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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172586
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20241205BHJP
   E06B 3/32 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
E06B9/52 P
E06B9/52 A
E06B3/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090386
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(71)【出願人】
【識別番号】000107930
【氏名又は名称】セイキ販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】平川 真也
(72)【発明者】
【氏名】石井 大佳之
(72)【発明者】
【氏名】水本 義則
(72)【発明者】
【氏名】筒井 徹
(72)【発明者】
【氏名】節 世名
(72)【発明者】
【氏名】橋間 康祐
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014CA03
2E014CC01
2E014CD04
(57)【要約】
【課題】建具の開閉体を全閉した状態において開閉体と枠体との間に隙間が発生するのを抑制する。
【解決手段】建具は、枠体と、枠体の開口を開閉する開閉体と、を備える。開閉体を全閉すると、開閉体の所定辺部としての開閉体所定辺部が、枠体の所定辺部としての枠体所定辺部に隣接する。枠体所定辺部および開閉体所定辺部のうちの一方としての第1辺部には、第1マグネットが取り付けられている。他方としての第2辺部には、第2辺部の辺長方向に延在しており、第2辺部の上端部からボールチェーンによって吊り下げられることによって、第2辺部に対して、第1辺部に遠近する方向に相対移動する可動ユニットが取り付けられている。可動ユニットは、第1マグネットと引き付け合う第2マグネットを含む。開閉体を全閉すると、第2マグネットの磁力で可動ユニットが第1マグネットに引き寄せられて、第2辺部から可動ユニットが第1辺部に向けて突出する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に開口が形成されている枠体と、前記開口を開閉自在に構成されている開閉体と、を備え、
前記開閉体を全閉すると、前記開閉体の所定辺部としての開閉体所定辺部が、前記枠体の所定辺部としての枠体所定辺部に隣接する建具であって、
前記枠体所定辺部および前記開閉体所定辺部のうちの一方としての第1辺部に取り付けられている第1マグネットと、
前記枠体所定辺部および前記開閉体所定辺部のうちの他方としての第2辺部の辺長方向に延在しており、前記第2辺部の上端部からボールチェーンによって吊り下げられることによって、前記第2辺部に対して、前記第1辺部に遠近する方向に相対移動可能に取り付けられている可動ユニットと、を備え、
前記可動ユニットは、前記第1マグネットと引き付け合う第2マグネットを含み、
前記開閉体を全閉すると、前記第2マグネットの磁力で前記可動ユニットが前記第1マグネットに引き寄せられて、前記第2辺部から前記可動ユニットが前記第1辺部に向けて突出する、
建具。
【請求項2】
前記第2辺部の内部には磁性体が取り付けられており、
前記開閉体を全閉した状態から開くと、前記第2マグネットの磁力で前記可動ユニットが前記磁性体に引き寄せられて、前記可動ユニットが前記第2辺部の内部に向けて退入する、
請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記可動ユニットが前記第2辺部の内部に最大限退入した状態において、前記可動ユニットにおける前記第1辺部側の端面と、前記第2辺部における前記第1辺部側の端面とは、同一平面上に位置する、
請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記開閉体は、網戸である、
請求項1又は2に記載の建具。
【請求項5】
前記網戸は、前記開閉体所定辺部としての可動框と、前記枠体における前記枠体所定辺部に対向する辺部としての対向辺部と前記可動框とによって囲まれる領域に収納可能に構成された網部と、を含み、
前記可動框は、前記枠体所定辺部に遠近する方向にスライド可能に構成されており、
前記網部の一端部は、前記可動框に接続されており、前記網部の他端部は、前記対向辺部に接続されている、
請求項4に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の中には、内周側に開口が形成されている枠体と、開口を開閉自在に構成された開閉体と、を備えるものがある。その開閉体として網戸を備える建具の中には、枠体における網戸の戸先側の辺部に第1マグネットを備えると共に、網戸における戸先側の辺部に第2マグネットを備えるものがある。この場合、網戸を全閉すると、枠体の第1マグネットに、網戸の第2マグネットが引き寄せられることによって、網戸がしっかりと閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-46078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本開示者らは、このような建具において、以下に示すも問題がある点に着目した。枠体や網戸に、反りや捻じれなどの歪が生じると、枠体における網戸の戸先側の辺部と、網戸における戸先側の辺部とが、本来あるべき平行な状態から若干ずれてしまう。この場合には、上記のようにマグネットを設けても、網戸を全閉した状態において、枠体と網戸との間に隙間ができてしまう。そして、このような問題は、網戸の上下方向の寸法が例えば3m以上などと大きい場合に、特に顕著に起こり得る。
【0005】
他方、網戸における戸先側の辺部や、枠体における網戸の戸先側の辺部に、当該隙間を無くすためのフィンを設けた場合には、建具の高級感や美観が損なわれてしまう。
【0006】
同様の問題は、建具の開閉体が網戸以外である場合においても、起こり得る。さらに、同様の問題は、開閉体が横開きである場合のみならず、上下開きや、回動開きである場合においても、起こり得る。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建具の開閉体を全閉した状態において開閉体と枠体との間に隙間が発生するのを、フィン以外の手段によって抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の建具は、
内周側に開口が形成されている枠体と、前記開口を開閉自在に構成されている開閉体と、を備え、
前記開閉体を全閉すると、前記開閉体の所定辺部としての開閉体所定辺部が、前記枠体の所定辺部としての枠体所定辺部に隣接する建具であって、
前記枠体所定辺部および前記開閉体所定辺部のうちの一方としての第1辺部に取り付けられている第1マグネットと、
前記枠体所定辺部および前記開閉体所定辺部のうちの他方としての第2辺部の辺長方向に延在しており、前記第2辺部の上端部から吊り下げられることによって、前記第2辺部に対して、前記第1辺部に遠近する方向に相対移動可能に取り付けられている可動ユニットと、を備え、
前記可動ユニットは、前記第1マグネットと引き付け合う第2マグネットを含み、
前記開閉体を全閉すると、前記第2マグネットの磁力で前記可動ユニットが前記第1マグネットに引き寄せられて、前記第2辺部から前記可動ユニットが前記第1辺部に向けて突出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の建具を室内側から見た図である。
図2図1の状態から障子を開けて網戸を閉めた状態を示す図である。
図3図1のIII-III線の断面を示す図である。
図4】左枠およびその周辺を示す平面断面図である。
図5】開閉窓を示す平面断面図であり、具体的には図3の左部を拡大した図である。
図6図5の状態から障子を開けて網戸を閉めた状態を示す図であり、具体的には、図2のVIII-VIII線の断面を示す図である。
図7】網戸を全閉する直前の網戸の右端部を示す平面断面図である。
図8】網戸の全閉状態を示す平面断面図であり、具体的には、図6の右端部を拡大した図である。
図9】網戸を示す左断面図であり、具体的には、図2のIX-IX線の断面を示す図である。
図10】全開状態の網戸の右上端部を示す正面断面図であり、具体的には、図4のX-X線の断面の一部を示す図である。
図11】全閉状態の網戸の右上端部を示す断面斜視図である。
図12】障子を示す左断面図であり、具体的には、図1のXII-XII線の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱ない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0011】
[第1実施形態]
図1に示す本実施形態の建具1は、所定の部屋の内側としての室内と、当該部屋の外側としての室外と、を仕切っている。以下、図3に示すように、室内から室外に向かう方向を「室外方向O」といい、その反対方向を「室内方向I」という。また、室外方向Oと室内方向Iとを、まとめて「見込み方向O,I」という。また、図1に示すように、室内から室外方向Oに見たものを「正面視」といい、正面視での左側を「左」といい、正面視での右側を「右」という。ただし、本実施形態は、以下とは左右反対に実施してもよい。なお、以下でいう「左右方向」は、「見付け方向」と読み替えてもよい。
【0012】
図1に示すように、建具1は、左端部に開閉窓3を備えると共に、開閉窓3よりも右側に複数のFIX窓7を左右方向L,Rに並べて備える。図ではFIX窓7は3枚であるが、2枚であっても、4枚以上であってもよい。開閉窓3および複数のFIX窓7の上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。
【0013】
建具1は、開閉窓3と複数のFIX窓7とを跨ぐ範囲に枠体2を備える。枠体2は、アルミニウムなどの金属を主体に構成されている。枠体2は、左枠21と上枠22と複数の方立23と下枠24と右枠25とを有する。方立23の数は、FIX窓7の数と同数である。左枠21と複数の方立23と右枠25とは、この順に左から右に並設されている。左枠21と複数の方立23と右枠25とは、それぞれ上下方向に延在している。上枠22および下枠24は、それぞれ左右方向L,Rに延在している。左枠21と複数の方立23と右枠25との各上端部は、上枠22に接続されている。左枠21と複数の方立23と右枠25との各下端部は、下枠24に接続されている。
【0014】
次に、図1に示す複数のFIX窓7について説明する。以下、最も左側の方立23を、「最左の方立23L」といい、最も左側のFIX窓7を「最左のFIX窓7L」という。複数の各FIX窓7は、最左の方立23Lの左端よりも右方R側に設けられている。各FIX窓7は、1枚のガラスパネル73と、枠体2における当該ガラスパネル73の周辺に位置する矩形環状部とを含む。つまり、例えば、最左のFIX窓7Lは、最左の方立23Lと、上枠22と、下枠24と、左から2番目の方立23とを含むと共に、それらの内周側に取り付けられているガラスパネル73を含む。
【0015】
次に、図1に示す開閉窓3について説明する。開閉窓3は、枠体2における最左の方立23Lの右端よりも左方Lに位置する部分と、障子4と、網戸5と、を含む。つまり、開閉窓3は、左枠21と上枠22と下枠24と最左の方立23Lとからなる矩形環状部を含む共に、障子4と網戸5を含む。なお、「障子4」および「網戸5」は、それぞれ「開閉体」と読み替えてもよい。以下、左枠21と上枠22と下枠24と最左の方立23Lとによって囲まれている部分を、開口Opという。
【0016】
図5図6に示すように、障子4は、開口Opと最左のFIX窓7Lとを含む範囲の室外方向O側において、左右方向L,Rにスライド可能に設けられている。これによって、障子4は、枠体2の室外側寄りにおいて、開口Opを開閉自在に構成されている。
【0017】
以下、図6に示すように、障子4を最大限右方Rにスライドさせて開口Opを最大限開くことを「障子4を全開する」といい、全開した時の位置を「全開位置4A」という。また、図5に示すように、障子4を最大限左方Lにスライドさせて開口Opを最大限閉じることを「障子4を全閉する」といい、全閉した時の位置を「全閉位置4B」という。
【0018】
図1に示すように、障子4は、框40とガラスパネル43とを備える。框40は、正面視において矩形環状である。框40は、その矩形環状の左辺部としての左框41と、上辺部としての上框42と、下辺部としての下框44と、右辺部としての右框45と、を有する。ガラスパネル43は、框40の内周側に取り付けられている。
【0019】
図12に示すように、障子4のガラスパネル43は、外ガラス432と内ガラス434とスペーサ433とを有する。外ガラス432と内ガラス434とは、いずれも板状のガラスであって、それらの間にスペーサ433が介装されることによって、見込み方向O,Iに間隔を置いて設置されている。
【0020】
図6に示すように、下枠24の上面には、左右方向L,Rに延在する障子レール244が設けられている。また、図12に示すように、上枠22の下面には、上方に凹み左右方向L,Rに延在する障子ガイド溝224が設けられている。障子4の下框44には、障子レール244上を走行可能なローラ444が回転可能に取り付けられている。障子4の上端部が障子ガイド溝224に挿入されると共に、ローラ444が障子レール244の上に載置されることによって、障子4が枠体2に対して左右方向L,Rにスライド可能に取り付けられる。
【0021】
図6に示すように、網戸5は、開口Op内に設置されている。図2に示すように、網戸5は、網部53と可動框55とを有する。本実施形態では、網部53は、プリーツ状である。ただし、これに代えて、網部53は、例えばロール状であってもよい。網部53の左端部は左枠21に接続されており、網部53の右端部は可動框55に接続されている。
【0022】
図6に示すように、開口Op内において、下枠24の上面には、左右方向L,Rに延在する網戸下レール245が設けられている。また、図9に示すように、開口Op内において、上枠22の下面には、左右方向L,Rに延在する網戸上レール225が設けられている。
【0023】
網部53の上端部は、上ランナ55aを介して網戸上レール225に係合している。網部53の下端部は、下ランナ55bを介して網戸下レール245に係合している。これらによって、可動框55は、枠体2に対して左右方向L,Rにスライド可能に構成されている。
【0024】
図5に示すように、可動框55が左方Lにスライドすると、網部53が折り畳まれる。他方、可動框55が右方Rにスライドすると、網部53が広げられる。これによって、網戸5は、開口Opを開閉自在に構成されている。
【0025】
以下、図5に示すように、可動框55を最大限左方Lにスライドさせて開口Opを最大限開くことを、「網戸5を全開する」といい、全開した状態を「全開状態5A」という。また、図6に示すように、可動框55を最大限右方Rにスライドさせて開口Opを最大限閉じることを、「網戸5を全閉する」といい、全閉した状態を「全閉状態5B」という。
【0026】
図4に示すように、左枠21は、当該左枠21の本体部分における室内方向I側の端部から右方Rに突出する網戸カバー215を含む。その網戸カバー215は、網戸5が全開状態5Aの時に、網戸5を室内側から覆う。そのことから、この時、網部53は、左枠21と可動框55とによって囲まれる領域に収納される。
【0027】
次に、本実施形態で解決すべき課題およびその解決手段について説明する。図2に示す網戸5や枠体2に、反りや捻じれなどの歪が生じると、可動框55と最左の方立23Lとが、本来あるべき平行な状態から若干ずれてしまう。この場合には、図8に示すように、網戸5の全閉状態5Bにおいて、可動框55の右端部と最左の方立23Lの左端部との間に隙間Gができてしまう。特に、本実施形態では、図2に示す網戸5の上下方向の寸法が3m以上である。そのことから、このような隙間Gができるといった問題が、特に顕著に起こり易い。
【0028】
他方、図2に示す可動框55の右端部や最左の方立23Lの左端部に、当該隙間Gを無くすためのフィンを設けた場合には、折角の大きくて高級感のある開閉窓3から、高級感や美観が損なわれてしまう。
【0029】
この課題を解決するために、図11に示すように、最左の方立23Lに第1マグネット235が取り付けられる共に、可動框55に可動ユニット6が取り付けられている。なお、「最左の方立」は、「枠体所定辺部」と読み替えてもよいし、「第1辺部」と読み替えてもよい。また、「可動框」は、「開閉体所定辺部」と読み替えてもよいし、「第2辺部」と読み替えてもよい。また、「左枠」は、「対向辺部」と読み替えてもよい。
【0030】
図11に示す第1マグネット235は、最左の方立23L内において、最左の方立23Lの上端部から下端部にまで上下方向に延在している。
【0031】
図7に示す可動框55は、上下方向に延在すると共に右方Rに開口する収納部552を有する。可動ユニット6は、その収納部552に左右方向L,Rに移動可能に収納されることによって、可動框55に対して左右方向L,Rに相対移動可能に取り付けられている。なお、「左右方向L,R」は、「最左の方立23Lに遠近する方向」と読み替えてもよい。
【0032】
図11に示すように、可動ユニット6は、筐体61と、筐体61に取り付けられた第2マグネット62とを含む。筐体61および第2マグネット62は、いずれも可動框55の上端部から下端部にまで上下方向に延在している。そのことから、これら筐体61および第2マグネット62の上下方向の寸法は、いずれも3m以上である。よって、これらを含む可動ユニット6の上下方向の寸法は、3m以上である。
【0033】
図10に示すように、可動框55の上端部には、上側係合部556が設けられており、可動ユニットの筐体61の上端部には、下側係合部616が設けられている。上側係合部556には、ボールチェーン56の上端部が係合している。下側係合部616には、当該ボールチェーン56の下端部が係合している。そのことから、可動ユニット6は、ボールチェーン56によって、可動框55の上端部から吊り下げられている。そのため、可動ユニット6の下端部は、宙に浮いている。そのことから、図8に示す収納部552内で可動ユニット6が左右方向L,Rに移動する際の摩擦が低減される。
【0034】
この図8に示すように、第2マグネット62は、第1マグネット235と引き付け合う。つまり、第1マグネット235と第2マグネット62とは、互いにN極とS極とを向かい合わせにして設置されている。
【0035】
図7に示すように、可動框55の内部における可動ユニット6よりも左方L側に位置する部分には、磁性体551が設置されている。磁性体551は、たとえばスチールなどの金物であってもよいし、第1マグネット235よりも弱く第2マグネット62と引き付け合う磁石であってもよい。
【0036】
図8に示すように、可動框55を右方Rに移動させて網戸5を全閉状態5Bにすると、第2マグネット62の磁力で可動ユニット6が第1マグネット235に引き寄せられて、可動框55から可動ユニット6が右方Rに向けて突出する。それによって、可動ユニット6の右端面が最左の方立23Lの左端面に当接する。それによって、可動框55の右端面と最左の方立23Lの左端面との間の隙間Gが、可動ユニット6によって埋まる。なお、このとき、図11に示すように、ボールチェーン56の吊下方向は、鉛直方向に対して、右方R側に若干傾く。
【0037】
他方、図8に示す網戸5の全閉状態5Bから、図7に示すように、可動框55を左方Lにスライドさせると、第2マグネット62の磁力で可動ユニット6が磁性体551に引き寄せられて、可動ユニット6が左方Lに向けて、つまり可動ユニット6の内部に向けて退入する。そして、可動ユニット6が最大限左方Lに退入した状態において、可動ユニット6の筐体61の右端面61sと、可動框55の右端面55sとは、同一平面上に位置する。なお、ここでいう「可動ユニット6の筐体61の右端面61s」は、「可動ユニット6における第1辺部側の端面」と読み替えてもよい。また、ここでいう「可動框55の右端面55s」は、「第2辺部における第1辺部側の端面」と読み替えてもよい。
【0038】
以下に本実施形態の構成および効果をまとめる。
【0039】
図11に示すように、可動ユニット6は、可動框55の上端部から吊り下げられることによって、可動框55に対して左右方向L,Rに相対移動可能に取り付けられている。それによって、可動框55に対して可動ユニット6が左右方向L,Rに相対移動する際の摩擦を、効率的に低減できる。しかも、可動ユニット6は、吊り下げられているため、鉛直方向に対する可動ユニット6の長手方向の角度を、簡単にシフトさせることができる。そのため、可動框55と最左の方立23Lとが平行な状態からずれている場合において、簡単に対応することができる。
【0040】
さらに、図10に示すように、可動ユニット6は、可動框55の上端部から、ボールチェーン56によって吊り下げられている。そのため、ボールチェーン56における例えば最も上側などの所定のボールを可動枠55の上側係合部556に取り付けると共に、例えば上から8番目などの所定のボールを可動ユニット6の下側係合部616に取り付けるだけで、吊り下げ長さを、毎回決まった同じ長さに揃えることができる。
【0041】
[他の実施形態形態]
以上の実施形態は、例えば次のように変更して実施できる。
【0042】
図1に示す建具1の上下方向の寸法を、3m以下にしてもよい。ただし、その場合であっても、本実施形態の効果を幾らか顕著に発揮できる点で、2m以上であることが好ましく、2.5m以上であることがより好ましい。
【0043】
図8に示す可動ユニット6と第1マグネット235との位置を入れ替えてもよい。つまり、可動ユニット6を、可動框55にではなく最左の方立23Lに設けて、第1マグネット235を、可動框55に設けてもよい。
【0044】
図2に示す網戸5を上開きにして、下枠24と網戸5の下辺部とのうちの一方としての第1辺部に第1マグネット235を取り付け、下枠24と網戸5の下辺部とのうちの他方としての第2辺部に、左右方向L,Rに延在する可動ユニット6を上下方向に相対移動可能に取り付けてもよい。
【0045】
なお、図8に示すように、可動ユニット6と第1マグネット235とによって、開閉体をしっかりと閉じる構成は、開閉体が網戸5である場合に限定されず、開閉体が障子や扉などである場合にも応用できる。
【符号の説明】
【0046】
2…枠体、21…左枠(対向辺部)、23L…最左の方立(枠体所定辺部)(第1辺部)、235…第1マグネット、3…開閉窓(建具)、5…網戸(開閉体)、53…網部、55…可動框(開閉体所定辺部)(第2辺部)、55s…可動框の右端面(第2辺部における第1辺部側の端面)、551…磁性体、56…ボールチェーン、6…可動ユニット、61…筐体の右端面(可動ユニットにおける第1辺部側の端面)、62…第2マグネット、開口…Op。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12