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特開2024-172614コイルアッシー及びそれを備えたソレノイド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172614
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コイルアッシー及びそれを備えたソレノイド
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/06 20060101AFI20241205BHJP
   H01F 7/127 20060101ALI20241205BHJP
   H01F 5/02 20060101ALI20241205BHJP
   H01F 5/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01F7/06 C
H01F7/06 G
H01F7/16 Q
H01F5/02 B
H01F5/04 C
H01F5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090449
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】302038741
【氏名又は名称】新電元メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関根 隼人
(72)【発明者】
【氏名】樋口 丈洋
【テーマコード(参考)】
5E048
【Fターム(参考)】
5E048AD02
5E048CB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイルボビンにおいて、太さが異なる様々なリード線を保持することができるコイルアッシー及びそれを備えたソレノイドを提供する。
【解決手段】第1の鍔部20の第1の対向面26と、第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32によって、コイルボビン10自身が第1のリード線60及び第2のリード線63を挟持する。さらに、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部20の第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22がソレノイドのベース70などに押圧されることによって第1の対向面26が第1のリード線60及び第2のリード線63を押圧し、第1のリード線60及び第2のリード線63が第1の鍔部20と第1の挟持部31及び第2の挟持部32によって強く挟持することによって第1のリード線60及び第2のリード線63が確実に保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状に形成された巻胴部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の外周面の第1の端部又はその近傍となる部位に配置された第1の鍔部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の前記第1の端部の近傍であって前記第1の鍔部よりも先端側となる部位に配置された第2の鍔部と、略円環状又は扇板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の第2の端部又はその近傍となる部位に配置された第3の鍔部を有しているコイルボビンと、
前記巻胴部の前記第2の鍔部と前記第3の鍔部との間の領域にコイルワイヤを巻回して形成されたコイルと、
前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの一方の端部に接続された第1のリード線と、
前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの他方の端部に接続された第2のリード線を有しているコイルアッシーであって、
前記第1の鍔部は、前記第2の鍔部に対向している第1の対向面と、該第1の対向面に背向する反対面の縁辺部及びその近傍部分から突出する第1の屈曲用突出部及び第2の屈曲用突出部を備え、
前記第2の鍔部は、前記第1の鍔部に対向している第2の対向面と、該第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第1のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第1の屈曲用突出部と重なり合う位置に配置された第1の傾斜面を備えた第1の挟持部と、前記第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第2のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第2の屈曲用突出部と重なり合う位置に配置された第2の傾斜面を備えた第2の挟持部を有していることを特徴とするコイルアッシー。
【請求項2】
前記第1の鍔部の前記第1の屈曲用突出部と前記第2の屈曲用突出部、及び、前記第2の鍔部の前記第1の挟持部と前記第2の挟持部は、前記巻胴部が介在するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコイルアッシー。
【請求項3】
前記第1の鍔部は、前記第1の屈曲用突出部と前記第2の屈曲用突出部の周方向における左右側方の隣接する位置に前記第1の鍔部の縁辺部を切り込むように形成された第1の屈曲用切り込み部及び第2の屈曲用切り込み部と第3の屈曲用切り込み部及び第4の屈曲用切り込み部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコイルアッシー。
【請求項4】
前記第2の鍔部は、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の周方向における左右両側部が凸状の曲面をなすように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のコイルアッシー。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコイルアッシーを有していることを特徴とするソレノイド。
【請求項6】
磁性材からなると共に、一方の端部に第1の開口部が形成され、他方の端部に第2の開口部が形成されたケースと、
略円筒状に形成された本体部と、略円環板状に形成された蓋部を備え、該蓋部が前記ケースの前記第1の開口部を閉止するように固定されているベースと、
略円筒状に形成されると共に、第1の端部と第2の端部が前記ケースの前記第1の開口部と前記第2の開口部にそれぞれ近くなるように配置された巻胴部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の外周面の前記第1の端部又はその近傍となる部位に配置された第1の鍔部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の前記第1の端部の近傍であって前記第1の鍔部よりも先端側となる部位に配置された第2の鍔部と、略円環状又は扇板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の第2の端部又はその近傍となる部位に配置された第3の鍔部を備えたコイルボビンと、前記巻胴部の前記第2の鍔部と前記第3の鍔部との間の領域にコイルワイヤを巻回して形成されたコイルと、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの一方の端部に接続された第1のリード線と、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの他方の端部に接続された第2のリード線を有するコイルアッシーと、
一部が前記コイルボビンの前記巻胴部の内部に配置されると共に、前記コイルに通電したときに直動するように設けられたプランジャを有するソレノイドであって、
前記コイルボビンの前記第1の鍔部は、前記第2の鍔部に対向している第1の対向面と、該第1の対向面に背向する反対面の縁辺部及びその近傍部分を凹陥させた第1の凹陥部及び第2の凹陥部を備え、前記第2の鍔部は、前記第1の鍔部に対向している第2の対向面と、該第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第1のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第1の凹陥部と重なり合う位置に配置された第1の傾斜面を備えた第1の挟持部と、前記第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第2のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第2の凹陥部と重なり合う位置に配置された第2の傾斜面を備えた第2の挟持部を有し、
前記ベースは、前記蓋部の前記コイルボビンの前記第1の鍔部に対向する内側面を備え、該内側面から前記第1の鍔部に向かって突出すると共に、前記第1の鍔部の前記第1の凹陥部と前記第2の凹陥部に進入して前記第1の鍔部を押圧するように形成された第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部を有していることを特徴とするソレノイド。
【請求項7】
前記第1の鍔部の前記第1の凹陥部と前記第2の凹陥部、及び、前記第2の鍔部の前記第1の挟持部と前記第2の挟持部は、前記巻胴部が介在するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載のソレノイド。
【請求項8】
前記第2の鍔部は、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の周方向における左右両側部が凸状の曲面をなすように形成されていることを特徴とする請求項7に記載のソレノイド。
【請求項9】
磁性材からなると共に、一方の端部に第1の開口部が形成され、他方の端部に第2の開口部が形成されたケースと、
略円筒状に形成された本体部と、略円環板状に形成された蓋部を備え、該蓋部が前記ケースの前記第1の開口部を閉止するように固定されているベースと、
略円筒状に形成されると共に、第1の端部と第2の端部が前記ケースの前記第1の開口部と前記第2の開口部にそれぞれ近くなるように配置された巻胴部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の外周面の前記第1の端部又はその近傍となる部位に配置された第1の鍔部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の前記第1の端部の近傍であって前記第1の鍔部よりも先端側となる部位に配置された第2の鍔部と、略円環状又は扇板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の第2の端部又はその近傍となる部位に配置された第3の鍔部を備えたコイルボビンと、前記巻胴部の前記第2の鍔部と前記第3の鍔部との間の領域にコイルワイヤを巻回して形成されたコイルと、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの一方の端部に接続された第1のリード線と、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの他方の端部に接続された第2のリード線を有するコイルアッシーと、
一部が前記コイルボビンの前記巻胴部の内部に配置されると共に、前記コイルに通電したときに直動するように設けられたプランジャを有するソレノイドであって、
前記コイルボビンの前記第1の鍔部は、前記第2の鍔部に対向している第1の対向面を備え、前記第2の鍔部は、前記第1の鍔部に対向している第2の対向面と、該第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第1のリード線を挟持可能な傾斜角に形成された第1の傾斜面を備えた第1の挟持部と、前記第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第2のリード線を挟持可能な傾斜角に形成された第2の傾斜面を備えた第2の挟持部を有し、
前記ベースは、前記蓋部の前記コイルボビンの前記第1の鍔部に対向する内側面を備え、該内側面から前記第1の鍔部に向かって突出すると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第1の挟持部と前記第2の挟持部に重なり合う位置に配置された第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部を有していることを特徴とするソレノイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルアッシー及びそれを備えたソレノイドに関し、特に巻胴部の一方の端部及びその近傍部分に2枚の鍔部を備えているコイルアッシー及びそれを備えたソレノイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ソレノイドにおいて利用されるコイルボビンの中には、一方の端部及びその近傍部分に2枚の鍔部が設けられているものがある。この2枚の鍔部は、これらの間にコイルワイヤとリード線との結線部及びその近傍部分を収納するために設けられており、2枚の鍔部の間隙はこの結線部やリード線の引き回すことを考慮したものとなっている。ところが、2枚の鍔部の間隙を結線部やリード線の引き回しを考慮した幅にすると、この間隙にあるリード線は何ものにも保持されず自由に動く状態で収納されることになる。このような状態にあると、例えば、ソレノイドに対して外部からの振動が加わったときに、リード線が振動に応じて動き、場合によってはソレノイドの信頼性を低下されることになる。そこで、2枚の鍔部の間隙に収納したリード線を保持するために様々な発明がなされている。
【0003】
図18は、従来技術に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。図18において、200はコイルボビン、210は巻胴部、211は第1の巻胴領域、212は第2の巻胴領域、213は第3の巻胴領域、220は第2の鍔部、221は第1の板状部分、222は第2の板状部分、223は導出部、225、226及び227は挟持突起、228はスリット、229は貫通孔、230は連結部、235は第1の鍔部、236は支持用突出部である。また、図19は、従来技術に係るコイルボビンを示し、(c)は第2の鍔部の部位における水平断面図、(b)はコイルボビンの中心線を通る垂直断面図である。図19において、231及び232は挟持突起、233はスリット、234は導出用間隙であり、その他の符号は図18と同じものを示す。
【0004】
図18及び図19は、特開2016-52151号公報で開示された発明を表したものである。コイルボビン200は、空気噴出装置に装着されるものであり、推力を増大するために径と比較して中心軸方向にかなり長く形成されている。また、コイルボビン200は、第1の巻胴領域211、第2の巻胴領域212及び第3の巻胴領域213から構成される巻胴部210において、空気吹き出し側の端部に第1の鍔部235を設け、空気吹き出し側とは反対側となる端部に第2の鍔部220を設けている。第2の鍔部220は、図18(b)に示す第2の板状部分222と第1の板状部分221とを図19(c)に示す連結部分230によって連結した構成となっている。第2の板状部分222と第1の板状部分221とはそれぞれ略円形板状に形成されており、巻胴部210のこれらの間の領域が第3の巻胴領域213となっている。また、第1の鍔部235と第2の鍔部220の第1の板状部分221とは、第1の巻胴領域211と第2の巻胴領域212とに巻回したコイルワイヤが巻き崩れることを防止すると共に、コイルワイヤを周辺部材から保護するものである。さらに、第1の板状部分221には、中心から離隔した位置において、互いに背向するように、図19(c)に示すスリット228とスリット233とが形成されている。スリット228とスリット233とは、第2の巻胴領域212に巻回されているコイルワイヤの端部を第3の巻胴領域213側に導出するために形成されたものである。さらに、図示していないが、貫通孔229の内部には、空気を噴出させるためのプランジャなどの可動部材が設けられる。
【0005】
そして、第2の鍔部220の第2の板状部分222は、第1の板状部分221との間に間隙を設けることによって、コイルワイヤとリード線との接続部分を収納できるようにしており、さらに導出部223を支持する基盤となる。さらに、第3の巻胴領域213は、コイルワイヤとリード線との接続部分及びその近傍部分を巻回するものである。また、図18(b)及び図19(c)に示すように、第1の板状部分221と第2の板状部分222との対向する面に、挟持突起225、226、231及び232と、挟持突起227及び図示していない挟持突起との合計6つの挟持突起が形成されている。これらの挟持突起は、第1の板状部分221と第2の板状部分222との両側からコイルワイヤとリード線との接続部分及びその近傍部分を挟持するように押圧することによって、コイルワイヤとリード線との接続部及びその近傍部分が第1の板状部分221と第2の板状部分222との間隙から離脱することを規制する。
【0006】
以上の構成によれば、第1の板状部分221と第2の板状部分222との対向する面に形成した6つの挟持突起がコイルワイヤとリード線との接続部及びその近傍部分を挟持するので、コイルボビン200へ外部から振動や衝撃が加わった場合などに、リード線やコイルワイヤとリード線との接続部が第1の板状部分221と第2の板状部分222との間隙から離脱することが防止可能なコイルアッシーとなる。ところが、リード線には太さが異なる様々な種類のものが存在するので、設計時に想定した径よりも細いものは6つの挟持突起で挟持することができない。また、設計時に想定した径よりも太いものも6つの挟持突起でできないし、無理に押し込むと絶縁被覆に瑕疵ができる可能性がある。さらに、設計時に想定した径に対応した製品であっても、リード線の太さのバラツキによって第1の板状部分221と第2の板状部分222との間隙から離脱する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-52151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、巻胴部の一方の端部及びその近傍部分に2枚の鍔部を備えているコイルボビンにおいて、2枚の鍔部の間隙にリード線やコイルワイヤとリード線との結線部を収納でき、かつ、太さが異なる様々なリード線を保持することができるコイルアッシー及びそれを備えたソレノイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、略円筒状に形成された巻胴部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の外周面の第1の端部又はその近傍となる部位に配置された第1の鍔部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の前記第1の端部の近傍であって前記第1の鍔部よりも先端側となる部位に配置された第2の鍔部と、略円環状又は扇板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の第2の端部又はその近傍となる部位に配置された第3の鍔部を有しているコイルボビンと、前記巻胴部の前記第2の鍔部と前記第3の鍔部との間の領域にコイルワイヤを巻回して形成されたコイルと、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの一方の端部に接続された第1のリード線と、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの他方の端部に接続された第2のリード線を有しているコイルアッシーであって、前記第1の鍔部は、前記第2の鍔部に対向している第1の対向面と、該第1の対向面に背向する反対面の縁辺部及びその近傍部分から突出する第1の屈曲用突出部及び第2の屈曲用突出部を備え、前記第2の鍔部は、前記第1の鍔部に対向している第2の対向面と、該第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第1のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第1の屈曲用突出部と重なり合う位置に配置された第1の傾斜面を備えた第1の挟持部と、前記第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第2のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第2の屈曲用突出部と重なり合う位置に配置された第2の傾斜面を備えた第2の挟持部を有していることを特徴とするコイルアッシーである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の鍔部の前記第1の屈曲用突出部と前記第2の屈曲用突出部、及び、前記第2の鍔部の前記第1の挟持部と前記第2の挟持部は、前記巻胴部が介在するように配置されていることを特徴とするコイルアッシーである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1の鍔部は、前記第1の屈曲用突出部と前記第2の屈曲用突出部の周方向における左右側方の隣接する位置に前記第1の鍔部の縁辺部を切り込むように形成された第1の屈曲用切り込み部及び第2の屈曲用切り込み部と第3の屈曲用切り込み部及び第4の屈曲用切り込み部が形成されていることを特徴とするコイルアッシーである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記第2の鍔部は、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の周方向における左右両側部が凸状の曲面をなすように形成されていることを特徴とするコイルアッシーである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコイルアッシーを有していることを特徴とするソレノイドである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、磁性材からなると共に、一方の端部に第1の開口部が形成され、他方の端部に第2の開口部が形成されたケースと、略円筒状に形成された本体部と、略円環板状に形成された蓋部を備え、該蓋部が前記ケースの前記第1の開口部を閉止するように固定されているベースと、略円筒状に形成されると共に、第1の端部と第2の端部が前記ケースの前記第1の開口部と前記第2の開口部にそれぞれ近くなるように配置された巻胴部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の外周面の前記第1の端部又はその近傍となる部位に配置された第1の鍔部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の前記第1の端部の近傍であって前記第1の鍔部よりも先端側となる部位に配置された第2の鍔部と、略円環状又は扇板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の第2の端部又はその近傍となる部位に配置された第3の鍔部を備えたコイルボビンと、前記巻胴部の前記第2の鍔部と前記第3の鍔部との間の領域にコイルワイヤを巻回して形成されたコイルと、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの一方の端部に接続された第1のリード線と、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの他方の端部に接続された第2のリード線を有するコイルアッシーと、一部が前記コイルボビンの前記巻胴部の内部に配置されると共に、前記コイルに通電したときに直動するように設けられたプランジャを有するソレノイドであって、前記コイルボビンの前記第1の鍔部は、前記第2の鍔部に対向している第1の対向面と、該第1の対向面に背向する反対面の縁辺部及びその近傍部分を凹陥させた第1の凹陥部及び第2の凹陥部を備え、前記第2の鍔部は、前記第1の鍔部に対向している第2の対向面と、該第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第1のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第1の凹陥部と重なり合う位置に配置された第1の傾斜面を備えた第1の挟持部と、前記第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第2のリード線を挟持可能な傾斜角に形成されると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第2の凹陥部と重なり合う位置に配置された第2の傾斜面を備えた第2の挟持部を有し、前記ベースは、前記蓋部の前記コイルボビンの前記第1の鍔部に対向する内側面を備え、該内側面から前記第1の鍔部に向かって突出すると共に、前記第1の鍔部の前記第1の凹陥部と前記第2の凹陥部に進入して前記第1の鍔部を押圧するように形成された第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部を有していることを特徴とするソレノイドである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記第1の鍔部の前記第1の凹陥部と前記第2の凹陥部、及び、前記第2の鍔部の前記第1の挟持部と前記第2の挟持部は、前記巻胴部が介在するように配置されていることを特徴とするソレノイドである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記第2の鍔部は、前記第1の挟持部と前記第2の挟持部の周方向における左右両側部が凸状の曲面をなすように形成されていることを特徴とするソレノイドである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、磁性材からなると共に、一方の端部に第1の開口部が形成され、他方の端部に第2の開口部が形成されたケースと、略円筒状に形成された本体部と、略円環板状に形成された蓋部を備え、該蓋部が前記ケースの前記第1の開口部を閉止するように固定されているベースと、略円筒状に形成されると共に、第1の端部と第2の端部が前記ケースの前記第1の開口部と前記第2の開口部にそれぞれ近くなるように配置された巻胴部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の外周面の前記第1の端部又はその近傍となる部位に配置された第1の鍔部と、略円環板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の前記第1の端部の近傍であって前記第1の鍔部よりも先端側となる部位に配置された第2の鍔部と、略円環状又は扇板状に、かつ、前記巻胴部の前記中心軸に直交する向きに張り出すように形成されると共に、前記巻胴部の前記外周面の第2の端部又はその近傍となる部位に配置された第3の鍔部を備えたコイルボビンと、前記巻胴部の前記第2の鍔部と前記第3の鍔部との間の領域にコイルワイヤを巻回して形成されたコイルと、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの一方の端部に接続された第1のリード線と、前記巻胴部の前記第1の鍔部と前記第2の鍔部との間隙に配置されると共に、前記コイルワイヤの他方の端部に接続された第2のリード線を有するコイルアッシーと、一部が前記コイルボビンの前記巻胴部の内部に配置されると共に、前記コイルに通電したときに直動するように設けられたプランジャを有するソレノイドであって、前記コイルボビンの前記第1の鍔部は、前記第2の鍔部に対向している第1の対向面を備え、前記第2の鍔部は、前記第1の鍔部に対向している第2の対向面と、該第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第1のリード線を挟持可能な傾斜角に形成された第1の傾斜面を備えた第1の挟持部と、前記第2の対向面に前記巻胴部の前記中心軸側から前記第2の対向面の縁辺側に向かって前記第1の対向面との間隙が拡がるように、かつ、前記第2のリード線を挟持可能な傾斜角に形成された第2の傾斜面を備えた第2の挟持部を有し、前記ベースは、前記蓋部の前記コイルボビンの前記第1の鍔部に対向する内側面を備え、該内側面から前記第1の鍔部に向かって突出すると共に、前記巻胴部の前記中心軸の方向において前記第1の挟持部と前記第2の挟持部に重なり合う位置に配置された第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部を有していることを特徴とするソレノイドである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、第1の鍔部に形成された第1の対向面と、第2の鍔部に形成された第1の挟持部及び第2の挟持部によって、コイルボビン自身が第1のリード線及び第2のリード線を挟持する。さらに、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部に形成された第1の屈曲用突出部及び第2の屈曲用突出部がソレノイドの磁性材等に押圧されることによって第1の対向面が第1のリード線及び第2のリード線を押圧し、第1のリード線及び第2のリード線が第1の鍔部と第1の挟持部及び第2の挟持部によって強く挟持されるので、第1のリード線及び第2のリード線が確実に保持できる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、第1の屈曲用突出部と第2の屈曲用突出部が第1の鍔部上の最も離れた位置、又は、比較的離れたところに配置されているので、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部の狭い領域が集中的に押圧されることによって、コイルアッシーが傾いた状態で組み込まれることを防止できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、第1の屈曲用切り込み部及び第2の屈曲用切り込み部と第3の屈曲用切り込み部及び第4の屈曲用切り込み部を形成することによって、第1の鍔部の第1の屈曲用突出部及び第2の屈曲用突出部を形成した部位が屈曲しやすくなり、第1のリード線及び第2のリード線がより強く押圧される。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、第1の挟持部と第2の挟持部の周方向における左右両側部に角部が形成されることがなく、この角部によって第1のリード線及び第2のリード線の絶縁被覆に瑕疵が形成されることを防止できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、第1のリード線及び第2のリード線が確実に保持されたソレノイドを提供できるので、外部から強い衝撃や振動が加わる場所でも使用することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、ベースの蓋部に形成された第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部が第1の鍔部を押圧し、第1のリード線及び第2のリード線が第1の鍔部と第1の挟持部及び第2の挟持部とによって強く挟持されるので、第1のリード線及び第2のリード線が確実に保持できる。さらに、ソレノイドの組立時にベースの第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部が第1の凹陥部と第2の凹陥部に進入するようにすることによって、周方向においてコイルボビンとベースを所定方向に取り付けることが容易になる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、第1の凹陥部と第2の凹陥部を第1の鍔部上の最も離れた位置、又は、比較的離れたところに配置されることになるので、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部の狭い領域が集中的に押圧されることによって、コイルアッシーが傾いた状態で組み込まれることを防止できる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、第1の挟持部と第2の挟持部の周方向における左右両側部に角部が形成されることがなく、この角部によって第1のリード線及び第2のリード線の絶縁被覆に瑕疵が形成されることを防止できる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、ベースの蓋部に形成された第1の押し込み用突出部と第2の押し込み用突出部が第1の鍔部を押圧し、第1のリード線及び第2のリード線が第1の鍔部と第1の挟持部及び第2の挟持部とによって強く挟持されるので、第1のリード線及び第2のリード線が確実に保持できる。さらに、第1の鍔部に凹陥部を形成しないので、第1の鍔部が薄くて凹陥部を形成できる肉厚がない場合に有用な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのA-A線拡大断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのB-B線拡大断面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのC-C線拡大断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのD-D線拡大断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンにリード線の配線後の状態を示し、(a)は配線後のD-D線拡大断面図、(b)は配線後のC-C線拡大断面図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンの変形前後の状態を示し、(a)は変形前のD-D線拡大断面図、(b)は変形後のD-D線拡大断面図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図(1)である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図(2)である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンの変形例を示す正面図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係るコイルボビンの変形前後の状態を示し、(a)は変形前のE-E線拡大断面図、(b)は変形後のE-E線拡大断面図である。
図13】本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図14】本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)はG-G線拡大断面図、(b)はF-F線拡大断面図である。
図15】本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンに対応するベースを示し、(a)は平面図、(b)はG-G線拡大断面図である。
図16】本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図である。
図17】本発明の第4の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図である。
図18】従来技術に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図19】従来技術に係るコイルボビンを示し、(c)は第2の鍔部の部位における水平断面図、(b)はコイルボビンの中心線を通る垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。図1において、10はコイルボビン、20は第1の鍔部、21は第1の屈曲用突出部、22は第2の屈曲用突出部、23は導出用筒部、24は導出用間隙、26は第1の対向面、29は連結部、30は第2の鍔部、32は第2の挟持部、36は第2の対向面、50は巻胴部、51は第1の巻胴領域、52は第2の巻胴領域、55は中空部、56は第3の鍔部である。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのA-A線拡大断面図である。図2において、25は反対面、33は肉薄部、53は第1の外周面、54は第2の外周面であり、その他の符号は図1と同じものを示す。さらに、図3は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのB-B線拡大断面図である。図3において、27は肉厚領域、28は肉薄領域であり、その他の符号は図1と同じものを示す。くわえて、図4は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのC-C線拡大断面図である。図4において、31は第1の挟持部、34は第1の配線溝用切り込み部、35は第2の配線溝用切り込み部、37は第1の平坦面、38は第2の平坦面、39aは第1の傾斜面、39bは第2の傾斜面であり、その他の符号は図1と同じものを示す。
【0029】
また、図5は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンのD-D線拡大断面図である。図5において用いた符号は、全て図1と同じものを示す。さらに、図6は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンにリード線の配線後の状態を示し、(a)は配線後のD-D線拡大断面図、(b)は配線後のC-C線拡大断面図である。図6において、59はコイル、60は第1のリード線、61は最大径のリード線、62は最小径のリード線、63は第2のリード線、64はコイルワイヤ始端部、65は第1の結線部、66はコイルワイヤ終端部、67は第2の結線部、68は第1の外部導出部、69は第2の外部導出部であり、その他の符号は図1及び図4と同じものを示す。なお、以下の説明において、「中心軸」とは、コイルボビンの巻胴部における中心軸であるものとする。
【0030】
最初に、本発明の第1の実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビンの概要について説明する。図1及び図2に示すように、この実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビン10は、樹脂から形成されており、巻胴部50に対して第1の鍔部20、第2の鍔部30及び第3の鍔部56が設けられている。巻胴部50は、略円筒状に形成されており、後述するように、コイルボビン10をソレノイドに組み込んだ状態において、中空部55にベースやプランジャが配置される。また、巻胴部50は、第2の鍔部30によって第1の巻胴領域51と第2の巻胴領域52の2つの領域に分割されている。さらに、巻胴部50は、第2の巻胴領域52のみがコイルワイヤを巻回してコイルを形成する領域となる。これに対して、第1の巻胴領域51は、図6に示すように、コイルワイヤ始端部64及びコイルワイヤ終端部66と第1のリード線60及び第2のリード線63の結線部などを収納する領域となる。なお、センサなどの素子を収納することも可能である。また、2本のリード線の結線部と反対側の部分は、導出用筒部23の導出用間隙24を通って外部へ導出される。
【0031】
また、第2の鍔部30には、第2の対向面36側に、第1の傾斜面39aが形成された第1の挟持部31、及び、第2の傾斜面39bが形成された第2の挟持部32を備えており、第1の鍔部20の第1の対向面26と共に第1のリード線60及び第2のリード線63を挟持ことが可能になっている。よって、作業者やロボットが第1の鍔部20と第1の挟持部31及び第2の挟持部32との間に第1のリード線60及び第2のリード線63を引き回しながら軽く押し込む工程だけでこれらを保持することができる。さらに、この実施の形態に係るコイルアッシーにおいては、後述するように、コイルアッシーをソレノイドに組み込むと、第1の鍔部20の一部が第2の鍔部30側に屈曲して、第1のリード線60及び第2のリード線63がさらに強固に保持される構成を有している。
【0032】
ところで、樹脂成形される製品は、型抜きをスムーズに行うために、型を抜く方向に向かって先細りするように抜き勾配が設定されている。本発明の実施の形態に係るコイルボビンにおいても、大きさや用途によって異なるが、3枚の鍔部にこれらの縁辺側に向かって肉厚が薄くなるような抜き勾配が0.5~1度程度設定されている。したがって、第1の傾斜面39a及び第2の傾斜面39bの周囲の第2の対向面36もわずかに傾斜しているが、その傾斜角は第1の傾斜面39a及び第2の傾斜面39bが持っている傾斜角よりも非常に小さいものである。言い換えると、第1の傾斜面39a及び第2の傾斜面39bは、抜き勾配が設定されている第2の対向面36に対して選択的に形成され、かつ、リード線を強固に保持するという型抜きとは全く関係ない課題に対応するために形成されている。なお、本件の図面においては、作図の便宜上、抜き勾配がない、つまり、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビン10であれば、第1の鍔部20、第2の鍔部30及び第3の鍔部56の両面が中心軸に対して直交するように描いている。また、以下の説明において、抜き勾配が設定されている面においても、特に言及する必要がない場合には、中心軸に直交している面として説明する。
【0033】
続けて、本発明の第1の実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビンの各部の構成について詳細に説明する。第1の鍔部20は、図1及び図2に示すように、巻胴部50の第1の巻胴領域51となる側の端部の外周面から巻胴部50の中心軸に直交する向きに張り出すように形成されている。また、第1の鍔部20は、連結部29を介して第2の鍔部30と一体になされている。くわえて、第1の鍔部20は、第2の鍔部30に対向している第1の対向面26と、第1の対向面26の反対側の面である反対面25を備えている。反対面25には、第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22が反対面25から突出するように形成されている。第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22は、後述するように、この実施の形態に係るコイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22がベースによって強く押圧され、第1の鍔部20の第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22を形成した部分が第2の鍔部30側に屈曲した状態となることを目的として形成されている。
【0034】
また、第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22は、巻胴部50の中心軸の方向に沿うように、すなわち、反対面25と直交する方向から見たときに、第1の挟持部31と第2の挟持部32に重なり合う位置に形成されている。このように形成することによって、第1のリード線60及び第2のリード線63が第1の鍔部20と第2の鍔部30に強く挟まれて強固に保持されるようにしている。さらに、第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22は、反対面25と直交する方向から見たときに、巻胴部50の中心軸に対して点対称となるように形成されている。これは、後述するように、第1のリード線60及び第2のリード線63の配線位置に対応するためであり、さらに、これらを反対面25上の互いに最も遠くるなる位置に形成することで、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、特定の1箇所のみが押圧されるときのように巻胴部50が傾くことを防止するためである。また、反対面25には、導出用筒部23が上方に大きく突出するように形成されている。
【0035】
導出用筒部23は、前述のように、第1のリード線60及び第2のリード線63をソレノイドの外部へ導出するために形成されている。導出用筒部23に囲まれた導出用間隙24は、第1のリード線60及び第2のリード線63に対応した大きさとなるように形成されている。なお、導出用筒部23は、ゴムブッシュの取り付けに対応した形状になされることもある。第1の鍔部20の第1の対向面26は、第2の鍔部30の第2の対向面36に対向しており、第2の対向面36、及び、第1の巻胴領域51の第1の外周面53と共に、コイルワイヤ始端部64及びコイルワイヤ終端部66と第1のリード線60及び第2のリード線63の結線部などを収納する空間を構成している。また、第1の対向面26は、図3に示すように、第1の鍔部20の厚さを肉厚領域27よりも薄くした肉薄領域28を形成することによって、第2の対向面36との間隙を拡大し、リード線とコイルワイヤの結線部の収納を容易にしている。
【0036】
第2の鍔部30は、図4に示すように、第1の鍔部20の第1の対向面26に対向する第2の対向面36に第1の挟持部31及び第2の挟持部32を備えている。第1の傾斜面39a及び第2の傾斜面39bは、図5に示すように、第1の対向面26の肉厚領域27に対して傾斜角αtをなすように形成されている。傾斜角αtは、前述のように、0.5~1度程度の抜き勾配の角度よりも非常に大きいものとなっている。また、ソレノイドにおいては、推力や大きさ、形状、使用環境などにおいて極めて多様なものが存在するが、これらのソレノイドにおいて使用されるリード線の径も大小様々なものが存在する。そこで、傾斜角αtは、この実施の形態に係るコイルアッシーでの使用が想定される各種リード線の径に対応可能な角度に設定されている。例えば、図6(a)に示すように、コイルボビン10においては、最大径のリード線61から最小径のリード線62までの径のリード線に対応可能な角度となっている。
【0037】
以上のように、傾斜角αtを以上のような角度にすることによって、多様な径のリード線を挟持できるようになる。さらに、傾斜角αtを図1図6に示す角度よりも大きく設定すれば、さらに広い範囲の径のリードを挟持することが可能となる。ただし、図5に示す断面において、第1の対向面26の肉厚領域27に一致する仮想的平面と、第1の傾斜面39a又は第2の傾斜面39bに一致する仮想的平面との交点Pが第1の巻胴領域51の第1の外周面53よりも縁辺側に位置する、つまり、第1の外周面53が存在しない状態になる程度まで大きくすると、第1の鍔部20と第1の挟持部31及び第2の挟持部32の挟持する力、つまり、第1のリード線60及び第2のリード線63に対する垂直方向の分力が小さくなることから、第1のリード線60及び第2のリード線63が第1の傾斜面39aと第2の傾斜面39bの間から容易に離脱するようになる。そうすると、コイルワイヤ始端部64及びコイルワイヤ終端部66と、第1のリード線60及び第2のリード線63を接続部である第1の結線部65及び第2の結線部67が第1の鍔部20と第2の鍔部30の間隙から離脱し、ソレノイドの信頼性を損なうことになる。したがって、多様な径を持っているリード線を確実に挟持させるという観点から、交点Pが第1の外周面53よりも中心側に存在することが望ましいと言える。
【0038】
また、第2の鍔部30の第2の対向面36は、図2及び図4に示すように、第1の傾斜面39aと第2の傾斜面39b以外の第1の平坦面37及び第2の平坦面38は、コイルワイヤ始端部64及びコイルワイヤ終端部66と第1のリード線60及び第2のリード線63の結線部の収納を容易にするために平坦面として形成されている。さらに、図6に示すように、第2の鍔部30の第2の平坦面38を形成した領域には、コイルワイヤ始端部64に連続しているコイルワイヤを第2の巻胴領域52側に導入するために、第1の配線溝用切り込み部34が形成されている。すなわち、第1の配線溝用切り込み部34から導入されたコイルワイヤは、第2の巻胴領域52に巻回されてコイル59が形成される。くわえて、コイル59に連続しているコイルワイヤ終端部66を第1の巻胴領域51側へ導出するために、第1の配線溝用切り込み部34が形成されている。すなわち、第2の巻胴領域52に巻回されてコイル59が形成された後、巻回されずに残ったコイルワイヤであるコイルワイヤ終端部66は、第2の配線溝用切り込み部35から第1の巻胴領域51へ導出される。
【0039】
以上のように、この実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビン10は、第1のリード線60及び第2のリード線63が第1の鍔部20と第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32によって挟持されるので、第1のリード線60及び第2のリード線63、並びに、第1の結線部65及び第2の結線部67が第1の鍔部20と第2の鍔部30の間隙に保持され続ける。また、第1の挟持部31及び第2の挟持部32の第1の対向面26側の面を第1の傾斜面39a及び第2の傾斜面39bとしているので、径の異なる多様なリード線を保持できる。また、第1のリード線60及び第2のリード線63を引き回して配線する作業の中で、第1の鍔部20と第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32が第1のリード線60及び第2のリード線63を自ずと挟持するので、作業工程が増えることもない。
【0040】
また、この実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビン10は、第1のリード線60及び第2のリード線63、並びに、第1の結線部65及び第2の結線部67をさらに確実に保持できるように以下に説明する構成を有している。図7は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンの変形前後の状態を示し、(a)は変形前のD-D線拡大断面図、(b)は変形後のD-D線拡大断面図である。図7において用いた符号は、図1及び図5と同じものを示す。また、図8は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図(1)である。図8において、19はコイルアッシー、70はベース、71は蓋部、72は本体部、73は貫通孔、74はケース、75は胴体部、76は底部、77は開口部であり、その他の符号は図1及び図6と同じものを示す。さらに、図9は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図(2)である。図9において、78はプランジャ、79はシャフトであり、その他の符号は図8と同じものを示す。
【0041】
この実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビン10は、第1の鍔部20と第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32が第1のリード線60及び第2のリード線63を挟持している状態において、第1の鍔部20の一部を第2の鍔部30側に屈曲した状態になることによって、第1のリード線60及び第2のリード線63をさらに強固に保持する構成としている。すなわち、図7(a)に示すように、作業者やロボットが第1の鍔部20と第1の挟持部31及び第2の挟持部32の間に第1のリード線60及び第2のリード線63を引き回しながら軽く押し込むと、第1のリード線60及び第2のリード線63は第1の鍔部20と第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32によって挟持された状態となる。
【0042】
続けて、コイルボビン10を有しているコイルアッシーをソレノイドのケース内に配置し、ベースやエンドキャップなどをケースに圧入すると、図7(b)の矢印に示すように、第1の鍔部20の反対面25から突出している第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22がベースやエンドキャップ、あるいはスペーサによって強く押圧されて、第1の鍔部20の第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22を形成している部位及びその近傍部分が第2の鍔部30側に屈曲する。第1のリード線60及び第2のリード線63の第1の鍔部20と第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32に挟まれている部分は、第1の鍔部20側からの強い押圧力によって延在する方向に直交する断面が楕円形を呈する程度に変形する。さらに、第1の鍔部20の第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22を形成している部位及びその近傍部分の縁辺側と、第2の鍔部30の第1の挟持部31及び第2の挟持部32の縁辺側が接近し、これらの間隙が第1のリード線60及び第2のリード線63の変形している部分の短径よりも短くなる。
【0043】
したがって、コイルボビン10へ外部から振動や衝撃が加わっても、第1のリード線60及び第2のリード線63が強固に保持され、第1の結線部65及び第2の結線部67などが第1の鍔部20と第2の鍔部30の間隙から離脱することを確実に防止することが可能となる。なお、コイルボビン10を有しているコイルアッシーをソレノイドに組み込んだ後は、第1のリード線60及び第2のリード線63の一部が変形したままの状態となるが、コイルボビン10への実装が想定される最大径のリード線であっても絶縁被覆に瑕疵が生じないように考慮しているので、第1のリード線60及び第2のリード線63の一部が変形したことによってソレノイドの信頼瀬を損なうことはない。
【0044】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るコイルアッシーをソレノイドに組み込む工程の概略について説明する。図8(1)に示すように、最初に、コイル59や第1のリード線60及び第2のリード線63の配線等を完了したコイルアッシー19をケース74の内部に挿入しておく。次に、図8(2)に示すように、ベース70の本体部72をコイルアッシー19の巻胴部50の中空部55に挿入して行く。さらに、図9(3)に示すように、ケース74の胴体部75に対してベース70の蓋部71を圧入する。このときに、コイルアッシー19は、ケース74の底部76とベース70の蓋部71に挟まれた状態で中心軸の方向に強く押圧されて行く。蓋部71側に突出している第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22は、蓋部71によって第2の鍔部30側に強く押圧され、第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22を形成している部位及びその近傍部分の縁辺側が図7(b)に示した状態になる。そして、図9(4)に示すように、ケース74の底部76の開口部77からプランジャ78及びシャフト79を挿入し、シャフト79をベース70の本体部72の貫通孔73に挿通させる。
【0045】
以上の工程を実行することによって、第1の鍔部20と第2の鍔部30が第1のリード線60及び第2のリード線63、並びに、第1の結線部65及び第2の結線部67を強固に保持することが可能となる。また、第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22を押圧する工程は、一般的なベースの圧入工程に含まれるものである。したがって、従来技術にない新たな工程を付加する必要がない。なお、以上説明したコイルアッシーにおいては、ソレノイドに圧入されるベースによって第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22を押圧する構成としたが、ケースに圧入されるものであればベースに限られるものではなく、例えば、エンドキャップや補助磁極であってもよく、圧入されるベースやエンドキャップなどと第1の鍔部20の間に介在するように配置されているマグネットやスペーサなどを利用してもよい。
【0046】
続けて、本発明の第1の実施の形態に係るコイルアッシーにおけるコイルボビンの変形例について説明する。図10は、本発明の第1の実施の形態に係るコイルボビンの変形例を示す正面図である。図10において、11はコイルボビン、40は第1の鍔部、41は第1の屈曲用突出部、42は第2の屈曲用突出部、43は第2の鍔部、44は第1の挟持部、44aは凸状曲面、44bは凸状曲面、45は第2の挟持部、45aは凸状曲面、45bは凸状曲面、46は連結部、47は第1の巻胴領域、48は第2の巻胴領域、49は第3の鍔部である。
【0047】
コイルボビン11は、第1の挟持部44の周方向における左右両側部を凸状曲面44aと凸状曲面44bとしている。すなわち、左右両側部を凸状曲面44a及び凸状曲面44bのように角部がない凸状の曲面として形成することによって、絶縁被覆が角部に対して強く押圧されて瑕疵を生じることを防止することが可能である。同様に、第2の挟持部45においても、周方向における左右両側部が凸状曲面45aと凸状曲面45bとして形成されている。なお、第1の鍔部40の第1の屈曲用突出部41及び第2の屈曲用突出部42、連結部46、第1の巻胴領域47、第2の巻胴領域48及び第3の鍔部49などは、コイルボビン10の対応する部分と各々形状、大きさ、配置などすべて同じであるので、説明を省略する。
【0048】
続けて、本発明の第2の実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビンの概要について説明する。図11は、本発明の第2の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。図11において、12はコイルボビン、15はコイルアッシー、80は第1の鍔部、81は第1の屈曲用突出部、82は第2の屈曲用突出部、83は第1の屈曲用切り込み部、84は第2の屈曲用切り込み部、85は第3の屈曲用切り込み部、86は第1の屈曲用切り込み部、87は導出用筒部、88は導出用間隙、89は連結部、90は第2の鍔部、91は第1の挟持部、92は第2の挟持部、93は第1の巻胴領域、94は第2の巻胴領域、95は第3の鍔部である。また、図12は、本発明の第2の実施の形態に係るコイルボビンの変形前後の状態を示し、(a)は変形前のE-E線拡大断面図、(b)は変形後のE-E線拡大断面図である。図12で用いた符号は、すべて図6及び図11と同じものを示す。また、図11において、ケース及びベースの記載は省略している。
【0049】
本発明の第2の実施の形態に係るコイルアッシーのコイルボビン12は、図11に示すように、第1の鍔部80の第1の屈曲用突出部81の周方向における左右側方の隣接する位置に、第1の鍔部80の縁辺部を切り込むように形成された第1の屈曲用切り込み部83及び第2の屈曲用切り込み部84を備えている。さらに、第2の屈曲用突出部82においても、第1の鍔部80の第2の屈曲用突出部82の周方向における左右側方の隣接する位置に、第1の鍔部80の縁辺部を切り込むように形成された第3の屈曲用切り込み部85及び第4の屈曲用切り込み部86を備えている。なお、第1の鍔部80の第1の屈曲用突出部81、第2の屈曲用突出部82、導出用筒部87及び導出用間隙88、並びに、連結部89、第2の鍔部90の第1の挟持部91及び第2の挟持部92、第1の巻胴領域93、第2の巻胴領域94、第3の鍔部95などは、コイルボビン10の対応する部分と各々形状、大きさ、配置などすべて同じであるので、説明を省略する。
【0050】
この形態に係るコイルアッシーのコイルボビン12においては、第1の屈曲用突出部81及び第2の屈曲用突出部82の周方向における左右側方に、第1の鍔部80の第2の屈曲用突出部82の周方向における左右側方の隣接する位置に、第1の屈曲用切り込み部83及び第2の屈曲用切り込み部84、並びに、第3の屈曲用切り込み部85及び第4の屈曲用切り込み部86を備えていることによって、この実施の形態に係るコイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の屈曲用突出部81及び第2の屈曲用突出部82を形成している部位及びその近傍部分の縁辺側がさらに屈曲し、第1のリード線60及び第2のリード線63がさらに強固に保持され、第1の結線部65及び第2の結線部67などが第1の鍔部20と第2の鍔部30の間隙から離脱することをより確実に防止することが可能となる。
【0051】
すなわち、図12(a)に示すように、作業者やロボットが第1の鍔部80と第1の挟持部91及び第2の挟持部92の間に第1のリード線60及び第2のリード線63を引き回しながら軽く押し込むと、第1のリード線60及び第2のリード線63は第1の鍔部80と第2の鍔部90の第1の挟持部91及び第2の挟持部92によって挟持された状態となる。続けて、コイルアッシーをソレノイドのケース内に配置し、ベースやエンドキャップなどをケースに圧入すると、図12(b)の矢印に示すように、第1の鍔部80の第1の屈曲用突出部81及び第2の屈曲用突出部82がベースやエンドキャップ、あるいはスペーサによって強く押圧されて、第1の屈曲用突出部81及び第2の屈曲用突出部82を形成している部位及びその近傍部分が第2の鍔部30側に屈曲する。また、第1の屈曲用切り込み部83及び第2の屈曲用切り込み部84、並びに、第3の屈曲用切り込み部85及び第4の屈曲用切り込み部86を形成したことから、第1の屈曲用突出部81及び第2の屈曲用突出部82を形成している部位は、コイルボビン10の第1の屈曲用突出部41及び第2の屈曲用突出部42よりも屈曲しやすくなっているので、コイルボビン10の第1の鍔部20と第2の鍔部30の縁辺側よりも、第1の鍔部80と第2の鍔部90の縁辺側の方がより接近した状態となる。ひいては、第1のリード線60及び第2のリード線63などが第1の鍔部20と第2の鍔部30の間隙から離脱することをさらに確実に防止できる利点がある。
【0052】
続けて、本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドのコイルボビンの概要について説明する。図13は、本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。図13において、13はコイルボビン、100は第1の鍔部、101は第1の凹陥部、102は第2の凹陥部、103は導出用筒部、104は導出用間隙、105は第2の鍔部、106は第1の挟持部、107は第2の挟持部、108は連結部、109は第1の巻胴領域、110は第2の巻胴領域、111は中空部、112は第3の鍔部112である。また、図14は、本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンを示し、(a)はG-G線拡大断面図、(b)はF-F線拡大断面図である。図14において、113は反対面であり、その他の符号は図13と同じものを示す。さらに、図15は、本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンに対応するベースを示し、(a)は平面図、(b)はG-G線拡大断面図である。図15において、120はベース、121は第1の押し込み用突出部、122は第2の押し込み用突出部、123は第1の誘い込み面、124は第2の誘い込み面、125は蓋部、126は本体部、127は貫通孔、129は内側面である。くわえて、図16は、本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図である。図16において、128はケース、その他の符号は、図6図14及び図15と同じものを示す。
【0053】
本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドのコイルボビン13は、ソレノイドの組立時にコイルアッシーを所定の方向に装着できるという利点を兼ね備えたものである。すなわち、コイルボビン13は、図13及び図14に示すように、第1の鍔部100の反対面113に第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102を形成している。第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102は、コイルボビン10の第1の屈曲用突出部21及び 第2の屈曲用突出部22に対応する位置に配置されており、第1の鍔部100の縁辺側の一部を凹陥させて形成されている。なお、コイルボビン13の第1の鍔部100の導出用筒部103及び導出用間隙104、並びに、第2の鍔部105の第1の挟持部106及び第2の挟持部107、並びに、連結部108、第1の巻胴領域109、第2の巻胴領域110、中空部111、第3の鍔部112は、コイルボビン10の対応する部分と各々形状、大きさ、配置などすべて同じであるので、説明を省略する。
【0054】
また、コイルボビン13に対応するベース120は、図15に示すように、蓋部125及び本体部126を備えている。本体部126には、プランジャを挿入する空間として、本体部126の中心軸に沿って貫通孔127が形成されている。また、蓋部125は、コイルボビン13の第1の鍔部100に対向する内側面129から第1の押し込み用突出部121及び第2の押し込み用突出部122が形成されている。第1の押し込み用突出部121及び第2の押し込み用突出部122は、第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102に対応する位置に形成されており、ソレノイドを組み立てるときに、第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102に進入するようになされている。また、第1の押し込み用突出部121及び第2の押し込み用突出部122は、第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102への進入を円滑に行えるように、第1の誘い込み面123及び第2の誘い込み面124が形成されている。
【0055】
この実施の形態に係るソレノイドの組み立てる工程においては、図16(1)に示すように、コイルボビン13を含むコイルアッシーをソレノイドのケース128の内部に配置しておく。なお、コイルアッシーをケース128に挿入する際には、コイルボビン13の周方向における向きを所定の方向となるように調整しておく。次に、ベース120をケース128に圧入すると、第1の押し込み用突出部121及び第2の押し込み用突出部122が第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102に進入し、さらに第2の鍔部105側に押圧して第1の鍔部100を屈曲させる。また、コイルアッシーの向きを正しく調整出来ていない場合には。第1の押し込み用突出部121及び第2の押し込み用突出部122が第1の凹陥部101及び第2の凹陥部102に進入できないので、調整不良であることを直ちに認識できる。なお、ベースをケースに圧入する構成ではなく、ベースをケースの内部に挿入してからベースとは別体のエンドキャップを圧入する構成の場合には、作業者の手などでケースに挿入してから回転させて、第1の押し込み用突出部及び第2の押し込み用突出部が第1の凹陥及び第2の凹陥部に対して進入する、つまり、第1の凹陥及び第2の凹陥部の深さ分だけ落ち込んだところでベースを放し、次にエンドキャップを圧入することによって第1の鍔部100を屈曲させる構成にしてもよい。
【0056】
さらに、本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドのコイルボビンの概要について説明する。図17は、本発明の第4の実施の形態に係るコイルボビンを備えたソレノイドの組み立て工程の概要を示す断面図である。図17において、14はコイルボビン、130はベース、131は第1の押し込み用突出部、132は第2の押し込み用突出部、133は第1の誘い込み面、134は第2の誘い込み面、135は蓋部、136は本体部、137は貫通孔、138はケース、140は第1の鍔部、141は第2の鍔部、142は第1の挟持部、143は第2の挟持部、144は反対面であり、その他の符号は、図6と同じものを示す。
【0057】
本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドは、第1の鍔部140の強度(剛性)を保持する上で、凹陥部を形成できない場合などに有用な構成である。すなわち、この実施の形態に係るソレノイドのコイルボビン14は、図17に示すように、第1の鍔部140の反対面144に突出部又は凹陥部が形成されていない構成となっている。その一方、ベース130の蓋部135には、ベース120と同様に、第1の押し込み用突出部131及び第2の押し込み用突出部132、並びに、第1の誘い込み面133及び第2の誘い込み面134が形成される。ただし、反対面144に凹陥部を形成していないことから、第1の押し込み用突出部131及び第2の押し込み用突出部132の突出している高さはベース120の第1の押し込み用突出部121及び第2の押し込み用突出部122よりも低くなるように形成されている。なお、第2の鍔部141の第1の挟持部142及び第2の挟持部143、並びに、ベース130の本体部136及び貫通孔137、並びに、ケース138は、第2の鍔部105、ベース120及びケース128の対応する部分と各々形状、大きさ、配置などすべて同じであるので、説明を省略する。
【0058】
以上のように、本発明の第1の実施の形態においては、第1の鍔部20に形成された第1の対向面26と、第2の鍔部30に形成された第1の挟持部31及び第2の挟持部32によって、コイルボビン10自身が第1のリード線60及び第2のリード線63を挟持する。さらに、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部20に形成された第1の屈曲用突出部21及び第2の屈曲用突出部22がソレノイドのベース70などに押圧されることによって第1の対向面26が第1のリード線60及び第2のリード線63を押圧し、第1のリード線60及び第2のリード線63が第1の鍔部20と第1の挟持部31及び第2の挟持部32によって強く挟持されるので、第1のリード線60及び第2のリード線63が確実に保持できる。さらに、第1の屈曲用突出部21と第2の屈曲用突出部22が第1の鍔部20上の最も離れた位置、又は、比較的離れたところに配置されているので、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部20の狭い領域が集中的に押圧されることによって、コイルアッシーが傾いた状態で組み込まれることを防止できる。また、他の実施の形態においても同様の効果が得られる。
【0059】
くわえて、本発明の第2の実施の形態においては、第1の屈曲用切り込み部83及び第2の屈曲用切り込み部84と第3の屈曲用切り込み部85及び第4の屈曲用切り込み部86を形成することによって、第1の鍔部80の第1の屈曲用突出部81及び第2の屈曲用突出部82を形成した部位が屈曲しやすくなり、第1のリード線60及び第2のリード線63がより強く押圧される。また、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るコイルボビン11においては、第1の挟持部44と第2の挟持部45の周方向における左右両側部が凸状曲面44a及び凸状曲面44bと凸状曲面45a及び凸状曲面45bとして形成されているので、角部が存在せず、角部によって第1のリード線60及び第2のリード線63の絶縁被覆に瑕疵が形成されることを防止できる。さらに、 請求項5に記載の発明によれば、第1のリード線及び第2のリード線が確実に保持されたソレノイドを提供できるので、外部から強い衝撃や振動が加わる場所でも使用することができる。
【0060】
また、本発明の第3の実施の形態に係るコイルボビン13を備えたソレノイドにおいては、ベース120の蓋部125に形成された第1の押し込み用突出部121と第2の押し込み用突出部122が第1の凹陥部101と第2の凹陥部102に進入するようにすることによって、周方向においてコイルボビン13とベース120を所定方向に取り付けることが容易になる。さらに、第1の凹陥部101と第2の凹陥部102を第1の鍔部100上の最も離れた位置に配置されているので、コイルアッシーをソレノイドに組み込んだときに、第1の鍔部100の狭い領域が集中的に押圧されることによって、コイルアッシーが傾いた状態で組み込まれることを防止できる。
【0061】
さらに、本発明の第4の実施の形態に係るコイルボビン14を備えたソレノイドにおいては、ベース130の蓋部135に形成された第1の押し込み用突出部131と第2の押し込み用突出部132が第1の鍔部140を押圧し、第1のリード線60及び第2のリード線63が第1の鍔部140と第1の挟持部142及び第2の挟持部143とによって強く挟持されるので、第1のリード線60及び第2のリード線63が確実に保持できる。さらに、第1の鍔部140に凹陥部を形成しないので、第1の鍔部149に薄く凹陥部を形成する肉厚がない場合に有用な構成となっている。
【0062】
本発明は、以上に説明した実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前述のように、第4の実施の形態に係るコイルボビンの第1の鍔部に屈曲用切り込み部を形成するなど、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々のコイルアッシー又はソレノイドに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 コイルボビン
11 コイルボビン
12 コイルボビン
13 コイルボビン
14 コイルボビン
19 コイルアッシー
20 第1の鍔部
21 第1の屈曲用突出部
22 第2の屈曲用突出部
23 導出用筒部
24 導出用間隙
25 反対面
26 第1の対向面
27 肉厚領域
28 肉薄領域
29 連結部
30 第2の鍔部
31 第1の挟持部
32 第2の挟持部
33 肉薄部
34 第1の配線溝用切り込み部
35 第2の配線溝用切り込み部
36 第2の対向面
37 第1の平坦面
38 第2の平坦面
39a 第1の傾斜面
39b 第2の傾斜面
40 第1の鍔部
41 第1の屈曲用突出部
42 第2の屈曲用突出部
43 第2の鍔部
44 第1の挟持部
44a 凸状曲面
44b 凸状曲面
45 第2の挟持部
45a 凸状曲面
45b 凸状曲面
46 連結部
47 第1の巻胴領域
48 第2の巻胴領域
49 第3の鍔部
50 巻胴部
51 第1の巻胴領域
52 第2の巻胴領域
53 第1の外周面
54 第2の外周面
55 中空部
56 第3の鍔部
59 コイル
60 第1のリード線
61 最大径のリード線
62 最小径のリード線
63 第2のリード線
64 コイルワイヤ始端部
65 第1の結線部
66 コイルワイヤ終端部
67 第2の結線部
68 第1の外部導出部
69 第2の外部導出部
70 ベース
71 蓋部
72 本体部
73 貫通孔
74 ケース
75 胴体部
76 底部
77 開口部
78 プランジャ
79 シャフト
80 第1の鍔部
81 第1の屈曲用突出部
82 第2の屈曲用突出部
83 第1の屈曲用切り込み部
84 第2の屈曲用切り込み部
85 第3の屈曲用切り込み部
86 第1の屈曲用切り込み部
87 導出用筒部
88 導出用間隙
89 連結部
90 第2の鍔部
91 第1の挟持部
92 第2の挟持部
93 第1の巻胴領域
94 第2の巻胴領域
95 第3の鍔部
100 第1の鍔部
101 第1の凹陥部
102 第2の凹陥部
103 導出用筒部
104 導出用間隙
105 第2の鍔部
106 第1の挟持部
107 第2の挟持部
108 連結部
109 第1の巻胴領域
110 第2の巻胴領域
111 中空部
112 第3の鍔部
113 反対面
120 ベース
121 第1の押し込み用突出部
122 第2の押し込み用突出部
123 第1の誘い込み面
124 第2の誘い込み面
125 蓋部
126 本体部
127 貫通孔
128 ケース
129 内側面
130 ベース
131 第1の押し込み用突出部
132 第2の押し込み用突出部
133 第1の誘い込み面
134 第2の誘い込み面
135 蓋部
136 本体部
137 貫通孔
138 ケース
140 第1の鍔部
141 第2の鍔部
142 第1の挟持部
143 第2の挟持部
144 反対面
200 コイルボビン
210 巻胴部
211 第1の巻胴領域
212 第2の巻胴領域
213 第3の巻胴領域
220 第2の鍔部
221 第1の板状部分
222 第2の板状部分
223 導出部
225 挟持突起
226 挟持突起
227 挟持突起
228 スリット
229 貫通孔
230 連結部
231 挟持突起
232 挟持突起
233 スリット
234 導出用間隙
235 第1の鍔部
236 支持用突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図19