(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172601
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/12 20060101AFI20241205BHJP
H01H 71/12 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01H73/12
H01H71/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090426
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】岩下 説志
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030CA03
(57)【要約】
【課題】表示装置を筐体内部の付属装置と両立させて設置することができる回路遮断器を得ること。
【解決手段】回路遮断器100は、筐体1と、固定接点30を有する固定接触子3と、可動接点40を有する可動接触子4と、押板5と、開閉機構部6と、トリップバー70と、トリップボタン71と、弾性部材72と、表示装置8と、を備えている。筐体1には、表示窓14が形成されている。表示装置8は、連結棒80と、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。連結棒80は、弾性部材72に連結されており、押板5に押されて移動すると、弾性部材72によって押板5に向かって付勢される。表示片81は、接触表示部と開離表示部とを有し、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部又は開離表示部を表示窓14に表示させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭を形成する筐体と、
固定接点を有する固定接触子と、
前記固定接点と対向する可動接点を有する可動接触子と、
前記可動接触子に連結され、前記固定接点に前記可動接点を押し付ける押板と、
前記押板を操作して前記固定接点と前記可動接点との接触及び開離を行う開閉機構部と、
前記開閉機構部をトリップ状態にさせるトリップバーと、
前記筐体の外面から前記トリップバーを操作するトリップボタンと、
前記トリップボタンを付勢する弾性部材と、
前記固定接点と前記可動接点との接離状態を表示させる表示装置と、を備え、
前記筐体には、前記固定接点と前記可動接点との接離状態が表示される表示窓が形成されており、
前記表示装置は、
前記押板に押されて移動する連結棒と、
前記連結棒に接続され、前記連結棒の移動に連動して移動する表示片と、を有し、
前記連結棒は、前記弾性部材に連結されており、前記押板に押されて移動すると、前記弾性部材によって前記押板に向かって付勢され、
前記表示片は、
前記固定接点と前記可動接点とが接触状態であることが記された接触表示部と、前記固定接点と前記可動接点とが開離状態であることが記された開離表示部と、を有し、
前記連結棒の移動に連動して移動することによって前記接触表示部又は前記開離表示部を前記表示窓に表示させることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記トリップボタンと一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
外郭を形成する筐体と、
固定接点を有する固定接触子と、
前記固定接点と対向する可動接点を有する可動接触子と、
前記可動接触子に連結され、前記固定接点に前記可動接点を押し付ける押板と、
前記押板を操作して前記固定接点と前記可動接点との接触及び開離を行う開閉機構部と、
前記固定接点と前記可動接点との接離状態を表示させる表示装置と、を備え、
前記筐体には、前記固定接点と前記可動接点との接離状態が表示される表示窓が形成されており、
前記表示装置は、
前記押板に押されて移動する連結棒と、
前記連結棒に接続され、前記連結棒の移動に連動して移動する表示片と、を有し、
前記表示片は、
前記固定接点と前記可動接点とが接触状態であることが記された接触表示部と、前記固定接点と前記可動接点とが開離状態であることが記された開離表示部と、前記連結棒が前記押板に押されて移動すると撓み、前記連結棒を前記押板に向かって付勢する付勢部と、を有し、
前記連結棒の移動に連動して移動することによって前記接触表示部又は前記開離表示部を前記表示窓に表示させることを特徴とする回路遮断器。
【請求項4】
前記表示片は、可撓性を有する帯状のシートとされ、一端部が前記連結棒に接続されており、
前記付勢部は、前記接触表示部及び前記開離表示部を設けた部分から前記表示片の他端部に向かって延伸させた部分であることを特徴とする請求項3に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記表示片は、可撓性を有する帯状のシートとされ、一端部が前記連結棒に接続されており、一端部から他端部に向かう途中で二股に分かれて延伸し、二股の一方に前記接触表示部及び前記開離表示部が設けられ、二股の他方が前記付勢部とされていることを特徴とする請求項3に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定接点と可動接点との接離状態を表示する表示装置を備えた回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定接点と可動接点との接離状態を表示する表示装置を備えた回路遮断器が知られている。例えば、特許文献1に開示された回路遮断器は、ベースとカバーとからなる筐体の内部に表示装置が収容された構成である。この表示装置は、可動接触子を駆動させる押板の上端面に、下端部が当接する連結棒と、連結棒の上端部に固定された表示片と、連結棒の下端部が押板の上端面に当接するように連結棒を付勢する付勢ばねと、を備えている。表示片は、カバーに形成された表示窓に「ON」又は「OFF」等の文字を表示させる表示部を備えている。「ON」は、可動接点と固定接点とが接触状態であることを示す。「OFF」は、可動接点と固定接点とが開離状態であることを示す。また、付勢ばねは、連結棒に装着されている。
【0003】
可動接点と固定接点とが接触する「ON」状態では、押板が可動接触子と共に下方に移動し、付勢ばねによって押板の上端面に付勢された連結棒が押し下げられる。連結棒が押し下げられることにより、連結棒に固定された表示片も下方に引き降ろされ、カバーの表示窓に「ON」が表示される。一方、可動接点と固定接点とが開離する「OFF」状態では、押板が可動接触子と共に上方に移動し、連結棒が押板により付勢ばねの付勢に打ち勝って押し上げられる。連結棒が押し上げられることにより、連結棒に固定された表示片も上方に引き上げられて、カバーの表示窓に「OFF」が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、表示装置が連結棒及び表示片の他に付勢ばねを有しているため、表示装置の構造が複雑となり、設置スペースの制約を受けて、表示装置を筐体内部の付属装置と両立させて設置できない場合がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、表示装置を筐体内部の付属装置と両立させて設置することができる回路遮断器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる回路遮断器は、外郭を形成する筐体と、固定接点を有する固定接触子と、固定接点と対向する可動接点を有する可動接触子と、可動接触子に連結され、固定接点に可動接点を押し付ける押板と、押板を操作して固定接点と可動接点との接触及び開離を行う開閉機構部と、開閉機構部をトリップ状態にさせるトリップバーと、筐体の外面からトリップバーを操作するトリップボタンと、トリップボタンを付勢する弾性部材と、固定接点と可動接点との接離状態を表示させる表示装置と、を備えている。筐体には、固定接点と可動接点との接離状態が表示される表示窓が形成されている。表示装置は、押板に押されて移動する連結棒と、連結棒に接続され、連結棒の移動に連動して移動する表示片と、を有し、連結棒は、弾性部材に連結されており、押板に押されて移動すると、弾性部材によって押板に向かって付勢され、表示片は、固定接点と可動接点とが接触状態であることが記された接触表示部と、固定接点と可動接点とが開離状態であることが記された開離表示部と、を有し、連結棒の移動に連動して移動することによって接触表示部又は開離表示部を表示窓に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる回路遮断器によれば、表示装置を筐体内部の付属装置と両立させて設置することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる回路遮断器であってON状態を示した正面図
【
図3】実施の形態1にかかる回路遮断器の要部を拡大して示した断面図
【
図4】実施の形態1にかかる回路遮断器であって筐体のカバーを取り外した状態を示した斜視図
【
図5】実施の形態1にかかる回路遮断器であってOFF状態を示した正面図
【
図7】実施の形態1にかかる回路遮断器の変形例を示した縦断面図
【
図8】実施の形態2にかかる回路遮断器であって筐体のカバーを取り外した状態を示した斜視図
【
図9】実施の形態3にかかる回路遮断器であって筐体のカバーを取り外した状態を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態にかかる回路遮断器を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる回路遮断器であってON状態を示した正面図である。
図2は、
図1に示したII-II線矢視断面図である。
図3は、実施の形態1にかかる回路遮断器の要部を拡大して示した断面図である。
図4は、実施の形態1にかかる回路遮断器であって筐体のカバーを取り外した状態を示した斜視図である。
図5は、実施の形態1にかかる回路遮断器であってOFF状態を示した正面図である。
図6は、
図5に示したVI-VI線矢視断面図である。
【0012】
本実施の形態1にかかる回路遮断器100は、過電流若しくは短絡電流を検出して電路を遮断する配線用遮断器、又は漏電を検出して電路を遮断する漏電遮断器である。回路遮断器100がON状態である場合、回路遮断器100は閉状態であって電路に電流が流れる。また、回路遮断器100がOFF状態である場合、回路遮断器100は開状態であって電路の電流が遮断される。
【0013】
本実施の形態1にかかる回路遮断器100は、
図1~
図4に示すように、筐体1と、操作ハンドル2と、固定接触子3と、可動接触子4と、押板5と、開閉機構部6と、トリップバー70と、トリップボタン71と、弾性部材72と、表示装置8と、を備えている。
【0014】
筐体1は、回路遮断器100の外郭を形成するものである。筐体1は、プラスチック等の絶縁材料で形成されたベース10及びカバー11を有する。ベース10とカバー11とで囲まれた内部空間には、固定接触子3、可動接触子4、押板5、開閉機構部6、トリップバー70、弾性部材72及び表示装置8が収容されている。なお、以下の説明では、ベース10からカバー11に向かう方向を上方とし、カバー11からベース10に向かう方向を下方とする。ただし、この上下方向は回路遮断器100の設置姿勢を規定するものではない。
【0015】
図1及び
図2に示すように、ベース10には、負荷側の外部電線が接続される負荷側端子12と、供給側の外部電線が接続される電源側端子13とが設けられている。カバー11は、ベース10上に配置された回路遮断器100の構成部材を覆うものである。カバー11には、固定接触子3と可動接触子4との接離状態が表示される表示窓14が形成されている。また、カバー11には、操作ハンドル2を外部へ突出させる開口部15が形成されている。また、カバー11には、トリップボタン71を外部へ露出させる開口部16が形成されている。
【0016】
図1~
図4に示すように、操作ハンドル2は、カバー11に形成された開口部15から外部へ突出し、使用者が操作する操作部20と、操作部20によって回動して開閉機構部6を動かす回転部21と、を有している。操作ハンドル2を操作することにより、開閉機構部6が作動し、固定接触子3と可動接触子4とが接触又は開離して、回路遮断器100が閉状態から開状態又は開状態から閉状態となる。回転部21には、
図1に示すように、回路遮断器100が閉状態であることを示す「ON」の文字と、
図5に示すように、回路遮断器100が開状態であることを示す「OFF」の文字と、が印字されている。これにより、回路遮断器100が開状態であるか閉状態であるかが、開口部15から一目で判断できるようになっている。なお、回転部21に記される文字は、「ON」及び「OFF」に限定されず、回路遮断器100が開状態及び閉状態であることを示すものであればよい。
【0017】
図2に示すように、固定接触子3は、固定接点30を有しており、可動接触子4と相対する位置に配置されている。可動接触子4は、固定接点30と対向する可動接点40を有している。固定接触子3と可動接触子4とは、固定接点30と可動接点40とが筐体1の内部の消弧室17に位置するように設けられている。可動接触子4は、開離ばね(図示省略)によって固定接触子3から離れる方向に付勢されている。可動接点40が固定接点30に接触すれば、回路遮断器100がON状態となり、負荷側端子12と電源側端子13との間の電路に電流が流れる。可動接点40が固定接点30から開離すれば、回路遮断器100がOFF状態となり、負荷側端子12と電源側端子13との間の電路の電流が遮断される。
【0018】
図2に示すように、押板5は、可動接触子4に連結され、開閉機構部6の動作によって、可動接点40を固定接点30へ押し付けるものである。押板5は、プラスチック等の絶縁材料で形成されている。押板5は、可動接触子4に連結された状態で、筐体1のベース10に形成された溝(図示省略)に沿って筐体1の上下方向に移動可能に構成されている。
【0019】
図2~
図4に示すように、開閉機構部6は、例えば周知のトグルリンク機構を有しており、押板5を動かして固定接点30と可動接点40とを接触及び開離させるものである。開閉機構部6は、操作ハンドル2に接続されており、使用者が操作ハンドル2を操作することによって、押板5を上下移動させて、固定接点30と可動接点40との接触及び開離を行う。
【0020】
ここで、回路遮断器100がON状態からOFF状態へ移行する際の動作について説明する。
図2に示すように、回路遮断器100がON状態から、使用者によって操作ハンドル2が操作されると、開閉機構部6による押板5の押圧状態が解除され、開離ばねの付勢力を受けて押板5が上方へ移動する。押板5が上方に移動すると、押板5に連結されている可動接触子4が、開離ばねからの反力を受けて上方へ移動する。これにより、
図6に示すように、固定接点30と可動接点40とが開離して回路遮断器100がOFF状態になる。このとき、
図5に示すように、操作ハンドル2は、OFFの位置で停止する。
【0021】
次に、回路遮断器100がOFF状態からON状態へ移行する際の動作について説明する。
図6に示すように、回路遮断器100がOFF状態から、使用者によって操作ハンドル2が操作されると、開閉機構部6によって押板5が押し下げられる。押板5が下方に移動すると、押板5に連結されている可動接触子4が開離ばねの付勢力に打ち勝って下方へ移動する。これにより、
図2に示すように、固定接点30に可動接点40が接触して、回路遮断器100がON状態になる。このとき、
図1に示すように、操作ハンドル2は、ONの位置で停止する。
【0022】
図2に示すように、トリップバー70は、過電流又は短絡電流といった電流異常を検出した場合に、開閉機構部6をトリップ状態にさせるものである。回路遮断器100は、電流異常を検出すると、トリップバー70によって開閉機構部6が駆動し、開閉機構部6による押板5の押圧状態が解除されて固定接点30と可動接点40とが開離し、トリップ状態となる。
【0023】
図1~
図3に示すように、トリップボタン71は、回路遮断器100のトリップ動作をテストするために設けられている。
図1及び
図2に示すように、トリップボタン71は、カバー11に形成された開口部16から外部へ露出するように設けられている。トリップボタン71は、トリップバー70を駆動させる駆動機構(図示省略)と接続されている。また、トリップボタン71は、弾性部材72によって駆動機構から離れる方向に付勢されている。弾性部材72は、一例としてばね材である。なお、弾性部材72は、ばね材に限定されず、例えばゴム材等、弾性を有するものであればよい。筐体1の外面からトリップボタン71が押されると、駆動機構を介してトリップバー70が動作する。すなわち、回路遮断器100は、使用者が筐体1の外面からトリップボタン71を押すと、トリップバー70によって開閉機構部6が駆動し、開閉機構部6による押板5の押圧状態が解除されて固定接点30と可動接点40とが開離し、トリップ状態となる。
【0024】
図2~
図4に示すように、表示装置8は、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させるものである。表示装置8は、押板5に押されて移動する連結棒80と、連結棒80に接続され、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。
【0025】
連結棒80は、プラスチック等の絶縁材料で形成されており、筐体1の上下方向に沿って伸びるように設けられている。連結棒80は、下端部が押板5の上面と対向するように配置され、上端部に表示片81が接続されている。連結棒80には、上下方向の略中央位置から弾性部材72に向かって突き出した係合部80aが設けられている。連結棒80は、係合部80aが弾性部材72に連結されており、押板5に押されて移動すると、弾性部材72によって押板5に向かって付勢される。弾性部材72は、一端がトリップボタン71に接続されてトリップボタン71をトリップバー70から離れる方向に付勢し、他端が連結棒80の係合部80aに接続されて連結棒80を押板5に向かって付勢する。
【0026】
図4に示すように、表示片81は、一例として可撓性を有する帯状のシートである。表示片81は、一端部が連結棒80の上端部に接続されており、他端部に向かってカバー11の上面に沿うように、屈曲させて形成されている。カバー11の内面には、表示片81の移動をガイドするガイド部(図示省略)が形成されている。ガイド部は、一例として溝状とされ、表示窓14の下方を表示片81が移動できるように形成されている。表示片81は、連結棒80の移動に連動してガイド部内を移動する。
【0027】
表示片81は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であることが記された接触表示部81aと、固定接点30と可動接点40とが開離状態であることが記された開離表示部81bと、を有している。表示片81は、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部81a又は開離表示部81bをカバー11に形成された表示窓14に表示させる。
【0028】
図1に示すように、接触表示部81aには、接触状態として「ON」を表す表示用記号である「|」が記されている。
図5に示すように、開離表示部81bには、「OFF」を表す表示用記号である「〇」が記されている。なお、接触表示部81a及び開離表示部81bは、「|」及び「〇」等の記号に限定されず、文字が印刷又は刻印されていてもよいし、接触状態と開離状態とを異なる色で表してもよい。すなわち、接触表示部81a及び開離表示部81bは、接触状態と開離状態とが識別可能であれば、どのような構成でもよい。
【0029】
図2に示すように、表示装置8は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であると、押板5が可動接触子4と共にベース10側である下方に位置する。この状態では、連結棒80の下端部が押板5の上端面50に当接しない。そのため、連結棒80の係合部80aは、弾性部材72に付勢され、ベース10側に移動する。また、連結棒80に接続された表示片81もベース10側に引き降ろされる。その結果、
図1に示すように、カバー11の表面に形成された表示窓14には、接触表示部81aに記された「|」が表示される。
【0030】
図6に示すように、表示装置8は、固定接点30と可動接点40とが開離状態であると、押板5が可動接触子4と共にカバー11の上面側である上方に移動する。このとき、連結棒80の下端部が押板5の上端面50に当接し、連結棒80が押板5によって押し上げられる。押板5の押上力は、弾性部材72の付勢力より大きい。そのため、連結棒80は、カバー11の上面側である上方に押し上げられ、表示片81がガイド部に沿って表示窓14の下方を移動する。その結果、
図5に示すように、カバー11の表面に形成された表示窓14には、開離表示部81bに記された「〇」が表示される。
【0031】
図7は、実施の形態1にかかる回路遮断器の変形例を示した縦断面図である。
図7では、固定接点30と可動接点40とが開離している状態を示している。
図7に示した弾性部材72は、トリップボタン71の一部として一体的に形成されている。具体的には、トリップボタン71及び弾性部材72は、一例としてゴム材等で一体的に形成されている。弾性部材72は、一端がトリップボタン71をトリップバー70から離れる方向に付勢すると共に、他端が連結棒80の係合部80aに接続されて連結棒80を押板5に向かって付勢する。これにより、回路遮断器100の部材点数を削減することができ、回路遮断器100の製造コストを削減することができる。
【0032】
以上のように、本実施の形態1にかかる回路遮断器100は、外郭を形成する筐体1と、固定接点30を有する固定接触子3と、固定接点30と対向する可動接点40を有する可動接触子4と、可動接触子4に連結され、固定接点30に可動接点40を押し付ける押板5と、押板5を操作して固定接点30と可動接点40との接触及び開離を行う開閉機構部6と、開閉機構部6をトリップ状態にさせるトリップバー70と、筐体1の外面からトリップバー70を操作するトリップボタン71と、トリップボタン71を付勢する弾性部材72と、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させる表示装置8と、を備えている。筐体1には、固定接点30と可動接点40との接触状態又は開離状態が表示される表示窓14が形成されている。表示装置8は、押板5に押されて移動する連結棒80と、連結棒80に接続され、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。連結棒80は、弾性部材72に連結されており、押板5に押されて移動すると、弾性部材72によって押板5に向かって付勢される。表示片81は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であることが記された接触表示部81aと、固定接点30と可動接点40とが開離状態であることが記された開離表示部81bと、を有し、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部81a又は開離表示部81bを表示窓14に表示させる。
【0033】
本実施の形態1にかかる回路遮断器100は、トリップボタン71を付勢する弾性部材72を利用することで、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させる表示装置8を簡易な構造とした。よって、本実施の形態1にかかる回路遮断器100は、設置スペースの制約を受け難くなり、表示装置8を筐体1の内部の付属装置と両立させて設置することができる。
【0034】
実施の形態2.
次に、
図1及び
図5を参照しつつ、
図8を参照して実施の形態2にかかる回路遮断器101について説明する。
図8は、実施の形態2にかかる回路遮断器であって筐体のカバーを取り外した状態を示した斜視図である。なお、実施の形態1で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0035】
図8に示すように、本実施の形態2にかかる回路遮断器101は、表示装置8Aの構成が実施の形態1の表示装置8と異なる。本実施の形態2における表示装置8Aは、押板5に押されて移動する連結棒80と、連結棒80に接続され、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。
【0036】
表示片81は、一例として可撓性を有する帯状のシートである。表示片81は、一端部が連結棒80の上端部に接続されており、他端部に向かってカバー11の上面に沿うように、屈曲させて形成されている。カバー11の内面には、表示片81の移動をガイドするガイド部(図示省略)が形成されている。ガイド部は、一例として溝状とされ、表示窓14の下方を表示片81が移動できるように形成されている。表示片81は、連結棒80の移動に連動してガイド部内を移動する。
【0037】
表示片81は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であることが記された接触表示部81aと、固定接点30と可動接点40とが開離状態であることが記された開離表示部81bと、連結棒80が押板5に押されて移動すると撓み、連結棒80を押板5に向かって付勢する付勢部82と、を有している。表示片81は、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部81a又は開離表示部81bを表示窓14に表示させる。
【0038】
付勢部82は、接触表示部81a及び開離表示部81bを設けた部分から表示片81の他端部に向かって延伸させた部分である。付勢部82は、連結棒80が押板5によって押し上げられたとき、ガイド部の壁面に突き当たって撓むことで、連結棒80を押板5の方向に付勢する。
【0039】
回路遮断器101では、固定接点30と可動接点40とが接触状態であると、押板5が可動接触子4と共にベース10側である下方に位置する。この状態では、連結棒80の下端部が押板5の上端面50に当接しない。そのため、連結棒80は、付勢部82に付勢され、ベース10側に移動する。また、連結棒80に接続された表示片81もベース10側に引き降ろされる。その結果、
図1に示すように、カバー11の表面に形成された表示窓14には、接触表示部81aに記された「|」が表示される。
【0040】
一方、回路遮断器101では、固定接点30と可動接点40とが開離状態であると、押板5が可動接触子4と共にカバー11の上面側である上方に移動する。このとき、連結棒80の下端部が押板5の上端面50に当接し、連結棒80が押板5によって押し上げられる。押板5の押上力は、付勢部82の付勢力より大きい。そのため、表示片81は、連結棒80が押し上げられると、ガイド部に沿って表示窓14の下方を移動する。付勢部82は、ガイド部の壁面に突き当たって撓む。その結果、
図5に示すように、カバー11の表面に形成された表示窓14には、開離表示部81bに記された「〇」が表示される。
【0041】
なお、
図8に示した実施の形態2にかかる回路遮断器101では、実施の形態1で示したトリップバー70、トリップボタン71及び弾性部材72を省略しているが、これらの構成を備えてもよい。
【0042】
以上のように、本実施の形態2にかかる回路遮断器101は、外郭を形成する筐体1と、固定接点30を有する固定接触子3と、固定接点30と対向する可動接点40を有する可動接触子4と、可動接触子4に連結され、固定接点30に可動接点40を押し付ける押板5と、押板5を操作して固定接点30と可動接点40との接触及び開離を行う開閉機構部6と、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させる表示装置8Aと、を備えている。筐体1には、固定接点30と可動接点40との接離状態が表示される表示窓14が形成されている。表示装置8Aは、押板5に押されて移動する連結棒80と、連結棒80に接続され、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。表示片81は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であることが記された接触表示部81aと、固定接点30と可動接点40とが開離状態であることが記された開離表示部81bと、連結棒80が押板5に押されて移動すると撓み、連結棒80を押板5に向かって付勢する付勢部82と、を有し、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部81a又は開離表示部81bを表示窓14に表示させる。表示片81は、可撓性を有する帯状のシートとされ、一端部が連結棒80に接続されている。付勢部82は、接触表示部81a及び開離表示部81bを設けた部分から表示片81の他端部に向かって延伸させた部分である。
【0043】
よって、本実施の形態2にかかる回路遮断器101は、表示片81の一部を付勢部82とし、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させる表示装置8Aを簡易な構造とした。よって、本実施の形態2にかかる回路遮断器101は、設置スペースの制約を受け難くなり、表示装置8Aを筐体1の内部の付属装置と両立させて設置することができる。
【0044】
実施の形態3.
次に、
図1及び
図5を参照しつつ、
図9を参照して実施の形態3にかかる回路遮断器102について説明する。
図9は、実施の形態3にかかる回路遮断器であって筐体のカバーを取り外した状態を示した斜視図である。なお、実施の形態1で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0045】
図9に示すように、本実施の形態3にかかる回路遮断器102は、表示装置8Bの構成が実施の形態1の表示装置8と異なる。本実施の形態3における表示装置8Bは、押板5に押されて移動する連結棒80と、連結棒80に接続され、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。表示片81は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であることが記された接触表示部81aと、固定接点30と可動接点40とが開離状態であることが記された開離表示部81bと、連結棒80が押板5に押されて移動すると撓み、連結棒80を押板5に向かって付勢する付勢部83と、を有している。表示片81は、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部81a又は開離表示部81bを表示窓14に表示させる。
【0046】
表示片81は、一例として可撓性を有する帯状のシートである。表示片81は、一端部が連結棒80に接続されており、一端部から他端部に向かう途中で二股に分かれて延伸し、二股の一方に接触表示部81a及び開離表示部81bが設けられ、二股の他方が付勢部83とされている。
【0047】
接触表示部81a及び開離表示部81bが設けられた二股の一方は、カバー11の上面に沿うように、屈曲させて形成されている。カバー11の内面には、当該二股の一方の移動をガイドするガイド部(図示省略)が形成されている。ガイド部は、一例として溝状とされ、表示窓14の下方を接触表示部81a及び開離表示部81bが移動できるように形成されている。接触表示部81a及び開離表示部81bは、連結棒80の移動に連動してガイド部内を移動する。二股の他方である付勢部83は、カバー11の上面に向かって延伸され、連結棒80が押板5によって押し上げられたとき、カバー11の内面に突き当たって撓むことで、連結棒80を押板5の方向に付勢する。
【0048】
回路遮断器102では、固定接点30と可動接点40とが接触状態であると、押板5が可動接触子4と共にベース10側である下方に位置する。この状態では、連結棒80の下端部が押板5の上端面50に当接しない。そのため、連結棒80は、付勢部83に付勢され、ベース10側に移動する。また、連結棒80に接続された表示片81もベース10側に引き降ろされる。その結果、
図1に示すように、カバー11の表面に形成された表示窓14には、接触表示部81aに記された「|」が表示される。
【0049】
一方、回路遮断器102では、固定接点30と可動接点40とが開離状態であると、押板5が可動接触子4と共にカバー11の上面側である上方に移動する。このとき、連結棒80の下端部が押板5の上端面50に当接し、連結棒80が押板5によって押し上げられる。押板5の押上力は、付勢部83の付勢力より大きい。そのため、接触表示部81a及び開離表示部81bは、連結棒80が押し上げられると、ガイド部に沿って表示窓14の下方を移動する。付勢部83は、カバー11の内面に突き当たって撓む。その結果、
図5に示すように、カバー11の表面に形成された表示窓14には、開離表示部81bに記された「〇」が表示される。
【0050】
なお、
図9に示した実施の形態3にかかる回路遮断器102では、実施の形態1で示したトリップバー70、トリップボタン71及び弾性部材72を省略しているが、これらの構成を備えてもよい。
【0051】
以上のように、本実施の形態3にかかる回路遮断器102は、外郭を形成する筐体1と、固定接点30を有する固定接触子3と、固定接点30と対向する可動接点40を有する可動接触子4と、可動接触子4に連結され、固定接点30に可動接点40を押し付ける押板5と、押板5を操作して固定接点30と可動接点40との接触及び開離を行う開閉機構部6と、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させる表示装置8Bと、を備えている。筐体1には、固定接点30と可動接点40との接離状態が表示される表示窓14が形成されている。表示装置8Bは、押板5に押されて移動する連結棒80と、連結棒80に接続され、連結棒80の移動に連動して移動する表示片81と、を有している。表示片81は、固定接点30と可動接点40とが接触状態であることが記された接触表示部81aと、固定接点30と可動接点40とが開離状態であることが記された開離表示部81bと、連結棒80が押板5に押されて移動すると撓み、連結棒80を押板5に向かって付勢する付勢部83と、を有し、連結棒80の移動に連動して移動することによって接触表示部81a又は開離表示部81bを表示窓14に表示させる。表示片81は、可撓性を有する帯状のシートとされ、一端部が連結棒80に接続されており、一端部から他端部に向かう途中で二股に分かれて延伸し、二股の一方に接触表示部81a及び開離表示部81bが設けられ、二股の他方が付勢部83とされている。
【0052】
よって、本実施の形態3にかかる回路遮断器102は、表示片81の一部を付勢部83とし、固定接点30と可動接点40との接離状態を表示させる表示装置8Bを簡易な構造とした。よって、本実施の形態3にかかる回路遮断器102は、設置スペースの制約を受け難くなり、表示装置8Bを筐体1の内部の付属装置と両立させて設置することができる。
【0053】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 筐体、2 操作ハンドル、3 固定接触子、4 可動接触子、5 押板、6 開閉機構部、8,8A,8B 表示装置、10 ベース、11 カバー、12 負荷側端子、13 電源側端子、14 表示窓、15,16 開口部、17 消弧室、20 操作部、21 回転部、30 固定接点、40 可動接点、50 上端面、70 トリップバー、71 トリップボタン、72 弾性部材、80 連結棒、80a 係合部、81 表示片、81a 接触表示部、81b 開離表示部、82,83 付勢部、100,101,102 回路遮断器。