する。図14は、実施形態に係る加熱成形システムで製造される製品の一例を示す斜視図である。図14に示すように、製品95は、例えば、スーパーマーケットで販売されている食物の包装容器、食物のテイクアウト向けトレーや包装容器等、食品向けの容器類のほか、家電製品の内箱等のケース類、操作パネル等に挙げられるように、種々の日常生活用品として広く使用されているシート成形品である。製品95は、本実施形態では、一例として、長辺と短辺を含む略四角枠状の底部を側部で囲み、その側部上部にある外周縁の内側を開口させた有底状に形成されている。
【0036】
次に、シート80について、図12及び図13を用いて説明する。図12は、実施形態に係る加熱成形システムの成形で用いるシートを、その厚み方向の断面で示す図である。図13は、図12に示すシートに残存する欠陥部位の一例を示す説明図である。。シート80は、例えば、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)等、一般的な熱可塑性の樹脂製シートであり、再生した樹脂を含むリサイクル材である。
【0037】
シート80は、本実施形態では、図12に示すように、再生樹脂層80bを、その厚み方向TK両側からバージン樹脂層80aで挟み込んだ積層構造をなすラミネートシートである。なお、シートをなす構造は、このような再生樹脂層を心材に有した積層構造のほか、再生樹脂による単層構造でも良く、再生樹脂を含むリサイクル材であれば、特に限定されるものではない。
【0038】
シート80が、再生樹脂を含むリサイクル材である場合、製品化したシート80には、図13に示すように、欠陥部位81が残存していることがある。欠陥部位81は、主にシート80にある傷や破れ、表面に付着した異物等で、製品95の外観に表れて、製品95の品質に影響を及ぼす虞がある部位である。このような欠陥部位81は、主として樹脂の再生処理化に伴って、図12に示す再生樹脂層80bで生じるものであり、シート80は、再生樹脂層80bに欠陥部位81をそのまま残した状態で、積層するバージン樹脂層80aとラミネート処理を施して製品化されている。
【0039】
そのため、リサイクル材のシート80では、再生樹脂層80bの欠陥部位81は、透明なバージン樹脂層80aを通じて、シート80の外部から視認できる態様となっている。具体的には、欠陥部位81は、一概に言えないものの、例えば、比較的大きい場合で、1~数mm程の大きさ、比較的小さい場合には、0.1~1mm程の大きさをなす略点状等の態様で存在し、このような欠陥部位81が、長尺状のシート80をなす面の一部分で、大まかに散在している場合がある。
【0040】
シート80は、主として、200~1000μm程度の厚みを対象としているが、シート厚は、厚さ200~1000μmの範囲外であっても良い。なお、JIS(日本工業規格)の包装用語による規格は、厚さ250μm以上の薄板状のプラスチック材をシートとし、厚さ250μm未満の膜状のプラスチック材をフィルムとして、規定している。しかしながら、本実施形態では、後述するシート加熱成形システム1(図1及び図2参照)で熱成形するプラスチック材をその厚みで区別せず、フィルムの範疇にある厚さのプラスチック材であっても、総称でシートとしている。
【0041】
次に、シート加熱成形システムの概要について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施形態に係る加熱成形システムの正面図であり、シートからシート成形品(製品)を製造する様子を示す図であり、その平面図を図2に示す。なお、図1中、左右方向を前後方向HZとした上で、特にシート80を前後方向HZ左側から右側へ送る向きを送出側FLとし、上下方向を高さ方向VTとし、図2中、上下方向を幅方向WDとして、各方向を定義する。図3以降の各図の方向についても、この定義に準ずる。
【0042】
図1に示すように、シート加熱成形システム1は、製品95を製造するための生産設備である。シート加熱成形システム1は、加熱成形装置2、トリミング装置3、撮影検査装置4(検出手段・撮影手段)、マーキング装置5(目印付与手段)、目印読取り装置6(目印判別手段)、不要部回収装置7(回収手段)、シートロール台8、及び制御部50(制御手段)等を備えている。シート加熱成形システム1では、送出側FLに沿って、シートロール台8、撮影検査装置4、マーキング装置5、加熱成形装置2、目印読取り装置6、トリミング装置3、及び不要部回収装置7が、この順序でそれぞれインライン上に配設されている。
【0043】
具体的に説明する。図1及び図2に示すように、シート加熱成形システム1では、長尺状のシート80は、シートロール台8にセットした捲回ロールから延出され、ピンチロール繰出し部9により、送出側FLに断続的に繰出されて加熱成形装置2側に供給される。
【0044】
<加熱成形装置2について>
図3は、実施形態に係る加熱成形システムに構成されたマーキング装置により、図13に示す欠陥部位に基づき、目印を印刷した状態を示す説明図である。図4は、実施形態に係る加熱成形システムによるトリミング工程前の半成形品を示す図であり、長尺状のシートのうち、欠陥部位のない部分で成形された正常状態の半成形品を示す説明図である。
【0045】
加熱成形装置2は、後述する撮影検査装置4等を経て、搬送経路上に載せた状態で、送出側FLに供給される長尺状のシート80を、ヒータ31で加熱すると共に、図3及び図4に示すように、断続的な成形処理に基づき、加熱したこのシート80面内の一部である半成形品予定部90に、金型32による成形ショットを行って、半成形品91の成形を行う。加熱成形装置2では、金型32は、図3及び図4に示すように、シート80の加熱部分のうち、1回分の成形処理による加工範囲S1で、1以上の半成形品91を含む半成形品群92を成形可能に構成されている。
【0046】
なお、本実施形態では、図4に例示した半成形品群92は、半成形品91を前後方向HZに2ケ、幅方向WDに5ケ、合計10ケ配置された態様となっているが、半成形品群92をなす半成形品91の数量、前後方向HZと幅方向WDに対する配置数や配置形態等は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、製品95の寸法、シート加熱成形システム1による製品95の加工条件等、製品95の仕様に応じて個々に変化する諸条件を勘案して、適宜変更可能である。勿論、1回分の成形処理による加工範囲S1で、半成形品91が1ケ、金型32の成形ショットで製造される場合もある。
【0047】
次に、撮影検査装置4とマーキング装置5について、説明する。図1及び図2に示すように、撮影検査装置4とマーキング装置5は、前後方向HZに対し、加熱成形装置2よりライン上流側(図1及び図2中、左側)に設置されている。撮影検査装置4は、シートロール台8にセットした捲回ロールから供給される長尺状のシート80に対し、図13に示すように、その面に含む欠陥部位81を、シート80の送出中に検出する機能を有する。
【0048】
<撮影検査装置4について>
図5は、図1に示す加熱成形システム内にある撮影検査装置の正面図であり、その平面図を図6に示す。撮影検査装置4は、本実施形態では、供給されるシート80を撮影するカメラ21(撮影手段)を有する。カメラ21は、図5及び図6に示すように、検査機器支持部23に設けられ、シート80の搬送経路上方にある配置位置で、搬送経路で送出されるシート80の表面を、その真上から映像で撮影する。
【0049】
カメラ21による映像範囲は、図3に示すように、加熱成形装置2において、1回分の成形処理で、金型32による成形ショットの加工範囲S1を範疇に収めるエリアとする確認領域S2である。カメラ21は、前述したように、シート80に含む0.1~数mm程の大きさの欠陥部位81に対し、確実に捉えることができる高い分解能力を有した撮像を撮影可能な撮影ユニットである。
【0050】
なお、本実施形態では、図5及び図6に示すように、カメラ21の設置数は1となっているが、設置するカメラ21の数量は、必要に応じて複数でも良く、確認領域S2において、加工範囲S1にあるシート80表面の状態を万遍なく、確実に捉えることができる条件を満たすものであれば、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0051】
また、図5及び図6は、カメラ21を、シート80の搬送経路上方に1台だけ設置した様子を図示しているが、本実施形態の図5及び図6に限らず、カメラ21を、シート80の搬送経路下方に設置する場合や、シート80の搬送経路を挟む上下両方に、それぞれ設置しても良く、シート80の搬送経路に対し、カメラ21の設置場所は、適宜変更可能である。
【0052】
<マーキング装置5について>
マーキング装置5は、図5及び図6に示すように、撮影検査装置4とセットで検査機器支持部23に設けられ、撮影検査装置4のライン下流側(図1及び図2中、右側)で、シート80の搬送経路に近接する位置に配置されている。マーキング装置5は、撮影検査装置4により、カメラ21の映像を通じて検出したシート80内の欠陥部位81に対応する位置に、目印MKを付ける装置であり、本実施形態では、インクジェットプリンタである。
【0053】
具体的には、目印MKは、マーキング装置5により、インクでシート80上面に、一例として、米1、2粒程度の大きさで、所望の形状にマーキングをしたものである。目印MKは、図3に示すように、シート80に対し、前後方向HZに沿う方向、かつ高さ方向VTに沿う方向(図12中、厚み方向TK)に直交するシート80の幅方向WD片側の端部80Eで、欠陥部位81の真横となる位置に付される。
【0054】
<目印読取り装置6について>
次に、目印読取り装置6について、説明する。図7は、図1に示す加熱成形システム内にある目印読取り装置とトリミング装置を示す正面図であり、その平面図を図8に示す。目印読取り装置6は、目印検出部25とカウンタ部22(カウンタ手段)を有する。目印検出部25は、加熱成形装置2において、金型32の成形ショットにより、半成形品群92を成形する1回分の成形処理をなす半成形品群92の加工範囲S1内で、シート80に付された目印MKの有無を判別する機能を有したユニットである。
【0055】
具体的には、目印検出部25は、本実施形態では、シート80に付された目印MKを、光学的に検出可能なセンサである。目印MKは、図3及び図4に示すように、シート80の端部80Eの位置に付されることから、目印検出部25は、シート80の端部80Eと近接した位置に配置されており、シート80を送出側FLに送りながらも、このシート80に付された目印MKを、より確実に捕捉可能となっている。
【0056】
なお、欠陥部位に対応した位置に目印を付すにあたり、目印MKを、シート80の端部80Eに付さない場合には、目印検出部25による目印の検出範囲は、1回分の成形処理による半成形品群92の加工範囲S1と同程度とすることが好ましい。目印検出部25による目印の検出範囲を、加工範囲S1全体を範疇に収めたエリアとすることにより、目印を欠陥部位に直接付した場合、目印の位置が、残存する欠陥部位がところどころにバラついた位置にあっても、目印検出部25は、目印を捕捉することができるからである。
【0057】
カウンタ部22は、一例として、本実施形態では、トリミング装置3に設けられている。カウンタ部22は、シート80に残存する欠陥部位81に対し、単位面積当たりの計測数を、例えば、操作パネルの画面等、図示しない表示手段を介して報知する機能を有したユニットである。具体的には、カウンタ部22は、カメラ21で撮影されたシート80の映像を通じて、捕捉した欠陥部位81の検出数を、例えば、シート80に付した目印MKの数に基づく算出等により、カウント可能な機能を有する。欠陥部位81の検出数は、後述する制御部50の記憶手段に保存される。
【0058】
<トリミング装置3について>
次に、トリミング装置3について、説明する。図7は、図1に示す加熱成形システム内にある目印読取り装置とトリミング装置を示す正面図であり、その平面図を図8に示す。
【0059】
トリミング装置3は、図7及び図8に示すように、トリム部41を備えている。トリム部41は、搬送経路をなす半成形品91(加熱成形後の状態にあるシート80)を挟み、上側にある上側テーブル42と、下側にある下側テーブル43とを対向させた配置で構成され、図示しない切断刃を有している。切断刃は、上側テーブル42または下側テーブル43の片側に装着され、本実施形態では、例えば、上側テーブル42に装着されている。上側テーブル42と下側テーブル43は、1つのサーボモータの回転に基づき、カムとリンクを用いたクランク機構を介して、回転運動を直線運動に変換することにより、同期した周期的動作で、互いに近接または離間する方向に上下動可能な構造で構成されている。
【0060】
このように、上側テーブル42と下側テーブル43による周期的な上下動により、トリム部41の切断刃が、図7及び図8に示すように、目印読取り装置6を通過してトリミング装置3に断続的に送出される半成形品91(半成形品群92)に対し、図4に示すように、製品となる成形品要部95とその周囲にある不要部96の間を切断する。これにより、不要部96と切り離された成形品要部95は、不要部96の搬送経路から抜け落ちて、例えば、吸着手段による吸着等を伴って払い出され、図7に示すように、図14に示す製品95として、製品載置台10に置かれる。
【0061】
<不要部回収装置7について>
次に、不要部回収装置7について、図1及び図2を用いて説明する。シート加熱成形システム1では、図1及び図2に示すように、長尺状の不要部96は、不要部回収装置7により、巻き取られて回収される。また、後述する欠陥付き半成形品群93(図10参照)が、長尺状に繋がっている不要部96の一部にある場合でも、欠陥付き半成形品群93は、不要部96に繋がれた状態で、不要部回収装置7により、不要部96と一緒に巻き取られて回収される。
【0062】
<制御部50について>
次に、制御部50について、説明する。制御部50は、加熱成形装置2でのシート80の搬送制御、金型32の動作制御、トリミング装置3での半成形品91の搬送制御、トリム部41でのサーボモータの動作制御等、種々の駆動制御のほか、シート加熱成形システム1全体の動作を制御する中央制御回路、シート温度センサに基づくヒータ31の温度制御、接続するセンサの入力I/O、情報出力部、操作入力部、及び記憶部等を備えている。また、制御部50は、撮影検査装置4(カメラ21等)、マーキング装置5、及び目印読取り装置6(カウンタ部22、目印検出部25等)と、電気的に接続されている。
【0063】
中央制御回路は、内部のバスに、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマ回路、及び不揮発性メモリ等を電気的に接続し配線された回路である。CPUは、前述の駆動制御、温度制御等の各制御にあたり、ROMや不揮発性メモリに記録され各種の制御プログラムに基づいて、RAMをワークエリアとして利用しながら、加熱成形装置2、トリミング装置3、撮影検査装置4、マーキング装置5、及び目印読取り装置6等、シート加熱成形システム1の各部を制御する。
【0064】
また、制御部50は、一連の制御の下で、カメラ21の撮影により、シート80内の欠陥部位81を認識して、カウンタ部22により、シート80の映像を通じて把握した欠陥部位81の数を検出すると共に、検出した欠陥部位81に基いて、マーキング装置5により目印MKの付与を連動して行う。加えて、制御部50は、金型32の成形ショット時の信号情報と共に、目印読取り装置6により、シート80で確認された目印MKに基づいて、シート80内での欠陥部位81の存在を知得する。
【0065】
具体的に説明する。図9は、実施形態に係る加熱成形システムによるトリミング工程前の半成形品を示す図であり、連続して成形された半成形品の中で、廃棄対象とする半成形品の配列数についての説明図である。図10は、実施形態に係る加熱成形システムで、不要部回収装置で回収前の状態にある不要部を示す図であり、長尺状の不要部のうち、廃棄対象の半成形品を一部に含んだ状態を示す説明図である。
【0066】
製品95を製造する現場では、欠陥部位81がシート80に残存すると、欠陥部位81を含んだ製品95は、不良品扱いになることもある。そのため、一般的には、現場の作業者は、このような欠陥部位81を避けた製品95づくりを行う。シート加熱成形システム1では、その稼働中、目印読取り装置6が、シート80に付した目印MKを読み取り、欠陥部位81が、シート80で確認された場合、本実施形態では、廃棄対象となる半成形品91は、廃棄基準配列Pに基づいて、廃棄対象半成形品94に設定される。廃棄対象半成形品94は、欠陥半成形品94Aと欠陥相当半成形品94Bに大別される。
【0067】
廃棄基準配列Pは、図9に示すように、半成形品群92の中で、欠陥部位81が成形品要部95自体に有した状態の下で成形された欠陥半成形品94A(94)を含み、幅方向WDに並ぶ半成形品91を繋ぐ仮想的な配列である。または、廃棄基準配列Pは、半成形品群92の中で、欠陥部位81が成形品要部95の最も近接した状態の下で成形された欠陥相当半成形品94B(94)を含み、幅方向WDに並ぶ半成形品91を繋ぐ仮想的な配列である。廃棄基準配列Pは、前者の場合(第1の場合)と、後者の場合(第2の場合)と、前者と後者の両方の場合(第3の場合)に適用される。
【0068】
図9に示すように、送出側FLに断続的に成形される半成形品91のうち、送出側FL沿う前後方向HZに対し、廃棄基準配列Pと近接する側、または廃棄基準配列Pを挟む両側で、廃棄対象半成形品94の廃棄処理にあたり、制御部50は、前後方向HZに対し、廃棄対象半成形品94の配列数を、任意に設定可能に構成されている。
【0069】
具体的には、例示した図9の場合、シート80には、欠陥部位81が2箇所あり、2箇所とも同じ廃棄基準配列P(第3の場合)下にある。制御部50は、この廃棄基準配列Pを基準として、前後方向HZに対し、廃棄基準配列Pと近接する側(図9の場合、廃棄基準配列Pより左側)だけ、または廃棄基準配列Pを挟む両側(図9の場合、廃棄基準配列Pの左右両側)で、廃棄対象半成形品94の配列数qを、任意に設定できるようになっている。
【0070】
例えば、図9に示すように、廃棄基準配列Pより前後方向HZ前側(図9中、+FL側)の配列数をq=+2、その反対側(図9中、-FL側)の配列数をq=-2が、制御部50に設定された場合、廃棄基準配列Pと、配列q=+1と、配列q=+2と、配列q=-1と、配列q=-2のそれぞれで、幅方向WDに並ぶ合計25の半成形品91が、廃棄対象半成形品94の対象となる。
【0071】
なお、この例示の場合、廃棄基準配列Pより前後方向HZ前側での廃棄対象半成形品94の配列数qと、前後方向HZ後側での廃棄対象半成形品94の配列数qは、それぞれ2で同じになっているが、廃棄対象半成形品94の配列数qは、前後方向HZ前側と前後方向HZ後側でそれぞれ、個々に異なって設定されても良い。また、廃棄基準配列Pの態様が、第1の場合や第2の場合であっても、廃棄対象半成形品94の配列数qを設定する要領は、上述した通り、第3の場合と同じである。
【0072】
図9及び図10に示すように、先の例示で、合計25ケの廃棄対象半成形品94は、供給されるシート80のうち、欠陥部位81を含む設定範囲82内を欠陥箇所有りとした欠陥付き半成形品群93として扱われる。すなわち、目印読取り装置6により、欠陥部位81の存在が確認された場合、制御部50は、図10に示すように、欠陥付き半成形品群93に対し、トリミング装置3による成形品要部95の切り離しを行わず、不要部回収装置7により、成形品要部95を含んだまま不要部96と共に、回収する。
【0073】
制御部50は、前述したように、金型32の成形ショット時の信号情報と共に、目印読取り装置6により、シート80で確認された目印MKに基づいて、シート80内での欠陥部位81の存在を知得する。金型32の成形ショット時の信号情報について、図11を用いて説明する。図11は、実施形態に係る加熱成形システムで、成形ショット時の信号情報に対し、成形工程以降、トリミング工程及び目印検出工程との関係を、タイミングチャートで示す説明図である。
【0074】
加熱成形装置2では、前述したように、半成形品91は、ヒータ31で加熱した状態にある長尺状のシート80に対し、図3及び図4に示すように、金型32による成形ショットを断続的に行う成形処理により、製造される。制御部50は、図11に示すように、金型32による成形ショットを行うための成形ショット信号Sg(成形ショット時の信号情報)を有する。成形工程で断続的に行う成形処理は、図11に示すように、制御部50による成形ショット信号Sgに基づいて、金型32を動作させることにより、シート80に成形ショットを行って実行される。
【0075】
すなわち、成形工程を実行するときの成形処理の信号情報を、成形ショット信号Sgと置いた場合、実行最中の成形処理の信号情報は、説明の便宜上の基準として、成形ショット信号Sg(n)(nは自然数)である。その1回前に行った成形処理分の信号情報は、成形ショット信号Sg(n-1)である。また、k(2≦k<n、kは自然数)回前に行った成形処理分の信号情報は、成形ショット信号Sg(n-k)である。その直前の(k-1)回前に行った成形処理分の信号情報は、成形ショット信号Sg(n-k-1)である。同様に、m(k-1≦m、mは自然数)回前に行った成形処理分の信号情報は、成形ショット信号Sg(n-m)である。このように、複数回に亘り、断続的に繰り返される成形処理に係る成形ショット信号Sgについて、制御部50は、成形処理毎の成形ショット信号Sgを、記憶部に保存するようになっている。
【0076】
次に、本実施形態に係るシート加熱成形システム1で、トリミング装置3によるトリミング工程の実施要領について、説明する。シート加熱成形システム1の稼働中、トリミング装置3による半成形品91のトリミング工程は、加熱成形装置2による半成形品91の成形工程以降、目印読取り装置6による目印MKの目印検出工程を経て行われる。目印検出工程は、図11に示すように、成形ショット信号Sg(n-k)により、成形処理を施した分を対象に行われる。このとき、制御部50は、目印検出工程に供給された半成形品91に対し、目印読取り装置6により、目印MKの有無の判別を行う。
【0077】
また、制御部50は、成形ショット信号Sg(n-k)に基づいて、廃棄対象半成形品94に該当する否かの判別も行う。目印検出工程で目印読取り装置6を通過した半成形品91は、トリミング装置3に送出される。トリミング工程は、目印検出工程の後、成形工程と同様、断続的に行われ、トリミング装置3に到達した段階にある半成形品91では、その成形処理分は、目印読取り装置6により目印MKを読み取った段階よりも、(m-k)回前に行われたものとなっている。
【0078】
そのため、トリミング工程の実施の可否を判断する成形ショット信号Sg(n-m)は、目印検出工程で目印MKの有無を判断した成形ショット信号Sg(n-k)と、実質的に同じである。目印検出工程に供給された半成形品91に対し、制御部50が、廃棄対象半成形品94に非該当と判別した場合、この半成形品91は、トリミング工程の実施対象となり、半成形品91(半成形品群92)に対し、トリミング装置3で不要部96のトリミングを行い、成形品要部95(製品95)が得られる。
【0079】
一方、目印検出工程に供給された半成形品91に対し、制御部50が、廃棄対象半成形品94に該当と判別した場合、制御部50は、図10に示すように、欠陥付き半成形品群93に対し、トリミング装置3による成形品要部95の切り離しを回避する。欠陥付き半成形品群93は、成形ショット信号Sg(n-k)により、成形処理を施した分の廃棄対象半成形品94と、前述したように、設定された配列数qの配列下にある廃棄対象半成形品94を含む。
【0080】
具体的には、図9図11に示すように、制御部50は、欠陥付き半成形品群93に対し、廃棄基準配列P下にある廃棄対象半成形品94の成形処理を行った成形ショット信号Sg(n-m)と、配列q=+1、配列q=2、配列q=-1、及び配列q=-2の下にある廃棄対象半成形品94の成形処理を行った成形ショット信号Sgに基づいて、トリミング装置3による成形品要部95の切り離しを回避させる。これにより、図10に示すように、欠陥付き半成形品群93は、不要部回収装置7により、成形品要部95を含んだまま、不要部96と共に回収される。
【0081】
かくして、トリミング装置3は、図4及び図10に示すように、製造ライン上で、欠陥部位81を含む、または欠陥部位81を含む可能性を有した廃棄対象半成形品94と混ざることなく、品質上、欠陥部位81のない製品95を製造することができる。
【0082】
次に、本実施形態に係るシート加熱成形システム1の作用・効果について説明する。
【0083】
本実施形態に係るシート加熱成形システム1は、送出側FLに供給される長尺状のシート80を加熱して、金型32により、シート80面内の一部が成形された半成形品91を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置2と、この半成形品91の不要部96として、製品となる成形品要部95以外を取り除くトリミング装置3を備える加熱成形システムにおいて、シート80は、再生樹脂層80bを含むリサイクル材からなること、制御部50と、シート80に含む欠陥部位81を、シート80の送出中に検出する撮影検査装置4と、シート80に対し、撮影検査装置4により検出された欠陥部位81に対応する位置に、目印MKを付すマーキング装置5と、加熱成形装置2で、金型32の成形ショットにより、1以上の半成形品91を含む半成形品群92を成形する1回分の成形処理に対し、半成形品群92の加工範囲S1内で、目印MKの有無を判別する目印読取り装置6と、を備え、制御部50は、金型32の成形ショット時の信号情報Sg(成形ショット信号Sg)と、目印読取り装置6で確認した目印MKに基づいて、欠陥部位81の存在を知得すること、を特徴とする。
【0084】
この特徴により、再生樹脂層80bを含むリサイクル材のシート80を材料に、製品95を製造する場合でも、シート加熱成形システム1は、製品95の製造中に、シート80に残存した欠陥部位81を検出することができているため、検出した欠陥部位81を排除して、製品95を製造することが可能になる。
【0085】
ところで、シート加熱成形システム1のように、シート加熱成形装置とシートトリミング装置を構成したシート加熱成形システムで、バージン材だけのシートを対象とした従来の設備では、シート80に残存した欠陥部位81が検出できない。しかも、加熱成形工程やトリミング工程等は一般的に、連動した自動運転の下、十数~数十秒程の比較的短いタクトタイムで行われる。そのため、従来の設備で、リサイクル材のシート80を成形してシート成形品(製品)を製造すると、作業者が、欠陥部位81の有無について、製造された全数の製品に対し、一品毎に目視検査を行わなければならなかった。その結果、目視検査を行う作業に手間がかかり、製品の生産性が、大幅に低下してしまうばかりか、目視検査に掛かる作業者の人件費等の増加に伴って、製品がコスト高となり、製品を効率良く製造することができなかった。
【0086】
これに対し、シート加熱成形システム1では、欠陥部位81を排除した製品95づくりができることから、このような製品の品質検査の不要化を実現することができ、その検査に必要なコストも削減できる。それ故に、リサイクル材のシート80が、製品95の材料に用いられても、製品95の生産性を低下させず、バージン材だけのシートと同様に、製品95を効率良く製造することができる。
【0087】
従って、本実施形態に係るシート加熱成形システム1によれば、リサイクル材のシート80により、製品95となるシート成形品を製造する場合でも、製品95に要求される品質要件を満たしたシート成形品を、効率良く製造することができる、という優れた効果を奏する。
【0088】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、目印読取り装置6により、欠陥部位81の存在が確認された場合、半成形品群92の中で、欠陥部位81が成形品要部95自体に有した状態の下で成形された欠陥半成形品94A(94)または、欠陥部位81が成形品要部95に最も近接した状態の下で成形された欠陥相当半成形品94Bの少なくとも一方を、廃棄基準配列P下の廃棄対象とした上で、送出側FLに断続的に成形される半成形品91のうち、送出側FLに沿う前後方向HZに対し、廃棄基準配列Pと近接する側、または廃棄基準配列Pを挟む両側で、半成形品91の廃棄処理にあたり、廃棄対象とする半成形品91の前後方向HZの配列数が、制御部50に設定可能であること、を特徴とする。
【0089】
この特徴により、シート加熱成形システム1の製造ライン上で、図10に示すように、欠陥部位81を含む廃棄対象半成形品94をはじめ、欠陥部位81を含む蓋然性を残した廃棄対象半成形品94が、品質上、問題なく不要部96をトリミングした成形品要部95(製品95)と、混ざることなく確実に区別できる。それ故に、製品95は、欠陥部位81に起因した不良率を大幅に抑えて、製造できるようになる。
【0090】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、不要部96を回収する不要部回収装置7を備え、目印読取り装置6により、欠陥部位81の存在が確認された場合、供給されるシート80のうち、欠陥部位81を含む設定範囲82を欠陥箇所有りとした欠陥付き半成形品群93に対し、制御部50は、トリミング装置3による成形品要部95の切り離しを行わず、不要部回収装置7により、欠陥付き半成形品群93を含んだまま、不要部96を回収すること、を特徴とする。
【0091】
この特徴により、良品としての製品95(成形品要部95)は、製品載置台10に集められ、不良品扱いになった欠陥付き半成形品群93は、不要部回収装置7で回収されるため、複数の製品95が集められた良品群の中に、不良品扱いの欠陥付き半成形品群93の混入が、確実に防止できる。また、欠陥付き半成形品群93も、回収した不要部96と一緒に巻き取られるため、不要部96とまとめて再資源化を行うことができる。そのため、欠陥付き半成形品群93を再資源化させるのに必要となる処分作業が、不要部96を再資源化させるのに必要な処分作業と同時にでき、このような処分作業を行う上で、余分な手間が省ける。
【0092】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、制御部50は、欠陥付き半成形品群93の成形処理を行った成形ショット信号Sgに基づいて、トリミング装置3による成形品要部95の切り離し動作を停止させること、を特徴とする。
【0093】
この特徴により、シート加熱成形システム1は、図7及び図9に示すように、半成形品91から不要部96をトリミングした成形品要部95(製品95)を、良品の置き場である製品載置台10に集める一方、欠陥付き半成形品群93に属する廃棄対象半成形品94に含む成形品要部95を、長尺状の不要部96に残したままとしてている。そのため、欠陥付き半成形品群93に属した成形品要部95と、良品となる成形品要部95(製品95)とが、確実に区別できるため、製品95の生産管理が容易になる。
【0094】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、目印MKは、シート80の送出側FL、かつシート80の厚み方向TKに直交するシート80の幅方向WDの端部80Eに付されること、を特徴とする。
【0095】
この特徴により、シート80の端部80Eは、不要部96の領域となる。そのため、何らかの理由により、万が一、目印MKが、欠陥付き半成形品群93の対象外となる正常な半成形品群92の領域に付されたとしても、この正常な半成形品群92に属する成形品要部95には、目印MKによる悪影響は生じない。
【0096】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、シート80に存在する欠陥部位81に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ部22を備えていること、を特徴とする。
【0097】
この特徴により、製品95づくりに、リサイクル材であるシート80を使用する上で、長尺状のシート80に対し、残存する欠陥部位81に関する欠陥部位情報(密集度・分布状況・全シート80を使用する中で、欠陥部位81の出現頻度等)を、カウンタ部22により、検出した欠陥部位81の数に基づいて、把握することができる。このような欠陥部位情報は、欠陥付き半成形品群93の設定範囲82を定めるにあたり、廃棄対象半成形品94の配列数qを設定する上で、大いに役立ち、品質の信頼性を高めた製品95づくりに、大いに貢献することができる。
【0098】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、マーキング装置5は、インクジェットプリンタであり、目印MKは、マーキング装置5により、インクでシート80の表面にマーキングをしたものであること、を特徴とする。
【0099】
この特徴により、シート80は、目印MKを付したインクにより、変質・損傷等によるダメージを受けないため、製品95となる正常な半成形品群92に属した成形品要部95に対し、悪影響は全く及ばない。
【0100】
また、本実施形態に係るシート加熱成形システム1では、撮影検査装置4は、供給されるシート80を撮影する撮影検査装置4であり、マーキング装置5は、カメラ21によるシート80の撮像に基づき、シート80に目印MKを付すこと、を特徴とする。
【0101】
この特徴により、シート80に残存する欠陥部位81が、例えば、0.1~数mm等と、大きさにバラツキを持ち、ランダムに散財していても、カメラ21は、確認領域S2にある欠陥部位81を確実に捉えることができる。そのため、マーキング装置5は、実際にシート80に残存する欠陥部位81に対し、洩れのない態様で、シート80に目印MKを付すことができる。
【0102】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0103】
例えば、実施形態では、インクジェットプリンタであるマーキング装置5により、米粒程の大きさの目印MKを、シート80に付した。しかしながら、目印付与手段は、インクジェットプリンタに限定されるものではなく、シートに目印の付与を可能とするものであれば、種々変更可能である。また、目印付与手段により付す目印は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、レーザー光の照射により付すマーキング、シールの貼付、スタンプの押印、切欠き部の形成等、米粒程の大きさの目印を、成形品要部となる領域に掛かることなく、シートの不要部となる領域に付すものであれば、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 シート加熱成形システム
2 加熱成形装置
3 トリミング装置
4 撮影検査装置(検出手段、撮影手段)
5 マーキング装置(目印付与手段、インクジェットプリンタ)
6 目印読取り装置(目印判別手段)
7 カウンタ部(カウンタ手段)
8 不要部回収装置(回収手段)
10 制御部(制御手段)
21 カメラ(撮影手段)
32 金型
80 シート
80b 再生樹脂層(再生した樹脂)
80E 端部
81 欠陥部位
82 欠陥部位を含む設定範囲
91 半成形品
92 半成形品群
93 欠陥付き半成形品群(欠陥付きの半成形品群)
94 廃棄対象半成形品(廃棄対象とする半成形品)
94A 欠陥半成形品(欠陥部位が成形品要部自体に有した状態の下で成形された半成形品)
95B 欠陥相当半成形品(欠陥部位が成形品要部に最も近接した状態の下で成形された半成形品)
95 成形品要部、製品
96 不要部
P 廃棄基準配列
q 送出側の配列数
S1 半成形品群の加工範囲
S2 目印確認領域(確認領域)
Sg 成形ショット信号(成形ショット時の信号情報)
MK 目印
FL 送出側
HZ 前後方向
TK 厚み方向
WD 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、
前記シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、
制御手段と、
前記シートに含む欠陥部位を、前記シートの送出中に検出する検出手段と、
前記シートに対し、前記検出手段により検出された前記欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、
前記加熱成形装置で、前記金型の成形ショットにより、1以上の前記半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の前記成形処理に対し、前記半成形品群の加工範囲内で、前記目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、
前記制御手段は、前記金型の前記成形ショット時の信号情報と、前記目印判別手段で確認した前記目印に基づいて、前記欠陥部位の存在を知得すること、
前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、前記半成形品群の中で、前記欠陥部位が前記成形品要部自体に有した状態の下で成形された前記半成形品、または前記欠陥部位が前記成形品要部に最も近接した状態の下で成形された前記半成形品の少なくとも一方を、廃棄基準配列下の廃棄対象とした上で、
前記送出側に断続的に成形される前記半成形品のうち、前記送出側に沿う前後方向に対し、前記廃棄基準配列と近接する側、または前記廃棄基準配列を挟む両側で、前記半成形品の廃棄処理にあたり、廃棄対象とする前記半成形品の前記前後方向の配列数が、前記制御手段に設定可能であること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項2】
送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、
前記シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、
制御手段と、
前記シートに含む欠陥部位を、前記シートの送出中に検出する検出手段と、
前記シートに対し、前記検出手段により検出された前記欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、
前記加熱成形装置で、前記金型の成形ショットにより、1以上の前記半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の前記成形処理に対し、前記半成形品群の加工範囲内で、前記目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、
前記制御手段は、前記金型の前記成形ショット時の信号情報と、前記目印判別手段で確認した前記目印に基づいて、前記欠陥部位の存在を知得すること、
前記不要部を回収する回収手段を備え、
前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、供給される前記シートのうち、前記欠陥部位を含む設定範囲内を欠陥箇所有りとした欠陥付きの前記半成形品群に対し、
前記制御手段は、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離しを行わず、前記回収手段により、前記欠陥付きの半成形品群を含んだまま、前記不要部を回収すること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項3】
送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、
前記シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、
制御手段と、
前記シートに含む欠陥部位を、前記シートの送出中に検出する検出手段と、
前記シートに対し、前記検出手段により検出された前記欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、
前記加熱成形装置で、前記金型の成形ショットにより、1以上の前記半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の前記成形処理に対し、前記半成形品群の加工範囲内で、前記目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、
前記制御手段は、前記金型の前記成形ショット時の信号情報と、前記目印判別手段で確認した前記目印に基づいて、前記欠陥部位の存在を知得すること、
前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、前記半成形品群の中で、前記欠陥部位が前記成形品要部自体に有した状態の下で成形された前記半成形品、または前記欠陥部位が前記成形品要部に最も近接した状態の下で成形された前記半成形品の少なくとも一方を、廃棄基準配列下の廃棄対象とした上で、
前記送出側に断続的に成形される前記半成形品のうち、前記送出側に沿う前後方向に対し、前記廃棄基準配列と近接する側、または前記廃棄基準配列を挟む両側で、前記半成形品の廃棄処理にあたり、廃棄対象とする前記半成形品の前記前後方向の配列数が、前記制御手段に設定可能であること、
前記不要部を回収する回収手段を備え、
前記目印判別手段により、前記欠陥部位の存在が確認された場合、供給される前記シートのうち、前記欠陥部位を含む設定範囲内を欠陥箇所有りとした欠陥付きの前記半成形品群に対し、
前記制御手段は、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離しを行わず、前記回収手段により、前記欠陥付きの半成形品群を含んだまま、前記不要部を回収すること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記制御手段は、前記欠陥付きの半成形品群の前記成形処理を行った前記成形ショット時の信号情報に基づいて、前記トリミング装置による前記成形品要部の切り離し動作を停止させること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項5】
送出側に供給される長尺状のシートを加熱して、金型により、該シート面内の一部が成形された半成形品を、断続的な成形処理で製造する加熱成形装置と、該半成形品の不要部として、製品となる成形品要部以外を取り除くトリミング装置を備えるシート加熱成形システムにおいて、
前記シートは、再生した樹脂を含むリサイクル材からなること、
制御手段と、
前記シートに含む欠陥部位を、前記シートの送出中に検出する検出手段と、
前記シートに対し、前記検出手段により検出された前記欠陥部位に対応する位置に、目印を付す目印付与手段と、
前記加熱成形装置で、前記金型の成形ショットにより、1以上の前記半成形品を含む半成形品群を成形する1回分の前記成形処理に対し、前記半成形品群の加工範囲内で、前記目印の有無を判別する目印判別手段と、を備え、
前記制御手段は、前記金型の前記成形ショット時の信号情報と、前記目印判別手段で確認した前記目印に基づいて、前記欠陥部位の存在を知得すること、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項6】
請求項1に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項8】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印は、前記シートの前記送出側、かつ前記シートの厚み方向に直交する前記シートの幅方向端部に付されること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項9】
請求項1または請求項に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項10】
請求項2または請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項11】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記シートに存在する前記欠陥部位に対し、単位面積当たりの数を数えるカウンタ手段を備えていること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項12】
請求項1または請求項に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項13】
請求項2または請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項14】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記目印付与手段は、インクジェットプリンタであり、前記目印は、前記目印付与手段により、インクで前記シートの表面にマーキングをしたものであること、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項15】
請求項1または請求項に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、
前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項16】
請求項2または請求項3に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、
前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、
を特徴とするシート加熱成形システム。
【請求項17】
請求項4に記載するシート加熱成形システムにおいて、
前記検出手段は、供給される前記シートを撮影する撮影手段であり、
前記目印付与手段は、前記撮影手段による前記シートの撮像に基づき、前記目印を付すこと、
を特徴とするシート加熱成形システム。