(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172616
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】制振装置及び制振構造
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20241205BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20241205BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F16F15/02 C
F16F15/04
E04B1/98 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090451
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】中川 学
(72)【発明者】
【氏名】更谷 安紀子
【テーマコード(参考)】
2E001
3J048
【Fターム(参考)】
2E001DG01
2E001FA02
2E001HF16
3J048AA02
3J048AD07
3J048BA23
3J048BD08
3J048BF04
3J048CB01
3J048CB21
3J048CB22
3J048DA03
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】建物の建設後の設置を容易とすることができ、かつ、床の上下振動を効果的に低減することができる制振装置を提供する。
【解決手段】制振装置1は、床スラブ3と上階の鉄骨梁4とを連結可能な柱10と、柱10に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばね50と、ばね50に接続された錘20と、柱10及び錘20と当接するように設けられた減衰材60と、を具備する。また、錘20は、柱10の柱部12の内部空間に収まるように設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下階床と上階床または上階梁部材とを連結可能な柱と、
前記柱に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばねと、
前記ばねに接続された錘と、
前記柱及び前記錘と当接するように設けられた減衰材と、
を具備する、
制振装置。
【請求項2】
前記錘は、前記柱の内部空間に収まるように設けられる、
請求項1に記載の制振装置。
【請求項3】
前記柱は、前記錘の上下動を案内する案内部を具備する、
請求項1に記載の制振装置。
【請求項4】
前記柱は、前記錘の上下動可能な範囲を規制する規制部を具備する、
請求項3に記載の制振装置。
【請求項5】
前記柱は、
前記下階床に連結可能な第一取付部材と、
前記上階床または前記上階梁部材に連結可能な第二取付部材と、
前記第一取付部材及び前記第二取付部材に連結される柱部と、
を具備する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項6】
下階床と上階床または上階梁部材とを連結するように設けられた柱と、
前記柱に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばねと、
前記ばねに接続された錘と、
前記柱及び前記錘と当接するように設けられた減衰材と、
を具備する、
制振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床の振動対策のための制振装置及び制振構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の振動対策のためのチューンド・マス・ダンパー(Tuned Mass Damper、以下「TMD」と略す)が知られている。TMDは、ばねを介して錘が対象構造物に連結されるように構成され、TMDの固有周期を対象構造物の固有周期と同調させることで、対象構造物の振動を低減させるように構成される。
【0003】
ここで、建物の床の振動対策のためのTMDは、床下に設置されるものが多い。しかしながら、床下に設置されるTMDの場合、建物の建設後に配置するのが困難であるという問題がある。
【0004】
また、床振動を抑制するために、下階床と上階床または上階梁部材とを連結する間柱を設置する場合がある(特許文献1参照)。これにより、床の鉛直変形が小さくなり、床振動を抑えることができる。しかしながら、間柱を設置する方法では、床の変形は小さくなるものの、床振動の減衰性能を向上させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、建物の建設後の設置を容易とすることができ、かつ、床の振動を効果的に低減することができる制振装置及び制振構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、下階床と上階床または上階梁部材とを連結可能な柱と、前記柱に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばねと、前記ばねに接続された錘と、前記柱及び前記錘と当接するように設けられた減衰材と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記錘は、前記柱の内部空間に収まるように設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記柱は、前記錘の上下動を案内する案内部を具備するものである。
【0011】
請求項4においては、前記柱は、前記錘の上下動可能な範囲を規制する規制部を具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記柱は、前記下階床に連結可能な第一取付部材と、前記上階床または前記上階梁部材に連結可能な第二取付部材と、前記第一取付部材及び前記第二取付部材に連結される柱部と、を具備するものである。
【0013】
請求項6においては、下階床と上階床または上階梁部材とを連結するように設けられた柱と、前記柱に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばねと、前記ばねに接続された錘と、前記柱及び前記錘と当接するように設けられた減衰材と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、建物の建設後の設置を容易とすることができ、かつ、床の上下振動を効果的に低減することができる。
【0016】
請求項2においては、省スペース化を図ることができる。
【0017】
請求項3においては、錘の水平方向への移動を規制することができる。
【0018】
請求項4においては、錘が上下動し過ぎるのを抑制することができる。
【0019】
請求項5においては、施工容易性を向上させることができる。
【0020】
請求項6においては、床の上下振動を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制振装置を示す正面図。
【
図2】(a)
図1のA-A断面図。(b)
図1のB-B断面図。
【
図3】(a)
図1のC-C断面図。(b)
図1のD-D断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明においては、図中に示した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0023】
以下では、
図1から
図3を用いて、本発明の一実施形態に係る制振装置1について説明する。なお、
図2及び
図3においては、柱部12(H型鋼)のハッチングを省略している。
【0024】
図1に示す制振装置1は、多層階を有する建物2に設けられる。制振装置1は、建物2の下階床と上階床または上階梁部材との間に設けられる。本実施形態においては、制振装置1は、当該制振装置1が設置される階の床スラブ3と、当該制振装置1が設置される階の上階の床スラブを支持する鉄骨梁4との間に設けられる。
【0025】
制振装置1は、四周を梁で支持された床スラブ3に複数設けられてもよく、1つ設けられてもよい。制振装置1は、四周を梁で支持された床スラブ3に1つ設けられる場合、当該床スラブ3の平面視略中央に配置されることが好ましい。制振装置1は、柱10、錘20、ボルト30、ナット40、ばね50及び減衰材60を具備する。
【0026】
柱10は、床スラブ3と鉄骨梁4とを連結するように設けられる。柱10は、ガセットプレート11、柱部12、ボルト13、ナット14及びばね支持部15を具備する。
【0027】
図1及び
図2(a)に示すガセットプレート11は、後述する柱部12を床スラブ3及び鉄骨梁4に固定するためのものである。ガセットプレート11は、板状に形成される部分を有し、板面を前後方向に長手方向を上下方向に向けて設けられる。ガセットプレート11は、上下一対設けられる。上側のガセットプレート11は、その上端部において鉄骨梁4に固定される。下側のガセットプレート11は、その下端部において床スラブ3に固定される。
【0028】
図1から
図3に示す柱部12は、上下のガセットプレート11を介して床スラブ3と鉄骨梁4とを連結するように設けられるものである。本実施形態において、柱部12は、ウェブ121及びフランジ122(
図2及び
図3参照)によって構成されるH型鋼によって形成される。柱部12は、長手方向を上下方向に、ウェブ121の面を前後方向に向けて設けられる。
【0029】
図1及び
図2(a)に示すように、柱部12の上部は、ウェブ121の前面が上側のガセットプレート11の後面と当接した状態で、ボルト13及びナット14によって上側のガセットプレート11に固定される。また、柱部12の下部は、ウェブ121の前面が下側のガセットプレート11の後面と当接した状態で、ボルト13及びナット14によって下側のガセットプレート11に固定される。
【0030】
ウェブ121には、長孔121aが形成される(
図1及び
図3(b)参照)。長孔121aは、ウェブ121の左右中央を前後に貫通するように形成される。
図1に示すように、長孔121aは、長手方向を上下方向に向けて形成される。長孔121aは、上下に間隔をおいて複数(本実施形態においては3つ)設けられる。
【0031】
図1及び
図2(b)に示すばね支持部15は、後述するばね50を支持するものである。ばね支持部15は、上側のガセットプレート11の直ぐ下方(かつ後述する錘20の上方)及び下側のガセットプレート11の直ぐ上方(かつ後述する錘20の下方)において、柱部12のウェブ121の前面及び後面それぞれに設けられる。すなわち、ばね支持部15は、上下一対、前後一対の計4つ設けられる。
【0032】
前後のばね支持部15は、柱部12のウェブ121に対して前後対称に設けられる。また、後述する錘20、ばね50及び減衰材60もまた、柱部12のウェブ121の前側及び後側それぞれに、ウェブ121に対して前後対称に設けられる。よって、以下においては、特に断りのない限り、ウェブ121の前側に配置された構成について説明を行い、ウェブ121の後側に配置された構成については適宜説明を省略する。
【0033】
ばね支持部15は、側面視L字型の等辺山形鋼によって形成される。ばね支持部15は、一辺が柱部12のウェブ121の前面に当接し、他辺が前記一辺の下端から前方に延びるように設けられる。ばね支持部15は、前記一辺が柱部12のウェブ121の前面に溶接されることにより柱部12に固定される。
【0034】
図1及び
図3に示す錘20は、床スラブ3の上下振動に同調して上下動するものである。錘20は、柱部12の左右のフランジ122とウェブ121とで囲まれた内部空間に収まるように設けられる。錘20は、上下一対のばね支持部15の間に(後述するばね50を介して)設けられる。錘20は、外郭フレーム21及びコンクリート部22を具備する。
【0035】
図3に示す外郭フレーム21は、錘20の外郭を構成するものである。外郭フレーム21は、断面視略U字(コの字)状の溝形鋼によって形成される。外郭フレーム21は、長手方向を上下方向に向けて設けられる。外郭フレーム21は、開口する側を前方に向けて設けられる。
【0036】
図3に示すコンクリート部22は、錘20に重さを付与するものである。コンクリート部22は、コンクリートが外郭フレーム21の内側(外郭フレーム21によって囲まれる空間)に充填されて形成される。コンクリート部22は、外郭フレーム21と合わせて錘20が角柱状となるように形成される。
【0037】
また、錘20には貫通孔23が形成される(
図3(b)参照)。貫通孔23は、錘20を前後に貫通するように形成される。貫通孔23は、柱部12の長孔121aに対応する位置に、上下に間隔をおいて複数(本実施形態においては3つ)設けられる。また、貫通孔23に対応する位置には、コンクリート部22の前面が後方に凹むように形成されたざぐり22aが形成される。ざぐり22aは、後述するボルト30及びナット40がコンクリート部22の前面から前方に突出しない深さに形成される。
【0038】
このように構成された錘20は、柱部12に対して所定の範囲で上下動可能に支持されている。具体的には、
図3(b)に示すように、ボルト30が、後側の錘20の貫通孔23及び前側の錘20の貫通孔23に後方から挿通され、前側の錘20のざぐり22aに突出するように設けられる。そして、ボルト30の前端部がナット40によって締結される。錘20は、ボルト30及びナット40によって緊結されない程度に柱部12に取り付けられている。
【0039】
これにより、錘20の上下動可能な範囲は、ボルト30が長孔121aの上端部と当接する位置から、ボルト30が長孔121aの下端部と当接する位置までの範囲に規制されている。錘20は、床スラブ3が振動せず静止している状態において、ボルト30が長孔121aの上下中心に位置するように設けられる。
【0040】
また、ボルト30が貫通孔23及び長孔121aに挿通されてナット40によって締結されることにより、柱10は錘20の上下動を案内することができる。これにより、柱部12に対する錘20の水平方向(特に左右方向)への移動が規制される。
【0041】
図1及び
図2(b)に示すばね50は、柱10と錘20とを連結するものである。本実施形態においては、ばね50は、引張ばねである。ばね50は、錘20が上下動した場合に元の位置に復帰させる方向へ付勢する復元力を有する。ばね50は、錘20の上方及び下方それぞれに設けられる。ばね50は、伸縮方向を上下方向に向けて、ばね支持部15と錘20との間に設けられる。
【0042】
上側のばね50は、上端部が上側のばね支持部15に固定され、下端部が錘20の上端部に固定される。下側のばね50は、下端部が下側のばね支持部15に固定され、上端部が錘20の下端部に固定される。ばね50は、上述の如く配置されることにより、ばね支持部15を介して柱部12と錘20とを連結する。
【0043】
図1及び
図3(a)に示す減衰材60は、錘20の振動エネルギーを吸収するものである。本実施形態において、減衰材60は、高減衰ゴムによって形成される。減衰材60は、板状に形成され、板面を左右方向に向けて設けられる。減衰材60は、柱部12の上部及び下部それぞれに設けられる。減衰材60は、柱部12の左右のフランジ122と錘20との間にそれぞれ設けられる。減衰材60は、板厚方向(左右)に圧縮された状態で、一方の面がフランジ122に当接し、他方の面が錘20の外郭フレーム21に当接するように設けられる。
【0044】
なお、ばね50のばね定数及び減衰材60の減衰定数は、錘20の固有周期が床スラブ3の固有周期と同じとなるように設定される。
【0045】
以上のように構成された制振装置1(及び制振装置1が建物2に設置されることによって構成される制振構造)は、柱10によって建物2の床スラブ3と上階の鉄骨梁4とを連結するように設けられているため、床スラブ3の鉛直変形を低減することができる。
【0046】
また、制振装置1においては、様々な外力(地震、風、歩行外力、交通荷重等)により床スラブ3が上下に振動すると、これに伴って柱部12も上下に振動する。柱部12が上下振動すると、柱部12の振動が錘20に伝達され、床スラブ3の上下振動に同調して錘20が上下振動する。錘20が上下振動すると、減衰材60がせん断変形し、錘20の振動エネルギーに変換された床スラブ3の振動エネルギーを吸収する。こうして、床スラブ3の上下振動に同調して錘20を上下振動させ、減衰材60によって振動エネルギーを吸収することにより、床スラブ3の上下振動を減衰させることができる。
【0047】
こうして、制振装置1においては、柱10による床スラブ3の変形を低減する効果に、錘20、ばね50及び減衰材60による床スラブ3の上下振動の減衰性能が付与されることにより、床スラブ3の上下振動をより低減することができる。
【0048】
また、制振装置1は、床下ではなく床上に設けられるものであるため、建物2の建設後の設置を容易化することができる。また、柱部12は、ガセットプレート11を介して床スラブ3及び鉄骨梁4とに連結されているため、柱部12の設置作業性を容易化する(施工容易性を向上させる)ことができる。
【0049】
また、錘20は、柱部12の左右のフランジ122とウェブ121とで囲まれた空間に設けられているため、制振装置1の設置スペースを低減(省スペース化)することができる。すなわち、小さなスペースで床スラブ3の上下振動を減衰させることができる。
【0050】
以上の如く、本実施形態に係る制振装置1は、
床スラブ3(下階床)と上階の鉄骨梁4(上階床または上階梁部材)とを連結可能な柱10と、
前記柱10に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばね50と、
前記ばね50に接続された錘20と、
前記柱10及び前記錘20と当接するように設けられた減衰材60と、
を具備するものである。
【0051】
このような構成により、建物2の建設後の設置を容易とすることができ、かつ、床スラブ3の上下振動を効果的に低減することができる。
具体的には、制振装置1は、床下ではなく床上に設けられるので、建物2の建設後でも設置が容易となる。また、床スラブ3と上階の鉄骨梁4とを連結する柱10により床スラブ3の変形を低減することができ、かつ、床スラブ3の上下振動に同調して錘20を上下動させて減衰性能を向上させることにより、床スラブ3の上下振動を効果的に低減することができる。
【0052】
また、前記錘20は、前記柱10(の柱部12)の内部空間に収まるように設けられるものである。
【0053】
このような構成により、省スペース化を図ることができる。
【0054】
また、前記柱10は、前記錘20の上下動を案内する長孔121a(案内部)を具備するものである。
【0055】
このような構成により、錘20の水平方向への移動を規制することができる。
【0056】
また、前記柱10は、前記錘20の上下動可能な範囲を規制する長孔121a(規制部)を具備するものである。
【0057】
このような構成により、錘20が上下動し過ぎるのを抑制することができる。
【0058】
また、前記柱10は、
前記床スラブ3に連結可能な下側のガセットプレート11(第一取付部材)と、
前記鉄骨梁4に連結可能な上側のガセットプレート11(第二取付部材)と、
前記下側のガセットプレート11及び前記上側のガセットプレート11に連結される柱部12と、
を具備するものである。
【0059】
このような構成により、施工容易性を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る制振構造は、
床スラブ3(下階床)と上階の鉄骨梁4(上階床または上階梁部材)とを連結するように設けられた柱10と、
前記柱10に伸縮方向を上下方向に向けて接続されたばね50と、
前記ばね50に接続された錘20と、
前記柱10及び前記錘20と当接するように設けられた減衰材60と、
を具備するものである。
【0061】
このような構成により、床スラブ3の上下振動を効果的に低減することができる。
具体的には、床スラブ3と上階の鉄骨梁4とを連結する柱10により床スラブ3の変形を低減することができ、かつ、床スラブ3の上下振動に同調して錘20を上下動させて減衰性能を向上させることにより、床スラブ3の上下振動を効果的に低減することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0063】
例えば、本実施形態においては、柱部12はH型鋼によって形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば角パイプによって形成されるものであってもよい。この場合、錘20は、省スペースの観点から、柱部12(角パイプ)の内部空間に設けられることが好ましい。
【0064】
また、本実施形態においては、錘20の外郭フレーム21は断面視略U字(コの字)状の溝形鋼によって形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば角パイプによって形成されるものであってもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、柱10の上端は上階の鉄骨梁4に連結される構成としたが、スラブの構造によっては小梁やスラブの下面に連結される構成であってもよい。
【0066】
また、本実施形態においては、錘20は、省スペースの観点から、柱部12の内部空間に収まるように設けられるものとしたが、必ずしも内部空間に収まるように設けられていなくてもよく、例えば錘20の一部が柱部12の内部空間からはみ出していてもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、錘20は、ボルト30及びナット40によって緊結されない程度に(上下動が案内されるように、かつ、上下動可能な範囲が規制されるように)柱部12に取り付けられるものとしたが、ばね50で吊り下げられているだけでもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、ボルト30及び長孔121aによって錘20の上下動可能な範囲が規制されるものとしたが、必ずしも錘20の上下動可能な範囲が規制されていなくてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、柱部12は、ガセットプレート11を介して床スラブ3及び鉄骨梁4に連結されるものとしたが、床スラブ3及び鉄骨梁4に直接連結されるものであってもよい。また、柱10としては、壁下地のための小柱である、いわゆる間柱が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 制振装置
2 建物
3 床スラブ
4 鉄骨梁
10 柱
11 ガセットプレート
12 柱部
20 錘
50 ばね
60 減衰材