(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172589
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業機およびノズル
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20241205BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20241205BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F04D29/44 Q
B05B1/04
F04D29/44 W
F04D25/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090402
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 幹博
(72)【発明者】
【氏名】井上 剛
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
【テーマコード(参考)】
3H130
4F033
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC08
3H130AC09
3H130BA62A
3H130BA62J
3H130BA95A
3H130BA95J
3H130CA06
3H130DA02Z
3H130DD03Z
3H130DD05Z
3H130DF06Z
3H130DG03X
3H130DJ01X
3H130EA04A
3H130EA04J
3H130EA06A
3H130EA06J
3H130EB01A
3H130EB01J
3H130EB02A
3H130EB02J
4F033BA02
4F033CA05
4F033DA01
4F033EA01
4F033JA03
4F033JA06
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】気体の吐出量増加や気体の広範囲への吐出を可能にしたいというニーズに応えることができ、利便性を向上させた作業機およびノズルを提供する。
【解決手段】ノズル40は、排気部から排気された空気が流入する流入部41と、空気の流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が流入部41よりも大きく、かつ流入部41の下流側で空気を吐出する吐出部42と、流入部41と吐出部42との間に設けられ、流入部41から吐出部42に向かう空気が流通する管部43と、を備え、管部43には、管部43の内部と外部とを連通する通気口44が設けられている。これにより、空気の吐出量増加および空気の広範囲への吐出を可能としたエアダスタを実現することができる。よって、エアダスタの利便性を向上させることが可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの駆動力により回転するファンと、
前記ファンを収容し、かつ前記ファンの上流側に配置される吸気部および前記ファンの下流側に配置される排気部を有するハウジングと、
前記排気部に着脱可能に設けられるノズルと、
を備え、
前記ノズルは、
前記排気部から排気された気体が流入する流入部と、
前記気体の流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が前記流入部よりも大きく、かつ前記流入部の下流側で前記気体を吐出する吐出部と、
前記流入部と前記吐出部との間に設けられ、前記流入部から前記吐出部に向かう前記気体が流通する管部と、
を備え、
前記管部には、前記管部の内部と外部とを連通する通気口が設けられている、
作業機。
【請求項2】
前記流入部は、前記気体の入口となる流入口を備え、
前記吐出部は、前記気体の出口となる吐出口を備え、
前記吐出口の開口面積が、前記流入口の開口面積よりも大きい、
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記モータおよび前記ファンを収容し、かつ前記ハウジングに収容されるファンケースを備え、
前記ファンケースに設けられるファンケース吸気口の開口面積が、前記流入口の開口面積よりも小さい、
請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記管部は、前記気体の流通方向における上流側から下流側に向けて前記直交面に沿う流路面積が徐々に大きくなる流路面積拡張部を備え、
前記通気口が前記流路面積拡張部に設けられている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項5】
前記管部は、
前記直交面に沿う断面形状が円形の流路を有する円筒部と、
前記直交面に沿う断面形状が扁平の流路を有する扁平部と、
を備え、
前記扁平部は、前記直交面に沿う第1直交方向の長さが長く、かつ前記第1直交方向に対して直交する第2直交方向の長さが短くなっており、
前記扁平部に前記通気口が設けられると共に、前記扁平部の下流側の流路の前記第1直交方向における長さが、前記円筒部の流路の直径よりも大きい、
請求項2に記載の作業機。
【請求項6】
前記扁平部の下流側の流路の前記第2直交方向における長さが、前記円筒部の流路の直径よりも小さい、
請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記扁平部の上流側に、下流側に向けて先細り形状となり、前記円筒部側から前記扁平部側に向けて前記直交面に沿う流路面積を徐々に変化させる円錐状部が設けられている、
請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記通気口は、前記第2直交方向から見たときに、前記円錐状部と前記扁平部との境界部分の近傍に配置された上流側通気口を含む、
請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
複数の前記上流側通気口が、前記境界部分の形状に倣って並んでいる、
請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記扁平部の下流側の流路の前記第2直交方向における長さが、前記円筒部の流路の直径の半分以下である、
請求項6に記載の作業機。
【請求項11】
前記扁平部の流路の前記第2直交方向における長さが、前記気体の流通方向における上流側から下流側に向けて徐々に大きくなる、
請求項5に記載の作業機。
【請求項12】
前記扁平部が、前記第1直交方向において、前記ファンの回転中心を通る線分を中心に対称形状である、
請求項5に記載の作業機。
【請求項13】
複数の前記通気口が、前記第1直交方向において、前記ファンの回転中心を通る線分を中心に対称となるように配置されている、
請求項12に記載の作業機。
【請求項14】
前記扁平部の流路の前記第2直交方向における長さが、前記ファンの回転中心を通る線分の近傍において他の部分よりも大きくなっている、
請求項6に記載の作業機。
【請求項15】
前記扁平部を、前記気体の流通方向に沿って第1領域,第2領域および第3領域に三等分したときに、少なくとも前記第1領域に前記通気口が設けられている、
請求項5に記載の作業機。
【請求項16】
前記ノズルは、前記ハウジングの前記排気部に対して、前記ファンの回転中心を通る線分を中心に、180度反転して着脱可能である、
請求項1に記載の作業機。
【請求項17】
前記第2直交方向において互いに対向し、前記扁平部を形成する一側壁部および他側壁部のそれぞれに、複数の前記通気口が設けられている、
請求項5に記載の作業機。
【請求項18】
前記一側壁部に設けられる前記通気口および前記他側壁部に設けられる前記通気口は、前記第2直交方向から見たときに互いに重ならない、
請求項17に記載の作業機。
【請求項19】
前記通気口は、前記気体の流通方向に並んで複数設けられる、
請求項1に記載の作業機。
【請求項20】
作業機本体の排気部に着脱可能に設けられるノズルであって、
前記排気部から排気された気体が流入する流入部と、
前記気体の流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が前記流入部よりも大きく、かつ前記流入部の下流側で前記気体を吐出する吐出部と、
前記流入部と前記吐出部との間に設けられ、前記流入部から前記吐出部に向かう前記気体が流通する管部と、
を備え、
前記管部には、前記管部の内部と外部とを連通する通気口が設けられている、
ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動力により回転するファンと、ファンの回転により気体を吐出するノズルと、を備えた作業機および作業機本体の排気部に着脱可能に設けられるノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、本体部および排出管部を有するブロワ装置が記載されている。本体部は、エンジンの駆動力により回転されるファンを有し、排出管部は、ファンの回転により気体を吐出するノズルを有している。そして、ノズルの開口には、多くの気体を吐出させかつ中央部から流出する気体を遠方に届くようにするために、ノズルの開口の中央部に隆起部(凸部)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術では、ノズルから吐出される気体の量(風量)をさらに増加させたり、気体をさらに広範囲に吐出させたりすることが難しかった。
【0005】
本発明の目的は、気体の吐出量増加や気体の広範囲への吐出を可能にしたいというニーズに応えることができ、利便性を向上させた作業機およびノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業機の一形態では、モータと、前記モータの駆動力により回転するファンと、前記ファンを収容し、かつ前記ファンの上流側に配置される吸気部および前記ファンの下流側に配置される排気部を有するハウジングと、前記排気部に着脱可能に設けられるノズルと、を備え、前記ノズルは、前記排気部から排気された気体が流入する流入部と、前記気体の流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が前記流入部よりも大きく、かつ前記流入部の下流側で前記気体を吐出する吐出部と、前記流入部と前記吐出部との間に設けられ、前記流入部から前記吐出部に向かう前記気体が流通する管部と、を備え、前記管部には、前記管部の内部と外部とを連通する通気口が設けられている。
【0007】
ノズルの一態様では、作業機本体の排気部に着脱可能に設けられるノズルであって、前記排気部から排気された気体が流入する流入部と、前記気体の流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が前記流入部よりも大きく、かつ前記流入部の下流側で前記気体を吐出する吐出部と、前記流入部と前記吐出部との間に設けられ、前記流入部から前記吐出部に向かう前記気体が流通する管部と、を備え、前記管部には、前記管部の内部と外部とを連通する通気口が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、気体の吐出量増加や気体の広範囲への吐出を可能にしたいというニーズに応えることができ、利便性を向上させた作業機およびノズルを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】ノズル単体を
図1の矢印A方向から見た図である。
【
図8】
図7のF-F線,G-G線,H-H線およびJ-J線に沿う断面図である。
【
図9】ハウジングの内部での気体の流れを示す
図3に対応した図である。
【
図10】ノズル内の内部での気体の流れを示す
図4に対応した図である。
【
図13】実施の形態2のノズルを上方から見た図である。
【
図14】実施の形態2のノズルを下方から見た図である。
【
図15】実施の形態2のノズルの
図6に対応した図である。
【
図16】実施の形態2のノズルの
図4に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は送風機をノズル側から見た斜視図を、
図2は
図1のA矢視図を、
図3は
図2のB-B線に沿う断面図を、
図4は
図3のC-C線に沿う断面図を、
図5は
図4のD矢視図を、
図6は
図4のE矢視図を、
図7はノズル単体を
図1の矢印A方向から見た図を、
図8は
図7のF-F線,G-G線,H-H線およびJ-J線に沿う断面図をそれぞれ示している。
【0012】
<エアダスタの概要>
図1ないし
図3に示されるように、エアダスタ10は、本発明における作業機に相当し、作業者が片手で持つことができる送風機である。エアダスタ10は、エアダスタ本体20と、当該エアダスタ本体20に着脱可能に設けられるノズル40と、を備えている。ここで、エアダスタ10は、例えば、エアコンのフィルタに付着した埃等を吹き飛ばしたり、エアーマットや浮き輪等を膨らませたりするときに用いられる。
【0013】
<エアダスタ本体>
エアダスタ本体20は、本発明における作業機本体に相当し、樹脂製のハウジング21を備えている。ハウジング21は、第1ハウジング半体21aおよび第2ハウジング半体21bを互いに突き合わせて形成され、その内部は中空となっている。
【0014】
図1に示されるように、ハウジング21は、モータ収容部22およびバッテリ装着部23を備えている。また、
図1の上下方向において、モータ収容部22とバッテリ装着部23との間には、作業者によって把持されるハンドル部24が設けられている。
【0015】
ここで、
図1および
図3に示されるように、モータ収容部22,ハンドル部24およびバッテリ装着部23が並ぶ方向を上下方向と定義する。また、モータ収容部22およびノズル40が並ぶ方向、すなわち空気Air(
図9および
図10参照)が流れる方向を前後方向と定義する。さらに、第1,第2ハウジング半体21a,21bの突き合わせ方向、つまり第1,第2ハウジング半体21a,21bの対向方向を左右方向と定義する。
【0016】
<モータ収容部>
図3に示されるように、モータ収容部22の内部には、モータユニット50が収容されている。そして、モータユニット50の駆動によりモータ収容部22の内部に空気Airの流れが発生し、モータ収容部22の内部を空気Airが流通するようになっている。具体的には、モータユニット50の駆動により、当該モータユニット50を形成するファン54が回転され、モータ収容部22の後方から前方に向けて空気Air(
図9参照)が流れる。
【0017】
モータ収容部22の後方には、空気の入口となる吸気部22aが設けられ、モータ収容部22の前方には、空気の出口となる排気部22bが設けられている。すなわち、ハウジング21のモータ収容部22にはファン54が収容され、かつファン54の上流側に吸気部22aが配置され、ファン54の下流側に排気部22bが配置されている。言い換えれば、吸気部22aと排気部22bとの間にファン54を有するモータユニット50が設けられている。
【0018】
ここで、ファン54の上流側とは、ファン54に向けて空気Airが流れてくる側であり、ファン54の下流側とは、ファン54から空気Airが流れていく側である。
【0019】
また、モータ収容部22における排気部22bには、ノズル固定部22cが一体に設けられている。そして、ノズル固定部22cには、ノズル40を形成する円筒部43b(
図4参照)が着脱可能に装着されている。つまり、排気部22bには、ノズル40が着脱可能に設けられる。
【0020】
さらに、モータ収容部22のノズル40側(前側)には、排気部22bと上下方向に並ぶようにしてLEDライトLTが設けられている。LEDライトLTは、エアダスタ10の作動時に点灯し、エアダスタ10の前方を照らすものである。すなわち、LEDライトLTは、空気Airの吐出方向を照らす。これにより、夜間や暗闇等であっても作業性を低下させることがない。
【0021】
<モータユニット>
図3に示されるように、モータユニット50は、駆動部51を備えている。駆動部51は、回転軸52を有するブラシレスモータ53と、回転軸52により回転されるファン54と、ブラシレスモータ53を制御する制御基板55と、を有している。なお、ブラシレスモータ53は、本発明におけるモータに相当する。
【0022】
ファン54は、ブラシレスモータ53の軸方向一側(後側)に配置されており、ターボ形の遠心ファンとなっている。つまり、ファン54は、ブラシレスモータ53の駆動力により回転され、ファン54の中心部分から空気を吸い込み、吸い込んだ空気をファン54の径方向外側に排出する。
【0023】
また、制御基板55には、高速でスイッチングするFET等の駆動系電子部品(図示せず)が実装されている。さらに、制御基板55には、ブラシレスモータ53に駆動電流を供給する電源線(図示せず)や、トリガスイッチSWからのオン信号およびオフ信号を制御基板55に供給する信号線(図示せず)が電気的に接続されている。
【0024】
<ファンケース>
モータユニット50は、樹脂製のファンケース56を備えている。ファンケース56は、略円筒状に形成されており、駆動部51の軸方向一側(後側)の周囲を覆っている。ここで、ファンケース56は、ハウジング21(モータ収容部22)の内部に収容され、駆動部51を形成するブラシレスモータ53およびファン54は、ファンケース56の内部に収容されている。
【0025】
ファンケース56は、底壁部56aおよび側壁部56bを備え、底壁部56aの近傍にファン54が配置されている。底壁部56aの中心部分には、回転軸52の軸方向においてファン54の中心部分と対向するようにして、吸入開口部56cが設けられている。これにより、ファン54の回転に伴い、吸入開口部56cを介して、ファン54の中心部分に空気が吸い込まれる。
【0026】
ここで、モータ収容部22の吸気部22aおよび排気部22bと、エアダスタ10の前後方向において吸気部22aと排気部22bとの間に配置されたモータユニット50は、いずれも軸線CT上に配置されている。ここで、軸線CTは、ファン54の回転中心を通る線分であり、当該軸線CT上には、回転軸52の軸線も配置されている。これにより、吸気部22aから吸い込んだ空気は、排気部22bに向けて略真っ直ぐに流れる。
【0027】
このように、モータ収容部22の内部での空気流を略真っ直ぐにすることで、エアダスタ10の吸気効率および排気効率を高めている。なお、ファンケース56に設けられる吸入開口部56cは、本発明におけるファンケース吸気口に相当する。
【0028】
ここで、ファンケース56の側壁部56bと駆動部51との間には、略筒状に形成された空気流路AP(
図3および
図9参照)が形成されている。空気流路APの軸方向一側(後側)には、ファン54が配置され、これによりファン54の径方向外側に排出された空気は、空気流路APの内部を軸方向一側から軸方向他側に向けて流れる。
【0029】
そして、空気流路APの軸方向他側(前側)には、略環状に形成された空気排出口56dが設けられ、当該空気排出口56dから軸方向他側に向けて、空気流路APを流れる空気が排出される(
図9参照)。
【0030】
<バッテリ装着部>
図1に示されるように、バッテリ装着部23には、リチウムイオンバッテリ等の二次電池からなるバッテリパックBTが着脱可能に設けられている。具体的には、バッテリ装着部23には、前後方向に延びるようにレール部(図示せず)が設けられ、バッテリパックBTは、当該レール部に沿って移動可能となっている。
【0031】
そして、レール部の長手方向一側(後側)に、モータ側端子ユニットTU(
図3参照)が設けられ、当該モータ側端子ユニットTUには、バッテリパックBTのバッテリ装着部23への固定状態において、バッテリパックBTの長手方向一側(後側)に設けられたバッテリ側端子ユニット(図示せず)が電気的に接続される。
【0032】
なお、バッテリパックBTをバッテリ装着部23から外す場合には、バッテリパックBTに設けられたロックフリースイッチLSを押圧操作しつつ、バッテリパックBTをレール部に対して長手方向他側(前側)に移動させれば良い。
【0033】
<ハンドル部>
図1および
図3に示されるように、ハンドル部24は、モータ収容部22とバッテリ装着部23との間に配置され、かつ上下方向に延在されている。また、ハンドル部24は、作業者により容易に把持可能とすべく略円筒状に形成され、かつモータ収容部22およびバッテリ装着部23よりも小型化されている。
【0034】
このように、ハンドル部24は、比較的重量が嵩む駆動部51とバッテリパックBTとの間に設けられ、これにより作業者は、ハンドル部24をバランス良く把持することができる。言い換えれば、作業者の手首に掛かる負荷(手首を捻るような負荷)を軽減可能としている。これによっても、エアダスタ10の作業性を向上させている。
【0035】
さらに、
図3に示されるように、ハンドル部24の内部には、作業者により操作されるトリガスイッチSWが収容されている。トリガスイッチSWは、ハンドル部24のモータ収容部22側(上側)に配置され、これにより作業者はハンドル部24を把持したときに、人差し指等により容易にトリガスイッチSWを押圧操作可能となっている。
【0036】
そして、トリガスイッチSWは、制御基板55(ブラシレスモータ53)およびLEDライトLTに駆動電流を供給可能とすべく、制御基板55およびLEDライトLTと、バッテリパックBTとの間に配置されている。これにより、トリガスイッチSWをオン操作(人差し指等で引き込む操作)することで、ブラシレスモータ53およびLEDライトLTに駆動電流が供給される。一方、トリガスイッチSWをオフ操作(人差し指等を開放する操作)することで、ブラシレスモータ53およびLEDライトLTへの駆動電流の供給が停止される。
【0037】
<ノズル>
図3および
図4に示されるように、ノズル40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形等することで管状に形成され、その内部を空気Air(
図9および
図10参照)が流通可能となっている。なお、空気Airは、本発明における気体に相当する。
【0038】
ノズル40のモータ収容部22側(後側)には、流入部41が設けられている。流入部41は、モータ収容部22の排気部22b(
図3参照)から排気された空気Airが流入する部分であり、流入部41に流入した空気Airは、ノズル40の内部を上流側(後側)から下流側(前側)へ流れる。ここで、空気Airの流通方向(前後方向)と直交する直交面に沿う流入部41の流路面積は、
図5の網掛け部分に示されるようにS1となっている。
【0039】
また、流入部41は、空気Airの入口となる流入口41aを備えている。
図5に示されるように、流入口41aは、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う形状が円形となっており、流入口41aの直径はD1となっている。なお、流入口41aの直径D1は、排気部22bの内径に略等しい。よって、空気Airは、排気部22bから流入口41aに向けてスムーズに流れる。
【0040】
ここで、流入部41の流路面積S1は、流入口41aの開口面積に等しく、流入口41aの開口面積はS1となっている。なお、本実施の形態では、S1は「359.1mm2」に設定されている。
【0041】
図4に示されるように、ノズル40のモータ収容部22側とは反対側(前側)には、吐出部42が設けられている。吐出部42は、流入部41の下流側(前側)で空気Airを吐出する部分であり、例えば、空気Airの吐出先となる埃等に向けられる部分となっている。ここで、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う吐出部42の流路面積は、
図6の網掛け部分に示されるようにS2となっている。
【0042】
具体的には、吐出部42の流路面積S2は、流入部41の流路面積S1よりも大きくなっている(流路面積S2>流路面積S1)。
【0043】
また、吐出部42は、空気Airの出口となる吐出口42aを備えている。
図6に示されるように、吐出口42aは、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う形状が扁平形状となっている。より具体的には、上下方向に潰されて左右方向に細長く開口した形状となっている。
【0044】
ここで、吐出部42の流路面積S2は、吐出口42aの開口面積に等しく、吐出口42aの開口面積はS2となっている。すなわち、吐出口42aの開口面積S2は、流入口41aの開口面積S1よりも大きくなっている(開口面積S2>開口面積S1)。なお、本実施の形態では、S2は「545.7mm2」に設定されている。
【0045】
このように、ノズル40の出口側を入口側よりも大きく開口させることにより、ノズル40に流入した空気Airの流れをその下流側で絞らずに済む。これにより、空気Airは、ノズル40の内部をスムーズに流通可能となっている。
【0046】
なお、流入口41aの開口面積S1は、その上流側に配置されたファンケース56の吸入開口部56cの開口面積S3(
図3の網掛け部分を参照)よりも大きくなっている。すなわち、吸入開口部56cの開口面積S3は、流入口41aの開口面積S1よりも小さくなっている(S3<S1)。なお、本実施の形態では、S3は「220.4mm
2」に設定されている。
【0047】
これによっても、モータユニット50の駆動によりファンケース56に流入した空気Airの流れをその下流側で絞らずに済む。したがって、空気Airは、モータ収容部22の内部をスムーズに流通可能となっている。
【0048】
図4に示されるように、ノズル40の流入部41と吐出部42との間には、ノズル40の本体部分を形成する管部43が設けられている。管部43には、流入部41から吐出部42に向かう空気Airが流通するようになっている。
【0049】
管部43には、
図2および
図4に示されるように、複数の通気口44が設けられている。これらの通気口44は、管部43の内部と外部とを連通する孔であり、空気Airが流通可能となっている(
図9参照)。具体的には、流入部41から管部43に流れ込んだ空気Airが発生する負圧により、管部43の外部から内部に向けて通気口44を空気Airが流れる。つまり、複数の通気口44は、所謂「エジェクター」として機能する。これにより、吐出口42aから吐出される空気Airの風量を増加させることが可能となっている。
【0050】
ここで、管部43は、空気Airの流通方向における上流側から下流側に向けて、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が徐々に大きくなる流路面積拡張部43aを備えている。そして、この流路面積拡張部43aに複数の通気口44が設けられている。これにより、流路面積拡張部43aの上流側から下流側に空気Airが流れるにしたがって、空気Airの風量を徐々に増加させることが可能となっている。
【0051】
また、
図4および
図6に示されるように、管部43は、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う断面形状が円形の流路を有する円筒部43bと、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う断面形状が扁平の流路を有する扁平部43cと、を備えている。具体的には、扁平部43cは、第1直交方向(左右方向)の長さL1が長く、かつ第1直交方向に対して直交する第2直交方向(上下方向)の長さL2が短くなっている(L1>L2)。
【0052】
ここで、円筒部43bは流入部41側に配置され、扁平部43cは吐出部42側に配置されている。また、扁平部43cは、流路面積拡張部43aと実質的に同じ部分を形成する。つまり、扁平部43cには、複数の通気口44が設けられている。さらに、空気Airの流通方向において、扁平部43cの長さL3は、円筒部43bの長さL4の約13倍となっている(L3≒13×L4)。
【0053】
なお、
図4,
図5および
図7に示されるように、円筒部43bの外周部には、一対の突起部Tが一体に設けられている。これらの突起部Tは、円筒部43bの周方向に180度間隔で設けられている。つまり、一対の突起部Tは、円筒部43bを中心に対向配置されている。
【0054】
これにより、ノズル40は、モータ収容部22のノズル固定部22c(
図3参照)に対して、軸線CTを中心に、180度反転して着脱可能となっている。具体的には、
図3を参照すると、ノズル40は上下逆にしてもノズル固定部22cに装着可能となっている。よって、ノズル40をノズル固定部22cに対して容易に装着することができ、エアダスタ10の利便性が向上する。
【0055】
扁平部43cの具体的な形状について述べると、ノズル40を上下方向から見たときに、上流側から下流側に向けて徐々に幅広となるように、略ラッパ形状となっている。また、扁平部43cは、
図3および
図6に示されるように、ノズル40を前後方向および左右方向から見たときに、前後方向および左右方向に略均一の肉厚となっている。
【0056】
また、
図5,
図6および
図7に示されるように、扁平部43cは、第1直交方向において、軸線CTを中心に対称形状(鏡像対称)となっている。これにより、吐出口42aから吐出される空気Airの吐出先を、容易にコントロール可能としている。よって、エアダスタ10の操作性が向上する。また、ノズル40の見栄え(デザイン性)が向上する。
【0057】
そして、扁平部43cの下流側の流路の第1直交方向における長さL1は、円筒部43bの流路の直径D1よりも大きくなっている(L1>D1)。また、扁平部43cの下流側の流路の第2直交方向における長さL2は、円筒部43bの流路の直径D1よりも小さくなっている(L2<D1)。より具体的には、扁平部43cの下流側の流路の第2直交方向における長さL2は、円筒部43bの流路の直径D1の半分以下となっている(L2<D1/2)。
【0058】
これにより、ノズル40は、左右方向に線状に延びるようにして、空気Airを吐出することが可能となっている。よって、ノズル40は、幅狭の空間にも空気Airを吐出可能となっている。
【0059】
また、
図3および
図6に示されるように、扁平部43cの流路の第2直交方向における長さが、空気Airの流通方向における上流側から下流側に向けて徐々に大きくなっている。具体的には、扁平部43cの下流側の流路の第2直交方向における長さL2は、扁平部43cの上流側の流路の第2直交方向における長さL5よりも大きくなっている(L2>L5)。
【0060】
これにより、ノズル40を成形する金型(図示せず)を離型し易くして、ノズル40を容易に製造可能としている。すなわち、ノズル40(扁平部43c)の形状は、金型の抜き勾配を考慮した形状となっており、これにより製造性を向上させている。
【0061】
さらに、
図6に示されるように、扁平部43cの流路の第2直交方向における長さL2は、軸線CTの近傍において最も大きくなっており、扁平部43cの流路における軸線CTの近傍の部分以外の他の部分は、軸線CTの近傍の部分よりも小さくなっている。つまり、扁平部43cの流路の第2直交方向における長さL2は、軸線CTの近傍において他の部分よりも大きくなっている。
【0062】
これにより、ノズル40の左右方向における真ん中(軸線CTの部分)にも、十分な量の空気Airを流通させることが可能となる。よって、ノズル40から吐出される空気Airを、埃等(吐出先)に向けてコントロールし易くでき、エアダスタ10の操作性を向上させている。
【0063】
また、
図4に示されるように、扁平部43cの上流側、つまり円筒部43b側には、円錐状部45が設けられている。円錐状部45は、円筒部43b側から扁平部43c側に向けて先細り形状となっている。具体的には、円錐状部45は、円筒部43b側から扁平部43c側に向けて、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う流路面積を、徐々に小さくなるように変化させる機能を有している。
【0064】
これにより、円筒部43bから扁平部43cの上流側に向けて流れる空気Airを、スムーズに流通させることが可能となっている。仮に、流路面積を急激に変化させてしまうと、空気Airの圧力変動が大きくなり、空気Airのスムーズな流通が阻害され、ブラシレスモータ53(
図3参照)への負荷が大きくなったり、エアダスタ10の効率を下げたりすることになる。
【0065】
具体的には、
図8の[F-F断面]に示されるように、円筒部43bの部分における流路面積S1(575.25)から、
図8の[G-G断面]に示されるように、円錐状部45の上流側の部分における流路面積S4(478.05)のように徐々に小さくなるように変化する(S1>S4)。また、
図8の[H-H断面]に示されるように、円錐状部45の下流側の部分において、流路面積S5(352.45)のようにさらに小さくなるように変化し(S4>S5)、その後、
図8の[J-J断面]に示されるように、扁平部43cの上流側の部分において、流路面積S6(362.66)のように徐々に大きくなるように変化する(S5<S6)。
【0066】
これにより、円筒部43bから円錐状部45を介して扁平部43cの上流側に流れ込む空気Airは、大きな圧力変動をすることなくスムーズに流通する。なお、
図8に示されるS1,S4,S5,S6の数値(575.25,478.05,352.45,362.66)は、単に流路面積の大小を比較するために参考に記載した数値であって単位はない。
【0067】
図2,
図4および
図7に示されるように、複数の通気口44は、扁平部43cの上側および下側のそれぞれに分散して配置されている。具体的には、扁平部43cは、第2直交方向(上下方向)において互いに対向する上側壁43dおよび下側壁43eを備えており、これらの上側壁43dおよび下側壁43eのそれぞれに、複数の通気口44が設けられている。
【0068】
ここで、上側壁43dには、合計20個の通気口44が設けられ、下側壁43eには、合計18個の通気口44が設けられている。なお、上側壁43dは、本発明における一側壁部に相当し、下側壁43eは、本発明における他側壁部に相当する。
【0069】
そして、
図7に示されるように、上側壁43dに設けられる複数の通気口44は、軸線CTを中心に、軸線CTから離れた位置で左側および右側にそれぞれ10個ずつ設けられている。具体的には、それぞれの通気口44は、ノズル40を上下方向から見たときに、略四角形に形成され、空気Airの流通方向(前後方向)に整然と所定間隔で並んで配置されている。
【0070】
これに対し、下側壁43eに設けられる複数の通気口44は、軸線CTを中心に、軸線CTに近い位置で左側および右側にそれぞれ9個ずつ設けられている。下側壁43eに設けられる通気口44においても、略四角形に形成され、空気Airの流通方向(前後方向)に整然と所定間隔で並んで配置されている。
【0071】
このように、扁平部43cに設けられる複数の通気口44は、第1直交方向において、軸線CTを中心に対称(鏡像対称)となるように配置されている。これにより、軸線CTを基準にその両側に通気口44を配置して、空気Airの第1直交方向への吐出幅を容易に調整可能としている。また、ノズル40の見栄え(デザイン性)が向上する。
【0072】
さらに、
図7に示されるように、上側壁43dに設けられる通気口44(実線)および下側壁43eに設けられる通気口44(破線)は、第2直交方向(上下方向)から見たときに、互いに重なっていない。これにより、扁平部43cに流れ込んだ空気Airを、扁平部43cの左右方向に満遍なく広げることが可能となっている(
図10参照)。
【0073】
仮に、上側壁43dに設けられる通気口44および下側壁43eに設けられる通気口44を、第2直交方向において互いに重ねてしまうと、扁平部43cの内部を流れる空気Airのスムーズな流通を阻害する虞がある。すなわち、通気口44には、扁平部43cの外部から内部に空気Airが流入するが、その際に上側壁43dの通気口44から流入した空気Airと、下側壁43eの通気口44から流入した空気Airとが、上下方向において互いに衝突し、これにより、扁平部43cの内部に導入される空気Airの量が少なくなってしまう。これは、ノズル40の吐出口42aから吐出される空気Airの量が少なくなることを意味する。
【0074】
なお、通気口44の前後方向における長さは「3.8~3.9mm」に設定されており、通気口44を、当該大きさに設定して所定間隔で並べ、かつ上側壁43dおよび下側壁43eに分散して配置することで、ノズル40の十分な強度を確保している。また、本実施の形態では、通気口44の総開口面積は「917.4mm2」に設定されている。
【0075】
図7の網掛け部分に示されるように、複数の通気口44のうち、最も上流側にある合計4つの通気口44は、第2直交方向から見たときに、円錐状部45と扁平部43cとの境界部分BDの近傍に配置されている。これにより、空気Airの流通時に最も負圧が大きくなる部分(境界部分BDの扁平部43c側)から、扁平部43cの内部に効率良く外部の空気Airを導入することが可能となっている。よって、ブラシレスモータ53(
図3参照)への負荷を軽減しつつ、エアダスタ10の効率向上を図ることができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、網掛け部分に示される通気口44は、境界部分BDの形状に倣うように配置されている。つまり、網掛け部分に示される通気口44は、境界部分BDの円弧形状に沿うように円弧状に並んでいる。これにより、エアダスタ10の効率をより向上できるようにしている。ここで、網掛け部分で示した合計4つの通気口44は、本発明における上流側通気口に相当する。
【0077】
また、
図7に示されるように、扁平部43cを、空気Airの流通方向(前後方向)に沿って第1領域AR1,第2領域AR2および第3領域AR3に三等分したときに、第1領域AR1,第2領域AR2および第3領域AR3の全てに亘って通気口44が設けられている。
【0078】
ただし、本実施の形態のように、第1領域AR1,第2領域AR2および第3領域AR3の全てに亘って通気口44を設けるに限らず、ノズル40の仕様等によっては、少なくとも上流側の第1領域AR1に通気口44を設ければ良い。要するに、空気Airの流通時に最も負圧が大きくなる部分のみに、最低限の通気口44を設けて対応することもできる。
【0079】
<空気の流れ>
次に、以上のように形成されたエアダスタ10の動作、特に、空気Airの流れについて、図面を用いて詳細に説明する。
【0080】
図9はハウジングの内部での気体の流れを示す
図3に対応した図を、
図10はノズル内の内部での気体の流れを示す
図4に対応した図を、
図11は実施の形態1の解析結果を示す図を、
図12は比較例の解析結果を示す図をそれぞれ示している。
【0081】
作業者によりトリガスイッチSWが押圧操作されると、ブラシレスモータ53が駆動される。すると、回転軸52が所定方向に所定速度で回転されて、これに伴いファン54も回転される。これにより、モータ収容部22の内部およびノズル40の内部を、空気Airが流通するようになる。
【0082】
具体的には、空気Airは、
図9の矢印W1に示されるように、モータ収容部22の後方の吸気部22aからモータ収容部22の内部に流入し、これに続いてファンケース56の吸入開口部56cに流入する。
【0083】
次いで、空気Airは、
図9の矢印W2に示されるように、ファン54の径方向外側から、ファンケース56の側壁部56bと駆動部51との間の空気流路APに流れて、ファンケース56の前方に吐出される。
【0084】
その後、空気Airは、
図9の矢印W3に示されるように、モータ収容部22の内部を流れて、モータ収容部22の前方の排気部22bに到達する。次いで、空気Airは、ノズル40の流入口41a(
図4参照)を介して円筒部43bに流入する。
【0085】
円筒部43bに流入した空気Airは、
図9の矢印W4に示されるように、円錐状部45を通過して、その後、扁平部43cの内部に流入する。これにより、空気Airは、扁平部43cの内部を上流側から下流側に向けて流れて、吐出口42a(
図4参照)からエアダスタ10の前方に吐出される。
【0086】
その際に、扁平部43cの内部では、
図9の矢印W5に示されるように、複数の通気口44を介して、ノズル40(扁平部43c)の外部から内部に空気Airが流入して、矢印W4の流れ(本流)に合流する。これにより、扁平部43cの内部において、空気Airの量が増加する。よって、吐出口42aから多くの空気Airが吐出される。
【0087】
なお、扁平部43cの内部を流通する空気Airは、複数の通気口44を避けるようにして流通する。具体的には、
図9の矢印W5に示されるように、通気口44に流入した空気Airが、
図9の矢印W4に示される本流の空気Airに衝突する。これにより、空気Airは、複数の通気口44を避けるようにして流通する。
【0088】
これにより、
図7に示される複数の通気口44の配置関係と相俟って、扁平部43cをその上流側から下流側に流通する空気Airは、
図10の矢印W6に示されるように、第1直交方向(左右方向)に広がるようにして流通する。よって、吐出口42aから多くの空気Airが吐出され、かつ第1直交方向に対して広範囲に空気Airを吐出することが可能となる。
【0089】
ここで、本実施の形態におけるノズル40を流通する空気Airの状態を、コンピュータで流体解析したところ、
図11に示されるような解析結果が得られた。なお、
図11の上段の濃淡は、空気Airの流速(Velocity)を示している。また、
図11の下段の濃淡は、空気Airの圧力(Pressure)を示している。
【0090】
具体的には、
図11の下段に示されるように、ノズル40に設けられた複数の通気口44(
図7参照)からノズル40の内部に空気Airが流入することに伴い、矢印の「NP Low」に示されるように、ノズル40の上流側に発生する負圧領域の圧力が比較的小さくなっていることが判る。これは、ノズル40の内部を流通する空気Airの量が増加していることを意味する。
【0091】
また、
図11の上段に示されるように、吐出口42aから吐出される多くの空気Airは、第1直交方向(
図11の上下方向)に対して、幅広の吐出幅DW1で略ムラ無く吐出されることが判った。
【0092】
これに対し、
図12は、比較例(通気口を有さないノズル40と同形状のノズルNZ)の解析結果であって、
図12の下段に示されるように、ノズルNZには通気口が設けられていないことから、矢印の「NP High」に示されるように、ノズルNZの上流側に発生する負圧領域の圧力が非常に大きくなっていることが判る。よって、ノズルNZの内部を流通する空気Airの量が増加せず、これに加えてノズルNZの内部を流通する空気Airには流動抵抗が生じる。
【0093】
また、
図12の上段に示されるように、ノズルNZの吐出口OPから吐出される空気Airは、第1直交方向(
図12の上下方向)に対して、幅広に吐出されずに狭い吐出幅DW2(DW2<DW1)で吐出されることが判った。なお、
図12の上段の濃淡においても、空気Airの流速(Velocity)を示している。また、
図12の下段の濃淡においても、空気Airの圧力(Pressure)を示している。
【0094】
以上詳述したように、実施の形態1のエアダスタ10によれば、ノズル40は、排気部22bから排気された空気Airが流入する流入部41と、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が流入部41よりも大きく、かつ流入部41の下流側で空気Airを吐出する吐出部42と、流入部41と吐出部42との間に設けられ、流入部41から吐出部42に向かう空気Airが流通する管部43と、を備え、管部43には、管部43の内部と外部とを連通する通気口44が設けられている。
【0095】
これにより、空気Airの吐出量増加および空気Airの広範囲への吐出を可能としたエアダスタ10を実現することができる。よって、エアダスタ10の利便性を向上させることが可能となる。
【0096】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、流入部41は、空気Airの入口となる流入口41aを備え、吐出部42は、空気Airの出口となる吐出口42aを備え、吐出口42aの開口面積S2が、流入口41aの開口面積S1よりも大きい。
【0097】
これにより、ノズル40に流入した空気Airの流れを、その下流側で絞らずに済む。したがって、空気Airをノズル40の内部でスムーズに流通させることができ、ひいてはブラシレスモータ53への負荷を軽減して、エアダスタ10の効率を向上させることができる。
【0098】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、ブラシレスモータ53およびファン54を収容し、かつモータ収容部22に収容されるファンケース56を備え、ファンケース56に設けられる吸入開口部56cの開口面積S3が、流入口41aの開口面積S1よりも小さい。
【0099】
これにより、モータユニット50の駆動によりファンケース56に流入した空気Airの流れをその下流側で絞らずに済む。したがって、空気Airを、モータ収容部22の内部でスムーズに流通させることができる。
【0100】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、管部43は、空気Airの流通方向における上流側から下流側に向けて、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う流路面積が徐々に大きくなる流路面積拡張部43aを備え、通気口44が流路面積拡張部43aに設けられている。
【0101】
これにより、流路面積拡張部43aの上流側から下流側に空気Airが流れるにしたがって、空気Airの風量を徐々に増加させることができる。
【0102】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、管部43は、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う断面形状が円形の流路を有する円筒部43bと、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う断面形状が扁平の流路を有する扁平部43cと、を備え、扁平部43cは、空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う第1直交方向の長さが長く、かつ第1直交方向に対して直交する第2直交方向の長さが短くなっており、扁平部43cに通気口44が設けられると共に、扁平部43cの下流側の流路の前記第1直交方向における長さL1が、円筒部43bの流路の直径D1よりも大きい。
【0103】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、扁平部43cの下流側の流路の第2直交方向における長さL2が、円筒部の流路の直径D1よりも小さい。
【0104】
これにより、ノズル40は、左右方向に線状に延びるようにして、空気Airを吐出することができる。したがって、ノズル40は、幅狭の空間にも空気Airを吐出することが可能となる。
【0105】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、扁平部43cの上流側に、下流側に向けて先細り形状となり、円筒部43b側から扁平部43c側に向けて空気Airの流通方向と直交する直交面に沿う流路面積を徐々に変化させる円錐状部45が設けられている。
【0106】
これにより、円筒部43bから扁平部43cの上流側に向けて流れる空気Airの圧力変動を抑えて、空気Airをスムーズに流通させることができる。空気Airの圧力変動が抑えられるので、ブラシレスモータ53に掛かる負荷を小さくでき、エアダスタ10の効率を向上させることができる。
【0107】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、通気口44は、第2直交方向から見たときに、円錐状部45と扁平部43cとの境界部分BDの近傍に配置された上流側通気口を含む。そして、実施の形態1のエアダスタ10によれば、複数の上流側通気口(通気口44)が、境界部分BDの形状に倣って並んでいる。
【0108】
これにより、エアダスタ10の効率をより向上させることができる。
【0109】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、扁平部43cの下流側の流路の第2直交方向における長さL2が、円筒部43bの流路の直径D1の半分以下である。
【0110】
これによっても、ノズル40は、左右方向に線状に延びるようにして、空気Airを吐出することができる。したがって、ノズル40は、幅狭の空間にも空気Airを吐出することができる。
【0111】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、扁平部43cの流路の第2直交方向における長さが、空気Airの流通方向における上流側から下流側に向けて徐々に大きくなる。
【0112】
これにより、ノズル40を成形する金型を離型し易くして、ノズル40を容易に製造することが可能となる。よって、ノズル40の製造性を向上させることができる。
【0113】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、扁平部43cが、第1直交方向において、軸線CTを中心に対称形状である。
【0114】
これにより、吐出口42aから吐出される空気Airの吐出先を、容易にコントロールすることができる。よって、エアダスタ10の操作性を向上させることができる。また、ノズル40の見栄え(デザイン性)を向上させることができる。
【0115】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、扁平部43cの流路の第2直交方向における長さが、軸線CTの近傍において他の部分よりも大きくなっている。
【0116】
これにより、ノズル40の左右方向における真ん中(軸線CTの部分)にも、十分な量の空気Airを流通させることができる。よって、ノズル40から吐出される空気Airを、埃等(吐出先)に向けてコントロールし易くして、エアダスタ10の操作性を向上させることができる。
【0117】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、ノズル40は、モータ収容部22の排気部22bに対して、軸線CTを中心に、180度反転して着脱可能である。
【0118】
これにより、方向性を考慮せずに、ノズル40をノズル固定部22cに対して容易に装着することができる。よって、エアダスタ10の利便性を向上することができる。
【0119】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、第2直交方向において互いに対向し、扁平部43cを形成する上側壁43dおよび下側壁43eのそれぞれに、複数の通気口44が設けられている。
【0120】
これにより、ノズル40の十分な強度を確保することができる。
【0121】
さらに、実施の形態1のエアダスタ10によれば、上側壁43dに設けられる通気口44および下側壁43eに設けられる通気口44は、第2直交方向から見たときに互いに重ならない。
【0122】
これにより、扁平部43cに流れ込んだ空気Airを、扁平部43cの第1直交方向(左右方向)に満遍なく広げることができる(吐出幅拡大)。
【0123】
また、実施の形態1のエアダスタ10によれば、通気口44は、空気Airの流通方向に並んで複数設けられている。
【0124】
これにより、ノズル40の見栄え(デザイン性)を向上させることができる。
【0125】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分について、同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0126】
図13は実施の形態2のノズルを上方から見た図を、
図14は実施の形態2のノズルを下方から見た図を、
図15は実施の形態2のノズルの
図6に対応した図を、
図16は実施の形態2のノズルの
図4に対応した図を、
図17は実施の形態2の解析結果を示す図をそれぞれ示している。
【0127】
図13ないし
図17に示されるように、実施の形態2では、実施の形態1に比して、ノズル60の形状のみが異なっている。具体的には、実施の形態2のノズル60では、扁平部61の下流側に、第1直交方向(左右方向)に段差状に膨出した膨出部62が設けられている。また、実施の形態2のノズル60では、上側壁43dおよび下側壁43eのそれぞれに、複数の丸孔からなる第1通気口(通気口)63と、複数の長孔からなる第2通気口(通気口)64と、が設けられている。さらに、実施の形態2のノズル60では、扁平部61の内側に、上流側から下流側に向けて延びる合計4つの長尺凸部65が設けられている。
【0128】
具体的には、
図13に示されるように、上側壁43dには、扁平部61の上流側(後側)において、上流側にV字の上側が向くように略V字状に並べられた複数の第1通気口63が設けられている。また、上側壁43dには、扁平部61の下流側(前側)において、下流側にV字の上側が向くように略V字状に並べられた複数の第2通気口64が設けられている。
【0129】
これに対し、
図14に示されるように、下側壁43eには、扁平部61の上流側(後側)において、上流側にM字の上側が向くように略M字状に並べられた複数の第2通気口64が設けられている。また、下側壁43eには、扁平部61の下流側(前側)において、下流側にV字の上側が向くように略V字状に並べられた複数の第1通気口63が設けられている。
【0130】
さらに、下側壁43eの膨出部62に対応した部分で、かつ第1直交方向における両側には、前後方向に直線状に並べられた第1通気口63(3個ずつ)が設けられている。膨出部62の第1直交方向両側に3個ずつ直線状に配置された第1通気口63は、空気Airの吐出幅DW3(
図17参照)が、第1直交方向に広がり過ぎるのを抑える機能を有する。
【0131】
また、
図15および
図16に示されるように、合計4つの長尺凸部65は、上側壁43dおよび下側壁43eのそれぞれに対し、扁平部61の内側を向き、かつ互いに対向するようにして設けられている。なお、
図16に示されるように、それぞれの長尺凸部65は、上流側よりも下流側の方が、第1直交方向において薄肉となっている。これは、金型の抜き勾配を確保するためである。
【0132】
以上のように形成された実施の形態2においても、
図17に示されるように、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、幅広の吐出幅DW3(DW3≒DW1)を得ることができる。なお、
図17の上段の濃淡においても、空気Airの流速(Velocity)を示している。また、
図17の下段の濃淡においても、空気Airの圧力(Pressure)を示している。
【0133】
これに加えて、実施の形態2では、合計4つの長尺凸部65が設けられているので、ノズル60の強度を高めることができる。つまり、長尺凸部65は、補強リブとしての機能を有する。そのため、より多くの第1,第2通気口63,64を設けることができ、さらには第1,第2通気口63,64を、上側壁43dおよび下側壁43eのそれぞれに対し、より複雑に配置することができる(デザイン性向上)。
【0134】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述したエアダスタ10は、バッテリパックBTからの駆動電流の供給により駆動されるモータユニット50を備えたものを示したが、本発明はこれに限らず、商用電源(AC電源)から電源コードを介してモータユニットに駆動電流を供給するものにも適用することができる。
【0135】
また、エアダスタ10の代わりに、例えば、特開2022-123186号公報に記載されているような、公知の送風機にノズル40を取り付けても良い。エアダスタ10においては、ブラシレスモータ53の回転軸52の回転中心かつファン54の回転中心である軸線CTが、ノズル40の内部における空気Airの流通方向である前後方向に延びる構成であったが、特開2022-123186号公報に記載されている送風機は、モータの回転軸の回転中心およびファンの回転中心の軸線が左右方向に延びている。このように、送風機は、モータの回転軸の回転中心またはファンの回転中心の軸線が、前後方向とは異なる方向に延びる構成であっても良い。
【0136】
その他、上述の各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0137】
10…エアダスタ(作業機)、20…エアダスタ本体(作業機本体)、21…ハウジング、21a…第1ハウジング半体、21b…第2ハウジング半体、22…モータ収容部、22a…吸気部、22b…排気部、22c…ノズル固定部、23…バッテリ装着部、24…ハンドル部、40…ノズル、41…流入部、41a…流入口、42…吐出部、42a…吐出口、43…管部、43a…流路面積拡張部、43b…円筒部、43c…扁平部、43d…上側壁(一側壁部)、43e…下側壁(他側壁部)、44…通気口、45…円錐状部、50…モータユニット、51…駆動部、52…回転軸、53…ブラシレスモータ(モータ)、54…ファン、55…制御基板、56…ファンケース、56a…底壁部、56b…側壁部、56c…吸入開口部(ファンケース吸気口)、56d…空気排出口、60…ノズル、61…扁平部、62…膨出部、63…第1通気口(通気口)、64…第2通気口(通気口)、65…長尺凸部、AP…空気流路、AR1…第1領域、AR2…第2領域、AR3…第3領域、Air…空気(気体)、BD…境界部分、BT…バッテリパック、CT…軸線、LS:ロックフリースイッチ、LT…LEDライト、NZ…ノズル、OP…吐出口、SW…トリガスイッチ、T…突起部、TU…モータ側端子ユニット