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特開2024-172587サツマイモ加工食品及びサツマイモ加工食品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172587
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】サツマイモ加工食品及びサツマイモ加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/10 20160101AFI20241205BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20241205BHJP
   A23G 3/48 20060101ALI20241205BHJP
   A23G 3/54 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A23L19/10
A23G3/34 102
A23G3/48
A23G3/54
A23G3/34 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090398
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】505157142
【氏名又は名称】株式会社わらく堂
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 俊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151161
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 彩
(72)【発明者】
【氏名】関根 健右
【テーマコード(参考)】
4B014
4B016
【Fターム(参考)】
4B014GB11
4B014GE02
4B014GG05
4B014GG06
4B014GG07
4B014GG08
4B014GG09
4B014GG11
4B014GK01
4B014GL01
4B014GL09
4B014GL11
4B014GP02
4B014GP10
4B014GP12
4B014GP14
4B014GP15
4B014GP19
4B014GP27
4B014GQ16
4B014GU16
4B016LC02
4B016LE03
4B016LG05
4B016LG06
4B016LK01
4B016LK08
4B016LK09
4B016LK10
4B016LK13
4B016LK17
4B016LP01
4B016LP02
4B016LP03
4B016LP04
4B016LP05
4B016LP06
4B016LP10
4B016LP11
4B016LP13
(57)【要約】
【課題】サツマイモの廃棄率を減らすことができるサツマイモ加工食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】サツマイモ加工食品10の製造方法は、分離工程S1と、細断工程S4と、蒸かし工程S5と、ミキシング工程S6と、成形工程S7とを有する。分離工程S1は、焼サツマイモ12の周皮13と、周皮13の内側に層状に存在し、断面中央の実よりも固い層状部14により構成される表層11を、実15から分離する。細断工程S4は、分離工程S1を経た表層11を細断する。蒸かし工程S5は、細断工程S4を経た表層11を蒸かす。ミキシング工程S6は、蒸かし工程S5を経た表層11と表層11以外の原料とを混合することによりペースト43にする。成形工程S7は、ペースト43を成形する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼かれたサツマイモの周皮と、前記周皮の内側に層状に存在し、断面中央の実よりも固い層状部とにより構成される表層を細断した細断物により形成されたサツマイモ加工食品。
【請求項2】
前記細断物により形成された餡と、
前記餡の表面の少なくとも一部を覆い、サツマイモの実により形成された被膜と
を備える請求項1に記載のサツマイモ加工食品。
【請求項3】
前記細断物により形成されている領域は、食物繊維の質量が、100gあたり少なくとも5.9gである請求項1または2に記載のサツマイモ加工食品。
【請求項4】
焼かれたサツマイモの周皮と、前記周皮の内側に層状に存在し、断面中央の実よりも固い層状部とにより構成される表層を、前記実から分離する分離工程と、
前記分離工程を経た前記表層を細断する細断工程と、
前記細断工程を経た前記表層を蒸かす蒸かし工程と、
前記蒸かし工程を経た前記表層と前記表層以外の原料とを混合することによりペーストにするミキシング工程と、
前記ペーストを成形する成形工程と
を有するサツマイモ加工食品の製造方法。
【請求項5】
前記分離工程は、前記サツマイモの表面から5mm以上7mm以下の領域内に前記表層と前記実とを分離する分離境界を設定し、前記分離境界よりも外側を前記表層として前記実から分離する請求項4に記載のサツマイモ加工食品の製造方法。
【請求項6】
前記分離工程は、
前記サツマイモを、前記実が分割される切断線で切断する切断工程と、
互いに隙間をもって並べて配された複数の棒を備える分離部材に、前記切断工程で切断された前記サツマイモの切断面を接触させて前記サツマイモを押圧する押圧工程と
を有する請求項4または5に記載のサツマイモ加工食品の製造方法。
【請求項7】
前記成形工程は、前記ペーストとサツマイモの実により形成された被膜材とを重ね、前記ペーストを内側にして前記被膜材を外側から押圧することにより、前記ペーストを前記被膜材とともに成形し、前記ペーストで形成された餡と前記餡の表面の少なくとも一部を覆う被膜とを備えるサツマイモ加工食品にする請求項4または5に記載のサツマイモ加工食品の製造方法。
【請求項8】
前記サツマイモ加工食品はスイートポテトである請求項4または請求項5に記載のサツマイモ加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サツマイモ加工食品及びサツマイモ加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本の食品ロス量は令和2年度推計で522万トンである。特に、食品製造業における食品ロスの問題は深刻である。
【0003】
サツマイモの廃棄率は、文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会発行の「日本食品標準成分表2020年度版(八訂)」によると、生のサツマイモの皮(周皮)つきの状態で両端のみを落とした場合は2%、生のサツマイモで皮を含む表面部分及び両端を落とした場合は9%であり、廃棄率が高い。なお、両端は、塊根であるサツマイモにおける藷梗側の端部(基部)と、根の先端に近い側の端部(尾部)とである。
【0004】
特許文献1は、湯煮したサツマイモを自然冷却させ、自然冷却したサツマイモの表皮を除去し、つぶして得られたサツマイモのペーストから製造する一口サイズのサツマイモ食品及びその製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-360210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のサツマイモ食品及びその製造方法によると、サツマイモの表皮が除去され、廃棄されてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、サツマイモの廃棄率を減らすことができるサツマイモ加工食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサツマイモ加工食品は、焼かれたサツマイモの周皮と、周皮の内側に層状に存在し、断面中央の実よりも固い層状部とにより構成される表層を細断した細断物により形成される。
【0009】
本発明のサツマイモ加工食品は、細断物により形成された餡と、餡の表面の少なくとも一部を覆い、サツマイモの実により形成された被膜とを備えてもよい。
【0010】
細断物により形成されている領域は、食物繊維の質量が、100gあたり少なくとも5.9gであることが好ましい。
【0011】
本発明のサツマイモ加工食品の製造方法は、分離工程と、細断工程と、蒸かし工程と、ミキシング工程と、成形工程とを有する。分離工程は、焼かれたサツマイモの周皮と、周皮の内側に層状に存在し、断面中央の実よりも固い層状部とにより構成される表層を、実から分離する。細断工程は、分離工程を経た表層を細断する。蒸かし工程は、細断工程を経た表層を蒸かす。ミキシング工程は、蒸かし工程を経た表層と表層以外の原料とを混合することによりペーストにする。成形工程は、ペーストを成形する。
【0012】
分離工程は、サツマイモの表面から5mm以上7mm以下の領域内に表層と実とを分離する分離境界を設定し、分離境界よりも外側を表層として実から分離することが好ましい。
【0013】
分離工程は、切断工程と、押圧工程とを有する。切断工程は、サツマイモを、実が分割される切断線で切断する。押圧工程は、互いに隙間をもって並べて配された複数の棒を備える分離部材に、切断工程で切断されたサツマイモの切断面を接触させてサツマイモを押圧する。
【0014】
成形工程は、ペーストとサツマイモの実により形成された被膜材とを重ね、ペーストを内側にして被膜材を外側から押圧することにより、ペーストを被膜材とともに成形し、ペーストで形成された餡と餡の表面の少なくとも一部を覆う被膜とを備えるサツマイモ加工食品にしてもよい。
【0015】
サツマイモ加工食品はスイートポテトであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サツマイモの廃棄率を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】サツマイモ加工食品の一例の概略図である。
図2】焼かれたサツマイモの断面の模式図である。
図3】焼かれたサツマイモから実を分離して除去する分離機器の斜視図である。
図4】サツマイモ加工食品の製造工程を示すフローチャートである。
図5】焼かれたサツマイモから実を分離して除去する分離具の一例の斜視図である。
図6】焼かれたサツマイモから実を分離して除去する分離具の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すサツマイモ加工食品10は、本発明の実施形態の一例であり、サツマイモ(図示無し)を加工した食品である。サツマイモ加工食品10は、サツマイモを焼いて得られた焼サツマイモ12(図2参照)の周皮13と、周皮13の内側に層状に存在し、断面中央の実15(図2参照)よりも固い層状部14(図2参照)とにより構成される表層11(図2参照)を細断した細断物により形成されている。このように、サツマイモ加工食品10は、表層11により形成されているから、サツマイモの廃棄率の減少に寄与するとともに、食物繊維の質量での含有量が向上したものとして得られる。図1においてサツマイモ加工食品10の形状は球体であるが、直方体、立方体、または、中央が凸に盛り上がったいわゆるドーム状など、任意である。サツマイモ加工食品10は、周皮13の細片が全体に散在、すなわち分散した状態で存在する。周皮13の複数の細片は、不定形かつ大きさも不均一である。この例での細片は、径(最大径)が0.1mm以上5mm以下となっており、1mm以上3mm以下の範囲内のものが多い。サツマイモ加工食品10は、実15(図2参照)の一部15A(図2参照)も含有するが、実15を含有しなくてもよい。本実施形態におけるサツマイモ加工食品10は、菓子、より具体的にはスイートポテトであるが、スイートポテトとは異なる他のサツマイモ加工食品であってもよい。他のサツマイモ加工食品としては、コロッケなどの総菜が挙げられる。なお、形成しない場合には、すなわち形づくらない場合には、サラダ等の総菜にしてもよい。
【0019】
周皮13は、図1に示すように目視で確認することができるが、目視で確認することができない程度にまで小さく細片化されていてもよく、両者がサツマイモ加工食品10において混在してもよい。本実施形態の周皮13の細片は、上記のように径が0.1mm以上5mm以下となっており、1mm以上3mm以下の範囲内のものが多いから、食物繊維の多さを視覚と食感との両方で感じられる。
【0020】
図2を参照しながら、本実施形態において焼サツマイモ12を使用する部分を説明する。焼サツマイモ12は、周皮13と、層状部14と、実15とで構成され、周皮13と層状部14とは表層11を構成している。周皮13は焼サツマイモ12の最外層にある薄皮部であり、焼サツマイモ12において色(色相、彩度、明度の少なくともいずれか)が実15と異なる場合が多い。層状部14は、周皮13よりも内側に層状に存在し、焼サツマイモ12において断面中央の実15よりも固い部分である。すなわち、層状部14は、周皮13と実15との間に層状に存在し、かつ、焼サツマイモ12において実15よりも固い部分である。本実施形態では、周皮13と、層状部14とで構成される表層11をサツマイモ加工食品10に使用する。なお、実15のうち、層状部14に接する実15の一部15Aを表層11と共に用いてもよい。例えば、焼サツマイモ12の表面SFから一定の領域内に表層11と実15とを分離する分離境界SBを設定し、分離境界SBよりも外側を表層11として得る場合には、実15の一部15Aを除く多くの部分が除去部分15Bとなるが、得られた表層11には実15の一部15Aが付着していることがある。このような場合には、製造されるサツマイモ加工食品10は実15の一部15Aを含有する。なお、焼サツマイモ12において分離境界SBよりも外側の部分を、皮部17と称するものとする。上記分離境界SBを、焼サツマイモ12の表面SFから5mm以上7mm以下の領域内に設定することにより、表層11の割合がより確実に高い皮部17となり、実15の含有率がより確実に抑えられたサツマイモ加工食品10、すなわち、表層11の含有率がより確実に向上したサツマイモ加工食品10が得られる。その結果、サツマイモ加工食品10は、サツマイモ由来、すなわち、焼サツマイモ12由来の食物繊維の質量が、100gあたり5.9gと非常に高いものとなっている。この食物繊維の量は、株式会社環境総合科学での検査結果であるが、焼サツマイモ12には個体差があるため、総じて、焼サツマイモ12由来の食物繊維の質量は、100gあたり5.9gよりも大きい。また、上述の通り、本例のサツマイモ加工食品10は実15の一部15Aを含有するものであり、この場合の焼サツマイモ12由来の食物繊維の質量が100gあたり5.9gであるが、焼サツマイモ12のうち、実15の含有率を抑え、表層11の含有率がより高いサツマイモ加工食品10であれば、焼サツマイモ12由来の食物繊維の質量が5.9gよりも大きいことは明らかである。なお、検査は、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(平成11年4月 衛新第13号)」による。
【0021】
層状部14は、加工時において周皮13と共に表層11として通常廃棄され、断面中央の実15よりも固い部分である。周皮13及び層状部14はサツマイモ全体の質量の内、約7%であり、これらを廃棄した場合の廃棄率は約7%となる。周皮13と皮部17との質量の比率は、約1対4である。ただし、焼サツマイモ12における表層11の厚みは、サツマイモの収穫時期によって異なり、秋になると表層11は少なく、冬になると表層11は厚みを増し、周皮13及び層状部14の厚みは増加する。このため、本実施形態に使用される焼サツマイモ12における皮部17の質量比率は時期によって多少異なる。本実施形態発明に使用されるサツマイモの種類は、べにあずまでもよく、時期によりべにはるかでもよい。
【0022】
実15は、サツマイモを利用した各種の加工食品を製造する際に広く一般的に使用される部分であり、本実施形態以外のサツマイモ加工食品において多くの用途がある部分である。そのため、除去部分15Bは、サツマイモ加工食品10以外の各種加工食品に用いればよい。一例として、干し芋などの加工食品に使用することができる。
【0023】
本例では、焼サツマイモ12の両端、具体的には生のサツマイモにおける藷梗側の基部と、根の先端に近い側の尾部を含む部分に対応する両端を、それぞれ切断している。焼サツマイモ12の両端の切り口19は、焼サツマイモ12の両端部分を切り落とした切断面である。本実施形態においては、切り口19により切り落とされた両端部分に皮部17が含まれる場合は、当該皮部17も原料として使用する。切り口19で切り落としたサツマイモの両端部分の質量は、サツマイモ全体の質量の約2%以下に抑えられている。なお、図2は、焼サツマイモ12の断面を模式的に示すものであるから、周皮13、層状部14、実15の一部15A及び除去部分15Bの各厚み、切り口19の長さのそれぞれについて、焼サツマイモ12全体における比率は厳密に表現したものではない。例えば周皮13の厚みは、層状部14の厚みに比べて極めて小さいが図2においては大きく誇張して描いてある。焼サツマイモ12は、実15が分割されるように設定された切断線LCで切断され、切断面SC側から実15が除去される。
【0024】
焼サツマイモ12(図2参照)は、図3に示す分離機器20により皮部17と実15の除去部分15Bとに分離される。分離機器20は、焼サツマイモ12から実15を除去するためのものである。分離機器20は、焼サツマイモ12から実15を除去することで表層11と実15とを分離する分離機器本体27と、分離されて焼サツマイモ12から除去された除去部分15Bを受ける受け皿21とを備える。分離機器本体27は、複数の押圧部材22と、分離部材23とを備える。分離部材23は、複数の棒25と、複数の棒25を支持する支持フレーム26とを備え、さらに脱離補助具30を備えることが好ましい。棒25は、一方向に直線状に延びた円管である。複数の棒25は、同一平面上に、互いに平行、かつ、互いに隙間29をもって面状に並べて配されている。隙間29は、実15を通過させるためのものである。支持フレーム26は、上方から見たときに矩形とされており、中央に形成された開口26oに複数の棒25が配され、棒25の両端が固定される。鉛直方向をX方向とし、X方向と直交し、複数の棒25の並び方向をY方向とし、X方向及びY方向と直交する方向(棒25の長手方向)をZ方向とする。
【0025】
押圧部材22は、分離部材23の棒25の上に載置された焼サツマイモ12を押圧するためのものである。押圧部材22は板状に形成され、複数の押圧部材22は上記開口26oを覆う程度のサイズとされている。押圧部材22の数は、本例では3枚であるが、1枚で開口26oを覆う程度のサイズの1枚でもよいし、2枚あるいは4枚以上であっても構わない。押圧部材22は、一端が支持フレーム26に取り付けられており、棒25の上に載置された焼サツマイモ12を押圧する押圧位置と、押圧位置から退避した起立姿勢の退避位置との間で回動自在である。ただし、押圧部材22は、支持フレーム26に固定されていない別体のものであっても構わない。3枚の押圧部材22にはZ方向に延びた棒状の把手28が設けられており、把手28は3枚の押圧部材22を互いに固定するとともに、押圧部材22を動かす際に作業者によって把持される。この把手28により、3枚の押圧部材22は、一体に、押圧位置と退避位置との間で姿勢を変化させる。分離機器本体27の下には、受け皿21が設置されている。
【0026】
焼サツマイモ12は、実15(図2参照)が分割される切断線LCで切断する後述の切断工程S1a(図4参照)にて包丁で縦割りに2等分程度に切られる。後述の分離工程S1では、複数の棒25に切断面SC(図2参照)が接触するように焼サツマイモ12が載置される。すなわち、焼サツマイモ12は、周皮13(図2参照)が上側に、実15が分離部材23側になるように置かれる。分離機器20には、棒25の長手方向であるZ方向と垂直に交差するように開口26oを等間隔に仕切るための仕切24が2本配されている。押圧部材22は、3つに分かれており、焼いたサツマイモの蒸気を逃がしやすくしている。仕切24は、押圧部材22と押圧部材22との隙間を埋めるように配してある。ただし仕切24は設けなくてもよい。棒25は、Y方向に約1cmで等間隔に並べられている。なお、図3の分離部材23は模式的なものであり、図3に示されるよりも棒25の本数が多く、棒25同士の隙間29を1cm未満とするなど狭く配置してもよい。なお、開口26oのY方向における長さL1と押圧位置にされた場合の押圧部材22のY方向における長さL2とは同じ長さである。
【0027】
受け皿21は、上方から見たときの形状が矩形であり、分離部材23で分離した除去部分15Bを全て受け止められる大きさに形成されている。受け皿21のZ方向の長さは、受け皿21の縁に分離機器本体27が置かれることに適した長さである。
【0028】
焼サツマイモ12が棒25の上に置かれた状態で、押圧部材22を退避位置から押圧位置に変位させることにより焼サツマイモ12が押圧され、これにより、実15が砕かれて崩れ、隙間29を通過する。押圧部材22を押圧位置から退避位置に変位させて、押圧された焼サツマイモ12を取り出し、さらに別の焼サツマイモ12を新たに棒25の上に載せ、同様に押圧部材22により押圧する。このようにして、実15が順次隙間29を通過して除去部分15Bとして受け皿21に受け止められ、収容される。焼サツマイモ12を押圧することで、蒸したサツマイモを押圧する場合に比べて含有される水分量が低いために実が砕かれやすく落下しやすい。
【0029】
棒25は、円管であるから、焼サツマイモ12が載置及び押圧される上側の表面が外側(本例では上側)に凸の曲面とされている。複数の棒25が面状に配されていることにより、焼サツマイモ12は複数の棒25に押圧された際に、層状部14よりも柔らかく脆い実15は崩れて隙間29に入り込むが、実15よりも固い層状部14は崩れずに周皮13(図2参照)に付着した状態を維持する。また、複数の棒25の各々は、焼サツマイモ12が押圧される側の表面が外側に曲面に形成されているから、断面において稜線がある例えば角柱の棒などに比べて、層状部14に対する棒の食い込みあるいは引っかかることが抑制される。そのため、層状部14が棒25に当たった感触が作業者にとってわかりやすく、層状部14が棒25に当たるように押圧が十分になされたか否かが容易に把握されるとともに、層状部14の脱離が抑制される。したがって、層状部14が付着した状態で確保された表層11が得られる。
【0030】
脱離補助具30は、Z方向と交差するY方向に延びている。支持フレーム26のY方向において対向する一対の側板の一方26aには、脱離補助具30が挿通される挿入口26bが設けられている。挿入口26bは、Z方向に延びたスリット状であり、X方向において棒25の下端に近接して形成されている。これにより、挿入口26bに挿入された脱離補助具30は、棒25の下端に沿ってZ方向においてスライド移動する。脱離補助具30は、挿入口26bに挿通された際に、一端が挿入口26bから突出する長さにされている。脱離補助具30は、挿入口26bに挿通された状態で支持フレーム26に支持され、挿入口26bから突出した突出部30aが作業者により把持される把手として機能し、突出部30aがZ方向に移動されることにより脱離補助具30がZ方向にスライド移動する。押圧されて隙間29を通過した実15は、棒25の下方において脱離補助具30がZ方向に変位されることにより、棒25の下方において焼サツマイモ12から脱離し、受け皿21に落下する。このようにして表層11(図2参照)と実15とが分離する。分離機器本体27が脱離補助具30を備えることにより、実15がより多く焼サツマイモ12から除去される。なお、脱離補助具30を設けない場合には、押圧された焼サツマイモ12を棒25に当てた状態でY方向に移動させることにより実15を隙間29から落下させることができる。
【0031】
押圧位置にしたときの押圧部材22と複数の棒25との距離は、焼サツマイモ12の表層11の厚みに応じて設定するとよい。例えば、前述のように分離境界SBを設定した場合には、分離境界SBと焼サツマイモ12の表面SFとの距離に応じて、押圧部材22と棒25との距離を設定するとよい。サツマイモ及び焼サツマイモ12には表面SFに凹凸がある場合が多いので、凹凸の高さを考慮して、凹凸の概ねの高さ分を分離境界SBと焼サツマイモ12の表面SFとの距離に加算してもよい。本実施形態でも、焼サツマイモ12の表面SFから上記のように5mm以上7mm以下の領域内に分離境界SBを設定した場合には、上記凹凸の高さを1mmとみなして、押圧部材22と棒との距離を6mm以上8mm以下の範囲内としている。例えば、焼サツマイモ12の表面SFから7mmの深さの位置を分離境界SBとして設定した場合には、押圧部材22と棒25との距離を8mmとしている。これにより、実15がより確実に除去され、かつ、層状部14がより確実に保持されたものとして表層11が得られる。分離機器20は本実施形態に限られず、焼サツマイモ12から実15を除去することができれば、市販品でもよい。分離機器20の代わりにスプーン(図示無し)を用いてもよく、すなわち、焼サツマイモ12の切断面SCにおいて実15をスプーンでかき出すことにより実15を除去してもよい。また、平鋼板を碁盤の目状に打ち抜き又は切削して穿孔した濾過板の上に、焼サツマイモ12を載置して押圧した後に、この濾過板を裏返す反転手段のある装置を使用してもよい。
【0032】
図4を用いて、サツマイモ加工食品10の製造工程について述べる。本実施形態における各工程の数値は、一例であり、サツマイモの収穫時期やサツマイモの個体により調整されることがある。サツマイモ加工食品10の製造工程は、分離工程S1と、細断工程S4と、蒸かし工程S5と、ミキシング(混合)工程S6と、成形工程S7とを有する。サツマイモ加工食品10の製造工程は、冷凍工程S11aと解凍工程S11bと焼成工程(図示無し)と包装工程S10とを有してもよい。
【0033】
まず、焼サツマイモ12を準備する。生のサツマイモから製造する場合には、当該サツマイモを焼く焼工程(図示無し)により、焼サツマイモ12を得る。焼工程は、竹串が抵抗なく刺さる程度の柔らかさになるまでサツマイモを焼く。分離工程S1は、表層11(図2参照)を実15と分離することで得る。分離工程S1は、切断工程S1aと、押圧工程S1bと、脱離工程S1cとを有してもよく、本実施形態でもそのようにしている。切断工程S1aは、焼サツマイモ12を、上記の切断線LC(図2参照)で切断し、除去する実15を露呈させる。押圧工程S1b及び脱離工程S1cは、この例では分離機器20(図3参照)を用いて実施している。押圧工程S1bは、分離部材23(図3参照)の複数の棒25(図3参照)に、切断工程S1aで切断された焼サツマイモ12の切断面SCを接触させて焼サツマイモ12を押圧する。脱離工程S1cは押圧工程S1bにより砕かれた実15を表層11から脱離させる。
【0034】
分離工程S1は、焼サツマイモ12の表面SFから5mm以上7mm以下の領域内に皮部17(図3参照)と実15(図3参照)とを分離する分離境界SB(図2参照)を設定し、分離機器20で表層11側である皮部17と実15とを分離することが好ましい。分離境界SBが焼サツマイモ12の表面SFから5mm以上の位置であることにより、5mm未満の位置である場合に比べて、周皮13(図2参照)の全量がより確実にサツマイモ加工食品10に利用される。分離境界SBが焼サツマイモ12の表面SFから7mm以下の位置であることにより、7mmよりも深い位置である場合に比べて、実15が表層11に付着した状態で残らない場合があり、その結果、皮部17に占める実15の質量が小さくなる分、表層11の質量の割合が大きくなる。
【0035】
分離工程S1は、焼サツマイモ12の表面SFから5mm以上7mm以下の領域内に皮部17(図3参照)と実15(図3参照)とを分離する分離境界SB(図2参照)を設定し、分離機器20で表層11側である皮部17と実15とを分離し、かつ、焼サツマイモ12の全体に対する質量の割合が6%以上8%以下の範囲内となる焼サツマイモ12の表面からの領域を皮部17として分離機器20で分離することが好ましい。焼サツマイモ12の全体に対する皮部17の質量の割合が6%以上であることにより、6%未満の割合である場合に比べて、周皮13(図2参照)の全量がより確実にサツマイモ加工食品10に利用される。焼サツマイモ12の全体に対する皮部17の質量の割合が8%以下であることにより、8%よりも高い割合である場合に比べて、実15が表層11に付着した状態で残らない場合があり、その結果、皮部17に占める実15の質量が小さくなる分、表層11の質量の割合が大きくなる。
【0036】
細断工程S4は、分離工程S1の後に行われる。細断工程S4は、分離工程S1を経た表層11を、この例では表層11とごくわずかな量の実15の一部15Aとを含む皮部17(図2参照)を、細断する。細断は、細断機(図示無し)で、皮部17を細断する工程である。細断機としては、例えば肉を挽いて挽肉にする市販のミートチョッパを細断機として用いることができ、本例においても市販の細断機(株式会社なんつね製 MC-32 アルゴス32)を用いている。当該細断機は、回転軸と一体に回転する回転刃と、回転刃の下流に配されたプレートとを備え、プレートには、細断された細断物を出す複数の孔が形成されている。回転歯の回転数は、高くても300回転/分とすることが、回転刃の回転に伴う細断機内の温度上昇が抑制され、サツマイモの腐敗がより確実に抑えられるから好ましく、本実施形態では1分間に200回の回転数にしている。プレートに形成された孔の大きさは直径3mm程度である。皮部17は、サツマイモの収穫時期やサツマイモの個体差により固さも異なるため、1分あたりの回転数はそれらに応じて調整される。蒸かし工程S5の前に細断工程S4を行う理由は、分離工程S1を経た焼サツマイモ12に熱を加えた状態で細断を行うと焼サツマイモ12の粘性が出て細断できなくなることや、細断機に熱がこもり焼サツマイモ12の腐敗が生じることなどが考えられるためである。
【0037】
蒸かし工程S5は、細断工程S4を経た細断物を蒸かし、これにより細断物に水分を確実に内部まで含有させて柔らかくする。蒸かし工程S5におけるボイラの相当蒸発量、蒸気の温度、蒸かし時間は、適宜設定することができる。相当蒸発量は、100℃の飽和水を100℃の飽和蒸気にすると想定した際の能力であり、70kg/h以上100kg/h以下の範囲内であることが好ましい。相当蒸発量が70kg/h以上であることにより、70kg/h未満である場合に比べて、より効率的に細断物が柔らかくなる。相当蒸発量は100kg/h以下であることにより100kg/hを超える場合に比べて、含有させる水分量が過度に多くなりすぎることが抑制される。相当蒸発量は、80kg/h以上95kg/h以下の範囲内であることがより好ましく、85kg/h以上93kg/h以下の範囲内であることがさらに好ましい。なお、「蒸かす」とは、「食べられるように蒸す」ことである。
【0038】
蒸気の温度は、90℃以上98℃以下の範囲内であることが好ましい。蒸気の温度が90℃以上であることにより90℃未満の場合に比べて、より効率的に細断物が柔らかくなるとともに殺菌効果が高い。蒸気の温度が98℃以下であることにより、98℃よりも高い場合に比べて、蒸かしすぎによる水分の過多などが抑えられる。蒸気の温度は、92℃以上97℃以下の範囲内であることがより好ましく、94℃以上96℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。蒸かし時間は、8分以上25分以下の範囲内であることが好ましい。8分以上であることにより8分未満の場合に比べて、細断物がより確実に柔らくなるとともに、殺菌効果が得やすい。25分以下であることにより25分を超える場合に比べて、蒸かしすぎ抑えられ、水分量が過度に多くなることが抑えられる。蒸かし時間は、10分以上20分以下の範囲内であることがより好ましく、12分以上18分以下の範囲内であることがさらに好ましい。本実施形態においては、相当蒸発量を90kg/h、蒸気の温度を95.5℃、蒸かし時間を約15分に設定している。蒸かし工程S5は、細断物をせいろに収容して実施することが好ましく、本実施形態では約7kgの細断物をせいろに収容している。蒸かし時間は、細断物である皮部17の中心温度が上昇して75℃に到達した以降の時間とする。したがって、細断物である皮部17の質量や中心温度の上昇速度等により、蒸かし工程S5の開始から終了までの時間は調整するとよい。細断工程S4後に蒸かし工程S5を経ることで、細断物に水分を含ませて柔らかくすることができる。また、細断工程S4後に蒸かし工程S5を行うことで、次のミキシング工程S6において細断物と皮部17以外の後述の原料とが効率的に均一に混ざる。また、最初にサツマイモを焼くことでサツマイモ本来の風味を出し、さらに水分量を少なくすることができ、その後に蒸かし工程S5を経ることで、細断工程S4を経た皮部17が水っぽくならない。
【0039】
ミキシング工程S6は、蒸かし工程S5で蒸かされた皮部17と他の原料と混合する。ミキシング工程は、皮部17のうちの周皮13以外のものは均一に混ざりあうように、周皮13は全体にわたり均等な分散状態になるように混合する。ミキシング工程S6は、一段階の工程でもよいし、複数段階の工程でもよい。本例では、ミキシング工程S6を第1ミキシング工程S6a、第2ミキシング工程S6b、第3ミキシング工程S6cの3段階の工程にしている。第1ミキシング工程S6aおいては、細断されて蒸かされた皮部17と糖の一例である上白糖40a及びトレハロース40b、アミノ酸の一例であるグリシン40c、塩の一例である並塩40dを混合している。第1ミキシング工程S6aは、本例では市販の混合機(株式会社愛工舎製作所製 マイティーSシリーズMS60)を用い、当該混合機における4速ある速さの段階の内、3速で3分間ミキシングを行う。さらに、第2ミキシング工程S6bにおいて、加糖練乳41を加え、同じく3速で3分間ミキシングを行う。最後に、第3ミキシング工程S6cにおいて、加工でんぷんの一例である「パインソフト(登録商標)」42を加え、同じく3速で3分間ミキシングを行う。これら3段階のミキシング工程S6を経ることでペースト43が得られる。皮部17以外の原料は、必要に応じて他の原料で代用してもよい。
【0040】
成形工程S7は、ペースト43を目的とする形に成形する。成形は、本実施形態では市販の成形機(レオン自動機株式会社製「火星人(登録商標)」CN570)を使用して成形する。本実施形態では、1台で1時間あたり2400個のサツマイモ加工食品10にペースト43が成形される。本実施形態では、球体に成形されるが、サツマイモ加工食品10の形状はこれに限られず、先述の通り任意である。本実施形態では、市販の成形機により成形しているが、手作業でもよい。
【0041】
前述の焼成工程(図示無し)は、成形工程S7により成形されたペースト43に焼き色がつくように焼く工程である。したがって、焼き色をつけない場合には焼成工程は無くてよい。焼成工程を実施する場合には、本例では市販のオーブン(レオン自動機株式会社製 ロータリラックオーブン RR725)を使用し、180℃で20分間焼成を行う。焼成工程におけるオーブンの内部温度と焼成時間とは、成形したサツマイモ加工食品10の水分量や焼成工程の実施日の気温などに応じて、適宜調整すればよい。
【0042】
焼成工程を設けた場合には、サツマイモ加工食品10を冷やすために冷却工程(図示無し)において冷却する。
【0043】
包装工程S10は、製造されたサツマイモ加工食品10を包装する。
【0044】
本実施形態においては、分離工程S1において、皮部17と実15とを分離した後に、すぐさまその後の工程に移る必要はない。例えば、分離工程S1と細断工程S4との間に、冷凍工程S11aを設けてもよい。冷凍工程S11aを設けた場合には、解凍工程S11bを経て、細断工程S4に表層11を供するとよい。実15で他の通常の実のみからなるサツマイモ加工食品を製造する間に保管する目的で、皮部17を冷凍することが可能である。冷凍工程S11aは、細断工程S4、蒸かし工程S5、ミキシング工程S6の後にも設けることが可能である。
【0045】
分離機器20の代わりに、図5に示す分離具50を用いることができる。分離具50も分離機器20の分離部材23と同様に複数の棒25を備える。分離具50は、一対の支持部材52を備え、一対の支持部材52の一方には複数の棒25の各一端が、他方には複数の棒25の各他端が固定されている。この分離具50の棒25の上に、切断面SCを下方に向けて焼サツマイモ12を載置し、手、もしくは板状の押圧部材(図示無し)で上方から押圧することにより、分離機器20の場合と同様に、実15を表層11から分離することができる。分離具50は、このような使い方に限られない。例えば台(図示無し)の上に、切断面SCを上方に向けて焼サツマイモ12を載置し、分離具50により上方から焼サツマイモ12を押圧することにより、実15が隙間29から上方へ案内される。このように、棒25は、上側の周面も下側の周面も外側に凸の曲面を有するから、焼サツマイモ12との上下方向での位置関係を逆にしても表層11の周皮13からの層状部14の脱離が抑制されて、実15が効果的に表層11から脱離される。
【0046】
分離具50の代わりに、図6に示す分離具60を用いてもよい。分離具60は、分離具50における断面円形の棒25の代わりに、断面C字状の棒61を複数備える。この棒61は、X方向における一方が凸の曲面とされており、棒61と棒61との間には隙間29が形成されている。この例の棒61も棒25と同様に、凸の曲面62sを有するから、凸側の周面に焼サツマイモ12を押圧することにより、棒25を備える分離機器20及び分離具50と同様の効果を奏する。
【0047】
サツマイモ加工食品は、被膜を有していてもよい。例えば、上記細断物により形成された餡と、餡の表面の少なくとも一部を覆い、サツマイモの実により形成された被膜(図示無し)とを備えるものであってもよい。すなわち、上記の例のサツマイモ加工食品10を餡とし、この餡の表面の少なくとも一部が被膜で覆われたサツマイモ加工食品(図示無し)が挙げられる。この場合においては、前述の細断物により形成されている領域は、餡の部分であるので、当該領域は食物繊維の質量が100gあたり5.9gよりも大きい。被膜は、サツマイモの実で形成されていれば、他の原材料を含んでいてもよい。被膜を形成する実は、焼サツマイモ12の実15(図2参照)でもよいし、蒸かしたサツマイモの実でもよい。被膜を形成することができる実の質量での含有率は、被膜全体に対して少なくとも35%であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、本例では41%としている。被膜に含まれる実以外の原材料としては、おから、ジャガイモ、カボチャなどが挙げられ、本例でもおからを用いている。おからも可食部100g当たりの食物繊維の質量は11.5gと高いので、このサツマイモ加工食品によれば食物繊維の摂取量がさらに高まる。なお、被膜が実とその他の原材料を含む場合には、実の質量が、その他の原材料のそれぞれの質量と比べて最も多いことが好ましく、本例でもそのようにしている。
【0048】
上記のように被膜を備えるサツマイモ加工食品を製造する場合には、上記の成形工程S7(図4参照)は、ペースト43(図4参照)と、焼いたサツマイモまたは蒸かしたサツマイモの実により形成された被膜材とを重ねる工程を有する。被膜材の上にペースト43を重ねて配してもよいし、ペースト43の上に被膜材を被せるように重ねてもよい。被膜材は、被膜となるシート状の材料であるので、原材料は上記の被膜の原材料と同じである。被膜材は、本例ではサツマイモの実とおからとを混合し蒸かした後、上白糖、食塩、加糖練乳、パインソフト(登録商標)、トレハロース及びグリシンを混合することにより作っているが、作り方はこれに限定されない。そして、成形工程S7は、ペースト43を内側にして、被膜材を外側から押圧することにより、ペースト43を被膜材とともに成形する。これにより、ペースト43で形成された餡と餡の表面の少なくとも一部を覆う被膜とを備えるサツマイモ加工食品が得られる。被膜材は、その大きさを調整することにより、ペースト43を覆う面積を調整することができる。本例ではペースト43の全表面を覆うように被膜材の大きさ及び量を決定しているが、ペースト43の一部が露呈するように被膜材の大きさを決定してもよい。成形工程S7は、市販の包餡機を用いて行うことができ、本例でも市販の包餡機(レオン自動機株式会社製「火星人(登録商標)」CN570)を用いている。市販の包餡機によらず手作業で成形工程S7を実施してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 サツマイモ加工食品
11 表層
12 焼サツマイモ
13 周皮
14 層状部
15 実
17 皮部
20 分離機器
21 受け皿
22 押圧部材
23 分離部材
25 棒
26 支持フレーム
26b 挿入口
27 分離機器本体
29 隙間
30 脱離補助具
30a 突出部
43 ペースト
LC 切断線
SB 分離境界
SC 切断面
SF 表面
S1 分離工程
S4 細断工程
S5 蒸かし工程
S6 ミキシング工程
S7 成形工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6