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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172568
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】格納部付樹脂サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E06B1/62 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090362
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 結
(72)【発明者】
【氏名】寺山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】黒田 久美子
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011LB01
2E011LD02
2E011LD03
2E011LD04
2E011LD07
2E011LF06
(57)【要約】
【課題】窓の外周付近を屋内側から見たときの意匠性を向上できると共に、現場での施工作業の容易化を図れる格納部付樹脂サッシを提供することである。
【解決手段】樹脂サッシ12は、建物の開口縁に取り付けられる本体枠部の内側に取り付けられる框を有し、開口縁の周辺の屋内側に取り付けられるボードのボード開口周縁部のうち、少なくとも上下方向一端部が、ボードの厚み方向に見た場合に框の屋内側端部の屋内側面に重なるように、開口縁の内側に向かって延伸されている状態で用いられる。樹脂サッシは、本体枠部の屋内側端と、本体枠部及びボードの間の開口縁の上下方向一端と、ボードの屋外側端とに配置され、内側に上下方向他端が開口する格納部を形成する格納形成部を含む。格納形成部は、ボード開口の内周面の上下方向一端を覆うボード覆い77を有し、ボード覆いは、ボードの屋内側面より屋内側に突出している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口縁に取り付けられる本体枠部と、前記本体枠部の内側に取り付けられる框とを有し、前記開口縁の周辺の屋内側に取り付けられるボードのボード開口周縁部のうち、少なくとも上下方向一端部が、前記ボードの厚み方向に見た場合に前記框の屋内側端部の屋内側面に重なるように、前記開口縁の内側に向かって延伸されている状態で用いられる、樹脂サッシであって、
前記本体枠部の屋内側端と、前記本体枠部及び前記ボードの間の前記開口縁の上下方向一端と、前記ボードの屋外側端とに配置され、内側に上下方向他端が開口する格納部を形成する格納形成部を備え、
前記格納形成部は、前記ボード開口の内周面の上下方向一端を覆うボード覆いを有し、
前記ボード覆いは、前記ボードの屋内側面より屋内側に突出している、
格納部付樹脂サッシ。
【請求項2】
前記ボード覆いが、前記ボードの屋内側面より屋内側に突出する突出長さは、5mm以下である、
請求項1に記載の格納部付樹脂サッシ。
【請求項3】
前記ボード開口周縁部は、前記開口縁の全周について、前記ボードの厚み方向に見た場合に前記框の屋内側端部の屋内側面に重なるように、前記開口縁の内側に向かって延伸されており
前記格納形成部は、前記本体枠部の屋内側端と、前記本体枠部及び前記ボードの間の前記開口縁の内周端と、前記ボードの屋外側端とに配置され、内側に内周端部が開口し、前記格納部を含む枠状格納部を形成し、かつ、前記ボード開口の内周面を全周にわたって覆う、
請求項1に記載の格納部付樹脂サッシ。
【請求項4】
前記格納形成部は、前記本体枠部の屋内側端に一体に設けられる、
請求項1に記載の格納部付樹脂サッシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、格納部付樹脂サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂で形成された樹脂サッシが知られている。樹脂サッシは、建物の開口縁に取り付けられる。樹脂サッシは、アルミサッシフレームと比べて熱伝導率が低く、断熱性が高くなる。
【0003】
特許文献1には、建物の開口縁に取り付けられたサッシ枠であって、金属製の部分と非金属である樹脂製の部分とで構成され、屋内側に設けられた石膏ボードの端面を内装材で覆うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019―120119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、窓開き用のハンドルなどの機構部材や、網戸やシェード等の窓周辺部材は、一般的に、窓よりも屋内側に設置されることが多いため、窓の外周付近を屋内側から見たときの意匠性が損なわれる原因となっている。また、窓枠の框が屋内側から見える場合も意匠性が損なわれる原因となる。框や、上記窓周辺商材を屋内側から見えないようにするために、石膏ボード等の内壁で隠すことが考えられるが、現場での造作が必要になる。この場合、施工作業において、ボードの開口の下端の高さを框の下部の屋内側面の上端高さに略一致させるように合わせる作業に手間がかかる。また、ボードの小口が見えると共に、ボードの屋内側面にクロス等の仕上げ材を貼り付ける場合に、仕上げ材の端も見えるので、意匠性が低下する原因となる。
【0006】
本開示の目的は、窓の外周付近を屋内側から見たときの意匠性を向上できると共に、現場での施工作業の容易化を図れる格納部付樹脂サッシを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の格納部付樹脂サッシは、建物の開口縁に取り付けられる本体枠部と、本体枠部の内側に取り付けられる框とを有し、開口縁の周辺の屋内側に取り付けられるボードのボード開口周縁部のうち、少なくとも上下方向一端部が、ボードの厚み方向に見た場合に框の屋内側端部の屋内側面に重なるように、開口縁の内側に向かって延伸されている状態で用いられる、樹脂サッシであって、本体枠部の屋内側端と、本体枠部及びボードの間の開口縁の上下方向一端と、ボードの屋外側端とに配置され、内側に上下方向他端が開口する格納部を形成する格納形成部を備え、格納形成部は、ボード開口の内周面の上下方向一端を覆うボード覆いを有し、ボード覆いは、ボードの屋内側面より屋内側に突出している、格納部付樹脂サッシである。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る格納部付樹脂サッシによれば、窓の外周付近を屋内側から見たときの意匠性を向上できると共に、現場での施工作業の容易化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の格納部付樹脂サッシを含む窓を屋外側から見た斜視図である。
図2図1の窓を屋内側から見た図である。
図3図2のA-A断面で切断した断面を含む斜視図である。
図4図3のB部拡大図である。
図5図2のC-C断面図である。
図6】比較例の格納部付樹脂サッシを含む窓において、図4に対応する図である。
図7】実施形態の別例の格納部付樹脂サッシを含む窓において、図4に対応する図である。
図8】実施形態の別例の格納部付樹脂サッシを含む窓において、図4に対応する図である。
図9】実施形態の別例の格納部付樹脂サッシを含む窓において、図4に対応する図である。
図10】実施形態の別例の格納部付樹脂サッシを含む窓において、図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、格納部付樹脂サッシを含む窓の仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0011】
図1は、実施形態の格納部付樹脂サッシを含む窓10を屋外側から見た斜視図である。図2は、窓10を屋内側から見た図である。図3は、図2のA-A断面で切断した断面を含む斜視図である。図4は、図3のB部拡大図である。図5は、図2のC-C断面図である。
【0012】
図1から図5において、建物の外壁1は、外壁躯体としての壁パネル2と、壁パネル2の屋内面に設けられた内装材であり、かつ内壁である石膏ボード等のボード6とを含んで構成される。壁パネル2は、格子状等に組まれたパネル芯材3と、パネル芯材3の屋外側に配置された外装材4とを含んでいる。
【0013】
窓10は、樹脂サッシ12と、樹脂サッシ12に装着されたガラス60とを含んで構成される。樹脂サッシ12は、建物の外壁1において、パネル芯材3で形成された断面矩形状の開口縁5(図3)に取り付けられた枠体14(図3)と、枠体14の内側に組み付けられ、内周にガラス60が装着された框30と、枠体14の屋内側に装着された枠状の格納形成部材70(図3)とを含む。枠体14は、本体枠部に相当する。ガラス60は、単層ガラスであっても、複層ガラスであってもよい。
【0014】
格納形成部材70は、窓10の屋内側において、内周端が全周にわたって開口した枠状の空間である格納部100を、内側に形成する。格納部100の枠状部分において、上下方向両端の一方または両方には、窓開き用のハンドルなどの機構部材101(図4)や、網戸やシェード等の窓周辺部材(図示せず)を格納可能である。格納形成部材70は、後で詳しく説明する。
【0015】
窓10は、框30が枠体14に対し屋外側に滑り出し開閉可能に支持された滑り出し窓として形成される。枠体14の左右両端で上下方向に延びる縦枠要素15,16(図5)と、框30の左右両端で上下方向に延びる縦框要素31,32(図5)とは、アーム部材(図示せず)で連結される。
【0016】
図3図5に示すように、枠体14は、樹脂により中空の矩形枠状に形成される。枠体14は、建物の開口縁5に嵌め込まれた状態で、建物の外壁1にネジ等の固定手段により固定される。
【0017】
框30は、樹脂製で中空の矩形枠状に形成された框本体33と、框本体33において厚み方向両側の内周側端部に環状に設けられた樹脂製の2つの押し縁部34,35とを有する。2つの押し縁部34,35は、ガラス60の外周部を厚み方向両側から弾性的に押圧する。
【0018】
2つの押し縁部34,35のうち、屋外側の一方の押し縁部34は、框本体33とは別部材である矩形枠状の押し縁部材40により形成される。押し縁部材40は、框本体33の内周の厚み方向一端部である屋外側端部に全周にわたって設けられた溝33aに嵌め込まれて係止される外周係止部41と、框本体33の内周縁から内周側に突出する部分に設けられ、断面が、矩形の一端である内周側端を開口させた形状である押し縁本体42とを有する。押し縁本体42は、框30の内周側に向かって一端を開口させた断面矩形状であり、それぞれ框30の矩形状の内周縁の辺に沿って延びている。
【0019】
また、押し縁本体42の屋内側端の壁部43は、ガラス60の面方向に沿って延びる扁平な中空部44を有する。押し縁本体42のガラス60側の端部には、ゴム製の気密部材50が取り付けられる。
【0020】
このような押し縁部材40には、ガラス60の外側に配置され框30の内周側に向かって開口する溝部45が形成される。溝部45は、框30の枠状部分の下端部だけでなく上端部にも同様に設けられる。これにより、窓10の外側に、上下方向に展開移動可能な巻取り型または折り畳み型のシェード等の日よけ部材を設ける場合に、上下両端のいずれか一方の溝部45内に日よけ部材を収容できる。このような溝部45は、ガラス60と一体に移動可能に設けられる。このため、滑り出し窓の屋外側に開く機能が日よけ部材で妨げられることを防止できる。また、日よけ部材を展開しないときには、溝部45に日よけ部材を収容できるので、屋外側から見たときの意匠性に優れる。
【0021】
2つの押し縁部34,35のうち、屋内側の他方の押し縁部35は、框本体33の厚み方向他端部である屋内側端部の内周から全周にわたって突出している。他方の押し縁部35は、框本体33の他の部分と一体の矩形枠状である。他方の押し縁部35の框幅方向(図3図4の上下方向)における長さは、押し縁部材40の框本体33から内周側に突出する部分の框幅方向における長さと同じである。他方の押し縁部35のガラス60側の端部には、ゴム製の気密部材51が取り付けられる。2つの押し縁部34,35は、ガラス60の厚み方向両外側面と気密部材50,51を介して対向し、各気密部材50,51の先端は、ガラス60の厚み方向外側面に接触している。各気密部材50,51の一部は、各押し縁部34,35より内周側に突出している。2つの押し縁部34,35が、ガラス60の厚み方向両外側面に気密部材50,51を介して押し付けられることにより、框30に対しガラス60が保持される。各気密部材50,51は、2つの押し縁部34,35と、ガラス60の厚み方向両外側面との間を、気密にシールする。
【0022】
枠体14は、上下両端に配置され左右方向に延びる横枠要素17と、左右両端に配置され上下方向に延びる縦枠要素15,16(図5)とが枠状に連結されて形成され、建物の開口縁5に取り付けられる。
【0023】
ボード6は、開口縁5の周辺の屋内側に取り付けられる。ボード6には、開口縁5より小さい矩形形状のボード開口7が設けられる。ボード開口7の周縁部は、全周について、ボード6の厚み方向に見た場合に框30の屋内側端部の屋内側面30aに重なるように、開口縁5の内側に向かって延伸されている。これにより、例えば、ボード開口7周縁部の上下方向一端部である下端部は、開口縁5の内側に向かって下端のパネル芯材3の上端縁より上側に突出している。そして、その上側に突出した部分の上端部は、ボード6の厚み方向に見た場合に框30の屋内側面30aに重なるように、開口縁5の内側に向かって延伸されている。なお、ボード6のボード開口7周縁部のうち、上下方向一端部のみ、または上下方向両端部のみが、開口縁5の内側に向かって延伸される構成としてもよい。
【0024】
実施形態の格納部付樹脂サッシは、このような状態で用いられる。このとき、図3図4に示すように、下端の横枠要素17は、略矩形筒状で複数本の仕切り板18a,18b,18c,18dが枠体14の厚み方向複数位置に設けられた枠本体19と、枠本体19の屋内側端部の内周から内側に向かって延びる断面矩形状の突部20とを含む。突部20の屋外側端の内周端部にはゴム製の気密部材21が取り付けられる。気密部材21の先端は框本体33の屋内側端部の側面に押し付けられる。枠本体19の屋内側端の側面からは屋内側に延出する延出部22が形成される。上端の横枠要素(図示せず)の構成は、下端の横枠要素17と、上下方向の関係が逆になるだけで同様である。
【0025】
また、枠体14の下端の横枠要素17の屋外側面には、水切りカウンタと呼ばれる、雨水侵入防止部材24が固定される。雨水侵入防止部材24は、屋外側に向かって下方に傾斜する傾斜板部と、傾斜板部の屋外側端に連結された鉛直方向板部とを有する。雨水侵入防止部材24は、外装材4と下端のパネル芯材3との間の上側を覆って、その間に雨水が進入することを防止する。
【0026】
図5に示すように、左右両端の縦枠要素15,16は、略矩形筒状で複数本の仕切り板が枠体14の厚み方向複数位置に設けられた枠本体と、枠本体の屋内側端部(図5の下端部)の内周から窓内側に向かって延びる断面矩形状の突部とを含む。突部の屋外側端の内周端部には、横枠要素17と同様に気密部材が取り付けられる。気密部材の先端は框30の框本体33の屋内側端部の側面に押し付けられている。枠本体の屋内側端の側面からは屋内側に延出する延出部が形成される。
【0027】
図3図4に示すように、本実施形態では、枠体14の屋内側端と、枠体14及びボード6の間の開口縁5の上下方向一端である下端と、ボード6の屋外側端とにそれぞれ接触するように配置された格納形成部材70が設けられる。
【0028】
具体的には、格納形成部材70は、全体が樹脂により形成され、枠体14の屋内側端に接触する第1板部71と、外周面に突出する突板部73を有し、枠体14及びボード6の間の開口縁5の下端にその突板部73を接触させた第2板部72と、ボード6の屋外側端に接触する第3板部74とを有する。また、格納形成部材70は、第1板部71の内周縁から奥外側に延出され、枠体14の突部20の内周面に接触する第4板部75と、第3板部74の内周縁から屋内側に延出され、ボード6の内周面に接触する板部であるボード覆い77とを有する。格納形成部材70は、格納形成部に相当する。
【0029】
格納形成部材70は、内側に上下方向他端である上端が開口する空間である下端の格納部100を形成する。具体的には、格納形成部材70の第1、第2、第3及び第4板部71,72,74,75の内側面と、框本体33の押し縁部35の屋内側面30aとで囲まれた空間により、格納部100が形成される。図4では斜格子により、格納部100を示している。また、格納形成部材70のボード覆い77の内周面と框本体33の屋内側端部の内周面である押し縁部35の内周面とは、高さ方向に略一致している。
【0030】
格納部100には、窓開き用のハンドルなどの機構部材101や、巻取り式の網戸やシェード等の窓周辺部材(図示せず)の少なくとも一部を格納可能である。また、ボード覆い77は、ボード開口7の内周面の上下方向一端である下端を覆っている。さらに、ボード覆い77は、ボード6の屋内側面より屋内側に突出している。ボード覆い77が、ボード6の屋内側面より屋内側に突出する突出長さD(図4)は、好ましくは、5mm以下であり、より好ましくは、1~3mmである。このような樹脂サッシ12では、枠体14が格納形成部材70を介してボード6に押し付けられることにより、枠体14の厚み方向の位置決めが図れる。
【0031】
図3図4では、格納形成部材70が、枠体14の下端を形成する横枠要素17に接触するように配置されることを説明したが、格納形成部材70は、枠体14の上端を形成する横枠要素と、枠体14の左右両端を形成する縦枠要素15,16にも接触するように配置されている。例えば、格納形成部材70のうち、上端の横枠要素に接触する部分の構成は、上下方向が逆になるだけで、下端の横枠要素17に接触する部分の構成と同様である。また、格納形成部材70のうち、左右の縦枠要素15,16に接触する部分の構成は、上下方向と左右方向の関係が入れ替わるだけで、上端の横枠要素または下端の横枠要素17に接触する部分の構成と同様である。
【0032】
これにより、格納形成部材70は、枠体14の屋内側端と、枠体14及びボード6の間の開口縁5の内周端と、ボード6の屋外側端とに配置され、内側に内周端部が開口し、枠状格納部102を形成する。枠状格納部102は、上下方向両端及び左右方向両端の格納部100が枠状に連結されることにより形成される。また、格納形成部材70は、ボード開口7の内周面が、枠状に設けられたボード覆い77により、全周にわたって覆われている。
【0033】
上記の格納部付樹脂サッシ12によれば、機構部材101や窓周辺部材を格納部100に収容できるので、機構部材101や窓周辺部材が窓よりも屋内側に設置される場合でも、窓の外周付近を屋内側から見たときに、機構部材101や窓周辺部材が見えにくくなる。これにより、窓の外周付近の意匠性を向上できる。また、格納形成部材70のボード覆い77にボード6のボード開口7内周面を当てるように施工することにより、ボード開口7の下端の高さを、框30の下部の屋内側面30aの上端高さに略一致させるように合わせる作業の容易化を図れる。
【0034】
さらに、ボード6の小口をボード覆い77で視覚的に隠すことができると共に、ボード6の屋内側面にクロス等の仕上げ材を貼り付ける場合に、その仕上げ材の端もボード覆い77で隠すことができる。これによっても、意匠性を向上できる。このため、窓の外周付近を屋内側から見たときの意匠性を向上できると共に、現場での施工作業の容易化を図れる。
【0035】
また、ボード覆い77が、ボード6の屋内側面より屋内側に突出する突出長さDを5mm以下とした構成によれば、ボード覆い77がボード6の屋内側面より突出する長さを十分に小さくできる。これにより、ボード覆い77の端部が窓周辺に立つ人に接触しやすいエッジとなることを抑制できるので、安全性の向上を図れる。
【0036】
なお、上記では、樹脂サッシ12の全周にわたって格納形成部材70を枠状に設けた場合を説明したが、これに限定せず、格納形成部材を樹脂サッシの上下両端部のみ、または、上下方向一端部のみに設けてもよい。一方、格納形成部材70を樹脂サッシ12の全周に設けた場合には、機構部材101と窓周辺部材とを合わせて複数設ける場合に、上下両端部の格納部100に振り分けて隠しやすくなる。さらに、窓周辺部材の左右方向両端部を左右方向両端の格納部に入り込ませることにより、窓周辺部材を上下方向に展開させた場合に左右両端が見えにくくなる。これにより、意匠性をさらに向上できる。
【0037】
図6は、比較例の格納部付樹脂サッシ12aを含む窓10aにおいて、図4に対応する図である。図6に示す比較例では、枠体14aにおいて、屋外側端の外周側に屋外側に延びる断面略矩形の外突部80が設けられる。外突部80は、外装材4の外側面より屋外側に突出する。また、ボード6aのボード開口7a周縁部において、開口縁5の内周面からの突出長さは小さく、框30bの高さまで突出していない。そして、額縁81の屋内側端の外周面に設けた溝部83に、ボード6aの開口縁5からの突出部が嵌め込まれる。また、枠体14aの外周面から外側には、枠体14aの厚み方向に対し直交する方向に延びる突き当て部82が延びており、その突き当て部82がパネル芯材3の屋外側面に突き当てられて、枠体14aの位置決めが図られる。また、比較例では、図1図5の構成と異なり、框30bの屋外側端部に設ける押し縁部材40aに、框30bの内周側に開口する溝部は設けられない。
【0038】
このような比較例では、窓10aの外周付近を屋内側から見たときに、框30bや枠体14aが目立つので意匠性の向上の面から改良の余地がある。一方、図1図5に示した実施形態によれば、このような不都合を防止できる。
【0039】
図7は、実施形態の別例の第1例の格納部付樹脂サッシ12bを含む窓10bにおいて、図4に対応する図である。本例の構成では、図1図5の構成と異なり、框30bの屋外側端部に設ける押し縁部材40aに、框30bの内周側に開口する溝部は設けられない。本例において、その他の構成及び作用は、図1図5の構成と同様である。
【0040】
図8は、実施形態の別例の第2例の格納部付樹脂サッシ12cを含む窓10cにおいて、図4に対応する図である。本例の構成では、図1図5の構成と異なり、図6に示した比較例と同様に、枠体14aにおいて、屋外側に延びる断面略矩形の外突部80が設けられる。また、枠体14aの外周面に突き当て部82が設けられ、突き当て部82がパネル芯材3の屋外側面に突き当てられて位置決めされている。本例において、その他の構成及び作用は、図1図5の構成、または図7の構成と同様である。
【0041】
図9は、実施形態の別例の第3例の格納部付樹脂サッシ12dを含む窓10dにおいて、図4に対応する図である。本例の構成では、図1図5の構成と異なり、枠体14bの上下両端の横枠要素17b及び左右両端の縦枠要素の屋内側端に、格納形成部91が一体に設けられる。具体的には、枠体14bは、図1図5の構成の枠体14と同様の形状を有する本体枠部90と、本体枠部90の屋内側端に連結され、第2板部72、第4板部74及びボード覆い77を有する格納形成部91とを有する。第2板部72の外周面には、突板部73が突出する。突板部73の先端、第4板部74、及び、ボード覆い77は、それぞれパネル芯材3の内周面、ボード6の屋外側面、ボード6のボード開口7の内周面に、それぞれ接触する。
【0042】
これにより、枠体14bには、本体枠部90の屋内側端と、本体枠部90及びボード6の間の開口縁5の上下方向一端または左右方向一端と、ボード6の屋外側端とに配置され、内側に一端が開口する格納部100を有する格納形成部91が設けられる。このため、格納形成部91は、本体枠部90に一体に設けられる。このような構成によれば、部品点数の削減を図れるので、施工性がさらに優れる。また、枠体14bを一体成形により形成することにより、樹脂サッシ全体における製造コストの低減を図れる。本例において、その他の構成及び作用は、図1図5の構成、または図7の構成と同様である。
【0043】
なお、図8図9の構成において、図1図5の構成と同様に、框の屋外側端部に設ける押し縁部材に、框の内周側に開口する溝部が設けられてもよい。
【0044】
図10は、実施形態の別例の第4例の格納部付樹脂サッシ12eを含む窓10eにおいて、図4に対応する図である。本例の樹脂サッシ12eは、図8のように枠体14aに外突部80と突き当て部82とが設けられた構成と、図9のように枠体14bに格納形成部91が一体に設けられた構成とを組み合わせた構成と同様の形状を有する枠体14eを備える。本例において、その他の構成及び作用は、図1図5の構成、または、図8の構成、または図9の構成と同様である。
【0045】
上記の実施形態では、本開示の構成を、滑り出し窓の樹脂サッシに適用した場合を説明したが、窓のタイプはこれらに限定するものではなく、種々のタイプの窓の樹脂サッシに本開示の構成を適用できる。
【0046】
また、窓が、壁に嵌め込んで固定された枠体の内周にガラスが装着される固定窓である場合において、枠体が樹脂サッシである場合に、本開示の構成を適用することもできる。
【0047】
本開示は、以下の実施形態によりさらに説明される。
構成1:建物の開口縁に取り付けられる本体枠部と、前記本体枠部の内側に取り付けられる框とを有し、前記開口縁の周辺の屋内側に取り付けられるボードのボード開口周縁部のうち、少なくとも上下方向一端部が、前記ボードの厚み方向に見た場合に前記框の屋内側端部の屋内側面に重なるように、前記開口縁の内側に向かって延伸されている状態で用いられる、樹脂サッシであって、
前記本体枠部の屋内側端と、前記本体枠部及び前記ボードの間の前記開口縁の上下方向一端と、前記ボードの屋外側端とに配置され、内側に上下方向他端が開口する格納部を形成する格納形成部を備え、
前記格納形成部は、前記ボード開口の内周面の上下方向一端を覆うボード覆いを有し、
前記ボード覆いは、前記ボードの屋内側面より屋内側に突出している、
格納部付樹脂サッシ。
構成2:前記ボード覆いが、前記ボードの屋内側面より屋内側に突出する突出長さは、5mm以下である、
構成1に記載の格納部付樹脂サッシ。
構成3:前記ボード開口周縁部は、前記開口縁の全周について、前記ボードの厚み方向に見た場合に前記框の屋内側端部の屋内側面に重なるように、前記開口縁の内側に向かって延伸されており
前記格納形成部は、前記本体枠部の屋内側端と、前記本体枠部及び前記ボードの間の前記開口縁の内周端と、前記ボードの屋外側端とに配置され、内側に内周端部が開口し、前記格納部を含む枠状格納部を形成し、かつ、前記ボード開口の内周面を全周にわたって覆う、
構成1または構成2に記載の格納部付樹脂サッシ。
構成4:前記格納形成部は、前記本体枠部の屋内側端に一体に設けられる、
構成1から構成3のいずれか1つに記載の格納部付樹脂サッシ。
【符号の説明】
【0048】
1 外壁、2 壁パネル、3 パネル芯材、4 外装材、5 開口縁、6,6a ボード、7,7a ボード開口、10,10a,10b,10c,10d,10e 窓、12,12a,12b,12c,12d,12e 樹脂サッシ、14,14a、14b、14e 枠体、15,16 縦枠要素、17,17b 横枠要素、19 枠本体、20 突部、21 気密部材、22 延出部、24 雨水侵入防止部材、30,30b 框、30a 屋内側面、31,32 縦框要素、33 框本体、33a 溝、34,35 押し縁部、40,40a 押し縁部材、41 外周係止部、42 押し縁本体、43 壁部、44 中空部、45 溝部、50,51 気密部材、60 ガラス、70 格納形成部材、73 突板部、80 外突部、81 額縁、82 突き当て部、83 溝部、90 本体枠部、91 格納形成部、100 格納部、101 機構部材、102 枠状格納部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10