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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172571
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報配信システム及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241205BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20241205BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20241205BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241205BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04W76/10 130
H04W4/30
E02F9/20 H
E02F9/26 B
E02F9/26 C
B66C13/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090365
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】綾戸 裕一
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5K067
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003AC09
2D003BA06
2D003BA07
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB04
2D003DB05
2D003DC04
2D003FA02
2D015EB01
2D015GA03
2D015GB01
2D015GB07
2D015HA03
2D015HB02
2D015HB04
2D015HB05
5K067AA34
5K067EE02
5K067EE25
5K067FF15
5K067FF23
5K067HH24
(57)【要約】
【課題】作業機械が保持しているデータに作業者等がアクセスできるようにすること。
【解決手段】情報配信システムSYSは、移動可能な情報配信装置10に搭載された情報取得装置11と、情報取得装置11が取得した配信用情報を記憶する記憶装置12と、記憶装置12に記憶された配信用情報にアクセスするためのURLを管理する管理装置13とを有する。管理装置13は、情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在する端末20がURLを取得できるようにURLを出力し、端末20は、管理装置13が出力するURLを取得して記憶装置12に記憶された配信用情報にアクセスする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な情報配信装置に搭載された情報取得装置と、
前記情報取得装置が取得した配信用情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された配信用情報にアクセスするための識別情報を管理する管理装置と、を有し、
前記管理装置は、前記情報配信装置から所定の距離範囲内に存在する端末が前記識別情報を取得できるように前記識別情報を出力し、
前記端末は、前記管理装置が出力する前記識別情報を取得して前記記憶装置に記憶された配信用情報にアクセスする、
情報配信システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記端末のリアルタイム状況を表す情報に基づいて配信開始条件が満たされるか否かを判定し、前記配信開始条件が満たされたと判定した場合に、前記端末が前記識別情報を取得できるように前記識別情報を出力する、
請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記端末のリアルタイム状況を表す情報の提供を前記端末に要求するように構成されている、
請求項2に記載の情報配信システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記端末が出力する位置情報に基づき、前記端末が前記情報配信装置から所定の距離範囲内に存在するか否かを判定し、前記端末が前記情報配信装置から所定の距離範囲内に存在すると判定した場合に、前記端末が前記識別情報を取得できるように前記識別情報を出力する、
請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記情報取得装置が取得した情報に基づき、前記端末が前記情報配信装置から所定の距離範囲内に存在するか否かを判定し、前記端末が前記情報配信装置から所定の距離範囲内に存在すると判定した場合に、前記端末が前記識別情報を取得できるようにする、
請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記端末からのアクセス要求を受けたことを外部に知らせるように構成されている、
請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項7】
前記情報取得装置は、撮像装置、又は、前記情報配信装置の状態を検出するセンサである、
請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項8】
前記記憶装置は、前記情報取得装置が取得した配信用情報を汎用ブラウザで閲覧できるように記憶し、
前記識別情報は、前記記憶装置に記憶された配信用情報を含むウェブページのURLであり、
前記端末は、前記管理装置が出力する前記URLを取得して前記ウェブページにアクセスする、
請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の情報配信システムにおける前記端末としての作業機械であって、
端末側撮像装置と、
前記端末側撮像装置が撮像した画像に含まれる二次元コードから前記識別情報を取得する端末側管理装置と、を有し、
前記二次元コードは、前記管理装置が生成した前記識別情報に対応し、前記情報配信装置の外装に配置されている、
作業機械。
【請求項10】
前記端末側管理装置が取得した前記識別情報を別の端末に転送する通信装置を有する、
請求項9に記載の作業機械。
【請求項11】
機体の操作状況に応じ、前記二次元コードの画像の取得に利用される前記端末側撮像装置を選択する、
請求項9に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報配信システム及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械に搭載されているコントローラと作業機械の運転席の近傍に取り付けられた多機能型携帯情報端末とを連携させるシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/013910号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のシステムは、作業機械の周囲で作業する作業者等が、作業機械が保持しているデータにアクセスできるようには構成されていない。そこで、作業機械が保持しているデータに作業者等がアクセスできるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る情報配信システムは、移動可能な情報配信装置に搭載された情報取得装置と、前記情報取得装置が取得した配信用情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された配信用情報にアクセスするための識別情報を管理する管理装置と、を有し、前記管理装置は、前記情報配信装置から所定の距離範囲内に存在する端末が前記識別情報を取得できるように前記識別情報を出力し、前記端末は、前記管理装置が出力する前記識別情報を取得して前記記憶装置に記憶された配信用情報にアクセスする。
【発明の効果】
【0006】
上述の情報配信システムは、作業機械が保持しているデータに作業者等がアクセスできるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態に係る情報配信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】作業現場に構築される図1の情報配信システムの概略図である。
図3】情報出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施形態に係る情報配信システムの別の構成例を示すブロック図である。
図5】作業現場に構築される図4の情報配信システムの概略図である。
図6】情報出力処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
最初に、図1及び図2を参照し、本開示の実施形態に係る情報配信システムSYSについて説明する。図1は、情報配信システムSYSの構成例を示すブロック図である。図2は、実際の作業現場に構築される情報配信システムSYSの概略図である。
【0010】
情報配信システムSYSは、情報配信装置10に取り付けられた情報取得装置11が取得した情報である配信用情報を、情報配信装置10の周辺に存在する情報受信装置(端末20)に配信するシステムである。
【0011】
図示例では、情報配信システムSYSは、1台の情報配信装置10と1台の端末20を含んで構成されている。しかしながら、情報配信装置10及び端末20の少なくとも一方は複数台であってもよい。
【0012】
情報配信装置10は、移動可能な作業機械である。作業機械は、掘削機(ショベル)、運搬車輌(ダンプトラック)、アスファルトフィニッシャ、クレーン、フォークリフト、又はロードローラ等である。クレーンは、例えば、門型クレーン又はジブクレーン等である。図示例では、情報配信装置10は、掘削機としてのショベル10Aである。
【0013】
端末20は、情報配信装置10が配信する情報を受信する装置である。典型的には、端末20は、通信装置及び表示装置を備えている。図示例では、端末20は、工事現場で作業する作業者が携帯しているスマートフォン等の携帯端末20Aである。作業者は、ショベル10Aの運転室内にいる操作者であってもよい。また、端末20は、通信装置及び表示装置を備えた作業機械であってもよい。例えば、端末20は、ショベル10Aとは別のショベルであってもよい。
【0014】
図示例では、情報配信装置10は、情報取得装置11、記憶装置12、管理装置13、情報提示装置14、及び通信装置15を有する。
【0015】
情報取得装置11は、情報配信装置10に関する情報を取得できるように情報配信装置10に取り付けられた装置である。図示例では、情報取得装置11は、撮像装置であり、ショベル10Aの前方の空間を撮像する前方カメラ11F、及び、ショベル10Aの後方の空間を撮像する後方カメラ11Bを含む。ショベル10Aの左方の空間を撮像する左方カメラ、及び、ショベル10Aの右方の空間を撮像する右方カメラを含んでいてもよい。また、情報取得装置11は、ショベル10Aに搭載された油圧センサ、油温センサ、又はエンジン回転数センサ等、作業者(ショベル10Aの整備点検者)が使用するデータを出力するセンサであってもよい。また、情報取得装置11は、ショベル10Aの操作に用いられる操作レバー等の操作装置の操作内容を検出する操作センサであってもよく、ショベル10Aに取り付けられたLIDAR等の空間認識装置であってもよい。
【0016】
記憶装置12は、情報取得装置11が取得した配信用情報を記憶する装置である。図示例では、記憶装置12は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。典型的には、記憶装置12は、情報取得装置11が取得した配信用情報を汎用ブラウザで閲覧できるように記憶する。汎用ブラウザは、Google Chrome(登録商標)、Safari(登録商標)、又は、Microsoft Edge(登録商標)等のウェブブラウザであり、典型的には、端末20にプリインストールされている。
【0017】
管理装置13は、記憶装置12に記憶された配信用情報にアクセスするための識別情報を管理する装置である。識別情報は、例えば、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURL(Uniform Resource Locator)である。ウェブページは、ウェブブラウザで閲覧できるように作成されたデータの集まりであり、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)で作成されている。管理装置13は、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLを動的に生成し、或いは、そのURLを動的に変更できるように構成されていてもよい。図示例では、管理装置13は、CPU、メモリ、及び入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータである。なお、管理装置13は、情報配信装置10の外部に設置されていてもよい。具体的には、管理装置13は、通信センサ等の外部施設に設置されるサーバであってもよい。同様に、記憶装置12は、情報配信装置10の外部に設置されていてもよい。
【0018】
情報提示装置14は、情報配信装置10の周囲にいる人に各種情報を提示できるように情報配信装置10に搭載された装置である。図示例では、情報提示装置14は、ショベル10Aの周囲にいる作業者が視認できるようにショベル10Aの上部旋回体に取り付けられた液晶ディスプレイ等の室外表示装置である。情報提示装置14に提示される情報は、例えば、管理装置13が生成したURLを表す二次元コードである。二次元コードは、例えば、バーコード又はQRコード(登録商標)である。作業者は、携帯しているスマートフォンのカメラでこのQRコードを撮像することにより、管理装置13が生成したURLを入手できる。なお、QRコードは、情報配信装置10の機体の外装に配置されていてもよい。具体的には、QRコードは、情報配信装置10の機体の外装に貼付されたステッカー等に印刷されたものであってもよく、情報配信装置10の機体の外装に直接印刷されたものであってもよい。
【0019】
通信装置15は、情報配信装置10と情報配信装置10の周囲に存在する端末20との間の無線通信を実現する装置である。図示例では、通信装置15は、情報配信装置10と情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在する端末20との間の無線通信を実現できるように構成されている。無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格を利用する通信である。但し、無線通信は、LTE若しくは5G等の携帯電話通信規格、又は、衛星通信規格等を利用する通信であってもよい。図示例では、通信装置15は、Wi-Fiを利用し、情報配信装置10と端末20との間の無線通信を実現するように構成されている。
【0020】
次に、図3を参照し、情報配信システムSYSにおける情報配信装置10が識別情報を出力する処理(以下、「情報出力処理」とする)について説明する。図3は、情報出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報配信装置10は、所定の制御周期で繰り返しこの情報出力処理を実行する。
【0021】
最初に、情報配信装置10は、所定の配信開始条件が満たされたか否かを判定する(ステップST1)。図示例では、情報配信装置10の管理装置13は、端末20から情報配信要求を受信したときに所定の配信開始条件が満たされたと判定する。端末20は、ショベル10Aから所定の距離範囲内に入るとWi-Fiの電波を受信し、Wi-Fiの利用が可能である旨のテキストメッセージを端末20の表示装置に表示させ、端末20を携帯している作業者に無線通信を確立するか否かを選択させる。作業者が無線通信の確立を選択すると、端末20は、管理装置13に対して情報配信要求を送信する。端末20は、作業者の求めに応じてWi-Fiの利用が可能である旨のテキストメッセージを端末20の表示装置に表示させるように構成されていてもよい。具体的には、端末20は、Wi-Fiの電波を受信している場合で、且つ、作業者が端末20で所定の操作を行った場合に限り、テキストメッセージを端末20の表示装置に表示させるように構成されていてもよい。或いは、端末20は、Wi-Fiの利用が可能である旨のテキストメッセージを端末20の表示装置に表示させることなく、無線通信を自動的に確立するように構成されていてもよい。
【0022】
管理装置13は、工事の開始時刻等の所定の時刻になったときに、所定の配信開始条件が満たされたと判定してもよい。或いは、管理装置13は、端末20のリアルタイム状況を表す情報(例えば特徴量)を取得し、その情報に基づいて所定の配信開始条件が満たされたか否かを判定してもよい。端末20のリアルタイム状況を表す情報は、例えば、現時点において端末20が情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在するか否かを判定する際に利用可能な情報であり、典型的には、端末20の現在の位置情報である。端末20の現在の位置又は情報配信装置10からの距離は、例えば、情報配信装置10及び端末20のそれぞれに搭載されているGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等の測位装置の出力に基づいて導き出されてもよく、情報配信装置10に搭載されている測距センサの出力に基づいて導き出されてもよく、情報配信装置10に搭載されている撮像装置が撮像する画像(例えば、その画像に写っている端末20の画像の大きさ)に基づいて導き出されてもよい。この場合、管理装置13は、情報配信装置10から所定の距離範囲内に端末20が存在することが確認できたときに、所定の配信開始条件が満たされたと判定してもよい。なお、端末20のリアルタイム状況を表す情報は、端末20の位置情報と時刻情報の組み合わせを含んでいてもよい。また、端末20は、情報配信要求とともに、端末20のリアルタイム状況を表す情報を情報配信装置10に向けて送信してもよい。
【0023】
例えば、管理装置13は、端末20から情報配信要求を受信したときに、情報取得装置11としての撮像装置が撮像した画像に既知の画像認識技術を適用することにより、端末20を携帯している作業者を検知してもよい。そして、管理装置13は、情報配信要求とともに受信した端末20の位置情報に基づく端末20の位置と、検知された作業者の位置(画像認識技術によって導き出される位置)との間の乖離(距離)が小さい(所定距離以下である)場合、所定の配信開始条件が満たされたと判定してもよい。
【0024】
或いは、端末20のリアルタイム状況を表す情報は、端末20を携帯している作業者に関する情報であってもよい。具体的には、管理装置13は、端末20から情報配信要求を受信したときに、所定の行為の実行を作業者に求めるテキストメッセージを返信してもよい。所定の行為は、例えば、前方カメラ11F又は後方カメラ11Bに向かって手を振ること又は両腕で円を作ること等、前方カメラ11F又は後方カメラ11Bに向かって所定のジェスチャを行うことである。この場合、管理装置13は、前方カメラ11F又は後方カメラ11Bが撮像した画像に既知の画像認識技術を適用することにより、所定の行為が行われたことを確認できる。そして、管理装置13は、所定の行為が行われたことが確認できた場合、所定の配信開始条件が満たされたと判定してもよい。このようにして、管理装置13は、端末20のワンタイム認証を実現し、限られた期間における端末20による配信用情報へのアクセスを許可しながら、それ以外の期間における端末20による配信用情報へのアクセスを禁止できる。
【0025】
所定の配信開始条件が満たされていないと判定した場合(ステップST1のNO)、情報配信装置10の管理装置13は、今回の情報出力処理を終了させる。一方で、所定の配信開始条件が満たされたと判定した場合(ステップST1のYES)、管理装置13は、識別情報を出力する(ステップST2)。図示例では、管理装置13は、端末20から情報配信要求を受信すると、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLを生成し、通信装置15を通じてそのURLを端末20に向けて送信する。端末20は、受信したURLを利用することにより、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページにアクセスできるようになる。
【0026】
管理装置13は、工事の開始時刻等の所定の時刻になったときに、所定の配信開始条件が満たされたと判定し、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLを生成してもよい。この場合、管理装置13は、そのウェブページのURLに対応するQRコードを情報提示装置14に表示させる。携帯端末20Aを携帯している作業者は、携帯端末20Aのカメラを利用し、情報提示装置14に表示されたQRコードを撮像する。携帯端末20Aは、撮像したQRコードからURLを導き出すことにより、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページにアクセスできるようになる。
【0027】
なお、情報配信システムSYSは、所定の配信開始条件が満たされたと判定した場合に、端末20からアクセス要求があったことを情報配信装置10としてのショベル10Aの操作者に伝えるように構成されていてもよい。具体的には、情報配信システムSYSは、「アクセス要求があります」といったテキストメッセージをショベル10Aの運転室内に設置された表示装置に表示させてもよい。この場合、ショベル10Aの操作者は、端末20からのアクセスを許可するか或いは拒絶するかを判断してもよい。具体的には、情報配信システムSYSは、「アクセス要求があります」といったテキストメッセージとともに、「アクセス要求を許可しますか?」といったテキストメッセージと「はい」ボタン及び「いいえ」ボタンのようなソフトウェアボタンとを表示装置(タッチパネル)に表示させてもよい。この場合、ショベル10Aの操作者は、「はい」ボタンをタッチ操作することで端末20からのアクセスを許可でき、「いいえ」ボタンをタッチ操作することで端末20からのアクセスを禁止できる。
【0028】
このような構成により、情報配信システムSYSは、携帯端末20Aを携帯する作業者が、専用のアプリケーションソフトウェア等の特別なアプリケーションソフトウェアが携帯端末20Aにインストールされていない場合であっても、汎用ブラウザが利用できるのであれば、配信用情報に容易にアクセスできるようになる、という効果をもたらす。また、情報配信システムSYSでは、携帯端末20Aを携帯している作業者は、配信用情報にアクセス可能な端末として携帯端末20Aを事前に登録する必要なく、情報配信装置10に近づくだけで、配信用情報に容易にアクセスできるようになる。そのため、情報配信システムSYSは、例えば、ショベル10Aの整備点検者等の作業者の利便性を高めることができるという効果をもたらす。整備点検者は、自身が携帯している携帯端末20Aを操作するだけで、特別な機器を用意することなく、配信用情報にアクセスしてショベル10Aの稼働ログ等を入手できるためである。或いは、ショベル10Aの前方で作業している作業者は、自身が携帯している携帯端末20Aを操作するだけで、特別な機器を用意することなく、ショベル10Aの後方カメラ11Bが撮像した画像を見て、直接的には見ることのできないショベル10Aの死角となる空間である、ショベル10Aの向こう側にある空間の様子を把握することができるためである。その一方で、情報配信システムSYSは、Wi-Fiの電波を受信できないほど情報配信装置10から離れた位置にある端末に情報が配信されてしまうのを抑制できるため、情報の安全性を高めることができるという効果をもたらす。すなわち、情報配信システムSYSは、配信用情報を限定公開にし、配信用情報のセキュリティ性を高めることができるという効果をもたらす。或いは、情報配信システムSYSは、情報提示装置14に表示されたQRコードを撮像できる位置にある端末20に限り、配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLにアクセスできるようにするため、換言すれば、QRコードを撮像できない位置にある端末がそのURLにアクセスできないようにするため、情報の安全性を高めることができるという効果をもたらす。なお、QRコードを利用する場合、情報配信システムSYSは、所定の時間が経過する度にURLを変更するように構成されていてもよい。過去に撮像されたQRコードを利用した配信用情報へのアクセスを抑制するためである。
【0029】
このような情報配信システムSYSは、様々な関係者が定期的に或いは不定期的に訪れる作業現場において特に有用である。一定のセキュリティ性を維持しながらも、様々な関係者の各人が携帯している端末による配信用情報へのアクセスを可能にするためである。
【0030】
次に、図4及び図5を参照し、情報配信システムSYSの別の構成例について説明する。図4は、情報配信システムSYSの構成例を示すブロック図である。図5は、実際の作業現場に構築される情報配信システムSYSの概略図である。
【0031】
図4に示す情報配信システムSYSは、情報配信装置10としての作業機械であるショベル10Aとは別の作業機械であるダンプトラック20Bを端末20として含む点で、図1に示す情報配信システムSYSと異なる。
【0032】
図示例では、端末20として機能する作業機械であるダンプトラック20Bは、端末側撮像装置21、端末側管理装置22、通信装置23、及び音出力装置24を含む。
【0033】
端末側撮像装置21は、端末20に搭載される撮像装置である。図示例では、端末側撮像装置21は、ダンプトラック20Bの後方の空間を撮像する後方カメラ11B、及び、ダンプトラック20Bの前方の空間を撮像する前方カメラ21Fを含む。また、端末側撮像装置21は、ショベル10Aに搭載される情報提示装置14に提示された二次元コード等を撮像できるように構成されている。なお、端末側撮像装置21は、ダンプトラック20Bが情報配信装置10として機能する場合には、情報取得装置11として機能するように構成されていてもよい。
【0034】
端末側管理装置22は、端末20に搭載される管理装置であり、例えば、CPU、メモリ、及び入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータで構成されている。図示例では、端末側管理装置22は、端末側撮像装置21が撮像した画像に含まれる二次元コードから、ショベル10Aの記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページの識別情報(URL)を取得できるように構成されている。具体的には、端末側管理装置22は、ダンプトラック20Bが後進している場合には、後方カメラ21Bが撮像した画像を利用して二次元コードを見つけ出すように構成され、ダンプトラック20Bが前進している場合には、前方カメラ21Fが撮像した画像を利用して二次元コードを見つけ出すように構成されていてもよい。或いは、ショベルが端末20として機能する場合、端末側管理装置22は、ショベルに取り付けられた撮像装置がショベルの旋回中に撮像した画像については、二次元コードの探索には利用しないように構成されていてもよい。このように、端末側管理装置22は、端末20としての作業機械の操作状況に応じ、二次元コードを見つけ出すために利用する撮像装置を限定するように構成されていてもよい。所望の二次元コードとは別の二次元コードが見つけ出されてしまうのを防止するためである。
【0035】
なお、端末側管理装置22は、端末20(ダンプトラック20B)の外部に設置されていてもよい。具体的には、端末側管理装置22は、通信センサ等の外部施設に設置されるサーバであってもよい。また、端末側管理装置22は、ダンプトラック20Bが情報配信装置10として機能する場合には、管理装置13として機能するように構成されていてもよい。
【0036】
通信装置23は、端末20と端末20の周囲に存在する情報配信装置10及び別の端末20のそれぞれとの間の無線通信を実現する装置である。図示例では、通信装置23は、端末20(ダンプトラック20B)と端末20(ダンプトラック20B)から所定の距離範囲内に存在する情報配信装置10(ショベル10A)及び別の端末20(携帯端末20A)のそれぞれとの間の無線通信を実現できるように構成されている。無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格を利用する通信である。但し、無線通信は、LTE若しくは5G等の携帯電話通信規格、又は、衛星通信規格等を利用する通信であってもよい。図示例では、通信装置23は、Wi-Fiを利用し、ダンプトラック20Bとショベル10A及び携帯端末20Aのそれぞれとの間の無線通信を実現するように構成されている。
【0037】
音出力装置24は、端末20に搭載されるスピーカ、ホーン、又はブザー等の音出力装置である。図示例では、音出力装置24は、ダンプトラック20Bに取り付けられたホーンである。
【0038】
次に、図6を参照し、情報配信システムSYSにおける情報配信装置10が識別情報を出力する処理である情報出力処理の別の一例について説明する。図6は、情報出力処理の流れの別の一例を示すフローチャートである。情報配信装置10は、所定の制御周期で繰り返しこの情報出力処理を実行する。
【0039】
最初に、情報配信装置10は、所定の配信開始条件が満たされたか否かを判定する(ステップST11)。図示例では、情報配信装置10としてのショベル10Aの管理装置13は、端末20から情報配信要求を受信したときに所定の配信開始条件が満たされたと判定する。
【0040】
なお、管理装置13は、情報配信要求を受信したときに、撮像装置等の情報取得装置11の出力を利用して情報配信要求の発信元の種類を判別してもよい。例えば、管理装置13は、ショベル10Aに搭載されている撮像装置が撮像した画像に既知の画像認識技術を適用することにより、情報配信要求の発信元が携帯端末20A(携帯端末20Aを携帯している作業者)であるかダンプトラック20B(ダンプトラック20Bの運転者等の作業機械の操作者)であるかを判別してもよい。
【0041】
図5に示す例では、情報配信要求の発信元は、ダンプトラック20B(ダンプトラック20Bの運転者)である。ダンプトラック20Bの運転者は、ショベル10Aとダンプトラック20Bとの協働による土砂等の積み込み作業のため、ダンプトラック20Bを後進させながらショベル10Aに接近する際に、ショベル10Aの前方カメラ11Fが撮像した画像を利用しようとしている。積み込み作業に適した位置にダンプトラック20Bを停車させるためである。この場合、ダンプトラック20Bは、ショベル10Aから所定の距離範囲内に入るとWi-Fiの電波を受信し、Wi-Fiの利用が可能である旨のテキストメッセージをダンプトラック20Bの運転室に設置されている表示装置に表示させ、ダンプトラック20Bの運転者に無線通信を確立するか否かを選択させる。運転者が無線通信の確立を選択すると、ダンプトラック20Bは、管理装置13に対して情報配信要求を送信する。
【0042】
所定の配信開始条件が満たされていないと判定した場合(ステップST11のNO)、情報配信装置10の管理装置13は、今回の情報出力処理を終了させる。一方で、所定の配信開始条件が満たされたと判定した場合(ステップST11のYES)、管理装置13は、端末確認情報を出力する(ステップST12)。端末確認情報は、端末20が情報配信装置10の周囲に存在することを管理装置13が確認できるように、端末20の操作者に所定の行為の実行を要求するための情報である。図示例では、ショベル10Aの管理装置13は、ダンプトラック20Bから情報配信要求を受信すると、ダンプトラック20Bに向けて端末確認情報を送信する。端末確認情報は、ダンプトラック20Bの運転者に所定の行為の実行を要求するための情報である。所定の行為は、例えば、ホーンの吹鳴、ブレーキランプの点滅、又は、自動車登録番号の入力等である。具体的には、管理装置13は、「ホーンを一回鳴らしてください」、「ブレーキランプを二回点灯させてください」、「ナンバープレートの番号を入力してください」といったテキストメッセージをダンプトラック20Bに向けて送信する。なお、ここでは、管理装置13は、ショベル10Aに搭載されている撮像装置が撮像した画像に既知の画像認識技術を適用することにより、情報配信要求の発信元が携帯端末20A(携帯端末20Aを携帯している作業者)ではなくダンプトラック20B(ダンプトラック20Bの運転者等の作業機械の操作者)であると判別している。
【0043】
ダンプトラック20Bの端末側管理装置22は、端末確認情報を受信すると、ダンプトラック20Bの運転室に設置されている表示装置に、受信した端末確認情報(テキストメッセージ)を表示させる。ダンプトラック20Bの運転者は、表示されたテキストメッセージに応じ、所定の行為を実行する。
【0044】
その後、情報配信装置10の管理装置13は、所定の行為が実行されたか否かを判定する(ステップST13)。具体的には、管理装置13は、ダンプトラック20Bに対して「ホーンを一回鳴らしてください」というテキストメッセージを送信した場合には、ショベル10Aに搭載されている室外マイクが取得した音情報を利用してダンプトラック20Bのホーンが鳴らされたことを確認できたときに、所定の行為が実行されたと判定する。或いは、管理装置13は、ダンプトラック20Bに対して「ブレーキランプを二回点灯させてください」というテキストメッセージを送信した場合には、ショベル10Aに搭載されている撮像装置(前方カメラ11F又は後方カメラ11B)が撮像した画像を利用してダンプトラック20Bのブレーキランプが二回点灯したことを確認できたときに、所定の行為が実行されたと判定する。或いは、ダンプトラック20Bに対して「ナンバープレートの番号を入力してください」といったテキストメッセージが送信された場合には、ダンプトラック20Bの運転者は、そのテキストメッセージに返信する形でナンバープレートの番号(自動車登録番号)を管理装置13に送信する。この場合、管理装置13は、撮像装置(前方カメラ11F又は後方カメラ11B)が撮像した画像を利用し、受信した自動車登録番号が付されたナンバープレートを有するダンプトラック20Bの存在を確認できたときに、所定の行為が実行されたと判定する。
【0045】
情報配信要求の発信元が携帯端末20A(携帯端末20Aを携帯している作業者)である場合、管理装置13は、携帯端末20Aに向けて端末確認情報を送信する。端末確認情報は、携帯端末20Aを携帯している作業者に所定の行為の実行を要求するための情報である。所定の行為は、例えば、手を振る、又は、両腕で円を作る等である。具体的には、管理装置13は、「手を振ってください」又は「両腕で円を作ってください」といったテキストメッセージを携帯端末20Aに向けて送信する。
【0046】
携帯端末20Aは、端末確認情報を受信すると、付属の表示装置に、受信した端末確認情報(テキストメッセージ)を表示させる。携帯端末20Aを携帯している作業者は、表示されたテキストメッセージに応じ、所定の行為を実行する。管理装置13は、携帯端末20Aに対して「手を振ってください」というテキストメッセージを送信した場合には、ショベル10Aに搭載されている撮像装置(前方カメラ11F又は後方カメラ11B)が撮像した画像を利用して作業者が手を振っていることを確認できたときに、所定の行為が実行されたと判定する。
【0047】
所定の行為が実行されていないと判定した場合(ステップST13のNO)、情報配信装置10の管理装置13は、所定の行為が実行されたと判定できるまで、この判定を繰り返す。そして、所定の行為が実行されたと判定した場合(ステップST13のYES)、管理装置13は、識別情報を出力する(ステップST14)。図示例では、管理装置13は、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLを生成し、通信装置15を通じてそのURLをダンプトラック20Bに向けて送信する。ダンプトラック20Bの端末側管理装置22は、受信したURLを利用することにより、配信用情報に対するリンクを含むウェブページにアクセスできるようになる。
【0048】
なお、端末確認情報は、配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLに対応するQRコード等の二次元コードであってもよい。この場合、所定の行為は、その二次元コードを撮像することであってもよい。例えば、管理装置13は、情報提示装置14にその二次元コードを表示させてもよい。この場合、ダンプトラック20Bに搭載されている端末側管理装置22は、ダンプトラック20Bに取り付けられた端末側撮像装置21が撮像した画像(情報提示装置14に表示された二次元コードの画像)から、そのウェブページのURLを取得できる。そして、ダンプトラック20Bの運転室内に設置された表示装置は、そのウェブページに関連付けられた配信用情報を表示することができる。或いは、端末側管理装置22は、Wi-Fi等を通じ、ダンプトラック20Bの運転者が携帯しているスマートフォン等の携帯端末に対し、端末側撮像装置21が撮像した画像(情報提示装置14に表示された二次元コードの画像)又は取得したURLを伝えてもよい。この場合、ダンプトラック20Bの運転者は、自身の携帯端末を利用し、情報配信装置10の記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページにアクセスできる。或いは、端末側管理装置22は、Wi-Fi等を通じ、ダンプトラック20Bの周囲で作業している作業者が携帯しているスマートフォン等の携帯端末20Aに対し、端末側撮像装置21が撮像した画像(情報提示装置14に表示された二次元コードの画像)又は取得したURLを伝えてもよい。
【0049】
また、Wi-Fiを利用する情報配信システムSYSでは、端末20は、Wi-Fiの電波が届く範囲から出ると、ウェブページにアクセスできないようになる。そのため、情報配信装置10は、Wi-Fiの電波強度を調整することにより、ウェブページにアクセスできる端末20と情報配信装置10との間の距離を増減させることができる。図示例では、情報配信装置10は、情報配信装置10と端末20との間の距離に基づいて端末20によるウェブページへのアクセスの許否を判定することはない。アクセスの許否を判定するまでもなく、端末20は、Wi-Fiの電波が届く範囲から出ると、ウェブページにアクセスできないようになるためである。但し、情報配信装置10は、情報配信装置10と端末20との間の距離に基づいて端末20によるウェブページへのアクセスの許否を判定してもよい。
【0050】
上述のように、本開示の実施形態に係る情報配信システムSYSは、図1及び図2に示すように、移動可能な情報配信装置10に搭載された情報取得装置11と、情報取得装置11が取得した配信用情報を記憶する記憶装置12と、記憶装置12に記憶された配信用情報にアクセスするための識別情報を管理する管理装置13とを有する。移動可能な情報配信装置10は、例えば、ショベル、ダンプトラック、クレーン、アスファルトフィニッシャ、又はフォークリフト等の自走可能な作業機械である。情報取得装置11は、油圧センサ、油温センサ、水温センサ、エンジン回転数センサ、カメラ、LIDAR、室外マイク、又は操作センサ等である。配信用情報は、数値データであってもよく、画像データであってもよく、音声データであってもよい。識別情報は、典型的にはURLである。管理装置13は、情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在する情報受信装置としての端末20が識別情報を取得できるように識別情報を出力するように構成されている。情報受信装置としての端末20は、管理装置13が出力する識別情報を取得して記憶装置12に記憶された配信用情報にアクセスできるように構成されている。端末20は、例えば、情報配信装置10の周囲で作業する作業者等が携帯しているスマートフォン等の携帯端末20Aであってもよく、上述のような作業機械であってもよい。
【0051】
この構成により、情報配信システムSYSは、情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在する端末20に限って識別情報を取得できるようにし、識別情報を取得できた端末20に限って配信用情報へのアクセスを許容することにより、配信用情報のセキュリティ性を高めることができるという効果をもたらす。また、情報配信システムSYSは、情報配信装置10から所定の距離範囲内に進入するだけで端末20が配信用情報にアクセスできるようにすることにより、配信用情報に対するアクセス性を高めることができるという効果をもたらす。すなわち、情報配信システムSYSは、配信用情報のセキュリティ性とアクセス容易性の両立を図ることができる。
【0052】
また、情報配信システムSYSでは、管理装置13は、端末20のリアルタイム状況を表す情報に基づいて配信開始条件が満たされるか否かを判定し、配信開始条件が満たされたと判定した場合に、端末20が識別情報を取得できるように識別情報を出力するように構成されていてもよい。端末20のリアルタイム状況を表す情報は、例えば、現時点において端末20が情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在するか否かを判定する際に利用可能な情報であり、典型的には、端末20の現在の位置情報である。
【0053】
この構成により、情報配信システムSYSは、情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在する端末20が識別情報をより確実に取得できるように、換言すれば、情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在しない端末20が識別情報を取得できないようにする。そのため、情報配信システムSYSは、配信用情報のセキュリティ性とアクセス容易性とをより高いレベルで両立させることができる。
【0054】
また、情報配信システムSYSでは、管理装置13は、端末20のリアルタイム状況を表す情報の提供を端末20に要求するように構成されていてもよい。例えば、管理装置13は、端末20が情報配信装置10の周囲に存在することを管理装置13が確認できるように、端末20の操作者に所定の行為の実行を要求するための情報である端末確認情報を出力してもよい。具体的には、図4及び図5に示すように、端末20がダンプトラック20Bである場合、端末20としてのダンプトラック20Bのリアルタイム状況を表す情報の提供は、例えば、ホーンの吹鳴、ブレーキランプの点灯、又は、ナンバープレートの番号の送信等である。この場合、管理装置13は、「ホーンを一回鳴らしてください」、「ブレーキランプを点灯させてください」、「ナンバープレートの番号を入力してください」といったテキストメッセージをダンプトラック20Bに向けて送信することにより、端末20(ダンプトラック20B)のリアルタイム状況を表す情報の提供を端末20(ダンプトラック20Bの運転者)に要求してもよい。或いは、端末20が携帯端末20Aである場合、端末20としての携帯端末20Aのリアルタイム状況を表す情報の提供は、例えば、携帯端末20Aを携帯している作業者が手を振ることによって実現され、或いは、携帯端末20Aを携帯している作業者が所定のジェスチャを行うことによって実現される。この場合、管理装置13は、「手を振ってください」又は「両腕で円を作ってください」といったテキストメッセージを端末確認情報として携帯端末20Aに向けて送信することにより、端末20(携帯端末20A)のリアルタイム状況を表す情報の提供を端末20(携帯端末20Aを携帯している作業者)に要求してもよい。
【0055】
この構成により、情報配信システムSYSは、端末20のリアルタイム状況を表す情報を簡易且つ確実に取得できるという効果をもたらす。そのため、情報配信装置10は、取得した端末20のリアルタイム状況を表す情報に基づき、情報配信装置10から所定の距離範囲内に端末20が存在するか否かを簡易且つ確実に判定できるという効果をもたらす。
【0056】
また、情報配信システムSYSでは、管理装置13は、端末20が出力する位置情報に基づき、端末20が情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在するか否かを判定し、端末20が情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在すると判定した場合に、端末20が識別情報を取得できるように識別情報を出力してもよい。
【0057】
この構成により、情報配信装置10は、情報配信装置10から所定の距離範囲内に端末20が存在するか否かを簡易且つ確実に判定できるという効果をもたらす。
【0058】
また、情報配信システムSYSでは、管理装置13は、情報取得装置11が取得した情報に基づき、端末20が情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在するか否かを判定し、端末20が情報配信装置10から所定の距離範囲内に存在すると判定した場合に、端末20が識別情報を取得できるようにしてもよい。この場合、情報取得装置11が取得した情報は、例えば、情報配信装置10からの要求に応じて携帯端末20Aを携帯している作業者がジェスチャを行っているときの動画の情報、又は、情報配信装置10からの要求に応じてダンプトラック20Bが出力するホーンの音の情報等である。
【0059】
この構成により、情報配信装置10は、情報配信装置10から所定の距離範囲内に端末20が存在するか否かを簡易且つ確実に判定できるという効果をもたらす。
【0060】
また、情報配信システムSYSでは、管理装置13は、端末20からのアクセス要求を受けたことを外部に知らせるように構成されていてもよい。
【0061】
この構成により、例えば、情報配信装置10がショベル10Aである場合、ショベル10Aの操作者が、端末20からのアクセス要求を受けたことを知ることができ、その時点で、記憶装置12に記憶されている配信用情報へのその端末20によるアクセスを許可するか否かを決定できるようになるという効果をもたらす。
【0062】
また、情報配信システムSYSでは、情報取得装置11は、撮像装置、又は、情報配信装置10の状態を検出するセンサであってもよい。すなわち、情報配信装置10の記憶装置12に記憶される配信用情報は、情報配信装置10に搭載された撮像装置が撮像した画像であってもよく、情報配信装置10に搭載された各種センサが取得したデータであってもよい。情報配信装置10がショベル10Aである場合、各種センサは、例えば、油圧センサ、油温センサ、操作センサ、又は旋回速度センサ等である。
【0063】
この構成により、例えば、端末20としての携帯端末20Aを携帯しているショベル10Aの整備点検者は、ショベル10Aの外部から、所望のタイミングで、記憶装置12に記憶されている配信用情報のうちの整備点検に必要な情報を読み出すことができる。或いは、端末20としての携帯端末20Aを携帯している、ショベル10Aの周囲で作業している作業者は、所望のタイミングで、ショベル10Aに取り付けられているカメラが撮像した画像を見ることにより、ショベル10Aの死角となっている領域(ショベル10Aを挟んで作業者の反対側にある領域)の状況を認識することができる。
【0064】
また、情報配信システムSYSでは、記憶装置12は、情報取得装置11が取得した配信用情報を汎用ブラウザで閲覧できるように記憶していてもよい。汎用ブラウザは、例えば、Google Chrome、Safari、又はMicrosoft Edge等である。この場合、識別情報は、記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLであり、端末20は、管理装置13が出力するURLを取得してこのウェブページにアクセスできる。
【0065】
この構成により、例えば、端末20を所持する作業者等は、専用のアプリケーションソフトウェア等をインストールする必要なく、端末20にプリインストールされている汎用ブラウザを利用して記憶装置12に記憶されている配信用情報にアクセスできる。
【0066】
また、情報配信システムSYSでは、端末20は作業機械であってもよい。この場合、作業機械は、図4及び図5に示すように、端末側撮像装置21と、端末側撮像装置21が撮像した画像に含まれる二次元コードから識別情報を取得する端末側管理装置22とを有していてもよい。この場合、二次元コードは、情報配信装置10の管理装置13が生成した識別情報に対応し、情報配信装置10の外装に配置されていてもよい。図4及び図5に示す例では、情報配信装置10はショベル10Aであり、端末20はダンプトラック20Bであり、二次元コードはショベル10Aの上部旋回体に搭載された情報提示装置14に表示されたQRコードであり、識別情報は記憶装置12に記憶された配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLである。
【0067】
この構成により、端末20としての作業機械は、情報配信装置10としての別の作業機械における記憶装置12に記憶された配信用情報に容易にアクセスできる。
【0068】
また、情報配信システムSYSでは、端末20としての作業機械は、端末側管理装置22が取得した識別情報を別の端末に転送する通信装置23を有していてもよい。図4及び図5に示す例では、端末20としての作業機械はダンプトラック20Bであり、別の端末は、ショベル10A及びダンプトラック20Bの周囲で作業している作業者が携帯している携帯端末20Aである。
【0069】
この構成により、携帯端末20Aを携帯している作業者は、例えば、ダンプトラック20Bが取得した、ショベル10Aの前方カメラ11Fが撮像した画像を、携帯端末20Aに付属している表示装置を利用して見ることができる。なお、携帯端末20Aを携帯している作業者は、ダンプトラック20Bの運転室内にいるダンプトラック20Bの運転者であってもよい。
【0070】
また、情報配信システムSYSでは、端末20としての作業機械は、機体の操作状況に応じ、二次元コードの画像の取得に利用される端末側撮像装置21を選択できるように構成されていてもよい。図4及び図5に示す例では、ダンプトラック20Bが後進しながらショベル10Aに接近している場合、端末側管理装置22は、前方カメラ21Fではなく後方カメラ21Bが撮像した画像に既知の画像認識技術を適用することにより、ショベル10Aの情報提示装置14に表示されたQRコードから、配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLを導き出すように構成されている。反対に、ダンプトラック20Bが前進しながらショベル10Aに接近している場合には、端末側管理装置22は、後方カメラ21Bではなく前方カメラ21Fが撮像した画像に既知の画像認識技術を適用することにより、ショベル10Aの情報提示装置14に表示されたQRコードから、配信用情報に対するリンクを含むウェブページのURLを導き出すように構成されている。ショベル10Aとは異なる別のショベルのQRコードを誤って認識してしまうことがないようにするためである。また、情報配信システムSYSでは、例えば、端末20としての作業機械がショベルである場合、そのショベルの旋回中においては、そのショベルに搭載されている1又は複数の撮像装置のそれぞれが撮像した画像がQRコードの認識に利用されてしまうことがないように構成されていてもよい。
【0071】
この構成により、端末側管理装置22は、探索すべき二次元コードを早期に認識できるようになる。また、この構成は、二次元コードの探索のために利用される画像の数を減らすことができるため、端末側管理装置22の演算負荷を低下させることができるという効果をもたらす。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0073】
10・・・情報配信装置 10A・・・ショベル 11・・・情報取得装置 11B・・・後方カメラ 11F・・・前方カメラ 12・・・記憶装置 13・・・管理装置 14・・・情報提示装置 15・・・通信装置 20・・・端末 20A・・・携帯端末 20B・・・ダンプトラック 21・・・端末側撮像装置 21B・・・後方カメラ 21F・・・前方カメラ 22・・・端末側管理装置 23・・・通信装置 24・・・音出力装置 SYS・・・情報配信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6