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特開2024-172621倉庫システム、および、ビン配置の決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024172621
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】倉庫システム、および、ビン配置の決定方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20241205BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/087
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090462
(22)【出願日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 達大
(72)【発明者】
【氏名】竹村 将志
(72)【発明者】
【氏名】田口 愛乃
(72)【発明者】
【氏名】松山 吉成
(72)【発明者】
【氏名】島本 武史
【テーマコード(参考)】
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB06
3F522CC01
3F522GG03
3F522GG13
3F522GG18
3F522LL56
3F522LL57
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】自動倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化を実現する。
【解決手段】ピッキング作業の際のビンの配置を制御する倉庫システムは、指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定部と、前記ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得部と、前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定部にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定部と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキング作業の際のビンの配置を制御する倉庫システムであって、
指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定部と、
前記ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得部と、
前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定部にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定部と、
を有する、倉庫システム。
【請求項2】
前記ピッキング作業は少なくとも、人によって作業が行われる第1のピッキングステーションと、ロボットによって作業が行われる第2のピッキングステーションのいずれかにて行われ、
前記取得部は、前記第1のピッキングステーションおよび前記第2のピッキングステーションそれぞれに対するビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する、請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項3】
前記決定部は、前記ピッキング作業の作業主体が人である場合、物品の特性に対応して規定される所定の条件を満たす物品に対する保管ビンと出荷ビンが、前記複数の領域においてより近くなるように配置を決定する、請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項4】
前記決定部は、前記ピッキング作業の作業主体がロボットである場合、保管ビン内の物品の状態に対応するための当該ロボットの姿勢に応じて、保管ビンと出荷ビンの位置を決定する、請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項5】
前記決定部は、
すでに前記複数の領域に割り当てられている保管ビンと出荷ビンの距離、および、当該保管ビンに収容される物品の重量とを用いて評価値を算出し、
前記評価値に基づいて、前記複数の領域に割り当てられている保管ビンと出荷ビンの配置を変更するか否かを決定する、
請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項6】
前記決定部は、新たなピッキング作業の緊急度が高い場合、すでに前記複数の領域に割り当てられている保管ビンおよび出荷ビンの配置を変更することなく、前記複数の領域に対して当該新たなピッキング作業の保管ビンおよび出荷ビンの配置を決定する、請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項7】
前記ピッキング作業においてビンの配置が可能な複数の領域、および、前記複数の領域の周辺においてビンが待機可能な領域の設定を受け付ける受け付け部を更に有する、請求項1に記載の倉庫システム。
【請求項8】
プロセッサとメモリが協働して、
指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定工程と、
ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得工程と、
前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定工程にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定工程と、
を有する、ビン配置の決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、倉庫システム、およびビン配置の決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品が梱包された荷物の入荷・出荷に係る自動倉庫が普及している。例えば、特許文献1では、倉庫内において作業者のピッキング作業を効率化するために、複数のラインにおけるケースの搬送制御に係る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-125191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ピッキング作業の際のビンの配置を制御する倉庫システムであって、指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定部と、前記ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得部と、前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定部にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定部と、を有する、倉庫システムを提供する。
【0006】
また、本開示は、プロセッサとメモリが協働して、指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定工程と、ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得工程と、前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定工程にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定工程と、を有する、ビン配置の決定方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係るシステム構成の例を示すブロック図
図2】本発明の一実施の形態に係るシステムにて利用可能な情報処理装置の構成例を示すブロック図
図3】本発明の一実施の形態に係る倉庫内の構成例を示す概略図
図4】本発明の一実施の形態に係るビンのレイアウト設定を説明するための概略図
図5】本発明の一実施の形態に係るビンのレイアウト設定を説明するための概略図
図6】本発明の一実施の形態に係るビンの割り当てを説明するための概略図
図7】本発明の一実施の形態に係る出荷指示のリストの構成例を示す表図
図8】本発明の一実施の形態に係るデータ構成の例を示す表図
図9】本発明の一実施の形態に係る出荷制御の全体処理を示すフローチャート
図10】本発明の一実施の形態に係るビン配置の決定処理を示すフローチャート
図11】本発明の一実施の形態に係るビン配置の最適化処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(各実施の形態の内容に至る経緯)
荷物の入荷、保管、梱包、出荷などを行うための倉庫は、人手による作業負荷を軽減するために、ロボットなどを用いた自動化が求められている。近年における荷物の増加に伴って、一連の作業に係る更なる効率化が求められている。このような倉庫では、様々な形状や属性の物品(以下、「商品」とも称する)を扱うため、その商品の特性を考慮して人やロボットが作業を分担して実施することが必要となる。このような作業の一つとして、出荷指示に基づき、商品が保管されている収納部(以下、「保管ビン」と称する)から、出荷対象として1つまたは複数の商品を収納させる収納部(以下、「出荷ビン」と称する)へのピッキング作業が挙げられる。
【0010】
ピッキング作業を行う場合には、保管ビンと出荷ビンを作業主体の周辺に配置し、その作業主体が保管ビンから出荷ビンへと移動させる。このとき、商品の特性や保管ビンと出荷ビンの位置関係によって、ピッキング作業の容易性が変化する。例えば、作業主体が人である場合において、重量が重い商品を移動させる際には、保管ビンと出荷ビンが極力近いことが望ましい。一方、作業主体がロボットである場合には、その可動範囲や姿勢、商品の形状やビン内での配置などに応じて、保管ビンと出荷ビンが所定の位置関係にて配置されていた方が好ましい場合がある。さらには、出荷指示によっては、複数の保管ビンと複数の出荷ビンを、作業エリアにほぼ同じタイミングで配置する必要があるため、作業全体における効率化のためには、それらの配置を考慮する必要がある。
【0011】
そこで、以下の実施の形態では、作業主体がより効率的にピッキング作業を行うためのビンの配置を制御するシステム、および制御方法の例を説明する。
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るシステム、および制御方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
<実施の形態1>
[システム構成]
図1は、本実施の形態に係る倉庫システム1の全体概要を示すブロック図である。なお、図1に示すシステム構成は一例であり、1つのシステムが複数に分割されて構成されてもよいし、複数のシステムが1つにまとめて構成されてもよい。また、図1にて示した1つのシステムや装置が複数備えられてもよい。更には、以下に示す処理主体は一例であり、あるシステムの機能の一部が別のシステムの機能として実現されてもよい。
【0014】
倉庫システム1は、倉庫管理システム100、倉庫運用管理システム200、倉庫制御システム300、400、500、ロボット600、自動倉庫700、無人搬送車800、および操作端末900を含んで構成される。倉庫システム1を構成する各構成は、ネットワークを介して互いに通信可能に構成される。倉庫管理システム100は、倉庫内の物流を管理、制御するシステムであり、図1に示す構成例では最も上位に位置する。倉庫管理システム100は、例えば、倉庫内における物の在庫管理や、物の出入り(入荷や出荷)や移動を管理する。倉庫管理システムは、WMS(Warehouse Management System)などと称される場合がある。倉庫管理システム100は、図1では図示していない更に外部のシステムと通信可能に構成され、荷物の入出荷に係る指示や商品情報、ロボット等の倉庫内の設備に関する情報、作業者に関する情報などを取得、管理してよい。
【0015】
倉庫運用管理システム200は、倉庫内の作業を管理、制御するシステムであり、図1に示す構成例では倉庫管理システム100の下位に位置する。倉庫運用管理システムは、WES(Warehouse Execution System)などと称される場合がある。倉庫運用管理システム200は、例えば、倉庫内における各種作業主体の作業内容や、倉庫内の設備に対する包括的な制御を行う。
【0016】
倉庫制御システム300、400、500は、倉庫内の様々な設備それぞれに対応して、これらを管理、制御する。倉庫制御システムは、WCS(Warehouse Control System)などと称される場合がある。図1に示す構成例では、倉庫制御システム300、400、500はそれぞれ、ロボット600、自動倉庫700、無人搬送車800の管理、制御を担う。ロボット600は、例えば、直行機構や多軸のアームを備え、その先端部にて商品を保持可能に構成される。ロボット600の先端部の構成としては、例えば、吸着式であってもよいし、多指のハンドによる把持式であってもよく、特に限定するものではない。ロボット600は、様々な商品に対するピッキング作業を想定して、複数種類が倉庫内に設置されてよい。また、ロボット600周辺には、周辺画像、特に周辺に配置されたビンの画像を撮影するためのカメラが設置されてよい。
【0017】
自動倉庫700は、複数のビンを収容可能に構成され、要求に応じて、ビンを、無人搬送車800を用いて搬送する。なお、ビンの搬送は無人搬送車800を用いるものには限らない。例えば、ビンはベルトコンベアなどを用いて搬送されてもよい。自動倉庫700は、例えば、複数のビンを収容可能なように格子上のフレームにて構成される。自動倉庫700に収容されるビンとして、商品を保管するための保管ビンが挙げられる。また、保管ビンについては、商品が収納されていない状態の空のビンや、収容すべき商品が決定されていないビンが含まれてよい。なお、自動倉庫700で使用されるビンには、出荷の際に商品をまとめるための出荷ビンも含まれる。保管ビンと出荷ビンの形状や寸法はそれぞれ異なっていてもよいが、無人搬送車800にて搬送可能に構成されるものとし、ここでは矩形の箱型として同じ構成であるものとして説明する。
【0018】
無人搬送車800は、ビンを所定の位置に搬送するための車両であり、指示に基づき、自動的に移動や待機等を行う。無人搬送車800は、その上部にビンを着脱可能に搭載するような構成であってもよいし、ビンを押したり引いたりして搬送するような構成であってもよい。無人搬送車800は、例えば、移動に係る動作を行うための走行部、周辺情報を取得するためのセンサ、倉庫制御システム300などとデータの送受信を行うための通信部などを含んで構成される。
【0019】
操作端末900は、倉庫内外で、作業者が利用可能に構成される情報処理装置である。操作端末900は、例えば、PC(Personal Computer)などの設置式の情報処理装置であってもよいし、タブレット端末、POS端末、ハンディーターミナルやスマートフォンなどのモバイル端末であってもよい。操作端末900は、倉庫管理システム100、倉庫運用管理システム200、倉庫制御システム300、400、500などとデータの送受信を行い、各システムからの通知を受け付けたり、各システムへの設定や操作を行う際に用いられたりする。
【0020】
(ハードウェア構成例)
図1に示す各システムは、倉庫が設けられる拠点にてオンプレミス型のサーバ装置として構成されてもよいし、ネットワーク上にてクラウド型にて構成されてもよい。図2は、各システムを構成する装置として適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。ここでは、各システムを構成する装置の構成は同じであるものとして説明するが、提供する機能に応じて、一部の部位が省略されたり、他の部位が追加されたりしてよい。追加される部位の例としては、例えば、倉庫内で商品やビンに付されたバーコードから情報の取得するために用いられるバーコードリーダ等が挙げられる。
【0021】
情報処理装置10は、処理装置11、記憶装置12、通信装置13、入力装置14、画像取得部15、外部インタフェース16、および表示装置17を含んで構成される。各部位は、内部インタフェース18を介して通信可能に構成される。処理装置11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いて構成されてよい。処理装置11は、例えば、記憶装置12に記憶された各種データベース(以下、DB)を参照したり、プログラムを読み出したりすることで、後述する各種機能を実現する。記憶装置12は、各種データやプログラムなどを記憶するための記憶部であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの揮発性/不揮発性の記憶装置から構成されてよい。
【0022】
通信装置13は、ネットワーク35を介して外部装置と通信するためのインタフェースである。通信装置13にて対応可能な通信規格は特に限定するものではなく、有線/無線も問わない。また、複数の通信規格に対応可能であってもよい。したがって、ネットワーク35は、複数の通信規格によるネットワークが組み合わせて構成されてよい。
【0023】
入力装置14は、倉庫の利用者(例えば、管理者や作業者)による操作や指示を受け付ける。入力装置14は、マウス、キーボード、タッチパネルディスプレイなどから構成されてよい。画像取得部15は、倉庫内に設置されたカメラ30から倉庫内の画像を取得するためのインタフェースである。外部インタフェース16は、外部システム20と通信するためのインタフェースである。なお、外部システム20とは、通信装置13およびネットワーク35を介して通信可能に接続されてもよい。外部システム20は、図1に示した各システムに限らず、他のシステムであってもよい。表示装置17は、利用者に対し、各種ユーザインタフェースを表示する。表示装置17は、液晶ディスプレイ、タッチパネルディスプレイ、ランプなどから構成されてよい。
【0024】
[倉庫概要]
図3は、本実施の形態に係る倉庫システム1の倉庫内の構成例を示す概念図である。倉庫内には、自動倉庫700と、1つまたは複数のロボット600が設置される。また、倉庫内には、ビンを搬送する複数の無人搬送車800が、走行可能に配置される。
【0025】
自動倉庫700の周辺には、ピッキング作業の作業主体としての作業者850が作業を行うための作業エリア830が構成される。また、ロボット600が作業を行うための作業エリアも設けられる。作業エリアの設定の詳細については後述するが、作業主体が保管ビンから出荷ビンへ商品を移動させる際により効率的となるビンの配置が決定される。また、出荷作業全体の効率化の観点から、ビンを自動倉庫700内に移動させる代わりに、一時的に待機させておくことが望ましい場合に、当該ビンを待機させるための待機エリア840が設けられる。以下、ピッキング作業を行うエリアを、ピッキングステーションと称する場合がある。
【0026】
なお、図3の例では、人である作業者850が作業するエリアと、ロボット600が作業するエリアをそれぞれ1つずつ設けた例を示しているが、これに限定するものではない。それぞれのエリアが複数設けられてもよい。または、人が作業するエリア、および、ロボットが作業するエリアのいずれかのみが設けられてもよい。また、ロボット600として、直行機構を備えるロボット600が設置された例を示しているが、多軸のアームを備えるロボットが設置されてもよい。
【0027】
[ビンのレイアウト設定]
図4および図5を用いて、ビンのレイアウトに係る設定の例を説明する。本設定は、例えば、利用者により、操作端末900を介して倉庫運用管理システム200に指示することで行われてよい。
【0028】
図4は、人がピッキング作業を行うピッキングステーションにおいて、ビンを配置可能な位置を設定する場合の概念図である。ピッキングステーション内の作業エリア40において、12個の領域41a~41lがビンの配置が可能な領域である。また、領域42は、人が作業時に位置する領域である。12個の領域41a~41lのサイズは、ビンのサイズなどに応じて任意に設定可能であってよい。また、12個の領域41a~41lのうち、いずれの領域に対してビンを配置可能か否かが設定される。ピッキング作業では、1つの保管ビンと1つの出荷ビンが少なくとも必要であるため、少なくとも2つの領域が配置可能として指定される。図2の例では、作業エリア830として、5個の領域が指定された状態(L字型の配置)を示している。
【0029】
図5は、ロボット600がピッキング作業を行うエリアにおいて、ビンを配置可能な領域を設定する場合の概念図である。ここでは、3方向に直交して動作可能な直交タイプのロボット600を想定して説明する。作業エリア50において、4個の領域51a~51dがビンの配置が可能な領域である。4個の領域51a~51dのサイズは、ビンのサイズなどに応じて任意に設定可能であってよい。また、4個の領域51a~51dのうち、いずれの領域に対してビンを配置可能か否かが設定される。ピッキング作業では、1つの保管ビンと1つの出荷ビンが少なくとも必要であるため、少なくとも2つの領域が配置可能として指定される。
【0030】
ビンを配置可能な領域の数、配置、寸法などは、ロボットのサイズ、相対位置、機能、対応する作業者の属性、ビンの仕様、無人搬送車の仕様などに応じて、適宜調整されてよい。したがって、図4の例の場合、領域42の周辺に12個の領域を選択可能なパターンの例を示したが、倉庫の構造などに応じて別のパターンを用いてもよい。また、倉庫内の待機エリア840の数、配置、寸法などについても上記情報に基づいて、任意に設定、調整可能なように構成されてよい。
【0031】
[ビンの配置例]
図6を用いて、出荷時における実際の各ビンの配置の例について説明する。上述したように、ピッキング作業については、出荷対象となる商品が収納されている保管ビンと、出荷対象を出荷単位(例えば、出荷先)でまとめるための出荷ビンが存在する。本例では、2つのピッキングステーションPS1、PS2が設定され、2人の作業者が同時並行的にピッキング作業を行える構成とする。また、2つのピッキングステーションはいずれもLの字型にて、ビンの配置が可能な領域が設定されているものとする。
【0032】
ピッキングステーションPS1には、5個の領域61a~61eが設定されている。このうち、領域61aに出荷ビン63aが配置された状態である。また、領域61b~61dにそれぞれ、保管ビン62a~62cが配置された状態である。したがって、領域61eは空の状態である。同様に、ピッキングステーションPS2には、5個の領域64a~64eが設定されている。このうち、領域64a、64dに出荷ビン66a、66bが配置された状態である。また、領域64b、64c、64eにそれぞれ、保管ビン65a~65cが配置された状態である。したがって、ピッキングステーションPS2には空の領域は無い状態である。
【0033】
この状態において、新たな出荷指示がなされ、当該出荷指示にて、出荷ビン67と、保管ビン68が指定されたとする。新たな出荷指示による出荷ビン67は、すでにピッキングステーションPS1に配置されている出荷ビン63aと同一である場合、ピッキングステーションPS1には空の領域が存在するため、新たな出荷指示による保管ビン68は、ピッキングステーションPS1に割り当てられる。更に、複数の空の領域があるため、これらの領域のうち、出荷ビン63aが配置された領域61aに最も近い領域61eに出荷ビン67が配置される。
【0034】
[出荷指示リスト]
図7は、本実施の形態に係る出荷指示のリストの構成例を示す表図である。出荷指示リスト70は、出荷単位で受け付けた指示を管理するためのリストである。例えば、倉庫管理システム100が外部からの要求に基づいて、出荷指示を生成し、倉庫運用管理システム200に送信する。そして、倉庫運用管理システム200が受信した出荷指示を出荷指示リスト70に登録する。したがって、出荷指示リスト70は、倉庫運用管理システム200にて管理、更新されてよい。
【0035】
出荷指示リスト70は、作業指示ID71、作業内容72、出荷先73、対象商品74、個数75、および状態76の項目を含んで構成される。作業指示IDは、作業指示を一意に識別するための識別情報である。作業内容72は、指示に係る作業の内容を示し、ここでは「出荷」であるとして指定される。出荷先73は、出荷先の情報を示す。対象商品74は、出荷対象となる商品を一意に識別するための識別情報である。個数75は、出荷対象の商品の出荷数を示す。状態76は、出荷指示に対応して行われるピッキング作業において、保管ビンおよび出荷ビンの配置に係る状態情報を示す。例えば、「配置済み」の状態は、対応する出荷指示に対して、各ビンの配置がピッキングステーションにおいて完了していることを示す。「配置決定済み」の状態は、対応する出荷指示に対して、各ビンの配置が決定していることを示す。状態76の値が空である場合には、各ビンの配置が決定前、もしくは、決定処理中であることを示す。出荷指示リスト70に対する処理は上から順に行われるため、現状、枠77にて示す出荷指示(「指示5」)に対して、ビンの配置決定の処理が行われている段階である。
【0036】
[データ構成例]
図8を用いて、本実施の形態に係るデータの構成例について説明する。ここでは、1つの出荷指示に着目して説明する。1つの出荷指示、すなわち、1つの出荷ビンには、複数の商品および複数種類の商品を含めることが可能である。これらの情報が1つの出荷指示に含まれているため、1つの出荷指示を商品ごとに分割する。
【0037】
図8(a)は、1つの出荷指示において、3種類の商品A、B、Cが出荷対象の商品として指定されていた場合において、商品ごとに指示を分割したレコードを示す出荷情報80の構成例を示す。各レコードには、出荷先80a、出荷商品ID80b、個数80c、および出荷予定日80dの項目が含まれる。
【0038】
図8(b)は、図8(a)に示す出荷情報80の各レコードに対し、出荷処理のステータスを示す項目を追加した状態の出荷情報81を示している。各レコードには、出荷先81a、出荷商品ID81b、個数81c、出荷予定日81dに加え、ピッキング担当81e、ビン情報81f、ピッキング準備完了状態81g、ピッキング完了状態81h、および荷合わせ完了状態81iの項目を含む。
【0039】
ピッキング担当81eは、保管ビンから出荷ビンへ商品のピッキング作業を行う作業担当を示す。ピッキング担当81eには、作業担当が作業を行うピッキングステーションの情報などがさらに含められてよい。ビン情報81fは、ピッキング作業における保管ビンおよび出荷ビンの識別情報、および、ピッキングステーション内の作業エリアにおける配置を示す。ピッキング準備完了状態81gは、作業担当によるピッキング作業のための準備、すなわち、ビン配置の決定や、作業エリアへのビンの設置が完了したか否かの状態を示す。ピッキング完了状態81hは、作業担当によるピッキング作業が完了したか否かの状態を示す。荷合わせ完了状態81iは、荷合わせ作業が完了したか否かの状態を示す。
【0040】
図8(c)は、物品情報の一例である商品情報のデータ構成の例を示す。商品情報82は、商品ID82a、商品分類82b、寸法82c、重量82d、表面状態82e、在庫数82f、および格納保管ビン82gを含んで構成される。商品ID82aは、商品を一意に識別するための識別情報である。商品分類82bは、予め規定された商品の分類を示す。商品分類は、例えば、食品、家具などの商業的な分類を示してもよいし、ピッキング作業に関連する情報に対応付けて定義される分類であってもよい。ピッキング作業に関連する情報としては、例えば、商品の表面形状や軟度、素材などが挙げられる。これらの属性は商品の滑り易さや、把持の際に物品を損壊しない力の限界値などに影響するため、把持の難易度に影響するためである。寸法82cは、商品の寸法を示す。表面状態82eは、商品の表面の状態を示す。表面の状態としては、例えば、平面形状や凹凸の有無などが定義されてよい。在庫数82fは、倉庫内における商品の在庫数を示す。なお、同じ商品が異なる保管ビンに保管されていてもよく、その場合には、在庫数の総和が示されてもよい。もしくは、同じ商品が保管された保管ビンごとに在庫数が示されてもよい。格納保管ビン82gは、商品が保管されている保管ビンを一意に識別するための識別情報を示す。
【0041】
[処理フロー]
以下、本実施の形態に係る倉庫からの荷物の出荷時の処理の流れについて、図9図11を用いて説明する。
(全体処理)
図9は、本実施の形態に係る倉庫システム1において、倉庫運用管理システム200による商品の出荷時の処理の流れを説明するためのフローチャートである。なお、本例において、処理主体を倉庫運用管理システム200として説明するが、一部の機能が他のシステムにて実行されるように構成されてもよい。
【0042】
倉庫運用管理システム200は、上位システムである倉庫管理システム100から出荷指示を受信する(ステップS901)。出荷指示は、図7に示すように、受信されると出荷指示リスト70に登録される。
【0043】
倉庫運用管理システム200は、出荷指示リスト70に登録された出荷指示について、商品ごとに分解して、商品ごとのピッキング作業として登録する(ステップS902)。
【0044】
倉庫運用管理システム200は、商品ごとのピッキング作業について、作業主体を決定するように仕分けする(ステップS903)。ここでの作業主体の決定は、例えば、商品属性や商品形状などから算出される把持の成功率に基づいて行われる。例えば、ロボット600にて保持が困難である、すなわち、予め導出されている把持の成功率が低い商品に対しては、人がピッキング作業を行うように仕分けしてよい。もしくは、所定の寸法以上もしくは所定の重量以上の商品については、ロボット600がピッキング作業を行うように仕分けしてもよい。また、同じ出荷指示に含まれる複数種類の商品について、同じ作業主体となるように決定してもよい。
【0045】
倉庫運用管理システム200は、ビンの配置決定処理を行う(ステップS904)。本処理の詳細は、図10を用いて後述する。本処理が終了後、倉庫運用管理システム200の処理はステップS905へ進む。
【0046】
倉庫運用管理システム200は、ステップS904にて決定したビン配置に基づき、自動倉庫700を制御する倉庫制御システム400や、無人搬送車800を制御する倉庫制御システム500に対し、決定した位置に各ビンを配置させるように指示する(ステップS905)。
【0047】
倉庫運用管理システム200は、ステップS903による仕分けの結果に基づき、次のピッキング作業の作業主体が人か否かを判定する(ステップS906)。本判定は、図8(b)にて示した出荷情報81の内容に基づいて行われる。作業主体が人である場合(ステップS906:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS907へ進む。一方、次のピッキング作業の作業主体が人でない、すなわち、ロボット600である場合(ステップS906:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS909へ進む。
【0048】
倉庫運用管理システム200は、作業主体である人が利用可能な操作端末900に対して、人によるピッキング作業を実行させるための指示を送信する(ステップS907)。ここでの指示には、例えば、出荷ビンおよび保管ビンの作業エリアにおける配置、ピッキングする商品の種類、数、出荷ビン内の配置先などが含まれてよい。操作端末900は、倉庫運用管理システム200からの指示に基づいて、表示部(不図示)にて表示される表示画面(不図示)に各種情報を表示してよい。また、操作端末900は、人によるピッキング作業が完了したことを、当該表示画面を介して作業者850から受け付けてよい。
【0049】
倉庫運用管理システム200は、人によるピッキング作業が完了したか否かを判定する(ステップS908)。本実施の形態では、操作端末900を介して作業者850から入力された完了通知を受け付けた場合に、ピッキング作業を完了したと判定してよい。なお、これに限定するものではなく、例えば、出荷ビンの画像を取得し、その状態に応じてピッキング作業が完了したか否かを判定してもよい。人によるピッキング作業が完了した場合(ステップS908:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS915へ進む。一方、人によるピッキング作業が完了していない場合(ステップS908:NO)、倉庫運用管理システム200の処理は、ステップS907へ戻り、処理を繰り返す。このとき、作業者850に対してピッキング作業を促すように、操作端末900における表示画面の内容を変更してもよい。
【0050】
倉庫運用管理システム200は、ロボット600の作業エリアに配置された保管ビンおよび出荷ビンの画像を取得する(ステップS909)。画像の取得は、作業エリア周辺に設置されたカメラ30を用いて行われてよい。また、取得される画像は、対象商品が格納された保管ビンのみであってもよい。
【0051】
倉庫運用管理システム200は、ステップS909にて取得されたビンの画像を解析し、ビン内における商品の姿勢や配置を特定する(ステップS910)。ここでの画像解析は、特に限定するものでは無いが、例えば、公知の領域抽出や物体検出のアルゴリズムが用いられてよい。
【0052】
倉庫運用管理システム200は、ステップS910の画像解析の結果に基づいて、ビン内の商品について、ロボット600によるピッキング作業が可能な状態か否かを判定する(ステップS911)。例えば、ロボット600の可動範囲や実現可能な姿勢などを予め規定しておき、これらと商品の位置とに基づいてロボット600によるピッキング作業が可能か否かを判定する。ステップS903の仕分け作業にてロボット600に対してピッキング可能な商品が割り当てられている場合であっても、ピッキング作業を行う直前のビンの状態によっては、ロボット600によるピッキング作業が困難な場合がある。具体的には、保管ビンを無人搬送車800にて搬送している際に保管ビン内において商品の位置や姿勢が変化する場合がある。そのような場合に対応して、本判定処理を実行する。ロボット600によるピッキング作業が可能な状態であると判定した場合(ステップS911:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS913へ進む。一方、ロボット600によるピッキング作業が可能な状態でないと判定した場合(ステップS911:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS912へ進む。
【0053】
倉庫運用管理システム200は、ロボット600によるピッキング作業が不可であるものとし、人によるピッキング作業を行わせるためにビンの再配置を指示する(ステップS912)。ビンの再配置として、ピッキングステーションの変更および当該ピッキングステーション内でのビンの配置の更新が行われる。このとき、後述するステップS904の工程の一部が実行されてよい。そして、本工程が完了後、倉庫運用管理システム200の処理は、ステップS907へ進む。
【0054】
倉庫運用管理システム200は、倉庫制御システム300を介してピッキング作業を実行するロボット600に対して、ピッキング作業を実行するように指示する(ステップS913)。
【0055】
倉庫運用管理システム200は、ステップS913にて指示したロボット600にてピッキング作業が完了したか否かを判定する(ステップS914)。ここでの判定は、倉庫制御システム300を介して受け付けた通知に基づいて行われてよい。ロボット600によるピッキング作業が完了した場合(ステップS914:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS915へ進む。一方、ロボット600によるピッキング作業が完了していない場合(ステップS914:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS913へ戻り、待機する。このとき、倉庫運用管理システム200は、倉庫制御システム300に対してピッキングに係る指示を再送するような構成であってもよい。
【0056】
倉庫運用管理システム200は、任意の1つの出荷先に対するすべての商品のピッキング処理が完了したか否かを判定する(ステップS915)。ここでの判定は、ステップS901にて受信した出荷指示のうちのある1つの出荷指示に対応するピッキング作業がすべて完了したか否かに基づいて判定してよい。つまり、1つの出荷指示に対して、1つまたは複数の商品が出荷対象として指定されているため、その1つの出荷指示に対応した出荷対象であるすべての商品のピッキング作業が実行された否かが判定される。任意の1つの出荷先に対するすべての商品のピッキング作業が完了した場合(ステップS915:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS916へ進む。一方、ピッキング作業が完了していない場合(ステップS915:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS905へ戻り、未実行の出荷指示に対応するピッキング作業に係るビンの配置指示を実行する。
【0057】
倉庫運用管理システム200は、出荷ビンに対する荷合わせ処理を実行する。ここでの荷合わせ処理は、例えば、出荷ビンの画像を取得し、その画像を解析することにより、目的とする商品が出荷ビンに収容されているか否かを判定してよい。更には、倉庫運用管理システム200は、出荷対象の商品が正しい状態や姿勢で出荷ビンに収容されているか否かも判定してよい。荷合わせ処理は、ピッキング作業とは異なるエリアで実行されてよく、この場合、出荷ビンは荷合わせが行われる位置に移動される。そして、本処理フローを終了する。
【0058】
なお、本処理フローが終了した後、出荷ビンは、荷物の出荷作業に係る更なる後段の作業のために、所定の位置に移動するように制御されてよい。所定の位置の例としては、例えば、出荷ビンを後段の作業位置に運搬する運搬車の荷台や、後段の作業位置に移動させるビンを集積するパレット等が考えられる。
【0059】
(ビン配置決定処理)
図10は、本実施の形態に係る各種ビンの配置の決定処理のフローチャートである。本処理フローは、図9に示したフローチャートのステップS904の工程に対応し、倉庫運用管理システム200により実行される。
【0060】
倉庫運用管理システム200は、人およびロボット600によるピッキング作業を行うピッキングステーションおよびそのピンのレイアウト設定を取得する(ステップS1001)。ここで取得される設定としては、ピッキングステーションの数、ピッキングステーションにおけるビンを設置可能な領域の情報、作業主体の構成や機能などが含まれてよい。より具体的には、図2の例の場合、人である作業者850が作業するピッキングステーションと、ロボット600作業するピッキングステーションそれぞれの情報が取得される。作業者850が作業するピッキングステーションには5個の領域にビンを配置可能であり、また、その周辺にビンの待機エリア840が設定されている。また、ロボット600が作業するピッキングステーションには4個の領域にビンを配置可能である。
【0061】
倉庫運用管理システム200は、処理対象の出荷指示の情報を取得する(ステップS1002)。例えば、図7に示すような出荷指示リスト70の内容を取得し、新たに配置を決定すべきビンおよび商品の情報が取得される。
【0062】
倉庫運用管理システム200は、処理対象の出荷指示の直前における、すでに配置が決定しているビンの情報を取得する(ステップS1002)。すでに配置が決定しているビンの情報は、新たに配置を決定するビンに対して作業を行う時点から一定の範囲内であってよい。また、複数のピッキングステーションが設けられている場合には、それぞれの情報が取得される。つまり、本実施の形態では、新たなビンの配置を決定する際に、すでに配置が決定しているビンをそのまま利用できる場合には、その配置に基づいて新たなビンの配置を決定するように構成する。
【0063】
倉庫運用管理システム200は、処理対象に出荷指示に含まれる商品に対応する保管ビンもしくは出荷ビンと、配置決定済みのビンが重複しているか否かを判定する(ステップS1004)。少なくとも1つのビンが重複している場合(ステップS1004:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1006へ進む。一方、ビンが重複していない場合(ステップS1004:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1005へ進む。
【0064】
倉庫運用管理システム200は、配置決定済みのビンが最も少ないピッキングステーションに対象ビンを割り当てる(ステップS1005)。つまり、商品が収容されている保管ビンと、出荷ビンの2つがピッキングステーションに割り当てられる。そして、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1007へ進む。
【0065】
倉庫運用管理システム200は、重複するビンが存在するピッキングステーションに対象ビンを割り当てる(ステップS1005)。つまり、商品が収容されている保管ビンと、出荷ビンの2つがピッキングステーションに割り当てられる。そして、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1007へ進む。
【0066】
倉庫運用管理システム200は、すべてのピッキングステーションに対して上限までビンの割り当てがなされているか否かを判定する(ステップS1006)。上述したように、倉庫内には複数のピッキングステーションが設置可能であり、それぞれは作業担当の機能や構成などに応じて、ビンの配置可能な領域の数が異なる。ここでは、すべてのピッキングステーションのビン配置の領域がビンの配置先として埋まったか否かの判定を行う。なお、ここでの上限とは、各ピッキングステーションにおいてビンを配置可能として設定された領域の数(最大数)であってもよいし、予め設定された閾値であってもよい。上限までビンの割り当てがなされている場合(ステップS1006:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1008へ進む。一方、ビンの割り当てが上限未満である場合(ステップS1006:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1002へ戻り、次の出荷指示に対するビンの割り当てを行う。
【0067】
倉庫運用管理システム200は、現時点で割り当てられているビンの配置の最適化処理を行う(ステップS1007)。本処理の詳細は、図11を用いて後述する。本工程の処理が完了後、倉庫運用管理システム200の処理は、ステップS1009へ進む。
【0068】
倉庫運用管理システム200は、配置を決定したビンに対し、ピッキング作業後に当該ピッキングステーションへの再配置が必要か否かを判定する(ステップS1009)。ここでの判定では、例えば、出荷指示リスト70において、着目している出荷指示を基準として、予め規定された範囲内にある後続の出荷指示において重複するビンが存在するか否かに基づいて行われてよい。例えば、図7の出荷指示リスト70の例の場合、指示5を基準として、それに続く、指示nまでの範囲の出荷指示に基づいて判定されてよい。つまり、ビンを自動倉庫700へ戻すよりも、ピッキングステーションの周辺、より具体的には、待機エリア840に待機させておいた方が出荷作業全体において効率が良い場合がある。そのような場合を想定して、判定処理が行われる。再配置が必要である場合(ステップS1009:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1010へ進む。一方、再配置が必要でない場合(ステップS1009:NO)、本処理フローを終了する。この場合、図9のステップS905へ進む。
【0069】
倉庫運用管理システム200は、該当ビンを待機エリア840へ配置するように割り当てる(ステップS1010)。このように割り当てられた場合、該当ビンはピッキング作業が完了した後、待機エリア840へ移動するように制御され、その後、ピッキング作業が行われるタイミングでピッキングステーション内の割り当てられた領域へ再度移動することとなる。そして、本処理フローを終了する。この場合、図9のステップS905へ進む。
【0070】
(ビン配置最適化処理)
図11は、本実施の形態に係るビン配置の最適化処理のフローチャートである。本処理フローは、図10に示したフローチャートのステップS1008の工程に対応し、倉庫運用管理システム200により実行される。
【0071】
倉庫運用管理システム200は、着目するピッキングステーションにおける配置情報を取得する(ステップS1101)。ここでの配置情報は、ピッキングステーションに割り当てられたビンの識別情報と位置情報を含む。
【0072】
倉庫運用管理システム200は、ステップS1101にて取得した配置情報に基づき、着目ピッキングステーションに対して緊急度の高い出荷指示に対応するビンが割り当てられているか否かを判定する(ステップS1102)。出荷指示リスト70に登録されている出荷指示は、上位の指示ほど出荷の緊急度が高いものとする。したがって、緊急度が高い出荷指示が新たに発生した際には、出荷指示リスト70に割り込みにより挿入される。また、図7に示す出荷指示リスト70では省略しているが、緊急度に係る項目を含み、割り込みにより挿入された出荷指示に対して、緊急度「高」としてパラメータを設定してもよい。もしくは、図8(a)の出荷情報80には出荷予定日80dが含まれており、現時刻を基準として、出荷予定日までの期間が一定範囲内である出荷指示を緊急度が高いと判定してもよい。緊急度が高い出荷指示に対するビンが割り当てられている場合(ステップS1102:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1103へ進む。一方、緊急度が高い出荷指示に対するビンが割り当てられていない場合(ステップS1102:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1104へ進む。
【0073】
倉庫運用管理システム200は、現在のビンの割り当てについて、ピッキングステーション内での再配置が必要か否かを判定する(ステップS1103)。本実施の形態では、緊急度の高いビンに対するピッキング作業は、ピッキングステーション内でビンの再配置を行って時間をかけるよりも、そのままの配置にてピッキング作業を行うことにより出荷作業の効率化を行った方が好ましいものとして処理を行う。一方、ピッキングステーション内でビンの再配置を行わなければ、ピッキング作業自体に支障がある場合がある。例えば、ある時点でのビンの配置において、ロボット600によるピッキング作業を行った場合、商品の把持に係る成功率が低くなったり、ロボット600が実施できない姿勢や作業が困難な姿勢(以下、「特異姿勢」と称する)となったりするなどの場合がある。その場合には、本工程において、ビンの再配置が必要であると判定する。ロボット600の特異姿勢については、ロボット600の構成や機能に応じて異なり得るが、予め規定されているものとする。例えば、商品を保持する際にロボット600が特異姿勢となる場合のパターンが、ロボット600の設置位置、ビンの配置、ビン内の商品の位置、商品の種類などに基づいて予め規定されていてよい。特異姿勢としては、例えば、アームが伸びきった状態などが挙げられる。また、再配置の要否を判定するための指標として、ビンの位置関係に基づく評価値を用いてもよい。現時点でのビンの配置が所定の閾値以下の評価値である場合に、再配置が必要と判定する。評価値は、例えば、対応する保管ビンと出荷ビンの距離と、保管ビンに収容される商品の重量とをパラメータとして算出されてよい。より具体的には、距離が遠いほど、または、重量が重いほど、低い閾値が算出されるようにしてもよい。ビンの再配置が必要である場合(ステップS1103:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1104へ進む。一方、ビンの再配置が必要でない場合(ステップS1103:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1111へ進む。
【0074】
倉庫運用管理システム200は、着目ピッキングステーションの作業担当が人か否かを判定する(ステップS1104)。本判定は、図8(b)にて示した出荷情報81の内容に基づいて行われる。作業担当が人である場合(ステップS1104:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1105へ進む。一方、作業担当が人でない、すなわち、ロボット600である場合(ステップS1104:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1106へ進む。
【0075】
倉庫運用管理システム200は、図8(c)に示すような商品情報に基づき配置済みの保管ビンにおいて取り出しにくい商品を特定する(ステップS1105)。本工程における、人が取り出しにくいか否かを判定するための所定の条件は、各商品の商品情報に対応して、商品の特性に基づいて予め規定されている。ここでの取り出しにくい商品とは、例えば、人がピッキングしにくい形状を有する商品であったり、一定以上の重量や寸法を有する商品であったりしてよい。もしくは、保管ビン内の商品の位置に基づいて、当該商品の取り出しやすさに関するパラメータが設定されてもよい。なお、図8(c)に示す商品情報82では省略しているが、重量や寸法以外にも、商品ごとに人によるピッキング作業の容易性に関する情報を含めてもよい。その後、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1107へ進む。
【0076】
倉庫運用管理システム200は、保管ビン内の商品の配置状態に基づき、配置済みの保管ビンにおいてロボット600が特異姿勢になりうる商品を特定する(ステップS1106)。ここでの特定は、予め管理された保管ビンの在庫に基づいて判定してもよいし、保管ビンの画像を取得した上で行われてもよい。その後、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1107へ進む。
【0077】
倉庫運用管理システム200は、ステップS1105の処理もしくはステップS1106の処理において、該当する商品があったか否かを判定する(ステップS1107)。該当商品がある場合(ステップS1107:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1108へ進む。一方、該当商品が無い場合(ステップS1107:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1109へ進む。
【0078】
倉庫運用管理システム200は、着目ピッキングステーションにおいて、ピッキング作業が行われる保管ビンと出荷ビンが隣接するように配置を決定する(ステップS1108)。このとき、保管ビンを基準として対応する出荷ビンの位置を決定してもよいし、出荷ビンを基準として保管ビンの位置を決定してもよい。このとき、すでに配置が決定されている出荷指示(例えば、図7の出荷指示リスト70において「配置決定済み」のステータスの指示)に対応するビンについても、新たな出荷指示に対しステップS1107にて該当商品が存在するものと判定されたことに応じて、配置が変更されてよい。なお、保管ビンと出荷ビンが隣接できない場合には、空いている領域に一時的に割り当ててよい。
【0079】
倉庫運用管理システム200は、各出荷指示の保管ビンと出荷ビンがすべて隣接しているか否かを判定する(ステップS1109)。対応する保管ビンと出荷ビンとがすべて隣接している場合(ステップS1109:YES)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1111へ進む。一方、対応する保管ビンと出荷ビンとがすべて隣接していない場合(ステップS1109:NO)、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1110へ進む。
【0080】
倉庫運用管理システム200は、優先度がより高い出荷指示のビンがより優先的に隣接するように配置を決定する(ステップS1110)。つまり、出荷指示リスト70の上位に位置する出荷指示を優先的に隣接するように配置する。そして、倉庫運用管理システム200の処理はステップS1111へ進む。
【0081】
倉庫運用管理システム200は、すべてのピッキングステーションに対するビン配置の最適化処理が完了したか否かを判定する(ステップS1111)。最適化処理が完了した場合(ステップS1111:YES)、本処理フローを終了する。この場合、図10のステップS1009へ進む。一方、最適化処理が完了していない場合(ステップS1111:NO)、ステップS1101へ戻り、未処理のピッキングステーションに着目して処理を繰り返す。
【0082】
以上、本実施の形態に係る倉庫システム(例えば、1、200)は、ピッキング作業の際のビン(例えば、810、820)の配置を制御する倉庫システムであって、指定された物品を収容している保管ビン(例えば、810)と、当該物品の移動先となる出荷ビン(例えば、820)とを特定する特定部(例えば、10、11)と、ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得部(例えば、10、11)と、ピッキング作業の作業主体、物品の物品情報、および、物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、複数の領域における、特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定部(例えば、10、11)と、を有する。この構成により、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。
【0083】
また、ピッキング作業は少なくとも、人(例えば、作業者850)によって作業が行われる第1のピッキングステーション(例えば、830)と、ロボット(例えば、600)によって作業が行われる第2のピッキングステーションのいずれかにて行われ、取得部は、第1のピッキングステーションおよび第2のピッキングステーションそれぞれに対するビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する。この構成により、倉庫内における作業主体に応じたビン配置の制御が可能となる。
【0084】
また、決定部は、ピッキング作業の作業主体が人である場合、物品の特性に対応して規定される所定の条件を満たす物品に対する保管ビンと出荷ビンが、複数の領域においてより近くなるように配置を決定する。この構成により、商品属性に応じて、人によるピッキング作業の効率化を図ることが可能となる。
【0085】
また、決定部は、ピッキング作業の作業主体がロボットである場合、保管ビン内の物品の状態に対応するための当該ロボットの姿勢に応じて、保管ビンと出荷ビンの位置を決定する。この構成により、ロボットの仕様に応じて、当該ロボットによるピッキング作業の効率化を図ることが可能となる。
【0086】
また、決定部は、すでに複数の領域に割り当てられている保管ビンと出荷ビンの距離、および、当該保管ビンに収容される物品の重量とを用いて評価値を算出し、当該評価値に基づいて、複数の領域に割り当てられている保管ビンと出荷ビンの配置を変更するか否かを決定する。この構成により、現在のビンの配置に対する評価を行い、当該評価結果に応じて、現在のビンの配置を調整するか否かを決定することが可能となる。
【0087】
また、決定部は、新たなピッキング作業の緊急度が高い場合、すでに複数の領域に割り当てられている保管ビンおよび出荷ビンの配置を変更することなく、複数の領域に対して当該新たなピッキング作業の保管ビンおよび出荷ビンの配置を決定する。この構成により、緊急度の高いピッキング作業が生じた場合、作業主体は、ビン配置の調整を行うことなく、迅速にピッキング作業を実行することが可能となる。
【0088】
また、ピッキング作業においてビンの配置が可能な複数の領域、および、複数の領域の周辺においてビンが待機可能な領域の設定を受け付ける受け付け部(例えば、10、11)を更に有する。この構成により、倉庫の構成に応じて、利用者が所望のビンを配置可能な領域のレイアウトを指定することが可能となる。
【0089】
(その他の変形例)
上記の実施の形態では、ビンの配置および最適化に関し、ピッキングステーション内の領域の割り当てについて説明した。更に、割り当てられた領域内でのビンの姿勢を決定するような構成であってもよい。例えば、図6に示すように、ビンの寸法と、ピッキングステーション内でビンが配置可能な領域の寸法は一致していない場合がある。その場合において、ビンを領域内の作業担当側に寄せて配置させるか、作業担当から一定の距離となるように配置させるかを更に決定してもよい。また、領域内において、ビンの正面をいずれに向けさせるかを決定してもよい。例えば、ビン内における商品の位置によっては、再配置の際にビンを回転させるようにすることで、作業担当が商品の取り出しが容易になる場合が想定される。
【0090】
また、上記の実施の形態では、作業担当が人である場合に、ピッキング作業の際に操作端末900を介して各種情報を通知していた。この場合などにおいて、作業者がビン内の商品の充填率が認識できるように表示してもよい。充填率は、例えば、ビンを俯瞰して撮影した画像からビンの底面が認識された面積、ビン内の商品の体積、商品の入った状態でのビンの重量などを用いて推定することができる。そのほか、統計情報や今後の作業内容(待機エリア840の状態など)などに関する情報を更に操作端末900を介して表示させるような構成であってもよい。また、他の作業者が実行してるピッキングステーションにおける作業状況などの情報を表示してもよい。
【0091】
また、上記の実施の形態において、ピッキング作業においてビンの配置が可能な領域を作業者の判断で指定したり作業者の属性に応じて決定したりしてもよい。これにより、作業者の体格や利き腕等に基づき、手が届かない領域をビンが配置される領域から除外したり、聞き手が届く範囲ならば複数列のビンの配置を可能とする等、作業者が作業しやすい範囲に多数の領域を設定したりすることができる。また、この場合、ピッキング領域に優先度を設定してもよい。例えば、作業者が右利きの場合は右手が届く範囲を左手しか届かない範囲よりも優先度を高く設定してもよい。この場合、ビンの配置にあたってピッキング領域に設定された優先度を考慮してもよい。例えば、重い商品や壊れ物などピッキング作業が難しい商品が、優先度の高い領域に配置されるようにしてもよい。また、ビンが少ない場合は、優先度の高い領域のみにビンが配置されるようにしたりしてもよい。
【0092】
また、上記の実施の形態では、ルールベースの判定に基づきビンの配置等を決定する形態について説明した。しかし、この構成に限定するものではなく、一部の機能を学習処理にて得られた学習済みモデルを用いて実現してもよい。例えば、ロボット600が特異姿勢になるか否かの推定処理について、ロボット600の設置位置、ビンの配置、ビン内の商品の位置、商品の種類を入力データとし、ロボット600が特異姿勢に該当するか否かの分類を出力データとして一定程度の学習処理が行われた結果にて得られる学習済みモデルが用いられてもよい。そのほか、着目するピッキングステーション内において、割り当てられたビンの再配置が必要か否かの判定処理(ステップS1103)などにおいて機械学習による学習済みモデルが用いられてもよい。
【0093】
なお、上記の学習処理は予め実行され、推定時に学習済みモデルが利用可能に生成されているものとする。また、倉庫システム1においては、上述したような処理が断続的に繰り返されているため、その中で得られた各種データを学習データとして取得し、学習処理に用いることで、学習済みモデルを更新するような構成であってもよい。また、学習処理に用いられる学習アルゴリズムについても特に限定するものではなく、利用する学習データや利用する工程に応じて、使い分けられてよい。
【0094】
また、上記の実施の形態において、ピッキング作業の対象物は商業的な流通に置かれる「商品」には限らない。上記の各実施の形態の構成は、非売品や部品などのいわゆる「商品」には該当しないことがある物品全般のピッキング作業に適用することができる。
【0095】
また、本開示は、上述した実施の形態の装置の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して装置に供給し、この装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラム及び記憶媒体も適用範囲である。
【0096】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に相当し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0097】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)
ピッキング作業の際のビンの配置を制御する倉庫システムであって、
指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定部と、
前記ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得部と、
前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定部にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定部と、
を有する、倉庫システム。
この構成により、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。
【0098】
(技術2)
前記ピッキング作業は少なくとも、人によって作業が行われる第1のピッキングステーションと、ロボットによって作業が行われる第2のピッキングステーションのいずれかにて行われ、
前記取得部は、前記第1のピッキングステーションおよび前記第2のピッキングステーションそれぞれに対するビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する、技術1に記載の倉庫システム。
この構成により、倉庫内における作業主体に応じたビン配置の制御が可能となる。
【0099】
(技術3)
前記決定部は、前記ピッキング作業の作業主体が人である場合、物品の特性に対応して規定される所定の条件を満たすに対する保管ビンと出荷ビンが、前記複数の領域においてより近くなるように配置を決定する、技術1または技術2に記載の倉庫システム。
この構成により、商品属性に応じて、人によるピッキング作業の効率化を図ることが可能となる。
【0100】
(技術4)
前記決定部は、前記ピッキング作業の作業主体がロボットである場合、保管ビン内の物品の状態に対応するための当該ロボットの姿勢に応じて、保管ビンと出荷ビンの位置を決定する、技術1から技術3のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成により、ロボットの仕様に応じて、当該ロボットによるピッキング作業の効率化を図ることが可能となる。
【0101】
(技術5)
前記決定部は、
すでに前記複数の領域に割り当てられている保管ビンと出荷ビンの距離、および、当該保管ビンに収容される物品の重量とを用いて評価値を算出し、
前記評価値に基づいて、前記複数の領域に割り当てられている保管ビンと出荷ビンの配置を変更するか否かを決定する、
技術1から技術4のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成により、現在のビンの配置に対する評価を行い、当該評価結果に応じて、現在のビンの配置を調整するか否かを決定することが可能となる。
【0102】
(技術6)
前記決定部は、新たなピッキング作業の緊急度が高い場合、すでに前記複数の領域に割り当てられている保管ビンおよび出荷ビンの配置を変更することなく、前記複数の領域に対して当該新たなピッキング作業の保管ビンおよび出荷ビンの配置を決定する、技術1から技術5のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成により、緊急度の高いピッキング作業が生じた場合、作業主体は、ビン配置の調整を行うことなく、迅速にピッキング作業を実行することが可能となる。
【0103】
(技術7)
前記ピッキング作業においてビンの配置が可能な複数の領域、および、前記複数の領域の周辺においてビンが待機可能な領域の設定を受け付ける受け付け部を更に有する、技術1から技術6のいずれかに記載の倉庫システム。
この構成によれば、倉庫の構成に応じて、利用者が所望のビンを配置可能な領域のレイアウトを指定することが可能となる。
【0104】
(技術8)
プロセッサとメモリが協働して、
指定された物品を収容している保管ビンと、当該物品の移動先となる出荷ビンとを特定する特定工程と、
ピッキング作業を行う際にビンの配置が可能な複数の領域の情報を取得する取得工程と、
前記ピッキング作業の作業主体、前記物品の物品情報、および、前記物品の保管ビン内における状態の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の領域における、前記特定工程にて特定した保管ビンと出荷ビンの配置を決定する決定工程と、
を有する、ビン配置の決定方法。
この構成により、倉庫内における作業者やロボットのピッキング作業に係る作業効率化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本開示は、倉庫システム、および、倉庫内におけるビン配置の決定方法として有用である。
【符号の説明】
【0106】
1…倉庫システム
10…情報処理装置
11…処理装置
12…記憶装置
13…通信装置
14…入力装置
15…画像取得部
16…外部インタフェース
17…表示装置
18…内部インタフェース
20…外部システム
30…カメラ
35…ネットワーク
100…倉庫管理システム
200…倉庫運用管理システム
300,400,500…倉庫制御システム
600…ロボット
700…自動倉庫
800…無人搬送車
900…操作端末
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