(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172605
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電極ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090437
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 慶弘
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK06
4C160KK13
4C160KK20
4C160KK36
4C160KK57
4C160KK64
(57)【要約】
【課題】手術時に使い易い電極ユニットを提供する。
【解決手段】電極ユニット1は、管状または棒状の電極10と、電極10の後端部が固定されるハブ20と、ハブ20に固定され、電極10が撓み変形した場合に電極10の外周面から押圧力を受けるように配置される支持部材60と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状または棒状の電極と、
前記電極の後端部が固定されるハブと、
前記ハブに固定され、前記電極が撓み変形した場合に前記電極の外周面から押圧力を受けるように配置される支持部材と、を有することを特徴とする電極ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電極ユニットにおいて、
前記支持部材は、前記電極の外周面との間に所定の間隔を空けて配置されることを特徴とする電極ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電極ユニットにおいて、
前記電極の外周面と前記支持部材の間に配置される絶縁層を有することを特徴とする電極ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の電極ユニットにおいて、
前記絶縁層は、前記支持部材との間、または前記電極の外周面との間に所定の間隔を空けて配置されることを特徴とする電極ユニット。
【請求項5】
請求項3に記載の電極ユニットにおいて、
前記絶縁層は、前記電極の外周面と前記支持部材の間を埋めるように配置されることを特徴とする電極ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置対象に配置した電極から高周波電流を流し、各種処置を行う高周波処置において使用される電極ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療の分野では、人間や動物等の体内に電極を配置し、この電極から高周波電流を流して組織の焼灼(アブレーション)等を行う高周波処置が広く用いられている。また、近年では、疼痛治療の一つとして高周波処置により神経ブロックを行う手法が注目されている(例えば、特許文献1参照)。この高周波処置による神経ブロックは、従来の薬剤を用いる手法と比較して周囲の組織への副作用が少なく、また効果が長期間持続するという利点を有している。
【0003】
高周波処置による神経ブロックには、高周波熱凝固法とパルス高周波法の二種類がある。このうち高周波熱凝固法は、電極から流れる高周波電流により神経組織の一部を80℃程度の温度で数分間加熱して熱凝固させ、これにより痛みの信号を遮断するものであり、パルス高周波法は、神経組織の一部に高周波電流を間欠的に流すことにより42℃以下の温度で十数分間加熱し、神経を損傷させることなく痛みの信号を遮断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にこのような神経ブロックでは、侵襲性を低減すべく、特許文献1の
図1および2に示されるように、皮膚表面への穿刺により電極を処置対象内に配置している。このため、従来の電極は注射針と同様の構成となっており、例えば開胸手術や内視鏡下手術における使用を想定したものはなかった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑み、手術時に使い易い電極ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電極ユニットは、管状または棒状の電極と、前記電極の後端部が固定されるハブと、前記ハブに固定され、前記電極が撓み変形した場合に前記電極の外周面から押圧力を受けるように配置される支持部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
高周波処置用の電極は、処置対象に流れる高周波電流の密度を高めるべく、比較的細く構成されるため、手術時に使用者が手で把持して目標部位に先端部を押し当てるといった使用方法においては、電極が大きく撓み変形して使い難いという問題があったが、本発明の電極ユニットによれば、細い電極であっても支持部材で支持して撓み変形量を制限することが可能となるため、このような手術時の使用においても使い易くすることができる。
【0009】
また、本発明の電極ユニットにおいて、前記支持部材は、前記電極の外周面との間に所定の間隔を空けて配置されることが好ましい。
【0010】
これによれば、電極の撓み変形量を間隔の大きさにより調整することで、適度なクッション性を電極に持たせることが可能となる。また、電極と支持部材の間に、両者を電気的に絶縁する絶縁層や電極の撓み変形を調整する緩衝材を配置することが可能となるため、手術時の使い易さをより高めることができる。
【0011】
また、本発明の電極ユニットにおいて、前記電極の外周面と前記支持部材の間に配置される絶縁層を有することが好ましい。
【0012】
これによれば、支持部材を導電性の金属から構成することが可能となるため、電極を支持可能な剛性を確保しながらも、支持部材をコンパクトに構成し、電極の処置対象内への挿入性を高めることができる。
【0013】
また、本発明の電極ユニットにおいて、前記絶縁層は、前記支持部材との間、または前記電極の外周面との間に所定の間隔を空けて配置されることが好ましい。
【0014】
これによれば、電極の撓み変形量を間隔の設定により調整することで、絶縁層を設けながらも、適度なクッション性を電極に持たせることができる。
【0015】
また、本発明の電極ユニットにおいて、前記絶縁層は、前記電極の外周面と前記支持部材の間を埋めるように配置されることが好ましい。
【0016】
これによれば、絶縁層の硬度ならびに軸方向の位置および範囲を適宜に調整することで、電極10の撓み変形の態様を所望の態様に設定することが可能となるため、手術時の使い易さをより高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電極ユニットによれば、手術時に使い易いという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る電極ユニットの外観を示した概略図である。
【
図2】電極ユニットの先端側の一部のみを示した
図1のA-A断面図である。
【
図3】Aは、支持部材を備えない従来の電極ユニットの使用状態を示した概略図である。Bは、本発明の実施形態に係る電極ユニットの使用状態を示した概略図である。
【
図4】A~Cは、本発明の実施形態に係る電極ユニットの変形例を示した概略図である。
【
図5】A~Cは、本発明の実施形態に係る電極ユニットの変形例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る電極ユニット1の外観を示した概略図である。また、
図2は、電極ユニット1の先端側(図の下側)の一部のみを示した
図1のA-A断面図である。本実施形態の電極ユニット1は、例えば開胸手術や内視鏡下手術等の手術において高周波熱凝固法やパルス高周波法等の高周波処置を行う際に、使用者(医師等)が手で把持し、処置対象(人間や動物等)の体内の目標部位に押し当てて使用するものである。
【0021】
図1に示されるように、電極ユニット1は、電極10と、電極10の後端部が固定されたハブ20と、電極10の内部(中空部内)に配置された熱電対30と、電極10および熱電対30と電気的に接続された電気コネクタ40と、電極10の内部(中空部内)と接続された薬液ポート50と、ハブ20に後端部が固定された支持部材60と、電極10の外周を覆うように配置された絶縁層70と、を備えている。
【0022】
電極10は、導電性を有する金属(例えば、SUS304等)から構成された細長い円管状の部材であり、高周波電力生成装置(図示省略)から出力された高周波電力を処置対象に伝える部分である。本実施形態の電極10は、先端が処置対象内の目標部位に押し当てられて使用されるものである。このため、電極10の先端は閉塞されると共に丸みが設けられている。
【0023】
電極10は、先端部の非絶縁部11を除く大部分が絶縁層70によって覆われており、高周波電流は非絶縁部11からのみ出力されるようになっている。また、この被絶縁部11には、電極10の内外を繋ぐ側孔12が設けられており、麻酔薬等の薬液を薬液ポート50に接続したシリンジ等から電極10を通じて送液し、処置対象内に供給することが可能となっている。
【0024】
ハブ20は、電極10および支持部材60よりも外径が大きい円筒状の部材であり、使用者が把持する部分である。ハブ20はまた、電極10および支持部材60を所定の位置関係に固定して支持する部分でもある。ハブ20は、導電性を有さない樹脂(例えば、ポリプロピレンやABS等)から構成されている。
【0025】
電極10および支持部材60は、ハブ20の先端側に設けられた適宜の取付孔(図示省略)内に後端部が挿入された状態で接着剤により固定されている。また、本実施形態では、使用者が力を加えやすいように、ハブ20の外周面20aに周方向に連続する凹部21およびフランジ22を設けている。
【0026】
熱電対30は、高周波処置中に電極10周辺の温度を測定するためのものである。熱電対30は、電極10の長手方向に沿って電極10の内部に配置されており、測温接点31は、被絶縁部11の内側に位置している。本実施形態では、測温接点31を電極10に接続しているが、適宜の絶縁材によって電極10と熱電対30の間を絶縁するようにしてもよい。なお、本実施形態では、Kタイプ(クロメルおよびアルメルの組み合わせ)の熱電対30を使用している。
【0027】
電気コネクタ40は、電極10および熱電対30を高周波電力生成装置に電気的に接続する部分である。電気コネクタ40は、所定の規格(例えば、IEC60601-2-2:2017 201.15.4.1.102 着脱可能なアクティブ電極の保持)に基づいて構成されており、高周波電力用の導線(図示省略)および熱電対30の補償導線(図示省略)を内蔵したケーブル41を介して電極10および熱電対30と電気的に接続されている。
【0028】
薬液ポート50は、電極10に注射器等を接続するためのものである。薬液ポート50は、所定の規格(例えば、ISO80369-6)に基づくルアーコネクタ50aを備え、柔軟性を有するチューブ51を介して電極10と接続されている。
【0029】
支持部材60は、電極10の外径よりも内径が大きい円管状の部材であり、目標部位への押し当てに伴って生じる電極10の撓み変形(主に弾性変形)を制限する部分である。支持部材60は、電極10が内部(中空部)に挿通された状態で、電極10の外周面10aを所定の間隔を空けて覆うように配置されている。
【0030】
本実施形態では、支持部材60を電極10と同様に金属(例えば、SUS304等)から構成することで、電極10を支持可能な剛性(撓み難さ)を確保しながらも、電極10の外径に対して支持部材60の外径が大きくなり過ぎないようにしている。すなわち、支持部材60を設けながらも、処置対象内への電極10の挿入のし易さが大きく悪化しないようにしている。
【0031】
絶縁層70は、高周波電流を先端部に集中させると共に、電極10と支持部材60の間の短絡を防止する部分である。本実施形態では、導電性を有さない樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびポリエーテルエーテルケトン等)製の管で電極10を被覆することで、絶縁層70を構成している。従って、絶縁層70は、電極10に略密着した状態で設けられている。また、支持部材60の内周面60aと絶縁層70の外周面70aの間には、電極10の撓み変形を所定の程度だけ許容するための間隔(隙間)が空けられている。
【0032】
本実施形態では、処置対象に流れる高周波電流の密度を確保すべく、電極10を、一般的な高周波処置用の電極と同様のサイズ(外径0.7~1.0mm程度、内径0.3~0.8mm程度)の管から構成している。また、電極10の軸方向寸法(ハブ20から図の下方への突出長)L1を200~300mm程度に設定することで、手術時の使い勝手を損なうことなく、比較的深部の目標部位まで電極10の先端を到達させることを可能としている。
【0033】
また、本実施形態では、支持部材60を適宜のサイズ(外径2.1~2.5mm程度、内径1.2~1.6mm程度)の管から構成すると共に、絶縁層70の厚みを0.05~0.3mm程度に設定することで、支持部材60と絶縁層70の間隔Dを0.1~1.1mm程度とし、支持部材60内での電極10の撓み変形量および支持部材60自身の撓み変形量を適宜に調整している。さらに本実施形態では、非絶縁部11の軸方向寸法L2を一般的な高周波処置用の電極と同等の10~15mm程度に設定すると共に、支持部材60からの突出長L3を16~20mm程度に設定することで、電極10の先端部における撓み変形量を適宜に調整している。
【0034】
なお、本実施形態では、絶縁層70が支持部材60よりも僅かに先端側に突出するようにしているが、電極10と支持部材60の間の短絡が防止されるのであれば、必ずしもこのようにする必要はない。また、電極10、支持部材60および絶縁層70の各寸法が上述の値に限定されないことは、言うまでもない。
【0035】
次に、電極ユニット1の作用効果について説明する。
図3Aは、支持部材60を備えない従来の電極ユニット100の使用状態を示した概略図であり、
図3Bは、電極ユニット1の使用状態を示した概略図である。なお、
図3AおよびBでは、一部の記載を省略または簡略化しており、寸法は必ずしも正確ではない。
【0036】
電極ユニット100が、電極ユニット1と同じ寸法形状の電極110を備えている場合、手術中に使用者がハブ120を把持して電極110の非絶縁部111を目標部位Tに押し当てたときに、
図3Aに示されるように、電極110は大きく撓み変形することとなる。すると、目標部位Tの表面と使用者がハブ120を押す方向がなす角度θ1に対して、目標部位Tの表面と電極110の先端部がなす角度θ2が小さくなり、非絶縁部111が目標部位Tから横方向に逃げるような挙動を示すこととなる。
【0037】
さらに、この角度θ1と角度θ2の差は、使用者による押し力が大きくなるほど増加するため、使用者は、非絶縁部111を目標部位Tに正確に押し当てること、および非絶縁部111を目標部位Tに押し当てた状態を維持することが困難となる。
【0038】
電極110はまた、使用者による押し力の大きさが変動した場合には、弦のように撓み振動することとなる。すると使用者は、非絶縁部111を目標部位Tに正確に押し当てること益々困難となる。さらに、内視鏡下手術において電極110が筒状の挿入ポート200内に挿通されている場合には、電極110の中間部が挿入ポート200の内周面と衝突し、これにより非絶縁部111が目標部位Tから外れて周囲の組織を傷つけたり、逆に目標部位T内に深く突き刺さったりといった不具合が生じることとなる。
【0039】
これに対し、本実施形態の電極ユニット1では、
図3Bに示されるように、使用者の押し力によって電極10が僅かに撓み変形したときに、支持部材60の先端部と軸方向の中間部の2か所において、電極10の外周面10aが絶縁層70を介して支持部材60の内周面60aに接触し、支持部材60にも撓み変形が生じる方向に押圧することとなる。しかしながら、支持部材60は、電極10よりも剛性が高く設定されているため、殆ど撓み変形することなく、電極10からの押圧力を受け止める。すなわち、電極10は、支持部材60によって支持されることとなる。
【0040】
これにより、電極10の撓み変形量が制限され、角度θ1と角度θ2の差が小さくなるため、使用者は、非絶縁部11を目標部位Tに正確に押し当ててこれを維持することが容易となる。また、電極10よりも高剛性の支持部材60により、撓み振動の発生や挿入ポート200との不用意な接触も抑制されるようになっている。
【0041】
また、本実施形態では、支持部材60と絶縁層70の間に適宜の間隔を空けると共に、電極10の支持部材60からの突出長L3を適宜に設定することで、適度な撓み変形によるクッション性を電極10に持たせているため、使用者は目標部位Tに対する押圧力を触覚的に把握することが可能となっている。すなわち、使用者は、目標部位Tに対する押圧力が適切であるか否かを容易に判断することが可能であり、目標部位Tが不用意に傷つけられる可能性は低減されている。
【0042】
このように、本実施形態の電極ユニット1は、手術中に使用者が手で把持して使用する場合に、きわめて使い易いものとなっている。なお、電極10を段付き形状とし、後端側の部分を大径化することで、支持部材60を設けずとも、高周波電流の密度を確保しつつ電極10の撓み変形量を低減することができるが、この場合、電極10の製造コストが上昇することとなる。また、電極10の外径をそのままに肉厚を上げることでも、同様の効果を奏することができる可能性があるが、この場合、電極10の内径が減少することで、熱電対30の配置が困難になると共に、薬液の送液性が悪化することとなる。
【0043】
すなわち、本実施形態の電極ユニット1は、上述の構成により、高周波処置用の電極ユニットとしての総合的な使い易さを低コストで実現するものとなっている。
【0044】
次に、電極ユニット1の変形例について説明する。
図4A~Cおよび
図5A~Cは、電極ユニット1の変形例を示した概略図である。なお、
図4A~Cおよび
図5A~Cでは、電極10および支持部材60の軸方向を横方向としている。また、
図4A~Cでは、支持部材60および絶縁層70のみを
図1のA-A線断面で示している。
【0045】
図4A~Cは、絶縁層70の変形例を示している。
図4Aに示されるように、絶縁層70は、支持部材60の内周面60aに密着して設けられるものであってもよい。この場合にも、電極10の外周面10aと絶縁層70の内周面70bの間に適宜の間隔(隙間)を空けることで、上述の例と同様の効果を奏することができる。なお、この場合においても、高周波電流が出力される非絶縁部11は、電極10の絶縁層70に覆われていない部分となる。また、この場合においても、絶縁層70を支持部材60よりも先端側に突出させるようにしてもよい。
【0046】
また、絶縁層70は、
図4Bに示されるように、電極10と支持部材60の間を全体的に埋めるように設けられるものであってもよいし、
図4Cに示されるように、電極10と支持部材60の間を部分的に埋めるように設けられるものであってもよい。これらの場合、絶縁層70を硬質な材料から構成することで、電極10の撓み変形を主に支持部材60から突出した部分において生じさせるようにすることができる。また、これらの場合、絶縁層70を軟質な材料から構成することで、絶縁部材70を緩衝材として機能させつつ、電極10を支持部材60内で撓み変形させることができる。さらに、絶縁層70を設ける軸方向の位置および範囲を適宜に調整することで、電極10の撓み変形の態様を所望の態様に設定することができる。
【0047】
すなわち、絶縁層70を電極10と支持部材60の間を埋めるように設け、その硬度ならびに軸方向の位置および範囲を調整することで、電極10のクッション性をより使い易いものとすることができる。なお、この場合においても、絶縁層70を支持部材60よりも先端側に突出させるようにしてもよい。
【0048】
また、図示は省略するが、絶縁層70は、電極10または支持部材60に施されたコーティング層から構成されるものであってもよい。また、電極10と絶縁層70の間または支持部材60と絶縁層70の間に、適宜の緩衝材を別途配置するようにしてもよい。また、絶縁層70は、電極10と支持部材60の間だけでなく、例えば支持部材60の先端面や外周面にも設けるようにしてもよい。また、導電性を有さない材料から支持部材60を構成することで、絶縁層70を省略するようにしてもよく、さらにこの場合、電極10の外周面10aと支持部材60の内周面60aを密着させるようにしてもよい。
【0049】
図5A~Cは、電極10の先端部の変形例を示している。電極10の先端部の形状は、例えば
図5Aに示されるように、円錐状であってもよいし、例えば
図5Bに示されるように、一般的な注射針と同様の形状であってもよい。また、電極10の先端部の形状は、例えば
図5Cに示されるように、くの字状に曲折した形状であってもよい。すなわち、電極10の先端部の形状は、特に限定されるものではなく、目標部位の位置や性状等に応じた任意の形状を採用することができる。また、側孔12の位置は、特に限定されるものではない。
【0050】
その他、図示は省略するが、支持部材60の形状は、特に限定されるものではなく、電極10の外周面10aからの押圧力を受けることが可能な形状であれば、筒状以外の形状であってもよい。また、ハブ20の形状も、特に限定されるものではなく、例えばピストル型のグリップを有する形状にハブ20を構成するようにしてもよい。
【0051】
また、熱電対30は、Kタイプに限定されるものではなく、補償導線を使用せずに直接電気コネクタ40に接続されるものであってもよい。また、熱電対30に代えて他の方式の温度センサを設けるようにしてもよいし、熱電対30を省略して、電極ユニット1から測温機能を省略するようにしてもよい。また、薬液ポート50および側孔12を省略して、電極ユニット1から送液機能を省略するようにしてもよく、この場合、電極10を中実の棒状に構成するようにしてもよい。また、電極ユニット1は、手術時にロボットアーム等に把持されて使用されるものであってもよい。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の電極ユニットは、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、本発明の電極ユニットは、高周波熱凝固法およびパルス高周波法を行うものに限定されず、例えば腫瘍の焼灼等、他の用途に用いられるものであってもよい。また、処置対象は、人体や動物等に限定されず、その他のものであってもよい。
【0053】
また、上述の実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 電極ユニット
10 電極
10a 電極の外周面
20 ハブ
60 支持部材
70 絶縁層