(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172577
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/08 20060101AFI20241205BHJP
H02K 5/16 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02K7/08 Z
H02K5/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090374
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 靖
(72)【発明者】
【氏名】毒島 順一
(72)【発明者】
【氏名】星野 晃正
(72)【発明者】
【氏名】山本 大貴
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB06
5H605CC04
5H605CC05
5H605EB06
5H605EB10
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE32
5H607GG01
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減することができ、かつ容易に組み立てることが可能なモータ装置を提供する。
【解決手段】ステータ32が固定されるモータケース31と、モータケース31に突き合わされるハウジング41と、モータケース31およびハウジング41の内部に収容される回転軸34と、モータケース31に設けられ、回転軸34の軸方向基端側を支持する第1メタルBR1と、ハウジング41に設けられ、回転軸34の軸方向先端側を支持する第2メタルBR2と、回転軸34の軸方向における第1メタルBR1と第2メタルBR2との間に設けられ、回転軸34を支持するボールベアリング36と、ボールベアリング36に位置決めされ、複数の導電部材39を保持するホルダ部材38と、を備え、ホルダ部材38は、モータケース31およびボールベアリング36に挟持されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転するロータと、
を有するモータ装置であって、
内部に前記ステータが固定される第1ケースと、
前記ロータの軸方向において前記第1ケースに突き合わされる第2ケースと、
前記ロータに設けられ、前記第1ケースおよび前記第2ケースの内部に回転自在に収容される回転軸と、
前記第1ケースに設けられ、前記回転軸の軸方向基端側を回転自在に支持する第1軸受と、
前記第2ケースに設けられ、前記回転軸の軸方向先端側を回転自在に支持する第2軸受と、
前記回転軸の軸方向における前記第1軸受と前記第2軸受との間に設けられ、前記回転軸を回転自在に支持する第3軸受と、
前記第3軸受に位置決めされ、複数の導電部材を保持するホルダ部材と、
を備え、
前記ホルダ部材は、前記ロータの軸方向において前記第1ケースおよび前記第3軸受に挟持されている、
モータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記複数の導電部材は、前記ロータの軸方向に延在され、
前記複数の導電部材の長手方向一側は、前記ステータに設けられるコイルに接続され、
前記複数の導電部材の長手方向他側は、前記第2ケースに設けられる導電部材支持部に支持されている、
モータ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記ホルダ部材には、前記回転軸が挿通される挿通孔が設けられ、
前記挿通孔の内径寸法が、前記第3軸受の外径寸法よりも小さく、前記ロータの外径寸法よりも大きい、
モータ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のモータ装置において、
前記回転軸の軸方向における前記第3軸受と前記ロータとの間に、前記ロータの回転バランスを調整する調整部材が設けられ、
前記調整部材の外径寸法が、前記ロータの外径寸法以下である、
モータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータと、ステータに対して回転するロータと、を有するモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、モータ部およびギヤ部を備えたサンルーフモータが記載されている。モータ部を形成するヨークには第1ラジアル軸受が設けられ、ヨークの開口部に装着されたブラシホルダには第2ラジアル軸受が設けられている。そして、これらの第1,第2ラジアル軸受によりアーマチュア軸が回転自在に支持されている。
【0003】
一方、ギヤ部を形成するギヤケースには第3ラジアル軸受およびボールベアリング(軸受)が装着されており、これらの第3ラジアル軸受およびボールベアリングによりウォーム軸が回転自在に支持されている。なお、アーマチュア軸とウォーム軸との間には、両者を互いに動力伝達可能に連結する連結部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ヨークに設けられる一対の軸受によりアーマチュア軸が支持され、ギヤケースに設けられる一対の軸受によりウォーム軸が支持され、かつアーマチュア軸およびウォーム軸が、互いに連結部材により連結されている。したがって、部品点数が多いことに加えて、モータ部およびギヤ部を、それぞれ精度良く同軸上に配置して組み付ける必要があり、組み立て作業が面倒であった。
【0006】
本発明の目的は、部品点数を削減することができ、かつ容易に組み立てることが可能なモータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、ステータと、前記ステータに対して回転するロータと、を有するモータ装置であって、内部に前記ステータが固定される第1ケースと、前記ロータの軸方向において前記第1ケースに突き合わされる第2ケースと、前記ロータに設けられ、前記第1ケースおよび前記第2ケースの内部に回転自在に収容される回転軸と、前記第1ケースに設けられ、前記回転軸の軸方向基端側を回転自在に支持する第1軸受と、前記第2ケースに設けられ、前記回転軸の軸方向先端側を回転自在に支持する第2軸受と、前記回転軸の軸方向における前記第1軸受と前記第2軸受との間に設けられ、前記回転軸を回転自在に支持する第3軸受と、前記第3軸受に位置決めされ、複数の導電部材を保持するホルダ部材と、を備え、前記ホルダ部材は、前記ロータの軸方向において前記第1ケースおよび前記第3軸受に挟持されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数を削減することができ、かつ容易に組み立てることが可能なモータ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車両のルーフに設置されたサンルーフ装置の概要図である。
【
図2】サンルーフモータの出力ギヤ側を示す斜視図である。
【
図3】サンルーフモータのカバー部材側を示す斜視図である。
【
図4】回転軸の軸方向に沿うサンルーフモータの断面図である。
【
図6】ホルダ部材を減速機構部側から見た斜視図である。
【
図11】サンルーフモータの組立手順(1)を説明する図である。
【
図12】サンルーフモータの組立手順(2)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は車両のルーフに設置されたサンルーフ装置の概要図を、
図2はサンルーフモータの出力ギヤ側を示す斜視図を、
図3はサンルーフモータのカバー部材側を示す斜視図を、
図4は回転軸の軸方向に沿うサンルーフモータの断面図を、
図5はロータをウォーム側から見た斜視図を、
図6はホルダ部材を減速機構部側から見た斜視図を、
図7は
図6のA矢視図を、
図8は第1位置決め部を説明する断面図を、
図9は第2位置決め部を説明する断面図を、
図10は第3位置決め部を説明する断面図をそれぞれ示している。
【0012】
<サンルーフ装置の概要>
図1に示されるように、サンルーフ装置10は、ルーフパネル11を備えている。ルーフパネル11は、車両12のルーフ13に形成された開口部14を開閉する。ルーフパネル11の車幅方向両側(
図1の上下側)には、一対のシュー15a,15bがそれぞれ固定されている。
【0013】
また、ルーフ13における開口部14の車幅方向両側には、車両12の前後方向(
図1の左右方向)に延びるガイドレール16がそれぞれ固定されている。そして、一対のシュー15a,15bが、対応する一対のガイドレール16にそれぞれ案内されることで、ルーフパネル11が、車両12の前後方向に移動する。
【0014】
車両12の後方側(
図1の右側)に配置されたシュー15bのそれぞれには、ギヤ付きの駆動ケーブル17a,17bの一端が連結されている。これらの駆動ケーブル17a,17bの他端は、開口部14よりも車両12の前方側(
図1の左側)に取り回されている。
【0015】
開口部14よりも車両12の前方側で、かつフロントガラスFGとの間のルーフ13の内部には、サンルーフモータ20が設けられている。そして、一対の駆動ケーブル17a,17bの他端は、サンルーフモータ20に設けられた出力ギヤ47aに噛み合わされている。
【0016】
これにより、サンルーフモータ20が駆動されると、一対の駆動ケーブル17a,17bは、互いに逆向きにその長手方向に移動する。したがって、ルーフパネル11は、一対のシュー15bを介して、一対の駆動ケーブル17a,17bにより押し引きされ、開口部14を開閉する。
【0017】
なお、サンルーフモータ20は、本発明におけるモータ装置に相当する。
【0018】
<サンルーフモータ>
図2ないし
図4に示されるように、サンルーフモータ20は、電動モータ部30および減速機構部40を備えている。これらの電動モータ部30および減速機構部40は、合計3つの固定ねじSCにより互いに固定されている。
【0019】
<電動モータ部>
電動モータ部30は、ブラシレスモータを採用しており、鋼板等(磁性体)を深絞り加工等することで有底筒状に形成されたモータケース31を有している。モータケース31は、電動モータ部30の外郭を形成しており、断面が略正六角形に形成された側壁部31aを備えている。また、側壁部31aの軸方向一側(
図2ないし
図4の右側)は、段付きの底壁部31bにより閉塞されている。
【0020】
<ステータ>
図4に示されるように、モータケース31の内部には、ステータ32が収容されている。ステータ32は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成されたステータコア32aを有している。ステータコア32aは、モータケース31の内部に固定され、かつ合計6つのティース32b(詳細図示せず)を備えている。そして、これらのティース32bには、インシュレータ(絶縁部材)32cを介して、U相,V相およびW相からなる三相のコイルCLがそれぞれ巻装されている。
【0021】
なお、モータケース31は、本発明における第1ケースに相当する。
【0022】
<ロータ>
図4および
図5に示されるように、ステータ32の径方向内側には、所定のエアギャップAGを介して、ロータ33が回転自在に設けられている。ロータ33は、ステータ32に対して回転するものであって、略筒状に形成されたロータコア33aを有している。ロータコア33aは、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成され、当該ロータコア33aの径方向外側には、合計4つのマグネットMGが接着剤等により固定されている。具体的には、それぞれのマグネットMGは、ロータコア33aの周方向に等間隔(90°間隔)となるように配置されている。
【0023】
また、ロータコア33aに固定されたそれぞれのマグネットMGの径方向外側は、薄いステンレス板等により略筒状に形成されたマグネットホルダ33bで覆われている。このマグネットホルダ33bは、マグネットMGがロータコア33aから脱落するのを防止するものである。これにより、ロータ33が高速で回転しても、その際の遠心力によりマグネットMGがロータコア33aから外れることがない。
【0024】
<回転軸>
ロータコア33aは、回転軸34に固定されている。具体的には、ロータコア33aの回転中心に、回転軸34が圧入により固定されている。このように、ロータ33には、回転軸34が設けられている。なお、回転軸34は、十分な強度を確保すべく丸鋼棒製となっている。
【0025】
そして、回転軸34の軸方向基端側(
図4の右側)は、モータケース31の内部に収容され、かつモータケース31の底壁部31bに設けられた第1メタル(ラジアル軸受)BR1により回転自在に支持されている。一方、回転軸34の軸方向先端側(
図4の左側)は、減速機構部40を形成するハウジング41の内部に収容され、かつハウジング41のウォーム収容部49に設けられた第2メタル(ラジアル軸受)BR2により回転自在に支持されている。
【0026】
すなわち、回転軸34は、モータケース31およびハウジング41の内部に回転自在に収容されている。なお、第1メタルBR1は、本発明における第1軸受に相当し、第2メタルBR2は、本発明における第2軸受に相当する。
【0027】
また、回転軸34の軸方向先端側には、減速機構SDを形成するウォーム35が一体に設けられている。すなわち、ウォーム35においても丸鋼棒製となっている。これにより、ウォーム35の剛性が高められてウォーム35は湾曲したりすることがなく、ひいてはウォームホイール46に対して確実に噛み合わされる。
【0028】
<ボールベアリング>
さらに、回転軸34の軸方向中央部には、ボールベアリング36が装着されている。つまり、ボールベアリング36は、回転軸34の軸方向における第1メタルBR1と第2メタルBR2との間に設けられ、回転軸34の軸方向中央部を回転自在に支持している。回転軸34の軸方向において、マグネットMGが固定されたロータコア33aおよびボールベアリング36は並んで設けられ、ボールベアリング36と第1メタルBR1との間に、マグネットMGが固定されたロータコア33aが配置されている。
【0029】
なお、ボールベアリング36は、本発明における第3軸受に相当する。
【0030】
ボールベアリング36は、第1メタルBR1および第2メタルBR2と同様に、回転軸34を回転自在に支持するもので、鋼材により略筒状に形成されたインナーレース(内輪)36aと、当該インナーレース36aと同様に鋼材により略筒状に形成され、かつインナーレース36aよりも大径となったアウターレース(外輪)36bと、を備えている。また、インナーレース36aとアウターレース36bとの間には、複数のボール(鋼球)36cが設けられている。
【0031】
ここで、インナーレース36aは、回転軸34に対して圧入により固定されている。つまり、インナーレース36aは、回転軸34と共に回転する。また、
図4に示されるように、ウォーム35の外径寸法D1は、回転軸34の外径寸法D2よりも小さくなっている(D1<D2)。これにより、ボールベアリング36は、回転軸34の軸方向において、ウォーム35側から回転軸34に対して圧入可能となっている。
【0032】
<センサマグネットユニット>
また、回転軸34の軸方向において、ウォーム35とボールベアリング36との間には、センサマグネットユニットSMUが設けられている。センサマグネットユニットSMUは、回転軸34に対して圧入により固定される筒状のブラケット部材BKと、当該ブラケット部材BKに保持されるセンサマグネットSMと、を有している。ここで、センサマグネットSMは、回転軸34(ロータ33)の回転状態、具体的には回転方向や回転数等を検知するために用いられる。
【0033】
なお、センサマグネットユニットSMUにおいても、ボールベアリング36のインナーレース36aと同様に回転軸34と共に回転する。また、センサマグネットユニットSMUにおいても、回転軸34の軸方向において、ウォーム35側から回転軸34に対して圧入可能となっている。
【0034】
<調整部材>
さらに、回転軸34の軸方向において、ボールベアリング36とロータコア33a(マグネットMG)との間には、ロータ33の回転バランスを調整するために用いられる調整部材37が設けられている。調整部材37は、複数の薄い鋼板(磁性体)37aを積層して略筒状に形成され、回転軸34に対して圧入により固定されている。
【0035】
また、調整部材37の外径寸法D3(
図12参照)は、ロータ33の外径寸法D4(
図12参照)以下となっている(D3<D4)。ここで、ロータ33の外径寸法D4は、マグネットホルダ33bの最も径方向寸法が大きい部分となっている。
【0036】
調整部材37は、回転軸34の軸方向において、ボールベアリング36とロータコア33aとの間に配置され、かつマグネットMGよりもボールベアリング36の近くに配置されている。これにより、
図4に示されるように、回転軸34の軸方向においてマグネットMGと調整部材37との間には、比較的長い長さの第1隙間G1が形成されている。
【0037】
ここで、回転軸34の径方向におけるマグネットMGとステータ32との間には、比較的短い長さの第2隙間G2が形成されている。そして、回転軸34の軸方向におけるマグネットMGと調整部材37との離間距離L1を比較する比較対象を、回転軸34の径方向におけるマグネットMGとステータ32との離間距離L2としたときに、離間距離L1は離間距離L2よりも長くなっている(L1>L2)。具体的には、離間距離L1は離間距離L2の「約7倍」となっている(L1≒L2×7)。
【0038】
このように、調整部材37を、ステータ32よりもマグネットMGから離間させて配置することで、合計4つのマグネットMGの磁束[Wb]が、調整部材37に向かうことを抑制している。言い換えれば、それぞれのマグネットMGの磁束[Wb]を、ステータ32に効率良く向かうようにしている。したがって、ボールベアリング36とマグネットMGとの間に、磁性体からなる調整部材37を設けても、サンルーフモータ20の出力トルクの低下等が抑制される。
【0039】
なお、調整部材37は、製品毎に異なる回転軸34の微小な歪みや、回転軸34の回転中心とロータコア33aの回転中心との微小な位置ズレ等に起因したロータ33の回転ブレを抑える機能を有する。具体的には、ロータ33の組み立て時において、当該ロータ33を回転させつつ、調整部材37の外周を部分的に削ることで、ロータ33の回転バランスを最適化する(回転ブレ抑制)。
【0040】
これにより、サンルーフモータ20の作動音を小さくすることが可能となる(静粛性向上)。特に、サンルーフモータ20は、運転者や同乗者の頭上に配置されるため、作動音が大きいと耳障りとなる。よって、サンルーフモータ20においては、より静粛性を向上させる必要がある。
【0041】
<ホルダ部材>
さらに、電動モータ部30は、
図4,
図6および
図7に示されるように、ホルダ部材38を備えている。ホルダ部材38は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されている。ホルダ部材38は、略平板状に形成された支持本体38aと、ハウジング41に入り込む複数の壁部38bと、を備えている。つまり、ホルダ部材38は、ハウジング41に装着される部品となっている。
【0042】
ホルダ部材38の支持本体38aには、環状支持部38cが一体に設けられている。環状支持部38cは、回転軸34の軸方向先端側(
図4の左側)に向けられた環状平坦面38dを備え、当該環状平坦面38dは、ボールベアリング36のアウターレース36bに対して、その軸方向一側(
図4の右側)から接している。つまり、環状支持部38cは、アウターレース36bの軸方向一側の全周を支持している。なお、アウターレース36bの軸方向他側(
図4の左側)は、ハウジング41に設けられたベアリング装着部50により支持されている。
【0043】
このように、ボールベアリング36のアウターレース36bは、回転軸34の軸方向において、ハウジング41とホルダ部材38との間に挟持されている。ここで、ホルダ部材38は、合計3つの固定ねじSCによりモータケース31をハウジング41に固定することで、ハウジング41の内部でがたつくことなく固定される。つまり、ホルダ部材38は、ロータ33の軸方向において、モータケース31およびアウターレース36bに挟持されている。
【0044】
また、環状支持部38cには、合計3つの位置決め突起38eが一体に設けられている。これらの位置決め突起38eは、環状支持部38cの周方向に延び、略円弧状に形成されている。また、これらの位置決め突起38eは、環状支持部38cの周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。さらに、それぞれの位置決め突起38eは、環状支持部38cから軸方向他側(
図4の左側)に突出されている。そして、合計3つの位置決め突起38eの内側には、ボールベアリング36のアウターレース36bが嵌合している。
【0045】
具体的には、
図7に示されるように、それぞれの位置決め突起38eの径方向内側には、アウターレース36bの外周部に点接触される一対の平坦面SFが設けられている。つまり、ホルダ部材38には、合計6つの平坦面SFが設けられている。そして、アウターレース36bの外周部は、合計6つの接触点CPの部分において、平坦面SFに対して点接触されている。
【0046】
なお、合計6つの接触点CPは、環状支持部38cの周方向に等間隔(60度間隔)で配置されている。これにより、サンルーフモータ20の組み立て時において、ボールベアリング36の軸心に対して、環状支持部38cの軸心を正確に一致(センタリング)させることが可能となっている。
【0047】
このように、ホルダ部材38は、ボールベアリング36に位置決めされ、ボールベアリング36を軸方向一側から支持している。言い換えれば、ボールベアリング36は、合計3つの位置決め突起38eを介して、ホルダ部材38を正規の位置に位置決めする機能を有している。
【0048】
さらに、環状支持部38cの径方向内側には、当該環状支持部38cの軸方向に貫通し、かつ回転軸34が挿通される貫通小径孔38fおよび貫通大径孔38gが設けられている。ここで、貫通小径孔38fの内径寸法D5(
図12参照)は、貫通大径孔38gの内径寸法D6(
図12参照)よりも小さくなっている(D5<D6)。
【0049】
なお、貫通小径孔38fは、本発明における挿通孔に相当する。
【0050】
ここで、貫通小径孔38fおよび貫通大径孔38gの径方向内側には、
図4に示されるように、調整部材37が配置されている。そして、環状支持部38cは、ボールベアリング36のアウターレース36bを軸方向一側から支持可能な大きさのため、貫通小径孔38fおよび貫通大径孔38gの径方向内側には、比較的大きなデッドスペースDSが形成されている。
【0051】
このデッドスペースDSを有効利用することで、当該デッドスペースDSに調整部材37を配置している。よって、調整部材37を回転軸34に設けることで、ハウジング41やサンルーフモータ20の全体が大型化するようなことはない。
【0052】
また、支持本体38aには、三相のコイルCL(
図4参照)に対応させて、複数の導電部材39(
図6および
図7参照)が装着されている。具体的には、U相,V相およびW相に対応させて、合計3つの導電部材39が設けられている。つまり、ホルダ部材38は、合計3つの導電部材39を保持している。ホルダ部材38に装着される合計3つの導電部材39は、導電性に優れた黄銅等により略棒状に形成され、ロータ33の軸方向に延在されている。
【0053】
そして、合計3つの導電部材39の長手方向一側(
図6の右側)は、ステータ32に設けられる三相のコイルCL(
図4および
図12参照)にそれぞれ電気的に接続される。これに対し、合計3つの導電部材39の長手方向他側(
図6の左側)は、ハウジング41に設けられる導電部材支持部49a(
図4および
図12参照)に支持される。ここで、導電部材39の長手方向他側には、車両12(
図1参照)側に設けられる外部コネクタの接続端子(図示せず)が電気的に接続される。
【0054】
これにより、車載コントローラ等からサンルーフモータ20の三相のコイルCLに駆動電流が供給され、ひいては回転軸34が正方向または逆方向に回転される。このように、ホルダ部材38は、ボールベアリング36のアウターレース36bを支持すると共に、合計3つの導電部材39を保持している。
【0055】
<減速機構部>
図2ないし
図4に示されるように、減速機構部40は、減速機構SDを収容するハウジング41を備えている。ハウジング41は、プラスチック等の樹脂材料により略扁平の直方体形状に形成され、ロータ33の軸方向においてモータケース31に突き合わされている。具体的には、ハウジング41は、第1壁部42,第2壁部43および第3壁部44を有している。第1,第2および第3壁部42,43,44のうち、第1壁部42の占める割合が最も大きくなっている。
【0056】
なお、ハウジング41は、本発明における第2ケースに相当する。
【0057】
図4に示されるように、ハウジング41の内側には、ウォームホイール収容部45が設けられている。ウォームホイール収容部45は、第3壁部44寄りの部分に配置されている。そして、ウォームホイール収容部45の内部には、減速機構SDを形成するウォームホイール46が回転自在に収容されている。ここで、ウォームホイール46は、プラスチック等の樹脂材料からなり、軽量化が図られている。ウォームホイール46には歯部46aが設けられ、当該歯部46aは、ハウジング41の内部において、ウォーム35に噛み合わされている。
【0058】
すなわち、減速機構SDは、比較的大きな減速比が得られるウォーム減速機となっている。具体的には、本実施の形態では、減速機構SDの減速比は[1:67]となっている。すなわち、ウォーム35が67回転すると、漸くウォームホイール46が1回転する減速比となっている。もちろん、他の減速比に設定することも可能である。
【0059】
また、ウォームホイール46の回転中心には、丸鋼棒からなる出力軸47の軸方向基端側が固定されている。これに対し、出力軸47の軸方向先端側には、一対の駆動ケーブル17a,17b(
図1参照)が噛み合わされる出力ギヤ47a(
図2参照)が一体に設けられている。
【0060】
したがって、回転軸34の高速回転が減速機構SDにより減速され、かつ減速されて高トルク化された回転力が、出力軸47および出力ギヤ47aを介して、一対の駆動ケーブル17a,17bに伝達される。なお、減速機構SDは、ウォーム35およびウォームホイール46により形成されている。
【0061】
ここで、ウォームホイール収容部45は、その第1壁部42側とは反対側が開口されている(図示せず)。そして、ウォームホイール収容部45の開口部分は、
図3に示されるように、鋼板をプレス加工等して略円板状に形成されたカバー部材48により閉塞されている。
【0062】
また、
図4に示されるように、ハウジング41の内側には、ウォーム収容部49が設けられている。ウォーム収容部49は、第2壁部43寄りの部分に配置されている。そして、ウォーム収容部49は、ウォームホイール収容部45の近傍に配置され、これらの収容部49,45の内部は互いに連通している。これにより、ウォーム35および歯部46aは、互いに噛み合い可能となっている。
【0063】
ウォーム収容部49は、回転軸34の軸方向に延びており、ウォーム収容部49の軸方向他側(
図4の左側)には、回転軸34の軸方向先端側を回転自在に支持する第2メタルBR2が収容されている。
【0064】
さらに、ウォーム収容部49と第2壁部43との間には、導電部材支持部49aが設けられている。導電部材支持部49aは、ホルダ部材38に保持された合計3つの導電部材39の長手方向他側(
図4の左側)を、がたつかないように支持する機能を備えている。これにより、それぞれの導電部材39に対して、車両12(
図1参照)側に設けられる外部コネクタの接続端子(図示せず)を、安定した状態で電気的に接続可能となっている。
【0065】
また、ハウジング41の内側には、ベアリング装着部50が設けられている。ベアリング装着部50は、ウォーム収容部49の軸方向一側(
図4の右側)に配置され、モータケース31に向けて開口している。ベアリング装着部50の内部には、ボールベアリング36が収容され、アウターレース36bの軸方向他側(
図4の左側)の全周が、ベアリング装着部50により支持されている。
【0066】
なお、ベアリング装着部50には、略筒状に形成されたサポートリングSRが圧入により固定されている。サポートリングSRは、例えば、金属粉末を押し固めた焼結材により形成されている。そして、サポートリングSRの径方向内側には、微小隙間(図示せず)を介してアウターレース36bが配置されている。ここで、ボールベアリング36の外径寸法D7(
図12参照)は、環状支持部38cにおける貫通小径孔38fの内径寸法D5(
図12参照)よりも大きくなっている(D7>D5)。
【0067】
図4に示されるように、回転軸34は、第1メタルBR1,第2メタルBR2およびボールベアリング36により3点支持されている。これにより、サンルーフモータ20の作動時において、ウォーム35がウォームホイール46の歯部46aから離れるようなこと(互いの噛み合いが外れること)が抑えられ、互いに確実に動力伝達可能となっている。
【0068】
そして、回転軸34にはインナーレース36aが固定され、アウターレース36bはベアリング装着部50とホルダ部材38とにより挟持されている。したがって、回転軸34はその軸方向に移動することがない。よって、回転軸34の軸方向両側に、スラスト軸受を設ける必要がなく、これにより部品点数の削減を図っている。
【0069】
その一方で、回転軸34を3点支持でスムーズに回転させるには、サンルーフモータ20を形成する部品の精度を向上させる必要がある。しかしながら、このような部品精度の向上は、製造工程の煩雑化や製品コストのアップを招くため非現実的である。よって、本実施の形態では、サポートリングSRの径方向内側に、微小隙間を介してボールベアリング36(アウターレース36b)を配置している。
【0070】
これにより微小隙間が、部品の製造誤差を吸収したり部品間の線膨張差を吸収したりする。よって、回転軸34のスムーズな回転が確保される。このように、サポートリングSRとアウターレース36bとの間の微小隙間は、サンルーフモータ20を形成する部品の製造誤差や部品間の線膨張差を吸収する機能を有している。
【0071】
<モータ収容部>
また、
図4,
図9,
図11および
図12に示されるように、ハウジング41の内側には、略箱形状に形成されたモータ収容部51が設けられている。モータ収容部51は、回転軸34の軸方向においてベアリング装着部50のモータケース31側(
図4の右側)に配置されている。
【0072】
モータ収容部51には、電動モータ部30の一部が収容されている。具体的には、
図4に示されるように、モータ収容部51には、電動モータ部30を形成するホルダ部材38の壁部38bが、入り込んでいる。
【0073】
<メタルジャケット>
ここで、
図2および
図3に示されるように、ハウジング41の外側には、薄い鋼板を折り曲げて形成されたメタルジャケット60が部分的に装着されている。メタルジャケット60は、ハウジング41の内部で発生した電気ノイズが、ハウジング41の外部に放射されるのを防止する機能を有する。これにより、車両12(
図1参照)に搭載されたカーオーディオ等(図示せず)に電気ノイズが到達せず、ラジオノイズ等の発生が抑えられる。
【0074】
<位置決め構造>
図8ないし
図10に示されるように、本実施の形態のサンルーフモータ20では、ロータ33を形成する単一の回転軸34(軸線CT)を基準として、モータケース31,ハウジング41およびホルダ部材38が、それぞれ位置決めされている。これにより、組み立て後のサンルーフモータ20は、製品毎にばらつくことなく回転軸34がスムーズに回転可能となっている。具体的には、以下のような3箇所の位置決め構造により、従前に比して部品点数を削減しつつ、容易に組み立て可能としている。
【0075】
<第1位置決め部>
図8に示されるように、第1位置決め部PP1により、モータケース31(ステータ32)は回転軸34に対して位置決めされている。具体的には、モータケース31の底壁部31bには第1メタルBR1が装着され、かつ第1メタルBR1に回転軸34は回転自在に支持されている。つまり、第1位置決め部PP1は、底壁部31b,第1メタルBR1および回転軸34によって形成されている。
【0076】
これにより、モータケース31およびステータ32は、第1メタルBR1を介して、回転軸34(軸線CT)を基準に正規の位置に正確に位置決めされる。
【0077】
<第2位置決め部>
図9に示されるように、第2位置決め部PP2により、ハウジング41は回転軸34に対して位置決めされている。具体的には、ハウジング41のウォーム収容部49には第2メタルBR2が装着され、かつ第2メタルBR2に回転軸34は回転自在に支持されている。つまり、第2位置決め部PP2は、ウォーム収容部49,第2メタルBR2および回転軸34(ウォーム35側)によって形成されている。
【0078】
これにより、ハウジング41は、第2メタルBR2を介して、回転軸34(軸線CT)を基準に正規の位置に正確に位置決めされる。
【0079】
なお、ボールベアリング36のアウターレース36bとサポートリングSRとの間には、部品の製造誤差を吸収したり部品間の線膨張差を吸収したりする微小隙間(図示せず)が存在する。よって、回転軸34に固定されたボールベアリング36は、ハウジング41の位置決めに寄与することはない。
【0080】
<第3位置決め部>
図10に示されるように、第3位置決め部PP3により、ホルダ部材38は回転軸34に対して位置決めされている。具体的には、回転軸34には、ボールベアリング36のインナーレース36aが装着され、かつボールベアリング36のアウターレース36bがホルダ部材38の合計3つの位置決め突起38eに嵌合している。つまり、第3位置決め部PP3は、回転軸34,ボールベアリング36および位置決め突起38eによって形成されている。
【0081】
これにより、ホルダ部材38は、ボールベアリング36を介して、回転軸34(軸線CT)を基準に正規の位置に正確に位置決めされる。
【0082】
なお、ボールベアリング36は、インナーレース36a,アウターレース36bおよび複数のボール36cを有するが、それぞれの部品間でガタを備えない精密部品となっている。よって、ホルダ部材38は、ボールベアリング36を介して、回転軸34に精度良く位置決めされる。
【0083】
このように、本実施の形態のサンルーフモータ20では、合計3箇所の位置決め部PP1,PP2,PP3により、回転軸34を基準として、モータケース31,ステータ32,ハウジング41およびホルダ部材38が精度良く位置決めされる。つまり、回転軸34(軸線CT)を基準に、その他の構成部品を位置決めすることで、サンルーフモータ20の組み立て精度を向上させており、ひいては製品毎に回転軸34の回転抵抗にばらつきが生じることが抑制される。
【0084】
<サンルーフモータの組立手順>
次に、以上のように形成されたサンルーフモータ20の組立手順について、図面を用いて詳細に説明する。
【0085】
図11はサンルーフモータの組立手順(1)を説明する図を、
図12はサンルーフモータの組立手順(2)を説明する図をそれぞれ示している。
【0086】
ここで、
図12に示されるように、調整部材37の外径寸法D3,ロータ33の外径寸法D4,貫通小径孔38fの内径寸法D5,貫通大径孔38gの内径寸法D6およびボールベアリング36の外径寸法D7の大小関係は、D6≒D7>D5>D4>D3となっている。
【0087】
これにより、環状支持部38cの径方向内側に、ロータ33および調整部材37を挿通することができ、かつ環状平坦面38dをアウターレース36bの軸方向一側の全周に接触させることが可能となっている。よって、
図11および
図12に示されるように、サンルーフモータ20を容易に組み立てることができる。
【0088】
<組立手順(1)>
図11に示されるように、まず、ハウジング41,第2メタルBR2,サポートリングSRおよびロータアッシRAを準備する。ここで、ロータアッシRAとは、回転軸34に、ロータ33,ボールベアリング36,センサマグネットユニットSMUおよび調整部材37が装着されたものである。
【0089】
そして、一点鎖線に沿わせるようにして、まず、第2メタルBR2をウォーム収容部49に固定する。次いで、サポートリングSRをベアリング装着部50に固定する。その後、ロータアッシRAの軸方向におけるウォーム35側を、モータ収容部51に臨ませる。そして、ロータアッシRAのウォーム35をウォーム収容部49に収容し、ボールベアリング36をベアリング装着部50に装着する。
【0090】
このとき、回転軸34のウォーム35側を第2メタルBR2に支持させ、アウターレース36bをサポートリングSRに差し込む。なお、アウターレース36bとサポートリングSRとの間には微小隙間(図示せず)が設けられているため、ロータアッシRAのハウジング41への装着作業は容易に行える。
【0091】
これにより、ロータアッシRAのハウジング41への装着作業が完了し、ハウジング41は第2メタルBR2を介して回転軸34に位置決めされる(
図9参照)。なお、<組立手順(1)>を経てロータアッシRAが組み付けられたハウジング41を、ハウジングアッシHAとする。
【0092】
<組立手順(2)>
次に、
図12に示されるように、ハウジングアッシHA,ホルダ部材38,モータアッシMAおよび合計3つの固定ねじSCを準備する。なお、ホルダ部材38には、合計3つの導電部材39を装着しておく。また、モータアッシMAとは、モータケース31の底壁部31bに第1メタルBR1が装着され、かつモータケース31の側壁部31aにステータ32が固定されたものである。
【0093】
そして、一点鎖線に沿わせるようにして、まず、ホルダ部材38のハウジング41側を、モータ収容部51に臨ませる。次いで、ホルダ部材38に設けられた複数の壁部38bを、モータ収容部51に差し込む。このとき、環状支持部38cにおける貫通小径孔38fの内径寸法D5が、調整部材37の外径寸法D3およびロータ33の外径寸法D4はよりも大きい(D5>D4>D3)ので、貫通小径孔38fの径方向内側に、調整部材37およびロータ33を容易に挿通可能となっている。
【0094】
その後、ホルダ部材38に装着された合計3つの導電部材39の長手方向他側(
図12の左側)を、導電部材支持部49aに支持させ、かつホルダ部材38に設けられた合計3つの位置決め突起38e内側に、アウターレース36bを嵌合させる。
【0095】
このとき、貫通小径孔38fの内径寸法D5が、ボールベアリング36の外径寸法D7よりも小さい(D5<D7)ので、環状支持部38cにおける環状平坦面38dの全周が、アウターレース36bの軸方向一側に当接する。また、環状支持部38cの径方向内側に形成されるデッドスペースDS(
図4参照)に、調整部材37が配置される。
【0096】
このように、アウターレース36bの軸方向他側(
図12の左側)の全周が、ベアリング装着部50により支持され、アウターレース36bの軸方向一側(
図12の右側)の全周が、環状支持部38cの環状平坦面38dにより支持される。したがって、ボールベアリング36(回転軸34)が傾いてしまうようなことが抑制される。
【0097】
次いで、モータアッシMAをモータ収容部51に臨ませる。このとき、モータケース31のホルダ部材38側を、モータ収容部51に臨ませる。そして、ステータ32の径方向内側にロータ33を挿入しつつ、モータケース31の開口側を、ハウジング41に突き当てる。その際に、回転軸34の軸方向基端側を第1メタルBR1に支持させる。
【0098】
このとき、ホルダ部材38はアウターレース36bにより位置決めされ(
図10参照)、モータアッシMAは回転軸34により位置決めされる(
図8参照)。また、ボールベアリング36および回転軸34は、互いに精度良く同軸上に配置されている。
【0099】
したがって、ホルダ部材38およびモータアッシMAにおいても、互いに精度良く同軸上に配置される。よって、合計3つの導電部材39と三相のコイルCLとを容易に精度良く位置決めすることができ、これらを互いに容易に電気的に接続可能となっている(組立性の向上)。
【0100】
その後、プラスドライバー等の締結工具(図示せず)を用い、合計3つの固定ねじSCを、ハウジング41にねじ止めする。これにより、モータケース31およびハウジング41が互いに強固に固定される。このように、ロータアッシRAをハウジング41に組み付けた後に、ホルダ部材38およびモータアッシMAがハウジングアッシHAに組み付けられて、ホルダ部材38およびモータアッシMAのハウジングアッシHAへの固定作業が終了する。
【0101】
なお、<組立手順(2)>の後は、ハウジング41のウォームホイール収容部45にウォームホイール46(
図4参照)を収容し、かつウォームホイール収容部45の開口部分をカバー部材48(
図3参照)で閉塞する。これにより、サンルーフモータ20の組立作業が終了する。
【0102】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、内部にステータ32が固定されるモータケース31と、ロータ33の軸方向においてモータケース31に突き合わされるハウジング41と、ロータ33に設けられ、モータケース31およびハウジング41の内部に回転自在に収容される回転軸34と、モータケース31に設けられ、回転軸34の軸方向基端側を回転自在に支持する第1メタルBR1と、ハウジング41に設けられ、回転軸34の軸方向先端側を回転自在に支持する第2メタルBR2と、回転軸34の軸方向における第1メタルBR1と第2メタルBR2との間に設けられ、回転軸34を回転自在に支持するボールベアリング36と、ボールベアリング36に位置決めされ、複数の導電部材39を保持するホルダ部材38と、を備え、ホルダ部材38は、ロータ33の軸方向においてモータケース31およびボールベアリング36に挟持されている。
【0103】
これにより、単一の回転軸34(軸線CT)を基準として、モータケース31,ステータ32,ハウジング41およびホルダ部材38を精度良く位置決めすることができる。したがって、従前に比して部品点数を削減することができ、かつ容易に組み立てることが可能なサンルーフモータ20を実現することができる。
【0104】
また、本実施の形態によれば、複数の導電部材39は、ロータ33の軸方向に延在され、複数の導電部材39の長手方向一側は、ステータ32に設けられる三相のコイルCLにそれぞれ接続され、複数の導電部材39の長手方向他側は、ハウジング41に設けられる導電部材支持部49aに支持されている。
【0105】
サンルーフモータ20の構成部品が回転軸34を基準に位置決めされているので、サンルーフモータ20を組み立てるだけで、導電部材39の長手方向一側をコイルCLに容易に接続でき、導電部材39の長手方向他側を導電部材支持部49aに支持させることが可能となる(組立性の向上)。
【0106】
さらに、本実施の形態によれば、ホルダ部材38には、回転軸34が挿通される貫通小径孔38fが設けられ、貫通小径孔38fの内径寸法D5(
図12参照)が、ボールベアリング36の外径寸法D7(
図12参照)よりも小さく(D5<D7)、ロータ33の外径寸法D4(
図12参照)よりも大きい(D5>D4)。
【0107】
これにより、サンルーフモータ20の組み立て時において、ホルダ部材38の貫通小径孔38fに、ロータ33を容易に挿通することができる。また、環状平坦面38dの全周で、アウターレース36bを支持することが可能となる。
【0108】
また、本実施の形態によれば、回転軸34の軸方向におけるボールベアリング36とロータ33との間に、ロータ33の回転バランスを調整する調整部材37が設けられ、調整部材37の外径寸法D3(
図12参照)が、ロータ33の外径寸法D4(
図12参照)以下である(D3<D4)。
【0109】
これにより、サンルーフモータ20の組み立て時において、ホルダ部材38の貫通小径孔38fに、ロータ33および調整部材37を容易に挿通することができる。これによっても、サンルーフモータ20の組立性を向上させることが可能となる。
【0110】
さらに、本実施の形態によれば、従前に比して部品点数を削減することができ、かつ容易に組み立てることができるので、製造エネルギーの省力化を図ることが可能となる。これにより、国連で定められた持続可能な開発目標(SDGs)における特に目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる)を実現することができる。
【0111】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。上記実施の形態では、本発明を、車両12のサンルーフ装置10に用いられるサンルーフモータ20に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、車両に搭載されるスライドドア装置,パワーウインド装置,ワイパ装置等に用いられる車載用モータ(モータ装置)にも適用することができる。
【0112】
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0113】
10:サンルーフ装置,11:ルーフパネル,12:車両,13:ルーフ,14:開口部,15a,15b:シュー,16:ガイドレール,17a,17b:駆動ケーブル,20:サンルーフモータ(モータ装置),30:電動モータ部,31:モータケース(第1ケース),31a:側壁部,31b:底壁部,32:ステータ,32a:ステータコア,32b:ティース,33:ロータ,33a:ロータコア,33b:マグネットホルダ,34:回転軸,35:ウォーム,36:ボールベアリング(第3軸受),36a:インナーレース,36b:アウターレース,36c:ボール,37:調整部材,37a:鋼板,38:ホルダ部材,38a:支持本体,38b:壁部,38c:環状支持部,38d:環状平坦面,38e:位置決め突起,38f:貫通小径孔(挿通孔),38g:貫通大径孔,39:導電部材,40:減速機構部,41:ハウジング(第2ケース),42:第1壁部,43:第2壁部,44:第3壁部,45:ウォームホイール収容部,46:ウォームホイール,46a:歯部,47:出力軸,47a:出力ギヤ,48:カバー部材,49:ウォーム収容部,49a:導電部材支持部,50:ベアリング装着部,51:モータ収容部,60:メタルジャケット,AG:エアギャップ,BK:ブラケット部材,BR1:第1メタル(第1軸受),BR2:第2メタル(第2軸受),CL:コイル,CP:接触点,CT:軸線,DS:デッドスペース,FG:フロントガラス,G1:第1隙間,G2:第2隙間,HA:ハウジングアッシ,MA:モータアッシ,MG:マグネット,PP1:第1位置決め部,PP2:第2位置決め部,PP3:第3位置決め部,RA:ロータアッシ,SC:固定ねじ,SD:減速機構,SF:平坦面,SM:センサマグネット,SMU:センサマグネットユニット,SR:サポートリング