(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172620
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090461
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】尾山 響
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BB08
3E033DA03
3E033DA08
3E033DB01
3E033DD03
3E033DE05
3E033EA03
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】内容物を吐出させたときにスクイズ部が他の部分よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害することを防止することが可能な積層剥離容器を提供することである。
【解決手段】外層体2と内層体3と外気導入口8とを備えた積層剥離容器1であって、筒状の口部4と、下方に向けて徐々に拡径する形状を有し、口部4の下端に連なる肩部5と、スクイズ部6aを有し、肩部5の下端に連なる胴部6と、下方に向けて徐々に縮径する形状を有するヒール部7aと接地部7bとを有し、胴部6の下端に連なる底部7と、を有するボトル形状であり、肩部5の最大径部分における内層体3の肉厚をAとし、スクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚をBとしたときに、B=1.2A~2.5Aとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚が肩部5における内層体3の肉厚よりも厚くなっていることを特徴とする積層剥離容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器であって、
筒状の口部と、
下方に向けて徐々に拡径する形状を有し、前記口部の下端に連なる肩部と、
スクイズ部を有し、前記肩部の下端に連なる胴部と、
下方に向けて徐々に縮径する形状を有するヒール部と接地部とを有し、前記胴部の下端に連なる底部と、を有するボトル形状であり、
前記肩部の最大径部分における前記内層体の肉厚をAとし、前記スクイズ部の上下方向中央位置における前記内層体の肉厚をBとしたときに、B=1.2A~2.5Aとなるように、前記スクイズ部における前記内層体の肉厚が前記肩部における前記内層体の肉厚よりも厚くなっていることを特徴とする積層剥離容器。
【請求項2】
B=1.4A~2.5Aである、請求項1に記載の積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層体と、外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、外層体と内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成を有する積層剥離容器は、醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等を内容物として収納する容器として広く用いられている。積層剥離容器は、内容物を外部に吐出させた後、外気導入口から外層体と内層体との間に外気を導入して内容物の吐出に合わせて内層体を減容変形させることができる。これにより、内容物が外気と置換されることなく吐出されるようにして、内層体に収納された内容物への外気の接触を抑制し、その劣化や変質を抑制することができる。
【0003】
従来、このような積層剥離容器として、筒状の口部と、下方に向けて徐々に拡径する形状を有し、口部の下端に連なる肩部と、スクイズ部を有し、肩部の下端に連なる胴部と、下方に向けて徐々に縮径する形状を有するヒール部と接地部とを有し、胴部の下端に連なる底部と、を有するボトル形状とされ、胴部のスクイズ部をスクイズ(押圧)することで、容器の内部に収納されている内容物を口部から外部に押し出して吐出させることができるスクイズタイプのものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の積層剥離容器では、胴部のスクイズ部をスクイズして内容物を吐出させた後、スクイズが解除されて内層体が外層体に対して減容変形する際、内層体がスクイズ部の部分において他の部分よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまい、底部の側の内容物を吐出できなくなって残量が増加したり、次にスクイズ部をスクイズしたときに吐出に時間がかかるようになったりするという問題を生じるおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物を吐出させたときにスクイズ部が他の部分よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害することを防止することが可能な積層剥離容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層剥離容器は、外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器であって、筒状の口部と、下方に向けて徐々に拡径する形状を有し、前記口部の下端に連なる肩部と、スクイズ部を有し、前記肩部の下端に連なる胴部と、下方に向けて徐々に縮径する形状を有するヒール部と接地部とを有し、前記胴部の下端に連なる底部と、を有するボトル形状であり、前記肩部の最大径部分における前記内層体の肉厚をAとし、前記スクイズ部の上下方向中央位置における前記内層体の肉厚をBとしたときに、B=1.2A~2.5Aとなるように、前記スクイズ部における前記内層体の肉厚が前記肩部における前記内層体の肉厚よりも厚くなっていることを特徴とする。
【0008】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、B=1.4A~2.5Aであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容物を吐出させたときにスクイズ部が他の部分よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害することを防止することが可能な積層剥離容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層剥離容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る積層剥離容器1について詳細に例示説明する。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、
図1に示すように、積層剥離容器1を正立姿勢とした状態における上下方向(軸線Oが延びる方向)を意味するものとし、径方向は、積層剥離容器1の軸線Oを通るとともに軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0013】
図1に示す積層剥離容器1は、例えば、醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等の種々の内容物を収納する用途に用いることができるスクイズタイプのものである。積層剥離容器1は、それぞれ合成樹脂製である外層体2と内層体3とを有する二重構造となっている。
【0014】
外層体2は積層剥離容器1の外殻を構成するものである。本実施形態では、外層体2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の単層構造となっている。
【0015】
内層体3は、外層体2よりも厚みが薄い袋状に形成され、外層体2の内面に剥離可能に積層されている。外層体2の内面に対する内層体3の剥離は、接着状態からの剥離、相溶性のない樹脂積層物の場合における擬似接着状態からの剥離、密着状態からの離間、の何れであってもよい。
【0016】
内層体3の内部は収納空間Sとなっており、収納空間Sに内容物を収納することができる。内層体3は、内容物が収納空間Sから外部に注出されるのに伴って、外層体2の内面から剥離しつつ、その内容積を減少させるように減容変形自在すなわち潰れることができるようになっている。本実施形態では、内層体3もポリエチレンテレフタレート(PET)製となっている。
【0017】
上記の通り、本実施の形態では、積層剥離容器1は、外層体2及び内層体3の何れもが2軸延伸可能なポリエチレンテレフタレートで形成されたポリエチレンテレフタレート製となっている。このようなポリエチレンテレフタレートとしては、例えばホモPET等が挙げられるが、IPA(イソフタル酸)変性PET又はCHDM変性PET等の他のPETを用いることができる。外層体2を構成するポリエチレンテレフタレートと、内層体3を構成するポリエチレンテレフタレートとは同じ構成とすることも異なる構成とすることもできる。
【0018】
外層体2及び内層体3をポリエチレンテレフタレート製としたことにより、積層剥離容器1を軽量で強度が高く、また透明度の高い容器とすることができる。
【0019】
なお、外層体2及び内層体3は、ポリエチレンテレフタレート製に限らず、例えばポリプロピレン(PP)製やポリエチレン(PE)製など、他の合成樹脂材料により形成されたものとすることもできる。また、外層体2及び内層体3は、単層構造に限らず、バリア性等を向上させるための複数層の構造を有するものであってもよい。
【0020】
積層剥離容器1は、口部4と、口部4の下端に連なる肩部5と、肩部5の下端に連なる胴部6と、胴部6の下端に連なる底部7とを有するボトル形状となっている。
【0021】
口部4は筒状となっている。本実施形態では、
図1、
図2に示すように、口部4は軸線Oを中心として円筒状であり、その外周面には注出キャップ等の部材を装着するための雄ねじ4aが一体に設けられている。また、口部4の雄ねじ4aよりも下方側にはネックリング4bが一体に設けられている。
【0022】
口部4は、その外周面に、雄ねじ4aに替えて、注出キャップ等の部材を打栓によってアンダーカット係合させる突起を設けた構成とすることもできる。また、口部4は、ネックリング4bを備えない構成とすることもできる。
【0023】
図1に示すように、本実施形態では、口部4に外気導入口8が設けられている。外気導入口8は、外層体2の口部4を構成する部分に外層体2を径方向に貫通する貫通孔として設けられている。外気導入口8は、外層体2と内層体3との間に連なっており、内層体3が外層体2から剥離するのに伴って、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる。
【0024】
肩部5は下方に向けて徐々に拡径する形状となっている。本実施の形態では、肩部5は容器外方に向けて凸のドーム状となっており、
図2から解るように、その軸線Oに垂直な断面形状は略円形である。
【0025】
肩部5は、形状が相違する2種類の凹リブ11、12(
図1においては、便宜上、1本の凹リブ11、12のみに符号を付してある。)が、周方向に交互に等間隔に並べて設けられた構成とすることもできる。これらの凹リブ11、12は、それぞれ容器内方に向かって凹むとともに上下方向に延びる溝状となっている。肩部5に複数の凹リブ11、12を設けた構成とすることにより、口部4に設けられた外気導入口8から胴部6に向けて外層体2と内層体3との間に外気の通路が容易に形成されるようにして、胴部6において内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0026】
なお、肩部5は、下方に向けて徐々に拡径する形状であれば、その形状は種々変更可能である。また、肩部5は、凹リブ11、12が設けられない構成とすることもできる。
【0027】
図1に示すように、胴部6はスクイズ部6aを有している。本実施形態では、胴部6は、スクイズ部6aに加えて、スクイズ部6aの下方に連なる胴下部6bを有している。
【0028】
スクイズ部6aは、上端6a1において肩部5の下端に連なるとともに下端6a2において胴下部6bの上端に滑らかに連なり、上端6a1からに下方に向けて徐々に滑らかに縮径するとともに下端6a2から上方に向けて徐々に滑らかに縮径し、上下方向中央位置6a3において最小径となる括れ形状となっている。
【0029】
スクイズ部6aは可撓性を有しており、径方向内側に向けてスクイズ(押圧)されることにより径方向内側(容器内方)に向けて弾性変形することができる。また、スクイズ部6aは復元性を有しており、スクイズが解除されると変形状態から元の形状に復元することができる。積層剥離容器1は、スクイズ部6aを容器内方に向けてスクイズ(押圧)することで、収納空間Sに収納されている内容物を口部4から外部に押し出して吐出させることができる。
【0030】
スクイズ部6aは、外層体2と内層体3との間に外気の通路が容易に形成され、内層体3を外層体2から剥離し易くするために、上下方向に沿って延びる複数本の縦溝ないし軸線Oを中心として螺旋状に延びる複数本の縦溝等が設けられた構成とすることもできる。
【0031】
胴下部6bは、軸線Oを中心とした筒状となっており、その上端において滑らかにスクイズ部6aの下端6a2に連なっている。本実施形態では、胴下部6bは円筒状である。胴下部6bは、スクイズ部6aよりも高い剛性を有しており、スクイズ部6aがスクイズされたときに、スクイズ部6aとともに容易に変形しないようになっている。
【0032】
胴下部6bは、その外周面に周方向に延びる溝状の環状凹リブ6b1が設けられた構成とすることができる。本実施形態では、胴下部6bには2本の環状凹リブ6b1が上下方向に並べて設けられているが、環状凹リブ6b1を1本のみまたは3本以上設けるようにしてもよい。このような構成により、胴下部6bの剛性をスクイズ部6aに対してより高いものとして、スクイズ部6aがスクイズされたときに、胴下部6bがスクイズ部6aとともに変形することをさらに効果的に抑制して、スクイズ部6aの吐出操作性をさらに高めることができる。胴下部6bは、環状凹リブ6b1が設けられない構成としてもよい。
【0033】
スクイズ部6aは、肩部5の最大径及び胴下部6bの最大径よりも小径となっている部分とすることが好ましい。なお、胴部6が胴下部6bを備えていない場合には、スクイズ部6aは、肩部5の最大径及び胴部6と底部7との接続部分の径よりも小径となっている部分とすることが好ましい。ここで、スクイズ部6aが比較対象に対して小径でとは、比較対象に対して上下方向の中央部に向かって徐々に縮径する形状であること、比較対象に段部を介して連なる小径部(小径部は、上下方向で一様の径でも、径が滑らかに変化してもよい)とする、の何れであってもよい。
【0034】
底部7は、ヒール部7aと接地部7bとを有しており、ヒール部7aの上端において胴下部6bの下端に連なって胴部6の下端を閉塞している。ヒール部7aは、下方に向けて徐々に縮径する形状となっており、その径方向内側端に接地部7bが連なっている。接地部7bは軸線Oを中心とした円環状となっており、その内側部分は上方に向けて凹む中央凹部7cとなっている。なお、接地部7bは、円環状に限らず、周方向に間隔を空けて並ぶ複数部分からなる構成であってもよい。
【0035】
ここで、内層体3において、肩部5と胴部6のスクイズ部6aとが均等な肉厚であると、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて他の部分よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまい、胴下部6bや底部7の側の内容物が吐出できなくなる虞がある。
【0036】
これに対し、本実施形態に係る積層剥離容器1では、肩部5の最大径部分における内層体3の肉厚をAとし、スクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚をBとしたときに、B=1.2A~2.5Aとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚(平均肉厚)が肩部5の最大径部分における内層体3の肉厚(平均肉厚)よりも厚くなっている。これにより、積層剥離容器1では、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて肩部5よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまうことを抑制することができる。なお、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚は、上下方向中央位置6a3を含む上下方向の所定の範囲において実質的に一定であり、当該肉厚が一定の部分から肩部5及び胴下部6bに向けて徐々に減少するように変化するものであってよい。このような構成によれば、スクイズ部6aの、スクイズの際に最も大きく変形する部分のスクイズの解除後における不均一な減容変形を抑制することができる。
【0037】
特に、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚は、B=1.4A~2.5Aとなるように、肩部5における内層体3の肉厚よりも厚くするのが好ましい。このような構成とした場合には、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて肩部5よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまうことをさらに効果的に抑制することができる。
【0038】
なお、Bが1.2A未満の場合すなわちスクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚Bが肩部5の最大径部分における内層体3の肉厚Aの1.2倍未満の場合には、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて肩部5よりも先行して過度に減容変形して潰れしてしまい、流路が阻害されることを十分に抑制することができない。一方、Bが2.5Aよりも大きい場合すなわちスクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚Bが肩部5の最大径部分における内層体3の肉厚Aの2.5倍よりも大きい場合には、スクイズ部6aをスクイズする際の抵抗が大きくなってスクイズ部6aの吐出操作性が低下しまうという問題が生じることになる。
【0039】
このように、本実施形態に係る積層剥離容器1によれば、肩部5の最大径部分における内層体3の肉厚をAとし、スクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚をBとしたときに、B=1.2A~2.5Aとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚を肩部5における内層体3の肉厚よりも厚くするようにしたので、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて肩部5よりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまうことを抑制して、胴下部6bや底部7の側の内容物が吐出できなくなって残量が増加したり、次にスクイズ部6aをスクイズしたときに吐出に時間がかかるようになったりするという問題を抑制することができる。
【0040】
本実施形態に係る積層剥離容器1では、胴下部6bの、接地部7bから上方に15mmの位置における内層体3の肉厚をCとしたときに、B=1.2C~2.5Cとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚を胴下部6bにおける内層体3の肉厚よりも厚くした構成とすることもできる。すなわち、スクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚Bが、胴下部6bの接地部7bから上方に15mmの位置における内層体3の肉厚Cの1.2倍以上、2.5倍以下の厚みとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚を胴下部6bにおける内層体3の肉厚よりも厚くした構成とすることもできる。
【0041】
このような構成により、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて胴下部6bよりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまうことを抑制することができ、胴下部6bや底部7の側の内容物が吐出できなくなって残量が増加したり、次にスクイズ部6aをスクイズしたときに吐出に時間がかかるようになったりするという問題を抑制することができる。
【0042】
特に、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚は、B=1.4C~2.5Cとなるように、胴下部6bにおける内層体3の肉厚よりも厚くするのが好ましい。このような構成とした場合には、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて胴下部6bよりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまうことをさらに効果的に抑制することができる。
【0043】
なお、Bが1.2C未満の場合すなわちスクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚Bが、胴下部6bの接地部7bから上方に15mmの位置における内層体3の肉厚Cの1.2倍未満の場合には、スクイズ部6aをスクイズして内容物を吐出した後、スクイズ部6aのスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、内層体3がスクイズ部6aにおいて胴下部6bよりも先行して過度に減容変形して潰れることで流路を阻害してしまうことを十分に抑制することができない。一方、Bが2.5Cよりも大きい場合すなわちスクイズ部6aの上下方向中央位置6a3における内層体3の肉厚Bが胴下部6bの接地部7bから上方に15mmの位置における内層体3の肉厚Cの2.5倍よりも大きい場合には、スクイズ部6aをスクイズする際の抵抗が大きくなってスクイズ部6aの吐出操作性が低下しまうという問題が生じることになる。
【0044】
上記構成の積層剥離容器1は、ブロー成形品となっている。
【0045】
本実施形態に係る積層剥離容器1は、合成樹脂材料(ポリエチレンテレフタレート)を射出成形して形成された外層体2に対応する外体と、外体とは別に合成樹脂材料(ポリエチレンテレフタレート)を射出成形して形成された内層体3に対応する内体とを組み合わせた二重構造のプリフォーム組立体を二軸延伸ブロー成形することによって形成されている。
【0046】
この場合、内体の、延伸されて内層体3のスクイズ部6aに対応する部分に形成される部分の肉厚を、延伸されて内層体3の肩部5ないし胴下部6bに対応する部分に形成される部分の肉厚よりも厚くすることで、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚が肩部5ないし胴下部6bにおける内層体3の肉厚よりも厚く形成された積層剥離容器1を容易に形成することができる。
【0047】
なお、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とを積層した構成の積層プリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって形成されたものとすることもできる。
【0048】
また、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とが積層された円筒状の積層パリソンを、分割式の金型を用いてブロー成形する押出ブロー成形(EBM:Extrusion Blow Molding)によって形成されたものとすることもできる。
【0049】
何れの場合であっても、延伸されて内層体3のスクイズ部6aに対応する部分に形成される部分の肉厚を、延伸されて内層体3の肩部5ないし胴下部6bに対応する部分に形成される部分の肉厚よりも厚くすることで、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚が肩部5ないし胴下部6bにおける内層体3の肉厚よりも厚く形成された積層剥離容器1を容易に形成することができる。
【0050】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態では、スクイズ部6aを、上端6a1からに下方に向けて徐々に滑らかに縮径するとともに下端6a2から上方に向けて徐々に滑らかに縮径し、上下方向中央位置6a3において最小径となる括れ形状としているが、上端6a1と下端6a2との間で縮径せずに真っ直ぐに延びる円筒形状としてもよい。また、胴部6は、胴下部6bを有さず、その全体がスクイズ部6aとなる構成、スクイズ部6aと肩部5との間に筒状の胴上部を有する構成であってもよく、スクイズ部6a、胴下部6bに加えて肩部5との間に筒状の胴上部を有する構成であってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、スクイズ部6aを、上端6a1において肩部5の下端に滑らかに連なるとともに下端6a2において胴下部6bの上端に滑らかに連なる構成としているが、上端6a1において肩部5の下端に段差を介して連なる構成としてもよく、下端6a2において胴下部6bの上端に段差を介して連なる構成としてもよく、上端6a1において肩部5の下端に段差を介して連なるとともに下端6a2において胴下部6bの上端に段差を介して連なる構成としてもよい。この場合においても、スクイズ部6aを、上端6a1と下端6a2との間で縮径せずに真っ直ぐに延びる円筒形状としてもよい。この場合、スクイズ部6aと肩部5との間の段差ないしスクイズ部6aと胴下部6bないし底部7との間の段差に、それぞれ上下方向に延びる複数の凹リブを周方向に間隔を空けて並べて設けた構成として、段差における内層体3の外層体2から剥離性を高めるようにしてもよい。
【0053】
さらに、前記実施形態では、外気導入口8を、外層体2の口部4を構成する部分に、当該部分を径方向に貫通する貫通孔として設けるようにしているが、これに限らず、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる構成であれば、肩部5、胴部6及び底部7の何れかの部分に設けるようにしてもよく、また、その形態も貫通孔に限らず、スリット状でも、外層体2と内層体3との境界に開口する隙間状のものであってもよい。
【0054】
さらに、前記実施形態では、胴下部6bの、接地部7bから上方に15mmの位置における内層体3の肉厚をCとして、B=1.2C~2.5Cないし1.4C~2.5Cとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚を胴下部6bにおける内層体3の肉厚よりも厚くするようにしているが、接地部7bから上方に15mmの位置に胴下部6bが存在しない場合または胴部6に胴下部6bが設けられない場合には、ヒール部7aの上下方向中央位置の肉厚をCとして、B=1.2C~2.5Cないし1.4C~2.5Cとなるように、スクイズ部6aにおける内層体3の肉厚をヒール部7aにおける内層体3の肉厚よりも厚くするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 積層剥離容器
2 外層体
3 内層体
4 口部
4a 雄ねじ
4b ネックリング
5 肩部
6 胴部
6a スクイズ部
6a1 上端
6a2 下端
6a3 上下方向中央位置
6b 胴下部
6b1 環状凹リブ
7 底部
7a ヒール部
7b 接地部
7c 中央凹部
8 外気導入口
11 凹リブ
12 凹リブ
S 収納空間
O 軸線