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特開2024-172581ガラスパネル仮置き部材、ガラスパネル嵌め込み方法および窓
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172581
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ガラスパネル仮置き部材、ガラスパネル嵌め込み方法および窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/54 20060101AFI20241205BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E06B3/54 Z
E06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090380
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】平川 真也
(72)【発明者】
【氏名】石井 大佳之
(72)【発明者】
【氏名】水本 義則
(72)【発明者】
【氏名】筒井 徹
(72)【発明者】
【氏名】節 世名
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016BA03
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E016DA05
2E016DA07
2E016DC01
(57)【要約】
【課題】窓の枠体にガラスパネルを嵌め込む作業の負担を軽減する。
【解決手段】ガラスパネル仮置き部材は、窓の枠体にガラスパネルを嵌め込む作業時に、ガラスパネルを仮置きするための部材である。ガラスパネル仮置き部材は、係合部と、仮置き面と、を備える。係合部は、枠体の下枠に上側から係合可能に構成されている。パネル仮置き面は、下枠に係合部を係合させた状態において、ガラスパネルを上側から仮置き可能に構成されている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓の枠体にガラスパネルを嵌め込む作業時にガラスパネルを仮置きするためのガラスパネル仮置き部材であって、
前記枠体の下枠に上側から係合可能に構成された係合部と、
前記下枠に前記係合部を係合させた状態において前記ガラスパネルを上側から仮置き可能に構成された仮置き面と、
を備えるガラスパネル仮置き部材。
【請求項2】
前記ガラスパネルよりも室外側に設置されるデッキと前記ガラスパネルとの間に設置されるデッキアタッチメントを、係合可能に構成された被係合部を、さらに備える、
請求項1に記載のガラスパネル仮置き部材。
【請求項3】
前記係合部を前記下枠に係合させた状態において、前記仮置き面の面直方向は上方を向く請求項1又は2に記載のガラスパネル仮置き部材。
【請求項4】
前記ガラスパネル仮置き部材は、前記ガラスパネルよりも軟質ある請求項1又は2に記載のガラスパネル仮置き部材。
【請求項5】
窓の枠体にガラスパネルを嵌め込むガラスパネル嵌め込み方法であって、
前記枠体の下枠に上側から係合可能に構成された係合部と、前記係合部を前記下枠に係合させた状態において前記ガラスパネルを上側から仮置き可能に構成された仮置き面と、を備えるガラスパネル仮置き部材を用意し、
前記下枠に前記係合部を係合させることによって、前記下枠に前記ガラスパネル仮置き部材を設置し、
前記仮置き面の上に前記ガラスパネルを仮置きしてから、前記枠体に前記ガラスパネルを嵌め込む、
ガラスパネル嵌め込み方法。
【請求項6】
前記ガラスパネル仮置き部材は、デッキアタッチメントを上側から係合可能に構成された被係合部を、さらに備え、
前記枠体に前記ガラスパネルを嵌め込んだ後に、前記デッキアタッチメントを前記被係合部に係合させることによって、前記ガラスパネル仮置き部材の上に前記デッキアタッチメントを取り付け、
取り付けた前記デッキアタッチメントよりも室外側にデッキを設置する、
請求項5に記載のガラスパネル嵌め込み方法。
【請求項7】
前記デッキを設置する際には、前記デッキアタッチメントの上面と前記デッキの上面とが同一平面上に位置するように、前記デッキを設置する、
請求項6に記載のガラスパネル嵌め込み方法。
【請求項8】
前記枠体に前記ガラスパネルを嵌め込んだ後に、前記下枠から前記ガラスパネル仮置き部材を取り外す、
請求項5に記載のガラスパネル嵌め込み方法。
【請求項9】
枠体と、前記枠体に嵌め込まれたガラスパネルと、を備える窓であって、
前記枠体に前記ガラスパネルを嵌め込む作業時に前記ガラスパネルを仮置きするためのガラスパネル仮置き部材と、
前記ガラスパネル仮置き部材の上に、取り付けられているデッキアタッチメントと、
前記デッキアタッチメントよりも室外側に設置されているデッキと、
を備える窓。
【請求項10】
前記デッキアタッチメントの上面と前記デッキの上面とが同一平面上に位置している、
請求項9に記載の窓。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窓の枠体にガラスパネルを嵌め込む作業に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、窓は、枠体と、枠体の内周側に取り付けられるガラスパネルとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-46078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示者らは、このような窓において、以下に示す問題がある点に着目した。建具の上下方向の寸法を、例えば3m以上などと通常よりも大きくした場合、ガラスパネルの重量が大きくなることによって、枠体にガラスパネルを嵌め込む作業が困難になってしまう。
【0005】
また、このような問題は、建具の上下方向の寸法が例えば2m以下などと通常の寸法であっても、程度の差はあれ発生し得る。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、窓の枠体にガラスパネルを嵌め込む作業の負担を軽減することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のガラスパネル仮置き部材は、
窓の枠体にガラスパネルを嵌め込む作業時にガラスパネルを仮置きするためのガラスパネル仮置き部材であって、
前記枠体の下枠に上側から係合可能に構成された係合部と、
前記下枠に前記係合部を係合させた状態において前記ガラスパネルを上側から仮置き可能に構成された仮置き面と、
を備える。
【0008】
本開示のガラスパネル嵌め込み方法は、
窓の枠体にガラスパネルを嵌め込むガラスパネル嵌め込み方法であって、
前記枠体の下枠に上側から係合可能に構成された係合部と、前記係合部を前記下枠に係合させた状態において前記ガラスパネルを上側から仮置き可能に構成された仮置き面と、を備えるガラスパネル仮置き部材を用意し、
前記下枠に前記係合部を係合させることによって、前記下枠に前記ガラスパネル仮置き部材を設置し、
前記仮置き面の上に前記ガラスパネルを仮置きしてから、前記枠体に前記ガラスパネルを嵌め込む。
【0009】
本開示の窓は、
枠体と、前記枠体に嵌め込まれたガラスパネルと、を備える窓であって、
前記枠体に前記ガラスパネルを嵌め込む作業時に前記ガラスパネルを仮置きするためのガラスパネル仮置き部材と、
前記ガラスパネル仮置き部材の上に、取り付けられているデッキアタッチメントと、
前記デッキアタッチメントよりも室外側に設置されているデッキと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の建具を室内側から見た図である。
図2図1の状態から障子を開けて網戸を閉めた状態を示す図である。
図3図1のIII-III線の断面を示す図である。
図4】左枠およびその周辺を示す平面断面図である。
図5】最左の方立およびその周辺を示す平面断面図である。
図6】右枠およびその周辺を示す平面断面図である。
図7】開閉窓を示す平面断面図であり、具体的には図3の左部を拡大した図である。
図8図7の状態から障子を開けて網戸を閉めた状態を示す図であり、具体的には、図2のVIII-VIII線の断面を示す図である。
図9】網戸を全閉する直前の網戸の右端部を示す平面断面図である。
図10】網戸の全閉状態を示す平面断面図であり、具体的には、図8の右端部を拡大した図である。
図11】網戸を示す左断面図であり、具体的には、図2のXI-XI線の断面を示す図である。
図12】全開状態の網戸の右上端部を示す正面断面図であり、具体的には、図4のXII-XII線の断面の一部を示す図である。
図13】全閉状態の網戸の右上端部を示す断面斜視図である。
図14】障子を示す左断面図であり、具体的には、図1のXIV-XIV線の断面を示す図である。
図15】FIX窓を示す左断面図であり、具体的には、図1のXV-XV線の断面を示す図である。
図16】ガラスパネルの嵌め込み作業時を示す左断面図である。
図17】下枠にガラスパネル仮置き部材を取り付けた状態を示す左断面図である。
図18】さらにデッキを取り付けた状態を示す左断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱ない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0012】
[第1実施形態]
図1に示す本実施形態の建具1は、所定の部屋の内側としての室内と、当該部屋の外側としての室外と、を仕切っている。以下、図3に示すように、室内から室外に向かう方向を「室外方向O」といい、その反対方向を「室内方向I」という。また、室外方向Oと室内方向Iとを、まとめて「見込み方向O,I」という。また、図1に示すように、室内から室外方向Oに見たものを「正面視」といい、正面視での左側を「左」といい、正面視での右側を「右」という。ただし、本実施形態は、以下とは左右反対に実施してもよい。なお、以下でいう「左右方向」は、「見付け方向」と読み替えてもよい。
【0013】
図1に示すように、建具1は、左端部に開閉窓3を備えると共に、開閉窓3よりも右側に複数のFIX窓7を左右方向L,Rに並べて備える。図ではFIX窓7は3枚であるが、2枚であっても、4枚以上であってもよい。開閉窓3および複数のFIX窓7の上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。
【0014】
建具1は、開閉窓3と複数のFIX窓7とを跨ぐ範囲に枠体2を備える。枠体2は、アルミニウムなどの金属を主体に構成されている。枠体2は、左枠21と上枠22と複数の方立23と下枠24と右枠25とを有する。方立23の数は、FIX窓7の数と同数である。左枠21と複数の方立23と右枠25とは、この順に左から右に並設されている。左枠21と複数の方立23と右枠25とは、それぞれ上下方向に延在している。上枠22および下枠24は、それぞれ左右方向L,Rに延在している。左枠21と複数の方立23と右枠25との各上端部は、上枠22に接続されている。左枠21と複数の方立23と右枠25との各下端部は、下枠24に接続されている。
【0015】
次に、図1に示す複数のFIX窓7について説明する。以下、最も左側の方立23を、「最左の方立23L」といい、最も左側のFIX窓7を「最左のFIX窓7L」という。複数の各FIX窓7は、最左の方立23Lの左端よりも右方R側に設けられている。各FIX窓7は、1枚のガラスパネル73と、枠体2における当該ガラスパネル73の周辺に位置する矩形環状部とを含む。つまり、例えば、最左のFIX窓7Lは、最左の方立23Lと、上枠22と、下枠24と、左から2番目の方立23とを含むと共に、それらの内周側に取り付けられているガラスパネル73を含む。
【0016】
図15に示すように、各FIX窓7のガラスパネル73は、外ガラス732と内ガラス734とスペーサ733とを有する。外ガラス732と内ガラス734とは、いずれも板状のガラスであって、それらの間にスペーサ733が介装されることによって、見込み方向O,Iに間隔を置いて設置されている。
【0017】
各FIX窓7における前述の矩形枠状部には、室外方向Oおよび矩形環状部の内周側に向けて開口するパネル設置溝27が設けられている。そのパネル設置溝27の室内方向I側の内底面とガラスパネル73との間には、パネルアタッチメント74が取り付けられる。パネル設置溝27内におけるガラスパネル73よりも室外方向O側に位置する部分には、押縁72が取り付けられる。この押縁72によって、ガラスパネル73が、パネル設置溝27に固定されている。
【0018】
次に、図1に示す開閉窓3について説明する。開閉窓3は、枠体2における最左の方立23Lの右端よりも左方Lに位置する部分と、障子4と、網戸5と、を含む。つまり、開閉窓3は、左枠21と上枠22と下枠24と最左の方立23Lとからなる矩形環状部を含む共に、障子4と網戸5を含む。なお、「障子4」および「網戸5」は、それぞれ「開閉体」と読み替えてもよい。以下、左枠21と上枠22と下枠24と最左の方立23Lとによって囲まれている部分を、開口Opという。
【0019】
図7図8に示すように、障子4は、開口Opと最左のFIX窓7Lとを含む範囲の室外方向O側において、左右方向L,Rにスライド可能に設けられている。これによって、障子4は、枠体2の室外側寄りにおいて、開口Opを開閉自在に構成されている。
【0020】
以下、図8に示すように、障子4を最大限右方Rにスライドさせて開口Opを最大限開くことを「障子4を全開する」といい、全開した時の位置を「全開位置4A」という。また、図7に示すように、障子4を最大限左方Lにスライドさせて開口Opを最大限閉じることを「障子4を全閉する」といい、全閉した時の位置を「全閉位置4B」という。
【0021】
図1に示すように、障子4は、框40とガラスパネル43とを備える。框40は、正面視において矩形環状である。框40は、その矩形環状の左辺部としての左框41と、上辺部としての上框42と、下辺部としての下框44と、右辺部としての右框45と、を有する。ガラスパネル43は、框40の内周側に取り付けられている。
【0022】
図14に示すように、障子4のガラスパネル43は、外ガラス432と内ガラス434とスペーサ433とを有する。外ガラス432と内ガラス434とは、いずれも板状のガラスであって、それらの間にスペーサ433が介装されることによって、見込み方向O,Iに間隔を置いて設置されている。
【0023】
図8に示すように、下枠24の上面には、左右方向L,Rに延在する障子レール244が設けられている。また、図14に示すように、上枠22の下面には、上方に凹み左右方向L,Rに延在する障子ガイド溝224が設けられている。障子4の下框44には、障子レール244上を走行可能なローラ444が回転可能に取り付けられている。障子4の上端部が障子ガイド溝224に挿入されると共に、ローラ444が障子レール244の上に載置されることによって、障子4が枠体2に対して左右方向L,Rにスライド可能に取り付けられる。
【0024】
図8に示すように、網戸5は、開口Op内に設置されている。図2に示すように、網戸5は、網部53と可動框55とを有する。本実施形態では、網部53は、プリーツ状である。ただし、これに代えて、網部53は、例えばロール状であってもよい。網部53の左端部は左枠21に接続されており、網部53の右端部は可動框55に接続されている。
【0025】
図8に示すように、開口Op内において、下枠24の上面には、左右方向L,Rに延在する網戸下レール245が設けられている。また、図11に示すように、開口Op内において、上枠22の下面には、左右方向L,Rに延在する網戸上レール225が設けられている。
【0026】
網部53の上端部は、上ランナ55aを介して網戸上レール225に係合している。網部53の下端部は、下ランナ55bを介して網戸下レール245に係合している。これらによって、可動框55は、枠体2に対して左右方向L,Rにスライド可能に構成されている。
【0027】
図7に示すように、可動框55が左方Lにスライドすると、網部53が折り畳まれる。他方、可動框55が右方Rにスライドすると、網部53が広げられる。これによって、網戸5は、開口Opを開閉自在に構成されている。
【0028】
以下、図7に示すように、可動框55を最大限左方Lにスライドさせて開口Opを最大限開くことを、「網戸5を全開する」といい、全開した状態を「全開状態5A」という。また、図8に示すように、可動框55を最大限右方Rにスライドさせて開口Opを最大限閉じることを、「網戸5を全閉する」といい、全閉した状態を「全閉状態5B」という。
【0029】
図4に示すように、左枠21は、当該左枠21の本体部分における室内方向I側の端部から右方Rに突出する網戸カバー215を含む。その網戸カバー215は、網戸5が全開状態5Aの時に、網戸5を室内側から覆う。そのことから、この時、網部53は、左枠21と可動框55とによって囲まれる領域に収納される。また、図6に示すように、右枠25にも、網戸カバー215と同様のカバー255が取り付けられている。
【0030】
次に、本実施形態で解決すべき3つの課題およびその解決手段について説明する。
【0031】
まず、第1の課題およびその解決手段について説明する。本実施形態では、図1に示すFIX窓7のガラスパネル73の上下方向の寸法が3m以上であり、通常に比べて大きい。そのことから、ガラスパネル73の重量が大きくなりがちであり、枠体2にガラスパネル73を嵌め込む作業が困難である。
【0032】
この第1の課題を解決するために、本実施形態では、図17に示す仮置き部材9を用意している。なお、「仮置き部材」は、「ガラスパネル仮置き部材」と読み替えてもよい。図16に示すように、仮置き部材9は、枠体2にガラスパネル73を嵌め込む作業時にガラスパネル73を仮置きするための部材である。図17に示すように、仮置き部材9は、係合部92と仮置き面97と被係合部98とを備える。
【0033】
係合部92は、係合凸部93とレール係合溝94とを含む。係合凸部93は、仮置き部材9における室外方向O側の端部から下方に突出する突条であって、左右方向L,Rに延在している。下枠24における障子レール244よりも室外方向O側に位置する部分には、下方に凹むと共に左右方向L,Rに延在するレール脇溝243が設けられている。係合凸部93は、そのレール脇溝243に上側から係合可能に構成されている。レール係合溝94は、上方に向けて凹む溝であって、係合凸部93よりも室内方向I側において左右方向L,Rに延在しており、障子レール244に上側から係合可能に構成されている。以上のことから、係合部92は、下枠24に上側から係合可能に構成されている。
【0034】
図16に示すように、仮置き面97は、仮置き部材9の上面に設けられている。仮置き面97は、下枠24に係合部92を係合させた状態において、面直方向を上方に向ける。そのことから、仮置き面97は、当該状態において、ガラスパネル73を上側から仮置き可能に構成されている。仮置き部材9は、PVCなどの合成樹脂、ゴム、木材などであって、ガラスパネル73よりも軟質である。なお、仮置き部材9は、ガラスパネル73毎に設けられた左右方向L,Rに連続する一部材であってもよいし、左右方向L,Rに分割されたピースであってもよい。
【0035】
次に、実際にガラスパネル73を枠体2に嵌め込むガラスパネル嵌込み方法について説明する。当該方法では、まず、図17に示すように、係合凸部93をレール脇溝243に係合させると共に、レール係合溝94を障子レール244に係合させる。これによって、仮置き部材9を、下枠24におけるパネル設置溝27の室外方向O側に取り付ける。
【0036】
その後、図16に示すように、パネルアタッチメント74をパネル設置溝27内に設置した状態において、当該図16に2点鎖線で示すように、仮置き面97の上に、ガラスパネル73を仮置きにする。このとき、ガラスパネル73の左右方向L,Rの両端部を、当該ガラスパネル73を取り付ける矩形環状部の縦辺部に当接させて、ガラスパネル73を立て掛ける。
【0037】
その状態から、図16に矢印で示すように、ガラスパネル73を持ち上げて上方にスライドさせると共に、ガラスパネル73の下部を室内方向I側に移動させる。それによって、図16に実線で示すように、ガラスパネル73の上端部をパネル設置溝27の上端部に嵌めると共に、ガラスパネル73の下端部をパネル設置溝27の下端部に嵌める。その後、図18に示すように、パネル設置溝27におけるガラスパネル73よりも室外方向O側に位置する部分に、押縁72を取り付ける。これによって、ガラスパネル73をパネル設置溝27に固定する。以上によって、枠体2に対するガラスパネル73の嵌め込み作業が完了する。
【0038】
その後、図3に示す最左のFIX窓7L以外のFIX窓7においては、図18に示すように、そのFIX窓7の室外方向O側にある仮置き部材9の上に、デッキアタッチメント8を取り付ける。そのデッキアタッチメント8に対してウッドデッキなどのデッキDを取り付ける。図3に示すように、デッキDは、左右方向L,Rに延在する部材である。
【0039】
図18に示すように、デッキアタッチメント8は、下端部に係合部89を有する。その係合部89は、下方に突出する係合突起である。より具体的には、このデッキアタッチメント8の係合部89は、左右方向L,Rに延在する突条であってもよいし、左右方向L,Rに並設された複数本の突起であってもよい。仮置き部材9の被係合部98は、このデッキアタッチメント8の係合部89に係合可能に構成された凹部である。
【0040】
つまり、デッキDを取り付ける際には、まず、デッキアタッチメント8の係合部89を仮置き部材9の被係合部98に係合させることによって、デッキアタッチメント8を仮置き部材9の上に取り付ける。これによって、デッキアタッチメント8の上面と、押縁72の上面とが、同一平面上に位置する。次に、デッキアタッチメント8を下枠24に対して固定すると共に、デッキアタッチメント8よりも室外方向O側に、デッキDを、デッキアタッチメント8の上面とデッキDの上面とが押縁72の上面とが同一平面上に位置するように設置する。なお、このとき、デッキDは、例えば枠体2に対して取り付けてもよいし、デッキアタッチメント8に対して取り付けてもよいし、枠体2およびデッキアタッチメント8の両方に対して取り付けてもよい。以上によって、デッキDとガラスパネル73との間にデッキアタッチメント8が設置される。
【0041】
他方、図3に示す最左のFIX窓7Lにおいては、そのFIX窓7Lの室外方向O側にデッキアタッチメント8を設置することなく、図16に示す仮置き部材9を下枠24から取り外す。図8に示すように障子4を開いた際に、障子4が仮置き部材9に干渉するのを、回避するためである。
【0042】
次に、第2の課題およびその解決手段について説明する。以下、図1に示す左枠21と左框41と右框45と方立23とを、まとめて「縦辺部」という。縦辺部は強度上、金属製が好ましいが、断熱性能が悪いという欠点がある。他方、これを解決するために、単に縦辺部の室内側などを樹脂製の部材で覆う構造にしたのでは、折角の大きくて高級感のある建具1から、高級感や美観や質感が損なわれてしまう。
【0043】
図4に示す障子4の左框41において、上記第2の課題を解決するために、左框41は、左框金属部411と左框樹脂部412と左框カバー413とを含む。なお、「左框」は、「戸先框」と読み替えてもよい。また、「左框金属部」「左框樹脂部」「左框カバー」は、それぞれ「戸先框金属部」「戸先框樹脂部」「戸先框カバー」と読み替えてもよいし、それぞれ「縦辺金属部」「縦辺樹脂部」「縦辺カバー」と読み替えてもよい。
【0044】
左框金属部411と左框樹脂部412と左框カバー413とは、いずれも左框41の上端部から下端部にまで上下方向に延在している。そのことから、これら左框金属部411と左框樹脂部412と左框カバー413との上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。
【0045】
左框金属部411は、アルミニウム製などの金属製であって、右端部に室内方向Iに突出すると共に上下方向に延在する突条411dを備える。
【0046】
左框樹脂部412は、樹脂製であって、左框金属部411に沿って設けられている。左框樹脂部412は、第1部412cと第2部412dとを備える。第2部412dは、上面視において環状の形状をしており、障子4のガラスパネル43の左端部を室内側から覆うと共に、左框金属部の突条411dを右側から覆っている。この第2部412dは、ネジScによって、左框金属部の突条411dに螺着されている。左框樹脂部の第1部412cは、左框樹脂部の第2部412dにおける室内方向I側の端部から左方Lに突出しており、左框金属部の突条411dを、室内方向I側から覆っている。
【0047】
左框カバー413は、アルミニウム製などの金属製であって、左框樹脂部412に沿って設けられている。左框カバー413は、カバー左部413bとカバー正面部413cとカバー右部413dとを備える。カバー正面部413cは、上面視において左右方向L,Rに延在しており、左框樹脂部の第1部412cおよび第2部412dを室内側から覆っている。
【0048】
カバー左部413bは、カバー正面部413cの左端部から室外方向Oに延在しており、左框樹脂部の第1部412cの左端部を左側から覆っている。カバー右部413dは、カバー正面部413cの右端部から室外方向Oに延在しており、左框樹脂部の第2部412dの右端部を右側から覆っている。カバー右部413dには、障子4を開閉するためのハンドル417が取り付けられている。左框カバー413は、左框樹脂部412に嵌合することによって、ネジなどを用いることなく、左框樹脂部412に対して固定されている。
【0049】
図4に示すように、障子4を全閉位置4Bに配すると共に網戸5を全開状態5Aにした状態において、左框カバーのカバー右部413dの右端面413sと、可動框55の右端面55sとが、同一平面上に位置する。つまり、左框カバー413である戸先框カバーにおける戸尻側の見込み面と、網戸5における障子4の戸尻側の見込み面とが、同一平面上に位置する。
【0050】
図5に示す障子4の右框45において、上記第2の課題を解決するために、右框45は、右框金属部453と右框樹脂部452と右框カバー451とを含む。なお、「右框」は、「戸尻框」と読み替えてもよい。また、「右框金属部」「右框樹脂部」「右框カバー」は、それぞれ「戸尻框金属部」「戸尻框樹脂部」「戸尻框カバー」と読み替えてもよいし、それぞれ「縦辺金属部」「縦辺樹脂部」「縦辺カバー」と読み替えてもよい。
【0051】
右框カバー451と右框樹脂部452と右框金属部453とは、いずれも右框45の上端部から下端部にまで上下方向に延在している。そのことから、これら右框カバー451と右框樹脂部452と右框金属部453との上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。
【0052】
右框金属部453は、アルミニウム製などの金属製であって、右端部に室内方向Iに突出すると共に上下方向に延在する突条453dを備える。その突条453dにおける室内方向I側の端部には、左方に突出すると共に上下方向に延在する返し部453cが形成されている。
【0053】
右框樹脂部452は、樹脂製であって、右框金属部453に沿って設けられている。右框樹脂部452は、第1部452aと第2部452bと第3部452cと第4部452dと第5部452eと第6部452fとを備える。
【0054】
右框樹脂部の第2部452bは、平面視において環状形状をしており、障子4のガラスパネル43の右端部を室内側から覆っている。右框樹脂部の第1部452aは、右框樹脂部の第2部452bから、見込み方向O,Iに間隔を置いて左方Lに突出してすると共に、上下方向に延在する一対の突条状の形状をしている。そのことから、この第1部452aは、見込み方向O,I内側に撓み可能に構成されている。右框樹脂部の第3部452cは、右框樹脂部の第2部452bにおける室内方向I側の端部から右方Rに突出しており、右框金属部453における突条453dよりも左方Lに位置する部分を室内側から覆っている。
【0055】
右框樹脂部の第4部452dは、右框樹脂部の第3部452cの右端部から室内方向Iに突出しており、右框金属部の突条453dを左側から覆っている。この第4部452dは、ネジScによって、右框金属部の突条453dに螺着されている。右框樹脂部の第5部452eは、右框樹脂部の第4部452dにおける室内方向I側の端部から左方Lに突出しており、右框金属部の返し部453cを室外側から覆っている。右框樹脂部の第6部452fは、右框樹脂部の第5部452eの左端部から室内方向Iに突出しており、右框金属部の返し部453cの左端部を左側から覆っている。
【0056】
右框カバー451は、アルミニウム製などの金属製であって、右框樹脂部452の左端部に沿って設けられている。右框カバー451は、上面視において、右方Rに向けて開口した形状をしている。右框カバー451は、右框樹脂部452の第1部452aに左側から嵌合することによって、ネジなどを用いることなく、右框樹脂部452に対して固定されている。
【0057】
図5に示すように、障子4を全閉位置4Bに配したした状態において、右框カバー451の左端面451sと、最左の方立23Lにおける後述する方立金属部231の突条231aの左端面231sとが、同一平面上に位置する。つまり、右框カバー451である戸尻框カバーにおける戸先側の見込み面と、枠体2の縦辺部である最左の方立23Lにおける戸先側の見込み面とが、同一平面上に位置する。
【0058】
図5に示す最左の方立23Lにおいて、上記第2の課題を解決するために、最左の方立23Lは、方立金属部231と方立樹脂部232と方立カバー233とを含む。なお、「最左の方立」は、「戸尻枠」と読み替えてもよい。また、「方立金属部」「方立樹脂部」「方立カバー」は、それぞれ「戸尻枠金属部」「戸尻枠樹脂部」「戸尻枠カバー」と読み替えてもよいし、それぞれ「縦辺金属部」「縦辺樹脂部」「縦辺カバー」と読み替えてもよい。
【0059】
方立金属部231と方立樹脂部232と方立カバー233とは、いずれも最左の方立23Lの上端部から下端部にまで上下方向に延在している。そのことから、これら方立金属部231と方立樹脂部232と方立カバー233との上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。
【0060】
方立金属部231は、アルミニウム製などの金属製であって、左端部に室外方向Oに突出すると共に上下方向に延在する突条231aを備える。その突条231aにおける室外方向O側の端部には、右方Rに突出すると共に上下方向に延在する返し部231bが形成されている。
【0061】
方立樹脂部232は、樹脂製であって、方立金属部231に沿って設けられている。方立樹脂部232は、第1部232aと第2部232bと第3部232cと第4部232dと第5部232eと第6部232fとを備える。
【0062】
方立樹脂部の第5部232eは、平面視において環状形状をしており、最左のFIX窓7Lのガラスパネル73の左端部を室外側から覆っている。方立樹脂部の第6部232fは、方立樹脂部の第5部232eから、見込み方向O,Iに間隔を置いて右方Rに突出してすると共に、上下方向に延在する一対の突条状の形状をしている。そのことから、この第6部232fは、見込み方向O,I内側に撓み可能に構成されている。方立樹脂部の第4部232dは、方立樹脂部の第5部232eの室外方向O側の端部から左方Lに突出しており、方立金属部231における突条231aよりも右方Rに位置する部分を室外側から覆っている。
【0063】
方立樹脂部の第3部232cは、方立樹脂部の第4部232dの左端部から室外方向Oに突出しており、方立金属部の突条231aを右側から覆っている。この第3部232cは、ネジScによって、方立金属部の突条231aに螺着されている。方立樹脂部の第2部232bは、方立樹脂部の第3部232cにおける室外方向O側の端部から右方Rに突出しており、方立金属部の返し部231bを室内側から覆っている。方立樹脂部の第1部232aは、方立樹脂部の第2部232bの右端部から室外方向Oに突出しており、方立樹脂部の返し部231bの右端部を右側から覆っている。
【0064】
方立カバー233は、アルミニウム製などの金属製であって、方立樹脂部232の右端部に沿って設けられている。方立カバー233は、上面視において、左方Lに向けて開口した形状をしている。方立カバー233は、方立樹脂部232の第6部232fに右側から嵌合することによって、ネジなどを用いることなく、方立樹脂部232に対して固定されている。
【0065】
図5に示すように、障子4を全閉位置4Bに配した状態において、右框金属部の突条453dの右端面453sと、方立カバー233の右端面233sとが、同一平面上に位置する。つまり、障子4における戸尻側の見込み面と、方立カバー233である戸尻枠カバーにおける戸尻側の見込み面とが、同一平面上に位置する。
【0066】
次に、第3の課題およびその解決手段について説明する。図2に示す網戸5や枠体2に、反りや捻じれなどの歪が生じると、可動框55と最左の方立23Lとが、本来あるべき平行な状態から若干ずれてしまう。この場合には、図10に示すように、網戸5の全閉状態5Bにおいて、可動框55の右端部と最左の方立23Lの左端部との間に隙間Gができてしまう。特に、本実施形態では、図2に示す網戸5の上下方向の寸法が3m以上である。そのことから、このような隙間Gができるといった問題が、特に顕著に起こり易い。
【0067】
他方、図2に示す可動框55の右端部や最左の方立23Lの左端部に、当該隙間Gを無くすためのフィンを設けた場合には、折角の大きくて高級感のある開閉窓3から、高級感や美観が損なわれてしまう。
【0068】
この第3の課題を解決するために、図13に示すように、最左の方立23Lに第1マグネット235が取り付けられる共に、可動框55に可動ユニット6が取り付けられている。なお、「最左の方立」は、「枠体所定辺部」と読み替えてもよいし、「第1辺部」と読み替えてもよい。また、「可動框」は、「開閉体所定辺部」と読み替えてもよいし、「第2辺部」と読み替えてもよい。また、「左枠」は、「対向辺部」と読み替えてもよい。
【0069】
図13に示す第1マグネット235は、最左の方立23L内において、最左の方立23Lの上端部から下端部にまで上下方向に延在している。
【0070】
図9に示す可動框55は、上下方向に延在すると共に右方Rに開口する収納部552を有する。可動ユニット6は、その収納部552に左右方向L,Rに移動可能に収納されることによって、可動框55に対して左右方向L,Rに相対移動可能に取り付けられている。なお、「左右方向L,R」は、「最左の方立23Lに遠近する方向」と読み替えてもよい。
【0071】
図13に示すように、可動ユニット6は、筐体61と、筐体61に取り付けられた第2マグネット62とを含む。筐体61および第2マグネット62は、いずれも可動框55の上端部から下端部にまで上下方向に延在している。そのことから、これら筐体61および第2マグネット62の上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。よって、これらを含む可動ユニット6の上下方向の寸法は、3m以上である。
【0072】
図12に示すように、可動框55の上端部には、上側係合部556が設けられており、可動ユニットの筐体61の上端部には、下側係合部616が設けられている。上側係合部556には、紐状の吊下具56の上端部が係合している。下側係合部616には、当該吊下具56の下端部が係合している。そのことから、可動ユニット6は、吊下具56によって、可動框55の上端部から吊り下げられている。そのため、可動ユニット6の下端部は、宙に浮いている。そのことから、図10に示す収納部552内で可動ユニット6が左右方向L,Rに移動する際の摩擦が低減される。
【0073】
この図10に示すように、第2マグネット62は、第1マグネット235と引き付け合う。つまり、第1マグネット235と第2マグネット62とは、互いにN極とS極とを向かい合わせにして設置されている。
【0074】
図9に示すように、可動框55の内部における可動ユニット6よりも左方L側に位置する部分には、磁性体551が設置されている。磁性体551は、たとえばスチールなどの金物であってもよいし、第1マグネット235よりも弱く第2マグネット62と引き付け合う磁石であってもよい。
【0075】
図10に示すように、可動框55を右方Rに移動させて網戸5を全閉状態5Bにすると、第2マグネット62の磁力で可動ユニット6が第1マグネット235に引き寄せられて、可動框55から可動ユニット6が右方Rに向けて突出する。それによって、可動ユニット6の右端面が最左の方立23Lの左端面に当接する。それによって、可動框55の右端面と最左の方立23Lの左端面との間の隙間Gが、可動ユニット6によって埋まる。なお、このとき、図13に示すように、吊下具56の吊下方向は、鉛直方向に対して、右方R側に若干傾く。
【0076】
他方、図10に示す網戸5の全閉状態5Bから、図9に示すように、可動框55を左方Lにスライドさせると、第2マグネット62の磁力で可動ユニット6が磁性体551に引き寄せられて、可動ユニット6が左方Lに向けて、つまり可動ユニット6の内部に向けて退入する。そして、可動ユニット6が最大限左方Lに退入した状態において、可動ユニット6の筐体61の右端面61sと、可動框55の右端面55sとは、同一平面上に位置する。なお、ここでいう「可動ユニット6の筐体61の右端面61s」は、「可動ユニット6における第1辺部側の端面」と読み替えてもよい。また、ここでいう「可動框55の右端面55s」は、「第2辺部における第1辺部側の端面」と読み替えてもよい。
【0077】
以下に本実施形態の構成および効果をまとめる。
【0078】
上記第1の課題の通り、図1に示すFIX窓7のガラスパネル73の上下方向の寸法が大きい場合には、枠体2にガラスパネル73を嵌め込む作業が困難になりがちである。その点、本実施形態では、図16に示すように、枠体2に対してガラスパネル73の嵌め込む作業時には、まず、図17に示すように、下枠24に仮置き部材9の係合部92を係合させることによって、下枠24に仮置き部材9を設置する。その後、図16に2点鎖線で示すように、仮置き部材9の仮置き面97の上にガラスパネル73を仮置きしてから、枠体2にガラスパネル73を嵌め込む。そのため、ガラスパネル73を一気に枠体2に嵌め込む場合に比べて、作業者は楽にガラスパネル73を枠体2に嵌め込むことができる。
【0079】
より詳細には、係合部92を下枠24に係合させた状態において、仮置き面97の面直方向は上方を向く。そのため、仮置き面97の上にガラスパネル73を仮置きし易い。また、仮置き部材は、ガラスパネル73よりも軟質である。そのため、仮置きの際に、ガラスパネル73を傷つけてしまう心配もない。
【0080】
図3に示す最左のFIX窓7L以外のFIX窓7においては、枠体2にガラスパネル73を嵌め込んだ後に、図18に示すデッキアタッチメント8の係合部89を、仮置き部材9の被係合部98に係合させる。それによって、仮置き部材9の上にデッキアタッチメント8を取り付ける。そのデッキアタッチメント8よりも室外側にデッキDを設置する。そのため、仮置き部材9を、そのまま有効利用して、下枠24にデッキアタッチメント8を取り付けることができる。
【0081】
しかも、図18に示すように、デッキアタッチメント8の上面とデッキDの上面とが同一平面上に位置するように、デッキアタッチメント8に対してデッキDを取り付ける。それによって、デッキDの見栄えを良くすることができる。
【0082】
他方、図3に示す最左のFIX窓7Lにおいては、枠体2にガラスパネル73を嵌め込んだ後に、図16に示す仮置き部材9を下枠24から取り外す。そのため、図8に示すように障子4を開いた際に、障子4が仮置き部材9と干渉してしまう心配がない。
【0083】
上記第2の課題に記載の通り、枠体2の縦辺部は強度上、金属製が好ましいが、断熱性能が悪いという欠点がある。その点、本実施形態では、図4に示すように、障子4の左框41は、金属製の左框金属部411に沿って上下方向に延在する左框樹脂部412を含む。また、図5に示すように、障子4の右框45は、金属製の右框金属部453に沿って上下方向に延在する右框樹脂部452を含む。また、最左の方立23Lは、金属製の方立金属部231に沿って上下方向に延在する方立樹脂部232を含む。そのため、これら左框41と右框45と最左の方立23Lとでの断熱性を向上させることができる。
【0084】
上記第2の課題に記載の通り、単に縦辺部の室内側などを樹脂製の部材で覆う構造にしたのでは、折角の大きくて高級感のある建具1から、高級感や美観や質感が損なわれてしまう。その点、本実施形態では、図4に示すように、障子4の左框41は、左框樹脂部412に沿って上下方向に延在すると共に左框樹脂部412を覆う金属製の左框カバー413を含む。図5に示すように、障子4の右框45は、右框樹脂部452に沿って上下方向に延在すると共に右框樹脂部452を覆う金属製の右框カバー451を含む。最左の方立23Lは、方立樹脂部232に沿って上下方向に延在すると共に方立樹脂部232を覆う金属製の方立カバー233を含む。それらのことから、左框樹脂部412や右框樹脂部452や方立樹脂部232が露出して、開閉窓3の高級感や美観や質感が損なわれてしまうのを抑制できる。
【0085】
具体的には、図4に示すように、左框カバー413は、左框金属部の突条411dよりも右側を含む範囲に設けられている左框樹脂部412の右端部を右側から覆う。図5に示すように、右框カバー451は、右框金属部の突条453dよりも左側を含む範囲に設けられている右框樹脂部452の左端部を左側から覆う。方立カバー233は、方立金属部の突条231aよりも右側を含む範囲に設けられている方立樹脂部232の右端部を右側から覆う。
【0086】
それらのことから、図4図5に示すように、障子4を全閉位置4Bに配した状態において、左框樹脂部412や右框樹脂部452や方立樹脂部232が、左右方向L,Rに露出して、開閉窓3の高級感や美観や質感が損なわれてしまうといった心配もない。また、左框樹脂部412や右框樹脂部452や方立樹脂部232が、露出しないことによって、それらの耐候性が向上する。さらに、金属製の左框カバー413や右框カバー451や方立カバー233が有ることによって、開閉窓3の縦辺部の強度が向上する。
【0087】
図4に示すように、障子4を全閉位置4Bに配し且つ網戸5を全開状態5Aにした状態において、左框カバーの右部413dの右端面413sと、可動框55の右端面55sとは、同一平面上に位置する。そのことから、開閉窓3における左辺部での美観や高級感を、より向上させることができる。
【0088】
図5に示すように、障子4を全閉位置4Bに配した状態において、右框カバー451の左端面451sと、方立金属部の突条231aの左端面231sとは、同一平面上に位置する。そのことから、開閉窓3における右辺部での美観や高級感を、より向上させることができる。
【0089】
図5に示すように、障子4を全閉位置4Bに配した状態において、右框金属部の突条453dの右端面453sと、方立カバー233の右端面233sとは、同一平面上に位置する。そのことからも、開閉窓3における右辺部での美観や高級感を、より向上させることができる。
【0090】
上記第3の課題に記載の通り、図2に示す網戸5の上下方向の寸法が大きい場合には、可動框55と最左の方立23Lとが、本来あるべき平行な状態からずれてしまい易い。そのことから、図10に示す網戸5の全閉状態5Bにおいて、可動框55の右端部と最左の方立23Lの左端部との間に隙間Gができてしまい易い。その点、本実施形態では、網戸5を全閉状態5Bにすると、第2マグネット62の磁力で可動ユニット6が第1マグネット235に引き寄せられて、可動框55から可動ユニット6が最左の方立23Lに向けて突出する。そのため、可動框55と最左の方立23Lとが平行な状態からずれている場合などにおいても、可動ユニット6によって、網戸5と最左の方立23Lとの間の隙間Gを無くして、網戸5をしっかりと閉じることができる。
【0091】
図13に示すように、可動ユニット6は、可動框55の上端部から吊り下げられることによって、可動框55に対して左右方向L,Rに相対移動可能に取り付けられている。それによって、可動框55に対して可動ユニット6が左右方向L,Rに相対移動する際の摩擦を、効率的に低減できる。しかも、可動ユニット6は、吊り下げられているため、鉛直方向に対する可動ユニット6の長手方向の角度を、簡単にシフトさせることができる。そのため、可動框55と最左の方立23Lとが平行な状態からずれている場合において、簡単に対応することができる。
【0092】
図9に示すように、可動框55の内部には磁性体551が取り付けられている。そのため、図10に示す網戸5の全閉状態5Bから、図9に示すように網戸5を開くと、第2マグネット62の磁力で可動ユニット6が磁性体551に引き寄せられて、可動ユニット6が左方Lに向けて、つまり可動框55の内部に向けて退入する。そのことから、網戸5を開いた際の美観や高級感を、向上させることができる。しかも、可動ユニット6が最大限左方Lに退入した状態において、可動ユニット6の右端面としての筐体61の右端面61sと、可動框55の右端面55sとは、同一平面上に位置する。そのことから、網戸5を開いた際の美観や高級感を、より向上させることができる。
【0093】
[他の実施形態形態]
以上の実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。
【0094】
図1に示す建具1の上下方向の寸法を、3m以下にしてもよい。ただし、その場合であっても、本実施形態の効果を幾らか顕著に発揮できる点で、2m以上であることが好ましく、2.5m以上であることがより好ましい。
【0095】
図3に示す最左のFIX窓7のみならず、全てのFIX窓7において、ガラスパネル73を枠体2に取り付けた後に、図16に示す仮置き部材9を下枠24から取り外すようにしてもよい。
【0096】
図10に示す可動ユニット6と第1マグネット235との位置を入れ替えてもよい。つまり、可動ユニット6を、可動框55にではなく最左の方立23Lに設けて、第1マグネット235を、可動框55に設けてもよい。
【0097】
図2に示す網戸5を上開きにして、下枠24と網戸5の下辺部とのうちの一方としての第1辺部に第1マグネット235を取り付け、下枠24と網戸5の下辺部とのうちの他方としての第2辺部に、左右方向L,Rに延在する可動ユニット6を上下方向に相対移動可能に取り付けてもよい。
【0098】
なお、図10に示すように、可動ユニット6と第1マグネット235とによって、開閉体をしっかりと閉じる構成は、開閉体が網戸5である場合に限定されず、開閉体が障子や扉などである場合にも応用できる。
【符号の説明】
【0099】
2…枠体、24…下枠、7…FIX窓(窓)、73…ガラスパネル、8…デッキアタッチメント、9…仮置き部材(ガラスパネル仮置き部材)、92…係合部、97…仮置き面、98…被係合部、D…デッキ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18